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○「医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施についてのQ&A」の改正について

(令和3年7月12日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課通知)

医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施に関する質疑応答集(Q&A)については、「医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施についてのQ&A」(平成30年1月17日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課、監視指導・麻薬対策課連名事務連絡。以下「旧事務連絡」という。)によりお示ししています。

今般、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)の一部の施行に伴い、「「医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施に関する留意事項」の一部改正について」(令和3年7月12日付け薬生発0712第2号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)が通知されたことから、別添のとおり、旧事務連絡を改正しましたので、業務の参考とするとともに、貴管下関係業者に周知方ご配慮をお願いいたします。

(別添)

1 全般的な事項

Q1

本通知の留意事項は、製造販売業の許可の要件となるのか。

A1

本通知は、今後の三役の適切な業務実施に関する留意すべき点をまとめたものであり、GQP省令及びGVP省令等で規定された要件を除き、製造販売業の許可要件ではない。

ただし、製造販売承認書と製造実態の相違や副作用報告の報告漏れを防止する観点で、本通知に記載された事項への対応は重要であることから、各都道府県において、許可の更新やその他実地の調査の機会等を活用し、本通知への対応状況や検討状況を確認し、指導いただきたいと考えている。

なお、留意事項の内容には、対応に時間を要するもの、場合によっては対応が困難なものが含まれていることから、取り扱う医薬品の性質、事業規模等の個別の状況も勘案し、弾力的に指導していくべきものと考えている。

Q2

本通知の留意事項は、製造販売業者(責任役員)が実施すべき事項を示したものであるとの認識で良いか。

A2

良い。

三役がその責務を果たす上で、製造販売業者(責任役員)の理解と配慮が不可欠であることから、基本的に製造販売業者(責任役員)が実施すべき事項として記載している。

また、品質管理や安全確保で事業者の信頼を失墜させる事案が散見されていることから、製造販売業者(責任役員)が率先してコンプライアンス(法令遵守)に取り組むことが重要である。

Q3

医薬部外品、化粧品、医療機器、体外診断用医薬品及び再生医療等製品の製造販売業者に対しても本通知は適用されるのか。

A3

医薬部外品、化粧品、医療機器、体外診断用医薬品及び再生医療等製品の製造販売業者への本通知の適用は想定していない。ただし、これらの製造販売業者が、可能な範囲で参考とすることは差し支えない。

Q4

本通知の内容は、医療用ガス類や粉末生薬又は刻み生薬のみを取り扱う製造販売業者にも適用されるのか。

A4

本通知は、第一種医薬品製造販売業者及び第二種医薬品製造販売業者のいずれも対象としていることから、第一種製造販売業のみを対象としている総括製造販売責任者の従事経験に関する事項を除き、医療用ガス類や粉末生薬又は刻み生薬のみを取り扱う製造販売業者も対象となる。

なお、A1のとおり、留意事項の内容には、対応に時間を要するもの、場合によっては対応が困難なものが含まれていることから、取り扱う医薬品の性質、事業規模等の個別の状況も勘案し、弾力的に指導していくべきものと考えている。

2 総括製造販売責任者に関する事項

(1) 総括製造販売責任者の選任

Q5

「品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務その他これに類する業務」はどのような業務を想定しているのか。

A5

具体的な業務としては、医薬品の製造販売業に係る薬事業務、開発業務、品質管理業務又は安全確保業務を想定している。品質管理業務には、製造販売業における品質管理業務だけでなく、製造業における品質管理業務も含まれる。

また、薬事業務、開発業務の具体的な業務としては以下の業務をそれぞれ想定している。

薬事業務:医薬品の新規承認取得及び承認事項の変更手続きに関する業務並びに製造販売業許可の取得、維持及び管理(いわゆる業態管理)

開発業務:治験薬の品質管理及び安全確保

これら以外の業務を従事経験としてみなすか否かについては、総括製造販売責任者の業務との関連性を踏まえて判断すること。

また、第二種医薬品製造販売業での業務は従事経験に含まれるが、体外診断用医薬品製造販売業及び再生医療等製品製造販売業での業務は従事経験に含まれない。ただし、体外診断用医薬品については、平成26年11月25日以前は医薬品製造販売業者として取り扱われていたことから、その間の業務は医薬品の製造販売業に関する従事経験としてみなして差し支えない。

(2) 総括製造販売責任者の職位等

Q6

「総括製造販売責任者が(中略)必要な場合に速やかに製造販売業者に意見することができるよう、適切に職務上の位置付けを十分に考慮する」とあるが、総括製造販売責任者の職位について、部長級以上でなければならない等、具体的な基準はあるのか。

A6

具体的な基準はない。総括製造販売責任者は、品質管理業務、安全確保業務に係る措置の決定、品質保証責任者及び安全管理責任者の適切な管理、製造販売業者(責任役員)への意見等を行うことを踏まえ、各製造販売業者において職位を検討すべきものと考える。

なお、総括製造販売責任者が、品質保証責任者及び安全管理責任者を監督することを踏まえれば、一般的にその職位は、品質保証責任者及び安全管理責任者と同等以上であるべきものと考えられる。

Q7

「経営会議等に直接出席」とあるが、責任役員が出席する会議体が複数存在する場合、品質管理又は安全確保に関する議題を所掌する会議体に出席すれば良いか。

A7

良い。

Q8

経営会議等への直接の出席ではなく、責任役員との意見交換の場を別途持つことでも良いか。

A8

責任役員及び関連部門と直接意見交換ができ、かつ、より効果的な仕組みであれば構わない。具体例として、責任役員や関連部門を含む月例報告会等の実施が考えられる。

Q9

経営会議等に総括製造販売責任者の代理を出席させる場合、どのような者の出席が考えられるか。

A9

例えば、総括製造販売責任者が経営会議等に直接出席することが困難な場合に、品質管理や安全確保に関する十分な知識や経験を持ち、総括製造販売責任者を統括する責任役員等を代理とする場合が考えられる。

Q10

「総括製造販売責任者からの報告等、(中略)製造販売業者に対する書面による意見に該当しないものであっても、その記録を総括製造販売責任者に保管させることが望ましい。」とあるが、記録の作成範囲は、品質管理及び安全確保に関する事項で良いか。

A10

良い。

(3) 三役会議等の開催

Q11

「三役会議の定期的な開催等」とあるが、三役が日常的に密接に連携している場合、この状況をもって三役会議の定期的な開催に代えることはできるか。

A11

三役の日常的な連携により、総括製造販売責任者による監督等が十分に行われている場合、必ずしも定期的な三役会議の開催は必要ない。

品質保証責任者及び安全管理責任者からの必要な報告が総括製造販売責任者に適宜かつ的確に報告され、また、総括製造販売責任者による監督が円滑に行われていることが重要である。

3 三役体制に関する事項

(1) 三役の役割等に関する社内理解の醸成

Q12

具体的な対応として人事発令及び社内公示が挙げられているが、三役の氏名、役割及び権限を社内のウェブサイト(社員全員がアクセス可能なもの)に掲載することでも良いか。

A12

三役の円滑な業務実施には、製造販売業者(責任役員)が社員へ「積極的に」周知することが重要と考える。このため、社員全員がアクセス可能なウェブサイト上に三役の情報を単に掲載するだけでなく、積極的な周知方法も検討いただきたい。

なお、人事発令及び社内公示により周知を行う場合にあたっては、新規採用や人事異動による人員の入れ替わりなどを考慮し、定期的・継続的な周知の方法も併せて検討することが望ましい。

4 品質管理業務に関する事項

(1) 製造業者の職員個人の意図的な不正行為を想定した対応

Q13

職員個人の意図的な不正を想定した対応が必要な理由は何か。

A13

承認書上の製造工程と異なる製造方法で製造が行われているなどとして行政処分に至った事例では、職員個人の意図的な不正行為によるものが散見されているためである。

特に、特定の業務を特定の職員のみが長期間担当し、かつ、当該業務に対する適切なチェックが働いていない場合、不正行為が行われていてもその発見が困難となる点に留意が必要である。

Q14

既に社内全体として内部通報制度が整備されている場合、改めて品質保証部門又は安全管理統括部門が内部通報制度を整備する必要があるか。

A14

改めて整備する必要はない。なお、内部通報担当部門は、品質保証部門及び安全管理統括部門等と適切に連携することが必要である。

Q15

コンプライアンス(法令遵守)研修が社内全般の教育訓練として実施されている場合、当該教育訓練は、GQP又はGVP上の教育訓練として位置づける必要があるか。

A15

個人情報の漏洩といった一般的な法令遵守が中心であって、品質管理業務及び製造販売後安全管理業務に係る法令遵守に関する内容が含まれない場合は、必ずしもGQP又はGVP上の教育訓練として位置づける必要はない。

ただし、GQP又はGVP上の教育訓練の一部としてコンプライアンス(法令遵守)研修を位置づけている場合は、計画、実施及びそれらの記録の保管等、所要の対応が必要となる。

なお、品質管理や安全確保の観点から事業者の信頼を失墜させる事案が散見されていることを踏まえ、責任役員が先陣を切って法令遵守を社内に訴え教育訓練を行うことが重要である。

5 安全確保業務に関する事項

(1) 安全管理情報の収集の範囲等

Q16

「その他安全管理情報を収集しうる関係者」とは、具体的にどのような者を想定しているのか。

A16

各製造販売業者の状況にもよるが、例えば、コールセンター等の担当者、製造販売後調査等のモニタリング業務を実施する者、いわゆるMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)等、日常的に患者や医療従事者に接する機会がある者が考えられる。

Q17

「医薬関係者を対象としたアンケートの結果等により得られた安全管理情報」の「等」は何が想定されるのか。

A17

例えば、営業部門等が実施する市場調査や患者支援プログラムの結果等から得られた安全管理情報が想定される。

Q18

教育訓練の実施にあたり、医薬品情報担当者等の理解度向上のために留意すべき点は何か。

A18

効果的な教育訓練を行う上では、

(ア) 教育訓練の実施を営業所等に全面的に任せるのではなく、安全管理統括部門等が主体的に関与すること、

(イ) 一方的に注意点を伝えるだけでなく、疑問点を吸い上げ、その疑問点を解消させること、

(ウ) 教育訓練の内容が理解されているかを確認すること、

等が重要と考える。

(2) 職員個人の意図的な不正行為を想定した対応【再掲】

Q14【再掲】

既に社内全体として内部通報制度が整備されている場合、改めて品質保証部門又は安全管理統括部門が内部通報制度を整備する必要があるか。

A14

改めて整備する必要はない。なお、内部通報担当部門は、品質保証部門及び安全管理統括部門等と適切に連携することが必要である。

Q15【再掲】

コンプライアンス(法令遵守)研修が社内全般の教育訓練として実施されている場合、当該教育訓練は、GQP又はGVP上の教育訓練として位置づける必要があるか。

A15

個人情報の漏洩といった一般的な法令遵守が中心であって、品質管理業務及び製造販売後安全管理業務に係る法令遵守に関する内容が含まれない場合は、必ずしもGQP又はGVP上の教育訓練として位置づける必要はない。

ただし、GQP又はGVP上の教育訓練の一部としてコンプライアンス(法令遵守)研修を位置づけている場合は、計画、実施及びそれらの記録の保管等所要の対応が必要となる。

(3) 営業所等の点検

Q19

「営業所等に直接訪問させる」とあるが、営業所等に安全管理統括部門等の職員を直接訪問させる場合、網羅的に行うべきか。

A19

いくつかの選定した営業所等に訪問することから始めることで良い。

営業所等に安全管理統括部門等の職員を直接訪問させるべきか否か、訪問させる場合にどの営業所等に対して行うかについては、取り扱う医薬品の性質、副作用報告の件数、安全管理統括部門等のリソース等を踏まえ、各製造販売業者において適切に検討いただきたい。

Q20

副作用等の収集を他社(販売代理店及び共同販促先等)に委託している場合、販売代理店等の営業所等に安全管理統括部門等の職員を訪問させるべきか。

A20

受託先の業務の記録等を確認し、必要に応じて、受託先と協議の上で営業所等を訪問することで差し支えない。

なお、受託先が製造販売業の許可を取得しており、自らが製造販売する医薬品の安全確保業務の一環として、営業所等に安全管理統括部門等の職員を直接訪問させている場合にあっては、当該製造販売業者(受託先)から点検状況について書面で報告を受けるという方法も考えられる。