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○コロナウイルス(SARS―CoV―2)ワクチン(遺伝子組換えサルアデノウイルスベクター)(バキスゼブリア筋注)の使用に当たっての留意事項について

(令和3年5月21日)

(/薬生薬審発0521第9号/薬生安発0521第9号/)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知)

(公印省略)

コロナウイルス(SARS―CoV―2)ワクチン(遺伝子組換えサルアデノウイルスベクター)(販売名:バキスゼブリア筋注。以下「本剤」という。)については、本日、「SARS―CoV―2による感染症の予防」を効能又は効果として特例承認したところです。

特例承認とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第14条の3第1項の規定に基づき、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するために緊急に使用されることが必要な医薬品として特例的に承認する制度です。本剤は、新型コロナウイルス感染症の予防に対する有効性を期待して承認されるものですが、本邦における安全性等に係る情報が限られているため、特に本剤を接種したときのデータが集積されるまでの間は、本剤を用いる医療機関及び医師においては特別の配慮をお願いします。

本剤の使用に当たっては、具体的な留意事項として下記の点について留意されるよう、貴管下の医療機関に対する周知をお願いします。また、貴管下の卸売販売業者に対しても適切に対応するよう周知願います。

1.本剤の位置づけについて

本剤は、以下のとおり医薬品医療機器等法第14条の3第1項の規定に基づき承認された特例承認品目であること。通常の同法第14条第1項に基づく承認とは手続きが異なるため、その取扱いに当たっては、特段のご注意とご配慮をお願いしたい。

(関係条文)

第14条の3 第14条の承認の申請者が製造販売をしようとする物が、次の各号のいずれにも該当する医薬品として政令で定めるものである場合には、厚生労働大臣は、同条第2項、第6項、第7項及び第9項の規定にかかわらず、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その品目に係る同条の承認を与えることができる。

一 国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品であり、かつ、当該医薬品の使用以外に適当な方法がないこと。

二 その用途に関し、外国(医薬品の品質、有効性及び安全性を確保する上で我が国と同等の水準にあると認められる医薬品の製造販売の承認の制度又はこれに相当する制度を有している国として政令で定めるものに限る。)において、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列することが認められている医薬品であること。

2.本剤の承認条件等について

(1) 本剤は、承認に当たり、医薬品医療機器等法第14条の3第2項の規定に基づき、承認を受けた者に対して医薬品医療機器等法施行令第28条第3項各号に掲げる以下の義務を課すこととしたこと。

1) 第1号関係

本剤は、医薬品医療機器等法第14条の3第1項の規定に基づき承認された特例承認品目であり、承認時において長期安定性等に係る情報は限られているため、製造販売後も引き続き情報を収集し、報告すること。

2) 第2号関係

本剤の使用によるものと疑われる疾病、障害又は死亡の発生を知ったときは、速やかに報告すること。

3) 第3号関係

本剤が特例承認を受けたものであること及び当該承認の趣旨が、本剤を使用する医療関係者に理解され、適切に被接種者又は代諾者に説明できるために必要な措置を講じること。

4) 第4号関係

本剤の販売数量又は授与数量を必要に応じて報告すること

(2) 本剤の承認に当たり医薬品医療機器等法第79条第1項の規定に基づき、以下の条件を付したこと。

1) 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

2) 現時点での知見が限られていることから、製造販売後、副反応情報等の本剤の安全性に関するデータを、あらかじめ定めた計画に基づき早期に収集するとともに、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。その際、国が実施する健康調査等により得られた情報についても適切に反映すること。

3) 現在国内外で実施中又は計画中の臨床試験の成績が得られた際には、速やかに当該成績を独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出するとともに、本剤の有効性及び安全性に係る最新の情報を、医療従事者及び被接種者が容易に入手可能となるよう必要な措置を講じること。また、国が行う本剤の有効性及び安全性に係る情報の発信について、適切に協力すること。

4) 本剤は、医薬品医療機器等法第14条の3第1項の規定に基づき承認された特例承認品目であり、承認時において長期安定性等に係る情報は限られているため、製造販売後も引き続き情報を収集し、報告すること。

5) 本剤の接種に際し、本剤の有効性及び安全性については今後も情報が集積されることを踏まえ、あらかじめ被接種者又は代諾者に最新の有効性及び安全性に関する情報が文書をもって説明され、予診票等で文書による同意を得てから接種されるよう、医師に対して適切に説明すること。

6) 医薬品医療機器等法施行規則第41条に基づく資料の提出の猶予期間は、承認取得から起算して6カ月とする。上記に基づいて提出された資料等により、承認事項を変更する必要が認められた場合には、医薬品医療機器等法第74条の2第3項に基づき承認事項の変更を命ずることがあること。

(3) 本剤は、医薬品医療機器等法第14条の3第1項に基づく承認であるため、同法第75条の3の規定により、同法第14条の3第1項各号のいずれかに該当しなくなったと認めるとき、又は保健衛生上の危害の発生若しくは拡大を防止するため必要があると認められるときは、これらの承認を取り消すことがあること。

3.本剤の効能又は効果について

本剤の効能又は効果は「SARS―CoV―2による感染症の予防」である。

4.本剤の適正使用について

(1) 本剤は「予防接種実施規則」及び「新型コロナウイルス感染症に係る臨時の予防接種実施要領」に準拠して使用すること。

(2) 本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある者等は、予防接種を受けることが適当でないこと。

(本剤成分)

・コロナウイルス(SARS―CoV―2)ワクチン(遺伝子組換えサルアデノウイルスベクター)(有効成分)

・L―ヒスチジン

・L―ヒスチジン塩酸塩水和物

・塩化ナトリウム

・塩化マグネシウム

・エデト酸ナトリウム水和物

・精製白糖

・無水エタノール

・ポリソルベート80

(3) 本剤は2回接種により効果が確認されていることから、同一の効能・効果をもつ他のワクチンと混同することなく2回接種するよう注意すること。

(4) 本剤は4~12週間の間隔をおいて2回筋肉内に接種することとされており、最大の効果を得るためには8週以上の間隔をおいて接種することが望ましい。

(5) 本剤接種後にショック、アナフィラキシー及び血管性浮腫を含む過敏症反応が認められているため、接種前に過敏症の既往歴等に関する問診を十分に行い、接種後一定時間、被接種者の状態を観察することが望ましい。本剤の初回接種時に重度の過敏症反応が認められた被接種者に対しては、本剤2回目の接種を行わないこと。

(6) ワクチン接種直後又は接種後に注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神があらわれることがある。失神による転倒を避けるため、接種後一定時間は座らせるなどした上で、被接種者の状態を観察することが望ましい。

(7) 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。

(8) 予防接種上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

(9) 18歳未満を対象とした臨床試験は実施していない。

(10) 本剤は現在本邦で流通している皮下に注射することとされているインフルエンザワクチン等と異なり、筋肉内に注射することとされていることから、これらの違いについて十分に留意した上で接種を行うこと。

(11) その他、添付文書に記載されている接種上の注意事項等について、十分に留意すること。

5.本剤の接種後に発生する可能性がある血小板減少症を伴う血栓症について

本剤接種後に、非常にまれで重篤な、血小板減少症を伴う血栓症が認められていることから、関係学会により「血小板減少症を伴う血栓症の診断と治療の手引き」の作成が行われているところである。

本剤の被接種者に対しては、接種後特に4日~28日(接種日を0日とする)の間に以下の症状が発生した場合には、速やかに医療機関を受診するように指導するようご協力いただきたい。

・ 重度もしくは持続的な頭痛、視覚異常(霧視)、錯乱、痙攣発作

・ 息切れ、胸痛、下肢腫脹、下肢痛、持続的な腹痛

・ 接種部位以外の皮膚の内出血、点状出血

また、血栓症の診断と治療に当たる可能性のある医療従事者の方に、学会作成の手引きについて情報提供を行うようご協力いただきたい。

6.本剤の製造販売後調査等への協力依頼について

本剤には承認条件として、製造販売後に本剤の安全性に関するデータを、あらかじめ定めた計画に基づき早期に収集することが課せられている。本剤については現時点での知見が限られており、安全性等に関するデータを特に重点的に収集する必要があることから、本剤を接種する医療機関におかれては、迅速なデータ提供にご協力いただきたい。

7.本剤に係る副反応疑い報告の速やかな実施について

予防接種法(昭和23年法律第68号)第12条第1項の規定に基づき、病院若しくは診療所の開設者又は医師(以下「医師等」という。)は、臨時の予防接種を受けた者が、厚生労働大臣が定める症状を呈していることを知ったときは、厚生労働大臣に報告することが義務付けられている。ついては、本剤の接種にあたって、医師等が「定期の予防接種等による副反応疑いの報告等の取扱いについて」(平成25年3月30日付け健発0330第3号・薬食発0330第1号厚生労働省健康局長及び医薬食品局長連名通知)別紙様式1の報告基準に該当する症状を診断した場合には、同通知別紙様式1又は様式2(予防接種後副反応疑い報告書入力アプリの場合)を使用の上、以下の報告受付サイト又はFAXにより、速やかにPMDAへ報告すること。なお、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン(以下「新型コロナワクチン」という。)の副反応疑い報告については、その他のワクチンとは異なる専用のFAX番号(0120―011―126)を設定しているためご注意いただきたい。また、FAX様式での別紙様式1は2枚組の様式となっている。FAXにてPMDAへ報告する場合は、必ず報告基準を含め2ページ目まで送信すること。

収集した報告については、ワクチンの安全性評価の基礎資料として活用するため、報告に際しては、接種された新型コロナワクチンの製品名及び製造販売業者名、医学的に認められている症状名、接種前後の状況や経過、新型コロナワクチンの副反応であると疑った理由などの必要情報について、漏れることなく記入すること。特に、製品名及び製造販売業者名については、製品別の安全性評価を行うために必要不可欠な情報であるため、必ず記入すること。また、新型コロナワクチン接種後の死亡事例報告を行う場合は、上記に加え、想定される死因及び死因と判断した根拠(検査結果含む。)も記載すること。

接種会場から医療機関に患者を搬送した場合など、複数の医師・医療機関が症状の発生を知った場合も想定されるが、関係医療機関間で連携し、いずれかの医師等から、必要情報を漏れることなく報告すること。

当該報告内容について製造販売業者又はPMDAが詳細調査を行う場合があるため、報告を行った医療機関におかれては、製造販売業者等が実施する詳細調査へご協力いただきたい。

以下の厚生労働省ウェブサイト上にて当該報告に係る方法・様式等を示しているため、参照の上、副反応疑い報告を行うこと。

【参考】

○医師等の皆さまへ~新型コロナワクチンの副反応疑い報告のお願い~(厚生労働省ウェブサイト)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_hukuhannou_youshikietc.html

○副反応疑い報告 報告受付サイト(PMDAウェブサイト)

https://www.pmda.go.jp/safety/reports/hcp/0002.html

※タブレットPCからの報告も可。