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○石綿障害予防規則及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令等の施行について

(令和3年5月18日)

(基発0518第6号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

石綿障害予防規則及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第96号。以下「改正省令」という。)及び石綿障害予防規則第四十六条の二第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める製品及び厚生労働大臣が定める者(令和3年厚生労働省告示第201号。以下「告示」という。)が、令和3年5月18日に公布及び告示され、令和3年8月1日から順次施行することとされたところである。その改正及び制定の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。

第1 趣旨等

1 趣旨

労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第55条並びに労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)第16条第1項第4号及び第9号の規定に基づき、石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿等」という。)は、試験研究の用に供するもの等を除き、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならないこととされている。

しかしながら、昨年12月以降、一部の事業者が輸入し、国内において販売されていた珪藻土を主たる材料とするバスマット等の製品に、石綿がその重量の0.1%を超えて含有されていた事案が複数確認されている。

このため、法第55条で規定する石綿等の製造等の禁止の履行確保を図るため、石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)及び関連する法令について、所要の改正等を行ったものである。

2 改正省令の概要

(1) 石綿を含有するおそれのある製品の輸入時の措置(改正省令による改正後の石綿障害予防規則(以下「石綿則」という。)第46条の2関係)

ア 石綿をその重量の0.1%を超えて含有するおそれのある製品であって厚生労働大臣が定めるものを輸入しようとする者(当該製品を販売の用に供し、又は営業上使用しようとする場合に限る。)に対して、当該製品の輸入の際に、厚生労働大臣が定める者が作成した石綿の検出の有無及び検出された場合の含有率等の事項を記載した書面を取得し、当該製品中に石綿がその重量の0.1%を超えて含有しないことを当該書面により確認することを義務付けたこと。

イ アの書面には、当該書面が輸入しようとする製品のロット(ロットを構成しない製品については、輸入しようとする製品)に対応するものであることを明らかにする書面及び石綿の分析を実施した者が厚生労働大臣が定める者に該当することを証する書面の写しを添付することを義務付けたこと。

ウ アの輸入しようとする者に対して、アの書面(イで添付すべきこととされている書面及び書面の写しを含む。)を当該製品を輸入した日から起算して3年間保存することを義務付けたこと。あわせて、厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成17年厚生労働省令第44号)別表第1の表1及び別表第2を改正し、この書面の作成及び書面の保存を電磁的記録により行うことができることとしたこと。

(2) 石綿を含有する製品に係る報告(石綿則第50条関係)

製品を製造し、又は輸入した事業者(当該製品を販売の用に供し、又は営業上使用する場合に限る。)に対して、当該製品(令第16条第1項第4号及び第9号に掲げるものに限り、法第55条ただし書の要件に該当するものを除く。)が石綿をその重量の0.1%を超えて含有していることを知った場合には、遅滞なく、製品の名称及び型式等について、所轄労働基準監督署長に報告することを義務付けたこと。

3 告示の概要

(1) 製品の指定(告示第1条関係)

石綿をその重量の0.1%を超えて含有するおそれのある製品であって厚生労働大臣が定めるものは、珪藻土を主たる材料とするバスマット、コップ受け、なべ敷き、盆その他これらに類似する板状の製品としたこと。

(2) 書面作成者の要件(告示第2条関係)

製品中に石綿がその重量の0.1%を超えて含有しないことを明らかにする書面を作成する者として厚生労働大臣が定める者は、次のいずれかに該当する者としたこと。

ア 石綿障害予防規則第三条第六項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者等(令和2年厚生労働省告示第277号。以下「分析調査者告示」という。)第1条第1号に該当する者

イ アに掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認められる者

ウ 国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)が定めた試験所に関する基準に適合している旨の認定(試験方法の区分が製品中の石綿に係る試験に係るものに限る。)を受けている者

4 施行日及び経過措置

(1) 施行日

改正省令及び告示は、令和3年12月1日から施行することとしたこと。ただし、2(2)に係る規定及び当該規定に係る経過措置については、令和3年8月1日から施行することとしたこと。

(2) 経過措置

ア 2(2)の事業者に対して、令和3年8月1日前に、製造し、又は輸入した製品(令第16条第1項第4号及び第9号に掲げるものに限り、法第55条ただし書の要件に該当するものを除く。)が石綿をその重量の0.1%を超えて含有していることを知っている場合には、2(1)にかかわらず、その旨が公知の事実であるときを除き、遅滞なく、製品の名称及び型式等について、所轄労働基準監督署長に報告するよう努めなければならないこととしたこと。

イ 2(2)及びアは、過去の令の改正における附則の規定により法第55条の規定が適用されない物については、適用しないこととしたこと。

第2 細部事項

1 改正省令関係

(1) 石綿則第46条の2第1項関係

ア 「当該製品を販売の用に供し、又は営業上使用しようとする場合」には、当該製品一品目ごとの価格の合計額が1万円以下である場合は含まれないこと。

イ 「書面」は、日本語により作成されたものとし、外国語により書面が作成されている場合は、当該書面及び当該書面の日本語の正確な翻訳を一体のものとして本項の「書面」として取り扱うこと。

ウ 第2号の「製品の名称」は、輸入後に販売の用に供し、又は営業上使用する場合における名称をいうこと。

エ 第3号の「ロット」及び「一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品の一群」は、いわゆる「製造ロット」、「原料ロット」等と称されることがあること。また、「ロットを特定するための情報」は、ロット番号及びこれに類する記号番号等をいうこと。

オ 第5号の「分析の方法」は、分析方法を定めた日本産業規格、国際標準化機構(ISO)の規格又は我が国若しくは外国の政府機関が定めた分析方法をいうこと。なお、石綿の分析方法には、「建材中の石綿含有率の分析方法について」(平成18年8月21日付け基発第0821002号)に定める分析方法、国際標準化機構(ISO)の規格22262に定める分析方法又はこれらと同等以上の外国の政府機関が定めた分析方法があること。

(2) 石綿則第46条の2第2項関係

ア 「輸入しようとする製品のロット」は、第1項第3号のロットのうち輸入しようとするロットをいい、いわゆる「輸入ロット」等と称されることがあること。また、「当該書面が輸入しようとする製品のロットに対応するものであることを明らかにする書面」は、当該ロットの仕入れ書(インボイス)又はこれに類する書類に第1項第3号の情報を記載したものをいうこと。

イ 「厚生労働大臣が定める者に該当することを証する書面」は、次の書面をいうこと。

① 告示第2条第1号に定める者の場合

分析調査者告示第2条の分析調査講習を受講し、同条第4号及び第5号の修了考査に合格したことを証する書面。なお、当該書面には、分析調査者告示第2条第3号に掲げる分析の実施方法に係る実技講習のうち、修了したものが明記されている必要があること。

② 告示第2条第2号に定める者の場合

3(2)イの①から⑤までに定める資格に係る認定、修了、登録等を受けたことを証する書面

③ 告示第2条第3号に定める者の場合

国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)が定めた規格17025に適合している旨の認定(試験方法の区分が製品(バルク)中の石綿に係る試験に係るものに限る。)を受けたことを証する書面

(3) 石綿則第50条関係

ア 「当該製品を販売の用に供し、又は営業上使用する場合」には、製造し、又は輸入した製品一品目ごとの価格の合計額が1万円以下である場合は含まれないこと。

イ 第1号の「製品の名称」は、販売の用に供し、又は営業上使用する場合における名称をいうこと。

ウ 第5号の「製品の使用に伴う健康障害の発生及び拡大を防止するために行う措置」は、製品の使用停止の呼びかけ、製品の安全な保管方法の提示及び製品の回収その他これに類する措置をいうこと。

(4) 附則第2条第1項関係

「公知の事実」は、令和3年8月1日前に、厚生労働省その他の行政機関が公表した事実又は事業者が厚生労働省、都道府県労働局若しくは労働基準監督署に報告した事実をいうこと。

3 告示関係

(1) 第1条関係

ア 本条は、近年、石綿をその重量の0.1%を超えて含有することが明らかとなった輸入製品を指定する趣旨であること。なお、「バスマット、コップ受け、鍋敷き、盆その他これらに類似する板状の製品」(以下「バスマット等」という。)は、いわゆるバスマット、コースター、トレイ及びこれらに類似する製品をいい、板状の建築材料や布製の製品は含まないこと。

イ 「珪藻土を主たる材料とする」バスマット等は、当該バスマット等を販売の用に供し、又は営業上使用する場合に、当該バスマット等が珪藻土を含有することにより有益な機能を有することが製品の名称等により明らかであるものをいうこと。

(2) 第2条関係

ア 第1号に該当する者については、分析調査者告示第2条第3号に掲げる分析の実施方法のうち、当該者が修了した実技講習に係る分析の実施方法により分析を実施する必要があること。

イ 第2号の「同等以上の知識及び技能を有すると認められる者」は、次の①から⑤までに掲げる者であること。

① 公益社団法人日本作業環境測定協会が実施する「石綿分析技術評価事業」により認定されるAランク若しくはBランクの認定分析技術者又は定性分析に係る合格者

② 一般社団法人日本環境測定分析協会が実施する「アスベスト偏光顕微鏡実技研修(建材定性分析エキスパートコース)」の修了者

③ 一般社団法人日本環境測定分析協会に登録されている「建材中のアスベスト定性分析技能試験(技術者対象)合格者」

④ 一般社団法人日本環境測定分析協会に登録されている「アスベスト分析法委員会認定JEMCAインストラクター」

⑤ 一般社団法人日本繊維状物質研究協会が実施する「石綿の分析精度確保に係るクロスチェック事業」により認定される「建築物及び工作物等の建材中の石綿含有の有無及び程度を判定する分析技術」の合格者