○医薬部外品・化粧品の単回投与毒性評価のための複数の安全性データを組み合わせた評価体系に関するガイダンスについて
(令和3年4月22日)
(薬生薬審発0422第1号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)
(公印省略)
今般、「医薬品等の安全性評価に関するin vitro試験(代替法)の開発、国際標準化及び普及促進に関する研究」(日本医療研究開発機構研究費(医薬品等規制調和・評価研究事業、代表研究者 小島肇))において、医薬部外品・化粧品の単回投与毒性評価のための複数の安全性データを組み合わせて評価するフローを示し、留意点をまとめたガイダンスを別添のとおり作成されたので、貴管下関係業者に対して周知願います。
[別添]
医薬部外品・化粧品の単回投与毒性評価のための複数の安全性データを組み合わせた評価体系に関するガイダンス
単回投与毒性は、被験物質を単回投与することにより生じる致死を含めた一般状態の変化を指標とする毒性反応である。単回投与毒性試験は、化学物質の毒性の量的及び質的な強さの把握のため、更にはヒトが化学物質を誤飲・誤食した場合に急性毒性反応を起こす量や症状等を予測するために実施される1,2)。
医薬部外品の製造販売承認申請及び化粧品基準改正要請では、従来、誤飲・誤食した場合に急性毒性反応を起こす量や症状等を予測するためにラット又はマウスによる単回投与毒性試験が、原則として強制経口投与で実施されてきた。動物を用いた急性経口毒性試験は、毒性の弱い物質では2000mg/kgの1用量で行うが、一方で1用量での試験で被験物質と関連した死亡を生じた場合には急性の毒性兆候を把握できる適切な用量段階を設定する2)。経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Co―operation and Development)の試験法ガイドライン(TG:Test Guideline)では固定用量法(TG420)、急性毒性等級法(TG423)、上げ下げ法(TG425)の3種類が、動物数の削減と苦痛を回避するように改良された代替法として採択されている3―5)。しかしながら、いずれも動物愛護の面から動物試験を置換する代替法の確立が望まれている。
マウス線維芽細胞由来の細胞株であるBALB/c3T3細胞を用いたNeutral Red Uptake(3T3―NRU)細胞毒性試験は、細胞毒性を評価する方法として広く利用されており(補遺1)、急性経口毒性を予測する能力についても、他の細胞毒性試験と共に研究された6)。NICETAM(National Toxicology Program Interagency Center for the Evaluation of Alternative Toxicological Methods)とEURL ECVAM(EU Reference Laboratory for Alternatives to Animal Testing、以下ECVAMともいう)は共同で急性毒性試験の開始用量を求める3T3―NRU細胞毒性試験のバリデーション研究を実施し、開始用量の評価に利用可能であることを示した7,8)。この成果に基づき、2011年にOECDガイダンスドキュメント(GD:Guidance Document)No.129「急性経口全身毒性試験の開始用量を評価する細胞毒性試験」が公表されている9)。その内容は、3T3―NRU細胞毒性試験を用いて被験物質の細胞毒性を評価した50%阻害濃度(IC50:Half maximal Inhibition Concentration)とデータベースから得られたin vivo試験の半数致死量(LD50:Median Lethal Dose)の相関関係に注目し、その回帰分析によって得られた関係式からLD50を予測し、in vivo急性毒性試験を実施する際の開始用量を決定するというものであった。開始用量を3T3―NRU細胞毒性試験により予測することで動物数の削減が可能となった。日本動物実験代替法評価センター(JaCVAM:Japanese Center for the Validation of Alternative Methods)においてもこの試験法の評価が行われ、その有用性が確認された10,11)。
その後、ECVAMはここで得られたデータを参考にフォローアップバリデーション研究を進め、LD50>2000mg/kgの物質の判別に3T3―NRU細胞毒性試験が有用であることを示し12,13)、2013年に「急性経口毒性試験のための3T3 Neutral Red Uptake細胞毒性試験に関するEURL ECVAM勧告」を公表した14)。その内容は、3T3―NRU細胞毒性試験によりLD50が2000mg/kgを超える物質を判別することが可能であるが、神経や心臓に特異的な毒性を発現する物質や代謝活性化によって毒性発現する物質はこの細胞毒性試験により評価できないため、評価にあたっては、3T3―NRU細胞毒性試験単独ではなく、他の情報と常に合わせて用いるべきというものであった。JaCVAMにおいてもこのLD50>2000mg/kgを予測する3T3―NRU細胞毒性試験についての評価が行われ、信頼性の高い他の情報と組み合わせて科学的証拠の重みづけ(WoE:Weight of Evidence)による評価を行うことが推奨された15,16)。なお、WoEとは、一つのデータから明確にならない結論を得るための根拠として、収集した情報の強みと弱みを利用(総合評価)する方法を意味する9)。
本ガイダンスでは、3T3―NRU細胞毒性試験を含む安全性データを組み合わせた単回投与毒性評価をWoEにより評価するフローを示し、留意点をまとめた。
1.WoE評価を用いる単回投与毒性評価体系の基本的な考え方
単回投与毒性はin vivo試験の十分なデータがあれば単独で評価が可能であるが、前述の細胞毒性試験のように単独で評価できない安全性データについては、被験物質及び/又はその類似物質の単回投与毒性に関連するデータ等を組み合わせてWoEによる評価を行う。なお、類似物質のデータを活用する場合には、類似物質の選定経緯を説明し、その選定が適切であることを示す必要がある。
2.具体的事例:3T3―NRU細胞毒性試験及びその他の安全性データを組み合わせた医薬部外品の添加物の単回投与毒性評価系
2―1.基本的な考え方
単回投与毒性について3T3―NRU細胞毒性試験は単独で評価できないため、被験物質及び/又はその類似物質の単回投与毒性関連の安全性データと組み合わせる必要がある。また、in vivo試験といえどもデータが不十分な場合には単独で評価できないこともあり得る。
単回投与毒性の評価をin vivo試験データに基づいて行う場合、詳細な試験条件や結果、すなわち、動物飼育条件、詳細な投与条件、体重、一般状態、剖検結果等を確認することが必要である。これらのデータが揃っていれば、当該被験物質について単回投与毒性の評価が単独で可能である。しかし、単回投与毒性を情報検索で得たデータで評価する場合、すなわち原著論文、毒性のデータベース、CIR(Cosmetic Ingredient Review)17)等からのデータを用いる場合、要約された試験条件と結果が記載されていて、詳細なデータの入手が困難なことが多い。このような状況で、最低限の情報として、①ラット又はマウスの動物種、②経口による投与経路、③LD50>2000mg/kgの結果、④出典の情報がある場合は、これを「in vivo試験結果概要」として、本WoE評価のための有力なデータの一つと位置づける。一方、in vitro試験である3T3―NRU細胞毒性試験は、比較的容易に試験データの取得が可能であり、その際に詳細な試験記録や結果が得られている場合、本WoE評価のための有力なデータの一つと位置づける。ただし、この細胞毒性試験単独では単回投与毒性の評価を完結させることはできない。その他に食経験、ヒト使用実績、毒性学的懸念の閾値(TTC:Threshold of Toxicological Concern)18,19)に基づく考察等もWoE評価のための有力なデータとなる可能性がある。
また、被験物質そのもののin vivo試験結果概要がない場合でも、あらかじめ設定した単回投与毒性の低い成分範囲に属する物質(表1参照)であれば、化学構造及び機能が類似した物質のin vivo試験結果概要を本WoE評価のための有力なデータの一つと位置づける。
本評価系は、これらの有力なデータを組み合わせることにより単回投与毒性の評価を完結させることができるという考え方である。なお、本評価系の適用範囲については、医薬部外品の添加物に限定した。医薬部外品の有効成分及び化粧品基準改正要請を必要とする成分については、WoEによる評価の完結に関して更に慎重な検討が必要と考え、現時点では除外した。
2―2.評価手順
「3T3―NRU細胞毒性試験及びその他の安全性データを組み合わせた医薬部外品の添加物の単回投与毒性評価」は、以下の手順で行う(図1)。
図1 3T3―NRU細胞毒性試験及びその他の安全性データを組み合わせた医薬部外品の添加物の単回投与毒性評価系
(1) 被験物質について、医薬部外品の添加物としての評価を行うことを確認する。該当する場合は、次へ進む。該当しない場合は、本評価系の対象外となる。
注1) 本評価系は医薬部外品の有効成分、化粧品基準改正要請を必要とする成分については対象外とする。
(2) 被験物質の単回投与毒性について、既存のデータ、すなわち原著論文、信頼性の高いデータベース等からin vivo試験結果概要が得られているかを確認する。該当する場合は、次へ進む。該当しない場合は、(4)へ進む。
注1) 既存のデータの調査段階、すなわち(2)、(3)、(4)において「被験物質」は、「被験物質を構成する全ての成分」と読み替えることができる。したがって、被験物質そのもので実施された試験データだけでなく、被験物質と同じ成分で試験されたデータについても活用することができる。被験物質が複数の成分から成る場合には、各成分についてのデータを活用することができる。なお、成分が一つの成分名で示されていたとしても、分子量分布があるもの(例えば、ヘキサデカノール)や含有される不純物に留意すべきもの(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム)等がある。成分名にとらわれず、成分を構成している実際の化学物質について考慮する。
注2) 既存のデータの調査では、可能な限り詳しい情報の入手に努める。
注3) 「信頼性の高いデータベース」とは、公的なデータベース、専門家によるデータの評価後に収載されるデータベース等である。例えば、既存化学物質毒性データベース(JECDB:Japan Existing Chemical Database)20)、有害性評価支援システム統合プラットフォーム(HESS:Hazard Evaluation Support System Integrated Platform)21)、OECD QSAR Toolbox22)、RTECS(Registry of Toxic Effects of Chemical Substances)23)、ECHA(European Chemicals Agency)―Information on Chemicals24)、ChemIDplus25)、CIR17)のデータベース等が挙げられる。我が国での毒物劇物指定のための有害性情報の収集・評価に使用されているデータベースは、信頼性が高いと考えられ、参考になる26)。
注4) 「in vivo試験結果概要」とは、最低限、①ラット又はマウスの動物種、②経口の投与経路、③LD50>2000mg/kgの結果、④出典のデータを必要とする。
注5) 被験物質の単回投与毒性の評価に参考となるin vivo反復投与毒性試験等のデータの存在を認めたならば、「in vivo試験結果概要」のデータとして用いる。
(3) 被験物質のin vivo試験結果概要に基づきラット又はマウスでの経口投与のLD50が2000mg/kgを超えることを確認する。更には、被験物質に食経験等の情報が存在する場合、それらに安全性上の問題がないことを確認する。該当する場合は、(5)へ進む。該当しない場合は、本評価系の対象外となる。
注1) この段階での評価は、特に神経や心臓に特異的な毒性を発現しないこと、代謝活性化による毒性発現の懸念がないことの確認が重要である。この方法の一つが、in vivo試験にて、ラット又はマウスでの経口投与のLD50が2000mg/kgを超えることを確認する方法である。被験物質が特異的なメカニズムや代謝活性化により単回投与毒性を示す物質であるならばこのラット又はマウスにおけるLD50値に毒性が反映するので、被験物質のLD50が2000mg/kgを超えるということは被験物質が特異的なメカニズムや代謝活性化により単回投与毒性を示すことはないと考察できる。
注2) in vivo試験結果概要のデータとして、in vivo反復投与毒性試験等のデータからの単回投与毒性の予測データを用いることができる。Bulgheroniら27)は、ラット経口28日間反復投与毒性試験の無毒性量(NOAEL:No Observed Adverse Effect Level)が200mg/kg以上であれば、ラット経口LD50>2000mg/kgであると予測できると報告しており、単回投与毒性に問題のないこと、特に特異的なメカニズムや代謝活性化により単回投与毒性を示す物質でないことを確認する上で参考になる15,16)。
注3) 情報が存在する場合に評価するデータとして、食経験、ヒト使用実績がある。「食経験がある」とは、当該食品について、原料・加工方法等を変えることなく、同じ製品(関与成分)が食生活の一環として長期にわたって食されてきた実績があると社会一般的に認められるような場合であって、かつ、これまで安全性上の問題がない場合である。この場合には、その食品は安全であると評価できる28)。したがって、食経験は被験物質の単回投与毒性を評価するための有力な情報となる可能性がある。なお、食経験に基づいて得たい情報は、生体への単回投与において毒性のないこと、特に神経や心臓に特異的な毒性を発現しないこと、代謝活性化による毒性発現がないことであるため、それを担保できる内容であるかについて情報の質と量(食経験の期間を含む)を評価する。
一方、ヒト使用実績については、多くの場合、化粧品のヒト使用実績が想定される。化粧品の場合、経皮又は経粘膜適用で安全に使用されたとしても、経口での安全性情報としては不十分なため、単回投与毒性を評価するための情報としての重要度は、通常、食経験よりも低いと考えられる。
また、成分の安全性評価を行う場合にはTTCに基づく考察を用いることができる。
注4) 食経験は、単回投与毒性の評価に活用できる可能性がある。被験物質に関連する食品について、これまでの我が国又は他の地域における使用状況、すなわち、調理・加工方法、成分組成、摂取形態、摂取方法、摂取量、摂取地域、摂取集団、摂取期間、有害性情報等を調査し、得られたデータが本評価系でターゲットとしている医薬部外品添加物の単回投与毒性の評価に活用可能か否かを評価する29)。
注5) ヒト使用実績の情報は、ヒトがどれだけ経口曝露されたかを示すデータと共に、安全性情報、特に誤飲・誤食関連の詳細なデータが存在すれば有用である。
注6) TTCは、あらゆる化学物質についてそれ以下の曝露量では明らかな有害影響が現れないとするヒト曝露の閾値である。したがって、成分の単回投与毒性の評価を行う場合に活用できる可能性がある。欧州委員会(EC:European Commission)の消費者安全科学委員会(SCCS:Scientific Committee on Consumer Safety)はTTCの基準値を評価している18)。また、医薬品規制調和国際会議(ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)は「潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理ガイドライン」においてTTCに基づく許容摂取量を定めている30,31)。医薬部外品添加物の安全性評価において、遺伝毒性(の警告部分構造)がない物質は1.5μg/kg体重/日に相当する90μg/人/日がTTCの基準として参考になる。DNA反応性発がん物質となる可能性のある物質は0.025μg/kg体重/日に相当する1.5μg/人/日が基準として参考になる。なお、成分の安全性評価をTTCに基づく考察を用いて行う場合には、対象がTTCの適用範囲内であることを確認する必要がある。TTCの適用外となる物質は、アフラトキシン様化合物、アゾキシ化合物、N―ニトロソ化合物、ベンジジン、ヒドラジン、無機化合物、金属及び有機金属、タンパク質、ステロイド、生物蓄積性が既知又は予測される物質(ポリハロゲン化ダイオキシン/ジベンゾフラン及びダイオキシン様ポリハロゲン化ビフェニル)、ナノ物質、放射性物質、未知の化学構造を含む物質の混合物である。ただし、化学構造の不明な化学物質の混合物のTTCによる安全性評価については、欧州食品安全機関(EFSA:European Food Safety Authority)のガイダンスに基づき、適用外となるカテゴリーの物質が含まれていないという十分な情報又は分析があれば、混合物成分の合計にTTCを適用できることがあるとされているので参考になる32)。具体的なTTCの活用法としては、一般的な分析機器により被験物質を分析し、TTC基準以下の含有成分量において、安全性に問題がないとした事例があり、参考になる33,34)。
(4) 被験物質が以下のいずれかに該当することを確認する。
①被験物質に食経験が認められ、これまで食されてきた実績及び安全性上の問題がないことを示せる。被験物質が食経験のある成分だけでなく食経験のない成分も含む場合は、全ての成分についてin vivo試験結果概要、TTC等も活用して安全性上の問題がないことを示せる。更には、被験物質にヒト使用実績の情報がある場合、それらに安全性上の問題がないとする。
②被験物質が表1に示す単回投与毒性の低い成分範囲に属し、なおかつ類似物質のin vivo試験結果概要に基づきラット又はマウスでの経口投与のLD50が2000mg/kgを超えると予測される。更には、被験物質及び/又は類似物質に食経験、ヒト使用実績等の情報がある場合、それらに安全性上の問題がないとする。該当する場合は、(5)へ進む。該当しない場合は、本評価系の対象外となる。
注1) (4)の①の食経験による評価においては、被験物質2000mg/kgを人が経口摂取した時の単回投与毒性について、食経験により毒性がないことを示すことができるかを検討する。比較的多量の投与で特異的なメカニズムや代謝活性化により単回投与毒性を示す物質でないことが3T3―NRU細胞毒性試験による評価へ進む要件である。
注2) 評価者は類似物質の選定経緯を示す。なお、被験物質を構成する一部の成分が評価対象の場合には「類似成分」を選定する。類似物質は「類似成分」と読み替えることができる。
注3) ここで言う類似物質とは、化学構造、物理的及び化学的特性、機能が類似し、更にin vivo試験結果概要等で単回投与毒性の問題がないことが判明している物質である。化学構造が僅かに異なることに対しての類似性の説明は、物理的及び化学的特性、機能が類似していることを示す。例えば、炭素鎖のみが異なる物質で、C16の被験物質をC14とC18を類似物質として評価する場合、様々な特性値がC14とC18の間に入ることを示せば、類似物質として選定できると考えられる。
注4) 類似物質のうち少なくとも1物質はin vivo試験結果概要が存在する物質を選定する。
注5) 表1に示す単回投与毒性の低い成分範囲に関して、原則として特別な官能基や化学構造を追加した場合は除外するので留意する。例えば、L―システインは単回投与毒性の低い成分に属するが、アセチル化したN―アセチルL―システインは化学構造、物理的及び化学特性、機能が異なっており、単回投与毒性の低い成分から除外する。
注6) 情報が存在する場合に評価するデータとして、食経験、ヒト使用実績がある。また、成分の安全性評価を行う場合にはTTCに基づく考察を用いることができる。
注7) in vivo試験結果概要がない被験物質が化粧品でのヒト使用実績を有する場合、単回投与毒性が問題ないとの評価に至る根拠を示す。ヒトでの使用へ移行するための安全性評価が妥当性を欠いていた場合には、得られた使用実績は妥当な資料として認められないので注意する。
表1 単回投与毒性の低い成分範囲
No. |
分類 |
本評価における単回投与毒性の低い成分範囲36―38) |
例 |
1 |
糖質39) |
カルボニル基又はアルデヒド基を一つ持ち、二つ以上のヒドロキシ基を持つ炭素数3以上6以下の化合物(単糖類)及びそれらがグリコシド結合で二つ以上結合した化合物(二糖類、少糖類、多糖類)。また、単糖類のカルボニル基が還元され、ヒドロキシ基になった化合物(糖アルコール) |
グリセルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン(三単糖)、D―リボース(五単糖)、D―グルコース(六単糖)、D―スクロース(二糖類)、グルコマンナン(多糖類)キシリトール(糖アルコール) |
2 |
アミノ酸、ペプチド |
アミノ基とカルボキシ基の両方を持つ化合物(アミノ酸)。また、アミノ酸をモノマーとしてペプチド結合により鎖状につながった化合物(ペプチド)。ただし、L―システインを除く。 |
タンパク質を構成する20種のアミノ酸のうちL―システインを除く19種のアミノ酸(アミノ酸)、海苔オリゴペプチド(オリゴペプチド) |
3 |
多価アルコール |
炭化水素の二つ以上の水素原子をヒドロキシ基で置換した構造を持つ化合物。ただし、1,4―ブタンジオールを除く。 |
1,2―エタンジオール、1,3―ブタンジオール、1,6―ヘキサンジオール(二価アルコール)、グリセロール(三価アルコール) |
4 |
高分子(分子量1000以上) |
分子量1000以上の化合物40,41) |
様々な分子量のポリエチレングリコール(PEG―32,PEG―75,PEG―150,PEG―20M) |
5 |
脂肪酸(炭素数9以上) |
炭化水素の水素原子をカルボキシ基で置換した構造を持つ化合物で、炭素数9個以上のもの |
ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)、ドデカン酸(C12)、ヘキサデカン酸(C16) |
6 |
アルコール(炭素数3以下又は8以上) |
炭化水素の一つの水素原子をヒドロキシ基で置換した構造をもつ化合物で、炭素数3以下又は8以上のもの |
メタノール(C1)、エタノール(C2)、イソプロパノール(C3)、オクタノール(C8)、ドデカノール(C12)、ヘキサデカノール(C16) |
7 |
エステル |
酸とアルコールの脱水反応により得られる化合物。酸としては脂肪酸、アルコールとしては、一価又は多価アルコール。 |
ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸グリセリル(エステル油)、酢酸エチル |
8 |
ロウ類 |
高級脂肪酸(通常、炭素数12以上)と高級アルコール(通常、炭素数6以上)がエステル結合した化合物。この他に遊離の脂肪酸、高級アルコール、炭化水素等が含まれている。 |
キャンデリラロウ、ホホバ油、ラノリン |
9 |
トリグリセリド |
1分子のグリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した化合物 |
トリヘプタノイン、トリイソステアリン |
10 |
炭化水素(炭素数6以上) |
炭素と水素からなる化合物で、炭素数6以上のもの |
ヘキサン(C6)、イソドデカン(C12)、イソヘキサデカン(C16)、スクワラン(C30)、ポリイソブテン |
11 |
シリコーン |
酸化ケイ素を基本骨格にしたポリマー |
ポリジメチルシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン |
注1) 単回投与毒性の低い11分類に属する成分の例及びこの11分類内で単回投与毒性の低い成分範囲から除外する成分のデータは、補遺2に示した。
(5) 3T3―NRU細胞毒性試験の実施にあたり、試験に供する物質が培養液に溶解又は均一に懸濁する15)等、物理化学的な性質から試験が実施可能であることを確認する。該当する場合は、次へ進む。該当しない場合は、本評価系の対象外となる。
注1) 予め試験に供する物質について溶解性試験を行い、試験が実施可能であることを確認するが、最終的には細胞毒性試験において被験物質の適用終了まで溶解又は均一に懸濁したwellのデータのみを採用する。
(6) 3T3―NRU細胞毒性試験を実施し、IC50>2000μg/mLである時、被験物質の単回投与毒性は低いと判定する。IC50画像2 (10KB)
2000μg/mLの時は、評価不能であり、本評価系の対象外となる。
2―3.細胞毒性試験による単回投与毒性の予測についての原理
in vitro細胞毒性試験のエンドポイントは細胞死である。Ekwallは、この細胞死について基本的な細胞機能への非特異的な影響の結果(Basal cytotoxicity)であり、化学物質による細胞死が誘発される血中濃度域においては、細胞死と同様のメカニズムがin vivoでも働くと提唱している35)。すなわち、いずれの細胞にも共通して存在する構造や機能、例えば細胞膜及び細胞骨格の正常性が損なわれ、代謝能及び合成能が阻害され、細胞構成物質の分解や機能の障害、細胞内外イオン濃度の調節及び細胞分裂に障害が生ずると細胞死に至る。細胞死が広範囲に生じると重篤な組織障害を引き起こし、結果として物質に曝露されていない臓器にも影響し個体死に至る。
一方で、神経や心臓に特異的な毒性を発現する物質、代謝活性化によって毒性発現する物質については、3T3―NRU細胞毒性試験では評価できない10,11)。神経の受容体やイオンチャネルに特異的に作用する物質は、細胞毒性を生じることなく個体死を引き起こすことがある。例えば、フグ毒のテトロドトキシン(TTX:Tetrodotoxin)やトリカブトに含まれるアコニチンはTTX感受性ナトリウムチャネルに作用し、呼吸抑制により個体死を引き起こす。これらの物質では細胞死と個体死のメカニズムは異なり、Basal cytotoxicityが発現する濃度域より遥かに低い濃度域において個体死を引き起こす。
このようなことから、未知の物質の単回投与毒性を評価する場合には、特異的なメカニズムに基づく毒性、代謝活性化に基づく毒性を発現する可能性を考慮する必要がある。ただし、LD50のカットオフを2000mg/kgとして予測性を検討した場合、in vitro細胞毒性試験は、特異的なメカニズムや代謝活性化に関わらず、何らかの毒性作用を細胞毒性として捉えており、in vitro細胞毒性でLD50画像3 (10KB)
2000mg/kgの毒性を見落とす可能性は低いという知見が得られている15)。
未知物質の単回投与毒性評価にあたっては、細胞毒性からの予測と信頼性の高い他の情報を組み合わせてWoE評価を行うことにより、評価を完結させることができると考えられる。
3.本ガイダンスの留意点
本ガイダンスで示した事例「3T3―NRU細胞毒性試験及びその他の安全性データを組み合わせた医薬部外品の添加物の単回投与毒性評価系」は、単回投与毒性を評価できるWoE評価の一例である。医薬部外品の有効成分及び化粧品基準改正要請を必要とする成分についても、今後、評価法の種類及びそれらを用いて評価できる組合せのガイダンス化を検討すべきである。
4.引用文献
1)日本化粧品工業連合会(2015)化粧品の安全性評価に関する指針2015,薬事日報社,東京.
2)化粧品・医薬部外品製造販売ガイドブック検討会(2017)化粧品・医薬部外品製造販売ガイドブック2017,薬事日報社,東京.
3)OECD(2002)Guidelines for the Testing of Chemicals Test No. 420:Acute Oral Toxicity‐Fixed Dose Procedure. Available at:https://ntp.niehs.nih.gov/iccvam/suppdocs/feddocs/oecd/oecd_gl420.pdf
4)OECD(2002)Guidelines for the Testing of Chemicals Test No. 423:Acute Oral toxicity‐Acute Toxic Class Method. Available at:https://ntp.niehs.nih.gov/iccvam/suppdocs/feddocs/oecd/oecd_gl423.pdf
5)OECD(2008)Guidelines for the Testing of Chemicals Test No. 425:Acute Oral Toxicity:Up‐and‐Down Procedure. Available at:https://ntp.niehs.nih.gov/iccvam/suppdocs/feddocs/oecd/oecdtg425.pdf
6)Halle, W.(2003)The registry of cytotoxicity:Toxicity testing in cell cultures to predict acute toxicity(LD50)and to reduce testing in animals, Alternatives to Laboratory Animals, 31, 89‐198.
7)NICEATM, NIEHS(2006)In vitro Cytotoxicity Test Methods for Estimating Acute Oral Systemic Toxicity BACKGROUND REVIEW DOCUMENT. Available at:https://ntp.niehs.nih.gov/pubhealth/evalatm/test-method-evaluations/acute-systemic-tox/in-vitro-validation/index.html
8)ICCVAM, NICEATM(2006)ICCVAM TEST METHOD EVALUATION REPORT In Vitro Cytotoxicity Test Methods for Estimating Starting Doses for Acute Oral Systemic Toxicity Testing. Available at:https://ntp.niehs.nih.gov/iccvam/docs/acutetox_docs/brd_tmer/at-tmer-complete.pdf
9)OECD(2010)Guidance Document on using Cytotoxicity Tests to Estimate Starting Doses for Acute Oral Systemic Toxicity Tests. Series on Testing and Assessment No. 129. Available at:https://ntp.niehs.nih.gov/pubhealth/evalatm/test-method-evaluations/acute-systemic-tox/in-vitro-validation/index.html
10)JaCVAM急性毒性試験代替法評価委員会,急性毒性試験代替法の第三者評価報告書 評価対象試験:In vitro細胞毒性試験による急性経口毒性試験の初回投与量設定試験(2011年1月14日)Available at:https://www.jacvam.jp/files/list/07/07_01_C1.pdf
11)JaCVAM評価会議,単回投与毒性試験代替法の評価会議報告書(2011年4月20日).Available at:https://www.jacvam.jp/files/list/07/07_01_B1.pdf
12)ECVAM(2011)Follow‐up study on the predictive capacity of the 3T3 Neutral Red Uptake cytotoxicity assay to correctly identify substances not classified for acute oral toxicity under the EU CLP system(LD50>2000mg/kg)Final study report. Available at:https://www.jacvam.jp/list.html
13)Prieto P., Cole, T., Curren R., b, Gibson R. M., Liebsch M., Raabe H., Tuomainen, A. M., Whelan, M. and Kinsner‐Ovaskainen, A.(2013)Assessment of the predictive capacity of the 3T3 Neutral Red Uptake cytotoxicity test method to identify substances not classified for acute oral toxicity(LD50>2000mg/kg):results of an ECVAM validation study. Regulatory Toxicology and Pharmacology, 65(3)344‐365.
14)EURL ECVAM(2013)EURL ECVAM Recommendation on the 3T3 Neutral Red Uptake Cytotoxicity Assay for Acute Oral Toxicity. Available at:https://ec.europa.eu/jrc/en/publication/eur-scientific-and-technical-research-reports/eurl-ecvam-recommendation-3t3-neutral-red-uptake-cytotoxicity-assay-acute-oral-toxicity
15)JaCVAM急性毒性試験資料編纂委員会,評価報告書 急性経口毒性を予測するためのIn vitro細胞毒性試験(2018年12月11日).Available at:https://www.jacvam.jp/files/list/07/07_02_C1.pdf
16)JaCVAM評価会議,評価会議報告書 急性経口毒性を予測するためのIn vitro細胞毒性試験(2019年4月24日).Available at:https://www.jacvam.jp/files/list/07/07_02_B1.pdf
17)Cosmetic Ingredient Review. Available at:https://www.cir-safety.org/ingredients
18)Scientific Committee on Consumer Safety(2018)The SCCS notes of guidance for the testing of cosmetic ingredients and their safety evaluation 10th revision. Available at:https://ec.europa.eu/health/sites/health/files/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_224.pdf
19)株式会社三菱化学テクノリサーチ(2015)毒性学的懸念の閾値(TTC)を用いたリスク評価手法に関する調査報告書.Available at:http://www.fsc.go.jp/fsciis/survey/show/cho20150030001
20)Japan Existing Chemical Database(既存化学物質毒性データベース)Available at:http://dra4.nihs.go.jp/mhlw_data/jsp/SearchPage.jsp
21)Hazard Evaluation Support System Integrated Platform(有害性評価支援システム統合プラットフォーム)Available at:https://www.nite.go.jp/chem/qsar/hess.html
22)OECD QSAR Toolbox. Available at:http://www.qsartoolbox.org
23)Registry of Toxic Effects of Chemical Substances(RTECS)Available at:https://www.cdc.gov/niosh/rtecs/RTECSaccess/html
24)European Chemicals Agency(ECHA)‐Information on Chemicals. Available at:https://echa.europa.eu/information-on-chemicals
25)ChemIDplus. Available at:https://chem.nlm.nih.gov/chemidplus/
26)国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部,毒劇物指定のための有害性情報の収集・評価.Available at:http://www.nihs.go.jp/law/dokugeki/hyoukaindex.html
27)Bulgheroni, A., Kinsner‐Ovaskainen, A., Hoffmann, S., Hartung, T. and Prieto, P.(2009)Estimation of acute oral toxicity using the No Observed Adverse Effect Level(NOAEL)from the 28 days repeated dose toxicity studies in rats. Regulatory Toxicology and Pharmacology, 53, 16‐9. PMID:18977273
28)新開発食品専門調査会(2004)特定保健用食品の安全性評価に関する基本的考え方.Available at:https://www.fsc.go.jp/senmon/sinkaihatu/tokuho_kangaekata.pdf
29)財団法人日本健康・栄養食品協会 健康食品安全性評価に係る検討委員会(2008)健康食品の安全性評価ガイドライン.Available at:http://www.jhnfa.org/topic76.pdf
30)厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長(2015)潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理ガイドラインについて,薬生審査発1110第3号,平成27年11月10日.Available at:https://www.pmda.go.jp/files/000208287.pdf
31)ICH(2014)Assessment and control of DNA reactive(mutagenic)impurities in pharmaceuticals to limit potential carcinogenic risk M7. Available at:https://www.pmda.go.jp/files/000208234.pdf
32)EFSA Scientific Committee(2019)Guidance on the use of the Threshhold of Toxicological Concern approach in food safety assessment. Available at:https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.2903/j.efsa.2019.5708
33)Scientific Committee on Consumer Safety(2019)Opinion on tetrabromophenol blue, 4,4’‐(4,5,6,7‐tetrabromo‐1,1‐dioxido‐3H‐2,1‐benzoxathiol‐3‐yliden)bis‐2,6‐dibromophenol(C183)‐SubmissionIV‐. Available at:https://ec.europa.eu/health/sites/health/files/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_232.pdf
34)Koster, S., Boobis, A. R., Cubberley, R., Hollnagel, H. M., Richling, E., Wildemann, T., Wurtzen, G. and Galli, C. L.(2011)Application of the TTC concept to unknown substances found in analysis of foods, Food and Chemical Toxicology, 49, 1643‐1660.
35)Ekwall B., Clemedson, C., Crafoord, B., Ekwall, B., Hallander, S., Walum, E and Bondesson, I.(1998)MEIC Evaluation of Acute Systemic Toxicity:Part V. Rodent and Human Toxicity Data for the 50 Reference Chemicals. Alternative to Laboratory Animals., 26 Suppl 2, 571‐616. PMID:26042662.
36)日本化粧品工業連合会(2013)付録・化粧品原料の規格作成の手引き第二版、日本化粧品成分表示名称辞典第3版,薬事日報社.
37)大木道則,大沢利昭,田中元治,千原秀昭(1994)化学辞典,東京化学同人.
38)日本化粧品技術者会(2003)化粧品事典.
39)国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所,炭水化物と糖類について.Available at:https://www.nibiohn.go.jp/eiken/kenkounippon21/download_files/other/topics_02.pdf
40)Kimura, T., Sudo, K., Kanzaki, Y., Miki, K., Takeichi, Y., Kurosaki, Y. and Nakayama, T.(1994)Drug absorption from large intestine:physicochemical factors governing drug absorption, Biological and Pharmaceutical Bulletin, 17(2)327‐333. PMID:8205133.
41)Lipinski, C. A., I, ombardo, F., Dominy, B. W. and Feeney, P. J.(1997)Experimental and computational approaches to estimate solubility and permeability in drug discovery and development settings, Advanced Drug Delivery Reviews, 23, 3‐25. PMID:11259830.
補遺1
3T3―NRU細胞毒性試験
1.目的
本試験法の目的は、被験物質がBALB/c3T3細胞を障害する能力をNRの取り込みを測定することにより半数致死濃度(IC50)として取得し、その値が2000μg/mLを超えた場合に、単回投与毒性の弱い物質(ラット経口LD50>2000mg/kg)であると評価することである。
なお、最終的な被験物質の単回投与毒性の評価は本細胞毒性試験単独ではなく、他の安全性データと合わせてWoEにより評価を行う1―3)。
2.試験系について4)
2―1.BALB/c 3T3細胞
細胞は不死化したマウス線維芽細胞系であるBALB/c 3T3細胞を用いる。線維芽細胞系は特定の分子ターゲットとの相互作用に関係した作用機構は知られていない。そのため細胞毒性が関わる毒性機構(in vitroで細胞死を起こす化学物質は、in vivoでも血中で細胞死を引き起こす濃度になると障害が起き、個体死に至る同様のメカニズムが働く。このような毒性機構)に基づいた単回投与毒性評価への応用が考えられる。すなわち、神経又は心臓の受容体、イオンチャネル等への作用を捉えることはできない。更に、第Ⅰ相及び第Ⅱ相の代謝能を欠いている。したがって親化学物質によって誘導される細胞毒性に対して感受性があり、その代謝物に対しては細胞毒性を評価していない。このような限界を理解したうえで、BALB/c3T3細胞を単回投与毒性の評価に用いていくことになる。
2―2.NRの取り込み
NRは水溶性の弱陽イオン超生体染色色素である。正常な細胞では、NRは細胞形質膜を透過して陰イオン性のライソゾームマトリクスに結合して濃縮されるが、化学物質によって細胞毒性が生じた場合には取り込まれるNRが減少する。NRの取り込み量と生細胞数が比例関係にあることを利用して細胞毒性の評価が可能である。
3.3T3―NRU細胞毒性試験手順概要の作成経緯
3T3―NRU細胞毒性試験の手順は、「急性経口毒性試験のための3T3 Neutral Red Uptake細胞毒性試験に関するEURL ECVAM勧告」1)で示されている「DB―ALM Protocol n°139」4)に基づいた。ただし、このプロトコルは、急性毒性試験の開始用量を求めることを目的としているので、細胞毒性がIC50>2000μg/mLで単回投与毒性の弱い物質(ラット経口LD50>2000mg/kg)であることを評価するプロトコルに改変した。被験物質液の調製及び試験成立基準については、ECVAMによるフォローアップバリデーション研究で用いられたプロトコル「IIVS Protocol No. SP100084.」5)を参考とした。試験の繰り返しについては、「試験は2回を繰り返して行い、その結果に基づき評価する。この独立した2回の評価結果が異なった場合には3回目を実施し、2回の同じ評価結果を採用し、その結果に基づき評価する。」とした。
本ガイダンス作成時に設定した判定基準IC50>2000μg/mLの予測性は、ECVAMによるフォローアップバリデーション研究のデータ5)に基づいて再解析した。このバリデーション研究は56種類の被験物質を用いて3施設で行われた。一致率は3施設それぞれで60%(24/40)、61%(28/46)、57%(27/47)、感度は100%(17/17)、95%(21/22)、100%(23/23)、特異度は30%(7/23)、29%(7/24)、17%(4/24)であった。偽陰性は、アセトフェノンのIC50を2184.5μg/mLとした1施設であった。他の2施設は132.2、265.0μg/mLで陽性と判定した(表2参照)。結論として、IC50>2000μg/mLの判定基準については、偽陰性の懸念は極めて低いことが示唆された。
表2 判定基準IC50>2000μg/mLの予測性
実施施設*1 |
HSL |
JRC |
IIVS |
N |
40 |
46 |
47 |
一致率 |
60%(24/40) |
61%(28/46) |
57%(27/47) |
感度 |
100%(17/17) |
95%(21/22) |
100%(23/23) |
特異度 |
30%(7/23) |
29%(7/24) |
17%(4/24) |
偽陽性率 |
70%(16/23) |
71%(17/24) |
83%(20/24) |
偽陰性率 |
0%(0/17) |
5%(1/22) |
0%(0/23) |
偽陰性物質 |
なし |
アセトフェノン |
なし |
*1
HSL:Health and Safety Laboratory, UK
JRC:Institute for Health and Consumer Protection, European Commission Joint Research Centre, Italy
IIVS:Institute for In Vitro Sciences, Inc., USA
なお、本試験手順に類似した方法が、NICEATMとECVAMによる急性毒性試験の開始用量を求めるバリデーション研究のプロトコル6,7)、OECD GDNo. 129に記載されているプロトコル概要8)、ECVAMによるフォローアップバリデーション研究の最終報告書に添付されたプロトコル5)及びJaCVAMの報告書に記載されているプロトコル概要2,3)にある。これらはいずれも、細胞毒性がIC50>2000μg/mLで単回投与毒性の弱い物質(ラット経口LD50>2000mg/kg)であると評価する部分等を導入することにより、ここに示す試験手順と同等に扱うことが可能である。
4.3T3―NRU細胞毒性試験手順概要4)
試験方法の概要
96wellマイクロプレートで培養した株化細胞に被験物質を48時間曝露させる。その後、NRを培養液に添加し、3時間インキュベーションした後、細胞内に取り込まれたNRを抽出してプレートリーダーで測定する。細胞生存率をコントロールの吸光度値に対する割合から求め、更に各濃度における細胞生存率からIC50を算出する。
被験物質のIC50が2000μg/mLを超えた場合に、ラット経口LD50>2000mg/kgと予測し、被験物質の単回投与毒性評価のための一つのデータとして用いる。
細胞と培養液
細胞はBALB/c 3T3マウス線維芽細胞(3T3細胞)を使用する。3T3細胞の継代のための培養液は、10%新生仔牛血清(NBCS/NCS:Newborn Calf Serum)、4mMグルタミンを添加したDMEM(Dulbecco's Modification of Eagle's Medium)を使用する。被験物質希釈用の培養液は、4mMグルタミン、200IU/mLペニシリン、200μg/mLストレプトマイシンを添加したDMEMを用いる。NR希釈用の培養液は、5%NBCS/NCS、4mMグルタミン、100IU/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシンを添加したDMEMを用いる。培養液は2―8℃で保存し、2週間以内に使用する。
NRを含む培養液
液体組織培養グレードのNR原液は、アッセイを実行するための第一の選択肢となる(例:Sigma―Aldrich#N2889、3.3mg/mL)。液体組織培養グレードのNR原液は、製造業者が推奨する保管条件で保管、及び有効期間を遵守する。
NR保存液0.758mL(3.3mg NR dye/mL溶液)を予め37℃に加温した99.242mL NR希釈用培養液と混合する。NRの結晶を除くため、フィルター(例:ミリポア、サイズは0.2―0.45μm)でろ過する。この培養液(NR染色液)は細胞へ添加する前に温水浴槽で37℃に保温し、30分以内に使用する。温水浴槽より取り出してからは15分以内に使用する。なお、NR染色液はNRを最終濃度として25μg/mL含む。
被験物質の調製
被験物質は、室温に置いた後、溶解及び希釈を行う。使用直前に被験物質液を調製する。以後の試験に使用するための作り置きをしない。被験物質液は、溶解又は均一に懸濁していなければならない2)。被験物質液の調製は原則として重量対容量(w/v)で行う。被験物質のための適切な溶媒の選択、溶解性の測定をするために溶解性試験を行う。溶解性の判定は肉眼観察により行う。溶解性試験は、被験物質希釈用培養液に40mg/mLで溶解又は均一に懸濁するか否か、続いて4mg/mLで溶解又は懸濁するか否か、これらが困難な場合には、DMSO(Dimethyl sulfoxide)又はエタノール溶液に400mg/mLで溶解又は均一に懸濁するか否かを確認する。いずれの条件でも溶解又は均一に懸濁しない場合、被験物質は本試験による細胞毒性の測定ができない物質であると判定する。
(1) 被験物質希釈用の培養液に40mg/mLで溶解又は均一に懸濁する被験物質については、40mg/mLでの被験物質原液を調製する。この時、細胞に適用される濃度は、well中の細胞を含む培養液50μLに、被験物質液50μLを添加し全100μLとするため、20mg/mLである。続いて、7濃度の希釈系列を公比2で調製する。
(2) 40mg/mLで溶解又は均一に懸濁しない場合には、4mg/mL以上で被験物質希釈用培養液に溶解又は均一に懸濁する最高濃度で被験物質原液を調製する。この時、細胞に適用される最高適用濃度は2mg/mL以上である。続いて、7濃度の希釈系列を公比2で調製する。なお、4mg/mL未満の被験物質原液では、細胞に適用される濃度が2mg/mL未満となり、単回投与毒性の評価ができない範囲となるため、有機溶媒の使用を検討する必要がある。
(3) 上記の調製が不可能で、DMSO又はエタノールに溶解させる物質については、400mg/mLのDMSO又はエタノール溶液を調製する。続いて、7濃度の希釈系列を公比2で調製する。全8濃度の希釈系列は、被験物質希釈用培養液で100倍に希釈する。この時、4mg/mLの被験物質液にはDMSO又はエタノールが1%(v/v)含まれている。細胞に適用される被験物質の濃度は、well中の細胞を含む培養液50μLに、被験物質液50μLを添加し全100μLとするため、2mg/mLである。この時、DMSO又はエタノールの濃度は0.5%(v/v)である。有機溶媒に溶解した被験物質は、培地に添加した時に沈殿する可能性がある。この場合を含め、全ての被験物質添加wellにおいて、沈殿が認められた濃度での結果は試験から除外する。
対照物質
(1) 陽性対照物質(PC:Positive Control)
PCとしてドデシル硫酸ナトリウム(SDS:Sodium Dodecyl Sulfate)を用い、被験物質と同様に調製する。
(2) 溶媒対照物質(VC:Vehicle Control)
VCとしてNR希釈用の培養液を用いる。被験物質の溶解にDMSO又はエタノールを使用した場合は、VCとして有機溶媒0.5%(v/v)を含む培地を用いる(50μLの被験物質液中に有機溶媒1%及び50μLの細胞懸濁液中に0%により、有機溶媒の最終濃度は0.5%(v/v))。
被験物質の適用
(1) 細胞の播種及び前培養
3T3細胞は、96―wellマイクロプレートに2.0―3.0x103個/100μL/well播種後37℃、5%CO2で24時間培養する。
(2) 被験物質の添加
24時間の前培養後、培養液を除去する。すぐに、37℃に温めた新鮮な培養液をそれぞれのwellに50μL添加した後、被験物質液を50μL添加する。添加後48時間培養する。1用量当たりのwell数はN=6とする。
細胞毒性の測定
被験物質の曝露後、位相差顕微鏡で細胞を観察して、細胞の播種エラー及び細胞増殖の程度を確認する。被験物質の毒性によって生じた細胞の形態変化も記録する。ただし、この記録は、細胞毒性の評価には使用しない。その後、wellの培養液を除去し、D―PBS(Dulbecco's phosphate buffered saline)で洗浄後、NR染色液を250μL添加して37℃、5%CO2で3時間培養する。NR染色液を除去してD―PBSで洗浄後100μLの用時調製したNR抽出液(水:エタノール:氷酢酸=49:50:1)を添加しプレートシェイカーで20―45分間振盪してNRを抽出する。振盪後、プレートは少なくとも5分間放置する。測定は、NR抽出液を添加してから60分以内に実施する。泡を取り除き、プレートリーダーで540nmの吸光度を測定する。
試験成立基準
試験結果が妥当であるためには、全ての成立基準(すなわち、判定基準(1)及び(2))を満たさなければならない。
(1) PCであるSDSのIC50は、試験施設により設定された過去の平均値の±2.5標準偏差以内でなければならない。
(2) 各プレートにおいて、VCの左右の平均値は、全VCの平均の15%を超える差はない。
データ解析
生物学/科学的な判断により、評価に適していないwellはデータ解析から、理由を記録のうえ、除外可能である。
被験物質の各濃度における平均細胞生存率は、ブランクの値を差し引いた後、VCの平均の細胞生存率に対する割合として算出する。IC50は表計算ソフト(例:Microsoft EXCEL((R)))を用い、直線内挿により得る。又は統計学的ソフト(例:GraphPad PRISM((R)))を用いて、Hill式の解析からIC50を得る。
評価
(1) 試験は2回を繰り返して行い、その結果に基づき評価する。この独立した2回の評価結果が異なった場合には3回目を実施し、2回の同じ評価結果を採用し、その結果に基づき評価する。
(2) 被験物質のIC50が2000μg/mLを超えた場合に、ラット経口LD50>2000mg/kgで、単回投与毒性は低いと予測する。すなわち、被験物質は国連による化学品の分類および表示に関する世界調和システム(UNGHS:The United Nations Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)においては急性毒性ハザード区分5又は区分外に相当すると予測する。また、医薬部外品の添加物として単回投与毒性に問題はないと予測する。なお、IC50が2000μg/mL以下の結果を得た場合には、他の評価法を実施して単回投与毒性を検討することもできる。
(3) 上記の評価は細胞毒性試験からの評価であり、最終的な被験物質の単回投与毒性の評価は他の安全性情報と合わせてWoE評価により判定する。
5.3T3―NRU細胞毒性試験における留意点
5―1.試験実施における注意事項
新たに3T3―NRU細胞毒性試験を実施する試験施設では、OECD GDNo.1298)のANNEX8に記載されているデータ等を活用し、精度の向上に努める。
5―2.試験法の限界
本試験法は以下のような物理化学的性質を有する物質は適用範囲外である。
(1) 細胞培養液に不溶な物質
細胞培養液に溶解するか又は均一に懸濁する場合には評価が可能であるが、沈殿を生じる場合には評価が不可能であり、適用除外となる。
(2) 細胞培養液と反応する物質
(3) 揮発性の高い物質
25℃における飽和蒸気圧が4kPaを超える物質は適用除外となる可能性がある。このような物質を評価する場合には、妥当な評価が行われたことを説明する必要がある。
(4) 細胞に残留する性質を有する赤色、あるいはNRの吸光度測定を阻害する有色の物質
5―3.偽陰性を示す可能性がある物質
本試験法は以下のような毒性発現機序や細胞機能への影響を有する場合は偽陰性が生じることがあるので注意が必要である。
(1) 代謝により活性化されて毒性を発現する物質
(2) 神経毒性や心臓毒性等、臓器特異的な作用機序により毒性を発現する物質
(3) 細胞周期、ライソゾームに特異的な影響を与える物質、細胞肥大作用のある物質
(3)の物質は、3T3―NRU細胞毒性試験による細胞生存率の結果が(画像解析装置を用いて)細胞数を直接カウントした時の結果に比較して高値を示すという報告があり、該当する物質を同定する時の参考になる2)。
引用文献
1)EURL ECVAM(2013)EURL ECVAM Recommendation on the 3T3 Neutral Red Uptake Cytotoxicity Assay for Acute Oral Toxicity. Available at:https://ec.europa.eu/jrc/en/publication/eur-scientific-and-technical-research-reports/eurl-ecvam-recommendation-3t3-neutral-red-uptake-cytotoxicity-assay-acute-oral-toxicity
2)JaCVAM急性毒性試験資料編纂委員会,評価報告書 急性経口毒性を予測するためのIn vitro細胞毒性試験(2018年12月11日).Available at:https://www.jacvam.jp/files/list/07/07_02_C1.pdf
3)JaCVAM評価会議 評価会議報告書 急性経口毒性を予測するためのIn vitro細胞毒性試験(2019年4月24日).Available at:https://www.jacvam.jp/files/list/07/07_02_B1.pdf
4)EURL ECVAM, DB‐ALM Protocol n°139:BALB/c 3T3 Neutral Red Uptake Cytotoxicity Assay(3T3 NRU). Available at:http://cidportal.jrc.ec.europa.eu/ftp/jrc-opendata/EURL-ECVAM/datasets/DBALM/LATEST/online/DBALM_docs/139_P_BALBc%203T3%20Neutral%20Red%20Uptake%20Cytotoxicity%20Assay.pdf
ECVAM(2011)Follow‐up study on the predictive capacity of the 3T3 Neutral Red Uptake cytotoxicity assay to correctly identify substances not classified for acute oral toxicity under the EU CLP system(LD50>2000mg/kg)Final study report. Available at:https://www.jacvam.jp/list.html
5)NICEATM, NIEHS(2006)In vitro Cytotoxicity Test Methods for Estimating Acute Oral Systemic Toxicity BACKGROUND REVIEW DOCUMENT. Available at:https://ntp.niehs.nih.gov/pubhealth/evalatm/test-method-evaluations/acute-systemic-tox/in-vitro-validation/index.html
6)ICCVAM, NICEATM(2006)ICCVAM TEST METHOD EVALUATION REPORT In vitro Cytotoxicity Test Methods for Estimating Starting Doses for Acute Oral Systemic Toxicity Testing. Available at:https://ntp.niehs.nih.gov/iccvam/docs/acutetox_docs/brd_tmer/at-tmer-complete.pdf
7)OECD(2010)Guidance Document on using Cytotoxicity Tests to Estimate Starting Doses for Acute Oral Systemic Toxicity Tests. Series on Testing and Assessment No. 129. Available at:https://ntp.niehs.nih.gov/pubhealth/evalatm/test-method-evaluations/acute-systemic-tox/in-vitro-validation/index.html
補遺2
単回投与毒性の低い成分範囲のデータについて
単回投与毒性の低い成分範囲の11分類について、それらの範囲に含まれる成分例のデータを(例外のデータを含めて)表3に示した。ここでは、ラット経口のLD50(mg/kg)のデータを基本とし、その値が2000mg/kgを超える場合を単回投与毒性が低い成分とした。LD50が2000mg/kg以下のデータが認められた成分については、単回投与毒性の低い成分範囲の例外とした。
同一成分で複数のデータが存在する場合には、最も強い毒性が認められたデータを表中に示した。ただし、単回投与毒性の低い成分範囲から除く成分(例外成分)については、複数のデータを表中に示し、LD50が2000mg/kg以下のデータを下線で示した。このように提示した理由は、例外成分の多くでLD50が2000mg/kg以下だけでなく2000mg/kgを超えるデータも認められたためである。また、2000mg/kg以下のLD50を示したとしても、300mg/kg以下の更に強いレベルの毒性を有する成分は認められなかった。これらのことは、単回投与毒性の低い成分範囲として選定した11分類が妥当性であることを示している。
なお、ラット経口LD50が入手できなかったものについては、代わりに活用可能と考えられるデータ(①ラット経口の最小致死量として報告されたデータ、②ラット反復投与毒性試験の最小毒性量(TDL0:Toxic Dose Lowest)、③ラット生殖発生毒性試験のTDL0、④マウス経口LD50)を用いた。このうち②及び③については、1日当たりのTDL0を算出し、単回投与毒性の低いことを確認した(表3の注6))。
以上、表3に示された11分類は一部を除き単回投与毒性の低い成分範囲として本ガイダンスにおける3T3―NRU細胞毒性試験での評価へ進むための評価に活用できると考えられる。本ガイダンスに基づく評価にあたっては、単回投与毒性の低い成分範囲に属することに加えて、「類似物質のin vivo試験結果概要に基づきラット又はマウスでの経口投与のLD50が2000mg/kgを超えると予測される」という制限を組み合わせるので、この評価段階における十分な単回投与毒性の予測を行うことができると考えられる。すなわち、この表で示した成分以外にも例外成分が認められる可能性を否定できないが、これについては実際の評価において類似物質を用いた予測で対応するという考え方である。
表3 単回投与毒性の低い成分範囲のデータ
No. |
分類 |
成分名 |
CAS |
ラット経口 LD50(mg/kg) ただし,異なる場合は( )内に記載 |
引用文献 |
1 |
糖質 |
グリセルアルデヒド |
367―47―5 |
(最小致死量のデータ) 5000 |
1) |
ジヒドロキシアセトン |
96―26―4 |
>16000 |
2) |
||
D―リボース |
50―69―1 |
(反復投与毒性試験のデータ,最小毒性量TDL0=55580mg/kg/7D―C) |
3) |
||
D―グルコース |
50―99―7 |
25800 |
4) |
||
D―スクロース |
57―50―1 |
29700 |
5) |
||
グルコマンナン |
11078―31―2 |
>5000 |
6) |
||
キシリトール |
87―99―0 |
>4000 |
7) |
||
2 |
アミノ酸,ペプチド |
L―アラニン |
56―41―7 |
>5110 |
8) |
L―アルギニン |
74―79―3 |
>5110 |
9) |
||
L―アスパラギン |
70―47―3 |
>16000 |
10) |
||
L―アスパラギン酸 |
56―84―8 |
>2000 |
11) |
||
L―システイン |
52―90―4 |
1890,5850―Female,6350―Male |
12),13) |
||
L―グルタミン |
56―85―9 |
7500 |
14) |
||
L―グルタミン酸 |
56―86―0 |
>5110 |
15) |
||
グリシン |
56―40―6 |
7930 |
16) |
||
L―ヒスチジン |
71―00―1 |
>5110 |
17) |
||
L―イソロイシン |
73―32―5 |
>2000―Female |
18) |
||
L―ロイシン |
61―90―5 |
(最小致死量のデータ) >2000 |
19) |
||
L―リジン |
56―87―1 |
(生殖発生毒性試験のデータ,TDL0=72450mg/kg(10―20pregnant))(L―リジン塩酸塩(CAS:657―27―2)のラット経口LD50=10600mg/kg) |
20),21) |
||
L―メチオニン |
63―68―3 |
>10000 |
22) |
||
L―フェニルアラニン |
63―91―2 |
Ca.16000 |
23) |
||
L―プロリン |
147―85―3 |
>5110 |
24) |
||
L―セリン |
56―45―1 |
>2000 |
25) |
||
L―スレオニン |
72―19―5 |
>2000 |
26) |
||
L―トリプトファン |
73―22―3 |
>2000 |
27) |
||
L―チロシン |
60―18―4 |
>5110 |
28) |
||
L―バリン |
72―18―4 |
>2000―Female |
29) |
||
海苔オリゴペプチド |
― |
>5000 |
30) |
||
3 |
多価アルコール |
1,2―エタンジオール |
107―21―1 |
4700 |
31) |
1,3―ブタンジオール |
107―88―0 |
18610 |
32) |
||
1,4―ブタンジオール |
110―63―4 |
1500,1550,1780,1830―Male,2000―Female |
33) |
||
1,6―ヘキサンジオール |
629―11―8 |
Ca.3000 |
34) |
||
グリセロール |
56―81―5 |
>2530 |
35) |
||
4 |
高分子 |
様々な分子量のポリエチレングリコール(PEG―32,PEG―75,PEG―150,PEG―20M) |
25322―68―3 |
>16000 |
36) |
5 |
脂肪酸 |
酢酸(C2) |
64―19―7 |
0.4―3.2(mL/kg),3310,3530 |
37),38) |
ブタン酸(C4) |
107―92―6 |
1500,1630,2000,2940,8790―Female |
39),40),41) |
||
ヘキサン酸(C6) |
142―62―1 |
1900,3000,5970,6440―Male |
42),43) |
||
オクタン酸(C8) |
124―07―2 |
1283,>2000,>5000,>10000,10080 |
44),45),46) |
||
ノナン酸(C9) |
112―05―0 |
>2000 |
47) |
||
デカン酸(C10) |
334―48―5 |
>2000 |
48) |
||
ドデカン酸(C12) |
143―07―7 |
>5000 |
49) |
||
ヘキサデカン酸(C16) |
57―10―3 |
>5000 |
50) |
||
6 |
アルコール |
メタノール(C1) |
67―56―1 |
5600 |
51) |
エタノール(C2) |
64―17―5 |
7000 |
52) |
||
イソプロパノール(C3) |
67―63―0 |
5000 |
53) |
||
ブタノール(C4) |
71―36―3 |
790,ca.2292―Female,2510,4360 |
54),55) |
||
イソペンタノール(C5) |
123―51―3 |
1300,1300―Male,3488,4000―Female,4300,>5000,ca.5726 |
56),57) |
||
ヘキサノール(C6) |
111―27―3 |
710,720,>2000,3210,>5000,>10000,>15800 |
58),59),60) |
||
ヘプタノール(C7) |
111―70―6 |
500,5500―Female,6200―Male |
61),62) |
||
オクタノール(C8) |
111―87―5 |
>2000 |
63) |
||
ドデカノール(C12) |
112―53―8 |
>2000 |
64) |
||
ヘキサデカノール(C16) |
36653―82―4 |
>2000 |
65) |
||
7 |
エステル |
ミリスチン酸イソプロピル |
110―27―0 |
>2000 |
66) |
ラウリン酸グリセリル |
142―18―7 |
>2000 |
67) |
||
酢酸エチル |
141―78―6 |
5620 |
68) |
||
8 |
ロウ類 |
キャンデリラロウ |
8006―44―8 |
>5000 |
69) |
ホホバ油 |
61789―91―1 |
>21.5(mL/kg) |
70) |
||
ラノリン |
8006―54―0 |
>64(mL/kg) |
71) |
||
9 |
トリグリセリド |
トリヘプタノイン |
620―67―7 |
>4820 |
72) |
トリイソステアリン |
26942―95―0 |
>2000 |
73) |
||
10 |
炭化水素 |
ペンタン(C5) |
109―66―0 |
400,>2000 |
74),75) |
ヘキサン(C6) |
110―54―3 |
15840 |
76) |
||
イソドデカン(C12) |
7045―71―8 |
(マウスのデータ) >2000 |
77) |
||
イソヘキサデカン(C16) |
4390―04―9 |
>2000 |
78) |
||
スクワラン(C30) |
111―01―3 |
>50(mL/kg) |
79) |
||
ポリイソブテン |
9003―27―4 |
>15400 |
80) |
||
11 |
シリコーン |
ポリジメチルシロキサン |
63148―62―9 |
>17000 |
81) |
ドデカメチルシクロヘキサシロキサン |
540―97―6 |
>2000 |
82) |