○使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について
(令和3年4月20日)
(保医発0420第3号)
(地方厚生(支)局医療課長・都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長・都道府県後期高齢者医療主管部(局)後期高齢者医療主管課(部)長あて厚生労働省保険局医療課長通知)
(公印省略)
使用薬剤の薬価(薬価基準)(平成20年厚生労働省告示第60号。以下「薬価基準」という。)及び療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第107号。以下「掲示事項等告示」という。)が令和3年厚生労働省告示第178号及び令和3年厚生労働省告示第180号をもって改正され、令和3年4月21日から適用すること、また、薬価基準が令和3年厚生労働省告示第179号をもって改正され、令和3年7月1日から適用することとされたところですが、その概要及び関係通知の改正は下記のとおりです。
また、令和3年4月20日付けで医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第14条第13項の規定に基づき、効能・効果等の一部変更承認がなされたことに伴い、これらの医薬品に係る留意事項を下記のとおりとするので、併せて貴管下の保険医療機関、審査支払機関等に対して周知徹底をお願いします。
記
1 薬価基準の一部改正について
(1) 医薬品医療機器等法の規定に基づき製造販売承認され、薬価基準への収載希望があった医薬品(内用薬12品目、注射薬5品目及び外用薬1品目)について、薬価基準の別表に収載したものであること。
(2) 製薬企業による医薬品の製造販売承認の承継に伴い、販売名の変更があった医薬品(内用薬4品目及び注射薬16品目)について、薬価基準の別表に収載したものであること。
(3) (1)及び(2)により薬価基準の別表に収載されている全医薬品の品目数は、次のとおりであること。
区分 |
内用薬 |
注射薬 |
外用薬 |
歯科用薬剤 |
計 |
品目数 |
8,565 |
3,555 |
2,119 |
27 |
14,266 |
(4) 「薬価算定の基準について」(令和3年2月10日付け保発0210第3号)第3章第11節1の規定に該当し、費用対効果評価が実施された品目(注射薬1品目及び外用薬7品目)について、その評価結果に基づき、価格調整を行ったものであること。
(5) (4)による調整後の薬価は、令和3年7月1日から適用されること。
2 掲示事項等告示の一部改正について
(1) 製薬企業による医薬品の製造販売承認の承継に伴い販売名が変更され、新たに薬価基準に収載された医薬品に代替されるため、製薬企業から削除依頼があった医薬品(内用薬4品目及び注射薬16品目)について、掲示事項等告示の別表第2に収載することにより、令和4年4月1日以降、保険医及び保険薬剤師が使用することができる医薬品から除外するものであること。
(2) (1)により掲示事項等告示の別表第2に収載されている全医薬品の品目数は、次のとおりであること。
区分 |
内用薬 |
注射薬 |
外用薬 |
歯科用薬剤 |
計 |
品目数 |
131 |
72 |
19 |
1 |
223 |
(3) メポリズマブ製剤について、掲示事項等告示第10第1号の「療担規則第20条第2号ト及び療担基準第20条第3号トの厚生労働大臣が定める保険医が投与することができる注射薬」として定めたものであること。
3 特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)の一部改正について
メポリズマブ製剤について、特掲診療料の施設基準等別表第9「在宅自己注射指導管理料、注入器加算、間歇注入シリンジポンプ加算、持続血糖測定器加算及び注入器用注射針加算に規定する注射薬」として定めたものであること。
4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(1) イグザレルトドライシロップ小児用51.7mg及び同ドライシロップ小児用103.4mg
ドライシロップ製剤は、既に薬価収載後1年以上を経過している「イグザレルト錠15mg他」(以下「既収載品」という。)と有効成分が同一であり、既収載品において小児における用法・用量が追加されるとともに、小児等が服用しやすいドライシロップ剤として剤形追加が承認された医薬品であることから、掲示事項等告示第10第2号(一)に規定する新医薬品に係る投薬期間制限(14日間を限度とする。)は適用されないものであること。
(2) エドルミズ錠50mg
① 本製剤の効能又は効果に関連する使用上の注意において、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、胃癌、膵癌、大腸癌のがん悪液質患者に使用すること。」、「栄養療法等で効果不十分ながん悪液質の患者に使用すること。」及び「食事の経口摂取が困難又は食事の消化吸収不良の患者には使用しないこと。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。
② 本製剤の効能又は効果に関連する使用上の注意において、以下のアに該当し、イ~エのうち2つ以上を認める患者に使用することとされているため、投与開始に当たっては、診療報酬明細書の摘要欄に以下のア~エのうち該当するものをすべて記載すること。
ア 6ヵ月以内での5%以上の体重減少及び食欲不振
イ 疲労又は倦怠感
ウ 全身の筋力低下
エ CRP値0.5mg/dL超、ヘモグロビン値12g/dL未満又はアルブミン値3.2g/dL未満のいずれか1つ以上
なお、「イ 疲労又は倦怠感」及び「ウ 全身の筋力低下」については、NCI Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)日本語版JCOG訳を参考に評価を行い、Grade1以上を症状の目安とすること。また、筋力低下については、握力や歩行速度、椅子立ち上がりなどの指標も参考に評価を行うこと。
③ 本製剤の用法・用量に関連する使用上の注意において、「本剤投与により体重増加又は食欲改善が認められない場合、投与開始3週後を目途に原則中止すること。」及び「12週間を超える本剤の投与経験はなく、体重、問診により食欲を確認する等、定期的に投与継続の必要性を検討すること。」とされているので、投与継続の検討を行った直近の年月日を記載すること。
(3) アルンブリグ錠30mg及び同錠90mg
本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において、「十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、ALK融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。」とされているので、ALK融合遺伝子陽性を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書に記入すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。
(4) オラデオカプセル150mg
本製剤の効能又は効果が「遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」であることを踏まえ、関連する学会のガイドライン等を参考に、遺伝性血管性浮腫の確定診断がされ、急性発作のおそれがある患者に対して使用すること。
(5) ヒュンタラーゼ脳室内注射液15mg
本製剤の効能又は効果に関連する注意において、「中枢神経系症状の改善が必要とされるムコ多糖症Ⅱ型患者に対して投与を検討すること。」とされ、用法及び用量に関連する注意において、「イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)が静脈内投与され、忍容性が確認されている患者に投与すること。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。
(6) リンスパッド点滴静注用1000mg
本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において、「本剤は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や、気流閉塞を伴う肺気腫等の肺疾患を呈し、かつ、重症α1―アンチトリプシン欠乏症と診断された患者に用いること。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること
(7) ジムソ膀胱内注入液50%
① 本製剤の効能又は効果に関連する注意において、「本剤を投与する際、十分な問診により臨床症状を確認するとともに、類似の症状を呈する疾患(尿路性器感染症、尿路結石、膀胱癌や前立腺癌などの下部尿路における新生物、過活動膀胱や前立腺肥大症等)があることに留意し、膀胱内視鏡、尿検査等により除外診断を実施すること。その上で、膀胱内視鏡検査によりハンナ病変が認められ、間質性膀胱炎(ハンナ型)の確定診断を受けた患者にのみ投与すること。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。
② 本製剤の用法及び用量に関連する注意において、「本剤による再治療は、本剤の治療により症状が改善した後、一定期間経過して治療を要する程度にまで症状が悪化した場合にのみ行うこと。」とされているので、使用に当たっては十分留意すること。
(8) イエスカルタ点滴静注
① 本製品の原料採取に伴い、患者から末梢血単核球を採取した場合は、診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)区分番号「K921―3」末梢血単核球採取(一連につき)を算定できるものであること。
なお、本算定は原則として1回までとする。
② 本製品を患者に投与した場合は、医科点数表区分番号「K922―2」CAR発現生T細胞投与(一連につき)を算定できるものであること。
なお、本算定は原則として1回までとする。
5 効能・効果等の一部変更承認に伴う留意事項の一部改正について
「使用薬剤の薬価(薬価基準)等の一部改正について」(令和元年5月21日付け保医発0521第4号)の記の3の(4)を次のように改める。
(4) キムリア点滴静注
① 再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病
本製品の効能、効果又は性能に関連する使用上の注意において「CD19抗原が陽性であることが確認された患者に使用すること」と記載されているため、診療報酬明細書の摘要欄に、CD19抗原が陽性であることを確認した検査の実施年月日について記載すること。
② 本製品の原料採取に伴い、患者から末梢血単核球を採取した場合は、医科点数表区分番号「K921―3」末梢血単核球採取(一連につき)を算定できるものであること。
なお、本算定は原則として1回までとする。
③ 本製品を患者に投与した場合は、医科点数表区分番号「K922―2」CAR発現生T細胞投与(一連につき)を算定できるものであること。
なお、本算定は原則として1回までとする。
6 関係通知の一部改正について
「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和2年3月5日付け保医発0305第1号)の一部を次のように改正する。
① 別添1第2章第2部第3節C200(1)中「及びラロニダーゼ製剤」を「、ラロニダーゼ製剤及びメポリズマブ製剤」に改める。
② 別添3区分01(5)イ中「及びラロニダーゼ製剤」を「、ラロニダーゼ製剤及びメポリズマブ製剤」に改める。
③ 別添3別表2中「及びブロスマブ製剤」を「、ブロスマブ製剤及びメポリズマブ製剤」に改める。
④ 別添3別表3中「ブロスマブ製剤」の次に「メポリズマブ製剤」を加える。
(参考:新旧対照表)
(参考:新旧対照表)
(参考1)
薬価基準告示
No |
薬価基準名 |
成分名 |
規格単位 |
薬価(円) |
|
1 |
内用薬 |
アルンブリグ錠30mg |
ブリグチニブ |
30mg1錠 |
4,200.50 |
2 |
内用薬 |
アルンブリグ錠90mg |
ブリグチニブ |
90mg1錠 |
11,598.00 |
3 |
内用薬 |
イグザレルトドライシロップ小児用51.7mg |
リバーロキサバン |
51.7mg1瓶 |
5,308.30 |
4 |
内用薬 |
イグザレルトドライシロップ小児用103.4mg |
リバーロキサバン |
103.4mg1瓶 |
9,333.10 |
5 |
内用薬 |
エドルミズ錠50mg |
アナモレリン塩酸塩 |
50mg1錠 |
246.40 |
6 |
内用薬 |
塩酸バンコマイシン散0.5g(OK) |
バンコマイシン塩酸塩 |
500mg1瓶 |
1,940.20 |
7 |
内用薬 |
オラデオカプセル150mg |
ベロトラルスタット塩酸塩 |
150mg1カプセル |
74,228.20 |
8 |
内用薬 |
カルケンスカプセル100mg |
アカラブルチニブ |
100mg1カプセル |
15,202.20 |
9 |
内用薬 |
サルプレップ配合内用液 |
無水硫酸ナトリウム・硫酸カリウム・硫酸マグネシウム水和物 |
480mL1瓶 |
1,011.60 |
10 |
内用薬 |
テプレノンカプセル50mg「日医工P」 |
テプレノン |
50mg1カプセル |
6.30 |
11 |
内用薬 |
マスーレッド錠5mg |
モリデュスタットナトリウム |
5mg1錠 |
44.30 |
12 |
内用薬 |
マスーレッド錠12.5mg |
モリデュスタットナトリウム |
12.5mg1錠 |
93.70 |
13 |
内用薬 |
マスーレッド錠25mg |
モリデュスタットナトリウム |
25mg1錠 |
165.10 |
14 |
内用薬 |
マスーレッド錠75mg |
モリデュスタットナトリウム |
75mg1錠 |
405.30 |
15 |
内用薬 |
メサラジン徐放錠250mg「日医工P」 |
メサラジン |
250mg1錠 |
18.80 |
16 |
内用薬 |
メサラジン徐放錠500mg「日医工P」 |
メサラジン |
500mg1錠 |
36.30 |
17 |
注射薬 |
イエスカルタ点滴静注 |
アキシカブタゲン シロルユーセル |
1患者当たり |
32,647,761 |
18 |
注射薬 |
イオプロミド300注シリンジ50mL「BYL」 |
イオプロミド |
62.34%50mL1筒 |
1,965 |
19 |
注射薬 |
イオプロミド300注シリンジ80mL「BYL」 |
イオプロミド |
62.34%80mL1筒 |
3,569 |
20 |
注射薬 |
イオプロミド300注シリンジ100mL「BYL」 |
イオプロミド |
62.34%100mL1筒 |
4,546 |
21 |
注射薬 |
イオプロミド300注20mL「BYL」 |
イオプロミド |
62.34%20mL1筒 |
1,008 |
22 |
注射薬 |
イオプロミド300注50mL「BYL」 |
イオプロミド |
62.34%50mL1筒 |
2,351 |
23 |
注射薬 |
イオプロミド300注100mL「BYL」 |
イオプロミド |
62.34%100mL1筒 |
3,726 |
24 |
注射薬 |
イオプロミド370注シリンジ50mL「BYL」 |
イオプロミド |
76.89%50mL1筒 |
2,598 |
25 |
注射薬 |
イオプロミド370注シリンジ80mL「BYL」 |
イオプロミド |
76.89%80mL1筒 |
4,084 |
26 |
注射薬 |
イオプロミド370注シリンジ100mL「BYL」 |
イオプロミド |
76.89%100mL1筒 |
5,120 |
27 |
注射薬 |
イオプロミド370注20mL「BYL」 |
イオプロミド |
76.89%20mL1筒 |
1,064 |
28 |
注射薬 |
イオプロミド370注50mL「BYL」 |
イオプロミド |
76.89%50mL1筒 |
2,808 |
29 |
注射薬 |
イオプロミド370注100mL「BYL」 |
イオプロミド |
76.89%100mL1筒 |
5,285 |
30 |
注射薬 |
エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター |
ガルカネズマブ(遺伝子組換え) |
120mg1mL1キット |
45,165 |
31 |
注射薬 |
エムガルティ皮下注120mgシリンジ |
ガルカネズマブ(遺伝子組換え) |
120mg1mL1筒 |
44,940 |
32 |
注射薬 |
塩酸バンコマイシン点滴静注用0.5g(OK) |
バンコマイシン塩酸塩 |
0.5g1瓶 |
1,427 |
33 |
注射薬 |
ゲムシタビン点滴静注用200mg「SUN」 |
ゲムシタビン塩酸塩 |
200mg1瓶 |
1,286 |
34 |
注射薬 |
ゲムシタビン点滴静注用1g「SUN」 |
ゲムシタビン塩酸塩 |
1g1瓶 |
6,190 |
35 |
注射薬 |
ゾレドロン酸点滴静注4mg/100mLバッグ「日医工P」 |
ゾレドロン酸水和物 |
4mg100mL1袋 |
8,061 |
36 |
注射薬 |
ヒュンタラーゼ脳室内注射液15mg |
イデュルスルファーゼ ベータ(遺伝子組換え) |
15mg1mL1瓶 |
1,981,462 |
37 |
注射薬 |
リンスパッド点滴静注用1000mg |
ヒトα1―プロテイナーゼインヒビター |
1,000mg1瓶(溶解液付) |
216,054 |
38 |
外用薬 |
ジムソ膀胱内注入液50% |
ジメチルスルホキシド |
50%50mL1瓶 |
11,210.50 |
(参考2)
使用薬剤の薬価(薬価基準)(平成20年厚生労働告示第60号)の一部改正
(令和3年7月1日より適用)
(単位:円)
医薬品コード |
品名 |
規格単位 |
現行薬価 |
調整後薬価 |
2290804G1022 |
テリルジー100エリプタ14吸入用 |
14吸入1キット |
4,183.50 |
4,160.80 |
2290804G2029 |
テリルジー100エリプタ30吸入用 |
30吸入1キット |
8,853.80 |
8,805.10 |
2290805G1027 |
ビレーズトリエアロスフィア56吸入 |
56吸入1キット |
4,150.30 |
4,127.60 |
2290807G1026 |
エナジア吸入用カプセル中用量 |
1カプセル |
291.90 |
290.30 |
2290807G2022 |
エナジア吸入用カプセル高用量 |
1カプセル |
333.40 |
331.50 |
2290804G3025 |
テリルジー200エリプタ14吸入用 |
14吸入1キット |
4,764.50 |
4,738.50 |
2290804G4021 |
テリルジー200エリプタ30吸入用 |
30吸入1キット |
10,098.90 |
10,043.30 |
4900402X1020 |
キムリア点滴静注 |
1患者当たり |
34,113,655 |
32,647,761 |