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○医療機器及び体外診断用医薬品のリスクマネジメントに係る要求事項に関する日本産業規格の改正の取扱いについて
(令和2年12月24日)
(薬生機審発1224第1号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)
(公印省略)
医療機器及び体外診断用医薬品のリスクマネジメントについては、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第四十一条第三項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準」(平成17年厚生労働省告示第122号)及び「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第四十一条第三項の規定により厚生労働大臣が定める体外診断用医薬品の基準」(平成17年厚生労働省告示第126号)のそれぞれで定められた基準(以下「基本要件基準」という。)において、医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売業者等は製造販売する医療機器及び体外診断用医薬品について、危険性の低減が要求される場合、各危害についての残存する危険性が許容される範囲内にあると判断されるように危険性を管理しなければならず、また、プログラムを用いた医療機器の場合には、当該システムの不適切な動作等により生じる可能性のある危険性を、合理的に実行可能な限り除去又は低減できるよう、適切な手段が講じられていなければならないと定められているところです。
基本要件基準への適合については、「医療機器の製造販売承認申請書添付資料の作成に際し留意すべき事項について」(平成27年1月20日付け薬食機参発0120第9号厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)通知)等により、JIS T 14971「医療機器―リスクマネジメントの医療機器への適用」又はその原典であるISO 14971“Medical devices‐Application of risk management to medical devices”に基づき実施されたリスクマネジメントの内容を説明することとされています。
今般、JIS T 14971:2012がJIS T 14971:2020(以下「改正後のJIS」という。)へ改正されたことに伴い、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(昭和35年法律第145号)における取扱いを下記のとおり定めましたので、御了知の上、貴管内関係団体、関係機関等に周知いただきますよう御配慮願います。
記
1.製造販売承認申請、認証申請及び届出等における基本要件基準への適合性確認について
(1) 高度管理医療機器、管理医療機器及び体外診断用医薬品(承認品及び認証品)における基本要件基準への適合性確認については、令和5年9月30日(以下「経過措置期間終了日」という。)の翌日以降に、新規の承認申請又は認証申請(承認事項一部変更承認申請及び認証事項一部変更認証申請を含む。以下「承認申請等」という。)を行う場合、当該医療機器及び体外診断用医薬品について改正後のJISを適用し、承認申請等の添付資料等において、リスクマネジメントの評価に基づく考察等について簡潔に記載すること。なお、改正後のJISの原典であるISO 14971:2019を適用することをもって基本要件基準への適合を確認したこととして差し支えないこと。
(2) 一般医療機器及び体外診断用医薬品(届出品)に係る基本要件基準への適合性確認については、経過措置期間終了日の翌日以降に製造販売の届出を行う場合、当該医療機器について改正後のJISを適用すること。
(3) 経過措置期間終了日以前に製造販売される医療機器及び体外診断用医薬品については、改正前のJIS T 14971:2012又はISO 14971:2007(以下「旧規格等」という。)若しくは改正後のJISのいずれかを適用することで差支えないこと。また、経過措置期間終了日までの間に、旧規格等を適用して承認申請等を行う場合、なお従前の例によることができること。
2.JIS T 14971の主な改正点に係る留意事項等について
(1) JIS T 14971の改正事項に係る留意事項
JIS T 14971の改正により、体外診断用医療機器、医療機器プログラム(Software as a Medical Device;SaMD)及びセキュリティが適用範囲であることが示され、ユーザビリティに関するリスクに適用することが示されていることに留意すること。また、改正後のJISでは従来の「誤使用」は「使用エラー」と修正され、新たに「3.15 合理的に予見可能な誤使用」が定められていることに留意すること。
(2) 関連規格等の取扱い
① 標準報告書について
改正後のJISのガイダンス文書として、ISO/TR 24971:2020“Medical devices‐Guidance on the application of ISO 14971”を原典とする標準報告書「医療機器―JIS T 14971適用の指針」(TR T 24971:2020。以下「TR」という。)が制定された。TRでは、製造販売業者等が医療機器に関連するハザードの特定、リスクの推定及び評価、リスクコントロールとその有効性を監視するリスクマネジメントプロセスの実施に係る指針を示している。また、改正後のJISの事例や応用部分が収録され、セキュリティ等の新しい技術分野の附属書が追加される等、改正後のJISを補完する役割を果たしていることから、適用にあたってはTRも参照すること。
② 関連規格について
JIS T 14971の改正に合わせて、「医療機器規格における安全側面の開発及び導入の指針」(JIS T 0063:2020)も制定されている。当該規格は、ISO 14971:2019における用語及び概念を引用しているISO/IEC Guide63:2019の対応規格であり、改正後のJISを含む医療機器関係の規格について、用語の訳語レベルまで統一して規定している。そのため、JIS T 0063:2020についても参照すること。