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○コンタクトレンズの承認申請に関する質疑応答集(Q&A)(その5)について

(令和3年3月30日)

(薬生機審発0330第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)

(公印省略)

コンタクトレンズの承認申請に係る取扱いについては、これまでに「コンタクトレンズの承認基準の制定について」(平成17年4月1日付け薬食発第0401034号厚生労働省医薬食品局長通知)により「コンタクトレンズ承認基準」が制定され、その後、「コンタクトレンズ承認基準の改正について(その2)」(平成31年4月11日付け薬生発0411第8号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)等により改正されているところです。

また、当該承認基準については、「コンタクトレンズの承認申請に関する質疑応答集(Q&A)(その4)について」(平成31年4月11日付け薬生機審発0411第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)等により、承認申請時の申請書記載事項及び添付資料に係る具体的な取扱いを示しているところです。

今般、「コンタクトレンズの承認申請に関する質疑応答集(Q&A)(その5)」を別添のとおりとりまとめましたので、御了知の上、貴管内関係業者、関係団体等に周知いただきますよう御配慮願います。

別添

コンタクトレンズの承認申請に関する質疑応答集(Q&A)(その5)

〔用いた略語〕

改正前の承認基準:「コンタクトレンズの承認基準の制定について」(平成17年4月1日付け薬食発第0401034号厚生労働省医薬食品局長通知)

承認基準:「コンタクトレンズ承認基準の改正について(その2)」(平成31年4月11日付け薬生発0411第8号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)

改正生安性通知:「医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方」(令和2年1月6日付け薬生機審発1016第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)

業界自主指針:「標準的なコンタクトレンズの臨床評価に関する考え方(業界自主指針)について」(平成21年9月7日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室事務連絡)別添

〔留意事項〕

本Q&Aは、上記の承認基準についてその解釈を示したものであるが、本Q&Aの有無に係わらず、承認申請に当たって疑義が生じた場合には、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に相談すること。

【販売名及び販売名追加申請について】

Q1 自社既承認品の販売名を追加する際に、販売名追加申請でなく、新規申請することは可能か。

A1 同一物を新規申請により別の承認品とした場合、自主回収等の網羅的な安全対策措置が求められる事象等に対応できないおそれがあることを踏まえ、同一物について、販売名追加申請以外による販売名の追加は原則として認められない。

Q2 承認申請する製品の販売名を検討する際の留意点は何か。

A2 コンタクトレンズとして、品質及び性能等を誤認させる名称、申請する使用目的以外の用途等を想像させるような名称、承認内容を適切に反映しない名称(例えば、特定のタイプのみを指し承認範囲全体を指さない名称)、他の既承認品との混同が生じるおそれのある名称又は医療機器としての品位に欠ける名称は不適切であることに留意し、妥当性の説明ができるようにすること。なお、販売名については、業界ガイドライン「コンタクトレンズの販売名に関するガイドライン」(令和元年6月6日付け一般社団法人日本コンタクトレンズ協会)も参考にされたい。

【臨床試験について】

Q3 承認基準について、改正前の承認基準から「1.適用範囲」のイの書きぶりが変更になったが、その趣旨はなにか。

A3 コンタクトレンズのデザイン、矯正方法等の現状を踏まえて変更したものであるが、コンタクトレンズの製造販売承認申請書に添付すべき臨床試験の試験成績に関する資料について、その添付が必要のない範囲の考え方に変更はない。

Q4 承認基準の「1.適用範囲」のエに「レンズの生物学的安全性が評価され、問題がないこと」とあるが、保存液の生物学的安全性に係る評価も必要か。

A4 保存液の生物学的安全性に係る評価も必要である。保存液に係る生物学的安全性の評価を行う場合には、保存液を含む最終製品を用いて検証評価を行うこととしても差し支えない。

Q5 承認基準の「1.適用範囲」のイのみに該当し、コンタクトレンズの光学デザインに関して新規性が高い場合、光学デザインを評価する臨床試験の実施が必須なのか。

A5 光学デザインの臨床的有効性を評価する方法として、臨床試験のほか視機能シミュレーション等の非臨床性能試験が挙げられる。ただし、視機能シミュレーション等を評価方法として選択した場合には、当該手法の構築方法、検証方法(再現性)、妥当性を十分に示す必要がある。なお、承認申請する製品の光学デザインの臨床的有効性を評価する臨床試験の実施の要否について判断に迷う際には、機構の対面助言を利用すること。

Q6 海外で実施された臨床試験を添付することは可能か。

A6 外国で実施された臨床試験データの添付の可否については、平成9年3月31日付け薬発第479号厚生省薬務局長通知「外国で実施された医療用具の臨床試験データの取扱いについて」及び平成18年3月31日付け薬食機発第0331006号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知「医療機器に関する臨床試験の試験成績のうち外国で実施したものの取扱いについて」に基づき判断すること。なお、使用目的が視力補正であるコンタクトレンズについては、角膜形状の人種差及び医療環境の国内外差を分析した上で、外国で実施された当該臨床試験の成績を日本人に外挿することができ、評価資料として必要十分なものであることを説明できる場合には、製造販売承認申請書の添付資料とすることができる。角膜形状には角膜曲率半径、角膜高さ、角膜直径等が考えられるため、参考にされたい。

Q7 海外の臨床試験において、本邦未承認のコンタクトレンズ消毒剤を使用することは可能か。

A7 臨床試験で用いたコンタクトレンズとコンタクトレンズ消毒剤との間の適合性を確認してから臨床試験に用いること。また、本邦未承認の消毒剤を用いる場合、本邦で承認された消毒剤との差分を明確にした上で、臨床試験成績を外挿できることを説明すること。

Q8 有効性を主要評価項目とした臨床試験を実施する場合においても、業界自主指針に規定された症例数を確保する必要があるか。

A8 業界自主指針に規定された症例数を確保する必要は無く、主要評価項目に基づいた症例数を設定すること。ただし、ポリマーに新規性がある場合には、安全性に関する主要評価項目も設定すること。安全性に関する主要評価項目の評価方法については業界自主指針を参考にすることができる。

【物理的要求事項について】

Q9 レンズ中心の厚さを変更する場合、承認基準の「2.技術基準」4.3項「厚さ」に関する留意点はあるか。

A9 レンズ中心の厚さを厚くする変更を行う場合には、酸素透過率について既承認品と比較する等の評価を行い、承認基準に適合性していることを説明すること。

Q10 承認基準の「2.技術基準」4.5 頂点屈折力において、バイフォーカルレンズの場合は近用光学部と遠用光学部の屈折力について試験することとされているが、試験に用いる検体の加入屈折力の度数は、どのような値にするべきか。

A10 原則、加入屈折力が最大である検体を用いて、近用光学部と遠用光学部の屈折力について試験を行い、「2.技術基準」4.5 頂点屈折力において示された許容値に適合することを示す必要がある。

Q11 承認基準の「2.技術基準」4.12 紫外線吸収率において、紫外線吸収率を評価し規格値を設定することとされているが、規格値は代表検体に関するものでよいか。

A11 承認申請範囲のすべてのレンズが満たす規格値を設定する必要がある。なお、代表検体について試験を実施し、当該検体の厚さをもとに、承認申請範囲すべてのレンズの紫外線吸収率について算出することでよい。

Q12 承認基準の「2.技術基準」4.12 紫外線吸収率において、紫外線透過率に替えて評価した場合、添付文書に紫外線吸収率を記載してもよいか。

A12 紫外線透過率を評価し、添付文書に紫外線吸収率を記載する場合には、承認基準により紫外線透過率から算出した紫外線吸収率を用いて、「視力補正用及び非視力補正用コンタクトレンズの添付文書及び表示に関する自主基準(改定第10版)」に従い、記載すること。

【化学的要求事項について】

Q13 承認基準の「2.技術基準」5.化学的要求事項において、抽出可能物質全体の溶出量を評価することとされているが、評価する際の溶媒は有機溶媒のみでよいか。

A13 ISO 18369―4では、有機溶媒と水系溶媒の両方の試験系を用いることになっている。なお、自社の独自試験等による評価(有機溶媒又は水系溶媒のいずれか一方のみを用いた評価、抽出可能物質全体以外の溶出量の評価、等)を行った場合には、個別に品質、有効性及び安全性について、承認基準によらず審査する必要があるため、申請区分は「基準なし」となる。

【生物学的要求事項について】

Q14 承認基準の「6.生物学的要求事項」について、「家兎眼装用試験はISO9394等を参考に実施する。」とされているが、改正生安性通知では、コンタクトレンズに要求されている考慮すべき生物学的安全性の評価項目は、表面接触医療機器/粘膜/長期的接触の「細胞毒性、感作性、刺激性/皮内反応、急性全身毒性、亜急性全身毒性、亜慢性全身毒性、慢性全身毒性、埋植、遺伝毒性」とされている。

コンタクトレンズは、正常な角膜等の眼粘膜と局所的に接触する医療機器であるため、「亜急性全身毒性、亜慢性全身毒性、慢性全身毒性、埋植」は実際の使用を想定した家兎眼装用試験に代えることができると考えてよいか。また、「急性全身毒性」を眼刺激試験により評価するにあたり、上記の家兎眼装用試験において、眼組織への影響が肉眼的及び病理組織学的観察結果をもとに評価されていることから、抽出液による眼刺激試験を実施する必要はないと考えてよいか。

A14 「亜急性全身毒性、亜慢性全身毒性、慢性全身毒性、埋植」は実際の使用を想定した家兎眼装用試験に代えることができる。また、「急性全身毒性」は、眼刺激試験における評価に代えることができる。さらに、眼刺激試験は、上記の家兎眼装用試験における評価により、実施する必要はないと考えてよい。

また、新規性の高い原材料(ヒトで使用実績がない等)を使用する等、一律に本Q&Aを適用できない場合も想定される。そのような場合には、品目ごとに適切な毒性学的リスクアセスメントを実施すること。生物学的安全性評価について疑問点がある場合は、承認申請の前に機構に相談すること。

Q15 コンタクトレンズの生物学的安全性評価としてQ&A14の対応を行う際、承認申請書の添付資料(STED)にはどのような記載内容が求められるか。

A15 改正生安性通知別紙の図1のフローに従って、承認申請される品目の物理学的・化学的情報を収集し、生物学的安全性評価を行った結果を記載すること。また、「刺激性/皮内反応、急性全身毒性、亜急性全身毒性、亜慢性全身毒性、慢性全身毒性、埋植」については、Q&A14を参考にして、各エンドポイントの評価が可能である旨をSTEDに記載することで差し支えない。なお、試験を実施する場合は、従来どおりGLP準拠下で実施し、承認申請資料に試験結果及び評価内容を記載すること。

Q16 細胞毒性試験は培地抽出法によるコロニー形成法のみでよいか。

A16 直接接触法については、改正生安性通知を参照して実施すること。