添付一覧
○化粧品基準及び医薬部外品の製造販売承認申請に関する質疑応答集(Q&A)について
(令和3年3月25日)
(事務連絡)
(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課通知)
化粧品基準(平成12年厚生省告示第331号)及び医薬部外品の製造販売承認申請に関する質疑応答集(Q&A)を別添のとおりとりまとめましたので、貴管下関係業者に周知方よろしく御配慮願います。
なお、本事務連絡の発出に伴い、平成28年3月30日付け事務連絡「化粧品基準及び医薬部外品の製造販売承認申請に関する質疑応答集(Q&A)について」は廃止いたします。
(別添)
1.化粧品基準関係
Q1: 化粧品基準における医薬品の成分(添加剤としてのみ使用される成分及び別表から第4に掲げる成分を除く。)には、どのような成分が該当するのか。 |
A1:
化粧品基準における医薬品の成分は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)の成分となり、主に同法第14条第1項に基づく承認を受けた医薬品の有効成分が該当する。
Q2: 化粧品基準において、医薬品の成分は原則、配合が禁止されているが、「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日付け薬発第476号厚生省薬務局通知)の別紙「医薬品の範囲に関する基準」において、専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リストに区分される成分は、原則配合が禁止されるのか。 |
A2:
「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日付け薬発第476号厚生省薬務局通知)の別紙「医薬品の範囲に関する基準」において、専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リストに区分される成分については、直ちに化粧品基準における医薬品の成分に該当するものではないが、製造販売業者の責任のもとに安全性を確認するとともに、法第2条第3項の化粧品の定義から逸脱しないよう十分留意して配合の可否を判断すること。
Q3: 既に化粧品に配合している成分について、新たに法第14条第1項の規定に基づき承認を受けた医薬品の有効成分として配合されていた場合等には、引き続き化粧品に配合することはできるのか。 |
A3:
既に化粧品に配合されている成分であっても、その成分が、新たに法第14条第1項の規定に基づき承認を受けた医薬品の有効成分として配合されていた場合等には、化粧品への配合は禁止される。引き続き化粧品としての配合を希望する場合には、「化粧品への配合を希望する医薬品の成分の取扱いについて(依頼)」(平成16年3月25日付け薬食審査発第0325019号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)に基づき必要な資料を提出すること。
なお、化粧品基準制定の時点で同法第14条第1項の規定による承認に係る化粧品の成分であるもの又は昭和36年2月厚生省告示第15号(法第14条第1項の規定に基づき品目ごとの承認を受けなければならない化粧品の成分を指定する件)別表に掲げられていた化粧品の成分を当該承認に係る化粧品の成分の分量又は同表に掲げられていた化粧品の成分の分量に限り、引き続き化粧品へ配合することは差し支えない。
さらに、「化粧品に配合可能な医薬品の成分について」(平成19年5月24日付け薬食審査発第0524001号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)に収載されている成分も配合可能である。
Q4: 入浴用化粧品は、「粘膜に使用されることがある化粧品」に該当するのか。 |
A4:
原則、入浴用化粧品は、その使用方法等から、「粘膜に使用されることがある化粧品」には該当しないと考えても差し支えない。ただし、成分、使用方法等によっては、粘膜に使用されることを考慮した検討が必要な場合もある。
なお、入浴用化粧品で使用されるタール色素は、昭和41年8月31日厚生省令第30号(医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令)第3条第1項第2号「粘膜に使用されることがない化粧品」に含まれる。
2.医薬部外品の製造販売承認申請関係
(1) 規格について
Q5: 外原規規格各条(以下「各条」という。)に規定された試験法を他の方法で代替することは可能か。 |
A5:
外原規では、同一目的の試験法が複数存在する場合には、それらの中で最も汎用されていると思われる試験法が採用されているが、規定された試験法に代わる方法で、それが規定の方法と同等以上の再現性と精度がある場合は、通則第2項によりその方法を採用することができる。
Q6: 原料の色調の濃淡によって、試験の呈色状況が異なり、各条に規定された色調を呈さないことがある。この場合、試験の本質を損なわない範囲で、各条に示された「試料採取量」、「希釈率」、「濃縮率」等を変更して、試験を行ってもよいか。 |
A6:
外原規通則第2項に規定のとおり、各条に規定する「試料採取量」、「希釈率」、「濃縮率」等と同等以上の再現性と精度があると確認される場合に限り、変更して試験を行っても差し支えない。ただし、その旨標準作業書等に記載し管理する必要がある。
Q7: 医薬部外品に配合する成分について別紙規格を設定する場合、どの程度の規格及び試験方法を設定すればよいか。 |
A7:
日本薬局方原案作成要領、外原規通則及び一般試験法等を参考に、規格及び試験方法を設定されたい。
Q8: 混合原料成分の本質・基原では、混合した各成分を記載するが、各成分の未反応物や副生成物等は、記載しなくてもよいか。 |
A8:
よい。
また、いわゆるキャリーオーバー成分(原料の品質の保持等の目的で恣意的に加えられ、二次的に当該原料を利用した場合に意図せずに製剤もしくは混合原料等に含まれてしまう成分)については、当該成分を含む原料を使用した場合に安全性等の面で問題がないと判断できる場合等については記載の必要はない。
Q9: 外原規に追加収載された成分は、収載希望により提出された別紙規格を整備したものであり、当該別紙規格の前例の範囲で配合できると考えてよいか。 |
A9:
よい。
なお、軽微変更又は一部変更の申請の際には、別紙規格を外原規規格に変更すること。
(2) 成分名について
Q10: 動植物由来原料の別紙規格の和名が、外原規の和名と異なる場合でも、動植物の部位、抽出溶媒等が同一であり、学名が同じであれば同一物と考えてよいか。 |
A10:
原則、よいと考える。ただし、動植物の部位及び抽出方法(濃度、抽出時間等)により、抽出される物質が異なる場合も想定され、同一物と判断することが困難な場合もあることに留意すること。
Q11: FD申請システムの成分コード表、添加物リストと外原規の名称で、全角文字と半角文字、[ ]と〔 〕、下付文字か否か、ハイフンの有無に差があっても、同一とみなしてよいか。 |
A11:
よい。
(3) 本質・基原について
Q12: 外原規の高分子(重合物、重付加物)の包括化は、どのような考え方によったのか。 |
A12:
① 重合物は、ナイロン、ポリアクリル酸、酢酸セルロース等のホモポリマーごとに、可能な限り包括した。
② 共重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、シリコーン、酢酸ビニル、スチレン等については、使用前例のあるモノマー成分の組み合わせごとに、可能な限り包括した。
③ 重付加物は、酸化エチレン、酸化プロピレン等の付加物ごとに、可能な限り包括し、単量体の場合は別の規格を設定した。
④ ポリグリセリン誘導体は、ポリグリセリンと反応原料別、モル比別に包括した。
Q13: 各条に収載されている混合植物エキスは、どのような考え方のもとで収載されているのか。 |
A13:
次の考え方に基づき収載している。
混合植物エキスとして規格を収載する原料は、予め混合した複数の植物混合物から抽出して得たエキスについてのみ規格を作成している。予め調製した個々の植物エキスを、単純に混合して製する混合エキスは、各成分を混合した原料扱いとしている。
Q14: アクリル系樹脂の本質に、「アクリル酸アルキル(C1~C4,C8,C12)」と表記されている場合は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2―エチルヘキシル及びアクリル酸ラウリルのホモポリマー並びにこれらのモノマーからなるポリマーを示していると考えてよいか。 |
A14:
よい。
Q15: 本質・基原に製法が規定されていない外原規成分であって、当該成分の各条に合致する成分については、製造方法に依らず外原規に適合すると考えてよいか。 |
A15:
よい。
外原規通則第10項に記載されているとおりである。
Q16: 「エタノール(96)」が削除され、「エタノール」で包括されました。各条の本質・基原に規定されている「エタノール」には、「無水エタノール」及び「変性アルコール」が含まれると考えてよいか。 |
A16:
よい。
外原規通則第13項に記載されているとおりである。なお、本質・基原を特定する必要がある場合は、「無水エタノール」及び「変性アルコール」と記載する。
Q17: 外原規で使われている「付加モル数」とは、製造時の被付加物質1モルに対して仕込んだ「酸化エチレン」又は「酸化プロピレン」のモル比を示し、いくつかの付加モル数のものが包括可能な場合は、包括した規格を設定し、本質にモル比の幅を「付加モル数の範囲」として示したものと考えてよいか。 |
A17:
よい。
Q18: イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルやポリオキシエチレンオレイルアミンのように包括された規格では、各条に参考値として平均重合度、付加モル数ごとの示性値などが記載されているが、ここに記載されていない平均重合度、あるいは付加モル数の成分であっても外原規に適合すると考えてよいか。 |
A18:
各条の本質、基原その他各条に掲げる規格に適合するものであれば、外原規に適合したものと考えて差し支えない。なお、本質・基原以外の規格に適合するものであっても、本質・基原に規定された平均重合度あるいは付加モル数の範囲を外れるものは、外原規に適したものとして取り扱わない。
Q19: 酸化エチレン鎖、アルキル鎖、シリコーン鎖等分布を有する成分やグリセリドの置換体等で製造工程の関係で置換度が混在する化合物から成る成分の場合、本質・基原の記載は、最も含量が大きい化合物に「主として○○○を含む。」と記載することでよいか。 |
A19:
よい。
また、高分子化合物成分においては、モノマー単位の主鎖に「主として」を付けて記載できる。なお、本質・基原の記載は、当該成分を規定する成分のうち、全体に占める比率が大きい成分等(以下、「主たる成分」)について、「主として□□□と△△△からなる。」旨とし、主たる成分が複数ある場合は、当該成分を列挙するべきである。一方で、最終の製造工程において、複数混合することで製した、いわゆる混合成分である場合の本質・基原の記載は、「主として□□□と△△△の混合物である。」旨とし、混合したすべての成分毎の主たる成分等を列挙し、かつ混合物である旨を明確にするべきである。
(4) 性状について
Q20: エキス類において、製法、精製方法あるいは濃度の差によって、エキス類の色調や状態が性状の項の規定から外れる場合があるが、この場合であっても適合品と考えてよいか。 |
A20:
外原規通則第6項において「性状の項の規定は、参考として示したもので、適否の判定基準を示すものではない。」と規定されている。しかし、エキス類において、成分の色調等の性状が「著しく」異なる場合は、本質に影響を及ぼしているものとして、外原規適合品として扱わない。
Q21: 性状で「においがない」と規定されている場合、「においはないか又はほとんどにおいがない」と解釈してよいか。 |
A21:
よい(外原規通則第23.4項を参照)。
(5) 確認試験・純度試験について
Q22: 赤外吸収スペクトルの波数規定の規格作成にあたって、3000~2800cm-1のCH吸収が複数観察される場合は、原則として、最大吸収を選択すればよいのか。 |
A22:
よい。
Q23: 確認試験の操作の中で、「水浴上で加熱」と規定されている場合、「沸騰した水浴中で加熱」又は、「100℃の蒸気浴を用いて加熱」してもよいか。 |
A23:
よい(外原規通則第14.3項参照)。
Q24: 赤外吸収スペクトル測定法の液膜法が一部薄膜法に変更されたのは、性状がろう状及び固体の成分のため、加温後放冷あるいは溶解後溶媒を揮発させることで薄膜を作り測定する成分であるためと考えてよいか。 |
A24:
よい。
Q25: 水酸基価が設定されている規格で、確認試験に赤外吸収スペクトル測定法の波数規定を用いる場合、水酸基の3400cm-1付近のなだらかな吸収を規定しなくてよいか。 |
A25:
よい。
水酸基価と赤外吸収スペクトル測定法における水酸基の吸収の波数規定は、規格として重複するため、水酸基価が設定できる成分では、水酸基価を設定し、水酸基の3400cm-1付近の吸収は規定しなくてよい。
Q26: 原料の純度試験としてヒ素を設定する場合は、原則として、次のいずれかに該当する場合に設定することでよいか。 ① 製造過程からヒ素混入の可能性が考えられる場合 ② リン酸を含む化合物(リン酸塩、リン酸エステル等) ③ 無機化合物 |
A26:
よい。
なお、天然物由来の成分及び②③を製造過程で使用する成分については、ヒ素の混入の可能性が考えられる場合があるため留意すること。承認前例のない成分(新有効成分、新添加物等)の別紙規格に①~③に該当しないことにより設定しない場合は、ヒ素の混入がないことを裏付ける資料(3ロット3回の実測値、ヒ素の添加回収試験のデータ等)の添付が必要である。なお、ヒ素の添加回収率は、原則として規格値レベルの濃度で試験し、70%以上であることが必要である。
(6) その他
Q27: 外原規を準用して新たに別紙規格を作成する場合、外原規2021収載の一般試験法、試薬・試液を前提に規格を作成すればよいか。 |
A27:
よい。
3.その他
Q28: 「リンスのような使用時に水で希釈して用いる製品」、「使用時に混ぜて使用する同類別で同一販売名(同一基幹名)であるメーキャップ化粧品等」及び「経日安定性を保持するため、使用時に混合して用いる用法の化粧品」については、「「使用時に混合して用いる用法」の化粧品の許可申請について」(昭和61年12月25日付け厚生省薬務局審査第二課化粧品審査室事務連絡)において原則として認められている。化粧品の規制は、平成12年より個別製品毎の許可制から届出制に移行されているが、上述の「使用時に混合して用いる用法」の化粧品は、現時点でも認められているとの理解でよいか。 |
A28:
よい。ただし、製造販売業者の責任のもとに、安全性を担保した上で化粧品の製造販売を行うこと。
Q29: 同一製造販売業者による「製造販売届出を行った化粧品(Aという)」と「製造販売届出を行った化粧品(Bという)」に関し、AとBとを使用時に混合して用いる用法を製品の直接の容器、外箱等に明記してよいか。 |
A29:
よい。ただし、製造販売業者の責任のもとに、混合しても安全性、安定性に問題がないことを担保した上で化粧品の製造販売を行うこと。また、当該製品同士の組合わせ以外は、安全性、安定性の担保をしていないことから、消費者が他のどの製品と混合して用いてもよいと受け取られるような記載等を行わないこと。