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○ふぐ処理者の認定基準について

(令和元年10月31日)

(生食発1031第6号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官通知)

(公印省略)

ふぐの処理については、「フグの衛生確保について」(昭和58年12月2日付け環乳第59号厚生省環境衛生局長通知)及び「フグの衛生確保について」(昭和58年12月2日付け環乳第59号厚生省環境衛生局乳肉衛生課長通知)(以下「通知等」という。)に基づき、有毒部位の確実な除去等ができると都道府県知事等(保健所を設置する市の市長及び特別区の区長を含む。以下同じ。)が認める者(以下「ふぐ処理者」という。)に限って行うこととしています。

また、昨年6月に公布された食品衛生法等の一部を改正する法律(平成30年法律第46号)の施行に向け、食品衛生管理に関する技術検討会において、営業者が実施すべき衛生管理に関する基準として厚生労働省令に規定すべき事項の検討を行い、ふぐの処理は、ふぐの種類の鑑別に関する知識及び有毒部位を除去する技術等を有すると都道府県知事等が認める者又はその者の立会いの下に他の者に行わせなければならない旨規定することとしています。

この検討を踏まえ、ふぐ処理者について、「フグ処理者の認定基準に関する検討会」(本年4月26日(第1回)~同年6月28日(第3回))を開催し、別添のとおり、ふぐ処理者を認定する際の認定基準(以下「認定基準」という。)を取りまとめましたので、下記に御留意の上、各都道府県条例等における規定の必要な見直しをお願いします。

また、認定基準を適切に運用いただけるよう、追って、通知等を改正するとともに、都道府県等において定めるべき事項を整理の上、通知することを予定しておりますので、御承知おきください。

1 認定基準策定の趣旨について

都道府県等(保健所を設置する市及び特別区を含む。以下同じ)で運用されているふぐ処理者の認定について、認定に必要な講習会の受講又は試験の受験等の要件及び手続並びに必要な知識及び技術等が都道府県等により異なっており、都道府県等間においてふぐ処理者の資格の受入れが進んでいない。また、ふぐ処理者の認定に係る制度への国の関与がなく、都道府県等ごとに認定要件が異なるため、輸出にあたって輸出先国又は地域(以下「輸出先国等」という。)の理解が得られない場合がある。

これらの状況に対応するため、ふぐ処理者の認定に係る制度への国の関与を明確化し、ふぐ処理者の知識及び技術の水準の全国的な平準化に資することを目的として、ふぐ処理者の認定基準を策定した。

2 認定基準について

各都道府県条例等の見直しに当たっては、以下を規定するとともに、認定基準を踏まえた試験科目等の見直しをすること。

(1) 知識及び技術の確認方法

実務経験の客観的な評価は困難であり、ふぐ処理者の認定要件として適切ではないため、認定の際に必要な知識及び技術は試験により確認すること。

(2) 都道府県等間のふぐ処理者の資格の受入れ

厚生労働省の定める認定基準に基づき、認定要件を定めている都道府県等のふぐ処理者は、原則、他の都道府県等のふぐ処理者の認定要件を満たすものとして取り扱うこと。

なお、各都道府県等が、地域の実情を踏まえて、認定基準に要件を追加する場合は、追加する要件に関する講習会実施等の手続等必要な事項を定めること。

(3) 従前の認定基準の取扱い

厚生労働省の定める認定基準を踏まえた認定要件の見直しにより、従前の認定要件から追加の要件が生じる場合には、認定要件を満たすために必要な講習会受講等の手続等必要な事項を定めること。

3 ふぐの輸出について

今後、ふぐの輸出先国等と輸出解禁協議を行う際、国が輸出先国等に対し、ふぐ処理施設の認定要件の一つとして認定基準を満たしたふぐ処理者を配置することを、解禁の条件として提示することに留意すること。

4 見直し状況の確認について

都道府県等におけるふぐ処理者の認定要件の見直しを行った場合には、厚生労働省医薬・生活衛生局食品監視安全課(以下「食品監視安全課」という。)に報告すること。

また、令和3年度を目途に、必要に応じて都道府県等におけるふぐ処理者の認定要件の見直し状況及び都道府県等間のふぐ処理者の受入状況について調査する予定であること。なお、見直し状況等については食品監視安全課において公表予定であること。

5 その他

食品監視安全課は、定期的に都道府県等に対して雑種ふぐの発生状況、ふぐの流通状況に係る調査等を行い、都道府県等に情報提供をすること。

以上

別添

ふぐ処理者の認定基準

Ⅰ 水産食品の衛生に関する知識(学科)

項目

到達目標

内容等

水産食品に関する衛生法規

水産食品に関する法令を理解している。

食品衛生法(昭和22年法律第233号)の概要、食品衛生法第51条に基づく施設基準、食品衛生法第50条第2項に基づく管理運営基準、食品衛生法第11条に基づく規格基準等

水産食品の衛生学

水産食品の衛生に関する一般知識を理解している。

食品事故、食品の取扱い、施設の衛生管理、自主管理等

注) 水産食品の衛生に関する知識は、試験で確認することを原則とするが、食品衛生責任者又は以下の食品衛生責任者養成講習会の受講の免除要件に該当する者(受講又は受験の資格とする場合を含む。)については省略可能とする。

<食品衛生責任者養成講習会の受講の免除要件に該当する者>

① 食品衛生法に基づく資格(食品衛生監視員、食品衛生管理者)を取得するための要件を満たす者

② その他衛生関係法規に基づく資格を有する者(栄養士、調理師)

Ⅱ ふぐに関する一般知識(学科)

1 関係法規

項目

到達目標

内容等

制度の目的

ふぐ処理者認定制度の目的を理解している。

ふぐの毒に起因する食中毒発生を防止すること。

不衛生食品等の販売等の禁止(ふぐ毒と法的根拠)

食品衛生法第6条に基づくふぐに関する法令を理解している。

食品衛生法第6条、食品衛生法施行規則第1条(人の健康を損なうおそれがない場合)等

ふぐ処理の定義

ふぐ処理の定義を理解している。

ふぐ処理とは、ふぐの有毒部位を除去すること又は卵巣及び皮の塩蔵処理を行い製品の毒性を確認すること。

ふぐ処理者の定義、責務

ふぐ処理者の定義及び責務を理解している。

ふぐ処理者とは、確実にふぐの処理ができると都道府県知事等が認める者であること。

ふぐ処理者は、ふぐを処理する際の留意事項を確実に実行し、ふぐ処理を行う者として、ふぐによる食中毒の防止に努めること。

ふぐ処理者の認定、資格の停止等

ふぐ処理者の認定、返納、取消、停止等の要件及び手続を理解している。

ふぐ処理者は、都道府県知事等が実施する試験(講習会(学科及び実技)における試験を含む。)を受験し、認定される者であること。

ふぐ処理者は、責務の不履行、不正な取得等があった場合、ふぐ処理者認定の取消や効力の停止となること。

2 ふぐの種類と鑑別

項目

到達目標

内容等

処理等により人の健康を損なうおそれがないと認められるふぐの種類及び部位(海域を含む)

食用にできるふぐの種類、部位及び海域を理解している。

食用可能な部位はふぐの種類や漁獲海域によって異なること。

食用にできるふぐの漁獲海域、漁獲海域が限定されているふぐの種類、除外されている漁獲海域があるふぐの種類があること。

ふぐの種類の鑑別

ふぐの種類ごとの特徴を理解し、種類を鑑別することができる。

食用可能な22種類のふぐを鑑別し、その他の種類を排除すること。

原料ふぐの選別を厳重に行い、特に、ドクサバフグ等魚体すべてが有毒なふぐ及び種類不明ふぐを確実に排除すること。

3 ふぐの処理と鑑別

項目

到達目標

内容等

有毒部位の除去に係る留意事項

卵巣、肝臓等の有毒部位の除去処理の際に、原料ふぐの選別、有毒部位による調理器具の取扱いを理解している。

不可食部位である腎臓その他の有毒臓器及び血塊を確実に除去すること。

除去処理に用いた包丁、まな板等の器具は、処理作業中であっても、必要に応じ、清水で十分洗浄すること。

凍結ふぐの取扱い

凍結ふぐの取扱いの際に留意すべき事項を理解している。

ふぐを凍結する場合は、できるだけ内臓を除去した状態で、急速凍結すること。

凍結保管は、マイナス18℃以下の低温下で行い、保管中は温度の変動を少なくすること。

ふぐの解凍は、流水等を用いて迅速に行い、解凍後は直ちに処理に供し、再凍結は行わないこと。

有毒部位の処分

除去した有毒部位の処分方法を理解している。

除去した有毒部位は施錠できる一定の容器に保管し、焼却等により確実に処分すること。

ナシフグの取扱い

ナシフグを取り扱う際の留意事項を理解している。

ナシフグの取扱いは指定された海域で漁獲されたものに限り、処理等は、有毒部位の毒が筋肉部に移行することがないよう都道府県知事等が認める方法で行うこと。

卵巣及び皮の塩蔵処理

卵巣及び皮を塩蔵処理する際に留意すべき事項を理解している。

未処理の卵巣及び皮が処理施設以外へ搬送されることがないよう管理体制を確立するとともに、処理が適正かつ衛生的に行われるための処理要領を作成すること。

製品については、出荷前にロットごとの毒性検査を行い、その毒力がおおむね10MU/gを超えないことを確認の上、出荷することとし、検査結果等を記録し、保管すること。

ふぐ処理施設

ふぐの処理を行うための施設に係る手続、必要な施設基準などを理解している。

ふぐの処理を行う施設は、飲食店営業、魚介類販売業及び魚介類の加工を行う営業(水産製品製造業)を行う施設であること。

4 ふぐの一般知識

項目

到達目標

内容等

ふぐの名称(標準和名)

ふぐの種類ごとの標準和名、学名などを理解している。

ふぐの種類の表示に当たっては、標準和名を用いること。

ふぐの表示

ふぐやふぐ加工品等の販売に際し必要な表示及び食品表示法等の関係法令を理解している。

生鮮食品のふぐについては名称及び原産地等を表示し、ふぐ加工品等については、名称、賞味(消費)期限等のほか、原料ふぐの種類を表示し、食中毒発生時の遡りの観点から、加工年月日やロット番号等、ロットが特定できるもののいずれかを表示すること。

(食品表示法、食品表示基準)

ふぐの特徴

ふぐの形態的特徴や生態を理解している。

腹ビレや肋骨がなく、腹を膨らませることができること(フグ科、ハリセンボン科)。

歯は細かい歯ではなく、板状(フグ科、ハリセンボン科)や鑿状(ハコフグ科)の歯を有していること。

フグ目のほとんどの種類が、世界の温帯から熱帯の暖かい海に広く分布していること。

ふぐの解剖学

ふぐの構造を理解している。

骨格や臓器の名称及び配置に関すること。

ふぐの寄生虫

寄生虫対策を理解している。

生鮮魚介類には、寄生虫がいることがあり、種類によっては食中毒の原因となること。

魚介類は十分な冷凍や加熱を行えば、ほとんどの寄生虫は死滅すること。

ふぐ毒

ふぐ毒の性状、毒性などを理解している。

ふぐは猛毒のふぐ毒テトロドトキシンを持ち、毒力はふぐの種類及び部位によって異なること。

ふぐ毒による食中毒の特徴、発生状況

ふぐ毒による食中毒の症状、発生状況などを理解している。

ふぐ毒の摂取による主な症状は麻痺であること。

ふぐ毒による食中毒は、例年発生しており、家庭での素人料理が原因になることが多いが、営業施設で客から有毒部位の提供を依頼され発生した事例もあること。

輸入ふぐの取扱い

輸入ふぐの要件や必要な手続を理解している。

ふぐの輸入は、種類及び漁獲海域が限定されており、輸入するふぐの形態は、種類の鑑別を容易にするため、処理を行わないもの又は単に内臓のみをすべて除去したものに限ること。

輸入するふぐには輸出国の公的機関により作成され、かつ、当該ふぐの種類(学名)、漁獲海域及び衛生的に処理された旨の記載のある証明書を添付すること。

冷凍されたふぐにあっては、急速凍結法により凍結され、低温(マイナス18℃以下)で保管すること。

ふぐの雑種

種類不明ふぐは確実に排除することを理解している。

トラフグ属では雑種が多く存在すること。

全国の雑種を含む種類不明ふぐの発生状況を確認すること。

種類不明ふぐや両親種が鑑別できない雑種ふぐは、確実に排除すること。

Ⅲ ふぐの処理(実技)

1 ふぐの種類の鑑別

項目

到達目標

内容等

ふぐの種類の鑑別

ふぐの種類ごとの特徴を理解し、食用可能な22種類を鑑別することができ、その他の種類を排除することができる。

実物5種類以上のふぐを鑑別すること。

ふぐの名称(標準和名)

ふぐの種類ごとの標準和名を理解している。

ふぐの種類を標準和名で答えること。

2 ふぐの処理と鑑別

項目

到達目標

内容等

ふぐの可食・不可食の区分(毒性鑑別)

ふぐを可食部と不可食部に分けることができ、有毒部位を確実に除去することができる。

ふぐ1尾以上を用いて、食用可能な部位と不可食部位を分けること。

ふぐの臓器鑑別

ふぐの臓器ごとの特徴を理解し、臓器の種類を鑑別することができる。

生殖巣については、雌雄を鑑別することができる。

ふぐ1尾以上を用いて臓器の種類(肝臓、腎臓、脾臓、心臓、胆嚢、生殖巣、胃腸等)を鑑別すること。

雌雄を鑑別し、両性ふぐであるか否かの確認をすること。

衛生的な取扱い

有毒部位の除去の際に、ふぐの取扱いや処理を衛生的に行うことができる。

除去処理に用いた包丁、まな板等の器具は、処理作業中であっても、必要に応じ、清水で十分洗浄すること。