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○大腿膝窩動脈におけるパクリタキセルを塗布したバルーン及びステントの添付文書の自主点検について

(令和3年2月18日)

(/薬生機審発0218第1号/薬生安発0218第1号/)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知)

(公印省略)

大腿膝窩動脈におけるパクリタキセルを塗布したバルーン及びステント(以下「PTXデバイス」という。)については、下肢閉塞性動脈硬化症に対する血管内治療医療機器として、再狭窄の軽減等を目的に使用されているところです。

PTXデバイスの安全性については、死亡リスク増加の可能性が示唆されるとの報告が海外でなされ、日本人を対象とした臨床成績等を踏まえて詳細な検討が必要となったことから、厚生労働省では、令和元年7月より、厚生労働科学特別研究「パクリタクセルを用いた末梢血管治療デバイスの長期的安全性に関する研究」(研究代表者:中村正人(東邦大学))により、検討を行ってきました。

今般、当該厚生労働科学特別研究の結果がまとめられ(https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201906018A)、日本人の臨床成績等を用いた検証においては、患者群と対照群の間で、治療後5年間の死亡率に有意な差が無いことが示されました。

また、当該結果を踏まえ、日本血管外科学会、日本IVR学会及び日本心血管インターベンション治療学会(以下「3学会」という。)から、PTXデバイスの使用を検討する場合には、患者状態に鑑み使用の可否を判断すること、国内外における成績を用いてインフォームドコンセントを行うこと等を記載したステイトメントが公表されました。

そこで、PTXデバイスの製造販売業者に対して、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第63条の2に基づき、PTXデバイスの添付文書が、厚生労働科学特別研究の結果及び3学会からのステイトメントに記載された情報を含む最新の論文その他により得られた知見に基づき記載されていることを自主点検するよう指導することとしましたので、貴管下のPTXデバイスを製造販売する製造販売業者に対して、周知方よろしくお願いします。

なお、本通知については、職能団体、独立行政法人医薬品医療機器総合機構及び関連産業界宛てに周知していることを申し添えます。

また、3学会からのステイトメントは、3学会のホームページから入手可能であることを申し添えます。

特定非営利活動法人日本血管外科学会

http://www.jsvs.org/ja/info/pdf/2021012902.pdf

一般社団法人日本インターベンショナルラジオロジー学会

https://www.jsir.or.jp/wp-content/uploads/2015/03/PXT_210118.pdf

一般社団法人日本心血管インターベンション治療学会

http://www.cvit.jp/files/news/2021/0129.pdf

1.対象となるPTXデバイスについて

薬剤溶出型大腿動脈用ステント、バルーン拡張式血管形成術用カテーテルのうち、パクリタキセルを塗布した医療機器を対象とする。

2.PTXデバイスの使用前に必要な情報提供について

上記1の製品の製造販売業者は、医療従事者が使用前に必要な情報を確認できるよう、添付文書の【使用上の注意】及び【主要文献及び文献請求先】に、以下の内容が記載されていることを確認し、記載されていない場合は速やかに添付文書を改訂すること。

(1) 【使用上の注意】の[重要な基本的注意]に以下が記載されていることを確認すること。

・患者状態に鑑み、リスクベネフィットを考慮して、本製品を使用すること

・海外における情報と合わせ、本邦の代表的な成績も踏まえ(【主要文献及び文献請求先】の項参照)、インフォームドコンセントを行うこと。

(2) 【主要文献及び文献請求先】について、現時点で少なくとも以下の文献が記載されていることを確認すること。

・Katsanos K, et al., “Risk of Death Following Application of Paclitaxel‐Coated Balloons and Stents in the Femoropopliteal Artery of the Leg:A Systematic Review and Meta‐Analysis of Randomized Controlled Trials”, Journal of the American Heart Association, 2018;7:e011245

・厚生労働科学特別研究「パクリタクセルを用いた末梢血管治療デバイスの長期安全性に関する研究」(研究代表者 中村正人)

・「大腿膝窩動脈におけるパクリタキセルコーティングバルーン及びステントについてのステイトメント」(特定非営利活動法人日本血管外科学会、一般社団法人日本インターベンショナルラジオロジー学会、一般社団法人日本心血管インターベンション学会)

・Nordanstig J, et al., “Mortality with Paclitaxel‐Coated Devices in Peripheral Artery Disease”, N Engl J Med, 2020;383:2538‐2546

3.自主点検結果の報告について

上記2については、令和3年3月31日までに対応すること。また、自主点検の結果について、速やかに独立行政法人医薬品医療機器総合機構品質管理・安全対策部医療機器安全課に報告すること。

4.承認申請中の上記1.の製品については、申請者は、添付文書(案)について上記2.と同様の点検を行った上で申請先に申し出ること。