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○医療用医薬品に係る元素不純物の取扱いについて

(令和2年12月28日)

(薬生薬審発1228第7号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)

(公印省略)

平成27年9月30日付け薬食審査発0930第4号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知「医薬品の元素不純物ガイドラインについて」(以下「ガイドライン通知」という。)により新医薬品に係る元素不純物の取扱いが定められ、ガイドライン通知の5において、「今後、既存製剤への適用についても検討を行うこと」としているところです。

一方、令和元年6月28日付け薬生薬審発第0628第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知「第十七改正日本薬局方第二追補の制定に伴う医薬品製造販売承認申請等の取扱いについて」の記8(2)により、「医薬品規制調和国際会議(ICH)―Q3D「医薬品の元素不純物ガイドライン」を踏まえた管理規定を第十八改正日本薬局方により措置する」としております。

今般、第十八改正日本薬局方(以下「新薬局方」という。)において、新たに通則34を設け、一般試験法〈2.66〉元素不純物試験法を改正することにより、日本薬局方収載の医薬品製剤について、ICH―Q3Dを踏まえた元素不純物管理を求めることとしております。なお、新薬局方の一般試験法〈2.66〉元素不純物では、すでにガイドライン通知の改正(令和2年6月26日付け薬生薬審発0626第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)に対応した許容一日曝露量の値に修正されています。

また、それら以外の医療用医薬品製剤についてもガイドライン通知の適用を拡大し、同様の管理を求めることとしております。

以上の取扱いに関して、基本的な考え方を別添のとおりとりまとめたので、御了知の上、貴管下関係業者に周知をよろしく御配慮願います。

[別添]

1.元素不純物の管理に関する基本的な考え方

(1) 適用範囲

日本薬局方収載の医療用医薬品(以下「日局品」という。)製剤及び日本薬局方に収載されていない医療用医薬品(以下「局外品」という。)製剤に対する適用範囲を以下のとおりとする。

① 日局品製剤

新薬局方の一般試験法〈2.66〉元素不純物Ⅰ.2.で規定される範囲とする。

② 局外品製剤

ガイドライン通知別添の「2.ガイドラインの適用範囲」を適用範囲とする。なお、この中で「既存製剤に対するQ3Dの適用は、ICHによる当該ガイドラインの公表後、36か月より前には期待されない。」とされているが、既に36か月が経過したことを鑑み、これら製剤についても適用範囲に含めることとする。

(2) 適用時期

日局品製剤及び局外品製剤のいずれにおいても、新薬局方の告示施行後、36か月までにガイドライン通知及び新薬局方の規定に基づく、ICH―Q3Dを踏まえた元素不純物の管理に対応することが求められる。

(3) 求められる管理

医薬品製造販売業者(以下「製販業者」という。)はガイドライン通知又は一般試験法〈2.66〉元素不純物に基づき、製剤中に残留する元素不純物について適切な管理を行い、その管理状況について説明できることが求められる。また、原薬、添加剤、容器施栓系等の供給業者(以下「製販以外の業者」という。)も、元素不純物についてのリスクアセスメントに基づく適切な管理を行い、製販業者による元素不純物管理に資するよう可能な限り情報提供を行う必要がある。

あらゆる起源に由来する製剤中元素不純物の合計が一貫して設定した許容一日曝露量(permitted daily exposure:PDE)の30%(以下「管理閾値」という。)を超えないと予想される場合において、製販業者がデータを適切に評価し、元素不純物の適切な管理を実証したときには、日常的な管理は必要とされない。管理閾値を超える場合には、ガイドライン通知又は新薬局方の一般試験法〈2.66〉元素不純物Ⅰ.4.1.を踏まえて適切な管理を策定すること。

(4) 日本薬局方の医薬品各条等に規定されている元素不純物の取扱い

上記1(3)を実施した場合は新薬局方の通則34に基づき、その目的と重複する医薬品各条及びその他一般試験法等で規定される重金属、ヒ素などの元素不純物の管理は必須ではない。

(5) 他の医薬品等の規格集等に収載されている元素不純物の取扱い

上記1(3)と目的が重複する、以下の規格集等に収載されている事項も同様に上記1(3)及び(4)の取扱いを適用する。

① 平成14年9月20日付け医薬発第0920001号厚生労働省医薬局長通知「日本薬局方外医薬品規格2002について」の別添

② 平成11年9月22日付け医薬発第1117号厚生省医薬安全局長通知「日本薬局方外医薬品規格第四部の創設等について(日本薬局方外医薬品規格1997の一部改正について)」の別添

③ 平成30年3月29日付け薬生発0329第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知「医薬品添加物規格2018について」の別添

2.新薬局方告示前に既に承認されている品目の取扱い

(1) 上記1(3)による管理を実施し、実生産又はパイロットスケールで適切なロット数のデータ等により、管理閾値を恒常的に下回ることが確認でき、日常的な分析管理を要しないと判断できる場合

① 上記1(3)に基づく管理と目的が重複する「規格及び試験方法」欄のみ削除する場合

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「法」という。)第14条第14項の規定に基づく承認事項の軽微変更に係る届出(以下「軽微変更届出」という。)を行うことができる(原薬等登録原簿(以下「MF」という。)の場合は、法第80条の8第2項の規定に基づくMFの登録事項軽微変更届出(以下、「MF軽変届出」という。))が、法第14条第13項の規定に基づく承認事項の一部変更承認申請(以下「一変申請」という。)を別途行う機会(MFの場合は、法第80条の8第1項の規定に基づくMFの登録事項変更申請(以下「MF変更登録申請」という。))等に、当該判断をした根拠データ等の提出を求めることがあるので、当該データ等を適切に保存しておく必要がある。判断に迷う場合は審査当局に相談の上で対応すること。軽微変更届出又はMF軽変届出の際は、各届出書の「備考」欄に「令和2年12月28日薬生薬審発1228第7号「医療用医薬品に係る元素不純物の取扱いについて」による届出」と記載し、各公定書及び規格集に規定される重金属、ヒ素などの元素不純物に関する規定を行わない旨を記載すること。

② 上記1(3)に基づく管理と目的が重複する「規格及び試験方法」欄の削除に伴い、「製造方法」欄の変更が生じる場合

一変申請又はMF変更登録申請を以下の点に留意した上で行うこと。

ア.原則として当該品目に係る医薬品製造販売承認書の写しを添付し、さらに、平成26年11月21日付け薬食発第2号厚生労働省医薬食品局長通知「医薬品の承認申請について」の別表1のロの3の資料が必要となるほか、必要に応じ、同通知の別表1のハの3又はホの5の資料を添付すること。

イ.一変申請書又はMF変更登録申請書の変更する欄及び「備考」欄の記載は、昭和55年10月9日付け薬審第1462号厚生省薬務局審査課長・生物製剤課長通知「日本薬局方医薬品の製造又は輸入の承認・許可申請の取扱いについて」の別記「日本薬局方医薬品に係る承認申請書の記載要領」に準拠し、「備考」欄には、「令和2年12月28日薬生薬審発1228第7号「医療用医薬品に係る元素不純物の取扱いについて」による一変申請(MFの場合は、MF変更登録申請)である」旨を併せて記載すること。

(2) 上記1(3)による管理を実施し、管理閾値を超える場合

添加剤の変更や製造工程等の見直し等を行うか、または潜在するリスクに応じて、規格及び試験方法又は工程内試験を設定した上で一変申請又はMF変更登録申請すること。

(3) 上記1(3)による管理を実施し、設定PDE値を超える場合

添加剤の変更や製造工程等を見直した上で、一変申請又はMF変更登録申請等の必要な措置により、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第50条(直接の容器等の記載事項)、第55条(販売、授与等の禁止)及び第56条(販売、製造等の禁止)に抵触することがないよう、新薬局方の告示施行後、36か月までに遅滞なく改正後の基準に改めて管理する必要があること。