アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○「生理学的薬物速度論モデルの解析報告書に関するガイドライン」について

(令和2年12月21日)

(薬生薬審発1221第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)

(公印省略)

近年、医薬品の投与後の薬物動態、薬理反応、有効性又は安全性データの一連の関係について、構築した数理学的なモデルを基に、それらの関係を推定する試みとしてモデリング&シミュレーション(M&S)を活用した開発戦略が注目されています。M&Sの手法の一つとして、ヒトの生理学的な情報、医薬品の生化学的、物理化学的な情報等を利用してモデルを組み上げ解析する生理学的薬物速度論(Physiologically based pharmacokinetic:PBPK)モデルを用いた解析があり、薬物相互作用の検討や小児等の特定の背景を有する集団における薬物動態の推定、用法・用量の設定等を行う上で有用な手法の一つです。

厚生労働省では、近年、製造販売承認申請時にPBPKモデルを用いた解析を活用した例が増加していることを踏まえ、PBPKモデルを用いた解析を用いた評価結果が適切に報告されるよう、別添のとおり「生理学的薬物速度論モデルの解析報告書に関するガイドライン」を作成しました。つきましては、貴管下関係業者等に対し周知方願います。

なお、本ガイドラインでは、本文で示しているとおり、医薬品の開発時におけるPBPKモデルを用いた解析結果を提出するための解析報告書を作成する際の留意事項及び基本的考え方を提示しています。本ガイドラインは現時点での科学的知見に基づいて検討されたものですので、本ガイドラインを参考にしつつ、学問や科学技術の進展に伴い新たな知見が得られた場合は、科学的な判断に基づき柔軟な対応を考慮していただきますよう、御留意願います。

(別添)

生理学的薬物速度論モデルの解析報告書に関するガイドライン

目次

1.はじめに

1―1.序文

1―2.適用範囲

2.解析報告書の記載内容

2―1.概要

2―2.目的

2―3.背景情報

2―4.解析方法

2―4―1.仮定

2―4―2.生体パラメータの情報

2―4―3.モデル構築に関連する薬剤情報

2―4―4.シミュレーション

2―4―5.モデルの信頼性評価の方法

2―5.結果

2―5―1.モデルの信頼性評価の結果

2―5―2.モデルの適用

2―6.考察

3.PBPKプラットフォーム

4.承認申請時等の電子データ提出

5.関連する指針及びガイドライン

6.用語一覧

生理学的薬物速度論モデルの解析報告書に関するガイドライン

1.はじめに

1.1.序文

生理学的薬物速度論(Physiologically based pharmacokinetic:PBPK)モデルとは、生理学的、物理化学的、生化学的及び薬物動態学的な要因を踏まえたメカニズムに基づく数理学的なモデルである。当該モデルは、メカニズムに基づくモデル構造及びパラメータにより記述され、薬物等の吸収、分布、代謝及び排泄を考慮し、薬物等の組織内及び血中濃度推移の動的な予測を可能とする。PBPKモデルを用いた解析では、ある薬剤の薬物動態学的挙動の機序及び特定の因子による影響等を説明するために、生理学、薬剤及び母集団特性を組み合わせたモデルの構築並びにシミュレーションが実施される。

医薬品開発全体を通じて、PBPKモデルによる予測は、特定の臨床試験の実施の必要性及び実施方法に関する意思決定に有用な情報を与える可能性があり、適切に実施されたPBPKモデルによるシミュレーションの結果は、用法・用量の調節、注意喚起の要否の判断及びそれらの設定根拠として用いることができる。PBPKモデルを用いた解析は、薬物相互作用の定性的、定量的な予測や、小児を対象とした臨床試験の用法・用量の設定根拠を示す目的等で有用と考えられる。また、ヒト初回投与試験においては、初回用量を検討するために用いられることがある。

本ガイドラインの目的は、規制当局に提示される資料の一貫性の維持、治験相談、承認審査等における適時の意思決定の促進、及び適切な情報提供のためのPBPKモデルの解析報告書の内容の標準化である。

本ガイドラインは、医薬品開発においてPBPKモデルを用いた解析結果が適切に規制当局に報告されるように、PBPKモデルを用いた解析結果を報告する際の留意事項及び基本的考え方についてとりまとめたものである。PBPKモデルによるシミュレーション結果の利用可能性は、その解析の目的及び信頼性を考慮して個々の薬剤ごとに判断されることに留意する必要がある。

本文書に挙げた各事項は、現時点での科学的知見に基づいて検討されたものであるが、今後の理論とその応用の両面での研究の進展に伴い、新たな知見が得られた場合は、科学的な判断に基づき、柔軟な対応を考慮することが必要である。

1.2.適用範囲

本ガイドラインは、医薬品のライフサイクルを通じ、医薬品の承認申請、治験相談等で、規制当局に提示されるPBPKモデルを用いた解析に適用するものとする。

2.解析報告書の記載内容

2.1.概要

PBPKモデルを用いた解析の実施目的、方法(モデル構築に使用した背景情報、モデル構築及びモデルの妥当性の評価方法等)、結果、考察及び重要な結論に関する概要を記載する。

2.2.目的

PBPKモデルを用いた解析の目的は、その薬剤の開発における解析の位置付け、解析の実施に至った背景や理由を含め簡潔に記載する。

2.3.背景情報

PBPKモデルの解析報告書の背景情報には、その薬剤のPBPKモデルを用いた解析に関連する臨床開発上の戦略や臨床開発におけるPBPKモデルを用いた解析の位置付け、及び薬剤に関する情報の概要を記載する。PBPKモデルを用いた解析に関連する臨床開発上の戦略の検討にあたっては、事前に規定した解析の目的を踏まえ、モデルの検証のために最適なデータを入手できるような開発計画を考慮すべきである。また、解析の位置付け及び開発戦略は、必要に応じて図表等を用いながら示すことが望ましい。

モデル構築に関連する薬剤情報の概要として、in vivo及びin vitro試験で得られた吸収、分布、代謝及び排泄の薬物動態特性に重点を置きながら記載すべきであり、可能な場合は薬剤の吸収率、初回通過効果及び蛋白結合率の情報、並びに薬剤の各種消失経路(薬物代謝酵素、トランスポーター、腎排泄等)の寄与率を定量的に示したマスバランスの説明を参考文献と併せて記載すべきである。必要に応じて、図などを用いて視覚的に理解しやすく説明することが望ましい。

また、薬剤の物理化学的特性、薬物動態学的相互作用及び薬理遺伝学的な因子による薬物動態への影響に関するデータ等も必要に応じて記載すべきである。薬剤の曝露量に変化が生じ得るシナリオを予測するためにPBPKモデルを用いる場合には、有効性及び安全性に関する曝露―反応関係、又は有効性及び安全性の主たる根拠となる試験における曝露量に関する既存の知見も背景情報に含めるべきである。小児や腎機能が低下した被験者等、特定の背景を有する(患者)集団の薬物動態を推定する場合には、各種消失経路の寄与率の変化の可能性など、生体パラメータの妥当性を裏付ける根拠情報も示すべきである。モデルを構築した他の被験者集団におけるPBPKモデルを用いた解析結果があれば、その要約も必要に応じて記載する。

2.4.解析方法

モデルの検証、パラメータの推定等、解析に試験データを用いる場合は解析の目的を考慮し適切なデータを用いるべきである。

本項には解析計画時に設定した仮定、モデル構築に関連した生体及び薬剤情報、モデル構造及びその構築過程、シミュレーション条件並びにモデルの信頼性評価の方法に関する情報等について、規制当局担当者等が解析の内容を理解し、再現するために十分な情報を記載する。その際、モデルの構築、検証、更新、適用等、モデル解析のワークフローも含めて記述する。モデル解析のワークフローについては、概要を示した図を含めることが望ましい。また、使用したPBPKプラットフォームに関する情報も記載する。

2.4.1.仮定

生体及び薬剤情報並びにそれを用いたモデル構築で設定した仮定は、モデル及び解析結果の不確実性を検討及び理解する上で重要であるため、明確に記載する必要がある。

モデルの構造を本解析報告書中で説明し、使用したモデル構造の科学的根拠をそのモデルに関連する仮定と共に示す。

仮定の妥当性を裏付けるデータを提示し、モデルの不確定な部分に関する詳細な情報並びにそれらの仮定がモデル、シミュレーション結果及びシミュレーション結果を利用した判断に及ぼす影響と併せて記載する。

仮定の根拠や妥当性が十分に明らかになっている場合や確認が不可能な場合を除き、以後実施する試験又はシミュレーションで仮定の妥当性を評価すべきであり、評価を実施した場合は仮定の妥当性の検討に用いた手法及び結果を記載する。

2.4.2.生体パラメータの情報

生体パラメータ及びその情報源を、表等を用いて記載する。データの情報源は、必要に応じて参考文献を添付し、パラメータ値の設定根拠を記載する。市販のPBPKプラットフォームの既定値のパラメータを使用した場合にも、少なくとも特定のプラットフォームの既定値のパラメータを使用した旨が分かるように記載する。生体パラメータを推定した場合には、その推定方法について記載する。試験データを用いて生体パラメータの最適化を行った場合は、最適化の妥当性を示すとともに、用いた手法及び最適化されたモデルの妥当性、並びに最適化をモデル構築プロセスのどの部分で行ったかを記載する。使用した生体パラメータに関する前提条件(想定した集団に関する情報等)についても記載する。例えば、日本人集団を想定したシミュレーションを実施した場合は、その旨を明確に記載するとともに、日本人集団のパラメータの情報を記載する。

2.4.3.モデル構築に関連する薬剤情報

モデルに組み込んだ薬剤パラメータ及びその情報源は、表等を用いて明記する。また、薬剤パラメータの情報源(物理化学的特性及びin vitroデータを含む)は、必要に応じて試験報告書又は参考文献等を添付する。非臨床及び臨床データの結果を用いてパラメータの最適化を行った場合は、用いたデータを含む各パラメータの最適化の方法、最適化に至るまでの経緯及びモデルの妥当性を示す。用いたパラメータの情報源が複数存在する場合は、選択した値の妥当性を示し、感度分析等の手法を用いてその影響についても考察する。パラメータの推定に影響する可能性のある要素がある場合には、その要素を明記する。薬剤パラメータが推定値の場合は、推定方法及び推定に用いた情報源についても記載する。パラメータの推定値については表等を用いて明記し、必要に応じて、その信頼性を示すとともに薬物動態学的な妥当性についても考察する。

薬物相互作用の予測をした際には、代謝酵素等の選択的な(又は指標薬となる)基質、阻害剤又は誘導剤の情報及び選択の適切性等、併用を想定する薬剤の薬剤パラメータに関する情報についても、検討の対象とする薬剤と同様の情報を示す必要がある。

2.4.4.シミュレーション

シミュレーション条件及び妥当性の説明には、モデルの構築、検証及び適用に関する次の情報を含める。

・ 検討の対象とする薬剤及び併用薬の投与経路

・ 用法・用量及び剤形

・ 投与条件(空腹時投与、食後投与等)

・ 被験者背景等、シミュレーションを実施するのに必要な母集団及び試験条件に関する情報

・ それぞれのシミュレーションで仮定した被験者数と試行回数

2.4.5.モデルの信頼性評価の方法

モデルの信頼性評価の方法については、モデルの検証や感度分析等に用いた方法や手法を明確に示す。

目的に合わせてモデル及びシミュレーション結果を評価すべきであり、評価基準は解析の目的によって異なる。モデルの検証はモデル構築及びシミュレーションの中でその目的にとって重要となる部分に焦点を当てて行うべきであるため、評価方法について明記することは重要である。モデルの検証は、目的に応じて、シミュレーションデータと実測データを比較することにより行うべきである。その際、目的と関連する様々な観点(用量依存性〔線形性/非線形性〕、薬物相互作用、各種投与経路〔例:静脈内投与と経口投与の比較〕、製剤等)から比較をすることで、モデルの妥当性に対するさらなる裏付けが得られる可能性もある。

感度分析は、特にシミュレーションの結果及び考察に影響を及ぼす可能性が高く、不確実性の高いパラメータについて実施されるべきである。実施した感度分析は、すべて報告書に明記する。感度分析における各パラメータの範囲の妥当性は、事前の科学的知見又は推定される既知のばらつきに基づいて考察すべきであり、保守的な検討が推奨される。例えば、PBPKモデルを用いてシトクロムP450の基質の曝露量に及ぼす薬剤の阻害作用の影響を予測する場合は、阻害活性(例:可逆的阻害の阻害定数Ki)を保守的に評価する感度分析が有用と考えられる。重要な仮定については、「ワーストケース」を想定し感度分析を行うことが推奨され、特に不確実性の高いパラメータ値を用いる際には注意する。また、小児集団を対象としてPBPKモデルを用いた解析を実施する場合、必要に応じて消失に関与する代謝酵素及びトランスポーターの成熟度に関連するパラメータについて、不確実性の評価のために感度分析を行うことが望ましい。

2.5.結果

2.5.1.モデルの信頼性評価の結果

構築したPBPKモデルがモデリング及びシミュレーションの目的や課題の検討のために適切であること、並びにモデルの頑健性を明示するのに十分な解析結果及び情報を提供する。

モデルパラメータの不確実性を含めPBPKモデルの予測性能がモデリング及びシミュレーションの目的に対して許容できない場合は、さらなる薬物動態学的特性に関するデータ等の情報を蓄積する等によりモデルの改良又は更新すべきである。そのため、当該モデルの性能の限界について言及するとともにモデルの信頼性評価に関する結果及び情報を記載することは重要である。また、構築したPBPKモデルの予測性能に関する評価結果を記載し、対象となる薬剤の実際の薬物動態学的特徴を一貫して説明又は表現できることを示す必要がある。それが困難な場合には、当該モデルの限界から、そのモデルを特定のシナリオにおけるシミュレーションに使用することはできない場合がある。

モデルの頑健性を示す際には、モデルの頑健性に対する考察が適切に行われるよう、PBPKモデルの検証や感度分析等、結果を明確に示す。予測性能を評価する際には、血中濃度推移のシミュレーションと実測データの比較を重ね合わせてプロット(線形プロット及び片対数プロット)した図として提示する。また、シミュレーションデータの平均濃度推移周りに実測データが分布する傾向やシミュレーションの予測区間に対する実測値のばらつき等を視覚的に比較できる図が有用な場合もある。また、シミュレーションデータと実測データから得られる薬物動態パラメータの比較の際には、表形式で記述統計量等を提示する。血中濃度推移や薬物動態パラメータ(Cmax、AUC等)の予測性能が不良である傾向が認められた場合は、そのことが解析の目的とする検討に与える影響の考察に対応した情報を、必要に応じて図表等用いて示す。感度分析を実施した場合には、当該項目に結果を記載する。結果の記載に際しては、図等を用いて視覚的に示すことが有用である。

2.5.2.モデルの適用

モデル構築の目的に対応したシミュレーションの結果は、明確かつ網羅的に提示する。シミュレーションから得られる薬物動態パラメータ(Cmax、AUC等)の集計結果を示し、必要に応じて図を用いて視覚的に提示する。パラメータ値は、平均値、標準偏差又は範囲等の記述統計量で報告する。

2.6.考察

構築したPBPKモデルについては、科学的妥当性、モデルの不確実性及び限界を考察し、利用目的に応じたシミュレーション結果の妥当性を記載する。

PBPKモデルの科学的妥当性については、既存の実測値等の情報を考慮して考察する。シミュレーションの利用目的によっては、その平均値だけでなく、個体間変動の大きさも考慮することが重要である。感度分析の結果については、シミュレーションの利用目的、条件及び予想される臨床的影響を考慮して、各パラメータのシミュレーション結果に及ぼす影響を考察する。パラメータの不確実性やモデルの適用の限界についても考察し、これらの限界がシミュレーション結果及びその解釈に及ぼし得る影響も考察する。

PBPKモデルによるシミュレーションにより薬剤の曝露量の変化を予測し、特定の推奨用法・用量の根拠とする場合には、曝露量と有効性及び安全性の関係を考慮することが重要である。

PBPKモデルによるシミュレーション結果を、臨床開発又は臨床使用上の意思決定に用いる場合(臨床試験データの代用、注意喚起の要否又は程度、用量調節の根拠等)は、有効性及び安全性に対する影響、並びにリスクを含め、シミュレーション結果を意思決定に用いることの妥当性について考察する。

3.PBPKプラットフォーム

本ガイドラインは、市販のPBPKプラットフォーム又は市販品ではない独自に構築されたPBPKプラットフォームのいずれにも適用される。市販品を使用する場合は、PBPKモデルを用いた解析に使用したソフトウェア名、バージョン等の基本的な情報は報告書に記載されるべきである。市販のPBPKプラットフォームに付属している薬剤パラメータや生体パラメータを用いる場合も、解析の目的に合わせて予測性能を確認する必要がある。また、特定の用途のために必要な場合は、市販のPBPKプラットフォームに付属している薬剤パラメータや生体パラメータを修正又は変更して使用することも可能であるが、修正又は変更点については明確に説明し、修正又は変更して使用することの妥当性を示す必要がある。

市販のPBPKプラットフォームの使用の有無に関わらず、生体パラメータ、薬剤パラメータ、シミュレーション等に関する情報は、前述の「2.解析報告書の記載内容」に基づき、適切に報告する必要がある。

また、必要に応じて、適合性確認の方法と結果を「2.4.解析方法」及び「2.5.結果」の項に記載する。

4.承認申請時等の電子データ提出

承認申請時等の電子データの提出対象となるPBPKモデルを用いた解析については、解析報告書に加えて、関連する一連の通知等に従い、電子データを提出する。

5.関連する指針及びガイドライン

1) 平成30年7月23日付 薬生薬審発0723第4号、「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン」について

2) 平成12年12月15日付 医薬審第1334号、小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンスについて(ICH E11ガイドライン)

3) 平成29年12月27日付 薬生薬審発1227第5号、小児集団における医薬品開発の臨床試験に関するガイダンスの補遺について(ICH E11(R1)ガイドライン)

4) 令和元年12月25日付 薬生薬審発1225第1号、「医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンス」の改訂等について

5) 令和2年6月8日付 薬生薬審発0608第4号、「医薬品の曝露―反応解析ガイドライン」について

6) 令和2年3月18日付 薬生薬審発0318第4号、「承認申請時の電子データ提出に関する基本的な考え方について」の一部改正について

7) 平成31年1月24日付 薬生薬審発0124第4号、「承認申請時の電子データ提出に関する実務的事項について」の一部改正について

6.用語一覧

・ 薬剤パラメータ

物理化学的特性、in vitro及びin vivoにおける吸収、分布、代謝及び排泄に関する薬物動態特性等のモデル構築の対象となる薬剤に依存するパラメータ。

・ 生体パラメータ

臓器血流量、組織構成、酵素及びトランスポーターの量等、ヒトの生理学的特性に関する生体システム依存的なパラメータ。シミュレーションの対象とする集団に依存するパラメータ。

・ 適合性確認(verification)

数値計算が適切に実行されて、数学的モデルを適切に解いているかどうかを確認する行為。

・ モデルの検証(validation)

シミュレーションの結果に基づき、モデルが現実の状況をどの程度適切に反映するかを確認する行為。典型的条件で実際に得られた実験又は試験データとの比較により行われる。

・ モデルの信頼性評価

特定の利用目的におけるPBPKモデルの予測性能に対する信頼性(credibility)を評価する行為。適合性確認及びモデルの検証の結果、利用目的に対して適用することが適切であるか(applicability)等を考慮して総合的に評価される。

・ モデルの頑健性

モデルの使用目的に対して、不確実性のあるモデルパラメータの変動に対して想定される変動の範囲で一貫した結論が得られるかどうか。

以上