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○自ら治験を実施する者による医薬品の治験の実施に関する質疑応答集(Q&A)について

(令和2年12月9日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課通知)

自ら治験を実施する者による医薬品の治験は、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9年厚生省令第28号)及び「「「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」の改正について」(令和2年8月31日付け薬生薬審発0831第15号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)に基づき実施されています。また、自ら治験を実施しようとする者による薬物に係る治験の計画の届出等の取扱い並びに自ら治験を実施する者による治験中の副作用等報告及び治験薬の取扱いについて、各種関連通知により示してきました。

今般、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令(令和2年厚生労働省令第155号)の施行に伴い、自ら治験を実施する者による医薬品の治験の実施に関する質疑応答集(Q&A)を別添のとおり改めましたので、貴管下関係業者及び医療機関に対して周知いただきますよう御配慮願います。

(別添)

自ら治験を実施する者による医薬品の治験の実施に関する質疑応答集(Q&A)

※ 本質疑応答集においては、次のとおり略語を用いるものとする。

「GCP省令」

・・・医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)

「GCPガイダンス」

・・・「「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」の改正について(令和2年8月31日付け薬生薬審発0831第15号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)

「治験薬GMP通知」

・・・治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)について(平成20年7月9日付け薬食発第0709002号厚生労働省医薬食品局長通知)

「IRB」

・・・治験審査委員会

○治験の管理に関して

Q1:

GCPガイダンス第26条の2第7項について、「自ら治験を実施する者は、規制当局に治験計画の届出が受理されるまで、治験薬の提供を受けてはならない。」とある。例えば、自ら治験を実施する者の管理する倉庫への入庫は、計画の届出が受理後でなければならないか。

A1:

治験薬を保管する場所が実施医療機関の外であれば、治験薬の提供には当たらない。なお、治験薬の管理責任の所在を明らかにし、治験薬を適切に取り扱うこと。

Q2:

GCP省令第26条の2第1項について、治験薬の容器又は被包に記載するべき事項に自ら治験を実施する者の職名がある。職名は、治験の実施中に変更となる場合も多いため、「医師」と記載することでも差し支えないか。

A2:

原則として、治験薬の責任の所在を明確にするため、治験薬の容器又は被包に自ら治験を実施する者の職名を記載すること。

ただし、治験実施中に職名の変更の可能性等がある場合で、他の情報により治験薬の責任の所在が明確に判断できる場合においては、「医師」といった記載も含め、治験薬の責任の所在を明確にするために適切な職名を記載することで差し支えない。

Q3:

GCP省令第26条の2及び第26条の3の治験薬の管理及び品質の確保について、既に市販されている医薬品を治験薬として使用する際に、治験薬の被包(又はラベル)の変更(又は貼替え)はどのように取り扱うべきか。

A3:

治験薬の被包等の表示に当たっては、治験薬GMP通知に規定されている手順や記録の確認、必要な構造設備の確保等といった治験薬の品質を確保するために必要な体制を整えること。治験薬GMP通知の第2 治験薬の製造管理及び品質管理に基づき、手順書等の文書整備、教育訓練、記録、点検等を行い、適切な構造設備の下で製造管理及び品質管理がなされるのであれば、実施医療機関等で表示を行っても差し支えない。

既に市販されている医薬品を治験薬として使用する際には、当該医薬品の物性・特性に応じた適切な構造設備、手順等について、科学的観点からリスクベースで検討し、自ら治験を実施する者がその責任を果たすよう十分な取決めのもとで表示の変更を行わせること。

Q4:

GCP省令第26条の8第2項及び第26条の9第3項について、多施設共同治験において、モニター又は監査担当者は、一つの実施医療機関を対象としたモニタリング報告書又は監査報告書を、他の実施医療機関の全ての自ら治験を実施する者及び全ての実施医療機関の長に提出する必要はあるか。

A4:

一つの実施医療機関を対象としたモニタリング報告書及び監査報告書については、他の自ら治験を実施する者及び他の実施医療機関の長に提出する必要はない。

なお、当該モニタリング報告書及び当該監査報告書の内容並びにそれらに対するIRBの意見のうち、当該治験に係る重要な事項については、他の全ての自ら治験を実施する者及び他の全ての実施医療機関の長に情報を共有すること。

Q5:

GCP省令第26条の8第2項及び第26条の9第3項について、モニター又は監査担当者は、モニタリング報告書又は監査報告書の原本を自ら治験を実施する者に提出し、実施医療機関の長にはその写しを提出することでよいか。

A5:

自ら治験を実施する者、実施医療機関の長等の合意があらかじめ得られている場合であって、自ら治験を実施する者及び実施医療機関の長を連名で宛先として作成する場合であれば、一方を正本(原本)、もう一方を副本(正本の写し)とすることでも差し支えない。ただし、この場合においては、そうした取扱いについて手順書等であらかじめ定めておくこと。

Q6:

GCP省令第31条第4項について、多施設共同治験において、治験調整医師を置く場合、治験調整医師の業務に関する監査報告書は、全ての実施医療機関においてIRBの審査を受ける必要はあるか。治験調整医師が所属する実施医療機関のIRBの審査のみを受ければ良いか。

A6:

治験調整医師の業務に関する監査報告書については、治験調整医師が所属する実施医療機関のIRBのみで審査をすることで良い。また、治験調整医師が当該医師主導治験を実施している実施医療機関のいずれにも所属していない場合においては、いずれかの実施医療機関のIRBで審査をすることで良い。

ただし、自ら治験を実施する者は、治験の実施に当たり、治験調整医師への業務委嘱書、監査に関する計画書及び業務に関する手順書等の文書を適切に作成し、当該監査報告書の提出先及び審議を依頼するIRBの選定手順等の取扱いについて、あらかじめ明確にしておくこと。また、それらの文書については、全ての実施医療機関のIRBに提出され、当該監査報告書の取扱いを含めて審議されていることが必要である。

なお、当該監査報告書の内容及び当該監査報告書に対するIRBの意見のうち、当該治験に係る重要な事項については、他の全ての自ら治験を実施する者及び他の全ての実施医療機関の長に情報を共有すること。

Q7:

GCP省令第26条の12について、多施設共同治験において、治験調整医師の調整業務で発生した文書を全ての自ら治験を実施する者が保存する必要があるか。治験調整医師に記録保存業務を委託することは可能か。

A7:

各自ら治験を実施する者の責任の下、調整業務において発生した文書の所在が明確にされていれば、治験調整医師に記録保存業務を委託することが可能である。ただし、監査担当者又は規制当局の求めに応じて、速やかに治験調整医師の調整業務で発生した文書を提示できる管理体制を構築している必要がある。

Q8:

GCPガイダンス第26条の8第2項第3号について、モニタリング報告書に関して行った点検とフォローアップを文書化する業務には、誰を指名することが適切か。

A8:

自ら治験を実施する者が、治験の実施体制を考慮して判断すべきである。例えば、モニタリングを実施したモニターとは別のモニタリング業務の責任者等が想定される。なお、当該業務を行う者については、あらかじめモニタリングに関する手順書等により定めておくこと。

○治験の安全性情報の取扱いについて

Q9:

既に市販されている医薬品を治験使用薬として使用する場合においても、自ら治験を実施する者は、これらの医薬品が被疑薬となった場合、治験副作用等報告をする必要があるか。

A9:

必要がある。ただし、自ら治験を実施する者が行う治験以外で発生した治験副作用等報告、外国措置報告及び研究報告について、当該報告に係る情報を知った時点で、既に治験使用薬の製造販売業者等によって規制当局へ報告されている場合又は報告予定日の連絡を受けるなど法令で定められた期間内に規制当局へ報告される予定であることが確認できた場合は、重複する報告を省略して差し支えない。その場合、両者の間で適切に情報を共有するとともに、あらかじめ治験届の備考欄に「「自ら治験を実施した者による治験副作用等報告について」(令和2年8月31日付け薬生薬審発0831第13号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)1.(1)に該当するものについて、その報告を省略する。」と記載すること。