アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○特定給食施設における栄養管理に関する指導・支援等について

(令和2年3月31日)

(健健発0331第2号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局健康課長通知)

(公印省略)

特定給食施設の栄養管理に関しては、健康増進法(平成14年法律第103号)に基づき実施されているところである。

特定給食施設における栄養管理に関する指導・支援等については、別添1を参考にしていただくとともに、別添2の内容について御了知の上、特定給食施設への周知等、対応方よろしく御配慮願いたい。

なお、特定給食施設の指導等に係る事務は、都道府県、保健所設置市及び特別区の自治事務(地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第8項)であり、本通知は、地方自治法第245条の4第1項の技術的助言であることを付言する。

また、本通知の施行に伴い、「特定給食施設における栄養管理に関する指導及び支援について」(平成25年3月29日付け健が発0329第3号厚生労働省健康局がん対策・健康増進課長通知)は廃止する。

別添1

○特定給食施設における栄養管理に関する指導・支援等について

(令和2年3月31日)

(健健発0331第2号)

第1 特定給食施設等に関する基本的事項について

1 特定給食施設は、健康増進法(平成14年法律第103号。以下「法」という。)第20条第1項に規定される施設であり、特定かつ多数の者に対して継続的に食事を供給する施設のうち栄養管理が必要なもの(継続的に1回100食以上又は1日250食以上の食事を供給する施設)をいう。

なお、施設外で調理された弁当等を供給する施設であっても、当該施設の設置者が、当該施設を利用して食事の供給を受ける者に一定の食数を継続的に供給することを目的として、弁当業者等と契約をしている場合には特定給食施設の対象となること。

2 特定給食施設に対する指導を効率的に行う観点から、関係施設の設置者、管理者等の理解と協力を得ながら、法第20条第1項の届出が適切に行われるよう対応すること。

なお、同一敷地内に施設の種類や利用者(特定給食施設を利用して食事の供給を受ける者をいう。以下同じ。)の特性が明らかに異なる特定給食施設が複数設置されている場合は、それぞれ別の特定給食施設として届出をさせることが適当である。

3 法第22条に基づく特定給食施設の設置者に対する指導及び助言は、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては市長又は区長。)が法第21条第1項又は第3項の規定による栄養管理の実施を確保するために必要があると認めるときに行うものである。そのため、法第22条に基づく指導及び助言を行う場合には、その内容等については慎重に判断すること。

4 法第24条に基づく立入検査等は、法第22条に基づく指導及び助言や法第23条に基づく勧告及び命令を行うことを前提としたものである。

5 法第18条第1項第2号に基づく指導及び助言は、特定給食施設のほか、特定かつ多数の者に対して継続的に食事を供給する施設として各自治体の条例等に基づき把握される特定給食施設以外の施設(以下「その他の施設」という。)も対象となる。

また、当該指導及び助言は、栄養指導員が栄養管理の実施に関し必要な事項について行うものであり、例えば、特定給食施設及びその他の施設(以下「特定給食施設等」という。)において最低限の栄養管理が行われているものの、よりよい食事の供給を目指すために助言をするような場合も想定される。

第2 法第18条第1項第2号に基づく指導・助言等に係る留意事項について

1 現状分析に基づく効率的・効果的な指導・支援等の実施について

(1) 地域全体の食環境が向上するよう、管内施設全体の栄養管理状況及び地域の課題を踏まえた上で、課題解決に向けて効果的な指導計画を作成し、計画的に指導・支援等を行うこと。

(2) 管理栄養士又は栄養士の配置状況を分析し、未配置施設においても適切な栄養管理がなされるよう指導計画を作成するとともに、管理栄養士又は栄養士の配置が促進するよう助言すること。

(3) 病院・介護老人保健施設等については、地域の医療・介護等の質の向上を図る観点から、管内の医療機関等と必要なネットワークの構築に向けた調整を行い、入退院(入退所)前後の連携を促す支援も行うこと。

(4) 専門職としての高度な技能の確保に向けた取組については、職能団体の協力が得られるよう調整することとし、自治体が行う研修等と連携又は棲み分けを行い、計画的に当該地域の管理栄養士・栄養士の教育を行うこと。

(5) 事業所については、利用者に応じた食事の提供とともに、特定健診・特定保健指導等の実施もあわせ、利用者の身体状況の改善が図られるよう、指導・支援等を行うこと。

(6) 特定給食施設等に対して、他法令に基づく指導等を行う部署とは定期的に情報共有を行い、効果的な指導・助言のための連携体制の確保に努めること。

なお、学校への指導については、教育委員会と連携して行うこと。

(7) 給食業務を委託している場合は、栄養管理の責任は施設側にあるので、委託事業者の業務の状況を定期的に確認させ、必要な指示を行わせること。

(8) 栄養改善の効果を挙げている好事例を収集し、他の特定給食施設へ情報提供するなど、効果的な実践につながる仕組みづくりに努めること。

(9) その他の施設に対する指導・支援等に関しては、地域全体の健康増進への効果の程度を勘案し、より効率的・効果的に行うこと。

2 特定給食施設等における栄養管理の評価と指導計画の改善について

(1) 各施設の栄養管理の状況について、施設の種類別、管理栄養士・栄養士の配置の有無別等に評価を行うなど、改善が必要な課題が明確となるような分析を行うこと。

(2) 評価結果に基づき、課題解決が効率的・効果的に行われるよう、指導計画の改善を図ること。また、評価結果については、研修等の企画・立案の参考にするとともに、関係機関や関係者と共有する体制の確保に努めること。

(3) 利用者の身体状況の変化や栄養管理の状況等について評価を行い、栄養管理上の課題を抽出し、その課題から指導・支援等を重点的に行う施設の抽出を行うこと。

(4) 栄養管理上の課題抽出に当たっては、特に児童福祉施設、学校、事業所、寄宿舎等の健康増進を目的とした施設において提供される食事のエネルギー量の過不足の評価については、肥満及びやせに該当する者の割合の変化を参考にすること。

なお、提供栄養量の評価に当たっては、身体状況等の変化から給与栄養目標量の設定が適切であるかの確認を併せて行うことが重要であり、単に施設が設定した目標量と提供量が乖離していることをもって不足又は過剰と判断することは適切ではないこと。

(5) 特定給食施設等に対し、栄養管理の状況について報告を求める場合には、客観的に効果が評価できる主要な項目とすること。例えば、医学的な栄養管理を個々人に実施する施設に対し、給与栄養目標量や摂取量の平均的な数値の報告を求める必要性は乏しく、身体状況の変化等から栄養管理に課題のある可能性の高い利用者に提供される食事の内容等を優先的に確認し、評価すること。

ただし、利用者の多くに栄養管理上の課題が見受けられる場合には、基本となる献立(個別対応用に展開する前の献立)に課題がある可能性が高いため、施設の状況に応じて指導・助言等を行うこと。

(6) 病院・介護老人保健施設等については、栄養管理を行うために必要な連携体制が構築され、適切に機能しているかを確認すること。

(7) 栄養管理上の課題が見られる場合には、施設長に対し、評価結果を踏まえた課題解決への取組を促すこと。また、必要に応じて、改善状況又は改善計画について報告を求めること。

3 危機管理対策について

(1) 健康危機管理対策の一環として、災害等に備え、食料備蓄の確保を促すとともに、期限前の有効活用について助言すること。

(2) 災害等発生時でも適切な食事が供給されるよう、特定給食施設が担う役割を整理し、施設内及び施設間の協力体制の整備に努めること。

第3 管理栄養士を置かなければならない特定給食施設について

特定給食施設のうち、健康増進法施行規則(平成15年厚生労働省令第86号。以下「規則」という。)第7条各号に掲げる施設については、法第21条第1項の規定により管理栄養士を置かなければならないこととされているところ、これらの施設を指定する場合の運用の留意点は以下のとおりである。

なお、特定給食施設に該当するか否かの判断において、例えば、病院内の職員食堂など当該施設の利用者以外の者に供給される食数も含めることとしても差し支えないが、管理栄養士を置かなければならない施設として指定する際の食数については、除外することが適当である。

1 規則第7条第1号の指定の対象施設(一号施設)について

(1) 規則第7条第1号に掲げる特定給食施設(以下「一号施設」という。)とは、病院、介護老人保健施設又は介護医療院(以下「病院等」という。)に設置される特定給食施設であって、1回300食以上又は1日750食以上の食事を供給するものをいうこと。

(2) 供給食数の実績が1回300食未満及び1日750食未満の特定給食施設であっても、許可病床数(又は入所定員)300床(人)以上の病院等に設置されている特定給食施設は、一号施設とすること。

なお、(1)で示したとおり、1日の食事の供給数が750食以上であれば、許可病床数(又は入所定員)が300床(人)未満の場合であっても、一号施設とすること。

(3) 病院等を含む複数の施設を対象に食事を供給する特定給食施設については、当該病院等の許可病床数(入所定員)の合計が300床(人)以上である場合に、一号施設とすること。

2 一号施設以外の特定給食施設

(1) 規則第7条第2号に掲げる特定給食施設(以下「二号施設」という。)とは、以下の①から⑥に該当する施設のうち、継続して1回500食以上又は1日1,500以上の食事を供給するものをいうこと。

① 生活保護法第38条に規定する救護施設及び更正施設

② 老人福祉法第5条の3に規定する養護老人ホーム、特別養護老人ホーム及び軽費老人ホーム

③ 児童福祉法第37条に規定する乳児院、同法第41条に規定する児童養護施設、同法第42条第1号に規定する福祉型障害児入所施設、同法第43条の2に規定する児童心理治療施設、同法第44条に規定する児童自立支援施設

④ 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法第11条第1項の規定により設置する施設

⑤ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第11項に規定する障害者支援施設

⑥ 事業所、寄宿舎、矯正施設、自衛隊等(以下「事業所等」という。)

(2) 複数施設を対象に食事を供給する特定給食施設については、1(3)に該当する場合を除き、一号施設又は二号施設の対象となる施設種別である施設に供給する食事数の合計が1回500食以上又は1日1,500食以上である場合には、二号施設とすること。

この場合、病院等に対し1回に供給する食数については、供給食数の実績ではなく、許可病床数又は入所定員数(1日に供給する食事数については、許可病床数又は入所定員数の3倍の数)として取り扱うものとすること。

3 その他、社会福祉施設等に食事を供給する特定給食施設について

(1) 法第21条第1項の指定の対象施設となる特定給食施設のうち、法令等により栄養士を必置とされている複数の社会福祉施設及び児童福祉施設(以下「社会福祉施設等」という。)に限り食事を供給する施設にあっては、それぞれの社会福祉施設等に配置されている栄養士が各施設において栄養業務を行っていることに鑑み、法第21条第1項の指定の対象施設となる社会福祉施設等に供給される食事数が1回500食以上又は1日1,500食以上となるものがある場合には、二号施設とみなされること。

(2) 特定給食施設が複数の施設に食事を供給する場合であって、当該供給先の施設に法令等により栄養士を必置としない施設を含むときは、特定の対象者に継続的に食事を供給し、一号施設又は二号施設の対象となる施設種別である施設に供給される食事数が1回500食以上又は1日1,500食以上となる場合に、二号施設とみなされること。

ただし、供給先の施設を特定給食施設等として把握し、個別に管理する場合には、食数から除外することとし、重複することのないようにすること。

(3) 事業所等に対し食事を供給する特定給食施設にあっては、当該特定給食施設により事業所等に供給される食事が主として事業所等に勤務又は居住する者により喫食され、かつ、事業所等で勤務又は居住する者の概ね8割以上が当該給食施設で供給する食事を喫食するものであって1回500食以上又は1日1,500食以上供給する場合、二号施設とみなされること。

別添2

○特定給食施設が行う栄養管理に係る留意事項について

(令和2年3月31日)

(健健発0331第2号)

第1 趣旨

健康増進法(平成14年法律第103号。以下「法」という。)第20条の規定に基づき設置・届出された特定給食施設において、当該特定給食施設の設置者は、法第21条第3項の規定により、健康増進法施行規則(平成15年厚生労働省令第86号)第9条の基準(以下「栄養管理基準」という。)に従って適切な栄養管理を行わなければならないこととされているところ、本留意事項は、その運用上の留意点を示したものである。

特定給食施設の設置者及び管理者は、適切な栄養管理がなされるよう、体制を整えること。

なお、給食業務を委託している場合にあっては、栄養管理の責任は施設側にあるので、委託事業者の業務の状況を定期的に確認し、必要な指示を行うこと。

第2 特定給食施設が行う栄養管理について

1 身体の状況、栄養状態等の把握、食事の提供、品質管理及び評価について

(1) 利用者の性、年齢、身体の状況、食事の摂取状況、生活状況等を定期的に把握すること。

なお、食事の摂取状況については、可能な限り、給食以外の食事の状況も把握するよう努めること。

(2) (1)で把握した情報に基づき給与栄養量の目標を設定し、食事の提供に関する計画を作成すること。

なお、利用者間で必要な栄養量に差が大きい場合には、複数献立の提供や量の調整を行う等、各利用者に対して適切な選択肢が提供できるよう、工夫すること。複数献立とする場合には、各献立に対して給与栄養量の目標を設定すること。

(3) (2)で作成した計画に基づき、食材料の調達、調理及び提供を行うこと。

(4) (3)で提供した食事の摂取状況を定期的に把握するとともに、身体状況の変化を把握するなどし、これらの総合的な評価を行い、その結果に基づき、食事計画の改善を図ること。

(5) なお、提供エネルギー量の評価には、個々人の体重、体格の変化並びに肥満及びやせに該当する者の割合の変化を参考にすること。

ただし、より適切にエネルギー量の過不足を評価できる指標が他にある場合はこの限りではない。

2 提供する食事(給食)の献立について

(1) 給食の献立は、利用者の身体の状況、日常の食事の摂取量に占める給食の割合、嗜好等に配慮するとともに、料理の組合せや食品の組合せにも配慮して作成するよう努めること。

(2) 複数献立や選択食(カフェテリア方式)のように、利用者の自主性により料理の選択が行われる場合には、モデル的な料理の組合せを提示するよう努めること。

3 栄養に関する情報の提供について

(1) 利用者に対し献立表の掲示や熱量、たんぱく質、脂質、食塩等の主要栄養成分の表示を行うなど、健康や栄養に関する情報の提供を行うこと。

(2) 給食は、利用者が正しい食習慣を身に付け、より健康的な生活を送るために必要な知識を習得する良い機会であるため、各々の施設の実情に応じ利用者等に対して各種の媒体を活用することなどにより知識の普及に努めること。

4 書類の整備について

(1) 献立表など食事計画に関する書類とともに、利用者の身体状況など栄養管理の評価に必要な情報について適正に管理すること。

(2) 委託契約を交わしている場合は、委託契約の内容が確認できるよう委託契約書等を備えること。

5 衛生管理について

給食の運営は、衛生的かつ安全に行われること。具体的には、食品衛生法(昭和22年法律第233号)、「大規模食中毒対策等について」(平成9年3月24日付け衛食第85号生活衛生局長通知)の別添「大量調理施設衛生管理マニュアル」その他関係法令等の定めるところによること。

第3 災害等の備え

災害等発生時であっても栄養管理基準に沿った適切な栄養管理を行うため、平時から災害等発生時に備え、食料の備蓄や対応方法の整理など、体制の整備に努めること。