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○保健師助産師看護師学校養成所指定規則の一部を改正する省令の公布について(通知)
(令和2年10月30日)
(/2文科高第666号/医政発1030第15号/)
(各都道府県知事・各都道府県教育委員会教育長・各国公私立大学長あて文部科学省初等中等教育局長・文部科学省高等教育局長・厚生労働省医政局長通知)
(公印省略)
保健師助産師看護師学校養成所指定規則の一部を改正する省令(令和2年文部科学省・厚生労働省令第3号。以下「改正省令」という。)が別紙のとおり公布され、令和3年4月1日から施行されることとなった(ただし、2年課程の改正規定(別表三の二)については令和4年4月1日から施行。)。
今回の改正の趣旨、概要等は下記のとおりであるので、十分留意の上、貴職におかれては、これを御了知いただくとともに、各都道府県知事及び各都道府県教育委員会教育長におかれては、貴管内の学校又は養成所へ周知いただき、その実施について遺漏のないようお願いする。
記
1.改正の趣旨
少子高齢化が一層進む中で、地域医療構想の実現や地域包括ケアシステム構築の推進に向け、人口及び疾病構造の変化に応じた適切な医療提供体制の整備が必要である。また、医療・介護分野においても、AI(Artificial Intelligence:人工知能)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)等の情報通信技術(ICT)の導入が急速に進んできている。これらの変化に合わせて、患者をはじめとする対象のケアを中心的に担う看護職員の就業場所は、医療機関に限らず在宅や施設等へ拡がっており、多様な場において、多職種と連携して適切な保健・医療・福祉を提供することが期待されており、対象の多様性・複雑性に対応した看護を創造する能力が求められている。
こうした中、厚生労働省において平成30年4月から10回にわたり「看護基礎教育検討会」を開催し、現在の教育実態を踏まえ、将来を担う看護職員を養成するための看護基礎教育の内容と方法について検討を重ね、令和元年10月に、カリキュラム改正案や教育体制及び教育環境について報告書がとりまとめられた。
また、文部科学省においては、「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会」を開催し、厚生労働省における検討会の動向に呼応して、保健師助産師看護師学校養成所指定規則(昭和26年文部省・厚生省令第1号。以下「規則」という。)の適用に関する課題と対応策について検討を行い、令和元年12月に報告書がとりまとめられた。
今回の改正は、これらを踏まえ、保健師学校養成所、助産師学校養成所、看護師学校養成所及び准看護師学校養成所における教育内容の充実を図るため、カリキュラムを定める規則について、所要の改正を行うものである。
2.改正の概要
(1) 保健師学校養成所カリキュラムの見直し(規則別表一)
① 総単位数を現行の「28単位」から3単位増の「31単位」とする。
② 「公衆衛生看護学」を現行の「16単位」から2単位増の「18単位」とする。
③ 「保健医療福祉行政論」を現行の「3単位」から1単位増の「4単位」とする。
(2) 助産師学校養成所カリキュラムの見直し(規則別表二)
① 総単位数を現行の「28単位」から3単位増の「31単位」とする。
② 「助産診断・技術学」を現行の「8単位」から2単位増の「10単位」とする。
③ 「地域母子保健」を現行の「1単位」から1単位増の「2単位」とする。
(3) 看護師学校養成所カリキュラムの見直し
1) 規則別表三
① 総単位数を現行の「97単位」から5単位増の「102単位」とする。
② 教育内容の区分について、「専門分野Ⅰ」「専門分野Ⅱ」「統合分野」の区分を1つにまとめて「専門分野」とする。
③ 「基礎分野」の区分の教育内容である「科学的思考の基盤」及び「人間と生活・社会の理解」の単位数について、現行の「13単位」から1単位増の「14単位」とする。
④ 「専門基礎分野」の区分の教育内容である「人体の構造と機能」及び「疾病の成り立ちと回復の促進」の単位数について、現行の「15単位」から1単位増の「16単位」とする。
⑤ 「専門分野」の区分の教育内容である「基礎看護学」の単位数について、現行の「10単位」から1単位増の「11単位」とする。
⑥ 「専門分野」の区分の教育内容である「在宅看護論」について、名称を「地域・在宅看護論」に改めるとともに、規定順を変更し、基礎看護学の次に位置づけ、単位数を現行の「4単位」から2単位増の「6単位」とする。
⑦ 「専門分野」の区分の教育内容である「成人看護学」「老年看護学」の臨地実習の単位数について、現行それぞれ「6単位」と「4単位」であったものから「合計4単位」とする。
⑧ 「専門分野」の区分の臨地実習について、総単位数の23単位から各教育内容の単位数の合計17単位を減じた6単位については、学校又は養成所が教育内容を問わず実習単位数を自由に設定することができることとする。
2) 規則別表三の二
① 総単位数を現行の「65単位」から3単位増の「68単位」とする。
② 教育内容の区分について、「専門分野Ⅰ」「専門分野Ⅱ」「統合分野」の区分を1つにまとめて「専門分野」とする。
③ 「基礎分野」の区分の教育内容である「科学的思考の基盤」及び「人間と生活・社会の理解」の単位数について、現行の「7単位」から1単位増の「8単位」とする。
④ 「専門分野」の区分の教育内容である「在宅看護論」について、名称を「地域・在宅看護論」に改めるとともに、規定順を変更し、基礎看護学の次に位置づけ、単位数を現行の「3単位」から2単位増の「5単位」とする。
3) 規則別表三の三
① 総単位数を現行の専攻科「67単位」から3単位増の「70単位」、合計「105単位」から3単位増の合計「108単位」とする。
② 教育内容の区分について、「専門分野Ⅰ」「専門分野Ⅱ」「統合分野」の区分を1つにまとめて「専門分野」とする。
③ 「専門基礎分野」の区分の教育内容である「人体の構造と機能」及び「疾病の成り立ちと回復の促進」の単位数について、専攻科と合計の単位数を、それぞれ現行の「8単位」と「15単位」から1単位増の「9単位」と「16単位」とする。
④ 「専門基礎分野」の区分の教育内容である「健康支援と社会保障制度」の単位数について、高等学校と合計の単位数を、それぞれ現行の「2単位」と「7単位」から1単位減の「1単位」と「6単位」とする。
⑤ 「専門分野」の区分の教育内容である「基礎看護学」の単位数について、専攻科と合計の単位数を、現行の「3単位」と「11単位」から1単位増の「4単位」と「12単位」とする。
⑥ 「専門分野」の区分の教育内容である「在宅看護論」について、名称を「地域・在宅看護論」に改めるとともに、規定順を変更し、基礎看護学の次に位置づけ、単位数について、それぞれ現行の専攻科「4単位」と合計「4単位」から、新たに高等学校「1単位」を追加するとともに、専攻科1単位増の「5単位」の合計「6単位」とする。
⑦ 「専門分野」の区分の教育内容である「臨地実習」の「成人看護学」「老年看護学」の単位数について、現行の「成人看護学」の高等学校「3単位」と専攻科「4単位」の合計「7単位」、「老年看護学」の高等学校「2単位」と専攻科「2単位」の合計「4単位」であったものから、「臨地実習」の「成人看護学」「老年看護学」を合わせて、高等学校「2単位」、専攻科「2単位」の合計「4単位」とする。
⑧ 「専門分野」の区分の臨地実習について、総単位数の26単位から各教育内容の単位数の合計17単位を減じた9単位については、各学校の裁量で領域ごとの実習単位数を一定程度自由に設定することができることとする。
(4) 准看護師学校養成所カリキュラムの見直し(規則別表四)
① 教育内容の区分について、「基礎科目」「専門基礎科目」「専門科目」としていたものを、それぞれ「基礎分野」「専門基礎分野」「専門分野」に改める。
② 時間数の区分について、「講義」「実習」「合計」の区分を1つにまとめて「時間数」とする。
③ 「基礎分野」の区分の教育内容について、「国語」「外国語」「その他」それぞれ35時間ずつであったものを、「論理的思考の基盤」「人間と生活・社会」それぞれ35時間ずつに改める。
④ 「専門基礎分野」の区分の教育内容である「食生活と栄養」について、名称を「栄養」に改める。
⑤ 「専門基礎分野」の区分の教育内容である「薬物と看護」について、名称を「薬理」に改めるとともに、時間数を現行の「35時間」から35時間増の「70時間」とする。
⑥ 「専門基礎分野」の区分の教育内容である「感染と予防」について、「疾病の成り立ち」に含むこととし、「疾病の成り立ち」の時間数を現行の「70時間」から35時間増の「105時間」とする。
⑦ 「専門基礎分野」の区分の教育内容である「看護と倫理」について、「専門分野」の区分の教育内容である「基礎看護」の「看護概論」に含むこととし、「看護概論」の時間数を現行の「35時間」から35時間増の「70時間」とする。
⑧ 「専門基礎分野」の区分の教育内容である「患者の心理」について、「専門分野」の区分の教育内容である「基礎看護」の「基礎看護技術」に含むこととし、「基礎看護技術」の時間数を現行の「210時間」から35時間増の「245時間」とする。
3.施行期日等
(1) 施行期日
令和3年4月1日(令和4年度の入学生から新カリキュラムの適用)
ただし、2年課程の改正規定(別表三の二)については、令和4年4月1日施行(令和5年度入学生から新カリキュラムの適用)とする。
(2) 経過措置
改正省令の施行の際現に指定を受けている学校又は養成所において、看護師等として必要な知識及び技能を修習中の者に係る教育の内容については、従前の例によることができることとする。
4.実施にあたり留意すべき事項
各都道府県知事及び各都道府県教育委員会教育長におかれては、改正省令の施行に伴い必要となる、学校又は養成所における学則の変更等について、遺漏のないよう当該学校又は養成所に対して指導されたいこと。
以上
[別紙1]
[別紙2]