添付一覧
○ゲル充填人工乳房及び皮膚拡張器植込み患者等に対する情報提供について
(令和2年10月7日)
(/薬生機審発1007第1号/薬生安発1007第1号/)
(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知)
(公印省略)
医療機器の安全対策については、平素から格別の御高配を賜り厚く御礼申し上げます。
ゲル充填人工乳房及び皮膚拡張器植込み患者等に対する情報提供については、「ゲル充填人工乳房及び皮膚拡張器植込み患者等に対する情報提供の徹底について(協力依頼)」(令和元年10月1日付け薬生安発1001第2号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知)等により、一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会、一般社団法人 日本形成外科学会、一般社団法人 日本乳癌学会及び一般社団法人 日本美容外科学会(JSAPS)(以下「4学会」という。)が、患者に向けた情報提供資料(以下「情報提供文書」という。)を公表したことについて、幅広い周知への協力をお願いしたところです。
今般、表面をスムーズ又はテクスチャード加工した「Sientra ブレスト・インプラント」(製造販売業者:株式会社メディカルユーアンドエイ)が新たに承認されたことに伴い、4学会は、情報提供文書に当該製品に関する安全性情報等を追記し、別添のとおり公表しました。
ゲル充填人工乳房による乳房再建を希望されている方、乳房再建用皮膚拡張器の手術を受け、乳房再建を待機されている方及びゲル充填人工乳房による乳房再建を受けた方に対して、正確な情報を広く提供することが極めて重要と考えますので、引き続き関係者に対して周知方よろしくお願いいたします。
なお、情報提供文書は一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会ホームページからも入手可能であることを申し添えます。
URL:http://jopbs.umin.jp/general/index.html
[別添]
2020年10月2日
乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房再建を希望されている方へ
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
日本形成外科学会
日本乳癌学会
日本美容外科学会(JSAPS)
近年、乳房再建術や豊胸術後に生じるまれな合併症として、乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(Breast Implant Associated―Anaplastic Large Cell Lymphoma (BIA―ALCL))という疾患が知られてきています。この疾患はT細胞性のリンパ腫と呼ばれるもので、乳がんとは異なる悪性腫瘍です。主に表面の性状がザラザラなインプラントを使用した症例で発生します。
2019年7月まで日本国内で流通していたアラガン社の乳房再建用ティッシュエキスパンダーと乳房インプラント(ナトレル410、110、115、120)は、Biocell(バイオセル)という表面構造を持ちます。これは、表面の性状がザラザラで、凸凹が深く表面積が大きいマクロテクスチャードタイプに該当し、BIA―ALCLのリスクが他のタイプよりも高い(約2200―3300人に1人)ことが報告されています。日本でも2019年に一人の発症が報告されています。
このため、2019年7月24日(現地時間)に米国の厚生労働省にあたるFDAの指導の下、アラガン社が全世界を対象として同社のBiocellを用いた製品の自主回収(リコール)を決定いたしました。これに伴い、日本国内でも使用できなくなりました。
出荷停止となったアラガン社製品の代替品として、スムーズタイプ(表面がつるつるの性状)のティッシュエキスパンダー(133S ティッシュエキスパンダー)とインプラント(Inspiraシリーズ)が2019年10月8日に認可されました(国内販売元:アラガンジャパン社)。また、2020年8月20日にシエントラ社のスムーズタイプのインプラントとマイクロテクスチャードタイプ(表面の性状がザラザラで凸凹が浅く表面積が小さいタイプ)のインプラントが認可されました(国内販売元:メディカルユーアンドエイ社)。いずれも米国・カナダで現在流通している製品です。
■ 乳房再建用ティッシュエキスパンダー ナトレル133S(アラガン社)
スムーズタイプ(表面がつるつる)、アナトミカル型(しずく型)、注入ポートが内包されています。スリップしやすいため、位置を固定するためのタブがついています。
■ 乳房インプラント
1.スムーズタイプのインプラント
全てラウンド型(おわん型)です。スムーズタイプのインプラントはBIA―ALCLのリスクは限りなく低くなります。
アラガン社のInspiraシリーズとシエントラ社のSientraブレストインプラントがあります。
日本人の一般的な乳房と形状が異なること、破損や被膜拘縮等の合併症に注意が必要です。従来のラウンド型インプラントと比べて充填率の高い(やや硬めで皺ができにくい)ゲルが選択できるようになりました。
2.マイクロテクスチャードのインプラント
シエントラ社のラウンド型(おわん型)とアナトミカル型(しずく型)のインプラントがあります。乳房の形態によっては、アナトミカル型の方が適合しやすい場合もありますが、種類が少ないことと、術後インプラント回転などの合併症の可能性もあります。
現在報告されている世界で733例のBIA―ALCL発症例のうち、全体の使用数は明らかになっていませんが、シエントラ社(マイクロテクスチャードタイプ)10例と報告されています(アラガン社(マクロテクスチャードタイプ)620例)。
使用インプラントにつきましては、上記内容をお読みいただき主治医とご相談ください。
今後も関係省庁、企業と緊密に連絡をとって対処しておりますので、ご理解のほどお願い申し上げます。
* 内容に関して不明点がありましたら,日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会事務局(e―mail:jopbs-office01@shunkosha.com)までお問い合わせください。
2020年10月2日
乳房再建用ティッシュエキスパンダーの手術を受け
乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房再建を待機されている方へ
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
日本形成外科学会
日本乳癌学会
日本美容外科学会(JSAPS)
近年、乳房再建術や豊胸術後に生じるまれな合併症として、乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(Breast Implant Associated―Anaplastic Large Cell Lymphoma (BIA―ALCL))という疾患が知られてきています。この疾患はT細胞性のリンパ腫と呼ばれるもので、乳がんとは異なる悪性腫瘍です。主に表面の性状がザラザラなインプラントを使用した症例で発生します。
2019年7月まで日本国内で流通していたアラガン社の乳房再建用ティッシュエキスパンダーと乳房インプラント(ナトレル410、110、115、120)は、Biocell(バイオセル)という表面構造を持ちます。これは、表面の性状がザラザラで、凸凹が深く表面積が大きいマクロテクスチャードタイプに該当し、BIA―ALCLのリスクが他のタイプよりも高い(約2200―3300人に1人)ことが報告されています。日本でも2019年に一人の発症が報告されています。
このため、2019年7月24日(現地時間)に米国の厚生労働省にあたるFDAの指導の下、アラガン社が全世界を対象として同社のBiocellを用いた製品の自主回収(リコール)を決定いたしました。これに伴い、日本国内でも使用できなくなりました。
出荷停止となったアラガン社製品の代替品として、スムーズタイプ(表面がつるつるの性状)のティッシュエキスパンダー(133S ティッシュエキスパンダー)とインプラント(Inspiraシリーズ)が2019年10月8日に認可されました(国内販売元:アラガンジャパン社)。また、2020年8月20日にシエントラ社のスムーズタイプのインプラントとマイクロテクスチャードタイプ(表面の性状がザラザラで凸凹が浅く表面積が小さいタイプ)のインプラントが認可されました(国内販売元:メディカルユーアンドエイ社)。いずれも米国・カナダで現在流通している製品です。
現在ティッシュエキスパンダーが入っていて、インプラントの手術を待機されていた方には、下記の選択肢が想定されます。尚、マクロテクスチャードタイプのエキスパンダー留置のみでBIA―ALCLを発症した報告はありません。
1.スムーズタイプのインプラントを使用する
全てラウンド型(おわん型)です。スムーズタイプのインプラントはBIA―ALCLのリスクは限りなく低くなります。アラガン社のInspiraシリーズとシエントラ社のSientraブレストインプラントがあります。
日本人の一般的な乳房と形状が異なること、破損や被膜拘縮等の合併症に注意が必要です。従来のラウンド型インプラントと比べて充填率の高い(やや硬めで皺ができにくい)ゲルが選択できるようになりました。
2.マイクロテクスチャードのインプラントを使用する
シエントラ社のラウンド型(おわん型)とアナトミカル型(しずく型)のインプラントがあります。乳房の形態によっては、アナトミカル型の方が適合しやすい場合もありますが、種類が少ないことと、術後インプラント回転などの合併症の可能性もあります。
現在報告されている世界で733例のBIA―ALCL発症例のうち、全体の使用数は明らかになっていませんが、シエントラ社(マイクロテクスチャードタイプ)10例と報告されています(アラガン社(マクロテクスチャードタイプ)620例)。
使用インプラントにつきましては、上記内容をお読みいただき主治医とご相談ください。
今後も関係省庁、企業と緊密に連絡をとって対処してまいりますので、ご理解のほどお願い申し上げます。
* 内容に関して不明点がありましたら,日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会事務局(e―mail:jopbs-office01@shunkosha.com)までお問い合わせください。
2020年10月2日
乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房手術を受けた方へ
~留置されている乳房インプラントの出荷停止のお知らせ~
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
日本形成外科学会
日本乳癌学会
日本美容外科学会(JSAPS)
近年、乳房再建術や豊胸術後に生じるまれな合併症として、乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(Breast Implant Associated―Anaplastic Large Cell Lymphoma (BIA―ALCL))という疾患が知られてきています。この疾患はT細胞性のリンパ腫と呼ばれるもので、乳がんとは異なる悪性腫瘍です。
わが国で認可され、乳房再建などを目的として臨床使用されてきたインプラントであるアラガン社のナトレル410,110,115,120は、Biocell(バイオセル)という表面構造を持ちます。これは、表面の性状がザラザラしていて凸凹が深く表面積が大きいマクロテクスチャードタイプで、この疾患のリスクが他のタイプよりも高いと報告されています。
このため、2019年7月24日(現地時間)に米国の厚生労働省にあたるFDAの指導の下、アラガン社が全世界を対象として同社のBiocellを用いた製品の自主回収(リコール)を決定いたしました。これに伴い、日本国内でも使用できなくなりました。
世界的には、このインプラントが挿入されている方のうち約2200―3300人に1人(0.030―0.045%)にこのリンパ腫が発生すると報告されています。日本でも2019年に1人の発症が報告されました。海外からの報告では、このリンパ腫は、インプラントを入れてから平均9年ほどで発生する可能性があり、症状としてはインプラント周囲に液体がたまり、大きく腫れることで始まることが多いとされています。
BIA―ALCLを発症しても、多くの場合はインプラントとその周囲の組織を切除することで治癒するとされています。一方で、発見が遅れた場合や切除しきれない場合には化学療法や分子標的薬、放射線治療等の追加治療が必要となり、死亡した例(世界での発症733例のうち36例・4.9%)も報告されています。
乳房インプラントが挿入されている方については、発症リスクは0.030―0.045%と低く、摘出手術に伴う出血等のリスクが上回ると考えられるため、症状のない方に対する予防的なインプラントの摘出は必要ありません。腫れやしこりがないかをご自身でチェックするようお願いします。FDAやそれよりも前に流通停止を決定していたEU、カナダにおいても同様の見解です。
本学会では、インプラントの保険適用の際から、最低10年の定期的な診察と、2年に1度の画像検査を推奨してまいりました(インプラントの破損や合併症の発見のため)。このBIA―ALCLにおいては、まれな疾患ですが早期発見が重要となりますので、10年以降も引き続き、自己検診と医療機関での定期検診の継続をお願いいたします。また、異常を感じた場合にも受診をお願いいたします。
* 内容に関して不明点がありましたら日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会事務局(e―mail:jopbs-office01@shunkosha.com)までお問い合わせください。