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○「母体保護法の施行について」の一部改正について(通知)

(令和2年10月20日)

(厚生労働省発子1020第1号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長・各特別区区長あて厚生労働事務次官通知)

(公印省略)

母体保護法(昭和23年法律第156号)については、「母体保護法の施行について」(平成8年9月25日厚生省発児第122号厚生事務次官通知)により、その実施に当たり留意すべき点をお示ししてきたところである。

今般、別添1の疑義照会を受けたことを踏まえ、同法第14条第1項第2号の趣旨を明らかにするため、同通知の一部を別紙の通り改正することとしたので、各都道府県、指定都市、中核市及び特別区におかれては、本改正の内容を御了知いただくとともに、都道府県におかれては、貴管内の市町村(指定都市、中核市を除く。)に対して周知いただくようお願いする。

○別紙 新旧対照表

○別添1 母体保護法に係る疑義について(照会)

○別添2 母体保護法に係る疑義について(回答)

○別添3 改正後全文

[別添1]

○母体保護法に係る疑義について(照会)

(令和2年8月24日)

(日医受第1700号)

(厚生労働省子ども家庭局母子保健課長あて公益社団法人日本医師会常任理事通知)

(公印省略)

母体保護法第14条第1項第2号において、暴行若しくは脅迫によって妊娠したものについては、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができることとされているが、強制性交の加害者の同意を求める趣旨ではないと解してよいか。

[別添2]

○母体保護法に係る疑義について(回答)

(令和2年8月28日)

(子母発0828第2号)

(公益社団法人日本医師会母子保健担当理事あて厚生労働省子ども家庭局母子保健課長通知)

(公印省略)

令和2年8月24日付けで貴会母子保健担当理事から照会の標記の件については、貴見のとおりである。

[別添3]

(改正後全文)

○母体保護法の施行について

(厚生省発児第122号)

(平成8年9月25日)

(各都道府県知事・各政令市市長・各中核市市長・各特別区区長厚生事務次官通知)

改正 令和2年10月20日

(公印省略)

優生保護法の一部を改正する法律が平成8年法律第105号をもって公布されたところであるが、母体保護法の実施に当たり、留意すべき点は以下のとおりであるので、遺漏のないよう配慮されたい。なお、本通知の実施に伴い、本職通知昭和28年6月12日厚生省発衛第150号「優生保護法の施行について」は廃止する。

第1 不妊手術について

1 一般的事項

(1) 法第2条の「生殖を不能にする手術の術式」は、規則第1条各号に掲げるものに限られるものであって、これ以外の方法、例えば、放射線照射によるもの等は、許されないこと。

(2) 法第28条は、健康者が経済的理由とか、単なる産児制限のためとか、又出産によって容ぼうが衰えることを防ぐため等、この法律の目的以外に利用することを防ぐため、この法律で認められている理由及びその他正当の理由がない限り生殖を不能にすることを目的として手術又はレントゲン照射を行うことを禁止したものであること。

従って、この法律の規定による場合又は医師が医療の目的のため正当業務又は緊急避難行為として行う場合以外にこれを行えば、法第28条違反として法第34条の罰則が適用されるものであること。

2 不妊手術

(1) 未成年者に対しては、不妊手術を行うことはできないこと。

(2) 法第3条第1項第1号の「母体の生命に危険を及ぼすおそれのあるもの」とは、当該具体的状況において医学的常識経験からみて死亡の結果が予想される場合をいうものであること。

(3) 法第3条第3項の「配偶者が知れないとき」とは、民法上不在者として取り扱われる等配偶者の所在が知れないことが法的手続により確認されているときだけでなく、事実上所在不明の場合も含むものであること。

(4) 法第3条第3項の「その意思を表示することができないとき」とは、禁治産の宣告等意思能力のないことが法的手続により確認されているときだけでなく、事実上その意思を表示することができない場合も含むものであること。しかしながら遠隔地へ出稼しているときのように配偶者の所在が判明しており、何らかの方法でその意思を表示することが可能である場合は、これに当たらないものであること。

第2 人工妊娠中絶について

1 一般的事項

法第2条第2項の「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期」の基準は、通常妊娠満22週未満であること。

なお、妊娠週数の判断は、指定医師の医学的判断に基づいて、客観的に行うものであること。

2 指定医師

母体保護法指定医師でない者は、本法による人工妊娠中絶は行うことができないこと。ただし、母体の生命が危険にひんする場合、例えば妊娠中の者が突然子宮出血を起したり、又は子癇の発作が起って種々の危険症状を呈し、急速に胎児を母体外に出す必要がある場合に、緊急避難行為として、人工妊娠中絶を行うことはもとより差し支えないこと。

3 人工妊娠中絶の対象

(1) 法第14条第1項第1号の「経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」とは、妊娠を継続し、又は分娩することがその者の世帯の生活に重大な経済的支障を及ぼし、その結果母体の健康が著しく害されるおそれのある場合をいうものであること。

従って、現に生活保護法の適用を受けている者(生活扶助を受けている場合はもちろん、医療扶助だけを受けている場合を含む。以下同じ。)が妊娠した場合又は現に生活保護法の適用は受けていないが、妊娠又は分娩によって生活が著しく困窮し、生活保護法の適用を受けるに至るような場合は、通常これに当たるものであること。

(2) 法第14条第1項第2号の「暴行若しくは脅迫」とは、必ずしも有形的な暴力行為による場合だけをいうものではないこと。ただし、本号に該当しない者が、この規定により安易に人工妊娠中絶を行うことがないよう留意されたいこと。

なお、本号と刑法の強制性交等罪の構成要件は、おおむねその範囲を同じくする。ただし、本号の場合は必ずしも姦淫者について強制性交等罪の成立することを必要とするものではないから、責任無能力等の理由でその者が処罰されない場合でも本号が適用される場合があること。

(3) 法第14条第2項の「配偶者が知れないとき」及び「その意思を表示することができないとき」とは、前記第1の2の(3)及び(4)と同様に解されたいこと。

[別紙]