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○医療保険の被保険者等記号・番号等の告知要求制限について〔国民健康保険法〕

(令和2年10月5日)

(/保保発1005第1号/保国発1005第1号/保高発1005第1号)

(都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長・後期高齢者医療主管課(部)長、都道府県後期高齢者医療広域連合理事長、全国健康保険協会理事長、健康保険組合理事長、健康保険組合連合会長、社会保険診療報酬支払基金理事長、国民健康保険中央会長、地方厚生(支)局長あて厚生労働省保険局保険課長・厚生労働省保険局国民健康保険課長・厚生労働省保険局高齢者医療課長通知)

(公印省略)

今般、医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律(令和元年法律第9号。以下「改正法」という。)により、健康保険法(大正11年法律第70号)、船員保険法(昭和14年法律第73号)、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)及び高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)(以下「健康保険法等」という。)が改正され、保険者番号及び被保険者等記号・番号(以下「被保険者等記号・番号等」という。)等について、プライバシー保護の観点から、健康保険事業又はこれに関連する事務の遂行等の目的以外でこれらの告知を求めることを禁止する規定が新たに設けられ、令和2年10月1日から施行されたところである。また、当該規定の施行に伴い、健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第161号。以下「改正省令」という。)により、健康保険法施行規則(大正15年内務省令第36号。以下「健保則」という。)、船員保険法施行規則(昭和15年厚生省令第5号。以下「船保則」という。)、国民健康保険法施行規則(昭和33年厚生省令第53号。以下「国保則」という。)及び高齢者の医療の確保に関する法律施行規則(平成19年厚生労働省令第129号。以下「高確則」という。)(以下「健保則等」という。)において告知要求制限に係る規定が整備され、同じく令和2年10月1日から施行されたところである。

ついては、被保険者等記号・番号等の告知要求制限の基本的な考え方について、下記のとおり整理したため、内容について御了知いただくとともに、適切に運用いただくようお願いする。

なお、告知要求制限に係る留意点については、「医療保険の被保険者等記号・番号等の告知要求制限について」(令和2年7月8日付け総務省自治行政局公務員部福利課・財務省主計局給与共済課・文部科学省高等教育局私学部私学行政課・厚生労働省保険局保険課・厚生労働省保険局国民健康保険課・厚生労働省保険局高齢者医療課事務連絡。別添参照。)において各府省等法令担当課長に対し関係団体への周知を依頼したところであるが、更なる周知徹底を図るため、各都道府県及び市町村の国民健康保険主管課及び後期高齢者医療主管課から庁内他部局に対して本通知の内容を周知いただくよう、よろしくお取り計らい願いたい。

第1 告知要求制限に係る規定について

改正法により、健康保険法等に以下の内容の規定が設けられていること。

① 厚生労働大臣、保険者、保険医療機関等、指定訪問看護事業者その他の健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため被保険者等記号・番号等を利用する者として厚生労働省令で定める者(以下「厚生労働大臣等」という。)について、健康保険事業の遂行等以外の目的での被保険者等記号・番号等の告知要求の禁止

② 厚生労働大臣等以外の者について、健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため被保険者等記号・番号等の利用が特に必要な場合として厚生労働省令で定める場合を除き、被保険者等記号・番号等の告知要求の禁止

③ ①又は②以外の場合での、売買、貸借、雇用その他の契約の申込み等における被保険者等記号・番号等の告知要求の禁止

④ ①又は②以外の場合での、被保険者等記号・番号等の記録されたデータベースの構成の禁止

⑤ ③及び④に違反した者に対する厚生労働大臣の勧告

⑥ ⑤の勧告に従わない者に対する厚生労働大臣の命令

⑦ ⑥の命令に従わない者に対する罰則

⑧ ⑤及び⑥の措置に関し必要なときに、厚生労働大臣が報告を求め又は検査を行う権限の付与

⑨ ⑧に関し虚偽の報告又は検査の忌避等を行った者に対する罰則

⑩ ⑦及び⑨の違反に対する両罰規定

第2 健康保険法第194条の2第1項等に定める者について

第1①のとおり、健康保険法第194条の2第1項等では、厚生労働大臣等は、健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行等のため必要がある場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならないこととされているところ、当該厚生労働大臣等として、左欄に掲げる者がそれぞれ右欄に掲げる省令において規定されていること。


健康保険法第194条の2第1項等に規定する者

省令

厚生労働大臣

健保則、船保則、国保則、高確則

財務大臣

健保則、船保則

地方厚生局長、地方厚生支局長

健保則、船保則、国保則、高確則

全国健康保険協会

健保則、船保則

健康保険組合

健保則

都道府県

国保則

市町村

国保則

国民健康保険組合

国保則

後期高齢者医療広域連合

高確則

適用事業所の事業主

健保則

船舶所有者

船保則

健康保険組合連合会

健保則

社会保険診療報酬支払基金

健保則、船保則、国保則、高確則

国民健康保険団体連合会

健保則、船保則、国保則、高確則

国民健康保険法第45条第6項に規定する厚生労働大臣が指定する法人

健保則、船保則、国保則、高確則

保険医療機関等

健保則、船保則、国保則、高確則

保険薬局等

健保則、船保則、国保則、高確則

健康保険法第87条第1項等(※)に規定する保険医療機関等以外の病院、薬局その他の者

健保則、船保則、国保則、高確則

指定訪問看護事業者

健保則、船保則、国保則、高確則

都道府県知事

健保則、船保則、高確則

((21))

市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)

健保則、船保則、高確則

((22))

日本年金機構

健保則、船保則

((23))

船員保険事務組合

船保則

((24))

船長又は船長の職務を行う者(船舶所有者の代理人として船員保険法第225条の事務代行を行う場合に限る。)

船保則

((25))

船員保険法附則第三条第一項に規定する承認法人等

船保則

((26))

年金保険者

国保則、高確則

(※)船員保険法第64条第1項、国民健康保険法第54条第1項、高齢者の医療の確保に関する法律第77条第1項を含む。

これらの者については、健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため必要がある場合には、被保険者等記号・番号等の告知を求めることができるが、この場合には以下の点に留意すること。

(1) ①厚生労働大臣が、被保険者等記号・番号等の告知を求めることができる健康保険事業又は当該事業に関連する事務については、健康保険法等又はその下位法令により厚生労働大臣が行うこととされた事務のほか、厚生労働大臣が以下の事業及びこれに関連する事務を行う場合が該当すること。

・高齢者の医療の確保に関する法律第16条の規定に基づくレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の整備

・介護保険法(平成9年法律第123号)第118条の2の規定に基づく介護保険総合データベース(介護DB)の整備

・健康保険法第77条の規定に基づくDPCデータベースの整備

・がん登録等の推進に関する法律(平成25年法律第111号)第5条の規定に基づくがん登録データベースの整備

・難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針(平成27年厚生労働省告示第375号)に基づく指定難病患者データベースの整備

・小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針(平成27年厚生労働省告示第431号)に基づく小児慢性特定疾病児童等データベースの整備

(2) ②から⑮まで及び((22))から((26))までの者が被保険者等記号・番号等の告知を求めることができる健康保険事業又は当該事業に関連する事務については、健康保険法等又はその下位法令により②から⑮まで及び((22))から((26))までの者がそれぞれ行うこととされた事務が該当すること。

(3) ⑯保険医療機関等、⑰保険薬局等、⑱健康保険法第87条第1項等に規定する保険医療機関等以外の病院、薬局その他の者及び⑲指定訪問看護事業者が被保険者等記号・番号等の告知を求めることができる健康保険事業又は当該事業に関連する事務については、健康保険法等又はその下位法令によりこれらの者がそれぞれ行うこととされた事務のほか、これらの者の間で構築される医療情報連携ネットワークの整備及びこれに関連する事務が該当すること。

(4) ⑳都道府県知事又は((21))市町村長が被保険者等記号・番号等の告知を求めることができる健康保険事業又は当該事業に関連する事務については、医療保険各法又はその下位法令により都道府県知事又は市町村長がそれぞれ行うこととされた事務のほか、以下の事務が該当すること。なお、国保則における⑥都道府県及び⑦市町村において、同様の取扱であること。

・がん登録等の推進に関する法律第6条等の規定に基づく事務

・介護保険法及びその下位法令の規定に基づく事務(要介護認定の申請、要支援認定の申請、被保険者証の交付等)

・公費負担医療、地方単独の医療費助成事業その他の医療費助成事業による医療費の支給に関する事務

(5) ①から((26))までの者が、健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のために被保険者等記号・番号等を用いる場合についても、個人情報保護法制の諸規定に従い、被保険者等記号・番号等を適切に管理することが求められること。

第3 健康保険法第194条の2第2項等に定める場合について

第1②のとおり、健康保険法第194条の2第2項等では、厚生労働大臣等以外の者は、健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため特に必要な場合として厚生労働省令で定める場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならないこととされている。当該厚生労働省令で定める場合について、被保険者等記号・番号等を活用することが、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上に資する等、医療保険各法の理念に照らして整合的である場合として、健保則第156条の2第2項等において、以下の場合が規定されていること。

① 高齢者の医療の確保に関する法律第7条第2項に規定する保険者又は後期高齢者医療広域連合が、同条第1項に規定する医療保険各法若しくは高齢者の医療の確保に関する法律に基づく事業又は当該事業に関連する事務を行う場合

② 保険者から委託を受けた者が、当該委託を受けた健康保険事業に関連する事務を行う場合

③ 被保険者の同意を得た者又は被保険者から委託を受けた者が、それぞれ当該同意を得た又は当該委託を受けた保険者(当該保険者から委託を受けた者を含む。)に対する保険給付に係る請求その他の行為を行う場合

④ 国立研究開発法人国立がん研究センターが、がん登録等の推進に関する法律第23条第1項の規定により厚生労働大臣から委任を受けた事務を行う場合

⑤ がん登録等の推進に関する法律第24条第1項の規定により都道府県知事から事務の委任を受けた者が、当該事務を行う場合

⑥ 独立行政法人医薬品医療機器総合機構が、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律192号)第15条第1項第5号ハに掲げる業務又は同号ヘに掲げる業務(同号ハに掲げる業務に附帯する業務に限る。)を行う場合

⑦ 医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(平成29年法律第28号)第9条第1項に規定する認定匿名加工医療情報作成事業者が、同法第2条第4項に規定する匿名加工医療情報作成事業を行う場合

⑧ ④から⑦までの場合のほか、次のイからハまでに掲げる者の区分に応じ、当該イからハまでに定めるものを行う場合

イ 国の行政機関

適正な保健医療サービスの提供に資する施策の企画及び立案に関する調査

ロ 大学、研究機関その他の学術研究を目的とする機関又は団体

疾病の原因並びに疾病の予防、診断及び治療の方法に関する研究その他の公衆衛生の向上及び増進に関する研究

ハ 民間事業者等のうち健康保険法施行規則第155条の5第1号から第4号までのいずれにも該当しないもの(※)

医療分野の研究開発に資する分析(特定の商品又は役務の広告又は宣伝に利用するために行うものを除く。)

⑨ 高齢者の医療の確保に関する法律第20条に規定する特定健康診査、同法第24条に規定する特定保健指導、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第66条第1項に規定する健康診断その他の健康診断を実施する機関が、当該健康診断を実施する場合

⑩ 社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む。)が、社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)第2条第1項各号に掲げる業務を行う場合

⑪ 独立行政法人環境再生保全機構が、石綿による健康被害の救済に関する法律(平成18年法律第4号)第11条の規定により医療費を支給する場合

(※) ①健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律、介護保険法、統計法(平成19年法律第53号)、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)若しくは独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号)又はこれらの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者(第1号)、②暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)(第2号)、③法人等であって、その役員のうちに①及び②のいずれかに該当する者がある者(第3号)又は④暴力団員等がその事業活動を支配する者又は暴力団員等をその業務に従事させ、若しくは当該業務の補助者として使用するおそれのある者(第4号)のいずれにも該当しないもの

これらの場合については、健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため特に必要がある場合として、被保険者等記号・番号等の告知を求めることができるが、この場合には以下の点に留意すること。

(1) ①の場合について、高齢者の医療の確保に関する法律第7条第2項に規定する保険者とは、健康保険組合、全国健康保険協会、都道府県、市町村、国民健康保険組合、共済組合、日本私立学校振興・共済事業団を指すこと。

また、高齢者の医療の確保に関する法律第7条第1項に規定する医療保険各法とは、健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)、地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)及び私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)を指すこと。

(2) ③の場合について、保険者(当該保険者から委託を受けた者を含む。)に対する保険給付に係る請求その他の行為に関して、被保険者の同意を得た者又は被保険者から委託を受けた者が当該行為を行う場合としては、例えば、以下のような場合が考えられること。

・労災認定された傷病等に対して療養の給付等がなされていた場合に、労災給付の支払及び医療保険給付との調整のため、労働基準監督署が、被災労働者の同意を得て、保険者からレセプト等を入手する場合

・交通事故等による負傷について、民間保険会社が健康保険組合連合会等との覚書等に基づき、被保険者の同意を得て、健保則第65条等の規定による第三者行為による傷病届の作成の支援及び保険者に対する当該傷病届の送付を行う場合

・被保険者等が介護サービス施設に入所する際、介護サービス施設が、当該被保険者等の同意を得て、緊急の受診時に備えて被保険者証の写しを取得する場合

・児童が児童養護施設等に入所する際又は里親に委託される際、児童養護施設等又は里親が、当該児童の保護者等の同意を得て、将来的な受診に備え当該児童の被保険者証を預かる場合

(3) ⑧の場合について、国の行政機関等が法令に規定のないデータベースを作成する場合についても、告知要求制限の対象外としているが、これは疫学研究や臨床研究の現場において、研究者がデータベースを作成する際に被保険者等記号・番号等を活用することが、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上に資する等、医療保険各法の理念に照らして整合的であることに着目したものであること。

このため、被保険者等記号・番号等を利用して不適切な行為をしたことがある、又は医療保険関係法令の規定に反した等の理由により被保険者等記号・番号等を利用することが不適当と考えられる者については、被保険者等記号・番号等の告知を求めること、被保険者等記号・番号等を利用してデータベースを作成することは認められないこと。

(4) ①から⑪までの場合についても、被保険者等記号・番号等を扱う主体については、個人情報保護法制の諸規定に従い、被保険者等記号・番号等を適切に管理することが求められること。

第4 本人確認等のために健康保険の被保険者証等の提示を求める場合の取扱いについて

告知要求制限に関する規定が施行された令和2年10月1日以降も、金融機関において犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)に基づく本人確認を行う場合など、一般事業者における顧客の本人確認等のために健康保険の被保険者証等の提示を求めることは可能であるが、その際には、告知要求制限に抵触しないよう、以下の点に留意することが必要となること。

・ 被保険者証の提示を受ける場合には、当該被保険者証の被保険者等記号・番号等を書き写すことのないようにすること。また、当該被保険者証の写しをとる際には、当該写しの被保険者等記号・番号等を復元できない程度にマスキングを施すこと。

・ 被保険者証の写しの送付を受けることにより本人確認等を行う場合には、あらかじめ申請者や顧客等に対し被保険者等記号・番号等にマスキングを施すよう求め、マスキングを施された写しの送付を受けること。また、被保険者等記号・番号等にマスキングが施されていない写しを受けた場合には、当該写しの提供を受けた者においてマスキングを施すこと。

・ 被保険者等記号・番号等の告知を求めているかのような説明を行わないこと。例えば、ホームページ等において、「被保険者証の記号・番号が記載された面の写しを送付してください」といった記載を行わないよう留意すること。

・ なお、これらの取扱いは、令和2年10月1日の改正法施行以降に被保険者等記号・番号等の告知を求める場合に適用されるものであり、改正法施行前に取得した被保険者証の写し等について、改めてマスキングを施す等の対応を求めるものではないこと。

【別添】

○医療保険の被保険者等記号・番号等の告知要求制限について

(令和2年7月8日)

(事務連絡)

(各府省等法令担当課長あて総務省自治行政局公務員部福利課・財務省主計局給与共済課・文部科学省高等教育局私学部私学行政課・厚生労働省保険局保険課・厚生労働省保険局国民健康保険課・厚生労働省保険局高齢者医療課通知)

医療保険の被保険者証については、従来から、様々な取引、届出等の場面において、本人確認等を目的として用いられているものと承知しています。

今般、医療保険の被保険者等記号・番号が個人単位化されることに伴い、医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律(令和元年法律第9号。以下「改正法」という。)により、保険者番号及び被保険者等記号・番号(以下「被保険者等記号・番号等」という。)について、個人情報保護の観点から、健康保険事業又はこれに関連する事務の遂行等の目的以外で告知を求めることを禁止する「告知要求制限」の規定が設けられました。

告知要求制限の規定は令和2年10月1日から施行され、同日以降、原則として、本人確認等を目的として被保険者等記号・番号等の告知を求めることが禁止されます。

告知要求制限の対象となる被保険者等記号・番号等や、本人確認等のために被保険者証の提示等を求める際の留意事項は、下記のとおりですので、各省庁におかれては、内容を御了知いただくとともに、適切な取扱いが行われるよう、関係団体に周知いただくようお願いします。

1 告知要求制限の対象となる被保険者等記号・番号等について

告知要求制限の対象となる被保険者等記号・番号等は、次に掲げる記号・番号等である。

・健康保険法(大正11年法律第70号)第194条の2第1項に規定する「被保険者等記号・番号等」(保険者番号及び被保険者等記号・番号)

・船員保険法(昭和14年法律第73号)第143条の2第1項に規定する「被保険者等記号・番号等」(保険者番号及び被保険者等記号・番号)

・私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)第45条第1項に規定する加入者等記号・番号等(保険者番号及び加入者等記号・番号)

・国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)第112条の2第1項に規定する組合員等記号・番号等(保険者番号及び組合員等記号・番号)

・国民健康保険法(昭和33年法律第192号)第111条の2第1項に規定する「被保険者記号・番号等」(保険者番号及び被保険者記号・番号)

・地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)第144条の24の2第1項に規定する組合員等記号・番号等(保険者番号及び組合員等記号・番号)

・高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)第161条の2第1項に規定する「被保険者番号等」(保険者番号及び被保険者番号)

2 本人確認等のために被保険者証の提示等を求める際の留意事項について

1に掲げる記号・番号等については、各医療保険制度における被保険者証に記載がなされている。今後も、本人確認等のために被保険者証の提示を求めることは可能であるが、告知要求制限に抵触しないよう、以下の点に留意いただくようお願いする。

・ 被保険者証の提示を受ける場合には、当該被保険者証の被保険者等記号・番号等を書き写すことのないようにすること。また、当該被保険者証の写しをとる際には、当該写しの被保険者等記号・番号等を復元できない程度にマスキングを施すこと。

・ 被保険者証の写しの送付を受けることにより本人確認等を行う場合には、あらかじめ申請者や顧客等に対し被保険者等記号・番号等にマスキングを施すよう求め、マスキングを施された写しの送付を受けること。また、被保険者等記号・番号等にマスキングが施されていない写しを受けた場合には、当該写しの提供を受けた者においてマスキングを施すこと。

・ 被保険者等記号・番号等の告知を求めているかのような説明を行わないこと。例えば、ホームページ等において、「被保険者証の記号・番号が記載された面の写しを送付してください」といった記載を行わないよう留意すること。

【参照条文】

◎ 改正法による改正後の健康保険法(抄)

(被保険者等記号・番号等の利用制限等)

第百九十四条の二 厚生労働大臣、保険者、保険医療機関等、指定訪問看護事業者その他の健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため保険者番号及び被保険者等記号・番号(以下この条において「被保険者等記号・番号等」という。)を利用する者として厚生労働省令で定める者(以下この条において「厚生労働大臣等」という。)は、当該事業又は事務の遂行のため必要がある場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならない。

2 厚生労働大臣等以外の者は、健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため被保険者等記号・番号等の利用が特に必要な場合として厚生労働省令で定める場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならない。

3 何人も、次に掲げる場合を除き、その者が業として行う行為に関し、その者に対し売買、貸借、雇用その他の契約(以下この項において「契約」という。)の申込みをしようとする者若しくは申込みをする者又はその者と契約の締結をした者に対し、当該者又は当該者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならない。

一 厚生労働大臣等が、第一項に規定する場合に、被保険者等記号・番号等を告知することを求めるとき。

二 厚生労働大臣等以外の者が、前項に規定する厚生労働省令で定める場合に、被保険者等記号・番号等を告知することを求めるとき。

4 何人も、次に掲げる場合を除き、業として、被保険者等記号・番号等の記録されたデータベース(その者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を含む情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)であって、当該データベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているもの(以下この項において「提供データベース」という。)を構成してはならない。

一 厚生労働大臣等が、第一項に規定する場合に、提供データベースを構成するとき。

二 厚生労働大臣等以外の者が、第二項に規定する厚生労働省令で定める場合に、提供データベースを構成するとき。

5 厚生労働大臣は、前二項の規定に違反する行為が行われた場合において、当該行為をした者が更に反復してこれらの規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、当該行為を中止することを勧告し、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な措置を講ずることを勧告することができる。

6 厚生労働大臣は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その者に対し、期限を定めて、当該勧告に従うべきことを命ずることができる。

(※) 健康保険法のほか、船員保険法、私立学校教職員共済法、国家公務員共済組合法、国民健康保険法、地方公務員等共済組合法、高齢者の医療の確保に関する法律においても同旨の条文が設けられた。