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○健康保険法施行規則等の一部を改正する省令の公布について〔健康保険法〕

(令和2年9月25日)

(保発0925第1号)

(都道府県知事あて厚生労働省保険局長通知)

(公印省略)

健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第161号。以下「改正省令」という。)が本日公布され、令和2年10月1日から施行することとされたところである。

改正の趣旨及び主な内容は下記のとおりであるので、御了知の上、貴都道府県内の市町村(特別区を含む。)、国民健康保険組合及び後期高齢者医療広域連合への周知徹底を図り遺漏の無いよう取り扱われたい。

なお、改正省令の施行に伴う留意事項等については、別途通知する予定であることを申し添える。

第1 改正の趣旨

医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律(令和元年法律第9号。以下「改正法」という。)により、健康保険法(大正11年法律第70号)、船員保険法(昭和14年法律第73号)、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)等(以下「健康保険法等」という。)について、電子資格確認の仕組みが法定化されるとともに、個人情報保護の観点から、健康保険事業の遂行等の目的以外で被保険者等記号・番号等の告知を求めることを禁止する告知要求制限を創設する等の改正が行われたことに伴い、健康保険法等の下位省令において定められている保険医療機関等(保険医療機関、保険薬局又は指定訪問看護事業者をいう。以下同じ。)における被保険者資格の確認等の手続について、電子資格確認の仕組みに対応したものとなるよう、所要の改正を行うとともに、被保険者等記号・番号等の告知要求制限にかかる規定の整備を行うこと。

第2 改正の内容

(1) 健康保険法施行規則(大正15年内務省令第36号。以下「健保則」という。)の一部改正関係(改正省令第1条関係)

(ア) 電子資格確認(改正法による改正後の健康保険法(以下「改正後健保法」という。)第3条第13項の電子資格確認をいう。以下同じ。)の導入に伴い、保険医療機関等における被保険者資格の確認等の手続について、以下の取扱いとすること。

① 被保険者資格の確認方法について

保険医療機関等において療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費又は訪問看護療養費(以下「療養の給付等」という。)を受ける場合の被保険者資格の確認方法について、改正後健保法第63条第3項、第85条第1項、第85条の2第1項、第86条第1項及び第88条第3項では、電子資格確認その他厚生労働省令で定める方法とされているところ、当該方法を保険医療機関等に被保険者証(保険薬局等においては被保険者証又は処方せん)を提出することとすること。(改正省令による改正後の健保則(以下「改正後健保則」という。)第53条及び第54条)

② 高齢受給者証の取扱いについて

70歳以上の被保険者が保険医療機関等において療養の給付等を受ける際に被保険者証により被保険者資格を確認する場合には、保険医療機関等において電子的確認(保険者に対し、被保険者の資格に係る情報(保険給付に係る費用の請求に必要な情報を含む。)の照会を行い、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、保険者から回答を受けた当該情報により確認することをいう。以下同じ。)を受けることができる場合を除き、高齢受給者証を提出することとすること。(改正後健保則第53条)

③ 限度額適用認定について

保険者は、市町村民税非課税者等である被保険者から限度額適用・標準負担額減額認定の申請を受け、当該被保険者に限度額適用・標準負担額減額認定を行っている場合を除き、被保険者による申請を要さず、被保険者の標準報酬月額に基づき、有効期限を定めて、被保険者の高額療養費算定基準額について、限度額適用認定を行わなければならないこと。ただし、限度額適用認定を受けた被保険者が限度額適用・標準負担額減額認定を受けるに至ったときは、当該限度額適用認定を取り消さなければならないこととすること。(改正後健保則第103条の2第1項)

また、保険者は、限度額適用認定を受けた被保険者であって、限度額適用認定証の交付を受けようとするものから申請者の被保険者等記号・番号又は個人番号、氏名及び生年月日を記載した申請書の提出を受けたときは、限度額適用認定証を交付しなければならないこととすること。(改正後健保則第103条の2第2項)

なお、限度額適用認定証の交付を受けた被保険者が限度額適用・標準負担額減額認定を受けるに至り、当該限度額適用認定が取り消されたとき、限度額適用認定の有効期限に至ったとき等には、遅滞なく、限度額適用認定証を保険者に返納しなければならないこと。(改正後健保則第103条の2第3項)

限度額適用認定を受けた者が保険医療機関等において療養の給付等を受ける際には、当該保険医療機関等において限度額適用認定を受けていることの確認を受けなければならないこと。この場合に、被保険者証により被保険者資格を確認する場合には、保険医療機関等において電子的確認を受けることができる場合を除き、限度額適用認定証を提出することとすること。(改正後健保則第103条の2第5項)

④ 限度額適用・標準負担額減額認定について

限度額適用・標準負担額減額認定については、従前と同様に、市町村民税非課税者等である被保険者が限度額適用・標準負担額減額認定の申請を行うことにより、保険者が行うこと等とすること。(改正後健保則第105条第1項等)

限度額適用・標準負担額減額認定を受けた者が保険医療機関等において療養の給付等を受ける際には、当該保険医療機関等において限度額適用・標準負担額減額認定を受けていることの確認を受けなければならないこと。この場合に、被保険者証により被保険者資格を確認する場合には、保険医療機関等において電子的確認を受けることができる場合を除き、限度額適用・標準負担額減額認定証を提出することとすること。(改正後健保則第105条第4項)

限度額適用・標準負担額減額認定を受けていることの確認を受けることなく、減額しない額の食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額を支払った場合であって、保険者が当該確認を受けなかったことがやむをえないものと認めたときは、従前と同様に、減額があった場合の食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額に基づき、入院時食事療養費若しくは入院時生活療養費又は保険外併用療養費を支給することができること。(改正後健保則第61条第1項及び第62条の4第1項)

これらの給付を受けようとする被保険者は、限度額適用・標準負担額減額認定を受けていることの確認を受けなかった理由等を記載した申請書を保険者に提出しなければならないこと。(改正後健保則第61条第2項及び第62条の4第2項)

⑤ 特定疾病に係る保険者の認定について

特定疾病に係る保険者の認定については、従前と同様、被保険者が特定疾病に係る保険者の認定の申請を行うことにより、保険者が行うこと等とすること。(改正後健保則第99条第1項等)

特定疾病に係る保険者の認定を受けた者が保険医療機関等において療養の給付等を受ける際には、当該保険医療機関等において特定疾病に係る保険者の認定を受けていることの確認を受けなければならないこと。この場合に、被保険者証により被保険者資格を確認する場合には、特定疾病療養受療証を提出することとすること。(改正後健保則第99条第6項)

⑥ 被扶養者資格の確認方法等について

被扶養者資格の確認方法等についても、①から⑤までと同様の扱いとすること。(改正後健保則第90条、第93条及び第94条)

⑦ 日雇特例被保険者等の資格の確認方法等について

日雇特例被保険者及びその被扶養者の資格の確認方法等については、従前の取扱いとすることとし、準用規定等の所要の整備を行うこと。(改正後健保則第122条の2等)

(イ) 告知要求制限の創設に伴い、以下の改正を行うこと。

① 改正後健保法第194条の2第1項では、厚生労働大臣、保険者、保険医療機関等その他の健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため被保険者等記号・番号等を利用する者として厚生労働省令で定める者は、当該事業又は事務の遂行のため必要がある場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならないこととされているところ、当該厚生労働省令で定める者について、別表1のとおり定めること。(改正後健保則第156条の2第1項)

② 改正後健保法第194条の2第2項では、①以外の者は、健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため特に必要な場合として厚生労働省令で定める場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならないこととされているところ、当該厚生労働省令で定める場合について、別表2のとおり定めること。(改正後健保則第156条の2第2項)

③ 改正後健保法第194条の3に規定による質問又は検査を行う職員が携帯すべき身分を示す証明書の様式を定めること。(改正後健保則第157条及び様式第24号の2)

(ウ) その他の改正として、以下の改正を行うこと。

① オンライン資格確認の仕組みを活用した薬剤情報等の閲覧について、保険者は、被保険者等の求めに応じ、当該被保険者等の健康の保持増進のため必要な範囲内において、当該被保険者等に対し、当該保険者が保有する当該被保険者等が受けた療養の給付等に関する記録を電磁的記録を提出する方法により提供することができる旨の規定を設けること。(改正後健保則第153条の3)

② 「被保険者証の記号・番号」を「被保険者等記号・番号」に改正する等の所要の改正を行うこと。

(2) 船員保険法施行規則(昭和15年厚生省令第5号。以下「船保則」という。)の一部改正(改正省令第2条関係)

(1)((ア)⑦の改正を除く。)に準じた改正を行うこと。なお、(ア)①は改正省令による改正後の船保則(以下「改正後船保則」という。)第42条及び第45条、②は改正後船保則第42条、③は改正後船保則第93条、④は改正後船保則第50条、第53条及び第95条、⑤は改正後船保則第88条、⑥は改正後船保則第80条から第82条まで、(イ)①及び②は改正後船保則第188条の2、③は改正後船保則第189条及び様式第12号の2、(ウ)①は改正後船保則第159条の2について、それぞれの内容に準じた改正を行うこと。

(3) 国民健康保険法施行規則(昭和33年厚生省令第53号。以下「国保則」という。)の一部改正(改正省令第3条関係)

(1)((ア)④、⑥及び⑦の改正を除く。)に準じた改正を行うこと。なお、(ア)①は改正省令による改正後の国保則(以下「改正後国保則」という。)第24条の4及び第25条、②は改正後国保則第24条の4、③は改正後国保則第27条の14の2及び第27条の14の4、⑤は改正後国保則第27条の13、(イ)①及び②は改正後国保則第44条の2、③は改正後国保則第44条及び様式第4の2、(ウ)①は改正後国保則第32条の32の5について、それぞれの内容に準じた改正を行うこと。

市町村又は国民健康保険組合は、被保険者による申請を要さず、有効期限を定めて、被保険者の高額療養費算定基準額について、限度額適用・標準負担額減額認定を行わなければならないこと。(改正後国保則第26条の3、第26条の6の4及び第27条の14の5)

また、市町村又は国民健康保険組合は、限度額適用・標準負担額減額認定を受けた被保険者であって、限度額適用・標準負担額減額認定証の交付を受けようとするものから申請書の提出を受けたときは、限度額適用・標準負担額減額認定証を交付しなければならないこととすること。(改正後国保則第26条の3第2項、第26条の6の4第2項及び第27条の14の5第2項)

(4) 国民健康保険保険給付費等交付金、国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率に関する省令(平成29年厚生労働省令第111号)の一部改正(改正省令第4条)

(ウ)の②の改正に準じた改正を行うこと。

(5) 高齢者の医療の確保に関する法律施行規則(平成19年厚生労働省令第129号。以下「高確則」という。)の一部改正関係(改正省令第5条関係)

(1)((ア)②、④、⑥及び⑦の改正を除く。)に準じた改正を行うこと。なお、(ア)①は改正省令による改正後の高確則(以下「改正後高確則」という。)第30条及び第30条の2、③は改正後高確則第66条の2、⑤は改正後高確則第62条、(イ)①及び②は改正後高確則第118条の3、③は改正後高確則第118条及び様式第12号、(ウ)①は改正後高確則第112条の2について、それぞれの内容に準じた改正を行うこと。

後期高齢者医療広域連合は、被保険者による申請を要さず、有効期限を定めて、被保険者の高額療養費算定基準額について、限度額適用・標準負担額減額認定を行わなければならないこと。(改正後高確則第67条第1項)

また、保険者は、限度額適用・標準負担額減額認定を受けた被保険者であって、限度額適用・標準負担額減額認定証の交付を受けようとするものから申請書の提出を受けたときは、限度額適用・標準負担額減額認定証を交付しなければならないこととすること。(改正後高確則第67条第2項)

なお、改正省令の施行に伴う所要の改正を行うため、令和2年厚生労働省告示第328号(高齢者の医療の確保に関する法律に基づく高齢者保健事業の実施等に関する指針の一部を改正する件)を本日告示し、令和2年10月1日より適用することとしたこと。

(6) 療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和51年厚生省令第36号。以下「請求省令」という。)の一部改正(改正省令第7条関係)

オンライン資格確認の仕組みを活用した審査支払機関によるレセプトの補正について、関係者に対し当該補正の業務が審査支払機関において行われることを明確に示し、審査支払機関が円滑に業務を行えるよう、審査支払機関の職権による請求の補正の仕組みを規定することとする。(改正省令による改正後の請求省令第1条の2)

第3 施行期日

改正省令は令和2年10月1日から施行すること。

【別紙1】

健康保険法第194条の2第1項等の厚生労働省令で定める者について、左欄に掲げる者をそれぞれ右欄に掲げる省令において規定。


健康保険法第194条の2第1項等に規定する者

省令

1

厚生労働大臣

健保則、船保則、国保則、高確則

2

財務大臣

健保則、船保則

3

地方厚生局長、地方厚生支局長

健保則、船保則、国保則、高確則

4

全国健康保険協会

健保則、船保則

5

健康保険組合

健保則

6

都道府県

国保則

7

市町村

国保則

8

国民健康保険組合

国保則

9

後期高齢者医療広域連合

高確則

10

適用事業所の事業主

健保則

11

船舶所有者

船保則

12

健康保険組合連合会

健保則

13

社会保険診療報酬支払基金

健保則、船保則、国保則、高確則

14

国民健康保険団体連合会

健保則、船保則、国保則、高確則

15

国民健康保険法第45条第6項に規定する厚生労働大臣が指定する法人

健保則、船保則、国保則、高確則

16

保険医療機関等

健保則、船保則、国保則、高確則

17

保険薬局等

健保則、船保則、国保則、高確則

18

健康保険法第87条第1項等(※)に規定する保険医療機関等以外の病院、薬局その他の者

健保則、船保則、国保則、高確則

19

指定訪問看護事業者

健保則、船保則、国保則、高確則

20

都道府県知事

健保則、船保則、高確則

21

市町村長(特別区の区長を含む。)

健保則、船保則、高確則

22

日本年金機構

健保則、船保則

23

船員保険事務組合

船保則

24

船長又は船長の職務を行う者(船舶所有者の代理人として船員保険法第225条の事務代行を行う場合に限る。)

船保則

25

船員保険法附則第三条第一項に規定する承認法人等

船保則

26

年金保険者

国保則、高確則

(※)船員保険法第64条第1項、国民健康保険法第54条第1項、高齢者の医療の確保に関する法律第77条第1項

【別紙2】

健康保険法第194条の2第1項等の厚生労働省令で定める場合について、健保則、船保則、国保則及び高確則において以下の場合を規定。



1

高齢者の医療の確保に関する法律第7条第2項に規定する保険者又は後期高齢者医療広域連合が、同条第1項に規定する医療保険各法若しくは高齢者医療確保法に基づく事業又は当該事業に関連する事務を行う場合

2

保険者から委託を受けた者が、当該委託を受けた健康保険事業に関連する事務を行う場合

3

被保険者の同意を得た者又は被保険者から委託を受けた者が、それぞれ当該同意を得た又は当該委託を受けた保険者(当該保険者から委託を受けた者を含む。)に対する保険給付に係る請求その他の行為を行う場合

4

国立研究開発法人国立がん研究センターが、がん登録等の推進に関する法律(平成25年法律第111号)第23条第1項の規定により厚生労働大臣から委任を受けた事務を行う場合

5

がん登録等の推進に関する法律第24条第1項の規定により都道府県知事から事務の委任を受けた者が、当該事務を行う場合

6

独立行政法人医薬品医療機器総合機構が、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律192号)第15条第1項第5号ハに掲げる業務又は同号ヘに掲げる業務(同号ハに掲げる業務に附帯する業務に限る。)を行う場合

7

医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(平成29年法律第28号)第9条第1項に規定する認定匿名加工医療情報作成事業者が、同法第2条第4項に規定する匿名加工医療情報作成事業を行う場合

8

4から7までの場合のほか、次のイからハまでに掲げる者の区分に応じ、当該イからハまでに定めるものを行う場合

イ 国の行政機関

適正な保健医療サービスの提供に資する施策の企画及び立案に関する調査

ロ 大学、研究機関その他の学術研究を目的とする機関又は団体

疾病の原因並びに疾病の予防、診断及び治療の方法に関する研究その他の公衆衛生の向上及び増進に関する研究

ハ 民間事業者

医療分野の研究開発に資する分析(特定の商品又は役務の広告又は宣伝に利用するために行うものを除く。)

9

高齢者の医療の確保に関する法律第20条に規定する特定健康診査、同法第24条に規定する特定保健指導、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第66条第1項に規定する健康診断その他の健康診断を実施する機関が、当該健康診断を実施する場合

10

社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む。)が、社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)第2条第1項各号に掲げる業務を行う場合

11

独立行政法人環境再生保全機構が、石綿による健康被害の救済に関する法律(平成18年法律第4号)第11条の規定により医療費を支給する場合

○健康保険法施行規則等の一部を改正する省令の公布について

(令和2年9月25日)

(保発0925第2号)

(全国健康保険協会理事長・健康保険組合理事長・地方厚生(支)局長・社会保険診療報酬支払基金理事長・健康保険組合連合会長・日本医師会長・日本歯科医師会長・日本薬剤師会長あて厚生労働省保険局長通知)

(公印省略)

健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第161号。以下「改正省令」という。)が本日公布され、令和2年10月1日から施行することとされたところである。

改正の趣旨及び主な内容は下記のとおりであるので、御了知の上、関係各位への周知徹底を図るとともに、施行に向けて十分に御留意いただくようお願いする。

第1 改正の趣旨

医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律(令和元年法律第9号。以下「改正法」という。)により、健康保険法(大正11年法律第70号)、船員保険法(昭和14年法律第73号)、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)等(以下「健康保険法等」という。)について、電子資格確認の仕組みが法定化されるとともに、個人情報保護の観点から、健康保険事業の遂行等の目的以外で被保険者等記号・番号等の告知を求めることを禁止する告知要求制限を創設する等の改正が行われたことに伴い、健康保険法等の下位省令において定められている保険医療機関等(保険医療機関、保険薬局又は指定訪問看護事業者をいう。以下同じ。)における被保険者資格の確認等の手続について、電子資格確認の仕組みに対応したものとなるよう、所要の改正を行うとともに、被保険者等記号・番号等の告知要求制限にかかる規定の整備を行うこと。

第2 改正の内容

(1) 健康保険法施行規則(大正15年内務省令第36号。以下「健保則」という。)の一部改正関係(改正省令第1条関係)

(ア) 電子資格確認(改正法による改正後の健康保険法(以下「改正後健保法」という。)第3条第13項の電子資格確認をいう。以下同じ。)の導入に伴い、保険医療機関等における被保険者資格の確認等の手続について、以下の取扱いとすること。

① 被保険者資格の確認方法について

保険医療機関等において療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費又は訪問看護療養費(以下「療養の給付等」という。)を受ける場合の被保険者資格の確認方法について、改正後健保法第63条第3項、第85条第1項、第85条の2第1項、第86条第1項及び第88条第3項では、電子資格確認その他厚生労働省令で定める方法とされているところ、当該方法を保険医療機関等に被保険者証(保険薬局等においては被保険者証又は処方せん)を提出することとすること。(改正省令による改正後の健保則(以下「改正後健保則」という。)第53条及び第54条)

② 高齢受給者証の取扱いについて

70歳以上の被保険者が保険医療機関等において療養の給付等を受ける際に被保険者証により被保険者資格を確認する場合には、保険医療機関等において電子的確認(保険者に対し、被保険者の資格に係る情報(保険給付に係る費用の請求に必要な情報を含む。)の照会を行い、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、保険者から回答を受けた当該情報により確認することをいう。以下同じ。)を受けることができる場合を除き、高齢受給者証を提出することとすること。(改正後健保則第53条)

③ 限度額適用認定について

保険者は、市町村民税非課税者等である被保険者から限度額適用・標準負担額減額認定の申請を受け、当該被保険者に限度額適用・標準負担額減額認定を行っている場合を除き、被保険者による申請を要さず、被保険者の標準報酬月額に基づき、有効期限を定めて、被保険者の高額療養費算定基準額について、限度額適用認定を行わなければならないこと。ただし、限度額適用認定を受けた被保険者が限度額適用・標準負担額減額認定を受けるに至ったときは、当該限度額適用認定を取り消さなければならないこととすること。(改正後健保則第103条の2第1項)

また、保険者は、限度額適用認定を受けた被保険者であって、限度額適用認定証の交付を受けようとするものから申請者の被保険者等記号・番号又は個人番号、氏名及び生年月日を記載した申請書の提出を受けたときは、限度額適用認定証を交付しなければならないこととすること。(改正後健保則第103条の2第2項)

なお、限度額適用認定証の交付を受けた被保険者が限度額適用・標準負担額減額認定を受けるに至り、当該限度額適用認定が取り消されたとき、限度額適用認定の有効期限に至ったとき等には、遅滞なく、限度額適用認定証を保険者に返納しなければならないこと。(改正後健保則第103条の2第3項)

限度額適用認定を受けた者が保険医療機関等において療養の給付等を受ける際には、当該保険医療機関等において限度額適用認定を受けていることの確認を受けなければならないこと。この場合に、被保険者証により被保険者資格を確認する場合には、保険医療機関等において電子的確認を受けることができる場合を除き、限度額適用認定証を提出することとすること。(改正後健保則第103条の2第5項)

④ 限度額適用・標準負担額減額認定について

限度額適用・標準負担額減額認定については、従前と同様に、市町村民税非課税者等である被保険者が限度額適用・標準負担額減額認定の申請を行うことにより、保険者が行うこと等とすること。(改正後健保則第105条第1項等)

限度額適用・標準負担額減額認定を受けた者が保険医療機関等において療養の給付等を受ける際には、当該保険医療機関等において限度額適用・標準負担額減額認定を受けていることの確認を受けなければならないこと。この場合に、被保険者証により被保険者資格を確認する場合には、保険医療機関等において電子的確認を受けることができる場合を除き、限度額適用・標準負担額減額認定証を提出することとすること。(改正後健保則第105条第4項)

限度額適用・標準負担額減額認定を受けていることの確認を受けることなく、減額しない額の食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額を支払った場合であって、保険者が当該確認を受けなかったことがやむをえないものと認めたときは、従前と同様に、減額があった場合の食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額に基づき、入院時食事療養費若しくは入院時生活療養費又は保険外併用療養費を支給することができること。(改正後健保則第61条第1項及び第62条の4第1項)

これらの給付を受けようとする被保険者は、限度額適用・標準負担額減額認定を受けていることの確認を受けなかった理由等を記載した申請書を保険者に提出しなければならないこと。(改正後健保則第61条第2項及び第62条の4第2項)

⑤ 特定疾病に係る保険者の認定について

特定疾病に係る保険者の認定については、従前と同様、被保険者が特定疾病に係る保険者の認定の申請を行うことにより、保険者が行うこと等とすること。(改正後健保則第99条第1項等)

特定疾病に係る保険者の認定を受けた者が保険医療機関等において療養の給付等を受ける際には、当該保険医療機関等において特定疾病に係る保険者の認定を受けていることの確認を受けなければならないこと。この場合に、被保険者証により被保険者資格を確認する場合には、特定疾病療養受療証を提出することとすること。(改正後健保則第99条第6項)

⑥ 被扶養者資格の確認方法等について

被扶養者資格の確認方法等についても、①から⑤までと同様の扱いとすること。(改正後健保則第90条、第93条及び第94条)

⑦ 日雇特例被保険者等の資格の確認方法等について

日雇特例被保険者及びその被扶養者の資格の確認方法等については、従前の取扱いとすることとし、準用規定等の所要の整備を行うこと。(改正後健保則第122条の2等)

(イ) 告知要求制限の創設に伴い、以下の改正を行うこと。

① 改正後健保法第194条の2第1項では、厚生労働大臣、保険者、保険医療機関等その他の健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため被保険者等記号・番号等を利用する者として厚生労働省令で定める者は、当該事業又は事務の遂行のため必要がある場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならないこととされているところ、当該厚生労働省令で定める者について、別表1のとおり定めること。(改正後健保則第156条の2第1項)

② 改正後健保法第194条の2第2項では、①以外の者は、健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため特に必要な場合として厚生労働省令で定める場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならないこととされているところ、当該厚生労働省令で定める場合について、別表2のとおり定めること。(改正後健保則第156条の2第2項)

③ 改正後健保法第194条の3に規定による質問又は検査を行う職員が携帯すべき身分を示す証明書の様式を定めること。(改正後健保則第157条及び様式第24号の2)

(ウ) その他の改正として、以下の改正を行うこと。

① オンライン資格確認の仕組みを活用した薬剤情報等の閲覧について、保険者は、被保険者等の求めに応じ、当該被保険者等の健康の保持増進のため必要な範囲内において、当該被保険者等に対し、当該保険者が保有する当該被保険者等が受けた療養の給付等に関する記録を電磁的記録を提出する方法により提供することができる旨の規定を設けること。(改正後健保則第153条の3)

② 「被保険者証の記号・番号」を「被保険者等記号・番号」に改正する等の所要の改正を行うこと。

(2) 船員保険法施行規則(昭和15年厚生省令第5号。以下「船保則」という。)の一部改正(改正省令第2条関係)

(1)((ア)⑦の改正を除く。)に準じた改正を行うこと。なお、(ア)①は改正省令による改正後の船保則(以下「改正後船保則」という。)第42条及び第45条、②は改正後船保則第42条、③は改正後船保則第93条、④は改正後船保則第50条、第53条及び第95条、⑤は改正後船保則第88条、⑥は改正後船保則第80条から第82条まで、(イ)①及び②は改正後船保則第188条の2、③は改正後船保則第189条及び様式第12号の2、(ウ)①は改正後船保則第159条の2について、それぞれの内容に準じた改正を行うこと。

(3) 国民健康保険法施行規則(昭和33年厚生省令第53号。以下「国保則」という。)の一部改正(改正省令第3条関係)

(1)((ア)④、⑥及び⑦の改正を除く。)に準じた改正を行うこと。なお、(ア)①は改正省令による改正後の国保則(以下「改正後国保則」という。)第24条の4及び第25条、②は改正後国保則第24条の4、③は改正後国保則第27条の14の2及び第27条の14の4、⑤は改正後国保則第27条の13、(イ)①及び②は改正後国保則第44条の2、③は改正後国保則第44条及び様式第4の2、(ウ)①は改正後国保則第32条の32の5について、それぞれの内容に準じた改正を行うこと。

市町村又は国民健康保険組合は、被保険者による申請を要さず、有効期限を定めて、被保険者の高額療養費算定基準額について、限度額適用・標準負担額減額認定を行わなければならないこと。(改正後国保則第26条の3、第26条の6の4及び第27条の14の5)

また、市町村又は国民健康保険組合は、限度額適用・標準負担額減額認定を受けた被保険者であって、限度額適用・標準負担額減額認定証の交付を受けようとするものから申請書の提出を受けたときは、限度額適用・標準負担額減額認定証を交付しなければならないこととすること。(改正後国保則第26条の3第2項、第26条の6の4第2項及び第27条の14の5第2項)

(4) 国民健康保険保険給付費等交付金、国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率に関する省令(平成29年厚生労働省令第111号)の一部改正(改正省令第4条)

(ウ)の②の改正に準じた改正を行うこと。

(5) 高齢者の医療の確保に関する法律施行規則(平成19年厚生労働省令第129号。以下「高確則」という。)の一部改正関係(改正省令第5条関係)

(1)((ア)②、④、⑥及び⑦の改正を除く。)に準じた改正を行うこと。なお、(ア)①は改正省令による改正後の高確則(以下「改正後高確則」という。)第30条及び第30条の2、③は改正後高確則第66条の2、⑤は改正後高確則第62条、(イ)①及び②は改正後高確則第118条の3、③は改正後高確則第118条及び様式第12号、(ウ)①は改正後高確則第112条の2について、それぞれの内容に準じた改正を行うこと。

後期高齢者医療広域連合は、被保険者による申請を要さず、有効期限を定めて、被保険者の高額療養費算定基準額について、限度額適用・標準負担額減額認定を行わなければならないこと。(改正後高確則第67条第1項)

また、保険者は、限度額適用・標準負担額減額認定を受けた被保険者であって、限度額適用・標準負担額減額認定証の交付を受けようとするものから申請書の提出を受けたときは、限度額適用・標準負担額減額認定証を交付しなければならないこととすること。(改正後高確則第67条第2項)

なお、改正省令の施行に伴う所要の改正を行うため、令和2年厚生労働省告示第328号(高齢者の医療の確保に関する法律に基づく高齢者保健事業の実施等に関する指針の一部を改正する件)を本日告示し、令和2年10月1日より適用することとしたこと。

(6) 療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和51年厚生省令第36号。以下「請求省令」という。)の一部改正(改正省令第7条関係)

オンライン資格確認の仕組みを活用した審査支払機関によるレセプトの補正について、関係者に対し当該補正の業務が審査支払機関において行われることを明確に示し、審査支払機関が円滑に業務を行えるよう、審査支払機関の職権による請求の補正の仕組みを規定することとする。(改正省令による改正後の請求省令第1条の2)

第3 施行期日

改正省令は令和2年10月1日から施行すること。

【別紙1】

健康保険法第194条の2第1項等の厚生労働省令で定める者について、左欄に掲げる者をそれぞれ右欄に掲げる省令において規定。


健康保険法第194条の2第1項等に規定する者

省令

1

厚生労働大臣

健保則、船保則、国保則、高確則

2

財務大臣

健保則、船保則

3

地方厚生局長、地方厚生支局長

健保則、船保則、国保則、高確則

4

全国健康保険協会

健保則、船保則

5

健康保険組合

健保則

6

都道府県

国保則

7

市町村

国保則

8

国民健康保険組合

国保則

9

後期高齢者医療広域連合

高確則

10

適用事業所の事業主

健保則

11

船舶所有者

船保則

12

健康保険組合連合会

健保則

13

社会保険診療報酬支払基金

健保則、船保則、国保則、高確則

14

国民健康保険団体連合会

健保則、船保則、国保則、高確則

15

国民健康保険法第45条第6項に規定する厚生労働大臣が指定する法人

健保則、船保則、国保則、高確則

16

保険医療機関等

健保則、船保則、国保則、高確則

17

保険薬局等

健保則、船保則、国保則、高確則

18

健康保険法第87条第1項等(※)に規定する保険医療機関等以外の病院、薬局その他の者

健保則、船保則、国保則、高確則

19

指定訪問看護事業者

健保則、船保則、国保則、高確則

20

都道府県知事

健保則、船保則、高確則

21

市町村長(特別区の区長を含む。)

健保則、船保則、高確則

22

日本年金機構

健保則、船保則

23

船員保険事務組合

船保則

24

船長又は船長の職務を行う者(船舶所有者の代理人として船員保険法第225条の事務代行を行う場合に限る。)

船保則

25

船員保険法附則第三条第一項に規定する承認法人等

船保則

26

年金保険者

国保則、高確則

(※)船員保険法第64条第1項、国民健康保険法第54条第1項、高齢者の医療の確保に関する法律第77条第1項

【別紙2】

健康保険法第194条の2第1項等の厚生労働省令で定める場合について、健保則、船保則、国保則及び高確則において以下の場合を規定。



1

高齢者の医療の確保に関する法律第7条第2項に規定する保険者又は後期高齢者医療広域連合が、同条第1項に規定する医療保険各法若しくは高齢者医療確保法に基づく事業又は当該事業に関連する事務を行う場合

2

保険者から委託を受けた者が、当該委託を受けた健康保険事業に関連する事務を行う場合

3

被保険者の同意を得た者又は被保険者から委託を受けた者が、それぞれ当該同意を得た又は当該委託を受けた保険者(当該保険者から委託を受けた者を含む。)に対する保険給付に係る請求その他の行為を行う場合

4

国立研究開発法人国立がん研究センターが、がん登録等の推進に関する法律(平成25年法律第111号)第23条第1項の規定により厚生労働大臣から委任を受けた事務を行う場合

5

がん登録等の推進に関する法律第24条第1項の規定により都道府県知事から事務の委任を受けた者が、当該事務を行う場合

6

独立行政法人医薬品医療機器総合機構が、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律192号)第15条第1項第5号ハに掲げる業務又は同号ヘに掲げる業務(同号ハに掲げる業務に附帯する業務に限る。)を行う場合

7

医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(平成29年法律第28号)第9条第1項に規定する認定匿名加工医療情報作成事業者が、同法第2条第4項に規定する匿名加工医療情報作成事業を行う場合

8

4から7までの場合のほか、次のイからハまでに掲げる者の区分に応じ、当該イからハまでに定めるものを行う場合

イ 国の行政機関

適正な保健医療サービスの提供に資する施策の企画及び立案に関する調査

ロ 大学、研究機関その他の学術研究を目的とする機関又は団体

疾病の原因並びに疾病の予防、診断及び治療の方法に関する研究その他の公衆衛生の向上及び増進に関する研究

ハ 民間事業者

医療分野の研究開発に資する分析(特定の商品又は役務の広告又は宣伝に利用するために行うものを除く。)

9

高齢者の医療の確保に関する法律第20条に規定する特定健康診査、同法第24条に規定する特定保健指導、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第66条第1項に規定する健康診断その他の健康診断を実施する機関が、当該健康診断を実施する場合

10

社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む。)が、社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)第2条第1項各号に掲げる業務を行う場合

11

独立行政法人環境再生保全機構が、石綿による健康被害の救済に関する法律(平成18年法律第4号)第11条の規定により医療費を支給する場合