添付一覧
○パリペリドンパルミチン酸エステル持効性懸濁注射液(12週間隔筋注製剤)の使用にあたっての留意事項について
(令和2年9月25日)
(/薬生薬審発0925第3号/薬生安発0925第2号/)
(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知)
(公印省略)
パリペリドンパルミチン酸エステル持効性懸濁注射液の12週間隔筋注製剤(販売名:ゼプリオンTRI水懸筋注175mgシリンジ、同水懸筋注263mgシリンジ、同水懸筋注350mgシリンジ及び同水懸筋注525mgシリンジ。以下「本剤」という。)については、本日、「統合失調症(パリペリドン4週間隔筋注製剤による適切な治療が行われた場合に限る)」を効能又は効果として承認したところです。
本剤と同一有効成分を含有しているパリペリドン4週間隔筋注製剤(販売名:ゼプリオン水懸筋注25mgシリンジ、同水懸筋注50mgシリンジ、同水懸筋注75mgシリンジ、同水懸筋注100mgシリンジ及び同水懸筋注150mgシリンジ)では、同剤との因果関係は不明であるが、同剤の市販直後調査期間中に複数の死亡症例が報告されたことから、平成26年4月に安全性速報を発出するとともに、添付文書において、急激な精神興奮等の治療や複数の抗精神病薬の併用を必要とするような不安定な患者には使用しないこと等の注意喚起をしてきました。本剤にもパリペリドン4週間隔筋注製剤と同様のリスクがあることから、本剤を投与しようとする患者においてパリペリドン4週間隔筋注製剤が適正に使用されていること及び本剤投与後には副作用の発現に注意し、次回投与までの間も患者の状態を十分に観察することが求められます。
つきましては、本剤の使用に当たっては、下記の点について留意されるよう、貴管下の医療機関及び薬局に対する周知をお願いします。
記
(1) 本剤の効能又は効果は「統合失調症(パリペリドン4週間隔筋注製剤による適切な治療が行われた場合に限る)」であり、本剤の効能又は効果に関連する注意は以下のとおりであるので、本剤の適正使用に関して特段の留意をお願いすること。
<効能又は効果に関連する注意>
本剤の投与開始に際しては、他の抗精神病薬を併用せずにパリペリドン4週間隔筋注製剤が4カ月以上継続して投与され、安全性・忍容性が確認された、症状が安定している患者に投与すること。[7.1参照]
(2) 本剤の用法及び用量に関連する注意は以下のとおりであるので、本剤の適正使用に関して特段の留意をお願いすること。なお、その他の使用上の注意については、添付文書を参照されたいこと。
<用法及び用量に関連する注意>
7.1 本剤は、下記の投与量で、パリペリドン4週間隔筋注製剤から切り替えて投与すること。本剤はパリペリドン4週間隔筋注製剤により適切に治療され、切替え前のパリペリドン4週間隔筋注製剤の少なくとも最後の2回が同用量である患者に投与すること。なお、パリペリドン4週間隔筋注製剤25mgからの切替えが可能な本剤の用量はないため、パリペリドン4週間隔筋注製剤25mgを投与している患者では本剤を投与しないこと。[5.参照]
パリペリドン4週間隔筋注製剤投与量 (パリペリドンとして) |
本剤投与量 (パリペリドンとして) |
25mg |
なし |
50mg |
175mg |
75mg |
263mg |
100mg |
350mg |
150mg |
525mg |
7.4 本剤の即時の用量調節は困難であることから、本剤投与中に症状の悪化が認められた場合や本剤の減量が必要となった場合は、以下のように対応し、本剤で用量調節を行わないこと。[8.1、16.1参照]
7.4.1 本剤投与中に症状の悪化が認められた場合は、患者の状態を十分観察し、抗精神病薬の追加が必要となった場合は、本剤の投与中止を検討すること。本剤の投与再開は、本剤以外の抗精神病薬により用量調節を行い、パリペリドン4週間隔筋注製剤により適切に治療された場合に行うこと。なお、本剤の主活性代謝物はパリペリドンであるため、リスペリドン若しくはパリペリドン製剤を投与する場合には、過量投与にならないよう、本剤の薬物動態を考慮して投与時期、投与量に十分注意し、患者の状態を十分観察すること。
7.4.2 本剤の減量が必要となった場合は、本剤の投与中止を検討すること。本剤の投与再開は、本剤以外の抗精神病薬により用量調節を行い、パリペリドン4週間隔筋注製剤により適切に治療された場合に行うこと。
(3) 本剤の投与対象等に係る重要な基本的注意は以下のとおりであるので、本剤の適正使用に関して特段の留意をお願いすること。なお、その他の使用上の注意については、添付文書を参照されたいこと。
<重要な基本的注意>
8.1 本剤は持効性製剤であり、精神症状の再発及び再燃の予防を目的とする製剤であることから、急性期の治療や複数の抗精神病薬の併用を必要とするような不安定な患者には用いないこと。また、一度投与すると直ちに薬物を体外に排除する方法がなく、投与中止後も長期間血中濃度が持続するため、本剤を投与する場合は、予めその必要性について十分に検討し、副作用の予防、副作用発現時の処置、過量投与等について十分留意すること。[7.4、7.5、11、13、16.1参照]
8.8 本剤の投与間隔は12週間と長いことから、本剤投与後には副作用の発現に注意し、次回投与までの間も患者の状態を十分に観察すること。特に本剤投与開始後早期においては、これまでの受診頻度も踏まえた上で、より慎重に患者の状態を観察すること。