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○地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律による生活保護法の一部改正等について

(令和2年9月14日)

(社援発第0914第7号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省社会・援護局長通知)

(公印省略)

今般、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和2年法律第41号。以下「分権一括法」という。)第6条の規定による生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」という。)の一部改正及びこれに伴う以下の政省令の一部改正を行い、令和2年10月1日から施行することとしたところである。

・ 生活保護法施行令及び地方自治法施行令の一部を改正する政令(令和2年政令第271号)第1条の規定による生活保護法施行令(昭和25年政令第148号。以下「令」という。)の一部改正

・ 生活保護法施行規則及び厚生労働省組織規則の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第158号)第1条の規定による生活保護法施行規則(昭和25年厚生省令第21号)の一部改正

これらの改正の概要及び施行に当たっての留意事項は次のとおりであるので、これらの事項に留意の上、管内の保護の実施機関等関係方面に周知し、施行に遺漏なきを期されたい。

第1 改正の概要

1 教育扶助のための保護金品の代理納付に関する事項

公立学校における学校給食費等(以下「給食費等」という。)の地方公共団体単位での会計処理(公会計)、地方公共団体における徴収・管理業務の実施が推進されていること等を踏まえ、教育扶助のための保護金品について、福祉事務所の判断でその徴収・管理を行う地方公共団体等に対して代理納付できるものとすること。(法第37条の2及び令第3条関係)

2 生活保護法による指定介護機関の指定の効力の停止に関する事項

地方公共団体における不利益処分の事務手続の簡略化による介護機関に対する処分手続の一層の効率化並びに介護機関及び地方公共団体の事務負担軽減に資するため、介護保険法により同法に基づく指定介護機関としての効力が停止された指定介護機関については、連動して法による指定介護機関としての効力(介護保険法による効力の停止がされている部分に限る。)が停止されることとすること。(法第54条の2第4項関係)

3 生活保護費の返還金等に係る収納事務の私人への委託に関する事項

生活保護費返還金等(法第63条の規定による返還金、法第77条の規定による徴収金、法第78条の規定による徴収金及び生活保護に起因する不当利得の返還金をいう。以下同じ。)の円滑な納付及び各福祉事務所の事務負担の軽減に資するよう、生活保護費返還金等の収納事務の私人委託を可能とすること。(法第78条の3及び令第11条関係)

4 その他所要の規定の整備を行うものとすること。

第2 留意事項

1 地方公共団体等に対する給食費等の代理納付について

教育扶助に係る保護金品については、法第32条第2項の規定において、被保護者(子ども)本人、その親権者、未成年後見人(以下、「親権者等」という。)又は当該被保護者の通学する学校の長に対して交付するものとされており、従来から、多くの実施機関においては、被保護者が通学する学校の長に対して給食費等を直接交付しているところである。

一方、「学校給食費等の徴収に関する公会計化等の推進について」(令和元年7月31日付け元文科初第561号文部科学省初等中等教育局長通知)により、公立学校における給食費等の徴収・管理に係る教員の業務負担を軽減することなどを目的として、給食費等を地方公共団体単位で会計処理(公会計)し、地方公共団体における徴収・管理業務の実施を推進することとされたところであり、これに伴い、給食費等の徴収・管理事務を公会計化した地方公共団体等については、その交付先が各学校の長ではなくなるため、親権者等に対して交付せざるを得ない状況になっていた。

こうした地方公共団体等においても、実施機関、親権者等双方の負担軽減の観点等から、今回の改正により、法第32条第2項の規定により交付する保護金品(教育扶助)について、給食費等を徴収・管理する地方公共団体等に対して代理納付することを可能としたものである。

なお、代理納付の実施に当たっては、法第32条第2項に基づき学校の長に対して直接支払う場合と同様、親権者等の同意及び委任状等は要しないものである。

2 生活保護費返還金等の収納の事務を私人へ委託する場合について

(1) 委託可能な事務の範囲

今回の改正により、法第78条の3の規定により私人に委託することができることとした生活保護費返還金等の収納の事務については、単に返還義務者から生活保護費返還金等を受け入れる行為のみを指すものであり、例えば、行政処分として行われる生活保護費返還金等の決定、公売、差押え、督促、立入調査等を私人に委託することを可能としたものではない。

(2) 委託先について

委託先については、コンビニエンスストアや資金決済事業者といった、収納業務に係るノウハウを持つ事業者が想定される。委託先の選定に当たっては、後述する個人情報の保護に遺漏を生じることがないよう、十分に留意していただきたい。

(3) 個人情報の保護について

生活保護の受給に関する情報は、特に慎重に保護することを要する重要な秘密情報であることから、生活保護費返還金等の収納業務について私人委託(民間事業者の活用)を検討する場合には、個人情報保護条例に、受託した民間事業者及びその従業員に対する規制を追加し、罰則の対象とするなどの必要な規定の整備を行うなど、個人情報の保護に遺漏を生じることがないよう、特段の配慮と慎重な取扱いが必要である。

また、情報の他用途利用の禁止、委託業務の再委託の禁止、業務内容に限定した端末へのアクセス制限等、委託業務の内容に応じた情報の取扱方法を定めた上で委託契約に盛り込み、民間事業者に遵守させることを徹底することなどにより、情報の厳正な取扱いが確保されるよう、十分に留意していただきたい。

加えて、納付書には、被保護者であることが分かる文言を記載しないなど、被保護者の心情にも配慮した措置を講じられたい。