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○独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対する機械器具等に係る治験不具合等報告について

(令和2年8月31日)

(薬生発0831第9号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)

(公印省略)

医療機器の治験中の不具合及び有害事象の報告(以下「治験不具合等報告」という。)については、平成16年7月9日付け薬食発第0709004号厚生労働省医薬食品局長通知「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律等の施行について」(以下「施行通知」という。)の記の第23「医療機器の治験について」において通知し、平成25年3月29日付け薬食発0329第14号厚生労働省医薬食品局長通知「独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対する機械器具等に係る治験不具合等報告について」において取扱いを示してきたところです。

今般、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令(令和2年厚生労働省令第155号)の施行に伴い、医療機器の治験不具合等報告の取扱いについて、下記のとおり定めることとしましたので、御了知の上、貴管下関係業者、医療機関等に対して周知いただきますよう御配慮願います。

1.医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「規則」という。)第279条において準用する規則第274条の2中の用語の定義については、以下のとおりであること。

(1) 「当該治験使用機器と構造及び原理が同一性を有すると認められるもの」とは、当該治験使用機器と形状、構造、原材料、性能等が同一性を有すると認められるものであること。外国で発生した症例が報告対象となるか否かについては、規則第274条の2の規定により判断すべきであるが、少なくともその症例が発生した国において、その国の政府に緊急に報告する必要がある症例については報告すべきものであること。

(2) 「使用による影響であると疑われるもの」とは、因果関係が否定できるもの以外のものを指し、これには因果関係が不明なものも含まれるものであること。薬剤溶出ステント等、薬物があらかじめ機械器具等と組み合わされている被験機器であって、薬物の影響による有害事象の発生が疑われる場合も、報告の対象となること。

(3) 「それらの使用によるものと疑われる感染症」とは、生物由来の当該治験使用機器等(当該治験使用機器又は当該治験使用機器と形状、構造、原材料、性能等が同一性を有すると認められるものをいう。以下同じ。)への病原体の混入が疑われる場合等を指すものであること(例えば、生物由来原材料等によるものと疑われるウイルス性肝炎、HIV感染等)。また、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、HIV等のウイルスマーカーの陽性化についても、報告の対象となること。

(4) 「当該被験機器の治験機器概要書又は被験機器以外の当該治験使用機器等についての既存の科学的知見から予測できないもの」とは、不具合等の評価時点における最新の予測性判断に使用する資料(治験機器概要書又は被験機器以外の治験使用機器に係る科学的知見について記載した添付文書、学術論文等の文書(以下「治験機器概要書等」という。))に記載されていないもの、あるいは、記載されていてもその性質、症状の程度又は発生傾向が記載内容と一致しないものであること。例えば、治験機器概要書等に記載されていても、予測できないような重篤症例は報告の対象となること。

(5) 「障害」とは、日常生活に支障を来す程度の機能不全の発現を示すものであること。

(6) 「不具合」とは、破損、作動不良等広く品質、安全性、性能等に関する被験機器の具合がよくないことをいい、設計、交付、保管、使用のいずれの段階で生じたものであるかを問わないこと。

(7) 「当該治験使用機器等の不具合の発生であつて、当該不具合によつて第1号イ若しくはロ又は前号イ(1)から(5)までに掲げる症例等が発生するおそれがあるもの」とは、当該治験使用機器等の不具合の発生であって、現実には死亡、障害等は発生していないが、死亡、障害等が発生するおそれがあると認められるものであること。

(8) 「当該治験における被験者保護に関する安全性の判断に影響を与えるおそれがないと認められるとき」とは、得られた安全性情報について、医学的評価に資する情報が不足しており、情報源や発生状況等を勘案して、評価に資する追加的な情報を得ることが困難なときや、得られた安全性情報の内容が、当該治験の被験者における使用状況と大きく異なることから、被験者保護に関する安全性の判断に影響を与えるおそれがないとき等を指すものであること。

具体的には、安全性情報が、インターネット上での匿名の有害事象の書込みや、コールセンターに対する一般消費者やその他非医療専門家からの情報及び問い合わせに由来し、その真偽の判断が困難であり、医学的な考察や追加的情報収集も困難なときや、治験と異なる使用方法により生じた不具合等で、使用方法に特有の不具合等はこの事例に該当する。ただし、このような情報であっても、仮に情報の集積により、当該被験機器等の使用による影響であると疑われる疾病等又はそれらの使用によるものと疑われる感染症の発生数、発生頻度等の増加が認められた場合は、別途当該傾向の変化について報告を要するものであること。

(9) 「外国で使用されている物であつて治験使用機器と構造及び原理が同一性を有すると認められるものに係る製造、輸入又は販売の中止、回収、廃棄その他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施」とは、外国における、有効性又は安全性の観点からの製造等の中止のほか、効能又は効果、操作方法、使用方法、製造方法等の変更、ドクターレターの配布を伴う重要な使用上の注意の改訂等も含まれるものであること。

(10) 「被験機器以外の治験使用機器については、被験機器と併用した際の保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置」とは、被験機器以外の治験使用機器に関する保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置のうち、当該治験において被験機器と併用した際に生じる可能性が高い保健衛生上の危害の発生又は拡大に対処するためのものであること。

(11) 「がんその他の重大な疾病、障害若しくは死亡が発生するおそれがあること」とは、疫学調査報告、動物等を用いた試験、物理的試験、化学的試験又は電気的試験の成績等により、当該被験機器等の使用又はその使用による感染症に起因する重大な疾病(例えば、がん、難聴、失明等)の発現又はその可能性を示すものであること。

(12) 「使用による影響であると疑われる疾病等若しくはそれらの使用によるものと疑われる感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したこと」とは、当該被験機器等の使用による影響であると疑われる疾病又はそれらの使用によるものと疑われる感染症の発生数、発生頻度、発生条件(例えば、全体としての発生数、発生頻度の変化は大きくないが、層別して見た場合に特定の年齢、合併症、操作方法、使用方法等で特に発生数又は発生頻度の上昇が判明した等)、症状又は程度等の明らかな変化を示すものであること。

(13) 「治験の対象となる疾患に対して効能、効果若しくは性能を有しないこと」とは、当該被験機器等について、精密かつ客観的な臨床試験その他動物試験等により、治験の対象となる疾患に対する効能、効果又は性能を有しないことを示すものであること。

(14) 「研究報告」とは、国内外の学術雑誌等に掲載された研究報告、自社又は関連企業において行われた研究報告等を指すものであること。

(15) 「当該被験機器等の治験の対象となる疾患に対する有効性及び安全性の評価に影響を与えないと認められる研究報告」とは、例えば治験において想定される不具合等として、被験者に対する安全対策(当該不具合等が発生し得る患者が被験者から除外されている、治験の中で適切な検査計画が立案されている等)が既にとられているものや、当該被験機器等の使用による影響であると疑われる疾病等又はそれらの使用によるものと疑われる感染症の発生数、発生頻度等の増加が認められないもの等が想定されること。

2.報告期限等

(1) 治験不具合等報告は、規則第274条の2第1項第1号及び第2項第1号に該当する場合は7日以内、同条第1項第2号及び第2項第2号に該当する場合は15日以内、同条第1項第3号及び第2項第3号に該当する場合は30日以内に行うこと。

(2) 規則第274条の2第4項に規定する事項については、当該被験機器について初めて治験の計画を届け出た日等から起算して1年ごとに、その期間の満了後2月以内に報告しなければならないこと。

3.報告様式

規則第274条の2第1項、第2項第1号、同項第2号イ及びロ並びに同項第3号に基づく報告については、別紙様式第1により、同項第2号ハ及びニに基づく報告については、別紙様式第2により、同条第4項に基づく報告については、別紙様式第3及び別紙様式第4により行うこと。

4.報告上の取扱い

(1) 治験の依頼をした者による報告の場合

治験の依頼をした者は、依頼した治験に係る計画の届出の必要性の有無にかかわらず、治験使用機器の有効性、安全性に関し、保健衛生上重要な知見を入手した場合には、規則第274条の2の規定により、その内容を報告すること。なお、被験機器に係る治験を全て終了し、当該被験機器に係る医療機器の製造販売の承認を申請中のもの又は製造販売の承認の申請準備中のものについても、製造販売の承認を受けるまでは報告の対象となるものであること。

(2) 自ら治験を実施した者による報告の場合

自ら治験を実施した者は、その実施する治験に係る計画の届出の必要性の有無にかかわらず、治験使用機器の有効性、安全性に関し、保健衛生上重要な知見を入手した場合には、規則第274条の2の規定により、その内容を報告すること。なお、被験機器に係る治験を全て終了し、当該被験機器に係る医療機器の製造販売の承認を申請中のもの又は製造販売の承認の申請準備中のものについても、製造販売の承認を受けるまでは報告の対象となるものであること。

5.提出方法

治験不具合等報告は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査マネジメント部審査企画課へ提出すること。

6.治験中に得られた極めて重大な安全性情報の取扱いについて

治験の依頼をした者が、自ら製造販売する医療機器(製造販売する予定の被験機器を含む。)と構造及び原理が異なる治験使用機器(以下「他社の治験使用機器」という。)の使用に起因すると合理的に考えられ、治験の中断・中止の理由とされるような未知で重篤な不具合等の極めて重大な安全性情報を得た場合は、上記の法令に基づく不具合等報告の他に、被験者保護及び我が国の公衆衛生上の安全性の向上の観点から、我が国の当該治験使用機器の製造販売業者等に適切に情報提供することが望ましい。

7.適用時期

本通知は、令和2年9月1日から適用する。ただし、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対する機械器具等に係る治験不具合等報告に関する報告上の留意点等について」(令和2年8月31日付け薬生機審発0831第10号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)に基づき従前の例により治験の計画の届出を提出したものについては、従前の例により治験不具合等報告を行うこと。

8.通知の廃止

本通知の適用に伴い、令和4年8月31日をもって、平成25年3月29日付け薬食発0329第14号厚生労働省医薬食品局長通知「独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対する機械器具等に係る治験不具合等報告について」は廃止する。

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