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○医薬品の条件付き承認の取扱いについて

(令和2年8月31日)

(薬生薬審発0831第2号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)

(公印省略)

重篤な疾患であって有効な治療方法が乏しく患者数が少ない疾患等を対象とする医薬品については、我が国での治験実施が困難、あるいは実施可能であっても治験の実施にかなりの長期間を要する場合、「医薬品の条件付き早期承認制度の実施について」(平成29年10月20日付け薬生薬審発1020第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)(以下「課長通知」という。)に基づき、状況に応じて個別に検討し、検証的臨床試験の成績を求めることなく、市販後に必要な調査等を実施することを承認条件として当該医薬品の製造販売承認を行ってきたところです。

今般、この医薬品の条件付き承認制度及びその要件を法令上明確化するとともに、製造販売後調査を含めた情報収集活動とその評価を充実させる観点から、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)による改正後の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年8月10日法第145号。以下「法」という。)に位置づけ、下記のとおり取り扱うこととしましたので、御了知の上、貴管内関係団体、関係機関等に周知いただきますよう御配慮願います。

なお、課長通知に基づき製造販売承認申請又は製造販売承認事項一部変更承認申請(以下「承認申請」という。)された医薬品については、本通知に関わらず、なお従前のとおり取り扱うことといたします。

1.対象品目

以下の①~④のいずれにも該当する医薬品とする。

なお、予防薬について本制度の対象としようとするときは、特に慎重な検討を要するものであること。

① 以下に分類して総合的に評価した結果、適応疾患が重篤であると認められること

1) 生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)であること

2) 病気の進行が不可逆的等で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患であること

② 以下に分類して総合的に評価した結果、既存の治療法、予防法又は診断法と比較して有効性又は安全性が医療上明らかに優れていると認められること

1) 既存の治療法、予防法又は診断法がないこと

2) 有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法又は診断法より優れていること

③ 検証的臨床試験の実施が困難であるか、実施可能であっても患者数が少ないこと等により実施に相当の期間を要すると判断されること

④ 検証的臨床試験以外の臨床試験の試験成績その他の情報(以下「検証的臨床試験以外の臨床試験の試験成績等」という。)により、一定の有効性、安全性が示されると判断されること

2.本制度の適用に係る相談

1) 申請者は、承認申請前に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の相談制度を活用し、本制度適用の該当性や承認申請に必要な申請データ・パッケージ、想定される承認時の法第14条第10項の規定に基づく条件(以下「提出免除条件」という。)の概要等(以下「本制度適用の該当性等」という。)について相談を行う。

2) 承認申請に必要な治験の終了後に可及的速やかに申請できるようにすることを考慮すると、当該相談は、検証的臨床試験以外の臨床試験の試験成績等により一定の有効性、安全性が示されると判断された段階で行うことが想定される。

3) PMDAは、検証的臨床試験以外の臨床試験の試験成績等を踏まえ、本制度適用の該当性について判断するとともに、申請者と提出免除条件の概要について合意し、評価報告書を作成する。

3.PMDAとの相談の取扱いについて

本制度の目的は、医療上特にその必要性が高い医薬品を早期に実用化することであるため、PMDAと本制度適用の該当性等を検討する相談については、優先対面助言の対象とする。ただし、対象とする疾病の性質や実施された臨床試験の結果等により本制度適用の要件を満たさないと判断される場合は、その限りではない。

4.本制度の適用に係る手順

1) 本制度の適用を希望する場合、申請者は、承認申請時に、当該医薬品の承認申請書の備考欄に「検証的臨床試験の試験成績の提出免除」と記載をした上で、検証的臨床試験の試験成績に係るものの添付を要しないことに該当する事実に関する資料を添付して申請する。当該資料は、原則として、上記2.3)の評価報告書とする。

2) 厚生労働省は、検証的臨床試験の試験成績に係るものの添付を要しないことに該当する事実に関する資料を活用し、本制度の適用の可否の判断結果を直近の薬事・食品衛生審議会の担当部会に報告の上、了承を得る。

3) 厚生労働省は、申請者に対し、本制度の適用となった旨の通知を行う。また、当該医薬品の承認時にその旨を公表する。

5.提出免除条件

本制度が適用される医薬品の承認の際には、製造販売後に当該医薬品の有効性、安全性の再確認等のために必要な調査等の実施を条件として付すこととする。

MID―NET等の医療情報データベースや患者レジストリ等を活用した調査についても、必要に応じて提出免除条件として実施を求める調査等として活用することができるものとする。また、医薬品の適正使用を確保する観点から、施設等の要件を定めることが適当な場合は、当該要件の確保に必要な措置等の実施についても、必要に応じて提出免除条件とすることとする。

なお、申請前に申請者及びPMDAとの間で合意された、想定される提出免除条件の概要については、申請時に提出される資料等から審査過程において変更される場合がある。

6.優先審査の取扱い

本制度が適用された医薬品については、「優先審査等の取扱いについて」(令和2年8月31日付け薬生審査発0831第1号、薬生機発0831第1号)の優先審査の適用要件を満たすことになるため、優先審査の対象となる。

7.提出免除条件に基づき実施された調査等の成績に関する評価

本制度を適用して承認された医薬品の製造販売業者は、承認時に指定された期間内に、提出免除条件に基づき実施した調査等の成績を提出し、その評価(以下「中間評価」という。)を受けることとする。中間評価に際し、製造販売業者は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令(令和2年厚生労働省令第155号)による改正後の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「規則」という。)に規定する様式第22の2に添えて必要な資料をPMDAに提出すること。

8.提出免除条件等の変更

厚生労働省は、中間評価の結果を踏まえて、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、提出免除条件、承認内容等について必要な変更を行う。

9.その他

検証的臨床試験を実施しなくとも、申請に係る有効性及び安全性を有することが確認でき、検証的臨床試験の実施が不要であると判断される場合、検証的臨床試験の試験成績については、規則第40条第2項における資料の添付を必要としない合理的理由がある場合に該当すると考えられるため、本制度の適用によらず、検証的臨床試験の試験成績を添付することは要しない。

10.施行日

本通知は令和2年9月1日から施行する。

以上