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○インコボツリヌストキシンA製剤の使用にあたっての留意事項について
(令和2年6月29日)
(薬生薬審発0629第1号)
(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)
(公印省略)
インコボツリヌストキシンA製剤(販売名:ゼオマイン筋注用50単位、同筋注用100単位及び同筋注用200単位。以下「本剤」という。)については、本日、上肢痙縮を効能・効果として製造販売承認を行ったところですが、その使用にあたっては、本剤の承認条件に基づく適正な流通管理等が実施されるとともに、A型ボツリヌス毒素製剤(販売名:ボトックス注用50単位及び同注用100単位)との効能・効果及び用法・用量の相違に留意して、安全性に十分配慮した使用が徹底されるよう、貴管下の医療機関・薬局等に対する周知・指導をお願いします。
また、本剤とA型ボツリヌス毒素製剤との同時投与は原則として避けることとされているとともに、A型ボツリヌス毒素製剤による治療後に本剤を使用する場合には、少なくともA型ボツリヌス毒素製剤の上肢痙縮を対象とした用法・用量で規定されている投与間隔をあけ、患者の症状を十分に観察した上で、効果が消失し、安全性上の問題がないと判断された場合にのみ投与することとされていますので、併せて周知徹底をお願いします。
(参考1)承認条件
1.医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
2.本剤についての講習を受け、本剤の安全性及び有効性を十分に理解し、本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師によってのみ用いられるよう、必要な措置を講じること。
3.本剤の使用後に失活・廃棄が安全・確実に行われるよう、廃棄については薬剤部に依頼する等、所要の措置を講じ、廃棄に関する記録を保管すること。
(参考2)A型ボツリヌス毒素製剤との効能・効果及び用法・用量に関する比較
インコボツリヌストキシンA製剤(販売名:ゼオマイン筋注用50単位、同筋注用100単位及び同筋注用200単位) |
A型ボツリヌス毒素製剤(ボトックス注用50単位及び同注用100単位) |
効能・効果 |
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上肢痙縮 |
眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、重度の原発性腋窩多汗症、斜視、痙攣性発声障害、既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁、既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁 |
上肢痙縮に係る用法・用量 |
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通常、成人にはインコボツリヌストキシンAとして複数の緊張筋注)に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与間隔は10週まで短縮できる。 注)緊張筋:橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、浅指屈筋、深指屈筋、腕橈骨筋、上腕二頭筋、上腕筋、方形回内筋、円回内筋、長母指屈筋、母指内転筋、短母指屈筋/母指対立筋等 |
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋*に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。 *緊張筋:上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、母指内転筋等 |
(注) A型ボツリヌス毒素製剤としては、「ボトックス注用50単位及び同注用100単位」の他に、「ボトックスビスタ注用50単位」が、「65歳未満の成人における眉間又は目尻の表情皺」を効能・効果として承認されている。