○美容師養成施設の通信課程における授業方法等の基準の運用について
(平成29年7月10日)
(生食発0710第8号)
(各都道府県知事あて厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長通知)
(公印省略)
平成27年6月30日に閣議決定された「規制改革実施計画」において、理容師・美容師関係の規制改革事項として、「理容師又は美容師のいずれか一方の資格を持った者が他方の資格を取得しやすくするため、専門家による検討の場を設けて検討を行い、結論を得た上で所要の措置を講ずる」こと及び「国家試験及び養成施設の教育内容について、現場のニーズにより即した理容師・美容師を養成する観点から、経営者、従事者、専門学校など、広く関係者の意見を聴取する場を設置して検討を行い、結論を得た上で所要の措置を講ずる」こととされた。
これを受け、「理容師・美容師の養成のあり方に関する検討会」が取りまとめた報告書を踏まえ、本年3月31日に美容師法施行規則(平成10年厚生省令第7号。以下「施行規則」という。)等の改正が行われた。
これに伴い、平成27年3月31日健発第0331第16号厚生労働省健康局長通知「美容師養成施設の通信課程における授業方法等の基準の運用について」の別紙「美容師養成施設の通信課程における授業方法等の基準の運用」を別添新旧対照表のとおり改正し、平成30年4月1日(改正後の上記施行規則附則第13条における準備行為については平成29年3月31日)から適用することとしたので通知する。
(別添)
【参考】
(別紙)
美容師養成施設の通信課程における授業方法等の基準の運用
1 通信授業
(1) 通信授業における教材は、次によるものであること。
ア 必修課目については、美容師の養成に必要な知識及び技能を修得させるのに適するものであって、「美容師養成施設の教科課程の基準の運用について」(平成27年3月31日健発0331第18号厚生労働省健康局長通知。以下「教科課程の基準の運用」という。)に定める教科課目の各項目の内容に従って構成されるものであること。選択課目については、「教科課程の基準の運用」に従い、各美容師養成施設において、適切な構成とすること。
イ 各教科課目相互の関連が十分とれていること。
ウ 生徒の能力からみて程度が高過ぎるところはないこと。
エ 正確、公正であって、かつ、配列、分量、区分及び図表が適切であること。
オ 統計などの資料は、信頼性のある適切なものであること。
カ 自学自習についての便宜が適切に与えられていること。
(2) 添削による指導は、美容師養成施設の通信課程における授業方法等の基準(平成20年厚生労働省告示第47号。以下「通信課程における授業方法等の基準」という。)に基づき、それぞれの教科課目ごとに適切に行うこと。
(3) 添削に当たっては、採点、講評、学習上の注意等を記入すること。
(4) 生徒からの質問は随時適切な方法で受け付け、十分に指導を行うこと。
2 面接授業
(1) 面接授業は、「通信課程における授業方法等の基準」に基づき、それぞれの教科課目ごとに適切に行い、その必修課目の内容は、別添「美容師養成施設の通信課程の面接授業における必修課目の内容の基準」によるものとし、選択課目の内容については、各美容師養成施設において、適切なものとすること。特に、理容修得者課程における面接授業については、美容技術等の習得が確実に行われるよう授業内容や単位設定に十分留意すること。
(2) 授業の1単位時間は50分を基準とし、教科課目の特質等に応じて授業の実施形態を工夫することができること。ただし、美容実習の授業時間は、原則として、1回あたり2単位時間を配当すること。
(3) 美容所に常勤として補助的な作業に従事している者である生徒に対する面接授業の緩和に当たっては、入所決定時に美容所に常勤で従事していることを確認した上で行うとともに、入所途中においても、当該生徒が従事している美容所から、その証明の提出を受けるものとすること。
なお、入所途中で生徒の美容所における就業形態が常勤から非常勤に変更された場合にあっては、当該生徒が履修する面接授業の単位数又は授業時間数の緩和について、「通信課程における授業方法等の基準」第三の二の1及び3に定める表の中欄に掲げる単位数又は時間数により行うものとすること。ただし、美容所に常勤として補助的な作業に従事している者である生徒に対する面接授業の単位(時間)数の取り扱いについては、平成39年度までに一般の生徒と同基準とすることとしているので、各養成施設への周知・指導等を適宜行うこと。
(4) 面接授業を行う場所は、当該養成施設の校舎であること。ただし、当該養成施設の校舎において面接授業を行うことが時間的及び経済的に不適当であると認められる生徒に対する面接授業を行う場所は、他の美容師養成施設その他面接授業を行う場所として適当と認められる施設であること。
(5) 通信養成を行う地域を複数の都道府県とする等広範囲の地域とする美容師養成施設にあっては、適切かつ確実な方法により面接授業を行い、面接授業を受けることができない生徒が生じないようにすること。
(6) 美容実習における実務実習又は選択課目の校外実習を行う美容師養成施設は、「教科課程の基準の運用」の定めるところにより、厳正に行うこと。
3 その他
(1) 美容師養成施設は、通信授業及び添削指導に係る事務の一部を適当な機関に委託することができること。この場合において、当該養成施設及び受託機関は、相互に連携を図り、生徒の学習に支障のないようにすること。
(2) 通信授業及び添削指導に係る事務の一部を委託する機関については、美容師の養成、教育の円滑な運営を図るとともに、美容師養成施設の運営の一部であることから、委託する事務の継続性、事務処理体制の確実性等を確保することが必要であること。このため、委託先はこれらの趣旨を踏まえて営利を目的としない法人であること。
(別添)
美容師養成施設の通信課程の面接授業における必修課目の内容の基準
第1 関係法規・制度
1 衛生行政
(1) 衛生行政の意義
2 美容師法
(1) 法の目的
(2) 美容師に対する法的規制
(3) 美容所に対する法的規制
第2 衛生管理
1 公衆衛生概説
(1) 公衆衛生の意義
(2) 公衆衛生と美容業
(3) 保健所の業務
2 感染症
(1) 美容所における感染症対策
3 環境衛生
(1) 環境衛生の意義と目的
(2) 美容所における環境衛生
4 衛生管理技術
(1) 美容所における衛生管理の意義と目的
(2) 消毒法の選択と実施方法
(3) 消毒法の実習
第3 保健
1 皮膚及び皮膚付属器官の構造及び機能
(1) 皮膚及び皮膚付属器官の構造
(2) 皮膚の生理的作用と美容との関係
(3) 毛髪及び爪の生理的意義と特性
2 皮膚及び皮膚付属器官の保健衛生
(1) 皮膚及び皮膚付属器官の保健衛生と美容施術上の注意
3 皮膚及び皮膚付属器官の疾患
(1) 皮膚及び皮膚付属器官の疾患と美容との関係
(2) 美容で使用する香粧品等によるかぶれ・アレルギーと美容施術上の注意
第4 香粧品化学
1 香粧品の化学
(1) 化学薬品の取扱い、溶液の調整法等の実習
(2) 香粧品の種類、使用目的、成分、作用原理及び使用上の注意
第5 文化論
1 美容文化史
(1) 美容ファッションの変遷
(2) 美容業における流行の意義と役割
2 服飾
(1) 美容における服飾の意義
(2) 衣服に関するエチケット
第6 美容技術理論
1 器具の取扱い等
(1) 美容業で使用される機械器具の使用上の注意及び保守管理の方法、美容器具の種類、各部の名称及び使用目的
(2) 美容業で使用される機械器具に係る物理の基本事項及び美容器具の選定方法、基本的操作方法及び手入れ方法
(3) 被布及び布片類の使用目的
2 基礎技術
(1) 美容技術の意義と基礎知識
3 頭部、顔部及び頸部技術
(1) 頭部、顔部及び頸部技術の基礎知識
4 特殊技術
(1) 特殊技術の基礎知識
5 和装技術
(1) 和装技術の基礎知識
6 美容デザイン
(1) 美容におけるヘアデザインの造形の意義とその応用
(2) 色彩の原理と美容におけるその応用
第7 運営管理
1 経営管理
(1) 美容業における経理事務
2 労務管理
(1) 美容業における労務管理
3 接客
(1) 社会人としての一般常識及び美容業における接客の意義と技術
(2) 美容業における消費者対応
第8 美容実習
1 器具の取扱実習
2 基礎技術実習
3 頭部、顔部及び頸部技術実習
4 特殊技術実習
5 和装技術実習
6 総合実習