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○新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律による健康保険料の猶予の特例の取扱いについて

(令和2年5月7日)

(保保発0507第1号)

(健康保険組合理事長あて厚生労働省保険局保険課長通知)

(公印省略)

新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律(令和2年法律第25号。以下「新型コロナ特例法」という。別添1参照。)の施行に伴い、健康保険法(大正11年法律第70号)第183条の規定によりその例によるものとされる新型コロナ特例法第3条第1項の規定によりみなして適用される国税通則法(昭和37年法律第66号。以下「読替後の国税通則法」という。)第46条第1項の規定の例による納付の猶予の特例(以下「納付猶予特例」という。)の内容及びその適用については、下記のとおりとなるので遺漏のないよう取り扱われたい。

なお、「新型コロナウイルス感染症の発生に伴う健康保険料の猶予に係る対応について」(令和2年4月21日付け保保発0421第2号厚生労働省保険局保険課長通知)の一部を別紙のとおり改正する。

1 納付猶予特例の概要

新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により、令和2年2月1日以後に適用事業所の事業につき相当な収入の減少があったことその他これに類する事実がある場合において、その適用事業所が特定日までに納付すべき健康保険料の全部又は一部を一時に納付することが困難であると認められるときは、その健康保険料の納期限内にされた申請に基づき、その納期限から一年以内の期間を限り、その健康保険料の全部又は一部の納付を猶予することができることとされた。

2 新型コロナウイルス感染症等の影響による収入の減少

読替後の国税通則法第46条第1項の「新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により納税者の事業につき相当な収入の減少があつた」とは、適用事業所の事業に係る収入の減少が新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響に因果関係を有することをいい、例えば、適用事業所の事業主又は従業員等が新型コロナウイルス感染症に感染したことによる影響のほか、イベント開催又は外出等の自粛要請、入国制限、賃料の支払猶予要請等の各種措置による影響等により、収入の減少があったことをいう。

3 事業につき相当な収入の減少

読替後の国税通則法第46条第1項の「事業につき相当な収入の減少があつた」とは、令和2年2月1日から猶予を受けようとする、健康保険料の納期限までの間(新型コロナ特例法の施行の日から2月を経過した日前に納期限が到来する健康保険料にあっては、同年2月1日からその猶予の申請期限までの間)の任意の期間(1か月以上。以下この項において「調査期間」という。)の収入金額につき、その調査期間の直前1年間における調査期間に対応する期間(調査期間に対応する期間がない場合は、令和2年1月以前でその期間に近接する期間その他調査期間の収入金額と比較する期間として適当と認められる期間)の収入金額(調査期間に対応する期間の収入金額が不明な場合は、調査期間の直前1年間の収入金額を12で除し、これを割り当てる方法その他適当な方法により算定した金額)に対して、概ね20%以上減少していると認められることをいう。

なお、収入の減少の割合が20%に満たないことのみをもって、一概に猶予の適用を否定せず、個々の適用事業所の状況を十分に聴取し、今後更に減少率が悪化することが見込まれるなどにより概ね、20%以上減少していると認められるかどうかをみて、猶予を適用することが相当であるかを柔軟かつ適切に判断する。

(注) 上記の収入金額の計算に当たっては、次のことに留意する。

① 収入金額の計算に当たっては、適用事業所の事業上の売上その他経常的な収入についてはその額を含めるが、臨時的な収入である各種給付金はその額を含めないこととする。また、新型コロナウイルス感染症のまん延防止のための措置の影響により適用事業所が収入すべき対価の額を減免した場合は、その減免した額は収入金額に含めないこととする。

② 「事業につき相当な収入の減少があつた」かどうかは、適用事業所の事業に係る収入の減少が新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響に因果関係を有するかどうかにより判定することから(上記2参照)、例えば、不動産賃貸人が政府の要請に基づき賃借人が支払うべき賃料の支払を納期限まで引き続き猶予していると認められる場合における収入金額の計算に当たっては、調査期間における賃料収入に計上される額からその猶予していると認められる賃料の額を控除することとする。

4 納付困難

読替後の国税通則法第46条第1項の「全部又は一部を一時に納付することが困難」のうち、「全部を一時に納付することが困難」とは、納付すべき健康保険料を納付する資金がないこと、又は納付すべき健康保険料を適用事業所の事業の継続のために必要な少なくとも今後6か月間の運転資金(以下「運転資金」という。)に充てた場合に健康保険料を納付する資金がないことをいい、「一部を一時に納付することが困難」とは、納付すべき健康保険料の全額を納付する資金がないこと、又は納付すべき健康保険料を納付する資金を運転資金に充てた場合に健康保険料の全額を納付する資金がないことをいう。

なお、適用事業所の手持ち資金については、現金や預貯金などの直ちに健康保険料の納付等に充てられるものをいい、売掛金等の将来の収入見込みは考慮しない。

5 期限内に申請できないやむを得ない理由

読替後の国税通則法第46条第1項の「やむを得ない理由」とは、適用事業所が事業につき新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことに伴う貸付けを受けるための手続を行っていたこと等により申請ができなかったことをいう。

なお、健康保険料については、保険料額の納入告知から納期限までが短期間であることから、この間に申請できない場合であっても、指定期限までに申請があれば、同項の「やむを得ない理由」があったものとして取り扱うこととする。

6 猶予期間

読替後の国税通則法第46条第1項の規定により納付を猶予する期間は、各月の健康保険料ごとに納期限から1年を限度とする。

7 猶予期間の始期

読替後の国税通則法第46条第1項の規定により猶予する期間の始期は、猶予を受けようとする健康保険料の納期限の翌日とする。猶予を受けようとする健康保険料の納期限が、令和2年2月1日から新型コロナ特例法の施行の日までの間に到来したものについても、同様である。

(注) 猶予を受けることができる健康保険料は、令和2年2月1日から令和3年1月31日までの間に納期限が到来する健康保険料である。

8 猶予する金額

読替後の国税通則法第46条第1項の規定により納付の猶予をすることができる金額は、納付すべき健康保険料の全部又は一部を一時に納付することが困難である場合(上記4参照)におけるその納付することが困難な金額として、次の①の額から②の額を控除した金額とする。

① 納付すべき健康保険料の額

② 適用事業所の納付能力を判定した日において適用事業所が有する現金、預貯金等の価額に相当する金額から、それぞれ次に定める額を控除した金額(その額が0円に満たない場合には、0円)

イ 法人事業所の場合には、その事業の継続のために必要な少なくとも今後6か月間の運転資金の額

ロ 個人事業所の場合には、次に掲げる額の合計額

(イ) 事業主及び事業主と生計を一にする配偶者その他の親族の生活の維持のために必要な少なくとも今後6か月間の費用に相当する金額

(ロ) 事業の継続のために必要な少なくとも今後6か月間の運転資金の額

9 その他

(1) 適用事業所からの納付猶予特例の申請においては、「納付の猶予(特例)申請書」(別添2。以下「猶予申請書」という。)によることとする。

(2) 納付猶予特例の要件を満たす適用事業所の事業主が、令和3年1月31日までに納期限が到来する健康保険料について納付猶予特例の申請を希望した場合に、提出する猶予申請書において、令和3年1月31日までに納期限が到来する健康保険料を毎月告知した後、納期限までに納付がなかった場合において、その月の健康保険料に係る納付猶予特例の申請があったとみなすことに同意する場合は、令和3年1月31日までに納期限が到来する健康保険料について、毎月、納付猶予特例を許可して差し支えない。

(3) 猶予申請に当たっては、国税による取扱いと同様に、収入や現預金の状況等が分かる資料等が添付書類となるが、これらの書類の準備が困難な場合は、職員による口頭での聞き取りによることとして差し支えない。申請を行う適用事業所のおかれた状況等を十分に考慮のうえ、聞き取りを適切に活用することとする。

(注) 収入や現預金の状況が分かる資料等については、今後、必要に応じて確認する場合があること及び申請から2年間は適切に保管することを伝える。

(4) 適用事業所の事業主から猶予申請書の提出があった際、当該適用事業所に係る国税、地方税及び厚生年金保険料等の「猶予申請書の写し」及び「猶予許可通知書の写し」が添付されている場合は、上記3の「事業につき相当な収入の減少」があり、かつ、上記4の「納付困難」であると認められるものとして取り扱って差し支えない。

なお、この場合にあっては、猶予を受けようとする金額の全てを猶予額として差し支えない。

(参考)参照条文

○ 健康保険法(大正十一年法律第七十号)抄

(徴収に関する通則)

第百八十三条 保険料等は、この法律に別段の規定があるものを除き、国税徴収の例により徴収する。

○ 新型コロナ特例法第3条第1項の規定によりみなして適用される国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)抄

※傍線部は読替部分

(納税の猶予の要件等)

第四十六条 税務署長(第四十三条第一項ただし書、第三項若しくは第四項又は第四十四条第一項(国税の徴収の所轄庁)の規定により税関長又は国税局長が国税の徴収を行う場合には、その税関長又は国税局長。以下この章において「税務署長等」という。)は、新型コロナウイルス感染症(新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律(令和二年法律第二十五号)第二条(定義)に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。)及びそのまん延防止のための措置の影響により令和二年二月一日以後に納税者の事業につき相当な収入の減少があつたことその他これに類する事実(次条第一項において「新型コロナウイルス感染症等の影響による事業収入の減少等の事実」という。)がある場合において、その者が特定日(納税の猶予の対象となる国税の期日として政令で定める日をいう。以下この項において同じ。)までに納付すべき国税で次に掲げるものを一時に納付することが困難であると認められるときは、政令で定めるところにより、その国税の納期限(納税の告知がされていない源泉徴収等による国税については、その法定納期限。以下この項(各号を除く。)において同じ。)内にされたその者の申請(税務署長等においてやむを得ない理由があると認める場合には、その国税の納期限後にされた申請を含む。)に基づき、その納期限から一年以内の期間(第三号に掲げる国税については、政令で定める期間)を限り、その国税の全部又は一部の納税を猶予することができる。

一 次に掲げる国税の区分に応じ、それぞれ次に定める日以前に納税義務の成立した国税(消費税及び政令で定めるものを除く。)で、納期限(納税の告知がされていない源泉徴収等による国税については、その法定納期限)が令和二年二月一日以後に到来するもののうち、その申請の日以前に納付すべき税額の確定したもの

イ 源泉徴収等による国税並びに申告納税方式による消費税等(保税地域からの引取りに係るものにあつては、石油石炭税法(昭和五十三年法律第二十五号)第十七条第三項(引取りに係る原油等についての石油石炭税の納付等)の規定により納付すべき石油石炭税に限る。)、航空機燃料税、電源開発促進税及び印紙税 特定日の属する月の末日

ロ イに掲げる国税以外の国税 特定日

二 特定日以前に課税期間が経過した課税資産の譲渡等に係る消費税でその納期限が令和二年二月一日以後に到来するもののうちその申請の日以前に納付すべき税額の確定したもの

三 予定納税に係る所得税その他政令で定める国税でその納期限が令和二年二月一日以後に到来するもの

2~9 (略)

(納税の猶予の申請手続等)

第四十六条の二 前条第一項の規定による納税の猶予の申請をしようとする者は、新型コロナウイルス感染症等の影響による事業収入の減少等の事実があること及びその国税の全部又は一部を一時に納付することが困難である事情の詳細、当該猶予を受けようとする金額及びその期間その他の政令で定める事項を記載した申請書に、当該新型コロナウイルス感染症等の影響による事業収入の減少等の事実を証するに足りる書類、財産目録その他の政令で定める書類を添付し、これを税務署長等に提出しなければならない。

2~13 (略)

(別添1)

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(別添2)

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[(別紙)]

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