添付一覧
○食品衛生法等の一部を改正する法律による改正後の食品衛生法第18条第3項の施行に伴う関係告示の整備について
(令和2年4月28日)
(生食発0428第4号)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全審議官通知)
(公印省略)
食品衛生法等の一部を改正する法律(平成30年法律第46号。以下「改正法」という。)による改正後の食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「新法」という。)第18条第3項については、食品衛生法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和元年政令第121号)により、令和2年6月1日から施行されることとされました。今般、改正法の施行に伴い、「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件」(令和2年厚生労働省告示第196号)及び「食品衛生法第十八条第三項ただし書の規定により人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が定める量を定める件」(令和2年厚生労働省告示第195号。以下「おそれのない量の告示」という。)が本日告示されました。その趣旨、主な内容及び留意すべき事項は下記のとおりですので、貴管内関係者に対する周知徹底をはじめ、その運用に遺漏なきよう取り計らわれるようお願いします。
記
第1 趣旨
改正法の施行に伴い、新法第18条第3項の規定に基づき政令で定める材質(合成樹脂をいう。以下同じ。)の原材料であって、これに含まれる物質(その物質が化学的に変化して生成した物質を除く。)ごとに定められた器具若しくは容器包装に含有されることが許容される量又は器具若しくは容器包装から溶出し、若しくは浸出して食品に混和することが許容される量について、食品衛生法(以下「法」という。)第18条第1項の規格に定められたものでなければならないとされ、合成樹脂製の器具又は容器包装及び他の材質の器具又は容器包装であって食品又は添加物接触面に合成樹脂の層が形成されている場合の合成樹脂(以下「合成樹脂製の器具又は容器包装等」という。)について、ポジティブリスト制度が導入されることとなった。これを踏まえ、合成樹脂製の器具又は容器包装等の規格を食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「規格基準告示」という。)に規定したところである。
また、新法第18条第3項ただし書の規定により、合成樹脂が食品に接触する部分に使用されず、人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が定める量(以下「おそれのない量」という。)を超えて溶出し、又は浸出して食品に混和しないよう加工されている場合には、規格基準告示に規定されたポジティブリストに収載された物質以外のものも使用可能とされていることから、今般おそれのない量を定めたところである。
なお、規格基準告示第3 器具及び容器包装の部D 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の材質別規格の項第2号(2)の適用については、別表第1第1表(1)及び(2)の表の物質名欄に掲げる物質の名称にかかわらず、従前から変更はないこと。
第2 主な内容
(1) 規格基準告示関係
合成樹脂製の器具又は容器包装等の規格として、規格基準告示第3 器具及び容器包装の部A 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格の項に新法第18条第3項に規定される「政令で定める材質の原材料であって、これに含まれる物質」に関する規格を定めたこと。
イ 個別の物質の規格については、別表第1に規定したこと。
ロ 別表第1に掲げる原材料であって、これに含まれる物質についての規定を定めたこと。
なお、官報掲載を省略した規格基準告示の改正部分については、以下の厚生労働省のホームページで閲覧が可能である。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kigu/index.html(令和2年4月28日現在)
(2) おそれのない量の告示関係
おそれのない量は、食品中濃度として0.01mg/kgとしたこと。
第3 適用期日
令和2年6月1日から適用されるものであること。
規格基準告示については、令和2年6月1日より前に販売され、販売の用に供するために製造され、若しくは輸入され、又は営業上使用されている器具又は容器包装と同様のもの(以下「経過措置対象のもの」という。)が同日から起算して5年を経過する日(令和7年5月31日)までの間に販売の用に供するために製造され、若しくは輸入される場合、それに使用される原材料であって合成樹脂のものについては、別表第1に掲げられているものとみなすことができる。なお、本経過措置中の「同様のもの」とは、令和2年6月1日より前に販売され、販売の用に供するために製造され、若しくは輸入され、又は営業上使用されている器具又は容器包装に使用されていた物質(合成樹脂の原材料に限る。)をその使用されていた範囲内で使用して製造又は輸入された器具又は容器包装をいうこと。そのため、これまで使用経験のない合成樹脂区分の基ポリマーに対して添加剤を使用する場合、添加剤をこれまで使用経験のない量に増量して使用する場合、又は製造記録や輸入実績等によりこれまで使用されていた範囲内であることが説明できない場合等は、本経過措置の対象とならないこと。
第4 運用上留意すべき事項
1 規格基準告示(第3 器具及び容器包装の部A 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格の項)関係
イ 第8号本文について
(1) 別表第1に規定する物質は最終製品に残存することを意図して使用されるものとし、同第1表(1)から(3)までは基ポリマー、同第2表は添加剤等を規定したこと。
(2) 別表第1第1表(1)又は(2)に規定される基ポリマーを混合して、それらが化学的に反応して新たなポリマーが生成される場合は、当該各基ポリマーとは別に、生成するポリマーを同表(1)又は(2)に規定する必要があること。また、同表(1)の基ポリマー及び同表(2)の基ポリマーを混合した場合は、塗膜としての用途以外で使用できないこと。
(3) ポリマー構造を有する物質のうち、基ポリマー以外のもの(通常、単独では器具又は容器包装の基本をなすことができないものをいう。)であって、添加剤の用途で使用されるものについては、添加剤として別表第1第2表において管理すること。
(4) 添加剤のうち、着色の目的に限って使用される物質は、その使用される器具又は容器包装が規格基準告示第3 器具及び容器包装の部A 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格の項第5号の規定を満たすことを前提として、別表第1第2表に規定しないこと。なお、着色の目的以外の目的で使用される場合は、当該目的で別表第1第2表に規定される必要があること。
ロ 第8号(1)について
(1) 基ポリマーの製造に用いられる物質のうち、触媒及び重合助剤(重合開始剤、連鎖移動剤、末端停止剤等)は、その重合反応を補助することが目的であって、基ポリマーの構造に取り込まれることを目的とするものではないため、ポジティブリスト制度の対象物質として管理しないこと。また、基ポリマーの原料モノマー中の不純物及び添加剤中の不純物等、意図せず製造工程中に存在する物質も、ポジティブリスト制度の対象物質としては管理しないこと。なお、これら最終製品に残存することを意図しない物質は、必要に応じて規格基準告示に別途規格等を定めて管理することとしたこと。
(2) 別表第1第1表(1)及び(2)における食品区分は、「食品用器具及び容器包装に関する食品健康影響評価指針(令和元年5月28日食品安全委員会決定)」(以下単に「評価指針」という。)において定義された食品区分と同じものであること。
i 酸性食品とは、食品中又は食品表面のpHが4.6以下の食品をいうこと。
ii 油脂及び脂肪性食品とは、食品中又は食品表面の油脂含有量が20%以上の食品をいうこと。
iii 乳・乳製品とは、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号)第2条で規定される食品のうち、食品中又は食品表面の油脂含有量が20%未満の食品をいうこと。
iv 酒類とは、アルコール濃度が1体積%以上の飲料をいうこと。
v その他の食品とは、上記iからivまでに該当しない食品とすること。
(3) 別表第1第1表(1)又は(2)の基ポリマーを混合する場合、混合前の各基ポリマーの食品区分欄に規定された使用可能な食品のうち、共通する食品区分についてのみ使用可能であり、また、混合前の各ポリマーの最高温度欄に規定された温度のうち、最も低い温度が当該基ポリマーの最高温度として適用されること。
ハ 第8号(2)について
(1) 基ポリマーは、別表第1第1表(1)又は(2)の表の物質名欄に掲げる物質により構成されなければならない。ただし、同表(1)又は(2)の表の物質名欄に掲げる物質を98%を超えて含み、それ以外の部分は同表(3)の表に掲げる物質で構成されるものは、別表第1第1表(1)又は(2)の表に新たに個別に規定される必要はないこと。
ニ 第8号(3)について
(1) 塗膜とは、塗料及び類似のコーティング材料から成るものであって、基材上に形成又は沈着される層状の被膜をいい、基ポリマー及び必要に応じてこれに加える添加剤等により構成されるものであること。
ホ 第8号(4)について
(1) 基ポリマーは、その使用実態及び合成樹脂の特性を踏まえて7つに区分したこと。別表第1第1表(1)及び(2)における合成樹脂区分(以下単に「区分」という。)1は、耐熱性の高いものであり、架橋構造を有し、融点が150℃以上のもの又はガラス転移温度、ボールプレッシャー温度、荷重たわみ温度等が150℃以上のものとすること。また、同表における区分2及び3は、添加剤等の溶出傾向を考慮して区分することを意図したものであり、吸水率0.1%以下のものを区分2、0.1%を超えるものを区分3とすること。これらの測定方法については、日本産業規格を参考にすること。基ポリマーは原則として上記により区分されるが、使用実態及び合成樹脂の特性を総合的に踏まえて区分される場合があること。例えば、同表における区分5から7までに該当するものであっても、用途が限定され、消費係数(器具又は容器包装の特定の種類の材質に接触する食事量の割合を推定して得た係数をいう。)が極めて小さい場合に区分1、2又は3とされる場合がある。(区分については、評価指針別紙2の別表4を参照。)
(2) 別表第1第2表における合成樹脂区分別使用制限は、混合前の各樹脂の重量に応じて適用されること。ただし、同表の特記事項欄において特段の定めがある場合にはこの限りでないこと。
(3) 別表第1第2表における合成樹脂区分別使用制限は、基ポリマー及び添加剤の重量全体に対する添加剤重量の割合であること。
(4) 別表第1第2表の特記事項欄に記載されている「厚さ」とは、当該添加剤等を添加等している合成樹脂又は合成樹脂の層における食品又は添加物接触面に対して垂直な方向に持つ長さをいうこと。
ヘ その他
(1) 塗布剤とは、帯電防止、防曇等を目的として、合成樹脂の表面に付着させる液体状又は粉体状の物質をいい、別表第1第2表に規定される。この場合、塗布剤の使用制限は、単位面積あたりの量として規定されるものであること。
2 おそれのない量の告示関係
イ 食品中濃度0.01mg/kgは、食品擬似溶媒中濃度として0.01mg/Lと考えて差し支えないものであること。
ロ 食品擬似溶媒を用いて、おそれのない量を超えて溶出し、又は浸出して食品に混和するおそれがないことを確認する場合は、評価指針別紙2の溶出試験法によることを基本とすること。
ハ おそれのない量を超えて溶出し、又は浸出して食品に混和するおそれがないことを溶出試験により確認する場合には、検出下限値がおそれのない量に相当する濃度以下の分析法を用いること。
ニ 器具又は容器包装の食品に接触しない部分に使用される物質(以下、「食品非接触面に使用される物質」という。)について新法第18条第3項ただし書の規定を適用する場合にあたっては、器具又は容器包装の構造、当該規定を適用する物質及びその添加量等を踏まえて理論的に説明する方法等も考えられ、必ずしも溶出試験により確認する必要はないこと。
ホ 食品非接触面に使用される物質の溶出試験結果等がおそれのない量以下であっても、利用可能な情報に基づく考察又は遺伝毒性試験等の結果を基に、当該物質に遺伝毒性の懸念がある場合は、人の健康を損なうおそれがあるため使用できないこと。
第5 その他
(1) 規格基準告示に規定される別表第1とは別に、物質の英語名等を併記した参考となる表を以下の厚生労働省のホームページに掲載していること。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05148.html(令和2年4月28日現在)
(2) 規格基準告示の経過措置期間中に、関係事業者は経過措置対象のものとして取り扱う器具又は容器包装の経過措置終了後の規格基準告示への適合性を確認するとともに、別表第1への追加及び同表の修正が必要な場合は、必要な情報を厚生労働省へ提出する必要があること。また、原材料の変更が必要な場合にはその変更を適切に行う必要があること。なお、提出方法等については、別途厚生労働省のホームページで示すこととする。
(3) ポジティブリスト制度の施行後に新たに器具又は容器包装に使用される物質又は別表第1に収載されている規格を超えて使用される物質については、別途示す告示改正に必要な要請資料の提出方法等に従うよう事業者に周知すること。