アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○新型コロナウイルス感染症の発生に伴う健康保険料の猶予に係る対応について

(令和2年4月21日)

(保保発0421第2号)

(健康保険組合理事長あて厚生労働省保険局保険課長通知)

(公印省略)

今般の新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、適用事業所においては、消毒作業等により財産(棚卸資産を含む。以下同じ。)に相当の損失を受けることや各種イベントの中止・延期、観光客の減少等による売上の急減により納付資力が著しく低下していることが想定される。

このため、適用事業所から健康保険料の納付相談を受けた場合は、健康保険法(大正11年法律第70号)第183条の規定により準用する国税通則法(昭和37年法律第66号。以下「通則法」という。)第46条に規定する「納付の猶予」又は、国税徴収法(昭和34年法律第147号。以下「徴収法」という。)第151条の2に規定する「換価の猶予」の活用を周知徹底するとともに、適用事業所個別の事情によっては、徴収法第151条の適用を検討していただくようお願いする。

この際には、適用事業所の置かれた状況や心情に十分配慮するとともに、猶予制度の活用については特に下記の点に留意し、適切に対応されたい。

なお、本通知で示す健康保険法第183条の規定により準用する通則法第46条に規定する「納付の猶予」及び徴収法第151条の2に規定する「換価の猶予」に加え、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律(令和2年法律第25号。以下「新型コロナ特例法」という。)の施行に伴い、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により、相当な収入の減少等があった事業者の納付すべき健康保険料については、新型コロナ特例法第3条第1項の規定によりみなして適用される通則法(以下「読替後の国税通則法」という。)第46条第1項の規定の例による納付の猶予の特例(以下「納付猶予特例」という。)が活用可能となる。納付猶予特例の内容等については、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律による健康保険料の猶予の特例の取扱いについて」(令和2年5月7日付け保保発0507第1号厚生労働省保険局保険課長通知)において示しているため、当該通知についても参照されたい。

1.通則法第46条第1項の適用

新型コロナウイルス感染症に伴い、財産に相当の損失を受けた場合(※)については、通則法第46条第1項の対象となることが考えられるため、適用事業所から申請書を受付する際に以下の内容に留意し、申請書を確認されたい。

(※) 例えば、新型コロナウイルス感染症の患者が発生した施設で消毒作業が行われたため、備品(例:電化製品)が壊れて使用できなくなった又は棚卸資産(例:食材)を廃棄した場合

① 猶予の申請期限

災害のやんだ日から2月以内

(注) 「災害のやんだ日」とは、災害が引き続き発生するおそれがなくなり、その復旧に着手できる状態となった日をいい、適用事業所ごとに異なる場合もあり得ることから、申請者の被災状況をしん酌し「災害のやんだ日」を判断することとなること。

② 相当な損失を受けたかどうかの調査

相当な損失を受けたかどうかの調査は、可能な限り帳簿等により確認することとするが、適用事業所から帳簿等を徴することが困難な場合は、聞き取りによって判定しても差し支えないこと。

③ 納付の猶予をする期間

通則法第46条第1項の納付の猶予をする場合には、適用事業所の被災状況をしん酌し、納期限(延長後の納期限を含む。)から最長1年間の猶予期間を定めること。

④ 通則法第46条第1項が適用できない場合の対応

通則法第46条第1項の納付の猶予が適用できない場合であっても、同条第2項の納付の猶予又は徴収法第151条の2の換価の猶予が適用できる場合があることから、適用できると認められる猶予の申請を案内するほか、申請ができない場合は、職権による換価の猶予(徴収法第151条)を適用するなど柔軟な対応を行うこと。

⑤ 猶予期間内に納付できなかった場合の対応

通則法第46条第1項の納付の猶予をした期間内に猶予に係る健康保険料を納付することができなかった適用事業所に対しては、同条第2項の納付の猶予を説明し、同項に該当する場合にはこれを案内すること。

2.通則法第46条第2項の適用

新型コロナウイルス感染症に伴い、納付義務者(国、地方公共団体及び法人の事業所以外の事業所に限り、納付義務者と生計を同一にする親族を含む。)が病気にかかり、又は負傷した場合、事業を廃止又は休止した場合、事業につき著しい損失を受けた場合(※1)、これらに類する事実があった場合(※2)等については、通則法第46条第2項の対象となることが考えられるため、適用事業所から申請書を受付する際に以下の内容に留意し、申請書を確認されたい。

(※1) 「事業につき著しい損失を受けた」とは、納付の猶予を受けようとする期間の始期の前日以前の1年間(以下「調査期間」という。)の損益計算において、その直前1年間(以下「基準期間」という。)の利益の額の2分の1を超えて損失が生じていること(基準期間において損失が生じている場合には、調査期間の損失の金額が基準期間の損失の金額を超えていること)をいう。

(※2) このうち、事業につき著しい損失を受けた場合に類するとは、売上の著しい減少又は経費の著しい増加によって損失が生じていることをいう。

① 通則法第46条第1項の猶予との関係

適用事業所について、通則法第46条第1項の納付の猶予の適用対象ではない場合、又は同項の納付の猶予をした期間内に納付することができなかった場合は、適用事業所に対し同条第2項の納付の猶予の活用を案内すること。

② 担保の徴取

通則法第46条第2項の納付の猶予を適用する場合には、原則として担保を徴しなければならないが、決算書及び現況などから担保提供できることが明らかである場合を除き、同条第5項ただし書の「担保を徴することができない特別の事情がある場合」に該当するものとして、担保を徴しないこととして案内して差し支えないこと。

③ 納付の猶予をする期間

通則法第46条第2項の納付の猶予をする場合には、適用事業所の被災状況をしん酌し最長1年間の猶予期間を定めること。

また、適用事業所が猶予をした期間内に猶予に係る健康保険料等を納付することができない場合には、適用事業所の個別の事情を確認したうえで、通則法第46条第7項の規定による期間延長の申請について適切に教示し、対応すること。

④ 差押えの解除

納付の猶予をした場合において、猶予に係る健康保険料について既に差し押さえた財産があるときは、申請に基づき差押えを解除することができることに留意すること(通則法第48条第2項)。

3.換価の猶予から納付の猶予への変更

徴収法第151条又は第151条の2の換価の猶予を受けている適用事業所について、納付の猶予の要件に該当することとなったときは、納付の猶予を適用すべきであること。

4.換価の猶予の適用

新型コロナウイルス感染症に伴い、納付すべき健康保険料を一時に納付すること等により、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合(※1)において、健康保険料の納付について誠実な意思を有すると認められるときは、徴収法第151条又は第151条の2の対象となることが考えられるため、適用事業所から申請書を受付する際に以下の内容に留意し、申請書を確認されたい。

(※1) 「事業の継続を困難にするおそれがある」とは、事業に不要不急の資産を処分するなど、事業経営の合理化を行った後においても、なお納付すべき健康保険料を一時に納付すると、事業の継続を困難にする場合をいう。

また、「生活の維持を困難にするおそれがある」とは、納付すべき健康保険料を一時に納付することにより、必要最低限の生活費が確保できなくなる場合をいう。

(※2) 「納付について誠実な意思を有すると認められる」とは、納付義務者が納付すべき健康保険料を優先的に納付する意思を有していると健康保険組合理事長が認めることができることをいう。

① 納付の猶予との関係

適用事業所について、納付の猶予が適用できない場合、又は通則法第46条第7項による延長をした猶予期間内に納付することができなかった場合は、換価の猶予の適用を検討すること。

② 納付についての誠実な意思

新型コロナウイルス感染症の影響を受けた適用事業所から分割納付の申出があった場合は、これまでの経緯等から納付について誠実な意思を有すると認めることができない特段の事情がある場合を除き、原則として納付について誠実な意思を有するものと認めて差し支えないこと。

③ 担保の徴取

換価の猶予を適用する場合には、原則として担保を徴しなければならないが、決算書及び現況などから担保提供できることが明らかである場合を除き、徴収法第152条第3項又は第4項において準用する通則法第46条第5項ただし書の「担保を徴することができない特別の事情がある場合」に該当するものとして、担保を徴しないこととして差し支えないこと。

④ 換価の猶予をする期間

換価の猶予をする期間は適用事業所の被災状況をしん酌し最長1年間の猶予期間を定めること。

また、猶予をした期間内に猶予に係る健康保険料を納付することができない場合には、適用事業所の個別の事情を確認した上で、徴収法第152条第3項又は第4項において準用する通則法第46条第7項の規定により、その期間を延長することができること。

なお、納付資力が明らかに回復していると認められる場合を除き、同項の「納付することができないやむを得ない理由があると認める」ときに該当するものとして、その期間を延長して差し支えないこと。

5.差押えの解除

財産を差し押さえている適用事業所について換価の猶予をする場合において、必要があると認めるときは、適用事業所の事業の継続等を困難にするおそれがある財産の差押えを解除することができることに留意する(徴収法第152条第2項)。

6.その他

① 猶予期間内に新規滞納発生があった場合の対応

猶予をした期間内に新たな滞納が発生した場合において、適用事業所の納付資力等が猶予処理を行った時とおおむね同様の状態と認められるときは、通則法第49条第1項第4号の「やむを得ない理由があると認めるとき」に該当するものとして、猶予を継続するとともに、新たに滞納となった健康保険料についても、猶予の適用を検討すること。

② 受託証券の取戻しの要請があった場合の対応

適用事業所から、納付委託を受けている証券について取戻しの要請があった場合は、適用事業所の個別の事情を確認した上で、当面の納付資力が著しく低下していると認められる場合は、その証券を取り戻して返還して差し支えないこと。

③ 被災状況等を示す書類が添付できない場合の対応

被災状況や病気等を示す書類について、その添付が困難と認められる場合(通則法第46条の2第5号)は、健康保険組合の職員の聞き取りにより確認することとして差し支えないこと。

ただし、聞き取った内容については、聞き取った職員が調書を作成すること。

④ 延滞金の免除

納付の猶予又は換価の猶予を適用した健康保険料については、猶予をした期間について、通則法の規定に基づき延滞金を免除すること(通則法第63条)。

(参考)参照条文

○ 健康保険法(大正十一年法律第七十号)抄

(徴収に関する通則)

第百八十三条 保険料等は、この法律に別段の規定があるものを除き、国税徴収の例により徴収する。

○ 国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)抄

(納税の猶予の要件等)

第四十六条 税務署長(第四十三条第一項ただし書、第三項若しくは第四項又は第四十四条第一項(国税の徴収の所轄庁)の規定により税関長又は国税局長が国税の徴収を行う場合には、その税関長又は国税局長。以下この章において「税務署長等」という。)は、震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害により納税者がその財産につき相当な損失を受けた場合において、その者がその損失を受けた日以後一年以内に納付すべき国税で次に掲げるものがあるときは、政令で定めるところにより、その災害のやんだ日から二月以内にされたその者の申請に基づき、その納期限(納税の告知がされていない源泉徴収による国税については、その法定納期限)から一年以内の期間(第三号に掲げる国税については、政令で定める期間)を限り、その国税の全部又は一部の納税を猶予することができる。

一 次に掲げる国税の区分に応じ、それぞれ次に定める日以前に納税義務の成立した国税(消費税及び政令で定めるものを除く。)で、納期限(納税の告知がされていない源泉徴収等による国税については、その法定納期限)がその損失を受けた日以後に到来するもののうち、その申請の日以前に納付すべき税額の確定したもの

イ 源泉徴収等による国税並びに申告納税方式による消費税等(保税地域からの引取りに係るものにあつては、石油石炭税法(昭和五十三年法律第二十五号)第十七条第三項(引取りに係る原油等についての石油石炭税の納付等)の規定により納付すべき石油石炭税に限る。)、航空機燃料税、電源開発促進税及び印紙税 その災害のやんだ日の属する月の末日

ロ イに掲げる国税以外の国税 その災害のやんだ日

二 その災害のやんだ日以前に課税期間が経過した課税資産の譲渡等に係る消費税でその納期限がその損失を受けた日以後に到来するもののうちその申請の日以前に納付すべき税額の確定したもの

三 予定納税に係る所得税その他政令で定める国税でその納期限がその損失を受けた日以後に到来するもの

2 税務署長等は、次の各号のいずれかに該当する事実がある場合(前項の規定の適用を受ける場合を除く。)において、その該当する事実に基づき、納税者がその国税を一時に納付することができないと認められるときは、その納付することができないと認められる金額を限度として、納税者の申請に基づき、一年以内の期間を限り、その納税を猶予することができる。同項の規定による納税の猶予をした場合において、同項の災害を受けたことにより、その猶予期間内に猶予をした金額を納付することができないと認めるときも、同様とする。

一 納税者がその財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難にかかつたこと。

二 納税者又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと。

三 納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと。

四 納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと。

五 前各号のいずれかに該当する事実に類する事実があつたこと。

3 税務署長等は、次の各号に掲げる国税(延納に係る国税を除く。)の納税者につき、当該各号に定める税額に相当する国税を一時に納付することができない理由があると認められる場合には、その納付することができないと認められる金額を限度として、その国税の納期限内にされたその者の申請(税務署長等においてやむを得ない理由があると認める場合には、その国税の納期限後にされた申請を含む。)に基づき、その納期限から一年以内の期間を限り、その納税を猶予することができる。

一 申告納税方式による国税(その附帯税を含む。) その法定申告期限から一年を経過した日以後に納付すべき税額が確定した場合における当該確定した部分の税額

二 賦課課税方式による国税(その延滞税を含み、第六十九条(加算税の税目)に規定する加算税及び過怠税を除く。) その課税標準申告書の提出期限(当該申告書の提出を要しない国税については、その納税義務の成立の日)から一年を経過した日以後に納付すべき税額が確定した場合における当該確定した部分の税額

三 源泉徴収等による国税(その附帯税を含む。) その法定納期限から一年を経過した日以後に納税告知書の送達があつた場合における当該告知書に記載された納付すべき税額

4 税務署長等は、前二項の規定による納税の猶予をする場合には、その猶予に係る国税の納付については、その猶予をする期間内において、その猶予に係る金額をその者の財産の状況その他の事情からみて合理的かつ妥当なものに分割して納付させることができる。この場合においては、分割納付の各納付期限及び各納付期限ごとの納付金額を定めるものとする。

5 税務署長等は、第二項又は第三項の規定による納税の猶予をする場合には、その猶予に係る金額に相当する担保を徴さなければならない。ただし、その猶予に係る税額が百万円以下である場合、その猶予の期間が三月以内である場合又は担保を徴することができない特別の事情がある場合は、この限りでない。

6 税務署長等は、前項の規定により担保を徴する場合において、その猶予に係る国税につき滞納処分により差し押さえた財産(租税条約等(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(昭和四十四年法律第四十六号)第二条第二号(定義)に規定する租税条約等をいう。以下この項及び第六十三条第五項において同じ。)の規定に基づき当該租税条約等の相手国等(同法第二条第三号に規定する相手国等をいう。以下同じ。)に共助対象国税(同法第十一条の二第一項(国税の徴収の共助)に規定する共助対象国税をいう。以下この項及び第六十三条第五項において同じ。)の徴収の共助又は徴収のための財産の保全の共助を要請した場合における当該相手国等が当該共助対象国税について当該相手国等の法令に基づき差押えに相当する処分をした財産及び担保の提供を受けた財産を含む。)があるときは、その担保の額は、その猶予をする金額からその財産の価額を控除した額を限度とする。

7 税務署長等は、第二項又は第三項の規定により納税の猶予をした場合において、その猶予をした期間内にその猶予をした金額を納付することができないやむを得ない理由があると認めるときは、納税者の申請に基づき、その期間を延長することができる。ただし、その期間は、既にその者につきこれらの規定により納税の猶予をした期間とあわせて二年を超えることができない。

8 第四項の規定は、税務署長等が、前項の規定により第二項又は第三項の規定による納税の猶予をした期間を延長する場合について準用する。

9 税務署長等は、第四項(前項において準用する場合を含む。)の規定によりその猶予に係る金額を分割して納付させる場合において、納税者が第四十七条第一項(納税の猶予の通知等)の規定により通知された分割納付の各納付期限ごとの納付金額をその納付期限までに納付することができないことにつきやむを得ない理由があると認めるとき又は第四十九条第一項(納税の猶予の取消し)の規定により猶予期間を短縮したときは、その分割納付の各納付期限及び各納付期限ごとの納付金額を変更することができる。

(納税の猶予の申請手続等)

第四十六条の二 前条第一項の規定による納税の猶予の申請をしようとする者は、同項の災害によりその者がその財産につき相当な損失を受けたことの事実の詳細、当該猶予を受けようとする金額及びその期間その他の政令で定める事項を記載した申請書に、当該事実を証するに足りる書類を添付し、これを税務署長等に提出しなければならない。

2 前条第二項の規定による納税の猶予の申請をしようとする者は、同項各号のいずれかに該当する事実があること及びその該当する事実に基づきその国税を一時に納付することができない事情の詳細、当該猶予を受けようとする金額及びその期間、分割納付の方法により納付を行うかどうか(分割納付の方法により納付を行う場合にあつては、分割納付の各納付期限及び各納付期限ごとの納付金額を含む。)その他の政令で定める事項を記載した申請書に、当該該当する事実を証するに足りる書類、財産目録、担保の提供に関する書類その他の政令で定める書類を添付し、これを税務署長等に提出しなければならない。

3 前条第三項の規定による納税の猶予の申請をしようとする者は、同項各号に定める税額に相当する国税を一時に納付することができない事情の詳細、当該猶予を受けようとする金額及びその期間、分割納付の方法により納付を行うかどうか(分割納付の方法により納付を行う場合にあつては、分割納付の各納付期限及び各納付期限ごとの納付金額を含む。)その他の政令で定める事項を記載した申請書に、財産目録、担保の提供に関する書類その他の政令で定める書類を添付し、これを税務署長等に提出しなければならない。

4 前条第七項の規定による猶予の期間の延長を申請しようとする者は、猶予期間内にその猶予を受けた金額を納付することができないやむを得ない理由、猶予期間の延長を受けようとする期間、分割納付の方法により納付を行うかどうか(分割納付の方法により納付を行う場合にあつては、分割納付の各納付期限及び各納付期限ごとの納付金額を含む。)その他の政令で定める事項を記載した申請書に、財産目録、担保の提供に関する書類その他の政令で定める書類を添付し、これを税務署長等に提出しなければならない。

5 第一項、第二項又は前項の規定により添付すべき書類(政令で定める書類を除く。)については、これらの規定にかかわらず、前条第一項若しくは第二項(第一号、第二号又は第五号(同項第一号又は第二号に該当する事実に類する事実に係る部分に限る。)に係る部分に限る。)の規定による納税の猶予又はその猶予の期間の延長をする場合において、当該申請者が当該添付すべき書類を提出することが困難であると税務署長等が認めるときは、添付することを要しない。

6 税務署長等は、第一項から第四項までの規定による申請書の提出があつた場合には、当該申請に係る事項について調査を行い、前条の規定による納税の猶予若しくはその猶予の期間の延長をし、又はその納税の猶予若しくはその猶予の延長を認めないものとする。

7 税務署長等は、第一項から第四項までの規定による申請書の提出があつた場合において、これらの申請書についてその記載に不備があるとき又はこれらの申請書に添付すべき書類についてその記載に不備があるとき若しくはその提出がないときは、当該申請者に対して当該申請書の訂正又は当該添付すべき書類の訂正若しくは提出を求めることができる。

8 税務署長等は、前項の規定により申請書の訂正又は添付すべき書類の訂正若しくは提出を求める場合においては、その旨及びその理由を記載した書面により、これを当該申請者に通知する。

9 第七項の規定により申請書の訂正又は添付すべき書類の訂正若しくは提出を求められた当該申請者は、前項の規定による通知を受けた日の翌日から起算して二十日以内に当該申請書の訂正又は当該添付すべき書類の訂正若しくは提出をしなければならない。この場合において、当該期間内に当該申請書の訂正又は当該添付すべき書類の訂正若しくは提出をしなかつたときは、当該申請者は、当該期間を経過した日において当該申請を取り下げたものとみなす。

10 税務署長等は、第一項から第四項までの規定による申請書の提出があつた場合において、当該申請者について前条第一項から第三項まで又は第七項の規定に該当していると認められるときであつても、次の各号のいずれかに該当するときは、同条の規定による納税の猶予又はその猶予の延長を認めないことができる。

一 第四十九条第一項第一号(納税の猶予の取消し)に掲げる場合に該当するとき。

二 当該申請者が、次項の規定による質問に対して答弁せず、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

三 不当な目的で前条の規定による納税の猶予又はその猶予の期間の延長の申請がされたとき、その他その申請が誠実にされたものでないとき。

11 税務署長等は、第六項の規定による調査をするため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、当該申請者に質問させ、又はその者の帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

12 前項の規定により質問又は検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

13 第十一項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(納税の猶予の効果)

第四十八条 税務署長等は、納税の猶予をしたときは、その猶予期間内は、その猶予に係る金額に相当する国税につき、新たに督促及び滞納処分(交付要求を除く。)をすることができない。

2 税務署長等は、納税の猶予をした場合において、その猶予に係る国税につき既に滞納処分により差し押さえた財産があるときは、その猶予を受けた者の申請に基づき、その差押えを解除することができる。

3 税務署長等は、納税の猶予をした場合において、その猶予に係る国税につき差し押さえた財産のうちに天然果実を生ずるもの又は有価証券、債権若しくは国税徴収法第七十二条第一項(特許権等の差押手続)に規定する無体財産権等があるときは、第一項の規定にかかわらず、その取得した天然果実又は同法第二十四条第五項第二号(譲渡担保権者の物的納税責任)に規定する第三債務者等から給付を受けた財産で金銭以外のものにつき滞納処分を執行し、その財産に係る同法第百二十九条第一項(配当の原則)に規定する換価代金等をその猶予に係る国税に充てることができる。

4 前項の場合において、同項の第三債務者等から給付を受けた財産のうちに金銭があるときは、第一項の規定にかかわらず、当該金銭をその猶予に係る国税に充てることができる。

(納税の猶予等の場合の延滞税の免除)

第六十三条 第四十六条第一項若しくは第二項第一号、第二号若しくは第五号(同項第一号又は第二号に該当する事実に類する事実に係る部分に限る。)(災害等による納税の猶予)の規定による納税の猶予(以下この項において「災害等による納税の猶予」という。)若しくは国税徴収法第百五十三条第一項(滞納処分の停止)の規定による滞納処分の執行の停止をした場合又は第四十六条第二項第三号、第四号若しくは第五号(同項第三号又は第四号に該当する事実に類する事実に係る部分に限る。)若しくは第三項の規定による納税の猶予(以下この項において「事業の廃止等による納税の猶予」という。)若しくは同法第百五十一条第一項若しくは第百五十一条の二第一項(換価の猶予の要件等)の規定による換価の猶予をした場合には、その猶予又は停止をした国税に係る延滞税のうち、それぞれ、その災害等による納税の猶予若しくは当該執行の停止をした期間に対応する部分の金額に相当する金額又はその事業の廃止等による納税の猶予若しくは当該換価の猶予をした期間(当該国税の納期限の翌日から二月を経過する日後の期間に限る。)に対応する部分の金額の二分の一に相当する金額は、免除する。ただし、第四十九条第一項(納税の猶予の取消し)(同法第百五十二条第三項又は第四項(換価の猶予に係る分割納付、通知等)において準用する場合を含む。)又は同法第百五十四条第一項(滞納処分の停止の取消し)の規定による取消しの基因となるべき事実が生じた場合には、その生じた日以後の期間に対応する部分の金額については、国税局長、税務署長又は税関長は、その免除をしないことができる。

2 第十一条(期限の延長)の規定により国税の納期限を延長した場合には、その国税に係る延滞税のうちその延長をした期間に対応する部分の金額は、免除する。

3 納税の猶予又は国税徴収法第百五十一条第一項若しくは第百五十一条の二第一項の規定による換価の猶予をした場合において、納税者が次の各号のいずれかに該当するときは、国税局長、税務署長又は税関長は、その猶予をした国税に係る延滞税(前二項の規定による免除に係る部分を除く。以下この項において同じ。)につき、猶予をした期間(当該国税を当該期間内に納付しなかつたことについてやむを得ない理由があると国税局長、税務署長又は税関長が認める場合には、猶予の期限の翌日から当該やむを得ない理由がやんだ日までの期間を含む。)に対応する部分の金額でその納付が困難と認められるものを限度として、免除することができる。

一 納税者の財産の状況が著しく不良で、納期又は弁済期の到来した地方税若しくは公課又は債務について軽減又は免除をしなければ、その事業の継続又は生活の維持が著しく困難になると認められる場合において、その軽減又は免除がされたとき。

二 納税者の事業又は生活の状況によりその延滞税の納付を困難とするやむを得ない理由があると認められるとき。

4 第二十三条第五項ただし書(更正の請求と国税の徴収との関係)その他の国税に関する法律の規定により国税の徴収を猶予した場合には、その猶予をした国税に係る延滞税につき、その猶予をした期間のうち当該国税の納期限の翌日から二月を経過する日後の期間(前三項の規定により延滞税の免除がされた場合には、当該免除に係る期間に該当する期間を除く。)に対応する部分の金額の二分の一に相当する金額は、免除する。

5 国税局長、税務署長又は税関長は、滞納に係る国税の全額を徴収するために必要な財産につき差押え(租税条約等の規定に基づき当該租税条約等の相手国等に共助対象国税の徴収の共助又は徴収のための財産の保全の共助を要請した場合における当該相手国等が当該共助対象国税について当該相手国等の法令に基づいて行う差押えに相当する処分を含む。以下この項において同じ。)をし、又は納付すべき税額に相当する担保の提供(租税条約等の規定に基づき当該租税条約等の相手国等に共助対象国税の徴収の共助又は徴収のための財産の保全の共助を要請した場合における当該相手国等が当該共助対象国税について当該相手国等の法令に基づいて受ける担保の提供を含む。以下この項において同じ。)を受けた場合には、その差押え又は担保の提供に係る国税を計算の基礎とする延滞税につき、その差押え又は担保の提供がされている期間のうち、当該国税の納期限の翌日から二月を経過する日後の期間(前各項の規定により延滞税の免除がされた場合には、当該免除に係る期間に該当する期間を除く。)に対応する部分の金額の二分の一に相当する金額を限度として、免除することができる。

6 国税局長、税務署長又は税関長は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該各号に規定する国税に係る延滞税(前各項の規定による免除に係る部分を除く。)につき、当該各号に掲げる期間に対応する部分の金額を限度として、免除することができる。

一 第五十五条第三項(納付委託)(第五十二条第六項(保証人からの徴収)又は国税徴収法第三十二条第三項(第二次納税義務者からの徴収)において準用する場合を含む。)の規定による有価証券の取立て及び国税の納付の再委託を受けた金融機関が当該有価証券の取立てをすべき日後に当該国税の納付をした場合(同日後にその納付があつたことにつき当該有価証券の取立てを委託した者の責めに帰すべき事由がある場合を除く。) 同日の翌日からその納付があつた日までの期間

二 納税貯蓄組合法(昭和二十六年法律第百四十五号)第六条第一項(租税納付の委託)の規定による国税の納付の委託を受けた同法第二条第二項(定義)に規定する指定金融機関(国税の収納をすることができるものを除く。)がその委託を受けた日後に当該国税の納付をした場合(同日後にその納付があつたことにつき納税者の責めに帰すべき事由がある場合を除く。) 同日の翌日からその納付があつた日までの期間

三 震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、国税を納付することができない事由が生じた場合 その事由が生じた日からその事由が消滅した日以後七日を経過した日までの期間

四 前三号のいずれかに該当する事実に類する事実が生じた場合で政令で定める場合 政令で定める期間

○ 国税徴収法 (昭和三十四年法律第百四十七号)抄

(換価の猶予の要件等)

第百五十一条 税務署長は、滞納者が次の各号のいずれかに該当すると認められる場合において、その者が納税について誠実な意思を有すると認められるときは、その納付すべき国税(国税通則法第四十六条第一項から第三項まで(納税の猶予の要件等)又は次条第一項の規定の適用を受けているものを除く。)につき滞納処分による財産の換価を猶予することができる。ただし、その猶予の期間は、一年を超えることができない。

一 その財産の換価を直ちにすることによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあるとき。

二 その財産の換価を猶予することが、直ちにその換価をすることに比して、滞納に係る国税及び最近において納付すべきこととなる国税の徴収上有利であるとき。

2 税務署長は、前項の規定による換価の猶予又は第百五十二条第三項(換価の猶予に係る分割納付、通知等)において読み替えて準用する国税通則法第四十六条第七項の規定による換価の猶予の期間の延長をする場合において、必要があると認めるときは、滞納者に対し、財産目録、担保の提供に関する書類その他の政令で定める書類又は第百五十二条第一項の規定により分割して納付させるために必要となる書類の提出を求めることができる。

第百五十一条の二 税務署長は、前条の規定によるほか、滞納者がその国税を一時に納付することによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合において、その者が納税について誠実な意思を有すると認められるときは、その国税の納期限(延納又は物納の許可の取消しがあつた場合には、その取消しに係る書面が発せられた日)から六月以内にされたその者の申請に基づき、一年以内の期間を限り、その納付すべき国税(国税通則法第四十六条第一項から第三項まで(納税の猶予の要件等)の規定の適用を受けているものを除く。)につき滞納処分による財産の換価を猶予することができる。

2 前項の規定は、当該申請に係る国税以外の国税(次の各号に掲げる国税を除く。)の滞納がある場合には、適用しない。

一 国税通則法第四十六条第一項から第三項までの規定による納税の猶予(次号において「納税の猶予」という。)又は前項の規定による換価の猶予の申請中の国税

二 国税通則法第四十六条第一項から第三項まで又は前条第一項若しくは前項の規定の適用を受けている国税(同法第四十九条第一項第四号(納税の猶予の取消し)(次条第三項又は第四項において準用する場合を含む。)に該当し、納税の猶予又は前条第一項若しくは前項の規定による換価の猶予が取り消されることとなる場合の当該国税を除く。)

3 第一項の規定による換価の猶予の申請をしようとする者は、同項の国税を一時に納付することによりその事業の継続又はその生活の維持が困難となる事情の詳細、その納付を困難とする金額、当該猶予を受けようとする期間、その猶予に係る金額を分割して納付する場合の各納付期限及び各納付期限ごとの納付金額その他の政令で定める事項を記載した申請書に、財産目録、担保の提供に関する書類その他の政令で定める書類を添付し、これを税務署長に提出しなければならない。

(換価の猶予に係る分割納付、通知等)

第百五十二条 税務署長は、第百五十一条第一項(換価の猶予の要件等)若しくは前条第一項の規定による換価の猶予又は第三項において読み替えて準用する国税通則法第四十六条第七項(納税の猶予の要件等)若しくは第四項において準用する同条第七項の規定による換価の猶予の期間の延長をする場合には、その猶予に係る金額(その納付を困難とする金額として政令で定める額を限度とする。)をその猶予をする期間内の各月(税務署長がやむを得ない事情があると認めるときは、その期間内の税務署長が指定する月。以下この項において同じ。)に分割して納付させるものとする。この場合においては、滞納者の財産の状況その他の事情からみて、その猶予をする期間内の各月に納付させる金額が、それぞれの月において合理的かつ妥当なものとなるようにしなければならない。

2 税務署長は、第百五十一条第一項又は前条第一項の規定による換価の猶予をする場合において、必要があると認めるときは、差押えにより滞納者の事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがある財産の差押えを猶予し、又は解除することができる。

3 国税通則法第四十六条第五項から第七項まで及び第九項、第四十七条第一項(納税の猶予の通知等)、第四十八条第三項及び第四項(果実等による徴収)並びに第四十九条第一項(第五号に係る部分を除く。)及び第三項(納税の猶予の取消し)の規定は、第百五十一条第一項の規定による換価の猶予について準用する。この場合において、同法第四十六条第七項中「納税者の申請に基づき、その期間」とあるのは「その期間」と、同条第九項中「第四項(前項において準用する場合を含む。)」とあるのは「国税徴収法第百五十二条第一項(換価の猶予に係る分割納付、通知等)」と、それぞれ読み替えるものとする。

4 国税通則法第四十六条第五項から第七項まで及び第九項、第四十六条の二第四項及び第六項から第十項まで(納税の猶予の申請手続等)、第四十七条、第四十八条第三項及び第四項並びに第四十九条第一項及び第三項の規定は、前条第一項の規定による換価の猶予について準用する。この場合において、同法第四十六条第九項中「第四項(前項において準用する場合を含む。)」とあるのは「国税徴収法第百五十二条第一項(換価の猶予に係る分割納付、通知等)」と、同法第四十六条の二第四項中「分割納付の方法により納付を行うかどうか(分割納付の方法により納付を行う場合にあつては、分割納付の各納付期限及び各納付期限ごとの納付金額を含む。)」とあるのは「その猶予に係る金額を分割して納付する場合の各納付期限及び各納付期限ごとの納付金額」と、同条第六項中「第一項から第四項まで」とあるのは「国税徴収法第百五十一条の二第三項(換価の猶予の要件等)又は同法第百五十二条第四項(換価の猶予に係る分割納付、通知等)において読み替えて準用する第四項」と、同条第七項中「第一項から第四項まで」とあるのは「国税徴収法第百五十一条の二第三項又は同法第百五十二条第四項において読み替えて準用する第四項」と、同条第十項中「第一項から第四項まで」とあるのは「国税徴収法第百五十一条の二第三項又は同法第百五十二条第四項において読み替えて準用する第四項」と、「前条第一項から第三項まで又は第七項」とあるのは「同法第百五十一条の二第一項又は同法第百五十二条第四項において準用する前条第七項」と、同項第二号中「次項」とあるのは「国税徴収法第百四十一条(質問及び検査)」と、「同項」とあるのは「同条」と、同法第四十七条第二項中「前条第一項から第四項まで」とあるのは「国税徴収法第百五十一条の二第三項(換価の猶予の要件等)又は同法第百五十二条第四項(換価の猶予に係る分割納付、通知等)において読み替えて準用する前条第四項」と、それぞれ読み替えるものとする。