アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○児童福祉施設における「食事摂取基準」を活用した食事計画について

(令和2年3月31日)

(子母発0331第1号)

(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省子ども家庭局母子保健課長通知)

(公印省略)

「食事による栄養摂取量の基準」(令和2年1月21日厚生労働省告示第10号。以下「食事摂取基準」という。)が改正され令和2年4月1日から適用されることに伴い、「児童福祉施設における食事の提供に関する援助及び指導について」(令和2年3月31日子発0331第1号・障発0331第8号厚生労働省子ども家庭局長・社会・援護局障害保健福祉部長連名通知)を発出したところであるが、児童福祉施設における食事の提供の基本となる食事計画について、下記の事項に留意の上、効果的に実施されるよう、貴管内児童福祉施設への周知方よろしく御配意願いたい。

なお、本通知の施行に伴い、平成27年3月31日雇児母発0331第1号本職通知「児童福祉施設における「食事摂取基準」を活用した食事計画について」は令和2年3月31日をもって廃止する。

また、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言である。

1 児童福祉施設における「食事摂取基準」を活用した食事計画の基本的考え方

(1) 「食事摂取基準」は、エネルギーについて、成人においては「ボディ・マス・インデックス(BMI)」、参考として「推定エネルギー必要量」、栄養素については「推定平均必要量」「推奨量」「目安量」「耐容上限量」「目標量」といった複数の設定指標により構成されていることから、各栄養素及び指標の特徴を十分理解して活用すること。

(2) 「食事摂取基準」は、健康な個人及び集団を対象とし、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものである。よって、児童福祉施設において、障害や疾患を有するなど身体状況や生活状況等が個人によって著しく異なる場合には、一律の適用が困難であることから、個々人の発育・発達状況、栄養状態、生活状況等に基づいた食事計画を立てること。

(3) 子どもの健康状態及び栄養状態に応じて、必要な栄養素について考慮すること。子どもの健康状態及び栄養状態に特に問題がないと判断される場合であっても、基本的にエネルギー、たんぱく質、脂質、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、カルシウム、鉄、ナトリウム(食塩)、カリウム及び食物繊維について考慮するのが望ましい。

(4) 食事計画を目的として「食事摂取基準」を活用する場合には、集団特性を把握し、それに見合った食事計画を決定した上で、献立の作成及び品質管理を行った食事の提供を行い、一定期間ごとに摂取量調査や対象者特性の再調査を行い、得られた情報等を活かして食事計画の見直しに努めること。その際、管理栄養士等による適切な活用を図ること。

2 児童福祉施設における「食事摂取基準」を活用した食事計画の策定に当たっての留意点

(1) 子どもの性、年齢、発育・発達状況、栄養状態、生活状況等を把握・評価し、提供することが適当なエネルギー及び栄養素の量(以下「給与栄養量」という。)の目標を設定するよう努めること。なお、給与栄養量の目標は、子どもの発育・発達状況、栄養状態等の状況を踏まえ、定期的に見直すように努めること。

(2) エネルギー摂取量の計画に当たっては、参考として示される推定エネルギー必要量を用いても差し支えないが、健全な発育・発達を促すために必要なエネルギー量を摂取することが基本となることから、定期的に身長及び体重を計測し、成長曲線に照らし合わせるなど、個々人の成長の程度を観察し、評価すること。

(3) たんぱく質、脂質、炭水化物の総エネルギーに占める割合(エネルギー産生栄養素バランス)については、三大栄養素が適正な割合によって構成されることが求められることから、たんぱく質については13%~20%、脂質については20%~30%、炭水化物については50%~65%の範囲を目安とすること。

(4) 1日のうち特定の食事(例えば昼食)を提供する場合は、対象となる子どもの生活状況や栄養摂取状況を把握、評価した上で、1日全体の食事に占める特定の食事から摂取することが適当とされる給与栄養量の割合を勘案し、その目標を設定するよう努めること。

(5) 給与栄養量が確保できるように、献立作成を行うこと。

(6) 献立作成に当たっては、季節感や地域性等を考慮し、品質が良く、幅広い種類の食品を取り入れるように努めること。また、子どもの咀嚼そしゃく嚥下えんげ機能、食具使用の発達状況等を観察し、その発達を促すことができるよう、食品の種類や調理方法に配慮するとともに、子どもの食に関する嗜好や体験が広がりかつ深まるよう、多様な食品や料理の組み合わせにも配慮すること。また、特に、小規模グループケアやグループホーム化を実施している児童養護施設や乳児院においては留意すること。

3 児童福祉施設における食事計画の実施上の留意点

(1) 子どもの健全な発育・発達を目指し、子どもの身体活動等を含めた生活状況や、子どもの栄養状態、摂食量、残食量等の把握により、給与栄養量の目標の達成度を評価し、その後の食事計画の改善に努めること。

(2) 献立作成、調理、盛りつけ・配膳、喫食等各場面を通して関係する職員が多岐にわたることから、定期的に施設長を含む関係職員による情報の共有を図り、食事の計画・評価を行うこと。

(3) 日々提供される食事が子どもの心身の健全育成にとって重要であることに鑑み、施設や子どもの特性に応じて、将来を見据えた食を通じた自立支援にもつながる「食育」の実践に努めること。

(4) 食事の提供に係る業務が衛生的かつ安全に行われるよう、食事の提供に関係する職員の健康診断及び定期検便、食品の衛生的取扱い並びに消毒等保健衛生に万全に期し、食中毒や感染症の発生防止に努めること。