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○「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について」の一部改正について

(令和2年4月13日)

(医政地発0413第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医政局地域医療計画課長通知)

(公印省略)

医療計画(医療法(昭和23年法律第205号)第30条の4第1項に規定する医療計画をいう。以下同じ。)の作成に当たって参考とすべき、5疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病及び精神疾患をいう。)・5事業(救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療及び小児医療(小児救急医療を含む。)をいう。)及び在宅医療(居宅等における医療をいう。)の体制構築に係る指針については、「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について」(平成29年3月31日付け医政地発0331第3号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知。以下「課長通知」という。)により示しているところであるが、本年3月2日の「医療計画の見直し等に関する検討会」による「第7次医療計画の中間見直し等に関する意見のとりまとめ」(別紙1)等を踏まえ、課長通知の一部を別紙2新旧対照表のとおり改正し、本日から適用することとしたため通知する。

なお、第7次医療計画の中間見直しの時期については、今般の新型コロナウイルス感染症の国内における感染状況等を考慮し、別途通知することとする。

(別紙1)

第7次医療計画の中間見直し等に関する意見のとりまとめ

令和2年3月2日

一部訂正 令和2年3月31日

医療計画の見直し等に関する検討会

本検討会におけるこれまでの議論を踏まえ、第7次医療計画の中間見直しに必要な「医療計画作成指針」及び「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制構築に係る指針」等の見直しが必要と考えられる事項を中心に意見のとりまとめを行う。

[5疾病・5事業及び在宅医療のそれぞれの医療連携体制等に関する事項]

1 5疾病について

(1) がんに関する医療提供体制について

(見直しの方向性)

○ 第7次医療計画の中間見直し後も現在と同様の指標を継続して使用することとし、第8次医療計画に向けて、第4期がん対策推進基本計画の策定と並行して指標等の見直しを検討する。

(2) 脳卒中及び心筋梗塞等の心血管疾患に関する医療提供体制について

(見直しの方向性)

○ 第7次医療計画の中間見直し後も現在と同様の指標を継続して使用することとし、引き続き指標の作成のための研究を継続するとともに、令和元年12月に施行された循環器病対策基本法に基づき設置される循環器病対策推進協議会における議論や、策定される循環器病対策推進基本計画を踏まえて、第8次医療計画に向けた検討を行う。

(3) 糖尿病に関する医療提供体制について

(見直しの方向性)

○ 糖尿病足病変は下肢切断につながり、QOLの著しい低下を来すにも関わらず、アウトカム指標に設定されておらず、また、OECD「医療の質指標」でも国際比較項目として設定されていることから、NDB解析を用いて、都道府県毎に新規下肢切断術の件数を把握する。

○ 第7次医療計画では1型糖尿病に関する目標が設定されておらず、1型糖尿病は合併症予防・QOL維持のために専門的な治療が必要となることが多い。そのため、1型糖尿病に対する専門的治療を行う医療機関数として「持続皮下インスリン注入療法(CSII)の管理が可能な医療機関数」を把握する。

(指標例の見直し)

・糖尿病患者の新規下肢切断術の件数の追加

・1型糖尿病に対する専門的治療を行う医療機関数の追加

(4) 精神疾患に関する医療提供体制について

(見直しの方向性)

○ 精神疾患の医療体制を構築するに当たっての現状の把握の参考調査項目に、地域の精神保健医療福祉資源の活用実態状況を網羅的に把握できる地域精神保健医療福祉資源分析データベース(ReMHRAD)を追加する。

○ 重点指標は、各疾患の入院及び外来診療をしている医療機関数となっているが、より患者に対する質の高い精神医療の提供に関するものとして、精神保健医療体制の高度化に資する項目に変更する。

○ 医療計画における各精神疾患の領域における医療連携体制の構築と各種事業との連携を強化するため、各種事業において定められている拠点医療機関等を新たに指標例として追加し、重点指標とする。

○ アウトカムに係る指標例の一つである精神病床における退院後3・6・12ヶ月時点の再入院率は、精神病床からの退院後、患者が一時的な不調を示した場合等にレスパイト等の短期入院を行うことがあるなど解釈に課題があることから、退院した患者の地域生活を反映できるよう、再入院率ではなく地域平均生活日数を指標例に位置付ける。

○ 精神科救急領域において指標例としている「深夜・休日に初診後に精神科入院した病院数」及び「深夜・休日に初診後に精神科入院した患者数」については、数値の把握が難しいため指標例から削除し、精神科救急医療施設数等に変更する。

(指標例の見直し)

・依存症専門医療等機関(依存症専門医療等機関、依存症治療拠点機関)数の追加

・摂食障害治療支援センター数の追加

・てんかん診療拠点機関数の追加

・精神科救急入院料を算定した病院数の追加

・精神科救急医療施設(病院群輪番型、常時対応型)数、外来対応施設数及び身体合併症対応施設数の追加

・精神科救急医療体制整備事業における受診件数の追加

・精神科救急医療体制整備事業における入院件数の追加

・地域平均生活日数へ変更

(現行)精神病床における退院後3・6・12ヶ月時点の再入院率

・深夜・休日に初診後に精神科入院した病院数の削除

・深夜・休日に初診後に精神科入院した患者数の削除

・重点指標を各疾患の精神保健医療体制の高度化に資する指標及び拠点医療機関等の指標に変更

(現行)各疾患の入院及び外来診療している医療機関数

2 5事業について

(1) 救急医療

(見直しの方向性)

○ 救急医療機関の機能と役割を明確にし、地域で連携したきめ細かな取組を行うことができる体制を評価できるよう、現状把握に必要な指標例を追加する。

○ 災害に対応したインフラ整備等について、救命救急センターに求められている医療機能を踏まえ、災害時においても高度な救急医療を提供できる体制を構築するために、災害拠点病院と同様に非常用自家発電設備や給水設備の保有を求める。具体的には、指針に以下を追記する。

・ 災害時に備え、災害拠点病院と同様に自家発電機(備蓄する燃料含む。)、受水槽(備蓄する飲料水含む。)の保有が望ましい。

(指標例の見直し)

・救命救急センター充実段階評価にS評価を追加

・地域で行われている多職種連携会議の開催回数の追加

・中核・高次の救急医療機関とその周辺の救急医療機関との間の病院間搬送件数の追加

・救急車の受入件数の追加

・救急要請(覚知)から救急医療機関への搬送までに要した平均時間の追加

(2) 災害時における医療

(見直しの方向性)

○ 指針の見直しに関しては、第7次医療計画策定後の災害医療の現状を踏まえた内容を盛り込むこととする。具体的には、

・ 熊本地震に係る初動対応検証の報告を踏まえ、保健医療活動本部を設置することとしたことから、保健医療調整本部について明示する。

・ 「災害医療コーディネーター活動要領」「災害時小児周産期リエゾン活動要領」を発出したことを踏まえ、現状の両者に関する記載を変更する。

○ 指標の見直しに関しては、「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」においての議論等を踏まえて対応する。具体的には以下とする。

・ 現在、基幹災害拠点病院のプロセス指標例に県下の災害関係医療従事者を対象とした研修の実施回数が含まれているが、災害時には、特に都道府県等の自治体が中心となって対応を行うこととなるという観点から、災害医療教育の実施回数を指標に盛り込む。

・ 実際の災害発生時には、保健所(都道府県が設置するもの、区・市が設置するもの両方)が市町村や避難所等の医療を含む調整を行うため、都道府県レベルでの災害訓練の実施回数に、「保健所、市町村等」を追加し、保健所等と連携を取ることを明確化する。

・ 「災害医療コーディネーター」「災害時小児周産期リエゾン」について活動要領を作成したこと等を踏まえ、今後大規模災害時等に適切に保健医療活動が行われるよう両者を活用した体制の構築を進める必要があるため、災害医療コーディネーター任命者数、災害時小児周産期リエゾン任命者数を指標に盛り込む。

・ 第7次医療計画策定時、災害拠点病院におけるBCPの策定率は3割程度であったが、当省の調査において全ての災害拠点病院が策定していることが確認できたため、指標から同項目を外すこととする。(数値は参考指標とする。)

・ 第8次医療計画の見直しに向けて、災害拠点病院と災害拠点病院以外の病院の関係性や業務等に関して、引き続き整理を行うとともに、DPATや災害拠点精神科病院といった新たな項目の指標化等に関しても検討を行っていく。

(指標例の見直し)

・都道府県による医療従事者に対する災害医療教育の実施回数を追加

・都道府県による地域住民に対する災害医療教育の実施回数を追加

・「災害時の医療チーム等の受け入れを想定し、都道府県災害対策本部、都道府県医療本部で関係機関(警察、消防等)、公共輸送機関等との連携の確認を行う災害訓練の実施回数」の指標に、関係機関として「保健所、市町村等」を追記

・災害医療コーディネーター任命者数を追加

・災害時小児周産期リエゾン任命者数を追加

・災害拠点病院における業務継続計画(BCP)の策定率を指標から削除

(3) へき地の医療

(見直しの方向性)

○ 良質かつ適切なへき地医療を提供する体制を構築するため、へき地医療拠点病院の中で主要3事業(※)の年間実績が合算で12回以上の医療機関を増やして行くため、「へき地医療拠点病院の中で主要3事業の年間実績が合算で12回以上の医療機関の割合」を追加指標とした上で、本指標の値を100%にすることを数値目標とする。

○ 少なくともへき地医療拠点病院の必須事業(※)の実施回数が年間1回以上の医療機関を増やしていくため、「へき地医療拠点病院の中でへき地医療拠点病院の必須事業の実施回数が年間1回以上の医療機関の割合」を追加指標とした上で、本指標の値を100%にすることを数値目標とする。

○ あわせて、現況調査における平成29年度実績で、必須事業のいずれの事業の実施もなかったへき地医療拠点病院については、経年変化も考慮し、都道府県が直近の現状を確認するよう指針に明示する。

※主要3事業:

へき地医療拠点病院におけるへき地への巡回診療、へき地診療所等への医師派遣及び代診医派遣

※必須事業:

へき地医療拠点病院の事業の内、いずれかは必須で実施すべきとされている以下の事業

・ 巡回診療等によるへき地住民の医療確保に関すること。

・ へき地診療所等への代診医等の派遣(継続的な医師派遣も含む)及び技術指導、援助に関すること。

・ 遠隔医療等の各種診療支援に関すること。

○ へき地が医師中数・多数区域内にあり、医師少数スポットにも含まれない場合には、医師確保対策の一般的なスキームには乗らないことになるが、医師確保対策が新たに講じられた後も、引き続き巡回診療等でへき地に医療の確保がなされなければならないことを踏まえ、医師確保計画とへき地に従事する医師の確保対策を連携させ、整合性をとることをへき地に関する医療計画に記載されるよう指針に明記する。

○ 第8次医療計画に向け、医師確保計画とへき地医療計画の連携、地域枠医師の役割について、引き続き整理していく。

(指標例の見直し)

・へき地医療拠点病院の中で主要3事業の年間実績が合算で12回以上の医療機関の割合の追加

・へき地医療拠点病院の中でへき地医療拠点病院の必須事業の実施回数が年間1回以上の医療機関の割合の追加

(4) 周産期医療

(見直しの方向性)

○ 産科・小児科の医師偏在対策に関連する見直しとして、

・ 「周産期医療圏」について、医師確保計画策定ガイドラインと同じ定義を記載し、医療圏の表記を統一する。

・ 周産期医療に係る協議会について、産科・小児科の医師確保計画の策定に向けた意見の取りまとめが求められた際には対応が可能となるよう、協議事項として例示する。

また、第8次医療計画に向けて、医師確保計画策定ガイドラインを踏まえつつ、各都道府県において下記の事項について検討していくこととする。

・ 周産期医療に係る医療計画と産科・小児科医師確保計画との整合性

・ 産科医師や分娩取扱施設が存在しない医療圏がないようにするための、医療圏の見直し等の施策

・ 医療機関における勤務環境の改善、医療機関までのアクセス支援等も視野に入れた、医療提供体制を効率化するための再編統合を含む集約化・重点化

○ 産婦人科と産婦人科以外の診療科との連携体制について、各都道府県の周産期医療協議会等において検討し、産婦人科以外の医師に対する妊産婦の診療に係る研修体制や産婦人科医による相談体制の構築等、妊産婦の診療を地域で支える体制を構築することができるよう、例示を行う。

○ 妊産婦に対する医療体制や精神疾患を合併した妊産婦への対応を評価する指標例について、

・ 精神疾患を合併する妊産婦への対応については、多職種が連携して患者に対応する体制を評価する指標として、ハイリスク妊産婦連携指導料1・2届出医療機関数を追加する。

・ 妊産婦に対する医療体制については、活用可能で適切と考えられる指標例について、第8次医療計画に向けて検討していく。

○ 災害時小児周産期リエゾンについては、災害時に、都道府県が小児・周産期医療に係る保健医療活動の総合調整を適切かつ円滑に行えるよう、その任命を促す必要があり、

・ 災害時小児周産期リエゾンが行う業務等に係る記載について、活動要領の内容を踏まえた記載にするとともに、その任命状況等の実態把握を継続し、必要に応じて、都道府県に助言等を行う。

・ 指標例における「災害時小児周産期リエゾン認定者数」を重点指標にするとともに、災害医療の体制構築との整合性に留意した扱いとする。

・ 第8次医療計画に向けて、災害医療コーディネーターとの連携を含む好事例の情報収集を行うとともに、災害医療の体制構築に係る検討の場等において、目指すべき在り方について検討する。

○ 災害に対応したインフラ整備等について、周産期母子医療センターに求められている医療機能を踏まえ、災害時においても高度な周産期医療を提供できる体制を構築するために、

・ 非常用自家発電設備や給水設備の保有等に係る整備について、総合周産期母子医療センターの指定要件として、災害拠点病院と同等の要件を定める。また、地域周産期母子医療センターについても、同等の整備を行うことが望ましいこととする。

・ 事業継続計画(BCP)の策定について、総合周産期母子医療センターは既に指定要件となっているが、取組みを促すために、策定の期限を設ける(令和3年度末までとする。)。また、地域周産期母子医療センターについても、認定要件とする。

○ リスクの高い妊産婦に対する医療提供体制については、第8次医療計画に向けて、集学的な救急対応が可能な体制を構築・維持できるよう、総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センター、その他の施設それぞれの役割を踏まえ、リスクの高い妊産婦を受け入れる体制について、例えば母体・胎児集中治療室(MFICU)を有する周産期母子医療センター等に重点化するなど、各都道府県において検討を開始することとする。

○ 新生児医療の提供体制については、第8次医療計画に向けて、質の高い新生児医療を効率的に提供できるよう、総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センター、その他の施設それぞれの役割(配置状況を含む。)、体制、実績等を踏まえつつ、新生児集中治療室(NICU)の集約化・重点化について、各都道府県において検討を開始することとする。

○ 周産期医療における医師以外の他職種の活用については、第8次医療計画に向けて、アドバンス助産師や新生児集中ケア認定看護師等の専門性の高い人材の養成状況、院内助産・助産師外来を実施する施設における好事例等について情報収集しつつ、どの様な人材をどのような施設において活用することが有効かなどについて、検討していくこととする。

○ 搬送に関連する指標例について、周産期医療機関の受入能力を評価する指標としては、消防機関による「搬送数」ではなく、周産期医療機関ごとの「搬送の受入数」が適切と考えられる点、現在の取得内容は妊婦及び新生児の搬送人員を合計したものであり、妊婦と新生児の各搬送人員を分けることができない点、病院救急車等による搬送人員が把握できない点等を踏まえ、算出方法を見直す。

(指標例の見直し)

・ハイリスク妊産婦連携指導料1・2届出医療機関数の追加

・母体・新生児搬送数・都道府県内搬送率の取得方法の変更

・母体・新生児搬送数のうち受入困難事例の件数の算出方法の変更

・災害時小児周産期リエゾン任命者数を重点指標化

(現行)災害時小児周産期リエゾン認定者数

(5) 小児医療(小児救急医療を含む。)

(見直しの方向性)

○ 小児科の医師偏在対策に関連する見直しとして、

・ 「小児医療圏」について、医師確保計画策定ガイドラインと同じ定義を記載し、基本的には、医療圏の表記を統一する。ただし、「小児救急医療圏」の表記については、現状、「小児救急医療圏」ごとに体制整備を行っている都道府県があることから、第8次医療計画の指針を策定する際に「小児医療圏」として一本化する。

・ 「小児医療に関する協議会」という事項を追加し、協議会の設置、協議事項等について記載する。なお、協議会において、小児科の医師確保計画の策定に向けた意見の取りまとめが求められた際には対応が可能となるよう、協議事項として例示する。

また、第8次医療計画に向けて、医師確保計画策定ガイドラインを踏まえつつ、各都道府県において下記の事項について検討していくこととする。

・ 小児医療に係る医療計画と小児科医師確保計画との整合性

・ 小児救急患者に常時診療可能な体制が存在しない医療圏がないようにするための、医療圏の見直し等の施策

・ 医療機関における勤務環境の改善、医療機関までのアクセス支援等も視野に入れた、小児医療の提供体制を効率化するための再編統合を含む集約化・重点化

○ #8000事業については、『「いのちをまもり、医療をまもる」国民プロジェクト宣言!』が取りまとめられたことや、世論調査の結果を踏まえ、その体制整備を進めていくために、各都道府県が、適切な回線数の確保等を検討するに当たり、応答率等を把握しその結果も参考とすることを、指針において例示を行う。

○ 災害時小児周産期リエゾンについては、周産期医療における見直しの方向性と同様の観点から、小児医療の指標例に、重点指標として「災害時小児周産期リエゾン任命者数」を加える。

○ 安全で質の高い、持続可能な小児医療提供体制を整備するため、第8次医療計画に向けて、関係学会・団体の協力を得ながら、各医療機能を担う医療機関の医師の配置や診療実績等を把握し、より効率的な人的・物的医療資源の配置等について、研究・検討していくこととする。その際、多職種によるチーム医療を推進する観点から、他の診療科やサブスペシャリティ間の連携、小児科領域における医師以外の医療従事者の活用等についても、どのような方法があるか、検討していくこととする。

○ 療養・療育支援が可能な体制について、小児医療と在宅医療それぞれの提供体制が整合的となり、成育過程を踏まえた整備が可能となるよう、小児医療の指標例に、「小児の訪問診療を実施している診療所・病院数」等を追加する。また、活用可能で適切と考えられる指標例について、第8次医療計画に向けて検討していくこととする。

(指標例の見直し)

・災害時小児周産期リエゾン任命者数を重点指標として追加

・小児の訪問診療を実施している診療所・病院数の追加

・小児の訪問診療を受けた患者数の追加

・小児の訪問看護利用者数の追加

3 在宅医療

(見直しの方向性)

○ 都道府県において取り組むべき事項を整理した通知※の内容を、指針に反映する。

※「在宅医療の充実に向けた取組の進め方について」(平成31年1月29日厚生労働省医政局地域医療計画課長・厚生労働省老健局介護保険計画課長・厚生労働省老健局老人保健課長通知)

○ 「在宅歯科医療の提供体制等に関する検討会」における議論の整理を踏まえ、在宅歯科医療をより推進するための指標例を追加する。

○ 小児在宅医療の提供体制について、小児医療に係る体制整備と整合的となり、成育過程を踏まえた整備が可能となるよう、現状把握に必要な指標例を追加する。近年、増加傾向にある医療的ケア児に必要な支援については、第8次医療計画に向けて検討する。

○ 第8次医療計画に向けて、原則として設定する指標やアウトカム指標、多職種による在宅医療の提供体制や地域性を踏まえた在宅医療の提供体制、災害対応や介護との連携を含めた今後の在宅医療のあり方について、介護保険事業(支援)計画及び障害福祉計画等の関連する計画と整合性を確保しながら検討する。

(指標例の見直し)

・小児の訪問診療を実施している診療所・病院数の追加

・訪問口腔衛生指導を実施している診療所・病院数の追加

・機能強化型の訪問看護ステーション数の追加

・在宅で活動する栄養サポートチーム(NST)と連携する歯科医療機関数の追加

・小児の訪問診療を受けた患者数の追加

・歯科衛生士を帯同した訪問歯科診療を受けた患者数の追加

・訪問口腔衛生指導を受けた患者数の追加

(別紙2)

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改正後全文

○疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について

(平成29年3月31日)

(医政地発0331第3号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医政局地域医療計画課長通知)

改正 平成29年7月31日医政地発0731第1号

令和2年4月13日医政地発0413第1号

(公印省略)

医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)第30条の4の規定に基づき、がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病及び精神疾患の5疾病並びに救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療及び小児医療(小児救急医療を含む。以下同じ。)の5事業並びに居宅等における医療(以下「在宅医療」という。)について医療計画に記載することとされています(以下、5疾病及び5事業並びに在宅医療を「5疾病・5事業及び在宅医療」という。)。

各都道府県が医療提供体制を確保するに当たり、特に5疾病・5事業及び在宅医療については、①疾病又は事業ごとに必要となる医療機能を明確化した上で、②地域の医療機関がどのような役割を担うかを明らかにし、さらに③医療連携体制を推進していくことが求められています。

医療機能の明確化から連携体制の推進にいたるこのような過程を、以下、医療体制の構築ということとします。

5疾病・5事業及び在宅医療の医療体制を構築するに当たっては、それぞれに求められる医療機能を具体的に把握し、その特性及び地域の実情に応じた方策を講ずる必要があることから、下記のとおり、それぞれの体制構築に係る指針を国において定めましたので、新たな医療計画作成のための参考としていただきますようお願いします。

なお、本通知は法第30条の8に基づく技術的助言であることを申し添えます。

また、「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について」(平成24年3月30日付け医政指発0330第9号厚生労働省医政局指導課長通知)は廃止します。

1 法的根拠

法第30条の4第4項の規定に基づき、がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病及び精神疾患の5疾病並びに救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療及び小児医療の5事業(以下「5疾病・5事業」という。)並びに在宅医療に係る医療連携体制を構築するための方策を医療計画に定めることとなっている。

また、法第30条の3第1項の規定に基づき、医療提供体制の確保に関する基本方針(平成19年厚生労働省告示第70号。以下「基本方針」という。)の改正を行ったところである。

また、基本方針第四の二及び三に示すとおり、5疾病・5事業及び在宅医療のそれぞれに係る医療体制を各都道府県が構築するに当たっては、地域の医療提供施設の医療機能を医療計画に明示することにより、患者や住民に対し、分かりやすい情報提供の推進を図る必要がある。

一方、基本方針第二の二に示すとおり、国は5疾病・5事業及び在宅医療について調査及び研究を行い、5疾病・5事業及び在宅医療のそれぞれに求められる医療機能を明らかにすることとされており、本通知は、国として当該医療機能を明らかにすること等により、都道府県の医療体制構築を支援するものである。

なお、医療機能に関する情報の提供については、法第6条の3に基づく医療機能情報提供制度が別途実施されている。

5疾病・5事業及び在宅医療の医療体制構築に当たっては、当該制度により都道府県に報告された医療機能情報を活用できること、特に、患者や住民に情報を提供するためだけではなく、地域の医療関係者が互いに情報を共有することで信頼を醸成し、円滑な連携を推進するためにも活用すべきであることに留意されたい。

2 策定に当たっての留意点

別紙「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制構築に係る指針」は、国として、①5疾病・5事業及び在宅医療の医療機能の目安を明らかにした上で、②各医療機能を担う地域の医療機関が互いに信頼を醸成し、円滑な連携を推進するために、都道府県の実施すべき手順を示したものである。

都道府県におかれては、地域において切れ目のない医療の提供を実現するための、良質かつ適切な医療を効率的に提供するための医療計画策定に当たり、本指針を参考にされたい。

なお策定に当たっては、次に掲げる点に留意されたい。

① 5疾病・5事業及び在宅医療の医療体制については、各都道府県が、患者動向、医療資源等地域の実情に応じて構築するものであること。

② したがって、本指針は医療体制の構築のための目安であり、必ずしもこれに縛られるものではないこと。

③ 5疾病・5事業ごと及び在宅医療の医療体制構築に当たっては、地域の実情に応じて必要性の高いものから優先的に取り組むことが必要であること。

④ 医療計画の実効性を高めるよう、5疾病・5事業ごと及び在宅医療のPDCAサイクルを効果的に機能させ、政策循環の仕組みを強化するため、疾病・事業ごとの指標を活用すること。

⑤ 本指針は国における現時点での知見に基づくものであり、今後も検討、調査、研究を続けて適宜提示するものであること。

3 本指針の位置付け及び構成

5疾病・5事業及び在宅医療の医療体制を含めた、新たな医療計画制度の全体像については、「医療計画について」(平成29年3月31日付け医政発0331第57号厚生労働省医政局長通知)の別紙「医療計画作成指針」により別途提示しているところである。

「医療計画作成指針」と「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制構築に係る指針」との関係は別表のとおりであり、各都道府県におかれては、新たな医療計画の作成に当たり、「医療計画作成指針」を参考に計画全体の構成、作成の手順等を検討した上で、本指針により5疾病・5事業及び在宅医療に係る具体的な医療体制の構築及び計画の作成を図られたい。

(別表)

(別紙)

疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制構築に係る指針

目次

第1 趣旨

第2 内容

第3 手順

第4 連携の推進等

第5 評価等

がんの医療体制構築に係る指針

第1 がんの現状

第2 医療体制の構築に必要な事項

第3 構築の具体的な手順

脳卒中の医療体制構築に係る指針

第1 脳卒中の現状

第2 医療体制の構築に必要な事項

第3 構築の具体的な手順

心筋梗塞等の心血管疾患の医療体制構築に係る指針

第1 心筋梗塞等の心血管疾患の現状

第2 医療体制の構築に必要な事項

第3 構築の具体的な手順

糖尿病の医療体制構築に係る指針

第1 糖尿病の現状

第2 医療体制の構築に必要な事項

第3 構築の具体的な手順

精神疾患の医療体制構築に係る指針

第1 精神疾患の現状

第2 医療体制の構築に必要な事項

第3 構築の具体的な手順

救急医療の体制構築に係る指針

第1 救急医療の現状

第2 医療体制の構築に必要な事項

第3 構築の具体的な手順

災害時における医療体制の構築に係る指針

第1 災害医療の現状

第2 医療体制の構築に必要な事項

第3 構築の具体的な手順

へき地の医療体制構築に係る指針

第1 へき地の医療の現状

第2 医療体制の構築に必要な事項

第3 構築の具体的な手順

周産期医療の体制構築に係る指針

第1 周産期医療の現状

第2 医療体制の構築に必要な事項

第3 構築の具体的な手順

小児医療の体制構築に係る指針

第1 小児医療の現状

第2 医療体制の構築に必要な事項

第3 構築の具体的な手順

在宅医療の体制構築に係る指針

第1 在宅医療の現状

第2 医療体制の構築に必要な事項

第3 構築の具体的な手順

疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制構築に係る指針

第1 趣旨

人口の急速な高齢化が進む中、がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病及び精神疾患の5疾病(以下「5疾病」という。)については、生活の質の向上を実現するため、これらに対応した医療体制の構築が求められている。

また、地域医療の確保において重要な課題となる救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療及び小児医療(小児救急を含む。以下同じ。)の5事業(以下「5事業」という。)についても、これらに対応した医療体制の構築により、患者や住民が安心して医療を受けられるようにすることが求められている。

さらに、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、在宅医療に係る医療体制の構築が求められている。

疾病構造の変化や地域医療の確保といった課題に対応するためには、効率的で質の高い医療体制を具体的に構築することが求められる。

具体的には、各都道府県において、5疾病・5事業及び在宅医療について、それぞれに求められる医療機能を明確にした上で、地域の医療関係者等の協力の下に、医療機関が機能を分担及び連携することにより、切れ目なく医療を提供する体制を構築することが必要である。

加えて、こうした医療体制の構築に患者や住民が参加することを通じ、患者や住民が地域の医療機能を理解し、医療の必要性に応じた質の高い医療を受けられるようになることが期待される。

以下、第2「内容」、第3「手順」、第4「連携の推進等」及び第5「評価等」において、医療体制の構築に当たって5疾病・5事業及び在宅医療に共通する事項を示すとともに、5疾病・5事業及び在宅医療のそれぞれの指針において、各々の特性に関する事項を示すので参考とされたい。

第2 内容

5疾病・5事業及び在宅医療のそれぞれについて、まず「1 医療体制の政策循環」を実現するため、「2 指標」を活用し、「3 必要となる医療機能」を明らかにした上で、「4 各医療機能を担う医療機関等の名称」、「5 数値目標」を記載する。

1 医療体制の政策循環

5疾病・5事業及び在宅医療の医療体制を構築するに当たっては、住民の健康状態や患者の状態(成果(アウトカム))などでもって施策の評価を行うことが必要なため、これらを用いた評価を行うことが重要である。具体的には、施策や事業を実施したことにより生じた結果(アウトプット)が、成果(アウトカム)に対してどれだけの影響(インパクト)をもたらしたかという関連性を念頭に置きつつ、施策や事業の評価を1年ごとに行い、見直しを含めた改善を行うこと。都道府県は、この成果(アウトカム)に向けた評価及び改善の仕組みを、政策循環の中に組み込んでいくことが重要である。

・ アウトカム(成果)

施策や事業が対象にもたらした変化

・ アウトプット(結果)

施策や事業を実施したことにより生じる結果

・ インパクト(影響)

施策や事業のアウトプットによるアウトカムへの寄与の程度

2 指標

医療体制の構築に当たっては、現状の把握や課題の抽出の際に、多くの指標を活用することとなるが、各指標の関連性を意識し、地域の現状をできる限り構造化しながら整理する必要がある。その際には、指標をアウトカム、プロセス、ストラクチャーに分類し、活用すること1

・ アウトカム指標

住民の健康状態や患者の状態を測る指標

・ プロセス指標

実際にサービスを提供する主体の活動や、他機関との連携体制を測る指標

・ ストラクチャー指標

医療サービスを提供する物的資源、人的資源及び組織体制、外部環境並びに対象となる母集団を測る指標

3 必要となる医療機能

例えば脳卒中の場合に、急性期、回復期から維持期にいたるまでの病期ごとの医療機能を明らかにするのと同様、他の疾病・事業及び在宅医療についても明らかにする。

4 各医療機能を担う医療機関等の名称

前記3の各医療機能を担う医療機関等については、後記第3の2に示すとおり、地域の医療提供者等が作業部会等に参加し、検討する。なお、地域によっては、医療資源の制約等によりひとつの医療機関が複数の機能を担うこともある。

その検討結果を踏まえ、原則として、それらを担う医療機関等の名称を記載する。

また、医療機関等の名称については、例えば医療連携体制の中で各医療機能を担う医療機関等が圏域内に著しく多数存在する場合にあっては、別途当該医療機関等の名称を表示したホームページのURLを医療計画上に記載する等の方法をとることも差し支えない。

5 課題、数値目標及び施策の方向性

5疾病・5事業及び在宅医療のそれぞれの課題について、地域の実情に応じた数値目標を設定し、課題解決に向けた施策の方向性を記載する。

数値目標の設定に当たっては、基本方針第九に掲げる諸計画等に定められる目標を勘案するものとする。

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1 厚生労働科学研究「地域医療構想策定及び医療計画PDCAサイクルの推進に資する都道府県の人材育成等手法に関する研究」(研究代表者 熊川寿郎)(平成26年度)を参考に記載

第3 手順

1 情報の収集

都道府県は、医療体制を構築するに当たって、患者動向、医療資源及び医療連携等の医療体制に関する情報等を収集し、現状を把握する必要がある。

医療提供体制等に関する情報のうち、地域住民の健康状態やその改善に寄与すると考えられるサービスに関する指標(重点指標)、その他国が提供するデータや独自調査データ、データの解析等により入手可能な指標(参考指標)について、指標間相互の関連性も含めて、地域の医療提供体制の現状を客観的に把握する。

なお、重点指標及び参考指標については、厚生労働科学研究「病床機能の分化・連携や病床の効率的利用等のために必要となる実施可能な施策に関する研究」研究報告書及び厚生労働科学研究「持続可能で良質かつ適切な精神医療とモニタリング体制の確保に関する研究」研究報告書を参考とすること。

また、既存の統計・調査等のみでは現状把握ができない場合、医療施設・関係団体等に対する調査や患者・住民に対するアンケート調査、ヒアリング等、積極的に新たな調査を行うことが重要である。

(1) 人口動態統計

(2) 国民生活基礎調査

(3) 患者調査

(4) 国民健康・栄養調査

(5) 衛生行政報告例

(6) 介護保険事業状況報告調査

(7) 病床機能報告

(8) レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)

(9) 診断群分類(DPC)データ

(10) 医療施設調査

(11) 病院報告

(12) 医師・歯科医師・薬剤師統計(旧:医師・歯科医師・薬剤師調査)

(13) 地域保健・健康増進事業報告

(14) 介護サービス施設・事業所調査

(15) 介護給付費等実態統計(旧:介護給付費等実態調査)

国においては、都道府県の課題解決に向けた評価及び改善の仕組みを効果的に機能させる取組を支援するため、5疾病・5事業及び在宅医療のそれぞれの指標を提供することとしているが、各都道府県の取組等を踏まえ、各指標を用いた各都道府県の現状の把握、新たな指標の検討、医療計画の評価手順のあり方の検討等も随時行っていくこととしている。

都道府県においても、地域の実情に応じて独自の指標を開発していくことが望ましい。独自に開発した指標が全国で参考になると考えられる場合は、厚生労働省に報告することをお願いする。

2 作業部会及び圏域連携会議の設置

都道府県は、都道府県医療審議会又は地域医療対策協議会の下に、5疾病・5事業及び在宅医療のそれぞれに係る医療体制を構築するため、5疾病・5事業及び在宅医療のそれぞれについて協議する場(以下「作業部会」という。)を設置する。必要によっては、さらに、圏域ごとに関係者が具体的な連携等について協議する場(以下「圏域連携会議」という。)を設置する。

協議に際しては、数値目標の設定やそれを達成するための施策の実施の結果、地域格差が生じたり、患者・住民が不利益を被ることのないよう配慮する。

なお、作業部会と圏域連携会議は、緊密に連携しながら協議を進めることが重要である。

(1) 作業部会

① 構成

作業部会は、地域の実情に応じた医療体制を構築するため、例えば次に掲げる者を代表する者により構成する。

ア 地域医師会等の医療関係団体

イ 医師、歯科医師、薬剤師、看護師など現に診療に従事する者

ウ 介護保険法(平成9年法律第123号)に規定するサービス事業者

エ 医療保険者

オ 医療・介護サービスを受ける患者・住民

カ 保健・医療・福祉サービスを担う都道府県・市町村

キ 学識経験者

ク その他、各疾病及び事業において重要な役割を担う者

② 内容

作業部会は、下記の事項について協議する。

ア 地域の医療資源の把握と現行の医療計画の評価

「1 情報の収集」において把握した情報から、地域において各医療機能の要件を満たす医療機関を確認する。また、患者動向等も加味して、地域において不足している医療機能あるいは調整・整理が必要な医療機能を明確にする。特に5疾病については、まずは二次医療圏を基礎として医療資源を把握する。

同時に、現行の医療計画において設定された課題とそれに対する施策に加え、施策の中で実施した事業について整理を行うこと。その際、課題解決につながっていない施策や事業については、見直しを含む改善を行うこと。

イ 圏域の設定

上記アに基づき、圏域を検討・設定する。この場合、5疾病・5事業及び在宅医療に特有の重要事項に基づき、従来の二次医療圏にこだわらず、地域の医療資源等の実情に応じて弾力的に設定する。

ウ 課題の抽出

上記アにより把握した現状を分析し、求められる医療機能とその連携体制など、目指すべき方向を踏まえ、地域の医療提供体制の課題を抽出する。その際、現状分析に用いたストラクチャー、プロセス、アウトカム指標の関連性も考慮し、病期・医療機能による分類も踏まえ、可能な限り医療圏ごとに課題を抽出する。

以下に、課題の抽出に当たって想定される手順を示す。

(ア) まず、課題の抽出に当たっては、アウトカム指標を確認する。例えば、アウトカム指標が全国平均と乖離している等の問題があればそれを課題とすること。

(イ) 次に、指標が示すデータから得られた課題について、データの留意点や限界を踏まえ、検討する。さらに、当該地域を全国平均若しくは都道府県内平均と比較することにより、仮に対策を行った場合の影響(インパクト)を考慮した上で、課題として設定するとともに、その緊急度と重要度を検討する。

(例:仮に全国平均値であった場合に、治療等の対応が可能であった患者数などを推計し、優先的に課題解決に向けた資源投入をするか否かを判断する。)

エ 数値目標の設定

抽出した課題をもとに、事後に定量的な比較評価が行えるよう、地域の実情に応じた数値目標、目標達成に要する期間を定める。

数値目標の設定に当たっては、各指標の全国データ等を参考にするとともに、基本方針第九に掲げる諸計画等に定められた目標等も勘案するものとする。なお、達成可能なものだけを目標とするのではなく、真に医療圏の課題を解決するために必要な目標を設定する。

オ 施策

課題に対応した数値目標の達成のために行う具体的な施策を盛り込んだ計画を策定する。

施策の検討に当たっては、課題について原因分析を行い、検討された施策の結果(アウトプット)が課題に対してどれだけの影響(インパクト)をもたらしうるかという観点を踏まえること。

(2) 圏域連携会議

圏域連携会議は、各医療機能を担う関係者が、相互の信頼を醸成し、円滑な連携が推進されるよう実施するものである。

その際保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする。

① 構成

各医療機能を担う全ての関係者

② 内容

下記のアからウについて、関係者全てが認識・情報を共有した上で、各医療機能を担う医療機関を決定する。

ア 医療連携の必要性について認識の共有

イ 医療機関等に係る人員、施設設備及び診療機能に関する情報の共有

ウ 当該疾病及び事業に関する最新の知識・診療技術に関する情報の共有

なお、状況に応じて、地域連携クリティカルパス導入に関する検討を行う。

3 患者・住民の意見の反映

都道府県は、患者・住民の作業部会への参加やタウンミーティングの開催、患者・住民へのヒアリングやアンケート調査、医療計画のパブリックコメントなどにより、患者・住民の意見を反映させること。

4 医療計画への記載

都道府県は、前記第3の2に示すとおり、医療機能ごとに医療機関等に求められる事項、数値目標等について検討し、医療計画に記載する。

また、原則として、各医療機能を担う医療機関等の名称も記載するものとする。

なお、地域によっては、医療資源の制約等によりひとつの医療機関が複数の機能を担うこともあり得る。

さらに、医療機関等の名称については、例えば圏域内に著しく多数の医療機関等が存在する場合にあっては、地域の実情に応じて記載することで差し支えないが、住民に分かりやすい周知に努めるものとする。

5 変更が生じた場合の措置

医療計画策定後、医療機能を担う医療機関の変更が生じた場合は、できるだけ速やかに記載内容を変更する必要がある。

この場合、都道府県医療審議会の議をその都度経なくてもすむように、変更に伴う手続きをあらかじめ定めておく必要がある。

第4 連携の推進等

計画の推進体制については、第3の2に定める作業部会等を設けるなど、関係者が互いに情報を共有することにより、信頼関係を醸成し、円滑な連携が推進されるような体制を構築することが望ましい。

第5 評価等

医療計画の実効性を上げるためには、具体的な数値目標の設定と評価を行い、その評価結果に基づき、計画の内容を見直すことが重要である。

都道府県は、あらかじめ評価を行う体制を整え、評価を行う組織や時期を医療計画に記載すること。この際、少なくとも施策及び事業の進捗状況の評価については、1年ごとに行うこととし、課題に対する数値目標の達成状況、現状把握に用いた指標の状況については、3年ごとの中間評価も踏まえつつ、少なくとも6年ごとに調査、分析及び評価を行い、必要があるときは、都道府県はその医療計画を変更することとする。

評価に当たっては、策定体制に関わった者以外の第3者による評価の仕組みを講じること等も有効である。さらに、施策及び事業評価の際には、施策及び事業の結果(アウトプット)のみならず、地域住民の健康状態や患者の状態(アウトカム)、地域の医療の質などの成果(プロセス)にどのような影響(インパクト)を与えたかといった観点からの施策及び事業の評価を行い、必要に応じて計画の内容を改善することが重要である。

また、課題の評価にあたっては、次のような数値目標を設定した指標を活用することも重要である。最終的な成果(アウトカム)を達成するための過程を確認し、過程のどの段階に課題があるかといった観点からの評価も重要である。

(参考:評価指標の考え方1)

・ 評価指標とは

最終的な成果(アウトカム)の達成に向け、施策や事業を進捗管理し、評価するために設する指標。

良い評価指標は以下の頭文字を取り、SMARTな指標と言われている。

① 具体性、特異性(Specific)

具体的であるかどうか、施策や事業に特異的であるかどうか。

② 測定可能性(Measurable)

数値目標、達成期間、期待する達成度などが明示され、測定可能であるかどうか。

③ 達成可能性(Attainable)

達成可能であるかどうか。コスト、スケジュール、従事者の質と量、社会環境への適合性に問題はないか。関係者の反対はどうか。

④ 現実性(Realistic)

現実的かどうか。目標を達成するための手段は適切な因果関係となっているかどうか。

⑤ 期限明示(Time―bound)

実施時期、終期、期限などが明示されているか。

がんの医療体制構築に係る指針

がん検診等でがんの可能性が疑われた場合や症状を呈した場合、まず精密検査等が実施される。

そして、がんの確定診断等が行われた場合、更に詳細な検査により、がんの進行度の把握や治療方針の決定が行われる。

がんの治療は、がん診療連携拠点病院(以下「がん拠点病院」という。)やその他のがん診療に係る医療機関において、個々のがんの種類や進行度に応じて、手術療法、放射線療法及び化学療法(本指針では薬物療法等を含むものとする。)又はこれらを組み合わせた集学的治療等が実施される。

同時に、がんと診断された時から、身体的な苦痛及び精神心理的な苦痛等に対して、患者とその家族への緩和ケアが必要である。

その後も再発予防のための術後補助化学療法や再発の早期発見のための定期的かつ専門的検査等、長期の管理が必要となる。

このようにがん患者に必要とされる医療は患者の状態やがんの種類・病期等によって異なるため、それぞれの医療機関が相互に連携しながら、継続して実施されることが必要である。

また、がん対策について政府は、「がん対策基本法」(平成18年法律第98号)に基づき「がん対策推進基本計画」(平成30年3月閣議決定)を策定し、都道府県は、これを基本とし、各都道府県におけるがん医療の現状等を踏まえて、「都道府県がん対策推進計画」を策定し、がん対策の総合的かつ計画的な推進を図っている。

本指針は、がん対策推進基本計画のうち医療計画に反映すべき事項等について、住民・患者の視点に立った計画を作成するという観点から、その考え方を示すものである。

具体的には、「第1 がんの現状」でがんの発症・転帰がどのようなものであるのか、どのような医療が行われているのかを概観し、次に「第2 医療体制の構築に必要な事項」でどのような医療体制を構築すべきかを示している。

都道府県は、これらを踏まえつつ、「第3 構築の具体的な手順」に則して、地域の現状を把握・分析するとともに、各病期に求められる医療機能を理解した上で、地域の実情に応じて圏域を設定し、その圏域ごとの医療機関とさらにそれら医療機関相互の連携の検討を行い、最終的には都道府県全体で評価まで行えるようにする。

第1 がんの現状

がんは、浸潤性に増殖し転移する悪性腫瘍であり、基本的にほぼすべての臓器・組織で発生しうるものである。このため、がん医療は、その種類によって異なる部分があるが、本指針においてはがん医療全体に共通する事項を記載することとする。

1 がんの疫学

がんは、我が国において昭和56年(1981年)より死因の第1位であり、平成26年には年間約37万人以上の国民が亡くなっている1

また、生涯のうちにがんに罹る可能性はおよそ2人に1人とされている2

継続的に医療を受けているがん患者数は約162.6万人3、1年間に新たにがんにかかる者は約86万人以上4と推計されている。

さらに、今後、人口の高齢化とともにがんの罹患者数及び死亡者数は増加していくことが予想され、依然としてがんは国民の生命と健康にとって重要な課題である。一方で、がん患者・経験者の中にも長期生存し、社会で活躍している者も多い。

がんの年齢調整死亡率は近年減少傾向であるが、がんの種類によりその傾向に違いが見られる。また、全がんの5年相対生存率は62.1%である5が、原発巣による予後の差は大きく、乳がん、肺がん、膵がんの5年相対生存率はそれぞれ91.1%(女性のみ)、31.9%、7.7%となっている5

2 がんの予防、がんの早期発見

(1) がんの予防

がんの原因には、喫煙(受動喫煙を含む。)、食生活、運動等の生活習慣、ウイルスや細菌の感染など様々なものがある。

がんの予防には、これらの生活習慣の改善やがんと関連するウイルスの感染予防等が重要であり、バランスのとれた取組が求められる。

(2) がんの早期発見

がんの早期発見のために、胃がんでは胃部エックス線検査又は胃内視鏡検査、肺がんでは胸部エックス線検査及び喀痰細胞診、乳がんではマンモグラフィ検査、大腸がんでは便潜血検査、子宮頸がんでは細胞診等のがん検診が行われている。

これらのがん検診においてがんの可能性が疑われた場合、さらにCT・MRI検査等の精密検査が実施される。

3 がんの医療

(1) 診断

がん検診によりがんの可能性が疑われた場合や症状を呈した場合、確定診断のために精密検査が実施され、がんの種類やがんの進行度の把握、治療方針の決定等が行われる。

(2) がん治療

がん治療には、手術療法、放射線療法及び化学療法等があり、がんの種類や病態に応じて、これらを単独で行う治療又はこれらを組み合わせた集学的治療が行われる。

がん治療については、学会等が様々ながんに対してEBM(科学的根拠に基づく医療)に基づく診療ガイドラインを作成している。

また、各医療機関ではこれらの診療ガイドライン等に基づいてクリティカルパス(検査と治療等を含めた診療計画表をいう。)が作成されている。

(3) 緩和ケア

がんと診断された時から、身体的な苦痛及び精神心理的な苦痛等に対する緩和ケアを、がん治療と並行して実施することが求められている。

がん疼痛の緩和では、医療用麻薬等の投与や神経ブロック等が行われる。また、疼痛以外の悪心や食欲不振、呼吸困難感といった身体的諸症状に対する治療やケアも行われる。

併せて、がん患者とその家族には、しばしば不安や抑うつ等の精神心理的な問題が生じることから、心のケアを含めた精神医学的な対応が行われる。

(4) リハビリテーション、定期的なフォローアップ、在宅療養

がん治療後は、治療の影響や病状の進行により、患者の嚥下や呼吸運動などの日常生活動作に障害を来すことがあるため、リハビリテーションが行われる。また、再発したがんの早期発見などを目的として、定期的なフォローアップ等が行われる。さらに、在宅療養を希望する患者に対しては、患者やその家族の意向に沿った継続的な医療が提供されるとともに、必要に応じて適切な緩和ケアが行われ、居宅等での生活に必要な介護サービスが提供される。さらに、人生の最終段階には、看取りまで含めた医療や介護サービスが行われる。

(5) 小児・AYA世代(思春期世代と若年成人世代)のがん

小児がん及びAYA世代のがんは、多種多様ながん種を多く含み、特徴あるライフステージで発症することから、成人のがんとは異なる対策が求められている。小児がん患者とその家族が適切な医療や支援を受けられるように、小児がん拠点病院及び小児がん連携病院を中心とした地域のネットワークによる診療体制が構築されている。

(6) がんゲノム医療

ゲノム医療を必要とするがん患者が、全国どこにいても、がんゲノム医療を受けられる体制を国とともに段階的に構築し、患者・家族の理解を促し、心情面でのサポートや治療法選択の意思決定支援を可能とする体制の整備が求められている。また、がんゲノム医療の推進とともに、がんゲノム情報の取扱いやがんゲノム医療に関する国民の理解を促進するため、教育や普及啓発に努めるとともに、安心してがんゲノム医療に参加できる環境の整備が求められている。がんゲノム医療提供体制として令和2年1月1日時点で、がんゲノム医療中核拠点病院が11施設、がんゲノム医療拠点病院が34施設、がんゲノム医療連携病院が161施設整備されている。

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1 厚生労働省「人口動態統計(確定数)」(平成26年)

2 国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センターによる推計値(2012年)

3 厚生労働省「患者調査」(平成26年)

4 国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター「全国がん罹患モニタリング集計2012年罹患数・率報告」