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○「就労支援促進計画の策定について」の一部改正について

(令和2年3月25日)

(社援保発0325第1号)

(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局保護課長通知)

(公印省略)

被保護者に対する就労支援事業等については、平成27年度から各自治体において、「就労支援促進計画」を策定し、就労支援事業等の効果の検証を実施していただいているところである。

平成30年度、「経済財政運営と改革の基本方針2018」に基づく「新経済・財政再生計画改革工程表2018」が決定され、生活保護受給者の就労支援事業について、KPI(改革の進捗管理や測定に必要となる指標)として、2021(令和3)年度までの新たな目標値(就労支援事業等に参加可能な者の事業参加率を2021(令和3)年度までに65%とする、就労支援事業等に参加した者のうち、就労した者及び就労による収入が増加した者の割合を2021(令和3)年度までに50%とする、「その他の世帯」の就労率(就労者のいる世帯の割合)を2021(令和3)年度までに45%とする)が定められたところである。

このうち事業参加率については、これまで事業参加率を算出する際の分母である事業対象者に、事業に参加する余地のない者(稼働能力を十分に活用している者、稼働能力を失った者、保護廃止となった者)が含まれていたが、新たな指標の算定方法では、これらの者を分母から除くこととしている。

また、2018(平成30)年度までの実績では、事業参加率が低調となっていることが課題の一つとなっている。

ついては、標記通知を別添のとおり改正することとし、併せて下記のとおり就労促進計画の策定及び実績評価等にあたっての留意点をまとめたので、各自治体においては、就労支援を着実に実施されるとともに、管内の福祉事務所に周知いただきたい。

なお、本通知は地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定による技術的助言として行うものであることを申し添える。

1 就労支援事業等の対象者については、自治体において適正に選定し、恣意的に対象者の範囲を狭めないこと。特に、現に就労していても稼働能力を十分に活用していないと判断される者については事業対象者とし、就労支援事業等への参加を働きかけること。

2 平成30年度就労支援促進計画の実績評価において、2018(平成30)年度までのKPIを下回った自治体については、新たな2021(令和3)年度までのKPIを達成できるよう、効果的な就労支援事業等の実施に努めること。

3 これらの目標を達成するために、昨年度実施した「生活保護受給者に対する就労支援のあり方に関する研究会」の報告書を踏まえ、次のとおり適切に支援すること。

・ アセスメントを強化し、個々人の課題や本人の意向を十分に把握すること。

・ 課題や意向に応じ、「一般就労」のみではない、「多様な働き方」に向け、課題を抱えた者が働ける場を確保すること。その際には、生活困窮者自立支援制度の認定就労訓練事業所等の他制度他施策の活用も検討すること。

・ ハローワークとの連携を一層強化し、生活保護受給者等就労自立促進事業を十分に活用するとともに、支援対象者の課題に応じて、被保護者就労準備支援事業を積極的に推進すること。

[別添]

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[改正後全文]

○就労支援促進計画の策定について

(平成27年3月31日)

(社援保発0331第22号)

(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局保護課長通知)

改正 平成28年 3月31日社援保発0331第17号

同 29年 3月22日社援保発0322第 1号

令和 2年 3月25日社援保発0325第 1号

(公印省略)

稼働能力を有する被保護者については、その能力に応じて就労することが必要であり、これまでも自立支援プログラム等を活用して積極的に支援いただいているところである。

また、就労による自立助長に向けて就労支援に関する事業(就労支援プログラムとして実施するものをいう。以下「事業」という。)を効果的・効率的に実施していくためには、各自治体において定期的に就労支援プログラムの実施状況や目標の達成状況を評価、検証し、事業を的確に見直していくことが重要である。

また、平成26年8月、総務省が実施した「生活保護に関する実態調査」の結果に基づく総務大臣の勧告(以下「勧告」という。)において、事業の実施効果を検証する上で重要となる事業の対象者等の指標の把握や設定の水準が福祉事務所によって区々となっていることから、事業の効果検証及びその結果に基づく見直しを的確に行うことが困難な状況となっているとの指摘を受けたところである。

このため、今般、事業の適切な効果検証及び的確な見直しを図る観点から、政策循環の仕組みを導入することとし、各自治体において就労支援促進計画(以下「計画」という。)を策定することとした。自治体における計画策定を推進するため、計画の達成状況など事業効果を検証するための指標の内容、事業効果の検証、検証結果に基づく見直しの手順・方法等について下記のとおり目安を定めたので、御了知の上、管内の福祉事務所に対し周知を図られたい。

なお、本通知は地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定による技術的助言として行うものであることを申し添える。

1 計画に盛り込む事業

計画は、以下の事業を対象として策定を行うものとする。

(1) 生活保護受給者等就労自立促進事業

(2) 被保護者就労支援事業

(3) 被保護者就労準備支援事業

(4) その他、上記以外の就労支援

注:(4)「その他、上記以外の就労支援」については、次の①~⑥に掲げる事業等により就労支援を受ける者を計上すること。また、ケースワーカーのみによる就労支援を受ける者は含まないものとすること。

① 求職者支援制度

② 以外でハローワーク等が実施している労働施策

③ 障害者に対する就労支援事業

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく就労移行支援、就労継続支援など。

④ 母子家庭向けの就労支援事業

母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づく母子家庭就業支援事業など。

⑤ 自治体独自の就労支援事業

各自治体が就労支援プログラムに位置づけて独自に実施している就労支援事業。

⑥ その他の就労支援事業

上記①から⑤のいずれの項目にも該当しない就労支援事業。

2 計画策定主体及び時期

福祉事務所設置自治体において毎年度策定する。

3 計画内容

計画の記載内容は以下のとおりとする。

なお、策定に当たっては、厚生労働省が別途通知する様式を使用すること。

(1) 現状・課題の把握

ア 現状

現状として以下の事項について記載すること。

① 管内の被保護者数

② 被保護者のうち稼働能力を有するとみられる者の数

③ 就労支援員の配置数

④ 前年度の取組状況

・前年度の目標を踏まえた就労支援(意欲喚起、職場開拓、定着支援等)の取り組み

⑤ 上記のほか、就労支援の実施等にあたって参考とする状況など

イ 課題

アで把握した現状に基づき、関係機関との連携や社会資源の活用状況も踏まえ、被保護者に対する就労支援に係る課題を記載すること。

(2) 取組事項等

当該年度の取組として以下の事項について記載すること。

ア 当該年度において実施する就労支援事業等

当該年度において実施する事業名を記載するとともに、上記(1)により把握した現状及び課題を踏まえて取り組むべき事項や改善方策を記載する。

イ 関係機関との連携方策

「被保護者就労支援事業の実施について」(平成27年3月31日付け社援保発0331第20号本職通知)4の「就労支援連携体制の構築」に関して、ハローワークや生活困窮者自立支援制度担当部署等との連携方策、地域の社会福祉法人、NPO法人等の各種団体、企業との協力体制の整備について記載する。

(参考例)

・ 生活保護受給者等就労自立促進事業の実施方針等の協議のため、ハローワークと生活困窮者自立支援制度担当部署との連絡会議を○回開催

・ 関係機関の担当者が参画した合同ケース診断会議を○回開催

・ 地域の関係団体に対して、中間的就労等、新たな就労の場の開拓、就労の場の掘り起こしについて協力要請 等

(3) 数値目標の設定

取組事項等について、事後に定量的な評価が実施できるよう、以下の項目ごとに、数値目標を設定する。

ア 目標設定すべき項目

①事業対象者数、②事業参加者数、③事業参加率、④達成者数(就労した者及び就労による収入が増加した者の数)、⑤達成率(就労・増収率)

イ 各項目の設定方法

① 事業対象者数

保護の実施機関が就労可能と判断する被保護者の総数を計上すること。

就労可能と判断する被保護者の計上は、全被保護者数から、傷病や障害等により稼働能力が無いと判断された者、高等学校等に在学中の者、現に就労し稼働能力を十分に活用されていると認められる者を除いて算定される人員数とすること。

また、現に就労している場合であっても、短時間勤務に留まっているなど、その者の能力等に応じて転職や増収に向けた支援が必要な者については事業対象者数に含むものであること。

② 事業参加者数

上記1の(1)から(4)までのいずれかの事業への参加者を計上すること。

事業参加者数については、前年度の実績や課題、当該年度の取組方針等を踏まえて目標とする実人数を計上すること。

被保護者によっては、複数の事業に参加することもあり得るが、その場合は、主たる事業で計上することとし、重複してカウントしないこと。

③ 事業参加率

②の事業参加者数を①の事業対象者数で除したものとする。

④ 達成者数

事業参加者数のうち、就労した者及び増収となった者とし、前年度の実績や課題、当該年度の取組方針等を踏まえて目標とする実人数を計上すること。

⑤ 達成者割合

④の達成者数を②の事業参加者数で除したものとする。

4 計画策定に当たっての留意点

3(2)の取組事項等を踏まえ、必要があると認める時は、ハローワークをはじめ関係機関と連絡調整を行うこと。

5 実績評価及び事業の見直しについて

就労支援事業等の実績評価のため、就労支援促進計画において設定した数値目標に対する達成状況等をとりまとめ、就労支援事業等の実施状況の評価を実施すること。

(1) 評価指標及び把握すべき項目

ア 数値目標に対する実績

3(3)において計上した①事業対象者数、②事業参加者数、③事業参加率、④達成者数(就労した者及び就労による収入が増加した者の数)、⑤達成率(就労・増収率)の実績値に加え、⑥就労・増収による生活保護費削減額、⑦生活保護廃止者数、⑧生活保護廃止率の実績について計上すること。

イ 実績値等の計上方法

ア①~⑤の実績値

ア①~⑤に掲げた項目については、数値目標に応じた実績値を計上すること(①②④は実人員で計上すること)。

ただし、①の事業対象者数については、計画期間内において、新たに生活保護開始された者であって就労可能と判断された者も含めて計上し、一方、事業対象者となっていた被保護者であって、計画期間内に就労支援事業等に参加することなく、傷病や障害の発生等により稼働能力を失った者、又は何らかの理由により生活保護廃止となった者は除外すること。

⑥ 就労・増収による生活保護費削減額

就労支援事業等の実施によって就労又は増収したことにより削減された生活保護費の額とすること。

⑦ 生活保護廃止者

②の事業参加者数のうち、就労又は増収したことにより生活保護廃止となった者の数とする。

⑧ 生活保護廃止率

⑦の生活保護廃止者数を②の事業参加者数で除したものとする。

ウ 就労支援事業等へ参加しなかった者の状況

事業対象者のうち、就労支援事業等に参加しなかった者について、以下の状況別に実績を把握すること。

実績については、計画期間終了時の状況について計上することとし、重複してカウントしないこと。

① 就労中

十分に稼働能力を活用しておらず転職や増収に向けた取組が必要であるが、現に就労していること等を理由にして就労支援事業等への参加には至っていない者(下記④の者は除く)

② ハローワーク等で求職活動中

就労支援事業等によらず本人自らハローワーク等での求職活動を行っているために、就労支援事業等への参加に至っていない者(下記④の者は除く)

③ 事業の定員等に空きがない又は福祉事務所において事業を実施していないために就労支援事業等に参加できていない者

④ 援助方針の策定中

生活歴・職歴等の把握・分析中又は適正職種等を検討中で、これから就労支援事業等への参加の呼びかけを行う予定である者(就労中、求職活動中の者を含む)

⑤ その他

①~④いずれの項目にも該当しない者の数とする。

(2) 評価の視点

設定した数値目標に対する達成状況及び就労支援事業等に参加していない者の状況のほか、必要に応じて事業参加者のフォローアップ等を行った上で、以下の評価の視点を参考に、評価を実施すること。

評価にあたっては、全国の数値等とも比較して、取組状況に不十分な点などがないか検証を行うこと。

なお、評価については、必要と認める時は、事業担当課のみならず関係部署や外部有識者を参画させて行うこと。

【評価の視点】

・ 事業参加率が十分か

・ 事業の成果が見られるか

・ 就労した者について就労が継続できているか。

・ 事業は効果的(費用対効果等)に実施されているか 等

(3) 事業の見直し

設定した目標値に対する達成状況が不十分な場合、その原因を分析した上で、必要に応じて次年度以降の事業内容等の見直しを行うこと。

6 提出時期

(1) 計画の提出時期

毎年度各自治体において、計画を策定し、厚生労働省が別途通知する提出期限までに提出すること。

(2) 評価結果の提出時期について

計画期間終了後、計画の達成状況の評価を行い、厚生労働省が毎年度実施する「就労支援等の状況調査」の回答とあわせて当該調査実施時に示す様式により評価結果を提出すること。