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○診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について

(令和2年3月5日)

(保医発0305第1号)

(地方厚生(支)局医療課長・都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長・都道府県後期高齢者医療主管部(局)後期高齢者医療主管課(部)長あて厚生労働省保険局医療課長・厚生労働省保険局歯科医療管理官通知)

(公印省略)

標記については、本日、「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和2年厚生労働省告示第57号)等が公布され、令和2年4月1日より適用されることとなったところであるが、実施に伴う留意事項は、医科診療報酬点数表については別添1、歯科診療報酬点数表については別添2及び調剤報酬点数表については別添3のとおりであるので、その取扱いに遺漏のないよう貴管下の保険医療機関及び審査支払機関に対し、周知徹底を図られたい。

従前の「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(平成30年3月5日保医発0305第1号)は、令和2年3月31日限り廃止する。

別添1

医科診療報酬点数表に関する事項

<通則>

1 1人の患者について療養の給付に要する費用は、第1章基本診療料及び第2章特掲診療料又は第3章介護老人保健施設入所者に係る診療料の規定に基づき算定された点数の総計に10円を乗じて得た額とする。

2 基本診療料は、簡単な検査(例えば、血圧測定検査等)の費用、簡単な処置の費用等(入院の場合には皮内、皮下及び筋肉内注射及び静脈内注射の注射手技料等)を含んでいる。

3 特掲診療料は、特に規定する場合を除き、当該医療技術に伴い必要不可欠な衛生材料等の費用を含んでいる。

4 基本診療料に係る施設基準、届出等の取扱いについては、「基本診療料の施設基準等の一部を改正する件」(令和2年厚生労働省告示第58号)による改正後の「基本診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第62号)」に基づくものとし、その具体的な取扱いについては別途通知する。

5 特掲診療料に係る施設基準、届出等の取扱いについては、「特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件」(令和2年厚生労働省告示第59号)による改正後の「特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)」に基づくものとし、その具体的な取扱いについては別途通知する。

6 「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和2年厚生労働省告示第57号)による改正後の診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)及び本通知において規定する診療科については、医療法施行令(昭和23年政令第326号)及び医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)の規定に基づき、当該診療科名に他の事項を組み合わせて標榜する場合も含むものであること。

7 特掲診療料に掲げられている診療行為を行うに当たっては、医療安全の向上に資するため、当該診療行為を行う医師等の処遇を改善し負担を軽減する体制の確保に努めること。

8 署名又は記名・押印を要する文書については、自筆の署名(電子的な署名を含む。)がある場合には印は不要である。

第1章 基本診療料

第1部 初・再診料

<通則>

1 同一の保険医療機関(医科歯科併設の保険医療機関(歯科診療及び歯科診療以外の診療を併せて行う保険医療機関をいう。以下同じ。)を除く。)において、2以上の傷病に罹っている患者について、それぞれの傷病につき同時に初診又は再診を行った場合においても、初診料又は再診料(外来診療料を含む。)は1回に限り算定するものであること。

同一の保険医療機関において、2人以上の保険医(2以上の診療科にわたる場合も含む。)が初診又は再診を行った場合においても、同様であること。

ただし、初診料の「注5」のただし書に規定する同一保険医療機関において、同一日に他の傷病について、新たに別の医療法施行令第3条の2第1項及び第2項に規定する診療科(以下この部において単に「診療科」という。以下同じ。)を初診として受診した場合並びに再診料の「注3」及び外来診療料の「注5」に規定する同一保険医療機関において、同一日に他の傷病で別の診療科を再診として受診した場合の2つ目の診療科については、この限りではない。

2 初診又は再診が行われた同一日であるか否かにかかわらず、当該初診又は再診に附随する一連の行為とみなされる次に掲げる場合には、これらに要する費用は当該初診料又は再診料若しくは外来診療料に含まれ、別に再診料又は外来診療料は算定できない。

ア 初診時又は再診時に行った検査、画像診断の結果のみを聞きに来た場合

イ 往診等の後に薬剤のみを取りに来た場合

ウ 初診又は再診の際検査、画像診断、手術等の必要を認めたが、一旦帰宅し、後刻又は後日検査、画像診断、手術等を受けに来た場合

3 医科歯科併設の保険医療機関において、医科診療に属する診療科に係る傷病につき入院中の患者が歯又は口腔の疾患のために歯科において初診若しくは再診を受けた場合、又は歯科診療に係る傷病につき入院中の患者が他の傷病により医科診療に属する診療科において初診若しくは再診を受けた場合等、医科診療と歯科診療の両者にまたがる場合は、それぞれの診療科において初診料又は再診料(外来診療料を含む。)を算定することができる。

ただし、同一の傷病又は互いに関連のある傷病により、医科と歯科を併せて受診した場合には、主たる診療科においてのみ初診料又は再診料(外来診療料を含む。)を算定する。

4 医療法(昭和23年法律第205号)に規定する病床に入院(当該入院についてその理由等は問わない。)している期間中にあっては、再診料(外来診療料を含む。)(ただし、再診料の注5及び注6に規定する加算並びに外来診療料の注8及び注9に規定する加算を除く。)は算定できない。また、入院中の患者が当該入院の原因となった傷病につき、診療を受けた診療科以外の診療科で、入院の原因となった傷病以外の傷病につき再診を受けた場合においても、再診料(外来診療料を含む。)は算定できない。なお、この場合において、再診料(外来診療料を含む。)(ただし、再診料の注5及び注6に規定する加算並びに外来診療料の注8及び注9に規定する加算を除く。)以外の検査、治療等の費用の請求については、診療報酬明細書は入院用を用いること。

5 初診又は再診において、患者の診療を担う保険医の指示に基づき、当該保険医の診療日以外の日に訪問看護ステーション等の看護師等が、当該患者に対し点滴又は処置等を実施した場合に、使用した薬剤の費用については第2章第2部第3節薬剤料により、特定保険医療材料の費用については同第4節特定保険医療材料料により、当該保険医療機関において算定する。なお、当該薬剤の費用は、継続的な医学管理を行う必要がある場合に算定するものとし、区分番号「A000」初診料の算定のみの場合にあっては算定できない。また、同様に当該看護師等が検査のための検体採取等を実施した場合には、当該保険医療機関において、第2章第3部第1節第1款検体検査実施料を算定するとともに、検体採取に当たって必要な試験管等の材料を患者に対して支給すること。

6 算定回数が「週」単位又は「月」単位とされているものについては、特に定めのない限り、それぞれ日曜日から土曜日までの1週間又は月の初日から月の末日までの1か月を単位として算定する。

第1節 初診料

A000 初診料

(1) 特に初診料が算定できない旨の規定がある場合を除き、患者の傷病について医学的に初診といわれる診療行為があった場合に、初診料を算定する。なお、同一の保険医が別の医療機関において、同一の患者について診療を行った場合は、最初に診療を行った医療機関において初診料を算定する。

(2) 患者が異和を訴え診療を求めた場合において、診断の結果、疾病と認むべき徴候のない場合にあっても初診料を算定できる。

(3) 自他覚的症状がなく健康診断を目的とする受診により疾患が発見された患者について、当該保険医が、特に治療の必要性を認め治療を開始した場合には、初診料は算定できない。

ただし、当該治療(初診を除く。)については、医療保険給付対象として診療報酬を算定できること。

(4) (3)にかかわらず、健康診断で疾患が発見された患者が、疾患を発見した保険医以外の保険医(当該疾患を発見した保険医の属する保険医療機関の保険医を除く。)において治療を開始した場合には、初診料を算定できる。

(5) 労災保険、健康診断、自費等(医療保険給付対象外)により傷病の治療を入院外で受けている期間中又は医療法に規定する病床に入院(当該入院についてその理由等は問わない。)している期間中にあっては、当該保険医療機関において医療保険給付対象となる診療を受けた場合においても、初診料は算定できない。

(6) 「注2」又は「注3」に規定する保険医療機関において、病院と診療所の機能分担の推進を図る観点から、他の保険医療機関等からの文書による紹介がなく、初診を行った場合は、「注1」の規定にかかわらず「注2」又は「注3」の所定点数を算定する。(緊急その他やむを得ない事情がある場合を除く。)この場合において、患者に対し十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意があった場合には、「注1」との差額に相当する療養部分について選定療養として、その費用を患者から徴収することができる。なお、保健所及び市町村等の医師が、健康診断等の結果に基づき治療の必要性を認め、当該患者に対し必要な診療が可能な保険医療機関を特定し、当該保険医療機関あてに文書による紹介を行った患者については、紹介のある患者とみなすことができる。

また、初診の患者に占める他の病院又は診療所等からの文書による紹介があるものの割合(以下「紹介率」という。)等が低い保険医療機関とは、「注2」にあっては、紹介率の実績が50%未満の特定機能病院及び地域医療支援病院(医療法第4条第1項に規定する地域医療支援病院をいう。以下同じ。)(一般病床の数が200床未満の病院を除く。)(ただし、逆紹介率の実績が50%以上の場合を除く。)をいい、「注3」にあっては、紹介率の実績が40%未満の許可病床の数が400床以上の病院(特定機能病院、許可病床の数が400床以上の地域医療支援病院及び一般病床の数が200床未満の病院を除く。)(ただし、逆紹介率の実績が30%以上の場合を除く。)をいう。紹介率及び逆紹介率の実績の算定期間は、報告年度の前年度1年間(ただし、前年度1年間の実績が基準に満たなかった保険医療機関については、報告年度の連続する6か月間)とし、当該期間の紹介率又は逆紹介率の実績が基準を上回る場合には、紹介率が低い保険医療機関とはみなされない。

※ 紹介率及び逆紹介率の計算については、下記のとおりとする。

紹介率=(紹介患者数+救急患者数)÷初診の患者数

逆紹介率=逆紹介患者数÷初診の患者数

なお、初診の患者数、紹介患者数、逆紹介患者数、救急患者数については、特定機能病院は「医療法の一部を改正する法律の一部の施行について(平成5年2月15日)(健政発第98号)」により、地域医療支援病院及び「注3」に規定する病院は「医療法の一部を改正する法律の施行について(平成10年5月19日)(健政発第639号)」により定めるものとすること。

ただし、特定機能病院における初診の患者数については、「患者の傷病について医学的に初診といわれる診療行為があった患者の数(夜間又は休日に受診したものの数を除く。)」とする。また、地域医療支援病院及び「注3」に規定する病院における初診の患者数については、患者の傷病について医学的に初診といわれる診療行為があった患者の数(地方公共団体又は医療機関に所属する救急自動車により搬送された患者、当該地域医療支援病院が医療法第30条の4に基づいて作成された医療計画において位置づけられた救急医療事業を行う場合にあっては、当該救急医療事業において休日又は夜間に受診した救急患者の数を除く。)とする。

(7) 特定機能病院及び地域医療支援病院(一般病床の数が200床未満の病院を除く。)及び許可病床の数が400床以上の病院(特定機能病院、地域医療支援病院及び一般病床の数が200床未満の病院を除く。)は、紹介率及び逆紹介率の割合を別紙様式28により、毎年10月に地方厚生(支)局長へ報告すること。また、報告を行った保険医療機関であって、報告年度の連続する6か月間で実績の基準を満たした保険医療機関については、翌年の4月1日までに地方厚生(支)局長へ報告すること。

(8) 許可病床の数が400床以上の病院(特定機能病院、許可病床の数が400床以上の地域医療支援病院及び一般病床の数が200床未満の病院を除く。)のうち、前年度1年間の紹介率の実績が40%未満かつ逆紹介率の実績が30%未満の保険医療機関の取扱いについては、(7)と同様であること。

(9) 「注4」に規定する保険医療機関において、医薬品価格調査の信頼性を確保する観点から、毎年9月末日においても妥結率が低い状況又は妥結率、単品単価契約率及び一律値引き契約に係る状況が報告していない状況のまま、初診を行った場合は、特定妥結率初診料を算定する。

(10) 妥結率、単品単価契約率及び一律値引き契約の取扱いについては、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和2年3月5日保医発0305第2号)別添1の第2の5を参照のこと。

(11) (10)に規定する報告の際には、保険医療機関と卸売販売業者で取引価格の決定に係る契約書の写し等妥結率の根拠となる資料を併せて提出すること。

(12) 現に診療継続中の患者につき、新たに発生した他の傷病で初診を行った場合には、当該新たに発生した傷病について初診料は算定できない。

ただし、「注5」のただし書に規定する同一保険医療機関において、同一日に他の傷病(1つ目の診療科で診療を受けた疾病又は診療継続中の疾病と同一の疾病又は互いに関連のある疾病以外の疾病のことをいう。)について、新たに別の診療科(医療法上の標榜診療科のことをいう。)を初診として受診した場合(1つ目の診療科の保険医と同一の保険医から診察を受けた場合を除く。)は、現に診療継続中の診療科を除く診療科1つに限り、同ただし書の所定点数を算定できる。また、診療継続中以外の患者であって、同一日に他の傷病で2以上の診療科を初診として受診する場合においても、2つ目の診療科に限り、同ただし書の所定点数を算定できる。この場合において、「注6」から「注10」までに規定する加算は、算定できない。なお、患者が専門性の高い診療科を適切に受診できるよう保険医療機関が設置した総合外来等については、診療科とみなさず、総合外来等を受診後、新たに別の診療科を受診した場合であっても同ただし書の所定点数は算定できない。

(13) 患者が任意に診療を中止し、1月以上経過した後、再び同一の保険医療機関において診療を受ける場合には、その診療が同一病名又は同一症状によるものであっても、その際の診療は、初診として取り扱う。なお、この場合において、1月の期間の計算は、例えば、2月10日~3月9日、9月15日~10月14日等と計算する。

(14) (13)にかかわらず、慢性疾患等明らかに同一の疾病又は負傷であると推定される場合の診療は、初診として取り扱わない。

(15) A保険医療機関には、検査又は画像診断の設備がないため、B保険医療機関(特別の関係(第2部通則7の(3)に規定する「特別の関係」をいう。以下同じ。)にあるものを除く。)に対して、診療状況を示す文書を添えてその実施を依頼した場合には、次のように取り扱うものとする。(区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)の(5)から(7)までを参照。)

ア B保険医療機関が単に検査又は画像診断の設備の提供にとどまる場合

B保険医療機関においては、診療情報提供料、初診料、検査料、画像診断料等は算定できない。なお、この場合、検査料、画像診断料等を算定するA保険医療機関との間で合議の上、費用の精算を行うものとする。

イ B保険医療機関が、検査又は画像診断の判読も含めて依頼を受けた場合

B保険医療機関においては、初診料、検査料、画像診断料等を算定できる。

(16) 乳幼児加算

初診料を算定しない場合には、特に規定する場合を除き、「注6」の乳幼児加算は、算定できない。

(17) 時間外加算

ア 各都道府県における医療機関の診療時間の実態、患者の受診上の便宜等を考慮して一定の時間以外の時間をもって時間外として取り扱うこととし、その標準は、概ね午前8時前と午後6時以降(土曜日の場合は、午前8時前と正午以降)及び休日加算の対象となる休日以外の日を終日休診日とする保険医療機関における当該休診日とする。

ただし、午前中及び午後6時以降を診療時間とする保険医療機関等、当該標準によることが困難な保険医療機関については、その表示する診療時間以外の時間をもって時間外として取り扱うものとする。

イ アにより時間外とされる場合においても、当該保険医療機関が常態として診療応需の態勢をとり、診療時間内と同様の取扱いで診療を行っているときは、時間外の取扱いとはしない。

ウ 保険医療機関は診療時間を分かりやすい場所に表示する。

エ 時間外加算は、保険医療機関の都合(やむを得ない事情の場合を除く。)により時間外に診療が開始された場合は算定できない。

オ 時間外加算を算定する場合には、休日加算、深夜加算、時間外加算の特例又は夜間・早朝等加算については、算定しない。

(18) 休日加算

ア 休日加算の対象となる休日とは、日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日をいう。なお、1月2日及び3日並びに12月29日、30日及び31日は、休日として取り扱う。

イ 休日加算は次の患者について算定できるものとする。

(イ) 客観的に休日における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関を受診した患者

① 地域医療支援病院

② 救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)に基づき認定された救急病院又は救急診療所

③ 「救急医療対策の整備事業について」(昭和52年医発第692号)に規定された保険医療機関又は地方自治体等の実施する救急医療対策事業の一環として位置づけられている保険医療機関

(ロ) 当該休日を休診日とする保険医療機関に、又は当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間以外の時間に、急病等やむを得ない理由により受診した患者(上記(イ)以外の理由により常態として又は臨時に当該休日を診療日としている保険医療機関の診療時間内に受診した患者を除く。)

ウ 休日加算を算定する場合には、時間外加算、深夜加算、時間外加算の特例又は夜間・早朝等加算については、算定しない。

(19) 深夜加算

ア 深夜加算は、初診が深夜に開始された場合に算定する。ただし、保険医療機関の都合(やむを得ない事情の場合を除く。)により深夜に診療が開始された場合は算定できない。なお、深夜とは、いずれの季節においても午後10時から午前6時までの間をいう。

イ いわゆる夜間開業の保険医療機関において、当該保険医療機関の診療時間又は診療態勢が午後10時から午前6時までの間と重複している場合には、当該重複している時間帯における診療については深夜加算は認められない。

ウ 深夜加算は、次の患者について算定できるものとする。

(イ) 客観的に深夜における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関を受診した患者

① 地域医療支援病院

② 救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院又は救急診療所

③ 「救急医療対策の整備事業について」に規定された保険医療機関又は地方自治体等の実施する救急医療対策事業の一環として位置づけられている保険医療機関

(ロ) 自己の表示する診療時間が深夜を含んでいない保険医療機関に、又は自己の表示する診療時間が深夜にまで及んでいる保険医療機関の当該表示する診療時間と重複していない深夜に、急病等やむを得ない理由により受診した患者(上記(イ)以外の理由により常態として又は臨時に当該深夜時間帯を診療時間としている保険医療機関に受診した患者を除く。)

エ 深夜加算を算定する場合には、時間外加算、休日加算、時間外加算の特例又は夜間・早朝等加算については、算定しない。

(20) 時間外加算の特例

ア 当該特例の適用を受ける保険医療機関(以下「時間外特例医療機関」という。)とは、客観的に専ら夜間における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関であって、医療法第30条の4の規定に基づき都道府県が作成する医療計画に記載されている救急医療機関をいう。

① 地域医療支援病院

② 救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院又は救急診療所

③ 「救急医療対策の整備事業について」に規定された病院群輪番制病院、病院群輪番制に参加している有床診療所又は共同利用型病院

イ 別に厚生労働大臣が定める時間とは、当該地域において一般の保険医療機関が概ね診療応需の態勢を解除した後、翌日に診療応需の態勢を再開するまでの時間(深夜及び休日を除く。)とし、その標準は、概ね午前8時前と午後6時以降(土曜日の場合は、午前8時前と正午以降)から、午後10時から午前6時までの間を除いた時間とする。

ウ 時間外特例医療機関において、休日加算又は深夜加算に該当する場合においては、時間外加算の特例を算定せず、それぞれ休日加算、深夜加算を算定する。また、時間外加算の特例を算定する場合には、時間外加算又は夜間・早朝等加算は算定しない。

(21) 小児科(小児外科を含む。以下この部において同じ。)を標榜する保険医療機関における夜間、休日又は深夜の診療に係る特例

ア 夜間、休日及び深夜における小児診療体制の一層の確保を目的として、小児科を標榜する保険医療機関(小児科以外の診療科を併せて有する保険医療機関を含む。)について、6歳未満の乳幼児に対し、夜間、休日又は深夜を診療時間とする保険医療機関において夜間、休日又は深夜に診療が行われた場合にも、それぞれ時間外加算、休日加算又は深夜加算を算定できることとするものである。なお、診療を行う保険医が、小児科以外を担当する保険医であっても算定できるものであること。

イ 夜間であって別に厚生労働大臣が定める時間とは、当該地域において一般の保険医療機関が概ね診療応需の態勢を解除した後、翌日に診療応需の態勢を再開するまでの時間(深夜及び休日を除く。)とし、その標準は、概ね午前8時前と午後6時以降(土曜日の場合は、午前8時前と正午以降)から、午後10時から午前6時までの間を除いた時間とする。

ウ 休日加算の対象となる休日、深夜加算の対象となる深夜の基準は、「注7」に係る休日、深夜の基準の例によるものとする。

エ 時間外加算、休日加算、深夜加算及び夜間・早朝等加算の併算定に係る取扱いは、「注7」の場合と同様である。

(22) 夜間・早朝等加算

ア 夜間・早朝等加算は、病院勤務医の負担の軽減を図るため、軽症の救急患者を地域の身近な診療所において受け止めることが進むよう、診療所の夜間・早朝等の時間帯における診療を評価するものである。

イ 表示する診療時間とは、保険医療機関が診療時間として地域に周知している時間であって、来院した患者を常に診療できる体制にある時間又は計画的に訪問診療を行う時間をいう。この場合において、患者が来院したとしても、診療を受けることのできない時間(定期的に学校医、産業医の業務として保険医療機関を不在とする時間や、地域活動や地域行事に出席するとして保険医療機関を不在とする時間を含む。)は表示する診療時間に含まない。また、診療時間として表示している時間であっても、訪問診療に要する時間以外に、常態として当該保険医療機関に医師が不在となる場合は、表示する診療時間に含めない。

ウ 夜間・早朝等とは、午後6時(土曜日にあっては正午)から午前8時までの間(深夜(午後10時から午前6時までの間)及び休日を除く。)、休日又は深夜であって、当該保険医療機関が表示する診療時間内の時間とする。

エ 区分番号「C000」往診料を算定した場合にも、初診料に加えて夜間・早朝等加算を算定できる。

オ 夜間・早朝等加算は、当該加算の算定対象となる時間に受付を行った患者について算定するものであり、多数の患者の来院による混雑や、保険医療機関の都合(やむを得ない事情の場合を除く。)により当該加算の算定対象となる時間に診療が開始された場合は算定できない。

カ 診療所の夜間・早朝等の時間帯の診療を評価した夜間・早朝等加算は、主として、保険医療機関が診療応需の態勢を解いた後において、急患等やむを得ない事由により診療を求められた場合には再び診療を行う態勢を準備しなければならないことを考慮して設けられている時間外加算、深夜加算、休日加算とは明確に区分されるものである。

キ 区分番号「D282―3」コンタクトレンズ検査料、区分番号「I010」精神科ナイト・ケア、区分番号「J038」人工腎臓の「注1」に規定する加算又は区分番号「J038―2」持続緩徐式血液濾過の「注1」に規定する加算を算定する場合においては、夜間・早朝等加算は算定しない。

(23) 機能強化加算

「注10」に規定する機能強化加算は、外来医療における適切な役割分担を図り、より的確で質の高い診療機能を評価する観点から、かかりつけ医機能を有する医療機関における初診を評価するものであり、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た診療所又は許可病床数が200床未満の病院において初診料(「注5」のただし書に規定する2つ目の診療科に係る初診料を除く。)を算定する場合に、加算することができる。

第2節 再診料

A001 再診料

(1) 再診料は、診療所又は一般病床の病床数が200床未満の病院において、再診の都度(同一日において2以上の再診があってもその都度)算定できる。

(2) 「注2」に規定する保険医療機関の取扱いについては、区分番号「A000」初診料の(9)から(11)までと同様である。

(3) 2以上の傷病について同時に再診を行った場合の再診料は、当該1日につき1回に限り算定する。ただし、同一保険医療機関において、同一日に他の傷病(1つ目の診療科で診療を受けた疾病又は診療継続中の疾病と同一の疾病又は互いに関連のある疾病以外の疾病のことをいう。)について、患者の意思に基づき、別の診療科(医療法上の標榜診療科のことをいう。)を再診として受診した場合(1つ目の診療科の保険医と同一の保険医から診察を受けた場合を除く。)は、現に診療継続中の診療科1つに限り、「注3」に掲げる所定点数を算定できる。この場合において、「注4」から「注8」まで、「注10」から「注14」までに規定する加算は、算定できない。

(4) A傷病について診療継続中の患者が、B傷病に罹り、B傷病について初診があった場合、当該初診については、初診料は算定できないが、再診料を算定できる。

(5) 再診料における時間外加算、休日加算、深夜加算、時間外特例加算及び夜間・早朝等加算の取扱いは、初診料の場合と同様である。

(6) 外来管理加算

ア 外来管理加算は、処置、リハビリテーション等(診療報酬点数のあるものに限る。)を行わずに計画的な医学管理を行った場合に算定できるものである。

イ 外来管理加算を算定するに当たっては、医師は丁寧な問診と詳細な身体診察(視診、聴診、打診及び触診等)を行い、それらの結果を踏まえて、患者に対して症状の再確認を行いつつ、病状や療養上の注意点等を懇切丁寧に説明するとともに、患者の療養上の疑問や不安を解消するため次の取組を行う。

[提供される診療内容の事例]

1 問診し、患者の訴えを総括する。

「今日伺ったお話では、『前回処方した薬を飲んで、熱は下がったけれど、咳が続き、痰の切れが悪い。』ということですね。」

2 身体診察によって得られた所見及びその所見に基づく医学的判断等の説明を行う。

「診察した結果、頸のリンパ節やのどの腫れは良くなっていますし、胸の音も問題ありません。前回に比べて、ずいぶん良くなっていますね。」

3 これまでの治療経過を踏まえた、療養上の注意等の説明・指導を行う。

「先日の発熱と咳や痰は、ウイルスによる風邪の症状だと考えられますが、○○さんはタバコを吸っているために、のどの粘膜が過敏で、ちょっとした刺激で咳が出やすく、痰がなかなか切れなくなっているようです。症状が落ち着くまで、しばらくの間はタバコを控えて、部屋を十分に加湿し、外出するときにはマスクをした方が良いですよ。」

4 患者の潜在的な疑問や不安等を汲み取る取組を行う。

「他に分からないことや、気になること、ご心配なことはありませんか。」

ウ 診察に当たっては、イに規定する項目のうち、患者の状態等から必要と思われるものを行うこととし、必ずしも全ての項目を満たす必要はない。また、患者からの聴取事項や診察所見の要点を診療録に記載する。

エ 外来管理加算は、標榜する診療科に関係なく算定できる。ただし、複数科を標榜する保険医療機関において、外来患者が2以上の傷病で複数科を受診し、一方の科で処置又は手術等を行った場合は、他科においては外来管理加算は算定できない。

オ 区分番号「C000」往診料を算定した場合にも、再診料に加えて外来管理加算を算定できる。

カ 投薬は本来直接本人を診察した上で適切な薬剤を投与すべきであるが、やむを得ない事情で看護に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合においても、再診料は算定できるが、外来管理加算は算定できない。また、多忙等を理由に、イに該当する診療行為を行わず、簡単な症状の確認等を行ったのみで継続処方を行った場合にあっては、再診料は算定できるが、外来管理加算は算定できない。

キ 「注8」の厚生労働大臣が別に定める検査とは、第2章第3部第3節生体検査料のうち、次の各区分に掲げるものをいう。

超音波検査等

脳波検査等

神経・筋検査

耳鼻咽喉科学的検査

眼科学的検査

負荷試験等

ラジオアイソトープを用いた諸検査

内視鏡検査

(7) 電話等による再診

ア 当該保険医療機関で初診を受けた患者について、再診以後、当該患者又はその看護に当たっている者から直接又は間接(電話又はリアルタイムでの画像を介したコミュニケーション(以下「ビデオ通話」という。)による場合を含む。)に、治療上の意見を求められた場合に、必要な指示をしたときには、再診料を算定できる。

なお、定期的な医学管理を前提として行われる場合は算定できない。ただし、平成30年3月31日以前に、3月以上継続して定期的に、電話、テレビ画像等による再診料を算定していた患者については、当該医学管理に係る一連の診療が終了するまでの間、当該再診料を引き続き算定することができる。その場合には、オの規定にかかわらず、時間外加算、休日加算、深夜加算又は夜間・早朝等加算は算定できない。

イ 電話、テレビ画像等を通した再診(聴覚障害者以外の患者に係る再診については、ファクシミリ又は電子メール等によるものは含まない。)については、患者の病状の変化に応じ療養について医師の指示を受ける必要のある場合であって、当該患者又はその看護に当たっている者からの医学的な意見の求めに対し治療上必要な適切な指示をした場合に限り算定する。ただし、電話、テレビ画像等を通した指示等が、同一日における初診又は再診に附随する一連の行為とみなされる場合、時間おきに病状の報告を受ける内容のものである場合等には、再診料を算定できない。また、ファクシミリ又は電子メール等による再診については、再診の求めに速やかに応じた場合に限り算定できるものとし、この場合においては、診療録に当該ファクシミリ等の送受信の時刻を記載するとともに、当該ファクシミリ等の写しを添付すること。

ウ 乳幼児の看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示した場合は、「注4」の乳幼児加算を算定する。

エ 時間外加算を算定すべき時間、休日、深夜又は夜間・早朝等に患者又はその看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示した場合は、時間外加算、休日加算、深夜加算又は夜間・早朝等加算を算定する。ただし、ファクシミリ又は電子メール等による再診については、これらの加算は算定できない。

オ 当該再診料を算定する際には、第2章第1部の各区分に規定する医学管理等は算定できない。ただし、急病等で患者又はその看護に当たっている者から連絡を受け、治療上の必要性から、休日又は夜間における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関の受診を指示した上で、指示を行った同日に、受診先の医療機関に対して必要な診療情報を文書等(ファクシミリ又は電子メールを含む。)で提供した場合は、区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)を算定できる。

(イ) 地域医療支援病院

(ロ) 救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院又は救急診療所

(ハ) 「救急医療対策の整備事業について」に規定された病院群輪番制病院、病院群輪番制に参加している有床診療所又は共同利用型病院

カ 当該再診料を算定する際には、予約に基づく診察による特別の料金の徴収はできない。

(8) 時間外対応加算

ア 時間外対応加算は、地域の身近な診療所において、患者からの休日・夜間等の問い合わせや受診に対応することにより、休日・夜間に病院を受診する軽症患者の減少、ひいては病院勤務医の負担軽減につながるような取組を評価するものである。

イ 当該加算を算定するに当たっては、当該保険医療機関において、算定する区分に応じた対応を行うとともに、緊急時の対応体制や連絡先等について、院内掲示、連絡先を記載した文書の交付、診察券への記載等の方法により患者に対して周知すること。

ウ 電話等による相談の結果、緊急の対応が必要と判断された場合には、外来診療、往診、他の医療機関との連携又は緊急搬送等の医学的に必要と思われる対応を行うこと。

エ なお、電話等による再診の場合であっても、時間外対応加算の算定が可能であること。

(9) 健康保険法(大正11年法律第70号)における療養の給付又は高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)における療養の給付と労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)における療養補償給付を同時に受けている場合の再診料(外来診療料を含む。)は、主たる疾病の再診料(外来診療料を含む。)として算定する。なお、入院料及び往診料は、当該入院あるいは往診を必要とした疾病に係るものとして算定する。

(10) 地域包括診療加算

ア 地域包括診療加算は、外来の機能分化の観点から、主治医機能を持った診療所の医師が、複数の慢性疾患を有する患者に対し、患者の同意を得た上で、継続的かつ全人的な医療を行うことについて評価したものであり、初診時や訪問診療時(往診を含む。)は算定できない。なお、地域包括診療料と地域包括診療加算はどちらか一方に限り届出することができる。

イ 地域包括診療加算の対象患者は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症及び認知症の4疾病のうち、2つ以上(疑いは除く。)を有する者である。なお、当該医療機関で診療を行う対象疾病(上記4疾病のうち2つ)と重複しない疾病を対象とする場合に限り、他医療機関でも当該加算、認知症地域包括診療加算、地域包括診療料又は認知症地域包括診療料を算定可能とする。

ウ 当該患者を診療する担当医を決めること。担当医は、慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師とし、担当医により指導及び診療を行った場合に当該加算を算定する。

エ 当該患者に対し、以下の指導、服薬管理等を行うこと。

(イ) 患者の同意を得て、計画的な医学管理の下に療養上必要な指導及び診療を行うこと。

(ロ) 他の保険医療機関と連携の上、患者が受診している医療機関を全て把握するとともに、当該患者に処方されている医薬品を全て管理し、診療録に記載すること。必要に応じ、担当医の指示を受けた看護職員等が情報の把握を行うことも可能であること。

(ハ) 当該患者について、原則として院内処方を行うこと。ただし、(ニ)の場合に限り院外処方を可能とする。

(ニ) 院外処方を行う場合は、以下のとおりとする。

① 調剤について24時間対応できる体制を整えている薬局(以下「連携薬局」という。)と連携していること。

② 原則として、院外処方を行う場合は連携薬局にて処方を行うこととするが、患者の同意がある場合に限り、その他の薬局での処方も可能とする。その場合、当該患者に対して、時間外においても対応できる薬局のリストを文書により提供し、説明すること。

③ 当該患者が受診している医療機関のリスト及び当該患者が当該加算を算定している旨を、処方箋に添付して患者に渡すことにより、当該薬局に対して情報提供を行うこと。

④ 患者に対して、当該医療機関を受診時に、薬局若しくは当該医療機関が発行するお薬手帳を持参させること。また、当該患者の院外処方を担当する保険薬局から文書で情報提供を受けることでもよい。なお、保険薬局から文書で情報提供を受けた場合も、当該患者に対し、事後的にお薬手帳の提示に協力を求めることが望ましい。

⑤ 診療録にお薬手帳若しくは保険薬局からの文書のコピーを添付又は当該点数の算定時の投薬内容について診療録に記載すること。

(ホ) 当該患者に対し、標榜時間外の電話等による問い合わせに対応可能な体制を有し、連絡先について情報提供するとともに、患者又は患者の家族等から連絡を受けた場合には、受診の指示等、速やかに必要な対応を行うこと。

(ヘ) 当該患者に対し、健康診断や検診の受診勧奨を行い、その結果等を診療録に記載するとともに、患者に提供し、評価結果を基に患者の健康状態を管理すること。

(ト) 当該患者に対し、必要に応じ、要介護認定に係る主治医意見書を作成すること。

(チ) 患者の同意について、当該加算の初回算定時に、別紙様式47を参考に、当該患者の署名付の同意書を作成し、診療録に添付すること。ただし、直近1年間に4回以上の受診歴を有する患者については、別紙様式47を参考に診療の要点を説明していれば、同意の手続きは省略して差し支えない。なお、当該医療機関自ら作成した文書を用いることでよい。

(リ) 当該加算を算定する場合は、投薬の部に掲げる「7種類以上の内服薬の投薬を行う場合」の規定は適用しないものであること。

(ヌ) 認知症の患者に対し本加算を算定する場合であって、当該患者の病状から、患者への説明及び患者の同意について、患者の家族等への説明及び当該患者の家族等による同意による方が適切と考えられる場合には、当該部分について「患者」を「患者の家族等」と読み替えるものとする。

オ 当該医療機関において、院内掲示により以下の対応が可能なことを周知し、患者の求めがあった場合に適切に対応すること。

(イ) 健康相談を行っていること。

(ロ) 介護保険に係る相談を行っていること。

カ 抗菌薬の適正な使用を推進するため、「抗微生物薬適正使用の手引き」(厚生労働省健康局結核感染症課)を参考に、抗菌薬の適正な使用の普及啓発に資する取組を行っていること。

キ 地域包括診療加算1を算定する医療機関においては、往診又は訪問診療を提供可能であること。往診又は訪問診療の対象の患者には、24時間対応可能な連絡先を提供し、患者又は患者の家族等から連絡を受けた場合には、往診、外来受診の指示等、速やかに必要な対応を行うこと。「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和2年3月5日保医発0305第3号)の第9在宅療養支援診療所の施設基準の1の(1)に規定する在宅療養支援診療所以外の診療所においては以下の(ロ)、在宅療養支援診療所以外の診療所については以下の全てについて、連携する他の保険医療機関とともに行うことも可能であること。

(イ) 24時間の連絡体制

(ロ) 連絡を受けて行う往診又は外来診療の体制

(11) 認知症地域包括診療加算

ア 認知症地域包括診療加算は、外来の機能分化の観点から、主治医機能を持った診療所の医師が、認知症患者であって以下の全ての要件を満たす患者に対し、患者の同意を得た上で、継続的かつ全人的な医療を行うことについて評価したものであり、初診時や訪問診療時(往診を含む。)は算定できない。

(イ) 認知症以外に1以上の疾病(疑いは除く。)を有する者

(ロ) 同月に、当該保険医療機関において以下のいずれの投薬も受けていない患者

① 1処方につき5種類を超える内服薬があるもの

② 1処方につき抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬及び睡眠薬を合わせて3種類を超えて含むもの

なお、(ロ)①の内服薬数の種類数は錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類として計算する。また、(ロ)②の抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬及び睡眠薬の種類数は区分番号「F100」処方料の注1における向精神薬の種類と同様の取扱いとする。

イ (10)のウからカまで(エの(リ)を除く。)を満たすこと。

ウ 認知症地域包括診療加算1を算定する場合には、(10)のキを満たすこと。

エ 当該保険医療機関で診療を行う疾病(認知症を含む2つ以上)と重複しない疾病を対象とする場合に限り、他医療機関でも地域包括診療加算又は地域包括診療料を算定可能である。また、他医療機関で当該診療加算又は認知症地域包括診療料は算定できない。

(12) 薬剤適正使用連携加算

「注12」に規定する地域包括診療加算又は「注13」に規定する認知症地域包括診療加算を算定する患者であって、他の保険医療機関に入院又は介護老人保健施設に入所していたものについて、以下の全てを満たす場合に、退院日又は退所日の属する月の翌月までに1回算定する。なお、他の保険医療機関又は介護老人保健施設(以下(12)において「保険医療機関等」という。)との情報提供又は連携に際し、文書以外を用いた場合には、情報提供内容を診療録等に記載すること。

ア 患者の同意を得て、入院又は入所までに、入院又は入所先の他の保険医療機関等に対し、処方内容、薬歴等について情報提供していること。処方内容には、当該保険医療機関以外の処方内容を含む。

イ 入院又は入所先の他の保険医療機関等から処方内容について照会があった場合には、適切に対応すること。

ウ 退院又は退所後1か月以内に、ア又はイを踏まえて調整した入院・入所中の処方内容について、入院・入所先の他の保険医療機関等から情報提供を受けていること。

エ 以下の(イ)で算出した内服薬の種類数が、(ロ)で算出した薬剤の種類数よりも少ないこと。いずれも、屯服は含めずに算出すること。

(イ) ウで入院・入所先の他の保険医療機関等から情報提供された入院・入所中の処方内容のうち、内服薬の種類数

(ロ) アで情報提供した処方内容のうち、内服薬の種類数

A002 外来診療料

(1) 外来診療料は、医療機関間の機能分担の明確化、請求の簡素化を目的として設定されたものであり、一般病床の病床数が200床以上の病院において算定する。

(2) 「注2」又は「注3」に規定する保険医療機関において、病院と診療所の機能分担の推進を図る観点から、他の病院(一般病床の病床数が200床未満のものに限る。)又は診療所に対し文書による紹介を行う旨の申出を行ったにもかかわらず、当該病院を受診した患者については、「注1」の規定にかかわらず、「注2」又は「注3」の所定点数を算定する。(緊急その他やむを得ない事情がある場合を除く。)この場合において、患者に対し十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意があった場合には、「注1」との差額に相当する療養部分について、選定療養としてその費用を患者から徴収することができる。

また、初診の患者に占める他の病院又は診療所等からの文書による紹介があるものの割合等が低い保険医療機関とは、区分番号「A000」初診料の(6)と同様である。

(3) 特定機能病院及び地域医療支援病院のうち、前年度1年間の紹介率の実績が50%未満かつ逆紹介率の実績が50%未満の保険医療機関においては、紹介率及び逆紹介率の割合を別紙様式28により、毎年10月に地方厚生(支)局長へ報告すること。また、報告を行った保険医療機関であって、報告年度の連続する6か月間で実績の基準を満たした保険医療機関については、翌年の4月1日までに地方厚生(支)局長へ報告すること。

(4) 許可病床の数が400床以上の病院(特定機能病院及び地域医療支援病院を除く。)のうち、前年度1年間の紹介率の実績が40%未満かつ逆紹介率の実績が30%未満の保険医療機関の取扱いについては、(3)と同様であること。

(5) 「注4」に規定する保険医療機関の取扱いについては、区分番号「A000」初診料の(9)から(11)までと同様である。

(6) 同一保険医療機関において、同一日に他の傷病(1つ目の診療科で診療を受けた疾病又は診療継続中の疾病と同一の疾病又は互いに関連のある疾病以外の疾病のことをいう。)について、患者の意思に基づき、別の診療科(医療法上の標榜診療科のことをいう。)を再診として受診した場合(1つ目の診療科の保険医と同一の保険医から診療を受けた場合を除く。)は、現に診療継続中の診療科1つに限り、「注5」に掲げる所定点数を算定できる。この場合において、「注6」のただし書及び「注7」から「注9」までに規定する加算は、算定できない。

(7) 外来診療料の取扱いについては、再診料の場合と同様である。ただし、電話等による再診料及び外来管理加算は算定できない。

(8) 包括されている検査項目に係る検査の部の款及び注に規定する加算は、別に算定できない。ただし、検査の部の第1節第1款検体検査実施料の通則3に規定する加算は、検査の部において算定することができる。

(9) 外来診療料には、包括されている検査項目に係る判断料が含まれず、別に算定できる。なお、当該検査項目が属する区分(尿・糞便等検査判断料又は血液学的検査判断料の2区分)の判断料について、当該区分に属する検査項目のいずれをも行わなかった場合は、当該判断料は算定できない。

(10) 外来診療料には、包括されている処置項目に係る薬剤料及び特定保険医療材料料は含まれず、処置の部の薬剤料及び特定保険医療材料料の定めるところにより別に算定できる。

また、熱傷に対する処置についても別に算定できる。

(11) 爪甲除去(麻酔を要しないもの)、穿刺排膿後薬液注入、後部尿道洗浄(ウルツン)、義眼処置、矯正固定、変形機械矯正術、腰部又は胸部固定帯固定、低出力レーザー照射及び肛門処置は外来診療料に含まれ別に算定できない。

A003 オンライン診療料

(1) オンライン診療料は、対面診療の原則のもとで、対面診療と、ビデオ通話が可能な情報通信機器を活用した診療(以下「オンライン診療」という。)を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づいて計画的なオンライン診療を行った場合に、患者1人につき月1回に限り算定できる。なお、当該診療計画に基づかない他の傷病に対する診療は、対面診療で行うことが原則であり、オンライン診療料は算定できない。

(2) オンライン診療は、(1)の計画に基づき、対面診療とオンライン診療を組み合わせた医学管理のもとで実施されるものであり、連続する3月の間に対面診療が1度も行われない場合は、算定することはできない。また、対面診療とオンライン診療を同月に行った場合は、オンライン診療料は算定できない。

(3) オンライン診療料が算定可能な患者は、次に掲げる患者に限るものとする。

ア 区分番号「B000」特定疾患療養管理料、「B001」の「5」小児科療養指導料、「B001」の「6」てんかん指導料、「B001」の「7」難病外来指導管理料、「B001」の「27」糖尿病透析予防指導管理料、「B001―2―9」地域包括診療料、「B001―2―10」認知症地域包括診療料、「B001―3」生活習慣病管理料、「C002」在宅時医学総合管理料又は「I016」精神科在宅患者支援管理料(以下「オンライン診療料対象管理料等」という。)の算定対象となる患者で、オンライン診療料対象管理料等を初めて算定した月から3月以上経過し、かつ、オンライン診療を実施しようとする月の直近3月の間、オンライン診療料対象管理料等の対象となる疾患について、毎月対面診療を受けている患者(直近2月の間にオンライン診療料の算定がある場合を除く。)。

イ 区分番号「C101」に掲げる在宅自己注射指導管理料を算定している糖尿病、肝疾患(経過が慢性なものに限る。)又は慢性ウイルス肝炎の患者であって、当該疾患に対する注射薬の自己注射に関する指導管理を最初に行った月から3月以上経過し、かつ、オンライン診療を実施しようとする月の直近3月の間、当該疾患について、毎月対面診療を受けている患者(直近2月の間にオンライン診療料の算定がある場合を除く。)。

ウ 事前の対面診療、CT撮影又はMRI撮影及び血液学的検査等の必要な検査を行った上で一次性頭痛であると診断されており、病状や治療内容が安定しているが、慢性的な痛みにより日常生活に支障を来すため定期的な通院が必要な患者(以下「頭痛患者」という。)であって、当該疾患に対する対面診療を最初に行った月から3月以上経過し、かつ、オンライン診療を実施しようとする月の直近3月の間、当該疾患について、毎月対面診療を受けている患者(直近2月の間にオンライン診療料の算定がある場合を除く。)。

(4) オンライン診療は、日常的に通院又は訪問による対面診療が可能な患者を対象として、患者の同意を得た上で、対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療計画(対面による診療の間隔は3月以内のものに限る。)を作成した上で実施すること。

(5) 患者の急変時等の緊急時には、原則として、当該医療機関が必要な対応を行うこと。ただし、夜間や休日など当該医療機関でやむを得ず対応できない場合については、患者が速やかに受診できる医療機関において対面診療を行えるよう、事前に受診可能な医療機関を患者に説明した上で、当該計画の中に記載しておくこととして差し支えない。

(6) 当該計画に沿った計画的なオンライン診療を行った際には、当該診療の内容、診療を行った日、診療時間等の要点を診療録に記載すること。

(7) オンライン診療を行う医師は、オンライン診療料の対象となる管理料等を算定する際に診療を行った医師又は頭痛患者に対する対面診療を行った医師と同一のものに限る。

(8) オンライン診療を行う際には、厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針に沿って診療を行う。

(9) オンライン診療は、当該保険医療機関内において行う。「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の「別添3」の「別紙2」に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域及び当該地域に準じる地域(以下この項において「医療資源の少ない地域等」という。)に所在する保険医療機関又は「へき地保健医療対策事業について」(平成13年5月16日医政発第529号)に規定するへき地医療拠点病院(以下(9)において、「医療資源の少ない地域等に所在する保険医療機関等」という。)において、当該保険医療機関で専門的な医療を提供する観点から、「基本診療料の施設基準等」第三の八の二の(1)に定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た他の保険医療機関の医師が継続的な対面診療を行っている患者であって、「基本診療料の施設基準等」第三の八の二の(2)に定めるものに限り、医師の判断により当該他の保険医療機関内においてオンライン診療を行ってもよい。なお、この場合の診療報酬の請求については、医療資源の少ない地域等に所在する保険医療機関等において行うこととし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

(10) オンライン診療料を算定した同一月に、第2章第1部の各区分及び第2部第2節第1款の各区分(別に厚生労働大臣が定めるものは除く。)に規定する医学管理等及び在宅療養指導管理料は算定できない。

(11) オンライン診療時に、投薬の必要性を認めた場合は、区分番号「F100」処方料又は区分番号「F400」処方箋料を別に算定できる。オンライン診療時の投薬は、原則、対面診療時と同一の疾患又は症状に対して行うこと。ただし、医療資源が少ない地域等における診療又は在宅診療の場合であって、速やかな受診が困難な患者に対して、発症が容易に予測される症状の変化と対応方針についてあらかじめ診療計画に記載している場合に限り、医師の判断により、当該症状の変化に対して医薬品を処方しても差し支えない。

(12) 当該診療を行う際には、予約に基づく診察による特別の料金の徴収はできない。

(13) 当該診療を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる。

(14) オンライン診療料を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、該当するオンライン診療料の対象となる管理料等の名称及び算定を開始した年月日又は頭痛患者に対する対面診療を開始した年月日を記載すること。

(15) 頭痛患者に対する対面診療を最初に行った月から3月以上経過していることについて、当該期間は一次性頭痛の診断の確定後の期間であること。なお、初診を行った月は当該期間に含めない。

(16) 頭痛患者に対してオンライン診療を行う医師は、脳神経外科若しくは脳神経内科の経験を5年以上有する医師又は頭痛患者のオンライン診療に係る適切な研修を修了した医師に限ること。なお、当該研修を修了した医師が当該診療を行う場合は、脳神経外科又は脳神経内科の経験を5年以上有する医師により診断が行われた患者を対象とすること。

(17) 「注3」に規定する厚生労働大臣が定める地域のうち、当該地域に準ずる地域とは、「へき地保健医療対策事業について」(平成13年5月16日医政発第529号)に規定する無医地区若しくは無医地区に準ずる地域をいう。

(18) 「注3」に規定するやむを得ない事情とは、当該地域において、医師の急病時等であって、代診を立てられないこと等により患者の診療継続が困難となる場合をいう。この場合において、患者の同意を得て、二次医療圏内の他の保険医療機関にあらかじめ診療情報の提供を行い、情報提供を受けた保険医療機関の医師が医師の判断により初診からオンライン診療を行う場合は、患者1人につき月1回に限り、オンライン診療料を算定できる。なお、当該報酬の請求については、診療情報の提供を行った保険医療機関で行うものとし、当該報酬の分配は相互の合議に委ねる。また、診療情報の提供を受けてオンライン診療を行うことができる保険医療機関は、オンライン診療料の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関に限る。

(19) 「注3」に規定する診療に係る事前の診療情報の提供について、区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)は別に算定できない。

第2部 入院料等

<通則>

1 入院基本料、特定入院料及び短期滞在手術等基本料は、基本的な入院医療の体制を評価するものであり、療養環境(寝具等を含む。)の提供、看護師等の確保及び医学的管理の確保等については、医療法の定めるところによる他、「病院、診療所等の業務委託について(平成5年2月15日指第14号)」等に従い、適切に実施するものとし、これに要する費用は、特に規定する場合を除き、入院基本料、特定入院料及び短期滞在手術等基本料に含まれる。

2 1に規定する他、寝具等について次の基準のいずれかに該当しない場合には、入院基本料、特定入院料、短期滞在手術等基本料は算定できない。

(1) 患者の状態に応じて寝具類が随時利用できるよう用意されていること。なお、具備されるべき寝具は、敷布団(マットレスパッドを含む。)、掛布団(毛布、タオルケット、綿毛布を含む。)、シーツ類、枕、枕覆等である。

(2) 寝具類が常時清潔な状態で確保されていること。シーツ類は、週1回以上の交換がなされていること。

(3) 消毒は必要の都度行われていること。

3 入院期間の確認について(入院料の支払要件)

(1) 保険医療機関の確認等

ア 保険医療機関は、患者の入院に際し、患者又はその家族等に対して当該患者の過去3か月以内の入院の有無を確認すること。過去3か月以内に入院がある場合は、入院の理由を確認すること。同一傷病による入院である場合には前保険医療機関における入院期間、算定入院基本料等及び入院に係る傷病名を当該患者の前保険医療機関又は保険者に照会し、当該保険医療機関の入院初日に追加される選定療養に係る入院期間及び当該患者の入院が選定療養に該当するか否かを確認すること。

イ 保険医療機関は、当該患者の退院に際しては、他保険医療機関からの当該患者の入院履歴に係る問い合わせに対し速やかに対応できるよう必要な体制を整えておくこと。円滑な運用のために別紙様式1又はこれに準ずる様式による文書を退院証明書として患者に渡すことが望ましい。

ウ ア、イに定める確認等を怠っている場合は、入院料は算定できないものであること。

(2) 入院患者の申告等

患者は、入院に際しては、保険医療機関からの求めに応じ、自己の入院履歴を申告すること。なお、虚偽の申告等を行った場合は、それにより発生する損失について、後日費用徴収が行われる可能性があるものである。

4 1日入院

眼科、耳鼻科等において手術を行い、同一の日に入院及び退院した場合、医師が入院の必要を認めて病室に入院させて入院医療が行われた場合にあっては、入院基本料又は特定入院料を算定できるが、単なる覚醒、休養等の目的で入院させた場合は、入院基本料又は特定入院料は算定しない。なお、短期滞在手術等基本料については、第4節に規定するところによる。

5 入院中の患者の他医療機関への受診

(1) 入院中の患者が、当該入院の原因となった傷病以外の傷病に罹患し、入院している保険医療機関(以下本項において「入院医療機関」という。)以外での診療の必要が生じた場合は、他の保険医療機関(以下本項において「他医療機関」という。)へ転医又は対診を求めることを原則とする。

(2) 入院中の患者(DPC算定病棟に入院している患者を除く。)に対し他医療機関での診療が必要となり、当該入院中の患者が他医療機関を受診した場合(当該入院医療機関にて診療を行うことができない専門的な診療が必要となった場合等のやむを得ない場合に限る。)は、他医療機関において当該診療に係る費用を算定することができる。ただし、短期滞在手術等基本料2及び3、医学管理等(診療情報提供料を除く。)、在宅医療、投薬、注射(当該専門的な診療に特有な薬剤を用いた受診日の投薬又は注射に係る費用を除き、処方料、処方箋料及び外来化学療法加算を含む。)及びリハビリテーション(言語聴覚療法に係る疾患別リハビリテーション料を除く。)に係る費用は算定できない。

(3) (2)のただし書にかかわらず、出来高入院料を算定する病床に入院している患者の場合には、他医療機関における診療に要する費用のうち、当該専門的な診療に特有な薬剤を用いた投薬に係る費用は算定できる。

(4) 本通則において、出来高入院料とは、特定入院料、一般病棟入院基本料(「注11」の規定により療養病棟入院料1の例により算定する場合に限る。)、特定機能病院入院基本料(「注9」の規定により療養病棟入院料1の例により算定する場合に限る。)、専門病院入院基本料(「注8」の規定により療養病棟入院料1の例により算定する場合に限る。)、療養病棟入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料及び特定入院基本料(以下本通則において「特定入院料等」という。)を除く入院基本料をいう。

(5) 入院中の患者が他医療機関を受診する場合には、入院医療機関は、当該他医療機関に対し、当該診療に必要な診療情報(当該入院医療機関での算定入院料及び必要な診療科を含む。)を文書により提供する(これらに要する費用は患者の入院している保険医療機関が負担するものとする。)とともに、診療録にその写しを添付すること。

(6) (2)の規定により入院中の患者が他医療機関を受診する日の入院医療機関における診療報酬の算定については、以下のとおりとすること。この場合において、1点未満の端数があるときは、小数点以下第一位を四捨五入して計算すること。

ア 入院医療機関において、当該患者が出来高入院料を算定している場合は、出来高入院料は当該出来高入院料の基本点数の10%を控除した点数により算定すること。ただし、他医療機関において、区分番号「E101」シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影、区分番号「E101―2」ポジトロン断層撮影、区分番号「E101―3」ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影、区分番号「E101―4」ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影、区分番号「E101―5」乳房用ポジトロン断層撮影、区分番号「M001」体外照射の3の強度変調放射線治療(IMRT)、区分番号「M001―2」ガンマナイフによる定位放射線治療、区分番号「M001―3」直線加速器による放射線治療の1の定位放射線治療の場合又は区分番号「M001―4」粒子線治療に係る費用を算定する場合は、出来高入院料は当該出来高入院料の基本点数の5%を控除した点数により算定すること。

イ 入院医療機関において、当該患者が特定入院料等を算定している場合であって、当該他医療機関において特定入院料等に含まれる診療に係る費用(特掲診療料に限る。)を算定する場合は、特定入院料等は、当該特定入院料等の基本点数の40%を控除した点数(他医療機関において、区分番号「E101」シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影、区分番号「E101―2」ポジトロン断層撮影、区分番号「E101―3」ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影、区分番号「E101―4」ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影、区分番号「E101―5」乳房用ポジトロン断層撮影、区分番号「M001」体外照射の3の強度変調放射線治療(IMRT)、区分番号「M001―2」ガンマナイフによる定位放射線治療、区分番号「M001―3」直線加速器による放射線治療の1の定位放射線治療の場合又は区分番号「M001―4」粒子線治療に係る費用を算定する場合は、特定入院料等は当該特定入院料等の基本点数の35%を控除した点数)により算定すること。ただし、有床診療所療養病床入院基本料、精神療養病棟入院料、認知症治療病棟入院料又は地域移行機能強化病棟入院料を算定している場合は、当該特定入院料等の基本点数の20%を控除した点数(他医療機関において、区分番号「E101」シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影、区分番号「E101―2」ポジトロン断層撮影、区分番号「E101―3」ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影、区分番号「E101―4」ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影、区分番号「E101―5」乳房用ポジトロン断層撮影、区分番号「M001」体外照射の3の強度変調放射線治療(IMRT)、区分番号「M001―2」ガンマナイフによる定位放射線治療、区分番号「M001―3」直線加速器による放射線治療の1の定位放射線治療の場合又は区分番号「M001―4」粒子線治療に係る費用を算定する場合は、特定入院料等は当該特定入院料等の基本点数の15%を控除した点数)により算定すること。

ウ 入院医療機関において、当該患者が特定入院料等を算定している場合であって、当該他医療機関において特定入院料等に含まれる診療に係る費用(特掲診療料に限る。)を算定しない場合は、特定入院料等は、当該特定入院料等の基本点数の10%を控除した点数により算定すること。ただし、他医療機関において、区分番号「E101」シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影、区分番号「E101―2」ポジトロン断層撮影、区分番号「E101―3」ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影、区分番号「E101―4」ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影、区分番号「E101―5」乳房用ポジトロン断層撮影、区分番号「M001」体外照射の3の強度変調放射線治療(IMRT)、区分番号「M001―2」ガンマナイフによる定位放射線治療、区分番号「M001―3」直線加速器による放射線治療の1の定位放射線治療の場合又は区分番号「M001―4」粒子線治療に係る費用を算定する場合は、特定入院料等は当該特定入院料等の基本点数の5%を控除した点数により算定すること。

エ 他医療機関において当該診療に係る費用を一切算定しない場合には、他医療機関において実施された診療に係る費用は、入院医療機関において算定し、入院基本料等の本点数は控除せずに算定すること。この場合において、入院医療機関で算定している入院料等に包括されている診療に係る費用は、算定できない。なお、この場合の医療機関間での診療報酬の分配は、相互の合議に委ねるものとする。

(7) 他医療機関において診療を行った場合には、入院医療機関から提供される当該患者に係る診療情報に係る文書を診療録に添付するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に「入院医療機関名」、「当該患者の算定する入院料」、「受診した理由」、「診療科」及び「画像1 (20KB)別ウィンドウが開きます
(受診日数:○日)」を記載すること。

(8) 入院医療機関においては、診療報酬明細書の摘要欄に、「他医療機関を受診した理由」、「診療科」及び「画像2 (20KB)別ウィンドウが開きます
(受診日数:○日)」を記載すること。ただし、(6)のウの特定入院料等を10%減算する場合(ただし書に該当し5%減算する場合を含む。)には、他医療機関のレセプトの写しを添付すること。

(9) 入院中の患者(DPC算定病棟に入院している患者であって「診療報酬の算定方法」により入院料を算定する患者に限る。)に対し他医療機関での診療が必要となり、当該入院中の患者が他医療機関を受診した場合(当該入院医療機関にて診療を行うことができない専門的な診療が必要となった場合等のやむを得ない場合に限る。)の他医療機関において実施された診療に係る費用は、入院医療機関の保険医が実施した診療の費用と同様の取扱いとし、入院医療機関において算定すること。なお、この場合の医療機関間での診療報酬の分配は、相互の合議に委ねるものとする。

6 外泊期間中の入院料等

(1) 入院患者の外泊期間中の入院料等については、入院基本料(療養病棟入院基本料を算定する療養病棟にあっては、外泊前日の入院基本料)の基本点数の15%又は特定入院料の15%を算定するが、精神及び行動の障害の患者について治療のために外泊を行わせる場合は更に15%を算定できる。ただし、入院基本料の基本点数又は特定入院料の30%を算定することができる期間は、連続して3日以内に限り、かつ月(同一暦月)6日以内に限る。

外泊中の入院料等を算定する場合においては、その点数に1点未満の端数があるときは、小数点以下第一位を四捨五入して計算するものとする。

なお、当該外泊期間は、7の入院期間に算入する。

(2) 入院中の患者が在宅医療に備えて一時的に外泊するに際して、当該在宅医療に関する指導管理が行われた場合は、(1)に規定する点数に加えて、区分番号「C100」に掲げる退院前在宅療養指導管理料を、外泊初日に1回に限り算定できる。

7 入院期間の計算

(1) 入院の日とは、入院患者の保険種別変更等の如何を問わず、当該保険医療機関に入院した日をいい、保険医療機関ごとに起算する。

また、A傷病により入院中の患者がB傷病に罹り、B傷病についても入院の必要がある場合(例えば、結核で入院中の患者が虫垂炎で手術を受けた場合等)又はA傷病が退院できる程度に軽快した際に他の傷病に罹り入院の必要が生じた場合においても、入院期間はA傷病で入院した日を起算日とする。

(2) (1)にかかわらず、保険医療機関を退院後、同一傷病により当該保険医療機関又は当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関に入院した場合の入院期間は、当該保険医療機関の初回入院日を起算日として計算する。

ただし、次のいずれかに該当する場合は、新たな入院日を起算日とする。

ア 1傷病により入院した患者が退院後、一旦治癒し若しくは治癒に近い状態までになり、その後再発して当該保険医療機関又は当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関に入院した場合

イ 退院の日から起算して3月以上(悪性腫瘍、難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26年法律第50号)第5条第1項に規定する指定難病(同法第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されている患者(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に係るものに限る。)又は「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)に掲げる疾患(当該疾患に罹患しているものとして都道府県知事から受給者証の交付を受けているものに限る。ただし、スモンについては過去に公的な認定を受けたことが確認できる場合等を含む。)に罹患している患者については1月以上)の期間、同一傷病について、いずれの保険医療機関に入院又は介護老人保健施設に入所(短期入所療養介護費を算定すべき入所を除く。)することなく経過した後に、当該保険医療機関又は当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関に入院した場合

(3) 「特別の関係」とは、次に掲げる関係をいう。

ア 当該保険医療機関等と他の保険医療機関等の関係が以下のいずれかに該当する場合に、当該保険医療機関等と当該他の保険医療機関等は特別の関係にあると認められる。

(イ) 当該保険医療機関等の開設者が、当該他の保険医療機関等の開設者と同一の場合

(ロ) 当該保険医療機関等の代表者が、当該他の保険医療機関等の代表者と同一の場合

(ハ) 当該保険医療機関等の代表者が、当該他の保険医療機関等の代表者の親族等の場合

(ニ) 当該保険医療機関等の理事・監事・評議員その他の役員等のうち、当該他の保険医療機関等の役員等の親族等の占める割合が10分の3を超える場合

(ホ) (イ)から(ニ)までに掲げる場合に準ずる場合(人事、資金等の関係を通じて、当該保険医療機関等が、当該他の保険医療機関等の経営方針に対して重要な影響を与えることができると認められる場合に限る。)

イ 「保険医療機関等」とは、保険医療機関である病院若しくは診療所、介護老人保健施設又は指定訪問看護事業者をいう。

ウ 「親族等」とは、親族関係を有する者及び以下に掲げる者をいう。

(イ) 事実上婚姻関係と同様の事情にある者

(ロ) 使用人及び使用人以外の者で当該役員等から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの

(ハ) (イ)又は(ロ)に掲げる者の親族でこれらの者と生計を一にしているもの

8 病棟移動時の入院料

同一保険医療機関内の病棟(病室及び治療室を含む。)から病棟(病室及び治療室を含む。)に移動した日の入院料の算定については、移動先の病棟(病室及び治療室を含む。)の入院料(入院基本料又は特定入院料)を算定する。

9 退院時処方に係る薬剤料の取扱い

投薬に係る費用が包括されている入院基本料(療養病棟入院基本料等)又は特定入院料(特殊疾患病棟入院料等)を算定している患者に対して、退院時に退院後に在宅において使用するための薬剤(在宅医療に係る薬剤を除く。)を投与した場合は、当該薬剤に係る費用(薬剤料に限る。)は、算定できる。

10 定数超過入院に該当する保険医療機関、医療法に定める人員標準を著しく下回る保険医療機関の取扱いについては、「厚生労働大臣の定める入院患者数の基準及び医師等の員数の基準並びに入院基本料の算定方法(平成18年厚生労働省告示第104号)」に基づくものとし、その具体的な取扱いについては別途通知する。

11 入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理体制、褥瘡対策及び栄養管理体制について、別に厚生労働大臣が定める基準に適合している場合に限り入院基本料(特別入院基本料、月平均夜勤時間超過減算、夜勤時間特別入院基本料及び重症患者割合特別入院基本料(以下「特別入院基本料等」という。)及び特定入院基本料を含む。)、特定入院料又は短期滞在手術等基本料3の算定を行うものであり、基準に適合していることを示す資料等を整備しておく必要がある。

12 救急患者として受け入れた患者が、処置室、手術室等において死亡した場合は、当該保険医療機関が救急医療を担う施設として確保することとされている専用病床(区分番号「A205」救急医療管理加算又は区分番号「A300」救命救急入院料を算定する病床に限る。)に入院したものとみなすものであること。

13 退院が特定の時間帯に集中している場合の入院基本料の算定について

(1) 以下のいずれも満たす病棟を有する保険医療機関を対象とする。

ア 一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料を算定している病棟を有する保険医療機関であること。

イ 当該病棟の退院全体のうち、正午までに退院するものの割合が9割以上の保険医療機関であること。

(2) 減算の対象となる入院基本料は、一般病棟入院基本料(特別入院基本料等を含む。)、特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)及び専門病院入院基本料のうち、当該病棟に30日を超えて入院している者の退院日の入院基本料であって、以下のいずれも満たすものとする。

ア 退院日に1,000点以上の処置又は手術を算定していないもの

イ 入退院支援加算を算定していないもの

(3) (1)のイに係る計算式は退院日に一般病棟入院基本料(特別入院基本料等を含む。)、特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料を算定している患者を対象として、以下のいずれかの方法によること。

ア 電子カルテ等で退院時間が明らかな場合については、以下により算定する。

1月当たりの当該病棟の退院患者のうち、正午以前に退院した患者数/1月当たりの退院患者数

イ 退院時間が明らかでない場合は、毎月16日を含む1週間(例えば16日が火曜日の場合は14日(日)から20日(土)までの7日間)に当該病棟を退院した患者を対象とし、該当する退院患者の退院日、退院日前日の食事回数をもとに以下により算定する。

(退院日前日に退院患者に提供した夕食数-退院日に退院患者に提供した昼食数)/退院日前日に退院患者に提供した夕食数

ウ ア又はイのいずれかの方法により、直近6か月の月ごとの割合を算定し、当該6か月のいずれも9割以上の場合、翌月から(2)に該当する入院基本料は、所定点数の100分の92に相当する点数により算定する。

14 入院日及び退院日が特定の日に集中している場合の入院基本料の算定について

(1) 以下のいずれも満たす保険医療機関を対象とする。

ア 一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料を算定している病棟を有する保険医療機関

イ アに掲げる病棟の入院全体のうち金曜日に入院したものの割合と、退院全体のうち月曜日に退院したものの割合の合計が40%以上の保険医療機関

(2) 減算の対象となる入院基本料は、金曜日に入院した患者の入院基本料(一般病棟入院基本料(特別入院基本料等を含む。)、特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)及び専門病院入院基本料をいう。以下この項目において同じ。)又は月曜日に退院した患者の入院基本料とするが、金曜日に入院した患者については、入院日直後の土曜日及び日曜日の入院基本料であって、当該日に1,000点以上の処置又は手術を伴わないものであり、月曜日に退院した患者については、退院日直前の土曜日及び日曜日の入院基本料であって、当該日に1,000点以上の処置又は手術を伴わないものとする。金曜日に入院し、月曜日に退院した患者については、要件を満たす入院日直後の土曜日及び日曜日、退院日直前の土曜日及び日曜日のいずれも減算の対象となる。なお、金曜日に入院し、その直後の月曜日に退院した患者については、要件を満たす土曜日及び日曜日の入院基本料は所定点数の100分の92に相当する点数により算定することとする。

(3) (1)イに係る計算式は入院患者は入院日に一般病棟入院基本料(特別入院基本料等を含む)、特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料を算定している患者、退院患者は退院日に一般病棟入院基本料(特別入院基本料等を含む。)、特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料を算定している患者を対象として、以下の方法による。

(1月当たりの金曜日入院患者数/1月当たりの全入院患者数)×100

+(1月当たりの月曜日退院患者数/1月当たりの全退院患者数)×100

直近6か月の月ごとの割合を算定し、当該6か月のいずれも4割以上の場合、翌月より(2)に該当する入院基本料を減算する。

15 算定回数が「週」単位又は「月」単位とされているものについては、特に定めのない限り、それぞれ日曜日から土曜日までの1週間又は月の初日から月の末日までの1か月を単位として算定する。

第1節 入院基本料

A100 一般病棟入院基本料

(1) 一般病棟入院基本料は、「注1」の入院基本料、「注2」の特別入院基本料並びに月平均夜勤時間超過減算及び「注7」の夜勤時間特別入院基本料から構成され、「注1」の入院基本料については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た一般病棟に入院している患者について、各区分の所定点数を算定し、「注2」の特別入院基本料並びに月平均夜勤時間超過減算及び「注7」の夜勤時間特別入院基本料については、届け出た一般病棟に入院している患者について算定する。

(2) 当該保険医療機関において複数の一般病棟がある場合には、当該病棟のうち、障害者施設等入院基本料等又は特殊疾患病棟入院料等の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟以外の病棟については、同じ区分の一般病棟入院基本料を算定するものとする。ただし、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の別紙2に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域に属する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が400床以上の病院、DPC対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期一般入院料1のみを届け出ている病院を除く。)の一般病棟においては、病棟ごとに違う区分の入院基本料を算定しても差し支えない。

(3) 「注3」の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に規定する起算日とする。

(4) 「注4」に規定する重症児(者)受入連携加算は、集中治療を経た新生児等を急性期の医療機関から受け入れ、病態の安定化のために密度の高い医療を提供することを評価したものであり、入院前の医療機関において区分番号「A246」入退院支援加算3が算定された患者を一般病棟(地域一般入院基本料に限る。)で受け入れた場合に入院初日に算定する。ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。なお、特別入院基本料等を算定する場合は、当該加算は算定できない。

(5) 「注5」に規定する救急・在宅等支援病床初期加算は、急性期医療の後方病床を確保し、在宅患者や介護老人保健施設、介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第29項に規定する介護医療院(以下「介護医療院」という。)、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム等(以下「介護老人保健施設等」という。)の入所者等の状態が軽度悪化した際に入院医療を提供できる病床を確保することにより、急性期医療を支えることを目的として、一般病棟(地域一般入院基本料、13対1入院基本料又は15対1入院基本料に限る。)が有する以下のような機能を評価したものであり、転院又は入院した日から起算して14日を限度に算定できる。当該加算を算定するに当たっては、入院前の患者の居場所(転院の場合は入院前の医療機関名)、自院の入院歴の有無、入院までの経過等を診療録に記載すること。

ア 急性期医療を担う病院に入院し、急性期治療を終えて一定程度状態が安定した患者を速やかに一般病棟が受け入れることにより、急性期医療を担う病院を後方支援する。急性期医療を担う病院の一般病棟とは、具体的には、急性期一般入院基本料、7対1入院基本料若しくは10対1入院基本料(特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料に限る。)、救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室管理料、総合周産期特定集中治療室管理料、新生児治療回復室入院医療管理料、一類感染症患者入院医療管理料、特殊疾患入院医療管理料又は小児入院医療管理料を算定する病棟であること。なお、同一医療機関において当該一般病棟に転棟した患者については、算定できない。

イ 自宅や介護老人保健施設等で療養を継続している患者が、軽微な発熱や下痢等の症状をきたしたために入院医療を要する状態になった際に、一般病棟(地域一般入院基本料、13対1入院基本料又は15対1入院基本料に限る。)が速やかに当該患者を受け入れる体制を有していることにより、自宅や介護老人保健施設等における療養の継続を後方支援する。なお、当該加算を算定する一般病棟を有する病院に介護老人保健施設等が併設されている場合は、当該併設介護老人保健施設等から受け入れた患者については算定できないものとする。

(6) 一般病棟入院基本料の算定患者が90日を超える期間一般病棟に入院している場合((8)に規定するアの方法により算定している患者を除く。)は、平均在院日数の算定の対象から除外すること。このため、一般病棟入院基本料の算定患者を入院させる保険医療機関においては、当該患者の人数等が明確に分かるような名簿を月ごとに作成し、適切に管理しておく必要があること。

(7) 一般病棟入院基本料を算定する病棟については、「注10」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

(8) 一般病棟入院基本料(特別入院基本料を除く。)を算定する病棟に入院している患者であって、当該病棟に90日を超えて入院する患者については、下記のいずれかにより算定する。

ア 引き続き一般病棟入院基本料を算定する。(平均在院日数の算定の対象となる。)

イ 一般病棟入院基本料の「注11」の規定により、区分番号「A101」療養病棟入院料1の例により算定する。(平均在院日数の算定の対象とならない。)

上記については、当該保険医療機関の病棟ごとの取扱いとなるが、上記イにより算定する場合については、あらかじめ地方厚生(支)局長に届け出た病棟に限る。

平成26年3月31日時点で当該病棟(平成26年改定前における7対1入院基本料又は10対1入院基本料に限る。)に入院していた患者であって、イの方法により算定する者については、当分の間、医療区分を3とする。

(9) (8)のイにより、区分番号「A101」の療養病棟入院料1の例により算定する場合の費用の請求については、当該保険医療機関に入院した日を入院初日として、下記のとおりとする。

ア 区分番号「A101」療養病棟入院基本料の「注3」に規定する費用は入院基本料に含まれるため、別に算定できない。

イ 区分番号「A101」療養病棟入院基本料の「注4」に規定する褥瘡対策加算1又は2を算定することができる。

ウ 区分番号「A101」療養病棟入院基本料の「注5」に規定する重症児(者)受入連携加算及び「注6」に規定する急性期患者支援療養病床初期加算及び在宅患者支援療養病床初期加算は算定することができない。

エ 区分番号「A101」療養病棟入院基本料の「注7」に規定する加算のうち、以下のものを算定することができる。

(イ) 乳幼児加算・幼児加算

(ロ) 超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算(算定日数の上限については、療養病棟に入院しているものとして取り扱う。)

(ハ) 地域加算

(ニ) 離島加算

(ホ) HIV感染者療養環境特別加算

(ヘ) 療養病棟療養環境加算(別に届出を行った場合に限る。)

(ト) 重症皮膚潰瘍管理加算(別に届出を行った場合に限る。)

(チ) 栄養サポートチーム加算(ただし、当該保険医療機関に入院した日を入院初日と起算して算定する。)

(リ) 入退院支援加算(ただし、当該保険医療機関に入院した日を入院初日として、区分番号「A246」入退院支援加算1又は2のロに規定する療養病棟入院基本料等の場合の例により算定する。)

(ヌ) データ提出加算

(ル) 排尿自立支援加算

オ 区分番号「A101」療養病棟入院基本料の「注9」に規定する慢性維持透析管理加算を算定することができる。

カ 区分番号「A101」療養病棟入院基本料の「注10」に規定する在宅復帰機能強化加算は算定することができない。

キ 区分番号「B005―7」認知症専門診断管理料の算定に当たっては、(8)のイにより区分番号「A101」の療養病棟入院料1の例により算定する患者を、「療養病棟に入院している患者」とみなす。

(10) 「注11」の規定により、区分番号「A101」の療養病棟入院料1の入院料Aから入院料Fのいずれかを算定する場合にあっては、定期的(少なくとも月に1回)に患者又はその家族に対して、当該患者の病状や治療内容等の入院療養の状況及び各区分への該当状況について、別紙様式2又はこれに準ずる様式により作成した書面又はその写しを交付のうえ、十分な説明を行うとともに診療録に添付すること。

(11) 「注12」に規定するADL維持向上等体制加算は、急性期医療において、入院中の患者の日常生活機能(以下「ADL」という。)の維持、向上等を目的として、リハビリテーション専門職等が当該病棟において以下のアからケまでに掲げる取組を行った場合であって、あらかじめ専従又は専任を含む常勤理学療法士、常勤作業療法士又は常勤言語聴覚士(以下(11)において「常勤理学療法士等」という。)をあわせて5名を上限として定めた上で、当該常勤理学療法士等のいずれかが当該病棟で実際に6時間以上(ADL維持向上等体制加算の算定を終了した当該病棟の患者について、引き続き、区分番号「H000」心大血管疾患リハビリテーション料、区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料、区分番号「H001―2」廃用症候群リハビリテーション料、区分番号「H002」運動器リハビリテーション料、区分番号「H003」呼吸器リハビリテーション料、区分番号「H004」摂食機能療法、区分番号「H005」視能訓練、区分番号「H007」障害児(者)リハビリテーション料、区分番号「H007―2」がん患者リハビリテーション料、区分番号「H007―3」認知症患者リハビリテーション料又は区分番号「H008」集団コミュニケーション療法料(以下(11)において「疾患別リハビリテーション料等」という。)を算定した場合は、1日2時間を超えない範囲でその時間を含んでよい。)勤務した日に限り、患者1人につき入院した日から起算して14日を限度に算定できる。

ただし、当該加算の対象となる患者であっても、当該患者に対して疾患別リハビリテーション料等を算定した場合は、当該療法を開始した日から当該加算を算定することはできない。

ア 入院患者に対する定期的なADLの評価は、別紙様式7の2又はこれに準ずる様式を用いて行っていること。

イ 入院患者に対するADLの維持、向上等を目的とした指導を行っていること。

ウ 必要最小限の抑制とした上で、転倒転落を防止する対策を行っていること。

エ 必要に応じて患者の家族に対して、患者の状況を情報提供していること。

オ 入院患者のADLの維持、向上等に係るカンファレンスが定期的に開催されており、医師、看護師及び必要に応じてその他の職種が参加していること。

カ 指導内容等について、診療録等に記載すること。

キ 自宅等、想定される退棟先の環境を把握し、退棟後に起こりうるリスクについて、多職種のカンファレンスで共有していること。

ク 必要に応じて他の職種と共同し、機能予後について患者がどのように理解しているかを把握し、多職種のカンファレンスで共有していること。

ケ 必要に応じて他の職種と共同し、患者が再び実現したいと願っている活動や社会参加等について、その優先順位と共に把握し、多職種のカンファレンスで共有していること。

また、特別入院基本料等を算定する場合は、当該加算は算定できない。

A101 療養病棟入院基本料

(1) 療養病棟入院基本料は、「注1」の入院料及び「注2」の特別入院基本料から構成され、「注1」の入院料については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た療養病棟に入院している患者について、別に厚生労働大臣が定める区分(1日に2つ以上の区分に該当する場合には、該当するもののうち最も高い点数の区分)に従い、当該患者ごとに入院料A等の各区分の所定点数を算定し、「注2」の特別入院基本料については、届け出た療養病棟に入院している患者について算定する。ただし、「注1」の入院料を算定している場合において、患者の急性増悪により、同一の保険医療機関の一般病棟へ転棟する場合にはその前日を1日目として3日前までの間、別の保険医療機関の一般病棟へ転院する場合にはその当日を1日目として3日前までの間は、その日ごとに入院料Iを算定することができる。

(2) 当該保険医療機関において複数の療養病棟がある場合には、当該病棟のうち、回復期リハビリテーション病棟入院料等の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟以外の病棟については、「注1」の入院料又は「注2」の特別入院基本料のいずれかを算定するものとする。

(3) 「注1」の入院料のうち、入院料Aから入院料Fまでのいずれかの算定に当たっては、定期的(少なくとも月に1回)に患者又はその家族に対して、当該患者の病状や治療内容等の入院療養の状況及び各区分への該当状況について、別紙様式2又はこれに準ずる様式により作成した書面又はその写しを交付のうえ十分な説明を行うとともに診療録に添付すること。また、やむを得ない理由により説明を行うことが困難な場合であっても、患者又はその家族の求めに応じ、当該書面又はその写しを交付するとともに診療録に添付すること。なお、患者又はその家族への説明に当たり、特に悪性腫瘍等の患者に対しては、患者本人の治療方針に関する理解状況を踏まえ、療養上著しく不適切なことが生じないよう配慮すること。

(4) 基本診療料の施設基準等別表第五に掲げる画像診断及び処置並びにこれらに伴い使用する薬剤、特定保険医療材料又は区分番号「J201」酸素加算の費用並びに浣腸、注腸、吸入等基本診療料に含まれるものとされている簡単な処置及びこれに伴い使用する薬剤又は特定保険医療材料の費用については療養病棟入院基本料に含まれる。なお、療養病棟入院基本料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、療養病棟入院基本料に含まれているものであるため別に算定できない。ただし、「注1」のただし書の規定により、入院料Iを算定する場合については、この限りではない。

(5) 療養病棟入院基本料を算定する病棟は主として長期にわたり療養の必要な患者が入院する施設であり、医療上特に必要がある場合に限り他の病棟への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。なお、「注1」のただし書の規定により入院料Iを算定した場合においても、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(6) 療養病棟入院基本料を算定するに当たっては、次の点に留意する。

ア 定期的(少なくとも月に1回)に患者の状態の評価及び入院療養の計画を見直し、その要点を診療録に記載する。なお、入院時と退院時のADLの程度を診療録に記載する。

イ 患者の状態に著しい変化がみられた場合には、その都度、患者の状態を評価した上で、治療やケアを見直し、その要点を診療録等に記載する。

(7) 「注4」に規定する褥瘡対策加算1及び2は、ADL区分3の状態の患者について、「別紙様式46」の「褥瘡対策に関する評価」を用いて褥瘡の状態を確認し、治療及びケアの内容を踏まえ毎日評価し、以下により算定すること。なお、以下において、「褥瘡対策に関する評価」における褥瘡の状態の評価項目のうち「深さ」の項目の点数は加えない当該患者のDESIGN―Rの合計点数を「DESIGN―Rの合計点」といい、暦月内におけるDESIGN―Rの合計点が最も低かった日の点数を当該月における「実績点」という。また、褥瘡の状態の評価の結果を別添1の2の別紙様式2の「医療区分・ADL区分等に係る評価票」の所定欄に記載し、治療及び看護の計画を見直した場合には、その内容を診療録等に記載すること。なお、特別入院基本料等を算定する場合は、当該加算は算定できない。

ア 褥瘡対策加算1については、入院後若しくは新たに当該加算に係る評価を始めて暦月で3月を超えない間又は褥瘡対策加算2を算定する日以外の日において算定する。

イ 褥瘡対策加算2については、直近2月の実績点が2月連続して前月の実績点を上回った場合であって、DESIGN―Rの合計点が前月の実績点より上回った日に算定する。

(8) 「注5」に規定する重症児(者)受入連携加算は、集中治療を経た新生児等を急性期の医療機関から受け入れ、病態の安定化のために密度の高い医療を提供することを評価したものであり、入院前の医療機関において区分番号「A246」入退院支援加算3が算定された患者を、療養病棟で受け入れた場合に入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。なお、特別入院基本料等を算定する場合は、当該加算は算定できない。

(9) 「注6」に規定する急性期患者支援療養病床初期加算は、急性期医療の後方病床を確保し、在宅患者支援療養病床初期加算は在宅患者や介護保険施設入所者等の状態が軽度悪化した際に入院医療を提供できる病床を確保することにより、急性期医療及び在宅での療養を支えることを目的として、療養病棟が有する以下のような機能を評価したものであり、転院、入院又は転棟した日から起算して14日を限度に算定できる。また、特別入院基本料等を算定する場合は、当該加算は算定できない。

ア 急性期患者支援療養病床初期加算については、急性期医療を担う病院の一般病棟に入院し、急性期治療を終えて一定程度状態が安定した患者を、速やかに療養病棟が受け入れることにより、急性期医療を担う病院を後方支援する。急性期医療を担う病院の一般病棟とは、具体的には、急性期一般入院基本料、7対1入院基本料若しくは10対1入院基本料(特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料に限る。)、地域一般入院基本料又は13対1入院基本料(専門病院入院基本料に限る。)を算定する病棟であること。ただし、地域一般入院基本料又は13対1入院基本料を算定する保険医療機関にあっては、区分番号「A205」救急医療管理加算の届出を行っている場合に限るものとする。また、一般病棟と療養病棟が同一の病院に併存する場合で、当該一般病棟から療養病棟に転棟した患者については、1回の転棟に限り算定できるものとする。

イ 在宅患者支援療養病床初期加算については、介護保険施設、居住系施設等又は自宅で療養を継続している患者が、軽微な発熱や下痢等の症状を来したために入院医療を要する状態になった際に、療養病棟が速やかに当該患者を受け入れる体制を有していること及び厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、入院時に治療方針に関する患者又はその家族等の意思決定に対する支援を行うことにより、自宅や介護保険施設等における療養の継続を後方支援する。なお、当該加算を算定する療養病棟を有する病院に介護保険施設等が併設されている場合は、当該併設介護保険施設等から受け入れた患者については算定できないものとする。

(10) 療養病棟入院基本料を算定する病棟(「注11」を算定する病棟を含む。)については、「注7」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

(11) 「注8」の規定は、新型インフルエンザ等感染症がまん延している期間として別に厚生労働大臣が指定する期間において、療養病棟入院基本料の届出を行っている病棟においても、新型インフルエンザ等感染症等の患者が当該病棟に入院した場合には、届出を行った上で、一般病棟入院基本料の例により算定することができるようにしたものであること。

(12) 「注8」の規定により新型インフルエンザ感染症等の患者を入院させる際には、院内感染防止対策を十分に行うこと。

(13) 「注8」の規定により、区分番号「A100」の一般病棟入院基本料の例により算定する場合の費用の請求については、当該保険医療機関に入院した日を入院初日として、以下のとおりとする。

ア 区分番号「A100」一般病棟入院基本料の「注4」に規定する重症児(者)受入連携加算は算定することができない。

イ 区分番号「A100」一般病棟入院基本料の「注5」に規定する救急・在宅等支援病床初期加算は算定することができない。

ウ 区分番号「A100」一般病棟入院基本料の「注10」に規定する加算について、当該病棟において各加算の要件を満たしている場合には算定できる。

エ 区分番号「A100」一般病棟入院基本料の「注12」に規定するADL維持向上等体制加算は算定することができない。

(14) 「注9」に規定する慢性維持透析管理加算は、療養病棟における透析患者の診療を評価したものであり、自院で人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流又は血漿交換療法を行っている場合に算定する。なお、これらの項目については、継続的に適切に行われていれば、毎日行われている必要はない。なお、特別入院基本料等を算定する場合は、当該加算は算定できない。

(15) 「注10」に規定する在宅復帰機能強化加算は、在宅復帰機能の高い病棟を評価したものである。なお、特別入院基本料等を算定する場合は、当該加算は算定できない。

(16) 「注12」に規定する夜間看護加算は、療養生活の支援が必要な患者が多い病棟において、看護要員の手厚い夜間配置を評価したものであり、当該病棟における看護にあたって、次に掲げる身体的拘束を最小化する取組を実施した上で算定する。

ア 入院患者に対し、日頃より身体的拘束を必要としない状態となるよう環境を整える。

イ 身体的拘束を実施するかどうかは、職員個々の判断ではなく、当該患者に関わる医師、看護師等、当該患者に関わる複数の職員で検討する。

ウ やむを得ず身体的拘束を実施する場合であっても、当該患者の生命及び身体の保護に重点を置いた行動の制限であり、代替の方法が見いだされるまでの間のやむを得ない対応として行われるものであることから、可及的速やかに解除するよう努める。

エ 身体的拘束を実施するに当たっては、次の対応を行う。

(イ) 実施の必要性等のアセスメント

(ロ) 患者家族への説明と同意

(ハ) 身体的拘束の具体的行為や実施時間等の記録

(ニ) 二次的な身体障害の予防

(ホ) 身体的拘束の解除に向けた検討

オ 身体的拘束を実施した場合は、解除に向けた検討を少なくとも1日に1度は行う。なお、身体的拘束を実施することを避けるために、ウ及びエの対応をとらず家族等に対し付添いを強要することがあってはならない。

(17) 「注12」に規定する夜間看護加算を算定する各病棟における夜勤を行う看護要員の数は、「基本診療料の施設基準等」の第五の三の(1)イ①に定める夜間の看護職員の最小必要数を超えた看護職員1人を含む看護要員3人以上でなければ算定できない。なお、「注11」の規定により入院料を算定する場合及び特別入院基本料等を算定する場合は、当該加算は算定できない。

A102 結核病棟入院基本料

(1) 結核病棟入院基本料は、「注1」の入院基本料、「注2」の特別入院基本料、月平均夜勤時間超過減算、「注6」の夜勤時間特別入院基本料及び「注7」の重症患者割合特別入院基本料から構成され、「注1」の入院基本料については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た結核病棟に入院している患者について、7対1入院基本料等の各区分の所定点数を算定し、「注2」の特別入院基本料及び月平均夜勤時間超過減算、「注6」の夜勤時間特別入院基本料並びに「注7」の重症患者割合特別入院基本料については、届け出た結核病棟に入院している患者について算定する。

(2) 結核病棟に入院している結核患者に化学療法を行う際には、日本結核病学会が作成した「院内DOTSガイドライン」を踏まえ、下記の服薬支援計画の作成、服薬確認の実施、患者教育の実施及び保健所との連携を行っていること。当該基準を満たさない場合は、「注2」の特別入院基本料として581点を算定する。

ア 服薬支援計画の作成

個々の患者の服薬中断リスクを分析し、服薬確認、患者教育、保健所との連携等に関する院内DOTS計画を策定すること。計画の策定に当たっては、患者の病態、社会的要因、副作用の発生や退院後の生活状態等による服薬中断リスクを考慮すること。

イ 服薬確認の実施

看護師が患者の内服を見届けるなど、個々の患者の服薬中断リスクに応じた方法で服薬確認を行うこと。

ウ 患者教育の実施

確実な服薬の必要性に関する患者への十分な説明を行うとともに、服薬手帳の活用等により退院後も服薬を継続できるための教育を実施すること。

エ 保健所との連携

退院後の服薬の継続等に関して、入院中から保健所の担当者とDOTSカンファレンス等を行うなど、保健所との連絡調整を行い、その要点を診療録等に記載すること。

(3) 「注3」において結核病棟入院基本料を算定する患者は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)」第19条、第20条及び第22条の規定並びに「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における結核患者の入退院及び就業制限の取扱いについて(平成19年9月7日健感発第0907001号)」に基づき入退院が行われている結核患者であり、これらの基準に従い退院させることができる患者については、退院させることができることが確定した日以降は「注2」の特別入院基本料を算定する。

なお、次の全てを満たした場合には、退院させることができることが確定したものとして取り扱うものであること。

ア 2週間以上の標準的化学療法が実施され、咳、発熱、痰等の臨床症状が消失している。

イ 2週間以上の標準的化学療法を実施した後の異なった日の喀痰の塗抹検査又は培養検査の結果が連続して3回陰性である。(3回の検査は、原則として塗抹検査を行うものとし、アによる臨床症状消失後にあっては、速やかに連日検査を実施すること。)

ウ 患者が治療の継続及び感染拡大の防止の重要性を理解し、かつ、退院後の治療の継続及び他者への感染の防止が可能であると確認できている。

(4) (3)にかかわらず、カリエス、リンパ節結核などのこれらの基準に従うことができない結核患者については、当該患者の診療を担当する医師の適切な判断により入退院が行われるものである。

(5) 「注4」の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に規定する起算日とする。

(6) 当該保険医療機関において複数の結核病棟がある場合には、当該病棟全てについて同じ区分の結核病棟入院基本料を算定するものとする。

(7) 結核病棟入院基本料を算定する病棟については、「注5」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

A103 精神病棟入院基本料

(1) 精神病棟入院基本料は、「注1」の入院基本料、「注2」の特別入院基本料及び月平均夜勤時間超過減算並びに「注9」の夜勤時間特別入院基本料から構成され、「注1」の入院基本料及び「注2」の特別入院基本料についてはそれぞれ別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た精神病棟に入院している患者について、10対1入院基本料等の各区分の所定点数を算定し、「注9」の夜勤時間特別入院基本料については、届け出た精神病棟に入院している患者について算定する。

(2) 当該保険医療機関において複数の精神病棟がある場合には、当該病棟のうち、精神科急性期治療病棟入院料等の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟以外の病棟については、同じ区分の精神病棟入院基本料を算定するものとする。

(3) 「注3」の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に規定する起算日とする。

(4) 「注4」に掲げる加算を算定するに当たっては、当該加算の施設基準を満たすとともに、次のアからウまでの要件を満たすことが必要である。なお、既に入院中の患者が当該入院期間中に、当該施設基準の要件を満たすこととなっても、当該加算は算定できない。

ア 入院時において、当該加算の施設基準に基づくランクがMであること。

イ 当該加算の施設基準に基づき、患者の身体障害の状態及び認知症の状態を評価するとともに、当該加算の施設基準に基づく評価、これらに係る進行予防等の対策の要点及び評価日を診療録に記載するものとする。当該加算は、対策の要点に基づき、計画を立て、当該計画を実行した日から算定する。

ウ 当該加算を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に当該加算の算定根拠となる評価(当該加算の施設基準に基づくランク等)及び評価日を記載すること。

(5) 「注5」の救急支援精神病棟初期加算は、当該病棟に入院する患者が、精神科救急搬送患者地域連携受入加算を算定したものである場合には、入院した日から起算して14日を限度として加算する。

(6) 精神病棟入院基本料を算定する病棟については、「注6」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

(7) 「注7」の精神保健福祉士配置加算は、入院中の患者の早期退院を目的として精神保健福祉士の病棟配置を評価したものであり、当該病棟の全ての入院患者に対して、医師、看護師、作業療法士、公認心理師等の関係職種と共同して別紙様式6の2又はこれに準ずる様式を用いて、退院支援計画を作成し、必要に応じて患家等を訪問し、患者の希望を踏まえ、適切な保健医療サービス又は福祉サービス等を受けられるよう、障害福祉サービス事業所、相談支援事業所等と連携しつつ、在宅療養に向けた調整を行った場合に算定する。なお、病棟に配置された精神保健福祉士は当該病棟の入院患者の退院調整等を行うものであり、他病棟の患者の退院調整について行うことはできない。

(8) 平成31年4月1日から当分の間、以下のいずれかの要件に該当する者は、公認心理師とみなす。

ア 平成31年3月31日時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者

イ 公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者

A104 特定機能病院入院基本料

(1) 特定機能病院入院基本料は、「注1」に規定する入院基本料について、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た一般病棟、結核病棟又は精神病棟に入院している患者について、7対1入院基本料等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 結核病棟に入院している結核患者に化学療法を行う際には、日本結核病学会が作成した「院内DOTSガイドライン」を踏まえ、下記の服薬支援計画の作成、服薬確認の実施、患者教育の実施及び保健所との連携を行っていること。当該基準を満たさない場合は、区分番号「A102」結核病棟入院基本料の「注2」の特別入院基本料として581点を算定する。

ア 服薬支援計画の作成

個々の患者の服薬中断リスクを分析し、服薬確認、患者教育、保健所との連携等に関する院内DOTS計画を策定すること。計画の策定に当たっては、患者の病態、社会的要因、副作用の発生や退院後の生活状態等による服薬中断リスクを考慮すること。

イ 服薬確認の実施

看護師が患者の内服を見届けるなど、個々の患者の服薬中断リスクに応じた方法で服薬確認を行うこと。

ウ 患者教育の実施

確実な服薬の必要性に関する患者への十分な説明を行うとともに、服薬手帳の活用等により退院後も服薬を継続できるための教育を実施すること。

エ 保健所との連携

退院後の服薬の継続等に関して、入院中から保健所の担当者とDOTSカンファレンス等を行うなど、保健所との連絡調整を行い、その要点を診療録等に記載すること。

(3) 「注2」において特定機能病院入院基本料(結核病棟に限る。)を算定する患者は、感染症法第19条、第20条及び第22条の規定並びに「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における結核患者の入退院及び就業制限の取扱いについて(平成19年9月7日健感発第0907001号)」に基づき入退院が行われている結核患者であり、これらの基準に従い退院させることができる患者については、退院させることができることが確定した日以降は「注2」の特別入院基本料を算定する。

なお、次の全てを満たした場合には、退院させることができることが確定したものとして取り扱うものであること。

ア 2週間以上の標準的化学療法が実施され、咳、発熱、痰等の臨床症状が消失している。

イ 2週間以上の標準的化学療法を実施した後の異なった日の喀痰の塗抹検査又は培養検査の結果が連続して3回陰性である。(3回の検査は、原則として塗抹検査を行うものとし、アによる臨床症状消失後にあっては、速やかに連日検査を実施すること。)

ウ 患者が治療の継続及び感染拡大の防止の重要性を理解し、かつ、退院後の治療の継続及び他者への感染の防止が可能であると確認できている。

(4) (3)にかかわらず、カリエス、リンパ節結核などのこれらの基準に従うことができない結核患者については、当該患者の診療を担当する保険医の適切な判断により入退院が行われるものである。

(5) 当該特定機能病院において同一種別の病棟が複数ある場合の入院基本料の算定については、一般病棟入院基本料の(2)、結核病棟入院基本料の(6)及び精神病棟入院基本料の(2)の例による。

(6) 「注3」の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に規定する起算日とする。

(7) 「注4」に掲げる加算を算定するに当たっては、当該加算の施設基準を満たすとともに、次のアからウまでの要件を満たすことが必要である。なお、既に入院中の患者が当該入院期間中に、当該施設基準の要件を満たすこととなっても、当該加算は算定できない。

ア 入院時において、当該加算の施設基準に基づくランクがMであること。

イ 当該加算の施設基準に基づき、患者の身体障害の状態及び認知症の状態を評価するとともに、当該加算の施設基準に基づく評価、これらに係る進行予防等の対策の要点及び評価日を診療録に記載するものとする。当該加算は、対策の要点に基づき、計画を立て、当該計画を実行した日から算定する。

ウ 当該加算を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に当該加算の算定根拠となる評価(当該加算の施設基準に基づくランク等)及び評価日を記載すること。

(8) 「注5」に規定する看護必要度加算は、10対1入院基本料(一般病棟に限る。)を算定する病棟であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす病棟に入院している患者について算定すること。

(9) 特定機能病院入院基本料を算定する病棟については、「注8」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

(10) 特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)を算定する病棟に入院している患者であって、当該病棟に90日を超えて入院する患者の取扱いについては、一般病棟入院基本料の(6)及び(8)から(10)までの例による。

(11) 「注10」に規定するADL維持向上等体制加算については、一般病棟入院基本料の(11)の例による。

A105 専門病院入院基本料

(1) 専門病院入院基本料は、「注1」に規定する入院基本料について、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た一般病棟に入院している患者について、7対1入院基本料等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 当該専門病院において複数の一般病棟がある場合には、当該病棟のうち、障害者施設等入院基本料又は緩和ケア病棟入院料等の特定入院料(病棟単位で行うものに限る。)を算定する病棟以外の病棟については、同じ区分の専門病院入院基本料を算定するものとする。

(3) 「注2」の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に規定する起算日とする。

(4) 「注3」に規定する看護必要度加算は、10対1入院基本料を算定する病棟であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす病棟に入院している患者について算定すること。

(5) 「注4」に規定する一般病棟看護必要度評価加算は、13対1入院基本料を算定する病棟であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす病棟に入院しており、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度(以下この節において「看護必要度」という。)の測定及び評価が行われた患者について算定すること。

(6) 専門病院入院基本料を算定する病棟については、「注7」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

(7) 専門病院入院基本料を算定する病棟に入院している患者であって、当該病棟に90日を超えて入院する患者の取扱いについては、一般病棟入院基本料の(6)及び(8)から(10)までの例による。

(8) 「注9」に規定するADL維持向上等体制加算については、一般病棟入院基本料の(11)の例による。

A106 障害者施設等入院基本料

(1) 障害者施設等入院基本料は、「注1」の入院基本料及び「注2」の月平均夜勤時間超過減算により算定するものから構成され、「注1」の入院基本料については、それぞれ別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た障害者施設等一般病棟に入院している患者について、7対1入院基本料等の各区分の所定点数を算定し、「注2」の月平均夜勤時間超過減算については、届け出た障害者施設等一般病棟に入院している患者について算定する。

(2) 当該保険医療機関において複数の障害者施設等一般病棟がある場合には、当該病棟全てについて同じ区分の障害者施設等入院基本料を算定するものとする。

(3) 「注3」及び「注9」の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に規定する起算日とする。

(4) 「注4」に規定する重症児(者)受入連携加算は、集中治療を経た新生児等を急性期の医療機関から受け入れ、病態の安定化のために密度の高い医療を提供することを評価したものであり、入院前の医療機関において区分番号「A246」入退院支援加算3が算定された患者を、障害者施設等で受け入れた場合に入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(5) 「注5」に規定する特定患者は、特定入院基本料(969点又は863点)を算定すること。

(6) 特定患者とは、90日を超える期間、同一の保険医療機関(特別の関係にある保険医療機関を含む。)の一般病棟(障害者施設等入院基本料を算定する病棟に限り、一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)及び専門病院入院基本料を除く。)に入院している患者であって、当該90日を経過する日の属する月(90日経過後にあってはその後の各月とする。以下、下の表において単に「月」という。)に下の表の左欄に掲げる状態等にあって、中欄の診療報酬点数に係る療養のいずれかについて、右欄に定める期間等において実施している患者(以下「基本料算定患者」という。)以外のものをいう。

なお、左欄に掲げる状態等にある患者が、退院、転棟又は死亡により右欄に定める実施の期間等を満たさない場合においては、当該月の前月に基本料算定患者であった場合に限り、当該月においても同様に取り扱うこととする。

状態等

診療報酬点数

実施の期間等

1 難病患者等入院診療加算を算定する患者

難病患者等入院診療加算

当該加算を算定している期間

2 重症者等療養環境特別加算を算定する患者

重症者等療養環境特別加算

当該加算を算定している期間

3 重度の肢体不自由者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。)、脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。)、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者及び難病患者等(※1参照)

左欄の状態にある期間

4 悪性新生物に対する治療(重篤な副作用のおそれがあるもの等に限る。)を実施している状態(※2参照)

動脈注射

左欄治療により、集中的な入院加療を要する期間

抗悪性腫瘍剤局所持続注入

点滴注射

中心静脈注射

骨髄内注射

放射線治療(エックス線表在治療又は血液照射を除く。)

5 観血的動脈圧測定を実施している状態

観血的動脈圧測定

当該月において2日以上実施していること

6 リハビリテーションを実施している状態(患者の入院の日から起算して180日までの間に限る。)

心大血管疾患リハビリテーション、脳血管疾患等リハビリテーション、廃用症候群リハビリテーション、運動器リハビリテーション及び呼吸器リハビリテーション

週3回以上実施している週が、当該月において2週以上であること

7 ドレーン法若しくは胸腔又は腹腔の洗浄を実施している状態

ドレーン法(ドレナージ)

当該月において2週以上実施していること

胸腔穿刺

腹腔穿刺

8 頻回に喀痰吸引・排出を実施している状態(※3参照)

喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出

1日に8回以上(夜間を含め約3時間に1回程度)実施している日が、当該月において20日以上であること

気管支カテーテル薬液注入法

9 人工呼吸器を使用している状態

間歇的陽圧吸入法、体外式陰圧人工呼吸器治療

当該月において1週以上使用していること

人工呼吸

10 人工腎臓、持続緩徐式血液濾過又は血漿交換療法を実施している状態

人工腎臓、持続緩徐式血液濾過

各週2日以上実施していること

当該月において2日以上実施していること

血漿交換療法

11 全身麻酔その他これに準ずる麻酔を用いる手術を実施し、当該疾病に係る治療を継続している状態(当該手術を実施した日から起算して30日までの間に限る。)

脊椎麻酔


開放点滴式全身麻酔

マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔

※1 3の左欄に掲げる状態等にある患者は具体的には以下のような状態等にあるものをいう。

a 重度の肢体不自由者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。以下単に「重度の肢体不自由者」という。)及び脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。以下単に「脊髄損傷等の重度障害者」という。)

なお、脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者については、当該傷病が主たる病である患者のことをいう。

b 重度の意識障害者

重度の意識障害者とは、次に掲げる者をいう。なお、病因が脳卒中の後遺症であっても、次の状態である場合には、重度の意識障害者となる。

ア 意識障害レベルがJCS(Japan Coma Scale)でⅡ―3(又は30)以上又はGCS(Glasgow Coma Scale)で8点以下の状態が2週以上持続している患者

イ 無動症の患者(閉じ込め症候群、無動性無言、失外套症候群等)

c 以下の疾患に罹患している患者

筋ジストロフィー、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎及びもやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)

※2 4の「重篤な副作用のおそれがあるもの等」とは、以下のものである。

a 肝障害、間質性肺炎、骨髄抑制、心筋障害等の生命予後に影響を与えうる臓器障害を有する腫瘍用薬による治療

b 放射線治療

c 末期の悪性新生物に対する治療

※3 8に係る喀痰吸引又は干渉低周波去痰器による喀痰排出を算定した場合は、当該喀痰吸引又は干渉低周波去痰器による喀痰排出を頻回に行った旨、その実施時刻及び実施者について診療録等に記載すること。

(7) 基本診療料の施設基準等別表第五に掲げる画像診断及び処置並びにこれらに伴い使用する薬剤、特定保険医療材料又は区分番号「J201」に掲げる酸素加算の費用並びに浣腸、注腸、吸入等基本診療料に含まれるものとされている簡単な処置及びこれに伴い使用する薬剤又は特定保険医療材料の費用については特定入院基本料に含まれる。

なお、特定入院基本料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、特定入院基本料に含まれているものであるため別に算定できない。

(8) 「注6」に定める脳卒中を原因とする重度の意識障害によって当該病棟に入院する患者については、区分番号「A101」に掲げる療養病棟入院基本料における医療区分(1日に2つ以上の区分に該当する場合には、該当するもののうち最も高い点数の区分)の例に従い、当該患者ごとに各医療区分に相当する所定点数を算定する。その際、当該患者の疾患及び状態の該当する医療区分の項目について、医療機関において診療録等に記録する。

(9) 「注6」に定める所定点数を算定する場合は、第2章特掲診療料の算定については、区分番号「A101」に掲げる療養病棟入院基本料の規定に従って算定し、第1章第2部第2節入院基本料等加算については、障害者施設等入院基本料の規定に従って算定する。

(10) 平成30年3月31日時点で、継続して6月以上脳卒中を原因とする重度の意識障害によって障害者施設等入院基本料を算定する病棟に入院している患者であって、引き続き同病棟に入院しているものについては、医療区分3に相当するものとみなす。なお、脳卒中を原因とする重度の意識障害によって障害者施設等入院基本料を算定する病棟に入院している患者であって、その疾患及び状態等が医療区分3に規定する疾患及び状態等に相当するものについては、注6によらず、障害者施設等入院基本料に規定する所定点数を算定すること。

(11) 障害者施設等入院基本料を算定する病棟については、「注7」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

(12) 「注9」に規定する看護補助加算は、当該病棟において入院基本料等の施設基準に定める必要な数を超えて配置している看護職員については、看護補助者とみなして(以下「みなし看護補助者」という。)計算することができる。ただし、「基本診療料の施設基準等」の第五の七の(7)のロに定める夜勤を行う看護補助者の数は、みなし補助者を除いた看護補助者を夜勤時間帯に配置している場合のみ算定できる。

(13) 「注9」に規定する看護補助加算を算定する病棟は、身体的拘束を最小化する取組を実施した上で算定する。取組内容については、区分番号「A101」療養病棟入院基本料の(16)の例による。

A108 有床診療所入院基本料

(1) 有床診療所入院基本料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所(療養病床に係るものを除く。)に入院している患者について、有床診療所入院基本料1等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 有床診療所入院基本料に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に規定する起算日とする。

(3) 「注2」に規定する重症児(者)受入連携加算は、集中治療を経た新生児等を急性期の医療機関から受け入れ、病態の安定化のために密度の高い医療を提供することを評価したものであり、入院前の医療機関において区分番号「A246」入退院支援加算3が算定された患者を、有床診療所で受け入れた場合に入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(4) 「注3」に規定する有床診療所一般病床初期加算は、急性期医療の後方病床を確保し、在宅患者や介護保険施設入所者等の状態が軽度悪化した際に入院医療を提供できる病床を確保することにより、急性期医療を支えることを目的として、急性期有床診療所の一般病床が有する以下のような機能を評価したものであり、転院又は入院した日から起算して14日を限度に算定できる。

ア 急性期医療を担う病院の一般病棟に入院し、急性期治療を終えて一定程度状態が安定した患者を、速やかに有床診療所の一般病床が受け入れることにより、急性期医療を担う病院を後方支援する。急性期医療を担う病院の一般病棟とは、具体的には、急性期一般入院基本料、7対1入院基本料若しくは10対1入院基本料(特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料に限る。)、地域一般入院基本料又は13対1入院基本料(専門病院入院基本料に限る。)を算定する病棟であること。ただし、地域一般入院基本料又は13対1入院基本料を算定する保険医療機関にあっては、区分番号「A205」救急医療管理加算の届出を行っている場合に限るものとする。

イ 介護保険施設、居住系施設等又は自宅で療養を継続している患者が、軽微な発熱や下痢等の症状をきたしたために入院医療を要する状態になった際に、有床診療所の一般病床が速やかに当該患者を受け入れる体制を有していることにより、自宅や介護保険施設等における療養の継続を後方支援する。なお、当該加算を算定する一般病床を有する有床診療所に介護保険施設等が併設されている場合は、当該併設介護保険施設等から受け入れた患者については算定できないものとする。

(5) 有床診療所入院基本料を算定する診療所であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所において、夜間に医師を配置している、又は近隣の保険医療機関が連携して入院患者の急変に備えて夜間の緊急診療体制を確保した場合について、その体制を入院患者に対して文書で説明し、夜間に緊急対応できる医師名を院内に掲示している場合に、「注4」に掲げる加算を算定することができる。

(6) 有床診療所入院基本料1から6までを算定する診療所であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所において、療養病床の有無に関わらず、当該診療所に勤務する医師が2人以上の場合に、各区分に応じて「注5」に掲げる加算を算定することができる。

(7) 有床診療所入院基本料1から6までを算定する診療所であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所において、各区分に応じて「注6」のイからヘまでに掲げる加算を算定することができる。イとロ、ハとニ、ホとヘは併算定出来ないものであること。

(8) 「注7」に規定する看取り加算は、夜間に1名以上の看護職員が配置されている有床診療所において、入院の日から30日以内に看取った場合に算定する。この場合、看取りに係る診療内容の要点等を診療録に記載する。なお、当該加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に規定する起算日とする。

(9) 有床診療所入院基本料を算定する診療所については、「注8」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

(10) 有床診療所入院基本料を算定する診療所のうち、区分番号「A109」有床診療所療養病床入院基本料を算定する病床を有する診療所においては、有床診療所入院基本料を算定する病床に入院している患者であっても、患者の状態に応じて、区分番号「A109」有床診療所療養病床入院基本料を算定することができる。

なお、この取扱いについては、患者の状態に応じて算定する入院基本料を変更できるが、変更は月単位とし、同一月内は同じ入院基本料を算定することとする。

(11) 区分番号「A109」の有床診療所療養病床入院基本料の例により算定する場合の費用の請求については、下記のとおりとする。

ア 区分番号「A109」有床診療所療養病床入院基本料の「注3」に定める費用は基本料に含まれるため、算定できない。

イ 区分番号「A109」有床診療所療養病床入院基本料の「注4」から「注7」までの加算並びに「注8」及び「注11」に掲げる各加算については、当該診療所に入院した日を入院初日として、それぞれの算定要件を満たす場合に算定することができる。

この場合において、入退院支援加算については、区分番号「A246」入退院支援加算1又は2のロの療養病棟入院基本料等の場合の例により算定する。

(12) 区分番号「A109」の入院基本料A、入院基本料B又は入院基本料Cのいずれかの算定に当たっては、定期的(少なくとも月に1回)に患者又はその家族に対して、当該患者の病状や治療内容等の入院療養の状況及び各区分への該当状況について、別紙様式2又はこれに準ずる様式により作成した書面又はその写しを交付のうえ十分な説明を行うとともに診療録に添付しておくこと。

(13) 「注10」に規定する栄養管理実施加算については、以下のとおりとする。

ア 栄養管理実施加算は、入院患者ごとに作成された栄養管理計画に基づき、関係職種が共同して患者の栄養状態等の栄養管理を行うことを評価したものである。

イ 当該加算は、入院患者であって、栄養管理計画を策定し、当該計画に基づき、関係職種が共同して栄養管理を行っている患者について算定できる。なお、当該加算は、食事を供与しておらず、食事療養に係る費用の算定を行っていない中心静脈注射等の治療を行っている患者であっても、栄養管理計画に基づき適切な栄養管理が行われている者であれば算定対象となること。

ウ 救急患者や休日に入院した患者など、入院日に策定できない場合の栄養管理計画は、入院後7日以内に策定したものについては、入院初日に遡って当該加算を算定することができる。

エ 管理栄養士をはじめとして、医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者が共同して栄養管理を行う体制を整備し、あらかじめ栄養管理手順(栄養スクリーニングを含む栄養状態の評価、栄養管理計画、定期的な評価等)を作成すること。

オ 栄養管理は、次に掲げる内容を実施するものとする。

(イ) 入院患者ごとの栄養状態に関するリスクを入院時に把握すること(栄養スクリーニング)。

(ロ) 栄養スクリーニングを踏まえて栄養状態の評価を行い、入院患者ごとに栄養管理計画(栄養管理計画の様式は、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」別添6の別紙23又はこれに準じた様式とする。)を作成すること。

(ハ) 栄養管理計画には、栄養補給に関する事項(栄養補給量、補給方法、特別食の有無等)、栄養食事相談に関する事項(入院時栄養食事指導、退院時の指導の計画等)、その他栄養管理上の課題に関する事項、栄養状態の評価の間隔等を記載すること。また、当該計画書又はその写しを診療録等に添付すること。

(ニ) 医師又は医師の指導の下に管理栄養士、薬剤師、看護師その他の医療従事者が栄養管理計画を入院患者に説明し、当該栄養管理計画に基づき栄養管理を実施すること。

(ホ) 栄養管理計画に基づき患者の栄養状態を定期的に評価し、必要に応じて当該計画を見直していること。

カ 当該栄養管理の実施体制に関する成果を含めて評価し、改善すべき課題を設定し、継続的な品質改善に努めること。

キ 当該診療所以外の管理栄養士等により栄養管理を行っている場合は、算定できない。

ク 当該加算を算定する場合は、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「10」入院栄養食事指導料は別に算定できない。

(14) 「注11」に規定する有床診療所在宅復帰機能強化加算は、在宅復帰機能の高い有床診療所を評価したものであること。

(15) 「注12」に規定する介護連携加算1及び2は、介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第2条各号に規定する疾病を有する40歳以上65歳未満の者又は65歳以上の者の受入について、十分な体制を有している有床診療所を評価したものである。なお、当該加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に規定する起算日とする。

A109 有床診療所療養病床入院基本料

(1) 有床診療所療養病床入院基本料は、「注1」の入院基本料及び「注2」の特別入院基本料から構成され、「注1」の入院基本料については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所(療養病床に係るものに限る。)に入院している患者について、別に厚生労働大臣が定める区分(1日に2つ以上の区分に該当する場合には、該当するもののうち最も高い点数の区分)に従い、当該患者ごとに入院基本料A等の各区分の所定点数を算定し、「注2」の特別入院基本料については、届け出た診療所(療養病床に係るものに限る。)に入院している患者について算定する。ただし、「注1」の入院基本料を算定している場合において、患者の急性増悪により、同一の保険医療機関の療養病床以外へ転室する場合にはその前日を1日目として3日前までの間、別の保険医療機関の一般病棟若しくは有床診療所の療養病床以外の病室へ転院する場合にはその当日を1日目として3日前までの間は、その日ごとに入院基本料Eを算定することができる。

(2) 「注1」の入院基本料のうち、入院基本料A、入院基本料B又は入院基本料Cのいずれかの算定に当たっては、定期的(少なくとも月に1回)に患者又はその家族に対して、当該患者の病状や治療内容等の入院療養の状況及び各区分への該当状況について、別紙様式2又はこれに準ずる様式により作成した書面又はその写しを交付のうえ十分な説明を行うとともに診療録に添付しておくこと。なお、やむを得ない理由により説明を行うことが困難な場合であっても、患者又はその家族の求めに応じ、当該書面又はその写しを交付するとともに診療録に添付しておくこと。また、患者又はその家族への説明に当たり、特に悪性腫瘍等の患者に対しては、患者本人の治療方針に関する理解状況を踏まえ、療養上著しく不適切なことが生じないよう配慮すること。

(3) 基本診療料の施設基準等別表第五に掲げる画像診断及び処置並びにこれらに伴い使用する薬剤、特定保険医療材料又は区分番号「J201」に掲げる酸素加算の費用並びに浣腸、注腸、吸入等基本診療料に含まれるものとされている簡単な処置及びこれに伴い使用する薬剤又は特定保険医療材料の費用については有床診療所療養病床入院基本料に含まれる。なお、有床診療所療養病床入院基本料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、有床診療所療養病床入院基本料に含まれているものであるため別に算定できない。ただし、「注1」のただし書の規定により、入院基本料Eを算定する場合については、この限りではない。

(4) 有床診療所療養病床入院基本料を算定する病床は主として長期にわたり療養の必要な患者が入院する施設であり、医療上特に必要がある場合に限り他の病床への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。なお、「注1」のただし書の規定により入院基本料Eを算定した場合においても、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(5) 有床診療所療養病床入院基本料を算定するに当たっては、次の点に留意する。

ア 定期的(少なくとも月に1回)に患者の状態の評価及び入院療養の計画を見直し、その要点を診療録に記載する。なお、入院時と退院時のADLの程度を診療録に記載する。

イ 患者の状態に著しい変化がみられた場合には、その都度、患者の状態を評価した上で、治療やケアを見直し、その要点を診療録等に記載する。

(6) 「注4」に規定する褥瘡対策加算1及び2については、区分番号「A101」療養病棟入院基本料の(7)の例による。

(7) 「注5」に規定する重症児(者)受入連携加算は、集中治療を経た新生児等を急性期の医療機関から受け入れ、病態の安定化のために密度の高い医療を提供することを評価したものであり、入院前の医療機関において区分番号「A246」入退院支援加算3が算定された患者を、有床診療所で受け入れた場合に入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(8) 「注6」に規定する救急・在宅等支援療養病床初期加算は、急性期医療の後方病床を確保し、在宅患者や介護保険施設入所者等の状態が軽度悪化した際に入院医療を提供できる病床を確保することにより、急性期医療を支えることを目的として、有床診療所の療養病床が有する以下のような機能を評価したものであり、転院又は入院した日から起算して14日を限度に算定できる。

ア 急性期医療を担う病院の一般病棟に入院し、急性期治療を終えて一定程度状態が安定した患者を、速やかに有床診療所の療養病床が受け入れることにより、急性期医療を担う病院を後方支援する。急性期医療を担う病院の一般病棟とは、具体的には、急性期一般入院基本料、7対1入院基本料若しくは10対1入院基本料(特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料に限る。)、地域一般入院基本料又は13対1入院基本料(専門病院入院基本料に限る。)を算定する病棟であること。ただし、地域一般入院基本料又は13対1入院基本料を算定する保険医療機関にあっては、区分番号「A205」救急医療管理加算の届出を行っている場合に限るものとする。また、同一の有床診療所内に一般病床と療養病床が併存する場合で、当該一般病床から療養病床に転床した患者については、算定できないものとする。

イ 介護保険施設、居住系施設等又は自宅で療養を継続している患者が、軽微な発熱や下痢等の症状をきたしたために入院医療を要する状態になった際に、有床診療所の療養病床が速やかに当該患者を受け入れる体制を有していることにより、自宅や介護保険施設等における療養の継続を後方支援する。なお、当該加算を算定する療養病床を有する有床診療所に介護保険施設等が併設されている場合は、当該併設介護保険施設等から受け入れた患者については、算定できないものとする。

(9) 「注7」に規定する看取り加算は夜間に1名以上の看護職員が配置されている有床診療所において、入院の日から30日以内に看取った場合に算定する。この場合、看取りに係る診療内容の要点等を診療録に記載する。なお、当該加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に規定する起算日とする。

(10) 有床診療所療養病床入院基本料を算定する病床については、「注8」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

(11) 有床診療所療養病床入院基本料を算定する診療所のうち、区分番号「A108」有床診療所入院基本料を算定する病床を有する診療所においては、有床診療所療養病床入院基本料を算定する病床に入院している患者であっても、患者の状態に応じて、区分番号「A108」有床診療所入院基本料の例により算定することができる。

なお、この取扱いについては、患者の状態に応じて算定する入院基本料を変更できるが、変更は月単位とし、同一月内は同じ入院基本料を算定することとする。

(12) 区分番号「A108」の有床診療所入院基本料の例により算定する場合、区分番号「A108」有床診療所入院基本料の「注2」から「注7」までの加算並びに「注8」、「注11」及び「注12」に掲げる各加算については、当該診療所に入院した日を初日として、それぞれの算定要件を満たす場合に算定することができる。

この場合において、入退院支援加算については、区分番号「A246」入退院支援加算1又は2のイの一般病棟入院基本料等の場合の例により算定する。

(13) 「注10」に規定する栄養管理実施加算の算定については、有床診療所入院基本料の(13)の例による。

(14) 「注11」に規定する有床診療所療養病床在宅復帰機能強化加算は、在宅復帰機能の高い療養病床を持つ有床診療所を評価したものであること。

第2節 入院基本料等加算

第1節入院基本料、第3節特定入院料及び第4節短期滞在手術等基本料と本節との関係は、別表1のとおりであるため、参考にされたい。

A200 総合入院体制加算

総合入院体制加算は、十分な人員配置及び設備等を備え総合的かつ専門的な急性期医療を24時間提供できる体制及び医療従事者の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制等を評価した加算であり、入院した日から起算して14日を限度として算定できる。なお、ここでいう入院した日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される入院の初日のことをいう。

A204 地域医療支援病院入院診療加算

(1) 地域医療支援病院入院診療加算は、地域医療支援病院における紹介患者に対する医療提供、病床や高額医療機器等の共同利用、24時間救急医療の提供等を評価するものであり、入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(2) (1)にかかわらず入院初日に病棟単位で行うべき特定入院料以外の特定入院料を算定した場合については、入院基本料の入院期間の計算により一連の入院期間とされる期間中に特定入院料を算定しなくなった日(当該日が退院日の場合は、退院日)において1回に限り算定する。

A204―2 臨床研修病院入院診療加算

(1) 研修医が、当該保険医療機関の研修プログラムに位置づけられた臨床研修病院及び臨床研修協力施設において、実際に臨床研修を実施している場合に、入院初日に限り算定できる。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(2) (1)において研修を実施している場合とは、基幹型臨床研修病院においては実際に研修医が研修を実施している期間及び研修医が協力型臨床研修病院又は協力施設において研修を実施している期間、協力型臨床研修病院においては実際に研修医が研修を実施している期間のことをいう。

(3) 研修医の診療録の記載に係る指導及び確認は、速やかに行うこととし、診療録には指導の内容が分かるように指導医自らが記載を行い、署名をすること。

A205 救急医療管理加算

(1) 緊急に入院を必要とする重症患者に対して救急医療が行われた場合に、入院した日から起算して7日に限り算定できる。なお、ここでいう入院した日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される入院の初日のことをいう。

(2) 救急医療管理加算1の対象となる患者は、次に掲げる状態のうちアからケのいずれかの状態にあって、医師が診察等の結果、緊急に入院が必要であると認めた重症患者をいう。なお、当該加算は、入院時において当該重症患者の状態であれば算定できるものであり、当該加算の算定期間中において継続して当該状態でなくても算定できる。

ア 吐血、喀血又は重篤な脱水で全身状態不良の状態

イ 意識障害又は昏睡

ウ 呼吸不全又は心不全で重篤な状態

エ 急性薬物中毒

オ ショック

カ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

キ 広範囲熱傷

ク 外傷、破傷風等で重篤な状態

ケ 緊急手術、緊急カテーテル治療・検査又はt―PA療法を必要とする状態

コ その他の重症な状態

(3) 救急医療管理加算2の対象となる患者は、(2)のアからケまでに準ずる状態又はコの状態にあって、医師が診察等の結果、緊急に入院が必要であると認めた重症患者をいう。なお、当該加算は、患者が入院時において当該状態であれば算定できるものであり、当該加算の算定期間中において継続して当該状態でなくても算定できる。

(4) 救急医療管理加算1を算定する場合は、以下の内容について、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ア (2)のアからケのうち該当する状態

イ (2)のイ、ウ、オ、カ又はキの状態に該当する場合は、それぞれの入院時の状態に係る指標

ウ 当該重症な状態に対して、入院後3日以内に実施した検査、画像診断、処置又は手術のうち主要なもの

(5) 救急医療管理加算2を算定する場合は、以下の内容について、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ア (2)のアからケまでに準ずる状態又はコの状態として該当するもの

イ (2)のイ、ウ、オ、カ又はキに準ずる状態に該当する場合は、それぞれの入院時の状態に係る指標

ウ 当該重症な状態に対して、入院後3日以内に実施した検査、画像診断、処置又は手術のうち主要なもの

(6) 都道府県知事又は指定都市市長の指定する精神科救急医療施設において、緊急に入院を必要とする重症患者(精神疾患であり、入院させなければ医療及び保護を図る上で支障のある状態)に対して救急医療が行われた場合にも算定できる。ただし、精神科応急入院施設管理加算又は精神科措置入院診療加算を算定した患者については算定できない。なお、精神科救急医療施設の運営については、「精神科救急医療体制整備事業の実施について」(平成20年5月26日障発第0526001号)に従い実施されたい。

(7) 加算の起算日となる入院日については、夜間又は休日において入院治療を必要とする重症患者に対して救急医療を提供した日(午前0時から午後12時まで)であって、その旨を地域の行政部門、医師会等の医療関係者及び救急搬送機関等にあらかじめ周知している日(あらかじめ定められた当番日以外の日でもよい。)とする。また、午前0時をまたいで夜間救急医療を提供する場合においては、夜間の救急医療を行った前後2日間とする。なお、当該加算の起算日に行う夜間又は休日の救急医療にあっては、第二次救急医療施設として必要な診療機能及び専用病床を確保するとともに、診療体制として通常の当直体制のほかに重症救急患者の受入れに対応できる医師等を始めとする医療従事者を確保していることとする。

(8) 「注2」に規定する乳幼児加算は、6歳未満の緊急に入院を必要とする重症患者に対して救急医療が行われた場合に7日を限度として算定する。

(9) 「注3」に規定する小児加算は、6歳以上15歳未満の緊急に入院を必要とする重症患者に対して救急医療が行われた場合に7日を限度として算定する。

A205―2 超急性期脳卒中加算

(1) 当該加算は脳梗塞と診断された患者であって、発症後4.5時間以内に組織プラスミノーゲン活性化因子を投与されたものに対して、入院治療を行った場合又は脳梗塞を発症後4.5時間以内に「基本診療料の施設基準等」第八の六の三に定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た他の保険医療機関の外来で組織プラスミノーゲン活性化因子を投与された患者を受け入れ、入院治療を行った場合に入院初日に限り所定点数に加算する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(2) 投与に当たっては、日本脳卒中学会脳卒中医療向上・社会保険委員会rt―PA(アルテプラーゼ)静注療法指針改訂部会作成の「rt―PA(アルテプラーゼ)静注療法適正治療指針」を踏まえ適切に行われるよう十分留意すること。

(3) 投与を行う保険医は日本脳卒中学会等の関係学会が行う脳梗塞t―PA適正使用に係る講習会を受講していること。

(4) 組織プラスミノーゲン活性化因子の投与に当たっては、必要に応じて、薬剤師、診療放射線技師又は臨床検査技師と連携を図ること。

(5) 組織プラスミノーゲン活性化因子を投与した保険医療機関と投与後に入院で治療を行った保険医療機関が異なる場合の当該診療報酬の請求は、組織プラスミノーゲン活性化因子の投与後に入院治療を行った保険医療機関で行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

A205―3 妊産婦緊急搬送入院加算

(1) 次に掲げる場合(当該妊娠及び入院医療を必要とする異常の原因疾患につき、直近3か月以内に当該加算を算定する保険医療機関への受診歴のある患者が緊急搬送された場合を除く。)において受け入れた妊産婦が、母体又は胎児の状態により緊急入院の必要があり、医療保険の対象となる入院診療を行った場合に入院初日に限り算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

ア 妊娠に係る異常又はその他入院医療を必要とする異常が疑われ、救急車等により当該保険医療機関に緊急搬送された場合

イ 他の医療機関において、妊娠に係る異常又はその他入院医療を必要とする異常が認められ、当該保険医療機関に緊急搬送された場合

ウ 助産所において、妊娠に係る異常又はその他入院医療を必要とする異常が疑われ、当該保険医療機関に緊急搬送された場合

(2) 当該加算は、緊急搬送された妊産婦が妊娠に係る異常以外の入院医療を必要とする異常が疑われる場合においては、当該保険医療機関において産科又は産婦人科の医師と当該異常に係る診療科の医師が協力して妊産婦の緊急搬送に対応することを評価するものであり、産科又は産婦人科以外の診療科への入院の場合においても算定できる。

(3) (1)において、受診歴とは妊婦健診及び往診等による受診を含むものである。ただし、(1)のウの場合において、当該保険医療機関が当該助産所の嘱託医療機関である場合又は当該保険医療機関の保険医が当該助産所の嘱託医である場合においては、嘱託医療機関又は嘱託医が実施した妊婦健診は、受診歴に含まない。なお、この場合においては、嘱託医療機関であること又は嘱託医の氏名を診療録に記載すること。

(4) 妊産婦とは産褥婦を含む(以下この節において同じ。)。

A206 在宅患者緊急入院診療加算

(1) 在宅での療養を行っている患者の病状の急変等により入院が必要となった場合に、円滑に入院でき、かつ入院を受け入れた保険医療機関(以下この項において「受入保険医療機関」という。)においても患者の意向を踏まえた医療が引き続き提供されるための取組を評価した加算である。

(2) 診療所において区分番号「C002」在宅時医学総合管理料、区分番号「C002―2」施設入居時等医学総合管理料、区分番号「C003」在宅がん医療総合診療料又は第2章第2部第2節第1款に掲げる在宅療養指導管理料の各区分に掲げる指導管理料(区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を除く。)を入院の月又はその前月に算定している患者について、当該患者の病状の急変等に伴い当該診療所の保険医の求めに応じて入院させた場合に、受入保険医療機関において、当該入院中1回に限り、入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(3) 当該診療所の保険医の求めによらない緊急入院において、当該患者の入院後24時間以内に、当該診療所の保険医から、受入保険医療機関の保険医に対して当該患者の診療情報が提供された場合であっても算定できる。

(4) 在宅患者緊急入院診療加算の「1」は、以下の場合に算定する。

ア 「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の第9在宅療養支援診療所の施設基準の1(2)又は第14の2在宅療養支援病院の施設基準の1(2)に規定する在宅支援連携体制を構築している在宅療養支援診療所が診療を行っている患者を、当該診療所の保険医の求めに応じて、同じく当該体制を構築している、病床を有する他の在宅療養支援診療所(「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の第9在宅療養支援診療所の施設基準の1(2)の在宅療養支援診療所に限る。)又は在宅療養支援病院(「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の第14の2在宅療養支援病院の施設基準の1(2)の在宅療養支援病院に限る。)に入院させた場合

イ 「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の第16の3在宅療養後方支援病院(当該施設基準を満たすものを以下「在宅療養後方支援病院」という。)の施設基準の1(2)に規定する連携医療機関が訪問診療を行っている患者であって、緊急時に当該在宅療養後方支援病院に入院を希望する者として当該在宅療養後方支援病院にあらかじめ届け出ている者を、当該連携医療機関の保険医の求めに応じて、当該在宅療養後方支援病院に入院させた場合

(5) 在宅患者緊急入院診療加算の「2」は、当該診療所の保険医が患者又はその家族に対して、事前に緊急時の受入保険医療機関の名称等を文書にて提供し、受入保険医療機関に入院した場合(「1」の場合を除く。)に算定する。また、当該診療所の保険医は、提供した文書の写しを診療録に添付すること。

(6) 受入保険医療機関の保険医は、入院前又は入院後速やかに患者の希望する診療内容等の情報を当該診療所の保険医に確認し共有すること。

A207 診療録管理体制加算

診療録管理体制加算は、適切な診療記録の管理を行っている体制を評価するものであり、現に患者に対し診療情報を提供している保険医療機関において、入院初日に限り算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

A207―2 医師事務作業補助体制加算

(1) 医師事務作業補助体制加算は、医師の負担の軽減及び処遇の改善に対する体制を確保することを目的として、医師、医療関係職員、事務職員等との間での業務の役割分担を推進し、医師の事務作業を補助する専従者(以下「医師事務作業補助者」という。)を配置している体制を評価するものである。

(2) 医師事務作業補助体制加算は、当該患者の入院初日に限り算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(3) 医師事務作業補助者の業務は、医師(歯科医師を含む。)の指示の下に、診断書等の文書作成補助、診療記録への代行入力、医療の質の向上に資する事務作業(診療に関するデータ整理、院内がん登録等の統計・調査、教育や研修・カンファレンスのための準備作業等)、入院時の案内等の病棟における患者対応業務及び行政上の業務(救急医療情報システムへの入力、感染症サーベイランス事業に係る入力等)への対応に限定するものであること。なお、医師以外の職種の指示の下に行う業務、診療報酬の請求事務(DPCのコーディングに係る業務を含む。)、窓口・受付業務、医療機関の経営、運営のためのデータ収集業務、看護業務の補助及び物品運搬業務等については医師事務作業補助者の業務としないこと。

(4) 医師事務作業補助者は、院内の医師の業務状況等を勘案して配置することとし、病棟における業務以外にも、外来における業務や、医師の指示の下であれば、例えば文書作成業務専門の部屋等における業務も行うことができる。ただし、医師事務作業補助体制加算1を算定する場合は、医師事務作業補助者の延べ勤務時間数の8割以上の時間において、医師事務作業補助の業務が病棟又は外来において行われていること。なお、医師の指示に基づく診断書等の文書作成補助、診療記録への代行入力及び医療の質の向上に資する事務作業(診療に関するデータ整理、院内がん登録等の統計・調査、教育や研修・カンファレンスのための準備作業等)に限っては、当該保険医療機関内での実施の場所を問わず、病棟又は外来における医師事務作業補助の業務時間に含めることとする。

A207―3 急性期看護補助体制加算

(1) 急性期看護補助体制加算は、地域の急性期医療を担う保険医療機関において、看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制を確保することを目的として、看護業務を補助する看護補助者を配置している体制を評価するものである。

(2) 急性期看護補助体制加算は、当該加算を算定できる病棟において、看護補助者の配置基準に応じて算定する。なお、当該病棟において入院基本料等の施設基準に定める必要な数を超えて配置している看護職員については、看護補助者とみなして計算することができるが、25対1急性期看護補助体制加算は、当該加算の配置基準に必要な看護補助者の数に対するみなし看護補助者を除いた看護補助者の比率に応じた点数を算定すること。

(3) 急性期看護補助体制加算を算定する病棟は、身体的拘束を最小化する取組を実施した上で算定する。取組内容については、区分番号「A101」療養病棟入院基本料の(16)の例による。

(4) 夜間急性期看護補助体制加算は、みなし看護補助者ではなく、看護補助者の配置を夜勤時間帯に行っている場合にのみ算定できる。

(5) 急性期看護補助体制加算及び夜間急性期看護補助体制加算は、当該患者が入院した日から起算して14日を限度として算定できる。なお、ここでいう入院した日とは、第2部入院料等の通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される入院の初日のことをいう。

(6) 「注3」に規定する夜間看護体制加算は、「注2」に規定する夜間30対1急性期看護補助体制加算、夜間50対1急性期看護補助体制加算又は夜間100対1急性期看護補助体制加算を算定している病棟において算定する。

A207―4 看護職員夜間配置加算

(1) 看護職員夜間配置加算は、看護職員の手厚い夜間配置を評価したものであるため、当該基準を満たしていても、基本診療料の施設基準等の第5の1の(7)に定める夜勤の看護職員の最小必要数を超えた3人以上でなければ算定できない。

(2) 看護職員夜間配置加算は、当該患者が入院した日から起算して14日を限度として算定できる。なお、ここでいう入院した日とは、第2部入院料等の通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される入院の初日のことをいう。

A208 乳幼児加算・幼児加算

乳幼児加算又は幼児加算は、当該患者を入院させた場合に算定するものであって、産婦又は生母の入院に伴って健康な乳幼児又は幼児を在院させた場合にあっては、算定できない。

A210 難病等特別入院診療加算

(1) メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症患者については、菌の排出がなくなった後、3週間を限度として算定する。

(2) 特殊疾患入院施設管理加算を算定している患者については算定できない。

A211 特殊疾患入院施設管理加算

(1) 重度の肢体不自由児(者)(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。以下単に「重度の肢体不自由児(者)」という。)、脊髄損傷等の重度の障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者又は神経難病患者等を主として入院させる障害者施設等一般病棟等その他の病棟及び有床診療所(一般病床に限る。)において算定する。

(2) 重度の意識障害者とは、次に掲げる者をいう。なお、病因が脳卒中の後遺症であっても、次の状態である場合には、重度の意識障害者となる。

ア 意識障害レベルがJCS(Japan Coma Scale)でⅡ―3(又は30)以上又はGCS(Glasgow Coma Scale)で8点以下の状態が2週以上持続している患者

イ 無動症の患者(閉じ込め症候群、無動性無言、失外套症候群等)

(3) 神経難病患者とは、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎又はもやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)に罹患している患者をいう。

A212 超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算

(1) 超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算は、出生時、乳幼児期又は小児期等の15歳までに障害を受けた児(者)で、当該障害に起因して超重症児(者)又は準超重症児(者)の判定基準を満たしている児(者)に対し、算定する。

ただし、上記以外の場合であって、重度の肢体不自由児(者)(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者は除く。)、脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者は除く。)、重度の意識障害者(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者については、平成24年3月31日時点で30日以上継続して当該加算を算定している患者に限る。)、筋ジストロフィー患者又は神経難病患者等については、(2)又は(3)の基準を満たしていれば、当面の間、当該加算を算定できるものとする。

(2) 超重症児(者)入院診療加算の対象となる超重症の状態は、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の別添6の別紙14の「超重症児(者)・準超重症児(者)の判定基準」による判定スコアが25以上のものをいう。

(3) 準超重症児(者)入院診療加算の対象となる準超重症の状態は、当該「超重症児(者)・準超重症児(者)の判定基準」による判定スコアが10以上のものをいう。

(4) 「注3」の救急・在宅重症児(者)受入加算については、超重症児(者)又は準超重症児(者)の判定基準を満たす患者が自宅から入院する場合又は急性期医療を担う病院から転院する場合に、入院又は転院した日から起算して5日を限度として算定する。急性期医療を担う病院から転院する場合の患者については、特定集中治療室管理料の「注2」の小児加算、小児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室管理料又は総合周産期特定集中治療室管理料の「2」新生児集中治療室管理料を算定したことのある患者であること。なお、同一医療機関において転棟した患者については、当該加算は算定できない。また、ここでいう入院した日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される入院の初日のことをいう。

(5) 超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算は、一般病棟(障害者施設等入院基本料、特殊疾患病棟入院料及び特殊疾患入院医療管理料を算定する病棟又は病室を除く。)においては、入院した日から起算して90日間に限り算定する。なお、ここでいう入院した日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される入院の初日のことをいう。

A213 看護配置加算

看護配置加算は、看護師比率が40%以上と規定されている入院基本料を算定している病棟全体において、70%を超えて看護師を配置している場合に算定する。

A214 看護補助加算

(1) 看護補助加算は、当該加算を算定できる病棟において、看護補助者の配置基準に応じて算定する。なお、当該病棟において必要最小数を超えて配置している看護職員について、看護補助者とみなして計算することができる。

(2) 看護補助加算を算定する病棟は、次に掲げる身体的拘束を最小化する取組を実施した上で算定する。

ア 入院患者に対し、日頃より身体的拘束を必要としない状態となるよう環境を整える。

イ 身体的拘束を実施するかどうかは、職員個々の判断でなく、当該患者に関わる医師、看護師等、当該患者に関わる複数の職員で検討する。(精神病棟を除く。)

ウ やむを得ず身体的拘束を実施する場合であっても、当該患者の生命及び身体の保護に重点を置いた行動の制限であり、代替の方法が見いだされるまでの間のやむを得ない対応として行われるものであることから、可及的速やかに解除するよう努める。

エ 身体的拘束を実施するに当たっては、次の対応を行う。

(イ) 実施の必要性等のアセスメント

(ロ) 患者家族への説明と同意

(ハ) 身体的拘束の具体的行為や実施時間等の記録

(ニ) 二次的な身体障害の予防

(ホ) 身体的拘束の解除に向けた検討

オ 身体的拘束を実施した場合は、解除に向けた検討を少なくとも1日に1度は行う。なお、身体的な拘束を実施することを避けるために、ウ及びエの対応をとらずに家族等に対し付き添いを強要することがあってはならない。

(3) 夜間75対1看護補助加算は、看護補助加算を算定している病棟において、当該患者が入院した日から起算して20日を限度として所定点数に加算する。なお、みなし看護補助者ではなく、看護補助者の配置を夜勤時間帯に行っている場合にのみ算定できる。また、ここでいう入院した日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される入院の初日のことをいう。

A218 地域加算

地域加算は、医業経費における地域差に配慮したものであり、人事院規則で定める地域及び当該地域に準じる地域に所在する保険医療機関において、入院基本料、特定入院料又は短期滞在手術等基本料2の加算として算定できる。

A218―2 離島加算

離島加算は、離島における入院医療の応需体制を確保する必要があることから、別に厚生労働大臣が定める地域に所在する保険医療機関において、入院基本料、特定入院料又は短期滞在手術等基本料2の加算として算定できる。

A219 療養環境加算

(1) 特別の療養環境の提供に係る病室については、加算の対象とはならない。

(2) 医師並びに看護師、准看護師及び看護補助者の員数が医療法の定める標準を満たしていない病院では算定できない。

A220 HIV感染者療養環境特別加算

後天性免疫不全症候群の病原体に感染している者については、CD4リンパ球数の値にかかわらず、抗体の陽性反応があれば、患者の希望により特別の設備の整った個室に入室する場合を除き、当該加算を算定する。

A220―2 二類感染症患者療養環境特別加算

(1) 加算の対象となる者は、感染症法第6条第3項に規定する二類感染症の疾病を有する患者、新型インフルエンザの患者及びそれらの疑似症患者であって、保険医が他者へ感染させるおそれがあると認め、状態に応じて、個室又は陰圧室に入院した者である。

(2) 個室かつ陰圧室である場合には、個室加算及び陰圧室加算を併算定できる。

(3) 陰圧室加算を算定する場合は、結核患者等を収容している日にあっては、病室及び特定区域の陰圧状態を煙管(ベビーパウダー等を用いて空気流の状況を確認する方法で代用可能)又は差圧計等によって点検し、記録をつけること。ただし、差圧計はその位置によって計測値が変わることに注意すること。差圧計によって陰圧の確認を行う場合、差圧計の動作確認及び点検を定期的に実施すること。

A221 重症者等療養環境特別加算

(1) 加算の対象となる者は、次のいずれかに該当する患者であって、特に医療上の必要から個室又は2人部屋の病床に入院した者である。

ア 病状が重篤であって絶対安静を必要とする患者

イ 必ずしも病状は重篤ではないが、手術又は知的障害のため常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする患者

(2) インキュベーターに収容した新生児又は乳幼児は、加算の対象とならない。

(3) 当該加算の対象となった患者の氏名及び入院日数を記録し、3年間保存しておくこと。

A221―2 小児療養環境特別加算

(1) 小児療養環境特別加算の対象となる患者は、次のいずれかの状態に該当する15歳未満の小児患者であって、保険医が治療上の必要から個室での管理が必要と認めたものである。

ア 麻疹等の感染症に罹患しており、他の患者への感染の危険性が高い患者

イ 易感染性により、感染症罹患の危険性が高い患者

(2) 当該加算を算定する場合は、(1)のア又はイのいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(3) 当該患者の管理に係る個室が特別の療養環境の提供に係る病室であっても差し支えないが、患者から特別の料金の徴収を行うことはできない。

A222 療養病棟療養環境加算

(1) 療養病棟療養環境加算は、長期にわたり療養を必要とする患者に提供される療養環境を総合的に評価したものである。

(2) 特別の療養環境の提供に係る病室に入室しており、かつ、患者から特別の料金の徴収を行っている場合には算定できない。

A222―2 療養病棟療養環境改善加算

(1) 療養病棟療養環境改善加算は、長期にわたり療養を必要とする患者に提供するための療養環境の整備に資する取組みを総合的に評価したものである。

(2) 患者から特別の料金の徴収を行っている場合には算定できない。

A223 診療所療養病床療養環境加算

(1) 診療所療養病床療養環境加算は、長期にわたり療養を必要とする患者に提供される療養環境を総合的に評価したものである。

(2) 特別の療養環境の提供に係る病室に入室しており、かつ、患者から特別の料金の徴収を行っている場合には算定できない。

A223―2 診療所療養病床療養環境改善加算

(1) 診療所療養病床療養環境改善加算は、長期にわたり療養を必要とする患者に提供するための療養環境の整備に資する取組みを総合的に評価したものである。

(2) 患者から特別の料金の徴収を行っている場合には算定できない。

A224 無菌治療室管理加算

(1) 当該加算は、保険医療機関において、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症等の患者に対して、必要があって無菌治療室管理を行った場合に算定する。

なお、無菌治療室管理とは、当該治療室において、医師等の立入等の際にも無菌状態が保たれるよう必要な管理をいう。

(2) 当該加算は、一連の治療につき、無菌室に入室した日を起算日として90日を限度として算定する。

A225 放射線治療病室管理加算

当該加算は、悪性腫瘍の患者に対して、放射線治療病室管理を行った場合に算定する。なお、放射線治療病室管理とは、密封小線源あるいは治療用放射性同位元素により治療を受けている患者を入院させる病室における放射線に係る必要な管理をいう。

A226 重症皮膚潰瘍管理加算

(1) 重症皮膚潰瘍管理とは、重症な皮膚潰瘍(Sheaの分類Ⅲ度以上のものに限る。)を有している者に対して、計画的な医学管理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行うことをいう。

(2) 当該加算を算定する場合は、当該患者の皮膚潰瘍がSheaの分類のいずれに該当するかについて、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

A226―2 緩和ケア診療加算

(1) 当該加算は、一般病床に入院する悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群又は末期心不全の患者のうち、疼痛、倦怠感、呼吸困難等の身体的症状又は不安、抑うつなどの精神症状を持つ者に対して、当該患者の同意に基づき、症状緩和に係るチーム(以下「緩和ケアチーム」という。)による診療が行われた場合に算定する。

(2) 末期心不全の患者とは、以下のアからウまでの基準及びエからカまでのいずれかの基準に該当するものをいう。

ア 心不全に対して適切な治療が実施されていること。

イ 器質的な心機能障害により、適切な治療にかかわらず、慢性的にNYHA重症度分類Ⅳ度の症状に該当し、頻回又は持続的に点滴薬物療法を必要とする状態であること。

ウ 過去1年以内に心不全による急変時の入院が2回以上あること。なお、「急変時の入院」とは、患者の病状の急変等による入院を指し、予定された入院は除く。

エ 左室駆出率が20%以下であること。

オ 医学的に終末期であると判断される状態であること。

カ エ又はオに掲げる状態に準ずる場合であること。

(3) 緩和ケアチームは、身体症状及び精神症状の緩和を提供することが必要である。緩和ケアチームの医師は緩和ケアに関する研修を修了した上で診療に当たること。ただし、後天性免疫不全症候群の患者を診療する際には当該研修を修了していなくても当該加算は算定できる。

(4) 緩和ケアチームは初回の診療に当たり、当該患者の診療を担う保険医、看護師及び薬剤師などと共同の上別紙様式3又はこれに準じた緩和ケア診療実施計画書を作成し、その内容を患者に説明の上交付するとともに、その写しを診療録等に添付すること。

(5) 当該加算を算定する患者については入院精神療法の算定は週に1回までとする。

(6) 1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね30人以内とする。ただし、「注2」に規定する点数を算定する場合は、1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね15人以内とする。

(7) 症状緩和に係るカンファレンスが週1回程度開催されており、緩和ケアチームの構成員及び必要に応じて、当該患者の診療を担当する保険医、看護師などが参加している。

(8) 「注2」に規定する点数は、「基本診療料の施設基準等」別表第六の二に掲げる地域に所在する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が400床以上の病院、DPC対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期一般入院料1のみを届け出ている病院を除く。)の一般病棟において、算定可能である。なお、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」別添2「入院基本料等の施設基準等」第5の6の規定により看護配置の異なる病棟ごとに一般病棟入院基本料の届出を行っている保険医療機関においては、一般病棟入院基本料(急性期一般入院料1を除く。)を算定している病棟で当該点数を算定できる。

(9) 「注4」に規定する点数は、緩和ケア診療加算を算定している患者について、緩和ケアチームに管理栄養士が参加し、個別の患者の症状や希望に応じた栄養食事管理を行った場合に算定する。

(10) 「注4」に規定する点数を算定する場合は、緩和ケア診療実施計画に基づき実施した栄養食事管理の内容を診療録等に記載又は当該内容を記録したものを診療録等に添付すること。

A226―3 有床診療所緩和ケア診療加算

(1) 当該加算は、一般病床に入院する悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群又は末期心不全の患者のうち、疼痛、倦怠感、呼吸困難等の身体的症状又は不安、抑うつなどの精神症状を持つ者に対して、当該患者の同意に基づき、医師、看護師が共同して緩和ケアに係る診療が行われた場合に算定する。なお、末期心不全の患者については、A226―2緩和ケア診療加算の(2)の基準に該当するものに限る。

(2) 緩和ケアに従事する医師、看護師は、身体症状及び精神症状の緩和を提供することが必要である。緩和ケアに従事する医師又は看護師のいずれかは緩和ケアに関する研修を修了していること。ただし、後天性免疫不全症候群の患者を診療する際には当該研修を修了していなくても当該加算は算定できる。

(3) 緩和ケアに係る診療に当たり、医師、看護師が共同の上別紙様式3(主治医、精神科医、緩和ケア医は同一で差し支えない。)又はこれに準じた緩和ケア診療実施計画書を作成し、その内容を患者に説明の上交付するとともに、その写しを診療録等に添付すること。

(4) 当該加算を算定する患者については入院精神療法の算定は週に1回までとする。

A227 精神科措置入院診療加算

精神科措置入院診療加算は、措置入院又は緊急措置入院に係る患者について当該入院期間中1回に限り入院初日に限り算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。ただし、応急入院患者として入院し、入院後措置入院又は緊急措置入院が決定した場合は、当該措置入院又は緊急措置入院が決定した日に算定する。また、この場合にあっては、精神科応急入院施設管理加算は算定できない。

A227―2 精神科措置入院退院支援加算

(1) 精神科措置入院退院支援加算は、措置入院又は緊急措置入院に係る患者(措置入院又は緊急措置入院後に当該入院を受け入れた保険医療機関又は転院先の保険医療機関において医療保護入院等により入院継続した者を含む。以下この項目において「措置入院者」という。)に対して、入院中から、都道府県、保健所を設置する市又は特別区(以下この項において「都道府県等」という。)と連携して退院に向けた以下の全ての支援を実施した場合に、退院時1回に限り算定する。

ア 当該保険医療機関の管理者は、措置入院者を入院させた場合には、入院後速やかに、当該患者の退院後の生活環境に関し、本人及びその家族等の相談支援を行う担当者を選任すること。

イ 都道府県等が作成する退院後支援に関する計画が適切なものとなるよう、多職種で共同して当該患者の退院後支援のニーズに関するアセスメントを実施し、都道府県等と協力して計画作成のために必要な情報収集、連絡調整を行うこと。

ウ 退院後支援に関する計画を作成する都道府県等に協力し、当該患者の入院中に、退院後支援のニーズに関するアセスメントの結果及びこれを踏まえた計画に係る意見書を都道府県等へ提出すること。

エ アからウまでに関して、精神障害者の退院後支援に関する指針に沿って実施すること。

(2) 当該加算の退院とは、自宅等へ移行することをいう。なお、ここでいう「自宅等へ移行する」とは、患家、介護老人保健施設、介護医療院又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害福祉サービスを行う施設又は福祉ホーム(以下「精神障害者施設」という。)へ移行することである。なお、ここでいう「患家」とは、退院先のうち、同一の保険医療機関において転棟した場合、他の保険医療機関へ転院した場合及び介護老人保健施設、介護医療院又は精神障害者施設に入所した場合を除いたものをいう。

A228 精神科応急入院施設管理加算

(1) 精神科応急入院施設管理加算の算定の対象となる応急入院患者は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号。以下「精神保健福祉法」という。)第33条の7第1項に規定する応急入院患者及び精神保健福祉法第34条第1項から第3項までの規定により移送された患者(以下「応急入院患者等」という。)であり、その取扱いについては昭和63年4月6日健医発第433号厚生省保健医療局長通知に即して行うこと。

(2) 当該加算は、入院初日に算定できるものであるが、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(3) 応急入院患者等として入院した場合であっても、入院後、精神保健福祉法第29条第1項に規定する措置入院として措置が決定した場合は精神科応急入院施設管理加算は算定できない。なお、応急入院等の後の入院形態の変更については、各都道府県の衛生担当部局との連絡を密にすること。

(4) 診療報酬明細書を審査支払機関に提出した後に措置入院が決定した場合にあっては、遅滞なく、精神科応急入院施設管理加算の請求を取り下げる旨を当該保険医療機関が審査支払機関に申し出ること。

(5) 精神科応急入院施設管理加算を算定する場合にあっては、応急入院患者等である旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

A229 精神科隔離室管理加算

(1) 当該加算が算定できる隔離とは、精神保健福祉法第36条第3項の規定に基づいて行われるものをいう。患者の隔離に当たっては、同法第37条第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準に従うとともに、隔離を行っている間は1日1回以上診察を行うこと。

(2) 精神科隔離室管理加算を算定する場合には、その隔離の理由を診療録に記載し、1日1回の診察の内容を診療録に記載すること。

(3) 精神保健福祉法第36条第3項に規定する隔離が数日間にわたり連続して行われた場合にあっては、当該隔離の開始日及び終了日についても精神科隔離室管理加算を算定できる。

(4) 隔離時間が12時間以下の場合や患者本人の意思に基づいて隔離を行った場合には算定できない。また、当該加算は、月に7日を超えて算定できない。なお、応急入院中の期間及び精神科措置入院診療加算を算定した日に行った隔離については、当該加算の日数には数えない。

(5) 精神科応急入院施設管理加算を算定した入院患者について、当該応急入院中に行った隔離については、精神科隔離室管理加算は算定できない。ただし、当該応急入院の終了後も措置入院等で入院を継続している場合であって、精神保健福祉法第36条第3項の規定に基づく隔離を行った場合は算定できる。

(6) 精神科措置入院診療加算を算定する同一日に行った隔離については、精神科隔離室管理加算は算定できない。

(7) 当該加算は、「厚生労働大臣の定める入院患者数の基準及び医師等の員数の基準並びに入院基本料の算定方法(平成18年厚生労働省告示第104号)」に規定する基準に該当する保険医療機関については、算定できない。

A230 精神病棟入院時医学管理加算

精神病棟においては、総合入院体制加算は算定できず、精神病棟入院時医学管理加算のみを算定する。

A230―2 精神科地域移行実施加算

精神科地域移行実施加算は、精神障害者の地域移行支援に係る取組を計画的に進めることにより、当該保険医療機関における入院期間5年を超える入院患者のうち、1年間に5%以上の患者(退院後3月以内に再入院した患者を除く。)が退院した実績がある場合に、1年間算定する。

A230―3 精神科身体合併症管理加算

(1) 精神科身体合併症管理加算は、精神科を標榜する保険医療機関であって、精神科以外の診療科の医療体制との連携が取られている病棟において、精神病床に入院している身体合併症を併発した精神疾患患者に対して、精神疾患、身体疾患両方について精神科を担当する医師と内科又は外科を担当する医師が協力し、治療が計画的に提供されることを評価したものである。

(2) 当該加算は、当該疾患の治療開始日から15日間に限り算定できるものであり、同一月において同一疾患に対して1回に限り算定できる。また、同一月に複数の身体疾患を発症した場合には、それぞれの疾患について、それぞれの疾患の治療開始日から15日間に限り当該加算を算定することが可能であるが、この場合であっても、同一月内に当該加算を算定できる期間は20日間までとする。なお、複数の身体疾患を同時期に発症した場合であって、当該加算を算定する日が重複する日は、いずれか1つの疾患に係る加算を算定する。

(3) 精神科身体合併症管理加算の注に規定する厚生労働大臣が定める身体合併症のうち、肺炎については、抗生物質又はステロイドの投与を要する状態、意識障害については、意識レベルにかかわらず、規定された疾患や手術後によるせん妄状態に準ずる状態である。また、手術又は直達・介達牽引を要する骨折については、骨折の危険性が高い骨粗鬆症であって骨粗鬆症治療剤の注射を要する状態を含むものとする。

(4) 当該加算を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、別に厚生労働大臣が定める身体合併症の患者のいずれに該当するかを記載する。

A230―4 精神科リエゾンチーム加算

(1) 精神科リエゾンチーム加算は、一般病棟におけるせん妄や抑うつといった精神科医療のニーズの高まりを踏まえ、一般病棟に入院する患者の精神状態を把握し、精神科専門医療が必要な者を早期に発見し、可能な限り早期に精神科専門医療を提供することにより、症状の緩和や早期退院を推進することを目的として、精神科医、専門性の高い看護師、薬剤師、作業療法士、精神保健福祉士、公認心理師等多職種からなるチーム(以下「精神科リエゾンチーム」という。)が診療することを評価したものである。

(2) 精神科リエゾンチーム加算の算定対象となる患者は、せん妄や抑うつを有する患者、精神疾患を有する患者、自殺企図で入院した患者であり、当該患者に対して精神科医療に係る専門的知識を有した精神科リエゾンチームによる診療が行われた場合に週1回に限り算定する。

(3) 1週間当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね30人以内とする。

(4) 精神科リエゾンチームは以下の診療を行うこと。

ア 精神科リエゾンチームは初回の診療に当たり、当該患者の診療を担当する保険医、看護師等と共同で別紙様式29の2又はこれに準じた診療実施計画書を作成し、その内容を患者等に説明した上で診療録等に添付する。

イ 精神症状の評価や診療方針の決定等に係るカンファレンス及び回診が週1回程度実施されており、必要に応じて当該患者の診療を担当する医師、看護師等が参加し、別紙様式29又はこれに準じた治療評価書を作成し、その内容を患者等に説明した上で診療録等に添付する。

ウ 治療終了時又は退院若しくは転院時に、治療結果の評価を行い、それを踏まえてチームで終了時指導又は退院時等指導を行い、その内容を別紙様式29又はこれに準じた治療評価書を作成し、その内容を患者等に説明した上で診療録等に添付する。

エ 退院又は転院後も継続した精神科医療が必要な場合、退院又は転院後も継続できるような調整を行うこと。紹介先保険医療機関等に対して、診療情報提供書を作成した場合は、当該計画書及び評価書を添付する。

(5) 精神科リエゾンチーム加算を算定した患者に精神科専門療法を行った場合には別に算定できる。

(6) 精神科リエゾンチームは、現に当該加算の算定対象となっていない患者の診療を担当する医師、看護師等からの相談に速やかに応じ、必要に応じて精神状態の評価等を行うこと。

(7) 平成31年4月1日から当分の間、以下のいずれかの要件に該当する者を公認心理師とみなす。

ア 平成31年3月31日時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者

イ 公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者

A231―2 強度行動障害入院医療管理加算

(1) 強度行動障害入院医療管理加算は、医学的管理を要する行為があるが意思の伝達が困難な強度行動障害児(者)に対して、経験を有する医師、看護師等による臨床的観察を伴う専門的入院医療が提供されることを評価したものである。

(2) 強度行動障害入院医療管理加算の対象となる強度行動障害の状態は、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の別添6の別紙14の2の強度行動障害スコアが10以上及び医療度判定スコアが24以上のものをいう。

A231―3 重度アルコール依存症入院医療管理加算

(1) 重度アルコール依存症入院医療管理加算は、アルコール依存症の入院患者に対して、医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理師等によるアルコール依存症に対する集中的かつ多面的な専門的治療の計画的な提供を評価したものであり、入院した日から起算して60日を限度として、当該患者の入院期間に応じて算定する。なお、ここでいう入院した日とは第2部通則5に規定するものをいい、入院期間が通算される再入院時は算定できない。

(2) 当該加算の対象となるのは、入院治療を要するアルコール依存症患者に対して、治療プログラムを用いたアルコール依存症治療を行った場合であり、合併症の治療のみを目的として入院した場合は算定できない。

(3) 当該加算を算定する場合には、医師は看護師、精神保健福祉士、公認心理師等と協力し、家族等と協議の上、詳細な診療計画を作成する。また、作成した診療計画を家族等に説明の上交付するとともにその写しを診療録に添付する。なお、これにより入院診療計画の基準を満たしたものとされるものである。

(4) 家族等に対して面接相談等適切な指導を適宜行う。

(5) 平成31年4月1日から当分の間、以下のいずれかの要件に該当する者を公認心理師とみなす。

ア 平成31年3月31日時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者

イ 公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者

A231―4 摂食障害入院医療管理加算

(1) 摂食障害入院医療管理加算は、摂食障害の患者に対して、医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理師及び管理栄養士等による集中的かつ多面的な治療が計画的に提供されることを評価したものである。

(2) 摂食障害入院医療管理加算の算定対象となる患者は、摂食障害による著しい体重減少が認められる者であって、BMI(Body Mass Index)が15未満であるものをいう。

(3) 平成31年4月1日から当分の間、以下のいずれかの要件に該当する者を公認心理師とみなす。

ア 平成31年3月31日時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者

イ 公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者

A232 がん拠点病院加算

(1) がん診療の拠点となる病院として、当該加算の対象となる病院は、「がん診療連携拠点病院等の整備について」(平成30年7月31日健発0731第1号厚生労働省健康局長通知)に定めるがん診療連携拠点病院等(がん診療連携拠点病院(都道府県がん診療連携拠点病院及び地域がん診療連携拠点病院(高度型及び特例型を含む。))、特定領域がん診療連携拠点病院及び地域がん診療病院)又は「小児がん拠点病院の整備について」(平成30年7月31日健発0731第2号厚生労働省健康局長通知)に定める小児がん拠点病院をいう。特定領域がん診療連携拠点病院については、当該特定領域の悪性腫瘍の患者についてのみ、がん拠点病院加算の1のイを算定する(以下同じ。)。

(2) がん拠点病院加算の1のイは、キャンサーボードの設置を含めたがんの集学的治療、緩和ケアの提供、地域医療との連携、専門医師その他の専門の医療従事者の配置、院内がん登録の適切な実施、相談支援センター等の体制を備えた、がん診療連携拠点病院(地域がん診療連携拠点病院(特例型)を除く。)として指定された病院を評価したものである。

(3) がん拠点病院加算の1のロは、がんの集学的治療、緩和ケアの提供、地域医療との連携、専門医師その他の専門の医療従事者の配置、院内がん登録の適切な実施、相談支援センター等の体制を備えた、地域がん診療連携拠点病院(特例型)又は地域がん診療病院として指定された病院を評価したものである。

(4) がん拠点病院加算の2は、地域における小児がん医療及び支援を提供する中心施設として、キャンサーボードの設置を含めたがんの集学的治療、長期フォローアップ体制、緩和ケアの提供、地域医療との連携、専門医師その他の専門の医療従事者の配置、院内がん登録の適切な実施、相談支援センター、適切な療育環境等の体制を備えた、小児がん拠点病院として指定された病院を評価したものである。

(5) 当該加算は、他の保険医療機関又は健康診断を実施した医療機関の医師により、悪性腫瘍の疑いがあるとされた患者(最終的に悪性腫瘍と診断された患者に限る。)又は悪性腫瘍と診断された患者であって、これらの保険医療機関等からの紹介により、当該がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院又は小児がん拠点病院に入院した患者(小児がん拠点病院に入院した患者については、20歳未満のものに限る。)について、当該入院中1回に限り、入院初日に算定する。ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。なお、悪性腫瘍の疑いがあるとされ、入院中に悪性腫瘍と診断された患者については、入院初日に限らず、悪性腫瘍と確定診断を行った日に算定する。

(6) 当該加算の対象患者は、(5)に定める患者であり、別の保険医療機関からの紹介を受け、当該がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院又は小児がん拠点病院で通院治療を行った後入院した患者を含むものであること。なお、悪性腫瘍以外の疾患で別の保険医療機関から紹介を受け、当該がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院又は小児がん拠点病院において悪性腫瘍と診断された患者は含まれない。

(7) 「注2」に規定する加算は、がんゲノム医療を牽引する高度な機能を有する医療機関として、遺伝子パネル検査等の実施及び治療への活用、遺伝性腫瘍等の患者に対する専門的な遺伝カウンセリングの実施、がんゲノム情報に基づく臨床研究・治験の実施等の体制を評価したものであり、がんゲノム医療中核拠点病院又はがんゲノム医療拠点病院において算定する。

(8) がん拠点病院加算を算定した場合は、区分番号「B005―6―3」がん治療連携管理料は算定できない。

A233―2 栄養サポートチーム加算

(1) 栄養サポートチーム加算は、栄養障害の状態にある患者や栄養管理をしなければ栄養障害の状態になることが見込まれる患者に対し、患者の生活の質の向上、原疾患の治癒促進及び感染症等の合併症予防等を目的として、栄養管理に係る専門的知識を有した多職種からなるチーム(以下「栄養サポートチーム」という。)が診療することを評価したものである。

(2) 栄養サポートチーム加算は、栄養管理計画を策定している患者のうち、次のアからエまでのいずれかに該当する者について算定できる。

ア 栄養管理計画の策定に係る栄養スクリーニングの結果、血中アルブミン値が3.0g/dL以下であって、栄養障害を有すると判定された患者

イ 経口摂取又は経腸栄養への移行を目的として、現に静脈栄養法を実施している患者

ウ 経口摂取への移行を目的として、現に経腸栄養法を実施している患者

エ 栄養サポートチームが、栄養治療により改善が見込めると判断した患者

(3) 1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね30人以内とする。ただし、「注2」に規定する点数を算定する場合、1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね15人以内とする。

(4) 療養病棟、結核病棟及び精神病棟においては栄養サポートチーム加算は入院日から起算して180日以内に限り算定可能とするが、180日を超えても定期的に栄養サポートチームによる栄養管理を行うことが望ましい。

(5) 栄養サポートチームは、以下の診療を通じ、栄養状態を改善させ、また、必要に応じて経口摂取への円滑な移行を促進することが必要である。

ア 栄養状態の改善に係るカンファレンス及び回診が週1回程度開催されており、栄養サポートチームの構成員及び必要に応じて、当該患者の診療を担当する保険医、看護師等が参加している。

イ カンファレンス及び回診の結果を踏まえて、当該患者の診療を担当する保険医、看護師等と共同の上で、別紙様式5又はこれに準じた栄養治療実施計画を作成し、その内容を患者等に説明の上交付するとともに、その写しを診療録等に添付する。

ウ 栄養治療実施計画に基づいて適切な治療を実施し、適宜フォローアップを行う。

エ 治療終了時又は退院・転院時に、治療結果の評価を行い、それを踏まえてチームで終了時指導又は退院時等指導を行い、その内容を別紙様式5又はこれに準じた栄養治療実施報告書として記録し、その写しを患者等に交付するとともに診療録等に添付する。

オ 当該患者の退院・転院時に、紹介先保険医療機関等に対して診療情報提供書を作成した場合は、当該報告書を添付する。

(6) 栄養サポートチームは、以下の診療を通じ、当該保険医療機関における栄養管理体制を充実させるとともに、当該保険医療機関において展開されている様々なチーム医療の連携を図ることが必要である。

ア 現に当該加算の算定対象となっていない患者の診療を担当する保険医、看護師等からの相談に速やかに応じ、必要に応じて栄養評価等を実施する。

イ 褥瘡対策チーム、感染対策チーム、緩和ケアチーム、摂食嚥下支援チーム等、当該保険医療機関において活動している他チームとの合同カンファレンスを、必要に応じて開催し、患者に対する治療及びケアの連携に努めること。

(7) 「注2」に規定する点数は、「基本診療料の施設基準等」別表第六の二に掲げる地域に所在する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が400床以上の病院、DPC対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期一般入院料1のみを届け出ている病院を除く。)の一般病棟において、算定可能である。なお、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」別添2「入院基本料等の施設基準等」第5の6の規定により看護配置の異なる病棟ごとに一般病棟入院基本料の届出を行っている保険医療機関においては、一般病棟入院基本料(急性期一般入院料1を除く。)を算定する病棟で当該点数を算定できる。

(8) 「注3」に規定する歯科医師連携加算は、栄養サポートチームに歯科医師が参加し、当該チームとしての診療に従事した場合に、所定点数に加算する。

なお、栄養サポートチームに参加する歯科医師は、院外の歯科医師であっても差し支えないが、当該チームの構成員として継続的に診療に従事していることが必要である。

A234 医療安全対策加算

(1) 医療安全対策加算は、組織的な医療安全対策を実施している保険医療機関を評価したものであり、当該保険医療機関に入院している患者について、入院期間中1回に限り、入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(2) 組織的な医療安全対策とは、医療安全管理部門に所属する医療安全管理者が、医療安全管理委員会と連携しつつ、当該保険医療機関の医療安全に係る状況を把握し、その分析結果に基づいて医療安全確保のための業務改善等を継続的に実施していることをいう。

(3) 医療安全確保のための職員研修を計画的に実施するとともに、医療安全管理者が必要に応じて各部門における医療安全管理の担当者への支援を実施し、その結果を記録していること。

(4) 「注2」に掲げる加算は、医療安全対策加算を算定する複数の医療機関が連携し、互いに医療安全対策に関する評価を行っている場合に算定する。

A234―2 感染防止対策加算

(1) 感染防止対策加算は、第2部通則7に規定する院内感染防止対策を行った上で、更に院内に感染制御のチームを設置し、院内感染状況の把握、抗菌薬の適正使用、職員の感染防止等を行うことで院内感染防止を行うことを評価するものであり、当該保険医療機関に入院している患者について、入院期間中1回に限り、入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(2) 感染制御チームは以下の業務を行うものとする。

ア 感染制御チームは、1週間に1回程度、定期的に院内を巡回し、院内感染事例の把握を行うとともに、院内感染防止対策の実施状況の把握・指導を行う。また、院内感染事例、院内感染の発生率に関するサーベイランス等の情報を分析、評価し、効率的な感染対策に役立てる。院内感染の増加が確認された場合には病棟ラウンドの所見及びサーベイランスデータ等を基に改善策を講じる。巡回、院内感染に関する情報を記録に残す。

イ 感染制御チームは微生物学的検査を適宜利用し、抗菌薬の適正使用を推進する。バンコマイシン等の抗MRSA薬及び広域抗菌薬等の使用に際して届出制又は許可制をとり、投与量、投与期間の把握を行い、臨床上問題となると判断した場合には、投与方法の適正化をはかる。

ウ 感染制御チームは院内感染対策を目的とした職員の研修を行う。また院内感染に関するマニュアルを作成し、職員がそのマニュアルを遵守していることを巡回時に確認する。

(3) 「注2」に掲げる加算は、感染防止対策加算1を算定する複数の医療機関が連携し、互いに感染防止対策に関する評価を行っている場合に算定する。

(4) 「注3」に掲げる加算は、院内感染防止対策を行った上で、更に院内に抗菌薬の適正使用を支援するチームを設置し、感染症治療の早期モニタリングと主治医へのフィードバック、微生物検査・臨床検査の利用の適正化、抗菌薬適正使用に係る評価、抗菌薬適正使用の教育・啓発、院内で使用可能な抗菌薬の見直し等を行うことによる抗菌薬の適正な使用の推進を行っている場合に算定する。なお、(2)イに規定する抗菌薬の適正使用に係る業務については、施設の実態に応じて、感染制御チームではなく、抗菌薬適正使用支援チームが実施しても差し支えない。

A234―3 患者サポート体制充実加算

(1) 患者サポート体制充実加算は、医療従事者と患者との対話を促進するため、患者又はその家族等(以下この項目において「患者等」という。)に対する支援体制を評価したものであり、当該保険医療機関に入院している患者について、入院期間中1回に限り、入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(2) 当該保険医療機関に相談支援窓口を設置し、患者等からの疾病に関する医学的な質問並びに生活上及び入院上の不安等に関する相談について懇切丁寧に対応すること。

(3) 医療従事者と患者等との良好な関係を築くため、患者支援体制が整備されていること。

(4) 区分番号「A232」に掲げるがん拠点病院加算を算定している場合は算定できない。

A236 褥瘡ハイリスク患者ケア加算

(1) 褥瘡ハイリスク患者ケア加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関に入院している患者であって、当該加算の要件を満たすものについて算定する。

(2) 褥瘡ハイリスク患者ケア加算は、褥瘡ケアを実施するための適切な知識・技術を有する専従の褥瘡管理者が、褥瘡予防・管理が難しく重点的な褥瘡ケアが必要な患者に対し、適切な褥瘡予防・治療のための予防治療計画に基づく総合的な褥瘡対策を継続して実施した場合、当該入院期間中1回に限り算定する。なお、当該加算は、第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院であっても別に算定できる。

(3) 褥瘡予防・管理が難しく重点的な褥瘡ケアが必要な患者とは、ベッド上安静であって、次に掲げるものをいう。

ア ショック状態のもの

イ 重度の末梢循環不全のもの

ウ 麻薬等の鎮痛・鎮静剤の持続的な使用が必要であるもの

エ 6時間以上の全身麻酔下による手術を受けたもの

オ 特殊体位による手術を受けたもの

カ 強度の下痢が続く状態であるもの

キ 極度の皮膚の脆弱(低出生体重児、GVHD、黄疸等)であるもの

ク 皮膚に密着させる医療関連機器の長期かつ持続的な使用が必要であるもの

ケ 褥瘡に関する危険因子(病的骨突出、皮膚湿潤、浮腫等)があって既に褥瘡を有するもの

(4) 「注2」に規定する点数は、「基本診療料の施設基準等」別表第六の二に掲げる地域に所在する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が400床以上の病院、DPC対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期一般入院料1のみを届け出ている病院を除く。)の一般病棟において、算定可能である。なお、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」別添2「入院基本料等の施設基準等」第5の6の規定により看護配置の異なる病棟ごとに一般病棟入院基本料の届出を行っている保険医療機関においては、一般病棟入院基本料(急性期一般入院料1を除く。)を算定する病棟で当該点数を算定できる。

(5) 「注2」に規定する点数を算定する場合は、褥瘡管理者は、褥瘡リスクアセスメント票・褥瘡予防治療計画書に基づき実施した褥瘡ケアの内容を診療録等に記載すること。

A236―2 ハイリスク妊娠管理加算

(1) ハイリスク妊娠管理加算の算定対象となる患者は、保険診療の対象となる合併症を有している次に掲げる疾患等の妊婦であって、医師がハイリスク妊娠管理が必要と認めた者であること。

ア 妊娠22週から32週未満の早産の患者(早産するまでの患者に限る。)

イ 妊娠高血圧症候群重症の患者

ウ 前置胎盤(妊娠28週以降で出血等の症状を伴う場合に限る。)の患者

エ 妊娠30週未満の切迫早産の患者であって、子宮収縮、子宮出血、頸管の開大、短縮又は軟化のいずれかの兆候を示しかつ以下のいずれかを満たすものに限る。

(イ) 前期破水を合併したもの

(ロ) 羊水過多症又は羊水過少症のもの

(ハ) 経腟超音波検査で子宮頸管長が20mm未満のもの

(ニ) 切迫早産の診断で他の医療機関より搬送されたもの

(ホ) 早産指数(tocolysis index)が3点以上のもの

オ 多胎妊娠の患者

カ 子宮内胎児発育遅延の患者

キ 心疾患(治療中のものに限る。)の患者

ク 糖尿病(治療中のものに限る。)の患者

ケ 甲状腺疾患(治療中のものに限る。)の患者

コ 腎疾患(治療中のものに限る。)の患者

サ 膠原病(治療中のものに限る。)の患者

シ 特発性血小板減少性紫斑病(治療中のものに限る。)の患者

ス 白血病(治療中のものに限る。)の患者

セ 血友病(治療中のものに限る。)の患者

ソ 出血傾向のある状態(治療中のものに限る。)の患者

タ HIV陽性の患者

チ Rh不適合の患者

ツ 当該妊娠中に帝王切開術以外の開腹手術(腹腔鏡による手術を含む。)を行った患者又は行う予定のある患者

テ 精神疾患の患者(当該保険医療機関において精神療法を実施している者又は他の保険医療機関において精神療法を実施している者であって当該保険医療機関に対して診療情報が文書により提供されているものに限る。)

ただし、治療中のものとは、対象疾患について専門的治療が行われているものを指し、単なる経過観察のために年に数回程度通院しているのみの患者は算定できない。

(2) 当該加算は、1入院に20日を限度として所定点数に加算する。ただし、第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院については、1入院として取り扱うものであること。

(3) 1入院の期間中に、区分番号「A237」ハイリスク分娩管理加算を算定するハイリスク分娩管理とハイリスク妊娠管理を併せて行うことは可能であり、ハイリスク妊娠管理加算とハイリスク分娩管理加算を併せ、1入院当たり28日を限度として算定できるが、ハイリスク分娩管理加算を算定する日と同一日に行うハイリスク妊娠管理に係る費用は、ハイリスク分娩管理加算に含まれ、別に算定できない。

(4) 妊婦とは産褥婦を含まない。

[早産指数(tocolysis index)]

スコア

0

1

2

3

4

子宮収縮

不規則

規則的

破水

高位破水

低位破水

出血

子宮口の開大度

1cm

2cm

3cm

4cm以上

A237 ハイリスク分娩管理加算

(1) ハイリスク分娩管理加算の算定対象となる患者は、保険診療の対象となる合併症を有している次に掲げる疾患等の妊産婦であって、医師がハイリスク分娩管理が必要と認めた者であること。

ア 妊娠22週から32週未満の早産の患者

イ 40歳以上の初産婦である患者

ウ 分娩前のBMIが35以上の初産婦である患者

エ 妊娠高血圧症候群重症の患者

オ 常位胎盤早期剥離の患者

カ 前置胎盤(妊娠28週以降で出血等の症状を伴う場合に限る。)の患者

キ 双胎間輸血症候群の患者

ク 多胎妊娠の患者

ケ 子宮内胎児発育遅延の患者

コ 心疾患(治療中のものに限る。)の患者

サ 糖尿病(治療中のものに限る。)の患者

シ 特発性血小板減少性紫斑病(治療中のものに限る。)の患者

ス 白血病(治療中のものに限る。)の患者

セ 血友病(治療中のものに限る。)の患者

ソ 出血傾向のある状態(治療中のものに限る。)の患者

タ HIV陽性の患者

チ 当該妊娠中に帝王切開術以外の開腹手術(腹腔鏡による手術を含む。)を行った患者又は行う予定のある患者

ツ 精神疾患の患者(当該保険医療機関において精神療法を実施している者又は他の保険医療機関において精神療法を実施している者であって当該保険医療機関に対して診療情報が文書により提供されているものに限る。)

ただし、治療中のものとは、対象疾患について専門的治療が行われているものを指し、単なる経過観察のために年に数回程度通院しているのみの患者は算定できない。

(2) 当該加算は、ハイリスク分娩管理の対象となる妊産婦に対して、分娩を伴う入院中にハイリスク分娩管理を行った場合に、8日を限度として算定する。ただし、第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院については、1入院として取り扱うものであること。

(3) 1入院の期間中に、区分番号「A236―2」ハイリスク妊娠管理加算を算定するハイリスク妊娠管理とハイリスク分娩管理を併せて行うことは可能であり、ハイリスク妊娠管理加算とハイリスク分娩管理加算を併せ、1入院当たり28日を限度として算定できるが、ハイリスク妊娠管理加算を算定するハイリスク妊娠管理とハイリスク分娩管理を同一日に行う場合には、ハイリスク分娩管理加算のみを算定する。

(4) 妊産婦とは、産褥婦を含む。

A238 削除

A238―3 削除

A238―4 削除

A238―5 削除

A238―6 精神科救急搬送患者地域連携紹介加算

A238―7 精神科救急搬送患者地域連携受入加算

(1) 精神科救急搬送患者地域連携紹介加算及び精神科救急搬送患者地域連携受入加算は、精神科救急医療機関(精神科救急入院料、精神科急性期治療病棟入院料又は精神科救急・合併症入院料に係る届出を行っている保険医療機関をいう。以下同じ。)に緊急入院した患者(当該保険医療機関の一般病棟等へ緊急入院した後、2日以内に当該特定入院料を算定する病棟に転棟した患者を含む。)について、後方病床の役割を担う保険医療機関(精神病棟入院基本料、児童・思春期精神科入院医療管理料、精神療養病棟入院料又は認知症治療病棟入院料に係る届出を行っている保険医療機関をいう。以下同じ。)で対応可能な場合に、後方病床の役割を担う保険医療機関が当該患者の転院を速やかに受け入れることで、精神科救急医療機関の負担軽減及び緊急入院の受入が円滑になるよう地域における連携を評価するものである。

(2) 精神科救急搬送患者地域連携紹介加算は、精神科救急医療機関が緊急入院患者を受け入れ、入院後60日以内に、あらかじめ連携している後方病床の役割を担う保険医療機関に当該患者に関する診療情報を提供し、転院した場合に、精神科救急医療機関において転院時に算定する。なお、この場合において、診療情報提供料(Ⅰ)は算定できない。

(3) 精神科救急搬送患者地域連携受入加算は、後方病床の役割を担う保険医療機関が精神科救急医療機関に緊急入院した患者を、当該緊急入院から60日以内に受け入れた場合に、後方病床の役割を担う保険医療機関において入院時に算定する。

(4) 精神科救急搬送患者地域連携紹介加算は、他の保険医療機関から転院してきた患者を後方病床の役割を担う保険医療機関に更に転院させた場合には算定できないものとする。ただし、当該他の保険医療機関への入院時から48時間以内に、患者の症状の増悪等により精神科救急搬送患者地域連携紹介加算を届け出ている精神科救急医療機関に転院した後、精神科救急医療機関への入院から60日以内に後方病床の役割を担う保険医療機関に転院させた場合に限り、精神科救急搬送患者地域連携紹介加算を算定できるものとする。精神科救急搬送患者地域連携受入加算も同様とする。

A238―8 削除

A238―9 削除

A240 削除

A242 呼吸ケアチーム加算

(1) 呼吸ケアチーム加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関に入院している患者であって、当該加算の要件を満たすものについて算定する。

(2) 呼吸ケアチーム加算の算定対象となる患者は、48時間以上継続して人工呼吸器を装着している患者であって、人工呼吸器を装着している状態で当該病棟に入院した日から1月以内の患者又は当該病棟に入院した後人工呼吸器を装着し、装着日から1月以内の患者であること。ただし、人工呼吸器離脱の過程において、一時的に短時間、人工呼吸器を装着していない時間については、継続して装着しているものとみなす。

(3) 呼吸ケアチーム加算は、人工呼吸器離脱のための呼吸ケアに係る専任のチーム(以下「呼吸ケアチーム」という。)による診療が行われた場合に週1回に限り算定する。

(4) 呼吸ケアチームは初回の診療に当たり、当該患者の診療計画書を作成し、その内容に基づき、人工呼吸器離脱のために当該患者の状態に応じたチームによる診療を行い、その評価を行うこと。なお、必要に応じて呼吸ケアチーム以外の医師、看護師等に人工呼吸器の管理や呼吸ケア等の指導を行うこと。

(5) 呼吸ケアチームは当該患者の診療を担う保険医、看護師等と十分に連携を図ること。

A243 後発医薬品使用体制加算

(1) 後発医薬品使用体制加算は、後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえ後発医薬品の採用を決定する体制が整備されている保険医療機関を評価したものである。

(2) 後発医薬品使用体制加算は、当該保険医療機関において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が70%以上、80%以上又は85%以上であるとともに、入院及び外来において後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用を積極的に行っている旨を当該保険医療機関の見やすい場所に掲示している保険医療機関に入院している患者について、入院期間中1回に限り、入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

A244 病棟薬剤業務実施加算

(1) 病棟薬剤業務実施加算は、当該保険医療機関の病棟等において、薬剤師が医療従事者の負担軽減及び薬物療法の有効性、安全性の向上に資する業務(以下「病棟薬剤業務」という。)を実施していることを評価したものであり、病棟専任の薬剤師が病棟薬剤業務を1病棟又は治療室1週間につき20時間相当以上(複数の薬剤師が一の病棟又は治療室において実施する場合には、当該薬剤師が実施に要した時間を全て合算して得た時間が20時間相当以上)実施している場合に、病棟薬剤業務実施加算1にあっては週1回に限り、病棟薬剤業務実施加算2にあっては1日につき所定点数に加算する。ただし、療養病棟入院基本料、精神病棟入院基本料又は特定機能病院入院基本料(精神病棟に限る。)を算定している患者については、入院した日から起算して8週を限度として加算できる。なお、ここでいう入院した日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される入院の初日のことをいう。

(2) 病棟薬剤業務実施加算の「1」については、区分番号「A100」一般病棟入院基本料、区分番号「A101」療養病棟入院基本料、区分番号「A102」結核病棟入院基本料、区分番号「A103」精神病棟入院基本料、区分番号「A104」特定機能病院入院基本料又は区分番号「A105」専門病院入院基本料のいずれかを算定している患者に対して、病棟薬剤業務実施加算の「2」については、区分番号「A300」救命救急入院料、区分番号「A301」特定集中治療室管理料、区分番号「A301―2」ハイケアユニット入院医療管理料、区分番号「A301―3」脳卒中ケアユニット入院医療管理料、区分番号「A301―4」小児特定集中治療室管理料、区分番号「A302」新生児特定集中治療室管理料又は区分番号「A303」総合周産期特定集中治療室管理料のいずれかを算定している患者に対して、薬剤師が病棟において病院勤務医等の負担軽減及び薬物療法の有効性、安全性の向上に資する薬剤関連業務を実施している場合に算定する。

(3) 病棟薬剤業務とは、次に掲げるものであること。

ア 過去の投薬・注射及び副作用発現状況等を患者又はその家族等から聴取し、当該保険医療機関及び可能な限り他の保険医療機関における投薬及び注射に関する基礎的事項を把握すること。

イ 医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)によるなど、インターネットを通じて常に最新の医薬品緊急安全性情報、医薬品・医療機器等安全性情報、製造販売業者が作成する医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)に関する情報、医薬品・医療機器等の回収等の医薬品情報の収集を行うとともに、重要な医薬品情報については、医療従事者へ周知していること。

ウ 当該保険医療機関において投薬される医薬品について、以下の情報を知ったときは、速やかに当該患者の診療を担当する医師に対し、当該情報を文書により提供すること。

i 緊急安全性情報、安全性速報

ii 医薬品・医療機器等安全性情報

iii 医薬品・医療機器等の回収等

エ 入院時に、持参薬の有無、薬剤名、規格、剤形等を確認し、服薬計画を書面で医師等に提案するとともに、その書面の写しを診療録等に添付すること。

オ 当該病棟に入院している患者に対し2種以上(注射薬及び内用薬を各1種以上含む。)の薬剤が同時に投与される場合には、治療上必要な応急の措置として薬剤を投与する場合等を除き、投与前に、注射薬と内用薬との間の相互作用の有無等の確認を行うこと。

カ 患者又はその家族に対し、治療方針に係る説明を行う中で、特に安全管理が必要な医薬品等の説明を投与前に行う必要がある場合には、病棟専任の薬剤師がこれを行うこと。なお、ここでいう特に安全管理が必要な医薬品とは、薬剤管理指導料の対象患者に規定する医薬品のことをいう。

キ 特に安全管理が必要な医薬品等のうち、投与の際に流量又は投与量の計算等が必要な場合は、治療上必要な応急の措置として薬剤を投与する場合等を除き、投与前に病棟専任の薬剤師が当該計算等を実施すること。

ク アからキまでに掲げる業務のほか、「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」(平成22年4月30日医政発0430第1号)の記の2の(1)(③、⑥及び⑧を除く。)に掲げる業務についても、可能な限り実施するよう努めること。

ケ 退院時の薬学的管理指導について、可能な限り実施すること。

(4) 病棟薬剤業務の実施に当たっては、次の点に留意すること。

ア 医薬品情報の収集、抗がん剤の無菌調製など、病棟薬剤業務の内容によっては、必ずしも病棟において実施されるものではないものであること。

イ 病棟専任の薬剤師は、別紙様式30又はこれに準じた当該病棟に係る病棟薬剤業務日誌を作成・管理し、記入の日から5年間保存しておくこと。また、患者の薬物療法に直接的に関わる業務については、可能な限り、その実施内容を診療録等にも記録すること。

ウ 病棟薬剤業務実施加算を算定できない病棟又は治療室においても病棟薬剤業務を実施するよう努めること。

A245 データ提出加算

(1) 厚生労働省が毎年実施する「DPC導入の影響評価に係る調査(特別調査を含む。)」(以下この区分番号において「DPC調査」という)に準拠したデータを正確に作成し、継続して提出されることを評価したものである。

提出されたデータについては、特定の患者個人を特定できないように集計し、医療機関毎に公開されるものである。

また、提出されたデータは、入院医療等を担う保険医療機関の機能や役割の分析・評価等や「DPCデータの提供に関するガイドライン」に従い厚生労働省保険局において行うDPCデータの第三者提供のために適宜活用されるものである。

(2) 当該加算は、データ提出の実績が認められた保険医療機関において、データ作成対象病棟(以下「対象病棟」という。)に入院している患者について算定する。データ提出加算1及び2は入院初日、データ提出加算3及び4は入院期間が90日を超えるごとに1回算定する。90日を超えるごと、の計算は、入院日から起算して91日目、181日目等と計算する。なお、ここでいう入院とは第2部通則5に規定する入院期間中の入院のことをいい、データ提出加1及び2については入院期間が通算される再入院の場合には算定できず、データ提出加算3及び4については通算した入院期間から算出し算定する。

(3) データの提出(データの再照会に係る提出も含む。)に遅延等が認められた場合、当該月の翌々月について、当該加算は算定できない。なお、遅延等とは、厚生労働省がDPC調査の一部事務を委託するDPC調査事務局宛てに、DPC導入の影響評価に係る調査実施説明資料(以下「調査実施説明資料」という。)に定められた期限までに、当該医療機関のデータが提出されていない場合(提出時刻が確認できない手段等、調査実施説明資料にて定められた提出方法以外の方法で提出された場合を含む。)、提出されたデータが調査実施説明資料に定められたデータと異なる内容であった場合(データが格納されていない空の媒体が提出された場合を含む。)をいう。

(4) データの作成は月単位で行うものとし、作成されたデータには月の初日から末日までの診療に係るデータが全て含まれていなければならない。

(5) (2)の対象病棟とは、第1節の入院基本料(区分番号「A108」有床診療所入院基本料及び区分番号「A109」有床診療所療養病床入院基本料を除く。)、第3節の特定入院料及び第4節の短期滞在手術等基本料(区分番号「A400」の1短期滞在手術等基本料1を除く。)を算定する病棟をいう。

(6) (2)の「データ提出の実績が認められた保険医療機関」とは、データの提出が厚生労働省保険局医療課において確認され、その旨を通知された保険医療機関をいう。

(7) データ提出加算1及び3は、入院患者に係るデータを提出した場合に算定し、データ提出加算2及び4は、入院患者に係るデータに加え、外来患者に係るデータを提出した場合に算定することができる。

(8) 「注3」に規定する提出データ評価加算を算定する場合は、当該加算を算定する月の前々月において、調査実施説明資料に定められた様式1において入力されるレセプト電算処理用の傷病名コードの総数に対する未コード化傷病名のコード(レセプト電算処理用の傷病名コード:0000999)の割合、外来EFファイルに入力される傷病名コードの総数に対する未コード化傷病名の割合がそれぞれ2%未満、かつ、医科の全ての診療報酬明細書に記載された傷病名コードの総数に対する未コード化傷病名の割合が10%未満であって、当該保険医療機関において、その結果を記録し保存している場合に、データ提出加算2のロ又は4のロを算定する医療機関において算定できる。

(9) 「注3」に規定する提出データ評価加算は、(3)による遅延等が認められ、データ提出加算を算定できない月がある場合、データ提出加算を算定できない月から6か月間、当該加算を算定できない。例えば、4月22日に提出すべきデータが遅延等と認められ、6月にデータ提出加算を算定できない場合、当該加算は6月から11月までの6か月間算定できない。

A246 入退院支援加算

(1) 入退院支援加算は、患者が安心・納得して退院し、早期に住み慣れた地域で療養や生活を継続できるように、施設間の連携を推進した上で、入院早期より退院困難な要因を有する患者を抽出し、入退院支援を実施することを評価するものである。なお、第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院については、1入院として取り扱うものとするが、入退院支援加算1にあってはこの限りでない。

(2) 入退院支援加算1にあっては、入退院支援及び地域連携業務に専従する職員(以下「入退院支援職員」という。)を各病棟に専任で配置し、原則として入院後3日以内に患者の状況を把握するとともに退院困難な要因を有している患者を抽出する。また、入退院支援加算2にあっては、患者の入院している病棟等において、原則として入院後7日以内に退院困難な要因を有している患者を抽出する。なお、ここでいう退院困難な要因とは、以下のものである。

ア 悪性腫瘍、認知症又は誤嚥性肺炎等の急性呼吸器感染症のいずれかであること

イ 緊急入院であること

ウ 要介護状態であるとの疑いがあるが要介護認定が未申請であること(介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第2条各号に規定する特定疾病を有する40歳以上65歳未満の者及び65歳以上の者に限る。)

エ 家族又は同居者から虐待を受けている又はその疑いがあること

オ 生活困窮者であること

カ 入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要であること(必要と推測されること。)

キ 排泄に介助を要すること

ク 同居者の有無に関わらず、必要な養育又は介護を十分に提供できる状況にないこと

ケ 退院後に医療処置(胃瘻等の経管栄養法を含む。)が必要なこと

コ 入退院を繰り返していること

サ その他患者の状況から判断してアからコまでに準ずると認められる場合

(3) 退院困難な要因を有する患者について、入退院支援加算1の「イ 一般病棟入院基本料等の場合」にあっては原則として7日以内、「ロ 療養病棟入院基本料等の場合」にあっては原則として14日以内に患者及び家族と病状や退院後の生活も含めた話合いを行うとともに、関係職種と連携し、入院後7日以内に退院支援計画の作成に着手する。また、入退院支援加算2を算定する場合においても、できるだけ早期に患者及び家族と話合いを行うとともに、入院後7日以内に退院支援計画の作成に着手する。

(4) ここでいう退院支援計画の内容は、以下の内容を含むものとする。

ア 患者氏名、入院日、退院支援計画着手日、退院支援計画作成日

イ 退院困難な要因

ウ 退院に関する患者以外の相談者

エ 退院支援計画を行う者の氏名(病棟責任者、病棟に専任の入退院支援職員及び入退院支援部門の担当者名をそれぞれ記入)

オ 退院に係る問題点、課題等

カ 退院へ向けた目標設定、支援期間、支援概要、予想される退院先、退院後の利用が予測される福祉サービスと担当者名

(5) 退院支援計画を実施するに当たって、入退院支援加算1にあっては、入院後7日以内に病棟の看護師及び病棟に専任の入退院支援職員並びに入退院支援部門の看護師及び社会福祉士等が共同してカンファレンスを実施する。また、入退院支援加算2にあっても、できるだけ早期に病棟の看護師及び入退院支援部門の看護師並びに社会福祉士等が共同してカンファレンスを実施する。なお、カンファレンスの実施に当たっては、必要に応じてその他の関係職種が参加すること。

(6) 退院支援計画については、文書で患者又は家族に説明を行い、交付するとともに、その内容を診療録等に添付又は記載する。また、当該計画に基づき、患者又は家族に退院後の療養上必要な事項について説明するとともに、必要に応じて退院・転院後の療養生活を担う保険医療機関等との連絡や調整、介護サービス又は障害福祉サービス、地域相談支援若しくは障害児通所支援の導入に係る支援を行う。なお、当該計画を患者又は家族に交付した後、計画内容が変更となった場合は、患者又は家族に説明を行い、必要時、変更となった計画を交付する。

(7) 入退院支援加算1については、当該病棟又は入退院支援部門の入退院支援職員が、他の保険医療機関や介護サービス事業所等を訪れるなどしてこれらの職員と面会し、転院・退院体制に関する情報の共有等を行う。

(8) 入退院支援加算3は、当該入院期間中に区分番号「A302」新生児特定集中治療室管理料又は区分番号「A303」総合周産期特定集中治療室管理料の「2」新生児集中治療室管理料を算定した退院困難な要因を有する患者及び他の保険医療機関において入退院支援加算3を算定した上で転院した患者について、当該患者又はその家族の同意を得て退院支援計画を策定し、当該計画に基づき退院した場合に算定する。なお、ここでいう退院困難な要因とは、以下のものである。

ア 先天奇形

イ 染色体異常

ウ 出生体重1,500g未満

エ 新生児仮死(Ⅱ度以上のものに限る。)

オ その他、生命に関わる重篤な状態

(9) 入退院支援加算3について、入院後7日以内に退院困難な要因を有する患者を抽出し、現在の病状及び今後予想される状態等について家族等と話し合いを開始する。この他、家族等に対して退院後の療養上必要な事項について説明するとともに、転院・退院後の療養生活を担う保険医療機関等との連絡や調整、福祉サービスの導入に係る支援等を行う。

(10) 入退院支援加算3について、入院後1か月以内に退院支援計画の作成に着手し、文書で家族等に説明を行い交付するとともに診療録等に添付又は記載する。なお、退院支援計画は「別紙様式6」を参考として関係職種と連携して作成することとし、病棟及び入退院支援部門の看護師並びに社会福祉士等の関係職種が共同してカンファレンスを行った上で作成及び実施すること。また、退院時には家族等に対して、緊急時の連絡先等を文書で提供し、24時間連絡が取れる体制を取る。

(11) 入退院支援加算と退院時共同指導料を同時に算定する場合には、在宅療養を担う保険医療機関等と患者が在宅療養に向けて必要な準備を確認し、患者に対して文書により情報提供する。

(12) 退院先については、診療録等に記載し、又は退院先を記載した文書を診療録等に添付すること。

(13) 死亡による退院については算定できない。また、入退院支援加算1の「ロ」又は2の「ロ」の療養病棟入院基本料等の場合については、他の保険医療機関に入院するために転院した患者については算定できない。

(14) 入退院支援加算1の「ロ」又は2の「ロ」の療養病棟入院基本料等の場合について、当該加算を算定する病棟に転棟後、当該病棟から退院する場合にあっては、転棟後14日以上入院していた場合に限り算定できる。

(15) 「注4」において、地域連携診療計画は、疾患ごとに作成され、一連の治療を担う複数の保険医療機関、介護保険法に定める居宅サービス事業者、地域密着型サービス事業者、居宅介護支援事業者、施設サービス事業者、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第51条の17第1項第1号に規定する指定特定相談支援事業者(以下「指定特定相談支援事業者」という。)、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第24条の26第1項第1号に規定する指定障害児相談支援事業者(以下「指定障害児相談支援事業者」という。)等(以下「A246」において「連携保険医療機関等」という。)との間であらかじめ共有して活用されるものであり、病名、入院時の症状、予定されている診療内容、標準的な転院までの期間、転院後の診療内容、連携する保険医療機関を退院するまでの標準的な期間、退院に当たり予想される患者の状態に関する退院基準、その他必要な事項が記載されたものであること。

また、地域連携診療計画は、患者の状態等により、異なる連携が行われることが想定されることから、あらかじめ複数の地域連携診療計画を作成しておき、患者の状態等に応じて最も適切な地域連携診療計画を選択することは差し支えない。

(16) 地域連携診療計画加算の算定に当たっては、地域連携診療計画の対象疾患の患者に対し、地域連携診療計画に沿って治療を行うことについて患者の同意を得た上で、入院後7日以内に地域連携診療計画に基づく個別の患者ごとの診療計画を作成し、文書で家族等に説明を行い交付するとともに診療録に添付又は記載する。

(17) 地域連携診療計画加算について、当該患者に対して連携保険医療機関等において引き続き治療等が行われる場合には、連携保険医療機関等に対して、当該患者に係る診療情報や退院後の診療計画等を文書により提供する。

また、当該患者が転院前の保険医療機関において当該加算を算定した場合には、退院時に、当該転院前の保険医療機関に対して当該患者に係る診療情報等を文書により提供する。

(18) 「注5」に規定する点数は、「基本診療料の施設基準等」別表第六の二に掲げる地域に所在する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が400床以上の病院、DPC対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期一般入院料1のみを届け出ている病院を除く。)の一般病棟及び療養病棟等において、算定可能である。なお、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」別添2「入院基本料等の施設基準等」第5の6の規定により看護配置の異なる病棟ごとに一般病棟入院基本料の届出を行っている保険医療機関においては、一般病院入院基本料(急性期一般入院料1を除く。)を算定する病棟で当該点数を算定できる。

(19) 「注7」に規定する入院時支援加算は、入院を予定している患者が入院生活や入院後にどのような治療過程を経るのかをイメージでき、安心して入院医療が受け入れられるよう、入院前の外来において、入院中に行われる治療の説明、入院生活に関するオリエンテーション、入院前の服薬状況の確認、褥瘡・栄養スクリーニング等を実施し、支援することを評価するものである。

(20) 「注7」に規定する入院時支援加算を算定するに当たっては、入院の決まった患者に対し、入院中の治療や入院生活に係る計画に備え、入院前に以下のアからクまで(イについては、患者が要介護又は要支援状態の場合のみ)を実施し、その内容を踏まえ、入院中の看護や栄養管理等に係る療養支援の計画を立て、患者及び入院予定先の病棟職員と共有した場合に算定する。入院前にアからク(イについては、患者が要介護又は要支援状態の場合のみ)までを全て実施して療養支援の計画書(以下「療養支援計画書」という。)を作成した場合は入院時支援加算1を、患者の病態等によりアからクまでの全ては実施できず、ア、イ及びク(イについては、患者が要介護又は要支援状態の場合のみ)を含む一部の項目を実施して療養支援計画書を作成した場合は、入院時支援加算2を算定する。

ア 身体的・社会的・精神的背景を含めた患者情報の把握

イ 入院前に利用していた介護サービス又は福祉サービスの把握

ウ 褥瘡に関する危険因子の評価

エ 栄養状態の評価

オ 服薬中の薬剤の確認

カ 退院困難な要因の有無の評価

キ 入院中に行われる治療・検査の説明

ク 入院生活の説明

(21) 「注7」に規定する入院時支援加算を算定するに当たって、作成した療養支援計画書を、患者の入院前に入院予定先の病棟職員に共有すること。また、当該計画書については、入院前又は入院日に患者又はその家族等に説明を行い交付するとともに、診療録に添付又は記載すること。なお、第1章第2部の通則7の規定に基づき作成する入院診療計画書等をもって、当該計画書としても差し支えない。

(22) 患者の栄養状態の評価や服薬中の薬剤の確認に当たっては、必要に応じて、管理栄養士や薬剤師等の関係職種と十分に連携を図ること。

(23) 「注8」に規定する総合機能評価加算については、介護保険法施行令第2条各号に規定する疾病を有する40歳以上65歳未満である者又は65歳以上である者について、身体機能や退院後に必要となりうる介護サービス等について総合的に評価を行った上で、当該評価の結果を入院中の診療や適切な退院支援に活用する取組を評価するものである。

(24) 「注8」に規定する総合機能評価加算は、患者の病状の安定が見込まれた後できるだけ早期に、患者の基本的な日常生活能力、認知機能、意欲等について総合的な評価(以下「総合的な機能評価」という。)を行った上で、結果を踏まえて入退院支援を行った場合に算定する。

(25) 総合的な機能評価に係る測定は、医師又は歯科医師以外の医療職種が行うことも可能であるが、当該測定結果に基づく評価は、研修を修了した医師若しくは歯科医師、総合的な機能評価の経験を1年以上有する医師若しくは歯科医師又は当該患者に対する診療を担う医師若しくは歯科医師が行わなければならない。なお、総合的な機能評価の実施に当たっては、関係学会等より示されているガイドラインに沿った適切な評価が実施されるよう十分留意すること。

(26) 総合的な機能評価の結果については、患者及びその家族等に説明するとともに、説明内容を診療録に記載又は添付すること。

A247 認知症ケア加算

(1) 認知症ケア加算は、認知症による行動・心理症状や意思疎通の困難さが見られ、身体疾患の治療への影響が見込まれる患者に対し、病棟の看護師等や専門知識を有した多職種が適切に対応することで、認知症症状の悪化を予防し、身体疾患の治療を円滑に受けられることを目的とした評価である。

(2) 認知症ケア加算の算定対象となる患者は、「「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」の活用について」(平成18年4月3日老発第0403003号)(「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」別添6の別紙12参照)におけるランクⅢ以上に該当すること。ただし、重度の意識障害のある者(JCS(Japan Coma Scale)でⅡ―3(又は30)以上又はGCS(Glasgow Coma Scale)で8点以下の状態にある者)を除く。

(3) 身体的拘束を実施した場合の点数については、理由によらず、身体的拘束を実施した日に適用する。この点数を算定する場合は、身体的拘束の開始及び解除した日、身体的拘束が必要な状況等を診療録等に記載すること。

(4) 身体的拘束について

ア 身体的拘束は、抑制帯等、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限をいうこと。

イ 入院患者に対し、日頃より身体的拘束を必要としない状態となるよう環境を整えること。また、身体的拘束を実施するかどうかは、職員個々の判断ではなく、当該患者に関わる医師、看護師等、当該患者に関わる複数の職員で検討すること。

ウ やむを得ず身体的拘束を実施する場合であっても、当該患者の生命及び身体の保護に重点を置いた行動の制限であり、代替の方法が見出されるまでの間のやむを得ない対応として行われるものであることから、できる限り早期に解除するよう努めること。

エ 身体的拘束を実施するに当たっては、以下の対応を行うこと。

(イ) 実施の必要性等のアセスメント

(ロ) 患者家族への説明と同意

(ハ) 身体的拘束の具体的行為や実施時間等の記録

(ニ) 二次的な身体障害の予防

(ホ) 身体的拘束の解除に向けた検討

オ 身体的拘束を実施することを避けるために、ウ、エの対応をとらず家族等に対し付添いを強要するようなことがあってはならないこと。

(5) 認知症ケア加算1

ア 認知症ケアに係る専門知識を有した多職種からなるチーム(以下「認知症ケアチーム」という。)が当該患者の状況を把握・評価するなど当該患者に関与し始めた日から算定できることとし、当該患者の入院期間に応じ所定点数を算定する。

イ 当該患者を診療する医師、看護師等は、認知症ケアチームと連携し、病棟職員全体で以下の対応に取り組む必要がある。

① 当該患者の入院前の生活状況等を情報収集し、その情報を踏まえたアセスメントを行い、看護計画を作成する。その際、行動・心理症状がみられる場合には、その要因をアセスメントし、症状の軽減を図るための適切な環境調整や患者とのコミュニケーションの方法等について検討する。

② 当該計画に基づき認知症症状を考慮したケアを実施し、その評価を定期的に行う。身体的拘束を実施した場合は、解除に向けた検討を少なくとも1日に1度は行う。

③ 計画作成の段階から、退院後に必要な支援について、患者家族を含めて検討し、円滑な退院支援となるよう取り組む。

④ ①から③までについて診療録等に記載する。

ウ 認知症ケアチームは、以下の取組を通じ、当該保険医療機関における認知症ケアの質の向上を図る必要がある。

① 認知症患者のケアに係るチームによるカンファレンスを週1回程度開催し、症例等の検討を行う。カンファレンスには、病棟の看護師等が参加し、検討の内容に応じ、当該患者の診療を担う医師等が参加する。

② 週1回以上、各病棟を巡回し、病棟における認知症ケアの実施状況を把握し、病棟職員及び患者家族に対し助言等を行う。

③ 当該加算の算定対象となっていない患者に関するものを含め、患者の診療を担当する医師、看護師等からの相談に速やかに応じ、必要なアセスメント及び助言を実施する。

④ 認知症患者に関わる職員を対象として、認知症患者のケアに関する研修を定期的に実施する。

(6) 認知症ケア加算2

ア 病棟において、看護師等が、当該患者の行動・心理症状等を把握し、対応について看護計画を作成した日から算定できることとし、当該患者の入院期間に応じ所定点数を算定する。

イ 当該患者が入院する病棟の看護師等は、当該患者の行動・心理症状等が出現し、あるいは出現すると見込まれ、身体疾患の治療への影響が見込まれる場合に、症状の軽減を図るための適切な環境調整や患者とのコミュニケーションの方法等を踏まえた看護計画を作成し、当該計画に基づき認知症症状を考慮したケアを実施し、その評価を行うこと。

ウ 認知症患者の診療について十分な経験を有する専任の常勤医師又は認知症患者の看護に従事した経験を5年以上有する看護師であって、認知症看護に係る適切な研修を修了した専任の常勤看護師が、病棟における認知症患者に対するケアの実施状況を定期的に把握し、病棟職員に対し必要な助言等を行うこと。

エ 身体的拘束を実施した場合は、解除に向けた検討を少なくとも1日に1度は行うこと。

(7) 認知症ケア加算3

(6)のア、イ及びエを満たすものであること。

A247―2 せん妄ハイリスク患者ケア加算

(1) せん妄ハイリスク患者ケア加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関に入院している患者であって、当該加算の要件を満たすものについて算定する。

(2) せん妄ハイリスク患者ケア加算は、急性期医療を担う保険医療機関の一般病棟において、全ての入院患者に対してせん妄のリスク因子の確認を行い、ハイリスク患者に対するせん妄対策を実施した場合に、当該対策を実施した患者について、当該入院期間中1回に限り算定する。

(3) せん妄のリスク因子の確認及びハイリスク患者に対するせん妄対策は、各保険医療機関において作成したチェックリストに基づいて行うこと。なお、当該チェックリストを作成するに当たっては、別紙様式7の3を参考にすること。

(4) せん妄のリスク因子の確認は患者の入院前又は入院後3日以内、ハイリスク患者に対するせん妄対策はリスク因子の確認後速やかに行うこと。また、リスク因子の確認及びせん妄対策に当たっては、それぞれの病棟において、医師、看護師及び薬剤師等の関係職種が連携を図ること。

(5) せん妄のハイリスク患者については、せん妄対策を実施した上で、定期的にせん妄の有無を確認し、早期発見に努めること。なお、せん妄ハイリスク患者ケア加算は、せん妄対策を実施したが、結果的にせん妄を発症した患者についても算定可能であること。

A248 精神疾患診療体制加算

(1) 精神疾患診療体制加算は、身体合併症を有する精神疾患患者の転院の受入れや、身体疾患や外傷のために救急搬送された患者であって、精神症状を伴う者の診療を行った場合を評価するものである。

(2) 精神疾患診療体制加算1は、他の保険医療機関の精神病棟に入院する精神疾患患者の身体合併症の入院治療のために、当該他の保険医療機関の求めに応じて転院を受け入れた場合に入院初日に限り算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(3) 精神疾患診療体制加算1を算定する患者の精神疾患に係る薬剤は、当該保険医療機関で処方する必要があること。やむを得ず他の保険医療機関が処方した持参薬を投与する場合は、入院後5日以内に限られること。この場合には、持参した薬剤名、規格、剤形等を確認し、診療録等に記載すること。

(4) 精神疾患診療体制加算2は、当該保険医療機関の精神保健指定医若しくは精神科医又は当該保険医療機関の求めに応じた他の保険医療機関の精神保健指定医が、身体疾患や外傷に加え、精神症状等を有する患者であって、救急用の自動車等(消防法(昭和23年法律第186号)及び消防法施行令(昭和36年政令第37号)に規定する市町村又は都道府県の救急業務を行うための救急隊の救急自動車並びに道路交通法(昭和35年法律第105号)及び道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)に規定する緊急自動車(傷病者の緊急搬送に用いるものに限る。)をいう。)及び救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法(平成19年法律第103号)第2条に規定する救急医療用ヘリコプターにより搬送された患者を診察した場合に、入院初日から3日以内に1回に限り算定すること。

(5) (4)において、精神症状を有する患者とは、以下の場合をいうこと。

イ 過去6か月以内に精神科受診の既往がある患者

ロ 医師が、抑うつ、せん妄、躁状態等、精神状態の異常を認めた患者

ハ アルコール中毒を除く急性薬毒物中毒が診断された患者

(6) 精神疾患診療体制加算2を算定した場合には、区分番号「A300」救命救急入院料の注2に規定する加算及び区分番号「I001」入院精神療法は算定できない。ただし、精神保健指定医又は精神科医による初回の診察の結果、継続して精神疾患の管理が必要と判断された場合には、入院した日から起算して4日目以降に限り、区分番号「I001」入院精神療法を算定することができる。

A249 精神科急性期医師配置加算

精神科急性期医師配置加算は、精神症状とともに身体疾患又は外傷を有する患者の入院医療体制を確保している保険医療機関の精神病棟や、急性期の精神疾患患者及び治療抵抗性統合失調症患者(クロザピンの新規導入を目的とした患者に限る。)に密度の高い入院医療を提供する精神病棟において、医師を手厚く配置することを評価したものである。

A250 薬剤総合評価調整加算

(1) 「注1」に規定する薬剤総合評価調整加算は、複数の薬剤が処方されている患者であって、薬物有害事象の存在や服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等のおそれのあるものに対して、処方の内容を総合的に評価した上で、当該処方の内容を変更し、当該患者に対して療養上必要な指導を行う取組を評価したものであり、次に掲げる指導等を全て実施している場合に算定する。

ア 患者の入院時に、持参薬を確認するとともに、(7)の関連ガイドライン等を踏まえ、特に慎重な投与を要する薬剤等の確認を行う。

イ アを踏まえ、患者の病状、副作用、療養上の問題点の有無を評価するために、医師、薬剤師及び看護師等の多職種によるカンファレンスを実施し、薬剤の総合的な評価を行い、適切な用法及び用量への変更、副作用の被疑薬の中止及びより有効性・安全性の高い代替薬への変更等の処方内容の変更を行う。また、評価した内容や変更の要点を診療録等に記載する。

ウ 当該カンファレンスにおいて、処方の内容を変更する際の留意事項を多職種で共有した上で、患者に対して処方変更に伴う注意点を説明する。また、併せて当該患者に対し、ポリファーマシーに関する一般的な注意の啓発を行う。なお、ここでいうポリファーマシーとは、「単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態」をいう。

エ 処方変更による病状の悪化や新たな副作用の有無ついて、多職種で確認し、必要に応じて、再度カンファレンスにおいて総合的に評価を行う。

(2) 「注1のイ」については、入院中の患者であって、入院前に内服を開始して4週間以上経過した内服薬が6種類以上処方されていたものについて、算定する。この場合において、「特に規定するもの」として、屯服薬については内服薬の種類数から除外する。また、服用を開始して4週間以内の薬剤については、調整前の内服薬の種類数からは除外する。

(3) 「注1のロ」については、精神病棟に入院中の患者であって、入院時又は退院1年前のうちいずれか遅い時点で抗精神病薬を4種類以上内服していたものについて、算定する。

(4) 当該加算の算定における内服薬の種類数の計算に当たっては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類として計算する。

(5) 「注1のロ」及び「注2のロ」に規定する抗精神病薬の種類については、第2章第5部第2節(3)イにおける抗精神病薬の種類と同様の取扱いとする。

(6) 医師は、処方内容の総合調整に当たって、薬効の類似した処方や相互作用を有する処方等について、当該保険医療機関の薬剤師に必要に応じ照会を行う。また、当該保険医療機関の薬剤師は、薬効の類似した処方や相互作用を有する処方等について、必要に応じ医師に情報提供を行う。

(7) 持参薬の確認及び内服薬の総合的な評価及び変更に当たっては、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(厚生労働省)、「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」(厚生労働省)、日本老年医学会の関連ガイドライン(高齢者の安全な薬物療法ガイドライン)等を参考にすること。

(8) 患者に対してポリファーマシーに関する一般的な注意の啓発を行うに当たっては、「高齢者が気を付けたい多すぎる薬と副作用」(日本老年医学会、日本老年薬学会)等を参考にすること。

(9) 「注2」に規定する薬剤調整加算は、「注1」に規定する薬剤総合評価調整加算に係る算定要件を満たした上で、薬効の重複する薬剤の減少又は合剤への変更等により、退院時に処方される内服薬が減少したことを評価したものである。

(10) 「注2」に規定する薬剤調整加算は、「注1」に規定する薬剤総合評価調整加算に係る算定要件を満たした上で、退院時に処方される内服薬が2種類以上減少し、その状態が4週間以上継続すると見込まれる場合又は退院までの間に、抗精神病薬の種類数が2種類以上減少した場合に算定する。なお、保険医療機関がクロルプロマジン換算を用いた評価を行う場合には、別紙36の2に示す係数を用い、クロルプロマジン換算で2,000mg以上内服していたものについて、クロルプロマジン換算で1,000mg以上減少した場合を含めることができる。

(11) 「注2」に規定する薬剤調整加算の算定に当たっては、内服薬が減少する前後の内服薬の種類数(クロルプロマジン換算の評価による場合はクロルプロマジン換算した量)を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(12) 「注2」に規定する薬剤調整加算の算定に当たっては、当該保険医療機関及び他の保険医療機関で処方された内服薬を合計した種類数から2種類以上減少した場合については、区分番号「B008―2」薬剤総合評価調整管理料と合わせて、1か所の保険医療機関に限り算定できることとする。この場合には、当該他の保険医療機関名及び各保険医療機関における調整前後の薬剤の種類数を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(13) 「注2」に規定する薬剤調整加算は、当該保険医療機関で薬剤調整加算又は区分番号「B008―2」薬剤総合評価調整管理料を1年以内に算定した場合においては、前回の算定に当たって減少した後の内服薬の種類数から、更に2種類以上減少しているときに限り新たに算定することができる。

A251 排尿自立支援加算

(1) 排尿自立支援加算は、当該保険医療機関に排尿に関するケアに係る専門的知識を有した多職種からなるチーム(以下「排尿ケアチーム」という。)を設置し、当該患者の診療を担う医師、看護師等が、排尿ケアチームと連携して、当該患者の排尿自立の可能性及び下部尿路機能を評価し、排尿誘導等の保存療法、リハビリテーション、薬物療法等を組み合わせるなど、下部尿路機能の回復のための包括的なケア(以下「包括的排尿ケア」という。)を実施することを評価するものである。

(2) 当該指導料は、次のいずれかに該当する者について算定できる。

ア 尿道カテーテル抜去後に、尿失禁、尿閉等の下部尿路機能障害の症状を有するもの

イ 尿道カテーテル留置中の患者であって、尿道カテーテル抜去後に下部尿路機能障害を生ずると見込まれるもの

(3) 病棟の看護師等は、次の取組を行った上で、排尿ケアチームに相談すること。

ア 尿道カテーテル抜去後の患者であって、尿失禁、尿閉等の下部尿路機能障害の症状を有する患者を抽出する。

イ アの患者について下部尿路機能評価のための情報収集(排尿日誌、残尿測定等)を行う。

ウ 尿道カテーテル挿入中の患者について、尿道カテーテル抜去後の、排尿自立の可能性について評価し、抜去後に下部尿路機能障害を生ずると見込まれるが、排尿自立の可能性がある患者を抽出する。

(4) 排尿ケアチームは、(3)を基に下部尿路機能障害を評価し、病棟の看護師等と共同して、排尿自立に向けた包括的排尿ケアの計画を策定する。包括的排尿ケアの内容は、看護師等による排尿誘導や生活指導、必要に応じ理学療法士等による排尿に関連する動作訓練、医師による薬物療法等を組み合わせた計画とする。

(5) 排尿ケアチーム、病棟の看護師等及び関係する従事者は、共同して(4)に基づく包括的排尿ケアを実施し、定期的な評価を行う。

(6) (3)から(5)までについて、診療録等に記載する。

(7) 排尿ケアチームが当該患者の状況を評価する等の関与を行うと共に、病棟の看護師等が、包括的排尿ケアの計画に基づいて患者に対し直接的な指導又は援助を行った場合について、週1回に限り、12週を限度として算定できる。排尿ケアチームによる関与と、病棟の看護師等による患者への直接的な指導又は援助のうち、いずれか片方のみしか行われなかった週については算定できない。また、排尿が自立し指導を終了した場合には、その後については算定できない。

(8) 退院後に外来において、引き続き、包括的排尿ケアを実施する必要性を認めた場合には、診療録等にその旨を記載すること。

A252 地域医療体制確保加算

(1) 地域医療体制確保加算は、地域の救急医療体制において重要な機能を担うとともに、病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に資する取組を実施する体制を評価するものである。

(2) 地域医療体制確保加算は、当該患者の入院初日に限り算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

別表1(第1節入院基本料、第3節特定入院料及び第4節短期滞在手術等基本料との関係)

○ 算定可(特定入院料は,包括されず別途算定可という意味。)

× 算定不可(特定入院料は,包括されており別途算定不可という意味。)

(●) 50対1補助体制加算,75対1補助体制加算及び100対1補助体制加算に限る。

① 医師事務作業補助体制加算1に限る。

② 特定機能病院の病棟では,医師事務作業補助体制加算2を除く。

注 短期滞在手術等基本料2、3はDPC対象病院を除く。

● 難病患者等入院診療加算に限る。

★ 看護配置等による制限あり

△ A300の「注2」加算を算定しない場合に限る。

□ 精神病棟を除く。


特別入院基本料等

急性期一般入院料1

急性期一般入院料2

急性期一般入院料3

急性期一般入院料4

急性期一般入院料5

急性期一般入院料6

急性期一般入院料7

地域一般入院料1

地域一般入院料2

地域一般入院料3

療養病棟入院料1

療養病棟入院料2

療養病棟入院料 注⑪

結核病棟入院基本料

重症患者割合特別入院基本料(A102)


一般

一般

一般

一般

一般

一般

一般

一般

一般

一般

療養

療養

療養

結核

結核

A200総合入院体制加算

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A204地域医療支援病院入院診療加算

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A204―2臨床研修病院入院診療加算

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A205救急医療管理加算

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A205―2超急性期脳卒中加算

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A205―3妊産婦緊急搬送入院加算

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A206在宅患者緊急入院診療加算

A207診療録管理体制加算

A207―2医師事務作業補助体制加算

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(●)

(●)

(●)

(●)

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A207―3急性期看護補助体制加算

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A207―4看護職員夜間配置加算

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A208乳幼児加算・幼児加算

A210難病等特別入院診療加算

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A211特殊疾患入院施設管理加算

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A212超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算

A213看護配置加算

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A214看護補助加算

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A218地域加算

A218―2離島加算

A219療養環境加算

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A220HIV感染者療養環境特別加算

A220―2二類感染症患者療養環境特別加算

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A221重症者等療養環境特別加算

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A221―2小児療養環境特別加算

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A222療養病棟療養環境加算

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A222―2療養病棟療養環境改善加算

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A223診療所療養病床療養環境加算

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A223―2診療所療養病床療養環境改善加算

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A224無菌治療室管理加算

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A225放射線治療病室管理加算

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A226重症皮膚潰瘍管理加算

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A226―2緩和ケア診療加算

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A226―3有床診療所緩和ケア診療加算

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A227精神科措置入院診療加算

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A227―2精神科措置入院退院支援

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A228精神科応急入院施設管理加算

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A229精神科隔離室管理加算

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A230精神病棟入院時医学管理加算

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A230―2精神科地域移行実施加算

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A230―3精神科身体合併症管理加算

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A230―4精神科リエゾンチーム加算

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A231―2強度行動障害入院医療管理加算

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A231―3重度アルコール依存症入院医療管理加算

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A231―4摂食障害入院医療管理加算

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A232がん拠点病院加算

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A233―2栄養サポートチーム加算

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A234医療安全対策加算

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A234―2感染防止対策加算

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A234―3患者サポート体制充実

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A236褥瘡ハイリスク患者ケア加算

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A236―2ハイリスク妊娠管理加算

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A237ハイリスク分娩管理加算

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A238―6精神科救急搬送患者地域連携紹介加算

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A238―7精神科救急搬送患者地域連携受入加算

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A242呼吸ケアチーム加算

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A243後発医薬品使用体制加算

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A244病棟薬剤業務実施加算1

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A244病棟薬剤業務実施加算2

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A245データ提出加算

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A246入退院支援加算1 イ

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A246入退院支援加算1 ロ

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A246入退院支援加算2 イ

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A246入退院支援加算2 ロ

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A246入退院支援加算3

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A247認知症ケア加算

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A247―2せん妄ハイリスク患者ケア加算

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A248精神疾患診療体制加算

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A249精神科急性期医師配置加算1

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A249精神科急性期医師配置加算2 イ

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A249精神科急性期医師配置加算2 ロ

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A249精神科急性期医師配置加算3

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A250薬剤総合評価調整加算

A251排尿自立支援加算

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A252地域医療体制確保加算

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精神病棟入院基本料

1 特定機能病院入院基本料(一般病棟)

2 特定機能病院入院基本料(結核病棟)

3 特定機能病院入院基本料(精神病棟)

専門病院入院基本料

障害者施設等入院基本料

特定入院基本料(A106)

医療区分(1・2)に応じた点数

有床診療所入院基本料

有床診療所療養病床入院基本料

救命救急入院料

特定集中治療室管理料

ハイケアユニット入院医療管理料

脳卒中ケアユニット入院医療管理料

小児特定集中治療室管理料

新生児特定集中治療室管理料

総合周産期特定集中治療室管理料

新生児治療回復室入院医療管理料

精神

一般

結核

精神

一般

一般

一般

一般

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療養

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一類感染症患者入院医療管理料

特殊疾患入院医療管理料

医療区分(1・2)に応じた点数

1 小児入院医療管理料1

2 小児入院医療管理料2

3 小児入院医療管理料3

4 小児入院医療管理料4

5 小児入院医療管理料5

回復期リハビリテーション病棟入院料1

回復期リハビリテーション病棟入院料2

回復期リハビリテーション病棟入院料3

回復期リハビリテーション病棟入院料4

回復期リハビリテーション病棟入院料5

一般

一般

一般

一般

一般

一般

一般

一般・結核・精神

一般

療養

一般

療養

一般

療養

一般

療養

一般

療養

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回復期リハビリテーション病棟入院料6

地域包括ケア病棟入院料1

地域包括ケア病棟入院料2

地域包括ケア病棟入院料3

地域包括ケア病棟入院料4

地域包括ケア病棟入院医療管理料1

地域包括ケア病棟入院医療管理料2

地域包括ケア病棟入院医療管理料3

地域包括ケア病棟入院医療管理料4

一般

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1 特殊疾患病棟入院料1

2 特殊疾患病棟入院料2

医療区分(1・2)に応じた点数 イ

医療区分(1・2)に応じた点数 ロ

緩和ケア病棟入院料(1・2)

精神科救急入院料

1 精神科急性期治療病棟入院料1

2 精神科急性期治療病棟入院料2

精神科救急・合併症入院料

児童・思春期精神科入院医療管理料

精神療養病棟入院料

認知症治療病棟入院料

特定一般病棟入院料

地域移行機能強化病棟入院料

1 短期滞在手術等基本料1

2 短期滞在手術等基本料2

3 短期滞在手術等基本料3

一般

一般・精神

一般

一般・精神

一般

精神

精神

精神

精神

精神

精神

精神

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第3節 特定入院料

1 特定入院料(特殊疾患入院医療管理料、小児入院医療管理料、回復期リハビリテーション病棟入院料、特殊疾患病棟入院料、緩和ケア病棟入院料、精神科急性期治療病棟入院料、精神療養病棟入院料、認知症治療病棟入院料及び地域移行機能強化病棟入院料を除く。以下この項において同じ。)は、1回の入院について、当該治療室に入院させた連続する期間1回に限り算定できるものであり、1回の入院期間中に、当該特定入院料を算定した後に、入院基本料又は他の特定入院料を算定し、再度同一の特定入院料を算定することはできない。

ただし、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室管理料、総合周産期特定集中治療室管理料(新生児集中治療室管理料を算定するものに限る。)、新生児治療回復室入院医療管理料、精神科救急入院料、精神科急性期治療病棟入院料及び精神科救急・合併症入院料については、前段の規定にかかわらず、1回の入院期間中に当該特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室管理料、総合周産期特定集中治療室管理料(新生児集中治療室管理料を算定するものに限る。)、新生児治療回復室入院医療管理料、精神科救急入院料、精神科急性期治療病棟入院料又は精神科救急・合併症入院料を算定した後に、入院基本料又は他の特定入院料を算定し、再度病状が悪化などして当該特定集中治療室、ハイケアユニット入院医療管理を行う専用の治療室、脳卒中ケアユニット入院医療管理を行う専用の治療室、小児特定集中治療室、新生児特定集中治療室、総合周産期特定集中治療室(新生児集中治療室管理料を算定するものに限る。)、新生児治療回復室入院医療管理料、精神科救急入院料、精神科急性期治療病棟入院料又は精神科救急・合併症入院料を算定する治療室へ入院させた場合には、これを算定できるものとする。

2 特定入院料を算定できる2以上の治療室に患者を入院させた場合において、特定入院料を算定できる日数の限度は、他の特定入院料を算定した日数を控除して計算するものとする。例えば、救命救急入院料を算定した後、ハイケアユニット入院医療管理を行う専用の治療室に入院させた場合においては、21日から救命救急入院料を算定した日数を控除して得た日数を限度として、ハイケアユニット入院医療管理料を算定する。

A300 救命救急入院料

(1) 救命救急入院料の算定対象となる重篤な救急患者とは、次に掲げる状態にあって、医師が救命救急入院が必要であると認めた者であること。

ア 意識障害又は昏睡

イ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪

ウ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

エ 急性薬物中毒

オ ショック

カ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

キ 広範囲熱傷

ク 大手術を必要とする状態

ケ 救急蘇生後

コ その他外傷、破傷風等で重篤な状態

(2) 広範囲熱傷特定集中治療管理料の算定対象となる患者とは、第2度熱傷30%程度以上の重症広範囲熱傷患者であって、医師が広範囲熱傷特定集中治療が必要であると認めた者であること。なお、熱傷には電撃傷、薬傷及び凍傷が含まれる。

(3) 救命救急入院料は、救命救急医療に係る入院初期の医療を重点的に評価したものであり、救命救急入院後症状の安定等により他病棟に転棟した患者又は他病棟に入院中の患者が症状の増悪等をきたしたことにより当該救命救急センターに転棟した場合にあっては、救命救急入院料は算定できない。

(4) 「注2」に掲げる加算については、自殺企図及び自傷又はそれが疑われる行為により医師が救命救急入院が必要であると認めた重篤な患者であって、統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、パーソナリティ障害又は精神症状を伴う脳器質性障害等(以下この節において「精神疾患」という。)を有する患者又はその家族等に対して、精神保健福祉法第18条第1項に規定する精神保健指定医(以下この節において「精神保健指定医」という。)又は当該保険医療機関の精神科の常勤医師が、患者又は家族等からの情報を得て、精神疾患に対する診断治療等を行った場合に、救命救急入院料の算定期間中における当該精神保健指定医又は当該精神科の常勤医師の最初の診察時に算定する。この場合の精神保健指定医は当該保険医療機関を主たる勤務先とする精神保健指定医以外の者であっても算定できる。

(5) 「注5」に掲げる急性薬毒物中毒加算1については、急性薬毒物中毒(催眠鎮静剤、抗不安剤による中毒を除く。)が疑われる患者(以下「急性薬毒物中毒患者」という。)の原因物質について、日本中毒学会が作成する「急性中毒標準診療ガイド」における機器分析法に基づく機器分析を当該保険医療機関において行い、必要な救命救急管理を実施した場合に算定する。

(6) 「注5」に掲げる急性薬毒物中毒加算2については、急性薬毒物中毒患者の原因物質等について、(5)の機器分析以外の検査を当該保険医療機関において行い、必要な救命救急管理を実施した場合に算定する。

(7) 「注5」に掲げる急性薬毒物中毒加算1又は2については、入院初日にいずれか一方のみを算定することができる。

(8) 「注5」に掲げる急性薬毒物中毒加算については、薬毒物中毒を疑って検査を実施した結果、実際には薬毒物中毒ではなかった場合には、算定できない。

(9) 「注6」に掲げる小児加算については、専任の小児科の医師が常時配置されている保険医療機関において、15歳未満の重篤な救急患者に対して救命救急医療が行われた場合に入院初日に限り算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(10) 救命救急入院料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

この際、区分番号「A100」の一般病棟入院基本料を算定する場合の費用の請求については、区分番号「A101」療養病棟入院基本料の(13)に準ずるものとする。

また、区分番号「A104」の特定機能病院入院基本料を算定する場合の費用の請求については、区分番号「A104」の「注5」に規定する看護必要度加算及び同「注10」に規定するADL維持向上等体制加算は算定できず、同「注8」に規定する加算は、当該病棟において要件を満たしている場合に算定できる。その他、区分番号「A105」の専門病院入院基本料を算定する場合の費用の請求については、区分番号「A105」の「注3」に規定する看護必要度加算、同「注4」に規定する一般病棟看護必要度評価加算及び同「注9」に規定するADL維持向上等体制加算は算定できず、同「注7」に規定する加算は、当該病棟において要件を満たしている場合に算定できる。

A301 特定集中治療室管理料

(1) 特定集中治療室管理料の算定対象となる患者は、次に掲げる状態にあって、医師が特定集中治療室管理が必要であると認めた者であること。

ア 意識障害又は昏睡

イ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪

ウ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

エ 急性薬物中毒

オ ショック

カ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

キ 広範囲熱傷

ク 大手術後

ケ 救急蘇生後

コ その他外傷、破傷風等で重篤な状態

(2) 広範囲熱傷特定集中治療管理料の算定対象となる広範囲熱傷特定集中治療管理が必要な患者とは、区分番号「A300」の救命救急入院料の(2)と同様であること。

(3) 「注2」に掲げる小児加算については、専任の小児科の医師が常時配置されている保険医療機関において、15歳未満の重篤な患者に対して特定集中治療室管理が行われた場合に14日を限度として算定する。

(4) 「注4」に掲げる早期離床・リハビリテーション加算は、特定集中治療室に入室した患者に対し、患者に関わる医師、看護師、理学療法士、作業療法士又は臨床工学技士等の多職種と早期離床・リハビリテーションに係るチーム(以下「早期離床・リハビリテーションチーム」という。)による以下のような総合的な離床の取組を行った場合の評価である。

ア 早期離床・リハビリテーションチームは、当該患者の状況を把握・評価した上で、当該患者の運動機能、呼吸機能、摂食嚥下機能、消化吸収機能及び排泄機能等の各種機能の維持、改善又は再獲得に向けた具体的な支援方策について、関係学会の指針等に基づき患者が入室する治療室の職員とともに計画を作成する。

イ 当該患者を診療する医師、看護師、理学療法士、作業療法士又は臨床工学技士等が、早期離床・リハビリテーションチームと連携し、当該患者が特定集中治療室に入室後48時間以内に、当該計画に基づく早期離床の取組を開始する。

ウ 早期離床・リハビリテーションチームは、当該計画に基づき行われた取組を定期的に評価する。

エ アからウまでの取組等の内容及び実施時間について診療録等に記載すること。

(5) 「注5」に掲げる早期栄養介入管理加算は、重症患者の特定集中治療室への入室後、早期(48時間以内)に管理栄養士が特定集中治療室の医師、看護師、薬剤師等と連携し、早期の経口移行・維持及び低栄養の改善等につながる栄養管理を実施した場合の評価である。

(6) 「注5」に規定する加算を算定する場合には、日本集中治療医学会の「日本版重症患者の栄養療法ガイドライン」に沿った栄養管理を実施すること。また、入室患者全員に栄養スクリーニングを実施し、抽出された患者に対し、次の項目を実施すること。なお、アからウは入室後48時間以内に実施すること。

ア 栄養アセスメント

イ 栄養管理に係る早期介入の計画を作成

ウ 腸管機能評価を実施し、入室後48時間以内に経腸栄養等を開始

エ 経腸栄養開始後は、1日に3回以上のモニタリングを行い、その結果を踏まえ、必要に応じて計画の見直すとともに栄養管理を実施

オ 再アセスメントを実施し、胃管からの胃内容物の逆流の有無等の確認

カ アからオまでの内容を診療録等に記載すること。なお、ウに関しては、入室時刻及び経腸栄養の開始時刻を記載すること

加えて、上記項目を実施する場合、特定集中治療室の医師、看護師、薬剤師等とのカンファレンス及び回診等を実施するとともに、早期離床・リハビリテーションチームが設置されている場合は、適切に連携して栄養管理を実施すること。

(7) 「注5」に規定する加算の1日当たりの算定患者数は、管理栄養士1名につき、10人以内とする。また、当該加算及び区分番号「A233―2」栄養サポートチーム加算を算定する患者数は、管理栄養士1名につき、合わせて15人以内とする。

(8) 特定集中治療室管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

この際、入院基本料等を算定する場合の費用の請求については、区分番号「A300」の救命救急入院料の(10)と同様であること。

A301―2 ハイケアユニット入院医療管理料

(1) ハイケアユニット入院医療管理料の算定対象となる患者は、次に掲げる状態に準じる状態にあって、医師がハイケアユニット入院医療管理が必要であると認めた者であること。

ア 意識障害又は昏睡

イ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪

ウ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

エ 急性薬物中毒

オ ショック

カ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

キ 広範囲熱傷

ク 大手術後

ケ 救急蘇生後

コ その他外傷、破傷風等で重篤な状態

(2) ハイケアユニット入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

この際、入院基本料等を算定する場合の費用の請求については、区分番号「A300」の救命救急入院料の(10)と同様であること。

A301―3 脳卒中ケアユニット入院医療管理料

(1) 脳卒中ケアユニット入院医療管理料の算定対象となる患者は、次に掲げる疾患であって、医師が脳卒中ケアユニット入院医療管理が必要であると認めた者であること。

ア 脳梗塞

イ 脳出血

ウ くも膜下出血

(2) 脳卒中ケアユニット入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

この際、入院基本料等を算定する場合の費用の請求については、区分番号「A300」の救命救急入院料の(10)と同様であること。

A301―4 小児特定集中治療室管理料

(1) 小児特定集中治療室管理料の算定対象となる患者は、15歳未満(児童福祉法第6条の2第2項に規定する小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合は、20歳未満)であって、次に掲げる状態にあり、医師が特定集中治療室管理が必要であると認めた者であること。

ア 意識障害又は昏睡

イ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪

ウ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

エ 急性薬物中毒

オ ショック

カ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

キ 広範囲熱傷

ク 大手術後

ケ 救急蘇生後

コ その他外傷、破傷風等で重篤な状態

なお、小児慢性特定疾病医療支援の対象患者については、当該病棟の対象となる年齢以降を見据えた診療体制の構築や診療計画の策定等に留意すること。

(2) 小児特定集中治療室管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

この際、入院基本料等を算定する場合の費用の請求については、区分番号「A300」の救命救急入院料の(10)と同様であること。

A302 新生児特定集中治療室管理料

(1) 新生児特定集中治療室管理料の算定対象となる新生児は、次に掲げる状態にあって、医師が新生児特定集中治療室管理が必要であると認めた者であること。

ア 高度の先天奇形

イ 低体温

ウ 重症黄疸

エ 未熟児

オ 意識障害又は昏睡

カ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪

キ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

ク 急性薬物中毒

ケ ショック

コ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

サ 大手術後

シ 救急蘇生後

ス その他外傷、破傷風等で重篤な状態

(2) 新生児特定集中治療室管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

この際、入院基本料等を算定する場合の費用の請求については、区分番号「A300」の救命救急入院料の(10)と同様であること。

(3) 新生児特定集中治療室管理料を算定する場合は、(1)のアからスまでのいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

A303 総合周産期特定集中治療室管理料

(1) 総合周産期特定集中治療室管理料は、出産前後の母体及び胎児並びに新生児の一貫した管理を行うため、都道府県知事が適当であると認めた病院であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合していると地方厚生(支)局長に届出を行った病院である保険医療機関に限って算定できる。

(2) 「1」の母体・胎児集中治療室管理料の算定対象となる妊産婦は、次に掲げる疾患等のため母体又は胎児に対するリスクの高い妊娠と認められる妊産婦であって、医師が、常時十分な監視のもとに適時適切な治療を行うために母体・胎児集中治療室管理が必要であると認めたものであること。なお、妊産婦とは、産褥婦を含むものであること。

ア 合併症妊娠

イ 妊娠高血圧症候群

ウ 多胎妊娠

エ 胎盤位置異常

オ 切迫流早産

カ 胎児発育遅延や胎児奇形などの胎児異常を伴うもの

(3) 「2」の新生児集中治療室管理料の算定対象となる新生児は、区分番号「A302」新生児特定集中治療室管理料の(1)に掲げる状態にあって、医師が新生児集中治療室管理が必要であると認めたものであること。

(4) 総合周産期特定集中治療室管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

この際、入院基本料等を算定する場合の費用の請求については、区分番号「A300」の救命救急入院料の(10)と同様であること。

(5) 「1」の母体・胎児集中治療室管理料を算定する場合は、アからカまでのいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。「2」の新生児集中治療室管理料を算定する場合は、区分番号「A302」新生児特定集中治療室管理料の(1)のアからスまでのいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

A303―2 新生児治療回復室入院医療管理料

(1) 新生児治療回復室入院医療管理料は、集中的な医療を必要とする新生児に対して十分な体制を整えた治療室において医療管理を行った場合に算定する。

(2) 新生児治療回復室入院医療管理料の算定対象となる新生児は、次に掲げる状態にあって、保険医が入院医療管理が必要であると認めた者である。

ア 高度の先天奇形

イ 低体温

ウ 重症黄疸

エ 未熟児

オ 意識障害又は昏睡

カ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪

キ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

ク 急性薬物中毒

ケ ショック

コ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

サ 大手術後

シ 救急蘇生後

ス その他外傷、破傷風等で重篤な状態

(3) 新生児治療回復室入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

この際、入院基本料等を算定する場合の費用の請求については、区分番号「A300」の救命救急入院料の(10)と同様であること。

(4) 新生児治療回復室入院医療管理料を算定する場合は、(2)のアからスまでのいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

A305 一類感染症患者入院医療管理料

(1) 一類感染症患者入院医療管理料の算定対象となる患者は、次に掲げる患者であって、医師が一類感染症患者入院医療管理が必要と認めた者であること。

ア 感染症法第6条第9項に規定する新感染症又は同法第6条第2項に規定する一類感染症に罹患している患者

イ アの感染症の疑似症患者又は無症状病原体保有者

(2) 一類感染症患者入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。

この際、入院基本料等を算定する場合の費用の請求については、区分番号「A300」の救命救急入院料の(10)と同様であること。

A306 特殊疾患入院医療管理料

(1) 特殊疾患入院医療管理料を算定する病室は、主として長期にわたり療養の必要な患者が入院する病室であり、医療上特に必要がある場合に限り他の病室への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(2) 特殊疾患入院医療管理料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、特殊疾患入院医療管理料に含まれ、別に算定できない。

(3) 特殊疾患入院医療管理料を算定している患者に対して、1日5時間を超えて体外式陰圧人工呼吸器を使用した場合は、「注2」の加算を算定できる。

(4) 「注2」に掲げる加算を算定する際に使用した酸素及び窒素の費用は、「酸素及び窒素の価格」(平成2年厚生省告示第41号)に定めるところによる。

(5) 「注3」に掲げる重症児(者)受入連携加算は、集中治療を経た新生児等を急性期の保険医療機関から受け入れ、病態の安定化のために密度の高い医療を提供することを評価したものであり、入院前の保険医療機関において入退院支援加算3が算定された患者を、特殊疾患入院医療管理料を算定する病床において受け入れた場合に入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(6) 「注4」に定める脳卒中を原因とする重度の意識障害によって当該病室に入院するものについては、区分番号「A101」の療養病棟入院基本料における医療区分(1日に2つ以上の区分に該当する場合には、該当するもののうち最も高い点数の区分)に従い、当該患者ごとに各医療区分に相当する所定点数を算定する。その際、当該患者の疾患及び状態の該当する医療区分の項目について、保険医療機関において診療録等に記録する。

(7) 平成28年3月31日時点で、継続して6か月以上脳卒中を原因とする重度の意識障害によって特殊疾患入院医療管理料を算定する病室に入院している患者であって、引き続き同病室に入院しているものについては、医療区分3に相当するものとみなす。なお、脳卒中を原因とする重度の意識障害によって特殊疾患入院医療管理料を算定する病室に入院している患者であって、その疾患及び状態等が医療区分3に規定する疾患及び状態等に相当するものについては、注4によらず、特殊疾患入院医療管理料に規定する所定点数を算定すること。

A307 小児入院医療管理料

(1) 小児入院医療管理料は、届け出た保険医療機関における入院中の15歳未満の患者(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第6条の2第2項に規定する小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合は、20歳未満の患者)を対象とする。ただし、当該患者が他の特定入院料を算定できる場合は、小児入院医療管理料は算定しない。

なお、小児慢性特定疾病医療支援の対象患者については、当該病棟の対象となる年齢以降を見据えた診療体制の構築や診療計画の策定等に留意すること。

(2) 「注2」に掲げる加算については、当該入院医療管理料を算定する病棟において算定するものであるが、小児入院医療管理料5を算定する医療機関にあっては、院内の当該入院医療管理料を算定する患者の全てについて算定できる。

(3) 「注3」に掲げる加算を算定する際に使用した酸素及び窒素の費用は、「酸素及び窒素の価格」に定めるところによる。

(4) 「注4」に規定する重症児受入体制加算は、高度急性期の医療機関から集中治療を経た新生児の受入れを行う等、重症児の受入機能が高い病棟を評価したものである。

(5) 小児入院医療管理料を算定している患者に対して、1日5時間を超えて体外式陰圧人工呼吸器を使用した場合は、「注3」の加算を算定できる。

(6) 小児入院医療管理料1、2、3及び4において、当該入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が当該病棟に入院した場合には、当該医療機関が算定している入院基本料等を算定する。この際、入院基本料等を算定する場合の費用の請求については、区分番号「A300」の救命救急入院料の(10)と同様であること。

(7) 小児入院医療管理料5において、当該入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が当該病棟(精神病棟に限る。)に入院した場合は、精神病棟入院基本料の15対1入院基本料を算定する。

(8) (7)により、区分番号「A103」の精神病棟入院基本料の例により算定する場合の費用の請求については、当該保険医療機関に入院した日を入院初日として、以下のとおりとする。

ア 区分番号「A103」精神病棟入院基本料の「注4」に規定する重度認知症加算は算定することができない。

イ 区分番号「A103」精神病棟入院基本料の「注5」に規定する救急支援精神病棟初期加算は算定することができない。

ウ 区分番号「A103」精神病棟入院基本料の「注6」に規定する加算について、当該病棟において各加算の要件を満たしている場合に算定できる。

エ 区分番号「A103」精神病棟入院基本料の「注7」に規定する精神保健福祉士配置加算は算定することができない。

A308 回復期リハビリテーション病棟入院料

(1) 回復期リハビリテーション病棟は、脳血管疾患又は大腿骨頸部骨折等の患者に対して、ADLの向上による寝たきりの防止と家庭復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に行うための病棟であり、回復期リハビリテーションを要する状態の患者が常時8割以上入院している病棟をいう。なお、リハビリテーションの実施に当たっては、医師は定期的な機能検査等をもとに、その効果判定を行いリハビリテーション実施計画書を作成する必要がある。

(2) 医療上特に必要がある場合に限り回復期リハビリテーション病棟から他の病棟への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(3) 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、回復期リハビリテーション病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

(4) 回復期リハビリテーション病棟入院料に係る算定要件に該当しない患者が、当該病棟に入院した場合には、当該病棟が一般病棟である場合は特別入院基本料を、当該病棟が療養病棟である場合は療養病棟入院基本料の入院料Iを算定する。

この場合において、当該病棟が回復期リハビリテーション病棟入院料1から4までを算定する病棟である場合は、療養病棟入院料1の入院料Iにより、回復期リハビリテーション病棟入院料5又は6を算定する病棟である場合は、療養病棟入院料2の入院料Iにより算定する。

この際、区分番号「A100」の注2に規定する特別入院基本料を算定する場合の費用の請求については、同「注4」に規定する重症児(者)受入連携加算、同「注5」に規定する救急・在宅等支援病床初期加算、同「注12」に規定するADL維持向上等体制加算は算定できず、同「注10」に規定する加算(特別入院基本料において算定できるものに限る。)は、当該病棟において要件を満たしている場合に算定できる。また、区分番号「A101」の療養病棟入院基本料を算定する場合の費用の請求については、区分番号「A100」一般病棟入院基本料の(9)に準ずるものとする。

(5) 必要に応じて病棟等における早期歩行、ADLの自立等を目的とした理学療法又は作業療法が行われることとする。

(6) 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定している患者は、転院してきた場合においても、転院先の保険医療機関で当該入院料を継続して算定できることとする。ただし、その場合にあっては、当該入院料の算定期間を通算する。なお、診療報酬明細書の摘要欄に転院前の保険医療機関における当該入院料の算定日数を記載すること。

(7) 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定するに当たっては、当該回復期リハビリテーション病棟への入院時又は転院時及び退院時に日常生活機能評価又は機能的自立度評価法(Functional Independence Measure、以下「FIM」という。)の測定を行い、その結果について診療録等に記載すること。なお、区分番号「A246」入退院支援加算の注4に規定する地域連携診療計画加算を算定する患者が当該回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する病棟に転院してきた場合には、原則として当該患者に対して作成された地域連携診療計画に記載された日常生活機能評価又はFIMの結果を入院時に測定された日常生活機能評価又はFIMとみなす。

(8) 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定するに当たっては、当該入院料を算定する患者に対し、入棟後2週間以内に入棟時のFIM運動項目の得点について、また退棟(死亡の場合を除く。)に際して退棟時のFIM運動項目の得点について、その合計及び項目別内訳を記載したリハビリテーション実施計画書を作成し、説明すること。なお、患者の求めがあった場合には、作成したリハビリテーション実施計画書を交付すること。

(9) 医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等の多職種が共同してリハビリテーション総合実施計画書を作成し、これに基づいて行ったリハビリテーションの効果、実施方法等について共同して評価を行った場合は、区分番号「H003―2」リハビリテーション総合計画評価料を算定できる。

(10) 「注2」に掲げる休日リハビリテーション提供体制加算は、患者が入院当初から集中的なリハビリテーションを継続して受けられるよう、休日であっても平日と同様のリハビリテーションの提供が可能な体制をとる保険医療機関を評価したものである。

(11) 「注3」に規定する「別に厚生労働大臣が定める費用」に係る取扱いについては、以下のとおりとする。

ア 基本診療料の施設基準等別表第九の三に規定する「当該保険医療機関における回復期リハビリテーション病棟においてリハビリテーションの提供実績を相当程度有する」場合とは、①及び②を各年度4月、7月、10月及び1月において算出し、①が10名以上かつ②が6単位以上である状態が2回連続した場合をいう。②の算出には、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」別添4第11の1(8)に示した式において「直近1か月間」とあるものを「直近6か月間」と読み替えた計算式を用いる。

① 前月までの6か月間に回復期リハビリテーション病棟から退棟した患者数(ウ及びエの規定により計算対象から除外するものを除く。)

② 直近6か月間の回復期リハビリテーションを要する状態の患者(在棟中に死亡した患者、入棟日においてウの①から④までのいずれかに該当した患者及びエの規定によりリハビリテーション実績指数の計算対象から除外した患者を含む。)に対する1日当たりのリハビリテーション提供単位数の平均値

イ 基本診療料の施設基準等別表第九の三に規定する「効果に係る相当程度の実績が認められない場合」とは、前月までの6か月間に当該医療機関の回復期リハビリテーション病棟から退棟した患者(ウ及びエの規定によって計算対象から除外する患者を除く。)について、以下の①の総和を②の総和で除したもの(以下「リハビリテーション実績指数」という。)を各年度4月、7月、10月及び1月において算出し、リハビリテーション実績指数が2回連続して27を下回った場合をいう。

① 退棟時のFIM運動項目の得点から、入棟時のFIM運動項目の得点を控除したもの。

② 各患者の入棟から退棟までの日数を、「注1」に規定する厚生労働大臣が定める日数の上限のうち当該患者の入棟時の状態に応じたもので除したもの

[計算例]

① 前月までの6か月間に50人退棟し、入棟時にFIM運動項目が50点、退棟時に80点だったものが30人、入棟時にFIM運動項目が40点、退棟時に65点だったものが20人とすると、(80-50)×30+(65-40)×20=1,400

② 前月までの6か月間に50人退棟し、そのうち30人が大腿骨骨折手術後(回復期リハビリテーション病棟入院料の算定日数上限が90日)で実際には72日で退棟、残り20人が脳卒中(回復期リハビリテーション病棟入院料の算定日数上限が150日)で実際には135日で退棟したとすると、(72/90)×30+(135/150)×20=42

従って、この例ではリハビリテーション実績指数は①/②=33.3となる。

ウ 在棟中に一度も回復期リハビリテーション病棟入院料を算定しなかった患者及び在棟中に死亡した患者はリハビリテーション実績指数の算出対象から除外する。また、入棟日において次に該当する患者については、当該月の入棟患者数(入棟時に回復期リハビリテーションを要する状態であったものに限る。)の100分の30を超えない範囲で、リハビリテーション実績指数の算出対象から除外できる。

① FIM運動項目の得点が20点以下のもの

② FIM運動項目の得点が76点以上のもの

③ FIM認知項目の得点が24点以下のもの

④ 年齢が80歳以上のもの

エ 前月までの6か月間に回復期リハビリテーション病棟を退棟した患者(在棟中に回復期リハビリテーション病棟入院料を算定した患者に限る。)の数に対する高次脳機能障害の患者(基本診療料の施設基準等別表第九に掲げる「高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷の場合」に該当し、回復期リハビリテーション病棟入院料を算定開始日から起算して180日まで算定できるものに限る。)の数の割合が4割以上である保険医療機関においては、当該月に入棟した高次脳機能障害の患者をリハビリテーション実績指数の算出から全て除外することができる。除外する場合、ウについては、「当該月の入棟患者数(入棟時に回復期リハビリテーションを要する状態であったものに限る。)の100分の30」を、「当該月の入棟患者数(入棟時に回復期リハビリテーションを要する状態であったものに限る。)のうち高次脳機能障害の患者を除いた患者数の100分の30」と読み替えるものとする。

オ ウ及びエの除外の判断に当たっては、除外した患者の氏名と除外の理由を一覧性のある台帳に順に記入するとともに、当該患者の入棟月の診療報酬明細書の摘要欄に、リハビリテーション実績指数の算出から除外する旨とその理由を記載する。

カ 在棟中にFIM運動項目の得点が1週間で10点以上低下したものについては、リハビリテーション実績指数の算出においては、当該低下の直前の時点をもって退棟したものとみなすことができる。

キ ア及びイによって算出した実績等から、「当該保険医療機関における回復期リハビリテーション病棟においてリハビリテーションの提供実績を相当程度有するとともに、効果に係る相当程度の実績が認められない場合」に該当した場合、当該月以降、1日につき6単位を超える疾患別リハビリテーション料(脳血管疾患等の患者であって発症後60日以内のものに対して行ったものを除く。)は回復期リハビリテーション病棟入院料に包括される。なお、その後、別の月(4月、7月、10月又は1月以外の月を含む。)において、アの①が10名未満、アの②が6単位未満、又はイのリハビリテーション実績指数が27以上となった場合、当該月以降、再び1日につき6単位を超える疾患別リハビリテーション料を出来高により算定することができる。

ク 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する保険医療機関は、各年度4月、7月、10月及び1月においてア及びイで算出した内容等について、毎年7月に別紙様式45を用いて地方厚生(支)局長に報告する。また、各年度4月、7月、10月及び1月において「当該保険医療機関における回復期リハビリテーション病棟においてリハビリテーションの提供実績を相当程度有するとともに、効果に係る相当程度の実績が認められない場合」に該当した場合及びキの規定によりその後、別の月(4月、7月、10月又は1月以外の月を含む。)にア及びイの算出を行った場合には、その都度同様に報告する。

(12) 「注4」に規定する体制強化加算1及び2は、患者の早期機能回復及び早期退院を促進するために、専従の医師及び専従の社会福祉士の配置を評価したものである。

(13) 回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定するに当たっては、栄養管理に関するものとして、次に掲げる内容を行うこと。

ア 当該入院料を算定する全ての患者について、患者ごとに行うリハビリテーション実施計画又はリハビリテーション総合実施計画の作成に当たっては、管理栄養士も参画し、患者の栄養状態を十分に踏まえて行うこと。なお、リハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合実施計画書における栄養関連項目については、必ず記載すること。

イ 当該入院料を算定する全ての患者について、管理栄養士を含む医師、看護師その他医療従事者が、入棟時の患者の栄養状態の確認、当該患者の栄養状態の定期的な評価及び栄養管理に係る計画の見直しを共同して行うこと。

ウ 当該入院料を算定する患者のうち、栄養障害の状態にあるもの又は栄養管理をしなければ栄養障害の状態になることが見込まれるものその他の重点的な栄養管理が必要なものについては、栄養状態に関する再評価を週1回以上行うとともに、再評価の結果も踏まえた適切な栄養管理を行い、栄養状態の改善等を図ること。

(14) 回復期リハビリテーション病棟入院料2から6を算定するに当たっては、専任の常勤管理栄養士を配置し、栄養管理に関するものとして、次に掲げる内容を行うことが望ましい。

ア 当該入院料を算定する全ての患者について、患者ごとに行うリハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合実施計画書の作成に当たっては、管理栄養士も参画し、患者の栄養状態を十分に踏まえて行うとともに、リハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合実施計画書における栄養関連項目に記載すること。

イ 当該入院料を算定する全ての患者について、管理栄養士を含む医師、看護師その他医療従事者が、入棟時の患者の栄養状態の確認、当該患者の栄養状態の定期的な評価及び計画の見直しを共同して行うこと。

ウ 当該入院料を算定する患者のうち、栄養障害の状態にあるもの又は栄養管理をしなければ栄養障害の状態になることが見込まれるものその他の重点的な栄養管理が必要なものについては、栄養状態に関する再評価を週1回以上行うとともに、再評価の結果も踏まえた適切な栄養管理を行い、栄養状態の改善等を図ること。

(15) 回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定している患者については、区分番号「B001」の「10」入院栄養食事指導料を別に算定できる。

A308―3 地域包括ケア病棟入院料

(1) 地域包括ケア病棟入院料及び地域包括ケア入院医療管理料(以下「地域包括ケア病棟入院料等」という。)を算定する病棟又は病室は、急性期治療を経過した患者及び在宅において療養を行っている患者等の受入れ並びに患者の在宅復帰支援等を行う機能を有し、地域包括ケアシステムを支える役割を担うものである。

(2) リハビリテーションに係る費用(区分番号「H004」摂食機能療法を除く。)及び薬剤料(基本診療料の施設基準等別表第五の一の三に掲げる薬剤及び注射薬に係る薬剤料を除く。)等は、地域包括ケア病棟入院料等に含まれ、別に算定できない。

(3) 地域包括ケア病棟入院料等を算定する患者が当該病室に入院してから7日以内(当該病室に直接入院した患者を含む。)に、医師、看護師、在宅復帰支援を担当する者、その他必要に応じ関係職種が共同して新たに診療計画(退院に向けた指導・計画等を含む。)を作成し、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の別添6の別紙2を参考として、文書により病状、症状、治療計画、検査内容及び日程、手術内容及び日程、推定される入院期間等について、患者に対して説明を行い、交付するとともに、その写しを診療録等に添付するものとする。(ただし、同一保険医療機関の他の病室から地域包括ケア病棟入院料等を算定する病室へ移動した場合、すでに交付されている入院診療計画書に記載した診療計画に変更がなければ別紙様式7を参考に在宅復帰支援に係る文書のみを交付するとともに、その写しを診療録等に添付することでも可とする。)

(4) 地域包括ケア病棟入院料等を算定した患者が退室した場合、退室した先について診療録に記載すること。

(5) 「注2」に規定する地域の保険医療機関であって、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」別添2「入院基本料等の施設基準等」第5の6の規定により看護配置の異なる病棟毎に一般病棟入院基本料を算定しているものについては、各病棟の施設基準に応じて、「注1」に規定する点数又は「注2」に規定する点数を算定する。

(6) 「注3」及び「注4」に規定する看護職員配置加算及び看護補助者配置加算は、看護職員及び看護補助者の配置について、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た病棟又は病室において算定する。

(7) 「注4」に規定する看護補助者配置加算を算定する病棟は、身体的拘束を最小化する取組を実施した上で算定する。取組内容については、区分番号「A101」療養病棟入院基本料の(16)の例による。

(8) 「注5」に規定する急性期患者支援病床初期加算は、急性期医療の後方病床を確保し、在宅患者支援病床初期加算は介護老人保健施設等の入居者等の状態が軽度悪化した際に入院医療を提供できる病床を確保することにより、急性期医療及び在宅での療養を支えることを目的として、地域包括ケア病棟入院料等を届け出た病棟又は病室が有する以下のような機能を評価したものであり、転院、入院又は転棟した日から起算して14日を限度に算定できる。当該加算を算定するに当たっては、入院前の患者の居場所(転院の場合は入院前の医療機関名)、自院の入院歴の有無、入院までの経過等を診療録に記載すること。

ア 急性期患者支援病床初期加算については、急性期医療を担う病院に入院し、急性期治療を終えて一定程度状態が安定した患者を速やかに当該病棟又は病室が受け入れることにより、急性期医療を担う病院を後方支援する。急性期医療を担う病院の一般病棟とは、具体的には、急性期一般入院基本料、7対1入院基本料若しくは10対1入院基本料(特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料に限る。)、救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室管理料、総合周産期特定集中治療室管理料、新生児治療回復室入院医療管理料、一類感染症患者入院医療管理料、特殊疾患入院医療管理料又は小児入院医療管理料を算定する病棟であること。

イ 在宅患者支援病床初期加算については、介護老人保健施設等又は自宅で療養を継続している患者が、軽微な発熱や下痢等の症状をきたしたために入院医療を要する状態になった際に、当該病棟又は病室が速やかに当該患者を受け入れる体制を有していること及び厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、入院時に治療方針に関する患者又はその家族等の意思決定に対する支援を行うことにより、自宅や介護老人保健施設等における療養の継続を後方支援する。なお、当該加算を算定する病棟又は病室を有する病院に介護老人保健施設等が併設されている場合は、当該併設介護老人保健施設等から受け入れた患者については算定できないものとする。

(9) 「注7」に規定する看護職員夜間配置加算は、看護職員の手厚い夜間配置を評価したものであるため、当該基準を満たしていても、各病棟における夜勤を行う看護職員の数は、「基本診療料の施設基準等」の第九の十一の二の(1)のイに定める夜間の看護職員の最小必要数を超えた看護職員3人以上でなければ算定できない。

(10) 診断群分類点数表に従って診療報酬を算定していた患者が同一保険医療機関内の地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟に転棟した場合については、診断群分類点数表に定められた入院日Ⅱまでの間、地域包括ケア入院医療管理料を算定する病室に転室した場合については、診断群分類点数表に定められた入院日Ⅲまでの間、診断群分類点数表に従って診療報酬を算定する。なお、入院日Ⅱ又はⅢを超えた日以降は、医科点数表に従って当該入院料又は管理料を算定することとするが、その算定期間は診療報酬の算定方法にかかわらず、当該病棟又は病室に最初に入棟又は入室した日から起算して60日間とする。

(11) 地域包括ケア病棟入院料等に係る算定要件に該当しない患者が、当該病棟等に入院した場合には、当該病棟が一般病棟等である場合は特別入院基本料を、当該病棟が療養病棟等である場合は療養病棟入院基本料の入院料Iを算定する。その際、地域包括ケア病棟入院料1、地域包括ケア入院医療管理料1、地域包括ケア病棟入院料2又は地域包括ケア入院医療管理料2の場合は療養病棟入院料1のIを、地域包括ケア病棟入院料3、地域包括ケア入院医療管理料3、地域包括ケア病棟入院料4又は地域包括ケア入院医療管理料4の場合は療養病棟入院料2のIを算定する。この際、区分番号「A100」の注2に規定する特別入院基本料又は区分番号「A101」療養病棟入院基本料を算定する場合の費用の請求については、区分番号「A308」の回復期リハビリテーション病棟の(4)と同様であること。

A309 特殊疾患病棟入院料

(1) 特殊疾患病棟は、主として長期にわたり療養が必要な重度の肢体不自由児(者)、脊髄損傷等の重度の障害者、重度の意識障害者(病因が脳卒中の後遺症の患者を含む。)、筋ジストロフィー患者又は神経難病患者が入院する病棟であり、医療上特に必要がある場合に限り他の病棟への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(2) 特殊疾患病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、特殊疾患病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

(3) 特殊疾患病棟入院料を算定している患者に対して、1日5時間を超えて体外式陰圧人工呼吸器を使用した場合は、「注2」の加算を算定できる。

(4) 「注2」に掲げる加算を算定する際に使用した酸素及び窒素の費用は、「酸素及び窒素の価格」に定めるところによる。

(5) 「注3」に掲げる重症児(者)受入連携加算は、集中治療を経た新生児等を急性期の保険医療機関から受け入れ、病態の安定化のために密度の高い医療を提供することを評価したものであり、入院前の保険医療機関において入退院支援加算3が算定された患者を、特殊疾患病棟入院料を算定する病床において受け入れた場合に入院初日に算定する。なお、ここでいう入院初日とは、第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(6) 「注4」に定める脳卒中を原因とする重度の意識障害によって当該病棟に入院するものについては、区分番号「A101」療養病棟入院基本料における医療区分(1日に2つ以上の区分に該当する場合には、該当するもののうち最も高い点数の区分)に従い、当該患者ごとに各医療区分に相当する所定点数を算定する。その際、当該患者の疾患及び状態の該当する医療区分の項目について、保険医療機関において診療録等に記録する。

(7) 平成28年3月31日時点で、継続して6か月以上脳卒中を原因とする重度の意識障害によって特殊疾患病棟入院料を算定する病棟に入院している患者であって、引き続き同病棟に入院しているものについては、医療区分3に相当するものとみなす。なお、脳卒中を原因とする重度の意識障害によって特殊疾患病棟入院料を算定する病棟に入院している患者であって、その疾患及び状態等が医療区分3に規定する疾患及び状態等に相当するものについては、注4によらず、特殊疾患病棟入院料に規定する所定点数を算定すること。

A310 緩和ケア病棟入院料

(1) 緩和ケア病棟は、主として苦痛の緩和を必要とする悪性腫瘍及び後天性免疫不全症候群の患者を入院させ、緩和ケアを行うとともに、外来や在宅への円滑な移行も支援する病棟であり、当該病棟に入院した緩和ケアを要する悪性腫瘍及び後天性免疫不全症候群の患者について算定する。

(2) 緩和ケア病棟入院料を算定する日に使用するものとされた薬剤に係る薬剤料は緩和ケア病棟入院料に含まれるが、退院日に退院後に使用するものとされた薬剤料は別に算定できる。

(3) 悪性腫瘍の患者及び後天性免疫不全症候群の患者以外の患者が、当該病棟に入院した場合には、一般病棟入院基本料の特別入院基本料を算定する。この際、同特別入院基本料の費用の請求については、区分番号「A308」の回復期リハビリテーション病棟入院料の(4)と同様であること。

(4) 緩和ケア病棟における悪性腫瘍患者のケアに関しては、「がん疼痛薬物療法ガイドライン」(日本緩和医療学会)、「新版 がん緩和ケアガイドブック」(日本医師会監修厚生労働科学特別研究事業「適切な緩和ケア提供のための緩和ケアガイドブックの改訂に関する研究」班」)等の緩和ケアに関するガイドラインを参考とする。

(5) 注2に規定する加算は、当該保険医療機関と連携して緩和ケアを提供する別の保険医療機関(在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院に限る。)(以下本項において「連携保険医療機関」という。)から在宅緩和ケアを受ける患者の病状が急変し、症状緩和のために一時的に入院治療を要する場合の緩和ケア病棟への受入れを通じ、在宅での緩和ケアを後方支援することを評価するものである。

当該保険医療機関と連携保険医療機関の間では、過去1年以内に、緩和ケアを受ける患者の紹介、緩和ケアに係る研修又は共同でのカンファレンスの実施等の際に、医師その他の職員が面会した実績が記録されている必要がある。

また、在宅緩和ケアを受け、緊急に入院を要する可能性のある患者について、緊急時の円滑な受入れのため、病状及び投薬内容のほか、患者及び家族への説明等について、当該連携保険医療機関より予め文書による情報提供を受ける必要がある。

A311 精神科救急入院料

(1) 精神科救急入院料の算定対象となる患者は、次のア若しくはイに該当する患者(以下この項において「新規患者」という。)又はウに該当する患者であること。

ア 措置入院患者、緊急措置入院患者又は応急入院患者

イ ア以外の患者であって、当該病棟に入院する前3か月において保険医療機関(当該病棟を有する保険医療機関を含む。)の精神病棟に入院(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成15年法律第110号)第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号に規定する同法による入院(医療観察法入院)を除く。)したことがない患者のうち、入院基本料の入院期間の起算日の取扱いにおいて、当該病院への入院日が入院基本料の起算日に当たる患者(当該病棟が満床である等の理由により一旦他の病棟に入院した後、入院日を含め2日以内に当該病棟に転棟した患者を含む。)

ウ ア及びイにかかわらず、クロザピンを新規に導入することを目的として、当該入院料に係る病棟を有する保険医療機関において、当該保険医療機関の他の病棟(精神科救急入院料、精神科急性期治療病棟入院料及び精神科救急・合併症入院料を算定する病棟を除く。)から当該病棟に転棟した患者

(2) 当該入院料は、入院日から起算して3月を限度として算定する。なお、届出を行い、新たに算定を開始することとなった日から3月以内においては、届出の効力発生前に当該病棟に新規入院した入院期間が3月以内の患者を、新規患者とみなして算定できる。

(3) (1)のウに該当する患者については、当該保険医療機関の他の病棟から転棟後、当該病棟においてクロザピンの投与を開始した日から起算して3月を限度として算定する。ただし、クロザピンの投与後に投与を中止した場合については、以下の取扱いとする。

ア クロザピンの副作用等の事由により、投与を中止した場合は、投与中止日から2週間まで当該入院料を算定できる。

イ 患者事由により、投与を中止した場合は、投与中止日まで当該入院料を算定できる。

(4) 精神科救急入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、精神科救急入院料に含まれ、別に算定できない。

(5) 精神科救急入院料に係る算定要件に該当しない患者が、当該病棟に入院した場合には、精神病棟入院基本料の15対1入院基本料を算定する。

(6) (5)により、区分番号「A103」の精神病棟入院基本料の例により算定する場合の費用の請求については、区分番号「A307」の小児入院医療管理料の(8)と同様であること。

(7) 当該入院料の算定対象となる患者は以下の障害を有する者に限る。

ア 症状性を含む器質性精神障害(精神疾患を有する状態に限り、単なる認知症の症状を除く。)

イ 精神作用物質使用による精神及び行動の障害(アルコール依存症にあっては、単なる酩酊状態であるものを除く。)

ウ 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害

エ 気分(感情)障害

オ 神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害(自殺・自傷行為及び栄養障害・脱水等の生命的危険を伴う状態に限る。)

カ 成人の人格及び行動の障害(精神疾患を有する状態に限る。)

キ 知的障害(精神疾患を有する状態に限る。)

(8) 「注3」に規定する非定型抗精神病薬及び抗精神病薬の種類数は一般名で計算する。また、非定型抗精神病薬及び抗精神病薬の種類については、別紙36を参考にすること。ただし、クロザピンはこれに含めない。

(9) 「注3」に規定する加算は、非定型抗精神病薬を投与している統合失調症患者に対して、計画的な治療管理を継続して行い、かつ、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明を含め、療養上必要な指導を行った場合に算定する。

(10) 「注3」に規定する加算を算定する場合には、1月に1度、治療計画及び指導内容の要点を診療録に記載し、投与している薬剤名を診療報酬明細書に記載する。

(11) 「注4」に規定する加算は、統合失調症、統合失調型障害若しくは妄想性障害又は気分(感情)障害の患者に対して、入院日から起算して7日以内に、医師、看護師、精神保健福祉士等の関係職種が共同して、別紙様式37又は別紙様式37の2若しくはこれに準じた様式を用いて院内標準診療計画書を策定し、患者又は家族等に対して説明の上、当該計画に基づき患者が60日以内に退院した場合に、退院時1回に限り算定する。ただし、死亡又は他の医療機関への転院による退院については、算定しない。なお、ここでいう退院時とは、第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院における退院のことをいい、入院期間が通算される最後の退院時において1回に限り算定できる。

(12) 患者の病態により当初作成した院内標準診療計画書に変更等が必要な場合には、新たな院内標準診療計画書を作成し、説明を行う必要がある。

(13) 院内標準診療計画は、第2部通則7に定める入院診療計画とは別に作成すること。

(14) 「注5」に規定する看護職員夜間配置加算は、看護職員の手厚い夜間配置を評価したものであり、当該病棟における看護にあたり以下の隔離及び身体的拘束その他の行動制限を最小化する取組を実施した上で算定する。

ア 入院患者に対し、日頃より行動制限を必要としない状態となるよう環境を整える。

イ やむを得ず行動制限を実施する場合であっても、当該患者の生命及び身体の保護に重点を置いた行動の制限であり、代替の方法が見いだされるまでの間のやむを得ない対応として行われるものであることから、可及的速やかに解除するよう努める。

ウ 行動制限を実施するに当たっては、以下の対応を行う。

(イ) 実施の必要性等のアセスメント

(ロ) 患者家族への説明と同意

(ハ) 行動制限の具体的行為や実施時間等の記録

(ニ) 二次的な身体障害の予防

(ホ) 行動制限の解除に向けた検討

エ 行動制限を実施した場合は、解除に向けた検討を少なくとも1日に1度は行う。なお、行動制限を実施することを避けるために、イ及びウの対応をとらず家族等に対し付添いを強要することがあってはならない。

(15) 「注5」に規定する看護職員夜間配置加算を算定する病院は、行動制限を最小化するための委員会において、入院医療について定期的(少なくとも月1回)な評価を行う。

(16) 「注5」に規定する看護職員夜間配置加算は、当該患者が入院した日から起算して30日を限度として算定できる。なお、ここでいう入院した日とは、第2部入院料等の通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される入院の初日のことをいう。

(17) 「注5」に規定する看護職員夜間配置加算を算定する各病棟における夜勤を行う看護職員の数は、「基本診療料の施設基準等」の第九の十四の(1)のヘに定める夜間の看護師の最小必要数を超えた看護職員3人以上でなければ算定できない。

A311―2 精神科急性期治療病棟入院料

(1) 精神科急性期治療病棟入院料の算定対象となる患者は、次に掲げる患者である。

ア 入院基本料の入院期間の起算日の取扱いにおいて、当該保険医療機関への入院日が入院基本料の起算日に当たる患者(当該病棟が満床である等の理由により一旦他の病棟に入院した後、入院日を含め2日以内に当該病棟に転棟した患者を含む。)(以下この項において「新規患者」という。)

イ 他の病棟から当該病棟に移動した入院患者又は当該病棟に入院中の患者であって当該入院料を算定していない患者のうち、意識障害、昏迷状態等の急性増悪のため当該病院の精神保健指定医が当該病棟における集中的な治療の必要性を認めた患者(以下この項において「転棟患者等」という。)

ウ ア及びイにかかわらず、クロザピンを新規に導入することを目的として、当該入院料に係る病棟を有する保険医療機関において、当該保険医療機関の他の病棟(精神科救急入院料、精神科急性期治療病棟入院料及び精神科救急・合併症入院料を算定する病棟を除く。)から当該病棟に転棟した患者

(2) 新規患者については入院日から起算して3月を限度として算定する。なお、届出を行い、新たに算定を開始することとなった日から3月以内においては、届出の効力発生前に当該病棟に新規入院した入院期間が3月以内の患者を、新規患者とみなして算定できる。

(3) 転棟患者等については、1年に1回に限り、1月を限度として算定する。1年とは暦年をいい、同一暦年において当該入院料の算定開始日が2回にはならない。なお、転棟患者等が当該入院料を算定する場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(4) (1)のウに該当する患者については、当該保険医療機関の他の病棟から転棟後、当該病棟においてクロザピンの投与を開始した日から起算して3月を限度として算定する。ただし、クロザピンの投与後に投与を中止した場合については、以下の取扱いとする。

ア クロザピンの副作用等の事由により、投与を中止した場合は、投与中止日から2週間まで当該入院料を算定できる。

イ 患者事由により、投与を中止した場合は、投与中止日まで当該入院料を算定できる。

(5) 精神科急性期治療病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、精神科急性期治療病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

(6) 精神科急性期治療病棟入院料に係る算定要件に該当しない患者が、当該病棟に入院した場合には、精神病棟入院基本料の15対1入院基本料を算定する。

(7) (6)により、区分番号「A103」の精神病棟入院基本料の例により算定する場合の費用の請求については、区分番号「A307」の小児入院医療管理料の(8)と同様であること。

(8) 当該入院料の算定対象となる患者は、区分番号「A311」精神科救急入院料の(7)の例による。

(9) 「注3」に規定する加算の算定に当たっては、区分番号「A311」精神科救急入院料の(8)から(10)までの例による。

(10) 「注4」に規定する加算の算定に当たっては、区分番号「A311」精神科救急入院料の(11)から(13)までの例による。ただし、算定対象となる患者は、統合失調症、統合失調型障害、妄想性障害又は気分(感情)障害の患者のうち、区分番号「A249」精神科急性期医師配置加算を算定するものに限る。

A311―3 精神科救急・合併症入院料

(1) 精神科救急・合併症入院料の算定対象となる患者は、次のアからウいずれかに該当する患者(以下この項において「新規患者」という。)又はエに該当する患者であること。

ア 措置入院患者、緊急措置入院患者又は応急入院患者

イ ア以外の患者であって、当該病棟に入院する前3か月において保険医療機関(当該病棟を有する保険医療機関を含む。)の精神病棟(精神病床のみを有する保険医療機関の精神病棟を除く。)に入院(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成15年法律第110号)第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号に規定する同法による入院(医療観察法入院)を除く。)したことがない患者のうち、入院基本料の入院期間の起算日の取扱いにおいて、当該病院への入院日が入院基本料の起算日に当たる患者(当該病棟が満床である等の理由により一旦他の病棟に入院した後、入院日を含め2日以内に当該病棟に転棟した患者を含む。)

ウ イの規定にかかわらず、精神科救急・合併症入院料を算定した後に、身体合併症の病状が悪化等して、当該医療機関において特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料又は総合周産期特定集中治療室管理料(母体・胎児集中治療室管理料を算定するものに限る。)を算定し、再度精神科救急・合併症入院料を算定する病棟へ入院した患者

エ ア~ウにかかわらず、クロザピンを新規に導入することを目的として、当該入院料に係る病棟を有する保険医療機関において、当該保険医療機関の他の病棟(精神科救急入院料、精神科急性期治療病棟入院料及び精神科救急・合併症入院料を算定する病棟を除く。)から当該病棟に転棟した患者

(2) 当該入院料は、入院日から起算して3月を限度として算定する。なお、届出を行い、新たに算定を開始することとなった日から3月以内においては、届出の効力発生前に当該病棟に新規入院した入院期間が3月以内の患者を、新規患者とみなして算定できる。

(3) (1)のウに該当する患者については、当該保険医療機関の他の病棟から転棟後、当該病棟においてクロザピンの投与を開始した日から起算して3月を限度として算定する。ただし、クロザピンの投与後に投与を中止した場合については、以下の取扱いとする。

ア クロザピンの副作用等の事由により、投与を中止した場合は、投与中止日から2週間まで当該入院料を算定できる。

イ 患者事由により、投与を中止した場合は、投与中止日まで当該入院料を算定できる。

(4) 精神科救急・合併症入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、精神科救急・合併症入院料に含まれ、別に算定できない。

(5) 精神科救急・合併症入院料に係る算定要件に該当しない患者が、当該病棟に入院した場合には、精神病棟入院基本料の15対1入院基本料を算定する。

(6) (5)により、区分番号「A103」の精神病棟入院基本料の例により算定する場合の費用の請求については、区分番号「A307」の小児入院医療管理料の(8)と同様であること。

(7) 当該入院料の算定対象となる患者は、区分番号「A311」精神科救急入院料の(7)の例による。

(8) 「注3」に規定する加算の算定に当たっては、区分番号「A311」精神科救急入院料の(8)から(10)までの例による。

(9) 「注4」に規定する加算の算定に当たっては、区分番号「A311」精神科救急入院料の(11)から(13)までの例による。

(10) 「注5」に規定する看護職員夜間配置加算の算定に当たっては、区分番号「A311」精神科救急入院料の(14)から(16)までの例による。

(11) 「注5」に規定する看護職員夜間配置加算を算定する各病棟における夜勤を行う看護職員の数は、「基本診療料の施設基準等」の第九の十五の二の(1)のトに定める夜間の看護師の最小必要数を超えた看護職員3人以上でなければ算定できない。

A311―4 児童・思春期精神科入院医療管理料

(1) 児童・思春期精神科入院医療管理料を算定する病棟又は治療室は、児童及び思春期の精神疾患患者に対して、家庭及び学校関係者等との連携も含めた体制の下に、医師、看護師、精神保健福祉士及び公認心理師等による集中的かつ多面的な治療が計画的に提供される病棟又は治療室である。

(2) 当該入院料の対象は、20歳未満の精神疾患を有する患者(精神作用物質使用による精神及び行動の障害の患者並びに知的障害の患者を除く。)である。

(3) 当該入院料を算定する場合には、医師は看護師、精神保健福祉士及び公認心理師等と協力し、保護者等と協議の上、別紙様式4又は別紙様式4の2若しくはこれに準ずる様式を用いて、詳細な診療計画を作成する。また、作成した診療計画を保護者等に説明の上交付するとともにその写しを診療録に添付する。なお、これにより入院診療計画の基準を満たしたものとされる。

(4) 当該入院料を算定する場合には、保護者、学校関係者等に対して面接相談等適切な指導を適宜行う。

(5) 児童・思春期精神科入院医療管理に係る算定要件に該当しない患者が当該病棟又は治療室に入院した場合には、精神病棟入院基本料の特別入院基本料を算定する。

(6) (5)により、区分番号「A103」の精神病棟入院基本料の例により算定する場合の費用の請求については、区分番号「A307」の小児入院医療管理料の(8)と同様であること。

(7) 平成31年4月1日から当分の間、以下のいずれかの要件に該当する者は、公認心理師とみなす。

ア 平成31年3月31日時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者

イ 公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者

A312 精神療養病棟入院料

(1) 精神療養病棟は、主として長期にわたり療養が必要な精神障害患者が入院する病棟として認められたものであり、医療上特に必要がある場合に限り他の病棟への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する。

(2) 精神療養病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、精神療養病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

(3) 当該病棟の入院患者に対して退院に向けた相談支援業務等を行う者(以下「退院支援相談員」という)は、以下アからウまでの全ての業務を行う。

ア 退院に向けた相談支援業務

(イ) 当該患者及びその家族等からの相談に応じ、退院に向けた意欲の喚起等に努めること。相談を行った場合には、当該相談内容について看護記録等に記録をすること。

(ロ) 退院に向けた相談支援を行うに当たっては、主治医の指導を受けるとともに、その他当該患者の治療に関わる者との連携を図ること。

イ 退院支援委員会に関する業務

退院支援相談員は、担当する患者について退院に向けた支援を推進するための委員会(以下「退院支援委員会」という)を、当該患者1人につき月1回以上行うこと。なお、医療保護入院の者について、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則(昭和25年厚生省令第31号)第15条の6に基づき行われる医療保護入院者退院支援委員会の開催をもって、退院支援委員会の開催とみなすことができること。

ウ 退院調整に関する業務

患者の退院に向け、居住の場の確保等の退院後の環境にかかる調整を行うとともに、必要に応じて相談支援事業所等と連携する等、円滑な地域生活への移行を図ること。

(4) 退院支援委員会の出席者は、以下のとおりとすること。

ア 当該患者の主治医

イ 看護職員(当該患者を担当する看護職員が出席することが望ましい)

ウ 当該患者について指定された退院支援相談員

エ アからウまで以外の病院の管理者が出席を求める当該病院職員

オ 当該患者

カ 当該患者の家族等

キ 相談支援事業所等の当該精神障害者の退院後の生活環境に関わる者

なお、オ及びカについては、必要に応じて出席すること。また、キの出席については、当該患者の同意を得ること。

(5) 退院支援委員会の開催に当たっては、別紙様式38又はこれに準じた様式を用いて会議の記録を作成し、その写しを診療録等に添付すること。なお、医療保護入院の者について、医療保護入院者退院支援委員会の開催をもって、退院支援委員会の開催とみなす場合については、「医療保護入院者の退院促進に関する措置について(平成26年1月24日障発0124第2号)」に規定する医療保護入院者退院支援委員会の審議記録の写しを代わりに診療録等に添付する必要があること。

(6) 「注3」に規定する加算の算定に当たっては、区分番号「A311」精神科救急入院料の(8)から(10)までの例による。

(7) 「注4」の重症者加算1は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た病院である保険医療機関であって、算定する日においてGAF尺度による判定が30以下の患者である場合に算定する。

(8) 「注4」の重症者加算2は、算定する日においてGAF尺度による判定が40以下の患者である場合に算定する。

(9) 「注5」の退院調整加算の届出を行っている保険医療機関においては、別紙様式6を参考として看護師、作業療法士、精神保健福祉士、社会福祉士、公認心理師等の関係職種が連携して退院支援計画を作成し、退院支援部署による退院調整を行う。

(10) 「注6」に規定する加算の算定に当たっては、区分番号「A103」精神病棟入院基本料の(7)の例による。

(11) 平成31年4月1日から当分の間、以下のいずれかの要件に該当する者は、公認心理師とみなす。

ア 平成31年3月31日時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者

イ 公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者

A314 認知症治療病棟入院料

(1) 認知症治療病棟入院料は、精神症状及び行動異常が特に著しい重度の認知症患者を対象とした急性期に重点をおいた集中的な認知症治療病棟入院医療を行うため、その体制等が整備されているものとして、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関の精神病棟に入院している患者について算定する。なお、精神症状及び行動異常が特に著しい重度の認知症患者とは、ADLにかかわらず認知症に伴って幻覚、妄想、夜間せん妄、徘徊、弄便、異食等の症状が著しく、その看護が著しく困難な患者をいう。

(2) 認知症治療病棟入院医療を行う病棟は重度認知症患者を入院させる施設として特に認められたものであり、他の病棟への移動は医療上特に必要がある場合に限るものとし、単に検査のために短期間他の病棟に転棟すること等は認められない。

なお、必要があって他の病棟へ移動した場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書に詳細に記載すること。

(3) 認知症治療病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、認知症治療病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

(4) 生活機能回復のための訓練及び指導の内容の要点及び実施に要した時間については、診療録等に記載すること。

(5) 「注2」の退院調整加算の届出を行っている保険医療機関においては、別紙様式6を参考として看護師、作業療法士、精神保健福祉士、社会福祉士、公認心理師等の関係職種が連携して退院支援計画を作成し、退院支援部署による退院調整を行う。

(6) 「注3」の認知症夜間対応加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとしての届け出た保険医療機関において、当該病棟に夜勤を行う看護要員が3人以上の場合に算定できる。

(7) 「注3」の認知症夜間対応加算を算定する病棟は、行動制限を最小化する取組を実施した上で算定する。取組内容については、区分番号「A311」精神科救急入院料の(14)及び(15)の例による。なお、当該加算に係る入院期間の起算日は、第2部入院料等の通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される入院の初日のことをいう。

(8) 平成31年4月1日から当分の間、以下のいずれかの要件に該当する者は、公認心理師とみなす。

ア 平成31年3月31日時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者

イ 公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者

A317 特定一般病棟入院料

(1) 特定一般病棟は、医療提供体制の確保の状況に鑑み、自己完結した医療を提供しているが、医療資源の少ない地域に所在する一般病棟が1病棟から成る保険医療機関の一般病棟であり、当該病棟に入院した患者について算定する。

(2) 「注2」の加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に規定する起算日とする。

(3) 「注5」に規定する一般病棟看護必要度評価加算は、特定一般病棟入院料を算定する病棟であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす病棟に入院しており、看護必要度の測定が行われた患者について算定すること。

(4) 特定一般病棟入院料を算定する病棟については、「注6」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

(5) 「注7」に規定する点数については、地域包括ケア入院医療管理を行うものとして地方厚生(支)局長に届け出た病室において、急性期治療を経過した患者及び在宅において療養を行っている患者等の受入れ並びに患者の在宅復帰支援等の地域包括ケアシステムを支える医療を提供した場合に、特定一般病棟入院料(地域包括ケア1)として2,432点、特定一般病棟入院料(地域包括ケア2)として2,243点、特定一般病棟入院料(地域包括ケア3)として1,983点又は特定一般病棟入院料(地域包括ケア4)として1,773点を算定する。

A318 地域移行機能強化病棟入院料

(1) 地域移行機能強化病棟は、当該保険医療機関に1年以上入院している患者又は当該保険医療機関での入院が1年以上に及ぶ可能性がある患者に対し、退院後に地域で安定的に日常生活を送るための訓練や支援を集中的に実施し、地域生活への移行を図る病棟であること。

(2) 地域移行機能強化病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、地域移行機能強化病棟入院料に含まれ、別に算定できない。

(3) 当該病棟の入院患者には、主治医を含む多職種が共同して、以下の支援を行うこと。このうち、アからオまでについては、入院患者全員に行う必要があること。個々の患者に応じた具体的支援の内容については退院支援委員会で議論し、退院支援計画に記載すること。これらの支援については、必要に応じ、退院後の居住先や日中の活動場所を訪問して行う必要があること。

ア 保健所、指定特定相談支援事業所・指定一般相談支援事業所の職員、障害福祉サービス事業者の職員、ピアサポーター等との定期的な交流機会を通じた退院意欲の喚起

イ 家事能力や服薬管理等、日常生活に必要な能力を習得する訓練や外出等、地域生活を念頭に置いた実際的なプログラムの実施

ウ 退院後の医療の確保に関すること

(イ) 通院医療機関の確保

(ロ) 訪問診療及び訪問看護の必要性の検討(必要な場合には、対応可能な医療機関や訪問看護ステーションも確保)

(ハ) 薬物療法のアドヒアランスの確認と安定に向けた介入

エ 居住先に関すること

(イ) 居住の場の検討と居住先(自宅を含む。)の確保

(ロ) 居住先等での試験外泊や訓練の実施

オ 退院後の生活に関すること

(イ) 障害福祉サービスや介護保険サービス等の利用の必要性の検討

(ロ) 後見人、補佐人又は補助人の必要性の検討

(ハ) 退院後の相談支援に応じる者の検討と確保(指定一般相談支援事業者、指定特定相談支援事業者、市町村の精神保健相談員又は市町村の保健師等)

(ニ) 症状の悪化時等、トラブル時の対処方法や連絡先の一覧の作成(作成した一覧の写しを診療録に添付するとともに、患者及び家族等患者の日常生活を支援する者に交付すること)

カ その他

(イ) 市区町村役所での諸手続や居住先で必要な日用品購入等への同行

(ロ) 適切な日中の活動場所の検討

(ハ) 活動場所への移動手段に応じた訓練

(4) 主治医は、当該病棟入院時に、患者と面談し、当該病棟で行われる訓練や治療の内容や目的等について説明すること。併せて退院時にも、精神症状や日常生活能力の評価及び改善の可能性、退院後の治療継続の必要性について、患者に説明すること。

(5) 当該病棟の入院患者に対して退院に向けた相談支援業務等を行う者(以下本項において「退院支援相談員」という。)は、以下アからエまでの全ての業務を行う。

ア 退院に向けた意欲の喚起及び個別相談支援業務

(イ) 月1回以上、当該患者と面談し、本人の意向や退院後の生活に関する疑問等を聴取し、退院に向けた意欲の喚起に努めること。

(ロ) (イ)とは別に、当該患者及びその家族等の求めに応じ、随時退院に向けた相談に応じる機会を設けること。

(ハ) (イ)及び(ロ)で患者から聴取した内容や、助言・指導の要点を看護記録等に記録をすること。

(ニ) 退院に向けた相談支援を行うに当たっては、主治医、当該患者の治療に関わる者及び相談支援事業者又は居宅介護支援事業者等の当該精神障害者の退院後の生活環境の調整に関わる者との連携を図ること。

イ 退院支援委員会に関する業務

退院支援相談員は、担当する患者について退院に向けた支援を推進するための委員会(以下「退院支援委員会」という。)を、当該患者1人につき月1回以上開催し、退院支援計画の進捗状況について検証すること。また、退院支援委員会の議事の要点を診療録等に記載すること。

なお、医療保護入院の者について、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則(昭和25年厚生省令第31号)第15条の6に基づき行われる医療保護入院者退院支援委員会の開催をもって、退院支援委員会の開催とみなすことができること。この際、「医療保護入院者の退院促進に関する措置について(平成26年1月24日障発0124第2号)」に規定する医療保護入院者退院支援委員会の審議記録の写しを診療録等に添付する必要があること。

ウ 退院調整に関する業務

患者の退院に向け、居住の場の確保等の退院後の環境に係る調整を行うとともに、必要に応じて相談支援事業所等と連携する等、円滑な地域生活への移行を図ること。

エ 退院支援計画の作成及び患者等への説明

担当する患者について、当該患者の意向や退院支援委員会での議事等を踏まえ、具体的な支援の内容とスケジュールを明記した退院支援計画を作成すること。退院支援計画の作成に当たっては、別紙様式6の3又はこれに準ずる様式を用いて作成し、作成した退院支援計画の内容を患者又はその家族等に文書で説明すること。退院支援計画は、退院支援委員会の議事等を踏まえ、少なくとも月に1回以上変更の必要性を検討するとともに、変更が必要な場合には変更点を患者又はその家族等に文書で説明すること。説明に用いた文書及び退院支援計画の写しを診療録に添付すること。

(6) 退院支援委員会の出席者は、以下のとおりとすること。

ア 当該患者の主治医

イ 看護職員(当該患者を担当する看護職員が出席することが望ましい)

ウ 当該患者について指定された退院支援相談員

エ アからウまで以外の病院の管理者が出席を求める当該病院職員

オ 当該患者

カ 当該患者の家族等

キ 指定特定相談支援事業者、指定一般相談支援事業者、居宅介護支援事業者等の当該精神障害者の退院後の生活環境に関わる者

なお、オ及びカについては、必要に応じて出席すること。また、キについては、当該患者の同意が得られない場合を除き、必ず出席を求めること。

(7) 退院を予定している患者(指定特定相談支援事業者又は居宅介護支援事業者が退院後のサービス等利用計画を作成している患者に限る。)に係る他の保険医療機関における区分番号「I008―2」精神科ショート・ケア又は区分番号「I009」精神科デイ・ケアの利用については、第2部通則5に規定する入院料の基本点数の控除を行わないものとする。

(8) 精神疾患を有する患者が地域で生活するために必要な保健医療福祉資源の確保に努めること。必要な地域資源が十分に確保できない場合には、当該保険医療機関自ら地域資源の整備に取り組むことが望ましい。

(9) 「注2」については、区分番号「A311」精神科救急入院料の(8)から(10)までの例により、「注3」については、区分番号「A312」精神療養病棟入院料の(7)及び(8)の例による。

第4節 短期滞在手術等基本料

A400 短期滞在手術等基本料

(1) 短期滞在手術等基本料は、短期滞在手術等(日帰り手術、1泊2日入院による手術及び4泊5日入院による手術及び検査)を行うための環境及び当該手術を行うために必要な術前・術後の管理や定型的な検査、画像診断等を包括的に評価したものであり、次に定める要件を満たしている場合に限り算定できる。

ア 手術室を使用していること((4)のア及びイを算定する場合を除く。)。なお、内視鏡を用いた手術を実施する場合については、内視鏡室を使用してもよい。

イ 術前に十分な説明を行った上で、別紙様式8を参考にした様式を用いて患者の同意を得ること。

ウ 退院翌日に患者の状態を確認する等、十分なフォローアップを行うこと。

エ 退院後概ね3日間、患者が1時間以内で当該医療機関に来院可能な距離にいること(短期滞在手術等基本料3を除く。)。

(2) 短期滞在手術等基本料を算定した後、当該患者が同一の疾病につき再入院した場合であって、当該再入院日が前回入院の退院の日から起算して7日以内である場合は、当該再入院においては短期滞在手術等基本料を算定せず、第1章基本診療料(第2部第4節短期滞在手術等基本料を除く。)及び第2章特掲診療料に基づき算定する。

(3) DPC対象病院においては、短期滞在手術等基本料2及び3を算定できない。

(4) DPC対象病院及び診療所を除く保険医療機関において、入院した日から起算して5日以内に以下の手術又は検査等を行う場合には、特に規定する場合を除き、全ての患者について短期滞在手術等基本料3を算定する。

ア 「D291―2」小児食物アレルギー負荷検査

イ 「D413」前立腺針生検法

ウ 「K093―2」関節鏡下手根管開放手術

エ 「K196―2」胸腔鏡下交感神経節切除術(両側)

オ 「K282」水晶体再建術の「1」眼内レンズを挿入する場合の「ロ」その他のもの(片側)

カ 「K282」水晶体再建術の「1」眼内レンズを挿入する場合の「ロ」その他のもの(両側)

キ 「K474」乳腺腫瘍摘出術の「1」長径5センチメートル未満

ク 「K616―4」経皮的シャント拡張術・血栓除去術の「1」初回

ケ 「K616―4」経皮的シャント拡張術・血栓除去術の「2」1の実施後3月以内に実施する場合

コ 「K617」下肢静脈瘤手術の「1」抜去切除術

サ 「K617」下肢静脈瘤手術の「2」硬化療法(一連として)

シ 「K617」下肢静脈瘤手術の「3」高位結紮術

ス 「K633」ヘルニア手術の「5」鼠径ヘルニア(3歳未満に限る。)

セ 「K633」ヘルニア手術の「5」鼠径ヘルニア(3歳以上6歳未満に限る。)

ソ 「K633」ヘルニア手術の「5」鼠径ヘルニア(6歳以上15歳未満に限る。)

タ 「K633」ヘルニア手術の「5」鼠径ヘルニア(15歳以上に限る。)

チ 「K634」腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側)(3歳未満に限る。)

ツ 「K634」腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側)(3歳以上6歳未満に限る。)

テ 「K634」腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側)(6歳以上15歳未満に限る。)

ト 「K634」腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側)(15歳以上に限る。)

ナ 「K721」内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術の「1」長径2センチメートル未満

ニ 「K721」内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術の「2」長径2センチメートル以上

ヌ 「K743」痔核手術(脱肛を含む。)の「2」硬化療法(四段階注射法によるもの)

ネ 「K768」体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(一連につき)

ノ 「K867」子宮頸部(腟部)切除術

ハ 「M001―2」ガンマナイフによる定位放射線治療

(5) 以下のアからエまでに該当する場合は、短期滞在手術等基本料3を算定しない。なお、イ及びウについては、例えば眼科で同一の手術を両眼に実施した場合等、同一の手術又は検査を複数回実施する場合は含まれない。また、エについては、手術又は検査を実施した保険医療機関、転院先の保険医療機関ともに短期滞在手術等基本料3を算定しない。

ア 特別入院基本料及び月平均夜勤時間超過減算を算定する保険医療機関の場合

イ 入院した日から起算して5日以内に(4)のアからハまでに掲げる検査、手術又は放射線治療の中から2以上を実施した場合

ウ 入院した日から起算して5日以内に(4)のアからハまでに掲げる検査、手術又は放射線治療に加えて、手術(第2章特掲診療料第10部手術に掲げるもの)を実施した場合

エ 入院した日から起算して5日以内に(4)のアからヒまでに掲げる検査、手術又は放射線治療を実施した後、入院した日から起算して5日以内に他の保険医療機関に転院した場合

(6) 短期滞在手術等基本料3を算定する場合は、当該患者に対して行った第2章第2部第2節在宅療養指導管理料、第3節薬剤料、第4節特定保険医療材料料、区分番号「J038」に掲げる人工腎臓及び退院時の投薬に係る薬剤料(第2章第5部第3節薬剤料に掲げる各所定点数をいう。)並びに別に厚生労働大臣が定める除外薬剤・注射薬の費用を除き、医科点数表に掲げる全ての項目について、別に算定できない。また、入院中の患者に対して使用する薬剤は、入院医療機関が入院中に処方することが原則であり、入院が予定されている場合に、当該入院の契機となる傷病の治療に係るものとして、あらかじめ当該又は他の保険医療機関等で処方された薬剤を患者に持参させ、入院医療機関が使用することは特別な理由がない限り認められない(やむを得ず患者が持参した薬剤を入院中に使用する場合については、当該特別な理由を診療録に記載すること。)。

(7) 短期滞在手術等基本料3を算定する患者について、6日目以降においても入院が必要な場合には、6日目以降の療養に係る費用は、第1章基本診療料(第2部第4節短期滞在手術等基本料を除く。)及び第2章特掲診療料に基づき算定すること。

(8) 短期滞在手術を行うことを目的として本基本料1又は2に包括されている検査及び当該検査項目等に係る判断料並びに画像診断項目を実施した場合の費用は短期滞在手術等基本料1又は2に含まれ、別に算定できない。ただし、当該手術の実施とは別の目的で当該検査又は画像診断項目を実施した場合は、この限りでない。この場合において、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(9) 短期滞在手術等基本料を算定している月においては、血液学的検査判断料、生化学的検査(Ⅰ)判断料又は免疫学的検査判断料は算定できない。ただし、短期滞在手術等基本料3を算定している月においては、入院日の前日までに行った血液学的検査判断料、生化学的検査(Ⅰ)判断料又は免疫学的検査判断料はこの限りではない。

(10) 短期滞在手術等基本料を算定した同一月に心電図検査を算定した場合は、算定の期日にかかわらず、所定点数の100分の90の点数で算定する。ただし、短期滞在手術等基本料3を算定している月においては、退院日の翌日以降に限る。

(11) 短期滞在手術等基本料1又は2を算定する際、使用したフィルムの費用は、区分番号「E400」のフィルムの所定点数により算定する。

(12) 同一の部位につき短期滞在手術等基本料1又は2に含まれる写真診断及び撮影と同時に2枚以上のフィルムを使用して同一の方法により撮影を行った場合における第2枚目から第5枚目までの写真診断及び撮影の費用は、それぞれの所定点数の100分の50に相当する点数で別に算定できるものとする。なお、第6枚目以後の写真診断及び撮影の費用については算定できない。

(13) 短期滞在手術等基本料1の届出を行った保険医療機関が、短期滞在手術等基本料の対象となる手術を行った場合であって入院基本料を算定する場合には、短期滞在手術等基本料を算定しない詳細な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(14) 短期滞在手術等基本料1及び2を算定する場合、実施した当該基本料の対象手術を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

第2章 特掲診療料

<通則>

1 第1部に規定する特定疾患療養管理料、ウイルス疾患指導料、小児特定疾患カウンセリング料、小児科療養指導料、てんかん指導料、難病外来指導管理料、皮膚科特定疾患指導管理料、慢性疼痛疾患管理料、小児悪性腫瘍患者指導管理料及び耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料並びに第2部第2節第1款の各区分に規定する在宅療養指導管理料及び第8部精神科専門療法に掲げる心身医学療法は特に規定する場合を除き同一月に算定できない。

2 算定回数が「週」単位又は「月」単位とされているものについては、特に定めのない限り、それぞれ日曜日から土曜日までの1週間又は月の初日から月の末日までの1か月を単位として算定する。

第1部 医学管理等

B000 特定疾患療養管理料

(1) 特定疾患療養管理料は、生活習慣病等の厚生労働大臣が別に定める疾患を主病とする患者について、プライマリケア機能を担う地域のかかりつけ医師が計画的に療養上の管理を行うことを評価したものであり、許可病床数が200床以上の病院においては算定できない。

(2) 特定疾患療養管理料は、別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とする患者に対して、治療計画に基づき、服薬、運動、栄養等の療養上の管理を行った場合に、月2回に限り算定する。

(3) 第1回目の特定疾患療養管理料は、区分番号「A000」初診料(「注5」のただし書に規定する所定点数を算定する場合を含む。特に規定する場合を除き、以下この部において同じ。)を算定した初診の日又は当該保険医療機関から退院した日からそれぞれ起算して1か月を経過した日以降に算定する。ただし、本管理料の性格に鑑み、1か月を経過した日が休日の場合であって、その休日の直前の休日でない日に特定疾患療養管理料の「注1」に掲げる要件を満たす場合には、その日に特定疾患療養管理料を算定できる。

(4) 区分番号「A000」初診料を算定した初診の日又は当該保険医療機関から退院した日からそれぞれ起算して1か月を経過した日が翌々月の1日となる場合であって、初診料を算定した初診の日又は退院の日が属する月の翌月の末日(その末日が休日の場合はその前日)に特定疾患療養管理料の「注1」に掲げる要件を満たす場合には、本管理料の性格に鑑み、その日に特定疾患療養管理料を算定できる。

(5) 診察に基づき計画的な診療計画を立てている場合であって、必要やむを得ない場合に、看護に当たっている家族等を通して療養上の管理を行ったときにおいても、特定疾患療養管理料を算定できる。

(6) 管理内容の要点を診療録に記載する。

(7) 同一保険医療機関において、2以上の診療科にわたり受診している場合においては、主病と認められる特定疾患の治療に当たっている診療科においてのみ算定する。

(8) 特定疾患療養管理料は、別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とする者に対し、実際に主病を中心とした療養上必要な管理が行われていない場合又は実態的に主病に対する治療が当該保険医療機関では行われていない場合には算定できない。

(9) 主病とは、当該患者の全身的な医学管理の中心となっている特定疾患をいうものであり、対診又は依頼により検査のみを行っている保険医療機関にあっては算定できない。

(10) 入院中の患者については、いかなる場合であっても特定疾患療養管理料は算定できない。従って、入院中の患者に他の疾患が発症し、別の科の外来診療室へ行って受診する場合であっても、当該発症については特定疾患療養管理料の算定はできない。

(11) 別に厚生労働大臣が定める疾病名は、「疾病、傷害及び死因の統計分類基本分類表(平成27年総務省告示第35号)」(以下「分類表」という。)に規定する分類に該当する疾病の名称であるが、疾病名について各医療機関での呼称が異なっていても、その医学的内容が分類表上の対象疾病名と同様である場合は算定の対象となる。ただし、混乱を避けるため、できる限り分類表上の名称を用いることが望ましい。

(12) 「注5」に規定する点数は、対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づいてオンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行うことを評価したものであり、オンライン診療を行った月に、オンライン診療料と併せて、月1回に限り算定する。

(13) 「注5」に規定する点数が算定可能な患者は、特定疾患療養管理料を初めて算定した月から3月以上経過しているものに限る。

B001 特定疾患治療管理料

1 ウイルス疾患指導料

(1) 肝炎ウイルス、HIV又は成人T細胞白血病ウイルスによる疾患に罹患しており、かつ、他人に対し感染させる危険がある者又はその家族に対して、療養上必要な指導及びウイルス感染防止のための指導を行った場合に、肝炎ウイルス疾患又は成人T細胞白血病については、患者1人につき1回に限り算定し、後天性免疫不全症候群については、月1回に限り算定する。

(2) ウイルス疾患指導料は、当該ウイルス疾患に罹患していることが明らかにされた時点以降に、「注1」に掲げる指導を行った場合に算定する。なお、ウイルス感染防止のための指導には、公衆衛生上の指導及び院内感染、家族内感染防止のための指導等が含まれる。

(3) HIVの感染者に対して指導を行った場合には、「ロ」を算定する。

(4) 同一の患者に対して、同月内に「イ」及び「ロ」の双方に該当する指導が行われた場合は、主たるもの一方の所定点数のみを算定する。

(5) 「注2」に掲げる加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、後天性免疫不全症候群に罹患している患者又はHIVの感染者に対して療養上必要な指導及び感染予防に関する指導を行った場合に算定する。

(6) 指導内容の要点を診療録に記載する。

2 特定薬剤治療管理料

(1) 特定薬剤治療管理料1

ア 特定薬剤治療管理料1は、下記のものに対して投与薬剤の血中濃度を測定し、その結果に基づき当該薬剤の投与量を精密に管理した場合、月1回に限り算定する。

(イ) 心疾患患者であってジギタリス製剤を投与しているもの

(ロ) てんかん患者であって抗てんかん剤を投与しているもの

(ハ) 臓器移植術を受けた患者であって臓器移植における拒否反応の抑制を目的として免疫抑制剤を投与しているもの

(ニ) 気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫又は未熟児無呼吸発作の患者であってテオフィリン製剤を投与しているもの

(ホ) 不整脈の患者であって不整脈用剤を継続的に投与しているもの

(ヘ) 統合失調症の患者であってハロペリドール製剤又はブロムペリドール製剤を投与しているもの

(ト) 躁うつ病の患者であってリチウム製剤を投与しているもの

(チ) 躁うつ病又は躁病の患者であってバルプロ酸ナトリウム又はカルバマゼピンを投与しているもの

(リ) ベーチェット病の患者であって活動性・難治性眼症状を有するもの又はその他の非感染性ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分で、視力低下のおそれのある活動性の中間部又は後部の非感染性ぶどう膜炎に限る。)、再生不良性貧血、赤芽球癆、尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬、全身型重症筋無力症、アトピー性皮膚炎(既存治療で十分な効果が得られない患者に限る。)、ネフローゼ症候群若しくは川崎病の急性期の患者であってシクロスポリンを投与しているもの

(ヌ) 全身型重症筋無力症、関節リウマチ、ループス腎炎、潰瘍性大腸炎又は間質性肺炎(多発性筋炎又は皮膚筋炎に合併するものに限る。)の患者であってタクロリムス水和物を投与しているもの

(ル) 若年性関節リウマチ、リウマチ熱又は慢性関節リウマチの患者であってサリチル酸系製剤を継続的に投与しているもの

(ヲ) 悪性腫瘍の患者であってメトトレキサートを投与しているもの

(ワ) 結節性硬化症の患者であってエベロリムスを投与しているもの

(カ) 入院中の患者であってアミノ配糖体抗生物質、グリコペプチド系抗生物質又はトリアゾール系抗真菌剤を数日間以上投与しているもの

(ヨ) 重症又は難治性真菌感染症又は造血幹細胞移植の患者であってトリアゾール系抗真菌剤を投与(造血幹細胞移植の患者にあっては、深在性真菌症の予防を目的とするものに限る。)しているもの

(タ) イマチニブを投与しているもの

(レ) リンパ脈管筋腫症の患者であってシロリムス製剤を投与しているもの

(ソ) 腎細胞癌の患者であって抗悪性腫瘍剤としてスニチニブを投与しているもの

(ツ) 片頭痛の患者であってバルプロ酸ナトリウムを投与しているもの

イ 特定薬剤治療管理料1を算定できる不整脈用剤とはプロカインアミド、N―アセチルプロカインアミド、ジソピラミド、キニジン、アプリンジン、リドカイン、ピルジカイニド塩酸塩、プロパフェノン、メキシレチン、フレカイニド、シベンゾリンコハク酸塩、ピルメノール、アミオダロン、ソタロール塩酸塩及びベプリジル塩酸塩をいう。

ウ 特定薬剤治療管理料1を算定できるグリコペプチド系抗生物質とは、バンコマイシン及びテイコプラニンをいい、トリアゾール系抗真菌剤とは、ボリコナゾールをいう。

エ 特定薬剤治療管理料1を算定できる免疫抑制剤とは、シクロスポリン、タクロリムス水和物、エベロリムス及びミコフェノール酸モフェチルをいう。

オ 当該管理料には、薬剤の血中濃度測定、当該血中濃度測定に係る採血及び測定結果に基づく投与量の管理に係る費用が含まれるものであり、1月のうちに2回以上血中濃度を測定した場合であっても、それに係る費用は別に算定できない。ただし、別の疾患に対して別の薬剤を投与した場合(例えば、てんかんに対する抗てんかん剤と気管支喘息に対するテオフィリン製剤の両方を投与する場合)及び同一疾患についてアの(イ)から(ツ)までのうち同一の区分に該当しない薬剤を投与した場合(例えば、発作性上室性頻脈に対してジギタリス製剤及び不整脈用剤を投与した場合)はそれぞれ算定できる。

カ 薬剤の血中濃度、治療計画の要点を診療録に添付又は記載する。

キ ジギタリス製剤の急速飽和を行った場合は、1回に限り急速飽和完了日に「注3」に規定する点数を算定することとし、当該算定を行った急速飽和完了日の属する月においては、別に特定薬剤治療管理料1は算定できない。なお、急速飽和とは、重症うっ血性心不全の患者に対して2日間程度のうちに数回にわたりジギタリス製剤を投与し、治療効果が得られる濃度にまで到達させることをいう。

ク てんかん重積状態のうち算定の対象となるものは、全身性けいれん発作重積状態であり、抗てんかん剤を投与している者について、注射薬剤等の血中濃度を測定し、その測定結果をもとに投与量を精密に管理した場合は、1回に限り、重積状態が消失した日に「注3」に規定する点数を算定することとし、当該算定を行った重積状態消失日の属する月においては、別に特定薬剤治療管理料1は算定できない。

ケ 「注3」に規定する点数を算定する場合にあっては、「注8」に規定する加算を含め別に特定薬剤治療管理料1は算定できない。

コ 「注4」に規定する「抗てんかん剤又は免疫抑制剤を投与している患者」には、躁うつ病又は躁病によりバルプロ酸又はカルバマゼピンを投与している患者が含まれ、当該患者は4月目以降においても減算対象とならない。また、所定点数の100分の50に相当する点数により算定する「4月目以降」とは、初回の算定から暦月で数えて4月目以降のことである。

サ 免疫抑制剤を投与している臓器移植後の患者については、臓器移植を行った日の属する月を含め3月に限り、臓器移植加算として「注6」に規定する加算を算定し、「注8」に規定する初回月加算は算定しない。また、「注6」に規定する加算を算定する場合には、「注9」及び「注10」に規定する加算は算定できない。

シ 「注7」に規定する加算は、入院中の患者であって、バンコマイシンを数日間以上投与しているものに対して、バンコマイシンの安定した血中至適濃度を得るため頻回の測定が行われる初回月に限り、初回月加算(バンコマイシンを投与した場合)として「注7」に規定する加算を算定し、「注8」に規定する加算は別に算定できない。

ス 「注8」に規定する初回月加算は、投与中の薬剤の安定した血中至適濃度を得るため頻回の測定が行われる初回月に限り算定できるものであり、薬剤を変更した場合においては算定できない。

セ 「注9」に規定する加算を算定する場合は、ミコフェノール酸モフェチルの血中濃度測定の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細を記載すること。

ソ 「注10」に規定する加算を算定する場合は、エベロリムスの初回投与から3月の間に限り、当該薬剤の血中濃度測定の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細を記載すること。

タ 「注9」及び「注10」に規定する加算は同一月内に併せて算定できない。

チ 特殊な薬物血中濃度の測定及び計画的な治療管理のうち、特に本項を準用する必要のあるものについては、その都度当局に内議し、最も近似する測定及び治療管理として準用が通知された算定方法により算定する。

(2) 特定薬剤治療管理料2

ア 特定薬剤治療管理料2は、胎児曝露を未然に防止するための安全管理手順を遵守した上でサリドマイド製剤及びその誘導体の処方及び調剤を実施した患者に対して、医師及び薬剤師が、当該薬剤の管理の状況について確認及び適正使用に係る必要な説明を行い、当該医薬品の製造販売を行う企業に対して確認票等を用いて定期的に患者の服薬に係る安全管理の遵守状況等を報告した場合において、月に1回につき算定する。

イ サリドマイド製剤及びその誘導体とは、サリドマイド、レナリドミド及びポマリドミドをいう。

ウ 安全管理手順については「サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)」及び「レブラミド・ポマリスト適正管理手順(RevMate)」を遵守すること。

エ 特定薬剤治療管理料2を算定する場合は、診療録等に指導内容の要点を記録すること。

3 悪性腫瘍特異物質治療管理料

(1) 悪性腫瘍特異物質治療管理料は、悪性腫瘍であると既に確定診断がされた患者について、腫瘍マーカー検査を行い、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定する。

(2) 悪性腫瘍特異物質治療管理料には、腫瘍マーカー検査、当該検査に係る採血及び当該検査の結果に基づく治療管理に係る費用が含まれるものであり、1月のうち2回以上腫瘍マーカー検査を行っても、それに係る費用は別に算定できない。

(3) 腫瘍マーカー検査の結果及び治療計画の要点を診療録に添付又は記載する。

(4) 「注3」に規定する初回月加算は、適切な治療管理を行うために多項目の腫瘍マーカー検査を行うことが予想される初回月に限って算定する。ただし、悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定する当該初回月の前月において、区分番号「D009」腫瘍マーカーを算定している場合は、当該初回月加算は算定できない。

(5) 区分番号「D009」腫瘍マーカーにおいて、併算定が制限されている項目を同一月に併せて実施した場合には、1項目とみなして、本管理料を算定する。

(6) 当該月に悪性腫瘍特異物質以外の検査(本通知の腫瘍マーカーの項に規定する例外規定を含む。)を行った場合は、本管理料とは別に、検査に係る判断料を算定できる。

(例) 肝癌の診断が確定している患者でα―フェトプロテインを算定し、別に、区分番号「D008」内分泌学的検査を行った場合の算定

悪性腫瘍特異物質治療管理料「ロ」の「(1)」

+区分番号「D008」内分泌学的検査の実施料

+区分番号「D026」の「5」生化学的検査(Ⅱ)判断料

(7) 特殊な腫瘍マーカー検査及び計画的な治療管理のうち、特に本項を準用する必要のあるものについては、その都度当局に内議し、最も近似する腫瘍マーカー検査及び治療管理として準用が通知された算定方法により算定する。

4 小児特定疾患カウンセリング料

(1) 「イ」については、乳幼児期及び学童期における特定の疾患を有する患者及びその家族に対して日常生活の環境等を十分勘案した上で、小児科(小児外科を含む。以下この部において同じ。)又は心療内科の医師が一定の治療計画に基づいて療養上必要なカウンセリングを行った場合に算定する。

(2) 「ロ」については、乳幼児期及び学童期における特定の疾患を有する患者及びその家族等に対して、日常生活の環境等を十分勘案した上で、当該患者の診療を担当する小児科又は心療内科の医師の指示の下、公認心理師が当該医師による治療計画に基づいて療養上必要なカウンセリングを20分以上行った場合に算定する。なお、一連のカウンセリングの初回は当該医師が行うものとし、継続的にカウンセリングを行う必要があると認められる場合においても、3月に1回程度、医師がカウンセリングを行うこと。

(3) カウンセリングを患者の家族等に対して行った場合は、患者を伴った場合に限り算定する。

(4) 小児特定疾患カウンセリング料の対象となる患者は、次に掲げる患者である。

ア 気分障害の患者

イ 神経症性障害の患者

ウ ストレス関連障害の患者

エ 身体表現性障害(小児心身症を含む。また、喘息や周期性嘔吐症等の状態が心身症と判断される場合は対象となる。)の患者

オ 生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群(摂食障害を含む。)の患者

カ 心理的発達の障害(自閉症を含む。)の患者

キ 小児期又は青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(多動性障害を含む。)の患者

(5) 小児特定疾患カウンセリング料の対象となる患者には、登校拒否の者及び家族又は同居者から虐待を受けている又はその疑いがある者を含むものであること。

(6) 小児特定疾患カウンセリング料は、同一暦月において第1回目及び第2回目のカウンセリングを行った日に算定する。

(7) 「ロ」を算定する場合、公認心理師は、当該疾病の原因と考えられる要素、治療計画及び指導内容の要点等についてカウンセリングに係る概要を作成し、指示を行った医師に報告する。当該医師は、公認心理師が作成した概要の写しを診療録に添付する。

(8) 小児特定疾患カウンセリング料を算定する場合には、同一患者に対し第1回目のカウンセリングを行った年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(9) 電話によるカウンセリングは、本カウンセリングの対象とはならない。

(10) 平成31年4月1日から当分の間、以下のいずれかの要件に該当する者を公認心理師とみなす。

ア 平成31年3月31日時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者

イ 公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者

5 小児科療養指導料

(1) 小児科のみを専任する医師が作成する一定の治療計画に基づき療養上の指導を行った場合に限り算定する。治療計画を作成する医師が当該保険医療機関が標榜する他の診療科を併せ担当している場合にあっては算定できない。ただし、アレルギー科を併せ担当している場合はこの限りでない。

(2) 小児科療養指導料の対象となる疾患及び状態は、脳性麻痺、先天性心疾患、ネフローゼ症候群、ダウン症等の染色体異常、川崎病で冠動脈瘤のあるもの、脂質代謝障害、腎炎、溶血性貧血、再生不良性貧血、血友病、血小板減少性紫斑病、先天性股関節脱臼、内反足、二分脊椎、骨系統疾患、先天性四肢欠損、分娩麻痺、先天性多発関節拘縮症及び児童福祉法第6条の2第1項に規定する小児慢性特定疾病(同条第2項に規定する小児慢性特定疾病医療支援の対象に相当する状態のものに限る。)並びに同法第56条の6第2項に規定する障害児に該当する状態であり、対象となる患者は、15歳未満の入院中の患者以外の患者である。また、出生時の体重が1,500g未満であった6歳未満の者についても、入院中の患者以外の患者はその対象となる。

(3) 小児科療養指導料は、当該疾病又は状態を主病とする患者又はその家族に対して、治療計画に基づき療養上の指導を行った場合に月1回に限り算定する。ただし、家族に対して指導を行った場合は、患者を伴った場合に限り算定する。

(4) 第1回目の小児科療養指導料は、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日の属する月の翌月の1日又は当該保険医療機関から退院した日から起算して1か月を経過した日以降に算定する。

(5) 指導内容の要点を診療録等に記載する。

(6) 必要に応じ、患者の通学する学校との情報共有・連携を行うこと。

(7) 日常的に車椅子を使用する患者であって、車椅子上での姿勢保持が困難なため、食事摂取等の日常生活動作の能力の低下を来した患者については、医師の指示を受けた理学療法士又は作業療法士等が、車椅子や座位保持装置上の適切な姿勢保持や褥瘡予防のため、患者の体幹機能や座位保持機能を評価した上で体圧分散やサポートのためのクッションや付属品の選定や調整を行うことが望ましい。

(8) 「注5」に規定する加算は、長期的に人工呼吸器による呼吸管理が必要と見込まれる患者に対して、患者やその家族等の心理状態に十分配慮された環境で、医師及び看護師が必要に応じてその他の職種と共同して、人工呼吸器による管理が適応となる病状及び治療方法等について、患者やその家族等が十分に理解し、同意した上で治療方針を選択できるよう、説明及び相談を行った場合に算定する。説明及び相談にあたっては、患者及びその家族が理解できるよう、必要時に複数回に分けて説明や相談を行う。なお、説明等の内容の要点を診療録等に記載する。

(9) 「注6」に規定する点数は、対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づいてオンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行うことを評価したものであり、オンライン診療を行った月に、オンライン診療料と併せて、月1回に限り算定する。

(10) 「注6」に規定する点数が算定可能な患者は、小児科療養指導料を初めて算定した月から3月以上経過しているものに限る。

6 てんかん指導料

(1) てんかん指導料は、小児科、神経科、神経内科、精神科、脳神経外科又は心療内科を標榜する保険医療機関において、当該標榜診療科の専任の医師が、てんかん(外傷性を含む。)の患者であって入院中以外のもの又はその家族に対し、治療計画に基づき療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り算定する。

(2) 第1回目のてんかん指導料は、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日又は当該保険医療機関から退院した日からそれぞれ起算して1か月を経過した日以降に算定できる。

(3) 診療計画及び診療内容の要点を診療録に記載する。

(4) 「注6」に規定する点数は、対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づいてオンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行うことを評価したものであり、オンライン診療を行った月に、オンライン診療料と併せて、月1回に限り算定する。

(5) 「注6」に規定する点数が算定可能な患者は、てんかん指導料を初めて算定した月から3月以上経過しているものに限る。

7 難病外来指導管理料

(1) 難病外来指導管理料は、別に厚生労働大臣が定める疾病を主病とする患者に対して、治療計画に基づき療養上の指導を行った場合に、月1回に限り算定する。

(2) 第1回目の難病外来指導管理料は、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日又は当該保険医療機関から退院した日からそれぞれ起算して1か月を経過した日以降に算定できる。

(3) 別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とする患者にあっても、実際に主病を中心とした療養上必要な指導が行われていない場合又は実態的に主病に対する治療が行われていない場合には算定できない。

(4) 診療計画及び診療内容の要点を診療録に記載する。

(5) 「注5」に規定する加算は、長期的に人工呼吸器による呼吸管理が必要と見込まれる患者に対して、患者やその家族等の心理状態に十分配慮された環境で、医師及び看護師が必要に応じてその他の職種と共同して、人工呼吸器による管理が適応となる病状及び治療方法等について、患者やその家族等が十分に理解し、同意した上で治療方針を選択できるよう、説明及び相談を行った場合に算定する。説明及び相談にあたっては、患者及びその家族が理解できるよう、必要時に複数回に分けて説明や相談を行う。なお、説明等の内容の要点を診療録等に記載する。

(6) 「注6」に規定する点数は、対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づいてオンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行うことを評価したものであり、オンライン診療を行った月に、オンライン診療料と併せて、月1回に限り算定する。

(7) 「注6」に規定する点数が算定可能な患者は、難病外来指導管理料を初めて算定した月から3月以上経過しているものに限る。

8 皮膚科特定疾患指導管理料

(1) 皮膚科を標榜する保険医療機関とは、皮膚科、皮膚泌尿器科又は皮膚科及び泌尿器科、形成外科若しくはアレルギー科を標榜するものをいい、他の診療科を併せ標榜するものにあっては、皮膚科又は皮膚泌尿器科を専任する医師が本指導管理を行った場合に限り算定するものであり、同一医師が当該保険医療機関が標榜する他の診療科を併せ担当している場合にあっては算定できない。

(2) 皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ)の対象となる特定疾患は、天疱瘡、類天疱瘡、エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)、紅皮症、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、先天性魚鱗癬、類乾癬、扁平苔癬並びに結節性痒疹及びその他の痒疹(慢性型で経過が1年以上のものに限る。)であり、皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅱ)の対象となる特定疾患は、帯状疱疹、じんま疹、アトピー性皮膚炎(16歳以上の患者が罹患している場合に限る。)、尋常性白斑、円形脱毛症及び脂漏性皮膚炎である。ただし、アトピー性皮膚炎については、外用療法を必要とする場合に限り算定できる。

(3) 医師が一定の治療計画に基づいて療養上必要な指導管理を行った場合に、月1回に限り算定する。

(4) 第1回目の皮膚科特定疾患指導管理料は、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日又は当該保険医療機関から退院した日からそれぞれ起算して1か月を経過した日以降に算定する。

(5) 皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ)及び(Ⅱ)は、同一暦月には算定できない。

(6) 診療計画及び指導内容の要点を診療録に記載する。

9 外来栄養食事指導料

(1) 外来栄養食事指導料は、入院中の患者以外の患者であって、別に厚生労働大臣が定める特別食を保険医療機関の医師が必要と認めた者又は次のいずれかに該当する者に対し、管理栄養士が医師の指示に基づき、患者ごとにその生活条件、し好を勘案した食事計画案等を必要に応じて交付し、初回にあっては概ね30分以上、2回目以降にあっては概ね20分以上、療養のため必要な栄養の指導を行った場合に算定する。

ア がん患者

イ 摂食機能又は嚥下機能が低下した患者

ウ 低栄養状態にある患者

(2) 特別食には、心臓疾患及び妊娠高血圧症候群等の患者に対する減塩食、十二指腸潰瘍の患者に対する潰瘍食、侵襲の大きな消化管手術後の患者に対する潰瘍食、クローン病及び潰瘍性大腸炎等により腸管の機能が低下している患者に対する低残渣食、高度肥満症(肥満度が+40%以上又はBMIが30以上)の患者に対する治療食並びにてんかん食(難治性てんかん(外傷性のものを含む。)、グルコーストランスポーター1欠損症又はミトコンドリア脳筋症の患者に対する治療食であって、グルコースに代わりケトン体を熱量源として供給することを目的に炭水化物量の制限と脂質量の増加が厳格に行われたものに限る。)を含む。ただし、高血圧症の患者に対する減塩食(塩分の総量が6g未満のものに限る。)及び小児食物アレルギー患者(食物アレルギー検査の結果(他の保険医療機関から提供を受けた食物アレルギー検査の結果を含む。)、食物アレルギーを持つことが明らかな9歳未満の小児に限る。)に対する小児食物アレルギー食については、入院時食事療養(Ⅰ)又は入院時生活療養(Ⅰ)の特別食加算の場合と異なり、特別食に含まれる。なお、妊娠高血圧症候群の患者に対する減塩食は、日本高血圧学会、日本妊娠高血圧学会等の基準に準じていること。

(3) 管理栄養士への指示事項は、当該患者ごとに適切なものとし、熱量・熱量構成、蛋白質、脂質その他の栄養素の量、病態に応じた食事の形態等に係る情報のうち医師が必要と認めるものに関する具体的な指示を含まなければならない。

(4) 管理栄養士は常勤である必要はなく、要件に適合した指導が行われていれば算定できる。

(5) 摂食機能又は嚥下機能が低下した患者とは、医師が、硬さ、付着性、凝集性などに配慮した嚥下調整食(日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類に基づく。)に相当する食事を要すると判断した患者をいう。

(6) 低栄養状態にある患者とは、次のいずれかを満たす患者をいう。

ア 血中アルブミンが3.0g/dL以下である患者

イ 医師が栄養管理により低栄養状態の改善を要すると判断した患者

(7) 外来栄養食事指導料1は、保険医療機関の管理栄養士が当該保険医療機関の医師の指示に基づき、指導を行った場合に算定する。

また、外来栄養食事指導料2は、当該診療所以外(公益社団法人日本栄養士会若しくは都道府県栄養士会が設置し、運営する「栄養ケア・ステーション」又は他の保険医療機関に限る。)の管理栄養士が当該診療所の医師の指示に基づき、対面による指導を行った場合に算定する。

(8) 外来栄養食事指導料(注1、注3及び注4に限る。)は初回の指導を行った月にあっては1月に2回を限度として、その他の月にあっては1月に1回を限度として算定する。

ただし、初回の指導を行った月の翌月に2回指導を行った場合であって、初回と2回目の指導の間隔が30日以内の場合は、初回の指導を行った翌月に2回算定することができる。

(9) 「注2」については、第2章第6部の通則7に規定する連携充実加算の施設基準を満たす外来化学療法室を担当する管理栄養士が外来化学療法を実施している悪性腫瘍の患者に対して、具体的な献立等によって月2回以上の指導をした場合に限り、指導の2回目に外来栄養食事指導料の「イ」の「(2)」の「①」を算定する。ただし、当該指導は、第2章第6部の通則6に規定する外来化学療法加算1の「(1)」を算定した日と同日であること。

なお、外来栄養食事指導料の留意事項の(1)の初回の要件を満たしている場合は、外来栄養食事指導料の「イ」の「(1)」の所定点数を算定できる。

(10) 「注1」に規定する「イ」の「(2)」の「①」は、「注2」に規定する「イ」の「(2)」の「①」と同一月に併せて算定できない。

(11) 「注3」については、以下の要件を満たすこと。

ア 管理栄養士が(1)の患者に対し、電話又はビデオ通話が可能な情報通信機器等(以下この区分において「情報通信機器等」という。)を活用して、指導を行うこと。

イ 初回の指導は、必ず対面にて指導を行うこと。また、外来受診した場合は必ず対面にて指導を行うこと。

ウ 電話又は情報通信機器等による指導の実施に当たっては、事前に対面による指導と電話又は情報通信機器等による指導を組み合わせた指導計画を作成し、当該計画に基づいて指導を実施する。また、外来受診時等に受診結果等を基に、必要に応じて指導計画を見直すこと。

エ 当該指導において、患者の個人情報を情報通信機器等の画面上で取り扱う場合には、患者の同意を得ること。また、厚生労働省の定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等に対応していること。

オ 電話又は情報通信機器等による指導は、当該保険医療機関内において行うこと。

(12) 「注1」に規定する「イ」の「(2)」の「①」は、「注3」に規定する「イ」の「(2)」の「②」と同一月に併せて算定できない。

(13) 「注3」の指導を行う際の電話又は情報通信機器等の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる。

(14) 「注2」の場合、指導した年月日を全て診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(15) 外来栄養食事指導料を算定するに当たって、管理栄養士は、患者ごとに栄養指導記録を作成するとともに、指導内容の要点及び指導時間を記載すること。

10 入院栄養食事指導料

(1) 入院栄養食事指導料は、入院中の患者であって、別に厚生労働大臣が定める特別食を保険医療機関の医師が必要と認めた者又は次のいずれかに該当する者に対し、管理栄養士が医師の指示に基づき、患者ごとにその生活条件、し好を勘案した食事計画案等を必要に応じて交付し、初回にあっては概ね30分以上、2回目にあっては概ね20分以上、療養のため必要な栄養の指導を行った場合に入院中2回に限り算定する。ただし、1週間に1回に限りとする。

ア がん患者

イ 摂食機能又は嚥下機能が低下した患者

ウ 低栄養状態にある患者

(2) 入院栄養食事指導料1は、当該保険医療機関の管理栄養士が当該保険医療機関の医師の指示に基づき、指導を行った場合に算定する。

また、入院栄養食事指導料2は、有床診療所において、当該診療所以外(公益社団法人日本栄養士会若しくは都道府県栄養士会が設置し、運営する「栄養ケア・ステーション」又は他の保険医療機関に限る。)の管理栄養士が当該診療所の医師の指示に基づき、対面による指導を行った場合に算定する。

(3) 入院栄養食事指導料を算定するに当たって、上記以外の事項は区分番号「B001」の「9」外来栄養食事指導料における留意事項の(2)から(6)まで及び(15)の例による。

(4) 「注3」に規定する栄養情報提供加算は、栄養食事指導に加え、退院後の栄養及び食事管理に関する指導とともに、医療機関間の有機的連携の強化及び保健又は福祉関係機関等へ栄養情報提供機能の評価を目的として設定されたものであり、両者の患者の栄養に関する情報(必要栄養量、摂取栄養量、食事形態(嚥下食コードを含む。)、禁止食品、栄養管理に係る経過等)を相互に提供することにより、継続的な栄養管理の確保等を図るものである。

(5) 「注3」に規定する栄養情報提供加算は、栄養指導に加え、当該指導内容及び入院中の栄養管理の状況等を含む栄養に関する情報を示す文書を患者に退院の見通しが立った際に説明するとともにこれを他の保険医療機関、介護老人保健施設等、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律第34条第1項に規定する指定障害者支援施設等若しくは児童福祉法第42条第1号に規定する福祉型障害児入所施設の医師又は管理栄養士に対して提供した場合に、入院中1回に限り、所定の点数に加算する。

(6) ここでいう介護老人保健施設等とは、次の施設をいうものとする。

ア 介護保険法第8条第28項に規定する介護老人保健施設

イ 介護老人福祉施設(介護保険法第8条第22項に規定する地域密着型介護老人福祉施設及び同条第27項に規定する介護老人福祉施設をいう。)

ウ 健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)附則第130条の2第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第26条の規定による改正前の介護保険法第8条第26項に規定する介護療養型医療施設

エ 介護保険法第8条第29項に規定する介護医療院

(7) 当該情報を提供する保険医療機関と特別な関係にある機関に情報提供が行われた場合は、算定できない。

(8) 栄養情報提供に当たっては、(5)に掲げる事項を記載した文書を患者に交付するとともに交付した文書の写しを栄養指導記録に添付する。なお、診療情報を示す文書等が交付されている場合にあっては、当該文書等と併せて他の保険医療機関等に情報提供すること。

11 集団栄養食事指導料

(1) 集団栄養食事指導料は、別に厚生労働大臣が定める特別食を保険医療機関の医師が必要と認めた者に対し、当該保険医療機関の管理栄養士が当該保険医療機関の医師の指示に基づき、複数の患者を対象に指導を行った場合に患者1人につき月1回に限り所定点数を算定する。

(2) 集団栄養食事指導料は、入院中の患者については、入院期間が2か月を超える場合であっても、入院期間中に2回を限度として算定する。

(3) 入院中の患者と入院中の患者以外の患者が混在して指導が行われた場合であっても算定できる。

(4) 1回の指導における患者の人数は15人以下を標準とする。

(5) 1回の指導時間は40分を超えるものとする。

(6) それぞれの算定要件を満たしていれば、区分番号「B001」の「11」集団栄養食事指導料と区分番号「B001」の「9」外来栄養食事指導料又は区分番号「B001」の「10」入院栄養食事指導料を同一日に併せて算定することができる。

(7) 集団栄養食事指導料を算定する医療機関にあっては、集団による指導を行うのに十分なスペースを持つ指導室を備えるものとする。ただし、指導室が専用であることを要しない。

(8) 管理栄養士は、患者ごとに栄養指導記録を作成するとともに、指導内容の要点及び指導時間を記載する。

(9) 集団栄養食事指導料を算定するに当たって、上記以外の事項は区分番号「B001」の「9」外来栄養食事指導料における留意事項の(2)から(4)の例による。ただし、同留意事項の(2)の小児食物アレルギー患者(9歳未満の小児に限る。)に対する特別食の取扱いを除く。

12 心臓ペースメーカー指導管理料

(1) 「注1」に規定する「体内植込式心臓ペースメーカー等」とは特定保険医療材料のペースメーカー、植込型除細動器、両室ペーシング機能付き植込型除細動器及び着用型自動除細動器を指す。

(2) 心臓ペースメーカー指導管理料は、電気除細動器、一時的ペーシング装置、ペースメーカー機能計測装置(ペーサーグラフィー、プログラマー等)等を有する保険医療機関において、体内植込式心臓ペースメーカー等を使用している患者であって入院中の患者以外のものについて、当該ペースメーカー等のパルス幅、スパイク間隔、マグネットレート、刺激閾値、感度等の機能指標を計測するとともに、療養上必要な指導を行った場合に算定する。この場合において、プログラム変更に要する費用は所定点数に含まれる。

(3) 計測した機能指標の値及び指導内容の要点を診療録に添付又は記載する。

(4) 心臓ペースメーカー患者等の指導管理については、関係学会より示された留意事項を参考とすること。

(5) 「注4」の植込型除細動器移行期加算は、次のいずれかに該当する場合に算定する。

当該加算を算定する場合は、着用型自動除細動器の使用開始日及び次のいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ア 心室頻拍又は心室細動による心臓突然死のリスクが高く、植込型除細動器(以下「ICD」という。)の適応の可否が未確定の患者を対象として、除細動治療を目的に、ICDの適応の可否が確定するまでの期間に限り使用する場合

イ ICDの適応であるが、患者の状態等により直ちにはICDが植え込めない患者を対象として、ICDの植え込みを行うまでの期間に限り使用する場合

(6) 「注5」の遠隔モニタリング加算は、遠隔モニタリングに対応した体内植込式心臓ペースメーカー、植込型除細動器又は両室ペーシング機能付き植込型除細動器を使用している患者であって、入院中の患者以外のものについて、適切な管理を行い、状況に応じて適宜患者に来院等を促す体制が整っている場合に算定する。この場合において、当該加算は、遠隔モニタリングによる来院時以外の期間における体内植込式心臓ペースメーカー等の機能指標の計測等を含めて評価したものであり、このような一連の管理及び指導を行った場合において、11か月を限度として来院時に算定することができる。なお、この場合において、プログラム変更に要する費用は所定点数に含まれる。また、患者の急変等により患者が受診し、療養上必要な指導を行った場合は、「ロ」又は「ハ」を算定することができる。

13 在宅療養指導料

(1) 在宅療養指導管理料を算定している患者又は入院中の患者以外の患者であって、器具(人工肛門、人工膀胱、気管カニューレ、留置カテーテル、ドレーン等)を装着しており、その管理に配慮を要する患者に対して指導を行った場合に、初回の指導を行った月にあっては月2回に限り、その他の月にあっては月1回に限り算定する。

(2) 保健師、助産師又は看護師が個別に30分以上療養上の指導を行った場合に算定できるものであり、同時に複数の患者に行った場合や指導の時間が30分未満の場合には算定できない。なお、指導は患者のプライバシーが配慮されている専用の場所で行うことが必要であり、保険医療機関を受診した際に算定できるものであって、患家において行った場合には算定できない。

(3) 療養の指導に当たる保健師、助産師又は看護師は、訪問看護や外来診療の診療補助を兼ねることができる。

(4) 保健師、助産師又は看護師は、患者ごとに療養指導記録を作成し、当該療養指導記録に指導の要点、指導実施時間を明記する。

14 高度難聴指導管理料

(1) 高度難聴指導管理料は、区分番号「K328」人工内耳植込術を行った患者、伝音性難聴で両耳の聴力レベルが60dB以上の場合、混合性難聴又は感音性難聴の患者について、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において、耳鼻咽喉科の常勤医師が耳鼻咽喉科学的検査の結果に基づき療養上必要な指導を行った場合に算定する。

(2) 人工内耳植込術を行った患者については、1か月に1回を限度として、その他の患者については1回に限って算定する。

(3) 指導内容の要点を診療録に記載する。

(4) 「注3」に規定する人工内耳機器調整加算は、耳鼻咽喉科の常勤医師又は耳鼻咽喉科の常勤医師の指示を受けた言語聴覚士が人工内耳用音声信号処理装置の機器調整を行った場合に算定する。なお、6歳の誕生日より前に当該加算を算定した場合にあっては、6歳の誕生日以後、最初に算定する日までは6歳未満の乳幼児の算定方法の例によるものとする。また、前回の算定年月日(初回の場合は初回である旨)を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(5) 人工内耳用音声信号処理装置の機器調整とは、人工内耳用音声信号処理装置と機器調整専用のソフトウエアが搭載されたコンピューターを接続し、人工内耳用インプラントの電気的な刺激方法及び大きさ等について装用者に適した調整を行うことをいう。

15 慢性維持透析患者外来医学管理料

(1) 慢性維持透析患者外来医学管理料は、安定した状態にある慢性維持透析患者について特定の検査結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定し、本管理料に含まれる検査の点数は別途算定できない。なお、安定した状態にある慢性維持透析患者とは、透析導入後3か月以上が経過し、定期的に透析を必要とする入院中の患者以外の患者をいう(ただし、結核病棟入院基本料、精神病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(結核病棟及び精神病棟に限る。)、有床診療所入院基本料、精神科救急入院料、精神科急性期治療病棟入院料、精神科救急・合併症入院料、児童・思春期入院医療管理料、精神療養病棟入院料、認知症治療病棟入院料、有床診療所療養病床入院基本料及び地域移行機能強化病棟入院料を算定する場合における入院中の患者の他医療機関への受診時の透析を除く。)。なお、診療録に特定の検査結果及び計画的な治療管理の要点を添付又は記載すること。

(2) 特定の検査とは「注2」に掲げるものをいい、実施される種類及び回数にかかわらず、所定点数のみを算定する。これらの検査料及び区分番号「D026」尿・糞便等検査判断料、血液学的検査判断料、生化学的検査(Ⅰ)判断料、生化学的検査(Ⅱ)判断料、免疫学的検査判断料は本管理料に含まれ、別に算定できない。また、これらの検査に係る検査の部の通則、款及び注に規定する加算は、別に算定できない。

(3) 同一検査名で、定性、半定量及び定量測定がある場合は、いずれの検査も本管理料に含まれ、別に算定できない。試験紙法等による血中の糖の検査についても同様である。

(4) 慢性維持透析患者外来医学管理料に包括される検査以外の検体検査を算定する場合には、その必要性を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(5) 包括されている画像診断に係る画像診断の部の通則、節及び注に規定する加算は別に算定できる。なお、本管理料を算定した月において、本管理料に包括されていない区分番号「E001」の「1」単純撮影(胸部を除く。)及び区分番号「E002」の「1」単純撮影(胸部を除く。)を算定した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に撮影部位を記載すること。

(6) 透析導入後3か月目が月の途中である場合は、当該月の翌月より本管理料を算定する。

(7) 同一月内に2以上の保険医療機関で透析を定期的に行っている場合は、主たる保険医療機関において本管理料を請求し、その配分は相互の合議に委ねるものとする。

(8) 同一の保険医療機関において同一月内に入院と入院外が混在する場合、又は人工腎臓と自己腹膜灌流療法を併施している場合は、本管理料は算定できない。

(9) 区分番号「C102―2」在宅血液透析指導管理料は、本管理料と別に算定できる。

(10) 下記のアからカまでに掲げる要件に該当するものとして、それぞれ算定を行った場合は、該当するものを診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

ア 出血性合併症を伴った患者が手術のため入院した後退院した場合、退院月の翌月における末梢血液一般検査は、月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。

イ 副甲状腺機能亢進症に対するパルス療法施行時のカルシウム、無機リンの検査は、月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について月2回に限り、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。また、副甲状腺機能亢進症に対するパルス療法施行時のPTH検査は、月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について月1回に限り、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。

ウ 副甲状腺機能亢進症により副甲状腺切除を行った患者に対するカルシウム、無機リンの検査は、退院月の翌月から5か月間は、月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。また、副甲状腺機能亢進症により副甲状腺切除を行った患者に対するPTH検査は、月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について月1回に限り、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。

エ シナカルセト塩酸塩、エテルカルセチド又はエボカルセトの初回投与から3か月以内の患者に対するカルシウム、無機リンの検査は、月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について月2回に限り、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。また、シナカルセト塩酸塩、エテルカルセチド又はエボカルセトの初回投与から3か月以内の患者に対するPTH検査を月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について月1回に限り、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。

オ 透析導入後5年以上経過した透析アミロイド症に対して、ダイアライザーの選択に当たりβ2―マイクログロブリン除去効果の確認が必要な場合においては、その選択をした日の属する月を含めた3か月間に、β2―マイクログロブリン検査を月2回以上実施する場合においては、当該2回目以後の検査について月1回に限り、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。

カ 高アルミニウム血症とヘモクロマトージスを合併した透析患者に対して、デフェロキサミンメシル酸塩を投与している期間中におけるアルミニウム(Al)の検査は、慢性維持透析患者外来医学管理料に加えて別に算定する。

(11) 慢性維持透析患者の検査の実施に当たっては、関係学会より標準的な検査項目及びその頻度が示されており、それらを踏まえ患者管理を適切に行うこと。

16 喘息治療管理料

(1) 喘息治療管理料1は、保険医療機関が、ピークフローメーター、ピークフロー測定日記等を患者に提供し、計画的な治療管理を行った場合に月1回に限り算定する。なお、当該ピークフローメーター、ピークフロー測定日記等に係る費用は所定点数に含まれる。なお、喘息治療管理料1において、「1月目」とは初回の治療管理を行った月のことをいう。

(2) 喘息治療管理料2は、6歳未満又は65歳以上の喘息の患者であって、吸入ステロイド薬を服用する際に吸入補助器具を必要とするものに対して、吸入補助器具を患者に提供し、服薬指導等を行った場合に、初回に限り算定する。指導に当たっては、吸入補助器具の使用方法等について文書を用いた上で患者等に説明し、指導内容の要点を診療録に記載する。なお、この場合において、吸入補助器具に係る費用は所定点数に含まれる。

(3) 喘息治療管理料を算定する場合、保険医療機関は、次の機械及び器具を備えていなければならない。ただし、これらの機械及び器具を備えた別の保険医療機関と常時連携体制をとっている場合には、その旨を患者に対して文書により説明する場合は、備えるべき機械及び器具はカ及びキで足りるものとする。

ア 酸素吸入設備

イ 気管内挿管又は気管切開の器具

ウ レスピレーター

エ 気道内分泌物吸引装置

オ 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態にあるもの)

カ スパイロメトリー用装置(常時実施できる状態にあるもの)

キ 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態にあるもの)

(4) ピークフローメーターによる治療管理の実施に当たっては、関係学会よりガイドラインが示されているので、治療管理が適切になされるよう十分留意されたい。

(5) 「注2」に規定する加算については、当該加算を算定する前1年間において、中等度以上の発作による当該保険医療機関への緊急外来受診回数が3回以上あり、在宅での療養中である20歳以上の重度喘息患者を対象とし、初回の所定点数を算定する月(暦月)から連続した6か月について、必要な治療管理を行った場合に月1回に限り算定すること。

(6) 当該加算を算定する場合、ピークフローメーター、一秒量等計測器及びスパイロメーターを患者に提供するとともに、ピークフローメーター、一秒量等計測器及びスパイロメーターの適切な使用方法、日常の服薬方法及び増悪時の対応方法を含む治療計画を作成し、その指導内容を文書で交付すること。

(7) 当該加算を算定する患者に対しては、ピークフロー値、一秒量等を毎日計測させ、その検査値について週に1度以上報告させるとともに、その検査値等に基づき、随時治療計画の見直しを行い、服薬方法及び増悪時の対応について指導すること。

(8) 当該加算を算定する患者が重篤な喘息発作を起こすなど、緊急入院による治療が必要となった場合は、適切に対応すること。

17 慢性疼痛疾患管理料

(1) 慢性疼痛疾患管理料は、変形性膝関節症、筋筋膜性腰痛症等の疼痛を主病とし、疼痛による運動制限を改善する等の目的でマッサージ又は器具等による療法を行った場合に算定することができる。

(2) 区分番号「J118」介達牽引、区分番号「J118―2」矯正固定、区分番号「J118―3」変形機械矯正術、区分番号「J119」消炎鎮痛等処置、区分番号「J119―2」腰部又は胸部固定帯固定、区分番号「J119―3」低出力レーザー照射及び区分番号「J119―4」肛門処置の費用は所定点数に含まれるが、これらの処置に係る薬剤料は、別途算定できるものとする。

18 小児悪性腫瘍患者指導管理料

(1) 小児悪性腫瘍患者指導管理料は、小児科を標榜する保険医療機関において、小児悪性腫瘍、白血病又は悪性リンパ腫の患者であって入院中以外のもの又はその家族等に対し治療計画に基づき療養上必要な指導管理を行った場合に、月1回に限り算定する。ただし、家族等に対して指導を行った場合は、患者を伴った場合に限り算定する。

(2) 第1回目の小児悪性腫瘍患者指導管理料は、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日の属する月の翌月の1日以降又は当該保険医療機関から退院した日から起算して1か月を経過した日以降に算定する。

(3) 治療計画及び指導内容の要点を診療録に記載する。

(4) 必要に応じ、患者の通学する学校との情報共有・連携を行うこと。

19 削除

20 糖尿病合併症管理料

(1) 糖尿病合併症管理料は、次に掲げるいずれかの糖尿病足病変ハイリスク要因を有する入院中の患者以外の患者(通院する患者のことをいい、在宅での療養を行う患者を除く。)であって、医師が糖尿病足病変に関する指導の必要性があると認めた場合に、月1回に限り算定する。

ア 足潰瘍、足趾・下肢切断既往

イ 閉塞性動脈硬化症

ウ 糖尿病神経障害

(2) 当該管理料は、専任の常勤医師又は当該医師の指示を受けた専任の看護師が、(1)の患者に対し、爪甲切除(陥入爪、肥厚爪又は爪白癬等に対して麻酔を要しないで行うもの)、角質除去、足浴等を必要に応じて実施するとともに、足の状態の観察方法、足の清潔・爪切り等の足のセルフケア方法、正しい靴の選択方法についての指導を行った場合に算定する。

(3) 当該管理料を算定すべき指導の実施に当たっては、専任の常勤医師又は当該医師の指示を受けた専任の看護師が、糖尿病足病変ハイリスク要因に関する評価を行い、その結果に基づいて、指導計画を作成すること。

(4) 当該管理を実施する医師又は看護師は、糖尿病足病変ハイリスク要因に関する評価結果、指導計画及び実施した指導内容を診療録又は療養指導記録に記載すること。

(5) 同一月又は同一日においても第2章第1部の各区分に規定する他の医学管理等及び第2部第2節第1款の各区分に規定する在宅療養指導管理料は併算定できる。

(6) (2)及び(3)の常勤医師については、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている専任の非常勤医師(糖尿病治療及び糖尿病足病変の診療に従事した経験を5年以上有する医師に限る。)を2名以上組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯に当該医師が配置されている場合には、当該2名以上の非常勤医師が連携して当該管理料に係る指導を実施した場合に限り、常勤医師の配置基準を満たしているものとして算定できる。

21 耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料

(1) 耳鼻咽喉科と他の診療科を併せ標榜する保険医療機関にあっては、耳鼻咽喉科を専任する医師が当該指導管理を行った場合に限り算定するものであり、同一医師が当該保険医療機関が標榜する他の診療科を併せて担当している場合にあっては算定できない。

(2) 耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料の対象となる患者は、15歳未満の患者であって、発症から3か月以上遷延している若しくは当該管理料を算定する前の1年間において3回以上繰り返し発症している滲出性中耳炎の患者である。

(3) 医師が一定の治療計画に基づいて療養上必要な指導管理を行った場合に、月1回に限り算定する。

(4) 耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料は、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日又は当該保険医療機関から退院した日からそれぞれ起算して1か月を経過した日以降に算定する。

(5) 診療計画及び指導内容の要点を診療録に記載する。

22 がん性疼痛緩和指導管理料

(1) がん性疼痛緩和指導管理料は、医師ががん性疼痛の症状緩和を目的として麻薬を投与しているがん患者に対して、WHO方式のがん性疼痛の治療法(がんの痛みからの解放―WHO方式がんの疼痛治療法―第2版)に従って、副作用対策等を含めた計画的な治療管理を継続して行い、療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り、当該薬剤に関する指導を行い、当該薬剤を処方した日に算定する。なお、当該指導には、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明、疼痛時に追加する臨時の薬剤の使用方法に関する説明を含めるものであること。

(2) がん性疼痛緩和指導管理料は、緩和ケアの経験を有する医師(緩和ケアに係る研修を受けた者に限る。)が当該指導管理を行った場合に算定する。

(3) がん性疼痛緩和指導管理料を算定する場合は、麻薬の処方前の疼痛の程度(疼痛の強さ、部位、性状、頻度等)、麻薬の処方後の効果判定、副作用の有無、治療計画及び指導内容の要点を診療録に記載する。

(4) 同一月又は同一日においても第2章第1部の各区分に規定する他の医学管理等及び第2部第2節第1款の各区分に規定する在宅療養指導管理料は併算定できる。

23 がん患者指導管理料

(1) がん患者指導管理料イ

ア 悪性腫瘍と診断された患者に対して、患者の心理状態に十分配慮された環境で、がん診療の経験を有する医師及びがん患者の看護に従事した経験を有する専任の看護師が適宜必要に応じてその他の職種と共同して、診断結果及び治療方法等について患者が十分に理解し、納得した上で治療方針を選択できるように説明及び相談を行った場合に算定する。なお、化学療法の対象となる患者に対しては、外来での化学療法の実施方法についても説明を行うこと。

イ 当該患者について区分番号B005―6に掲げるがん治療連携計画策定料を算定した保険医療機関及び区分番号B005―6―2に掲げるがん治療連携指導料を算定した保険医療機関が、それぞれ当該指導管理を実施した場合には、それぞれの保険医療機関において、患者1人につき1回算定できる。ただし、当該悪性腫瘍の診断を確定した後に新たに診断された悪性腫瘍(転移性腫瘍及び再発性腫瘍を除く。)に対して行った場合は別に算定できる。

ウ 指導内容等の要点を診療録又は看護記録に記載すること。

エ 患者の十分な理解が得られない場合又は患者の意思が確認できない場合は、算定の対象とならない。また患者を除く家族等にのみ説明を行った場合は算定できない。

(2) がん患者指導管理料ロ

ア 悪性腫瘍と診断された患者に対して、患者の心理状態に十分配慮された環境で、がん診療の経験を有する医師又はがん患者の看護に従事した経験を有する専任の看護師が適宜必要に応じてその他の職種と共同して、身体症状及び精神症状の評価及び対応、病状、診療方針、診療計画、外来での化学療法の実施方法、日常生活での注意点等の説明、患者の必要とする情報の提供、意思決定支援、他部門との連絡及び調整等、患者の心理的不安を軽減するための指導を実施した場合に算定する。なお、患者の理解に資するため、必要に応じて文書を交付するなど、分かりやすく説明するよう努めること。

イ がん患者指導管理料ロの算定対象となる患者は、がんと診断された患者であって継続して治療を行う者のうち、STAS―J(STAS日本語版)で2以上の項目が2項目以上該当する者、又はDCS(Dicisional Conflict Scale)40点以上のものであること。なお、STAS―Jについては日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団(以下「ホスピス財団」という。)の「STAS―J(STAS日本語版)スコアリングマニュアル第3版」(ホスピス財団ホームページに掲載)に沿って評価を行うこと。

ウ 看護師が実施した場合は、アに加えて、指導を行った看護師が、当該患者の診療を担当する医師に対して、患者の状態、指導内容等について情報提供等を行わなければならない。

エ 指導内容等の要点を診療録又は看護記録に記載すること。

オ 患者の十分な理解が得られない場合又は患者の意思が確認できない場合は、算定の対象とならない。また患者を除く家族等にのみ説明を行った場合は算定できない。

(3) がん患者指導管理料ハ

ア 悪性腫瘍と診断された患者のうち、抗悪性腫瘍剤を投薬又は注射されている者(予定を含む。)に対して、患者の心理状態に十分配慮された環境で、がん診療の経験を有する医師又は抗悪性腫瘍剤に係る業務に従事した経験を有する専任の薬剤師が必要に応じてその他の職種と共同して、抗悪性腫瘍剤の投薬若しくは注射の開始日前30日以内、又は投薬若しくは注射をしている期間に限り、薬剤の効能・効果、服用方法、投与計画、副作用の種類とその対策、日常生活での注意点、副作用に対応する薬剤や医療用麻薬等の使い方、他の薬を服用している場合は薬物相互作用、外来での化学療法の実施方法等について文書により説明を行った場合に算定する。

イ 薬剤師が実施した場合は、アに加えて、指導を行った薬剤師が、抗悪性腫瘍剤による副作用の評価を行い、当該患者の診療を担当する医師に対して、指導内容、過去の治療歴に関する患者情報(患者の投薬歴、副作用歴、アレルギー歴等)、抗悪性腫瘍剤の副作用の有無、服薬状況、患者の不安の有無等について情報提供するとともに、必要に応じて、副作用に対応する薬剤、医療用麻薬等又は抗悪性腫瘍剤の処方に関する提案等を行わなければならない。

ウ 指導内容等の要点を診療録若しくは薬剤管理指導記録に記載又は説明に用いた文書の写しを診療録等に添付すること。

エ 患者の十分な理解が得られない場合又は患者の意思が確認できない場合は、算定の対象とならない。また患者を除く家族等にのみ説明を行った場合は算定できない。

(4) がん患者指導管理料ニ

ア 乳癌、卵巣癌又は卵管癌と診断された患者のうち遺伝性乳がん卵巣がん症候群が疑われる患者に対して、臨床遺伝学に関する十分な知識を有する医師及びがん診療の経験を有する医師が共同で、診療方針、診療計画及び遺伝子検査の必要性等について患者が十分に理解し、納得した上で診療方針を選択できるように説明及び相談を行った場合に算定する。

イ 説明及び相談内容等の要点を診療録に記載すること。

ウ 説明した結果、区分番号「D006―18」の「2」に掲げるBRCA1/2遺伝子検査の血液を検体とするものを実施し、区分番号「D026」検体検査判断料の注6に掲げる遺伝カウンセリング加算を算定する場合は、がん患者指導管理料ニの所定点数は算定できない。

エ 遺伝カウンセリング加算に係る施設基準の届出を行っている他保険医療機関の臨床遺伝学に関する十分な知識を有する医師と連携して指導を行った場合においても算定できる。なお、その場合の診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。ただし、その場合であっても区分番号「D026」検体検査判断料の注6に掲げる遺伝カウンセリング加算を算定する場合は、がん患者指導管理料ニの所定点数は算定できない。

24 外来緩和ケア管理料

(1) 外来緩和ケア管理料については、医師ががん性疼痛の症状緩和を目的として麻薬を投与している入院中の患者以外の悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群又は末期心不全の患者のうち、疼痛、倦怠感、呼吸困難等の身体的症状又は不安、抑うつなどの精神症状を持つ者に対して、当該患者の同意に基づき、症状緩和に係るチーム(以下「緩和ケアチーム」という。)による診療が行われた場合に算定する。

(2) 末期心不全の患者とは、以下のアからウまでの基準及びエからカまでのいずれかの基準に該当するものをいう。

ア 心不全に対して適切な治療が実施されていること。

イ 器質的な心機能障害により、適切な治療にかかわらず、慢性的にNYHA重症度分類Ⅳ度の症状に該当し、頻回又は持続的に点滴薬物療法を必要とする状態であること。

ウ 過去1年以内に心不全による急変時の入院が2回以上あること。なお、「急変時の入院」とは、患者の病状の急変等による入院を指し、予定された入院は除く。

エ 左室駆出率が20%以下であること。

オ 医学的に終末期であると判断される状態であること。

カ エ又はオに掲げる状態に準ずる場合であること。

(3) 緩和ケアチームは、身体症状及び精神症状の緩和を提供することが必要である。緩和ケアチームの医師は緩和ケアに関する研修を修了した上で診療に当たること。ただし、後天性免疫不全症候群の患者を診療する際には当該研修を修了していなくても本管理料は算定できる。

(4) 緩和ケアチームは初回の診療に当たり、当該患者の診療を担う保険医、看護師及び薬剤師などと共同の上、別紙様式3又はこれに準じた緩和ケア診療実施計画書を作成し、その内容を患者に説明の上交付するとともに、その写しを診療録等に添付すること。

(5) 1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね30人以内とする。ただし、「注4」に規定する点数を算定する場合は、1日当たりの算定患者数は、1チームにつき概ね15人以内とする。

(6) 症状緩和に係るカンファレンスが週1回程度開催されており、緩和ケアチームの構成員及び必要に応じて、当該患者の診療を担当する保険医、看護師などが参加していること。

(7) 当該保険医療機関に緩和ケアチームが組織上明確に位置づけられていること。

(8) 院内の見やすい場所に緩和ケアチームによる診療が受けられる旨の掲示をするなど、患者に対して必要な情報提供がなされていること。

(9) 当該緩和ケアチームは、緩和ケア診療加算の緩和ケアチームと兼任可能である。

(10) 「注4」に規定する点数は、基本診療料の施設基準等の別表第六の二に掲げる地域に所在する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が400床以上の病院、DPC対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期一般入院料1のみを届け出ている病院を除く。)において、算定可能である。

25 移植後患者指導管理料

(1) 移植後患者指導管理料は、臓器移植(角膜移植を除く。)又は造血幹細胞移植を受けた患者(以下「臓器等移植後の患者」という。)が、移植した臓器又は造血幹細胞を長期にわたって生着させるために、多職種が連携して、移植の特殊性に配慮した専門的な外来管理を行うことを評価するものである。臓器移植後の患者については「イ 臓器移植後の場合」を、造血幹細胞移植後の患者については「ロ 造血幹細胞移植後の場合」を算定する。

(2) 移植後患者指導管理料は、臓器等移植後の患者に対して、移植に係る診療科に専任する医師と移植医療に係る適切な研修を受けた専任の看護師が、必要に応じて、薬剤師等と連携し、治療計画を作成し、臓器等移植後の患者に特有の拒絶反応や移植片対宿主病(GVHD)、易感染性等の特性に鑑みて、療養上必要な指導管理を行った場合に、月1回に限り算定する。

(3) 移植医療に係る適切な研修を受けた看護師は、関係診療科及び関係職種と緊密に連携をとり、かつ適切な役割分担を考慮しつつ、医師の指示のもと臓器等移植後の患者に対して提供される医療について調整を行うこと。

(4) 臓器等移植後患者であっても、移植後の患者に特有な指導が必要ない状態となった場合は移植後患者指導管理料は算定できない。

26 植込型輸液ポンプ持続注入療法指導管理料

(1) 植込型輸液ポンプを使用している患者であって、入院中の患者以外の患者について、診察とともに投与量の確認や調節など、療養上必要な指導を行った場合に、1月に1回に限り算定する。この場合において、プログラム変更に要する費用は所定点数に含まれる。

(2) 指導内容の要点を診療録に記載する。

27 糖尿病透析予防指導管理料

(1) 糖尿病透析予防指導管理料は、入院中の患者以外の糖尿病患者(通院する患者のことをいい、在宅での療養を行う患者を除く。)のうち、ヘモグロビンA1c(HbA1c)がJDS値で6.1%以上(NGSP値で6.5%以上)又は内服薬やインスリン製剤を使用している者であって、糖尿病性腎症第2期以上の患者(現に透析療法を行っている者を除く。)に対し、医師が糖尿病透析予防に関する指導の必要性があると認めた場合に、月1回に限り算定する。

(2) 当該指導管理料は、専任の医師、当該医師の指示を受けた専任の看護師(又は保健師)及び管理栄養士(以下「透析予防診療チーム」という。)が、(1)の患者に対し、日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイド」等に基づき、患者の病期分類、食塩制限及び蛋白制限等の食事指導、運動指導、その他生活習慣に関する指導等を必要に応じて個別に実施した場合に算定する。

(3) 当該指導管理料を算定すべき指導の実施に当たっては、透析予防診療チームは、糖尿病性腎症のリスク要因に関する評価を行い、その結果に基づいて、指導計画を作成すること。

(4) 当該管理を実施する透析予防診療チームは、糖尿病性腎症のリスク要因に関する評価結果、指導計画及び実施した指導内容を診療録、療養指導記録又は栄養指導記録に記載すること。

(5) 「注4」に規定する点数は、基本診療料の施設基準等の別表第六の二に掲げる地域に所在する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が400床以上の病院、DPC対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期一般入院料1のみを届け出ている病院を除く。)において、算定可能である。

(6) 同一月又は同一日においても、「注2」及び「注3」に規定するものを除き、第2章第1部の各区分に規定する他の医学管理等及び第2部第2節第1款の各区分に規定する在宅療養指導管理料は併算定できる。

(7) 当該管理料を算定する場合は、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」別添2の様式5の7に基づき、1年間に当該指導管理料を算定した患者の人数、状態の変化等について報告を行うこと。

(8) 「注5」に規定する高度腎機能障害患者指導加算は、eGFR(mL/分/1.73m2)が45未満の患者に対し、専任の医師が、当該患者が腎機能を維持する観点から必要と考えられる運動について、その種類、頻度、強度、時間、留意すべき点等について指導し、また既に運動を開始している患者についてはその状況を確認し、必要に応じて更なる指導を行った場合に算定する。なお、指導については日本腎臓リハビリテーション学会から「保存期CKD患者に対する腎臓リハビリテーションの手引き」が示されているので、指導が適切になされるよう留意されたい。

(9) 本管理料を算定する患者について、保険者から保健指導を行う目的で情報提供等の協力の求めがある場合には、患者の同意を得て、必要な協力を行うこと。

(10) 「注6」に規定する点数は、対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づいてオンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行うことを評価したものであり、オンライン診療を行った月に、オンライン診療料と併せて、月1回に限り算定する。

(11) 「注6」に規定する点数が算定可能な患者は、糖尿病透析予防指導管理料を初めて算定した月から3月以上経過しているものに限る。

(12) 「注6」に規定する点数を算定する場合には、以下の要件を満たすこと。

ア 透析予防診療チームが、オンライン診察による計画的な療養上の医学管理を行う月において、(1)の患者に対し、ビデオ通話が可能な情報通信機器を活用して、日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイド」等に基づき、患者の病期分類、食塩制限、蛋白制限等の食事指導、運動指導、その他生活習慣に関する指導等を必要に応じて個別に実施する。なお、オンライン診察による計画的な療養上の医学管理を行う月にあっては、医師又は医師の指示を受けた看護師若しくは管理栄養士による指導等について、各職種が当該月の別日に指導等を実施した場合においても算定できる。

イ 当該指導等の実施に当たっては、透析予防診療チームは、事前に、対面による指導とオンラインによる指導を組み合わせた指導計画を作成し、当該計画に基づいて指導を実施する。

ウ 透析予防診療チームは、オンラインにより実施した指導内容、指導実施時間等を診療録、療養指導記録又は栄養指導記録に記載する。

28 小児運動器疾患指導管理料

(1) 小児運動器疾患指導管理料は、入院中の患者以外の患者であって、運動器疾患に対し継続的な管理を必要とするものに対し、専門的な管理を行った場合に算定するものであり、小児の運動器疾患に関する適切な研修を修了した医師が、治療計画に基づき療養上の指導を行った場合に算定できる。

(2) 対象患者は、以下のいずれかに該当する12歳未満の患者とする。

ア 先天性股関節脱臼、斜頚、内反足、ペルテス病、脳性麻痺、脚長不等、四肢の先天奇形、良性骨軟部腫瘍による四肢変形、外傷後の四肢変形、二分脊椎、脊髄係留症候群又は側弯症を有する患者

イ 装具を使用する患者

ウ 医師が継続的なリハビリテーションが必要と判断する状態の患者

エ その他、手術適応の評価等、成長に応じた適切な治療法の選択のために、継続的な診療が必要な患者

(3) 初回算定時に治療計画を作成し、患者の家族等に説明して同意を得るとともに、毎回の指導の要点を診療録に記載すること。

(4) 日常的に車椅子を使用する患者であって、車椅子上での姿勢保持が困難なため、食事摂取等の日常生活動作の能力の低下を来した患者については、医師の指示を受けた理学療法士又は作業療法士等が、車椅子や座位保持装置上の適切な姿勢保持や褥瘡予防のため、患者の体幹機能や座位保持機能を評価した上で体圧分散やサポートのためのクッションや付属品の選定や調整を行うことが望ましい。

(5) 厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において、初診として受診した時点において(2)の要件を満たしていたものについては、患者及びその家族等の同意を得た場合に、当該患者が15歳になるまでの間、当該管理料を算定することができる。

この場合、診療報酬明細書の摘要欄に、初診時の年月日、年齢、状態について記載すること。

29 乳腺炎重症化予防ケア・指導料

(1) 乳腺炎重症化予防ケア・指導料は、入院中以外の乳腺炎の患者であって、乳腺炎が原因となり母乳育児に困難がある患者に対して、医師がケア及び指導の必要性があると認めた場合で、乳腺炎の重症化及び再発予防に係る指導並びに乳房に係る疾患を有する患者の診療について経験を有する医師又は乳腺炎及び母乳育児に関するケア・指導に係る経験を有する助産師が、当該患者に対して乳房のマッサージや搾乳等の乳腺炎に係るケア、授乳や生活に関する指導、心理的支援等の乳腺炎の早期回復、重症化及び再発予防に向けた包括的なケア及び指導を行った場合に、分娩1回につき4回に限り算定する。

(2) 当該ケア及び指導を実施する医師又は助産師は、包括的なケア及び指導に関する計画を作成し計画に基づき実施するとともに、実施した内容を診療録等に記載する。

30 婦人科特定疾患治療管理料

(1) 婦人科又は産婦人科を標榜する保険医療機関において、入院中の患者以外の器質性月経困難症の患者であって、ホルモン剤(器質性月経困難症に対して投与されたものに限る。)を投与しているものに対して、婦人科又は産婦人科を担当する医師が、患者の同意を得て、計画的な医学管理を継続して行い、かつ、療養上必要な指導を行った場合に、3月に1回に限り算定すること。

(2) 治療計画を作成し、患者に説明して同意を得るとともに、毎回の指導内容の要点を診療録に記載すること。なお、治療計画の策定に当たっては、患者の病態、社会的要因、薬物療法の副作用や合併症のリスク等を考慮すること。

(3) 治療に当たっては、関連学会等から示されているガイドラインを踏まえ、薬物療法等の治療方針について適切に検討すること。

31 腎代替療法指導管理料

(1) 腎代替療法指導管理料は、腎臓内科の経験を有する常勤医師及び腎臓病患者の看護に従事した経験を有する専任の看護師が、当該患者への腎代替療法の情報提供が必要と判断した場合に、腎代替療法について指導を行い、当該患者が十分に理解し、納得した上で治療方針を選択できるように説明及び相談を行った場合に、患者1人につき2回に限り算定する。なお、2回目の当該管理料の算定に当たっては、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(2) 当該管理料の対象となる患者は、次のいずれかの要件を満たすものとする。

ア 慢性腎臓病の患者であって、3月前までの直近2回のeGFR(mL/分/1.73m2)がいずれも30未満の場合

イ 急速進行性糸球体腎炎等による腎障害により、急速な腎機能低下を呈し、不可逆的に慢性腎臓病に至ると判断される場合

(3) 当該管理料を算定すべき指導の実施に当たっては、(2)の要件を満たす慢性腎臓病患者の腎代替療法選択にとって、適切と判断される時期に行うこととし、血液透析、腹膜透析、腎移植等の腎代替療法のうち、いずれについても情報提供すること。なお、当該情報提供は、腎臓病教室とは別に行うこと。

(4) 指導内容等の要点を診療録に記載する。なお、説明に用いた文書の写しの診療録への添付により診療録への記載に代えることができる。

(5) 説明に当たっては、関連学会の作成した腎代替療法選択に係る資料又はそれらを参考に作成した資料に基づき説明を行うこと。

(6) 当該管理料を算定する場合にあっては、(2)のア又はイのうち該当するものに応じて、以下の事項を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ア (2)のアに該当する場合は、直近の血液検査におけるeGFRの検査値について、以下の(イ)から(ハ)までのうちいずれかに該当するもの。

(イ) 25ml/min/1.73m2以上30ml/min/1.73m2未満

(ロ) 15ml/min/1.73m2以上25ml/min/1.73m2未満

(ハ) 15ml/min/1.73m2未満

イ (2)のイに該当する場合は、当該指導管理の実施について適切な時期と判断とした理由。

B001―2 小児科外来診療料

(1) 小児科外来診療料は、別に定める施設基準を満たす保険医療機関における入院中の患者以外の患者であって、6歳未満の全ての者を対象とする。また、対象患者に対する診療報酬の請求については、原則として小児科外来診療料により行うものとする。

(2) 小児科外来診療料は、小児科を標榜する保険医療機関において算定する。ただし、区分番号「B001―2―11」小児かかりつけ診療料を算定している患者、第2部第2節第1款の各区分に掲げる在宅療養指導管理料を算定している患者(他の保険医療機関で算定している患者を含む。)及びパリビズマブを投与している患者(投与当日に限る。)については、小児科外来診療料の算定対象とはならない。

(3) 当該患者の診療に係る費用は、「注4」の小児抗菌薬適正使用支援加算、区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料及び区分番号「A002」外来診療料の時間外加算、休日加算、深夜加算及び小児科特例加算、区分番号「A000」初診料の機能強化加算、区分番号「B001―2―2」地域連携小児夜間・休日診療料、区分番号「B001―2―5」院内トリアージ実施料、区分番号「B001―2―6」夜間休日救急搬送医学管理料、区分番号「B010」診療情報提供料(Ⅱ)、区分番号「B011」診療情報提供料(Ⅲ)並びに区分番号「C000」往診料(往診料の加算を含む。)を除き、全て所定点数に含まれる。ただし、初診料の時間外加算、休日加算、深夜加算又は小児科特例加算を算定する場合は、それぞれ85点、250点、580点又は230点を、再診料及び外来診療料の時間外加算、休日加算、深夜加算又は小児科特例加算を算定する場合は、それぞれ65点、190点、520点又は180点を算定する。

(4) 同一日において、同一患者の再診が2回以上行われた場合であっても、1日につき所定の点数を算定する。

(5) 同一月において、院外処方箋を交付した日がある場合は、当該月においては、「1」の所定点数により算定する。ただし、この場合であっても、院外処方箋を交付している患者に対し、夜間緊急の受診の場合等やむを得ない場合において院内投薬を行う場合は、「2」の所定点数を算定できるが、その場合には、その理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(6) 当該保険医療機関において、院内処方を行わない場合は、「1 処方箋を交付する場合」の所定点数を算定する。

(7) 小児科外来診療料に係る届出を行った保険医療機関において、6歳未満の小児が初診を行いそのまま入院となった場合の初診料は、小児科外来診療料ではなく、初診料を算定し、当該初診料の請求は入院の診療報酬明細書により行う。

(8) 6歳の誕生日が属する月において、6歳の誕生日前に当該保険医療機関を受診し、小児科外来診療料を算定した場合にあっては、6歳の誕生日後に当該保険医療機関を受診しても、当該月の診療に係る請求は小児科外来診療料により行うものとする。

(9) 小児科外来診療料に係る届出を行った保険医療機関のうち、許可病床数が200床以上の病院においては、他の保険医療機関等からの紹介なしに受診した6歳未満の乳幼児の初診については、保険外併用療養費に係る選定療養の対象となる。したがって、小児科外来診療料の初診時の点数を算定した上に、患者からの特別の料金を徴収できる。

(10) 本診療料を算定する保険医療機関の保険医が「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」(平成18年3月31日保医発第0331002号)に定める「配置医師」であり、それぞれの配置されている施設に赴き行った診療については、本診療料は算定できないが、それぞれの診療行為に係る所定点数により算定できるものとする。

(11) 本診療料を算定する場合、抗菌薬の適正な使用を推進するため、「抗微生物薬適正使用の手引き」(厚生労働省健康局結核感染症課)を参考に、抗菌薬の適正な使用の普及啓発に資する取組を行っていること。

(12) 「注4」に規定する小児抗菌薬適正使用支援加算は、急性気道感染症又は急性下痢症により受診した基礎疾患のない患者であって、診察の結果、抗菌薬の投与の必要性が認められないため抗菌薬を使用しないものに対して、療養上必要な指導及び検査結果の説明を行い、文書により説明内容を提供した場合に、小児科を担当する専任の医師が診療を行った初診時に、月に1回に限り算定する。なお、インフルエンザウイルス感染の患者又はインフルエンザウイルス感染の疑われる患者については、算定できない。

B001―2―2 地域連携小児夜間・休日診療料

(1) 地域連携小児夜間・休日診療料は、保険医療機関が地域の小児科を専ら担当する診療所その他の保険医療機関の医師と連携をとりつつ、小児の救急医療の確保のために、夜間、休日又は深夜に小児の診療が可能な体制を保つことを評価するものである。

(2) 地域連携小児夜間・休日診療料1については、夜間、休日又は深夜であって、保険医療機関があらかじめ地域に周知している時間に、地域連携小児夜間・休日診療料2については、保険医療機関が24時間診療することを周知した上で、夜間、休日又は深夜に、それぞれ6歳未満の小児を診療した場合に算定する。

(3) 地域連携小児夜間・休日診療料は、夜間、休日又は深夜に急性に発症し、又は増悪した6歳未満の患者であって、やむを得ず当該時間帯に保険医療機関を受診するものを対象としたものである。したがって、慢性疾患の継続的な治療等のための受診については算定できない。

(4) 夜間、休日又は深夜における担当医師名とその主たる勤務先について、予定表を作成し院内に掲示するものとする。

(5) 地域連携小児夜間・休日診療料を算定する場合にあっては、診療内容の要点、診療医師名及びその主たる勤務先名を診療録に記載するものとする。

(6) 一連の夜間及び深夜又は同一休日に、同一の患者に対しては、地域連携小児夜間・休日診療料は原則として1回のみ算定する。なお、病態の度重なる変化等による複数回の受診のため2回以上算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄にその理由を詳細に記載すること。

(7) 入院中の患者については、地域連携小児夜間・休日診療料は算定できない。ただし、患者が地域連携小児夜間・休日診療料を算定すべき診療を経た上で入院した場合は、算定できる。

(8) 患者本人が受診せず、家族などに対して指導等を行った場合には、当該診療料は算定できない。

(9) 地域連携小児夜間・休日診療料は地域の夜間・急病センター、病院等において地域の医師が連携・協力して、診療に当たる体制を評価したものであり、在宅当番医制で行う夜間・休日診療においては算定できない。

B001―2―3 乳幼児育児栄養指導料

乳幼児育児栄養指導料は、小児科を標榜する保険医療機関において、小児科を担当する医師が3歳未満の乳幼児に対して区分番号「A000」初診料(「注5」のただし書に規定する初診を除く。)を算定する初診を行った場合に、育児、栄養その他療養上必要な指導を行ったときに算定する。この場合、指導の要点を診療録に記載すること。ただし、初診料を算定する初診を行った後、即入院となった場合には算定できない。

B001―2―4 地域連携夜間・休日診療料

(1) 地域連携夜間・休日診療料は、保険医療機関が地域の他の保険医療機関の医師と連携をとりつつ、救急医療の確保のために、夜間、休日又は深夜に診療が可能な体制を保つことを評価するものである。

(2) 地域連携夜間・休日診療料については、夜間、休日又は深夜であって、保険医療機関があらかじめ地域に周知している時間に、患者を診療した場合に算定する。

(3) 地域連携夜間・休日診療料は、夜間、休日又は深夜に急性に発症し、又は増悪した患者であって、やむを得ず当該時間帯に保険医療機関を受診するものを対象としたものである。したがって、慢性疾患の継続的な治療等のための受診については算定できない。

(4) 夜間、休日又は深夜における担当医師名とその主たる勤務先について、予定表を作成し院内に掲示するものとする。

(5) 地域連携夜間・休日診療料を算定する場合にあっては、診療内容の要点、診療医師名及びその主たる勤務先名を診療録に記載するものとする。

(6) 一連の夜間及び深夜又は同一休日に、同一の患者に対しては、地域連携夜間・休日診療料は原則として1回のみ算定する。なお、病態の度重なる変化等による複数回の受診のため2回以上算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄にその理由を詳細に記載すること。

(7) 入院中の患者については、地域連携夜間・休日診療料は算定できない。ただし、患者が地域連携夜間・休日診療料を算定すべき診療を経た上で入院した場合は、算定できる。

(8) 患者本人が受診せず、家族などに対して指導等を行った場合には、当該診療料は算定できない。

(9) 地域連携夜間・休日診療料は地域の夜間・急病センター、病院等において地域の医師が連携・協力して、診療に当たる体制を評価したものであり、在宅当番医制で行う夜間・休日診療においては算定できない。

B001―2―5 院内トリアージ実施料

(1) 院内トリアージ実施料については、院内トリアージ体制を整えている保険医療機関において、夜間、休日又は深夜に受診した患者であって初診のものに対して当該保険医療機関の院内トリアージ基準に基づいて専任の医師又は救急医療に関する3年以上の経験を有する専任の看護師により患者の来院後速やかに患者の状態を評価し、患者の緊急度区分に応じて診療の優先順位付けを行う院内トリアージが行われ、診療録等にその旨を記載した場合に算定できる。ただし、「B001―2―6」夜間休日救急搬送医学管理料を算定した患者については算定できない。

(2) 院内トリアージを行う際には患者又はその家族等に対して、十分にその趣旨を説明すること。

B001―2―6 夜間休日救急搬送医学管理料

(1) 夜間休日救急搬送医学管理料については、第二次救急医療機関(都道府県が作成する医療計画において、入院を要する救急医療を担う医療機関であって、第三次救急医療機関以外のものをいう。)又は都道府県知事若しくは指定都市市長の指定する精神科救急医療施設において、深夜、時間外(土曜日以外の日(休日を除く。)にあっては、夜間に限る。)、休日に、救急用の自動車(消防法及び消防法施行令に規定する市町村又は都道府県の救急業務を行うための救急隊の救急自動車、並びに道路交通法及び道路交通法施行令に規定する緊急自動車(傷病者の緊急搬送に用いるものに限る。)をいう。)及び救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法第2条に規定する救急医療用ヘリコプターにより搬送された患者であって初診のものについて、必要な医学管理が行われた場合に算定する。

なお、夜間及び深夜の取扱いは、往診料の場合と同様である。

(2) 「注2」に規定する精神科疾患患者等受入加算の対象患者は、深夜、時間外又は休日に救急用の自動車及び救急医療用ヘリコプターで搬送された患者のうち、以下のいずれかのものとする。

イ 過去6月以内に精神科受診の既往がある患者

ロ アルコール中毒を除く急性薬毒物中毒が診断された患者

(3) B001―2―5「院内トリアージ実施料」を算定した患者には夜間休日救急搬送医学管理料は算定できない。

B001―2―7 外来リハビリテーション診療料

(1) 外来リハビリテーション診療料は、医師によるリハビリテーションに関する包括的な診察を評価するものである。

(2) 外来リハビリテーション診療料1の対象患者は、状態が比較的安定している患者であって、リハビリテーション実施計画書において心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料に掲げるリハビリテーション(以下「疾患別リハビリテーション」という。)を1週間に2日以上提供することとしている患者である。

(3) 外来リハビリテーション診療料1を算定した日から起算して7日間は、疾患別リハビリテーションの提供に係る区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料、区分番号「A002」外来診療料又は区分番号「A003」オンライン診療料は算定できないものとし、当該7日間は、区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料、区分番号「A002」外来診療料又は区分番号「A003」オンライン診療料を算定せずに、疾患別リハビリテーションの費用を算定できるものとする。

(4) 外来リハビリテーション診療料2の対象患者は、状態が比較的安定している患者であって、リハビリテーション実施計画書において疾患別リハビリテーションを2週間に2日以上提供することとしている患者である。

(5) 外来リハビリテーション診療料2を算定した日から起算して14日間は、疾患別リハビリテーションの提供に係る区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料、区分番号「A002」外来診療料又は区分番号「A003」オンライン診療料は算定できないものとし、当該14日間は区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料、区分番号「A002」外来診療料又は区分番号「A003」オンライン診療料を算定せずに、疾患別リハビリテーションの費用を算定できるものとする。

(6) 外来リハビリテーション診療料1及び2を算定している場合は、疾患別リハビリテーションを提供する日において、リハビリテーションスタッフ(疾患別リハビリテーションの実施に係る理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士等をいう。以下同じ。)がリハビリテーション提供前に患者の状態を十分に観察し、療養指導記録に記載すること。また、患者の状態を観察した際に、前回と比べて状態の変化が認められた場合や患者の求めがあった場合等には、必要に応じて医師が診察を行うこと。

(7) 外来リハビリテーション診療料1及び2を算定している場合は、医師は疾患別リハビリテーション料の算定ごとに当該患者にリハビリテーションを提供したリハビリテーションスタッフからの報告を受け、当該患者のリハビリテーションの効果や進捗状況等を確認し、診療録等に記載すること。なお、リハビリテーションスタッフからの報告は、カンファレンスの実施により代えることとしても差し支えない。

B001―2―8 外来放射線照射診療料

(1) 放射線治療医(放射線治療の経験を5年以上有するものに限る。)が診察を行った日に算定し、算定日から起算して7日間は放射線照射の実施に係る区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料、区分番号「A002」外来診療料又は区分番号「A003」オンライン診療料は算定できないものとし、当該7日間は、区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料、区分番号「A002」外来診療料又は区分番号「A003」オンライン診療料を算定せずに、放射線照射の費用は算定できるものとする。

(2) 外来放射線照射診療料を算定した場合にあっては、第2日目以降の看護師、診療放射線技師等による患者の観察については、照射ごとに記録し、医師に報告すること。

(3) 放射線治療を行う前に、放射線治療により期待される治療効果や成績などとともに、合併症、副作用等についても必ず患者又はその家族に説明し、文書等による同意を得ること。

(4) 関係学会による放射線精度管理等のガイドラインを遵守すること。

(5) 算定した日を含め、3日間以内で放射線照射が終了する場合は、本点数の100分の50に相当する点数を算定する。

B001―2―9 地域包括診療料

(1) 地域包括診療料は、外来の機能分化の観点から、主治医機能を持った中小病院及び診療所の医師が、複数の慢性疾患を有する患者に対し、患者の同意を得た上で、継続的かつ全人的な医療を行うことについて評価したものであり、初診時や訪問診療時(往診を含む。)は算定できない。なお、地域包括診療料と区分番号「A001」再診料の「注12」地域包括診療加算はどちらか一方に限り届出することができる。

(2) 地域包括診療料の対象患者は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症及び認知症の4疾病のうち、2つ以上(疑いは除く。)を有する者である。なお、当該医療機関で診療を行う対象疾病(上記4疾病のうち2つ)と重複しない疾病を対象とする場合に限り、他医療機関でも当該診療料、区分番号「A001」再診料の「注12」地域包括診療加算、同「注13」認知症地域包括診療加算又は区分番号「B001―2―10」認知症地域包括診療料を算定可能である。

(3) 当該患者を診療する担当医を決めること。担当医は、慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師とし、担当医により指導及び診療を行った場合に当該診療料を算定する。

(4) 当該患者に対し、以下の指導、服薬管理等を行うこと。

ア 患者の同意を得て、計画的な医学管理の下に療養上必要な指導及び診療を行うこと。

イ 他の保険医療機関と連携の上、患者が受診している医療機関を全て把握するとともに、当該患者に処方されている医薬品を全て管理し、診療録等に記載すること。必要に応じ、担当医の指示を受けた看護師、准看護師等が情報の把握を行うことも可能であること。

ウ 当該患者について、原則として院内処方を行うこと。ただし、エ及びオの場合に限り院外処方を可能とする。

エ 病院において、患者の同意が得られた場合は、以下の全てを満たす薬局に対して院外処方を行うことを可能とする。

(イ) 24時間開局している薬局であること。なお、24時間開局している薬局のリストを患者に説明した上で患者が選定した薬局であること。

(ロ) 当該患者がかかっている医療機関を全て把握した上で、薬剤服用歴を一元的かつ継続的に管理し、投薬期間中の服薬状況等を確認及び適切な指導を行い、当該患者の服薬に関する情報を医療機関に提供している薬局であること。

(ハ) 病院において院外処方を行う場合は、以下の通りとする。

① 当該患者が受診している医療機関のリスト及び当該患者が当該診療料を算定している旨を、処方箋に添付して患者に渡すことにより、当該薬局に対して情報提供を行うこと。

② 患者に対して、当該医療機関を受診時に、薬局若しくは当該医療機関が発行するお薬手帳を持参させること。また、当該患者の院外処方を担当する保険薬局から文書で情報提供を受けることでもよい。なお、保険薬局から文書で情報提供を受けた場合も、当該患者に対し、事後的にお薬手帳の提示に協力を求めることが望ましい。

③ また、診療録にお薬手帳のコピー若しくは保険薬局からの文書のコピーを添付すること、又は、当該点数の算定時の投薬内容について診療録に記載すること。

オ 診療所において、院外処方を行う場合は、以下のとおりとする。

(イ) 調剤について24時間対応できる体制を整えている薬局(以下「連携薬局」という。)と連携していること。

(ロ) 原則として、院外処方を行う場合は連携薬局にて処方を行うこととするが、患者の同意がある場合に限り、その他の薬局での処方も可能とする。その場合、当該患者に対して、時間外においても対応できる薬局のリストを文書により提供し、説明すること。

(ハ) 当該患者が受診している医療機関のリスト及び当該患者が当該診療料を算定している旨を、処方箋に添付して患者に渡すことにより、当該薬局に対して情報提供を行うこと。

(ニ) 患者に対して、当該医療機関を受診時に、薬局若しくは当該医療機関が発行するお薬手帳を持参させること。また、当該患者の院外処方を担当する保険薬局から文書で情報提供を受けることでもよい。なお、保険薬局から文書で情報提供を受けた場合も、当該患者に対し、事後的にお薬手帳の提示に協力を求めることが望ましい。

(ホ) また、診療録にお薬手帳のコピー若しくは保険薬局からの文書のコピーを添付すること、又は、当該点数の算定時の投薬内容について診療録等に記載すること。

カ 標榜診療時間外の電話等による問い合わせに対応可能な体制を有し、連絡先について情報提供するとともに、患者又は患者の家族等から連絡を受けた場合には、受診の指示等、速やかに必要な対応を行うこと。

キ 当該患者について、当該医療機関で検査(院外に委託した場合を含む。)を行うこと。

ク 健康診断や検診の受診勧奨を行い、その結果等を診療録に添付又は記載するとともに、患者に提供し、評価結果をもとに患者の健康状態を管理すること。

ケ 必要に応じ、要介護認定に係る主治医意見書を作成すること。

コ 患者の同意について、当該診療料の初回算定時に、別紙様式48を参考に、当該患者の署名付の同意書を作成し、診療録等に添付すること。ただし、直近1年間に4回以上の受診歴を有する患者については、別紙様式48を参考に診療の要点を説明していれば、同意の手続きは省略して差し支えない。なお、当該医療機関自ら作成した文書を用いることでよい。

サ 当該診療料を算定する場合は、投薬の部に掲げる「7種類以上の内服薬の投薬を行う場合」の規定は適用しないものであること。

シ 認知症の患者に対し当該診療料を算定する場合であって、当該患者の病状から、患者への説明及び患者の同意について、患者の家族等への説明及び当該患者の家族等による同意による方が適切と考えられる場合には、当該部分について「患者」を「患者の家族等」と読み替えるものとする。

(5) 当該医療機関において、院内掲示により以下の対応が可能なことを周知し、患者の求めがあった場合に適切に対応すること。

ア 健康相談を行っていること。

イ 介護保険に係る相談を行っていること。

(6) 地域包括診療料を算定する医療機関においては、往診又は訪問診療を提供可能であること。往診又は訪問診療の対象の患者には、24時間対応可能な夜間の連絡先を提供し、患者又は患者の家族等から連絡を受けた場合には、往診、外来受診の指示等、速やかに必要な対応を行うこと。「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の第9在宅療養支援診療所の施設基準の1の(1)に規定する在宅療養支援診療所以外の在宅療養支援診療所においては、連絡を受けて行う往診又は外来診療の体制について、連携する他の保険医療機関とともに行うことも可能であること。

(7) 抗菌薬の適正な使用を推進するため、「抗微生物薬適正使用の手引き」(厚生労働省健康局結核感染症課)を参考に、抗菌薬の適正な使用の普及啓発に資する取組を行っていること。

(8) 「注3」の薬剤適正使用連携加算については、区分番号「A001」再診料の「注14」に規定する薬剤適正使用連携加算の例によること。

(9) 「注4」に規定する点数は、対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づいてオンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行うことを評価したものであり、オンライン診療を行った月に、オンライン診療料と併せて、月1回に限り算定する。

(10) 「注4」に規定する点数が算定可能な患者は、地域包括診療料を初めて算定した月から3月以上経過しているものに限る。

B001―2―10 認知症地域包括診療料

(1) 認知症地域包括診療料は、外来の機能分化の観点から、主治医機能を持った中小病院及び診療所の医師が、認知症患者であって以下の全ての要件を満たす患者に対し、患者の同意を得た上で、継続的かつ全人的な医療を行うことについて評価したものであり、初診時や訪問診療時(往診を含む。)は算定できない。

ア 認知症以外に1以上の疾病(疑いは除く。)を有する者

イ 同月に、当該保険医療機関において以下のいずれの投薬も受けていない患者

(イ) 1処方につき5種類を超える内服薬があるもの

(ロ) 1処方につき抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬及び睡眠薬をあわせて3種類を超えて含むもの

なお、イ(イ)の内服薬数の種類数は錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類として計算する。また、イ(ロ)の抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬及び睡眠薬の種類数は区分番号「F100」処方料の1における向精神薬の種類と同様の取扱いとする。

(2) 区分番号「B001―2―9」地域包括診療料の(3)から(7)((4)のサを除く。)までを満たすこと。

(3) 「注3」の薬剤適正使用連携加算については、区分番号「A001」再診料の「注14」に規定する薬剤適正使用連携加算の例によること。

(4) 認知症地域包括診療料1を算定する場合には、区分番号「B001―2―9」地域包括診療料の(6)を満たすこと。

(5) 当該医療機関で診療を行う疾病(認知症を含む2つ以上)と重複しない疾病を対象とする場合に限り、他医療機関でも地域包括診療加算又は地域包括診療料を算定可能である。また、他医療機関で当該診療料又は認知症地域包括診療加算は算定できない。

(6) 「注4」に規定する点数は、対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づいてオンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行うことを評価したものであり、オンライン診療を行った月に、オンライン診療料と併せて、月1回に限り算定する。

(7) 「注4」に規定する点数が算定可能な患者は、認知症地域包括診療料を初めて算定した月から3月以上経過しているものに限る。

B001―2―11 小児かかりつけ診療料

(1) 小児かかりつけ診療料は、かかりつけ医として、患者の同意を得た上で、緊急時や明らかに専門外の場合等を除き継続的かつ全人的な医療を行うことについて評価したものであり、原則として1人の患者につき1か所の保険医療機関が算定する。

(2) 小児かかりつけ診療料は、当該保険医療機関を4回以上受診(予防接種の実施等を目的とした保険外のものを含む。)した未就学児(6歳以上の患者にあっては、6歳未満から小児かかりつけ診療料を算定しているものに限る。)の患者を対象とする。なお、過去に当該診療料の算定を行っていた患者が、当該診療料の算定を行わなくなった場合、6歳以上の患者については、再度当該診療料を算定することはできない。

(3) 同一日において、同一患者の再診が2回以上行われた場合であっても、1日につき所定の点数を算定する。

(4) 同一月において、院外処方箋を交付した日がある場合は、当該月においては、「1」の所定点数により算定する。ただし、この場合であっても、院外処方箋を交付している患者に対し、夜間緊急の受診の場合等やむを得ない場合において院内投薬を行う場合は、「2」の所定点数を算定できるが、その場合には、その理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(5) 当該保険医療機関において院内処方を行わない場合は、「1 処方箋を交付する場合」の所定点数を算定する。

(6) 小児かかりつけ診療料の算定に当たっては、以下の指導等を行うこと。

ア 急性疾患を発症した際の対応の仕方や、アトピー性皮膚炎、喘息その他乳幼児期に頻繁にみられる慢性疾患の管理等について、かかりつけ医として療養上必要な指導及び診療を行うこと。

イ 他の保険医療機関と連携の上、患者が受診している医療機関を全て把握するとともに、必要に応じて専門的な医療を要する際の紹介等を行うこと。

ウ 患者について、健康診査の受診状況及び受診結果を把握するとともに、発達段階に応じた助言・指導を行い、保護者からの健康相談に応じること。

エ 患者について、予防接種の実施状況を把握するとともに、予防接種の有効性・安全性に関する指導やスケジュール管理等に関する指導を行うこと。

オ 当該診療料を算定する患者からの電話等による緊急の相談等に対しては、原則として当該保険医療機関において、常時対応を行うこと。ただし、以下のいずれかの要件を満たす常勤の小児科医が配置された医療機関においては、夜間(深夜を含む)及び休日の相談等について、当該保険医療機関での対応に代えて、地域において夜間・休日の小児科外来診療を担当する医療機関又は都道府県等が設置する小児医療に関する電話相談の窓口(#8000等)を案内することでも可能であること。

(イ) 在宅当番医制等により地域における夜間・休日の小児科外来診療に月1回以上の頻度で協力する常勤の小児科医であること。

(ロ) 直近1年間に、都道府県等が設置する小児医療に関する電話相談の窓口(#8000等)において、相談対応者として1回以上協力したことのある常勤の小児科医であること。

カ かかりつけ医として、上記アからオまでに掲げる指導等を行う旨を患者に対して書面(別紙様式10を参考とし、各医療機関において作成すること。)を交付して説明し、同意を得ること。また、小児かかりつけ医として上記アからオまでに掲げる指導等を行っている旨を、当該保険医療機関の外来受付等の見やすい場所に掲示していること。

(7) 小児かかりつけ診療料を算定した場合は、区分番号「B001―2」小児科外来診療料は算定できない。

(8) 小児かかりつけ診療料を算定する場合、抗菌薬の適正な使用を推進するため、「抗微生物薬適正使用の手引き」(厚生労働省健康局結核感染症課)を参考に、抗菌薬の適正な使用の普及啓発に資する取組を行っていること。

(9) 「注4」に規定する小児抗菌薬適正使用支援加算は、急性気道感染症又は急性下痢症により受診した基礎疾患のない患者であって、診察の結果、抗菌薬の投与の必要性が認められないため抗菌薬を使用しないものに対して、療養上必要な指導及び検査結果の説明を行い、文書により説明内容を提供した場合に、小児科を担当する専任の医師が診療を行った初診時に、月に1回に限り算定する。なお、インフルエンザウイルス感染の患者又はインフルエンザウイルス感染の疑われる患者については、算定できない。

B001―3 生活習慣病管理料

(1) 生活習慣病管理料は、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者の治療においては生活習慣に関する総合的な治療管理が重要であることから設定されたものであり、治療計画を策定し、当該治療計画に基づき、服薬、運動、休養、栄養、喫煙、家庭での体重や血圧の計測、飲酒及びその他療養を行うに当たっての問題点等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に、許可病床数が200床未満の病院及び診療所である保険医療機関において算定する。なお、区分番号「A000」初診料を算定した日の属する月においては、本管理料は算定しない。

(2) 生活習慣病管理料は、服薬、運動、休養、栄養、喫煙及び飲酒等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行う旨、患者に対して療養計画書(療養計画書の様式は、別紙様式9又はこれに準じた様式とする。)により丁寧に説明を行い、患者の同意を得るとともに、当該計画書に患者の署名を受けた場合に算定できるものである。また、交付した療養計画書の写しは診療録に添付しておくものとする。なお、療養計画書は、当該患者の治療管理において必要な項目のみを記載することで差し支えないが、糖尿病の患者については血糖値及びHbA1cの値を、高血圧症の患者については血圧の値を必ず記載すること。

(3) 当該患者の診療に際して行った第1部医学管理等(「B001」の「20」糖尿病合併症管理料、同「22」がん性疼痛緩和指導管理料、同「24」外来緩和ケア管理料及び同「27」糖尿病透析予防指導管理料を除く。)、第3部検査、第5部投薬、第6部注射及び第13部病理診断の費用は全て所定点数に含まれる。

(4) 生活習慣病管理料を算定している患者に対しては、少なくとも1月に1回以上の総合的な治療管理が行われなければならない。

(5) 生活習慣病管理料を算定する月においては、服薬、運動、休養、栄養、喫煙、家庭での体重や血圧の測定、飲酒、特定健診・特定保健指導に係る情報提供及びその他療養を行うに当たっての問題点等の生活習慣に関する総合的な治療管理に係る療養計画書(療養計画書の様式は、別紙様式9の2又はこれに準じた様式とする。)を交付するものとするが、当該療養計画書の内容に変更がない場合はこの限りでない。ただし、その場合においても4月に1回以上は交付するものとする。なお、交付した当該療養計画書の写しは診療録に添付しておくものとする。

(6) 当該月に生活習慣病管理料を算定した患者の病状の悪化等の場合には、翌月に生活習慣病管理料を算定しないことができる。

(7) 同一保険医療機関において、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者について、生活習慣病管理料を算定するものと算定しないものが混在するような算定を行うことができるものとする。

(8) 同一月内において、院外処方箋を交付する日と交付しない日が混在した場合には、当該月の算定は、「1 処方箋を交付する場合」で算定する。

(9) 当該保険医療機関において院内処方を行わない場合は、「1 処方箋を交付する場合」で算定する。

(10) 糖尿病又は高血圧症の患者については、治療効果が十分でない等のため生活習慣に関する管理方針の変更、薬物療法の導入、投薬内容の変更等、管理方針を変更した場合に、その理由及び内容等を診療録に記載し、当該患者数を定期的に記録していること。

(11) 学会等の診療ガイドライン等や診療データベース等の診療支援情報を、必要に応じて、参考にする。

(12) 本管理料を算定する患者について、保険者から特定保健指導を行う目的で情報提供の求めがある場合には、患者の同意の有無を確認し療養計画書に記載するとともに、患者の同意が得られている場合は必要な協力を行うこと。

(13) 糖尿病の患者については、患者の状態に応じて、年1回程度眼科の医師の診察を受けるよう指導を行うこと。

(14) 「注3」に規定する加算については、中等度以上の糖尿病(2型糖尿病の患者であってインスリン製剤を使用していないものに限る。)の患者を対象とし、必要な指導を行った場合に1年に1回に限り算定する。なお、中等度以上の糖尿病の患者とは、当該加算を算定する当月若しくは前月においてヘモグロビンA1c(HbA1c)がJDS値で8.0%以上(NGSP値で8.4%以上)の者をいう。

(15) 「注3」の加算を算定する患者に対しては、患者教育の観点から血糖自己測定器を用いて月20回以上血糖を自己測定させ、その検査値や生活状況等を報告させるとともに、その報告に基づき、必要な指導を行い療養計画に反映させること。

当該加算は、血糖試験紙(テスト・テープ)又は固定化酵素電極(バイオセンサー)を給付し、在宅で血糖の自己測定をさせ、その記録に基づき指導を行った場合に算定するものであり、血糖試験紙、固定化酵素電極、穿刺器、穿刺針及び測定機器を患者に給付又は貸与した場合における費用その他血糖自己測定に係る全ての費用は当該加算点数に含まれ、別に算定できない。

(16) 「注4」に規定する点数は、対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づいてオンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行うことを評価したものであり、オンライン診療を行った月に、オンライン診療料と併せて、月1回に限り算定する。

(17) 「注4」に規定する点数が算定可能な患者は、生活習慣病管理料を初めて算定した月から3月以上経過しているものに限る。

B001―3―2 ニコチン依存症管理料

(1) ニコチン依存症管理料は、入院中の患者以外の患者に対し、「禁煙治療のための標準手順書」(日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会及び日本呼吸器学会の承認を得たものに限る。)に沿って、初回の当該管理料を算定した日から起算して12週間にわたり計5回の禁煙治療を行った場合に算定する。なお、加熱式たばこを喫煙している患者ついても、「禁煙治療のための標準手順書」に沿って禁煙治療を行う。

(2) ニコチン依存症管理料の算定対象となる患者は、次の全てに該当するものであって、医師がニコチン依存症の管理が必要であると認めたものであること。

ア 「禁煙治療のための標準手順書」に記載されているニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で、ニコチン依存症と診断されたものであること。

イ 35歳以上の者については、1日の喫煙本数に喫煙年数を乗じて得た数が200以上であるものであること。

ウ 直ちに禁煙することを希望している患者であって、「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意しているものであること。

(3) ニコチン依存症管理料は、初回算定日より起算して1年を超えた日からでなければ、再度算定することはできない。

(4) 治療管理の要点を診療録に記載する。

(5) 情報通信機器を用いて診察を行う医師は、初回に診察を行う医師と同一のものに限る。

(6) 情報通信機器を用いて診察を行う際には、厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針に沿って診療を行う。

(7) 情報通信機器を用いた診察は、当該保険医療機関内において行う。

(8) 情報通信機器を用いた診察時に、投薬の必要性を認めた場合は、区分番号「F100」処方料又は区分番号「F400」処方箋料を別に算定できる。

(9) 情報通信機器を用いて診察を行う際には、予約に基づく診察による特別の料金の徴収を行うことはできない。

(10) 情報通信機器を用いた診察を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる。

(11) ニコチン依存症管理料2を算定する場合は、患者の同意を文書により得た上で初回の指導時に、診療計画書を作成し、患者に説明し、交付するとともに、その写しを診療録に添付すること。

(12) ニコチン依存症管理料2を算定した患者について、2回目以降の指導予定日に受診しなかった場合は、当該患者に対して電話等によって、受診を指示すること。また、受診を中断する場合には、受診を中断する理由を聴取し、診療録等に記載すること。

(13) ニコチン依存症管理料2を算定する場合においても、2回目から4回目の指導について、情報通信機器を用いて実施することができる。なお、その場合の留意事項は、(5)から(10)まで及び(12)に示すものと同様である。(14)(2)に規定するニコチン依存症管理料の算定対象となる患者について、「注1」に規定する厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合には、所定点数の100分の70に相当する点数を算定する。

(14) 区分番号「B001―3―2」に掲げるニコチン依存症管理料を算定する患者に対し、ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の治療補助を目的に薬事承認されたアプリ及びアプリと併用するものとして薬事承認された呼気一酸化炭素濃度測定器を使用し禁煙に関する総合的な指導及び治療管理を行った場合は、初回時に区分番号「C110―2」に掲げる在宅振戦等刺激装置治療指導管理料の「注2」に掲げる導入期加算の所定点数を準用して1回に限り算定する。なお、当該点数は過去1年間のニコチン依存症管理料の平均継続回数が2回以上である保険医療機関で本品を使用した場合にのみ算定できる。ただし、過去1年間にニコチン依存症管理料の算定の実績を有しない場合は、この限りではない。また、呼気一酸化炭素濃度が上昇しないたばこを使用している場合には当該点数は算定できない。

(15) 区分番号「B001―3―2」に掲げるニコチン依存症管理料を算定する患者に対し、ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の治療補助を目的に薬事承認されたアプリ及びアプリと併用するものとして薬事承認されたる呼気一酸化炭素濃度測定器を使用した場合は、初回時に区分番号「C167」に掲げる疼痛等管理用送信器加算の所定点数4回分を合算した点数を準用して算定する。なお、当該点数は過去1年間のニコチン依存症管理料の平均継続回数が2回以上である保険医療機関で本品を使用した場合にのみ算定できる。ただし、過去1年間にニコチン依存症管理料の算定の実績を有しない場合は、この限りではない。また、呼気一酸化炭素濃度が上昇しないたばこを使用している場合には当該点数は算定できない。

B001―4 手術前医学管理料

(1) 手術前医学管理料は硬膜外麻酔、脊椎麻酔又は全身麻酔下で行われる手術の前に行われる定型的な検査・画像診断について、請求の簡素化等の観点から包括して評価したものであり、区分番号「L002」硬膜外麻酔、区分番号「L004」脊椎麻酔若しくは区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔下に手術が行われた場合に、月1回に限り、疾病名を問わず全て本管理料を算定する。

(2) 手術前1週間に本管理料に包括されている検査及び画像診断項目(以下この項において「検査項目等」という。)のいずれも行わなかった場合は、本管理料は算定しない。なお、「手術を行う前1週間以内に行ったもの」とは、手術を行う日の前日を起算日として1週間前の日から当該手術を実施した当日の手術実施前までに行ったものをいう。

(3) 手術前医学管理料には、包括されている検査項目等に係る判断料が含まれており、手術前医学管理料を算定した月に区分番号「D026」血液学的検査判断料、生化学的検査(Ⅰ)判断料及び免疫学的検査判断料は別に算定できない。

(4) 手術前医学管理料を算定する際使用したフィルムの費用は、区分番号「E400」フィルムの所定点数により算定する。

(5) 本管理料を算定する手術前1週間において、入院と入院外が混在する場合においても、本管理料に包括されている検査項目等の1回目の所定点数については別に算定できない。

(6) 本管理料を月初めに算定し、手術前1週間が月をまたがる場合においても、本管理料の所定点数に包括されている検査項目等の1回目の所定点数については別に算定できない。

(7) 同一の患者について、月をまたがって1週間以内に硬膜外麻酔、脊椎麻酔又は全身麻酔下の手術を2回以上行った場合には、最初に行った手術の際に手術前医学管理料を算定し、2回目の手術の際には手術前医学管理料を算定せず、それぞれの検査項目等の所定点数により算定する。

(例) 当該月の29日に硬膜外麻酔、脊椎麻酔、全身麻酔下の手術を行い、翌月の3日に再び硬膜外麻酔、脊椎麻酔、全身麻酔下の手術を行った場合の算定。

当該月の29日に手術前医学管理料を算定し、翌月の手術の3日の際には手術前医学管理料を算定せず、それぞれの検査項目等の所定点数で算定する。

(8) 本管理料に包括されている肝炎ウイルス関連検査を行った場合には、当該検査の結果が陰性であった場合も含め、当該検査の結果について患者に適切な説明を行い、文書により提供すること。

B001―5 手術後医学管理料

(1) 手術後医学管理料は、区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を伴う手術後に必要な医学的管理を評価するとともに、手術後に行われる定型的な検査について、請求の簡素化等の観点から包括して評価したものであり、区分番号「A300」救命救急入院料又は区分番号「A301」特定集中治療室管理料に係る届出を行っていない保険医療機関の一般病棟に入院する患者について算定する。

(2) 手術後医学管理料には、包括されている検査項目に係る判断料が含まれており、手術後医学管理料を算定した月に区分番号「D026」尿・糞便等検査判断料、血液学的検査判断料及び生化学的検査(Ⅰ)判断料は別に算定できない。ただし、本管理料を算定する3日間が月をまたがる場合は、本管理料を算定する最初の日が属する月に係るこれらの判断料は別に算定できないが、その翌月にこれらの判断料の対象となる検査を実施した場合には、別に算定できる。

(3) 同一保険医療機関において、同一月に本管理料を算定するものと算定しないものが混在するような算定はできない。

(4) 手術後医学管理料の算定開始日となる入院の日とは、第1章第2部通則5に定める起算日のことをいう。

B001―6 肺血栓塞栓症予防管理料

(1) 肺血栓塞栓症予防管理料は、肺血栓塞栓症を発症する危険性が高い患者に対して、肺血栓塞栓症の予防を目的として、必要な医学管理を行った場合を評価するものである。

(2) 肺血栓塞栓症予防管理料は、病院(療養病棟を除く。)又は診療所(療養病床に係るものを除く。)に入院中の患者であって、肺血栓塞栓症を発症する危険性の高いもの(結核病棟においては手術を伴う患者、精神病棟においては治療上の必要から身体拘束が行われている患者に限る。)に対して、肺血栓塞栓症の予防を目的として、弾性ストッキング(患者の症状により弾性ストッキングが使用できないなどやむを得ない理由により使用する弾性包帯を含む。)又は間歇的空気圧迫装置を用いて計画的な医学管理を行った場合に、入院中1回に限り算定する。なお、当該管理料は、肺血栓塞栓症の予防を目的として弾性ストッキング又は間歇的空気圧迫装置を用いた場合に算定できるものであり、薬剤のみで予防管理を行った場合には算定できない。また、第1章第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院の場合においても、各々の入院において入院中1回算定できるものであること。

(3) 肺血栓塞栓症の予防を目的として使用される弾性ストッキング及び間歇的空気圧迫装置を用いた処置に要する費用は所定点数に含まれており、別に区分番号「J119」消炎鎮痛等処置の点数は算定できない。肺血栓塞栓症の予防を目的として弾性ストッキングが複数回使用される場合であっても、当該費用は所定点数に含まれる。なお、肺血栓塞栓症の予防を目的としない区分番号「J119」消炎鎮痛等処置は別に算定できるものであること。また、同一の弾性ストッキングを複数の患者に使用しないこと。

(4) 肺血栓塞栓症の予防に係る計画的な医学管理を行うに当たっては、関係学会より標準的な管理方法が示されているので、患者管理が適切になされるよう十分留意されたい。

B001―7 リンパ浮腫指導管理料

(1) リンパ浮腫指導管理料は、手術前若しくは手術後又は診断時若しくは診断後において、以下に示す事項について、個別に説明及び指導管理を行った場合に算定できる。

当該指導管理料は、当該指導管理料の算定対象となる手術を受けた保険医療機関に入院中に当該説明及び指導管理を行った場合に1回、当該保険医療機関を退院した後に、当該保険医療機関又は当該患者の退院後において区分番号「B005―6」の「注1」に規定する地域連携診療計画に基づいた治療を担う他の保険医療機関(当該患者について区分番号「B005―6―2」がん治療連携指導料を算定した場合に限る。)において当該説明及び指導管理を行った場合にいずれか一方の保険医療機関において1回に限り、算定できる。

ア リンパ浮腫の病因と病態

イ リンパ浮腫の治療方法の概要

ウ セルフケアの重要性と局所へのリンパ液の停滞を予防及び改善するための具体的実施方法

(イ) リンパドレナージに関すること

(ロ) 弾性着衣又は弾性包帯による圧迫に関すること

(ハ) 弾性着衣又は弾性包帯を着用した状態での運動に関すること

(ニ) 保湿及び清潔の維持等のスキンケアに関すること

エ 生活上の具体的注意事項

リンパ浮腫を発症又は増悪させる感染症又は肥満の予防に関すること

オ 感染症の発症等増悪時の対処方法

感染症の発症等による増悪時における診察及び投薬の必要性に関すること

(2) 指導内容の要点を診療録等に記載する。

(3) 手術前においてリンパ浮腫に関する指導を行った場合であって、結果的に手術が行われなかった場合にはリンパ浮腫指導管理料は算定できない。

B001―8 臍ヘルニア圧迫指導管理料

(1) 臍ヘルニア圧迫指導管理料は、臍ヘルニアの患者の保護者に対して以下に示す事項について、個別に説明及び指導管理を行った場合に算定できる。

ア 臍ヘルニアの病態

イ 臍ヘルニア圧迫療法の概要及び具体的実施方法

ウ 臍ヘルニア圧迫療法の治癒率と治癒しなかった場合の治療法

エ 想定される合併症及び緊急時の対処方法

(2) 指導内容の要点を診療録に記載する。

B001―9 療養・就労両立支援指導料

(1) 療養・就労両立支援指導料は、就労中の患者の療養と就労の両立支援のため、患者と患者を雇用する事業者が共同して作成した勤務情報を記載した文書の内容を踏まえ、就労の状況を考慮して、療養上の指導を行うこと及び当該患者が勤務する事業場において選任されている労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第13条第1項に規定する産業医、同法第10条第1項に規定する総括安全衛生管理者、同法第12条に規定する衛生管理者若しくは同法12条の2に規定する安全衛生推進者又は同法第13条の2の規定により労働者の健康管理等を行う保健師(以下この区分において「産業医等」という。)に就労と療養の両立に必要な情報を提供すること並びに診療情報を提供した後の勤務環境の変化を踏まえ療養上必要な指導を行った場合を評価するものである。

(2) 療養・就労両立支援指導料は、入院中の患者以外の患者であって、別に厚生労働大臣が定める疾患に罹患しているものの求めを受けて、患者の同意を得て、以下の全ての医学管理を実施した場合に、月1回に限り算定する。

ア 治療を担当する医師が、患者から当該患者と当該患者を使用する事業者が共同して作成した勤務情報を記載した文書を当該患者から受け取ること。

イ 治療を担当する医師が、アの文書の内容を踏まえ、療養上の指導を行うとともに、当該医師又は当該医師の指示を受けた看護師若しくは社会福祉士が、患者から就労の状況を聴取した上で、治療や疾患の経過に伴う状態変化に応じた就労上の留意点に係る指導を行うこと。

ウ 治療を担当する医師が、①又は②のいずれかにより、当該患者が勤務する事業場において選任されている産業医等に対し、病状、治療計画、就労上の措置に関する意見等当該患者の就労と療養の両立に必要な情報の提供を行うこと。

① 病状、治療計画、治療に伴い予想される症状、就労上必要な配慮等について、「別紙様式49」、「別紙様式49の2」又はこれに準ずる様式を用いて、患者の勤務する事業場の産業医等に対して就労と療養の両立に必要な情報を記載した文書の提供を行い、当該文書の写しを診療録に添付すること。患者の勤務する事業場の産業医等があらかじめ指定した様式を用いて就労上の留意点等を提供することも差し支えない。なお、当該患者が勤務する事業場において産業医が選任されている場合は、当該産業医に対して当該患者の就労と療養の両立に必要な情報の提供を行うこと。

② 当該患者の診察に同席した産業医等に対して、就労と療養の両立に必要なことを説明し、説明の内容を診療録等に記載すること。

(3) 「2」については、「1」を算定した患者について、情報提供を行った診療の次回以降の受診時に、就労の状況等を確認し、必要な療養上の指導を行った場合に、「1」を算定した日の属する月から起算して3月を限度として、月1回に限り算定する。

(4) 「注3」に規定する相談支援加算については、専任の看護師又は社会福祉士が、療養上の指導に同席し、相談支援を行った場合に算定できる。

(5) 「1」については、事業場の産業医等への就労と療養の両立に必要な情報を記載した文書の作成に係る評価を含むことから、当該指導料を算定する場合、当該文書の発行に係る費用を、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できない。

(6) 治療を担当する医師と産業医が同一の者である場合及び治療を担当する医師が患者の勤務する事業場と同一資本の施設で勤務している場合においては、当該指導料は算定できない。

B002 開放型病院共同指導料(Ⅰ)、B003 開放型病院共同指導料(Ⅱ)

(1) 開放型病院共同指導料(Ⅰ)は、開放型病院に自己の診察した患者を入院させた保険医が、開放型病院に赴き、開放型病院の保険医と共同で診療、指導等を行った場合に1人の患者に1日につき1回算定できるものであり、その算定は当該患者を入院させた保険医が属する保険医療機関において行う。

(2) 開放型病院共同指導料(Ⅰ)を算定した場合は、区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料、区分番号「A002」外来診療料、区分番号「C000」往診料及び区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」等は算定できない。

(3) 診療所による紹介に基づき開放型病院に入院している患者に対して、当該診療所の保険医が開放型病院に赴き診療、指導等を行った場合において、その患者について、区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)が既に算定されている場合であっても、開放型病院共同指導料(Ⅰ)を算定できる。

(4) 開放型病院共同指導料(Ⅰ)を算定する場合、当該患者を入院させた保険医の診療録には、開放型病院において患者の指導等を行った事実を記載し、開放型病院の診療録には当該患者を入院させた保険医の指導等が行われた旨を記載する。

(5) 開放型病院共同指導料(Ⅱ)は、当該患者を入院させた保険医の属する保険医療機関が開放型病院共同指導料(Ⅰ)を算定した場合に、開放型病院において算定する。

B004 退院時共同指導料1、B005 退院時共同指導料2

(1) 退院時共同指導料1又は退院時共同指導料2は、保険医療機関に入院中の患者について、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関(以下この区分において「在宅療養担当医療機関」という。)の保険医又は当該保険医の指示を受けた当該保険医療機関の保健師、助産師、看護師若しくは准看護師(以下この区分において「看護師等」という。)、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士若しくは社会福祉士が、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、入院中の保険医療機関の保険医又は看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士若しくは社会福祉士と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回に限り、それぞれの保険医療機関において算定するものである。ただし、特掲診療料の施設基準等の別表第三の一の二に掲げる「退院時共同指導料1及び退院時共同指導料2を二回算定できる疾病等の患者」であって、当該入院中に2回算定する場合は、当該2回中1回はそれぞれの保険医療機関の保険医、看護師又は准看護師が共同して指導すること。なお、当該患者の在宅療養担当医療機関の准看護師と当該患者が入院中の保険医療機関の准看護師が共同して在宅での療養上必要な説明及び指導を行う場合には、それぞれの保険医療機関の医師又は看護師の指示を受けて行うものであること。また、ここでいう入院とは、第1章第2部通則5に定める入院期間が通算される入院のことをいう。

(2) 退院時共同指導料は、患者の家族等退院後に患者の看護を担当する者に対して指導を行った場合にも算定できる。

(3) 行った指導の内容等について、要点を診療録等に記載し、又は患者若しくはその家族等に提供した文書の写しを診療録等に添付する。

(4) 退院時共同指導料1の「1」は、在宅療養支援診療所の医師が当該患者に対して、その退院後に往診及び訪問看護により24時間対応できる体制等を確保し、在宅療養支援診療所において、24時間連絡を受ける医師又は看護師等の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供した場合に限り算定できる。

(5) 退院時共同指導料は、退院後在宅での療養を行う患者が算定の対象となり、他の保険医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設に入院若しくは入所する患者又は死亡退院した患者については、対象とはならない。ただし、退院時共同指導料2の「注4」は、本文の規定にかかわらず、退院後在宅で療養を行う患者に加え、退院後に介護老人保健施設、介護医療院、介護老人福祉施設(地域密着型介護老人福祉施設を含む。)、特定施設(地域密着型特定施設を含む。)又は障害者支援施設(生活介護を行う施設又は自立訓練(機能訓練)を行う施設に限る。)、福祉型障害児入所施設若しくは医療型障害児入所施設(以下この区分において「介護施設等」という。)に入所する患者も対象となる。なお、当該患者が当該保険医療機関に併設する介護施設等に入所する場合は算定することはできない。

(6) 退院時共同指導料1の「注2」に規定する加算は、当該患者が厚生労働大臣の定める特別な管理を必要とする者であった場合、1人の患者に対して入院中1回に限り算定できる。ただし、厚生労働大臣が定める疾病等の患者については当該入院中に2回に限り算定できる。

(7) 退院時共同指導料2の「注1」は、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、当該患者が入院している保険医療機関の保険医又は看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士若しくは社会福祉士と在宅療養担当医療機関の保険医若しくは当該保険医の指示を受けた看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士若しくは社会福祉士又は在宅療養担当医療機関の保険医の指示を受けた訪問看護ステーションの保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士が共同して行った場合に算定する。

(8) 退院時共同指導料1の「注1」及び退院時共同指導料2の「注1」の共同指導は対面で行うことが原則であるが、ビデオ通話が可能な機器を用いて共同指導した場合でも算定可能である。

(9) 退院時共同指導料2の「注3」に規定する加算は、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、当該患者が入院している保険医療機関の保険医又は看護師等が、在宅療養担当医療機関の保険医若しくは看護師等、保険医である歯科医師若しくはその指示を受けた歯科衛生士、保険薬局の保険薬剤師、訪問看護ステーションの保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士、介護支援専門員又は相談支援専門員のいずれかのうち3者以上と共同して行った場合に算定する。

(10) (9)における共同指導は、当該患者が入院している保険医療機関と在宅療養担当医療機関等の関係者全員が、患者が入院している保険医療機関において実施することが原則であるが、ビデオ通話が可能な機器を用いて共同指導した場合でも算定可能である。ただし、この場合であっても、在宅療養担当医療機関等のうち2者以上は、患者が入院している保険医療機関に赴き共同指導していること。

(11) 退院時共同指導料2の「注3」に規定する指導と同一日に行う「注2」に規定する指導に係る費用及び区分番号「B005―1―2」介護支援等連携指導料は、「注3」に規定する加算に含まれ、別に算定できない。

(12) 退院時共同指導料2の「注4」は、地域連携診療計画と同等の事項(当該医療機関の退院基準、退院後に必要とされる診療等)に加えて退院後の在宅又は介護施設等での療養上必要な指導を行うために必要な看護及び栄養管理の状況等の情報を当該患者及び家族に別紙様式50を参考に文書で説明し、退院後の治療等を担う他の保険医療機関のほか、訪問看護ステーション、介護施設等と共有すること。

(13) (8)及び(10)において、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末において共同指導を実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

(14) 退院時共同指導料2については、入院中の保険医療機関の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が指導等を行った場合は、同一日に区分番号「B006―3」退院時リハビリテーション指導料は別に算定できない。また、入院中の保険医療機関の薬剤師が指導等を行った場合は、同一日に区分番号「B014」退院時薬剤情報管理指導料は別に算定できない。

(15) 同一日に退院時共同指導料2と区分番号「B006―3」退院時リハビリテーション指導料又は区分番号「B014」退院時薬剤情報管理指導料を算定した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、共同指導を行った者の職種及び年月日を記載すること。

B005―1―2 介護支援等連携指導料

(1) 介護支援等連携指導料は、入院の原因となった疾患・障害や入院時に行った患者の心身の状況等の総合的な評価の結果を踏まえ、退院後に介護サービス又は障害福祉サービス、地域相談支援若しくは障害児通所支援(以下この区分において「介護等サービス」という。)を導入することが適当であると考えられ、また、本人も導入を望んでいる患者が、退院後により適切な介護等サービスを受けられるよう、入院中から居宅介護支援事業者等の介護支援専門員(ケアマネジャー)又は指定特定相談支援事業者若しくは指定障害児相談支援事業者(以下この区分において「指定特定相談支援事業者等」という。)の相談支援専門員と連携し退院後のケアプラン又はサービス等利用計画若しくは障害児支援利用計画(以下この区分において「ケアプラン等」という。)の作成につなげることを評価するものである。

(2) 介護支援等連携指導料は、医師又は医師の指示を受けた看護師、社会福祉士、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、その他、退院後に導入が望ましい介護等サービスから考え適切な医療関係職種が、患者の入院前からケアマネジメントを担当していた介護支援専門員若しくは相談支援専門員又は退院後のケアプラン等の作成を行うため患者が選択した居宅介護支援事業者、介護予防支援事業者、介護保険施設等の介護支援専門員若しくは指定特定相談支援事業者等の相談支援専門員と共同して、患者に対し、患者の心身の状況等を踏まえ導入が望ましいと考えられる介護等サービスや、当該地域において提供可能な介護等サービス等の情報を提供した場合に入院中2回に限り算定できるものである。

(3) ここでいう介護保険施設等とは、介護保険の給付が行われる保健医療サービス又は福祉サービスを提供する施設であって、次の施設をいうものとする。

ア 介護老人福祉施設(介護保険法第8条第22項に規定する地域密着型介護老人福祉施設及び同条第27項に規定する介護老人福祉施設のことをいう。)

イ 介護保険法第8条第28項に規定する介護老人保健施設

ウ 健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)附則第130条の2第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第26条の規定による改正前の介護保険法第8条第26項に規定する介護療養型医療施設

エ 介護保険法第8条第29項に規定する介護医療院

オ 特定施設(介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第11項に規定する特定施設、同条第21項に規定する地域密着型特定施設及び第8条の2第9項に規定する介護予防特定施設入居者生活介護を提供する施設のことをいい、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第192条の2に規定する外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護を受けている患者が入居する施設を含む。)

カ 認知症対応型グループホーム(介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第20項に規定する認知症対応型共同生活介護及び第8条の2第15項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護を提供する施設のことをいう。)

キ 小規模多機能居宅介護事業所(介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第19項に規定する小規模多機能型居宅介護及び第8条の2第14項に規定する介護予防小規模多機能型居宅介護を提供する施設のことをいう。)

ク 複合型サービス事業所(介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第23項に規定する複合型サービスを提供する施設のことをいう。)

(4) 初回の指導は、介護等サービスの利用の見込みがついた段階で、退院後の生活を見越し、当該地域で導入可能な介護等サービスや要介護認定の申請の手続き等の情報について、患者や医療関係者と情報共有することで、適切な療養場所の選択や手続きの円滑化に資するものであり、2回目の指導は、実際の退院を前に、退院後に想定されるケアプラン等の原案の作成に資するような情報の収集や退院後の外来診療の見込み等を念頭に置いた指導を行うこと等を想定したものである。

(5) 行った指導の内容等について、要点を診療録等に記載する。また、指導の内容を踏まえ作成されたケアプラン等については、患者の同意を得た上で、当該介護支援専門員又は相談支援専門員に情報提供を求めることとし、ケアプラン等の写しを診療録等に添付すること。

(6) 介護支援等連携指導料を算定するに当たり共同指導を行う介護支援専門員又は相談支援専門員は、介護等サービスの導入を希望する患者の選択によるものであり、患者が選択した場合には、当該医療機関に併設する居宅介護事業所の介護支援専門員又は指定特定相談支援事業者等の相談支援専門員であっても介護支援等連携指導料の算定を妨げるものではない。ただし、当該医療機関に併設する介護保険施設等の介護支援専門員と共同指導を行った場合については介護支援等連携指導料を算定することはできない。

(7) 同一日に区分番号「B005」退院時共同指導料2の「注3」に掲げる加算を算定すべき介護支援専門員又は相談支援専門員を含めた共同指導を行った場合には、介護支援等連携指導料あるいは退院時共同指導料2の「注3」に掲げる加算の両方を算定することはできない。

(8) 当該共同指導は、当該患者が入院している保険医療機関の医療関係職種と介護支援専門員又は相談支援専門員が、患者が入院している保険医療機関において実施することが原則であるが、ビデオ通話が可能な機器を用いて共同指導した場合でも算定可能である。

B005―1―3 介護保険リハビリテーション移行支援料

(1) 介護保険リハビリテーション移行支援料は、維持期のリハビリテーション(区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料の「注4」、区分番号「H001―2」廃用症候群リハビリテーション料の「注4」及び区分番号「H002」運動器リハビリテーション料の「注4」に規定するものをいう。)を受けている入院中の患者以外の者に対して、患者の同意を得て、介護保険によるリハビリテーション(介護保険法第8条第5項に規定する訪問リハビリテーション、同法第8条第8項に規定する通所リハビリテーション、同法第8条の2第4項に規定する介護予防訪問リハビリテーション又は同法第8条の2第6項に規定する介護予防通所リハビリテーションをいう。)へ移行するため、居宅介護支援事業者等の介護支援専門員(ケアマネジャー)及び必要に応じて、介護保険によるリハビリテーションを当該患者に対して提供する事業所の従事者と連携し、介護サービス計画書(ケアプラン)作成を支援した上で、介護保険によるリハビリテーションを開始し、維持期のリハビリテーションを終了した場合に、患者1人につき1回に限り算定できる。なお、維持期のリハビリテーションと介護保険によるリハビリテーションを併用して行うことができる2月間(「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」(平成28年3月25日保医発0325第8号)の第4の10に規定する2月間をいう。)は、当該支援料を算定できない。

(2) 患者の同意を得た上で、介護支援専門員より情報提供を受け、介護サービス計画書(ケアプラン)の写しを診療録等に添付するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に当該患者が介護保険によるリハビリテーションを開始した日及び維持期のリハビリテーションを終了した日を記載する。

(3) 当該患者が、当該医療機関内で維持期のリハビリテーションから介護保険によるリハビリテーションに移行した場合は算定できない。

B005―2、B005―3、B005―3―2 削除

B005―4 ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)、B005―5 ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅱ)

(1) ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)は、診療に基づき患者を紹介した医師(以下この項において「紹介元医師」という。)が、当該患者が入院中である紹介先の病院に赴き、紹介先の病院の医師と共同で、医学管理等を行った場合に患者1人につき1回に限り、算定できるものであり、その算定は紹介元医師が属する保険医療機関において行う。

(2) ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)を算定した場合は、区分番号「A001」再診料、区分番号「A002」外来診療料、区分番号「C000」往診料及び区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」等は算定できない。

(3) 紹介元医師による紹介に基づき紹介先の病院に入院している患者に対して、当該紹介元医師が病院に赴き診療、指導等を行った場合において、その患者について、区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)が既に算定されている場合であっても、その算定された日を除き、ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)を算定できる。

(4) ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)を算定する場合、紹介元医師の診療録には、紹介先の病院において患者の医学管理等を行った事実を記載し、紹介先の病院の診療録には紹介元医師による医学管理等が行われた旨を記載する。

(5) ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅱ)は、紹介元医師の属する保険医療機関がハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)を算定した場合に、紹介先の病院において算定する。

(6) 自院にて診療していた妊産婦の状態に異常が認められたために、他院へ搬送する場合において、医師が搬送先医療機関まで付き添い、搬送先の病院の医師と共同で医学管理等を行った場合においても算定できる。

(7) ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)は、区分番号「C004」救急搬送診療料と併せて算定することができる。

B005―6 がん治療連携計画策定料、B005―6―2 がん治療連携指導料

(1) がん治療連携計画策定料、がん治療連携指導料は、がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院又は小児がん拠点病院を中心に策定された地域連携診療計画に沿ったがん治療に関わる医療機関の連携により、がん患者に対して地域における切れ目のない医療が提供されることを評価したものである。

(2) 地域連携診療計画は、あらかじめがん診療連携拠点病院等において、がんの種類や治療方法等ごとに作成され、当該がん診療連携拠点病院等からの退院後の治療を共同して行う複数の連携保険医療機関との間で共有して活用されるものであり、病名、ステージ、入院中に提供される治療、退院後、計画策定病院で行う治療内容及び受診の頻度、連携医療機関で行う治療の内容及び受診の頻度、その他必要な項目が記載されたものであること。

(3) がん治療連携計画策定料1は、がんと診断され、がんの治療目的に初回に入院した際に、地域連携診療計画に沿って治療を行うことについて患者の同意を得た上で、地域連携診療計画に基づく個別の患者ごとの治療計画を作成するとともに、説明し、それを文書にて患者又は家族に提供した場合に、退院時又は退院した日から起算して30日以内に計画策定病院において算定する。その際、患者に交付した治療計画書の写しを診療録に添付すること。

(4) がん治療連携計画策定料1は、病理診断の結果が出ない又は退院後一定期間の外来診療を必要とする等の理由で、個別の患者の治療計画を入院中に策定できない場合であっても、退院した日から起算して30日以内に速やかに個別の治療計画を策定するとともに、文書にて患者又は家族に提供した場合にあっては、算定可能とする。その際、交付した治療計画書の写しを診療録に添付すること。

(5) 計画策定病院は、治療計画に基づき、患者に対して治療を提供するとともに、患者の同意を得て、適切に連携医療機関と情報共有を図るとともに、必要に応じて適宜治療計画を見直すものとする。なお、がん治療連携計画策定料2は、当該患者の状態の変化等により連携医療機関から紹介を受け、当該患者を診療した上で、当該患者の治療計画を変更し、患者又はその家族等に説明するとともに、文書にて提供した場合に計画策定病院において算定する(連携医療機関において区分番号「B005―6―2」がん治療連携指導料を算定している患者に限る。)。その際、交付した治療計画書の写しを診療録に添付すること。

(6) がん治療連携指導料は、連携医療機関において、患者ごとに作成された治療計画に基づく診療を提供し、計画策定病院に対し患者の診療に関する情報提供をした際に算定する。計画策定病院に対する情報提供の頻度は、基本的には治療計画に記載された頻度に基づくものとするが、患者の状態の変化等により、計画策定病院に対し治療方針等につき、相談・変更が必要となった際に情報提供を行った際にも算定できるものである。

(7) がん治療連携計画策定料又はがん治療連携指導料を算定した場合は、区分番号「A246」入退院支援加算の注4及び区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)の注16に規定する地域連携診療計画加算は算定できない。

B005―6―3 がん治療連携管理料

(1) がん治療連携管理料は、がんの集学的治療、緩和ケアの提供、地域医療との連携、専門医師その他の専門の医療従事者の配置、院内がん登録の適切な実施、相談支援センター等の体制を備えた、がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院又は小児がん拠点病院として指定された病院を評価したものである。

(2) 別の保険医療機関又は健康診断を実施した医療機関の医師により、悪性腫瘍の疑いがあるとされた患者(最終的に悪性腫瘍と診断された患者に限る。)又は悪性腫瘍と診断された患者に対し、がん治療連携管理料の「1」についてはこれらの保険医療機関等から紹介を受けたがん診療連携拠点病院が、がん治療連携管理料の「2」についてはこれらの保険医療機関等から紹介を受けた地域がん診療病院が、外来における化学療法又は放射線治療を行った場合に、患者1人につき1回に限り所定点数を算定する。

(3) がん治療連携管理料の「3」は、別の保険医療機関又は健康診断を実施した医療機関の医師により、悪性腫瘍の疑いがあるとされた小児の患者(最終的に悪性腫瘍と診断された患者に限る。)又は悪性腫瘍と診断された小児の患者に対し、これらの保険医療機関等から紹介を受けた小児がん拠点病院が、外来における化学療法又は放射線治療を行った場合に、患者1人につき1回に限り所定点数を算定する。

(4) 当該管理料の対象患者は、(2)に定める患者であり、悪性腫瘍以外の疾患で別の保険医療機関から紹介を受け、当該がん診療連携拠点病院において悪性腫瘍と診断された患者は含まれない。

(5) がん治療連携管理料を算定した場合は、区分番号「A232」がん拠点病院加算は算定できない。

B005―6―4 外来がん患者在宅連携指導料

(1) 外来がん患者在宅連携指導料は、進行がん患者の緩和ケアに係る外来から在宅への切れ目のない移行を図り、在宅において質の高い緩和ケアを提供する体制を実現するため、進行がん患者に対して外来で化学療法又は緩和ケアを行う保険医療機関が、当該患者を在宅で緩和ケアを実施する別の保険医療機関に適切な時期に紹介することを評価したものである。

(2) 外来がん患者在宅連携指導料を算定する保険医療機関においては、在宅での緩和ケアを行う保険医療機関や訪問看護ステーションと連携関係を構築するとともに、そのリストを整備し、患者の特性や居住する地域に応じて患者に紹介できる体制を確保する。

(3) 進行がん患者に対して外来で化学療法又は緩和ケアを提供する病院は、当該患者の病状が進行した際に在宅で緩和ケアを実施する体制を早期に整えることのできるよう、外来において化学療法等を実施している段階から、在宅で実施することが見込まれる緩和ケア及び見込まれる予後等について十分に患者に説明し、患者の同意を得た上で、在宅で緩和ケアを実施する保険医療機関を紹介する。

B005―7 認知症専門診断管理料

(1) 認知症専門診断管理料1は、基幹型、地域型又は連携型認知症疾患医療センターが他の保険医療機関から紹介された患者に対して、患者又は家族等の同意を得た上で、認知症の鑑別診断を行った上で療養方針を決定(認知症と診断された患者については認知症療養計画を作成)し、説明し、それを文書にて患者又は家族等に提供した場合であって、紹介を受けた他の保険医療機関に対して文書にて報告した場合に、1人につき1回に限り算定する。なお、患者に交付した文書の写しを診療録等に添付すること。

(2) 「注1」に規定する認知症療養計画は、「別紙様式32」及び「別紙様式32の2」又はこれらに準じて作成された、病名、検査結果、症状の評価(認知機能(MMSE、HDS―R等)、生活機能(ADL、IADL等)、行動・心理症状(NPI、DBD等)等)、家族又は介護者等による介護の状況(介護負担度の評価(NPI等)等)、治療計画(受診頻度、内服薬の調整等)、必要と考えられる医療連携や介護サービス、緊急時の対応、その他必要な項目が記載されたものであり、認知症に係る専門知識を有する多職種が連携していることが望ましい。認知症専門診断管理料1を算定するに当たり文書にて報告した他の保険医療機関と定期的に診療情報等の共有を図ることが望ましい。

(3) 認知症専門診断管理料2は、基幹型又は地域型認知症疾患医療センターが認知症の症状が増悪した患者に対して、患者又は家族等の同意を得た上で、今後の療養計画等を説明し、それを文書にて患者又は家族等に提供した場合であって、紹介を受けた他の保険医療機関に対して文書にて報告した場合に、患者1人につき3月に1回に限り算定する。なお、患者に交付した文書の写しを診療録に添付すること。

B005―7―2 認知症療養指導料

(1) 認知症療養指導料は、保険医療機関が認知症の患者に対して、認知症療養計画に基づき、症状の定期的な評価(認知機能(MMSE、HDS―R等)、生活機能(ADL、IADL等)、行動・心理症状(NPI、DBD等)等)、家族又は介護者等による介護の状況(介護負担度の評価(NPI等))の定期的な評価、抗認知症薬等の効果や副作用の有無等の定期的な評価等を行い、診療録にその要点を記載し、療養指導を行うこと。

(2) 「1」については、認知症疾患医療センターで認知症と診断された患者について、当該認知症疾患医療センターにおいて作成された認知症療養計画に基づき、(1)に規定する定期的な評価等を行った場合に算定する。

(3) 「2」については、認知症の患者であって、病状悪化や介護負担の増大等が生じたものについて、療養に係る助言を得ることを目的に、地域において認知症患者に対する支援体制の確保に協力している認知症サポート医に紹介した場合であって、当該認知症サポート医の助言を受けて、認知症に係る療養計画を作成した上で、(1)に規定する定期的な評価等を行った場合に算定する。ただし、当該認知症サポート医からの文書により、当該認知症サポート医が区分番号「B005―7―3」認知症サポート指導料を算定していることが明らかな場合に限る。また、認知症に係る療養計画については診療録に記載すること。

(4) 「3」については、初めて認知症と診断された患者又は認知症の患者であって病状悪化や介護負担の増大等が生じたものに対し、地域において認知症患者に対する支援体制の確保に協力している認知症サポート医が、「別紙様式32」及び「別紙様式32の2」又はこれらに準じて認知症療養計画を作成した上で、(1)に規定する定期的な評価等を行った場合に算定する。

(5) 地域において認知症患者に対する支援体制の確保に協力している認知症サポート医とは、アに加え、イ又はウのいずれかを満たす医師をいう。

ア 国立研究開発法人国立長寿医療研究センターが都道府県又は指定都市の委託を受けて実施する認知症サポート医養成研修を修了した医師であること。

イ 直近1年間に、「認知症初期集中支援チーム」等、市区町村が実施する認知症施策に協力している実績があること。

ウ 直近1年間に、都道府県医師会又は指定都市医師会を単位とした、かかりつけ医等を対象とした認知症対応力の向上を図るための研修の講師を務めた実績があること

B005―7―3 認知症サポート指導料

(1) 認知症サポート指導料は、地域において認知症患者に対する支援体制の確保に協力している認知症サポート医が、他の保険医療機関から紹介された認知症の患者に対して、患者又は家族等の同意を得た上で、患者又は家族等に文書を用いて療養上の指導を行うとともに、今後の療養方針について、紹介を受けた他の保険医療機関に対して文書にて助言を行った場合に、1人につき6月に1回に限り算定する。なお、患者及び紹介を受けた他の医療機関に交付した文書の写しを診療録に添付すること。

(2) 地域において認知症患者に対する支援体制の確保に協力している認知症サポート医については、「B005―7―2」認知症療養指導料の例による。

(3) 紹介を受けた他の保険医療機関に対して助言を行う文書において、認知症サポート指導料を算定した患者である旨を記載すること。

B005―8 肝炎インターフェロン治療計画料

(1) 肝炎インターフェロン治療計画料は、インターフェロン治療を受ける肝炎患者に対して、治療計画に沿って治療を行うことについて患者の同意を得た上で、治療計画を作成し、副作用等を含めて患者に説明し、文書により提供するとともに、地域で連携して当該インターフェロン治療を行う保険医療機関に当該患者に係る治療計画及び診療情報を文書により提供した場合に、1人につき1回に限り算定する。患者に交付した治療計画書の写しを診療録に添付すること。

(2) 治療計画の策定に当たっては、患者の求めに応じて夜間や休日に診療を行っている医療機関を紹介するなど、当該患者が長期の治療を継続できるよう配慮を行うこと。

(3) 入院中の患者については退院時に算定すること。

B005―9 外来排尿自立指導料

(1) 外来排尿自立指導料は、当該保険医療機関に排尿に関するケアに係る専門的知識を有した多職種からなるチーム(以下「排尿ケアチーム」という。)を設置し、入院中から当該患者の排尿自立の可能性及び下部尿路機能を評価し、排尿誘導等の保存療法、リハビリテーション、薬物療法等を組み合わせるなど、下部尿路機能の回復のための包括的なケア(以下「包括的排尿ケア」という。)を実施していた患者に対して、入院中に退院後の包括的排尿ケアの必要性を認めた場合に、外来において、引き続き包括的排尿ケアを実施することを評価するものである。

(2) 当該指導料は、当該保険医療機関の入院中に区分番号「A251」排尿自立支援加算を算定し、かつ、退院後に継続的な包括的排尿ケアの必要があると認めたものであって、次のいずれかに該当する者について算定できる。なお、排尿自立支援加算に規定するとおり、退院後に継続的な包括的排尿ケアの必要があると認めた旨を診療録等に記載していること。

ア 尿道カテーテル抜去後に、尿失禁、尿閉等の下部尿路機能障害の症状を有するもの

イ 尿道カテーテル留置中の患者であって、尿道カテーテル抜去後に下部尿路機能障害を生ずると見込まれるもの

(3) 排尿ケアチーム及び当該患者の診療を担う医師又は看護師等は、共同して、入院中に策定した包括的排尿ケアの計画に基づき包括的排尿ケアを実施し、定期的に評価を行う。必要に応じて排尿ケアチームが当該計画の見直しを行う。

(4) (3)について、診療録等に記載する。なお、見直した計画については、計画書を診療録等に添付にすることとしても差し支えない。

(5) 当該指導料を算定するに当たっては、排尿ケアチームが当該患者の状況を評価する等の関与を行い、かつ、排尿ケアチーム、当該患者の診療を担う医師又は当該医師の指示を受けた看護師等が、包括的排尿ケアの計画に基づいて患者に対し直接的な指導又は援助を行うこと。当該指導料は、週1回に限り、排尿自立支援加算を算定した期間と通算して計12週を限度として算定できる。

B005―10 ハイリスク妊産婦連携指導料1

(1) 「注1」に規定する精神疾患を有する妊婦又は出産後2月以内である患者とは、当該保険医療機関で精神療法が実施されている患者又は他の保険医療機関で精神療法が実施されている患者であって当該保険医療機関に対して診療情報が文書により提供されているものに限る。

(2) 精神療法が他の保険医療機関で実施されている場合については、患者の同意を得て、当該他の保険医療機関との間で当該患者に係る診療情報が相互かつ定期的に提供されていること。

(3) 必要に応じて小児科と適切に連携して診療する体制を有していること。

(4) 産科又は産婦人科を担当する医師又は当該医師の指示を受けた保健師、助産師若しくは看護師が、概ね月に1回の頻度で、患者の心理的不安を軽減するための面接及び療養上の指導を行うこと。

(5) 当該患者への診療方針などに係るカンファレンスが概ね2か月に1回の頻度で開催されており、当該患者の診療を担当する産科又は産婦人科を担当する医師、保健師、助産師又は看護師、当該患者の診療を担当する精神科又は心療内科を担当する医師、保健師又は看護師並びに必要に応じて精神保健福祉士、社会福祉士、公認心理師、市町村若しくは都道府県(以下区分番号「B005―10―2」において「市町村等」という。)の担当者等が参加していること。

(6) (5)のカンファレンスは、初回は関係者全員が一堂に会し実施すること。2回目以降についても、関係者全員が一堂に会し実施することが原則であるが、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施した場合でも算定可能である。なお、(5)のカンファレンスにおいて、ビデオ通話が可能な機器を用いる場合、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

(7) (5)のカンファレンスに市町村等の担当者が参加しなかった場合は、その都度、患者の同意を得た上で、市町村等の担当者にその結果を文書により情報提供すること。

(8) 当該患者について、出産後の養育について支援を行うことが必要と認められる場合、その旨を患者に説明し、当該患者の同意を得た上で、市町村等に相談し、情報提供を行うこと。

(9) 以上の実施に当たっては、日本産婦人科医会が作成した「妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル~産後ケアへの切れ目のない支援に向けて~」を参考にすること。

(10) 当該連携指導料を算定する場合は、区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)は別に算定できないこと。

B005―10―2 ハイリスク妊産婦連携指導料2

(1) 「注1」に規定する精神疾患を有する妊婦又は出産後6月以内である患者とは、当該保険医療機関で精神療法が実施されている患者に限る。

(2) 産科又は産婦人科に係る診療が他の保険医療機関で実施されている場合については、患者の同意を得て、当該他の保険医療機関との間で当該患者に係る診療情報が相互かつ定期的に提供されていること。特に、向精神薬が投与されている患者については、当該薬剤が妊娠、出産等に与える影響等の情報について、当該他の保険医療機関に対し適切に提供していること。

(3) 必要に応じて小児科と適切に連携して診療する体制を有していること。

(4) 精神科又は心療内科を担当する医師が、精神疾患及びその治療による妊娠、出産等への影響について患者に説明し、療養上の指導を行うこと。

(5) 当該患者への診療方針などに係るカンファレンスが概ね2か月に1回の頻度で開催されており、当該患者の診療を担当する精神科又は心療内科を担当する医師、保健師又は看護師、当該患者の診療を担当する産科又は産婦人科を担当する医師、保健師、助産師又は看護師並びに必要に応じて精神保健福祉士、社会福祉士、公認心理師、市町村等の担当者等が参加していること。なお、出産後、産科又は産婦人科による医学的な管理が終了した場合については、当該カンファレンスへの産科又は産婦人科を担当する医師の参加は不要であること。

(6) (5)のカンファレンスは、初回は関係者全員が一堂に会し実施すること。2回目以降についても、関係者全員が一堂に会し実施することが原則であるが、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施した場合でも算定可能である。なお、(5)のカンファレンスにおいて、ビデオ通話が可能な機器を用いる場合、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

(7) (5)のカンファレンスに市町村等の担当者が参加しなかった場合は、その都度、患者の同意を得た上で、市町村等の担当者にその結果を文書により情報提供すること。

(8) 当該患者について、出産後の養育について支援を行うことが必要と認められる場合、その旨を患者に説明し、当該患者の同意を得た上で、市町村等に相談し、情報提供を行うこと。

(9) 当該連携指導料を算定する場合は、区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)及び区分番号「B011」診療情報提供料(Ⅲ)は別に算定できないこと。

B005―11 遠隔連携診療料

(1) 遠隔連携診療料は難病又はてんかんの診断を行うことを目的として、患者の同意を得て、難病又はてんかんに関する専門的な診療を行っている他の保険医療機関の医師に事前に診療情報提供を行った上で、当該患者の来院時に、ビデオ通話が可能な情報通信機器を用いて、当該他の保険医療機関の医師と連携して診療を行った場合に、患者の診断の確定までの間に3月に1回に限り算定する。

(2) 遠隔連携診療料の算定に当たっては、患者に対面診療を行っている保険医療機関の医師が、他の保険医療機関の医師に診療情報の提供を行い、当該医師と連携して診療を行うことについて、あらかじめ患者に説明し同意を得ること。

(3) 遠隔連携診療料が算定可能な患者は、難病の患者に対する医療等に関する法律第5条第1項に規定する指定難病又はてんかん(外傷性のてんかんを含む。)の疑いがある患者に限ること。

(4) 他の保険医療機関の医師と連携して診療を行った際には、患者に対面診療を行っている保険医療機関の医師は、当該診療の内容、診療を行った日、診療時間等の要点を診療録に記載すること。

(5) 当該他の保険医療機関は、「都道府県における地域の実情に応じた難病の医療提供体制の構築について」(平成29年4月14日健難発0414第3号厚生労働省健康局難病対策課長通知)に規定する難病診療連携拠点病院又は「てんかん地域診療連携体制整備事業の実施について」(平成27年5月28日障発0528第1号)に定めるてんかん診療拠点機関であること。

(6) 連携して診療を行う他の保険医療機関の医師は、厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針に沿って診療を行うこと。また、当該他の保険医療機関内において診療を行うこと。

(7) 事前の診療情報提供については、区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)は別に算定できない。

(8) 当該診療報酬の請求については、対面による診療を行っている保険医療機関が行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

B006 救急救命管理料

(1) 保険医療機関に所属する救急救命士に対して、必要な指示等を行った医師の所属する保険医療機関において算定する。

(2) 救急救命士の行った処置等の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 救急救命士の所属する保険医療機関と指示等を行った医師の所属する保険医療機関が異なる場合においても、当該指示等を行った医師の所属する保険医療機関において算定する。

(4) 医師が救急救命士に指示を行ったのみで、診察をしていない場合には、救急救命管理料のみを算定し、区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料又は区分番号「A002」外来診療料は算定できない。

B006―3 退院時リハビリテーション指導料

(1) 退院時リハビリテーション指導料は、入院していた患者の退院に際し、患者の病状、患家の家屋構造、介護力等を考慮しながら、患者又はその家族等退院後患者の看護に当たる者に対して、リハビリテーションの観点から退院後の療養上必要と考えられる指導を行った場合に算定する。

(2) 退院時リハビリテーション指導料は、指導を行った者及び指導を受けたものが患者又はその家族等であるかの如何を問わず、退院日に1回に限り算定する。

(3) 当該患者の入院中主として医学的管理を行った医師又はリハビリテーションを担当した医師が、患者の退院に際し、指導を行った場合に算定する。なお、医師の指示を受けて、保険医療機関の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が保健師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士とともに指導を行った場合にも算定できる。

(4) 指導の内容は、患者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練、生活適応訓練、基本的対人関係訓練、家屋の適切な改造、患者の介助方法、患者の居住する地域において利用可能な在宅保健福祉サービスに関する情報提供等に関する指導とする。

(5) 指導(又は指示)内容の要点を診療録等に記載する。

(6) 死亡退院の場合は、算定できない。

B007 退院前訪問指導料

(1) 退院前訪問指導料は、継続して1月を超えて入院すると見込まれる入院患者の円滑な退院のため、入院中(外泊時を含む。)又は退院日に患家を訪問し、患者の病状、患家の家屋構造、介護力等を考慮しながら、患者又はその家族等退院後に患者の看護に当たる者に対して、退院後の在宅での療養上必要と考えられる指導を行った場合に算定する。なお、入院期間は暦月で計算する。

(2) 退院前訪問指導料は、指導の対象が患者又はその家族等であるかの如何を問わず、1回の入院につき1回を限度として、指導の実施日にかかわらず、退院日に算定する。ただし、入院後早期(入院後14日以内とする。)に退院に向けた訪問指導の必要性を認めて訪問指導を行い、かつ在宅療養に向けた最終調整を目的として再度訪問指導を行う場合に限り、指導の実施日にかかわらず退院日に2回分を算定する。

(3) 退院前訪問指導料は、退院して家庭に復帰する患者が算定の対象であり、特別養護老人ホーム等医師又は看護師等が配置されている施設に入所予定の患者は算定の対象としない。

(4) 医師の指示を受けて保険医療機関の保健師、看護師、理学療法士、作業療法士等が訪問し、指導を行った場合にも算定できる。

(5) 指導又は指示内容の要点を診療録等に記載する。

(6) 退院前訪問指導に当たっては、当該保険医療機関における看護業務等に支障をきたすことのないよう留意する。

(7) 保険医療機関は、退院前訪問指導の実施に当たっては、市町村の実施する訪問指導事業等関連事業との連携に十分配意する。

B007―2 退院後訪問指導料

(1) 退院後訪問指導料は、医療ニーズが高い患者が安心・安全に在宅療養に移行し、在宅療養を継続できるようにするために、患者が入院していた保険医療機関(以下この区分において「入院保険医療機関」という。)が退院直後において行う訪問指導を評価するものである。

(2) 退院後訪問指導料は、入院保険医療機関の医師又は当該医師の指示を受けた当該保険医療機関の保健師、助産師又は看護師が患家、介護保険施設又は指定障害者支援施設等において患者又はその家族等の患者の看護に当たる者に対して、在宅での療養上必要な指導を行った場合に算定する。ただし、介護老人保健施設に入所中又は医療機関に入院中の患者は算定の対象としない。

(3) 指導又は指示内容の要点を診療録等に記載する。

(4) 退院後訪問指導に当たっては、当該保険医療機関における看護業務等に支障をきたすことのないよう留意する。

(5) 「注2」に規定する訪問看護同行加算は、当該患者の在宅療養を担う訪問看護ステーション又は他の保険医療機関の看護師等と同行して患家等を訪問し、当該看護師等への技術移転又は療養上必要な指導を行った場合に算定する。

(6) 退院後訪問指導料を算定した場合は、同一の保険医療機関において、区分番号「I016」精神科在宅患者支援管理料は算定できない。

(7) 退院後訪問指導料を算定した日においては、区分番号「C013」在宅患者訪問褥瘡管理指導料は算定できない。

(8) 退院後訪問指導料を算定した日においては、同一の保険医療機関及び特別の関係にある保険医療機関は、区分番号「C000」往診料、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)、区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)、区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料、区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料、区分番号「I012」精神科訪問看護・指導料を算定できない。ただし、退院後訪問指導を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではない。

B008 薬剤管理指導料

(1) 薬剤管理指導料は、当該保険医療機関の薬剤師が医師の同意を得て薬剤管理指導記録に基づき、直接服薬指導、服薬支援その他の薬学的管理指導(処方された薬剤の投与量、投与方法、投与速度、相互作用、重複投薬、配合変化、配合禁忌等に関する確認並びに患者の状態を適宜確認することによる効果、副作用等に関する状況把握を含む。)を行った場合に週1回に限り算定できる。

また、薬剤管理指導料の算定対象となる小児及び精神障害者等については、必要に応じて、その家族等に対して服薬指導等を行った場合であっても算定できる。

なお、施設基準を満たしていても、上記要件に該当しない場合にあっては、区分番号「F500」調剤技術基本料の「1」により算定する。

(2) 薬剤管理指導料の「1」は、抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、不整脈用剤、抗てんかん剤、血液凝固阻止剤(内服薬に限る。)、ジギタリス製剤、テオフィリン製剤、カリウム製剤(注射薬に限る。)、精神神経用剤、糖尿病用剤、膵臓ホルモン剤又は抗HIV薬が投薬又は注射されている患者に対して、これらの薬剤に関し、薬学的管理指導を行った場合に算定する。なお、具体的な対象薬剤については、その一覧を厚生労働省のホームページに掲載している。

(3) 当該保険医療機関の薬剤師は、過去の投薬・注射及び副作用発現状況等を患者又はその家族等から聴取し、当該医療機関及び可能な限り他の医療機関における投薬及び注射に関する基礎的事項を把握する。

(4) 薬剤管理指導料の算定日を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(5) 当該保険医療機関の薬剤師が患者ごとに作成する薬剤管理指導記録には、次の事項を記載し、最後の記入の日から最低3年間保存する。

患者の氏名、生年月日、性別、入院年月日、退院年月日、診療録の番号、投薬・注射歴、副作用歴、アレルギー歴、薬学的管理指導の内容、患者への指導及び患者からの相談事項、薬剤管理指導等の実施日、記録の作成日及びその他の事項

なお、薬剤管理指導記録を診療録等とともに管理する場合にあっては、上記の記載事項のうち、重複する項目については、別途記録の作成を要しない。また、薬剤管理指導記録に添付が必要な文書等を別途保存することは差し支えないが、この場合にあっては、薬剤管理指導記録と当該文書等を速やかに突合できるような管理体制を整備すること。

(6) 「注2」の麻薬管理指導加算は、当該指導料を算定している患者のうち、麻薬が投与されている患者に対して、投与される麻薬の服用に関する注意事項等に関し、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。

(7) 薬剤管理指導料を算定している患者に投薬された医薬品について、当該保険医療機関の薬剤師が以下の情報を知ったときは、原則として当該薬剤師は、速やかに当該患者の診療を担う保険医に対し、当該情報を文書により提供するとともに、当該保険医に相談の上、必要に応じ、患者に対する薬学的管理指導を行うものとする。

ア 緊急安全性情報、安全性速報

イ 医薬品・医療機器等安全性情報

(8) 「注2」の麻薬管理指導加算の算定に当たっては、前記の薬剤管理指導記録に少なくとも次の事項についての記載がされていなければならない。

ア 麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の服薬状況、疼痛緩和の状況等)

イ 麻薬に係る患者への指導及び患者からの相談事項

ウ その他麻薬に係る事項

(9) 薬剤管理指導及び麻薬管理指導を行った場合は、必要に応じ、その要点を文書で医師に提供すること。

B008―2 薬剤総合評価調整管理料

(1) 薬剤総合評価調整管理料は、内服を開始して4週間以上経過した内服薬が6種類以上処方されている入院中の患者以外の患者に対して、複数の薬剤の投与により期待される効果と副作用の可能性等について、当該患者の病状及び生活状況等に伴う服薬アドヒアランスの変動等について十分に考慮した上で、総合的に評価を行い、処方内容を検討した結果、処方される内服薬が減少した場合について評価したものである。

(2) 薬剤総合評価調整管理料は、当該保険医療機関で処方された内服薬の種類数が2種類以上減少し、その状態が4週間以上継続すると見込まれる場合に算定する。ただし、他の保険医療機関から投薬を受けていた患者については、当該保険医療機関及び当該他の保険医療機関で処方された内服薬を合計した種類数から2種類以上減少した場合については、区分番号「A250」に掲げる薬剤総合評価調整加算と合わせて、1か所の保険医療機関に限り算定できることとする。この場合には当該他の保険医療機関名及び各保険医療機関における調整前後の薬剤の種類数を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。また、保険薬局からの提案を踏まえて、処方内容の評価を行い、処方内容を調整した場合には、その結果について当該保険薬局に情報提供を行う。

(3) 連携管理加算は、処方内容の総合調整に当たって、薬効の類似した処方又は相互作用を有する処方等について、患者が受診する他の保険医療機関又は保険薬局に照会を行った場合及び当該他の保険医療機関等からの情報提供を受けて、処方内容の調整又は評価を行い、その結果について当該他の保険医療機関等に情報提供を行った場合に算定する。

(4) 受診時において当該患者が処方されている内服薬のうち、屯服薬については内服薬の種類数から除外する。また、服用を開始して4週間以内の薬剤については、調整前の内服薬の種類数から除外する。

(5) 当該管理料の算定における内服薬の種類数の計算に当たっては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類として計算する。

(6) 医師が内服薬を総合的に評価及び調整するに際しては、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(厚生労働省)、「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」(厚生労働省)、日本老年医学会の関連ガイドライン(高齢者の安全な薬物療法ガイドライン)等を参考にすること。

(7) 医師が内服薬を調整するに当たっては、評価した内容や調整の要点を診療録に記載する。

(8) 当該保険医療機関で区分番号「A250」の「注2」に掲げる薬剤調整加算又は薬剤総合評価調整管理料を1年以内に算定した場合においては、前回の算定に当たって減少した後の内服薬の種類数から更に2種類以上減少しているときに限り新たに算定することができる。

B009 診療情報提供料(Ⅰ)

(1) 診療情報提供料(Ⅰ)は、医療機関間の有機的連携の強化及び医療機関から保険薬局又は保健・福祉関係機関への診療情報提供機能の評価を目的として設定されたものであり、両者の患者の診療に関する情報を相互に提供することにより、継続的な医療の確保、適切な医療を受けられる機会の増大、医療・社会資源の有効利用を図ろうとするものである。

(2) 保険医療機関が、診療に基づき他の機関での診療の必要性等を認め、患者に説明し、その同意を得て当該機関に対して、診療状況を示す文書を添えて患者の紹介を行った場合に算定する。

(3) 紹介に当たっては、事前に紹介先の機関と調整の上、下記の紹介先機関ごとに定める様式又はこれに準じた様式の文書に必要事項を記載し、患者又は紹介先の機関に交付する。また、交付した文書の写しを診療録に添付するとともに、診療情報の提供先からの当該患者に係る問い合わせに対しては、懇切丁寧に対応するものとする。

ア イ、ウ及びエ以外の場合 別紙様式11又は別紙様式11の2

イ 市町村又は指定居宅介護支援事業者等 別紙様式12から別紙様式12の4まで

ウ 介護老人保健施設又は介護医療院 別紙様式13

エ 小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部 別紙様式14

(4) 当該情報を提供する保険医療機関と特別の関係にある機関に情報提供が行われた場合や、市町村等が開設主体である保険医療機関が当該市町村等に対して情報提供を行った場合は算定できない。

(5) A保険医療機関には、検査又は画像診断の設備がないため、B保険医療機関(特別の関係にあるものを除く。)に対して、診療状況を示す文書を添えてその実施を依頼した場合には、診療情報提供料(Ⅰ)は算定できる。

(6) (5)の場合において、B保険医療機関が単に検査又は画像診断の設備の提供にとどまる場合には、B保険医療機関においては、診療情報提供料(Ⅰ)、初診料、検査料、画像診断料等は算定できない。なお、この場合、検査料、画像診断料等を算定するA保険医療機関との間で合議の上、費用の精算を行うものとする。

(7) (5)の場合において、B保険医療機関が、検査又は画像診断の判読も含めて依頼を受け、その結果をA保険医療機関に文書により回答した場合には、診療情報提供料(Ⅰ)を算定できる。なお、この場合に、B保険医療機関においては、初診料、検査料、画像診断料等を算定でき、A保険医療機関においては検査料、画像診断料等は算定できない。

(8) 提供される情報の内容が、患者に対して交付された診断書等であって、当該患者より自費を徴収している場合、意見書等であって、意見書の交付について診療報酬又は公費で既に相応の評価が行われている場合には、診療情報提供料(Ⅰ)は算定できない。

(9) 下記のア、イの場合については、患者1人につき月1回に限り、所定点数を算定する。また、いずれの場合も診療情報の提供に当たって交付した文書の写しを診療録に添付する。

ア 区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)を算定すべき訪問診療を行っている保険医療機関が、患者の同意を得て、診療の日から2週間以内に、当該患者に対して継続して区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料又は区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料を算定すべき看護若しくは指導又は区分番号「C006」在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料を算定すべき指導管理を行っている別の保険医療機関に対して、診療日、診療内容、患者の病状、日常生活動作能力等の診療情報を示す文書を添えて、当該患者に係る療養上必要な情報を提供した場合

イ 区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料又は区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料を算定すべき看護若しくは指導又は区分番号「C006」在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料を算定すべき指導管理を行っている保険医療機関が、患者の同意を得て、診療の日から2週間以内に、別の保険医療機関に対して、病歴、診療内容、患者の病状等の診療状況を示す文書を添えて、当該患者に係る療養上必要な情報を提供した場合

(10) 診療情報の提供に当たり、レントゲンフィルム等をコピーした場合には、当該レントゲンフィルム等及びコピーに係る費用は当該情報提供料に含まれ、別に算定できない。

(11) 「注2」に掲げる「市町村又は介護保険法第46条第1項に規定する指定居宅介護支援事業者、同法第58条第1項に規定する指定介護予防支援事業者、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第51条の17第1項第1号に規定する指定特定相談支援事業者、児童福祉法第24条の26第1項第1号に規定する指定障害児相談支援事業者等」とは、当該患者の居住地を管轄する市町村(特別区を含む。以下同じ。)、保健所若しくは精神保健福祉センター、指定居宅介護支援事業者、指定介護予防支援事業者若しくは地域包括支援センター又は指定特定相談支援事業者若しくは指定障害児相談支援事業者をいう(以下「指定居宅介護支援事業者等」という。)。また、「保健福祉サービスに必要な情報」とは、当該患者に係る健康教育、健康相談、機能訓練、訪問指導等の保健サービス又はホームヘルプサービス、ホームケア促進事業、ショートステイ、デイサービス、日常生活用具の給付等の介護保険の居宅サービス若しくは福祉サービスを有効かつ適切に実施するために必要な診療並びに家庭の状況に関する情報をいう。

(12) 「注2」に掲げる「市町村」又は「指定居宅介護支援事業者等」に対する診療情報提供は、入院患者については、退院時に患者の同意を得て退院の日の前後2週間以内の期間に診療情報の提供を行った場合にのみ算定する。ただし、退院前に算定する場合、介護支援等連携指導料を算定した患者については算定できない。また、「市町村」又は「指定居宅介護支援事業者等」に対する診療情報提供においては、自宅に復帰する患者が対象であり、別の保険医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設等に入院若しくは入所する患者又は死亡退院した患者についてその診療情報を市町村又は指定居宅介護支援事業者等に提供しても、区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)の算定対象とはならない。

(13) 「注3」については、在宅での療養を行っている疾病、負傷のため通院困難な患者(以下「在宅患者」という。)に対して、適切な在宅医療を確保するため、当該患者の選択する保険薬局の保険薬剤師が、訪問薬剤管理指導を行う場合であって、当該患者又はその看護等に当たる者の同意を得た上で、当該保険薬局に対して処方箋又はその写しに添付して、当該患者の訪問薬剤管理指導に必要な診療情報を提供した場合に算定する。この場合において、交付した文書の他、処方箋の写しを診療録に添付する。

なお、処方箋による訪問薬剤管理指導の依頼のみの場合は診療情報提供料(Ⅰ)は算定できない。

(14) 「注4」については、精神障害者である患者であって、次に掲げる施設に入所している患者又は介護老人保健施設(当該保険医療機関と同一の敷地内にある介護老人保健施設その他これに準ずる介護老人保健施設を除く。「注5」において同じ。)に入所している患者の診療を行っている保険医療機関が、診療の結果に基づき、患者の同意を得て、当該患者が入所しているこれらの施設に対して文書で診療情報を提供した場合に算定する。

ア グループホーム(障害者総合支援法第5条第17項に規定する共同生活援助を行う事業所をいう。)

イ 障害者支援施設(障害者総合支援法第5条第11項に規定する障害者支援施設をいい、日中活動として同条第7項に規定する生活介護を行うものを除く。)

ウ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第6条の7第2号に規定する自立訓練(生活訓練)を行う事業所

エ 障害者総合支援法第5条第13項に規定する就労移行支援を行う事業所

オ 障害者総合支援法第5条第14項に規定する就労継続支援を行う事業所

カ 障害者総合支援法第5条第28項に規定する福祉ホーム

(15) 「注6」に掲げる「認知症に関する専門の保険医療機関等」とは、「認知症施策等総合支援事業の実施について」(平成26年7月9日老発0709第3号(一部改正、平成27年6月26日老発0626第3号)老健局長通知)に規定されている認知症疾患医療センターであること。

(16) 「注7」については、児童福祉法第56条の6第2項に規定する、人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児である患者について、当該患者が通学する学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部(以下「義務教育諸学校」という。)の学校医等に対して、当該義務教育諸学校において当該患者が生活するに当たり看護職員が実施する診療の補助に係る行為について、学校医等が指導、助言等を行うに当たり必要な診療情報を提供した場合に算定する。

(17) 「注7」に掲げる「学校医等」とは、当該義務教育諸学校の学校医又は義務教育諸学校が医療的ケアについて助言や指導を得るために委嘱する医師をいう。

(18) 「注7」については、当該保険医療機関の主治医と学校医等が同一の場合は算定できない。

(19) 「注8」に掲げる退院患者の紹介に当たっては、心電図、脳波、画像診断の所見等診療上必要な検査結果、画像情報等及び退院後の治療計画等を添付すること。また、添付した写し又はその内容を診療録に添付又は記載すること。なお、算定対象が介護老人保健施設又は介護医療院である場合は、当該加算を算定した患者にあっては、その後6か月間、当該加算は算定できない。

(20) 「注9」の加算は、区分番号「B005―4」ハイリスク妊産婦共同管理料(Ⅰ)が算定されない場合であっても算定できる。

(21) 「注10」に掲げる「専門医療機関」とは、鑑別診断、専門医療相談、合併症対応、医療情報提供等を行うとともに、かかりつけの医師や介護サービス等との調整を行う保険医療機関であること。

(22) 「注11」に規定する認知症専門医療機関連携加算は、区分番号「B005―7」に掲げる認知症専門診断管理料2を算定する専門医療機関において既に認知症と診断された患者が、症状の増悪や療養方針の再検討を要する状態となった場合に、当該専門医療機関に対して、診療状況を示す文書を添えて当該患者の紹介を行った場合に算定する。

(23) 「注12」に規定する精神科医連携加算については、身体症状を訴えて精神科以外の診療科を受診した患者について、当該精神科以外の診療科の医師が、その原因となりうる身体疾患を除外診断した後に、うつ病等の精神疾患を疑い、精神医療の必要性を認め、患者に十分な説明を行い、同意を得て、精神科を標榜する別の保険医療機関の精神科に当該患者が受診する日(紹介した日より1月間以内とし、当該受診日を診療録に記載すること。)について予約を行った上で、患者の紹介を行った場合に算定する。

(24) 「注13」に規定する肝炎インターフェロン治療連携加算は、区分番号「B005―8」に掲げる肝炎インターフェロン治療計画料を算定する専門医療機関において作成された治療計画に基づいて行った診療の状況を示す文書を添えて、当該専門医療機関に対して当該患者の紹介を行った場合に算定する。

(25) 「注14」に規定する歯科医療機関連携加算1は、保険医療機関(歯科診療を行う保険医療機関を除く。)が、歯科を標榜する保険医療機関に対して、当該歯科を標榜する保険医療機関において口腔内の管理が必要であると判断した患者に関する情報提供を、以下のア又はイにより行った場合に算定する。なお、診療録に情報提供を行った歯科医療機関名を記載すること。

ア 歯科を標榜していない病院が、医科点数表第2章第10部手術の第1節第6款、第7款及び第9款に掲げる悪性腫瘍手術(病理診断により悪性腫瘍であることが確認された場合に限る。)又は第8款に掲げる心・脈管系(動脈・静脈を除く。)の手術、人工関節置換術若しくは人工関節再置換術(股関節に対して行うものに限る。)又は造血幹細胞移植の手術を行う患者について、手術前に歯科医師による周術期口腔機能管理の必要性を認め、歯科を標榜する保険医療機関に対して情報提供を行った場合

イ 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院に属する医師が、訪問診療を行った栄養障害を有する患者又は摂食機能障害を有する患者について、歯科訪問診療の必要性を認め、在宅歯科医療を行う、歯科を標榜する保険医療機関に対して情報提供を行った場合

(26) 「注15」に規定する歯科医療機関連携加算2については、(25)のアによる情報提供を行う際に、患者に十分な説明を行い、同意を得て、歯科を標榜する他の保険医療機関に当該患者が受診する日(手術前に必要な歯科診療を行うことができる日とし、当該受診日を診療録に記載すること。)について予約を行った場合に算定する。なお、「注14」に規定する歯科医療機関連携加算1と併せて算定することができる。

(27) 「注16」に規定する地域連携診療計画加算は、あらかじめ地域連携診療計画を共有する連携保険医療機関において、区分番号「A246」の注4に掲げる地域連携診療計画加算を算定して退院した入院中の患者以外の患者について、地域連携診療計画に基づく療養を提供するとともに、患者の同意を得た上で、退院時の患者の状態や在宅復帰後の患者の状況等について、退院の属する月又はその翌月までに当該連携保険医療機関に対して情報提供を行った場合に算定する。

(28) 「注17」に規定する療養情報提供加算は、在宅で療養を行う患者の診療を担う保険医療機関が、当該患者が入院又は入所する他の保険医療機関、介護老人保健施設又は介護医療院(以下この区分において「保険医療機関等」という。)に対し患者の紹介を行う際に、当該患者に訪問看護を行っている訪問看護ステーションから得た訪問看護に係る情報を診療情報提供書に添付し、当該患者の保険医療機関等への入院又は入所後速やかに情報提供を行った場合に算定する。なお、訪問看護ステーションからの情報を添付し保険医療機関等へ診療情報を提供した際は、その旨を当該訪問看護ステーションに共有すること。

(29) 「注18」に規定する検査・画像情報提供加算は、保険医療機関が、患者の紹介を行う際に、検査結果、画像情報、画像診断の所見、投薬内容、注射内容及び退院時要約等の診療記録のうち主要なもの(少なくとも検査結果及び画像情報を含むものに限る。画像診断の所見を含むことが望ましい。また、イについては、平成30年4月以降は、退院時要約を含むものに限る。)について、①医療機関間で電子的に医療情報を共有するネットワークを通じ他の保険医療機関に常時閲覧可能なよう提供した場合、又は②電子的に送受される診療情報提供書に添付した場合に加算する。なお、多数の検査結果及び画像情報等を提供する場合には、どの検査結果及び画像情報等が主要なものであるかを併せて情報提供することが望ましい。

B009―2 電子的診療情報評価料

(1) 電子的診療情報評価料は、別の保険医療機関から診療情報提供書の提供を受けた患者について、同時に電子的方法により提供された検査結果、画像情報、画像診断の所見、投薬内容、注射内容及び退院時要約等のうち主要なものを電子的方法により閲覧又は受信し、当該検査結果等診療に活用することによって、質の高い診療が効率的に行われることを評価するものである。

(2) 保険医療機関が、他の保険医療機関から診療情報提供書の提供を受けた患者について、検査結果、画像情報、画像診断の所見、投薬内容、注射内容及び退院時要約等のうち主要なもの(少なくとも検査結果及び画像情報を含む場合に限る。)を①医療機関間で電子的に医療情報を共有するネットワークを通じ閲覧、又は②電子的に送付された診療情報提供書と併せて受信し、当該検査結果や画像を評価して診療に活用した場合に算定する。その際、検査結果や画像の評価の要点を診療録に記載する。

(3) 電子的診療情報評価料は、提供された情報が当該保険医療機関の依頼に基づくものであった場合は、算定できない。

(4) 検査結果や画像情報の電子的な方法による閲覧等の回数にかかわらず、区分番号「B009」に掲げる診療情報提供料(Ⅰ)を算定する他の保険医療機関からの1回の診療情報提供に対し、1回に限り算定する。

B010 診療情報提供料(Ⅱ)

(1) 診療情報提供料(Ⅱ)は、診療を担う医師以外の医師による助言(セカンド・オピニオン)を得ることを推進するものとして、診療を担う医師がセカンド・オピニオンを求める患者又はその家族からの申し出に基づき、治療計画、検査結果、画像診断に係る画像情報等、他の医師が当該患者の診療方針について助言を行うために必要かつ適切な情報を添付した診療状況を示す文書を患者又はその家族に提供した場合に算定できるものである。なお、入院中の患者に対して当該情報を提供した場合であっても算定できるものである。

(2) 診療情報提供料(Ⅱ)は、患者又はその家族からの申し出に基づき、診療に関する情報を患者に交付し、当該患者又はその家族が診療を担う医師及び当該保険医療機関に所属する医師以外の医師による助言を求めるための支援を行うことを評価したものであり、医師が別の保険医療機関での診療の必要性を認め、患者の同意を得て行う区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)を算定すべき診療情報の提供とは明確に区別されるべきものであること。

(3) 診療情報提供料(Ⅱ)を算定すべき診療情報の提供に当たっては、患者又はその家族からの希望があった旨を診療録に記載する。

(4) 助言を受けた患者又はその家族の希望については、その後の治療計画に十分に反映させるものであること。

B010―2 診療情報連携共有料

(1) 診療情報連携共有料は、歯科診療を担う別の保険医療機関との間で情報共有することにより、質の高い診療が効率的に行われることを評価するものであり、歯科診療を担う別の保険医療機関からの求めに応じ、患者の同意を得て、当該患者に関する検査結果、投薬内容等の診療情報を提供した場合に、提供する保険医療機関ごとに3月に1回に限り算定する。

(2) 診療情報を提供するに当たっては、次の事項を記載した文書を作成し、患者又は提供する保険医療機関に交付する。また、交付した文書の写しを診療録に添付すること。

ア 患者の氏名、生年月日、連絡先

イ 診療情報の提供先保険医療機関名

ウ 提供する診療情報の内容(検査結果、投薬内容等)

エ 診療情報を提供する保険医療機関名及び担当医師名

(3) 診療情報連携共有料を算定するに当たっては、歯科診療を担う別の保険医療機関と連携を図り、必要に応じて問い合わせに対応できる体制(窓口の設置など)を確保していること。

(4) 同一の患者について、同一の保険医療機関に対して紹介を行い区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)を算定した月においては、診療情報連携共有料は別に算定できない。

B011 診療情報提供料(Ⅲ)

(1) 診療情報提供料(Ⅲ)は、かかりつけ医機能を有する医療機関等と他の保険医療機関が連携することで、質の高い診療が効率的に行われることを評価するものであり、かかりつけ医機能を有する医療機関等からの求めに応じ、患者の同意を得て、当該患者に関する診療状況を示す文書を提供した場合に、患者1人につき提供する保険医療機関ごとに3月に1回に限り算定する。

(2) 診療状況を示す文書については、次の事項を記載し、患者又は提供する保険医療機関に交付すること。また、交付した文書の写しを診療録に添付すること。

ア 患者の氏名、生年月日、連絡先

イ 診療情報の提供先保険医療機関名

ウ 診療の方針、患者への指導内容、検査結果、投薬内容その他の診療状況の内容

エ 診療情報を提供する保険医療機関名及び担当医師名

(3) 必要に応じて、紹介元の医療機関が「注1」に規定する別に厚生労働大臣が定める基準を満たす医療機関であるかを確認すること。

(4) 「注1」及び「注2」に規定する「次回受診する日の予約を行った場合」については、次回受診する日を診療録に記載すること。なお、予約診療を実施していない医療機関については、次回受診する日を決めた上で、次回受診する日を診療録に記載していればよい。

(5) 次回受診する日の予約を行った上で、初診時に診療情報提供料(Ⅲ)を算定した場合は、次回受診時に予約に基づく診察による特別の料金の徴収はできない。

(6) 「注3」については、診療に基づき、頻回の情報提供の必要性を認め、当該患者を紹介した他の保険医療機関に情報提供を行った場合に、月1回に限り算定する。

(7) 同一の患者について、同一の保険医療機関に対して紹介を行い区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)を算定した保険医療機関においては、区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)を算定した月について、当該患者に対して診療情報提供料(Ⅲ)は別に算定できない。

(8) 当該情報を提供する保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関に情報提供が行われた場合は算定できない。

B011―3 薬剤情報提供料

(1) 薬剤情報提供料は入院中の患者以外の患者に対して、処方した薬剤の名称(一般名又は商品名)、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を、当該処方に係る全ての薬剤について、文書(薬袋等に記載されている場合も含む。)により提供した場合に月1回に限り所定点数を算定する。

(2) 「注1」に規定する場合において、さらに、当該患者の求めに応じて薬剤服用歴が経時的に管理できる手帳に、処方した薬剤の名称(一般名又は商品名)、保険医療機関名及び処方年月日を記載した場合には、月1回に限り「注2」に規定する手帳記載加算を算定できる。なお、この場合の「手帳」とは、経時的に薬剤の記録が記入でき、かつ次のアからウまでに掲げる事項を記録する欄がある薬剤の記録用の手帳をいう。

ア 患者の氏名、生年月日、連絡先等患者に関する記録

イ 患者のアレルギー歴、副作用歴等薬物療法の基礎となる記録

ウ 患者の主な既往歴等疾病に関する記録

また、所有している手帳を持参しなかった患者に対して薬剤の名称が記載された簡潔な文書(シール等)を交付した場合は、手帳記載加算を算定できない。

(3) やむを得ない理由により、薬剤の名称に関する情報を提供できない場合は、これに代えて薬剤の形状(色、剤形等)に関する情報を提供することにより算定できる。また、効能、効果、副作用及び相互作用に関する情報については患者が理解しやすい表現であることが必要である。

(4) 同一薬剤であっても、投与目的(効能又は効果)が異なる場合には、当該情報を提供すれば薬剤情報提供料を算定できる。また、類似する効能又は効果を有する薬剤への変更の場合にあっても薬剤情報提供料を算定できる。

(5) 処方の内容に変更があった場合については、その都度薬剤情報提供料を算定できる。ただし、薬剤の処方日数のみの変更の場合は、薬剤情報提供料は算定できない。

(6) 複数の診療科を標榜する保険医療機関において、同一日に2以上の診療科で処方された場合であっても、1回のみの算定とする。

(7) 薬剤情報提供料を算定した場合は、薬剤情報を提供した旨を診療録等に記載する。

B011―4 医療機器安全管理料

(1) 医療機器安全管理料を算定する保険医療機関においては、医療機器の安全使用のための職員研修を計画的に実施するとともに、医療機器の保守点検に関する計画の策定、保守点検の適切な実施及び医療機器の安全使用のための情報収集等が適切に行われていること。

(2) 医療機器安全管理料1は、医師の指示の下に、生命維持管理装置の安全管理、保守点検及び安全使用を行う臨床工学技士を配置した保険医療機関を評価したものであり、当該保険医療機関において、生命維持管理装置を用いて治療を行った場合に1月に1回に限り算定する。

(3) 生命維持管理装置とは、人工心肺装置及び補助循環装置、人工呼吸器、血液浄化装置(人工腎臓を除く。)、除細動装置及び閉鎖式保育器をいう。

(4) 医療機器安全管理料2は、医師の指示の下に、放射線治療機器の安全管理、保守点検及び安全使用のための精度管理を行う体制を評価したものであり、当該保険医療機関において、照射計画に基づく放射線治療が行われた場合、一連の照射につき当該照射の初日に1回に限り算定する。

(5) 放射線治療機器とは、高エネルギー放射線治療装置(直線加速器)及びガンマナイフ装置をいう。

B012 傷病手当金意見書交付料

(1) 傷病手当金意見書交付料は、医師・歯科医師が労務不能と認め証明した期間ごとにそれぞれ算定できる。

(2) 傷病手当金意見書交付料は、意見書の交付時点において当該被保険者に対し療養の給付を行うべき者に対し請求する。

(3) 傷病手当金を受給できる被保険者が死亡した後に、その遺族等が当該傷病手当金を受給するために意見書の交付を求め、医師・歯科医師が意見書を交付した場合は、当該遺族等に対する療養の給付として請求する。

なお、この場合において、診療報酬明細書の摘要欄に画像3 (21KB)別ウィンドウが開きます
と表示し、また、傷病名欄には、遺族等が他に療養の給付を受けていない場合は意見書の対象となった傷病名を、他に療養の給付を受けている場合は遺族自身の傷病名と意見書の対象となった傷病名の両方を記載する。

(4) 医師・歯科医師が傷病手当金意見書を被保険者に交付した後に、被保険者が当該意見書を紛失し、再度医師・歯科医師が意見書を交付した場合は、最初の傷病手当金意見書交付料のみを算定する。この場合、2度目の意見書の交付に要する費用は、被保険者の負担とする。

(5) 感染症法第37条の2による医療を受けるべき患者に対して、公費負担申請のために必要な診断書の記載を行った場合は、傷病手当金意見書交付料の所定点数の100分の100を、更に被保険者である患者について、この申請手続に協力して保険医療機関が代行した場合は、同じく傷病手当金意見書交付料の所定点数の100分の100を算定できる。なお、感染症法第37条による結核患者の入院に係る感染症法関係の診断書についても所定点数の100分の100を算定できる。

(6) 健康保険法若しくは国民健康保険法に基づく出産育児一時金若しくは出産手当金に係る証明書又は意見書については算定しない。

B013 療養費同意書交付料

(1) 療養費同意書交付料は、原則として当該疾病に係る主治の医師が、診察に基づき、療養の給付を行うことが困難であると認めた患者に対し、あん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅうの施術に係る同意書又は診断書(以下「同意書等」という。)を交付した場合に算定する。

(2) あん摩・マッサージ・指圧の施術に係る療養費の支給対象となる適応症は、一律にその診断名によることなく筋麻痺・関節拘縮等であって、医療上マッサージを必要とする症例について支給対象とされている。

(3) はり、きゅうの施術に係る療養費の支給対象となる疾病は、慢性病であって医師による適当な治療手段がないものとされており、主として神経痛・リウマチなどであって、類症疾患についてはこれらの疾病と同一範疇と認められる疾病(頸腕症候群・五十肩・腰痛症及び頸椎捻挫後遺症等の慢性的な疼痛を症状とする疾患)に限り支給対象とされているものである。具体的には、神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症について、保険医より同意書の交付を受けて施術を受けた場合は、保険者は医師による適当な治療手段のないものとし療養費の支給対象として差し支えないものとされている。また、神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症及び頸椎捻挫後遺症以外の疾病による同意書又は慢性的な疼痛を主症とする6疾病以外の類症疾患について診断書が提出された場合は、記載内容等から医師による適当な治療手段のないものであるか支給要件を保険者が個別に判断し、支給の適否が決定されるものである。なお、これらの疾病については、慢性期に至らないものであっても差し支えないものとされている。

(4) あん摩・マッサージ・指圧及びはり、きゅうについて、保険医療機関に入院中の患者の施術は、当該保険医療機関に往療した場合、患者が施術所に出向いてきた場合のいずれであっても療養費は支給されず、はり、きゅうについて、同一疾病に係る療養の給付(診察、検査及び療養費同意書交付を除く。)との併用は認められていない。

(5) 初療の日から3月(変形徒手矯正術に係るものについては1月)を経過してさらにこれらの施術を受ける必要がある場合において、同意書等を再度交付する場合にも別に算定できる。ただし、同意書等によらず、医師の同意によった場合には算定できない。

(6) 医師が同意書等を交付した後に、被保険者等が当該同意書等を紛失し、再度医師が同意書等を交付した場合は、最初に同意書等を交付した際にのみ算定できる。この場合において、2度目の同意書等の交付に要する費用は、被保険者の負担とする。

B014 退院時薬剤情報管理指導料

(1) 退院時薬剤情報管理指導料は、医薬品の副作用や相互作用、重複投薬を防止するため、患者の入院時に、必要に応じ保険薬局に照会するなどして薬剤服用歴や患者が持参した医薬品等(医薬部外品及びいわゆる健康食品等を含む。)を確認するとともに、入院中に使用した主な薬剤の名称等について、患者の薬剤服用歴が経時的に管理できる手帳(区分番号「B011―3」薬剤情報提供料の(2)に掲げる手帳をいう。以下同じ。)に記載した上で、患者の退院に際して当該患者又はその家族等に対して、退院後の薬剤の服用等に関する必要な指導を行った場合に、退院の日に1回に限り算定する。なお、ここでいう退院とは、第1章第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院における退院のことをいい、入院期間が通算される再入院に係る退院日には算定できない。

(2) 入院時に、医薬品の服用状況及び薬剤服用歴を手帳等により確認するとともに、患者が、医薬品等を持参している場合には、当該医薬品等について実際に確認し、その名称等及び確認した結果の要点を診療録等に記載する。

(3) 入院中に使用した薬剤のうち、どの薬剤について手帳に記載するかは、患者の病態や使用する薬剤の種類によるが、少なくとも、退院直前(概ね退院前1週間以内)に使用した薬剤及び入院中に副作用が発現した薬剤については記載する。副作用が発現した薬剤については、投与量、当該副作用の概要、投与継続の有無を含む講じた措置、転帰等について記載する。

(4) 患者の退院に際して、当該患者又はその家族等に、退院後の薬剤の服用等に関する必要な指導(保険医療機関を受診する際や保険薬局に処方箋を提出する際に、手帳を提示する旨の指導を含む。)を行うとともに、退院後の療養を担う保険医療機関での投薬又は保険薬局での調剤に必要な服薬の状況及び投薬上の工夫に関する情報について、手帳に記載すること。なお、指導の要点についても、分かりやすく手帳に記載し、必要に応じて退院時の処方に係る薬剤の情報を文書で提供すること。なお、退院後、在宅療養を必要とする患者であって、手帳にかかりつけ薬剤師の氏名が記載されている場合は、退院後の薬学的管理及び指導に関しかかりつけ薬剤師への相談を促すよう努めること。

また、入院時に当該患者が持参した医薬品の服用状況等について保険薬局から提供を受けた場合には、患者の退院に際して、患者の同意を得たうえで、当該保険薬局に対して当該患者の入院中の使用薬剤や服薬の状況等について情報提供すること。

(5) 手帳を所有している患者については、原則として、退院時までに家族等に持参してもらうこととするが、持参できない場合には、必要な情報が記載された簡潔な文書(シール等)を交付し、所有している手帳に添付するよう、患者に対して指導を行った場合又は新たに手帳を発行した場合でも算定できる。

(6) 退院時薬剤情報管理指導料を算定した場合は、薬剤情報を提供した旨及び提供した情報並びに指導した内容の要点を診療録等に記載する。なお、区分番号「B008」薬剤管理指導料を算定している患者の場合にあっては、薬剤管理指導記録に記載することで差し支えない。

(7) 「注2」に規定する退院時薬剤情報連携加算は、地域における継続的な薬学的管理指導を支援するため、保険医療機関から保険薬局に対して、患者の入院前の処方薬の変更又は中止に関する情報や変更又は中止後の患者の状態等に関する情報を提供することを評価するものである。

(8) 「注2」に規定する退院時薬剤情報連携加算は、退院時薬剤情報管理指導料の算定対象となる患者であって、入院前の処方の内容に変更又は中止の見直しがあったものに対して、患者又はその家族等の同意を得て、退院時に見直しの理由や見直し後の患者の状態等を、患者又はその家族等の選択する保険薬局に対して、文書で情報提供を行った場合に、退院の日に1回に限り算定する。なお、患者1人につき複数の保険薬局に対し情報提供を行った場合においても、1回のみの算定とする。

(9) 保険薬局への情報提供に当たっては、「薬剤管理サマリー」(日本病院薬剤師会)等の様式を参照して情報提供文書を作成し、当該文書を患者若しくはその家族等又は保険薬局に交付する。この場合において交付した文書の写しを診療録等に添付する。

(10) 死亡退院の場合は算定できない。

B015 精神科退院時共同指導料

(1) 精神科退院時共同指導料1については、他の保険医療機関の精神病棟に入院中の患者であって、(2)又は(3)に定める患者に対して、当該患者の外来又は在宅療養を担う保険医療機関の多職種チームが、入院中の保険医療機関の多職種チームとともに、当該患者の同意を得て、退院後の療養上必要な説明及び指導を共同で行った上で、支援計画を作成し、文書により情報提供した場合に外来又は在宅療養を担う精神科又は心療内科を標榜する保険医療機関において、入院中に1回に限り算定すること。

(2) 「1」の「イ」については、精神病棟に入院中の患者であって、精神保健福祉法第29条又は第29条の2に規定する入院措置に係る患者、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成15年法律第110号)第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号に規定する同法による入院又は同法第42条第1項第2号に規定する同法による通院をしたことがある患者又は当該入院の期間が1年以上の患者(この区分において「措置入院患者等」という。)に対して、当該保険医療機関の多職種チームが、当該患者が入院中の保険医療機関の多職種チームとともに、共同指導を行った場合に算定すること。なお、共同指導を行う当該保険医療機関の多職種チームには、以下のアからウまでの職種がそれぞれ1名以上参加していること。また、必要に応じてエからコまでの職種が参加していること。ただし、アからカまでについては、当該保険医療機関の者に限る。

ア 精神科の担当医

イ 保健師又は看護師(この区分において「看護師等」という。)

ウ 精神保健福祉士

エ 薬剤師

オ 作業療法士

カ 公認心理師

キ 在宅療養担当医療機関の保険医の指示を受けた訪問看護ステーションの看護師等

ク 在宅療養担当医療機関の保険医の指示を受けた訪問看護ステーションの作業療法士

ケ 市町村若しくは都道府県、保健所を設置する市又は特別区等(この区分において「市町村等」という。)の担当者

コ その他の関係職種

(3) 「1」の「ロ」については、「1」の「イ」以外の患者であって、平成28~30年度厚生労働行政調査推進補助金障害者対策総合研究事業において「多職種連携による包括的支援マネジメントに関する研究」の研究班が作成した、別紙51に掲げる「包括的支援マネジメント 実践ガイド」における「包括的支援マネジメント 導入基準」を1つ以上満たした療養生活環境の整備のため重点的な支援を要する患者(この区分において「重点的な支援を要する患者」という。)に対して、当該保険医療機関の多職種チームが、当該患者が入院中の保険医療機関の多職種チームとともに、共同指導を行った場合に算定すること。なお、共同指導を行う当該保険医療機関の多職種チームには、(2)のア又はイ及びウの職種がそれぞれ1名以上参加していること。また、必要に応じてエからコまでの職種が参加していること。ただし、アからカまでについては、当該保険医療機関の者に限る。

(4) 精神科退院時共同指導料2については、精神病棟に入院中の患者であって、措置入院患者等又は重点的な支援を要する患者に対して、入院中の保険医療機関の多職種チームが、当該患者の外来又は在宅療養を担う他の保険医療機関の多職種チームとともに、当該患者の同意を得て、退院後の療養上必要な説明及び指導を共同で行った上で、支援計画を作成し、文書により情報提供した場合に入院医療を担う保険医療機関において、入院中に1回に限り算定すること。

(5) 「2」については、(4)に規定する患者に対して、当該保険医療機関の精神科の医師、看護師等及び精神保健福祉士並びに必要に応じて薬剤師、作業療法士、公認心理師、在宅療養担当医療機関の保険医の指示を受けた訪問看護ステーションの看護師等若しくは作業療法士又は市町村等の担当者等が共同指導を行った場合に算定すること。

(6) 重点的な支援を要する患者に対して共同指導を実施する場合、「包括的支援マネジメント 導入基準」のうち該当するものを診療録等に添付又は記載すること。

(7) 共同指導の実施及び支援計画の作成に当たっては、平成28~30年度厚生労働行政調査推進補助金障害者対策総合研究事業において「多職種連携による包括的支援マネジメントに関する研究」の研究班が作成した、「包括的支援マネジメント 実践ガイド」を参考にすること。なお、患者又はその家族等に対して提供する文書については、別紙様式51の2「療養生活環境の整備に関する支援計画書」を用いること。また、当該文書の写しを診療録等に添付すること。

(8) 共同指導は、対面で行うことを原則とすること。ただし、外来又は在宅療養を担当する保険医療機関の多職種チームのいずれかが、入院中の保険医療機関に赴くことができない場合には、ビデオ通話が可能な機器を用いて参加することができる。なお、ビデオ通話が可能な機器を用いる場合、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

(9) 精神科退院時共同指導料は、退院後在宅での療養を行う患者が算定の対象となり、他の保険医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設に入院若しくは入所する患者又は死亡退院した患者については、対象とはならない。

(10) 精神科退院時共同指導料を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、当該指導料の対象となる患者の状態について記載すること。

第2部 在宅医療

<通則>

1 在宅医療の費用は、第1節在宅患者診療・指導料、第2節在宅療養指導管理料第1款在宅療養指導管理料、第2節在宅療養指導管理料第2款在宅療養指導管理材料加算、第3節薬剤料及び第4節特定保険医療材料料に掲げる所定点数を合算した点数により算定する。

2 在宅医療において、患者の診療を担う保険医の指示に基づき、当該保険医の診療日以外の日に訪問看護ステーション等の看護師等が、当該患者に対し点滴又は処置等を実施した場合は、使用した薬剤の費用については第3節薬剤料により、特定保険医療材料の費用については第4節特定保険医療材料料により、当該保険医療機関において算定する。

第1節 在宅患者診療・指導料

1 保険医療機関は、同一の患者について、区分番号「C000」往診料、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)、区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)、区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料、区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料、区分番号「C006」在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料、区分番号「C008」在宅患者訪問薬剤管理指導料、区分番号「C009」在宅患者訪問栄養食事指導料又は区分番号「I012」精神科訪問看護・指導料(以下この部において「訪問診療料等」という。)のうち、いずれか1つを算定した日においては、他のものを算定できない。

ただし、在宅患者訪問診療等を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではない。

2 一の保険医療機関が訪問診療料等のいずれか1つを算定した日については、当該保険医療機関と特別の関係にある他の保険医療機関は訪問診療料等を算定できない。

ただし、訪問診療等を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではない。

3 保険医療機関と特別の関係にある訪問看護ステーションが、当該保険医療機関の医師から訪問看護指示書の交付を受けた患者について、訪問看護療養費を算定した日においては、当該保険医療機関は訪問診療料等を算定できない。

ただし、当該訪問看護を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではない。また、区分番号「I016」精神科在宅患者支援管理料の「1」を算定する保険医療機関と連携する訪問看護ステーションのそれぞれが、同一日に訪問看護を実施した場合における精神科訪問看護・指導料(作業療法士又は精神保健福祉士による場合に限る。)及び精神科訪問看護基本療養費の算定については、この限りでない。

4 在宅療養支援診療所とは、地域における患者の在宅療養の提供に主たる責任を有するものであり、患者からの連絡を一元的に当該診療所で受けるとともに、患者の診療情報を集約する等の機能を果たす必要があること。このため、緊急時の連絡体制及び24時間往診できる体制等を確保しなければならない。なお、当該診療所が他の保険医療機関(特別の関係にあるものを含む。)又は訪問看護ステーション(特別の関係にあるものを含む。)(以下この部において「連携保険医療機関等」という。)と連携する場合には、連携保険医療機関等の保険医又は看護師等との診療情報の共有に際し、当該患者の診療情報の提供を行った場合、これに係る費用は各所定点数に含まれ別に算定できない。

5 連携保険医療機関等の保険医又は看護師等であって、在宅療養支援診療所の保険医の指示により、緊急の往診又は訪問看護を行うものは、患者の診療情報について、あらかじめ在宅療養支援診療所の保険医から提供を受け、緊急時に十分活用できる体制にて保管する必要があること。また、当該緊急の往診又は訪問看護の後には、診療内容等の要点を診療録等に記載するとともに、在宅療養支援診療所の保険医が患者の診療情報を集約して管理できるよう、速やかに在宅療養支援診療所の保険医に対し、診療情報の提供を行うこと。なお、在宅療養支援診療所の保険医に対し、連携保険医療機関等から当該患者の診療情報の提供を行った場合の費用は、各所定点数に含まれ別に算定できない。

6 当該患者の病状急変時等に、連携保険医療機関等の保険医又は看護師等が往診又は訪問看護を行った場合には、区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料、区分番号「C000」往診料又は区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料は往診等を行った保険医又は看護師等の属する保険医療機関において算定する。

7 連携保険医療機関等が、在宅療養支援診療所の保険医の指示により往診又は訪問看護を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に連携する在宅療養支援診療所の名称及び画像4 (20KB)別ウィンドウが開きます
と記載すること。

C000 往診料

(1) 往診料は、患者又は家族等患者の看護等に当たる者が、保険医療機関に対し電話等で直接往診を求め、当該保険医療機関の医師が往診の必要性を認めた場合に、可及的速やかに患家に赴き診療を行った場合に算定できるものであり、定期的ないし計画的に患家又は他の保険医療機関に赴いて診療を行った場合には算定できない。

(2) 緊急往診加算は、保険医療機関において、標榜時間内であって、入院中の患者以外の患者に対して診療に従事している時に、患者又は現にその看護に当たっている者から緊急に求められて往診を行った場合に算定する。

(3) 「注1」に規定する「別に厚生労働大臣が定める時間」とは、保険医療機関において専ら診療に従事している時間であって、概ね午前8時から午後1時までの間とする。

(4) 「注1」における緊急に行う往診とは、患者又は現にその看護に当たっている者からの訴えにより、速やかに往診しなければならないと判断した場合をいい、具体的には、往診の結果、急性心筋梗塞、脳血管障害、急性腹症等が予想される場合をいう。また、医学的に終末期であると考えられる患者(当該保険医療機関又は当該保険医療機関と連携する保険医療機関が訪問診療を提供している患者に限る。)に対して往診した場合にも緊急往診加算を算定できる。

(5) 「注1」における所定点数とは、往診料に「注2」及び「注4」における加算点数を合算した点数をいう。

(6) 夜間(深夜を除く。)とは午後6時から午前8時までとし、深夜の取扱いについては、午後10時から午前6時までとする。ただし、これらの時間帯が標榜時間に含まれる場合、夜間・休日往診加算及び深夜往診加算は算定できない。

(7) 休日とは、日曜日及び国民の祝日に関する法律第3条に規定する休日をいう。なお、1月2日及び3日並びに12月29日、30日及び31日は、休日として取り扱う。

(8) 「注1のイ」に規定する「在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であって別に厚生労働大臣が定めるもの」とは、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の第9在宅療養支援診療所の施設基準の1の(1)及び(2)に規定する在宅療養支援診療所、第14の2在宅療養支援病院の施設基準の1の(1)及び(2)に規定する在宅療養支援病院である。

「注1のイの(1)」に規定する「病床を有する場合」、「注1のイの(2)」に規定する「病床を有しない場合」とは、同通知の第9在宅療養支援診療所の施設基準の2、第14の2在宅療養支援病院の施設基準の2の規定による。

(9) 「注2」における診療時間とは、実際に診療に当たっている時間をいう。交通機関の都合その他診療の必要以外の事由によって患家に滞在又は宿泊した場合においては、その患家滞在の時間については、診療時間に算入しない。

(10) 同一の患家又は有料老人ホーム等であって、その形態から当該ホーム全体を同一の患家とみなすことが適当であるものにおいて、2人以上の患者を診療した場合は、2人目以降の患者については往診料を算定せず、区分番号「A000」初診料又は区分番号「A001」再診料若しくは区分番号「A002」外来診療料及び第2章特掲診療料のみを算定する。この場合において、2人目以降のそれぞれの患者の診療に要した時間が1時間を超えた場合は、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載し、往診料の「注2」に規定する加算を算定する。

(11) 往診又は訪問診療を行った後に、患者又はその家族等が単に薬剤を取りに医療機関に来た場合は、再診料又は外来診療料は算定できない。

(12) 「注3」に規定する加算は、患者が在宅で死亡した場合であって、死亡日に往診を行い、死亡診断を行った場合に算定する。

(13) 保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える往診については、当該保険医療機関からの往診を必要とする絶対的な理由がある場合に認められるものであって、この場合の往診料の算定については、16キロメートル以内の場合と同様、本区分及び「注1」、「注2」、「注3」、「注6」により算定する。この絶対的に必要であるという根拠がなく、特に患家の希望により16キロメートルを超える往診をした場合の往診料は保険診療としては算定が認められないことから、患者負担とする。この場合において、「保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、当該保険医療機関を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に患家が所在する場合をいう。

(14) (13)にかかわらず、往診距離が片道16キロメートルを超えて又は海路によりアの適用地域に往診した場合であって、イの各号の一に該当する特殊の事情があったときの往診料は、ウの算定方法によって算定する。

ア 適用地域

次の各号の一に該当する地域であって、イに掲げる特殊の事情のいずれかが一般的に存するものについて、地方厚生(支)局長が厚生労働大臣の承認を得て指定した地域とする。

なお、指定地域が指定要件を欠くに至ったときは、当局に内議のうえ、速やかに地域の指定を取り消すものとする。

i 医療機関のない島の地域又は通例路程の大部分を海路による以外に往診することが困難な事情にある地域であって医療機関のないもの。(以下「1号地域」という。地域の単位は、原則として、島、部落又は小字とする。)

ii 1号地域以外の地域であって、最寄りの医療機関からの往診距離が片道16キロメートルを超えるもの。(以下「2号地域」という。地域の単位は、原則として、部落又は小字とする。)

イ 特殊の事情

i 定期に航行する船舶がないか、又は定期に航行する船舶があっても航行回数がきわめて少ないか、若しくは航行に長時間を要すること。

ii 海上の状態や気象条件がきわめて悪いため、又は航路に暗礁が散在するため、若しくは流氷等のため航行に危険が伴うこと。

iii 冬期積雪の期間通常の車両の運行が不能のため往診に相当長時間を要する事情にあること、又は道路事情がきわめて悪く、相当の路程を徒歩によらなければならないため、往診に相当長時間を要する事情にあること。

ウ 算定方法

往診料の項に定める算定方法に準じて算定した点数(720点に「注1」、「注2」、「注3」又は「注6」による点数を加算した点数)に、次の点数(1号地域については次のiの(イ)及び(ロ)により算出した点数、2号地域については、次のiiにより算出した点数)を加算する。

i 1号地域に対する往診の場合

(イ) 波浪時(波浪注意報の出ていたとき又は波浪により通常の航海時間の概ね1.5倍以上を要したときとする。)であった海路につき海路距離が片道1キロメートル又はその端数を増すごとに所定点数に「注2」に規定する点数の100分の150を加算した点数。(往復の場合は100分の200、片道の場合は100分の100とする。)

(ロ) 適用地域における往診に必要とした滞在時間(島に上陸したときから離島するまでの時間)については30分又はその端数を増すごとに100点を加算する方法で算出した点数の100分の200に相当する点数。

ii 2号地域に対する往診の場合

往診のため保険医が当該保険医療機関を出発してから帰院するまでの往診時間について、30分又はその端数を増すごとに100点を加算する方法で算出した点数の100分の300に相当する点数。

(15) 保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートル以上の地域に居住する保険医に対して在宅での療養を行う患者の診療を担う保険医が往診による対診を求めることができるのは、患家の所在地から半径16キロメートル以内に患家の求める診療に専門的に対応できる保険医療機関が存在しない場合や、患家の求める診療に専門的に対応できる保険医療機関が存在していても当該保険医療機関が往診等を行っていない場合などのやむを得ない絶対的理由のある場合に限られるものである。

(16) 「注5」に規定する交通費は実費とする。

(17) 交通費には自家用車による費用を含む。

(18) 自転車、スクーター等の費用は往診料に含まれているので前項は適用されず、したがって「注5」に規定する患家の負担となる交通費には該当しない。

(19) 往診を求められて患家へ赴いたが、既に他医に受診していたため、診察を行わないで帰った場合の往診料は、療養の給付の対象としない扱いとする。したがって患者負担とする。

(20) 特定の被保険者の求めに応ずるのではなく、保険診療を行う目的をもって定期又は不定期に事業所へ赴き、被保険者(患者)を診療する場合は、往診料として取り扱うことは認められない。

(21) 数事業所の衛生管理医をしている保険医が、衛生管理医として毎日又は定期的に事業所に赴いた(巡回)際、当該事業所において常態として診療を行う場合は、(20)と同様である。

(22) 同一保険医が2か所の保険医療機関を開設している場合の往診料は、往診の依頼を受けた医療機関を起点とするのではなく、当該保険医が患家に赴くために出発した保険医療機関から患家までの距離により算定する。

(23) 定期的又は計画的に行われる対診の場合は往診料を算定できない。

C001 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)

(1) 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院による療養が困難な者に対して、患者の入居する有料老人ホーム等に併設される保険医療機関以外の保険医療機関が定期的に訪問して診療を行った場合の評価であり、継続的な診療の必要のない者や通院が可能な者に対して安易に算定してはならない。例えば、少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院ができる者などは、通院は容易であると考えられるため、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)は算定できない。なお、訪問診療を行っておらず外来受診が可能な患者には、外来において区分番号「A001」再診料の「注12」地域包括診療加算又は区分番号「B001―2―9」地域包括診療料が算定可能である。

(2) 在宅での療養を行っている患者とは、保険医療機関、介護老人保健施設又は介護医療院で療養を行っている患者以外の患者をいうこと。

ただし、「要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合」(平成20年厚生労働省告示第128号)、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」(平成18年3月31日保医発第0331002号)等(以下「給付調整告示等」という。)に規定する場合を除き、医師の配置が義務づけられている施設に入所している患者については算定の対象としない。

(3) 「在宅患者訪問診療料(Ⅰ)」の「同一建物居住者の場合」は、同一建物居住者に対して保険医療機関の保険医が同一日に訪問診療を行う場合に、患者1人につき所定点数を算定する。同一建物居住者とは、基本的には、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に掲げる建築物に居住する複数の者(往診を実施した患者、末期の悪性腫瘍と診断した後に訪問診療を行い始めた日から60日以内の患者、又は死亡日からさかのぼって30日以内の患者を除く。)のことをいう。

(4) 保険医療機関の保険医が、同一建物に居住する当該患者1人のみに対し訪問診療を行う場合は、「同一建物居住者以外の場合」の所定点数を算定する。

(5) 同居する同一世帯の複数の患者に対して診察をした場合など、同一の患家において2人以上の患者を診療した場合には、(3)の規定にかかわらず、1人目は、「同一建物居住者以外の場合」を算定し、2人目以降の患者については、区分番号「A000」初診料又は区分番号「A001」再診料若しくは区分番号「A002」外来診療料及び第2章特掲診療料のみを算定する。この場合において、2人目の患者の診療に要した時間が1時間を超えた場合は、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載し、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注5」に規定する加算を算定する。

(6) 「1」は、1人の患者に対して1つの保険医療機関の保険医の指導管理の下に継続的に行われる訪問診療について、1日につき1回に限り算定するが、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日には算定できない。

ただし、区分番号「C108―2」在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料を算定する場合に限り、1人の患者に対して2つの保険医療機関の保険医が、1日につきそれぞれ1回に限り算定できる。なお、この場合においても、区分番号「A000」初診料を算定した初診の日には算定できない。

(7) 「2」は、当該患者の同意を得て、計画的な医学管理のもと、主治医として定期的に訪問診療を行っている保険医が属する他の保険医療機関の求めを受けて、当該他の保険医療機関が診療を求めた傷病に対し訪問診療を行った場合に、求めがあった日を含む月から6月を限度として算定できる。ただし、当該他の保険医療機関の求めに応じ、既に訪問診療を行った患者と同一の患者について、当該他の保険医療機関との間で情報共有し、主治医である保険医がその診療状況を把握した上で、医学的に必要と判断し、以下に該当する診療の求めが新たにあった場合には、6月を超えて算定できる。また、この場合において、診療報酬明細書の摘要欄に、継続的な訪問診療の必要性について記載すること。

ア その診療科の医師でなければ困難な診療

イ 既に診療した傷病やその関連疾患とは明らかに異なる傷病に対する診療

(8) (7)の前段の規定にかかわらず、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、6月を超えて算定することも差し支えない。この場合において、診療を求めた当該他の保険医療機関に対し、概ね6月ごとに診療の状況を情報提供するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者のいずれに該当するかを記載すること。

【厚生労働大臣が定める疾病等の患者】

末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上かつ生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群若しくは頸髄損傷の患者又は人工呼吸器を使用している状態の患者

(9) 「1」の算定については週3回を限度とするが、(8)に規定する厚生労働大臣が定める疾病等の患者についてはこの限りでない。

(10) 「1」について、診療に基づき患者の病状の急性増悪、終末期等により一時的に週4回以上の頻回な訪問診療の必要を認め、当該患者の病状に基づいた訪問診療の計画を定め、当該計画に基づいて患家を定期的に訪問し、診療を行った場合には、

ア 当該訪問診療が必要な旨

イ 当該訪問診療の必要を認めた日

ウ 当該訪問診療を行った日

を診療報酬明細書に付記することにより、1月に1回に限り、当該診療を行った日から14日以内について14日を限度として算定することができる。

(11) 定期的・計画的な訪問診療を行っている期間における緊急の場合の往診の費用の算定については、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)は算定せず、往診料及び再診料又は外来診療料を算定する。ただし、当該緊急往診を必要とした症状が治まったことを在宅での療養を行っている患者の療養を担う保険医が判断した以降の定期的訪問診療については、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の算定対象とする。

(12) 訪問診療を実施する場合には、以下の要件を満たすこと。

① 当該患者又はその家族等の署名付の訪問診療に係る同意書を作成した上で診療録に添付すること。

② 訪問診療の計画及び診療内容の要点を診療録に記載すること。「2」を算定する場合には、主として診療を行う医師である保険医が所属する他の保険医療機関が診療を求めた傷病も記載すること。

③ 訪問診療を行った日における当該医師の当該在宅患者に対する診療時間(開始時刻及び終了時刻)及び診療場所について、診療録に記載すること。

(13) 「注4」に規定する乳幼児加算は、6歳未満の乳幼児に対して訪問診療を実施した場合に、1日につき1回に限り算定できるものとする。

(14) 「注6」に規定する在宅ターミナルケア加算は、死亡日及び死亡日前14日以内の計15日間に2回以上往診又は訪問診療を行った患者が、在宅で死亡した場合(往診又は訪問診療を行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む。)に算定する。この場合、診療内容の要点等を診療録に記載すること。また、ターミナルケアの実施については、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、患者本人及びその家族等と話し合いを行い、患者本人の意思決定を基本に、他の関係者との連携の上対応すること。

(15) 「注6のイの(1)」に規定する「在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であって別に厚生労働大臣が定めるもの」とは、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の第9在宅療養支援診療所の施設基準の1の(1)及び(2)に規定する在宅療養支援診療所、第14の2在宅療養支援病院の施設基準の1の(1)及び(2)に規定する在宅療養支援病院である。

「注6のイの(1)の①」に規定する「病床を有する場合」、「注6のイの(1)の②」に規定する「病床を有しない場合」とは、同通知の第9在宅療養支援診療所の施設基準の2の(1)及び(2)、第14の2在宅療養支援病院の施設基準の2の(1)の規定による。「注6のロ」についても、この例によること。

(16) 「注6のイ」及び「注6のロ」に規定する有料老人ホーム等に入居する患者とは、以下のいずれかに該当する患者をいう。

ア 区分番号「C002―2」施設入居時等医学総合管理料の(3)において施設入居時等医学総合管理料の算定患者とされている患者

イ 障害者総合支援法に規定する障害福祉サービスを行う施設及び事業所又は福祉ホームに入居する患者

ウ 介護保険法第8条第19項に規定する小規模多機能型居宅介護又は同法第8条第23項に規定する複合型サービスにおける宿泊サービスを利用中の患者

(17) 「注6」に規定する酸素療法加算は、悪性腫瘍と診断されている患者に対し、死亡した月において、在宅酸素療法を行った場合に算定する。在宅酸素療法を指示した医師は、在宅酸素療法のための酸素投与方法(使用機器、ガス流量、吸入時間等)、緊急時連絡方法等を装置に掲示すると同時に、夜間も含めた緊急時の対処法について、患者に説明を行うこと。酸素療法加算を算定した月については、区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料、区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料、区分番号「C157」酸素ボンベ加算、区分番号「C158」酸素濃縮装置加算、区分番号「C159」液化酸素装置加算、区分番号「C164」人工呼吸器加算、区分番号「J018」喀痰吸引、区分番号「J018―3」干渉低周波去痰器による喀痰排出、区分番号「J024」酸素吸入、区分番号「J024―2」突発性難聴に対する酸素療法、区分番号「J025」酸素テント、区分番号「J026」間歇的陽圧吸入法、区分番号「J026―2」鼻マスク式補助換気法、区分番号「J026―3」体外式陰圧人工呼吸器治療及び区分番号「J045」人工呼吸は算定できない。

(18) 「注7」に規定する看取り加算は、事前に当該患者又はその家族等に対して、療養上の不安等を解消するために充分な説明と同意を行った上で、死亡日に往診又は訪問診療を行い、当該患者を患家で看取った場合に算定する。この場合、診療内容の要点等を当該患者の診療録に記載すること。

(19) 「注8」に規定する加算は、在宅での療養を行っている患者が在宅で死亡した場合であって、死亡日に往診又は訪問診療を行い、死亡診断を行った場合に算定する。ただし、「注7」に規定する加算には、死亡診断に係る費用が含まれており、「注8」に規定する加算は別に算定できない。以下の要件を満たしている場合であって、「情報通信機器(ICT)を用いた死亡診断等ガイドライン(平成29年9月厚生労働省)」に基づき、ICTを利用した看護師との連携による死亡診断を行う場合には、往診又は訪問診療の際に死亡診断を行っていない場合でも、死亡診断加算のみを算定可能である。この場合、診療報酬明細書の摘要欄に、ICTを利用した看護師との連携による死亡診断を行った旨記載すること。

ア 当該患者に対して定期的・計画的な訪問診療を行っていたこと。

イ 正当な理由のために、医師が直接対面での死亡診断等を行うまでに12時間以上を要することが見込まれる状況であること。

ウ 特掲診療料の施設基準等の第四の四の三の三に規定する地域に居住している患者であって、連携する他の保険医療機関において区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料の在宅ターミナルケア加算若しくは「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料の同一建物居住者ターミナルケア加算又は連携する訪問看護ステーションにおいて訪問看護ターミナルケア療養費を算定していること。

(20) 患家における診療時間が1時間を超える場合の加算の算定方法、保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合又は海路による訪問診療を行った場合であって特殊な事情があった場合の在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の算定方法及び訪問診療に要した交通費の取扱いは、往診料における取扱いの例による。

(21) 往診の日又はその翌日に行う訪問診療の費用については、算定できない。ただし、在宅療養支援診療所若しくは在宅療養支援診療所と連携する保険医療機関(特別の関係にある保険医療機関を含む。)又は在宅療養支援病院の保険医が、往診及び訪問看護により24時間対応できる体制を確保し、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供している患者に対して、往診を行った場合はこの限りではない。

(22) 「注11」に規定する交通費は実費とする。

C001―2 在宅患者訪問診療料(Ⅱ)

(1) 在宅患者訪問診療料(Ⅱ)は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院による療養が困難な者に対して、患者の入居する有料老人ホーム等に併設される保険医療機関が定期的に訪問して診療を行った場合の評価であり、継続的な診療の必要のない者や通院が可能な者に対して安易に算定してはならない。例えば、少なくとも独歩で家族又は介助者等の助けを借りずに通院ができる者などは、通院は容易であると考えられるため、在宅患者訪問診療料(Ⅱ)は算定できない。なお、訪問診療を行っておらず外来受診が可能な患者には、外来において区分番号「A001」再診料の「注12」地域包括診療加算又は区分番号「B001―2―9」地域包括診療料が算定可能である。

(2) 有料老人ホーム等に入居している患者とは、以下のいずれかに該当する患者をいう。

ア 区分番号「C002―2」施設入居時等医学総合管理料の(3)において施設入居時等医学総合管理料の算定患者とされている患者

イ 障害者総合支援法に規定する障害福祉サービスを行う施設及び事業所又は福祉ホームに入居する患者

ウ 介護保険法第8条第19項に規定する小規模多機能型居宅介護又は同法第8条第23項に規定する複合型サービスにおける宿泊サービスを利用中の患者

(3) 有料老人ホーム等に併設される保険医療機関とは、有料老人ホーム等と同一敷地内又は隣接する敷地内に位置する保険医療機関をいう。

(4) 「注2」から「注5」の取扱いについては、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の例によること。この場合において、「1」及び「2」については、それぞれ「注1のイ」及び「注1のロ」と読み替えるものとする。

C002 在宅時医学総合管理料、C002―2 施設入居時等医学総合管理料

(1) 在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料は、在宅での療養を行っている患者に対するかかりつけ医機能の確立及び在宅での療養の推進を図るものである。

(2) 在宅時医学総合管理料は、在宅での療養を行っている患者であって、通院困難な者((3)で規定する施設入居時等医学総合管理料の対象患者を除く。)に対して、個別の患者ごとに総合的な在宅療養計画を作成し、定期的に訪問して診療を行い、総合的な医学管理を行った場合の評価であることから、継続的な診療の必要のない者や通院が可能な者に対して安易に算定してはならない。例えば、少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院ができる者などは、通院は容易であると考えられるため、在宅時医学総合管理料は算定できない。なお、訪問診療を行っておらず外来受診が可能な患者には、外来において区分番号「A001」再診料の「注12」地域包括診療加算又は区分番号「B001―2―9」地域包括診療料が算定可能である。

(3) 施設入居時等医学総合管理料は、施設において療養を行っている次に掲げる患者であって、通院困難な者に対して個別の患者ごとに総合的な在宅療養計画を作成し、定期的に訪問して診療を行い、総合的な医学管理を行った場合の評価であることから、継続的な診療の必要のない者や通院が可能な者に対して安易に算定してはならない。例えば、少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院ができる者などは、通院は容易であると考えられるため、施設入居時等医学総合管理料は算定できない。なお、訪問診療を行っておらず外来受診が可能な患者には、外来において区分番号「A001」再診料の「注12」地域包括診療加算又は区分番号「B001―2―9」地域包括診療料が算定可能である。なお、施設入居時等医学総合管理料の算定の対象となる患者は、給付調整告示等の規定によるものとする。

ア 次に掲げるいずれかの施設において療養を行っている患者

(イ) 養護老人ホーム

(ロ) 軽費老人ホーム(「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準」(平成20年厚生労働省令第107号)附則第2条第1号に規定する軽費老人ホームA型に限る。)

(ハ) 特別養護老人ホーム

(ニ) 有料老人ホーム

(ホ) 高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年4月6日法律第26号)第5条第1項に規定するサービス付き高齢者向け住宅

(ヘ) 認知症対応型共同生活介護事業所

イ 次に掲げるいずれかのサービスを受けている患者

(イ) 短期入所生活介護

(ロ) 介護予防短期入所生活介護

(4) 在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料は、別に厚生労働大臣の定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関の保険医が、在宅療養計画に基づき診療を行った場合に月1回に限り算定する。特掲診療料の施設基準等別表第八の二に掲げる「別に厚生労働大臣が定める状態の患者」に対して、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)(注1のイの場合に限る。)を月2回以上算定した場合には「別に厚生労働大臣が定める状態の患者に対し、月2回以上訪問診療を行っている場合」を単一建物診療患者の人数に従い算定する。同様に、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)(注1のイの場合に限る。)を月2回以上算定した場合には「月2回以上訪問診療を行っている場合」を、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)(注1のイの場合に限る。)を月1回算定した場合には「月1回訪問診療を行っている場合」を単一建物診療患者の人数に従い算定する。ここでいう単一建物診療患者の人数とは、当該患者が居住する建築物に居住する者のうち、当該保険医療機関が区分番号「C002」在宅時医学総合管理料又は区分番号「C002―2」施設入居時等医学総合管理料を算定する者(当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において算定するものを含む。)の人数をいう。なお、ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所については、それぞれのユニットにおいて、施設入居時等医学総合管理料を算定する人数を、単一建物診療患者の人数とみなすことができる。また、同居する同一世帯の複数の患者に対して診察をした場合など、同一の患家において2人以上の患者を診療した場合に、2人目以降の患者について、区分番号「A000」初診料又は区分番号「A001」再診料若しくは区分番号「A002」外来診療料及び第2章特掲診療料のみを算定した場合においては、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載し、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)(注1のイの場合に限る。)を算定したものとみなすことができる。

「1」及び「2」については、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医が、往診及び訪問看護により24時間対応できる体制を確保し、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供している患者に限り、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院において算定し、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医が、当該患者以外の患者に対し、継続して訪問した場合には、「3」を算定する。

なお、「1」に規定する「在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であって別に厚生労働大臣が定めるもの」とは、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の第9在宅療養支援診療所の施設基準の1の(1)及び(2)に規定する在宅療養支援診療所、第14の2在宅療養支援病院の施設基準の1の(1)及び(2)に規定する在宅療養支援病院である。

また、「1のイ」に規定する「病床を有する場合」、「1のロ」に規定する「病床を有しない場合」とは、同通知の第9在宅療養支援診療所の施設基準の2の(1)及び(2)、第14の2在宅療養支援病院の施設基準の2の(1)の規定による。

(5) 個別の患者ごとに総合的な在宅療養計画を作成し、その内容を患者、家族及びその看護に当たる者等に対して説明し、在宅療養計画及び説明の要点等を診療録に記載すること。

(6) 他の保健医療サービス又は福祉サービスとの連携に努めること。

(7) 当該患者が診療科の異なる他の保険医療機関を受診する場合には、診療の状況を示す文書を当該保険医療機関に交付する等十分な連携を図るよう努めること。

(8) 当該保険医療機関以外の保険医療機関が、当該患者に対して診療を行おうとする場合には、当該患者等に対し照会等を行うことにより、他の保険医療機関における在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料の算定の有無を確認すること。

(9) 当該患者について在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料が算定されている月において、区分番号「B000」特定疾患療養管理料、区分番号「B001」の「4」小児特定疾患カウンセリング料、同区分番号の「5」小児科療養指導料、同区分番号の「6」てんかん指導料、同区分番号の「7」難病外来指導管理料、同区分番号の「8」皮膚科特定疾患指導管理料、同区分番号の「18」小児悪性腫瘍患者指導管理料、同区分番号の「27」糖尿病透析予防指導管理料、区分番号「B001―3」生活習慣病管理料、区分番号「C007」の注3に規定する衛生材料等提供加算、区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料、区分番号「I012―2」の注3に規定する衛生材料等提供加算、区分番号「J000」創傷処置、区分番号「J001―7」爪甲除去、区分番号「J001―8」穿刺排膿後薬液注入、区分番号「J018」喀痰吸引、区分番号「J018―3」干渉低周波去痰器による喀痰排出、区分番号「J043―3」ストーマ処置、区分番号「J053」皮膚科軟膏処置、区分番号「J060」膀胱洗浄、区分番号「J060―2」後部尿道洗浄、区分番号「J063」留置カテーテル設置、区分番号「J064」導尿、区分番号「J118」介達牽引、区分番号「J118―2」矯正固定、区分番号「J118―3」変形機械矯正術、区分番号「J119」消炎鎮痛等処置、区分番号「J119―2」腰部又は胸部固定帯固定、区分番号「J119―3」低出力レーザー照射、区分番号「J119―4」肛門処置及び区分番号「J120」鼻腔栄養は所定点数に含まれ、別に算定できない。

なお、在宅での総合的な医学管理に当たって必要な薬剤(投薬に係るものを除く。)及び特定保険医療材料については、第3節薬剤料及び第4節特定保険医療材料料において算定することができる。

(10) 当該点数を算定した月において、当該点数を算定する保険医療機関の外来を受診した場合においても第5部投薬の費用は算定できない。

(11) 1つの患家に在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料の対象となる同居する同一世帯の患者が2人以上いる場合の在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料は、患者ごとに「単一建物診療患者が1人の場合」を算定すること。また、在宅時医学総合管理料について、当該建築物において当該保険医療機関が在宅医学管理を行う患者数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合又は当該建築物の戸数が20戸未満であって、当該保険医療機関が在宅医学管理を行う患者が2人以下の場合には、それぞれ「単一建物診療患者が1人の場合」を算定すること。

(12) 同一月内において院外処方箋を交付した訪問診療と院外処方箋を交付しない訪問診療とが行われた場合は、在宅時医学総合管理料の「注2」又は施設入居時等医学総合管理料の「注5」の規定により準用する在宅時医学総合管理料の「注2」に係る加算は算定できない。

(13) 投与期間が30日を超える薬剤を含む院外処方箋を交付した場合は、その投与期間に係る在宅時医学総合管理料の「注2」又は施設入居時等医学総合管理料の「注5」の規定により準用する在宅時医学総合管理料の「注2」に係る加算は算定できない。

(14) 在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料は、当該患者に対して主として診療を行っている保険医が属する1つの保険医療機関において算定するものであること。

(15) 区分番号「C003」在宅がん医療総合診療料を算定した日の属する月にあっては、在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料は算定できないものであること。

(16) 在宅時医学総合管理料の「注4」又は施設入居時等医学総合管理料の「注5」の規定により準用する在宅時医学総合管理料の「注4」に規定する在宅移行早期加算は、退院後に在宅において療養を始めた患者であって、訪問診療を行うものに対し、在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料の算定開始月から3月を限度として、1月1回に限り所定点数に加算する。

(17) 在宅移行早期加算は、退院から1年を経過した患者に対しては算定できない。ただし、在宅移行早期加算を既に算定した患者が再度入院し、その後退院した場合にあっては、新たに3月を限度として、月1回に限り所定点数に加算できるものとする。

(18) 在宅時医学総合管理料の「注5」又は施設入居時等医学総合管理料の「注5」の規定により準用する在宅時医学総合管理料の「注5」に係る加算は、特掲診療料の施設基準等別表第三の一の二に掲げる患者に対し、月4回以上の往診又は訪問診療を行い、必要な医学管理を行っている場合に頻回訪問加算として算定する。

(19) 別に厚生労働大臣が定める状態等のうち、特掲診療料の施設基準等別表第三の一の二第三号に掲げる「高度な指導管理を必要とするもの」とは、別表第三の一の二第二号の(1)に掲げる指導管理を2つ以上行っているものをいう。

(20) 在宅時医学総合管理料の「注9」又は施設入居時等医学総合管理料の「注5」の規定により準用する在宅時医学総合管理料の「注9」に規定する継続診療加算は、在宅療養支援診療所以外の診療所が、当該診療所の外来を4回以上受診した後に訪問診療に移行した患者に対して、以下の全ての要件を満たして訪問診療を実施した場合に算定する。継続診療加算を算定して訪問診療及び医学管理を行う月のみ以下の体制を確保すればよく、地域医師会等の協力を得てア又はイに規定する体制を確保することでも差し支えない。

ア 当該医療機関単独又は連携する他の医療機関の協力により、24時間の往診体制及び24時間の連絡体制を有していること。

イ 訪問看護が必要な患者に対し、当該保険医療機関、連携する他の医療機関又は連携する訪問看護ステーションが訪問看護を提供する体制を確保していること。

ウ 当該医療機関又は連携する医療機関の連絡担当者の氏名、診療時間内及び診療時間外の連絡先電話番号等、緊急時の注意事項等並びに往診担当医の氏名等について、患者又は患者の家族に文書により提供し、説明していること。

(21) (20)のアに掲げる連携する他の医療機関が訪問診療を行った場合には、当該他の医療機関では、在宅時医学総合管理料は算定できない。また、当該他の医療機関が、患家を訪問して診療を行った場合には、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)及び区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)は算定できず、区分番号「C000」往診料を算定すること。また、訪問看護が必要な患者については、当該患者の訪問看護を提供する訪問看護ステーション等に対し、当該他の医療機関の医師による指示についても適切に対応するよう、連携を図ること。

(22) 在宅時医学総合管理料の「注10」又は施設入居時等医学総合管理料の「注5」の規定により準用する在宅時医学総合管理料の「注10」に規定する包括的支援加算は、特掲診療料の施設基準等別表八の三に規定する状態の患者に対し、訪問診療を行っている場合に算定する。当該状態については、以下のとおりとし、いずれの状態に該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ア 「要介護二以上の状態又はこれに準ずる状態」とは、介護保険法第7条に規定する要介護状態区分における要介護2、要介護3、要介護4若しくは要介護5である状態又は障害者総合支援法における障害支援区分において障害支援区分2以上と認定されている状態をいう。

イ 「日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さのために、介護を必要とする認知症の状態」とは、医師が「認知症高齢者の日常生活自立度」におけるランクⅡb以上と診断した状態をいう。

ウ 「頻回の訪問看護を受けている状態」とは、週1回以上訪問看護を受けている状態をいう。

エ 「訪問診療又は訪問看護において処置を受けている状態」とは、訪問診療又は訪問看護において、注射又は喀痰吸引、経管栄養等の処置(特掲診療料の施設基準等第四の一の六(3)に掲げる処置のうち、ワからヨまで及びレからマまでに規定する処置を除く。)を受けている状態をいう。

オ 「介護保険法第八条第十一項に規定する特定施設等看護職員が配置された施設に入居し、医師の指示を受けた看護職員による処置を受けている状態」とは、特定施設、認知症対応型共同生活介護事業所、特別養護老人ホーム、障害者総合支援法第5条第11項に規定する障害者支援施設等に入居又は入所する患者であって、医師による文書での指示を受け、当該施設に配置された看護職員による注射又は処置を受けている状態をいう。処置の範囲はエの例による。

カ 「その他関係機関との調整等のために訪問診療を行う医師による特別な医学管理を必要とする状態」とは、以下のいずれかに該当する患者の状態をいう。

(イ) 脳性麻痺、先天性心疾患、ネフローゼ症候群、ダウン症等の染色体異常、川崎病で冠動脈瘤のあるもの、脂質代謝障害、腎炎、溶血性貧血、再生不良性貧血、血友病、及び血小板減少性紫斑病、先天性股関節脱臼、内反足、二分脊椎、骨系統疾患、先天性四肢欠損、分娩麻痺、先天性多発関節拘縮症、児童福祉法第6条の2第1項に規定する小児慢性特定疾病(同条第2項に規定する小児慢性特定疾病医療支援の対象に相当する状態のものに限る。)及び同法第56条の6第2項に規定する障害児に該当する状態である15歳未満の患者

(ロ) 出生時の体重が1,500g未満であった1歳未満の患者

(ハ) 「超重症児(者)・準超重症児(者)の判定基準」による判定スコアが10以上である患者

(ニ) 訪問診療を行う医師又は当該医師の指示を受けた看護職員の指導管理に基づき、家族等患者の看護に当たる者が注射又は喀痰吸引、経管栄養等の処置(特掲診療料の施設基準等第四の一の六(3)に掲げる処置のうち、ワからケに規定する処置をいう。)を行っている患者

(23) 算定対象となる患者が入居又は入所する施設と特別の関係にある保険医療機関においても、算定できる。

(24) 「3」について、主として往診又は訪問診療を実施する診療所で算定する場合は、それぞれ所定点数の100分の80に相当する点数を算定する。

(25) 悪性腫瘍と診断された患者については、医学的に末期であると判断した段階で、当該患者のケアマネジメントを担当する居宅介護支援専門員に対し、予後及び今後想定される病状の変化、病状の変化に合わせて必要となるサービス等について、適時情報提供すること。

(26) 在宅時医学総合管理料の「注11」について、当該医療機関において、区分番号「I002」通院・在宅精神療法及び区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」を算定している場合には、在宅時医学総合管理料は算定できない。また、施設入居時等医学総合管理料の「注4」について、当該医療機関において、区分番号「I002」通院・在宅精神療法及び区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)(注1のイの場合に限る。)を算定している場合には、施設入居時等医学総合管理料は算定できない。

ただし、特掲診療料の施設基準等別表第八の四に規定する状態の患者に対し、訪問診療を行っている場合にはこの限りでない。当該別表第八の四に規定する状態のうち、別表第八の二に掲げる状態以外の状態については、以下のとおりとする。

ア 「要介護二以上の状態又はこれに準ずる状態」とは、介護保険法第7条に規定する要介護状態区分における要介護2、要介護3、要介護4若しくは要介護5である状態又は身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に規定する身体障害者であって、障害者総合支援法第4条第4項に規定する障害支援区分において障害支援区分2、障害支援区分3、障害支援区分4若しくは障害支援区分5である状態をいう。

イ 「訪問診療又は訪問看護において処置を受けている状態」及び「介護保険法第八条第十一項に規定する特定施設等看護職員が配置された施設に入居し、医師の指示を受けた看護職員による処置を受けている状態」については、それぞれ(22)のエ及びオの例によること。

ウ 「がんに対し治療を受けている状態」及び「精神疾患以外の疾患の治療のために訪問診療を行う医師による特別な医学管理を必要とする状態」は、それぞれ悪性腫瘍と診断された患者であって、悪性腫瘍に対する治療(緩和ケアを含む。)を行っている状態及び(22)のカに該当する状態をいう。

(27) 在宅時医学総合管理料の「注12」に規定するオンライン在宅管理料を算定する場合には、以下の要件を満たすこと。

ア オンライン在宅管理料は、対面診療の原則のもとで、訪問診療とオンライン診療を組み合わせた在宅診療計画を作成し、当該計画に基づいて、オンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行うことを評価したものであり、月1回以上の訪問診療を行っている場合であって、訪問診療を実施した日以外の日にオンライン診療による医学管理を実施した場合に算定できる。なお、当該計画に基づかない他の傷病に対する診療は、対面診療で行うことが原則であり、オンライン在宅管理料は算定できない。

イ オンライン診療は、アの計画に基づき、訪問診療とオンライン診療を組み合わせた医学管理のもとで実施すること。

ウ オンライン在宅管理料が算定可能な患者は、在宅時医学総合管理料の算定対象となる患者であって、在宅時医学総合管理料を初めて算定した月から3月以上経過し、かつオンライン診療を実施しようとする月の直近3月の間、オンライン診療を行う医師と同一の医師により、毎月訪問診療を行っているものに限る。

エ 患者の同意を得た上で、訪問診療とオンライン診療を組み合わせた在宅診療計画を作成する。当該計画の中には、患者の急変時における対応等も記載する。

オ 当該計画に沿って、オンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行った際には、当該管理の内容、当該管理に係るオンライン診療を行った日、診察時間等の要点を診療録に記載すること。

カ オンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行う医師は、在宅時医学総合管理料を算定する際に診療を行う医師と同一のものに限る。ただし、在宅診療を行う医師が、同一の保険医療機関に所属する5人以下のチームで診療を行っている場合であって、あらかじめ診療を行う医師について在宅診療計画に記載し、複数医師が診療を行うことについて患者の同意を得ている場合に限り、事前の対面診療を行っていない医師がオンライン診療による医学管理を行っても差し支えない。

キ オンライン診療を行う際には、厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針に沿って診察を行う。

ク オンライン診療による計画的な療養上の医学管理は、当該保険医療機関内において行う。

ケ 同一の患者について、オンライン診療による医学管理を実施した日に訪問診療等のうちいずれか1つを算定した場合は、オンライン在宅管理料は算定できない。

コ 当該管理料を算定する場合、オンライン診療を受ける患者は、当該患者の自宅においてオンライン診療を受ける必要がある。また、複数の患者に対して同時にオンライン診療を行った場合、当該管理料は算定できない。

サ 当該診察を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる。

シ オンライン在宅管理料を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、在宅時医学総合管理料の算定を開始した年月日を記載すること。

C003 在宅がん医療総合診療料

(1) 在宅がん医療総合診療料は、別に厚生労働大臣の定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関である在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院が、在宅での療養を行っている通院が困難な末期の悪性腫瘍の患者(医師又は看護師等の配置が義務付けられている施設に入居又は入所している患者(給付調整告示等に規定する場合を除く。)の場合を除く。)であって、往診及び訪問看護により24時間対応できる体制を確保し、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供しているものに対して、計画的な医学管理の下に、次に掲げる基準のいずれにも該当する総合的な医療を提供した場合に、1週間(日曜日から土曜日までの暦週をいう。本項において同じ。)を単位として当該基準を全て満たした日に算定する。

ア 当該患者に対し、訪問診療又は訪問看護を行う日が合わせて週4日以上であること。(同一日において訪問診療及び訪問看護を行った場合であっても1日とする。)

イ 訪問診療の回数が週1回以上であること。

ウ 訪問看護の回数が週1回以上であること。

(2) 在宅がん医療総合診療料は、1週間のうちに全ての要件を満たさなかった場合、1週間のうちに在宅医療と入院医療が混在した場合には算定できない。ただし、現に在宅がん医療総合診療料を算定している患者が、当該在宅療養支援診療所又は当該在宅療養支援病院に一時的に入院する場合は、引き続き計画的な医学管理の下に在宅における療養を継続しているものとみなし、当該入院の日も含めた1週間について、(1)のアからウまでの要件を満たす場合には、在宅がん医療総合診療料を算定できるものとする。ただし、この場合には、入院医療に係る費用は別に算定できない。

(3) 在宅療養支援診療所において、連携により必要な体制を確保する場合にあっては、緊急時の往診又は訪問看護を連携保険医療機関等の医師又は看護師等が行うことが有り得ることを予め患者等に説明するとともに、当該患者の病状、治療計画、直近の診療内容等緊急時の対応に必要な診療情報を連携保険医療機関等に文書(電子媒体を含む。)により随時提供し、当該提供した診療情報は当該患者の診療録に添付すること。なお、連携保険医療機関等の保険医又は看護師等との診療情報の共有に際し、当該患者の診療情報の提供を行った場合、これに係る費用は各所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 在宅療養支援診療所と連携保険医療機関等、又は在宅療養支援病院と訪問看護ステーションが共同で訪問看護を行い、又は緊急時の往診体制をとっている場合は、当該患者の訪問看護、往診に係る費用は、在宅がん医療総合診療料を算定する在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医の属する保険医療機関において一括して算定する。

(5) 連携保険医療機関等又は在宅療養支援病院と連携する訪問看護ステーションが当該患者に訪問看護を行った場合又は当該患者の病状急変時等に連携保険医療機関の保険医が往診を行った場合は、当該連携保険医療機関等又は在宅療養支援病院と連携する訪問看護ステーションは、診療内容等を在宅がん医療総合診療料を算定する在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医に速やかに報告し、当該保険医は診療内容等の要点を当該患者の診療録に記載する必要がある。ただし、これに係る診療情報提供の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(6) 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院は、算定の対象となる患者について、総合的な在宅医療計画を策定し、これに基づいて訪問診療及び訪問看護を積極的に行うとともに、他の保健医療サービス又は福祉サービスとの連携に努めること。なお、在宅がん医療総合診療は、同一の患者に対して継続的に行うことが望ましい。

(7) 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院が、当該患者に対して診療を行おうとする場合には、当該患者等に対し照会等を行うことにより、他の保険医療機関における在宅がん医療総合診療料の算定の有無を確認すること。

(8) 「1」に規定する「在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であって別に厚生労働大臣が定めるもの」とは、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の第9在宅療養支援診療所の施設基準の1の(1)及び(2)に規定する在宅療養支援診療所、第14の2在宅療養支援病院の施設基準の1の(1)及び(2)に規定する在宅療養支援病院である。

「1のイ」に規定する「病床を有する場合」、「1のロ」に規定する「病床を有しない場合」とは、同通知の第9在宅療養支援診療所の施設基準の2の(1)及び(2)、第14の2在宅療養支援病院の施設基準の2の(1)の規定による。

(9) 1週間のうち院外処方箋を交付した日がある場合は、当該1週間分を「院外処方箋を交付する場合」で算定し、それ以外の場合は「院外処方箋を交付しない場合」で算定する。

なお、当該診療を開始又は終了(死亡による場合を含む。)した週にあって、当該1週間のうちに(1)に掲げる基準を満たした場合には、当該診療の対象となった日数分について算定する。

(10) 「注2」に規定する加算は、在宅での療養を行っている患者が在宅で死亡した場合であって、死亡日に往診又は訪問診療を行い、死亡診断を行った場合に算定する。ただし、(12)のイに基づき、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注7」又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の注6の規定により準用する区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注7」に規定する加算を算定する場合には、算定できない。

(11) 当該患者の診療に係る費用は、(12)に掲げる費用及び「注2」の加算を除き、全て所定点数に含まれる。ただし、同一月において在宅がん医療総合診療料が算定された日の前日までに算定された検体検査判断料等については、別に算定できる。

(12) 「注3」の特に規定するものとは次の費用であり、当該費用は、要件を満たせば在宅がん医療総合診療料と別に算定できる。

ア 週3回以上の訪問診療を行った場合であって、訪問診療を行わない日に患家の求めに応じて緊急に往診を行った場合の往診料(区分番号「C000」往診料の「注1」及び「注2」の加算を含む。)(ただし、週2回を限度とする。)

イ 区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注6」に規定する加算及び「注7」に規定する加算並びに区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の「注5」に規定する加算及び「注6」の規定により準用する区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注7」に規定する加算(ただし、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注6」に規定する加算又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の「注5」の加算を算定する場合には、区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料の「注10」の加算及び「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料の「注4」の規定により準用する区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料の「注10」の加算、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注7」の加算又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の「注6」の規定により準用する区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注7」の加算を算定する場合には、在宅がん医療総合診療料の「注2」の加算、区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料の「注10」の加算及び「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料の「注4」の規定により準用する区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料の「注10」の加算は別に算定できない。なお、在宅療養支援診療所及びその連携保険医療機関が連携して区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注6」の加算又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の「注5」に規定する加算の要件を満たした場合には在宅療養支援診療所が、当該区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注7」の加算又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の「注6」の規定により準用する区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注7」の加算の要件を満たした場合については、看取った保険医療機関が診療報酬請求を行い、それぞれの費用の分配は相互の合議に委ねることとする。)

(13) 当該患者を担当する居宅介護支援事業者に対し、予後及び今後想定される病状の変化、病状の変化に合わせて必要となるサービス等について、適時情報提供すること。

(14) 「注4」に規定する交通費は実費とする。

C004 救急搬送診療料

(1) 救急用の自動車とは、消防法及び消防法施行令に規定する市町村又は都道府県の救急業務を行うための救急隊の救急自動車並びに道路交通法及び道路交通法施行令に規定する緊急自動車であって当該保険医療機関に属するものをいう。

(2) 救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法第2条に規定する「救急医療用ヘリコプター」により搬送される患者に対して、救急医療用ヘリコプター内において診療を行った場合についても救急搬送診療料を算定することができる。

(3) 診療を継続して提供した場合、区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料又は区分番号「A002」外来診療料は、救急搬送の同一日に1回に限り算定する。

(4) 搬送先の保険医療機関の保険医に立会診療を求められた場合は、初診料、再診料又は外来診療料は1回に限り算定し、区分番号「C000」往診料は併せて算定できない。ただし、患者の発生した現場に赴き、診療を行った後、救急用の自動車等に同乗して診療を行った場合は、往診料を併せて算定できる。

(5) 当該保険医療機関の入院患者を他の保険医療機関に搬送した場合、救急搬送診療料は算定できない。

(6) 「注2」の加算は、新生児又は6歳未満の乳幼児(新生児を除く。)に対して救急搬送診療料を算定する場合に加算する。

(7) 「注3」の加算は、患者の発生した現場に赴き、診療を開始してから、医療機関に到着し、医療機関内で診療を開始するまでの時間が30分を超えた場合に加算する。

C005 在宅患者訪問看護・指導料、C005―1―2 同一建物居住者訪問看護・指導料

(1) 在宅患者訪問看護・指導料及び同一建物居住者訪問看護・指導料は、在宅での療養を行っている通院困難な患者の病状に基づいて訪問看護・指導計画を作成し、かつ、当該計画に基づき実際に患家を定期的に訪問し、看護及び指導を行った場合に、1日に1回を限度として算定する。ただし、医師又は看護師の配置が義務付けられている施設に入所している患者(給付調整告示等により規定する場合を除く。)については、算定の対象としない。

在宅患者訪問看護・指導料は、在宅での療養を行っている患者(同一建物居住者であるものを除く。)に対して、同一建物居住者訪問看護・指導料は、同一建物居住者であるものに対して算定する。

(2) 在宅患者訪問看護・指導料又は同一建物居住者訪問看護・指導料(以下「在宅患者訪問看護・指導料等」という。)は、訪問看護・指導を実施する保険医療機関において医師による診療のあった日から1月以内に行われた場合に算定する。

ただし、当該患者(患者の病状に特に変化がないものに限る。)に関し、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)等を算定すべき訪問診療を行っている保険医療機関が、患者の同意を得て、診療の日から2週間以内に、当該患者に対して継続して訪問看護・指導を行っている別の保険医療機関に対して、診療状況を示す文書を添えて、当該患者に係る療養上必要な情報を提供した場合には、当該診療情報の提供(区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)の場合に限る。)を行った保険医療機関において、当該診療情報提供料の基礎となる診療があった日から1月以内に行われた場合に算定する。

(3) 同一建物居住者訪問看護・指導料については、以下のア又はイにより算定すること。なお、同一建物居住者に係る人数については、同一日に同一建物居住者訪問看護・指導料を算定する患者数と区分番号「I012」の「3」精神科訪問看護・指導料(Ⅲ)を算定する患者数とを合算した人数とすること。

ア 同一建物居住者が2人の場合は、当該患者全員に対して、1のイ又は2のイにより算定

イ 同一建物居住者が3人以上の場合は、当該患者全員に対して、1のロ又は2のロにより算定

(4) 在宅患者訪問看護・指導料等の算定は週3日を限度とするが、厚生労働大臣が定める疾病等の患者については週4日以上算定できる。

【厚生労働大臣が定める疾病等の患者】

○特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の患者

末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上かつ生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群若しくは頸髄損傷の患者又は人工呼吸器を使用している状態

○特掲診療料の施設基準等の別表第八に掲げる状態等の患者

在宅悪性腫瘍等患者指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者、在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理又は在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態にある者、人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者、真皮を越える褥瘡の状態にある者、在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者

(5) 診療に基づき、患者の病状の急性増悪、終末期、退院直後等により一時的に週4日以上の頻回の訪問看護・指導が必要であると認められた患者(厚生労働大臣が定める疾病等の患者を除く。)については、月1回(気管カニューレを使用している状態にある者又は真皮を越える褥瘡の状態にある者については、月2回)に限り、当該診療を行った日から14日以内の期間において、14日を限度として算定できる。また、当該患者に対する訪問看護・指導については、当該患者の病状等を十分把握し、一時的に頻回に訪問看護・指導が必要な理由を訪問看護計画書及び訪問看護報告書等に記載し、訪問看護・指導の実施等において、主治医と連携を密にすること。また、例えば、毎月、恒常的に週4日以上の訪問看護・指導が頻回に必要な場合については、その理由を訪問看護計画書及び報告書に記載すること。

当該患者が介護保険法第62条に規定する要介護被保険者等である場合には、看護記録に頻回の訪問看護・指導が必要であると認めた理由及び頻回の訪問看護・指導が必要な期間(ただし14日間以内に限る。)を記載すること。

(6) (4)又は(5)により、週4回以上在宅患者訪問看護・指導料等を算定する場合は、在宅患者訪問看護・指導料等の「1」の「ロ」又は「2」の「ロ」、同一建物居住者訪問看護・指導料の「1」の「イ」の(2)、「1」の「ロ」の(2)、「2」の「イ」の(2)又は「2」の「ロ」の(2)により算定する。

(7) 在宅患者訪問看護・指導料等の「3」については、在宅で療養を行っている悪性腫瘍の鎮痛療法若しくは化学療法を行っている患者、真皮を越える褥瘡の状態にある患者(区分番号「C013」在宅患者訪問褥瘡管理指導料を算定する場合にあっては真皮までの状態の患者)又は人工肛門若しくは人工膀胱周囲の皮膚にびらん等の皮膚障害が継続若しくは反復して生じている状態にある患者若しくは人工肛門若しくは人工膀胱のその他の合併症を有する患者に対し、別に定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関が専門の研修を受けた看護師を訪問させて、他の保険医療機関の看護師若しくは准看護師又は訪問看護ステーションの看護師若しくは准看護師と共同して同一日に看護又は療養上必要な指導を行った場合に、在宅患者訪問看護・指導料等の「3」により当該患者につきそれぞれ月1回を限度として、当該専門の看護師が所属する保険医療機関において算定する。この場合、当該医療機関で別に定める専従要件となっている場合であっても、別に定める専従業務に支障が生じなければ訪問しても差し支えない。

(8) 「1」の助産師による在宅患者訪問看護・指導料等の算定の対象となる患者は、在宅での療養を行っている通院困難な妊産婦及び乳幼児であって、疾病等に係る療養上の指導等が必要な患者であり、療養上必要と認められない一般的保健指導を専ら行う場合は算定しない。

(9) 訪問看護・指導計画は、医師又は保健師、助産師若しくは看護師が患家を訪問し、患者の家庭における療養状況を踏まえて作成し、当該計画は少なくとも1月に1回は見直しを行うほか、患者の病状に変化があった場合には適宜見直す。

訪問看護・指導計画には、看護及び指導の目標、実施すべき看護及び指導の内容並びに訪問頻度等を記載すること。

(10) 医師は、保健師、助産師、看護師又は准看護師(以下この区分において「看護師等」という。)に対して行った指示内容の要点を診療録に記載すること。また、保健師、助産師又は看護師が准看護師に対して指示を行ったときは、その内容の要点を記録すること。また、保険医療機関における日々の訪問看護・指導を実施した患者氏名、訪問場所、訪問時間(開始時刻及び終了時刻)及び訪問人数等について記録し、保管しておくこと。

(11) 看護師等は、患者の体温、血圧等基本的な病態を含む患者の状態並びに行った指導及び看護の内容の要点を記録すること。

(12) 他の保険医療機関において在宅患者訪問看護・指導料等を算定している患者については、在宅患者訪問看護・指導料等を算定できない。ただし、保険医療機関を退院後1月以内の患者に対して当該保険医療機関が行った訪問看護・指導及び緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師が、当該患者の在宅療養を担う他の保険医療機関の看護師若しくは准看護師又は訪問看護ステーションの看護師若しくは准看護師と共同して行った訪問看護・指導については、この限りではない。

(13) 同一の患者について、訪問看護ステーションにおいて訪問看護療養費を算定した月については、在宅患者訪問看護・指導料等を算定できない。ただし、次に掲げる場合はこの限りではない。

ア (4)の厚生労働大臣が定める疾病等の患者について、訪問看護療養費を算定した場合

イ 急性増悪等により一時的に週4日以上の頻回の訪問看護・指導を行う必要を認めた患者

ウ 当該保険医療機関を退院後1月以内の患者

エ 緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師が、当該患者の在宅療養を担う他の保険医療機関の看護師若しくは准看護師又は訪問看護ステーションの看護師若しくは准看護師と共同して訪問看護・指導を行った場合

(14) (13)において、同一の患者について、在宅患者訪問看護・指導料等及び訪問看護療養費を算定できる場合であっても、訪問看護療養費を算定した日については、在宅患者訪問看護・指導料等を算定できない。ただし、(13)のウ及びエの場合は、この限りではない。

(15) 同一の患者について、複数の保険医療機関や訪問看護ステーションにおいて訪問看護・指導を行う場合は、保険医療機関間及び保険医療機関と訪問看護ステーションとの間において十分に連携を図る。具体的には、訪問看護・指導の実施による患者の目標の設定、訪問看護・指導計画の立案、訪問看護・指導の実施状況及び評価を共有する。

(16) 介護保険法第8条第20項に規定する認知症対応型共同生活介護を行う施設、高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項に規定するサービス付き高齢者向け住宅、障害者総合支援法第5条第1項に規定する障害福祉サービスを行う施設、その他の高齢者向け施設等に入所している患者に訪問看護・指導を行う場合においては、介護保険又は障害福祉サービスによる医療及び看護サービスの提供に係る加算の算定等を含む当該施設における利用者の医療ニーズへの対応について確認し、当該施設で行われているサービスと十分に連携する。また、当該施設において当該保険医療機関が日常的な健康管理等(医療保険制度の給付によるものを除く。)を行っている場合は、健康管理等と医療保険制度の給付による訪問看護・指導を区別して実施する。

(17) 在宅患者訪問看護・指導料の「注3」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注3」に規定する難病等複数回訪問加算は、(4)の厚生労働大臣が定める疾病等の患者又は一時的に頻回の訪問看護・指導を行う必要が認められた患者に対して、1日に2回又は3回以上訪問看護・指導を実施した場合に算定する。

また、同一建物居住者訪問看護・指導料の「注3」に規定する難病等複数回訪問加算を算定する場合にあっては、同一建物内において、当該加算又は区分番号「I012」精神科訪問看護・指導料の「注10」に規定する精神科複数回訪問加算(1日当たりの回数の区分が同じ場合に限る。)を同一日に算定する患者の人数に応じて、以下のアからウまでにより算定する。

ア 同一建物内に1人の場合は、「注3」の「イ」の(1)又は「ロ」の(1)により算定

イ 同一建物内に2人の場合は、当該加算を算定する患者全員に対して、「注3」の「イ」の(2)又は「ロ」の(2)により算定

ウ 同一建物内に3人以上の場合は、当該加算を算定する患者全員に対して、「注3」の「イ」の(3)又は「ロ」の(3)により算定

(18) 在宅患者訪問看護・指導料の「注4」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注6」の規定により準用する在宅患者訪問看護・指導料の「注4」に規定する緊急訪問看護加算は、訪問看護・指導計画に基づき定期的に行う訪問看護・指導以外であって、緊急の患家の求めに応じて、診療所又は在宅療養支援病院の保険医の指示により、当該保険医の属する保険医療機関又は連携する保険医療機関の看護師等が訪問看護・指導した場合に1日につき1回に限り算定する。その際、当該保険医はその指示内容を診療録に記載すること。なお、当該加算は、診療所又は在宅療養支援病院が24時間往診及び訪問看護により対応できる体制を確保し、診療所又は在宅療養支援病院の連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供している患者に限り算定できる。

(19) 在宅患者訪問看護・指導料の「注5」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注6」の規定により準用する在宅患者訪問看護・指導料の「注5」に規定する長時間訪問看護・指導加算は、特掲診療料の施設基準等第四の四の(3)のイに規定する長時間の訪問を要する者に対して、1回の訪問看護・指導の時間が90分を超えた場合について算定するものであり、週1回(特掲診療料の施設基準等第四の四の(3)のロに規定する者にあっては週3回)に限り算定できるものとする。なお、特掲診療料の施設基準等第四の四の(3)のロに規定する者のうち、超重症児・準超重症児については、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の別添6の別紙14の超重症児(者)・準超重症児(者)の判定基準による判定スコアが10以上のものをいう。

(20) 在宅患者訪問看護・指導料の「注6」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注6」の規定により準用する在宅患者訪問看護・指導料の「注6」に規定する乳幼児加算は、6歳未満の乳幼児に対して、訪問看護・指導を実施した場合に1日につき1回に限り算定できるものとする。

(21) 在宅患者訪問看護・指導料の「注7」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注4」に規定する複数名訪問看護・指導加算は、特掲診療料の施設基準等第四の四の二の(1)に規定する複数名訪問看護・指導加算に係る厚生労働大臣が定める者に該当する1人の患者に対して、患者又はその家族等の同意を得て、看護師等と他の看護師等又は看護師等と看護補助者の複数名が同時に訪問看護・指導を実施した場合に、1日につき在宅患者訪問看護・指導料の「注7」の「イ」から「ニ」まで又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注4」の「イ」から「ニ」までのいずれかを、以下のアからエまでにより算定する。なお、単に2人の看護師等又は看護補助者が同時に訪問看護・指導を行ったことのみをもって算定することはできない。

ア 看護師等が他の保健師、助産師又は看護師と同時に訪問看護・指導を行う場合は、週1日に限り、在宅患者訪問看護・指導料の「注7」の「イ」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注4」の「イ」を算定する。

イ 看護師等が他の准看護師と同時に訪問看護・指導を行う場合は、週1日に限り、在宅患者訪問看護・指導料の「注7」の「ロ」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注4」の「ロ」を算定する。

ウ 看護師等が看護補助者と同時に、特掲診療料の施設基準等第四の四の二の(1)に規定する複数名訪問看護・指導加算に係る厚生労働大臣が定める者のうち、同(2)に規定する厚生労働大臣が定める場合に該当しない患者に訪問看護・指導を行う場合は、週3日に限り、在宅患者訪問看護・指導料の「注7」の「ハ」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注4」の「ハ」を算定する。

エ 看護師等が看護補助者と同時に、特掲診療料の施設基準等第四の四の二の(1)に規定する複数名訪問看護・指導加算に係る厚生労働大臣が定める者のうち、同(2)に規定する厚生労働大臣が定める場合に該当する患者に訪問看護・指導を行う場合は在宅患者訪問看護・指導料の「注7」の「ニ」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注4」の「ニ」を、1日当たりの回数に応じて算定する。

また、同一建物居住者訪問看護・指導料の「注4」に規定する複数名訪問看護・指導加算を算定する場合にあっては、同一建物内において、当該加算又は区分番号「I012」精神科訪問看護・指導料の「注4」に規定する複数名精神科訪問看護・指導加算(同時に訪問看護・指導を実施する職種及び1日当たりの回数の区分が同じ場合に限る。)を同一日に算定する患者の人数に応じて、以下のオからキまでにより算定する。

オ 同一建物内に1人の場合は、「注4」の「イ」の(1)、「ロ」の(1)、「ハ」の(1)、「ニ」の(1)の①、「ニ」の(2)の①又は「ニ」の(3)の①により算定

カ 同一建物内に2人の場合は、当該加算を算定する患者全員に対して、「注4」の「イ」の(2)、「ロ」の(2)、「ハ」の(2)、「ニ」の(1)の②、「ニ」の(2)の②又は「ニ」の(3)の②により算定

キ 同一建物内に3人以上の場合は、当該加算を算定する患者全員に対して、「注4」の「イ」の(3)、「ロ」の(3)、「ハ」の(3)、「ニ」の(1)の③、「ニ」の(2)の③又は「ニ」の(3)の③により算定

(22) 在宅患者訪問看護・指導料の「注8」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注6」の規定により準用する在宅患者訪問看護・指導料の「注8」に規定する在宅患者連携指導加算又は同一建物居住者連携指導加算は、以下の要件を満たす場合に算定すること。

ア 当該加算は、在宅での療養を行っている患者の診療情報等を、当該患者の診療等を担う保険医療機関等の医療関係職種間で文書等により共有し、それぞれの職種が当該診療情報等を踏まえ診療等を行う取組を評価するものである。

イ 在宅での療養を行っている患者であって通院が困難な者に対して、患者の同意を得て、月2回以上医療関係職種間で文書等(電子メール、ファクシミリでも可)により共有された診療情報を基に、患者に対して指導等を行った場合に、月1回に限り算定できる。

ウ 単に医療関係職種間で当該患者に関する診療情報等を交換したのみの場合は算定できない。

エ 他職種から情報提供を受けた場合、できる限り速やかに患者への指導等に反映させるよう留意しなければならない。また、当該患者の療養上の指導に関する留意点がある場合には、速やかに他職種に情報提供するよう努めなければならない。

オ 当該患者の診療を担う保険医療機関の保険医との間のみで診療情報等を共有し、訪問看護・指導を行った場合は、所定点数を算定できない。

カ 他職種から受けた診療情報等の内容及びその情報提供日並びにその診療情報等を基に行った指導等の内容の要点及び指導日を看護記録に記載すること。

(23) 在宅患者訪問看護・指導料の「注9」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注6」の規定により準用する在宅患者訪問看護・指導料の「注9」に規定する在宅患者緊急時等カンファレンス加算又は同一建物居住者緊急時等カンファレンス加算は、以下の要件を満たす場合に算定する。

ア 当該加算は、在宅で療養を行っている患者の状態の急変や診療方針の変更等の際、当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等が一堂に会しカンファレンスを行うことにより、より適切な診療方針を立てること及び当該カンファレンスの参加者の間で診療方針の変更等の的確な情報共有を可能とすることは、患者及びその家族が安心して療養生活を行う上で重要であることから、そのような取組に対して評価するものである。

イ 関係する医療関係職種等が共同でカンファレンスを行い、当該カンファレンスで共有した当該患者の診療情報等を踏まえ、それぞれの職種が患者に対して療養上必要な指導を行った場合に月2回に限り算定する。なお、当該カンファレンスは、原則として患家で行うこととするが、患者又は家族が患家以外の場所でのカンファレンスを希望する場合はこの限りではない。

ウ 当該カンファレンスは、関係者全員が患家に赴き実施することが原則であるが、以下の(イ)及び(ロ)を満たす場合は、関係者のうちいずれかがビデオ通話が可能な機器を用いて参加することができる。

(イ) 当該カンファレンスに3者以上が参加すること

(ロ) 当該3者のうち2者以上は、患家に赴きカンファレンスを行っていること

なお、当該保険医療機関がビデオ通話が可能な機器を用いて当該カンファレンスに参加しても差し支えない。

エ また、関係者のうちいずれかが、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の「別添3」の「別紙2」に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域に属する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が400床以上の病院、DPC対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期一般入院料1のみを届け出ている病院を除く。)等に所属する場合においては、以下の(イ)から(ハ)までを満たすときは、関係者のうちいずれかがビデオ通話が可能な機器を用いて参加することができる。

(イ) 当該カンファレンスを当該月に2回実施する場合の2回目のカンファレンスであること

(ロ) 当該2回目のカンファレンスに3者以上が参加すること

(ハ) (ロ)において、当該3者のうち1者以上は、患家に赴きカンファレンスを行っていること

オ ウ及びエにおいて、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

カ カンファレンスに参加した医療関係職種等の氏名、カンファレンスの要点、患者に行った指導の要点及びカンファレンスを行った日を看護記録に記載すること。

キ 当該患者の診療を担う保険医療機関の保険医と当該患者の訪問看護を担う看護師等(当該保険医療機関の保険医とは異なる保険医療機関の看護師等に限る。)と2者でカンファレンスを行った場合であっても算定できる。

ク 在宅患者緊急時等カンファレンス加算及び同一建物居住者緊急時等カンファレンス加算は、カンファレンスを行い、当該カンファレンスで共有した当該患者の診療情報を踏まえた療養上必要な指導を行った場合に、当該指導日以降最初の在宅患者訪問看護・指導料等を算定する日に合わせて算定すること。また、必要に応じ、カンファレンスを行った日以降に当該指導を行う必要がある場合には、カンファレンスを行った日以降できる限り速やかに指導を行うこと。

なお、当該指導とは、在宅患者訪問看護・指導料等を算定する訪問看護・指導とは異なるものであるが、例えば、当該指導とは別に継続的に実施している訪問看護・指導を当該指導を行った日と同一日に行う場合には、当該指導を行った日において在宅患者訪問看護・指導料又は同一建物居住者訪問看護・指導料を合わせて算定することは可能であること。

(24) 在宅患者訪問看護・指導料の「注10」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注6」の規定により準用する在宅患者訪問看護・指導料の「注10」に規定する在宅ターミナルケア加算又は同一建物居住者ターミナルケア加算について

ア 在宅ターミナルケア加算又は同一建物居住者ターミナルケア加算は、在宅患者訪問看護・指導料等を死亡日及び死亡日前14日以内の計15日間に2回以上算定し、かつ、訪問看護におけるターミナルケアの支援体制(訪問看護に係る連絡担当者の氏名、連絡先電話番号、緊急時の注意事項等)について患者及びその家族に対して説明した上でターミナルケアを行った場合(ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む。)に算定する。ターミナルケアにおいては、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、患者本人及びその家族等と話し合いを行い、患者本人の意思決定を基本に、他の関係者と連携の上対応する。当該加算を算定した場合は、死亡した場所、死亡時刻等を看護記録に記録すること。1つの保険医療機関において、死亡日及び死亡日前14日以内の計15日間に介護保険制度又は医療保険制度の給付の対象となる訪問看護をそれぞれ1日以上実施した場合は、最後に実施した訪問看護が医療保険制度の給付による場合に、当該加算を算定する。また、同一の患者に、他の保険医療機関において在宅患者訪問看護・指導料の在宅ターミナルケア加算若しくは同一建物居住者訪問看護・指導料の同一建物居住者ターミナルケア加算を算定している場合又は訪問看護ステーションにおいて訪問看護ターミナルケア療養費を算定している場合においては算定できない。

イ 在宅ターミナルケア加算のイ又は同一建物居住者ターミナルケア加算のイは、在宅で死亡した患者(ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した者を含む。)又は指定居宅サービス基準第174条第1項に規定する指定特定施設、指定地域密着型サービス基準第90条第1項に規定する指定認知症対応型共同生活介護事業所若しくは介護保険法(平成9年法律第123号)第48条第1項第1号に規定する指定介護老人福祉施設(以下「特別養護老人ホーム等」という。)で死亡した患者(指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表の1に規定する看取り介護加算その他これに相当する加算(以下「看取り介護加算等」という。)を算定している者を除き、ターミナルケアを行った後、24時間以内に特別養護老人ホーム等以外で死亡した者を含む。)に対して、ターミナルケアを行った場合に算定する。

ウ 在宅ターミナルケア加算のロ又は同一建物居住者ターミナルケア加算のロについては、特別養護老人ホーム等で死亡した患者(看取り介護加算等を算定している者に限り、ターミナルケアを行った後、24時間以内に特別養護老人ホーム等以外で死亡した者を含む。)に対して、ターミナルケアを行った場合に算定する。

(25) 在宅患者訪問看護・指導料の「注11」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注6」の規定により準用する在宅患者訪問看護・指導料の「注11」に規定する在宅移行管理加算は、当該保険医療機関を退院した日から起算して1月以内の期間に次のいずれかに該当する患者又はその家族からの相談等に対して、24時間対応できる体制が整備されている保険医療機関において、患者1人につき1回に限り算定する。

この場合において、特別な管理を必要とする患者はアからオまでに掲げるものとし、そのうち重症度等の高い患者は、アに掲げるものとする。なお、エにおいて当該加算を算定する場合は、定期的(1週間に1回以上)に褥瘡の状態の観察・アセスメント・評価(褥瘡の深さ、滲出液、大きさ、炎症・感染、肉芽組織、壊死組織、ポケット)を行い、褥瘡の発生部位及び実施したケアについて看護記録に記録すること。なお、実施したケアには必要に応じて患者の家族等への指導も含むものである。

ア 区分番号「C108」在宅悪性腫瘍等患者指導管理料を算定している患者、区分番号「C112」在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者、気管カニューレを使用している患者及び留置カテーテルを使用している患者

イ 区分番号「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料、区分番号「C102―2」在宅血液透析指導管理料、区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料、区分番号「C104」在宅中心静脈栄養法指導管理料、区分番号「C105」在宅成分栄養経管栄養法指導管理料、区分番号「C106」在宅自己導尿指導管理料、区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料、区分番号「C107―2」在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料、区分番号「C110」在宅自己疼痛管理指導管理料又は区分番号「C111」在宅肺高血圧症患者指導管理料のうちいずれかを算定している患者

ウ 人工肛門又は人工膀胱を設置している患者であってその管理に配慮を必要とする患者

エ 以下の(イ)又は(ロ)のいずれかの真皮を越える褥瘡の状態にある者

(イ) NPUAP(The National Pressure Ulcer Advisory Panel)分類Ⅲ度又はⅣ度

(ロ) DESIGN―R分類(日本褥瘡学会によるもの)D3、D4又はD5

オ 区分番号「C005―2」在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している患者

(26) 在宅患者訪問看護・指導料の「注12」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注6」の規定により準用する在宅患者訪問看護・指導料の「注12」に規定する夜間・早朝訪問看護加算及び深夜訪問看護加算については、夜間(午後6時から午後10時までをいう。)又は早朝(午前6時から午前8時までの時間をいう。)、深夜(午後10時から午前6時までをいう。)に患家の求めに応じて訪問看護・指導を行った場合に算定する。またこれは、緊急訪問看護加算との併算定を可とする。

(27) 在宅患者訪問看護・指導料の「注13」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注6」の規定により準用する在宅患者訪問看護・指導料の「注13」に規定する看護・介護職員連携強化加算については、保険医療機関の看護師又は准看護師が、口腔内の喀痰吸引、鼻腔内の喀痰吸引、気管カニューレ内部の喀痰吸引、胃瘻若しくは腸瘻による経管栄養又は経鼻経管栄養を必要とする患者に対して、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第48条の3第1項の登録を受けた登録喀痰吸引等事業者又は同法附則第20条第1項の登録を受けた登録特定行為事業者(以下「登録喀痰吸引等事業者等」という。)の介護職員等(以下「介護職員等」という。)が実施する社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和62年厚生省令第49号)第1条各号に掲げる医師の指示の下に行われる行為(以下「喀痰吸引等」という。)の業務が円滑に行われるよう支援を行う取組を評価するものである。

ア 当該加算は、患者の病状やその変化に合わせて、主治医の指示により、(イ)及び(ロ)の対応を行っている場合に算定する。

(イ) 喀痰吸引等に係る計画書や報告書の作成及び緊急時等の対応についての助言

(ロ) 介護職員等に同行し、患者の居宅において喀痰吸引等の業務の実施状況についての確認

イ 当該加算は、次の場合には算定できない。

(イ) 介護職員等の喀痰吸引等に係る基礎的な技術取得や研修目的での同行訪問

(ロ) 同一の患者に、他の保険医療機関又は訪問看護ステーションにおいて看護・介護職員連携強化加算を算定している場合

ウ 当該加算は、介護職員等と同行訪問を実施した日の属する月の初日の訪問看護・指導の実施日に算定する。また、その内容を訪問看護記録書に記録すること。

エ 登録喀痰吸引等事業者等が、患者に対する安全なサービス提供体制整備や連携体制確保のために会議を行う場合は、当該会議に出席し連携する。また、その場合は、会議の内容を訪問看護記録書に記録すること。

オ 患者又はその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に対応できるよう、患者又はその家族等に対して、保険医療機関の名称、所在地、電話番号並びに時間外及び緊急時の連絡方法を記載した文書を交付すること。

(28) 在宅患者訪問看護・指導料の「注14」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注6」の規定により準用する在宅患者訪問看護・指導料の「注14」に規定する特別地域訪問看護加算は、当該保険医療機関の所在地から患家までの訪問につき、最も合理的な通常の経路及び方法で片道1時間以上要する患者に対して、特掲診療料の施設基準等第四の四の三の三に規定する地域(以下「特別地域」という。)に所在する保険医療機関の看護師等が訪問看護・指導を行った場合又は特別地域以外に所在する保険医療機関の看護師等が特別地域に居住する患者に対して訪問看護・指導を行った場合に、在宅患者訪問看護・指導料又は同一建物訪問看護・指導料の所定点数(注に規定する加算は含まない。)の100分の50に相当する点数を加算する。なお、当該加算は、交通事情等の特別の事情により訪問に要した時間が片道1時間以上となった場合は算定できない。特別地域訪問看護加算を算定する保険医療機関は、その所在地又は患家の所在地が特別地域に該当するか否かについては、地方厚生(支)局に確認すること。

(29) 在宅患者訪問看護・指導料の「注15」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注6」の規定により準用する在宅患者訪問看護・指導料の「注15」に規定する訪問看護・指導体制充実加算は、訪問看護・指導に係る十分な体制を整備し、訪問看護・指導等に係る相当の実績を有する保険医療機関における訪問看護・指導を評価するものであり、別に定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関の看護師等が訪問看護・指導を実施した場合に、月1回に限り算定する。

(30) 訪問看護・指導の実施に当たっては、保険医療機関における看護業務に支障を来すことのないよう留意するとともに、市町村の実施する訪問指導事業等関連事業との連携に十分留意する。

(31) 在宅患者訪問看護・指導料の「注17」又は同一建物居住者訪問看護・指導料の「注6」の規定により準用する在宅患者訪問看護・指導料の「注17」に規定する交通費は実費とする。

C005―2 在宅患者訪問点滴注射管理指導料

(1) 在宅患者訪問点滴注射管理指導料は、在宅での療養を行っている患者であって、通院困難な者について、当該患者の在宅での療養を担う保険医の診療に基づき、週3日以上の点滴注射を行う必要を認め、当該保険医療機関の看護師又は准看護師(以下この項において「看護師等」という。)に対して指示を行い、その内容を診療録に記載した場合又は指定訪問看護事業者に別紙様式16、別紙様式17の2又は別紙様式18を参考に作成した在宅患者訪問点滴注射指示書に有効期間(7日以内に限る。)及び指示内容を記載して指示を行った場合において、併せて使用する薬剤、回路等、必要十分な保険医療材料、衛生材料を供与し、1週間(指示を行った日から7日間)のうち3日以上看護師等が患家を訪問して点滴注射を実施した場合に3日目に算定する。なお、算定要件となる点滴注射は、看護師等が実施した場合であり、医師が行った点滴注射は含まれない。

(2) 点滴注射指示に当たっては、その必要性、注意点等を点滴注射を実施する看護師等に十分な説明を行うこと。

(3) 点滴注射を実施する看護師等は、患者の病状の把握に努めるとともに、当該指示による点滴注射の終了日及び必要を認めた場合には在宅での療養を担う保険医への連絡を速やかに行うこと。なお、その連絡は電話等でも差し支えないこと。

(4) 在宅での療養を担う保険医は、患者、患者の家族又は看護師等から容態の変化等についての連絡を受けた場合は、速やかに対応すること。

(5) 在宅患者訪問点滴注射管理指導料には、必要な回路等の費用が含まれており、別に算定できない。

(6) 区分番号「C104」在宅中心静脈栄養法指導管理料又は区分番号「C108」在宅悪性腫瘍等患者指導管理料を算定した場合には、当該管理指導料は算定できない。

(7) 在宅患者訪問点滴注射管理指導料に係る薬剤料は別に算定できる。

(8) 週3日以上実施できなかった場合においても、使用した分の薬剤料は算定できる。

C006 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料

(1) 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院してリハビリテーションを受けることが困難な者又はその家族等患者の看護に当たる者に対して、医師の診療に基づき、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を訪問させて、患者の病状及び療養環境等を踏まえ療養上必要な指導を20分以上行った場合(以下この区分において「1単位」という。)に算定する。

(2) 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の「1」は、在宅での療養を行っている患者(同一建物居住者であるものを除く。)に対して、在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の「2」は、同一建物居住者であるものに対して、必要な指導を行わせた場合に算定する。

(3) 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料の算定は週6単位を限度(末期の悪性腫瘍の患者の場合を除く。)とする。ただし、退院の日から起算して3月以内の患者に対し、入院先の医療機関の医師の指示に基づき継続してリハビリテーションを行う場合は、週12単位まで算定できる。

(4) 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料は、訪問診療を実施する保険医療機関において医師の診療のあった日から1月以内に行われた場合に算定する。

ただし、当該患者(患者の病状に特に変化がないものに限る。)に関し、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」又は在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の注1の「イ」を算定すべき訪問診療を行っている保険医療機関が、患者の同意を得て、診療の日から2週間以内に、当該患者に対して継続して在宅患者訪問リハビリテーション指導管理を行っている別の保険医療機関に対して、診療状況を示す文書を添えて、当該患者に係る療養上必要な情報を提供した場合には、当該診療情報の提供(区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)の場合に限る。)を行った保険医療機関において、当該診療情報提供料の基礎となる診療があった日から1月以内に行われた場合に算定する。

(5) 指導の内容は、患者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練、生活適応訓練、基本的対人関係訓練、言語機能又は聴覚機能等に関する指導とする。

(6) 医師は、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士に対して行った指示内容の要点を診療録に記載する。

(7) 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、医師の指示に基づき行った指導の内容の要点及び指導に要した時間を記録すること。

(8) 他の保険医療機関において在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料を算定している患者については、在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料を算定できない。

(9) 「注3」に規定する交通費は実費とする。

(10) 保険医療機関が診療に基づき、1月にバーセル指数又はFIMが5点以上悪化し、一時的に頻回の訪問リハビリテーションが必要であると認められた患者については、6月に1回に限り、当該診療を行った日から14日以内の期間において、14日を限度として1日に4単位まで算定できる。

当該患者が介護保険法第62条に規定する要介護被保険者等である場合には、診療録に頻回の訪問リハビリテーションが必要であると認めた理由及び頻回の訪問リハビリテーションが必要な期間(ただし14日間以内に限る。)を記載する。

C007 訪問看護指示料

(1) 訪問看護指示料は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、負傷のために通院による療養が困難な者に対する適切な在宅医療を確保するため、指定訪問看護に関する指示を行うことを評価するものであり、在宅での療養を行っている患者の診療を担う保険医(患者が選定する保険医療機関の保険医に限る。以下この項において「主治医」という。)が、診療に基づき指定訪問看護の必要性を認め、当該患者の同意を得て、別紙様式16を参考に作成した訪問看護指示書に有効期間(6月以内に限る。)を記載して、当該患者が選定する訪問看護ステーションに対して交付した場合に算定する。なお、1か月の指示を行う場合には、訪問看護指示書に有効期間を記載することを要しない。

(2) 主治医は、在宅療養に必要な衛生材料及び保険医療材料(以下この項において「衛生材料等」という。)の量の把握に努め、十分な量の衛生材料等を患者に支給すること。

(3) 指定訪問看護の指示は、当該患者に対して主として診療を行う保険医療機関が行うことを原則とし、訪問看護指示料は、退院時に1回算定できるほか、在宅での療養を行っている患者について1月に1回を限度として算定できる。なお、同一月において、1人の患者について複数の訪問看護ステーションに対して訪問看護指示書を交付した場合であっても、当該指示料は、1月に1回を限度に算定するものであること。

ただし、A保険医療機関と特別の関係にあるB保険医療機関において区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料又は区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料及び区分番号「I012」精神科訪問看護・指導料を算定している月においては、A保険医療機関は当該患者について訪問看護指示料は算定できない。

(4) 特別訪問看護指示加算は、患者の主治医が、診療に基づき、急性増悪、終末期、退院直後等の事由により、週4回以上の頻回の指定訪問看護を一時的に当該患者に対して行う必要性を認めた場合であって、当該患者の同意を得て、別紙様式18を参考に作成した特別訪問看護指示書を、当該患者が選定する訪問看護ステーションに対して交付した場合に、1月に1回(別に厚生労働大臣が定める者については2回)を限度として算定する。ここでいう頻回の訪問看護を一時的に行う必要性とは、恒常的な頻回の訪問看護の必要性ではなく、状態の変化等で日常行っている訪問看護の回数では対応できない場合であること。また、その理由等については、特別訪問看護指示書に記載すること。

なお、当該頻回の指定訪問看護は、当該特別の指示に係る診療の日から14日以内に限り実施するものであること。

【厚生労働大臣が定める者】

ア 気管カニューレを使用している状態にある者

イ 以下の(イ)又は(ロ)のいずれかの真皮を越える褥瘡の状態にある者

(イ) NPUAP(The National Pressure Ulcer Advisory Panel)分類Ⅲ度又はⅣ度

(ロ) DESIGN―R分類(日本褥瘡学会によるもの)D3、D4又はD5

(5) 患者の主治医は、指定訪問看護の必要性を認めた場合には、診療に基づき速やかに訪問看護指示書及び特別訪問看護指示書(以下この項において「訪問看護指示書等」という。)を作成すること。当該訪問看護指示書等には、緊急時の連絡先として、診療を行った保険医療機関の電話番号等を必ず記載した上で、訪問看護ステーションに交付すること。

なお、訪問看護指示書等は、特に患者の求めに応じて、患者又はその家族等を介して訪問看護ステーションに交付できるものであること。

(6) 主治医は、交付した訪問看護指示書等の写しを診療録に添付すること。

(7) 患者の主治医は、当該訪問看護指示書交付後であっても、患者の病状等に応じてその期間を変更することができるものであること。なお、指定訪問看護の指示を行った保険医療機関は、訪問看護ステーションからの対象患者について相談等があった場合には、懇切丁寧に対応すること。

(8) 区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料又は区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料の(4)に掲げる疾病等の患者について、2つの訪問看護ステーションに対して訪問看護指示書を交付する場合には、それぞれの訪問看護指示書に、他の訪問看護ステーションに対して訪問看護指示書を交付している旨及び当該他の訪問看護ステーションの名称を記載すること。

(9) 「注3」に規定する衛生材料等提供加算は、在宅療養において衛生材料等が必要な患者に対し、当該患者へ訪問看護を実施している訪問看護ステーションから提出された訪問看護計画書及び訪問看護報告書を基に、療養上必要な量について判断の上、必要かつ十分な量の衛生材料等を患者に支給した場合に算定する。

(10) 区分番号「C002」在宅時医学総合管理料、区分番号「C002―2」施設入居時等医学総合管理料、区分番号「C003」在宅がん医療総合診療料、区分番号「C005―2」在宅患者訪問点滴注射管理指導料、第2節第1款の各区分に規定する在宅療養指導管理料を算定した場合は、「注3」の加算は当該管理料等に含まれ別に算定できない。

C007―2 介護職員等喀痰吸引等指示料

介護職員等喀痰吸引等指示料は、当該患者に対する診療を担う保険医療機関の保険医が、診療に基づき訪問介護、訪問入浴介護、通所介護、特定施設入居者生活介護等の指定居宅サービス事業者その他別に厚生労働大臣が定めるものによる社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和62年厚生省令第49号)第1条各号に掲げる医師の指示の下に行われる行為の必要を認め、患者の同意を得て当該患者の選定する事業者に対して、別紙様式34を参考に作成した介護職員等喀痰吸引等指示書に有効期限(6月以内に限る。)を記載して交付した場合に、患者1人につき3月に1回に限り算定する。

C008 在宅患者訪問薬剤管理指導料

(1) 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、負傷のために通院による療養が困難な者について、保険医療機関の薬剤師が当該保険医療機関の医師及び当該患者の同意を得て、患家を訪問して薬剤管理指導記録に基づいて直接患者又はその家族等に服薬指導、服薬支援その他の薬学的管理指導を行った場合に算定する。

ただし、薬学的管理指導の対象となる患者が他の保険医療機関に入院している場合、医師若しくは薬剤師の配置が義務付けられている施設に入居若しくは入所している場合(給付調整告示等に規定する場合を除く。)又は現に他の保険医療機関若しくは保険薬局の薬剤師が在宅患者訪問薬剤管理指導を行っている場合には、在宅患者訪問薬剤管理指導料は算定できない。

(2) 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、単一建物診療患者の人数に従い算定する。ここでいう単一建物診療患者の人数とは、当該患者が居住する建築物に居住する者のうち、当該保険医療機関が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者(当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において算定するものを含む。以下この区分において同じ。)の人数をいう。なお、ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所については、それぞれのユニットにおいて、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する人数を、単一建物診療患者の人数とみなすことができる。

(3) 1つの患家に当該指導料の対象となる同居する同一世帯の患者が2人以上いる場合は、患者ごとに「単一建物診療患者が1人の場合」を算定する。また、当該建築物において、当該保険医療機関が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合又は当該建築物の戸数が20戸未満であって、当該保険医療機関が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者が2人以下の場合には、それぞれ「単一建物診療患者が1人の場合」を算定する。

(4) 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、「1」、「2」及び「3」を合わせて1月に4回(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者については、週2回かつ月8回)を限度として算定できるが、その場合であっても薬剤師1人につき週40回に限るものとする。ただし、月2回以上算定する場合にあっては、本指導料を算定する日の間隔は6日以上とする。なお、この場合には診療報酬明細書の摘要欄に当該算定日を記載すること。

(5) 当該保険医療機関の薬剤師は、指導に当たって、過去の投薬及び副作用発現状況等の基礎的事項を把握するとともに、指導の対象となる患者ごとに薬剤管理指導記録を作成すること。なお、当該薬剤管理指導記録には、次の事項を記載し、最後の記入の日から最低3年間保存すること。

ア 患者の氏名、生年月日、性別、住所、診療録の番号

イ 患者の投薬歴、副作用歴、アレルギー歴

ウ 薬学的管理指導の内容(医薬品の保管状況、服薬状況、残薬の状況、重複投薬、配合禁忌等に関する確認及び実施した服薬支援措置を含む。)

エ 患者への指導及び患者からの相談の要点

オ 訪問指導等の実施日、訪問指導を行った薬剤師の氏名

カ その他の事項

(6) 「注2」の麻薬管理指導加算は、本指導料を算定している患者のうち、麻薬が投与されている患者に対して、定期的に、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱上の注意事項等に関し、必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛効果や副作用の有無の確認を行い、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。

(7) 麻薬管理指導加算の算定に当たっては、(5)の薬剤管理指導記録に、少なくとも次の事項について記載しなければならないこと。

ア 麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、疼痛緩和の状況、副作用の有無の確認等)

イ 麻薬に係る患者・家族への指導・相談事項(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)

ウ 患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項

エ その他麻薬に係る事項

(8) 乳幼児加算は、乳幼児に係る薬学的管理指導の際に、患者の体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。

(9) 「注3」に規定する交通費は実費とする。

(10) 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者に投薬された医薬品について、当該保険医療機関の薬剤師が以下の情報を知ったときは、原則として当該薬剤師は、速やかに在宅での療養を行っている患者の診療を担う保険医に対し、当該情報を文書により提供するとともに、当該保険医に相談の上、必要に応じ、患者に対する薬学的管理指導を行うものとする。

ア 緊急安全性情報、安全性速報

イ 医薬品・医療機器等安全性情報

C009 在宅患者訪問栄養食事指導料

(1) 在宅患者訪問栄養食事指導料は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、負傷のために通院による療養が困難な者について、保険医療機関の医師が当該患者に特掲診療料の施設基準等に規定する特別食を提供する必要性を認めた場合又は次のいずれかに該当するものとして医師が栄養管理の必要性を認めた場合であって、当該医師の指示に基づき、管理栄養士が患家を訪問し、患者の生活条件、し好等を勘案した食品構成に基づく食事計画案又は具体的な献立等を示した栄養食事指導箋を患者又はその家族等に対して交付するとともに、当該指導箋に従い、食事の用意や摂取等に関する具体的な指導を30分以上行った場合に算定する。

ア がん患者

イ 摂食機能又は嚥下機能が低下した患者

ウ 低栄養状態にある患者

(2) 在宅患者訪問栄養食事指導料1は、保険医療機関の管理栄養士が当該保険医療機関の医師の指示に基づき、指導を行った場合に算定する。

また、在宅患者訪問栄養食事指導料2は、診療所において、当該診療所以外(公益社団法人日本栄養士会若しくは都道府県栄養士会が設置し、運営する「栄養ケア・ステーション」又は他の保険医療機関に限る。)の管理栄養士が当該診療所の医師の指示に基づき、対面による指導を行った場合に算定する。

(3) 在宅患者訪問栄養食事指導料は、単一建物診療患者の人数に従い算定する。ここでいう単一建物診療患者の人数とは、当該患者が居住する建築物に居住する者のうち、当該保険医療機関が在宅患者訪問栄養食事指導料を算定する者(当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において算定するものを含む。以下この区分において同じ。)の人数をいう。なお、ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所については、それぞれのユニットにおいて、在宅患者訪問栄養食事指導料を算定する人数を、単一建物診療患者の人数とみなすことができる。

(4) 1つの患家に当該指導料の対象となる同居する同一世帯の患者が2人以上いる場合は、患者ごとに「単一建物診療患者が1人の場合」を算定する。また、当該建築物において、当該保険医療機関が在宅患者訪問栄養食事指導料を算定する者の数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合又は当該建築物の戸数が20戸未満であって、当該保険医療機関が在宅患者訪問栄養食事指導料を算定する者が2人以下の場合には、それぞれ「単一建物診療患者が1人の場合」を算定する。

(5) 「注2」に規定する交通費は実費とする。

(6) 上記以外の点に関しては、区分番号「B001」の「9」外来栄養食事指導料における留意事項の例による。

C010 在宅患者連携指導料

(1) 在宅患者連携指導料は、在宅での療養を行っている患者の診療情報等を、当該患者の診療等を担う保険医療機関等の医療関係職種間で文書等により共有し、それぞれの職種が当該診療情報等を踏まえ診療等を行う取組を評価するものである。

例えば、在宅での療養を行っている一人の患者に対して、保険医療機関の保険医と保険医である歯科医師がそれぞれ訪問診療により当該患者の診療を担っている場合において、保険医である歯科医師が訪問診療を行った際に得た当該患者の口腔内の状態に関する診療情報を保険医に対して文書等で提供し、保険医が当該患者に訪問診療を行った際に、その情報を踏まえた指導を行った場合に算定できる。

(2) 在宅での療養を行っている患者であって通院が困難な者に対して、患者の同意を得て、月2回以上医療関係職種間で文書等(電子メール、ファクシミリでも可)により共有された診療情報を基に、患者又はその家族等に対して指導等を行った場合に、月1回に限り算定する。

(3) 単に医療関係職種間で当該患者に関する診療情報を交換したのみの場合や訪問看護や訪問薬剤指導を行うよう指示を行ったのみでは算定できない。

(4) 他職種から情報提供を受けた場合、できる限り速やかに患者への指導等に反映させるよう留意しなければならない。また、当該患者の療養上の指導に関する留意点がある場合には、速やかに他職種に情報提供するよう努めなければならない。

(5) 他職種から受けた診療情報の内容及びその情報提供日並びにその診療情報を基に行った診療の内容又は指導等の内容の要点及び診療日を診療録に記載すること。

C011 在宅患者緊急時等カンファレンス料

(1) 在宅患者緊急時等カンファレンス料は、在宅での療養を行っている患者の状態の急変や診療方針の変更等の際、当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等が一堂に会す等、カンファレンスを行うことにより、より適切な治療方針を立てること及び当該カンファレンスの参加者の間で診療方針の変更等の的確な情報共有を可能とすることは、患者及びその家族等が安心して療養生活を行う上で重要であることから、そのような取組に対して評価するものである。

(2) 在宅患者緊急時等カンファレンス料は、在宅での療養を行っている患者の病状が急変した場合や、診療方針の大幅な変更等の必要が生じた場合に、患家を訪問し、関係する医療関係職種等が共同でカンファレンスを行い、当該カンファレンスで共有した当該患者の診療情報等を踏まえ、それぞれの職種が患者に対して療養上必要な指導を行った場合に月2回に限り算定する。

(3) 当該カンファレンスは、関係者全員が患家に赴き実施することが原則であるが、以下のア及びイを満たす場合は、関係者のうちいずれかがビデオ通話が可能な機器を用いて参加することができる。

ア 当該カンファレンスに3者以上が参加すること

イ 当該3者のうち2者以上は、患家に赴きカンファレンスを行っていること

なお、当該保険医療機関がビデオ通話が可能な機器を用いて当該カンファレンスに参加しても差し支えない。

(4) また、関係者のうちいずれかが、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の「別添3」の「別紙2」に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域に属する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が400床以上の病院、DPC対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期一般入院料1のみを届け出ている病院を除く。)等に所属する場合においては、以下のアからウまでを満たすときは、関係者のうちいずれかがビデオ通話が可能な機器を用いて参加することができる。

ア 当該カンファレンスを当該月に2回実施する場合の2回目のカンファレンスであること

イ 当該2回目のカンファレンスに3者以上が参加すること

ウ イにおいて、当該3者のうち1者以上は、患家に赴きカンファレンスを行っていること

(5) (3)及び(4)において、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

(6) 在宅患者緊急時等カンファレンス料は、カンファレンスを行い、当該カンファレンスで共有した当該患者の診療情報を踏まえた療養上必要な指導を行った場合に、当該指導を行った日に算定することとし、区分番号「A000」初診料、区分番号「A001」再診料、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)は併せて算定できない。また、必要に応じ、カンファレンスを行った日以降に当該指導を行う必要がある場合には、カンファレンスを行った日以降できる限り速やかに指導を行うこと。

なお、当該指導とは、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)を算定する訪問診療とは異なるものであるが、例えば、当該指導とは別に継続的に実施している訪問診療を当該指導を行った日と同一日に行う場合には、当該指導を行った日において区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)を併せて算定することは可能であること。

(7) 当該在宅患者緊急時等カンファレンス料を算定する場合には、カンファレンスの実施日及び当該指導日を診療報酬明細書に記載すること。

(8) 当該カンファレンスは、原則として患家で行うこととするが、患者又は家族が患家以外の場所でのカンファレンスを希望する場合はこの限りでない。

(9) 在宅での療養を行っている患者の診療を担う保険医は、当該カンファレンスに参加した医療関係職種等の氏名、カンファレンスの要点、患者に行った指導の要点及びカンファレンスを行った日を診療録に記載すること。

C012 在宅患者共同診療料

(1) 在宅患者共同診療料は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、負傷のために通院による療養が困難かつ在宅療養後方支援病院を緊急時の搬送先として希望する患者に対して、在宅療養後方支援病院が、在宅医療を提供する医療機関(以下「連携医療機関」という。)からの求めに応じて共同で往診又は訪問診療を行った場合に算定する。

(2) 在宅療養後方支援病院は、訪問診療を行った後に、連携医療機関と十分情報交換を行った上で計画を策定することとする。

(3) 15歳未満の人工呼吸器装着患者、15歳未満から引き続き人工呼吸を実施しており体重が20キログラム未満の患者又は神経難病等の患者を対象とする場合については、当該診療料を1年に12回算定することができる。

C013 在宅患者訪問褥瘡管理指導料

(1) 在宅患者訪問褥瘡管理指導料は、在宅褥瘡管理に係る専門的知識・技術を有する在宅褥瘡管理者を含む多職種からなる在宅褥瘡対策チームが、褥瘡予防や管理が難しく重点的な褥瘡管理が必要な者に対し、褥瘡の改善等を目的として、共同して指導管理を行うことを評価したものであり、褥瘡の改善等を目的とした指導管理のための初回訪問から起算して、当該患者1人について6月以内に限り、カンファレンスを実施した場合に3回を限度に所定点数を算定することができる。なお、当該指導料を算定した場合、初回訪問から1年以内は当該指導料を算定することはできない。

(2) 重点的な褥瘡管理が必要な者とは、ベッド上安静であって、既にDESIGN―Rによる深さの評価がd2以上の褥瘡を有する者であって、かつ、次に掲げるアからオまでのいずれかを有する者をいう。

ア 重度の末梢循環不全のもの

イ 麻薬等の鎮痛・鎮静剤の持続的な使用が必要であるもの

ウ 強度の下痢が続く状態であるもの

エ 極度の皮膚脆弱であるもの

オ 皮膚に密着させる医療関連機器の長期かつ持続的な使用が必要であるもの

(3) 在宅褥瘡対策チームは、褥瘡の改善、重症化予防、発生予防のための以下の計画的な指導管理を行う。

ア 初回訪問時に、在宅褥瘡管理者を含む在宅褥瘡対策チームの構成員の他、必要に応じて当該患者の診療を行う医療関係職種が患家に一堂に会し、褥瘡の重症度やリスク因子についてのアセスメントを行い、褥瘡の指導管理方針について、カンファレンス(以下「初回カンファレンス」という。)を実施し、在宅褥瘡診療計画を立案する。

イ 初回カンファレンス実施後、評価のためのカンファレンスの実施までの間、在宅褥瘡対策チームの各構成員は、月1回以上、計画に基づき、適切な指導管理を行い、その結果について情報共有する。

ウ 初回訪問後3月以内に、褥瘡の改善状況、在宅褥瘡診療計画に基づく指導管理の評価及び必要に応じて見直し(以下「評価等」という。)のためのカンファレンスを行う。2回目のカンファレンスにおいて評価等の結果、更に継続して指導管理が必要な場合に限り、初回カンファレンスの後4月以上6月以内の期間に3回目のカンファレンスにおいて評価等を実施することができる。なお、3回目のカンファレンスでの評価等は、2回目のカンファレンスの評価等の実施日から起算して3月以内に実施しなければならない。

(4) 初回カンファレンス及び2回目以降のカンファレンスは、関係者全員が患家に赴き実施することが原則であるが、以下のいずれも満たす場合は、ビデオ通話が可能な機器を用いて参加することができる。

ア 当該カンファレンスに、当該保険医療機関から在宅褥瘡対策チームの構成員として複数名参加すること

イ 当該保険医療機関の在宅褥瘡対策チームの構成員のうち、1名以上は患家に赴きカンファレンスを行っていること

(5) (4)において、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

(6) カンファレンス及び月1回以上の指導管理の結果を踏まえ、在宅褥瘡対策チームにおいて別紙様式43又はこれに準じた在宅褥瘡診療計画を作成し、その内容を患者等に説明するとともに、診療録に添付すること。

(7) 「注1」について、当該保険医療機関以外(公益社団法人日本栄養士会若しくは都道府県栄養士会が設置し、運営する「栄養ケア・ステーション」又は他の保険医療機関に限る。)の管理栄養士は、当該保険医療機関の保険医の指示に基づき、管理指導を実施すること。

(8) 「注1」については、初回カンファレンスを実施した場合に算定する。

なお、初回カンファレンス以降に在宅褥瘡対策チームの各構成員が月1回以上、計画に基づき行う適切な指導管理については、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)、区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)、区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料又は区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料、区分番号「I012」精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)(Ⅲ)、区分番号「C009」在宅患者訪問栄養食事指導料、訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)、精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅲ)を算定することができる。

(9) 「注2」については、褥瘡の指導管理のために患家に訪問して行われる初回カンファレンスのほか、2回目以降のカンファレンスを患家で行った日に、当該カンファレンスとは別に継続的に実施する必要のある訪問診療、訪問看護、訪問栄養指導を併せて行う場合には、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)、区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)、区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料又は区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料、区分番号「C009」在宅患者訪問栄養食事指導料、区分番号「I012」精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)、(Ⅲ)、訪問看護基本療養費(Ⅰ)、(Ⅱ)、精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)、(Ⅲ)を算定することができる。また、当該保険医療機関と特別の関係にある訪問看護ステーションによる場合においても、算定することができる。ただし、当該保険医療機関が訪問看護を実施している訪問看護ステーションと連携する場合は、当該保険医療機関において、訪問看護に係る費用を算定できないものとする。なお、当該保険医療機関及び継続的に訪問看護を実施している訪問看護ステーションに適切な在宅褥瘡管理者がいない場合において、褥瘡ケアに係る専門的な研修を受けた看護師が所属する保険医療機関等と共同して行った場合は、区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料の3、区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料の3、訪問看護基本療養費(Ⅰ)のハ又は訪問看護基本療養費(Ⅱ)のハのいずれかを算定することができる。

(10) (8)、(9)の算定に当たっては、カンファレンスの実施日、DESIGN―Rによる深さの評価及び本通知C013(2)のいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

第2節 在宅療養指導管理料

第1款 在宅療養指導管理料

1 在宅療養指導管理料は、当該指導管理が必要かつ適切であると医師が判断した患者について、患者又は患者の看護に当たる者に対して、当該医師が療養上必要な事項について適正な注意及び指導を行った上で、当該患者の医学管理を十分に行い、かつ、各在宅療養の方法、注意点、緊急時の措置に関する指導等を行い、併せて必要かつ十分な量の衛生材料又は保険医療材料を支給した場合に算定する。

ただし、当該保険医療機関に来院した患者の看護者に対してのみ当該指導を行った場合には算定できない。

なお、衛生材料等の支給に当たっては、以下の2又は3の方法によることも可能である。

2 衛生材料又は保険医療材料の支給に当たっては、当該患者へ訪問看護を実施している訪問看護事業者から、訪問看護計画書(「訪問看護計画書等の記載要領等について」別紙様式1)により必要とされる衛生材料等の量について報告があった場合、医師は、その報告を基に療養上必要な量について判断の上、患者へ衛生材料等を支給する。

また、当該訪問看護事業者から、訪問看護報告書(「訪問看護計画書等の記載要領等について」別紙様式2)により衛生材料等の使用実績について報告があった場合は、医師は、その内容を確認した上で、衛生材料等の量の調整、種類の変更等の指導管理を行う。

3 また、医師は、2の訪問看護計画書等を基に衛生材料等を支給する際、保険薬局(当該患者に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行っており、地域支援体制加算又は在宅患者調剤加算の届出を行っているものに限る。)に対して、必要な衛生材料等の提供を指示することができる。

4 在宅療養指導管理料は1月1回を限度として算定し、特に規定する場合を除き、同一の患者に対して同一月に指導管理を2回以上行った場合は、第1回の指導管理を行ったときに算定する。

5 2以上の保険医療機関が同一の患者について同一の在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行っている場合には、特に規定する場合を除き、主たる指導管理を行っている保険医療機関において当該在宅療養指導管理料を算定する。

6 同一の保険医療機関において、2以上の指導管理を行っている場合は、主たる指導管理の所定点数を算定する。

7 通則6について、15歳未満の人工呼吸器を装着している患者又は15歳未満から引き続き人工呼吸器を装着しており体重が20キログラム未満の患者に対して、区分番号「A206」在宅患者緊急入院診療加算に規定する在宅療養後方支援病院と連携している保険医療機関が、在宅療養後方支援病院と異なる在宅療養指導管理を行った場合には、それぞれの保険医療機関において在宅療養指導管理料を算定できる。なお、この場合は、それぞれの保険医療機関において算定している在宅療養指導管理料について、適切な情報交換を行い、重複した算定がないよう留意すること。

8 入院中の患者に対して、退院時に退院後の在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合には、退院の日1回に限り、在宅療養指導管理料の所定点数を算定できる。この場合においては、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療にて行った指導管理の費用は算定できない。また、死亡退院の場合又は他の病院若しくは診療所へ入院するため転院した場合には算定できない。

9 退院した患者に対して、当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、当該患者について当該保険医療機関において退院日に在宅療養指導管理料を算定していない場合に限り、在宅療養指導管理料を算定することができる。ただし、退院日に在宅療養指導管理料を算定した保険医療機関以外の保険医療機関において在宅療養指導管理料を算定する場合においては、診療報酬明細書の摘要欄に当該算定理由を記載すること。このため、在宅療養指導管理料を算定する場合は、患者に対し当該月の入院の有無を確認すること。

10 在宅療養を実施する保険医療機関においては、緊急事態に対処できるよう施設の体制、患者の選定等に十分留意すること。特に、入院施設を有しない診療所が在宅療養指導管理料を算定するに当たっては、緊急時に必要かつ密接な連携を取り得る入院施設を有する他の保険医療機関において、緊急入院ができる病床が常に確保されていることが必要であること。

11 当該在宅療養を指示した根拠、指示事項(方法、注意点、緊急時の措置を含む。)、指導内容の要点を診療録に記載すること。

12 保険医療機関が在宅療養指導管理料を算定する場合には、当該指導管理に要するアルコール等の消毒薬、衛生材料(脱脂綿、ガーゼ、絆創膏等)、酸素、注射器、注射針、翼状針、カテーテル、膀胱洗浄用注射器、クレンメ等は、当該保険医療機関が提供すること。なお、当該医療材料の費用は、別に診療報酬上の加算等として評価されている場合を除き所定点数に含まれ、別に算定できない。

13 関連学会より留意事項が示されている在宅療養については、指示、管理に当たってはこれらの事項を十分参考とするものとする。(例:「がん緩和ケアに関するマニュアル」(厚生労働省・日本医師会監修))

C100 退院前在宅療養指導管理料

(1) 入院中の患者に対して外泊時に退院後の在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合には、外泊の初日1回に限り退院前在宅療養指導管理料を算定する。

(2) 退院前在宅療養指導管理料を算定した同一月に他の在宅療養指導管理料を算定することができるが、退院前在宅療養指導管理料を算定した日には他の在宅療養指導管理料及び在宅療養指導管理材料加算は算定できない。

(3) 入院料の取扱い上は外泊とならない1泊2日の場合であっても、退院前在宅療養指導管理料の算定要件を満たせば当該指導管理料を算定することができる。

(4) 退院前在宅療養指導管理料を算定できるのは、あくまでも退院した場合であり、病状の悪化等により退院できなかった場合には算定できない。また、外泊後、帰院することなく転院した場合には算定できない。

(5) 「注2」に規定する乳幼児加算は、6歳未満の乳幼児に対して退院前在宅療養指導管理料を算定する場合に加算する。

C101 在宅自己注射指導管理料

(1) 在宅における排卵誘発を目的とする性腺刺激ホルモン製剤を用いた治療については、在宅自己注射指導管理料は算定できない。ただし、性腺刺激ホルモン製剤に含まれるフォリトロピンベータ製剤(遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン製剤)を「視床下部―下垂体機能障害に伴う無排卵及び希発排卵における排卵誘発」の治療のために投与した場合、又はフォリトロピンアルファ製剤(遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン製剤)を「視床下部―下垂体機能障害又は多嚢胞性卵巣症候群に伴う無排卵及び希発排卵における排卵誘発」の治療のために投与した場合に限っては、在宅自己注射指導管理料を算定できる。

(2) インターフェロンベータ製剤については、多発性硬化症に対して用いた場合に限り算定する。

(3) インターフェロンアルファ製剤については、C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善(血中HCV RNA量が高い場合を除く。)を目的として単独投与に用いた場合、C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善(セログループ1の血中HCV RNA量が高い場合を除く。)を目的として単独投与に用いた場合、HBe抗原陽性でかつDNAポリメラーゼ陽性のB型慢性活動性肝炎のウイルス血症の改善を目的として単独投与に用いた場合及びHTLV―1関連脊髄症(HAM)に対して用いた場合に限り算定する。なお、ペグインターフェロンアルファ製剤については算定できない。

(4) グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L―システイン塩酸塩配合剤については、慢性肝疾患における肝機能異常の改善に対して用い、在宅自己注射での静脈内投与について十分な経験を有する患者であって、医師により必要な指導を受けた場合に限り算定する。

(5) 顆粒球コロニー形成刺激因子製剤については、再生不良性貧血及び先天性好中球減少症の患者に対して用いた場合に限り算定する。

(6) アドレナリン製剤については、蜂毒、食物及び毒物等に起因するアナフィラキシーの既往のある患者又はアナフィラキシーを発現する危険性の高い患者に対して、定量自動注射器を緊急補助的治療として用いた場合に限り算定する。

(7) 「1」複雑な場合については、間歇注入シリンジポンプを用いて在宅自己注射を行っている患者について、診察を行った上で、ポンプの状態、投与量等について確認・調整等を行った場合に算定する。この場合、プログラムの変更に係る費用は所定点数に含まれる。

(8) 在宅自己注射の導入前に、入院又は2回以上の外来、往診若しくは訪問診療により、医師による十分な教育期間をとり、十分な指導を行った場合に限り算定する。ただし、アドレナリン製剤については、この限りではない。また、指導内容を詳細に記載した文書を作成し患者に交付すること。なお、第2節第1款の在宅療養指導管理料の通則の留意事項に従い、衛生材料等については、必要かつ十分な量を支給すること。

(9) 「2」については、医師が当該月に在宅で実施するよう指示した注射の総回数に応じて所定点数を算定する。なお、この場合において、例えば月の途中にて予期せぬ入院等があり、やむを得ずあらかじめ指示した回数が在宅で実施されなかった場合であっても、当該指示回数に応じて算定することができる。ただし、予定入院等あらかじめ在宅で実施されないことが明らかな場合は、当該期間中の指示回数から実施回数を除して算定すること。また、「2」は区分番号「B001」の「7」難病外来指導管理料との併算定は可とする。

(10) 「注2」に規定する導入初期加算については、新たに在宅自己注射を導入した患者に対し、3月に限り、月1回に限り算定する。ただし、処方の内容に変更があった場合は、さらに1回に限り算定することができる。

(11) 「注3」に規定する「処方の内容に変更があった場合」とは、処方された特掲診療料の施設基準等の別表第九に掲げる注射薬に変更があった場合をいう。また、先行バイオ医薬品とバイオ後続品の変更を行った場合及びバイオ後続品から先行バイオ医薬品が同一であるバイオ後続品に変更した場合には算定できない。なお、過去1年以内に処方されたことがある特掲診療料の施設基準等の別表第九に掲げる注射薬に変更した場合は、算定できない。

(12) 「注4」にて規定するバイオ後続品導入初期加算については、当該患者に対して、バイオ後続品の有効性や安全性等について説明した上で、バイオ後続品を処方した場合に、当該バイオ後続品の初回の処方日の属する月から起算して、3月に限り、月1回に限り算定する。「バイオ後続品を処方した場合」とは、バイオ後続品の一般的名称で処方した場合(例えば、「○○○○○○(遺伝子組換え)[●●●●●後続1]」と処方した場合をいう。)又はバイオ後続品の販売名で処方した場合(例えば、「●●●●● BS 注射液 含量 会社名」と処方した場合をいう。)をいう。

(13) 「注2」及び「注3」に規定する導入初期加算並びに「注4」に規定するバイオ後続品導入初期加算は、対面診療を行った場合に限り、算定できる。

(14) 在宅自己注射指導管理料を算定している患者の外来受診時(緊急時に受診した場合を除く。)に、当該在宅自己注射指導管理に係る区分番号「G000」皮内、皮下及び筋肉内注射、区分番号「G001」静脈内注射を行った場合の費用及び当該注射に使用した当該患者が在宅自己注射を行うに当たり医師が投与を行っている特掲診療料の施設基準等の別表第九に掲げる注射薬の費用は算定できない。なお、緊急時に受診した場合の注射に係る費用を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に緊急時の受診である旨を記載すること。

(15) 在宅自己注射指導管理料を算定している患者については、当該保険医療機関において区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)を算定する日に行った区分番号「G000」皮内、皮下及び筋肉内注射、区分番号「G001」静脈内注射及び区分番号「G004」点滴注射の費用(薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は算定できない。

(16) 同一月に第2章第6部の通則6に規定する外来化学療法加算を算定している患者の外来受診時に、当該加算に係る注射薬を用いて当該患者に対して自己注射に関する指導管理を行った場合については、当該管理料を算定できない。

(17) トシリズマブ製剤については、皮下注射により用いた場合に限り算定する。

(18) アバタセプト製剤については、皮下注射により用いた場合に限り算定する。

(19) 2以上の保険医療機関が同一の患者について、異なった疾患に対する当該指導管理を行っている場合には、いずれの保険医療機関においても、当該在宅療養指導管理料を算定できる。なお、この場合にあっては、相互の保険医療機関において処方されている注射薬等を把握すること。

(20) ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム製剤については、急性副腎皮質機能不全(副腎クリーゼ)の既往のある患者又は急性副腎皮質機能不全(副腎クリーゼ)を発症する危険性の高い患者に対して、筋肉内注射により用いた場合に限り算定する。

(21) 「注5」に規定する点数は、対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づいてオンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行うことを評価したものであり、オンライン診療を行った月に、オンライン診療料と併せて、月1回に限り算定する。

(22) 「注5」に規定する点数が算定可能な患者は、在宅自己注射指導管理料を算定している糖尿病、肝疾患(経過が慢性なものに限る。)又は慢性ウイルス性肝炎の患者であって、当該管理料を初めて算定した月から3月以上経過しているものに限る。

C101―2 在宅小児低血糖症患者指導管理料

在宅小児低血糖症患者指導管理料は、12歳未満の小児低血糖症の患者であって、薬物療法、経管栄養法若しくは手術療法を現に行っているもの又はそれらの終了後6月以内のものに対して、患者及びその家族等に対して適切な療養指導を行った場合に算定する。

C101―3 在宅妊娠糖尿病患者指導管理料

(1) 在宅妊娠糖尿病患者指導管理料1は、妊娠中の糖尿病患者又は妊娠糖尿病の患者であって、下記の者のうち、血糖自己測定値に基づく指導を行うため血糖測定器を現に使用している者に対して、適切な療養指導を行った場合に算定する。

妊娠中の糖尿病患者又は妊娠糖尿病患者のうち、以下のア又はイに該当する者

ア 以下のいずれかを満たす糖尿病である場合(妊娠時に診断された明らかな糖尿病)

(イ) 空腹時血糖値が126mg/dL以上

(ロ) HbA1cがJDS値で6.1%以上(NGSP値で6.5%以上)

(ハ) 随時血糖値が200mg/dL以上

(注) (ハ)の場合は、空腹時血糖値又はHbA1cで確認すること。

(ニ) 糖尿病網膜症が存在する場合

イ ハイリスクな妊娠糖尿病である場合

(イ) HbA1cがJDS値で6.1%未満(NGSP値で6.5%未満)で75gOGTT2時間値が200mg/dL以上

(ロ) 75gOGTTを行い、次に掲げる項目に2項目以上該当する場合又は非妊娠時のBMIが25以上であって、次に掲げる項目に1項目以上該当する場合

① 空腹時血糖値が92mg/dL以上

② 1時間値が180mg/dL以上

③ 2時間値が153mg/dL以上

(2) 在宅妊娠糖尿病患者指導管理料2は、(1)に該当し、妊娠中に在宅妊娠糖尿病患者指導管理料1を算定した患者であって、引き続き分娩後における血糖管理を必要とするものについて、当該分娩後12週間以内に適切な療養指導を行った場合に、1回に限り算定する。

C102 在宅自己腹膜灌流指導管理料

(1) 「注1」の「頻回に指導管理を行う必要がある場合」とは、次のような患者について指導管理を行う場合をいう。

ア 在宅自己連続携行式腹膜灌流の導入期にあるもの

イ 糖尿病で血糖コントロールが困難であるもの

ウ 腹膜炎の疑い、トンネル感染及び出口感染のあるもの

エ 腹膜の透析効率及び除水効率が著しく低下しているもの

オ その他医師が特に必要と認めるもの

(2) 1か月に2回以上在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に(1)のアからオまでの中から該当するものを明記する。

(3) 在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)は週1回を限度として、区分番号「J038」人工腎臓又は区分番号「J042」腹膜灌流の1の連続携行式腹膜灌流のいずれか一方を算定できる。なお、当該管理料を算定している患者に対して、他の医療機関において連続携行式腹膜灌流を行っても、当該所定点数は算定できない。また、当該管理料を算定している患者に対して、他の保険医療機関において人工腎臓を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に区分番号「J038」人工腎臓を算定している他の保険医療機関名及び他の保険医療機関での実施の必要性を記載すること。

C102―2 在宅血液透析指導管理料

(1) 在宅血液透析とは、維持血液透析を必要とし、かつ、安定した病状にあるものについて、在宅において実施する血液透析療法をいう。

(2) 導入時に頻回の指導を行う必要がある場合とは、当該患者が初めて在宅血液透析を行う場合であり、保険医療機関の変更によるものは含まれない。

(3) 「注1」の「頻回に指導管理を行う必要がある場合」とは、次のような患者について指導管理を行う場合をいう。

ア 在宅血液透析の導入期にあるもの

イ 合併症の管理が必要なもの

ウ その他医師が特に必要と認めるもの

(4) 在宅血液透析指導管理料を算定している患者は、週1回を限度として、区分番号「J038」人工腎臓を算定できる。

(5) 関係学会のガイドラインに基づいて患者及び介助者が医療機関において十分な教育を受け、文書において在宅血液透析に係る説明及び同意を受けた上で、在宅血液透析が実施されていること。また、当該ガイドラインを参考に在宅血液透析に関する指導管理を行うこと。

C103 在宅酸素療法指導管理料

(1) チアノーゼ型先天性心疾患に対する在宅酸素療法とは、ファロー四徴症、大血管転位症、三尖弁閉鎖症、総動脈幹症、単心室症などのチアノーゼ型先天性心疾患患者のうち、発作的に低酸素又は無酸素状態になる患者について、発作時に在宅で行われる救命的な酸素吸入療法をいう。

この場合において使用される酸素は、小型酸素ボンベ(500リットル以下)又はクロレート・キャンドル型酸素発生器によって供給されるものとする。

(2) 保険医療機関が、チアノーゼ型先天性心疾患の患者について在宅酸素療法指導管理料を算定する場合には、これに使用する小型酸素ボンベ又はクロレート・キャンドル型酸素発生器は当該保険医療機関が患者に提供すること。

(3) 「その他の場合」に該当する在宅酸素療法とは、諸種の原因による高度慢性呼吸不全例、肺高血圧症の患者、慢性心不全の患者のうち、安定した病態にある退院患者及び手術待機の患者又は重度の群発頭痛の患者について、在宅で患者自らが酸素吸入を実施するものをいう。

(4) 「その他の場合」の対象となる患者は、高度慢性呼吸不全例のうち、在宅酸素療法導入時に動脈血酸素分圧55mmHg以下の者及び動脈血酸素分圧60mmHg以下で睡眠時又は運動負荷時に著しい低酸素血症を来す者であって、医師が在宅酸素療法を必要であると認めたもの、慢性心不全患者のうち、医師の診断により、NYHAⅢ度以上であると認められ、睡眠時のチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数(1時間当たりの無呼吸数及び低呼吸数をいう。)が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上確認されている症例及び関連学会の診断基準により群発頭痛と診断されている患者のうち、群発期間中の患者であって、1日平均1回以上の頭痛発作を認めるものとする。この場合、適応患者の判定に経皮的動脈血酸素飽和度測定器による酸素飽和度を用いることができる。

ただし、経皮的動脈血酸素飽和度測定器、区分番号「D223」経皮的動脈血酸素飽和度測定及び区分番号「D223―2」終夜経皮的動脈血酸素飽和度測定の費用は所定点数に含まれており別に算定できない。

(5) 在宅酸素療法指導管理料の算定に当たっては、動脈血酸素分圧の測定を月1回程度実施し、その結果について診療報酬明細書に記載すること。この場合、適応患者の判定に経皮的動脈血酸素飽和度測定器による酸素飽和度を用いることができる。ただし、経皮的動脈血酸素飽和度測定器、経皮的動脈血酸素飽和度測定及び終夜経皮的動脈血酸素飽和度測定の費用は所定点数に含まれており別に算定できない。

(6) 在宅酸素療法を指示した医師は、在宅酸素療法のための酸素投与方法(使用機器、ガス流量、吸入時間等)、緊急時連絡方法等を装置に掲示すると同時に、夜間も含めた緊急時の対処法について、患者に説明を行うこと。

(7) 在宅酸素療法を実施する保険医療機関又は緊急時に入院するための施設は、次の機械及び器具を備えなければならない。

ア 酸素吸入設備

イ 気管内挿管又は気管切開の器具

ウ レスピレーター

エ 気道内分泌物吸引装置

オ 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態であるもの)

カ スパイロメトリー用装置(常時実施できる状態であるもの)

キ 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態であるもの)

(8) 在宅酸素療法指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「J024」酸素吸入、区分番号「J024―2」突発性難聴に対する酸素療法、区分番号「J025」酸素テント、区分番号「J026」間歇的陽圧吸入法、区分番号「J026―3」体外式陰圧人工呼吸器治療、区分番号「J018」喀痰吸引、区分番号「J018―3」干渉低周波去痰器による喀痰排出及び区分番号「J026―2」鼻マスク式補助換気法(これらに係る酸素代も含む。)の費用(薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は算定できない。

(9) 遠隔モニタリング加算は、以下の全てを実施する場合に算定する。

ア 「その他の場合」の対象で、かつ、日本呼吸器学会「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン」の病期分類でⅢ期以上の状態となる入院中の患者以外の患者について、前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間、情報通信機器を活用して、脈拍、酸素飽和度、機器の使用時間及び酸素流量等の状態について定期的にモニタリングを行った上で、状況に応じ、療養上必要な指導を行った場合に、2月を限度として来院時に算定することができる。

イ 患者の同意を得た上で、対面による診療とモニタリングを組み合わせた診療計画を作成する。当該計画の中には、患者の急変時における対応等も記載し、当該計画に沿ってモニタリングを行った上で、状況に応じて適宜患者に来院を促す等の対応を行う。なお、当該モニタリングの開始に当たっては、患者やその家族等に対し、情報通信機器の基本的な操作や緊急時の対応について十分に説明する。

ウ 当該加算を算定する月にあっては、モニタリングにより得られた臨床所見等及び行った指導内容を診療録に記載すること。

エ 療養上必要な指導はビデオ通話が可能な情報通信機器を用いて、厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針に沿って行うこと。なお、当該診療に関する費用は当該加算の所定点数に含まれており、別に区分番号「A003」オンライン診療料を算定することはできない。

C104 在宅中心静脈栄養法指導管理料

(1) 在宅中心静脈栄養法とは、諸種の原因による腸管大量切除例又は腸管機能不全例等のうち、安定した病態にある患者について、在宅での療養を行っている患者自らが実施する栄養法をいう。

(2) 対象となる患者は、原因疾患の如何にかかわらず、中心静脈栄養以外に栄養維持が困難な者で、当該療法を行うことが必要であると医師が認めた者とする。

(3) 在宅中心静脈栄養法指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「G005」中心静脈注射及び区分番号「G006」植込型カテーテルによる中心静脈注射の費用は算定できない。

(4) 在宅中心静脈栄養法指導管理料を算定している患者については、当該保険医療機関において区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)を算定する日に行った区分番号「G001」静脈内注射、区分番号「G004」点滴注射及び区分番号「G006」植込型カテーテルによる中心静脈注射の費用(薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は算定できない。

C105 在宅成分栄養経管栄養法指導管理料

(1) 在宅成分栄養経管栄養法とは、諸種の原因によって経口摂取ができない患者又は経口摂取が著しく困難な患者について、在宅での療養を行っている患者自らが実施する栄養法をいう。このうち在宅成分栄養経管栄養法指導管理料算定の対象となるのは、栄養維持のために主として栄養素の成分の明らかなもの(アミノ酸、ジペプチド又はトリペプチドを主なタンパク源とし、未消化態タンパクを含まないもの。以下同じ。)を用いた場合のみであり、栄養維持のために主として単なる流動食(栄養素の成分の明らかなもの以外のもの。)を用いており、栄養素の成分の明らかなものを一部用いているだけの場合や単なる流動食について鼻腔栄養を行った場合等は該当しない。

(2) 対象となる患者は、原因疾患の如何にかかわらず、在宅成分栄養経管栄養法以外に栄養の維持が困難な者で、当該療法を行うことが必要であると医師が認めた者とする。

(3) 在宅成分栄養経管栄養法指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「J120」鼻腔栄養の費用は算定できない。

C105―2 在宅小児経管栄養法指導管理料

(1) 在宅小児経管栄養法とは、諸種の原因によって経口摂取が著しく困難な15歳未満の患者又は15歳以上の患者であって経口摂取が著しく困難である状態が15歳未満から継続しているもの(体重が20キログラム未満である場合に限る。)について、在宅での療養を行っている患者自らが実施する栄養法をいう。

(2) 対象となる患者は、原因疾患の如何にかかわらず、在宅小児経管栄養法以外に栄養の維持が困難な者で、当該療法を行うことが必要であると医師が認めた者とする。

(3) 在宅小児経管栄養法指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「J120」鼻腔栄養の費用は算定できない。

C105―3 在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料

(1) 在宅半固形栄養経管栄養法とは、諸種の原因によって経口摂取が著しく困難な患者であって栄養管理を目的として胃瘻を造設しているものについて、在宅での療養を行っている患者自らが実施する栄養法をいう。このうち在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料算定の対象となるのは、栄養維持のために、主として、薬価基準に収載されている高カロリー薬又は薬価基準に収載されていない流動食(市販されているものに限る。以下この区分において同じ。)であって、投与時間の短縮が可能な形状にあらかじめ調整された半固形状のもの(以下「半固形栄養剤等」という。)を用いた場合のみであり、主として、単なる液体状の栄養剤等、半固形栄養剤等以外のものを用いた場合は該当しない。ただし、半固形栄養剤等のうち、薬価基準に収載されていない流動食を使用する場合にあっては、入院中の患者に対して退院時に当該指導管理を行っている必要がある。

(2) 対象となる患者は、原因疾患の如何にかかわらず、在宅半固形栄養経管栄養法により、単なる液体状の栄養剤等を用いた場合に比べて投与時間の短縮が可能な者で、経口摂取の回復に向けて当該療法を行うことが必要であると医師が認めた者とする。

(3) 在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料を算定している患者については、経口摂取の回復に向けた指導管理(口腔衛生管理に係るものを含む。)を併せて行う。なお、経口摂取の回復に向けた指導管理は、胃瘻造設術を実施した保険医療機関から提供された情報(嚥下機能評価の結果、嚥下機能訓練等の必要性や実施すべき内容、嚥下機能の観点から適切と考えられる食事形態や量の情報等を含む嚥下調整食の内容等)も利用して行う。

(4) 在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「J120」鼻腔栄養の費用は算定できない。

C106 在宅事故導尿指導管理料

(1) 在宅自己導尿とは、諸種の原因により自然排尿が困難な患者について、在宅での療養を行っている患者自らが実施する排尿法をいう。

(2) 対象となる患者は、下記の患者のうち、残尿を伴う排尿困難を有する者であって在宅自己導尿を行うことが必要と医師が認めた者とする。

ア 諸種の原因による神経因性膀胱

イ 下部尿路通過障害(前立腺肥大症、前立腺癌、膀胱頸部硬化症、尿道狭窄等)

ウ 腸管を利用した尿リザーバー造設術の術後

(3) 在宅自己導尿指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「J064」導尿(尿道拡張を要するもの)、区分番号「J060」膀胱洗浄、区分番号「J060―2」後部尿道洗浄(ウルツマン)及び区分番号「J063」留置カテーテル設置の費用(薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は算定できない。

C107 在宅人工呼吸指導管理料

(1) 在宅人工呼吸とは、長期にわたり持続的に人工呼吸に依存せざるを得ず、かつ、安定した病状にあるものについて、在宅において実施する人工呼吸療法をいう。

(2) 次のいずれも満たす場合に、当該指導管理料を算定する。

ア 患者が使用する装置の保守・管理を十分に行うこと(委託の場合を含む。)。

イ 装置に必要な保守・管理の内容を患者に説明すること。

ウ 夜間・緊急時の対応等を患者に説明すること。

エ その他、療養上必要な指導管理を行うこと。

(3) 対象となる患者は、病状が安定し、在宅での人工呼吸療法を行うことが適当と医師が認めた者とする。なお、睡眠時無呼吸症候群の患者(Adaptive Servo Ventilation(ASV)を使用する者を含む。)は対象とならない。

(4) 在宅人工呼吸療法を実施する保険医療機関又は緊急時に入院するための施設は、次の機械及び器具を備えなければならない。

ア 酸素吸入設備

イ 気管内挿管又は気管切開の器具

ウ レスピレーター

エ 気道内分泌物吸引装置

オ 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態であるもの)

カ 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態であるもの)

(5) 人工呼吸装置は患者に貸与し、装置に必要な回路部品その他の附属品等に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(6) 在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「J024」酸素吸入、区分番号「J024―2」突発性難聴に対する酸素療法、区分番号「J025」酸素テント、区分番号「J026」間歇的陽圧吸入法、区分番号「J026―3」体外式陰圧人工呼吸器治療、区分番号「J018」喀痰吸引、区分番号「J018―3」干渉低周波去痰器による喀痰排出、区分番号「J026―2」鼻マスク式補助換気法及び区分番号「J045」人工呼吸の費用(これらに係る酸素代を除き、薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は算定できない。

(7) 指導管理の内容について、診療録に記載する。

(8) 脊髄損傷又は中枢性低換気症候群の患者に対して、呼吸補助を行うことを目的として横隔神経電気刺激装置を使用する場合には、関連学会の定める適正使用指針を遵守して指導管理を行うこと。

C107―2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料

(1) 在宅持続陽圧呼吸療法とは、睡眠時無呼吸症候群又は慢性心不全である患者について、在宅において実施する呼吸療法をいう。

(2) 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料1の対象となる患者は、以下の全ての基準に該当する患者とする。

ア 慢性心不全患者のうち、医師の診断により、NYHAⅢ度以上であると認められ、睡眠時にチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上確認されているもの

イ CPAP療法を実施したにもかかわらず、無呼吸低呼吸指数が15以下にならない者に対してASV療法を実施したもの

(3) 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の対象となる患者は、以下のアからウまでのいずれかの基準に該当する患者とする。

ア 慢性心不全患者のうち、医師の診断により、NYHAⅢ度以上であると認められ、睡眠時にチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上確認されているもので、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料1の対象患者以外にASV療法を実施した場合

イ 心不全である者のうち、日本循環器学会・日本心不全学会によるASV適正使用に関するステートメントに留意した上で、ASV療法を継続せざるを得ない場合

ウ 以下の(イ)から(ハ)までの全ての基準に該当する患者。ただし、無呼吸低呼吸指数が40以上である患者については、(ロ)の要件を満たせば対象患者となる。

(イ) 無呼吸低呼吸指数(1時間当たりの無呼吸数及び低呼吸数をいう。)が20以上

(ロ) 日中の傾眠、起床時の頭痛などの自覚症状が強く、日常生活に支障を来している症例

(ハ) 睡眠ポリグラフィー上、頻回の睡眠時無呼吸が原因で、睡眠の分断化、深睡眠が著しく減少又は欠如し、持続陽圧呼吸療法により睡眠ポリグラフィー上、睡眠の分断が消失、深睡眠が出現し、睡眠段階が正常化する症例

(4) 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料については、当該治療の開始後1、2か月間の治療状況を評価し、当該療法の継続が可能であると認められる症例についてのみ、引き続き算定の対象とする。

(5) 保険医療機関が在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料を算定する場合には、持続陽圧呼吸療法装置は当該保険医療機関が患者に貸与する。

(6) 遠隔モニタリング加算は、以下の全てを実施する場合に算定する。

ア 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の対象で、かつ、持続陽圧呼吸療法(CPAP)を実施している入院中の患者以外の患者について、前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間、使用時間等の着用状況、無呼吸低呼吸指数等がモニタリング可能な情報通信機器を活用して、定期的なモニタリングを行った上で、状況に応じ、療養上必要な指導を行った場合又は患者の状態を踏まえた療養方針について診療録に記載した場合に、2月を限度として来院時に算定することができる。

イ 患者の同意を得た上で、対面による診療とモニタリングを組み合わせた診療計画を作成する。当該計画の中には、患者の急変時における対応等も記載し、当該計画に沿ってモニタリングを行った上で、状況に応じて適宜患者に来院を促す等の対応を行う。

ウ 当該加算を算定する月にあっては、モニタリングにより得られた臨床所見等を診療録に記載しており、また、必要な指導を行った際には、当該指導内容を診療録に記載していること。

エ 療養上必要な指導は電話又はビデオ通話が可能な情報通信機器を用いて行う。当該情報通信機器を用いて行う場合は、厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針に沿って行うこと。なお、当該診療に関する費用は当該加算の所定点数に含まれており、別に区分番号「A003」オンライン診療料を算定することはできない。

C108 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料、C108―2 在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料

(1) 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料の注に掲げる「在宅における鎮痛療法又は悪性腫瘍の化学療法」とは、末期の悪性腫瘍又は筋萎縮性側索硬化症若しくは筋ジストロフィーの患者であって、持続性の疼痛があり鎮痛剤の経口投与では疼痛が改善しないため注射による鎮痛剤注入が必要なもの又は注射による抗悪性腫瘍剤の注入が必要なものが、在宅において自ら実施する鎮痛療法又は化学療法をいう。

(2) 在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料の注に掲げる「悪性腫瘍の鎮痛療法又は化学療法」とは、末期の悪性腫瘍の患者であって、持続性の疼痛があり鎮痛剤の経口投与では疼痛が改善しないため注射による鎮痛剤注入が必要なもの又は注射による抗悪性腫瘍剤の注入が必要なものが、在宅において自ら実施する鎮痛療法又は化学療法をいう。

(3) (1)及び(2)の鎮痛療法とは、ブプレノルフィン製剤、モルヒネ塩酸塩製剤、フェンタニルクエン酸塩製剤、複方オキシコドン製剤、オキシコドン塩酸塩製剤、フルルビプロフェンアキセチル製剤又はヒドロモルフォン塩酸塩製剤を注射又は携帯型ディスポーザブル注入ポンプ若しくは輸液ポンプを用いて注入する療法をいう。なお、モルヒネ塩酸塩製剤、フェンタニルクエン酸塩製剤、複方オキシコドン製剤、オキシコドン塩酸塩製剤又はヒドロモルフォン塩酸塩製剤を使用できるのは、以下の条件を満たすバルーン式ディスポーザブルタイプの連続注入器等に必要に応じて生理食塩水等で希釈の上充填して交付した場合に限る。

ア 薬液が取り出せない構造であること

イ 患者等が注入速度を変えることができないものであること

また、(1)及び(2)の化学療法とは、携帯型ディスポーザブル注入ポンプ若しくは輸液ポンプを用いて中心静脈注射若しくは植込型カテーテルアクセスにより抗悪性腫瘍剤を注入する療法又はインターフェロンアルファ製剤を多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病又は腎癌の患者に注射する療法をいう。

(4) 対象となる患者が末期であるかどうかは在宅での療養を行っている患者の診療を担う保険医の判断によるものとする。なお、化学療法の適応については、末期でない悪性腫瘍の患者も末期の悪性腫瘍の患者に準じて取り扱う。

(5) 外来と在宅において化学療法を行うものについては、主に在宅において化学療法を行う場合は在宅悪性腫瘍等患者指導管理料を算定し、主に外来で行う場合には在宅悪性腫瘍等患者指導管理料は算定せず、注射手技料及び基準を満たす場合には外来化学療法加算等を算定する。なお、外来で抗悪性腫瘍剤の注射を行い、注入ポンプなどを用いてその後も連続して自宅で抗悪性腫瘍剤の注入を行う等の治療法のみを行う場合は当該指導管理料の対象には該当しない。

(6) 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料を算定する月は、区分番号「G003」抗悪性腫瘍剤局所持続注入の費用は算定できない。ただし、抗悪性腫瘍剤局所持続注入に用いる薬剤に係る費用は算定できる。

(7) 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料を算定する月は第6部通則6に規定する外来化学療法加算は算定できない。

(8) 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料を算定している患者の外来受診時に、当該在宅悪性腫瘍等患者指導管理料に係る区分番号「G000」皮内、皮下及び筋肉内注射、区分番号「G001」静脈内注射、区分番号「G004」点滴注射、区分番号「G005」中心静脈注射及び区分番号「G006」植込型カテーテルによる中心静脈注射を行った場合の手技料、注射薬(在宅で使用していない抗悪性腫瘍剤も含む。)及び特定保険医療材料の費用は算定できない。ただし、当該在宅悪性腫瘍等患者指導管理料に係らない区分番号「G000」皮内、皮下及び筋肉内注射、区分番号「G001」静脈内注射、区分番号「G004」点滴注射、区分番号「G005」中心静脈注射及び区分番号「G006」植込型カテーテルによる中心静脈注射を行った場合の手技料、注射薬及び特定保険医療材料の費用は算定できる。

(9) 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料を算定している患者については、当該保険医療機関において区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)を算定する日に行った区分番号「G000」皮内、皮下及び筋肉内注射、区分番号「G001」静脈内注射、区分番号「G004」点滴注射、区分番号「G005」中心静脈注射及び区分番号「G006」植込型カテーテルによる中心静脈注射の手技料、注射薬及び特定保険医療材料の費用は算定できない。

(10) 在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料は、在宅悪性腫瘍等患者指導管理料を算定する指導管理を受けている患者に対し、当該保険医療機関の保険医と、在宅悪性腫瘍等患者指導管理料を算定する保険医療機関の保険医とが連携して、同一日に当該患者に対する悪性腫瘍の鎮痛療法又は化学療法に関する指導管理を行った場合に算定する。

(11) 在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料を算定する医師は、以下のいずれかの緩和ケアに関する研修を修了している者であること。

ア 「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針」(平成29年12月1日付け健発1201第2号厚生労働省健康局長通知)に準拠した緩和ケア研修会(平成29年度までに開催したものであって、「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」に準拠したものを含む。)

イ 緩和ケアの基本教育のための都道府県指導者研修会(国立がん研究センター主催)等

C109 在宅寝たきり患者処置指導管理料

(1) 在宅における創傷処置等の処置とは、家庭において療養を行っている患者であって、現に寝たきりの状態にあるもの又はこれに準ずる状態にあるものが、在宅において自ら又はその家族等患者の看護に当たる者が実施する創傷処置(気管内ディスポーザブルカテーテル交換を含む。)、皮膚科軟膏処置、留置カテーテル設置、膀胱洗浄、導尿(尿道拡張を要するもの)、鼻腔栄養、ストーマ処置、喀痰吸引、介達牽引又は消炎鎮痛等処置をいう。

(2) 「これに準ずる状態にあるもの」とは、以下に掲げる疾患に罹患しているものとして、常時介護を要する状態にあるものを含むものである。

ア 難病の患者に対する医療等に関する法律第5条に規定する指定難病(同法第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されている患者(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に係るものに限る。)

イ 「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)に掲げる疾患(当該疾患に罹患しているものとして都道府県知事から受給者証の交付を受けているものに限る。ただし、スモンについては過去に公的な認定を受けたことが確認できる場合等を含む。)

(3) 在宅寝たきり患者処置指導管理料は、原則として、当該医師が患家に訪問して指導管理を行った場合に算定する。ただし、寝たきりの状態にあるもの又はこれに準ずる状態にあるものが、家族等に付き添われて来院した場合については、例外的に算定することができる。

(4) 在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「J000」創傷処置、区分番号「J001―7」爪甲除去(麻酔を要しないもの)、区分番号「J001―8」穿刺排膿後薬液注入、区分番号「J053」皮膚科軟膏処置、区分番号「J063」留置カテーテル設置、区分番号「J060」膀胱洗浄、区分番号「J060―2」後部尿道洗浄(ウルツマン)、区分番号「J064」導尿(尿道拡張を要するもの)、区分番号「J120」鼻腔栄養、区分番号「J043―3」ストーマ処置、区分番号「J018」喀痰吸引、区分番号「J018―3」干渉低周波去痰器による喀痰排出、区分番号「J118」介達牽引、区分番号「J118―2」矯正固定、区分番号「J118―3」変形機械矯正術、区分番号「J119」消炎鎮痛等処置、区分番号「J119―2」腰部又は胸部固定帯固定、区分番号「J119―3」低出力レーザー照射及び区分番号「J119―4」肛門処置の費用(薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は算定できない。

C110 在宅自己疼痛管理指導管理料

(1) 在宅自己疼痛管理指導管理料は、疼痛除去のために植込型脳・脊髄電気刺激装置を植え込んだ後に、在宅において、患者自らが送信器を用いて疼痛管理を実施する場合に算定する。

(2) 対象となる患者は難治性慢性疼痛を有するもののうち、植込型脳・脊髄電気刺激装置を植え込み、疼痛管理を行っている患者のうち、在宅自己疼痛管理を行うことが必要と医師が認めたものである。

C110―2 在宅振戦等刺激装置指導管理料

(1) 在宅振戦等刺激装置治療指導管理料は、植込型脳・脊髄電気刺激装置を植え込んだ後に、在宅において、患者自らが送信器等を用いて治療を実施する場合に、診察とともに治療効果を踏まえ、装置の状態について確認・調節等を行った上で、当該治療に係る指導管理を行った場合に算定する。

(2) プログラムの変更に係る費用は所定点数に含まれる。

(3) 計測した指標と指導内容を診療録に添付又は記載すること。

C110―3 在宅迷走神経電気刺激治療指導管理料

(1) 在宅迷走神経電気刺激治療指導管理料は、植込型迷走神経電気刺激装置を植え込んだ後に、在宅において、患者自らがマグネット等を用いて治療を実施する場合に、診察とともに治療効果を踏まえ、装置の状態について確認・調整等を行った上で、当該治療に係る指導管理を行った場合に算定する。

(2) プログラムの変更に係る費用は所定点数に含まれる。

(3) 計測した指標と指導内容を診療録に添付又は記載すること。

(4) 舌下神経電気刺激療法指導管理料

ア 舌下神経電気刺激装置を植え込んだ閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者に対し、医師用プログラマを用いて舌下神経電気刺激装置の使用状況の確認や調整等の必要な指導管理を行った場合、本区分の所定点数を準用して算定する。

イ 区分番号「D237」終夜睡眠ポリグラフィーの「3」1又は2以外の場合の「イ」安全精度管理下で行うものの施設基準に係る届出を行っている医療機関において実施すること。

ウ 本区分の「注1」及び「注2」に定める規定は適用しない。

C110―4 在宅仙骨神経刺激療法指導管理料

(1) 在宅仙骨神経刺激療法指導管理料は、植込型仙骨神経刺激装置を植え込んだ後に、在宅において、患者自らが送信器等を用いて治療を実施する場合に、診察とともに治療効果を踏まえ、装置の状態について確認・調節等を行った上で、当該治療に係る指導管理を行った場合に算定する。

(2) プログラムの変更に係る費用は所定点数に含まれる。

(3) 計測した指標と指導内容を診療録に添付又は記載すること。

C111 在宅肺高血圧症患者指導管理料

「プロスタグランジンI2製剤の投与等に関する医学管理等」とは、在宅において、肺高血圧症患者自らが携帯型精密輸液ポンプ又は携帯型精密ネブライザーを用いてプロスタグランジンI2製剤を投与する場合に、医師が患者又は患者の看護に当たる者に対して、当該療法の方法、注意点及び緊急時の措置等に関する指導を行い、当該患者の医学管理を行うことをいう。

C112 在宅気管切開患者指導管理料

(1) 「在宅における気管切開に関する指導管理」とは、諸種の原因により気管切開を行った患者のうち、安定した病態にある退院患者について、在宅において実施する気管切開に関する指導管理のことをいう。

(2) 在宅気管切開患者指導管理を実施する保険医療機関又は緊急時に入院するための施設は、次の機械及び器具を備えなければならない。

ア 酸素吸入設備

イ レスピレーター

ウ 気道内分泌物吸引装置

エ 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態であるもの)

オ 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態であるもの)

(3) 在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、区分番号「J000」創傷処置(気管内ディスポーザブルカテーテル交換を含む。)、区分番号「J001―7」爪甲除去(麻酔を要しないもの)、区分番号「J001―8」穿刺排膿後薬液注入、区分番号「J018」喀痰吸引及び区分番号「J018―3」干渉低周波去痰器による喀痰排出の費用は算定できない。

(4) 喉頭摘出患者に対して、在宅における人工鼻材料の使用に関する療養上必要な指導管理を行った場合は、当該点数を準用して算定できる。

(5) 在宅における人工鼻材料の使用に関する療養上必要な指導管理を行う場合、上記(1)、(2)及び(3)を適用しない。

C114 在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料

(1) 在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料は、表皮水疱症患者又は水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症患者であって、難治性の皮膚病変に対する特殊な処置が必要なものに対して、水疱、びらん又は潰瘍等の皮膚の状態に応じた薬剤の選択及び被覆材の選択等について療養上の指導を行った場合に、月1回に限り算定する。

(2) 特定保険医療材料以外のガーゼ等の衛生材料や、在宅における水疱の穿刺等の処置に必要な医療材料に係る費用は当該指導管理料に含まれる。

(3) 当該指導管理料を算定している患者に対して行う処置の費用(薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は別に算定できる。

C115 削除

C116 在宅植込型補助人工心臓(非拍動流型)指導管理料

(1) 在宅植込型補助人工心臓(非拍動流型)指導管理料は、植込型補助人工心臓(非拍動流型)を使用している患者であって入院中の患者以外のものについて、当該月に区分番号「K604―2」植込型補助人工心臓(非拍動流型)を算定したか否かにかかわらず、月に1回に限り算定できる。

(2) 当該指導管理料は、駆動状況の確認と調整、抗凝固療法の管理等の診察を行った上で、緊急時の対応を含む療養上の指導管理を行った場合に算定する。

(3) 当該指導管理に要する療養上必要なモニター、バッテリー、充電器等の回路部品その他附属品等に係る費用及び衛生材料等は、第4節に定めるものを除き、当該指導管理料に含まれ、別に算定できない。

(4) 機器の設定内容と、指導管理の内容を診療録に添付又は記載すること。

C117 在宅経腸投薬指導管理料

パーキンソン病の患者に対し、レボドパ・カルビドパ水和物製剤を経胃瘻空腸投与する場合に、医師が患者又は患者の看護に当たる者に対して、当該療法の方法、注意点及び緊急時の措置等に関する指導を行い、当該患者の医学管理を行った場合に算定する。

C118 在宅腫瘍治療電場療法指導管理料

(1) 在宅腫瘍治療電場療法とは、テント上膠芽腫の治療を目的として交流電場を形成する治療法を在宅で患者自らが行うことをいい、当該指導管理料は、初発膠芽腫の治療を目的とした場合に算定する。

(2) 次のいずれも満たす場合に、当該指導管理料を算定する。

ア 患者が使用する装置の保守・管理を十分に行うこと(委託の場合を含む。)。

イ 装置に必要な保守・管理の内容を患者に説明すること。

ウ 夜間・緊急時の対応等を患者に説明すること。

エ その他、療養上必要な指導管理を行うこと。

(3) 交流電場腫瘍治療システム(ジェネレーター)は患者に貸与し、電極以外の装置に必要な回路部品その他の付属品等に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(4) 指導管理の内容について、診療録に記載する。

C119 在宅経肛門的自己洗腸指導管理料

(1) 在宅経肛門的自己洗腸指導管理料は、3月以上の保存的治療によっても十分な改善を得られない、脊髄障害を原因とする排便障害を有する患者(直腸手術後の患者を除く。)に対し、在宅で療養を行っている患者自ら経肛門的自己洗腸用の器具を用いて実施する洗腸について、指導管理を行った場合に算定する。

(2) 指導に当たっては、経肛門的自己洗腸の適応の可否についての評価を行い、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の別添1の第16の10に掲げる医師及び看護師が指導計画を作成する。指導計画及び実施した指導内容は診療録等に記載する。

(3) 「注2」に規定する導入初期加算については、新たに経肛門的自己洗腸を導入する患者に対し、(2)の医師又は看護師が十分な指導を行った場合、当該初回の指導を行った月に1回に限り算定する。

(4) 実施に当たっては、関係学会の定める経肛門的自己洗腸の適応及び指導管理に関する指針を遵守すること。

(5) 在宅抗菌薬吸入療法指導管理料

ア マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)による肺非結核性抗酸菌症患者であって、多剤併用療法による前治療において効果不十分な患者自らが、在宅において、超音波ネブライザを用いてアミカシン硫酸塩吸入用製剤を投与する場合において、医師が患者又は患者の看護に当たる者に対して、当該療法の方法及び注意点等に関する指導管理を行った場合は、本区分の所定点数を準用して算定する。

イ 在宅抗菌薬吸入療法を初めて実施する患者について、初回の指導を行った場合は、当該初回の指導を行った月に限り、本区分の「注2」に掲げる導入初期加算を準用して加算する。

ウ 本区分の「注1」及び「注2」に定める規定は適用しない。

C120 在宅中耳加圧療法指導管理料

(1) メニエール病又は遅発性内リンパ水腫の患者に対し、在宅中耳加圧装置を用いた療養を実施する場合に、医師が患者又は患者の看護に当たる者に対して、当該療法の方法、注意点及び緊急時の措置等について療養上の指導を行った場合に算定する。

(2) 関連学会の定める適正使用指針を遵守して実施した場合に限り算定する。なお、療養上必要な機器等に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

第2款 在宅療養指導管理材料加算

1 在宅療養指導管理材料加算は、要件を満たせば、第1款在宅療養指導管理料を算定するか否かにかかわらず、別に算定できる。

2 同一の保険医療機関において、2以上の指導管理を行っている場合は、主たる指導管理の所定点数を算定する。この場合にあって、在宅療養指導管理材料加算及び当該2以上の指導管理に使用した薬剤、特定保険医療材料の費用は、それぞれ算定できる。

3 在宅療養指導管理材料加算は、例えば「酸素ボンベを使用した場合」とは当該保険医療機関の酸素ボンベを在宅で使用させた場合をいう等、保険医療機関が提供すること及び在宅における状態であることを前提にしているものであること。

なお、保険医療機関が所有する装置(酸素濃縮装置等)を患者に貸与する場合、保険医療機関は、当該装置の保守・管理を十分に行うこと。また、これらの装置の保守・管理を販売業者に委託する場合には、保険医療機関は、当該販売業者との間で、これらの装置の保守・管理に関する契約を締結し、保守・管理の内容を患者に説明した上で、定期的な確認と指導を行い、当該装置の保守・管理が当該販売業者により十分に行われている状況を維持すること。

4 「2」の「保険医療材料の使用を算定要件とするもの」とは、区分番号「C160」在宅中心静脈栄養法用輸液セット加算等をいう。

5 「3」の加算については、6歳未満の乳幼児に対する在宅呼吸管理を行い、専用の経皮的動脈血酸素飽和度測定器その他附属品を貸与又は支給したときに算定する。なお、診療報酬明細書の摘要欄に貸与又は支給した機器等の名称及びその数量を記載すること。

C150 血糖自己測定器加算

(1) 血糖自己測定器加算は、インスリン製剤又はヒトソマトメジンC製剤の在宅自己注射を毎日行っている患者のうち血糖値の変動が大きい者又は12歳未満の小児低血糖症患者に対して、医師が、血糖のコントロールを目的として当該患者に血糖試験紙(テスト・テープ)、固定化酵素電極(バイオセンサー)又は皮下グルコース用電極を給付し、在宅で血糖又は間質液中のグルコース濃度の自己測定をさせ、その記録に基づき指導を行った場合に、区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料、区分番号「C101―2」在宅小児低血糖症患者指導管理料又は区分番号「C101―3」在宅妊娠糖尿病患者指導管理料に加算するものである。

なお、血糖試験紙、固定化酵素電極、穿刺器、穿刺針、皮下グルコース用電極及び測定機器を患者に給付又は貸与した場合における費用その他血糖自己測定に係る全ての費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 入院中の患者に対して、退院時に区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料、区分番号「C101―2」在宅小児低血糖症患者指導管理料又は区分番号「C101―3」在宅妊娠糖尿病患者指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日に限り、在宅自己注射指導管理料、在宅小児低血糖症患者指導管理料又は在宅妊娠糖尿病患者指導管理料の所定点数及び血糖自己測定器加算の点数を算定できる。この場合において、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅自己注射指導管理料、在宅小児低血糖症患者指導管理料又は在宅妊娠糖尿病患者指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合であっても、指導管理の所定点数及び血糖自己測定器加算は算定できない。

(3) 当該加算は、1月に2回又は3回算定することもできるが、このような算定ができる患者は、区分番号「C101」に掲げる在宅自己注射指導管理料を算定している患者のうちインスリン製剤を2月分又は3月分以上処方している患者又は区分番号「C101―2」に掲げる在宅小児低血糖症患者指導管理料を算定している患者に限るものである。

(4) グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニストの自己注射を承認された用法及び用量に従い1週間に1回以上行っている者に対して、血糖自己測定値に基づく指導を行うために血糖自己測定器を使用した場合には、インスリン製剤の自己注射を行っている者に準じて、所定点数を算定する。

(5) 「7」においては、糖尿病の治療に関し、専門の知識及び5年以上の経験を有する常勤の医師又は当該専門の医師の指導の下で糖尿病の治療を実施する医師が、間歇スキャン式持続血糖測定器を使用して血糖管理を行った場合に算定する。

(6) 「7」においては、間歇スキャン式持続血糖測定器以外の血糖自己測定については所定点数に含まれ、別に算定できない。

(7) 注3の場合を除き、間歇スキャン式持続血糖測定器を使用する場合には、間歇スキャン式持続血糖測定器以外の血糖自己測定をした回数を基準に算定する。

C151 注入器加算

(1) 「注入器」とは、自己注射適応患者(性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤の自己注射を除く。)に対するディスポーザブル注射器(注射針一体型に限る。)、自動注入ポンプ、携帯用注入器又は針無圧力注射器のことをいい、加算の算定はこれらを処方した月に限って可能であり、単に注入器の使用を行っているのみでは算定できない。注入器加算は、針付一体型の製剤を処方した場合には算定できない。

(2) 入院中の患者に対して、退院時に区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日に限り、在宅自己注射指導管理料の所定点数及び注入器加算の点数を算定できる。この場合において、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合であっても、指導管理の所定点数及び注入器加算は算定できない。

C152 間歇注入シリンジポンプ加算

(1) 「間歇注入シリンジポンプ」とは、インスリン又は性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤を間歇的かつ自動的に注入するシリンジポンプをいう。

(2) 「プログラム付きシリンジポンプ」とは、間歇注入シリンジポンプのうち、基礎注入と独立して追加注入がプログラム可能であり、また基礎注入の流量について、1日につき24プログラム以上の設定が可能なものをいう。

(3) 入院中の患者に対して、退院時に区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日に限り、在宅自己注射指導管理料の所定点数及び間歇注入シリンジポンプ加算の点数を算定できる。この場合において、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合であっても、指導管理の所定点数及び間歇注入シリンジポンプ加算は算定できない。

(4) 間歇注入シリンジポンプを使用する際に必要な輸液回路、リザーバーその他療養上必要な医療材料の費用については、所定点数に含まれる。

C152―2 持続血糖測定器加算

(1) 入院中の患者以外の患者であって次に掲げる者に対して、持続的に測定した血糖値に基づく指導を行うために持続血糖測定器を使用した場合に算定する。

ア 間歇注入シリンジポンプと連動する持続血糖測定器を用いる場合

(イ) 血糖コントロールが不安定な1型糖尿病患者又は膵全摘後の患者であって、持続皮下インスリン注入療法を行っている者。

(ロ) 低血糖発作を繰り返す等重篤な有害事象がおきている血糖コントロールが不安定な2型糖尿病患者であって、医師の指示に従い血糖コントロールを行う意志のある、持続皮下インスリン注入療法を行っている者。

イ 間歇注入シリンジポンプと連動しない持続血糖測定器を用いる場合

(イ) 急性発症若しくは劇症1型糖尿病患者又は膵全摘後の患者であって、皮下インスリン注入療法を行っている者。

(ロ) 内因性インスリン分泌の欠乏(空腹時血清Cペプチドが0.5mg/ml未満を示すものに限る。)を認め、低血糖発作を繰り返す等重篤な有害事象がおきている血糖コントロールが不安定な2型糖尿病患者であって、医師の指示に従い血糖コントロールを行う意志のある、皮下インスリン注入療法を行っている者。

(2) 持続血糖測定器加算を算定する場合は、(1)のいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。また、(1)のイの(ロ)に該当する場合、直近の空腹時血清Cペプチドの測定値を併せて記載すること。

(3) 間歇注入シリンジポンプと連動する持続血糖測定器を用いる場合、同一月において、区分番号「C152」間歇注入シリンジポンプ加算と当該加算は、併せて算定できない。ただし、間歇注入インスリンポンプと連動していない持続血糖測定器については「注2」の加算を算定できず、間歇注入インスリンポンプを併用した場合には区分番号「C152」間歇注入シリンジポンプ加算を併せて算定できる。

(4) 間歇注入シリンジポンプと連動しない持続血糖測定器と間歇注入インスリンポンプを併用した場合には、「注2」に規定する加算は算定できず、区分番号「C152」間歇注入シリンジポンプ加算を併せて算定できる。

(5) 入院中の患者に対して、退院時に区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日に限り、在宅自己注射指導管理料の所定点数及び持続血糖測定器加算の点数を算定できる。この場合において、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合であっても、指導管理の所定点数及び持続血糖測定器加算は算定できない。

(6) 「注2」に規定するシリンジポンプを使用する際に必要な輸液回路、リザーバーその他療養上必要な医療材料の費用については、所定点数に含まれる。

(7) 間歇注入シリンジポンプと連動しない持続血糖測定器を用いる場合には、次のいずれも満たす場合に算定できる。

ア 関連学会が定める適正使用指針を遵守すること。

イ 1日当たり少なくとも2回の自己血糖測定を行っていること。

ウ 次のいずれかに掲げる者が、患者又は患者家族等に対し、持続血糖測定器の使用方法の十分な説明や持続血糖測定器の結果に基づく低血糖及び高血糖への対応等、必要な指導を行っていること。

(イ) 糖尿病の治療に関し、専門の知識及び5年以上の経験を有する常勤の医師。

(ロ) 糖尿病の治療に関し、治療持続皮下インスリン注入療法に従事した経験を2年以上有し、持続血糖測定器に係る適切な研修を修了した常勤の看護師又は薬剤師。なお、ここでいう適切な研修とは、次の事項に該当する研修のことをいう。

① 医療関係団体が主催する研修であること。

② 糖尿病患者への生活習慣改善の意義・基礎知識、評価方法、セルフケア支援、持続血糖測定器に関する理解・活用及び事例分析・評価等の内容が含まれているものであること。

(8) 間歇注入シリンジポンプと連動しない持続血糖測定器を用いる場合は、患者ごとに指導者名が記載されている指導記録を作成し、患者に提供すること。また、指導記録の写しを診療録に添付すること。

C152―3 経腸投薬用ポンプ加算

経腸投薬用ポンプ加算は、レボドパ・カルビドパ水和物製剤を経胃瘻空腸投与することを目的とした場合に限り算定できる。

C153 注入器用注射針加算

(1) 区分番号「C151」注入器加算に規定する「注入器」を処方せず、注射針一体型でないディスポーザブル注射器を処方した場合は、注入器用注射針加算のみ算定する。

(2) 注入器用注射針加算は、注入器用注射針を処方した場合に算定できる。この場合において、「1」の加算は、以下の場合に算定できるものであり、算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に次のいずれに該当するかを記載すること。

ア 糖尿病等で1日概ね4回以上自己注射が必要な場合

イ 血友病で自己注射が必要な場合

(3) 注入器用注射針加算は、針付一体型の製剤又は針無圧力注射器を処方した場合には算定できない。

(4) 入院中の患者に対して、退院時に区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日に限り、在宅自己注射指導管理料の所定点数及び注入器用注射針加算の点数を算定できる。この場合において、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合であっても、指導管理の所定点数及び注入器用注射針加算は算定できない。

C154 紫外線殺菌器加算

在宅自己連続携行式腹膜灌流液交換用熱殺菌器を使用した場合には、紫外線殺菌器加算の点数を算定する。

C156 透析液供給装置加算

透析液供給装置は患者1人に対して1台を貸与し、透析液供給装置加算には、逆浸透を用いた水処理装置・前処理のためのフィルターの費用を含む。

C157 酸素ボンベ加算

(1) チアノーゼ型先天性心疾患の患者に対して指導管理を行った場合は、酸素ボンベ加算は別に算定できない。

(2) 「1」の加算は、医療機関への通院等に実際に携帯用小型ボンベを使用した場合に算定できる。なお、用いられるボンベのうち概ね1,500リットル以下の詰め替え可能なものについて算定の対象とし、使い捨てのものについては算定の対象としない。

(3) 同一患者に対して酸素ボンベ(携帯用酸素ボンベを除く。)、酸素濃縮装置及び設置型液化酸素装置を併用して在宅酸素療法を行った場合は、合わせて3月に3回に限り算定する。

(4) 同一患者に対して、携帯用酸素ボンベ及び携帯型液化酸素装置を併用して在宅酸素療法を行った場合は、合わせて3月に3回に限り算定する。

C158 酸素濃縮装置加算

(1) チアノーゼ型先天性心疾患の患者に対して指導管理を行った場合は、酸素濃縮装置加算は別に算定できない。

(2) 同一患者に対して酸素ボンベ(携帯用酸素ボンベを除く。)、酸素濃縮装置及び設置型液化酸素装置を併用して在宅酸素療法を行った場合は、合わせて3月に3回に限り算定する。

(3) 同一患者に対して携帯用酸素ボンベ及び携帯型液化酸素装置を併用して在宅酸素療法を行った場合は、合わせて3月に3回に限り算定する。

C159 液化酸素装置加算

(1) チアノーゼ型先天性心疾患の患者に対して指導管理を行った場合は、液化酸素装置加算は別に算定できない。

(2) 液化酸素装置加算を算定する場合、設置型液化酸素装置から携帯型液化酸素装置へ液化酸素の移充填を行う場合の方法、注意点、緊急時の措置等に関する患者への指導が必要である。この場合、「設置型液化酸素装置」とは、20~50リットルの内容積の設置型液化酸素装置のことをいい、「携帯型液化酸素装置」とは、1リットル前後の内容積の携帯型液化酸素装置のことをいう。なお、使用した酸素の費用及び流量計、加湿器等の費用は加算点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 設置型液化酸素装置に係る加算と携帯型液化酸素装置に係る加算とは併せて算定できるが、それぞれ3月に3回に限り算定する。

(4) 同一患者に対して酸素ボンベ(携帯用酸素ボンベを除く。)、酸素濃縮装置及び設置型液化酸素装置を併用して在宅酸素療法を行った場合は、合わせて3月に3回に限り算定する。

(5) 同一患者に対して携帯用酸素ボンベ及び携帯型液化酸素装置を併用して在宅酸素療法を行った場合は、合わせて3月に3回に限り算定する。

C159―2 呼吸同調式デマンドバルブ加算

呼吸同調式デマンドバルブ加算は、呼吸同調式デマンドバルブを携帯用酸素供給装置と鼻カニューレとの間に装着して使用した場合に算定できる。

C160 在宅中心静脈栄養法用輸液セット加算

「輸液セット」とは、在宅で中心静脈栄養法を行うに当たって用いる輸液用器具(輸液バッグ)、注射器及び採血用輸血用器具(輸液ライン)をいう。

C161 注入ポンプ加算

「注入ポンプ」とは、在宅で中心静脈栄養法、成分栄養経管栄養法若しくは小児経管栄養法、鎮痛療法若しくは悪性腫瘍の化学療法又は注射薬の精密自己注射を行うに当たって用いる注入ポンプをいう。なお、「在宅における鎮痛療法若しくは悪性腫瘍の化学療法」とは、末期の悪性腫瘍又は筋萎縮性側索硬化症若しくは筋ジストロフィーの患者であって、持続性の疼痛があり鎮痛剤の経口投与では疼痛が改善しないため注射による鎮痛剤注入が必要なもの又は注射による抗悪性腫瘍剤の注入が必要なものが、在宅において自ら実施する鎮痛療法又は化学療法をいう。

C162 在宅経管栄養法用栄養管セット加算

在宅経管栄養法用栄養管セット加算と区分番号「C161」注入ポンプ加算とは、併せて算定することができるが、それぞれ月1回に限り算定する。

C163 特殊カテーテル加算

(1) 在宅療養において在宅自己導尿が必要な患者に対し、療養上必要なカテーテルについて判断の上、必要かつ十分な量のカテーテルを患者に支給した場合に算定する。

(2) 「2」の「イ」親水性コーティングを有するものについては、間歇導尿用ディスポーザブルカテーテルとして、親水性コーティングが施されたカテーテルであって、包装内に潤滑剤が封入されており、開封後すぐに挿入可能なもののみを使用した場合に算定する。

(3) 「2」の「イ」親水性コーティングを有するものについては、排尿障害が長期間かつ不可逆的に持続し、代替となる排尿方法が存在せず、適切な消毒操作が困難な場所において導尿が必要となる場合等、当該カテーテルを使用する医学的な妥当性が認められる場合に使用することとし、原則として次のいずれかに該当する患者に使用した場合に算定する。なお、診療報酬明細書の摘要欄にアからエまでのいずれかの要件を満たす医学的根拠を記載すること。

ア 脊髄障害

イ 二分脊椎

ウ 他の中枢神経を原因とする神経因性膀胱

エ その他

(4) 「2」の「イ」親水性コーティングを有するものについては、1月あたり60本以上使用した場合(他のカテーテルを合わせて用いた場合を含む。)に算定することとし、これに満たない場合は「2」の「イ」以外の主たるものの所定点数を算定する。

(5) 「3」の「間歇バルーンカテーテル」とは、患者自身が間歇導尿を行うことが可能なカテーテルであって、当該カテーテルに接続してバルーンを膨らませるためのリザーバーを有し、患者自身が消毒下で携帯することが可能であるものをいう。

(6) 間歇導尿用ディスポーザブルカテーテルと間歇バルーンカテーテルを併せて使用した場合は、主たるもののみを算定する。

C164 人工呼吸器加算

(1) 療養上必要な回路部品その他附属品(療養上必要なバッテリー及び手動式肺人工蘇生器等を含む。)の費用は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)による肺非結核性抗酸菌症患者であって、多剤併用療法による前治療において効果不十分な患者(入院中の患者以外のものに限る。)に対して、アミカシン硫酸塩吸入用製剤を投与するに当たり、超音波ネブライザを使用した場合は、初回の投与を行った月に限り、本区分の「1」陽圧式人工呼吸器の所定点数を準用して算定できる。なお、この場合において、本区分の「注」及び本区分の「1」陽圧式人工呼吸器の「注」に定める規定は適用しない。

C165 在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算

(1) 在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算1については、区分番号「C107―2」在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料1並びに区分番号「C107―2」在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2のア及びイの要件に該当する患者に対して保険医療機関が患者に貸与する持続陽圧呼吸療法装置のうち、ASVを使用して治療を行った場合に、3月に3回に限り算定できる。なお、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2のア及びイの要件に該当する患者については、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書の摘要欄に、算定の根拠となった要件(在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2のア又はイ)を記載する。なお、イの要件を根拠に算定をする場合は、当該患者に対するASV療法の実施開始日も併せて記載すること。

(2) 在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算2については、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2のウの要件に該当する患者に対して保険医療機関が患者に貸与する持続陽圧呼吸療法装置のうち、CPAPを使用して治療を行った場合に、3月に3回に限り算定できる。

C166 携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算

外来で抗悪性腫瘍剤の注射を行い、携帯型ディスポーザブル注入ポンプなどを用いてその後も連続して自宅で抗悪性腫瘍剤の注入を行う場合においては、本加算を算定できない。

C168 携帯型精密輸液ポンプ加算

携帯型精密輸液ポンプ加算には、カセット、延長チューブその他携帯型精密輸液ポンプに必要な全ての機器等の費用が含まれ、別に算定できない。

C168―2 携帯型精密ネブライザー加算

(1) 本加算は、吸入用のプロスタグランジンI2製剤を使用するに当たり、一定量の薬液を効率的に吸入させるため、患者の呼吸に同調して薬液を噴霧する機構を備えた携帯型精密ネブライザーを使用した場合に算定する。

(2) 携帯型精密ネブライザー加算には、携帯型精密ネブライザーを使用するに当たって必要な全ての費用が含まれ、別に算定できない。

C169 気管切開患者用人工鼻加算

喉頭摘出患者において、人工鼻材料を使用する場合は算定できない。

C170 排痰補助装置加算

(1) 排痰補助装置加算は、在宅人工呼吸を行っている患者であって、換気能力が低下し、自力での排痰が困難と医師が認めるものに対して、排痰補助装置を使用した場合に算定できる。

(2) 注に規定する神経筋疾患等の患者とは、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺、脊髄損傷等の患者をさす。

(3) マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)による肺非結核性抗酸菌症患者であって、多剤併用療法による前治療において効果不十分な患者(入院中の患者以外のものに限る。)に対して、アミカシン硫酸塩吸入用製剤を投与するに当たり、超音波ネブライザを使用した場合は、初回の投与を行った月以外の月に限り、本区分の所定点数を準用して算定する。なお、この場合において、本区分の「注」に定める規定は適用しない。

C171 在宅酸素療法材料加算

(1) 在宅酸素療法材料加算1は、区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料の「1」を算定すべき指導管理を行った患者に対し、保険医療機関からチアノーゼ型先天性心疾患の患者に小型酸素ボンベ又はクロレート・キャンドル型酸素発生器が提供される場合に、3月に3回に限り算定できる。なお、本加算には当該装置に係る費用のうち、装置に必要な回路部品その他の附属品等に係る費用が含まれるものであること。

(2) 在宅酸素療法材料加算2は、区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料の「2」を算定すべき指導管理を行った患者に対し、保険医療機関から在宅酸素療法装置が提供される場合に、3月に3回に限り算定できる。なお、本加算には当該装置に係る費用のうち、装置に必要な回路部品その他の附属品等に係る費用が含まれるものであること。

C171―2 宅持続陽圧呼吸療法材料加算

在宅持続陽圧呼吸療法材料加算には、区分番号「C107―2」在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料を算定する患者に対し、保険医療機関が貸与する持続陽圧呼吸療法装置に係る費用のうち、装置に必要な回路部品その他の附属品等に係る費用が含まれ、3月に3回に限り算定できる。

C172 在宅経肛門的自己洗腸用材料加算

在宅経肛門的自己洗腸用材料加算は、在宅療養において経肛門的自己洗腸が必要な患者に対して、自己洗腸用材料を使用した場合に、3月に3回に限り算定できる。

C173 横隔神経電気刺激装置加算

(1) 横隔神経電気刺激装置加算は、在宅人工呼吸を行っている脊髄損傷又は中枢性低換気症候群の患者に対して、呼吸補助を行うことを目的として横隔神経電気刺激装置を使用した場合に算定する。

(2) 関連学会の定める適正使用指針を遵守して使用した場合に限り算定する。なお、横隔神経電気刺激装置を使用するに当たり必要なバックアップ用体表面不関電極セット、コネクタホルダ、ストレインリリーフブートキット、その他療養上必要な医療材料の費用は、所定点数に含まれる。

第3節 薬剤料

C200 薬剤

(1) 次の厚生労働大臣の定める注射薬に限り投与することができる。

【厚生労働大臣の定める注射薬】

インスリン製剤、ヒト成長ホルモン剤、遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤、乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤、活性化プロトロンビン複合体、乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤、性腺刺激ホルモン製剤、ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体、ソマトスタチンアナログ、顆粒球コロニー形成刺激因子製剤、自己連続携行式腹膜灌流用灌流液、在宅中心静脈栄養法用輸液、インターフェロンアルファ製剤、インターフェロンベータ製剤、ブプレノルフィン製剤、モルヒネ塩酸塩製剤、抗悪性腫瘍剤、グルカゴン製剤、グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト、ヒトソマトメジンC製剤、人工腎臓用透析液、血液凝固阻止剤、生理食塩液、プロスタグランジンI2製剤、エタネルセプト製剤、注射用水、ペグビソマント製剤、スマトリプタン製剤、フェンタニルクエン酸塩製剤、複方オキシコドン製剤、オキシコドン塩酸塩製剤、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム製剤、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム製剤、デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム製剤、プロトンポンプ阻害剤、H2遮断剤、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム製剤、トラネキサム酸製剤、フルルビプロフェンアキセチル製剤、メトクロプラミド製剤、プロクロルペラジン製剤、ブチルスコポラミン臭化物製剤、グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L―システイン塩酸塩配合剤、アダリムマブ製剤、エリスロポエチン、ダルベポエチン、テリパラチド製剤、アドレナリン製剤、ヘパリンカルシウム製剤、アポモルヒネ塩酸塩製剤、セルトリズマブペゴル製剤、トシリズマブ製剤、メトレレプチン製剤、アバタセプト製剤、pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)製剤、電解質製剤、注射用抗菌薬、エダラボン製剤、アスホターゼ アルファ製剤、グラチラマー酢酸塩製剤、脂肪乳剤、セクキヌマブ製剤、エボロクマブ製剤、ブロダルマブ製剤、アリロクマブ製剤、ベリムマブ製剤、イキセキズマブ製剤、ゴリムマブ製剤、エミシズマブ製剤、イカチバント製剤、サリルマブ製剤、デュピルマブ製剤、ヒドロモルフォン塩酸塩製剤、インスリン・グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト配合剤、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム製剤、遺伝子組換えヒトvon Willebrand因子製剤、ブロスマブ製剤、アガルシダーゼ アルファ製剤、アガルシダーゼ ベータ製剤、アルグルコシダーゼ アルファ製剤、イデュルスルファーゼ製剤、イミグルセラーゼ製剤、エロスルファーゼ アルファ製剤、ガルスルファーゼ製剤、セベリパーゼ アルファ製剤、ベラグルセラーゼ アルファ製剤、ラロニダーゼ製剤、メポリズマブ製剤、オマリズマブ製剤、テデュグルチド製剤、サトラリズマブ製剤及びビルトラルセン製剤

(2) 上記の注射薬の投与日数は、以下のとおりである。

ア 投与日数に制限のないもの

イ及びウに該当しない注射薬

イ 14日分を限度に投与することができるもの

(イ) 新医薬品(医薬品医療機器法第14条の4第1項第一号に規定する新医薬品をいう。)であって、使用薬剤の薬価(薬価基準)への収載の日の属する月の翌月の初日から起算して1年を経過していない注射薬

(ロ) 複方オキシコドン製剤

ウ 30日分を限度に投与することができるもの

ブプレノルフィン製剤、モルヒネ塩酸塩製剤、フェンタニルクエン酸塩製剤、ヒドロモルフォン塩酸塩製剤

(3) 厚生労働大臣の定める注射薬のうち、「在宅中心静脈栄養法用輸液」とは、高カロリー輸液をいう。なお、高カロリー輸液を投与する場合には、これ以外にビタミン剤、高カロリー輸液用微量元素製剤及び血液凝固阻止剤を投与することができる。

(4) 厚生労働大臣の定める注射薬のうち、「電解質製剤」とは、経口摂取不能又は不十分な場合の水分・電解質の補給・維持を目的とした注射薬(高カロリー輸液を除く。)をいい、電解質製剤以外に電解質補正製剤(電解質製剤に添加して投与する注射薬に限る。)、ビタミン剤、高カロリー輸液用微量元素製剤及び血液凝固阻止剤を投与することができる。

(5) 厚生労働大臣の定める注射薬のうち、「注射用抗菌薬」とは、病原体に殺菌的又は静菌的に作用する注射薬をいう。

(6) 初診、再診又は在宅医療において、患者の診療を担う保険医の指示に基づき、当該保険医の診療日以外の日に訪問看護ステーション等の看護師等が、当該患者に対し点滴又は処置等を実施した場合は、当該保険医療機関において、本区分により点滴又は処置等に用いた薬剤(当該患者に対し使用した分に限る。)の費用を算定する。なお、この場合にあっては、当該薬剤が使用された日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。ただし、区分番号「A000」初診料の算定のみの場合にあっては、当該薬剤料の費用は算定できない。

第4節 特定保険医療材料料

C300 特定保険医療材料

初診、再診又は在宅医療において、患者の診療を担う保険医の指示に基づき、当該保険医の診療日以外の日に訪問看護ステーション等の看護師等が、当該患者に対し点滴又は処置等を実施した場合は、当該保険医療機関において、本区分により点滴又は処置等に用いた特定保険医療材料(当該患者に対し使用した分に限る。)の費用を算定する。なお、この場合にあっては、当該特定保険医療材料が使用された日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

第3部 検査

<通則>

1 検査の費用には、検査を行う医師、看護師及び技術者等の人件費、試薬、デッキグラス、試験管等の材料費、機器の減価償却費、管理費及び患者の衣類等の費用は含まれる。なお、患者に施用する薬剤及び特定保険医療材料の費用は検査料とは別に算定する。

2 検査に当たって施用した薬剤の費用は別に算定できるが、第2章第5部投薬の部に掲げる処方料、調剤料、処方箋料及び調剤技術基本料並びに同第6部注射の部に掲げる注射料は、別に算定できない。なお、検査に当たって施用される薬剤(検査用試薬を含む。)は、原則として医薬品として承認されたものであることを要する。

3 撮影した画像を電子媒体に保存した場合、保存に要した電子媒体の費用は検査にかかる所定点数に含まれる。

4 第1節及び第3節に掲げられていない検査で簡単な検査は、基本診療料に含まれるので、別に算定することはできない。なお、基本診療料に含まれる検査の主なものは、次のとおりである。

(1) 血圧測定

(2) 視野眼底検査のうち簡単なもの

(3) 眼科検査のうち斜照法、徹照法、細隙燈検査(ルーペ式)、機器を使用しない眼圧測定検査

(4) 区分番号「D244」自覚的聴力検査の「3」の簡易聴力検査に該当しない簡単な聴力検査

(5) 精液pH測定

(6) デビス癌反応検査

(7) 鼓膜運動検査

(8) イクテロメーター黄疸反応検査

(9) 簡易循環機能検査

ア スラッジテスト

イ 指尖部皮膚毛細血管像検査

ウ 皮膚粘膜撮影検査

エ 寒冷血圧検査

オ ビッケンバッハ起立試験

カ ヒスタミンテスト

キ レジチンテスト

ク 末梢の静脈圧測定

ケ ビュルゲル病及び脱疽等の場合における電気的皮膚温度測定

a 単純な場合

b 負荷を行った場合

コ ギボン―ランディステスト

サ 基礎代謝率簡易測定法

注 簡易循環機能検査とは、生体に対して物理的又は化学的負荷をかけ、血圧、脈拍等の理学所見の観察を行うことにより循環機能を検査することを目的とする簡易な検査であり、負荷の種類としては起立、寒冷、運動及び薬物等がある。

(10) 自律神経機能検査

(11) アルコール中毒に対する飲酒試験における症状監視

(12) 皮膚のインピーダンス検査(皮電図記録作成)

(13) 6誘導未満の心電図検査

(14) 尿中ブロムワレリル尿素検出検査

(15) 尿脚気反応(沢田氏反応)

(16) シュミット氏昇汞試験

(17) 糞便のストール氏虫卵数計算法

(18) 髄膜透過性検査

(19) 横田氏反応

(20) ユーグロブリン全プラスミン測定法(ユーグロブリン分屑SK活性化プラスミン値測定)

(21) 緒方法等の補体結合反応による梅毒脂質抗原使用検査

(22) 卵白アルブミン感作血球凝集反応検査

(23) ラクトアルブミン感作血球凝集反応検査

(24) Miller Kurzrok検査

(25) Schick反応

(26) Dick反応

(27) Frei反応

(28) 光田反応

(29) 松原反応

(30) 伊藤反応

(31) トキソプラズマ症、ジストマ症及び猩紅熱の皮内テスト

(32) 膨疹吸収時間測定

(33) ジアゾ反応

(34) インジカン

(35) 血液比重測定

(36) 末梢血液像及び骨髄像における特殊染色のBRACHET試験

(37) 赤血球抵抗試験のリビエール法

(38) ナイアシンテスト

(39) RPHA法によるα―フェトプロテイン(AFP)

(40) リウマチ因子スクリーニング

(41) α1―酸性糖蛋白測定

(42) β―リポ蛋白

(43) モノアミンオキシダーゼ(MAO)

(44) ヴィダール反応

(45) ヒト絨毛性ゴナドトロピンβ(HCGβ)分画定性

(46) 凝集法及び免疫染色法による抗DNA抗体

(47) 全血凝固溶解時間測定

(48) 血清全プラスミン測定

5 第1節又は第3節に掲げる検査料の項に掲げられていない検査のうち簡単なものの費用は算定できないが、特殊なものの費用については、その都度当局に内議し、最も近似する検査として通知されたものの算定方法及び注(特に定めるものを除く。)を準用して、準用された検査に係る判断料と併せて算定する。

6 数表において2つの項目を「及び」で結んで規定している検査については、特に定めるものを除き、当該両項目の検査を併せて行った場合にのみ算定する。

7 検査に当たって、麻酔を行った場合は、第2章第11部麻酔に規定する所定点数を別に算定する。ただし、麻酔手技料を別に算定できない麻酔を行った場合の薬剤料は、第5節薬剤料の規定に基づき算定できる。

8 同一検体について、定性検査、半定量検査及び定量検査のうち2項目以上を併せて行った場合又はスクリーニング検査とその他の検査とを一連として行った場合は、それぞれ主たる検査の所定点数のみ算定する。ただし、併せて行う検査の区分が異なる場合は、それぞれについて算定する。

9 「分画」と記されている検査について、同一検体の各分画に対して定量検査を行った場合は、所定点数を1回のみ算定する。

10 定性、半定量又は定量の明示がない検査については、定量検査を行った場合にのみ当該検査の所定点数を算定する。

11 測定方法又は検査方法が明示されていない検査については、測定又は検査の方法の如何にかかわらず、その検査料の項に掲げる所定点数を算定する。

12 同時又は一連として行った2以上の検査の結果から計算して求めた内容が、検査料に掲げられた項目に該当する場合であっても、当該内容についての点数は算定できない。

13 2回目以降について所定点数の100分の90に相当する点数により算定することとされている場合において「所定点数」とは、当該項目に掲げられている点数及び当該注に掲げられている加算点数を合算した点数である。

14 同一項目について検査方法を変えて測定した場合には、測定回数にかかわらず、主たる測定方法の所定点数のみを算定する。

15 算定回数が複数月に1回又は年1回のみとされている検査を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に前回の実施日(初回の場合は初回である旨)を記載する。

16 第3部検査の部において用いられる検査法の略号については下記のとおりである。

PHA:Passive hemagglutination 受身赤血球凝集反応

RPHA:Reversed passive hemagglutination 逆受身赤血球凝集反応

LA:Latex agglutination ラテックス凝集法

(LPIA:Latex photometric immuno assay)

PCIA:Particle counting immuno assay 微粒子計数免疫凝集測定法

PAMIA:Particle mediated immuno assay 粒度分布解析ラテックス免疫測定法

IAHA:Immuno adherence hemagglutination 免疫粘着赤血球凝集反応

RIA:Radio immuno assay 放射性免疫測定法

RIST:Radio immuno sorbent test

RAST:Radio allegro sorbent test

RA:Radioassay ラジオアッセイ

RRA:Radioreceptorassay ラジオレセプターアッセイ

CPBA:Competitive protein binding analysis 競合性蛋白結合分析法

EIA:Enzyme immuno assay 酵素免疫測定法

(ELISA:Enzyme linked immuno sorbent assay)

FA:Fluorescent antibody method 蛍光抗体法

FPA:Fluorescence polarization assay 蛍光偏光法

FPIA:Fluorescence polarization immune assay 蛍光偏光免疫測定法

TR―FIA:Time resolved fluoro immune assay 時間分解蛍光免疫測定法

IRMA:Immuno radiometric assay 免疫放射定量法

SRID:Single radial immune diffusion method 一元拡散法

ES:Electrosyneresis method 向流電気泳動法

TIA:Turbidimetric immune assay 免疫比濁法

HPLC:High performance liquid chromatography 高性能液体クロマトグラフィー

GLC:Gas‐liquid chromatography 気液クロマトグラフィー

GC:Gas chromatography ガスクロマトグラフィー

CLIA:Chemiluminescent immuno assay 化学発光免疫測定法

CLEIA:Chemiluminescent enzyme immuno assay 化学発光酵素免疫測定法

ECLIA:Electrochemiluminescence immuno assay 電気化学発光免疫測定法

SIA:Split immuno assay

PCR:Polymerase chain reaction

PCR―rSSO:Polymerase chain reaction‐reverse sequence specific oligonucleotide

EV―FIA:Evanescent wave fluoro immuno assay エバネセント波蛍光免疫測定法

FIA:Fluoro immuno assay 蛍光免疫測定法

LBA:Liquid‐phase binding assay 液相結合法

FISH:Fluorescence in situ hybridization

SISH:silver in situ hybridization

LAMP:Loop‐mediated isothermal amplification

TMA:Transcription‐mediated amplification

SDA:Strand displacement amplification

SSCP:Single strand conformation polymorphism

RFLP:Restriction fragment length polymorphism

LCR:Ligase chain reaction

HDRA:Histoculture drug response assay

CD―DST:Collagen gel droplet embedded culture drug sensitivity test

注 LA(測定機器を用いるもの)とは、抗原抗体反応によりラテックス粒子が形成する凝集塊を光学的な分析機器を用いて定量的に測定する方法をいう。

17 「定性」とは分析物の有無を判定するもの、「半定量」とは段階希釈などを用いて得られる最高希釈倍率や一定濃度の標準品との対比によって得られる濃度段階区分など、相対的な多寡を判定・分類するもの、「定量」とは分析物の量を標準品との対比によって精密に測定するものをいう。

18 初診、再診又は在宅医療において、患者の診療を担う保険医の指示に基づき、当該保険医の診療日以外の日に訪問看護ステーション等の看護師等が、当該患者に対し検査のための検体採取等を実施した場合は、当該保険医療機関において、第1節第1款検体検査実施料を算定するとともに、検体採取に当たって必要な試験管等の材料を患者に対して支給すること。なお、この場合にあっては、当該検体採取が実施された日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

第1節 検体検査料

第1款 検体検査実施料

時間外緊急院内検査加算

(1) 時間外緊急院内検査加算については、保険医療機関において、当該保険医療機関が表示する診療時間以外の時間、休日又は深夜に入院中の患者以外の患者に対して診療を行った際、医師が緊急に検体検査の必要性を認め、当該保険医療機関において、当該保険医療機関の従事者が当該保険医療機関内に具備されている検査機器等を用いて当該検体検査を実施した場合に限り算定できる。

なお、当該加算の算定に当たっては、当該加算の対象たる検査の開始時間をもって算定する。

(2) 検査の開始時間が診療時間以外の時間、休日又は深夜に該当する場合に当該加算を算定する。なお、時間外等の定義については、区分番号「A000」初診料の注7に規定する時間外加算等における定義と同様であること。

(3) 同一患者に対して、同一日に2回以上、時間外、休日又は深夜の診療を行い、その都度緊急の検体検査を行った場合(複数の区分にまたがる場合を含む。)も、1日につき1回のみ算定する。

(4) 現に入院中の患者については算定できない。ただし、時間外、休日又は深夜に外来を受診した患者に対し、検体検査の結果、入院の必要性を認めて、引き続き入院となった場合は、この限りではない。

(5) 時間外緊急院内検査加算を算定する場合においては、区分番号「A000」初診料の注9並びに区分番号「A001」再診料の注7に規定する夜間・早朝等加算は算定できない。

(6) 緊急の場合とは、直ちに何らかの処置・手術等が必要である重篤な患者について、通常の診察のみでは的確な診断が困難であり、かつ、通常の検査体制が整うまで検査の実施を見合わせることができないような場合をいう。

外来迅速検体検査加算

(1) 外来迅速検体検査加算については、当日当該保険医療機関で行われた検体検査について、当日中に結果を説明した上で文書により情報を提供し、結果に基づく診療が行われた場合に、5項目を限度として、検体検査実施料の各項目の所定点数にそれぞれ10点を加算する。

(2) 以下の多項目包括規定に掲げる点数を算定する場合には、その規定にかかわらず、実施した検査項目数に相当する点数を加算する。

区分番号「D006」出血・凝固検査の注の場合

区分番号「D007」血液化学検査の注の場合

区分番号「D008」内分泌学的検査の注の場合

区分番号「D009」腫瘍マーカーの注2の場合

例 患者から1回に採取した血液等を用いて区分番号「D009」腫瘍マーカーの「2」の癌胎児性抗原(CEA)と「8」のCA19―9を行った場合、検体検査実施料の請求は区分番号「D009」腫瘍マーカーの「注2」の「イ」2項目となるが、外来迅速検体検査加算は、行った検査項目数が2項目であることから、20点を加算する。

(3) 同一患者に対して、同一日に2回以上、その都度迅速に検体検査を行った場合も、1日につき5項目を限度に算定する。

(4) 区分番号「A002」外来診療料に含まれる検体検査とそれ以外の検体検査の双方について加算する場合も、併せて5項目を限度とする。

(5) 現に入院中の患者については算定できない。ただし、外来を受診した患者に対し、迅速に実施した検体検査の結果、入院の必要性を認めて、引き続き入院となった場合は、この限りではない。

D000 尿中一般物質定性半定量検査

(1) 検体検査を行った場合は所定の判断料を算定できるものであるが、尿中一般物質定性半定量検査を実施した場合は、当該検査に係る判断料は算定できない。

(2) 尿中一般物質定性半定量検査

ア 尿中一般物質定性半定量検査とは、試験紙、アンプル若しくは錠剤を用いて検査する場合又は試験紙等を比色計等の機器を用いて判定する場合をいい、検査項目、方法にかかわらず、1回につき所定点数により算定する。

イ 尿中一般物質定性半定量検査に含まれる定性半定量の検査項目は、次のとおりである。

(イ) 比重

(ロ) pH

(ハ) 蛋白定性

(ニ) グルコース

(ホ) ウロビリノゲン

(ヘ) ウロビリン定性

(ト) ビリルビン

(チ) ケトン体

(リ) 潜血反応

(ヌ) 試験紙法による尿細菌検査(亜硝酸塩)

(ル) 食塩

(ヲ) 試験紙法による白血球検査(白血球エステラーゼ)

(ワ) アルブミン(BCP改良法・BCG法)

(3) 尿中一般物質定性半定量検査は当該検査の対象患者の診療を行っている保険医療機関内で実施した場合にのみ算定できるものであり、委託契約等に基づき当該保険医療機関外で実施された検査の結果報告を受けるのみの場合は算定できない。ただし、委託契約等に基づき当該保険医療機関内で実施された検査について、その結果が当該保険医療機関に対して速やかに報告されるような場合は、所定点数を算定できる。

D001 尿中特殊物質定性定量検査

(1) 「3」の先天性代謝異常症スクリーニングテスト(尿)とは、次に掲げる物質の定性半定量検査及び反応検査をいう。

ア 塩化鉄(Ⅲ)反応(フェニールケトン体及びアルカプトン体の検出を含む。)

イ 酸性ムコ多糖類

ウ システイン、シスチン等のSH化合物

エ ヒスチジン定性

オ メチルマロン酸

カ Millon反応

キ イサチン反応

ク Benedict反応

(2) 「4」のポルフィリン症スクリーニングテスト(尿)として、Watson―Schwartz反応、Rimington反応又はDeanand Barnes反応を行った場合は、それぞれ所定点数を算定する。

(3) 「8」のアルブミン定量(尿)、「9」のトランスフェリン(尿)及び「16」のⅣ型コラーゲン(尿)は、糖尿病又は糖尿病性早期腎症患者であって微量アルブミン尿を疑うもの(糖尿病性腎症第1期又は第2期のものに限る。)に対して行った場合に、3月に1回に限り算定できる。なお、これらを同時に行った場合は、主たるもののみ算定する。

(4) 「13」のミオイノシトール(尿)は、空腹時血糖が110mg/dL以上126mg/dL未満の患者に対し、耐糖能診断の補助として、尿中のミオイノシトールを測定した場合に1年に1回に限り算定できる。ただし、既に糖尿病と診断されている場合は、算定できない。

(5) 「18」のシュウ酸(尿)は、再発性尿路結石症の患者に対して、キャピラリー電気泳動法により行った場合に、原則として1年に1回に限り算定する。

(6) 「19」のL型脂肪酸結合蛋白(L―FABP)(尿)は、原則として3月に1回に限り算定する。ただし、医学的な必要性からそれ以上算定する場合においては、その詳細な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(7) 好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)(尿)

ア 「19」の好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)(尿)は、急性腎障害の診断時又はその治療中に、CLIA法により測定した場合に算定できる。ただし、診断時においては1回、その後は急性腎障害に対する一連の治療につき3回を限度として算定する。なお、医学的な必要性からそれ以上算定する場合においては、その詳細な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

イ 「19」の好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)(尿)と「19」のL型脂肪酸結合蛋白(L―FABP)(尿)を併せて実施した場合には、主たるもののみ算定する。

(8) 同一日に尿、穿刺液・採取液及び血液を検体として生化学的検査(Ⅰ)又は生化学的検査(Ⅱ)に掲げる検査項目につきそれぞれを実施した場合の、多項目包括規定の適用については、尿、穿刺液・採取液及び血液のそれぞれについて算出した項目数により所定点数を算定するのではなく、血液、尿、穿刺液・採取液それぞれに係る項目数を合算した項目数により、所定点数を算定する。ただし、同一日に行う2回目以降の血液採取による検体を用いた検査項目については、当該項目数に合算せず、所定点数を別途算定する。

(9) 蛋白質とクレアチニンの比を測定する目的で試験紙により実施した場合は、「21」のその他によるクレアチニン(尿)として算定し、その判断料は、区分番号「D026」検体検査判断料の「1」尿・糞便等検査判断料を算定する。

(10) 免疫クロマトグラフィー法を用いてトリプシノーゲン2を測定する場合には、区分番号「D001」尿中特殊物質定性定量検査の「10」ウロポルフィリン(尿)の所定点数を準用して算定する。この場合、急性膵炎を疑う医学的根拠について、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(11) 免疫クロマトグラフィー法を用いてトリプシノーゲン2を測定する場合にあって、区分番号「D007」血液化学検査の「1」アミラーゼ、「6」リパーゼ、「14」アミラーゼアイソザイム、「45」トリプシン又は区分番号「D009」腫瘍マーカーの「7」エラスターゼ1を併せて実施した場合には、いずれか主たるもののみ算定する。

D002 尿沈渣(鏡検法)

(1) 尿沈渣(鏡検法)の所定点数は、赤血球、白血球、上皮細胞、各種円柱、類円柱、粘液系、リポイド、寄生虫等の無染色標本検査の全ての費用を含む。

(2) 尿沈渣(鏡検法)は、区分番号「D000」尿中一般物質定性半定量検査若しくは区分番号「D001」尿中特殊物質定性定量検査において何らかの所見が認められ、又は診察の結果からその実施が必要と認められて実施した場合に算定すること。

(3) 尿沈渣(鏡検法)は当該検査の対象患者の診療を行っている保険医療機関内で実施した場合にのみ算定できるものであり、委託契約等に基づき当該保険医療機関外で実施された検査の結果報告を受けるのみの場合は算定できない。ただし、委託契約等に基づき当該保険医療機関内で実施された検査について、その結果が当該保険医療機関に速やかに報告されるような場合は、所定点数により算定する。

(4) 尿路系疾患が強く疑われる患者について、診療所が尿沈渣(鏡検法)を衛生検査所等に委託する場合であって、当該衛生検査所等が採尿後4時間以内に検査を行い、検査結果が速やかに当該診療所に報告された場合は、所定点数を算定できる。

(5) 当該検査と区分番号「D002―2」尿沈渣(フローサイトメトリー法)を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

D002―2 尿沈渣(フローサイトメトリー法)

(1) 本測定は区分番号「D000」尿中一般物質定性半定量検査若しくは区分番号「D001」尿中特殊物質定性定量検査において何らかの所見が認められ、又は診察の結果からその実施が必要と認められ、赤血球、白血球、上皮細胞、円柱及び細菌を同時に測定した場合に算定する。

(2) 本検査と区分番号「D002」尿沈渣(鏡検法)を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

D003 糞便検査

(1) 糞便中の細菌、原虫検査は、区分番号「D017」排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査により算定する。

(2) ヘモグロビン検査を免疫クロマト法にて行った場合は、「5」の糞便中ヘモグロビン定性により算定する。

(3) ヘモグロビン検査を金コロイド凝集法による定量法にて行った場合は、「7」の糞便中ヘモグロビンにより算定する。

(4) カルプロテクチン(糞便)

ア 「9」のカルプロテクチン(糞便)を慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)の診断補助を目的として測定する場合は、ELISA法、FEIA法又はLA法により測定した場合に算定できる。ただし、腸管感染症が否定され、下痢、腹痛や体重減少などの症状が3月以上持続する患者であって、肉眼的血便が認められない患者において、慢性的な炎症性腸疾患が疑われる場合の内視鏡前の補助検査として実施すること。また、その要旨を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

イ 本検査を潰瘍性大腸炎又はクローン病の病態把握を目的として測定する場合、潰瘍性大腸炎についてはELISA法、FEIA法、金コロイド凝集法、イムノクロマト法又はLA法により、クローン病についてはFEIA法により測定した場合に、それぞれ3月に1回を限度として算定できる。ただし、医学的な必要性から、本検査を1月に1回行う場合には、その詳細な理由及び検査結果を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ウ 慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)の診断補助又は病態把握を目的として、本検査及び区分番号「D313」大腸内視鏡検査を同一月中に併せて行った場合は、主たるもののみ算定する。

(5) 血清を検体として、ロイシンリッチα2グリコプロテインを潰瘍性大腸炎又はクローン病の病態把握を目的として測定する場合は、区分番号D003糞便検査の「9」カルプロテクチン(糞便)の所定点数を準用して3月に1回を限度として算定できる。ただし、医学的な必要性から、本検査を1月に1回行う場合には、その詳細な理由及び検査結果を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

ア 潰瘍性大腸炎又はクローン病の病態把握を目的として、区分番号D003の「9」カルプロテクチン(糞便)又は区分番号「D313」大腸内視鏡検査を同一月中に併せて行った場合は、主たるもののみ算定する。

イ ロイシンリッチα2グリコプロテインを測定する場合は、当該検査にかかる判断料については、区分番号「D026」検体検査判断料の4生化学的検査(Ⅰ)判断料を算定する。

D004 穿刺液・採取液検査

(1) 「2」の胃液又は十二指腸液一般検査の所定点数には、量、色調、混濁、粘液量、臭気、酸度測定、ペプシン及び乳酸定量、ラブ酵素の証明、蛋白質の呈色反応(ニンヒドリン反応、ビウレット反応等)、毒物、潜血、虫卵、ウロビリン体の定性定量、コレステリン体の定量、液に含まれる物質の定性半定量の検査等の費用が含まれる。

(2) 「3」の髄液一般検査の所定点数には、外見、比重、ノンネアペルト、パンディ、ワイヒブロート等のグロブリン反応、トリプトファン反応、細胞数、細胞の種類判定及び蛋白、グルコース、ビリルビン、ケトン体等の定性半定量の検査等が含まれる。

(3) 「4」の精液一般検査の所定点数には、精液の量、顕微鏡による精子の数、奇形の有無、運動能等の検査の全ての費用が含まれる。

(4) 「5」の頸管粘液一般検査の所定点数には、量、粘稠度、色調、塗抹乾燥標本による顕微鏡検査(結晶、細菌、血球、腟上皮細胞等)等の費用が含まれる。

(5) 「6」の顆粒球エラスターゼ定性(子宮頸管粘液)は、フロースルー免疫測定法(赤色ラテックス着色法)により、絨毛羊膜炎の診断のために妊娠満22週以上満37週未満の妊婦で切迫早産の疑いがある者に対して測定した場合に算定する。

(6) 「6」のIgE定性(涙液)は、アレルギー性結膜炎の診断の補助を目的として判定した場合に月1回に限り算定できる。

(7) 「7」の顆粒球エラスターゼ(子宮頸管粘液)は、絨毛羊膜炎の診断のために妊娠満22週以上満37週未満の妊婦で切迫早産の疑いがある者に対して行った場合に算定する。

(8) 「8」のマイクロバブルテストは妊娠中の患者又は新生児の患者に対して週に1回に限り算定できる。

(9) 「9」のIgGインデックス、「10」のオリゴクローナルバンド及び「11」のミエリン塩基性蛋白(MBP)(髄液)は、多発性硬化症の診断の目的で行った場合に算定する。

(10) 「12」のタウ蛋白(髄液)は、クロイツフェルト・ヤコブ病の診断を目的に、患者1人につき1回に限り算定する。

(11) 「13」のリン酸化タウ蛋白(髄液)は、認知症の診断を目的に、患者1人につき1回に限り算定する。

(12) 同一日に尿、穿刺液・採取液及び血液を検体として生化学的検査(Ⅰ)又は生化学的検査(Ⅱ)に掲げる検査項目につきそれぞれを実施した場合の、多項目包括規定の適用については、尿、穿刺液・採取液及び血液のそれぞれについて算出した項目数により所定点数を算定するのではなく、血液、尿、穿刺液・採取液それぞれに係る項目数を合算した項目数により、所定点数を算定する。ただし、同一日に行う2回目以降の血液採取による検体を用いた検査項目については、当該項目数に合算せず、所定点数を別途算定する。

D004―2 悪性腫瘍組織検査

(1) 「1」の悪性腫瘍遺伝子検査は、固形腫瘍又は悪性リンパ腫の腫瘍細胞を検体とし、悪性腫瘍の詳細な診断及び治療法の選択を目的として悪性腫瘍患者本人に対して行った、(2)から(4)までに掲げる遺伝子検査について、患者1人につき1回に限り算定する。ただし、肺癌におけるEGFR遺伝子検査については、再発や増悪により、2次的遺伝子変異等が疑われ、再度治療法を選択する必要がある場合にも算定できることとし、マイクロサテライト不安定性検査については、リンチ症候群の診断の補助を目的とする場合又は固形癌の抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的とする場合に、当該検査を実施した後に、もう一方の目的で当該検査を実施した場合にあっても、別に1回に限り算定できる。

早期大腸癌におけるリンチ症候群の除外を目的としてBRAF遺伝子検査を実施した場合にあっては、K―ras遺伝子検査又はRAS遺伝子検査を併せて算定できないこととし、マイクロサテライト不安定性検査を実施した年月日を、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(2) 「1」の「イ」の「(1)」医薬品の適応判定の補助等に用いるものとは、次に掲げる遺伝子検査のことをいい、使用目的又は効果として、医薬品の適応を判定するための補助等に用いるものとして薬事承認又は認証を得ている体外診断用医薬品又は医療機器を用いて、リアルタイムPCR法、PCR―rSSO法、マルチプレックスPCRフラグメント解析法又は次世代シーケンシングにより行う場合に算定できる。

なお、その他の方法により肺癌におけるEGFR遺伝子検査又は大腸癌におけるRAS遺伝子検査を行う場合は、令和4年3月31日までの間に限り、「1」の「イ」の「(2)」その他のものを算定できるものとする。

ア 肺癌におけるEGFR遺伝子検査、ROS1融合遺伝子検査、ALK融合遺伝子検査、BRAF遺伝子検査(次世代シーケンシングを除く。)、METex14遺伝子検査(次世代シーケンシングを除く。)

イ 大腸癌におけるRAS遺伝子検査、BRAF遺伝子検査

ウ 乳癌におけるHER2遺伝子検査

エ 固形癌におけるマイクロサテライト不安定性検査

オ 濾胞性リンパ腫におけるEZH2遺伝子検査

(3) 「1」の「イ」の「(2)」その他のものとは、次に掲げる遺伝子検査のことをいい、PCR法、SSCP法、RFLP法等により行う場合に算定できる。

ア 肺癌におけるK―ras遺伝子検査

イ 膵癌におけるK―ras遺伝子検査

ウ 悪性骨軟部組織腫瘍におけるEWS―Fli1遺伝子検査、TLS―CHOP遺伝子検査、SYT―SSX遺伝子検査

エ 消化管間葉系腫瘍におけるc―kit遺伝子検査

オ 悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節生検に係る遺伝子検査

カ 大腸癌におけるEGFR遺伝子検査、K―ras遺伝子検査、マイクロサテライト不安定性検査(リンチ症候群の診断の補助を目的とする場合に限る。ただし、使用目的又は効果として、医薬品の適応を判定するための補助等に用いるものとして薬事承認又は認証を得ている体外診断用医薬品を使用した場合は除く。)

(4) 「1」の「ロ」処理が複雑なものとは、次に掲げる遺伝子検査のことをいい、使用目的又は効果として、医薬品の適応を判定するための補助等に用いるものとして薬事承認又は認証を得ている体外診断用医薬品又は医療機器を用いて、次世代シーケンシング等により行う場合に算定できる。

なお、その他の方法により悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子検査を行う場合は、令和4年3月31日までの間に限り、「1」の「イ」の「(2)」その他のものを算定できるものとする。

ア 肺癌におけるBRAF遺伝子検査(次世代シーケンシング)、METex14遺伝子検査(次世代シーケンシング)、RET融合遺伝子検査

イ 悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子検査(リアルタイムPCR法)

ウ 固形癌におけるNTRK融合遺伝子検査、腫瘍遺伝子変異量検査

(5) 患者から1回に採取した組織等を用いて同一がん種に対して「1」の「イ」処理が容易なものと「1」の「ロ」処理が複雑なものを実施した場合は、それぞれの所定点数を合算した点数により算定する。

(6) 「1」の悪性腫瘍遺伝子検査を算定するに当たっては、(2)から(4)までに掲げる遺伝子検査の中から該当するものを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(7) 「1」の悪性腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006―2」造血器腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006―6」免疫関連遺伝子再構成、区分番号「D006―14」FLT3遺伝子検査又は区分番号「D006―16」JAK2遺伝子検査のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

(8) 肺癌において、「1」の「イ」の「(1)」医薬品の適応判定の補助等に用いるもののうち、(2)のアに規定する肺癌におけるEGFR遺伝子検査(「1」の「イ」の「(2)」その他のものにより算定する場合も含む。)と区分番号「D006―12」EGFR遺伝子検査(血漿)を同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

(9) 肺癌において、「1」の「イ」の「(1)」医薬品の適応判定の補助等に用いるもののうち、(2)のアに規定する肺癌におけるALK融合遺伝子検査又は(21)のALK融合遺伝子検査と区分番号「N002」の「6」ALK融合タンパク又は区分番号「N005―2」ALK融合遺伝子標本作製を併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

(10) 乳癌において、「1」の「イ」の「(1)」医薬品の適応判定の補助等に用いるもののうち、(2)のウに規定する乳癌におけるHER2遺伝子検査と区分番号「N005」HER2遺伝子標本作製を併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

(11) 卵巣癌又は前立腺癌において、「1」の「ロ」処理が複雑なもののうち、(4)のウに規定する固形癌におけるNTRK融合遺伝子検査と区分番号「D006―18」BRCA1/2遺伝子検査の「1」腫瘍細胞を検体とするものを併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

(12) 次世代シーケンシングを用いて、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として特定の遺伝子の変異の評価を行う際に、包括的なゲノムプロファイルを併せて取得している場合には、包括的なゲノムプロファイルの結果ではなく、目的とする遺伝子変異の結果についてのみ患者に提供すること。また、その場合においては、目的以外の遺伝子の変異に係る検査結果については患者の治療方針の決定等には用いないこと。

(13) 肺癌患者の血漿を検体とし、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として、次世代シーケンシングによりMETex14遺伝子検査を行った場合は、本区分の「1」の「ロ」複雑なものの所定点数を準用して患者1人につき1回に限り算定する。

ア 本検査の実施は、医学的な理由により、肺癌の組織を検体として、「1」の「ロ」処理が複雑なもののうち、(4)のアに規定する肺癌におけるMETex14遺伝子検査を行うことが困難な場合に算定できる。

イ 本検査の実施にあたっては、肺癌の組織を検体とした検査が実施困難である医学的な理由を診療録及び診療報酬明細書に記載すること。

ウ 本検査と、肺癌の組織を検体とした「1」の「ロ」処理が複雑なもののうち、(4)のアに規定する肺癌におけるMETex14遺伝子検査を同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

エ 本検査と、肺癌の組織を検体としてMETex14遺伝子検査以外の検査を併せて行った場合には、「注2」の規定を適用し、本検査を含めた検査の項目数に応じた点数により算定する。

(14) 「2」の抗悪性腫瘍剤感受性検査は、手術等によって採取された消化器癌、頭頸部癌、乳癌、肺癌、癌性胸膜・腹膜炎、子宮頸癌、子宮体癌又は卵巣癌の組織を検体とし、HDRA法又はCD―DST法を用いて、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として行った場合に限り、患者1人につき1回に限り算定する。

(15) 当該検査の対象となる抗悪性腫瘍剤は、細胞毒性を有する薬剤に限る。また、当該検査に係る薬剤の費用は、所定点数に含まれる。

(16) RAS遺伝子検査(血漿)は、「1」の「ロ」処理が複雑なものと、「イ」処理が容易なものの「(1)」医薬品の適応判定の補助等に用いるものの所定点数を準用して算定する。

ア 本検査は、大腸癌患者の血漿を検体とし、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として、高感度デジタルPCR法とフローサイトメトリー法を組み合わせた方法により行った場合に、患者1人につき、1回に限り算定できる。ただし、再度治療法を選択する必要がある場合にも算定できる。なお、本検査の実施は、医学的な理由により、大腸癌の組織を検体として、「1」の「イ」処理が容易なもののうち、(2)のイに規定する大腸癌におけるRAS遺伝子検査又は(3)のカに規定する大腸癌におけるK―ras遺伝子検査を行うことが困難な場合に限る。

イ 本検査を実施した場合は、大腸癌の組織を検体とした検査が実施困難である医学的な理由を診療録及び診療報酬明細書に記載する。

ウ 本検査と、大腸癌の組織を検体として、「1」の「イ」処理が容易なもののうち、(2)のイに規定する大腸癌におけるRAS遺伝子検査又は(3)のカに規定する大腸癌におけるK―ras遺伝子検査を同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

(17) リンチ症候群の診断の補助を目的としてマイクロサテライト不安定性検査を行う場合でも、使用目的又は効果として、医薬品の適応を判定するための補助等に用いるものとして薬事承認又は認証を得ている体外診断用医薬品を用いる場合には「1」の「イ」の「(1)」医薬品の適応判定の補助等に用いるものの所定点数を算定する。

(18) 卵巣癌患者の腫瘍組織を検体とし、次世代シーケンシングにより、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として、相同組換え修復欠損の評価を行った場合は、本区分の「注2」の「ロ」3項目以上及び区分番号「D006―18」BRCA1/2遺伝子検査の「1」腫瘍細胞を検体とするものの所定点数を合算した点数を準用して、患者1人につき1回に限り算定する。

(19) 卵巣癌患者の腫瘍組織を検体とし、次世代シーケンシングにより、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として、相同組換え修復欠損の評価を行った場合は、区分番号「D006―18」BRCA1/2遺伝子検査の「1」腫瘍細胞を検体とするものの施設基準に係る届出を行っている保険医療機関で実施すること。

(20) 肺癌患者の血液を検体とし、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として、次世代シーケンシングによりROS1融合遺伝子検査を行った場合は、本区分の「1」の「イ」処理が容易なものの「(1)」医薬品の適応判定の補助等に用いるものの所定点数を準用して患者1人につき1回に限り算定する。

ア 本検査は、医学的な理由により、肺癌の組織を検体として、「1」の「イ」処理が容易なもののうち、(2)のアに規定する肺癌におけるROS1融合遺伝子検査を行うことが困難な場合に算定できる。

イ 本検査の実施にあたっては、肺癌の組織を検体とした検査が実施困難である医学的な理由を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ウ 本検査と、肺癌の組織を検体とした「1」の「イ」処理が容易なもののうち、(2)のアに規定する肺癌におけるROS1融合遺伝子検査を併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

(21) 肺癌患者の血液を検体とし、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として、次世代シーケンシングによりALK融合遺伝子検査を行った場合は、本区分の「1」の「イ」処理が容易なものの「(1)」医薬品の適応判定の補助等に用いるものの所定点数を準用して患者1人につき1回に限り算定する。

ア 本検査は、医学的な理由により、肺癌の組織を検体として、「1」の「イ」処理が容易なもののうち、(2)のアに規定する肺癌におけるALK融合遺伝子検査を行うことが困難な場合に算定できる。

イ 本検査の実施にあたっては、肺癌の組織を検体とした検査が実施困難である医学的な理由を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ウ 本検査と、肺癌の組織を検体とした「1」の「イ」処理が容易なもののうち、(2)のアに規定する肺癌におけるALK融合遺伝子検査を併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

(22) 固形癌患者の血液を検体とし、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として、次世代シーケンシングによりNTRK融合遺伝子検査を行った場合は、本区分の「1」の「ロ」処理が複雑なものの所定点数を準用して患者1人につき1回に限り算定する。

ア 本検査は、医学的な理由により、固形癌の組織を検体として、「1」の「ロ」処理が複雑なもののうち、(4)のウに規定する固形癌におけるNTRK融合遺伝子検査を行うことが困難な場合に算定できる。

イ 本検査の実施にあたっては、固形癌の組織を検体とした検査が実施困難である医学的な理由を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ウ 本検査と、固形癌の組織を検体とした「1」の「ロ」処理が複雑なもののうち、(4)のウに規定する固形癌におけるNTRK融合遺伝子検査を併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

(23) 卵巣癌、乳癌、膵癌又は前立腺癌において、(22)のNTRK融合遺伝子検査と区分番号「D006―18」BRCA1/2遺伝子検査を併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

(24) 患者から1回に採取した血液を用いて肺癌に対して(20)のROS1融合遺伝子、(21)のALK融合遺伝子又は区分番号「D006―12」EGFR遺伝子検査(血漿)のいずれかを併せて行った場合には、検査の項目数に応じて、2項目の場合は本区分の「注1」の「イ」2項目の所定点数を準用し、3項目の場合は本区分の「注1」の「ロ」3項目の所定点数を準用して算定する。

(25) 患者から1回に採取した血液を用いて肺癌に対して(15)のMETex14遺伝子検査及び(22)のNTRK融合遺伝子を併せて行った場合には、検査の項目数に応じて、本区分の「注2」の「イ」2項目の所定点数を準用して算定する。

(26) 肺癌患者に対してEGFR遺伝子検査、ROS1融合遺伝子検査、ALK融合遺伝子検査、BRAF遺伝子検査及びMETex14遺伝子検査をリアルタイムPCR法により同時に実施した場合は、本区分の「注1」の「イ」2項目及び「ロ」3項目の所定点数を合算した点数を準用して算定する。

D005 血液形態・機能検査

(1) 「1」の赤血球沈降速度(ESR)は当該検査の対象患者の診療を行っている保険医療機関内で実施した場合にのみ算定できるものであり、委託契約等に基づき当該保険医療機関外で実施された検査の結果報告を受けるのみの場合は算定できない。ただし、委託契約等に基づき当該保険医療機関内で実施された検査について、その結果が当該保険医療機関に速やかに報告されるような場合は、所定点数により算定する。

(2) 「3」の末梢血液像(自動機械法)、「6」の末梢血液像(鏡検法)及び「14」の骨髄像の検査については、少なくともリンパ球、単球、好中球、好酸球、好塩基球の5分類以上の同定・比率計算を行った場合に算定する。

(3) 同一検体について、「4」の好酸球数及び「3」の末梢血液像(自動機械法)又は「6」の末梢血液像(鏡検法)を行った場合は、主たる検査の所定点数のみを算定する。

(4) 「5」の末梢血液一般検査は、赤血球数、白血球数、血色素測定(Hb)、ヘマトクリット値(Ht)、血小板数の全部又は一部を行った場合に算定する。

(5) 「6」の末梢血液像(鏡検法)及び「14」の骨髄像の検査に当たって、位相差顕微鏡又は蛍光顕微鏡を用いた場合であっても所定点数により算定する。また、末梢血液像(鏡検法)の検査の際に赤血球直径の測定を併せて行った場合であっても、所定点数により算定する。

(6) 「6」の「注」及び「14」の「注」にいう特殊染色は、次のとおりである。

ア オキシダーゼ染色

イ ペルオキシダーゼ染色

ウ アルカリホスファターゼ染色

エ パス染色

オ 鉄染色(ジデロブラスト検索を含む。)

カ 超生体染色

キ 脂肪染色

ク エステラーゼ染色

(7) 「8」の赤血球抵抗試験は、次のとおりである。

ア シュガーウォーターテスト

イ ハムテスト

ウ クロスビーテスト

エ パルパート法

オ サンフォード法

(8) 「9」のヘモグロビンA1c(HbA1c)、区分番号「D007」血液化学検査の「17」グリコアルブミン又は同区分「21」の1,5―アンヒドロ―D―グルシトール(1,5AG)のうちいずれかを同一月中に併せて2回以上実施した場合は、月1回に限り主たるもののみ算定する。ただし、妊娠中の患者、1型糖尿病患者、経口血糖降下薬の投与を開始して6月以内の患者、インスリン治療を開始して6月以内の患者等については、いずれか1項目を月1回に限り別に算定できる。また、クロザピンを投与中の患者については、「9」のヘモグロビンA1c(HbA1c)を月1回に限り別に算定できる。

(9) 「12」のデオキシチミジンキナーゼ(TK)活性は、造血器腫瘍の診断又は治療効果判定のために行った場合に算定する。

(10) 「13」のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)は、白血病又は悪性リンパ腫の診断又は治療効果判定のために行った場合に算定する。

(11) 造血器腫瘍細胞抗原検査

ア 「15」の造血器腫瘍細胞抗原検査はモノクローナル抗体を用いて蛍光抗体法、酵素抗体法、免疫ロゼット法等により白血病細胞又は悪性リンパ腫細胞の表面抗原又は細胞内抗原の検索を実施して病型分類を行った場合に算定できる。

イ 対象疾病は白血病、悪性リンパ腫等である。

ウ 検査に用いられるモノクローナル抗体は、医薬品として承認されたものであり、検査に当たって用いたモノクローナル抗体の種類、回数にかかわらず、一連として所定点数を算定する。

(12) マラリアが疑われた患者に対して、マラリアの診断を目的として、多項目自動血球分析装置を用いてDNA含有感染赤血球の計数に基づく定性判定を実施した場合は、本区分の「7」血中微生物検査を準用して算定する。ただし、マラリアの診断を目的として、他の血中微生物検査を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

D006 出血・凝固検査

(1) 出血時間測定時の耳朶採血料は、「1」の出血時間の所定点数に含まれる。

(2) 「8」の血小板凝集能を測定するに際しては、その過程で血小板数を測定することから、区分番号「D005」血液形態・機能検査の「5」末梢血液一般検査の所定点数を別に算定することはできない。

(3) 「13」の凝固因子インヒビター定性(クロスミキシング試験)は、原因不明のプロトロンビン時間延長又は活性化部分トロンボプラスチン時間延長がみられる患者に対して行った場合に限り算定できる。

(4) 「19」のPIVKA―Ⅱは、出血・凝固検査として行った場合に算定する。

(5) 「20」の凝固因子インヒビターは、第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子の定量測定を行った場合に、それぞれの測定1回につきこの項で算定する。

(6) 「21」のvon Willebrand因子(VWF)抗原は、SRID法、ロケット免疫電気泳動法等によるものである。

(7) 「29」のトロンボモジュリンは、膠原病の診断若しくは経過観察又はDIC若しくはそれに引き続いて起こるMOF観察のために測定した場合に限り算定できる。

(8) フィブリンモノマー複合体

ア 「31」のフィブリンモノマー複合体は、DIC、静脈血栓症又は肺動脈血栓塞栓症の診断及び治療経過の観察のために実施した場合に算定する。

イ 「27」のトロンビン・アンチトロンビン複合体(TAT)、「28」のプロトロンビンフラグメントF1+2及び「31」のフィブリンモノマー複合体のうちいずれか複数を同時に測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(9) ADAMTS13活性

ア 「35」のADAMTS13活性は、他に原因を認めない血小板減少を示す患者に対して、血栓性血小板減少性紫斑病の診断補助を目的として測定した場合又はその再発を疑い測定した場合に算定できる。

イ 血栓性血小板減少性紫斑病と診断された患者又はその再発が認められた患者に対して、診断した日又は再発を確認した日から起算して1月以内の場合には、1週間に1回に限り別に算定できる。なお、血栓性血小板減少性紫斑病と診断した日付又はその再発を確認した日付を、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(10) ADAMTS13インヒビター

ア 「36」のADAMTS13インヒビターは、ADAMTS13活性の著減を示す患者に対して、血栓性血小板減少性紫斑病の診断補助を目的として測定した場合又はその再発を疑い測定した場合に算定できる。

イ 後天性血栓性血小板減少性紫斑病と診断された患者又はその再発が認められた患者に対して、診断した日又は再発を確認した日から起算して1月以内の場合には、1週間に1回に限り別に算定できる。なお、後天性血栓性血小板減少性紫斑病と診断した日付又はその再発を確認した日付を、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

D006―2 造血器腫瘍遺伝子検査

(1) 造血器腫瘍遺伝子検査は、PCR法、LCR法又はサザンブロット法により行い、月1回を限度として算定できる。

(2) 区分番号「D004―2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006―2」造血器腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006―6」免疫関連遺伝子再構成、区分番号「D006―14」FLT3遺伝子検査又は区分番号「D006―16」JAK2遺伝子検査のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

D006―3 Major BCR―ABL1(mRNA定量(国際標準値))

(1) Major BCR―ABL1(mRNA定量(国際標準値))は、リアルタイムRT―PCR法により測定した場合に限り算定できる。

(2) minor BCR―ABL mRNA

診断の補助又はモニタリングを目的として、リアルタイムRT―PCR法によりminor BCR―ABL mRNAを測定した場合は、区分番号「D006―3」Major BCR―ABL1(mRNA定量(国際標準値))の「1」診断の補助に用いるものを準用して算定する。

D006―4 遺伝学的検査

(1) 遺伝学的検査は以下の遺伝子疾患が疑われる場合に行うものとし、原則として患者1人につき1回に限り算定できる。ただし、2回以上実施する場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

ア PCR法、DNAシーケンス法、FISH法又はサザンブロット法による場合に算定できるもの

① デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー及び家族性アミロイドーシス

② 福山型先天性筋ジストロフィー及び脊髄性筋萎縮症

③ 栄養障害型表皮水疱症及び先天性QT延長症候群

イ PCR法による場合に算定できるもの

① 球脊髄性筋萎縮症

② ハンチントン病、網膜芽細胞腫、甲状腺髄様癌及び多発性内分泌腫瘍症1型

ウ ア、イ、エ及びオ以外のもの

① 筋強直性ジストロフィー及び先天性難聴

② フェニルケトン尿症、ホモシスチン尿症、シトルリン血症(1型)、アルギノコハク酸血症、イソ吉草酸血症、HMG血症、複合カルボキシラーゼ欠損症、グルタル酸血症1型、MCAD欠損症、VLCAD欠損症、CPT1欠損症、隆起性皮膚線維肉腫及び先天性銅代謝異常症

③ メープルシロップ尿症、メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症、メチルクロトニルグリシン尿症、MTP(LCHAD)欠損症、色素性乾皮症、ロイスディーツ症候群及び家族性大動脈瘤・解離

エ 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において検査が行われる場合に算定できるもの

① ライソゾーム病(ムコ多糖症Ⅰ型、ムコ多糖症Ⅱ型、ゴーシェ病、ファブリ病及びポンペ病を含む。)及び脆弱X症候群

② プリオン病、クリオピリン関連周期熱症候群、神経フェリチン症、先天性大脳白質形成不全症(中枢神経白質形成異常症を含む。)、環状20番染色体症候群、PCDH19関連症候群、低ホスファターゼ症、ウィリアムズ症候群、アペール症候群、ロスムンド・トムソン症候群、プラダー・ウィリ症候群、1p36欠失症候群、4p欠失症候群、5p欠失症候群、第14番染色体父親性ダイソミー症候群、アンジェルマン症候群、スミス・マギニス症候群、22q11.2欠失症候群、エマヌエル症候群、脆弱X症候群関連疾患、ウォルフラム症候群、高IgD症候群、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、先天異常症候群、副腎皮質刺激ホルモン不応症、DYT1ジストニア、DYT6ジストニア/PTD、DYT8ジストニア/PNKD1、DYT11ジストニア/MDS、DYT12/RDP/AHC/CAPOS及びパントテン酸キナーゼ関連神経変性症/NBIA1

③ 神経有棘赤血球症、先天性筋無力症候群、原発性免疫不全症候群、ペリー症候群、クルーゾン症候群、ファイファー症候群、アントレー・ビクスラー症候群、タンジール病、先天性赤血球形成異常性貧血、若年発症型両側性感音難聴、尿素サイクル異常症、マルファン症候群、血管型エーラスダンロス症候群、遺伝性自己炎症疾患及びエプスタイン症候群

オ 臨床症状や他の検査等では診断がつかない場合に、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において検査が行われる場合に算定できるもの

① TNF受容体関連周期性症候群、中條―西村症候群及び家族性地中海熱

② ソトス症候群、CPT2欠損症、CACT欠損症、OCTN―2異常症、シトリン欠損症、非ケトーシス型高グリシン血症、β―ケトチオラーゼ欠損症、メチルグルタコン酸血症、グルタル酸血症2型、先天性副腎低形成症、ATR―X症候群、ハッチンソン・ギルフォード症候群、軟骨無形成症、ウンフェルリヒト・ルンドボルグ病、ラフォラ病、セピアプテリン還元酵素欠損症、芳香族L―アミノ酸脱炭酸酵素欠損症、オスラー病、CFC症候群、コステロ症候群、チャージ症候群、リジン尿性蛋白不耐症、副腎白質ジストロフィー、ブラウ症候群、瀬川病、鰓耳腎症候群、ヤング・シンプソン症候群、先天性腎性尿崩症、ビタミンD依存性くる病/骨軟化症、ネイルパテラ症候群(爪膝蓋症候群)/LMX1B関連腎症、グルコーストランスポーター1欠損症、甲状腺ホルモン不応症、ウィーバー症候群、コフィン・ローリー症候群、モワット・ウィルソン症候群、肝型糖原病(糖原病Ⅰ型、Ⅲ型、Ⅵ型、Ⅸa型、Ⅸb型、Ⅸc型、Ⅳ型)、筋型糖原病(糖原病Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅸd型)、先天性プロテインC欠乏症、先天性プロテインS欠乏症及び先天性アンチトロンビン欠乏症

③ ドラベ症候群、コフィン・シリス症候群、歌舞伎症候群、肺胞蛋白症(自己免疫性又は先天性)、ヌーナン症候群、骨形成不全症、脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)、古典型エーラス・ダンロス症候群、非典型溶血性尿毒症症候群、アルポート症候群、ファンコニ貧血、遺伝性鉄芽球性貧血、アラジール症候群及びルビンシュタイン・テイビ症候群

(2) 検査の実施に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月)及び関係学会による「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(平成23年2月)を遵守すること。

(3) (1)のエ及びオに掲げる遺伝子疾患に対する検査については、(2)に掲げるガイダンス及びガイドラインに加え、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において行われる場合に限り算定する。

(4) (1)のオに掲げる遺伝子疾患に対する検査を実施する場合には、臨床症状や他の検査等では当該疾患の診断がつかないこと及びその医学的な必要性を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(5) 「1」の「処理が容易なもの」とは、(1)のアからオまでの①に掲げる遺伝子疾患の検査のことをいう。

(6) 「2」の「処理が複雑なもの」とは、(1)のアからオまでの②に掲げる遺伝子疾患の検査のことをいう。

(7) 「3」の「処理が極めて複雑なもの」とは、(1)のア及びウからオまでの③に掲げる遺伝子疾患の検査のことをいう。

(8) 脊髄性筋萎縮症におけるオナセムノゲン アベパルボベクの適応を判定するための補助を目的として、ELISA法により抗アデノ随伴ウイルス9型(AAV9)抗体の測定を実施する場合は、「3」処理が極めて複雑なものの所定点数と区分番号「D014」自己抗体検査「45」抗HLA抗体(抗体特異性同定検査)を合算した点数を準用して、関連学会の定める適正使用指針に示されている施設基準を満たす保険医療機関において、原則として2歳未満の患者1人につき1回、算定する。ただし、2回以上実施する場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(9) 薬事承認を得ている体外診断用医薬品を用いて、アレイCGH法により染色体ゲノムDNAのコピー数変化及びヘテロ接合性の喪失を測定した場合は、本区分の「3」処理が極めて複雑なものを準用して患者1人につき1回に限り算定する。

ア 本検査は、12q14欠失症候群、15q13.3欠失症候群、15q24反復性微細欠失症候群、15q26過成長症候群、16p11.2重複症候群、16p11.2―p12.2欠失症候群、16p11.2―p12.2重複症候群、16p13.11反復性微細欠失症候群、16p13.11反復性微細重複症候群、17q21.31反復性微細欠失症候群、1p36欠失症候群、1q21.1反復性微細欠失症候群、1q21.1反復性微細重複症候群、1q21.1領域血小板減少―橈骨欠損症候群、22q11.2欠失症候群、22q11重複症候群、22q11.2遠位欠失症候群、22q13欠失症候群(フェラン・マクダーミド症候群)、2p15―16.1欠失症候群、2p21欠失症候群、2q33.1欠失症候群、2q37モノソミー、3q29欠失症候群、3q29重複症候群、7q11.23重複症候群、8p23.1微細欠失症候群、8p23.1重複症候群、8q21.11欠失症候群、9q34欠失症候群、アンジェルマン症候群、ATR―16症候群、22qテトラソミー症候群(キャットアイ症候群)、シャルコー・マリー・トゥース病、5p―症候群、遺伝圧脆弱性ニューロパチー、レリー・ワイル症候群、ミラー・ディカー症候群、NF1欠失症候群、ペリツェウス・メルツバッハ病(先天性大脳白質形成不全症)、ポトキ・ルプスキ症候群、ポトキ・シェイファー症候群、プラダー・ウィリ症候群、腎嚢胞―糖尿病症候群、16p12.1反復性微細欠失症候群、ルビンシュタイン・テイビ症候群、スミス・マギニス症候群、ソトス症候群、裂手/裂足奇形1、ステロイドスルファターゼ欠損症、WAGR症候群、ウィリアムズ症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群、Xp11.22連鎖性知的障害、Xp11.22―p11.23重複症候群、MECP2重複症候群、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群、シルバー・ラッセル症候群、第14番染色体父親性ダイソミー症候群(鏡―緒方症候群)並びに14番染色体母親性ダイソミーおよび類縁疾患のいずれかを疑う患者に対して実施すること。

イ 本検査を実施する場合は、関連学会が定める指針を遵守し、本検査を実施する医学的な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ウ 本検査は、区分番号「D026」検体検査判断料の「注6」遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関において実施すること。

D006―5 染色体検査

(1) 染色体検査の所定点数には、フィルム代、現像代、引伸印画作製代を含む。

(2) 染色体検査の「注」の分染法加算については、その種類、方法にかかわらず、1回の算定とする。

D006―6 免疫関連遺伝子再構成

(1) 免疫関連遺伝子再構成は、PCR法、LCR法又はサザンブロット法により、悪性リンパ腫、急性リンパ性白血病又は慢性リンパ性白血病の診断の目的で検査を行った場合に、6月に1回を限度として算定できる。

(2) 区分番号「D004―2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006―2」造血器腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006―6」免疫関連遺伝子再構成、区分番号「D006―14」FLT3遺伝子検査又は区分番号「D006―16」JAK2遺伝子検査のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

D006―7 UDPグルクロン酸転移酵素遺伝子多型

(1) UDPグルクロン酸転移酵素遺伝子多型は、塩酸イリノテカンの投与対象となる患者に対して、その投与量等を判断することを目的として、インベーダー法又はPCR法により測定を行った場合、当該抗悪性腫瘍剤の投与方針の決定までの間に1回を限度として算定する。

(2) 二次性進行型多発性硬化症患者に対するシポニモドフマル酸の投与の可否の判定又は投与量の判定を目的として、リアルタイムPCR法により、全血又は口腔粘膜から抽出されたゲノムDNA中の薬物代謝酵素CYP2C9遺伝子多型を測定した場合は、本区分の所定点数を準用して、患者1人につき1回に限り算定する。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

D006―8 サイトケラチン19(KRT19)mRNA検出

サイトケラチン19(KRT19)mRNA検出は、視触診等による診断又は術前の画像診断でリンパ節転移陽性が明らかでない乳癌、胃癌、大腸癌又は非小細胞肺癌に対して、摘出された乳癌、胃癌、大腸癌又は非小細胞肺癌所属リンパ節中のサイトケラチン19(KRT19)mRNAの検出によるリンパ節転移診断及び術式の選択等の治療方針の決定の補助を目的として、OSNA(One-Step Nucleic Acid Amplification)法により測定を行った場合に、一連につき1回に限り算定する。

D006―9 WT1mRNA

WT1mRNAは、リアルタイムRT―PCR法により、急性骨髄性白血病又は骨髄異形成症候群の診断の補助又は経過観察時に行った場合に月1回を限度として算定できる。

D006―10 CCR4タンパク(フローサイトメトリー法)

CCR4タンパク(フローサイトメトリー法)及び区分番号「N002」免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製の「5」CCR4タンパクを同一の目的で行った場合には、原則としていずれか一方のみを算定する。ただし、医学的な必要性がある場合には、併せて実施した場合であっても、いずれの点数も算定できる。なお、この場合においては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的な必要性を記載すること。

D006―11 FIP1L1―PDGFRα融合遺伝子検査

(1) FIP1L1―PDGFRα融合遺伝子検査は、二次性好酸球増加症を除外した上で、慢性好酸球性白血病又は好酸球増多症候群と診断した患者において、治療方針の決定を目的としてFISH法により行った場合に、原則として1回に限り算定できる。ただし、臨床症状・検査所見等の変化を踏まえ、治療法を選択する必要があり、本検査を再度実施した場合にも算定できる。

(2) FIP1L1―PDGFRα融合遺伝子検査を算定するに当たっては、本検査を必要と判断した理由又は本検査を再度実施した場合にはその理由を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

D006―12 EGFR遺伝子検査(血漿)

(1) EGFR遺伝子検査(血漿)は、血漿を用いてリアルタイムPCR法又は次世代シーケンシングにより行った場合に算定できる。

(2) 肺癌の詳細な診断及び治療法を選択する場合、又は肺癌の再発や増悪により、EGFR遺伝子変異の2次的遺伝子変異等が疑われ、再度治療法を選択する場合に、患者1人につき、診断及び治療法を選択する場合には1回、再度治療法を選択する場合には2回に限り算定できる。ただし、本検査の実施は、医学的な理由により、肺癌の組織を検体として、区分番号「D004―2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査の「イ」処理が容易なものの「(1)」医薬品の適応判定の補助等に用いるもののうち、肺癌におけるEGFR遺伝子検査を行うことが困難な場合に限る。

(3) EGFR遺伝子検査(血漿)を実施した場合には、肺癌の組織を検体とした検査が実施困難である医学的な理由を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(4) EGFR遺伝子検査(血漿)と、肺癌の組織を検体とした区分番号「D004―2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査の「イ」処理が容易なものの「(1)」医薬品の適応判定の補助等に用いるもののうち、肺癌におけるEGFR遺伝子検査(「1」悪性腫瘍遺伝子検査の「イ」処理が容易なものの「(2)」その他のものにより算定する場合も含む。)を同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

D006―13 骨髄微小残存病変量測定

(1) 骨髄微小残存病変量測定は、PCR法により、急性リンパ性白血病の診断補助又は経過観察を目的に行った場合に算定できる。

(2) 「1」の遺伝子再構成の同定に用いるものについては、急性リンパ性白血病と診断された患者又は再発が認められた患者に対して、遺伝子再構成の同定及び当該遺伝子のプライマー作成を行った場合に、それぞれ1回に限り算定できる。

(3) 「2」のモニタリングに用いるものについては、「1」の遺伝子再構成に用いるものを行った患者に対して、PCR法により急性リンパ性白血病の経過観察を目的として行った場合に、初発時と再発時にそれぞれ2回を限度として算定できる。

D006―14 FLT3遺伝子検査

(1) FLT3遺伝子検査は、再発又は難治性の急性骨髄性白血病(急性前骨髄性白血病を除く。)の骨髄液又は末梢血を検体とし、PCR法及びキャピラリー電気泳動法により、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として、FLT3遺伝子の縦列重複(ITD)変異及びチロシンキナーゼ(TKD)変異の評価を行った場合に、患者1人につき1回に限り算定する。

(2) 区分番号「D004―2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006―2」造血器腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006―6」免疫関連遺伝子再構成又は区分番号「D006―16」JAK2遺伝子検査のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

D006―15 膀胱がん関連遺伝子検査

(1) 膀胱がん関連遺伝子検査は、膀胱がんの患者であって、上皮内癌(CIS)と診断され、過去に区分番号「K803」膀胱悪性腫瘍手術の「6」経尿道的手術を行った者に対して、FISH法により、再発の診断の補助を目的として実施した場合に、経尿道的手術後2年以内に限り、2回を限度として算定する。ただし、同時に膀胱鏡により、膀胱がん再発の所見が認められないことを確認した患者に対して実施した場合に限る。

(2) 本検査を実施した場合には、上皮内癌(CIS)と診断された病理所見、区分番号「K803」膀胱悪性腫瘍手術の「6」経尿道的手術の実施日及び本検査を過去に算定している場合にはその算定日を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(3) 本検査と同時に区分番号「N004」細胞診(1部位につき)の「2」穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等によるものを実施した場合は、主たるもののみ算定する。

D006―16 JAK2遺伝子検査

(1) JAK2遺伝子検査は、骨髄液又は末梢血を検体とし、アレル特異的定量PCR法により、真性赤血球増加症、本態性血小板血症及び原発性骨髄線維症の診断補助を目的として、JAK2V617F遺伝子変異割合を測定した場合に、患者1人につき1回に限り算定する。

(2) 区分番号「D004―2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006―2」造血器腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006―6」免疫関連遺伝子再構成又は区分番号「D006―14」FLT3遺伝子検査のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

D006―17 Nudix hydrolase 15(NUDT15)遺伝子多型

NUDT15遺伝子多型は、難治性の炎症性腸疾患、急性リンパ性白血病及び治療抵抗性のリウマチ性疾患(全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、高安動脈炎等)、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病及び難治性リウマチ性疾患)、自己免疫性肝炎の患者であって、チオプリン製剤の投与対象となる患者に対して、その投与の可否、投与量等を判断することを目的として、リアルタイムPCR法により測定を行った場合に、当該薬剤の投与を開始するまでの間に1回を限度として算定する。

D006―18 BRCA1/2遺伝子検査

(1) 「1」腫瘍細胞を検体とするものについては、初発の進行卵巣癌患者又は転移性去勢抵抗性前立腺癌患者の腫瘍細胞を検体とし、次世代シーケンシングにより、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として、BRCA1遺伝子及びBRCA2遺伝子の変異の評価を行った場合に限り算定する。

(2) 「2」血液を検体とするものについては、転移性若しくは再発乳癌患者、初発の進行卵巣癌患者、治癒切除不能な膵癌患者、転移性去勢抵抗性前立腺癌患者又は遺伝性乳癌卵巣癌症候群が疑われる乳癌若しくは卵巣癌患者の血液を検体とし、PCR法等により、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択又は遺伝性乳癌卵巣癌症候群の診断を目的として、BRCA1遺伝子及びBRCA2遺伝子の変異の評価を行った場合に限り算定する。

(3) 「2」血液を検体とするものについて、遺伝性乳癌卵巣癌症候群の診断を目的として当該検査を実施するに当たっては、厚生労働省がん対策推進総合研究事業研究班作成の「遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)診療の手引き2017年版」を参照すること。なお、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(4) 「1」腫瘍細胞を検体とするものについて、転移性去勢抵抗性前立腺癌患者に対して、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として検査を実施する場合には、化学療法の経験を5年以上有する常勤医師又は泌尿器科について専門の知識及び5年以上の経験を有する常勤医師が1名以上配置されている保険医療機関で実施すること。

(5) 「1」腫瘍細胞を検体とするものについて、転移性去勢抵抗性前立腺癌患者に対して、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として検査を実施する場合には、遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関で実施すること。ただし、遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関との連携体制を有し、当該届出を行っている保険医療機関において必要なカウンセリングを実施できる体制が整備されている場合は、この限りではない。

(6) 「1」腫瘍細胞を検体とするものについて、転移性去勢抵抗性前立腺癌患者に対して、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的に検査を実施する場合には、「注」に定める施設基準の規定は適用しない。

(7) 「2」血液を検体とするものについて、治癒切除不能な膵癌患者に対して、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として検査を実施する場合には、化学療法の経験を5年以上有する常勤医師又は膵腫瘍に関して専門の知識及び5年以上の経験を有する常勤医師が1名以上配置されている保険医療機関で実施すること。

(8) 「2」血液を検体とするものについて、転移性去勢抵抗性前立腺癌患者に対して、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として検査を実施する場合には、化学療法の経験を5年以上有する常勤医師又は泌尿器科について専門の知識及び5年以上の経験を有する常勤医師が1名以上配置されている保険医療機関で実施すること。

(9) 「2」血液を検体とするものについて、治癒切除不能な膵癌患者又は転移性去勢抵抗性前立腺癌患者に対して、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として検査を実施する場合には、遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関で実施すること。ただし、遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関との連携体制を有し、当該届出を行っている保険医療機関において必要なカウンセリングを実施できる体制が整備されている場合は、この限りではない。

(10) 「2」血液を検体とするものについて、治癒切除不能な膵癌患者又は転移性去勢抵抗性前立腺患者に対して抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的に実施する場合には、「注」に定める施設基準の規定は適用しない。

D006―19 がんゲノムプロファイリング検査

(1) 「1」検体提出時については、固形腫瘍の腫瘍細胞又は血液を検体とし、100以上のがん関連遺伝子の変異等を検出するがんゲノムプロファイリング検査に用いる医療機器等として薬事承認又は認証を得ている次世代シーケンシングを用いて、包括的なゲノムプロファイルの取得を行う場合に患者1人につき1回(以下のイの場合については2回)に限り算定できる。ただし、血液を検体とする場合については、以下に掲げる場合にのみ算定できる。

ア 医学的な理由により、固形腫瘍の腫瘍細胞を検体としてがんゲノムプロファイリング検査を行うことが困難な場合。この際、固形腫瘍の腫瘍細胞を検体とした検査が実施困難である医学的な理由を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

イ 固形腫瘍の腫瘍細胞を検体として実施したがんゲノムプロファイリング検査において、包括的なゲノムプロファイルの結果を得られなかった場合。この際、その旨を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(2) 「2」結果説明時については、「1」検体提出時で得た包括的なゲノムプロファイルの結果について、当該検査結果を医学的に解釈するための多職種(がん薬物療法に関する専門的な知識及び技能を有する医師、遺伝医学に関する専門的な知識及び技能を有する医師、遺伝カウンセリング技術を有する者等)による検討会(エキスパートパネル)での検討を経た上で患者に提供し、治療方針等について文書を用いて患者に説明する場合に、患者1人につき1回に限り算定できる。

(3) 標準治療がない固形がん患者又は局所進行若しくは転移が認められ標準治療が終了となった固形がん患者(終了が見込まれる者を含む。)であって、関連学会の化学療法に関するガイドライン等に基づき、全身状態及び臓器機能等から、当該検査施行後に化学療法の適応となる可能性が高いと主治医が判断した者に対して実施する場合に限り算定できる。

(4) がんゲノムプロファイルの解析により得られた遺伝子のシークエンスデータ(FASTQ又はBAM)、解析データ(VCF又はXML)及び臨床情報等を、患者の同意に基づき、医療機関又は検査会社等からがんゲノム情報管理センター(C―CAT)に提出すること。この際、患者に対して書面を用いて説明し、同意の有無について診療録及び管理簿等に記載すること。また、当該データの二次利用に関しても同様に説明し、及び同意の有無について管理簿等に記載すること。なお、これらの手続きに当たっては、個人情報の保護に係る諸法令を遵守すること。

(5) C―CATへのデータ提出又はデータの二次利用に係る同意が得られない場合であっても、当該検査を実施し、算定することができる。その際には同意が得られなかった旨を診療録及び管理簿に記載すること。

(6) 医療関係団体が定める「インフォームド・コンセント手順書」を遵守し、患者からの同意取得について適切な手続きを確保すること。

(7) 臨床情報等の提出に当たっては、医療関連団体が定める「がんゲノム情報レポジトリー臨床情報収集項目一覧表」に則って提出すること。

(8) エキスパートパネルの開催に係る費用は、「2」結果説明時の所定点数に含まれる。

(9) エキスパートパネルの開催に際しては、以下の点を遵守すること。

① エキスパートパネルは、「がんゲノム医療中核拠点病院等の整備について」(令和元年7月19日一部改正健発0719第3号)に基づき、がんゲノム医療中核拠点病院及びがんゲノム医療拠点病院として指定を受けている保険医療機関で開催すること。

② エキスパートパネルの構成員については、以下の要件を満たしていること。

(イ) 構成員の中に、がん薬物療法に関する専門的な知識及び技能を有する診療領域の異なる常勤の医師が、複数名含まれていること。

(ロ) 構成員の中に、遺伝医学に関する専門的な知識及び技能を有する医師が、1名以上含まれていること。

(ハ) 構成員の中に、遺伝医学に関する専門的な遺伝カウンセリング技術を有する者が、1名以上含まれていること。

(ニ) 構成員の中に、病理学に関する専門的な知識及び技能を有する常勤の医師が、複数名含まれていること。

(ホ) 構成員の中に、分子遺伝学及びがんゲノム医療に関する十分な知識を有する者が、1名以上含まれていること。

(ヘ) 自施設内で検査を行う場合は、バイオインフォマティクスに関する十分な知識を有する者が、1名以上含まれていること。

(ト) 小児がん症例を検討する場合には、小児がんに専門的な知識を有する医師が1名以上含まれていること。

(チ) エキスパートパネルにおいて検討を行う対象患者の主治医又は当該主治医に代わる医師は、エキスパートパネルに参加すること。

③ エキスパートパネルの構成員については、②の(イ)から(チ)に該当する者がいずれも1名以上出席すること。ただし、やむを得ない場合は、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な情報通信機器を用いて参加することで出席とみなすことができる。

④ C―CATへのデータの提出の同意を得た患者について検討する際には、C―CATが作成した当該患者に係る調査結果を用いてエキスパートパネルを開催すること。

(10) 「2」結果説明時については、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として、特定の遺伝子の変異の評価を行った際に併せて取得している包括的なゲノムプロファイルの結果を標準治療の終了後にエキスパートパネルでの検討を経た上で患者に提供し、治療方針等について文書を用いて患者に説明する場合にも算定できる。なお、この場合には(2)から(9)までを満たすこと。

(11) 「1」検体提出時と「2」結果説明時は一連であるため、「1」検体提出時については区分番号「D026」の検体検査判断料及び区分番号「D027」の基本的検体検査判断料は算定できない。

D006―20 角膜ジストロフィー遺伝子検査

(1) 角膜ジストロフィー遺伝子検査は、角膜混濁等の前眼部病変を有する患者であって、臨床症状、検査所見、家族歴等から角膜ジストロフィーと診断又は疑われる者に対して、治療方針の決定を目的として行った場合に算定する。本検査を実施した場合には、その医学的な必要性を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(2) 検査の実施に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月)及び関係学会による「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(平成23年2月)を遵守すること。

D006―21 血液粘弾性検査(一連につき)

(1) 血液粘弾性検査は、開心術(人工心肺を用いたものに限る。)を行う患者に対して、血液製剤等の投与の必要性の判断又は血液製剤等の投与後の評価を目的として行った場合に算定できる。

(2) 術前、術中又は術後に実施した場合に、それぞれ1回ずつ算定できる。なお、所期の目的を達するために複数回実施した場合であっても、一連として算定する。

(3) 検査の実施に当たっては、日本心臓血管麻酔学会の定める指針を遵守し、適切な輸血管理を行うこと。

D007 血液化学検査

(1) 「1」のナトリウム及びクロールについては、両方を測定した場合も、いずれか一方のみを測定した場合も、同一の所定点数により算定する。

(2) 「1」のカルシウム及び「7」のイオン化カルシウムを同時に測定した場合には、いずれか一方についてのみ所定点数を算定する。

(3) 「1」の総鉄結合能(TIBC)(比色法)と不飽和鉄結合能(UIBC)(比色法)を同時に実施した場合は、「1」の不飽和鉄結合能(UIBC)(比色法)又は総鉄結合能(TIBC)(比色法)の所定点数を算定する。

(4) 「1」のクレアチニンについて、ヤッフェ法を用いて実施した場合は算定できない。

(5) 「3」のHDL―コレステロール、「3」の総コレステロール及び「4」のLDL―コレステロールを併せて測定した場合は、主たるもの2つの所定点数を算定する。

(6) 「3」の無機リン及びリン酸については、両方を測定した場合も、いずれか一方のみを測定した場合も、同一の所定点数により算定する。

(7) 「4」の蛋白分画、「1」の総蛋白及びアルブミン(BCP改良法・BCG法)を併せて測定した場合は、主たるもの2つの所定点数を算定する。

(8) 「8」のマンガン(Mn)は、1月以上(胆汁排泄能の低下している患者については2週間以上)高カロリー静脈栄養法が行われている患者に対して、3月に1回に限り算定することができる。

(9) 「9」のケトン体及び「19」のケトン体分画の検査を併せて実施した場合は、ケトン体分画の所定点数のみ算定する。

(10) 「10」のアポリポ蛋白は、AⅠ、AⅡ、B、CⅡ、CⅢ及びEのうち、測定した項目数に応じて、所定点数を算定する。

(11) 「13」の有機モノカルボン酸については、グルタチオン、乳酸、ピルビン酸及びα―ケトグルタール酸の各物質の測定を行った場合に、それぞれの測定ごとに所定点数を算定する。

(12) 同一検体について「14」の重炭酸塩及び「36」の血液ガス分析の検査を併せて行った場合は、血液ガス分析の所定点数のみ算定する。

(13) 「17」のグリコアルブミンは、HPLC(2カラム)、HPLC(1カラム)―発色法、アフィニティークロマトグラフィー・免疫比濁法によるグリコアルブミン測定装置を用いて測定した場合、EIA法又は酵素法により測定した場合に所定点数を算定する。

(14) 区分番号「D005」血液形態・機能検査の「9」のヘモグロビンA1c(HbA1c)、本区分「17」のグリコアルブミン又は「21」の1,5―アンヒドロ―D―グルシトール(1,5AG)のうちいずれかを同一月中に合わせて2回以上実施した場合は、月1回に限り主たるもののみ算定する。ただし、妊娠中の患者、1型糖尿病患者、経口血糖降下薬の投与を開始して6月以内の患者、インスリン治療を開始して6月以内の患者等については、いずれか1項目を月1回に限り別に算定できる。

(15) 肝胆道疾患の診断の目的で尿中硫酸抱合型胆汁酸測定を酵素法により実施した場合は、「18」のコレステロール分画に準じて算定する。ただし、「13」の胆汁酸を同時に測定した場合には、いずれか一方の所定点数のみを算定する。

(16) 「23」のLDアイソザイム1型は酵素学的阻害法による。

(17) 総カルニチン及び遊離カルニチン

ア 「23」の総カルニチン及び遊離カルニチンは、関係学会の定める診療に関する指針を遵守し、酵素サイクリング法により測定した場合に算定する。

イ 本検査を先天性代謝異常症の診断補助又は経過観察のために実施する場合は、月に1回を限度として算定する。

ウ 静脈栄養管理若しくは経腸栄養管理を長期に受けている筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症若しくは小児の患者、人工乳若しくは特殊治療用ミルクを使用している小児患者、バルプロ酸ナトリウム製剤投与中の患者、Fanconi症候群の患者又は慢性維持透析の患者におけるカルニチン欠乏症の診断補助若しくは経過観察のために、本検査を実施する場合は、6月に1回を限度として算定する。

エ 同一検体について、本検査と区分番号「D010」特殊分析の「8」先天性代謝異常症検査を併せて行った場合は、主たるもののみ算定する。

(18) 「24」のALPアイソザイム及び骨型アルカリホスファターゼ(BAP)は、アガロース電気泳動法によって、一連の検査によって同時に行った場合に算定する。また、区分番号「D008」内分泌学的検査の「27」の骨型アルカリホスファターゼ(BAP)と併せて実施した場合には、いずれか主たるもののみ算定する。

(19) 「25」のリポ蛋白(a)は、3月に1回を限度として算定できる。

(20) 「26」のヘパリンの血中濃度測定においては、同一の患者につき1月以内に当該検査を2回以上行った場合においては、算定は1回とし、1回目の測定を行ったときに算定する。

(21) 「28」のKL―6、「34」の肺サーファクタント蛋白―A(SP―A)及び「35」の肺サーファクタント蛋白―D(SP―D)のうちいずれかを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。KL―6は、EIA法、ECLIA法又はラテックス凝集比濁法により、肺サーファクタント蛋白―A(SP―A)及び肺サーファクタント蛋白―D(SP―D)は、EIA法による。

(22) 「29」の心筋トロポニンIと「29」の心筋トロポニンT(TnT)定性・定量を同一月に併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(23) 25―ヒドロキシビタミンD

ア 「30」の25―ヒドロキシビタミンDは、原発性骨粗鬆症の患者に対して、ECLIA法、CLIA法又はCLEIA法により測定した場合は、骨粗鬆症の薬剤治療方針の選択時に1回に限り算定できる。なお、本検査を実施する場合は関連学会が定める実施方針を遵守すること。

イ 「30」の25―ヒドロキシビタミンDは、ビタミンD欠乏性くる病若しくはビタミンD欠乏性骨軟化症の診断時又はそれらの疾患に対する治療中にECLIA法、CLIA法又はCLEIA法により測定した場合は、診断時においては1回を限度とし、その後は3月に1回を限度として算定できる。

(24) 「31」のペントシジンは、「1」の尿素窒素又は「1」のクレアチニンにより腎機能低下(糖尿病性腎症によるものを除く。)が疑われた場合に、3月に1回に限り算定できる。ただし、「31」のシスタチンCを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(25) シスタチンC

ア 「31」のシスタチンCは、EIA法、ラテックス凝集比濁法、金コロイド凝集法又はネフェロメトリー法により実施した場合に限り算定できる。

イ シスタチンCは、「1」の尿素窒素又は「1」のクレアチニンにより腎機能低下が疑われた場合に、3月に1回に限り算定できる。ただし、「31」のペントシジンを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(26) 「32」のイヌリンは、「1」の尿素窒素又は「1」のクレアチニンにより腎機能低下が疑われた場合に、6月に1回に限り算定できる。ただし、「1」のクレアチニン(腎クリアランス測定の目的で行い、血清及び尿を同時に測定する場合に限る。)を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(27) 「36」の血液ガス分析の所定点数には、ナトリウム、カリウム、クロール、pH、PO2、PCO2及びHCO3の各測定を含むものであり、測定項目数にかかわらず、所定点数により算定する。なお、同時に行ったヘモグロビンについては算定しない。

(28) 「36」の血液ガス分析は当該検査の対象患者の診療を行っている保険医療機関内で実施した場合にのみ算定できるものであり、委託契約等に基づき当該保険医療機関外で実施された検査の結果報告を受けるのみの場合は算定できない。ただし、委託契約等に基づき当該保険医療機関内で実施された検査について、その結果が当該保険医療機関に速やかに報告されるような場合は、所定点数により算定する。

なお、在宅酸素療法を実施している入院施設を有しない診療所が、緊急時に必要、かつ、密接な連携を取り得る入院施設を有する他の保険医療機関において血液ガス分析を行う場合であって、採血後、速やかに検査を実施し、検査結果が速やかに当該診療所に報告された場合にあっては算定できるものとする。

(29) 「36」のⅣ型コラーゲン又は「39」のⅣ型コラーゲン・7Sは、「37」のプロコラーゲン―Ⅲ―ペプチド(P―Ⅲ―P)又は「46」のMac―2結合蛋白糖鎖修飾異性体と併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

(30) 「36」の心臓由来脂肪酸結合蛋白(H―FABP)定性及び定量は、ELISA法、免疫クロマト法、ラテックス免疫比濁法又はラテックス凝集法により、急性心筋梗塞の診断を目的に用いた場合に限り算定する。

ただし、心臓由来脂肪酸結合蛋白(H―FABP)定性又は定量と「36」のミオグロビン定性又は定量を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(31) 「36」のアルブミン非結合型ビリルビンは、診察及び他の検査の結果から、核黄疸に進展するおそれがある新生児である患者に対して、生後2週間以内に経過観察を行う場合に算定する。

(32) 「38」のセレンは、長期静脈栄養管理若しくは長期成分栄養剤を用いた経腸栄養管理を受けている患者、人工乳若しくは特殊治療用ミルクを使用している小児患者又は重症心身障害児(者)に対して、診察及び他の検査の結果からセレン欠乏症が疑われる場合の診断及び診断後の経過観察を目的として実施した場合に限り算定する。

(33) 「42」のALPアイソザイム(PAG電気泳動法)、「24」のALPアイソザイム及び骨型アルカリホスファターゼ(BAP)及び区分番号「D008」内分泌学的検査の「27」の骨型アルカリホスファターゼ(BAP)を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(34) 腟分泌液中インスリン様成長因子結合蛋白1型(IGFBP―1)定性

ア 「42」の腟分泌液中インスリン様成長因子結合蛋白1型(IGFBP―1)定性は、免疫クロマト法により、破水の診断のために妊娠満22週以上満37週未満の者を対象として測定した場合に限り算定する。

イ 「42」の腟分泌液中インスリン様成長因子結合蛋白1型(IGFBP―1)定性及び区分番号「D015」血漿蛋白免疫学的検査の「22」癌胎児性フィブロネクチン定性(頸管腟分泌液)を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(35) 「43」の心室筋ミオシン軽鎖Iは、同一の患者につき同一日に当該検査を2回以上行った場合は、1回のみ算定する。

(36) 「43」のヒアルロン酸は、サンドイッチ バインディング プロテイン アッセイ法、125Iによる競合法を用いたバインディング プロテイン アッセイ法、LA法(測定機器を用いるもの)又はLBA法による。ただし、本検査は慢性肝炎の患者に対して、慢性肝炎の経過観察及び肝生検の適応の確認を行う場合に算定できる。

(37) 「43」のレムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP―C)は免疫吸着法―酵素法又は酵素法により実施し、3月に1回を限度として算定できる。

(38) 「44」のアセトアミノフェンは、同一の患者につき1月以内に2回以上行った場合は、第1回目の測定を行ったときに1回に限り算定する。

(39) 「46」のマロンジアルデヒド修飾LDL(MDA―LDL)は、冠動脈疾患既往歴のある糖尿病患者で、冠動脈疾患発症に関する予後予測の補助の目的で測定する場合に3月に1回に限り算定できる。ただし、糖尿病患者の経皮的冠動脈形成術治療時に、治療後の再狭窄に関する予後予測の目的で測定する場合、上記と別に術前1回に限り算定できる。

(40) Mac―2結合蛋白糖鎖修飾異性体

ア 「46」のMac―2結合蛋白糖鎖修飾異性体は、2ステップサンドイッチ法を用いた化学発光酵素免疫測定法により、慢性肝炎又は肝硬変の患者(疑われる患者を含む。)に対して、肝臓の線維化進展の診断補助を目的に実施した場合に算定する。

イ 本検査と「37」のプロコラーゲン―Ⅲ―ペプチド(P―Ⅲ―P)、「36」のⅣ型コラーゲン、「39」のⅣ型コラーゲン・7S又は「43」のヒアルロン酸を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(41) オートタキシン

ア 「46」のオートタキシンは、サンドイッチ法を用いた蛍光酵素免疫測定法又は化学発光酵素免疫測定法により、慢性肝炎又は肝硬変の患者(疑われる患者を含む。)に対して、肝臓の線維化進展の診断補助を目的に実施した場合に算定する。

イ 本検査と「37」のプロコラーゲン―Ⅲ―ペプチド(P―Ⅲ―P)、「36」のⅣ型コラーゲン、「39」のⅣ型コラーゲン・7S、「43」のヒアルロン酸又は「46」のMac―2結合蛋白糖鎖修飾異性体を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(42) 「49」のリポ蛋白リパーゼ(LPL)は、高トリグリセライド血症及びLPL欠損症が疑われる場合の鑑別のために測定した場合に限り算定できる。また、ヘパリン負荷が行われた場合、投与したヘパリンは区分番号「D500」の薬剤として算定できるが、注射料は算定できない。

(43) 「50」の肝細胞増殖因子(HGF)はELISA法により、肝炎にて劇症化が疑われる場合又は劇症肝炎の経過観察に用いた場合に限り算定する。

(44) 「53」の2,5―オリゴアデニル酸合成酵素活性は、ウイルス血症を伴う慢性活動性肝炎患者のインターフェロン製剤の投与量及び治療効果の判定に用いた場合に算定する。

(45) 「55」のプロカルシトニン(PCT)定量又は同半定量は、敗血症(細菌性)を疑う患者を対象として測定した場合に算定できる。ただし、区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「44」のエンドトキシンを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(46) プレセプシン定量

ア 「56」のプレセプシン定量は、敗血症(細菌性)を疑う患者を対象として測定した場合に算定できる。

イ 「56」のプレセプシン定量と「55」のプロカルシトニン(PCT)定量、同半定量又は区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「44」エンドトキシンを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(47) 「57」のインフリキシマブ定性は、関節リウマチの患者に対して、インフリキシマブ投与量の増量等の判断のために、イムノクロマト法により測定した場合に、患者1人につき3回を限度として算定できる。

(48) 「59」の1,25―ジヒドロキシビタミンD3は、ラジオレセプターアッセイ法、RIA法又はELISA法により、慢性腎不全、特発性副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症、ビタミンD依存症Ⅰ型若しくは低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病の診断時又はそれらの疾患に対する活性型ビタミンD3剤による治療中に測定した場合に限り算定できる。ただし、活性型ビタミンD3剤による治療開始後1月以内においては2回を限度とし、その後は3月に1回を限度として算定する。

(49) FGF23

「60」のFGF23は、CLEIA法により、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の診断時又は治療効果判定時に測定した場合に限り算定できる。ただし、診断時においては1回を限度とし、その後は腫瘍性骨軟化症の場合には腫瘍摘出後に1回、薬剤性の場合には被疑薬中止後に1回を限度として算定する。

(50) 血液化学検査の注に掲げる検査と併せて、血液化学検査の注に掲げる検査を準用することが認められている検査を行った場合は、当該検査も注に掲げる項目数の算定に含める。

(51) 血液化学検査の注のハの注に規定する10項目以上の包括点数を算定する場合の入院時初回加算は、入院時に初めて行われる検査は項目数が多くなることに鑑み、血液化学検査の注に掲げる検査を10項目以上行った場合に、入院時初回検査に限り20点を加算するものであり、入院後初回の検査以外の検査において10項目以上となった場合にあっては、当該加算は算定できない。また、基本的検体検査実施料を算定している場合にあっても、当該加算は算定できない。

D008 内分泌学的検査

(1) 各種ホルモンの日内変動検査は、内分泌学的検査の該当する項目の測定回数により算定するが、その回数については妥当適切な範囲であること。

(2) 「1」のヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)定性及び「19」のヒト絨毛性ゴナドトロピン―βサブユニット(HCG―β)は、免疫学的妊娠試験に該当するものである。

(3) 「7」のレニン活性と「11」のレニン定量を併せて行った場合は、一方の所定点数のみ算定する。

(4) 「13」のC―ペプチド(CPR)を同時に血液及び尿の両方の検体について測定した場合は、血液の場合の所定点数のみを算定する。

(5) 「13」の黄体形成ホルモン(LH)はLA法等による。

(6) 「18」の抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体(抗GAD抗体)は、すでに糖尿病の診断が確定した患者に対して1型糖尿病の診断に用いた場合又は自己免疫介在性脳炎・脳症の診断に用いた場合に算定できる。

(7) 脳性Na利尿ペプチド(BNP)

ア 「19」の脳性Na利尿ペプチド(BNP)は、心不全の診断又は病態把握のために実施した場合に月1回に限り算定する。

イ 「19」の脳性Na利尿ペプチド(BNP)、「19」の脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)及び「45」の心房性Na利尿ペプチド(ANP)のうち2項目以上をいずれかの検査を行った日から起算して1週間以内に併せて実施した場合は、主たるもの1つに限り算定する。

ウ 「19」の脳性Na利尿ペプチド(BNP)、「19」の脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)及び「45」の心房性Na利尿ペプチド(ANP)のうち2項目以上を実施した場合は、各々の検査の実施日を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(8) 脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)

ア 「19」の脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)は、心不全の診断又は病態把握のために実施した場合に月1回に限り算定する。

イ 「19」の脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)、「19」の脳性Na利尿ペプチド(BNP)及び「45」の心房性Na利尿ペプチド(ANP)のうち2項目以上をいずれかの検査を行った日から起算して1週間以内に併せて実施した場合は、主たるもの1つに限り算定する。

ウ 「19」の脳性Na利尿ペプチド(BNP)、「19」の脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)又は「45」の心房性Na利尿ペプチド(ANP)のうち2項目以上を実施した場合は、各々の検査の実施日を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(9) ヒト絨毛性ゴナドトロピン―βサブユニット(HCG―β)

ア 「19」のヒト絨毛性ゴナドトロピン―βサブユニット(HCG―β)は、HCG産生腫瘍患者に対して測定した場合に限り算定できる。

イ 「19」のヒト絨毛性ゴナドトロピン―βサブユニット(HCG―β)、「1」のヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)定性、「21」のヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)定量又は同半定量を併せて実施した場合は、主たるもの1つに限り算定する。

(10) 「21」のヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)定量及び同半定量は、HCG・LH検査(試験管法)を含むものである。

(11) 「25」のⅠ型コラーゲン架橋N―テロペプチド(NTX)及び「36」のデオキシピリジノリン(DPD)(尿)は、原発性副甲状腺機能亢進症の手術適応の決定、副甲状腺機能亢進症手術後の治療効果判定又は骨粗鬆症の薬剤治療方針の選択に際して実施された場合に算定する。

なお、骨粗鬆症の薬剤治療方針の選択時に1回、その後6月以内の薬剤効果判定時に1回に限り、また薬剤治療方針を変更したときは変更後6月以内に1回に限り算定できる。

(12) 「25」のⅠ型コラーゲン架橋N―テロペプチド(NTX)、「27」のオステオカルシン(OC)又は「36」のデオキシピリジノリン(DPD)(尿)を併せて実施した場合は、いずれか1つのみ算定する。

(13) 「25」の酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRACP―5b)は、代謝性骨疾患及び骨転移(代謝性骨疾患や骨折の併発がない肺癌、乳癌、前立腺癌に限る)の診断補助として実施した場合に1回、その後6月以内の治療経過観察時の補助的指標として実施した場合に1回に限り算定できる。また治療方針を変更した際には変更後6月以内に1回に限り算定できる。

本検査と「25」のⅠ型コラーゲン架橋N―テロペプチド(NTX)、「27」のオステオカルシン(OC)又は「36」のデオキシピリジノリン(DPD)(尿)を併せて実施した場合は、いずれか一つのみ算定する。

なお、乳癌、肺癌又は前立腺癌であると既に確定診断された患者について骨転移の診断のために当該検査を行い、当該検査に基づいて計画的な治療管理を行った場合は、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の「ロ」を算定する。

(14) 「26」の低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)は、骨粗鬆症におけるビタミンK2剤の治療選択目的で行った場合又は治療経過観察を行った場合に算定できる。ただし、治療開始前においては1回、その後は6月以内に1回に限り算定できる。

(15) 「27」の骨型アルカリホスファターゼ(BAP)、「28」のインタクトⅠ型プロコラーゲン―N―プロペプチド(IntactPINP)、「30」のⅠ型プロコラーゲン―N―プロペプチド(PINP)及び区分番号「D007」血液化学検査の「42」ALPアイソザイム(PAG電気泳動法)のうち2項目以上を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(16) 「27」のオステオカルシン(OC)は、続発性副甲状腺機能亢進症の手術適応の決定及び原発性又は続発性の副甲状腺機能亢進症による副甲状腺(上皮小体)腺腫過形成手術後の治療効果判定に際して実施した場合に限り算定できる。

(17) 「30」のⅠ型コラーゲン架橋C―テロペプチド―β異性体(β―CTX)(尿)は、骨粗鬆症におけるホルモン補充療法及びビスフォスフォネート療法等、骨吸収抑制能を有する薬物療法の治療効果判定又は治療経過観察を行った場合に算定できる。ただし、治療開始前においては1回、その後は6月以内に1回に限り算定できる。

(18) 「31」のⅠ型コラーゲン架橋C―テロペプチド―β異性体(β―CTX)は、骨粗鬆症におけるホルモン補充療法及びビスフォスフォネート療法等、骨吸収抑制能を有する薬物療法の治療効果判定又は治療経過観察を行った場合に算定できる。ただし、治療開始前においては1回、その後は6月以内に1回に限り算定できる。

また、「30」のⅠ型コラーゲン架橋C―テロペプチド―β異性体(β―CTX)(尿)と併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(19) 「35」のエストロゲン半定量又は定量については、「35」のエストリオール(E3)又は「34」のエストラジオール(E2)と同時に実施した場合は算定できない。

(20) 「35」の副甲状腺ホルモン関連蛋白C端フラグメント(C―PTHrP)又は「37」の副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)は、高カルシウム血症の鑑別並びに悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症に対する治療効果の判定のために測定した場合に限り算定する。

(21) 「39」のエリスロポエチンは、以下のいずれかの目的で行った場合に算定する。

ア 赤血球増加症の鑑別診断

イ 重度の慢性腎不全患者又はエリスロポエチン、ダルベポエチン、エポエチンベータペゴル若しくはHIF―PH阻害薬投与前の透析患者における腎性貧血の診断

ウ 骨髄異形成症候群に伴う貧血の治療方針の決定

(22) 「40」の抗IA―2抗体は、すでに糖尿病の診断が確定し、かつ、「18」の抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体(抗GAD抗体)の結果、陰性が確認された患者に対し、1型糖尿病の診断に用いた場合に算定する。

なお、当該検査を算定するに当たっては、抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体(抗GAD抗体)の結果、陰性が確認された年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(23) 「40」の17α―ヒドロキシプロゲステロン(17α―OHP)は、先天性副腎皮質過形成症の診断又は治療効果判定のために行った場合に算定する。

(24) 「45」の心房性Na利尿ペプチド(ANP)、「19」の脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)及び「19」の脳性Na利尿ペプチド(BNP)のうち2項目以上をいずれかの検査を行った日から起算して1週間以内に併せて実施した場合は、主たるもの1つに限り算定する。

(25) 「48」のノルメタネフリンは、褐色細胞腫の診断又は術後の効果判定のため行った場合に算定し、「41」のメタネフリンを併せて行った場合は、主たるもののみ算定する。

(26) インスリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP―3)

ア 「49」のインスリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP―3)は、成長ホルモン分泌不全症の診断と治療開始時の適応判定のために実施した場合に算定できる。なお、成長ホルモン分泌不全症の診断については、厚生労働省間脳下垂体機能障害に関する調査研究班「成長ホルモン分泌不全性低身長症診断の手引き」を、治療開始時の適応判定については(財)成長科学協会「ヒト成長ホルモン治療開始時の適応基準」を参照すること。

イ 「49」のインスリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP―3)を「42」のソマトメジンCと併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(27) 遊離メタネフリン・遊離ノルメタネフリン分画

ア 「50」の遊離メタネフリン・遊離ノルメタネフリン分画は、褐色細胞腫の鑑別診断を行った場合に1回に限り算定する。本検査を実施するに当たっては、関連学会が定める指針を遵守し、褐色細胞腫を疑う医学的な理由を診療録に記載すること。

イ 「41」メタネフリン、「44」メタネフリン・ノルメタネフリン分画、「48」ノルメタネフリン又は「50」遊離メタネフリン・遊離ノルメタネフリン分画のうちいずれかを併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(28) 全身性炎症反応症候群の患者(疑われる患者を含む。)の重症度判定の補助を目的として、ECLIA法又はCLIA法により血清又は血漿中のインターロイキン―6(IL―6)を測定した場合は、本区分の「31」副甲状腺ホルモン(PTH)の所定点数を準用して、一連の治療につき2回に限り算定する。なお、本検査を実施した年月日を診療報酬明細書に記載すること。また、医学的な必要性から一連の治療につき3回以上算定する場合においては、その詳細な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(29) sFlt―1/PlGF比

ア 血清を検体とし、ECLIA法により可溶性fms様チロシンキナーゼ1(sFlt―1)及び胎盤増殖因子(PlGF)を測定し、sFlt―1/PlGF比を算出した場合は、本区分の「31」副甲状腺ホルモン(PTH)の所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する。

イ 本検査は、妊娠18週から36週未満の妊娠高血圧腎症が疑われる妊婦であって、以下のリスク因子のうちいずれか1つを有するものに対して実施した場合に、原則として一連の妊娠につき1回に限り算定できる。なお、リスク因子を2つ以上有する場合は、原則として当該点数は算定できない。

(イ) 収縮期血圧が130mmHg以上又は拡張期血圧80mmHg以上

(ロ) 蛋白尿

(ハ) 妊娠高血圧腎症を疑う臨床症状又は検査所見

(ニ) 子宮内胎児発育遅延

(ホ) 子宮内胎児発育遅延を疑う検査所見

ウ 本検査を算定する場合は、イのリスク因子のいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。また、イの(ハ)又は(ホ)に該当する場合は、その医学的根拠を併せて記載すること。なお、医学的な必要性から、リスク因子を2つ以上有する妊婦において算定する場合、又は一連の妊娠につき2回以上算定する場合は、その詳細な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

エ 本検査の実施に際し、本区分の「31」副甲状腺ホルモン(PTH)の所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する場合は、本区分の「注」に定める規定は適用しない。

D009 腫瘍マーカー

(1) 腫瘍マーカーは、悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる者に対して検査を行った場合に、悪性腫瘍の診断の確定又は転帰の決定までの間に1回を限度として算定する。

悪性腫瘍の診断が確定し、計画的な治療管理を開始した場合、当該治療管理中に行った腫瘍マーカーの検査の費用は区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料に含まれ、腫瘍マーカーは、原則として、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料と同一月に併せて算定できない。ただし、悪性腫瘍の診断が確定した場合であっても、次に掲げる場合においては、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料とは別に腫瘍マーカーの検査料を算定できる。

ア 急性及び慢性膵炎の診断及び経過観察のために「7」のエラスターゼ1を行った場合

イ 肝硬変、HBs抗原陽性の慢性肝炎又はHCV抗体陽性の慢性肝炎の患者について、「3」のα―フェトプロテイン(AFP)、「9」のPIVKA―Ⅱ半定量又は定量を行った場合(月1回に限る。)

ウ 子宮内膜症の診断又は治療効果判定を目的として「10」のCA125又は「23」のCA602を行った場合(診断又は治療前及び治療後の各1回に限る。)

エ 家族性大腸腺腫症の患者に対して「2」の癌胎児性抗原(CEA)を行った場合

(2) 「1」の尿中BTAは、膀胱癌であると既に確定診断がされた患者に対して、膀胱癌再発の診断のために行い、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に限り、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の「イ」を算定する。

(3) 「2」の癌胎児性抗原(CEA)と「6」のDUPAN―2を併せて測定した場合は主たるもののみ算定する。

(4) 「8」の前立腺特異抗原(PSA)は、診察、腫瘍マーカー以外の検査、画像診断等の結果から、前立腺癌の患者であることを強く疑われる者に対して検査を行った場合に、前立腺癌の診断の確定又は転帰の決定までの間に原則として、1回を限度として算定する。ただし、前立腺特異抗原(PSA)の検査結果が4.0ng/mL以上であって前立腺癌の確定診断がつかない場合においては、3月に1回に限り、3回を限度として算定できる。

なお、当該検査を2回以上算定するに当たっては、検査値を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(5) 「10」のCA125及び「23」のCA602を併せて測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(6) 上記(1)にかかわらず、(5)に掲げる項目について、1つを区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の項目とし、他の1つの検査を腫瘍マーカーの項目として算定することはできず、いずれか一方のみ算定する。

(7) 核マトリックスプロテイン22(NMP22)定性(尿)又は定量(尿)

ア 「12」の核マトリックスプロテイン22(NMP22)定量(尿)及び「12」の核マトリックスプロテイン22(NMP22)定性(尿)は、区分番号「D002」尿沈渣(鏡検法)により赤血球が認められ、尿路上皮癌の患者であることが強く疑われる者に対して行った場合に限り算定する。

イ 「12」の核マトリックスプロテイン22(NMP22)定量(尿)及び「12」の核マトリックスプロテイン22(NMP22)定性(尿)については、尿路上皮癌の診断が確定した後に行った場合であっても、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料は算定できない。

(8) 「12」の核マトリックスプロテイン22(NMP22)定量(尿)又は「12」の核マトリックスプロテイン22(NMP22)定性(尿)及び「16」のサイトケラチン8・18(尿)を同時に実施した場合は、いずれか一方の所定点数を算定する。

(9) 「15」の遊離型PSA比(PSA F/T比)は、診療及び他の検査(前立腺特異抗原(PSA)等)の結果から前立腺癌の患者であることが強く疑われる者に対して行った場合に限り算定する。

(10) サイトケラチン8・18(尿)

ア 「16」のサイトケラチン8・18(尿)は、区分番号「D002」尿沈渣(鏡検法)により赤血球が認められ、尿路上皮癌の患者であることが強く疑われる者に対して行った場合に限り算定する。

イ 「16」のサイトケラチン8・18(尿)は、尿路上皮癌の診断が確定した後に行った場合であっても、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料は算定できない。

(11) 「17」のサイトケラチン19フラグメント(シフラ)は、悪性腫瘍であることが既に確定診断された患者については、小細胞癌を除く肺癌の場合に限り、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定できる。

(12) 「18」の抗p53抗体は、食道癌、大腸癌又は乳癌が強く疑われる患者に対して行った場合に月1回に限り算定できる。

(13) シアリルLeX抗原(CSLEX)

ア 「19」のシアリルLeX抗原(CSLEX)は、診療及び他の検査の結果から乳癌の患者であることが強く疑われる者に対して検査を行った場合に算定する。

イ 「19」のシアリルLeX抗原(CSLEX)と「6」のCA15―3を併せて測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(14) 「20」のⅠ型コラーゲン―C―テロペプチド(ICTP)、区分番号「D008」内分泌学的検査の「25」のⅠ型コラーゲン架橋N―テロペプチド(NTX)又は同区分「36」のデオキシピリジノリン(DPD)(尿)は、乳癌、肺癌又は前立腺癌であると既に確定診断された患者について骨転移の診断のために当該検査を行い、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に限り、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の「ロ」を算定する。

(15) 「21」のガストリン放出ペプチド前駆体(ProGRP)を「11」の神経特異エノラーゼ(NSE)と併せて実施した場合には、主たるもののみ算定する。

(16) 「22」の癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)は、内膜症性嚢胞を有する患者又は内膜症性嚢胞が疑われる患者について、卵巣癌が疑われる場合に限り算定できる。

(17) 「23」のα―フェトプロテインレクチン分画(AFP―L3%)は、電気泳動法及び抗体親和性転写法又はLBA法による。

(18) 「25」のヒト精巣上体蛋白4(HE4)は、CLIA法又はECLIA法により測定した場合に算定できる。

(19) 可溶性メソテリン関連ペプチド

ア 「26」の可溶性メソテリン関連ペプチドは、悪性中皮腫の診断の補助又は悪性中皮腫であると既に確定診断された患者に対して治療効果の判定若しくは経過観察を目的として実施した場合に算定する。

イ 本検査を悪性中皮腫の診断の補助を目的として実施する場合は、以下のいずれかに該当する患者に対して使用した場合に限り算定する。この場合、本検査が必要である理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(イ) 石綿曝露歴があり、胸水、腹水等の貯留が認められる患者

(ロ) 体腔液細胞診で悪性中皮腫が疑われる患者

(ハ) 画像診断で胸膜腫瘍、腹膜腫瘍等の漿膜腫瘍が認められる患者

ウ 本検査を悪性中皮腫の治療効果の判定又は経過観察を目的として実施する場合は、悪性中皮腫であると既に確定診断された患者に対して、本検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に限り、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の「ロ」を算定する。

(20) 「27」の癌胎児性抗原(CEA)定性(乳頭分泌液)又は同半定量(乳頭分泌液)は、乳頭異常分泌患者に対して非腫瘤性乳癌を強く疑って、乳頭分泌液中の癌胎児性抗原(CEA)を測定した場合に算定する。

(21) 「28」のHER2蛋白は、悪性腫瘍が既に確定診断され、かつ、HER2蛋白過剰発現が認められている患者又は他の測定法により、HER2蛋白過剰発現の有無が確認されていない再発癌患者に対して、当該検査の結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合に限り、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の「ロ」を算定する。

(22) 「29」の可溶性インターロイキン―2レセプター(sIL―2R)は、非ホジキンリンパ腫、ATL又はメトトレキサート使用中のリンパ増殖性疾患の診断の目的で測定した場合に算定できる。

また、非ホジキンリンパ腫又はATLであることが既に確定診断された患者に対して、経過観察のために測定した場合は、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「3」悪性腫瘍特異物質治療管理料の「ロ」により算定する。

(23) 「注2」に係る規定は、本区分に掲げる血液を検体とする検査と「27」の癌胎児性抗原(CEA)定性(乳頭分泌液)又は同半定量(乳頭分泌液)を同一日に行った場合にも、適用する。

(24) 組織因子経路インヒビター2(TFPI2)

ア 組織因子経路インヒビター2(TFPI2)は、区分番号「D009」腫瘍マーカーの「23」CA602の所定点数を準用して算定する。

イ 本検査は、EIA法により測定した場合に算定できる。

ウ 本検査は、区分番号「D009」腫瘍マーカーの注1及び注2の規定に準ずる。

(25) プロステートヘルスインデックス(phi)

ア 診療及び他の検査(前立腺特異抗原(PSA)等)の結果から前立腺癌の患者であることが強く疑われる者であって、以下の(イ)、(ロ)又は(ハ)のいずれかに該当する者に対して、CLEIA法により、前立腺特異抗原(PSA)、遊離型PSA及び[-2]proPSAを測定し、プロステートヘルスインデックス(phi)を算出した場合に限り、区分番号「D009」腫瘍マーカーの「8」前立腺特異抗原(PSA)及び区分番号「D009」腫瘍マーカーの「15」遊離型PSA比(PSA F/T 比)の所定点数を合算した点数を準用して算定する。

(イ) 前立腺特異抗原(PSA)値が4.0ng/mL以上かつ10.0ng/mL以下

(ロ) 50歳以上65歳未満であって、前立腺特異抗原(PSA)値が3.0ng/mL以上かつ10.0ng/mL以下

(ハ) 65歳以上70歳未満であって、前立腺特異抗原(PSA)値3.5ng/mL以上かつ10.0ng/mL以下

イ アに該当する患者に対して、前立腺癌の診断の確定又は転帰の決定までの間に、原則として1回を限度として算定する。ただし、前立腺針生検法等により前立腺癌の確定診断がつかない場合においては、3月に1回に限り、3回を限度として算定できる。

ウ 「D009」腫瘍マーカーの「8」前立腺特異抗原(PSA)を併せて実施した場合には、主たるもののみ算定する。

エ 「D009」腫瘍マーカーの「15」遊離型PSA比(PSA F/T 比)を併せて実施した場合には、主たるもののみ算定する。

オ 本検査を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、前立腺特異抗原(PSA)の測定年月日及び測定結果を記載すること。また、本検査を2回以上算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄にその必要性を記載すること。

D010 特殊分析

(1) フェニール・アラニン又はヒスチジンを服用させ血清又は尿中のフェニール・アラニン又はヒスチジンの定量検査を行った場合は、それぞれ1回の測定につき「4」により算定し、使用した薬剤は、区分番号「D500」薬剤により算定する。

(2) 「3」のチロシンは、酵素法による。

(3) 「5」の総分岐鎖アミノ酸/チロシンモル比(BTR)は、酵素法による。

(4) 「8」の先天性代謝異常症検査は、臨床症状・検査所見・家族歴等から先天性代謝異常症等が強く疑われた患者に対し、疾患の診断又は経過観察を目的に行った場合に算定する。

ア 「イ」の尿中有機酸分析は、有機酸代謝異常症が疑われる患者に対して、ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて尿中有機酸の分析を行った場合に算定する。

イ 「ロ」の血中極長鎖脂肪酸は、副腎白質ジストロフィーやペルオキシソーム形成異常症、ペルオキシソームβ酸化系酵素欠損症が疑われる患者に対して、ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて血中極長鎖脂肪酸の測定を行った場合に算定する。

ウ 「ハ」のタンデムマス分析は、有機酸代謝異常症、脂肪酸代謝異常症が疑われる患者に対して、タンデム質量分析装置を用いて遊離カルニチン及びアシルカルニチンの分析を行った場合に算定する。

エ 「ニ」のその他は、ムコ多糖症、ムコリピドーシスが疑われる患者に対して、セルロースアセテート膜電気泳動を用いてムコ多糖体分画の定量検査等を行った場合に算定する。

D011 免疫血液学的検査

(1) 「3」のRh(その他の因子)血液型については、同一検体による検査の場合は因子の種類及び数にかかわらず、所定点数を算定する。

(2) 「4」の不規則抗体は、輸血歴又は妊娠歴のある患者に対し、第2章第10部手術第7款の各区分に掲げる胸部手術、同部第8款の各区分に掲げる心・脈管手術、同部第9款の各区分に掲げる腹部手術又は区分番号「K877」子宮全摘術、「K879」子宮悪性腫瘍手術、「K889」子宮附属器悪性腫瘍手術(両側)、「K898」帝王切開術又は「K912」異所性妊娠手術が行われた場合に、手術の当日に算定する。

また、手術に際して輸血が行われた場合は、本検査又は区分番号「K920」輸血の「注6」に定める不規則抗体検査加算のいずれかを算定する。

この場合、診療報酬明細書の摘要欄に輸血歴がある患者又は妊娠歴がある患者のいずれに該当するかを記載する。

(3) 「6」の血小板関連IgG(PA―IgG)は、特発性血小板減少性紫斑病の診断又は経過判定の目的で行った場合に算定する。

(4) 血小板第4因子―ヘパリン複合体抗体(IgG、IgM及びIgA抗体)、血小板第4因子―ヘパリン複合体抗体(IgG抗体)

ア 「10」の血小板第4因子―ヘパリン複合体抗体(IgG、IgM及びIgA抗体)及び「9」の血小板第4因子―ヘパリン複合体抗体(IgG抗体)は、ヘパリン起因性血小板減少症の診断を目的として行った場合に算定する。

イ 一連の検査で、「10」の血小板第4因子―ヘパリン複合体抗体(IgG、IgM及びIgA抗体)及び「9」の血小板第4因子―ヘパリン複合体抗体(IgG抗体)を測定した場合は、主たるもののみ算定する。

D012 感染症免疫学的検査

(1) 「1」及び「5」における梅毒血清反応(STS)定性、梅毒血清反応(STS)半定量及び梅毒血清反応(STS)定量は、従来の梅毒沈降反応(ガラス板法、VDRL法、RPR法、凝集法等)をいい、梅毒血清反応(STS)定性、梅毒血清反応(STS)半定量及び梅毒血清反応(STS)定量ごとに梅毒沈降反応を併せて2種類以上ずつ行った場合でも、それぞれ主たるもののみ算定する。

(2) 「4」のマイコプラズマ抗体定性、マイコプラズマ抗体半定量、「25」のマイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)又は「31」のマイコプラズマ抗原定性(FA法)を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(3) 「7」の迅速ウレアーゼ試験定性を含むヘリコバクター・ピロリ感染診断の保険診療上の取扱いについては「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日保険発第180号)に即して行うこと。

(4) 「7」のアデノウイルス抗原定性(糞便)と「8」のロタウイルス抗原定性(糞便)又は定量(糞便)を同時に行った場合は、主たる検査のみ算定する。

(5) ヘリコバクター・ピロリ抗体定性・半定量

ア 「9」のヘリコバクター・ピロリ抗体定性・半定量は、LA法、免疫クロマト法、金コロイド免疫測定法又はEIA法(簡易法)により実施した場合に算定する。

イ 当該検査を含むヘリコバクター・ピロリ感染診断の保険診療上の取扱いについては「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日保険発第180号)に即して行うこと。

(6) ウイルス抗体価(定性・半定量・定量)

ア 「11」のウイルス抗体価(定性・半定量・定量)は、治療上必要な場合に行うものとし、次に掲げるものを当該検査の対象とする。

(イ) アデノウイルス

(ロ) コクサッキーウイルス

(ハ) サイトメガロウイルス

(ニ) EBウイルス

(ホ) エコーウイルス

(ヘ) ヘルペスウイルス

(ト) インフルエンザウイルスA型

(チ) インフルエンザウイルスB型

(リ) ムンプスウイルス

(ヌ) パラインフルエンザウイルスⅠ型

(ル) パラインフルエンザウイルスⅡ型

(ヲ) パラインフルエンザウイルスⅢ型

(ワ) ポリオウイルスⅠ型

(カ) ポリオウイルスⅡ型

(ヨ) ポリオウイルスⅢ型

(タ) RSウイルス

(レ) 風疹ウイルス

(ソ) 麻疹ウイルス

(ツ) 日本脳炎ウイルス

(ネ) オーム病クラミジア

(ナ) 水痘・帯状疱疹ウイルス

イ ウイルス抗体価(定性・半定量・定量)に当たって、同一検体について同一ウイルスに対する複数の測定方法を行った場合であっても、所定点数のみを算定する。

(7) 「12」のヘリコバクター・ピロリ抗体を含むヘリコバクター・ピロリ感染診断の保険診療上の取扱いについては「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日保険発第180号)に即して行うこと。

(8) 「13」のHTLV―Ⅰ抗体定性又は半定量は、粒子凝集法により実施した場合に算定する。

(9) 「17」の抗酸菌抗体定量又は同定性は、金コロイド免疫測定法又はEIA法により実施した場合に算定する。

(10) 診療録等から非加熱血液凝固因子製剤の投与歴が明らかな者及び診療録等が確認できないため血液凝固因子製剤の投与歴は不明であるが、昭和53年から昭和63年の間に入院し、かつ、次のいずれかに該当する者に対して、「17」のHIV―1抗体、「16」のHIV―1,2抗体定性、同半定量、「18」のHIV―1,2抗体定量、「16」のHIV―1,2抗原・抗体同時測定定性又は「18」のHIV―1,2抗原・抗体同時測定定量を実施した場合は、HIV感染症を疑わせる自他覚症状の有無に関わらず所定点数を算定する。

ただし、保険医療機関において採血した検体の検査を保健所に委託した場合は、算定しない。

ア 新生児出血症(新生児メレナ、ビタミンK欠乏症等)等の病気で「血が止まりにくい」との指摘を受けた者

イ 肝硬変や劇症肝炎で入院し、出血の著しかった者

ウ 食道静脈瘤の破裂、消化器系疾患により大量の吐下血があった者

エ 大量に出血するような手術を受けた者(出産時の大量出血も含む。)

なお、間質性肺炎等後天性免疫不全症候群の疾病と鑑別が難しい疾病が認められる場合やHIVの感染に関連しやすい性感染症が認められる場合、既往がある場合又は疑われる場合でHIV感染症を疑う場合は、本検査を算定できる。

(11) HIV―1抗体及びHIV―1,2抗体定性、同半定量又は同定量、HIV―1,2抗原・抗体同時測定定性又は同定量

ア 区分番号「K920」輸血(「4」の自己血輸血を除く。以下この項において同じ。)を算定した患者又は血漿成分製剤(新鮮液状血漿、新鮮凍結人血漿等)の輸注を行った患者に対して、一連として行われた当該輸血又は輸注の最終日から起算して、概ね2か月後に「17」のHIV―1抗体、「16」のHIV―1,2抗体定性、同半定量、「18」のHIV―1,2抗体定量、「16」のHIV―1,2抗原・抗体同時測定定性又は「18」のHIV―1,2抗原・抗体同時測定定量の測定が行われた場合は、HIV感染症を疑わせる自他覚症状の有無に関わらず、当該輸血又は輸注につき1回に限り、所定点数を算定できる。

イ 他の保険医療機関において輸血料の算定又は血漿成分製剤の輸注を行った場合であってもアと同様とする。

ウ ア又はイの場合においては、診療報酬明細書の摘要欄に当該輸血又は輸注が行われた最終日を記載する。

(12) 「16」のHIV―1,2抗体定性、同半定量、及び「18」のHIV―1,2抗体定量は、LA法、EIA法、PA法又は免疫クロマト法による。

(13) 「18」のA群β溶連菌迅速試験定性と区分番号「D018」細菌培養同定検査を同時に実施した場合は、A群β溶連菌迅速試験定性の所定点数のみを算定する。この場合において、A群β溶連菌迅速試験定性の結果が陰性のため、引き続いて細菌培養同定検査を実施した場合であっても、A群β溶連菌迅速試験定性の所定点数のみ算定する。

(14) 「19」のカンジダ抗原定性、半定量又は定量は、カンジダ血症又はカンジダ肺炎の診断の目的で行った場合に算定する。

(15) 「21」のRSウイルス抗原定性は、以下のいずれかに該当する患者について、当該ウイルス感染症が疑われる場合に適用する。

ア 入院中の患者

イ 1歳未満の乳児

ウ パリビズマブ製剤の適応となる患者

(16) インフルエンザウイルス抗原定性

ア 「22」のインフルエンザウイルス抗原定性は、発症後48時間以内に実施した場合に限り算定することができる。

イ 本検査と「11」のウイルス抗体価(定性・半定量・定量)のインフルエンザウイルスA型若しくはインフルエンザウイルスB型を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

ウ 本検査は光学的抗原抗体反応(OIA法)により実施した場合にも算定できる。

(17) ヘリコバクター・ピロリ抗原定性

ア 「23」のヘリコバクター・ピロリ抗原定性は、EIA法又は免疫クロマト法により測定した場合に限り算定できる。

イ 当該検査を含むヘリコバクター・ピロリ感染診断の保険診療上の取扱いについては「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日保険発第180号)に即して行うこと。

(18) ヒトメタニューモウイルス抗原定性

ア 「24」のヒトメタニューモウイルス抗原定性と「11」のウイルス抗体価(定性・半定量・定量)のインフルエンザウイルスA型若しくはインフルエンザウイルスB型、「22」のインフルエンザウイルス抗原定性又は「21」のRSウイルス抗原定性のうち3項目を併せて実施した場合には、主たるもの2つに限り算定する。ただし、「11」のウイルス抗体価(定性・半定量・定量)のインフルエンザウイルスA型若しくはインフルエンザウイルスB型又は「22」のインフルエンザウイルス抗原定性を併せて実施した場合は1項目として数える。

イ 本検査は、当該ウイルス感染症が疑われる6歳未満の患者であって、画像診断又は胸部聴診所見により肺炎が強く疑われる患者を対象として測定した場合に算定する。

(19) 「25」のインフルエンザ菌(無莢膜型)抗原定性は、ELISA法により、インフルエンザ菌感染が疑われる中耳炎又は副鼻腔炎患者に対して、インフルエンザ菌(無莢膜型)感染の診断の目的で実施した場合に算定する。

(20) 「25」のマイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)、「4」のマイコプラズマ抗体定性若しくは同半定量又は「31」のマイコプラズマ抗原定性(FA法)を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(21) 「25」のノロウイルス抗原定性は、以下のいずれかに該当する患者について、当該ウイルス感染症が疑われる場合に算定する。

ア 3歳未満の患者

イ 65歳以上の患者

ウ 悪性腫瘍の診断が確定している患者

エ 臓器移植後の患者

オ 抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、又は免疫抑制効果のある薬剤を投与中の患者

(22) SARS―CoV―2(新型コロナウイルスをいう。以下同じ。)抗原検出(定性・定量)

ア SARS―CoV―2抗原検出(定性)は、当該検査キットが薬事承認された際の検体採取方法で採取された検体を用いて、SARS―CoV―2抗原の検出(COVID―19(新型コロナウイルス感染症をいう。以下同じ。)の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID―19の患者であることが疑われる者に対しCOVID―19の診断を目的として行った場合に限り、「25」マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)の所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。

COVID―19の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。

ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID―19以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

なお、SARS―CoV―2抗原検出(定性)を実施した場合、SARS―CoV―2抗原検出(定量)については、別に算定できない。

イ SARS―CoV―2抗原検出(定量)は、当該検査キットが薬事承認された際の検体採取方法で採取された検体を用いて、SARS―CoV―2抗原の検出(COVID―19の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID―19の患者であることが疑われる者に対しCOVID―19の診断を目的として化学発光酵素免疫測定法(定量)又は電気化学発光免疫測定法(定量)によるSARS―CoV―2抗原検出(定量)を行った場合に限り、「46」HIV―1抗体(ウエスタンブロット法)の所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。

COVID―19の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。

ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID―19以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

上記に加え、COVID―19の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的として本検査を実施した場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和3年2月25日健感発0225第1号)の「第1退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査につき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

なお、SARS―CoV―2抗原検出(定量)を実施した場合、SARS―CoV―2抗原検出(定性)については、別に算定できない。

(23) 「26」のクラミドフィラ・ニューモニエIgM抗体を、「9」のクラミドフィラ・ニューモニエIgG抗体又は「10」のクラミドフィラ・ニューモニエIgA抗体と併せて実施した場合は、主たるもの1つに限り算定する。

(24) 「27」のD―アラビニトールは、カンジダ血症又はカンジダ肺炎の診断の目的で行った場合に算定する。

(25) 「27」のクラミジア・トラコマチス抗原定性は、泌尿器、生殖器、結膜又は鼻咽腔内からの検体によるものであり、本検査に係る検体採取料は所定点数に含まれる。

(26) 「27」のクラミジア・トラコマチス抗原定性について、結膜又は鼻咽腔内からの検体による場合は、封入体結膜炎若しくはトラコーマ又は乳児クラミジア・トラコマチス肺炎の診断のために実施した場合に算定できる。

(27) 「28」のアスペルギルス抗原はLA法又はELISA法により、侵襲性肺アスペルギルス症の診断のために実施した場合にのみ算定できる。

(28) 「29」の大腸菌O157抗原定性、「30」の大腸菌O157抗体定性及び区分番号「D018」細菌培養同定検査の「2」消化管からの検体によるもののうちいずれかを複数測定した場合は、主たるもののみ算定する。なお、「30」の大腸菌O157抗体定性はLA法による。

(29) 「31」のマイコプラズマ抗原定性(FA法)、「4」のマイコプラズマ抗体定性、同半定量又は「25」のマイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(30) 「33」の大腸菌血清型別は、区分番号「D018」細菌培養同定検査により大腸菌が確認され、及び区分番号「D023―2」の「3」大腸菌ベロトキシン定性により毒素が確認又は腸管出血性大腸菌用の選択培地に菌の発育が確認され、並びに血清抗体法により大腸菌のO抗原又はH抗原の同定を行った場合に、使用した血清の数、菌種等に関わらず算定する。この場合において区分番号「D018」細菌培養同定検査の費用は別に算定できない。

(31) 「34」の淋菌抗原定性は、区分番号「D018」細菌培養同定検査を同時に実施した場合は、別に算定できない。

(32) 「34」の単純ヘルペスウイルス抗原定性は、ヘルペスウイルスの型別確認を行った場合に算定できる。

(33) 肺炎球菌細胞壁抗原定性

ア 「35」の肺炎球菌細胞壁抗原定性は、次のいずれかの場合に算定する。

(イ) 喀痰又は上咽頭ぬぐいを検体として、イムノクロマト法により、肺炎又は下気道感染症の診断に用いた場合

(ロ) イムノクロマト法により、中耳炎及び副鼻腔炎の診断に用いた場合

イ 当該検査と「36」の肺炎球菌莢膜抗原定性(尿・髄液)を併せて実施した場合には、主たるもののみ算定する。

(34) 「36」の肺炎球菌莢膜抗原定性(尿・髄液)は、免疫クロマト法により実施した場合に限り算定できる。

(35) グロブリンクラス別クラミジア・トラコマチス抗体

ア 「37」のグロブリンクラス別クラミジア・トラコマチス抗体は、クラミジア・トラコマチス抗原検出不能又は検体採取の困難な疾患(骨盤内感染症、卵管炎、副睾丸炎、新生児・乳児肺炎等)の診断に際し、IgG抗体価又はIgA抗体価を測定した場合又は新生児・乳幼児肺炎の診断に際し、IgM抗体価を測定した場合に算定する。

イ IgG抗体価、IgA抗体価及びIgM抗体価のうち2項目以上を同時に測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(36) 「38」のツツガムシ抗体半定量又は同定性は、各株ごとに算定する。

(37) 「38」の(1→3)―β―D―グルカンは、発色合成基質法、比濁時間分析法又はELISA法により、深在性真菌感染症が疑われる患者に対する治療法の選択又は深在性真菌感染症に対する治療効果の判定に使用した場合に算定する。

なお、本検査を「19」のカンジダ抗原定性、同半定量、同定量、「27」のD―アラビニトール、「28」のアスペルギルス抗原、「32」のクリプトコックス抗原半定量又は同定性と併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(38) 「39」のアニサキスIgG・IgA抗体は、腸アニサキス症、肉芽腫を伴う慢性胃アニサキス症又はアニサキス異所迷入例(肺アニサキス症等)における診断のために実施した場合に限り算定できる。

(39) 「39」の単純ヘルペスウイルス抗原定性(角膜)は、角膜ヘルペスが疑われる角膜上皮病変を認めた患者に対し、イムノクロマト法により行った場合に算定する。

(40) グロブリンクラス別ウイルス抗体価

ア 「40」のグロブリンクラス別ウイルス抗体価は、下記の項目のウイルスのIgG型ウイルス抗体価又はIgM型ウイルス抗体価を測定した場合に算定する。ただし、(ト)のヒトパルボウイルスB19は、紅斑が出現している15歳以上の成人について、このウイルスによる感染症が強く疑われ、IgM型ウイルス抗体価を測定した場合に算定する。

(イ) ヘルペスウイルス

(ロ) 風疹ウイルス

(ハ) サイトメガロウイルス

(ニ) EBウイルス

(ホ) 麻疹ウイルス

(ヘ) ムンプスウイルス

(ト) ヒトパルボウイルスB19

(チ) 水痘・帯状疱疹ウイルス

イ 同一ウイルスについてIgG型ウイルス抗体価及びIgM型ウイルス抗体価を測定した場合にあっては、いずれか一方の点数を算定する。

ウ 「11」のウイルス抗体価(定性・半定量・定量)と併せて測定した場合にあっては、いずれか一方の点数を算定する。

(41) 「41」のレジオネラ抗原定性(尿)は、症状や所見からレジオネラ症が疑われる患者に対して、ELISA法又は免疫クロマト法により実施した場合に限り1回を限度として算定する。

(42) デングウイルス抗原定性又は同抗原・抗体同時測定定性

ア 「43」のデングウイルス抗原・抗体同時測定定性は、デングウイルスNS1抗原、IgG抗体及びIgM抗体を、イムノクロマト法を用いて同時に測定した場合に算定できる。

イ 「43」のデングウイルス抗原定性及び同抗原・抗体同時測定定性は、国立感染症研究所が作成した「蚊媒介感染症の診療ガイドライン」に基づきデング熱を疑う患者が、入院を要する場合に限り算定できる。

ウ 「43」のデングウイルス抗原定性及び同抗原・抗体同時測定定性は、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施された場合は算定できない。

エ 「43」のデングウイルス抗原定性及び同抗原・抗体同時測定定性を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(43) 「46」のHIV―1抗体(ウエスタンブロット法)又は「49」のHIV―2抗体(ウエスタンブロット法)は、スクリーニング検査としての「16」のHIV―1,2抗体定性若しくは同半定量、「16」のHIV―1,2抗原・抗体同時測定定性、「17」のHIV―1抗体、「18」のHIV―1,2抗体定量又は「18」のHIV―1,2抗原・抗体同時測定定量が陽性の場合の確認診断用の検査である。

(44) 「48」のサイトメガロウイルスpp65抗原定性は免疫染色法により、臓器移植後若しくは造血幹細胞移植後の患者又はHIV感染者又は高度細胞性免疫不全の患者に対して行った場合に限り算定できる。ただし、高度細胞性免疫不全の患者については、当該検査が必要であった理由について、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(45) 「50」のHTLV―Ⅰ抗体(ウエスタンブロット法及びラインブロット法)は、「13」のHTLV―Ⅰ抗体定性、半定量又は「30」のHTLV―Ⅰ抗体によって陽性が確認された症例について、確定診断を目的としてウエスタンブロット法又はラインブロット法により行った場合に算定する。

(46) 「51」のHIV抗原は、HIV感染者の経過観察又はHIV感染ハイリスク群が急性感染症状を呈した場合の確定診断に際して測定した場合に算定する。

(47) 「52」の抗トリコスポロン・アサヒ抗体は、ELISA法により、夏型過敏性肺炎の鑑別診断を目的として測定した場合に算定できる。なお、鑑別診断目的の対象患者は、厚生省特定疾患びまん性肺疾患調査研究班による「過敏性肺炎の診断の手引と診断基準」により、夏型過敏性肺炎が疑われる患者とする。

(48) スクリーニング検査としての「16」のHIV―1,2抗体定性若しくは同半定量、「16」のHIV―1,2抗原・抗体同時測定定性、「17」のHIV―1抗体、「18」のHIV―1,2抗体定量又は「18」のHIV―1,2抗原・抗体同時測定定量が陽性の場合の確認診断用の検査として、イムノクロマト法により、全血、血清又は血漿中のHIV―1特異抗体及びHIV―2特異抗体を検出する検査を行った場合は、本区分の「46」HIV―1抗体(ウエスタンブロット法)及び「49」HIV―2抗体(ウエスタンブロット法)を合算した点数を準用して算定する。なお、本検査を実施した場合、本区分の「46」HIV―1抗体(ウエスタンブロット法)及び「49」HIV―2抗体(ウエスタンブロット法)は、別に算定できない。

(49) 百日咳菌抗原定性

ア 関連学会が定めるガイドラインの百日咳診断基準における臨床判断例の定義を満たす患者に対して、イムノクロマト法により百日咳菌抗原を測定した場合は、区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「41」レジオネラ抗原定性(尿)を準用して算定する。

イ 本検査と区分番号「D023」微生物核酸同定・定量検査の「10」百日咳菌核酸検出又は同区分「17」ウイルス・細菌核酸多項目同時検出を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(50) SARS―CoV―2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性)は、当該検査キットが薬事承認された際の検体採取方法で採取された検体を用いて、SARS―CoV―2抗原及びインフルエンザウイルス抗原の検出を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID―19の患者であることが疑われる者に対しCOVID―19の診断を目的として行った場合に限り、「39」単純ヘルペスウイルス抗原定性(角膜)の所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。

COVID―19の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。

ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID―19以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

なお、SARS―CoV―2・インフルエンザウイルス抗原同時検出(定性)を実施した場合、本区分「22」のインフルエンザウイルス抗原定性、SARS―CoV―2抗原検出(定性)及びSARS―CoV―2抗原検出(定量)については、別に算定できない。

(51) 診察又は画像診断等により鳥関連過敏性肺炎が強く疑われる患者を対象として、EIA法により、鳥特異的IgG抗体を測定した場合は、本区分の「52」抗トリコスポロン・アサヒ抗体の所定点数を準用して算定する。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(52) 腸管アメーバ症の症状を呈する患者に対して、アメーバ赤痢の診断を目的として、酵素免疫測定法(定性)により糞便中の赤痢アメーバ抗原を測定した場合は、本区分の「42」赤痢アメーバ抗体半定量の所定点数を準用して算定する。

(53) 白癬菌抗原定性

ア 爪白癬が疑われる患者に対して、イムノクロマト法により爪中の白癬菌抗原を測定した場合は、本区分の「43」水痘ウイルス抗原定性(上皮細胞)を準用して算定する。

イ 本検査は、以下のいずれかに該当する場合に算定できる。

(イ) KOH直接鏡検が陰性であったものの、臨床所見等から爪白癬が疑われる場合。なお、この場合においては、本検査を実施した医学的な必要性を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(ロ) KOH直接鏡検が実施できない場合。なお、この場合においては、KOH直接鏡検を実施できない理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ウ 本検査は、関連学会の定める指針に従って実施すること。

D013 肝炎ウイルス関連検査

(1) 「1」のHBs抗原定性・半定量は、免疫クロマト法、赤血球凝集法、粒子凝集法、EIA法(簡易法)、金コロイド凝集法による。

(2) 「2」のHBs抗体半定量は、赤血球凝集法、粒子凝集法、EIA法(簡易法)、金コロイド凝集法による。

(3) 免疫抑制剤の投与や化学療法を行う患者に対して、B型肝炎の再活性化を考慮し、当該治療開始前に「3」のHBs抗原、HBs抗体及び「6」のHBc抗体半定量・定量を同時に測定した場合は、患者1人につきそれぞれ1回に限り算定できる。

(4) 「5」のHCVコア蛋白は、EIA法又はIRMA法による。

(5) 「6」のHBc抗体半定量・定量と「8」のHBc―IgM抗体を同時に測定した場合は、一方の所定点数を算定する。

(6) 「8」のHA抗体とHA―IgM抗体を同時に測定した場合は、一方の所定点数のみを算定する。

(7) 「11」のHCV血清群別判定は、EIA法により、C型肝炎の診断が確定した患者に対して、C型肝炎の治療法の選択の目的で実施した場合に、患者1人につき1回に限り算定できる。

(8) 「12」のHBVコア関連抗原(HBcrAg)は、HBV感染の診断の補助及び治療効果の判定の目的で、血清又は血漿中のHBVコア関連抗原(HBcrAg)を測定した場合に1月に1回に限り算定する。なお、区分番号「D023」微生物核酸同定・定量検査の「4」のHBV核酸定量を同時に測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(9) 「14」のHBVジェノタイプ判定は、B型肝炎の診断が確定した患者に対して、B型肝炎の治療法の選択の目的で実施した場合に、患者1人につき1回に限り算定できる。

(10) インターフェロン―λ3(IFN―λ3)

ア COVID―19と診断された患者(呼吸不全管理を要する中等症以上の患者を除く。)の重症化リスクの判定補助を目的として、2ステップサンドイッチ法を用いた化学発光酵素免疫測定法により、インターフェロン―λ3(IFN―λ3)を測定した場合は、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「14」HBVジェノタイプ判定の所定点数を準用して算定する。

イ 本検査を2回以上算定する場合は、前回の検査結果が基準値未満であることを確認すること。

ウ 本検査の実施に際し、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「14」HBVジェノタイプ判定の所定点数を準用して算定する場合は、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査の「注」に定める規定は適用しない。

D014 自己抗体検査

(1) 「2」のリウマトイド因子(RF)定量、「7」のマトリックスメタロプロテイナーゼ―3(MMP―3)、「8」の抗ガラクトース欠損IgG抗体定性、同定量、「13」のC1q結合免疫複合体、「21」のモノクローナルRF結合免疫複合体及び「22」のIgG型リウマトイド因子のうち3項目以上を併せて実施した場合には、主たるもの2つに限り算定する。

(2) 「8」の抗ガラクトース欠損IgG抗体定性、同定量は、ECLIA法又はレクチン酵素免疫測定法による。なお、「2」のリウマトイド因子(RF)定量を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(3) 「11」の抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体を、「3」の抗甲状腺マイクロゾーム抗体半定量と併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(4) 「17」の抗RNAポリメラーゼⅢ抗体は、びまん性型強皮症の確定診断を目的として行った場合に、1回を限度として算定できる。また、その際陽性と認められた患者に関し、腎クリーゼのリスクが高い者については治療方針の決定を目的として行った場合に、また、腎クリーゼ発症後の者については病勢の指標として測定した場合に、それぞれ3月に1回を限度として算定できる。

(5) 「18」の抗セントロメア抗体定量又は同定性は、原発性胆汁性肝硬変又は強皮症の診断又は治療方針の決定を目的に用いた場合に限り算定できる。

(6) 「20」の抗ARS抗体と「9」の抗Jo―1抗体定性、同半定量又は同定量を併せて実施した場合は主たるもののみ算定する。

(7) 抗シトルリン化ペプチド抗体定性又は同定量

ア 「23」の抗シトルリン化ペプチド抗体定性又は同定量は、以下のいずれかの場合に算定できる。

(イ) 関節リウマチと確定診断できない者に対して診断の補助として検査を行った場合に、原則として1回を限度として算定できる。ただし、当該検査結果が陰性の場合においては、3月に1回に限り算定できる。なお、当該検査を2回以上算定するに当たっては、検査値を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(ロ) (イ)とは別に、関節リウマチに対する治療薬の選択のために行う場合においては、患者1人につき原則として1回に限り算定する。ただし、当該検査結果は陰性であったが、臨床症状・検査所見等の変化を踏まえ、再度治療薬を選択する必要がある場合においては、3月に1回に限り算定できる。なお、当該検査を2回以上算定するに当たっては、その医学的な必要性を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

イ 「23」の抗シトルリン化ペプチド抗体定性、同定量、「7」のマトリックスメタロプロテイナーゼ―3(MMP―3)、「8」の抗ガラクトース欠損IgG抗体定性、同定量、「13」のC1q結合免疫複合体、「21」のモノクローナルRF結合免疫複合体及び「22」のIgG型リウマトイド因子のうち2項目以上を併せて実施した場合には、主たるもの1つに限り算定する。

(8) 抗LKM―1抗体

ア 「24」の抗LKM―1抗体は、ウイルス肝炎、アルコール性肝障害及び薬剤性肝障害のいずれでもないことが確認され、かつ、抗核抗体陰性の自己免疫性肝炎が強く疑われる患者を対象として測定した場合に限り算定できる。

イ 本検査を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に抗核抗体陰性を確認した年月日を記載すること。

(9) 「26」の抗TSHレセプター抗体(TRAb)及び「36」の甲状腺刺激抗体(TSAb)を同時に行った場合は、いずれか一方のみ算定する。

(10) 「28」のIgG2(TIA法によるもの)及び「38」のIgG2(ネフェロメトリー法によるもの)は、原発性免疫不全等を疑う場合に算定する。これらを併せて実施した場合は、「28」のIgG2(TIA法によるもの)により算定する。

(11) 「29」の抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO―ANCA)は、ELISA法、CLEIA法又はラテックス免疫比濁法により、急速進行性糸球体腎炎の診断又は経過観察のために測定した場合に算定する。

(12) 抗デスモグレイン3抗体

ア 「31」の抗デスモグレイン3抗体は、ELISA法又はCLEIA法により、天疱瘡の鑑別診断又は経過観察中の治療効果判定を目的として測定した場合に算定できる。なお、鑑別診断目的の対象患者は、厚生労働省 難治性疾患政策研究事業研究班による「天疱瘡診断基準」により、天疱瘡が強く疑われる患者とする。

イ 尋常性天疱瘡の患者に対し、経過観察中の治療効果判定の目的で、本検査と「35」の抗デスモグレイン1抗体を併せて測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(13) 「31」の抗BP180―NC16a抗体は、ELISA法又はCLEIA法により、水疱性類天疱瘡の鑑別診断又は経過観察中の治療効果判定を目的として測定した場合に算定できる。

(14) 「31」の抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)は、抗糸球体基底膜抗体腎炎及びグッドパスチャー症候群の診断又は治療方針の決定を目的として行った場合に限り算定する。

(15) 「32」の抗MDA5抗体、抗TIF1―γ抗体及び抗Mi―2抗体は、厚生労働省難治性疾患克服研究事業自己免疫疾患に関する調査研究班による「皮膚筋炎診断基準」を満たす患者において、ELISA法により測定した場合に算定できる。

(16) 「33」のループスアンチコアグラント定量及び同定性は、希釈ラッセル蛇毒試験法又はリン脂質中和法により、抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として行った場合に限り算定する。

(17) 抗デスモグレイン1抗体

ア 「35」の抗デスモグレイン1抗体は、ELISA法又はCLEIA法により、天疱瘡の鑑別診断又は経過観察中の治療効果判定を目的として測定した場合に算定できる。なお、鑑別診断目的の対象患者は、厚生労働省 難治性疾患政策研究事業研究班による「天疱瘡診断基準」により、天疱瘡が強く疑われる患者とする。

イ 落葉状天疱瘡の患者に対し、経過観察中の治療効果判定の目的で、本検査と「31」の抗デスモグレイン3抗体を併せて測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(18) 「37」のIgG4は、ネフェロメトリー法又はTIA法による。

(19) 「39」の抗GM1IgG抗体は、ELISA法により、進行性筋力低下又は深部腱反射低下等のギラン・バレー症候群が疑われる所見が見られる場合において、診断時に1回に限り算定でき、経過観察時は算定できない。

(20) 「39」の抗GQ1bIgG抗体は、ELISA法により、眼筋麻痺又は小脳性運動失調等のフィッシャー症候群が疑われる場合において、診断時に1回に限り算定でき、経過観察時は算定できない。

(21) 抗デスモグレイン1抗体、抗デスモグレイン3抗体及び抗BP180―NC16a抗体同時測定

ア 「40」の抗デスモグレイン1抗体、抗デスモグレイン3抗体及び抗BP180―NC16a抗体同時測定は、天疱瘡又は水疱性類天疱瘡が疑われる患者に対して、間接蛍光抗体法(IF法)により、鑑別診断を目的として測定した場合に算定できる。なお、天疱瘡についての鑑別診断目的の対象患者は、厚生労働省 難治性疾患政策研究事業研究班による「天疱瘡診断基準」により、天疱瘡が強く疑われる患者とする。

イ 天疱瘡又は水疱性類天疱瘡の鑑別診断の目的で、本検査と「31」の抗デスモグレイン3抗体若しくは抗BP180―NC16a抗体又は「35」の抗デスモグレイン1抗体を併せて測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(22) 抗アセチルコリンレセプター抗体(抗AChR抗体)

ア 「41」の抗アセチルコリンレセプター抗体(抗AChR抗体)は、重症筋無力症の診断又は診断後の経過観察の目的で行った場合に算定できる。

イ 本検査と「43」の抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体を併せて測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(23) 「42」の抗グルタミン酸レセプター抗体は、ラスムッセン脳炎、小児の慢性進行性持続性部分てんかん又はオプソクローヌス・ミオクローヌス症候群の診断の補助として行った場合に、月1回を限度として算定できる。

(24) 「43」の抗アクアポリン4抗体は、ELISA法により視神経脊髄炎の診断(治療効果判定を除く。)を目的として測定した場合に算定できる。なお、当該検査の結果は陰性であったが、臨床症状・検査所見等の変化を踏まえ、視神経脊髄炎が強く疑われる患者に対して、疾患の診断を行う必要があり、当該検査を再度実施した場合においても算定できる。ただし、この場合、前回の検査実施日及び検査を再度実施する医学的な必要性について診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(25) 抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体

ア 「43」の抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体は、RIA法により重症筋無力症の診断又は診断後の経過観察を目的として測定した場合に算定できる。

イ 本検査と「41」抗アセチルコリンレセプター抗体(抗AChR抗体)を併せて測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(26) 「44」の抗HLA抗体(スクリーニング検査)は、肺移植、心移植、肝移植、膵移植、小腸移植又は腎移植後の患者に対して実施した場合に、原則として1年に1回に限り算定する。ただし、抗体関連拒絶反応を強く疑う場合等、医学的必要性がある場合には、1年に1回に限り更に算定できる。なお、この場合においては、診療録及び診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的な必要性を記載すること。

(27) 「45」の抗HLA抗体(抗体特異性同定検査)は、「44」の抗HLA抗体(スクリーニング検査)によって陽性が確認された症例について、抗体関連拒絶反応の確定診断を目的に行われた場合に算定する。ただし、抗体関連拒絶反応と診断された患者の経過観察時に行った場合には、1年に2回に限り更に算定できる。なお、この場合においては、診療録及び診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的な必要性を記載すること。

(28) 抗リン脂質抗体検査(抗カルジオリピンIgG/IgM抗体、及び抗β2グリコプロテインIIgG/IgM抗体の測定)は、「27」を準用して算定する。

ア 抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、CLIA法を用いた免疫学的検査で抗カルジオリピン抗体及び抗β2グリコプロテインⅠ抗体の測定を行った場合に、「27」抗カルジオリピン抗体の所定点数の3回分を合算した点数を準用して一連の治療につき2回に限り算定する。

イ 「25」の抗カルジオリピンβ2グリコプロテインⅠ複合体抗体、「27」の抗カルジオリピン抗体、及び(28)の検査のいずれか2つ以上を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(29) 15歳以下の小児におけるアトピー性皮膚炎の重症度評価を行うことを目的として、ELISA法により血清中のSCCA2量を測定した場合は、本区分の「35」抗デスモグレイン1抗体の所定点数を準用して、月1回を限度として算定する。ただし、本検査及び区分番号「D015」血漿しょうたん白免疫学的検査の「18」TARCを同一月中に併せて行った場合は、主たるもののみ算定する。

(30) レプチン

ア 脂肪萎縮、食欲亢進、インスリン抵抗性、糖尿病及び脂質異常症のいずれも有する患者に対して、全身性脂肪萎縮症の診断の補助を目的として、ELISA法により、血清中のレプチンを測定した場合は、本区分の「43」抗アクアポリン4抗体の所定点数を準用して、患者1人につき1回に限り算定する。

イ 本検査の実施に当たっては、関連学会が定める指針を遵守し、脂肪萎縮の発症時期及び全身性脂肪萎縮症を疑う医学的な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(31) クロウ・深瀬症候群(POEMS症候群)の診断又は診断後の経過観察の目的として、ELISA法により、血管内皮増殖因子(VEGF)を測定した場合は、本区分の「39」抗GM1IgG抗体の所定点数を準用し、月1回を限度として算定できる。

(32) 抗P/Q型電位依存性カルシウムチャネル抗体(抗P/Q型VGCC抗体)

ア ランバート・イートン筋無力症候群の診断を目的として、RIA法により、抗P/Q型電位依存性カルシウムチャネル抗体(抗P/Q型VGCC抗体)を測定した場合は、本区分の「43」抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体の所定点数を準用して算定する。

イ 本検査は、臨床症状によりランバート・イートン筋無力症候群が疑われる患者であって、反復刺激誘発筋電図検査において異常所見を認める患者を対象として実施した場合に限り算定できる。ただし、医学的な必要性から反復刺激誘発筋電図検査において異常所見を認めない患者を対象として実施する場合には、診療報酬明細書の摘要欄にその詳細な理由を記載すること。

(33) 抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、ELISA法を用いた免疫学的検査で抗カルジオリピンIgM抗体の測定を行った場合は、本区分の「27」抗カルジオリピン抗体を準用して、一連の治療につき2回に限り算定する。なお、本検査と「25」の抗カルジオリピンβ2グリコプロテインⅠ複合体抗体及び(28)の検査のいずれか2つ以上を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(34) 抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、CLEIA法を用いた免疫学的検査で抗β2グリコプロテインⅠIgG抗体の測定を行った場合は、本区分の「27」抗カルジオリピン抗体を準用して、一連の治療につき2回に限り算定する。なお、本検査と「25」の抗カルジオリピンβ2グリコプロテインⅠ複合体抗体及び(28)の検査のいずれか2つ以上を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(35) 抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、CLEIA法を用いた免疫学的検査で抗β2グリコプロテインⅠIgM抗体の測定を行った場合に、本区分の「27」抗カルジオリピン抗体を準用して、一連の治療につき2回に限り算定する。なお、本検査と「25」の抗カルジオリピンβ2グリコプロテインⅠ複合体抗体及び(28)の検査のいずれか2つ以上を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(36) 「27」の抗カルジオリピン抗体、(33)、(34)及び(35)の検査を併せて実施した場合は、主たるもの3つに限り算定する。

D015 血漿蛋白免疫学的検査

(1) 「4」の免疫グロブリンは、IgG、IgA、IgM及びIgDを測定した場合に、それぞれ所定点数を算定する。

(2) 「6」の血清アミロイドA蛋白(SAA)を「1」のC反応性蛋白(CRP)定性又は「1」のC反応性蛋白(CRP)と併せて測定した場合は、主たるもののみ算定する。

(3) 「7」のトランスフェリン(Tf)、「8」のC3及びC4は、SRID法等による。

(4) 免疫電気泳動法(抗ヒト全血清)及び免疫電気泳動法(特異抗血清)

ア 「16」の免疫電気泳動法(抗ヒト全血清)及び「23」の免疫電気泳動法(特異抗血清)については、同一検体につき一回に限り算定する。

イ 同一検体について「16」の免疫電気泳動法(抗ヒト全血清)及び「23」の免疫電気泳動法(特異抗血清)を併せて行った場合は、主たる検査の所定点数のみを算定する。

ウ 「23」の免疫電気泳動法(特異抗血清)は、免疫固定法により実施した場合にも算定できる。

(5) TARC

ア アトピー性皮膚炎の重症度評価の補助を目的として、血清中のTARC量を測定する場合は、月1回を限度として算定できる。

イ COVID―19と診断された患者(呼吸不全管理を要する中等症以上の患者を除く。)の重症化リスクの判定補助を目的として、血清中のTARC量を測定する場合は、一連の治療につき1回を限度として算定できる。

(6) 「19」のAPRスコア定性は、α1―酸性糖蛋白、ハプトグロビン及びC反応性蛋白(CRP)定性の3つを測定した場合に算定する。

(7) 「20」のアトピー鑑別試験定性は、12種類の吸入性アレルゲン(ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ、ネコ皮屑、イヌ皮屑、ギョウギシバ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、シラカンバ(属)、スギ、カンジダ、アルテルナリア)に対する特異的IgEを測定した場合に算定する。

(8) 「22」の癌胎児性フィブロネクチン定性(頸管膣分泌液)は、破水の診断のために妊娠満22週以上満37週未満の者を対象として測定した場合又は切迫早産の診断のために妊娠満22週以上満33週未満の者を対象として測定した場合のみ算定する。

(9) 「22」の癌胎児性フィブロネクチン定性(頸管膣分泌液)及び区分番号「D007」血液化学検査の「42」腟分泌液中インスリン様成長因子結合蛋白1型(IGFBP―1)定性を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(10) 免疫グロブリンL鎖κ/λ比

ア 「25」の免疫グロブリンL鎖κ/λ比はネフェロメトリー法により、高免疫グロブリン血症の鑑別のために測定した場合に算定できる。

イ 「25」の免疫グロブリンL鎖κ/λ比と「16」の免疫電気泳動法(抗ヒト全血清)又は「23」の免疫電気泳動法(特異抗血清)を同時に実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(11) 「27」の結核菌特異的インターフェロン―γ産生能は、診察又は画像診断等により結核感染が強く疑われる患者を対象として測定した場合のみ算定できる。

D016 細胞機能検査

(1) 「5」の顆粒球スクリーニング検査は、白血球墨粒貪食試験、NBT還元能検査を、「4」の顆粒球機能検査は、化学遊走物質、細菌、光化学反応を用いた検査を、「2」のT細胞サブセット検査は、免疫不全の診断目的に行う検査をいい、いずれも検査方法にかかわらず、一連として算定する。

(2) 「6」の赤血球・好中球表面抗原検査は、発作性夜間血色素尿症(PNH)の鑑別診断のため、2種類のモノクローナル抗体を用いて赤血球及び好中球の表面抗原の検索を行った場合に算定できる。

(3) 「7」のリンパ球刺激試験(LST)は、Con―A、PHA又は薬疹の被疑医薬品によるものである。

D017 排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査

(1) 排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査は、尿、糞便、喀痰、穿刺液、胃液、十二指腸液、胆汁、膿、眼分泌液、鼻腔液、咽喉液、口腔液、その他の滲出物等について細菌、原虫等の検査を行った場合に該当する。

(2) 染色の有無及び方法の如何にかかわらず、また、これら各種の方法を2以上用いた場合であっても、1回として算定する。

(3) 当該検査と区分番号「D002」の尿沈渣(鏡検法)又は区分番号「D002―2」の尿沈渣(フローサイトメトリー法)を同一日に併せて算定する場合は、当該検査に用いた検体の種類を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(4) 症状等から同一起因菌によると判断される場合であって、当該起因菌を検索する目的で異なる複数の部位又は同一部位の複数の箇所から検体を採取した場合は、主たる部位又は1箇所のみの所定点数を算定する。

D018 細菌培養同定検査

(1) 細菌培養同定検査

ア 細菌培養同定検査は、抗酸菌を除く一般細菌、真菌、原虫等を対象として培養を行い、同定検査を行うことを原則とする。

イ 同定検査を予定して培養したものであれば、菌が陰性の場合であっても「1」から「5」までの項により算定するが、あらかじめ培養により菌の有無のみを検索する場合は、検体の種類にかかわらず、「6」の簡易培養により算定する。

ウ 細菌培養同定検査は、検体ごとに「1」から「5」までの所定点数を算定できるが、同一検体を用いて簡易培養を併せて行った場合は、「6」の簡易培養は算定できない。

エ 症状等から同一起因菌によると判断される場合であって、当該起因菌を検索する目的で異なった部位から、又は同一部位の数か所から検体を採取した場合は、主たる部位又は1か所のみの所定点数を算定する。ただし、血液を2か所以上から採取した場合に限り、「3」の血液又は穿刺液を2回算定できる。この場合、「注1」及び「注2」の加算は2回算定できる。

オ 各検体別の所定点数には、定量培養を行った場合を含む。

(2) 「3」における穿刺液とは、胸水、腹水、髄液及び関節液をいい、「5」の「その他の部位からの検体」とは、「1」から「4」までに掲げる部位に含まれない全ての部位からの検体をいい、例えば、皮下からの検体をいう。

(3) 簡易培養

ア 「6」の簡易培養は、Dip―Slide法、簡易培地等を用いて簡単な培養を行うものである。

イ ウロトレース、ウリグロックスペーパー等の尿中細菌検査用試験紙による検査は、区分番号「D000」尿中一般物質定性半定量検査に含まれるものであり、別に算定できない。

(4) 嫌気性培養のみを行った場合は、「1」から「6」までの所定点数のみ算定し、「注1」の加算は算定できない。

(5) 「注2」に規定する質量分析装置加算については、入院中の患者に対して細菌培養同定検査を当該保険医療機関内で実施する際に、質量分析装置を用いて細菌の同定を行った場合に、所定点数に加算する。

D019 細菌薬剤感受性検査

(1) 細菌薬剤感受性検査は、結果として菌が検出できず実施できなかった場合においては算定しない。

(2) 「4」の薬剤耐性菌検出は、基質特異性拡張型β―ラクタメーゼ産生、メタロβ―ラクタマーゼ産生、AmpC産生等の薬剤耐性因子の有無の確認を行った場合に算定する。

(3) 「5」の抗菌薬併用効果スクリーニングは、多剤耐性グラム陰性桿菌が検出された際に、チェッカーボード法により、抗菌薬の併用効果の確認を行った場合に算定する。

D019―2 酵母様真菌薬剤感受性検査

酵母様真菌薬剤感受性検査は、深在性真菌症(カンジダ、クリプトコックスに限る。)であり、原因菌が分離できた患者に対して行った場合に限り算定する。

D020 抗酸菌分離培養検査

(1) 抗酸菌分離培養検査は、検体の採取部位が異なる場合であっても、同時に又は一連として検体を採取した場合は、1回のみ所定点数を算定する。

(2) 「1」の抗酸菌分離培養(液体培地法)は、液体培地を用いて培養を行い、酸素感受性蛍光センサー、二酸化炭素センサー又は酸化還元呈色色素を用いて検出を行った場合に算定する。

(3) 「2」の抗酸菌分離培養(それ以外のもの)は、(2)に掲げるもの以外について算定する。

(4) 抗酸菌分離培養検査は、結核患者の退院の可否を判断する目的で、患者の病状を踏まえ頻回に行われる場合においても算定できる。

D021 抗酸菌同定

抗酸菌同定は、検査方法、培地数にかかわらず、1回のみ所定点数を算定する。

D022 抗酸菌薬剤感受性検査

(1) 抗酸菌薬剤感受性検査は、直接法、間接法等の方法及び培地数にかかわらず、感受性検査を行った薬剤が4種類以上の場合に限り算定する。

(2) 混合薬剤耐性検査においても、使われた薬剤が4種類以上の場合に限り算定する。

D023 微生物核酸同定・定量検査

(1) クラミジア・トラコマチス核酸検出

ア 「2」のクラミジア・トラコマチス核酸検出と区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「27」クラミジア・トラコマチス抗原定性を併用した場合は、主なもののみ算定する。

イ クラミジア・トラコマチス核酸検出は、PCR法、LCR法、ハイブリッドキャプチャー法若しくはTMA法による同時増幅法並びにHPA法及びDKA法若しくは核酸ハイブリダイゼーション法による同時検出法、SDA法又はTRC法により、泌尿器、生殖器又は咽頭からの検体により実施した場合に限り算定できる。

(2) 淋菌核酸検出

ア 「3」の淋菌核酸検出、区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「34」淋菌抗原定性又は区分番号「D018」細菌培養同定検査(淋菌感染を疑って実施するもの)を併せて実施した場合は、主なもののみ算定する。

イ 淋菌核酸検出は、DNAプローブ法、LCR法による増幅とEIA法による検出を組み合わせた方法、PCR法による増幅と核酸ハイブリダイゼーション法による検出を組み合わせた方法、SDA法、TMA法による同時増幅法並びにHPA法及びDKA法による同時検出法又はTRC法による。淋菌核酸検出は、泌尿器、生殖器又は咽頭からの検体(尿検体を含む。)によるものである。なお、SDA法、PCR法による増幅と核酸ハイブリダイゼーション法による検出を組み合わせた方法、TMA法による同時増幅法並びにHPA法及びDKA法による同時検出法又はTRC法においては咽頭からの検体も算定できる。

(3) 「4」のHBV核酸定量は、分岐DNAプローブ法、TMA法又はPCR法による。また、B型肝炎ウイルス既感染者であって、免疫抑制剤の投与や化学療法を行っている悪性リンパ腫等の患者に対して、B型肝炎の再活性化を考慮し、「4」のHBV核酸定量を行った場合は、当該治療中及び治療終了後1年以内に限り、月1回を限度として算定できる。

(4) 淋菌及びクラミジア・トラコマチス同時核酸検出

ア 「5」の淋菌及びクラミジア・トラコマチス同時核酸検出は、クラミジア・トラコマチス感染症若しくは淋菌感染症が疑われる患者又はクラミジア・トラコマチスと淋菌による重複感染が疑われる患者であって、臨床所見、問診又はその他の検査によっては感染因子の鑑別が困難なものに対して治療法選択のために実施した場合及びクラミジア・トラコマチスと淋菌の重複感染者に対して治療効果判定に実施した場合に算定できる。

ただし、区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「34」淋菌抗原定性、同区分「27」のクラミジア・トラコマチス抗原定性、区分番号「D018」細菌培養同定検査(淋菌及びクラミジアによる感染を疑って実施するもの)、本区分「3」の淋菌核酸検出又は「2」のクラミジア・トラコマチス核酸検出を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

イ 「5」の淋菌及びクラミジア・トラコマチス同時核酸検出は、TMA法による同時増幅法並びにHPA法及びDKA法による同時検出法、PCR法による同時増幅法及び核酸ハイブリダイゼーション法による同時検出法、SDA法又はTRC法による。淋菌及びクラミジア・トラコマチス同時核酸検出は、泌尿器、生殖器又は咽頭からの検体(尿検体を含む。)によるものである。なお、TMA法による同時増幅法並びにHPA法及びDKA法による同時検出法、SDA法、PCR法による同時増幅法及び核酸ハイブリダイゼーション法による同時検出法又はTRC法においては咽頭からの検体も算定できる。

(5) 「8」のEBウイルス核酸定量は、以下のいずれかに該当する患者に対して、リアルタイムPCR法により実施した場合に算定する。

ア 臓器移植後の患者については、移植後3月以内の場合は1週に1回、移植後1年以内の場合は1月に1回に限り算定する。ただし、移植後1年以内にEBウイルス核酸定量の測定を行い、核酸量の高値が認められた患者については、移植後1年以上経過した場合も、3月に1回に限り算定できる。

イ 造血幹細胞移植後の患者であって、HLA型不一致の移植が行われた患者又は移植に伴い抗胸腺細胞グロブリンが投与された患者については、移植後3月以内の場合は1週に1回、移植後1年以内の場合は1月に1回に限り算定する。

ウ 臓器移植後の急性拒絶反応又は造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病に対して抗胸腺細胞グロブリンが投与された患者については、抗胸腺細胞グロブリンの投与開始日から起算して2月以内の場合は1週に1回、6月以内の場合は1月に1回に限り算定する。

エ 移植後リンパ増殖性疾患を疑う患者に対して、当該疾患の診断の補助又は診断された後の経過観察を目的として実施する場合に算定する。ただし、経過観察を目的とする場合は、当該疾患と診断された日から起算して1月以内の場合は1週に1回、6月以内の場合は1月に1回に限り算定する。

オ 悪性リンパ腫又は白血病の患者に対して、EBウイルス陽性の確認又は確認された後の経過観察を目的として実施する場合に算定する。ただし、経過観察を目的とする場合は、悪性リンパ腫又は白血病と診断された日から1年以内に限り、1月に1回に限り算定する。

カ 再生不良性貧血の患者であって、抗胸腺細胞グロブリンが投与された患者については、抗胸腺細胞グロブリンの投与開始日から起算して2月以内の場合は1週に1回、6月以内の場合は1月に1回に限り算定する。

キ 慢性活動性EBウイルス感染症を疑う患者に対して、当該疾患の診断の補助又は診断された後の経過観察を目的に実施された場合は、1月に1回に限り算定する。

(6) HCV核酸検出

ア 「9」のHCV核酸検出は、PCR法又はTMA法により、C型肝炎の治療方法の選択及び治療経過の観察に用いた場合にのみ算定できる。

イ 治療方法の選択の場合においては、抗体陽性であり、かつ、「13」のHCV核酸定量で検出限界を下回る者について実施した場合に算定できるものとし、治療経過の観察の場合においては、本検査と「13」のHCV核酸定量を併せて実施した場合には、いずれか一方に限り算定する。

(7) HPV核酸検出、HPV核酸検出(簡易ジェノタイプ判定)

ア 「9」のHPV核酸検出及び「10」のHPV核酸検出(簡易ジェノタイプ判定)は、予め行われた細胞診の結果、ベセスダ分類上ASC―US(意義不明異型扁平上皮)と判定された患者又は過去に子宮頸部円錐切除若しくはレーザー照射治療を行った患者に対して行った場合に限り算定できる。なお、過去に子宮頸部円錐切除又はレーザー照射治療を行った患者以外の患者については、細胞診と同時に実施した場合は算定できない。

イ 「9」のHPV核酸検出と「10」のHPV核酸検出(簡易ジェノタイプ判定)を併せて実施した場合は、主たるもの1つに限り算定する。

(8) 「10」の百日咳菌核酸検出は、関連学会が定めるガイドラインの百日咳診断基準における臨床判断例の定義を満たす患者に対して、LAMP法により測定した場合に算定できる。

(9) 「11」のインフルエンザ核酸検出は、インフルエンザの感染が疑われる重症患者のみに算定し、その場合には、当該検査が必要な理由について診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(10) 抗酸菌核酸同定

ア 「11」の抗酸菌核酸同定は、マイクロプレート・ハイブリダイゼーション法によるものをいう。

イ 当該検査は、結核患者の退院の可否を判断する目的で、患者の病状を踏まえ頻回に行われる場合においても算定できる。

(11) 「11」の結核菌群核酸検出は、核酸増幅と液相ハイブリダイゼーション法による検出を組み合わせた方法、LCR法による核酸増幅とEIA法による検出を組み合わせた方法、LAMP法又は核酸増幅とキャピラリ電気泳動分離による検出を組み合わせた方法による。

なお、結核患者の退院の可否を判断する目的で、患者の病状を踏まえ頻回に行われる場合においても算定できる。

(12) マイコバクテリウム・アビウム及びイントラセルラー(MAC)核酸検出

ア 「12」のマイコバクテリウム・アビウム及びイントラセルラー(MAC)核酸検出は、他の検査により結核菌が陰性であることが確認された場合のみに算定できる。

イ 区分番号「D021」抗酸菌同定と併せて実施された場合にあっては、主なもののみ算定する。

(13) HCV核酸定量

ア 「13」のHCV核酸定量は、分岐DNAプローブ法、PCR法又はTMA法と核酸ハイブリダイゼーション法を組み合わせた方法により、急性C型肝炎の診断、C型肝炎の治療法の選択及び治療経過の観察に用いた場合にのみ算定できる。

イ 治療経過の観察の場合において、「13」のHCV核酸定量及び「9」のHCV核酸検出を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(14) HBV核酸プレコア変異及びコアプロモーター変異検出

ア 「14」のHBV核酸プレコア変異及びコアプロモーター変異検出は、下記イ又はウに掲げる患者に対し、PCR法により測定した場合に限り算定できる。

イ B型急性肝炎患者に対しては、劇症肝炎が疑われる場合に限り、患者1人につき1回算定できる。

ウ B型慢性肝炎患者に対しては、経過観察中にALT異常値などにより肝炎増悪が疑われ、かつ、抗ウイルス薬等のB型肝炎治療薬の投与対象患者の選択のために行われた場合に限り算定できる。なお、本検査実施以降は、区分番号「D013」肝炎ウイルス関連検査のうちB型肝炎に関する検査(ただし、抗ウイルス薬等のB型肝炎治療薬の治療効果判定に用いる検査を除く。)は、算定できない。

(15) 「14」のブドウ球菌メチシリン耐性遺伝子検出は、ED―PCR法又はPCR法により、血液培養により黄色ブドウ球菌が検出された患者を対象として測定した場合又は免疫不全状態であって、MRSA感染症が強く疑われる患者を対象として測定した場合のみ算定できる。

(16) SARSコロナウイルス核酸検出

ア 「14」のSARSコロナウイルス核酸検出は、LAMP法により測定した場合に限り算定できる。

イ 本検査は、糞便又は鼻腔咽頭拭い液からの検体により行うものである。

ウ 本検査は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について」(平成18年3月8日健感発第0308001号)による臨床的特徴、届出基準によりSARS感染症の患者であることが強く疑われる者に対して行った場合に、診断の確定までの間に1回を限度として算定する。ただし、発症後10日以内に他疾患であるとの診断がつかない場合は、さらに1回に限り算定できる。

(17) SARS―CoV―2核酸検出は、国立感染症研究所が作成した「病原体検出マニュアル 2019―nCoV」に記載されたもの若しくはそれに準じたもの又は体外診断用医薬品のうち、使用目的又は効果として、SARS―CoV―2の検出(COVID―19の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID―19の患者であることが疑われる者に対しCOVID―19の診断を目的として行った場合又はCOVID―19の治療を目的として入院している者に対し退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合に限り算定できる。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。なお、検査に用いる検体については、厚生労働省の定める新型コロナウイルス感染症の検査に係る指針を参照すること。

採取した検体を、国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス 2013―2014版」に記載されたカテゴリーBの感染性物質の規定に従って、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、本区分の「14」SARSコロナウイルス核酸検出の所定点数3回分を合算した点数を準用して算定し、それ以外の場合は、本区分の「9」HCV核酸検出の所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する。なお、採取した検体を、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、検査を実施した施設名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

COVID―19の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID―19以外の診断がつかず、本検査を再度実施した場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

COVID―19の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和3年2月25日健感発0225第1号)の「第1 退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査につき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(18) HTLV―1核酸検出

「14」のHTLV―1核酸検出は、区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「50」のHTLV―Ⅰ抗体(ウエスタンブロット法及びラインブロット法)によって判定保留となった妊婦を対象として測定した場合にのみ算定する。本検査を実施した場合は、HTLV―Ⅰ抗体(ウエスタンブロット法及びラインブロット法)の判定保留を確認した年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(19) 「14」の単純疱疹ウイルス・水痘帯状疱疹ウイルス核酸定量は、免疫不全状態であって、単純疱疹ウイルス感染症又は水痘帯状疱疹ウイルス感染症が強く疑われる患者を対象としてリアルタイムPCR法により測定した場合に、一連として1回のみ算定できる。

(20) HIV―1核酸定量

ア 「15」のHIV―1核酸定量は、PCR法と核酸ハイブリダイゼーション法を組み合わせた方法又はTMA法と核酸ハイブリダイゼーション法を組み合わせた方法により、HIV感染者の経過観察に用いた場合又は区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「17」HIV―1抗体、「16」のHIV―1,2抗体定性、同半定量、HIV―1,2抗原・抗体同時測定定性、「18」のHIV―1,2抗原・抗体同時測定定量、又は「18」のHIV―1,2抗体定量が陽性の場合の確認診断に用いた場合にのみ算定する。

イ 当該検査と区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「46」HIV―1抗体(ウエスタンブロット法)を併せて実施した場合は、それぞれを算定することができる。

(21) 結核菌群リファンピシン耐性遺伝子検出、結核菌群ピラジナミド耐性遺伝子検出、結核菌群イソニアジド耐性遺伝子検出

ア 「16」の結核菌群リファンピシン耐性遺伝子検出、結核菌群ピラジナミド耐性遺伝子検出及び結核菌群イソニアジド耐性遺伝子検出は、同時に結核菌を検出した場合に限り算定する。

イ 「16」の結核菌群リファンピシン耐性遺伝子検出、結核菌群ピラジナミド耐性遺伝子検出及び結核菌群イソニアジド耐性遺伝子検出と「11」の結核菌群核酸検出を併用した場合は、主たるもののみ算定する。

ウ 当該検査は、薬剤耐性結核菌感染が疑われる患者を対象として測定した場合のみ算定できる。

(22) サイトメガロウイルス核酸検出

ア 「16」のサイトメガロウイルス核酸検出は、先天性サイトメガロウイルス感染の診断を目的として、尿を検体として等温核酸増幅法により測定した場合に、1回に限り算定できる。

イ 先天性サイトメガロウイルス感染の診断を目的として、「16」のサイトメガロウイルス核酸検出と区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「11」ウイルス抗体価(定性・半定量・定量)又は「40」グロブリンクラス別ウイルス抗体価におけるサイトメガロウイルスを対象とした検査を併せて実施した場合には、主たるもののみ算定する。

(23) ウイルス・細菌核酸多項目同時検出

ア 「17」のウイルス・細菌核酸多項目同時検出は、重症呼吸器感染症と診断された又は疑われる場合に、病原微生物の検索を目的として、マイクロアレイ法(定性)により、鼻腔咽頭拭い液中のインフルエンザウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、ヒトライノウイルス、エンテロウイルス、マイコプラズマ・ニューモニエ、クラミジア・ニューモニエ及び百日咳菌の核酸検出を同時に行った場合に、一連の治療につき1回に限り算定する。

なお、検査を実施した年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

イ 本検査は、以下のいずれかに該当する場合に算定できる。

(イ) 区分番号「A300」救命救急入院料、区分番号「A301」特定集中治療室管理料、区分番号「A301―4」小児特定集中治療室管理料、区分番号「A302」新生児特定集中治療室管理料又は区分番号「A303」総合周産期特定集中治療室管理料の「2」新生児集中治療室管理料を算定する病床で集中治療が行われた場合。

(ロ) (イ)に掲げる病床以外の病床で、(イ)に掲げる病床で行われる集中治療に準じた治療が行われた場合。なお、この場合においては、治療内容を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ウ 一連の治療期間において別に実施した以下の検査については別に算定できない。

(イ) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「4」のマイコプラズマ抗体定性

(ロ) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「4」のマイコプラズマ抗体半定量

(ハ) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「9」のクラミドフィラ・ニューモニエIgG抗体

(ニ) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「10」のクラミドフィラ・ニューモニエIgA抗体

(ホ) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「11」のウイルス抗体価(定性・半定量・定量)(1項目当たり)において算定対象として掲げられているもののうち、インフルエンザウイルスA型、インフルエンザウイルスB型、パラインフルエンザウイルスⅠ型、パラインフルエンザウイルスⅡ型、パラインフルエンザウイルスⅢ型又はRSウイルスに関する検査

(ヘ) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「12」の百日咳菌抗体定性

(ト) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「12」の百日咳菌抗体半定量

(チ) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「21」のRSウイルス抗原定性

(リ) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「22」のインフルエンザウイルス抗原定性

(ヌ) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「24」のヒトメタニューモウイルス抗原定性

(ル) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「25」のマイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)

(ヲ) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「26」のクラミドフィラ・ニューモニエIgM抗体

(ワ) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「31」のマイコプラズマ抗原定性(FA法)

(カ) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「35」のアデノウイルス抗原定性(糞便を除く。)

(ヨ) 区分番号「D012」感染症免疫学的検査「45」の百日咳菌抗体

(タ) 区分番号「D023」微生物核酸同定・定量検査「7」のマイコプラズマ核酸検出

(レ) 区分番号「D023」微生物核酸同定・定量検査「10」の百日咳菌核酸検出

(ソ) 区分番号「D023」微生物核酸同定・定量検査「11」のインフルエンザ核酸検出

(24) 細菌核酸・薬剤耐性遺伝子同時検出

ア 「18」の細菌核酸・薬剤耐性遺伝子同時検出は、敗血症が疑われる患者に対して、細菌核酸及び関連する薬剤耐性遺伝子(計15項目以上)をマイクロアレイ法により同時測定した場合に、当該疾患に対する一連の治療につき1回に限り算定できる。なお、本検査を行う場合には、関連学会が定める実施指針を遵守すること。

イ 「18」の細菌核酸・薬剤耐性遺伝子同時検出と「1」の細菌核酸検出(白血球)、「14」のブドウ球菌メチシリン耐性遺伝子検出又は区分番号「D023―2」その他の微生物学的検査「1」の黄色ブドウ球菌ペニシリン結合蛋白2'(PBP2')定性を併せて測定した場合には、主たるもののみ算定する。

ウ 本検査を実施した場合には、関連学会が定める敗血症診断基準に基づいて、敗血症を疑う根拠を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(25) HPVジェノタイプ判定

ア 「19」のHPVジェノタイプ判定は、あらかじめ行われた組織診断の結果、CIN1又はCIN2と判定された患者に対し、治療方針の決定を目的として、ハイリスク型HPVのそれぞれの有無を確認した場合に算定する。

イ 当該検査は、「9」のHPV核酸検出及び「10」のHPV核酸検出(簡易ジェノタイプ判定)の施設基準を届け出ている保険医療機関のみ算定できる。

ウ 当該検査を算定するに当たっては、あらかじめ行われた組織診断の実施日及び組織診断の結果、CIN1又はCIN2のいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

エ 同一の患者について、当該検査を2回目以降行う場合は、当該検査の前回実施日を上記に併せて記載する。

(26) 「20」のHIVジェノタイプ薬剤耐性は、抗HIV治療の選択及び再選択の目的で行った場合に、3月に1回を限度として算定できる。

(27) COVID―19の患者であることが疑われる者に対し、マイクロアレイ法(定性)により、鼻咽頭拭い液中のインフルエンザウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、ヒトライノウイルス/エンテロウイルス、マイコプラズマ・ニューモニエ、クラミジア・ニューモニエ、百日咳菌、パラ百日咳菌及びSARS―CoV―2の核酸検出(以下「ウイルス・細菌核酸多項目同時検出(SARS―CoV―2を含む。)」という。)を同時に行った場合、採取した検体を、国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス2013―2014版」に記載されたカテゴリーBの感染性物質の規定に従って、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、本区分の「14」SARSコロナウイルス核酸検出の所定点数4回分を合算した点数を準用して算定し、それ以外の場合は、同点数3回分を合算した点数を準用して算定する。なお、採取した検体を、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、検査を実施した施設名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

COVID―19の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID―19以外の診断がつかず、本検査を再度実施した場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

COVID―19の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和3年2月25日健感発0225第1号)の「第1退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査につき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

なお、ウイルス・細菌核酸多項目同時検出(SARSCoV―2を含む。)を実施した場合、本区分の「17」ウイルス・細菌核酸多項目同時検出、(23)ウに規定する検査及びSARS―CoV―2核酸検出については、別に算定できない。

(28) COVID―19の患者であることが疑われる者に対し、SARS―CoV―2及びインフルエンザウイルスの核酸検出を目的として薬事承認又は認証を得ている体外診断用医薬品を用いて、PCR法(定性)により、唾液、鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS―CoV―2及びインフルエンザウイルスの核酸検出(以下、「SARS―CoV―2・インフルエンザ核酸同時検出」という。)を同時に行った場合、採取した検体を、国立感染症研究所が作成した「感染性物質の輸送規則に関するガイダンス2013―2014版」に記載されたカテゴリーBの感染性物質の規定に従って、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、本区分の「14」SARSコロナウイルス核酸検出の所定点数3回分を合算した点数を準用して算定し、それ以外の場合は、本区分の「9」HCV核酸検出の所定点数2回分を合算した点数を準用して算定する。なお、採取した検体を、検体採取を行った保険医療機関以外の施設へ輸送し検査を委託して実施した場合は、検査を実施した施設名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

COVID―19の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID―19以外の診断がつかず、本検査を再度実施した場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

COVID―19の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的として実施した場合は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和3年2月25日健感発0225第1号)の「第1 退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査につき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

なお、SARS―CoV―2・インフルエンザ核酸同時検出を実施した場合、本区分「11」のインフルエンザ核酸検出、SARS―CoV―2核酸検出及びウイルス・細菌核酸多項目同時検出(SARS―CoV―2を含む。)については、別に算定できない。

(29) サイトメガロウイルス感染症の診断又は治療効果判定を目的として、臓器移植後若しくは造血幹細胞移植後の患者又はHIV感染者又は高度細胞性免疫不全の患者に対し、血液を検体としてリアルタイムPCR法によりサイトメガロウイルスDNAを測定した場合に、本区分の「14」単純疱疹ウイルス・水痘帯状疱疹ウイルス核酸定量の所定点数を準用して算定する。ただし、高度細胞性免疫不全の患者については、本検査が必要であった理由について、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(30) 肺炎クラミジア核酸検出

ア 肺炎クラミジア感染の診断を目的として、LAMP法により肺炎クラミジア核酸検出検査を実施した場合は、本区分の「10」百日咳菌核酸検出を準用して算定する。

イ 本検査と区分番号「D012」感染症免疫学的検査の「9」クラミドフィラ・ニューモニエIgG抗体、「10」クラミドフィラ・ニューモニエIgA抗体若しくは「26」クラミドフィラ・ニューモニエIgM抗体又は区分番号「D023」微生物核酸同定・定量検査の「17」ウイルス・細菌核酸多項目同時検出を併せて実施した場合は、主たるもののみを算定する。

D023―2 その他の微生物学的検査

(1) 黄色ブドウ球菌ペニシリン結合蛋白2'(PBP2')定性

ア 「1」の黄色ブドウ球菌ペニシリン結合蛋白2'(PBP2')定性は、LA法により実施した場合に算定する。

イ 当該検査は、血液培養により黄色ブドウ球菌が検出された患者を対象として測定した場合又は免疫不全状態であって、MRSA感染症が強く疑われる患者を対象として測定した場合のみ算定できる。

ウ 当該検査と区分番号「D023」微生物核酸同定・定量検査の「14」ブドウ球菌メチシリン耐性遺伝子検出を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(2) 「2」の尿素呼気試験(UBT)を含むヘリコバクター・ピロリ感染診断の保険診療上の取扱いについては「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日保険発第180号)に即して行うこと。

(3) 大腸菌ベロトキシン定性

ア 「3」の大腸菌ベロトキシン定性は、区分番号「D018」細菌培養同定検査により大腸菌が確認され、病原性大腸菌が疑われる患者に対して行った場合に算定する。

イ 「3」の大腸菌ベロトキシン定性のうち、細菌培養を行うことなく糞便から直接検出する方法であってELISA法によるものについては、臨床症状や流行状況から腸管出血性大腸菌感染症が強く疑われる場合に限り、区分番号「D018」細菌培養同定検査を踏まえることなく行った場合にも算定できる。

(4) クロストリジオイデス・ディフィシルのトキシンB遺伝子検出

ア 「4」のクロストリジオイデス・ディフィシルのトキシンB遺伝子検出は、以下の(イ)から(ハ)をいずれも満たす入院中の患者に対して実施した場合に限り算定する。

(イ) クロストリジオイデス・ディフィシル感染症を疑う場合であって、区分番号「D012」の「12」クロストリジオイデス・ディフィシル抗原定性において、クロストリジオイデス・ディフィシル抗原陽性かつクロストリジオイデス・ディフィシルトキシン陰性であること。

(ロ) 2歳以上でBristol Stool Scale 5以上の下痢症状があること。

(ハ) 24時間以内に3回以上、又は平常時より多い便回数があること。

イ 本検査は、関連学会の定める指針に沿って実施した場合に限り算定できる。なお、下痢症状並びに本検査を行う前のクロストリジオイデス・ディフィシル抗原及びクロストリジオイデス・ディフィシルトキシンの検査結果について診療録に記載すること。

D024 動物使用検査

従前、細菌動物検査、妊娠動物検査、トキソプラズマ症におけるマウス使用検査等動物を用いて行う検査として認められていたものについては、本区分により算定する。

D025 基本的検体検査実施料

(1) 基本的検体検査実施料は、特定機能病院である保険医療機関の入院医療において通常行われる基本的な検査について、請求の簡素化の観点から包括化して入院日数に応じた請求方法を導入したものである。

(2) 基本的検体検査実施料に含まれない検査を行った場合は、別途当該検査に係る所定点数を算定でき、当該検査が基本的検体検査判断料の対象に含まれないものであるときは、当該検査に係る検体検査判断料も併せて別途算定できる。

(3) 入院日数については、入院の都度当該入院の初日から起算し、また、退院日も算定対象とする。

(4) 外泊期間中は、入院日数に含まれない。

(5) 療養病棟、結核病棟若しくは精神病棟に入院している患者及び第1章第2部第2節に規定するHIV感染者療養環境特別加算、二類感染症患者療養環境特別加算若しくは重症者等療養環境特別加算又は同部第3節に規定する特定入院料を算定している患者については、基本的検体検査実施料は別に算定しないが、入院日数は入院の初日から数える。

(6) 1月を通じて、基本的検体検査実施料に包括されている検査項目のいずれも行われなかった場合は、当該月は本実施料は算定できない。

第2款 検体検査判断料

D026 検体検査判断料

(1) 検体検査については、実施した検査に係る検体検査実施料及び当該検査が属する区分(尿・糞便等検査判断料から微生物学的検査判断料までの7区分)に係る検体検査判断料を合算した点数を算定する。

(2) 各区分の検体検査判断料については、その区分に属する検体検査の種類及び回数にかかわらず、月1回に限り、初回検査の実施日に算定する。

(3) 実施した検査が属する区分が2以上にわたる場合は、該当する区分の判断料を合算した点数を算定できる。

(4) 同一月内において、同一患者に対して、入院及び外来の両方又は入院中に複数の診療科において検体検査を実施した場合においても、同一区分の判断料は、入院・外来又は診療科の別にかかわらず、月1回に限る。

(5) 上記の規定にかかわらず、区分番号「D000」尿中一般物質定性半定量検査を実施した場合は、当該検査に係る検体検査判断料は算定しない。

区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「15」の慢性維持透析患者外来医学管理料又は区分番号「D025」基本的検体検査実施料を算定した月と同一月に検体検査を行った場合は、それぞれの区分に包括されている検体検査に係る判断料は別に算定できない。

(6) 区分番号「D004―2」の「1」、区分番号「D006―2」から区分番号「D006―9」まで及び区分番号「D006―11」から区分番号「D006―20」までに掲げる検査に係る判断料は、遺伝子関連・染色体検査判断料により算定するものとし、尿・糞便等検査判断料又は血液学的検査判断料は算定しない。

(7) 「注4」に規定する検体検査管理加算(Ⅰ)は入院中の患者及び入院中の患者以外の患者に対し、検体検査管理加算(Ⅱ)、検体検査管理加算(Ⅲ)及び検体検査管理加算(Ⅳ)は入院中の患者に対して、検体検査を実施し検体検査判断料のいずれかを算定した場合に、患者1人につき月1回に限り加算するものであり、検体検査判断料を算定しない場合に本加算は算定できない。

また、区分番号「D027」基本的検体検査判断料の「注2」に掲げる加算を算定した場合には、本加算は算定できない。

(8) 入院中の患者について「注4」に規定する検体検査管理加算(Ⅱ)、検体検査管理加算(Ⅲ)又は検体検査管理加算(Ⅳ)を算定している保険医療機関であっても、入院中の患者以外の患者について検体検査管理加算(Ⅰ)を算定することができる。

(9) 「注6」に規定する遺伝カウンセリング加算は、臨床遺伝学に関する十分な知識を有する医師が、区分番号「D004―2」の「1」のうち、マイクロサテライト不安定性検査(リンチ症候群の診断の補助に用いる場合に限る。)、区分番号「D006―4」遺伝学的検査、区分番号「D006―18」BRCA1/2遺伝子検査又は区分番号「D006―20」角膜ジストロフィー遺伝子検査を実施する際、以下のいずれも満たした場合に算定できる。

ア 当該検査の実施前に、患者又はその家族等に対し、当該検査の目的並びに当該検査の実施によって生じうる利益及び不利益についての説明等を含めたカウンセリングを行っていること。

イ 患者又はその家族等に対し、当該検査の結果に基づいて療養上の指導を行っていること。

なお、遺伝カウンセリングの実施に当たっては、厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス」(平成29年4月)及び関係学会による「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(平成23年2月)を遵守すること。

区分番号「D006―18」BRCA1/2遺伝子検査を実施する際、BRCA1/2遺伝子検査を行った保険医療機関と遺伝カウンセリングを行った保険医療機関とが異なる場合の当該区分に係る診療報酬の請求は、BRCA1/2遺伝子検査を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。その際、遺伝カウンセリングを行った保険医療機関名と当該医療機関を受診した日付を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。また、遺伝カウンセリング加算を算定する患者については、区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「23」がん患者指導管理料の「ニ」の所定点数は算定できない。

(10) 「注7」に規定する遺伝性腫瘍カウンセリング加算は、臨床遺伝学に関する十分な知識を有する医師が、区分番号「D006―19」がんゲノムプロファイリング検査を実施する際、(9)のア及びイのいずれも満たした場合に算定できる。

なお、遺伝カウンセリングの実施に当たっては、厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス」(平成29年4月)及び関係学会による「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(平成23年2月)を遵守すること。

(11) 「注8」に規定する骨髄像診断加算は、血液疾患に関する専門の知識及び少なくとも5年以上の経験を有する医師が、当該保険医療機関内で採取された骨髄液に係る検査結果の報告書を作成した場合に、月1回に限り算定する。

(12) 「注9」に規定する免疫電気泳動法診断加算は、免疫電気泳動法の判定について少なくとも5年以上の経験を有する医師が、免疫電気泳動像を判定し、M蛋白血症等の診断に係る検査結果の報告書を作成した場合に算定する。

D027 基本的検体検査判断料

(1) 基本的検体検査判断料は、特定機能病院である保険医療機関の入院医療において通常行われる基本的な検査について、請求の簡素化の観点から、月1回の包括的な判断料を設定したものである。

(2) 基本的検体検査実施料に含まれない検査を行った場合は、当該検査が基本的検体検査判断料の対象に含まれないものであるときは、当該検査に係る検体検査判断料も併せて別途算定できる。

(3) 療養病棟、結核病棟若しくは精神病棟に入院している患者及び第1章第2部第2節に規定するHIV感染者療養環境特別加算、二類感染症患者療養環境特別加算若しくは重症者等療養環境特別加算を算定している患者については、基本的検体検査判断料は、別に算定しない。

(4) 1月を通じて、基本的検体検査実施料に包括されている検査項目のいずれも行われなかった場合は、当該月は本判断料は算定できない。

(5) 特定機能病院において、(3)に掲げる場合以外で基本的検体検査判断料を算定すべき場合は、尿・糞便等検査判断料、遺伝子関連・染色体検査判断料、血液学的検査判断料、生化学的検査(Ⅰ)判断料、免疫学的検査判断料及び微生物学的検査判断料を算定することはできず、本判断料を算定するものとする。

第2節 削除

第3節 生体検査料

1 同一月内において、同一患者に対して、入院及び外来の両方又は入院中に複数の診療科において生体検査が実施された場合であっても、同一の生体検査判断料は、月1回を限度として算定する。

2 2回目以降について所定点数の100分の90に相当する点数により算定することとされている場合において「所定点数」とは、当該項目に掲げられている点数及び当該注に掲げられている加算点数を合算した点数である。

3 同一月内に2回以上実施した場合、所定点数の100分の90に相当する点数により算定することとされている生体検査は、外来及び入院にまたがって行われた場合においても、これらを通算して2回目以降は100分の90で算定する。

4 2回目以降100分の90に相当する点数により算定することとされている場合に、新生児加算、乳幼児加算若しくは幼児加算を行う場合又は内視鏡検査の通則5に掲げる休日加算、時間外加算若しくは深夜加算を行う場合は、所定点数にそれぞれの割合を乗じた上で、端数が生じた場合には、これを四捨五入した点数により算定する。

[呼吸循環機能検査等に係る共通事項(区分番号「D200」から区分番号「D214」まで)]

(1) 2回目以降100分の90で算定する場合の「同一の検査」

区分番号「D208」心電図検査の「1」から「5」まで、区分番号「D209」負荷心電図検査の「1」及び「2」、区分番号「D210」ホルター型心電図検査の「1」及び「2」については、それぞれ同一の検査として扱う。また、準用が通知されている検査については、当該検査が準ずることとされている検査と同一の検査として扱う。

(2) 呼吸循環機能検査等に係る一般事項

ア 通則の「特に規定する場合」とは、区分番号「D208」心電図検査の「注」又は区分番号「D209」負荷心電図検査の「注1」に掲げる場合をさす。

イ 区分番号「D200」スパイログラフィー等検査から区分番号「D203」肺胞機能検査までの各検査については、特に定めのない限り、次に掲げるところによる。

a 実測値から算出される検査値については算定できない。

b 測定方法及び測定機器は限定しない。

c 負荷を行った場合は、負荷の種類及び回数にかかわらず、その前後の検査について、それぞれ1回のみ所定点数を算定する。

d 使用したガス(CO、CO2、He等)は、購入価格を10円で除して得た点数を別に算定できる。

e 喘息に対する吸入誘発試験は、負荷試験に準ずる。

(3) 肺活量計による肺活量の測定は、別に算定できない。

D200 スパイログラフィー等検査

(1) 「1」の肺気量分画測定には、予備吸気量、1回換気量及び予備呼気量の全ての実測及び実測値から算出される最大呼吸量の測定のほか、安静換気量及び最大換気量の測定が含まれる。

(2) 「1」の肺気量分画測定及び区分番号「D202」肺内ガス分布の「1」の指標ガス洗い出し検査とを同時に実施した場合には、機能的残気量測定は算定できない。

(3) 「2」のフローボリュームカーブは、曲線を描写し記録した場合にのみ算定し、強制呼出曲線の描出に係る費用を含む。また、フローボリュームカーブから計算によって求められる努力肺活量、1秒量、1秒率、MMF、PFR等は、別に算定できない。

(4) 「5」の左右別肺機能検査の所定点数には、カテーテル挿入並びに他の「1」から「4」までのスパイログラフィー等検査及び換気力学的検査の費用を含む。

(5) 体プレスチモグラフを用いる諸検査は、別に定めのない限り、「3」により算定する。

D201 換気力学的検査

「2」中のコンプライアンス測定の所定点数には、動肺コンプライアンス測定及び静肺コンプライアンス測定の双方を含む。

D204 基礎代謝測定

基礎代謝測定の所定点数には、患者に施用する窒素ガス又は酸素ガスの費用を含む。

D206 心臓カテーテル法による諸検査

(1) 心臓カテーテル検査により大動脈造影、肺動脈造影及び肺動脈閉塞試験を行った場合においても、心臓カテーテル法による諸検査により算定するものとし、血管造影等のエックス線診断の費用は、別に算定しない。

(2) 心臓カテーテル法による諸検査のようなカテーテルを用いた検査を実施した後の縫合に要する費用は、所定点数に含まれる。

(3) 「1」の右心カテーテル及び「2」の左心カテーテルを同時に行った場合であっても、「注1」、「注2」、「注3」及び「注4」の加算は1回のみに限られる。

(4) 「注3」、「注4」及び「注5」に掲げる加算は主たる加算を患者1人につき月1回に限り算定する。

(5) 心筋生検を行った場合は、区分番号「D417」組織試験採取、切採法の所定点数を併せて算定する。

(6) 循環動態解析装置を用いる冠血流予備能測定検査が、関連学会の定める指針に沿って行われた場合、「注4」に掲げる冠動脈血流予備能測定検査加算の所定点数12回分を合算した点数を準用して算定する。ただし、循環動態解析装置を用いる冠血流予備能測定検査と区分番号「E200―2」血流予備量比コンピューター断層撮影は併せて算定できない。

(7) 循環動態解析装置を用いる冠血流予備能測定検査を実施した場合、冠血流予備能測定検査に係る特定保険医療材料は算定できない。

D207 体液量等測定

(1) 体液量等測定の所定点数には、注射又は採血を伴うものについては第6部第1節第1款の注射実施料及び区分番号「D400」血液採取を含む。

(2) 「2」の皮弁血流検査は、1有茎弁につき2回までを限度として算定するものとし、使用薬剤及び注入手技料は、所定点数に含まれ、別に算定しない。

(3) 「2」の血流量測定は、電磁式によるものを含む。

(4) 「2」の電子授受式発消色性インジケーター使用皮膚表面温度測定は、皮弁形成術及び四肢の血行再建術後に、術後の血行状態を調べるために行った場合に算定する。

ただし、術後1回を限度とする。

なお、使用した電子授受式発消色性インジケーターの費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) 「2」の皮膚灌流圧測定は、2箇所以上の測定を行う場合は、一連につき2回を限度として算定する。

(6) 「4」の血管内皮機能検査を行った場合は、局所ボディプレティスモグラフ又は超音波検査等、血管内皮反応の検査方法及び部位数にかかわらず、1月に1回に限り、一連として当該区分において算定する。この際、超音波検査を用いて行った場合であっても、超音波検査の費用は算定しない。

D208 心電図検査

(1) 「1」の四肢単極誘導及び胸部誘導を含む最低12誘導は、普通、標準肢誘導(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)、単極肢誘導(aVRaVLaVF)、胸部誘導(V1、V2、V3、V4、V5、V6)の12誘導で、その他特別の場合にV7、V8、食道誘導等を行う場合もこれに含まれる。

(2) 当該保険医療機関以外の医療機関で描写したものについて診断のみを行った場合は、診断料として1回につき所定点数を算定できるが、患者が当該傷病につき当該医療機関で受診していない場合は算定できない。

(3) 当該保険医療機関以外の医療機関で描写した検査について診断を行った場合の算定については、2回目以降においても100分の90の算定としない。

(4) 「3」の携帯型発作時心電図記憶伝達装置使用心電図検査は、入院中の患者以外の患者に対して、携帯型発作時心電図記憶伝達装置を用いて発作時等の心電図を記録させた場合に、一連につき1回算定する。

(5) 「4」加算平均心電図による心室遅延電位測定

ア 心筋梗塞、心筋症、Brugada症候群等により、致死性の心室性不整脈が誘発される可能性がある患者に対し行われた場合に算定する。

イ 当該検査の実施に当たり行った他の心電図検査は、別に算定できない。

D209 負荷心電図検査

(1) 負荷心電図検査の「負荷」は、運動負荷、薬剤負荷をいい、負荷の種類及び回数によらない。

(2) 当該保険医療機関以外の医療機関で描写したものについて診断のみを行った場合は、診断料として1回につき所定点数を算定できるが、患者が当該傷病につき当該医療機関で受診していない場合は算定できない。

(3) 当該保険医療機関以外の医療機関で描写した検査について診断を行った場合の算定については、2回目以降においても100分の90の算定としない。

(4) 負荷心電図検査には、この検査を行うために一連として実施された心電図検査を含むものであり、同一日に行われた心電図検査は、別に算定できない。

D210 ホルター型心電図検査

(1) ホルター型心電図検査は、患者携帯用の記録装置を使って長時間連続して心電図記録を行った場合に算定するものであり、所定点数には、単に記録を行うだけではなく、再生及びコンピューターによる解析を行った場合の費用を含む。

(2) やむを得ず不連続に記録した場合においては、記録した時間を合算した時間により算定する。また、24時間を超えて連続して記録した場合であっても、「2」により算定する。

D210―3 植込型心電図検査

(1) 短期間に失神発作を繰り返し、その原因として不整脈が強く疑われる患者であって、心臓超音波検査及び心臓電気生理学的検査(心電図検査及びホルター型心電図検査を含む。)等によりその原因が特定できない者又は関連する学会の定める診断基準に従い、心房細動検出を目的とする植込型心電図記録計検査の適応となり得る潜因性脳梗塞と判断された者に対して、原因究明を目的として使用した場合に限り算定できる。

(2) 植込型心電図検査は、患者の皮下に植込まれた記録装置を使って長時間連続して心電図記録を行った場合に算定するものであり、所定点数には、単に記録を行うだけではなく、再生及びコンピューターによる解析を行った場合の費用を含む。

(3) 植込型心電図記録計を使用し診断を行った場合は、当該機器が植込まれた時間ではなく、心電図が記録された時間に応じて算定する。

D210―4 T波オルタナンス検査

(1) 心筋梗塞、心筋症、Brugada症候群等により、致死性の心室性不整脈が誘発される可能性がある患者に対し行われた場合に算定する。

(2) 当該検査の実施に当たり行った区分番号「D208」心電図検査、区分番号「D209」負荷心電図検査、区分番号「D210」ホルター型心電図検査及び区分番号「D211」トレッドミルによる負荷心肺機能検査、サイクルエルゴメーターによる心肺機能検査は別に算定できない。

D211 トレッドミルによる負荷心肺機能検査、サイクルエルゴメーターによる心肺機能検査

(1) トレッドミルによる負荷心肺機能検査、サイクルエルゴメーターによる心肺機能検査には、この検査を行うために一連として実施された区分番号「D208」心電図検査、区分番号「D200」スパイログラフィー等検査を含むものであり、負荷の種類及び回数にかかわらず、所定点数により算定する。

(2) 呼吸器疾患に対して施行された場合にも、所定点数を算定できる。

D211―2 喘息運動負荷試験

(1) 喘息運動負荷試験は、運動負荷前後での換気機能の変化を観察した場合に算定できる。

(2) 喘息運動負荷試験には、この検査を行うために一連として実施された区分番号「D208」心電図検査、区分番号「D200」スパイログラフィー等検査を含むものであり、負荷の種類及び回数にかかわらず、所定点数により算定する。

D211―3 時間内歩行試験

(1) 時間内歩行試験は、在宅酸素療法を施行している患者又は区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料の算定要件を満たす患者若しくは本試験により算定要件を満たすことが可能となる患者で在宅酸素療法の導入を検討している患者に対し、医師又は医師の指導管理の下に看護職員、臨床検査技師若しくは理学療法士がパルスオキシメーター等を用いて動脈血酸素飽和度を測定しながら6分間の歩行を行わせ、到達した距離、動脈血酸素飽和度及び呼吸・循環機能検査等の結果を記録し、医師が患者の運動耐容能等の評価及び治療方針の決定を行った場合に、年に4回を限度として算定する。なお、当該検査の実施に係る時間(準備や説明に要した時間を含む。)については、第7部に掲げるリハビリテーションを実施した時間に含めることはできない。

(2) 医師の指導管理の下に看護職員、臨床検査技師又は理学療法士が6分間の歩行を行わせる場合は、医師が同一建物内において当該看護職員、臨床検査技師又は理学療法士と常時連絡が取れる状態かつ緊急事態に即時的に対応できる体制であること。

(3) 以下の事項を診療録に記載すること

ア 当該検査結果の評価

イ 到達した距離、施行前後の動脈血酸素飽和度、呼吸・循環機能検査等の結果

(4) 当該検査を算定する場合にあっては、過去の実施日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

D211―4 シャトルウォーキングテスト

(1) シャトルウォーキングテストは、在宅酸素療法を施行している患者又は区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料の算定要件を満たす患者若しくは本試験により算定要件を満たすことが可能となる患者であって在宅酸素療法の導入を検討しているものに対し、医師又は医師の指導管理の下に看護職員若しくは臨床検査技師がパルスオキシメーター等を用いて動脈血酸素飽和度を測定しながら一定の距離を往復で歩行させ、歩行可能距離又は歩行持続時間、動脈血酸素飽和度及び呼吸・循環機能検査等の結果を記録し、医師が患者の運動耐容能等の評価及び治療方針の決定を行った場合に、年に4回を限度として算定する。なお、区分番号「D211―3」時間内歩行試験を併せて実施した場合には、時間内歩行試験又はシャトルウォーキングテストを合わせて年に4回を限度として算定する。

(2) 医師の指導管理の下に看護職員又は臨床検査技師がシャトルウォーキングテストを行う場合は、医師が同一建物内において当該看護職員又は臨床検査技師と常時連絡が取れる状態かつ緊急事態に即時的に対応できる体制であること。

(3) 以下の事項を診療録に記載すること。

ア 当該検査結果の評価

イ 歩行可能距離又は歩行持続時間、施行前後の動脈血酸素飽和度、呼吸・循環機能検査等の結果

(4) 当該検査を算定する場合にあっては、以下の事項を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ア 過去の実施日

イ 在宅酸素療法の実施の有無又は流量の変更を含む患者の治療方針

D212 リアルタイム解析型心電図

(1) リアルタイム解析型心電図とは、入院中の患者以外の患者に対して8時間以上心電図をモニターしながら同時に波形を解析し、異常波形発現時にのみ記録を行い得るものをいう。

(2) リアルタイム解析型心電図記録計を用いて8時間以上心電図をモニターした場合は、解析の費用を含め、一連の使用について1回として算定する。

D212―2 携帯型発作時心電図記録計使用心電図検査

心電図を2日間以上連続して記録することができる携帯型発作時心電図記録計を用いて、記録スイッチ入力前を含む心電図を記録した場合に、解析の費用を含め、一連の使用について1回として算定する。

D213 心音図検査

亜硝酸アミル吸入心音図検査の点数算定は、薬剤負荷の前後の検査をそれぞれ1回として心音図検査により算定し、亜硝酸アミルについては、区分番号「D500」薬剤により算定する。

D214 脈波図、心機図、ポリグラフ検査

(1) 脈波図については、次に掲げる検査を2以上行った場合であり、脈波曲線を描写し記録した場合に算定する。

ア 心及び肝拍動図

イ 動脈波

ウ 静脈波

エ 容積脈波

オ 指尖脈波

カ 心尖(窩)拍動図

また、心機図とは各種脈波図と心電図、心音図検査等の2以上を同時に記録し、循環機能の解析を行う検査である。

(2) 「1」から「5」までの検査数については、種目又は部位を順次変えて検査した場合であっても、一連の検査のうちの最高検査数による。

(3) 運動又は薬剤の負荷による検査を行った場合には、負荷前後の検査をそれぞれ1回の検査として算定し、複数の負荷を行った場合であっても、負荷の種類及び回数にかかわらず、所定点数の100分の200を限度として算定する。

(4) 「6」の血管伸展性検査は、描写し記録した脈波図により脈波伝達速度を求めて行うものであり、このために行った脈波図検査と併せて算定できない。

(5) 閉塞性動脈硬化症は、「6」の血管伸展性検査により算定する。

D215 超音波検査

(1) 「1」から「5」までに掲げる検査のうち2以上のものを同一月内に同一の部位について行った場合、同一月内に2回以上行った場合の算定方法の適用においては、同一の検査として扱う。

(2) 超音波検査を同一の部位に同時に2以上の方法を併用する場合は、主たる検査方法により1回として算定する。また、同一の方法による場合は、部位数にかかわらず、1回のみの算定とする。

(3) 超音波検査(「3」の「ニ」の胎児心エコー法を除く。)を算定するに当たっては、当該検査で得られた主な所見を診療録に記載すること又は検査実施者が測定値や性状等について文書に記載すること。なお、医師以外が検査を実施した場合は、その文書について医師が確認した旨を診療録に記載すること。

(4) 検査で得られた画像を診療録に添付すること。また、測定値や性状等について文書に記載した場合は、その文書を診療録に添付すること。

(5) 超音波検査の記録に要した費用(フィルム代、印画紙代、記録紙代、テープ代等)は、所定点数に含まれる。

(6) 体表には肛門、甲状腺、乳腺、表在リンパ節等を含む。

(7) 区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)を算定した日と同一日に、患家等で断層撮影法(心臓超音波検査を除く。)を行った場合は、部位にかかわらず、「2」の「イ」の訪問診療時に行った場合を月1回に限り算定する。

(8) 「2」の「ロ」の「(1)」の胸腹部を算定する場合は、検査を行った領域について診療報酬明細書の摘要欄に該当項目を記載すること。複数領域の検査を行った場合は、その全てを記載すること。また、カに該当する場合は、具体的な臓器又は領域を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ア 消化器領域

イ 腎・泌尿器領域

ウ 女性生殖器領域

エ 血管領域(大動脈・大静脈等)

オ 腹腔内・胸腔内の貯留物等

カ その他

(9) 「2」の断層撮影法(心臓超音波検査を除く。)において血管の血流診断を目的としてパルスドプラ法を併せて行った場合には、「注2」に掲げる加算を算定できる。

(10) 「3」の心臓超音波検査の所定点数には、同時に記録した心音図、脈波図、心電図及び心機図の検査の費用を含む。

(11) 「3」の心臓超音波検査の所定点数にはパルスドプラ法の費用が含まれており、別に算定できない。

(12) 「3」の心臓超音波検査以外で、断層撮影法とMモード法を併用した場合の点数算定は、「2」の「ロ」の「(1)」により算定する。

(13) 「3」の「ロ」Mモード法はMモード法のみで検査を行った場合に算定する。「3」の心臓超音波検査以外で、Mモード法のみの検査を行った場合は、「3」の「ロ」により算定する。

(14) 「3」の「ニ」の胎児心エコー法は、胎児の心疾患が強く疑われた症例に対して、循環器内科、小児科又は産婦人科の経験を5年以上有する医師(胎児心エコー法を20症例以上経験している者に限る。)が診断又は経過観察を行う場合に算定し、「注2」の胎児心エコー法診断加算は、当該検査に伴って診断を行った場合に限り算定する。その際、当該検査で得られた主な所見を診療録に記載すること。また、「4」の「イ」の胎児心音観察に係る費用は所定点数に含まれており、別に算定できない。

(15) 「3」の「ホ」の負荷心エコー法には、負荷に係る費用が含まれており、また併せて行った区分番号「D211」トレッドミルによる負荷心肺機能検査、サイクルエルゴメーターによる心肺機能検査は別に算定できない。

(16) 「4」の「イ」の末梢血管血行動態検査は、慢性動脈閉塞症の診断及び病態把握のために行った場合に算定する。

(17) 「4」の「ロ」の脳動脈血流速度連続測定とは、経頭蓋骨的に連続波又はパルスドプラを用いて、ソノグラムを記録して血流の分析を行う場合をいう。

(18) 「4」の「ハ」の脳動脈血流速度マッピング法とは、パルスドプラにより脳内動脈の描出を行う場合をいう。

(19) 「5」の血管内超音波法の算定は次の方法による。

ア 検査を実施した後の縫合に要する費用は所定点数に含まれる。

イ 本検査を、左心カテーテル検査及び右心カテーテル検査と併せて行った場合は、左心カテーテル検査及び右心カテーテル検査の所定点数に含まれる。

ウ エックス線撮影に用いられたフィルムの費用は、区分番号「E400」フィルムの所定点数により算定する。

エ 区分番号「D220」呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープの費用は、所定点数に含まれる。

(20) 「注1」における「造影剤を使用した場合」とは、静脈内注射、動脈注射又は点滴注射により造影剤を使用し検査を行った場合をいう。また、「3」の心臓超音波検査においては、心筋虚血の診断を目的とした場合に算定できる。この場合、心筋シンチグラフィーを同一月に実施した場合には主たるもののみ算定する。

D215―2 肝硬度測定

肝硬度測定は、汎用超音波画像診断装置のうち、使用目的、効能又は効果として、肝臓の硬さについて、非侵襲的に計測するものとして薬事承認又は認証を得ているものを使用し、肝硬変の患者(肝硬変が疑われる患者を含む。)に対し、肝臓の硬さを非侵襲的に測定した場合に、原則として3月に1回に限り算定する。ただし、医学的な必要性から3月に2回以上算定する場合には、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。

D215―3 超音波エラストグラフィー

(1) 超音波エラストグラフィーは、汎用超音波画像診断装置のうち、使用目的又は効果として、肝臓の硬さについて、非侵襲的に計測するものとして薬事承認又は認証を得ているものを使用し、肝硬変の患者(肝硬変が疑われる患者を含む。)に対し、肝臓の線維化の程度を非侵襲的に評価した場合に、原則として3月に1回に限り算定する。ただし、医学的な必要性から3月に2回以上算定する場合には、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。

(2) 区分番号「D215―2」に掲げる肝硬度測定について、同一の患者につき、当該検査実施日より3月以内に行われたものの費用は、原則として所定点数に含まれるものとする。ただし、医学的な必要性から別途肝硬度測定を算定する必要がある場合には、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。

D216―2 残尿測定検査

(1) 残尿測定検査は、前立腺肥大症、神経因性膀胱又は過活動膀胱の患者に対し、超音波若しくはカテーテルを用いて残尿を測定した場合に算定する。

(2) 「1」の超音波検査によるものと「2」の導尿によるものを同一日に行った場合は、主たるもののみ算定する。

D217 骨塩定量検査

(1) 骨塩定量検査は、骨粗鬆症の診断及びその経過観察の際のみ算定できる。ただし、4月に1回を限度とする。

(2) 「1」の注はDEXA法による腰椎撮影及び大腿骨撮影を同一日に行った場合にのみ算定できる。

(3) 「2」の「MD法、SEXA法等」の方法には、DEXA法(dual Energy x-Ray Absorptiometry)、単一光子吸収法(SPA:Single Photon Absorptiometry)、二重光子吸収法(DPA:Dual Photon Absorptiometry)、MD法(Microdensitometryによる骨塩定量法)、DIP法(Digital Image Processing)、SEXA法(single Energy x-Ray Absorptiometry)、単色X線光子を利用した骨塩定量装置による測定及びpQCT(peripheral Quantitative Computed Tomography)による測定がある。

(4) MD法による骨塩定量検査を行うことを目的として撮影したフィルムを用いて画像診断を併施する場合は、「2」の「MD法、SEXA法等」の所定点数又は画像診断の手技料(区分番号「E001」写真診断及び区分番号「E002」撮影)の所定点数のいずれか一方により算定する。ただし、区分番号「E400」フィルムの費用は、いずれの場合でも、手技料とは別に算定できる。

(5) REMS法(Radiofrequency Echographic Multi-spectrometry)による腰椎の骨塩定量検査を実施した場合は、本区分の「2」MD法、SEXA法等を準用して算定する。また、同一日にREMS法により大腿骨の骨塩定量検査を行った場合には、大腿骨同時検査加算として、区分番号「D216―2」残尿測定検査の「1」超音波検査によるものを準用し所定点数に加算する。

D218 分娩監視装置による諸検査

分娩監視装置による諸検査は、胎児仮死、潜在胎児仮死及び異常分娩の経過改善の目的で陣痛促進を行う場合にのみ算定できるものであり、陣痛曲線、胎児心電図及び胎児心音図を記録した場合も、所定点数に含まれる。

D219 ノンストレステスト

(1) ノンストレステストは、以下に掲げる患者に対し行われた場合に算定する。

ア 40歳以上の初産婦である患者

イ BMIが35以上の初産婦である患者

ウ 多胎妊娠の患者

エ 子宮内胎児発育不全の認められる患者

オ 子宮収縮抑制剤を使用中の患者

カ 妊娠高血圧症候群重症の患者

キ 常位胎盤早期剥離の患者

ク 前置胎盤(妊娠22週以降で出血等の症状を伴う場合に限る。)の患者

ケ 胎盤機能不全の患者

コ 羊水異常症の患者

サ 妊娠30週未満の切迫早産の患者で、子宮収縮、子宮出血、頸管の開大、短縮又は軟化のいずれかの切迫早産の兆候を示し、かつ、以下のいずれかを満たすもの

(イ) 前期破水を合併したもの

(ロ) 経腟超音波検査で子宮頸管長が20mm未満のもの

(ハ) 切迫早産の診断で他の医療機関から搬送されたもの

(ニ) 早産指数(tocolysis index)が3点以上のもの

シ 心疾患(治療中のものに限る。)の患者

ス 糖尿病(治療中のものに限る。)又は妊娠糖尿病(治療中のものに限る。)の患者

セ 甲状腺疾患(治療中のものに限る。)の患者

ソ 腎疾患(治療中のものに限る。)の患者

タ 膠原病(治療中のものに限る。)の患者

チ 特発性血小板減少性紫斑病(治療中のものに限る。)の患者

ツ 白血病(治療中のものに限る。)の患者

テ 血友病(治療中のものに限る。)の患者

ト 出血傾向(治療中のものに限る。)のある患者

ナ HIV陽性の患者

ニ Rh不適合の患者

ヌ 当該妊娠中に帝王切開術以外の開腹手術を行った患者又は行う予定のある患者

ただし、治療中のものとは、対象疾患について専門的治療が行われているものを指し、単なる経過観察のために年に数回程度通院しているのみでは算定できない。

(2) ノンストレステストは入院中の患者に対して行った場合には1週間につき3回、入院中の患者以外の患者に対して行った場合には1週間につき1回に限り算定できる。なお、1週間の計算は暦週による。

D220 呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープ

(1) 呼吸心拍監視は、重篤な心機能障害若しくは呼吸機能障害を有する患者又はそのおそれのある患者に対して、常時監視を行っている場合に算定されるものである。この際、呼吸曲線の観察の有無に関わらず、心電曲線、心拍数の観察を行った場合は、所定点数を算定する。

(2) 呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)又はカルジオタコスコープは、観察した呼吸曲線、心電曲線、心拍数のそれぞれの観察結果の要点を診療録に記載した場合に算定できる。

(3) 新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)又はカルジオタコスコープは、重篤な心機能障害若しくは呼吸機能障害を有する患者又はそのおそれのある患者に対し、心電曲線及び心拍数の観察を行っている場合に算定する。この際、呼吸曲線を同時に観察した場合の費用は所定点数に含まれる。

(4) 呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)又はカルジオタコスコープを同一日に行った場合は、主たるもののみ算定する。

(5) 診療報酬明細書の摘要欄に呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)又はカルジオタコスコープの算定開始日を記載する。

(6) 呼吸心拍監視装置等の装着を中止した後30日以内に再装着が必要となった場合の日数の起算日は、最初に呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)又はカルジオタコスコープを算定した日とする。特定入院料を算定した患者が引き続き呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)又はカルジオタコスコープを行う場合の日数の起算日についても同様とする。なお、当該検査を中止している期間についても実施日数の計算に含める。

(7) 7日を超えた場合は、検査に要した時間にかかわらず「2」の「ロ」又は「ハ」を上限として算定する。

(8) 人工呼吸を同一日に行った場合は、呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープに係る費用は区分番号「J045」人工呼吸の所定点数に含まれる。

D222 経皮的血液ガス分圧測定、血液ガス連続測定

(1) 経皮的血液ガス分圧測定は、以下のいずれかに該当する場合に算定する。

ア 循環不全及び呼吸不全があり、酸素療法を行う必要のある新生児に対して測定を行った場合。その際には、測定するガス分圧の種類にかかわらず、所定点数により算定する。ただし、出生時体重が1,000g未満又は1,000g以上1,500g未満の新生児の場合は、それぞれ90日又は60日を限度として算定する。

イ 神経筋疾患、肺胞低換気症候群(難病の患者に対する医療等に関する法律第5条第1項に規定する指定難病の患者であって、同法第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されているもの(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に限る。)又は慢性呼吸器疾患の患者に対し、NPPVの適応判定及び機器の調整を目的として経皮的に血中のPCO2を測定した場合。その際には、1入院につき2日を限度として算定できる。

(2) 血液ガス連続測定は、閉鎖循環式全身麻酔において分離肺換気を行う際に血中のPO2、PCO2及びpHの観血的連続測定を行った場合に算定できる。

D222―2 経皮的酸素ガス分圧測定(1日につき)

重症下肢血流障害が疑われる患者に対し、虚血肢の切断若しくは血行再建に係る治療方針の決定又は治療効果の判定のために経皮的に血中のPO2を測定した場合に、3月に1回に限り算定する。

D223 経皮的動脈血酸素飽和度測定

(1) 経皮的動脈血酸素飽和度測定は、次のいずれかに該当する患者に対して行った場合に算定する。

ア 呼吸不全若しくは循環不全又は術後の患者であって、酸素吸入若しくは突発性難聴に対する酸素療法を現に行っているもの又は酸素吸入若しくは突発性難聴に対する酸素療法を行う必要があるもの

イ 静脈麻酔、硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を実施中の患者に行った場合

なお、閉鎖式全身麻酔を実施した際に区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を算定した日と同一日には算定できない。

(2) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については、経皮的動脈血酸素飽和度測定の費用は算定できない。

D223―2 終夜経皮的動脈血酸素飽和度測定(一連につき)

(1) 終夜経皮的動脈血酸素飽和度測定は、睡眠時呼吸障害の疑われる患者に対して行った場合に算定し、数日間連続して測定した場合でも、一連のものとして算定する。

(2) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については、終夜経皮的動脈血酸素飽和度測定(一連につき)の費用は算定できない。

D224 終末呼気炭酸ガス濃度測定

(1) 終末呼気炭酸ガス濃度測定は、気管内挿管又は気管切開している患者であって、次のいずれかに該当する患者に対して行った場合に算定する。

ア 人工呼吸器を装着している患者

イ 自発呼吸が不十分な患者

ウ 脳外傷等換気不全が生じる可能性が非常に高いと判断される患者

(2) 閉鎖式全身麻酔を実施した際に区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を算定した日と同一日には算定できない。

D225 観血的動脈圧測定

(1) 観血的動脈圧測定は、動脈圧測定用カテーテルを挿入して測定するもの又はエラスター針等を動脈に挿入してトランスデューサーを用いて測定するものをいう。

(2) 穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は別に算定できない。

D225―2 非観血的連続血圧測定

非観血的連続血圧測定は、トノメトリー法により麻酔に伴って実施した場合に限り算定できるものとし、また、観血的動脈圧測定と同一日に実施した場合は、主たるもののみ算定する。

D225―3 24時間自由行動下血圧測定

24時間自由行動下血圧測定は、日本循環器学会、日本心臓病学会及び日本高血圧学会の承認を得た「24時間血圧計の使用(ABPM)基準に関するガイドライン」に沿って行われた場合に、1月に1回に限り算定する。

D225―4 ヘッドアップティルト試験

(1) ヘッドアップティルト試験は、患者を臥位から傾斜位の状態に起こし、傾斜位の状態に保ちながら、連続的に血圧、脈拍及び症状の推移等を測定及び観察する検査をいう。なお、単に臥位及び立位又は座位時の血圧等を測定するだけのものは当該検査に該当しない。

(2) 失神発作があり、他の原因が特定されずに神経調節性失神が疑われる患者に対して、医師が行った場合に限り算定する。

(3) 使用する薬剤の費用は所定点数に含まれる。

(4) 検査に伴い施行した心電図に係る費用は別に算定できない。

(5) 診療録に、当該検査中に測定された指標等について記載すること。

D226 中心静脈圧測定

(1) 穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は別に算定できない。

(2) 中心静脈圧測定を算定中にカテーテルの挿入手技を行った場合(手術に関連して行う場合を除く。)は、区分番号「G005―2」中心静脈注射用カテーテル挿入により算定する。

この場合において、カテーテルの挿入に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない。

D227 頭蓋内圧持続測定

穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は別に算定できない。

D228 深部体温計による深部体温測定

直腸温又は膀胱温の測定は、深部体温測定と異なるものであり、深部体温計による深部体温の測定には該当しない。

D229 前額部、胸部、手掌部又は足底部体表面体温測定による末梢循環不全状態観察

前額部、胸部、手掌部又は足底部体表面体温測定による末梢循環不全状態観察と区分番号「D228」深部体温計による深部体温測定を同一日に行った場合は、主たるもののみ算定する。

D230 観血的肺動脈圧測定

(1) 肺動脈楔入圧を持続的に測定する場合に所定点数を算定する。

(2) 測定のために右心カテーテル法により、バルーン付肺動脈カテーテルを挿入した場合には挿入日にカテーテル挿入加算を算定できる。この場合、使用したカテーテルの本数にかかわらず、一連として算定する。

(3) 観血的肺動脈圧測定と右心カテーテル法による諸検査又は中心静脈圧測定を同一日に実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(4) 左心カテーテル法による諸検査を同一日に実施した場合は別に算定できる。

(5) 穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は別に算定できない。

D231 人工膵臓検査

(1) 人工膵臓検査は、糖尿病患者の治療に際してインスリン抵抗性の評価、至適インスリン用量の決定等を目的として、血管内に留置した二重腔カテーテルから吸引した血中のグルコース値を連続して測定した場合に算定できる。

(2) 算定の対象となる患者は、次の療養が必要な糖尿病等の患者であって、医師が人工膵臓検査以外による血糖調整が困難であると認めたものである。

ア 糖尿病性腎症に対する透析時の血糖管理

イ 難治性低血糖症の治療のための血糖消費量決定

ウ インスリン抵抗性がみられる難治性糖尿病に対するインスリン感受性テスト及び血糖管理

(3) 2日以上にわたり連続して実施した場合においても、一連として1回の算定とする。

(4) 人工膵臓検査と同一日に行った血中グルコース測定は別に算定できない。

(5) 穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は別に算定できない。

D231―2 皮下連続式グルコース測定(一連につき)

(1) 糖尿病患者の治療に際してインスリン抵抗性の評価、至適インスリン用量の決定等を目的として、皮下に留置した電極から皮下組織中のグルコース値を連続して測定した場合に算定できる。

(2) 皮下連続式グルコース測定は以下に掲げる患者に対し行われた場合に算定する。また、算定した場合は、以下のいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に明記する。

ア 治療方針策定のために血糖プロファイルを必要とする1型糖尿病患者

イ 低血糖発作を繰り返す等重篤な有害事象がおきている血糖コントロールが不安定な2型糖尿病患者であって、医師の指示に従い血糖コントロールを行う意志のある者

(3) 2日以上にわたり連続して実施した場合においても、一連として1回の算定とする。

(4) 皮下連続式グルコース測定と同一日に行った血中グルコース測定に係る費用は所定点数に含まれる。

(5) 人工膵臓検査又は人工膵臓療法を同一日に行った場合は、主たるもののみ算定する。

(6) 穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は別に算定できない。

D233 直腸肛門機能検査

(1) 直腸肛門機能検査とは、次のアからオまでに掲げる検査をいう。

ア 直腸肛門内圧測定

イ 直腸感覚検査

ウ 直腸コンプライアンス検査

エ 直腸肛門反射検査

オ 排出能力検査

(2) 直腸肛門機能検査は、ヒルシュスプルング病、鎖肛、肛門括約不全、直腸肛門由来の排便障害等の直腸肛門疾患に対して行う検査をいう。

(3) 直腸肛門機能検査は、直腸肛門内圧検査用バルーン、マイクロチップ、インフューズドオープンチップ又はマイクロバルーン等を用いて実施されるものである。

D234 胃・食道内24時間pH測定

(1) 胃・食道逆流症の診断及び治療方法の選択のために実施された場合に算定する。

(2) 胃・食道内24時間pH測定に用いる測定器、基準電極、pHカテーテル、ガラス電極、保護チューブ、電解液、電極用ゼリー、pH緩衝液等の費用は、所定点数に含まれる。

(3) 胃・食道内24時間pH測定は、概ね24時間以上連続して行われるものであり、これを1回として算定する。

(4) 食道内多チャンネルインピーダンス・pH測定検査を行った場合は所定点数を算定する。

D235 脳波検査

(1) 脳波検査を算定するものは、同時に8誘導以上の記録を行った場合である。

(2) 8誘導未満の誘導数により脳波を測定した場合は、誘導数を区分番号「D214」脈波図、心機図、ポリグラフ検査の検査数と読み替えて算定するものとし、種々の賦活検査(睡眠、薬物を含む。)を行った場合も、同区分の所定点数のみにより算定する。

(3) 心臓及び脳手術中における脳波検査は、8誘導以上の場合は脳波検査により、それ以外の場合は誘導数を区分番号「D214」脈波図、心機図、ポリグラフ検査の検査数と読み替えて算定する。

D235―2 長期継続頭蓋内脳波検査

長期継続頭蓋内脳波検査は、難治性てんかんの患者に対し、硬膜下電極若しくは深部電極を用いて脳波測定を行った場合、患者1人につき14日間を限度として算定する。

D235―3 長期脳波ビデオ同時記録検査

長期脳波ビデオ同時記録検査は、難治性てんかんの患者に対し、てんかん発作型診断、局在診断(硬膜下電極又は深部電極を用いて脳波測定を行っている患者に対するものに限る。)又は手術前後に行った場合、患者1人につきそれぞれ5日間を限度として算定する。

D236 脳誘発電位検査

(1) 脳誘発電位検査は、刺激又は負荷を加えながら脳活動電位を記録し、コンピューター等により解析を行うものであり、同時に記録した脳波検査については、別に算定できない。

(2) 「3」と「4」を両方行った場合は、主たるもののみ算定する。

D236―2 光トポグラフィー

(1) 「1」脳外科手術の術前検査に使用するもの

ア 近赤外光等により、血液中のヘモグロビンの相対的な濃度、濃度変化等を計測するものとして薬事承認又は認証を得ている医療機器を使用した場合であって、下記の(イ)又は(ロ)の場合に限り、各手術前に1回のみ算定できる。

(イ) 言語野関連病変(側頭葉腫瘍等)又は正中病変における脳外科手術に当たり言語優位半球を同定する必要がある場合

(ロ) 難治性てんかんの外科的手術に当たりてんかん焦点計測を目的に行われた場合

イ 当該検査を算定するに当たっては、手術実施日又は手術実施予定日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。また、手術が行われなかった場合はその理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(2) 「2」抑うつ症状の鑑別診断の補助に使用するもの

ア 抑うつ症状を有している場合であって、下記の(イ)から(ハ)までを全て満たす患者に実施し、当該保険医療機関内に配置されている精神保健指定医が鑑別診断の補助に使用した場合に、1回に限り算定できる。また、下記の(イ)から(ハ)までを全て満たしており、かつ、症状の変化等により、再度鑑別が必要である場合であって、前回の当該検査から1年以上経過している場合は、1回に限り算定できる。

(イ) 当該保険医療機関内に配置されている神経内科医又は脳神経外科医により器質的疾患が除外されていること。

(ロ) うつ病として治療を行っている患者であって、治療抵抗性であること、統合失調症・双極性障害が疑われる症状を呈すること等により、うつ病と統合失調症又は双極性障害との鑑別が必要な患者であること。

(ハ) 近赤外光等により、血液中のヘモグロビンの相対的な濃度、濃度変化等を測定するものとして薬事承認又は認証を得ている医療機器であって、10チャンネル以上の多チャンネルにより脳血液量変化を計測可能な機器を使用すること。

イ 当該検査が必要な理由及び前回の実施日(該当する患者に限る。)を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(3) 「2」抑うつ症状の鑑別診断の補助に使用するものの「イ」地域の精神科救急医療体制を確保するために必要な協力等を行っている精神保健指定医による場合

以下のアからウまでのいずれかの要件を満たした場合に算定できる。

ア 精神科救急医療体制整備事業の常時対応型精神科救急医療施設、身体合併症対応施設、地域搬送受入対応施設又は身体合併症後方搬送対応施設であること。

イ 精神科救急医療体制整備事業の輪番対応型精神科救急医療施設又は協力施設であって、次の①又は②のいずれかに該当すること。

① 時間外、休日又は深夜における入院件数が年4件以上であること。そのうち1件以上は、精神科救急情報センター(精神科救急医療体制整備事業)、救急医療情報センター、救命救急センター、一般医療機関、都道府県(政令市の地域を含むものとする。以下、本区分に同じ。)、市町村、保健所、警察、消防(救急車)等からの依頼であること。

② 時間外、休日又は深夜における外来対応件数が年10件以上であること。なお、精神科救急情報センター(精神科救急医療体制整備事業)、救急医療情報センター、救命救急センター、一般医療機関、都道府県、市町村、保健所、警察、消防(救急車)等からの依頼の場合は、日中の対応であっても件数に含む。

ウ 当該保険医療機関の精神保健指定医が、精神科救急医療体制の確保への協力を行っており、次の①又は②のいずれかに該当すること。

① 時間外、休日又は深夜における外来対応施設(自治体等の夜間・休日急患センター等や精神科救急医療体制整備事業の常時対応型又は輪番型の外来対応施設等)での外来診療又は救急医療機関への診療協力(外来、当直又は対診)を年6回以上行うこと。(いずれも精神科医療を必要とする患者の診療を行うこと。)

② 精神保健福祉法上の精神保健指定医の公務員としての業務(措置診察等)について、都道府県に積極的に協力し、診察業務等を年1回以上行うこと。具体的には、都道府県に連絡先等を登録し、都道府県の依頼による公務員としての業務等に参画し、次のイからホまでのいずれかの診察あるいは業務を年1回以上行うこと。

イ 措置入院及び緊急措置入院時の診察

ロ 医療保護入院及び応急入院のための移送時の診察

ハ 精神医療審査会における業務

ニ 精神科病院への立入検査での診察

ホ その他都道府県の依頼による公務員としての業務

D236―3 脳磁図

(1) 「1」自発活動を測定するもの

ア てんかんの患者に対する手術部位の診断や手術方法の選択を含めた治療方針の決定のために、自発脳磁図の測定及びてんかん性異常活動の解析を行った場合に、患者1人につき1回に限り算定できる。

イ 当該検査を算定するに当たっては、手術実施日又は手術実施予定日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。また、手術が行われなかった場合はその理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ウ 当該検査の実施に当たっては、関連学会の定める実施指針に沿って検査を行うこと。

(2) 「2」その他のもの

ア 中枢神経疾患に伴う感覚障害若しくは運動障害、原発性てんかん又は続発性てんかんの鑑別診断のために行った場合に、患者1人につき1回に限り算定できる。

イ 当該検査を算定するに当たっては、当該検査の医学的な必要性及び結果の概要を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

D237 終夜睡眠ポリグラフィー

(1) 「1 携帯用装置を使用した場合」

ア 問診、身体所見又は他の検査所見から睡眠時呼吸障害が強く疑われる患者に対し、睡眠時無呼吸症候群の診断を目的として使用した場合に算定する。なお、区分番号「C107―2」在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料を算定している患者又は当該保険医療機関からの依頼により睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置を製作した歯科医療機関から検査の依頼を受けた患者については、治療の効果を判定するため、6月に1回を限度として算定できる。

イ 鼻呼吸センサー又は末梢動脈波センサー、気道音センサーによる呼吸状態及び経皮的センサーによる動脈血酸素飽和状態を終夜連続して測定した場合に算定する。この場合の区分番号「D214」脈波図、心機図、ポリグラフ検査、区分番号「D223」経皮的動脈血酸素飽和度測定及び区分番号「D223―2」終夜経皮的動脈血酸素飽和度測定の費用は所定点数に含まれる。

ウ 数日間連続して測定した場合でも、一連のものとして算定する。

エ 診療録に検査結果の要点を記載する。

(2) 「2 多点感圧センサーを有する睡眠評価装置を使用した場合」

ア 多点感圧センサーを有する睡眠評価装置を使用する場合は、パルスオキシメーターモジュールを組み合わせて行い、問診、身体所見又は他の検査所見から睡眠時呼吸障害が強く疑われる患者に対し、睡眠時無呼吸症候群の診断を目的として使用し、解析を行った場合に算定する。

イ 区分番号「C107―2」在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料を算定している患者又は当該保険医療機関からの依頼により睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置を製作した歯科医療機関から検査の依頼を受けた患者については、治療の効果を判定するため、6月に1回を限度として算定できる。

ウ 区分番号「D223」経皮的動脈血酸素飽和度測定及び区分番号「D223―2」終夜経皮的動脈血酸素飽和度測定の費用は所定点数に含まれる。

エ 数日間連続して測定した場合でも、一連のものとして算定する。

オ 診療録に検査結果の要点を記載する。

(3) 「3 1及び2以外の場合」の「イ 安全精度管理下で行うもの」

ア 次のいずれかに該当する患者等であって、安全精度管理下に当該検査を実施する医学的必要性が認められるものに該当する場合に、1月に1回を限度として算定する。なお、区分番号「C107―2」在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料を算定している患者については、治療の効果を判定するため、初回月に限り2回、翌月以後は1月に1回を限度として算定する。

なお、診療報酬明細書の摘要欄に(イ)から(ニ)までのいずれかの要件を満たす医学的根拠を記載すること。

(イ) 以下のいずれかの合併症を有する睡眠関連呼吸障害の患者

① 心疾患、神経筋疾患(脳血管障害を含む。)又は呼吸器疾患(継続的に治療を行っている場合に限る。)

② BMI35以上の肥満

③ 生活に常時介護を要する認知機能障害

(ロ) 以下のいずれかの睡眠障害の患者

① 中枢性過眠症

② パラソムニア

③ 睡眠関連運動障害

④ 睡眠中多発するてんかん発作

(ハ) 13歳未満の小児の患者

(ニ) その他、安全精度管理が医学的に必要と主治医が認める場合

イ 当該検査を実施するに当たっては、下記(イ)から(ニ)までに掲げる検査の全て(睡眠時呼吸障害の疑われない患者については(イ)のみ)を、当該患者の睡眠中8時間以上連続して当該保険医療機関内で測定し、記録すること。また、当該検査は、専ら当該検査の安全及び精度の確保を担当する医師、看護師又は臨床検査技師の下で実施することとし、原則として当該検査の実施中に他の業務を兼任しないこと。

(イ) 8極以上の脳波、眼球運動及びおとがい筋筋電図

(ロ) 鼻又は口における気流の検知

(ハ) 胸壁及び腹壁の換気運動記録

(ニ) パルスオキシメーターによる動脈血酸素飽和度連続測定

ウ 脳波等の記録速度は、毎秒1.5センチメートル以上のものを標準とする。

エ 同時に行った検査のうち、区分番号「D200」スパイログラフィー等検査から本区分「2」までに掲げるもの及び区分番号「D239」筋電図検査については、併せて算定できない。

オ 測定を開始した後、患者の覚醒等やむを得ない事情により、当該検査を途中で中絶した場合には、当該中絶までに施行した検査に類似する検査項目によって算定する。

カ 診療録に、検査結果の要点を記載し、検査中の安全精度管理に係る記録を添付するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に、安全精度管理を要した患者の診断名(疑い病名を含む。)、検査中の安全精度管理を担当した従事者の氏名、検査中の安全精度管理に係る記録及び検査結果の要点を記載又は添付すること。また、合併症を有する睡眠関連呼吸障害の患者に対して実施した場合は、当該患者の継続的な治療の内容、BMI又は日常生活の状況等の当該検査を実施する医学的な必要性についても診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(4) 「3 1及び2以外の場合」の「ロ その他のもの」

ア 他の検査により睡眠中無呼吸発作の明らかな患者に対して睡眠時無呼吸症候群の診断を目的として行った場合及び睡眠中多発するてんかん発作の患者又はうつ病若しくはナルコレプシーであって、重篤な睡眠、覚醒リズムの障害を伴うものの患者に対して行った場合に、1月に1回を限度として算定する。なお、区分番号「C107―2」在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料を算定している患者については、治療の効果を判定するため、初回月に限り2回、翌月以後は1月に1回を限度として算定できる。

当該検査を実施するに当たっては、下記(イ)から(ニ)までに掲げる検査の全て(睡眠時呼吸障害の疑われない患者については(イ)のみ)を当該患者の睡眠中8時間以上連続して測定し、記録する。

(イ) 脳波、眼球運動及びおとがい筋筋電図

(ロ) 鼻又は口における気流の検知

(ハ) 胸壁及び腹壁の換気運動記録

(ニ) パルスオキシメーターによる動脈血酸素飽和度連続測定

イ 脳波等の記録速度は、毎秒1.5センチメートル以上のものを標準とする。

ウ 同時に行った検査のうち、区分番号「D200」スパイログラフィー等検査から本区分「2」までに掲げるもの及び区分番号「D239」筋電図検査については、併せて算定できない。

エ 測定を開始した後、患者の覚醒等やむを得ない事情により、当該検査を途中で中絶した場合には、当該中絶までに施行した検査に類似する検査項目によって算定する。

オ 診療録に検査結果の要点を記載する。

D237―2 反復睡眠潜時試験(MSLT)

(1) 反復睡眠潜時試験(MSLT)は、ナルコレプシー又は特発性過眠症が強く疑われる患者に対し、診断の補助として、概ね2時間間隔で4回以上の睡眠検査を行った場合に1月に1回を限度として算定する。

(2) 関連学会より示されている指針を遵守し、適切な手順で行われた場合に限り算定できる。

(3) 本検査と区分番号「D237」終夜睡眠ポリグラフィーを併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

D238 脳波検査判断料

(1) 脳波検査判断料1は、脳波診断を担当した経験を5年以上有する医師が脳波診断を行い、その結果を文書により当該患者の診療を担当する医師に報告した場合に、月の最初の診断の日に算定する。なお、当該保険医療機関以外の施設に脳波診断を委託した場合は算定できない(「注3」の遠隔脳波診断により算定する場合を除く。)。

(2) 遠隔脳波診断を行った場合、脳波検査判断料1は、受信側の保険医療機関において、脳波診断を担当した経験を5年以上有する医師が脳波診断を行い、その結果を文書により送信側の保険医療機関における当該患者の診療を担当する医師に報告した場合に、月の最初の診断の日に算定する。この場合、当該患者の診療を担当する医師は、報告された文書又はその写しを診療録に添付すること。

(3) 遠隔脳波診断を行った場合は、送信側の保険医療機関において区分番号「D235」脳波検査及び本区分の脳波検査判断料1を算定できる。受信側の保険医療機関における診断等に係る費用については受信側、送信側の医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。

D239 筋電図検査

(1) 「1」において、顔面及び躯幹は、左右、腹背を問わずそれぞれ1肢として扱う。

(2) 「2」については、混合神経について、感覚神経及び運動神経をそれぞれ測定した場合には、それぞれを1神経として数える。また、左右の神経は、それぞれを1神経として数える。なお、横隔神経電気刺激装置の適応の判定を目的として実施する場合は、当該検査を横隔膜電極植込術前に1回に限り算定できる。

(3) 「3」については、多発性硬化症、運動ニューロン疾患等の神経系の運動障害の診断を目的として、単発若しくは二連発磁気刺激法による。検査する筋肉の種類及び部位にかかわらず、一連として所定点数により算定する。

(4) 「4」については、重症筋無力症の診断を目的として、単線維筋電図に関する所定の研修を修了した十分な経験を有する医師により、単一の運動単位の機能の評価を行った場合に、一連として所定点数により算定する。診療報酬請求に当たっては、診療報酬明細書に当該医師が所定の研修を修了していること及び当該検査に係る十分な経験を有することを証する文書並びに検査実施日、実施医療機関の名称、診断名(疑いを含む。)及び当該検査を行う医学的必要性の症状詳記を添付すること。

D239―2 電流知覚閾値測定

電流知覚閾値測定は、末梢神経障害の重症度及び治療効果の判定を目的として、神経線維を刺激することによりその電流知覚閾値を測定した場合に、検査する筋肉の種類及び部位にかかわらず、一連につき所定点数により算定する。

D239―3 神経学的検査

(1) 神経学的検査は、意識状態、言語、脳神経、運動系、感覚系、反射、協調運動、髄膜刺激症状、起立歩行等に関する総合的な検査及び診断を、成人においては「別紙様式19」の神経学的検査チャートを、小児においては「別紙様式19の2」の小児神経学的検査チャートを用いて行った場合に一連につき1回に限り算定する。

(2) 神経学的検査は、専ら神経系疾患(小児を対象とする場合も含む。)の診療を担当する医師(専ら神経系疾患の診療を担当した経験を10年以上有するものに限る。)として、地方厚生(支)局長に届け出ている医師が当該検査を行った上で、その結果を患者及びその家族等に説明した場合に限り算定する。

(3) 神経学的検査と一連のものとして実施された検査(眼振を検査した場合の区分番号「D250」平衡機能検査、眼底を検査した場合の区分番号「D255」精密眼底検査等を指す。)については、所定点数に含まれ、別に算定できない。

D239―4 全身温熱発汗試験

(1) 本検査は、多系統萎縮症、パーキンソン病、ポリニューロパチー、特発性無汗症、ホルネル症候群及びロス症候群等の患者に対し、ヨウ素デンプン反応を利用して患者の全身の発汗の有無及び発汗部位を確認した場合に、診断時に1回、治療効果判定時に1回に限り算定できる。

(2) 医師が直接監視を行うか、又は医師が同一建物内において直接監視をしている他の従事者と常時連絡が取れる状態かつ緊急事態に即時的に対応できる体制であること。

D239―5 精密知覚機能検査

精密知覚機能検査は、末梢神経断裂、縫合術後又は絞扼性神経障害の患者に対して、当該検査に関する研修を受講した者が、Semmes-Weinstein monofilament setを用いて知覚機能を定量的に測定した場合に算定できる。なお、検査の実施に当たっては、関係学会の定める診療に関する評価マニュアルを遵守すること。

D240 神経・筋負荷テスト

(1) 「1」のテンシロンテストについては、Edrophonium Chlorideを負荷して行う検査に伴う全ての検査(前後の観察及び精密眼圧測定を含む。)を含む。

(2) 「2」の瞳孔薬物負荷テストは、ホルネル症候群又はアディー症候群について行った場合に、負荷する薬剤の種類にかかわらず、一連として所定点数により算定する。

なお、使用した薬剤については、区分番号「D500」薬剤により算定する。

(3) 「3」の乏血運動負荷テストについては、血中乳酸、焦性ブドウ酸、カリウム、無機リン等の測定検査の費用及び採血料を含む。

D242 尿水力学的検査

排尿筋圧測定の目的で、膀胱内圧測定と併せて直腸内圧を測定した場合には、「1」の膀胱内圧測定と区分番号「D233」直腸肛門機能検査の「1」1項目行った場合の所定点数を併せて算定する。

また、内圧流量検査の目的で、区分番号「D242」に掲げる検査を複数行った場合には、それぞれの所定点数を算定する。

D244 自覚的聴力検査

(1) 「1」の標準純音聴力検査は、日本工業規格の診断用オージオメーターを使用し、日本聴覚医学会制定の測定方法により、気導聴力(測定周波数250、500、1,000、2,000、4,000、8,000Hz)及び骨導聴力(測定周波数250、500、1,000、2,000、4,000Hz)を両耳について測定する方法をいう。

(2) 「2」のことばのききとり検査は、難聴者の語音了解度を測定し、補聴器及び聴能訓練の効果の評価を行った場合に算定する。

(3) 「3」の簡易聴力検査とは、室内騒音が30ホーン以下の防音室で行う検査である。

(4) 「3」の簡易聴力検査のうち「イ」は、日本工業規格の診断用オージオメーターを使用して標準純音聴力検査時と同じ測定周波数について気導聴力検査のみを行った場合に算定する。

(5) 「3」の簡易聴力検査のうち「ロ」は、次に掲げるア及びイを一連として行った場合に算定する。

ア 音叉を用いる検査(ウェーバー法、リンネ法、ジュレ法を含む。)

イ オージオメーターを用いる検査(閉鎖骨導試験(耳栓骨導試験)、日本工業規格選別用オージオメーターによる気導検査を含む。)

(6) 「4」の後迷路機能検査とは、短音による検査、方向感機能検査、ひずみ語音明瞭度検査及び一過性閾値上昇検査(TTD)のうち、1種又は2種以上のものを組み合わせて行うものをいい、2種以上行った場合においても、所定点数により算定する。

(7) 「5」の内耳機能検査の所定点数は、レクルートメント検査(ABLB法)、音の強さ及び周波数の弁別域検査、SISIテスト等の内耳障害の鑑別に係る全ての検査の費用を含むものであり、検査の数にかかわらず、所定点数により算定する。

(8) 「5」の耳鳴検査は、診断用オージオメーター、自記オージオメーター又は耳鳴検査装置を用いて耳鳴同調音の検索やラウドネスの判定及び耳鳴り遮蔽検査等を行った場合に算定する。

(9) 「6」の中耳機能検査は、骨導ノイズ法、鼓膜穿孔閉鎖検査(パッチテスト)、気導聴力検査等のうち2種以上を組み合わせて行った場合にのみ算定する。

D244―2 補聴器適合検査

(1) 補聴器適合検査は、聴力像に対し電気音響的に適応と思われる補聴器を選択の上、音場での補聴器装着実耳検査を実施した場合に算定する。

(2) 植込型骨導補聴器の植え込み及び接合子付骨導端子又は骨導端子を交換した後、補聴器適合検査を実施した場合は、「2」の2回目以降により算定する。

D245 鼻腔通気度検査

鼻腔通気度検査は、当該検査に関連する手術日の前後3月以内に行った場合に算定する。

その場合は、診療報酬明細書の摘要欄に当該検査に関連する手術名及び手術日(手術前に当該検査を実施した場合においては手術実施予定日)を記載すること。

なお、手術に関係なく、睡眠時無呼吸症候群又は神経性(心因性)鼻閉症の診断の目的で行った場合にも、所定点数を算定できる。

D246 アコースティックオトスコープを用いた鼓膜音響反射率検査

アコースティックオトスコープを用いて鼓膜音響反射率検査と耳鏡検査及び鼓膜可動性検査を併せて行い、リコーダーで記録を診療録に残した場合のみ算定できる。

なお、この場合の耳鏡検査及び鼓膜可動性検査の手技料は、当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

D247 他覚的聴力検査又は行動観察による聴力検査

「5」の耳音響放射(OAE)検査の「ロ」の「その他の場合」とは、誘発耳音響放射(EOAE)及び結合音耳音響放射(DPOAE)をいう。

なお、「イ」及び「ロ」の両方を同一月中に行った場合は、「イ」の所定点数は算定できない。

D248 耳管機能測定装置を用いた耳管機能測定

耳管機能測定装置を用いた耳管機能測定において音響耳管法、耳管鼓室気流動体法又は加圧減圧法のいずれか又は複数により測定した場合に算定する。

D250 平衡機能検査

(1) 「1」の標準検査とは、上肢偏倚検査(遮眼書字検査、指示検査、上肢偏倚反応検査、上肢緊張検査等)、下肢偏倚検査(歩行検査、足ぶみ検査等)、立ちなおり検査(ゴニオメーター検査、単脚起立検査、両脚起立検査等)、自発眼振検査(正面、右、左、上、下の注視眼振検査、異常眼球運動検査、眼球運動の制限の有無及び眼位検査を含む検査)をいい、一連の検査につき、その数にかかわらず、所定点数により算定する。

(2) 「2」の刺激又は負荷を加える特殊検査とは、次に掲げるものをいい、それぞれ検査1回につき所定点数により算定する。

ア 温度眼振検査(温度による眼振検査)

イ 視運動眼振検査(電動式装置又はそれに準じた定量的方法により刺激を行う検査)

ウ 回転眼振検査(電動式装置又はそれに準じた定量的方法により刺激を行う検査)

エ 視標追跡検査

オ 迷路瘻孔症状検査

(3) 「3」の「イ」は、赤外線カメラを用い、暗視野において眼振及び眼球運動等の観察を行った場合に算定する。

(4) 「3」の「ロ」その他の場合とは、フレンツェル眼鏡下における頭位眼振及び変換眼振検査をいい、一連の検査につき、その数にかかわらず、所定点数により算定する。

(5) 頭位及び頭位変換眼振検査と併せて行った浮遊耳石置換法は、当該検査料に含まれる。

(6) 「4」の電気眼振図を区分番号「D278」眼球電位図(EOG)と併せて行った場合は、主たる検査の所定点数のみを算定する。

(7) 重心動揺計

ア 「5」の重心動揺計は、荷重変動を測定する検出器とこの荷重信号を記録・分析するデータ処理装置から成る装置を用いて、めまい・平衡障害の病巣診断のために行うものである。

本検査は、当該装置を用いて、重心動揺軌跡を記録し、その面積(外周・矩形・実効値面積)、軌跡長(総軌跡長・単位軌跡長・単位面積軌跡長)、動揺中心変位、ロンベルグ率を全て計測した場合に算定するものである。

なお、本検査は、「1」の標準検査を行った上、実施の必要が認められたものに限り算定するものである。

イ 「注」のパワー・ベクトル分析加算は、記録された重心動揺軌跡のコンピューター分析を行い、パワー・スペクトル、位置ベクトル、速度ベクトル、振幅確率密度分布を全て算出した場合に算定する。

ウ 「注」の刺激又は負荷加算は、電気刺激、視運動刺激、傾斜刺激、水平運動刺激、振動刺激等姿勢反射誘発を加えて本検査を行った場合に1種目ごとに算定する。

(8) 「5」に掲げる別の検査を行った場合には、それぞれ算定できる。

D251 音声言語医学的検査

(1) 「2」の音響分析は、種々の原因による音声障害及び発音、構音、話しことば等の障害がある患者に対して、音声パターン検査又は音声スペクトル定量検査のうちの一方又は両方を行った場合に算定する。

(2) 「3」の音声機能検査とは、嗄声等の音声障害について、発声状態の総合的分析を行う検査であり、音域検査、声の強さ測定、発声時呼吸流の測定、発声持続時間の測定を組み合わせて、それぞれ又は同時に測定するものをいい、種類及び回数にかかわらず、一連として1回算定する。

D252 扁桃マッサージ法

扁桃マッサージ法は、慢性扁桃炎に対する病巣誘発試験として行われた場合に算定する。

D253 嗅覚検査

(1) 「1」の基準嗅覚検査は、5種の基準臭(T&Tオルファクトメーター)による嗅力検査である。

(2) 「2」の静脈性嗅覚検査は、有嗅医薬品静注後の嗅感発現までの時間と嗅感の持続時間を測定するものであり、第6部第1節第1款の注射実施料は、所定点数に含まれる。

D254 電気味覚検査

(1) 電気味覚検査については、検査の対象とする支配神経領域に関係なく所定点数を一連につき1回算定する。

(2) 濾紙ディスク法による味覚定量検査は、電気味覚検査により算定する。

D255 精密眼底検査

精密眼底検査は、手持式、額帯式、固定式等の電気検眼鏡による眼底検査をいい、眼底カメラ撮影のみでは算定できない。

D255―2 汎網膜硝子体検査

増殖性網膜症、網膜硝子体界面症候群又は硝子体混濁を伴うぶどう膜炎の患者に対して、散瞳剤を使用し、細隙燈顕微鏡及び特殊レンズを用いて網膜、網膜硝子体界面及び硝子体の検査を行った場合に限り算定する。

D256 眼底カメラ撮影

(1) 眼底カメラ撮影は片側、両側の区別なく所定点数により算定する。

(2) 「通常の方法の場合」、「蛍光眼底法の場合」又は「自発蛍光撮影法の場合」のいずれか複数の検査を行った場合においては、主たる検査の所定点数により算定する。

(3) デジタル撮影とは、画像情報をデジタル処理して管理及び保存が可能な撮影方法をいう。

(4) デジタル撮影したものをフィルムへプリントアウトした場合、「ロ」のデジタル撮影を算定できるが、当該フィルムの費用は別に算定できない。

(5) 使用したフィルム及び現像の費用は、10円で除して得た点数を加算する。

(6) インスタントフィルムを使用した場合は、フィルムの費用として10円で除した点数を加算する。なお、1回当たり16点を限度とする。

(7) アナログ撮影を行ったものをデジタルに変換した場合は、「イ」のアナログ撮影を算定する。

(8) 広角眼底撮影加算は、次のいずれかに該当する場合に限り加算する。

ア 3歳未満の乳幼児であって、未熟児網膜症、網膜芽細胞腫又は網膜変性疾患が疑われる患者に対して広角眼底撮影を行った場合

イ 糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症又はコーツ病の患者に対して蛍光眼底法による観察のために広角眼底撮影を行った場合

D256―3 光干渉断層血管撮影

光干渉断層血管撮影は片側、両側の区別なく所定点数により算定する。

D257 細隙燈顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)

(1) 散瞳剤を使用し、前眼部、透光体及び網膜に対して細隙燈顕微鏡検査を行った場合には、検査の回数にかかわらず、1回に限り所定点数を算定する。

(2) 細隙燈を用いた場合であって写真診断を必要として撮影を行った場合は、使用したフィルム代等については、眼底カメラ撮影の例により算定する。

(3) 細隙燈顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)を行った後、更に必要があって生体染色を施して再検査を行った場合は、再検査1回に限り区分番号「D273」細隙燈顕微鏡検査(前眼部)により算定する。

D258 網膜電位図(ERG)

網膜電位図(ERG)は、前眼部又は中間透光体に混濁があって、眼底検査が不能の場合又は眼底疾患の場合に限り、誘導数にかかわらず、所定点数により算定する。

D258―2 網膜機能精密電気生理検査(多局所網膜電位図)

網膜機能精密電気生理検査(多局所網膜電位図)は区分番号「D258」網膜電位図(ERG)では十分な情報が得られないと医師が認めるものであって、以下に掲げる場合において算定できる。

(1) 前眼部又は中間透光体に混濁があって、眼底検査が不能な黄斑疾患が疑われる患者に対して診断を目的として行う場合(初回診断時1回、以降3月に1回に限る。)

(2) 黄斑ジストロフィーの診断を目的とした場合(初回診断時1回、以降3月に1回に限る。)

(3) 網膜手術の前後(それぞれ1回ずつに限る。)

D258―3 黄斑局所網膜電図、全視野精密網膜電図

黄斑局所網膜電図及び全視野精密網膜電図は、区分番号「D258」網膜電位図(ERG)では十分な情報が得られないと医師が認めるものであって、以下に掲げる場合において算定できる。

(1) 黄斑局所網膜電図は、黄斑ジストロフィーの診断を目的に、網膜の層別機能解析を行った場合に、患者1人につき年1回に限り算定できる。ただし、当該検査を年2回以上算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄にその医学的必要性を記載すること。

(2) 全視野精密網膜電図は、網膜色素変性疾患の鑑別と視機能の評価又は黄斑ジストロフィーの診断を目的に行った場合に、患者1人につき年1回に限り算定できる。ただし、当該検査を年2回以上算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄にその医学的必要性を記載すること。

(3) 区分番号「D258」網膜電位図(ERG)又は区分番号「D258―2」網膜機能精密電気生理検査(多局所網膜電位図)を併せて実施した場合は、主たるものの所定点数を算定する。

D259 精密視野検査

(1) 精密視野検査は、中心視野計又は周辺視野計を用いて視野の測定を行った場合に、それぞれ所定点数により算定する。

(2) 河本氏暗点計による検査及び機器を使用しない検査は、基本診療料に含まれる。

D260 量的視野検査

量的視野検査には、全視野にわたって検査する場合のほか、例えば、中心視野を特に重点的に検査する量的中心視野検査等、視野の一定部位を限定して検査する場合があるが、2つ以上の部位にわたって当該検査を同時に実施した場合においても、本区分の所定点数のみを算定する。

D261 屈折検査

(1) 屈折検査は、検眼レンズ等による自覚的屈折検定法又は検影法、レフラクトメーターによる他覚的屈折検定法をいい、両眼若しくは片眼又は検査方法の種類にかかわらず、所定点数により算定し、裸眼視力検査のみでは算定できない。

(2) 散瞳剤又は調節麻痺剤を使用してその前後の屈折の変化を検査した場合には、前後各1回を限度として所定点数を算定する。

(3) 屈折検査と区分番号「D263」矯正視力検査を併施した場合は、屈折異常の疑いがあるとして初めて検査を行った場合又は眼鏡処方箋を交付した場合に限り併せて算定できる。ただし、本区分「1」については、弱視又は不同視が疑われる場合に限り、3月に1回(散瞳剤又は調節麻痺剤を使用してその前後の屈折の変化を検査した場合には、前後各1回)に限り、区分番号「D263」矯正視力検査を併せて算定できる。

(4) 「注」に規定する加算は、「1」について、弱視又は不同視と診断された患者に対して、眼鏡処方箋の交付を行わずに矯正視力検査を実施した場合に、3月に1回(散瞳剤又は調節麻痺剤を使用してその前後の屈折の変化を検査した場合には、前後各1回)に限り、所定点数に加算する。

D262 調節検査

(1) 調節検査は、近点計等による調節力の測定をいうものであり、両眼若しくは片眼又は検査方法(調節力検査及び調節時間検査等を含む。)の種類にかかわらず、所定点数により算定する。

(2) 負荷調節検査を行った場合であって、負荷の前後に調節検査を行った場合には、所定点数の100分の200の点数を限度として算定する。

D263 矯正視力検査

眼鏡を処方する前後のレンズメーターによる眼鏡検査は、矯正視力検査に含むものとする。

D263―2 コントラスト感度検査

コントラスト感度検査は、空間周波数特性(MTF)を用いた視機能検査をいい、水晶体混濁があるにも関わらず矯正視力が良好な白内障患者であって、区分番号「K282」水晶体再建術の手術適応の判断に必要な場合に、当該手術の前後においてそれぞれ1回に限り算定する。

D264 精密眼圧測定

(1) 精密眼圧測定は、ノンコンタクトトノメーター若しくはアプラネーショントノメーターを使用する場合又はディファレンシャル・トノメトリーにより眼内圧を測定する場合(眼球壁の硬性測定検査を行った場合を含む。)をいい、検査の種類にかかわらず、所定点数により算定する。

(2) 網膜中心血管圧測定に際しての精密眼圧測定は、別に算定できない。

(3) 「注」の加算は、水分を多量に摂取させたり、薬剤の注射、点眼若しくは暗室試験等の負荷により眼圧の変化をみた場合又は眼圧計等を使用して前房水の流出率、産出量を測定した場合に、検査の種類、負荷回数にかかわらず、1回のみ所定点数により算定する。

D265―2 角膜形状解析検査

(1) 角膜形状解析検査は、初期円錐角膜などの角膜変形患者、角膜移植後の患者又は高度角膜乱視(2ジオプトリー以上)を伴う白内障患者の手術前後に行われた場合に限り算定する。

(2) 角膜移植後の患者については2か月に1回を限度として算定し、高度角膜乱視を伴う白内障患者については手術の前後各1回に限り算定する。

(3) 角膜変形患者に対して行われる場合は、コンタクトレンズ処方に伴う場合を除く。

D266 光覚検査

光覚検査とは、アダプトメーター等による光覚検査をいう。

D267 色覚検査

「2」の場合には、ランターンテスト及び定量的色盲表検査が含まれるが、色覚検査表による単なるスクリーニング検査は算定しない。

D268 眼筋機能精密検査及び輻輳検査

眼筋機能精密検査及び輻輳検査とは、マドックスによる複像検査、正切スカラによる眼位の検査、プリズムを用いた遮閉試験(交代遮閉試験)、HESS赤緑試験、輻輳近点検査及び視診での眼球運動検査(遮閉―遮閉除去試験、9方向眼位検査、固視検査、Bielschowsky頭部傾斜試験及びParksの3ステップテスト)等をいう。

D269―2 光学的眼軸長測定

光学的眼軸長測定は非接触型機器を用いて眼軸長を測定した場合に算定する。接触型Aモード法による場合は、区分番号「D215」超音波検査の「1」のAモード法により算定する。

D270―2 ロービジョン検査判断料

(1) 身体障害者福祉法別表に定める障害程度の視覚障害を有するもの(ただし身体障害者手帳の所持の有無を問わない。)に対して、眼科学的検査(D282―3を除く。)を行い、その結果を踏まえ、患者の保有視機能を評価し、それに応じた適切な視覚的補助具(補装具を含む。)の選定と、生活訓練・職業訓練を行っている施設等との連携を含め、療養上の指導管理を行った場合に限り算定する。

(2) 当該判断料は、厚生労働省主催視覚障害者用補装具適合判定医師研修会(眼鏡等適合判定医師研修会)を修了した医師が、眼科学的検査(D282―3を除く。)を行い、その結果を判断した際に、月に1回に限り算定する。

D272 両眼視機能精密検査

両眼視機能精密検査とは、Worth4灯法、赤フィルター法等による両眼単視検査をいう。

D273 細隙燈顕微鏡検査(前眼部)

(1) 細隙燈顕微鏡検査(前眼部)とは、細隙燈顕微鏡を用いて行う前眼部及び透光体の検査をいうものであり、区分番号「D257」細隙燈顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)と併せて算定できない。

(2) 細隙燈を用いた場合であって、写真診断を必要として撮影を行った場合は、使用したフィルム代等については、眼底カメラ撮影の例により算定する。

(3) 細隙燈顕微鏡検査(前眼部)を行った後、更に必要があって生体染色を施して再検査を行った場合は、再検査1回に限り算定する。

D274 前房隅角検査

前房隅角検査とは、隅角鏡を用いて行う前房隅角検査であり、緑内障等の場合に行う。

D274―2 前眼部三次元画像解析

前眼部三次元画像解析は、急性緑内障発作を疑う狭隅角眼、角膜移植術後又は外傷後毛様体剥離の患者に対して、月1回に限り算定する。

D275―2 前房水漏出検査

前房水漏出検査は、当該検査について十分な経験を有する医師により実施された場合に算定する。

D276 網膜中心血管圧測定

(1) 「1」の簡単なものとは、オフタルモ・ダイナモメーターによる網膜中心血管圧測定検査である。

(2) 「2」の複雑なものとは、キャップメーターによる網膜中心血管圧測定検査をいう。

D277 涙液分泌機能検査、涙管通水・通色素検査

涙液分泌機能検査とは、シルメル法等による涙液分泌機能検査をいう。

D278 眼球電位図(EOG)

区分番号「D250」平衡機能検査の「4」の電気眼振図と併せて行った場合は、主たる検査の所定点数のみを算定する。

D279 角膜内皮細胞顕微鏡検査

眼内手術、角膜手術における手術の適応の決定及び術後の経過観察若しくは円錐角膜又は水疱性角膜症の患者に対する角膜状態の評価の際に算定する。

D280 レーザー前房蛋白細胞数検査

レーザー前房蛋白細胞測定装置を用いて、前眼部炎症の程度を診断するために、前房内の蛋白濃度及び細胞数を測定するものである。

D281 瞳孔機能検査(電子瞳孔計使用)

視神経炎、視神経症等の求心性疾患や動眼神経麻痺、ホルネル症候群、アディー症候群、糖尿病による自律神経障害等の遠心性疾患又は変性疾患及び中毒による疾患の診断を目的として行った場合に算定できる。

D282 中心フリッカー試験

視神経疾患の診断のために行った場合に算定する。

D282―2 行動観察による視力検査

(1) PL(Preferential Looking)法

ア PL法は4歳未満の乳幼児又は通常の視力検査で視力測定ができない患者に対し、粟屋―Mohindra方式等の測定装置を用いて視力測定を行った場合に算定する。

イ テラーカード等による簡易測定は本検査には含まれない。

ウ 診療録に検査結果の要点を記載する。

(2) 乳幼児視力測定(テラーカード等によるもの)

乳幼児視力測定は、4歳未満の乳幼児又は通常の視力検査で視力測定できない患者に対し、テラーカード等による簡易視力測定を行った場合に算定し、診療録に検査結果の要点を記載する。

また、D282―2の1と併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

D282―3 コンタクトレンズ検査料

(1) コンタクトレンズの装用を目的に受診した患者(既装用者の場合を含む。以下同じ。)に対して眼科学的検査を行った場合は、コンタクトレンズ検査料「1」、「2」、「3」又は「4」により算定する。

(2) 別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たさない保険医療機関において、コンタクトレンズの装用を目的に受診した患者に対して眼科学的検査を行った場合は、コンタクトレンズ検査料「1」、「2」、「3」又は「4」の他、区分番号「D255」から区分番号「D282―2」までに掲げる眼科学的検査についても算定できない。

(3) コンタクトレンズ検査料を算定する場合においては、区分番号「A000」初診料の注9及び区分番号「A001」再診料の注7に規定する夜間・早朝等加算は算定できない。

(4) 当該保険医療機関又は当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において過去にコンタクトレンズ検査料を算定した患者に対してコンタクトレンズ検査料を算定する場合は、区分番号「A000」に掲げる初診料は算定せず、区分番号「A001」に掲げる再診料又は区分番号「A002」に掲げる外来診療料を算定する。

(5) コンタクトレンズの装用を目的に受診した患者に対して眼科学的検査を行った場合は、「1」、「2」、「3」又は「4」の所定点数を算定し、別に区分番号「D255」から区分番号「D282―2」までに掲げる眼科学的検査は別に算定できない。ただし、新たな疾患の発生(屈折異常以外の疾患の急性増悪を含む。)によりコンタクトレンズの装用を中止しコンタクトレンズの処方を行わない場合、円錐角膜、角膜変形若しくは高度不正乱視の治療を目的としてハードコンタクトレンズの処方を行った場合、9歳未満の小児に対して弱視、斜視若しくは不同視の治療を目的としてコンタクトレンズの処方を行った場合、緑内障又は高眼圧症の患者(治療計画を作成し診療録に記載するとともに、アプラネーショントノメーターによる精密眼圧測定及び精密眼底検査を実施し、視神経乳頭の所見を詳細に診療録に記載した場合に限る。)、網膜硝子体疾患若しくは視神経疾患の患者(治療計画を作成し診療録に記載するとともに、散瞳剤を使用し、汎網膜硝子体検査又は精密眼底検査、細隙燈顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)並びに眼底カメラ撮影を実施し、網膜硝子体又は視神経乳頭の所見を図示して詳細に診療録に記載した場合に限る。)、度数のない治療用コンタクトレンズを装用する患者、眼内の手術(角膜移植術を含む。)前後の患者、スティーヴンス・ジョンソン症候群又は中毒性表皮壊死症の眼後遺症に対する治療用コンタクトレンズを装用する患者等にあっては、当該点数を算定せず、区分番号「D255」から区分番号「D282―2」までに掲げる眼科学的検査により算定する。なお、この場合においても、区分番号「A000」に掲げる初診料は算定せず、区分番号「A001」に掲げる再診料又は区分番号「A002」に掲げる外来診療料を算定する。

(6) コンタクトレンズ検査料3又は4を算定する医療機関のうち、コンタクトレンズに係る診療の割合が、7.5割を超える医療機関においては、病態により個別の検査を実施する必要がある場合には、適切な治療が提供されるよう、速やかにより専門的な医療機関へ転医させるよう努めること。

D282―4 ダーモスコピー

ダーモスコピーは、悪性黒色腫、基底細胞癌、ボーエン病、色素性母斑、老人性色素斑、脂漏性角化症、エクリン汗孔腫、血管腫等の色素性皮膚病変の診断又は経過観察の目的で行った場合に、検査の回数又は部位数にかかわらず4月に1回に限り算定する。なお、新たに他の病変で検査を行う場合であって、医学的な必要性から4月に2回以上算定するときは、診療報酬明細書の摘要欄にその理由を記載することとし、この場合であっても1月に1回を限度とすること。

D283 発達及び知能検査

D284 人格検査

D285 認知機能検査その他の心理検査

(1) 検査を行うに当たっては、個人検査用として標準化され、かつ、確立された検査方法により行う。

(2) 各区分のうち「1」の「操作が容易なもの」とは、検査及び結果処理に概ね40分以上を要するもの、「2」の「操作が複雑なもの」とは、検査及び結果処理に概ね1時間以上を要するもの、「3」の「操作と処理が極めて複雑なもの」とは、検査及び結果処理に1時間30分以上要するものをいう。また、区分番号「D285」認知機能検査その他の心理検査「1」の「イ」の「簡易なもの」とは、主に疾患(疑いを含む。)の早期発見を目的とするものをいう。

なお、臨床心理・神経心理検査は、医師が自ら、又は医師の指示により他の従事者が自施設において検査及び結果処理を行い、かつ、その結果に基づき医師が自ら結果を分析した場合にのみ算定する。

(3) 医師は診療録に分析結果を記載する。

(4) 区分番号「D283」発達及び知能検査の「1」とは、津守式乳幼児精神発達検査、牛島乳幼児簡易検査、日本版ミラー幼児発達スクリーニング検査、遠城寺式乳幼児分析的発達検査、デンバー式発達スクリーニング、DAMグッドイナフ人物画知能検査、フロスティッグ視知覚発達検査、脳研式知能検査、コース立方体組み合わせテスト、レーヴン色彩マトリックス及びJARTのことをいう。

(5) 区分番号「D283」発達及び知能検査の「2」とは、MCCベビーテスト、PBTピクチュア・ブロック知能検査、新版K式発達検査、WPPSI知能診断検査、全訂版田中ビネー知能検査、田中ビネー知能検査Ⅴ、鈴木ビネー式知能検査、WISC―R知能検査、WAIS―R成人知能検査(WAISを含む。)、大脇式盲人用知能検査、ベイリー発達検査及びVineland―Ⅱ日本版のことをいう。

(6) 区分番号「D283」発達及び知能検査の「3」とは、WISC―Ⅲ知能検査、WISC―Ⅳ知能検査、WAIS―Ⅲ成人知能検査又はWAIS―Ⅳ成人知能検査のことをいう。

(7) 区分番号「D284」人格検査の「1」とは、パーソナリティイベントリー、モーズレイ性格検査、Y―G矢田部ギルフォード性格検査、TEG―Ⅱ東大式エゴグラム、新版TEG、新版TEGⅡ及びTEG3のことをいう。

(8) 区分番号「D284」人格検査の「2」とは、バウムテスト、SCT、P―Fスタディ、MMPI、TPI、EPPS性格検査、16P―F人格検査、描画テスト、ゾンディーテスト及びPILテストのことをいう。

(9) 区分番号「D284」人格検査の「3」とは、ロールシャッハテスト、CAPS、TAT絵画統覚検査及びCAT幼児児童用絵画統覚検査のことをいう。

(10) 区分番号「D285」認知機能検査その他の心理検査の「1」の「イ」の簡易なものとは、MAS不安尺度、MEDE多面的初期認知症判定検査、AQ日本語版、日本語版LSAS―J、M―CHAT、長谷川式知能評価スケール及びMMSEのことをいい、「ロ」のその他のものとは、CAS不安測定検査、SDSうつ性自己評価尺度、CES―Dうつ病(抑うつ状態)自己評価尺度、HDRSハミルトンうつ病症状評価尺度、STAI状態・特性不安検査、POMS、POMS2、IES―R、PDS、TK式診断的新親子関係検査、CMI健康調査票、GHQ精神健康評価票、ブルドン抹消検査、WHO QOL26、COGNISTAT、SIB、Coghealth(医師、看護師又は臨床心理技術者が検査に立ち会った場合に限る。)、NPI、BEHAVE―AD、音読検査(特異的読字障害を対象にしたものに限る。)、WURS、MCMI―Ⅱ、MOCI邦訳版、DES―Ⅱ、EAT―26、STAI―C状態・特性不安検査(児童用)、DSRS―C、前頭葉評価バッテリー、ストループテスト、MoCA―J及びClinical Dementia Rating(CDR)のことをいう。

(11) 区分番号「D285」認知機能検査その他の心理検査の「1」の「イ」は、原則として3月に1回に限り算定する。ただし、医学的な必要性から3月以内に2回以上算定する場合には、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。

(12) 区分番号「D285」認知機能検査その他の心理検査の「2」とは、ベントン視覚記銘検査、内田クレペリン精神検査、三宅式記銘力検査、標準言語性対連合学習検査(S―PA)、ベンダーゲシュタルトテスト、WCSTウイスコンシン・カード分類検査、SCID構造化面接法、遂行機能障害症候群の行動評価(BADS)、リバーミード行動記憶検査及びRay―Osterrieth Complex Figure Test(ROCFT)のことをいう。

(13) 区分番号「D285」認知機能検査その他の心理検査の「3」とは、ITPA、標準失語症検査、標準失語症検査補助テスト、標準高次動作性検査、標準高次視知覚検査、標準注意検査法・標準意欲評価法、WAB失語症検査、老研版失語症検査、K―ABC、K―ABCⅡ、WMS―R、ADAS、DN―CAS認知評価システム、小児自閉症評定尺度、発達障害の要支援度評価尺度(MSPA)、親面接式自閉スペクトラム症評定尺度改訂版(PARS―TR)及び子ども版解離評価表のことをいう。

(14) 国立精研式認知症スクリーニングテストの費用は、基本診療料に含まれているものであり、別に算定できない。

D286 肝及び腎のクリアランステスト

(1) 肝及び腎のクリアランステストとは、負荷後に検体採取及び検体分析を経時的若しくは連続的に行う検査である。

(2) 肝クリアランステストに該当するものは、ICG等を用いた検査であり、腎クリアランステストに該当するものは、PSP、チオ硫酸等を負荷して行うクリアランステスト、腎血漿流量測定、糸球体濾過値測定である。

(3) 肝及び腎のクリアランステストは、肝クリアランステスト又は腎クリアランステストのいずれかを実施した場合に算定できる。

(4) 「注2」の注射とは、第6部第1節第1款の注射実施料をいい、施用した薬剤の費用は、別途算定する。

D286―2 イヌリンクリアランス測定

(1) 検査に伴って行った注射、採血及び検体測定の費用は、所定点数に含まれるが、使用した薬剤は別途算定できる。

(2) 6月に1回に限り算定する。

(3) 区分番号「D286」肝及び腎のクリアランステストのうち、腎のクリアランステストと、本検査を併せて行った場合には、いずれか主たるもののみ算定する。

D287 内分泌負荷試験

(1) 各負荷試験については、測定回数及び負荷する薬剤の種類にかかわらず、一連のものとして月1回に限り所定点数を算定する。ただし、「1」の「イ」の成長ホルモンに限り、月2回まで所定点数を算定できる。

なお、「1」の下垂体前葉負荷試験及び「5」の副腎皮質負荷試験以外のものについては、測定するホルモンの種類にかかわらず、一連のものとして算定する。

(2) 内分泌負荷試験において、負荷の前後に係る血中又は尿中のホルモン等測定に際しては、測定回数、測定間隔等にかかわらず、一連のものとして扱い、当該負荷試験の項により算定するものであり、検体検査実施料における生化学的検査(Ⅰ)又は生化学的検査(Ⅱ)の項では算定できない。

(3) 「1」の下垂体前葉負荷試験に含まれるものとしては、下記のものがある。

ア 成長ホルモン(GH)については、インスリン負荷、アルギニン負荷、L―DOPA負荷、クロニジン負荷、グルカゴン負荷、プロプラノロール負荷、ブロモクリプチン負荷、睡眠負荷等

イ ゴナドトロピン(LH及びFSH)については、LH―RH負荷、クロミフェン負荷等

ウ 甲状腺刺激ホルモン(TSH)については、TRH負荷等

エ プロラクチン(PRL)については、TRH負荷、ブロモクリプチン負荷等

オ 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)については、インスリン負荷、メトピロン負荷、デキサメサゾン負荷、CRH負荷等

(4) 「2」の下垂体後葉負荷試験の抗利尿ホルモン(ADH)については、水制限、高張食塩水負荷(カーター・ロビンステスト)等が含まれる。

(5) 「3」の甲状腺負荷試験の甲状腺ホルモンについては、T3抑制等が含まれる。

(6) 「4」の副甲状腺負荷試験の副甲状腺ホルモン(PTH)については、カルシウム負荷、PTH負荷(エルスワースハワードテスト)、EDTA負荷等が含まれる。

(7) 「5」の副腎皮質負荷試験に含まれるものとしては、下記のものがある。

ア 鉱質コルチコイド(レニン、アルドステロン)については、フロセマイド負荷、アンギオテンシン負荷等

イ 糖質コルチコイド(コルチゾール、DHEA及びDHEAS)については、ACTH負荷、デキサメサゾン負荷、メトピロン負荷等

(8) 「6」の性腺負荷試験に含まれるものとしては、下記のものがある。

ア テストステロンについては、HCG負荷等

イ エストラジオールについては、HMG負荷等

(9) 「注2」の注射とは、第6部第1節第1款の注射実施料をいい、施用した薬剤の費用は、別途算定する。

(10) 本試験に伴って区分番号「D419」その他の検体採取の「5」の副腎静脈サンプリングにより採血を行った場合、その費用は別に算定できる。

D288 糖負荷試験

(1) 負荷の前後に係る血中又は尿中のホルモン等測定に際しては、測定回数、測定間隔等にかかわらず、一連のものとして扱い、当該負荷試験の項により算定するものであり、検体検査実施料における生化学的検査(Ⅰ)又は生化学的検査(Ⅱ)の項では算定できない。

(2) 「2」の耐糖能精密検査(常用負荷試験及び血中インスリン測定又は常用負荷試験及び血中C―ペプチド測定を行った場合)は、常用負荷試験及び負荷前後の血中インスリン測定又は血中C―ペプチド測定を行った場合に算定する。

(3) 乳糖を服用させて行う耐糖試験は、糖負荷試験により算定する。また、使用した薬剤は、区分番号「D500」薬剤により算定する。

(4) ブドウ糖等を1回負荷し、負荷前後の血糖値等の変動を把握する検査は、糖負荷試験の所定点数により算定する。

(5) 「注」の注射とは、第6部第1節第1款の注射実施料をいい、施用した薬剤の費用は、別途算定する。

D289 その他の機能テスト

(1) 胃液分泌刺激テスト

ア 「3」の胃液分泌刺激テストは、生体に分泌刺激物質を投与し、胃液若しくは血液を採取、分析することにより胃液分泌機能を検査するものであり、胃液分泌刺激テストに該当するものは、ガストリン刺激テスト、ヒスタログ刺激試験、Katsch―Kalk法、ヒスタミン法等である。

イ 検査に伴って行った注射、検体採取、検体測定及びエックス線透視の費用は、別に算定できない。

(2) 「3」の胆道機能テストは、十二指腸ゾンデを十二指腸乳頭部まで挿入し、胆道刺激物を投与して十二指腸液を分画採取した場合に算定する。

(3) 「4」のセクレチン試験は、十二指腸液採取用二重管を十二指腸まで挿入し、膵外分泌刺激ホルモンであるセクレチンを静脈注射し、刺激後の膵液量、重炭酸濃度及びアミラーゼ排出量を測定した場合に算定する。

ただし、セクレチン注射の手技料、測定に要する費用、血清酵素逸脱誘発試験の費用等は所定点数に含まれる。

(4) 「注」の注射とは、第6部第1節第1款の注射実施料をいい、施用した薬剤の費用は、別途算定する。

D290 卵管通気・通水・通色素検査、ルビンテスト

卵管通気・通水・通色素検査、ルビンテストの所定点数は、それぞれ両側についての点数であり、検査の種類及び回数にかかわらず、所定点数のみを算定する。

D290―2 尿失禁定量テスト(パッドテスト)

尿失禁定量テスト(パッドテスト)は、尿失禁患者において、体動時の失禁尿をパッドにより採取し、定量的な尿失禁の評価を行うものであり、1月につき1回に限り算定できる。ただし、使用されるパッドの費用は、所定点数に含まれる。

D291 皮内反応検査、ヒナルゴンテスト、鼻アレルギー誘発試験、過敏性転嫁検査、薬物光線貼布試験、最小紅斑量(MED)測定

(1) 皮内反応検査とは、ツベルクリン反応、各種アレルゲンの皮膚貼布試験(皮内テスト、スクラッチテストを含む。)等であり、ツベルクリン、アレルゲン等検査に使用した薬剤に係る費用は、区分番号「D500」薬剤により算定する。

(2) 数種のアレルゲン又は濃度の異なったアレルゲンを用いて皮内反応検査を行った場合は、それぞれにつき1箇所として所定点数を算定するものである。

(3) 薬物投与に当たり、あらかじめ皮内反応、注射等による過敏性検査を行った場合にあっては、皮内反応検査の所定点数は算定できない。

(4) 薬物光線貼布試験、最小紅斑量(MED)測定は、1照射につき1箇所として算定する。

D291―2 小児食物アレルギー負荷検査

(1) 問診及び血液検査等から、食物アレルギーが強く疑われる9歳未満の小児に対し、原因抗原の特定、耐性獲得の確認のために、食物負荷検査を実施した場合に、12月に2回を限度として算定する。

(2) 検査を行うに当たっては、食物アレルギー負荷検査の危険性、必要性、検査方法及びその他の留意事項について、患者又はその家族等に対して文書により説明の上交付するとともに、その文書の写しを診療録に添付すること。

(3) 負荷試験食の費用は所定点数に含まれる。

(4) 小児食物アレルギーの診療に当たっては、「AMED研究班による食物アレルギーの診療の手引き2017」を参考とすること。

(5) 「注2」の注射とは、第6部第1節第1款の注射実施料をいい、施用した薬剤の費用は、別途算定する。

D291―3 内服・点滴誘発試験

(1) 貼付試験、皮内反応、リンパ球幼若化検査等で診断がつかない薬疹の診断を目的とした場合であって、入院中の患者に対して被疑薬を内服若しくは点滴・静注した場合に限り算定できる。

(2) 検査を行うに当たっては、内服・点滴誘発試験の危険性、必要性、検査方法及びその他の留意事項について、患者又はその家族等に対して文書により説明の上交付するとともに、その文書の写しを診療録に添付すること。

[内視鏡検査に係る共通事項(区分番号「D295」から区分番号「D325」まで)]

(1) 本節の通則による新生児加算又は乳幼児加算を行う場合には、超音波内視鏡検査加算は、所定点数に含まないものとする。

(2) 内視鏡検査の「通則2」による算定において、区分番号「D313」大腸内視鏡検査の「1」のイ、ロ及びハについては、同一の検査として扱う。また、準用が通知されている検査については、当該検査が準ずることとされている検査と同一の検査として扱う。

(3) 通則3の当該保険医療機関以外の医療機関で撮影した内視鏡写真について診断を行った場合の点数は、区分番号「A000」に掲げる初診料(注5に規定する2つ目の診療科に係る初診料を含む。)を算定した日に限り、算定できる。

(4) 「通則5」の入院中の患者以外の患者に対する内視鏡検査(区分番号「D324」及び「D325」を除く。以下、「通則5」に係る留意事項において、「内視鏡検査」という。)の休日加算、時間外加算又は深夜加算は、次の場合に算定できる。ただし、内視鏡検査が保険医療機関又は保険医の都合により休日、時間外又は深夜に行われた場合には算定できない。

(ア) 休日加算、時間外加算又は深夜加算が算定できる初診又は再診に引き続き行われた緊急内視鏡検査の場合

(イ) 初診又は再診に引き続いて、内視鏡検査に必要不可欠な検査等を行った後速やかに内視鏡検査(休日に行うもの又はその開始時間(患者に対し直接施療した時をいう。)が診療時間以外の時間若しくは深夜であるものに限る。)を開始した場合であって、当該初診又は再診から内視鏡検査の開始時間までの間が8時間以内である場合(当該内視鏡検査の開始時間が入院手続きの後の場合を含む。)

(5) 「通則5」の入院中の患者に対する内視鏡検査の休日加算又は深夜加算は、病状の急変により、休日に緊急内視鏡検査を行った場合又は開始時間が深夜である緊急内視鏡検査を行った場合に算定できる。

ただし、内視鏡検査が保険医療機関又は保険医の都合により休日又は深夜に行われた場合には算定できない。

(6) 「通則5」の休日加算、時間外加算又は深夜加算の対象となる時間の取扱いは初診料と同様であり、区分番号「A000」初診料の注9又は区分番号「A001」再診料の注7に規定する夜間・早朝等加算を算定する場合にあっては、通則5の休日加算、時間外加算又は深夜加算は算定しない。

(7) 「通則5」の休日加算、時間外加算又は深夜加算に係る「所定点数」とは、区分番号「D295」から「D323」までに掲げられた点数及び各注による加算を合計した点数であり、内視鏡検査の通則における費用は含まない。ただし、同一の患者につき同一月において同一検査を2回以上実施した場合における2回目以降の検査である場合「所定点数」は、区分番号「D295」から「D323」までに掲げられた点数及び各注による加算を合計した点数の100分の90に相当する点数とする。

(8) 内視鏡検査に際して第2章第11部に掲げる麻酔を行った場合は、麻酔の費用を別に算定する。

(9) 内視鏡検査で麻酔手技料を別に算定できない麻酔を行った場合の薬剤料は、区分番号「D500」薬剤により算定する。

(10) 処置又は手術と同時に行った内視鏡検査は、別に算定できない。

(11) 内視鏡検査当日に、検査に関連して行う第6部第1節第1款の注射実施料は別に算定できない。

(12) 区分番号「D295」関節鏡検査から区分番号「D325」肺臓カテーテル法、肝臓カテーテル法、膵臓カテーテル法までに掲げる内視鏡検査は、次により算定する。

ア 生検用ファイバースコピーを使用して組織の採取を行った場合は、採取した組織の個数にかかわらず、1回の内視鏡検査について区分番号「D414」内視鏡下生検法に掲げる所定点数を別に算定する。

イ 互いに近接する部位の2以上のファイバースコピー検査を連続的に行った場合には、主たる検査の所定点数のみにより算定する。

ウ 内視鏡検査をエックス線透視下において行った場合にあっても、区分番号「E000」透視診断は算定しない。

エ 写真診断を行った場合は、使用フィルム代(現像料及び郵送料を含むが、書留代等は除く。)を10円で除して得た点数を加算して算定するが、区分番号「E002」撮影及び区分番号「E001」写真診断は算定しない。

オ 当該保険医療機関以外の医療機関で撮影した内視鏡写真について診断のみを行った場合は、診断料として1回につき所定点数を算定できるが、患者が当該傷病につき当該医療機関で受診していない場合は算定できない。

(13) 区分番号「D306」食道ファイバースコピー、「D308」胃・十二指腸ファイバースコピー、「D310」小腸内視鏡検査、「D312」直腸ファイバースコピー又は「D313」大腸内視鏡検査を行う際に、インジゴカルミン、メチレンブルー、トルイジンブルー、コンゴーレッド等による色素内視鏡法を行った場合は、粘膜点墨法に準じて算定する。ただし、使用される色素の費用は所定点数に含まれる。

(14) 内視鏡検査を行うに当たっては、関係学会のガイドライン等に基づき、必要な消毒及び洗浄を適切に行うこと。

(15) 鎮静下に内視鏡検査を実施する場合には、モニター等で患者の全身状態の把握を行うこと。

D296―2 鼻咽腔直達鏡検査

鼻咽腔直達鏡検査は、区分番号「D298」嗅裂部・鼻咽腔・副鼻腔入口部ファイバースコピーと同時に行った場合は算定できない。

D298 嗅裂部・鼻咽腔・副鼻腔入口部ファイバースコピー

嗅裂部・鼻咽腔・副鼻腔入口部ファイバースコピーについては、嗅裂部・鼻咽腔・副鼻腔入口部の全域にわたっての一連の検査として算定する。

D298―2 内視鏡下嚥下機能検査

(1) 内視鏡下嚥下機能検査は、嚥下機能が低下した患者に対して、喉頭内視鏡等を用いて直接観察下に着色水を嚥下させ、嚥下反射惹起のタイミング、着色水の咽頭残留及び誤嚥の程度を指標に嚥下機能を評価した場合に算定する。

(2) 内視鏡下嚥下機能検査、区分番号「D298」嗅裂部・鼻咽腔・副鼻腔入口部ファイバースコピー及び区分番号「D299」喉頭ファイバースコピーを2つ以上行った場合は、主たるもののみ算定する。

D302 気管支ファイバースコピー

「注」の気管支肺胞洗浄法検査同時加算は、肺胞蛋白症、サルコイドーシス等の診断のために気管支肺胞洗浄を行い、洗浄液を採取した場合に算定する。

D302―2 気管支カテーテル気管支肺胞洗浄法検査

(1) 気管支ファイバースコピーを使用せずに気管支肺胞洗浄用カテーテルを用いて気管支肺胞洗浄を実施した場合に算定する。

(2) 人工呼吸器使用中の患者であって、浸潤影が肺の両側において、びまん性を示すことを胸部X線画像等で確認した患者に対して、肺炎の診断に関連した培養検体採取のために実施した場合に限り算定できる。

(3) 本検査と区分番号「D302」の注の気管支肺胞洗浄法検査を同一入院期間中にそれぞれ行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。

D304 縦隔鏡検査

縦隔鏡検査は、主に胸部(肺及び縦隔)の疾病の鑑別、肺癌の転移の有無、手術適応の決定のために用いられるものをいう。

D306 食道ファイバースコピー

(1) 「注」の粘膜点墨法とは、治療範囲の決定、治療後の部位の追跡等を目的として、内視鏡直視下に無菌の墨汁を消化管壁に極少量注射して点状の目印を入れるものである。

(2) 表在性食道がんの診断のための食道ヨード染色法は、粘膜点墨法に準ずる。ただし、染色に使用されるヨードの費用は、所定点数に含まれる。

(3) 「注2」の狭帯域光強調加算は、拡大内視鏡を用いた場合であって、狭い波長帯による画像を利用した観察を行った場合に算定できる。

(4) 関連する学会の消化器内視鏡に関するガイドラインを参考に消化器内視鏡の洗浄消毒を実施していることが望ましい。

D308 胃・十二指腸ファイバースコピー

関連する学会の消化器内視鏡に関するガイドラインを参考に消化器内視鏡の洗浄消毒を実施していることが望ましい。

D309 胆道ファイバースコピー

関連する学会の消化器内視鏡に関するガイドラインを参考に消化器内視鏡の洗浄消毒を実施していることが望ましい。

D310 小腸内視鏡検査

(1) 「2」のカプセル型内視鏡によるものは、次の場合に算定する。

ア カプセル型内視鏡によるものは、消化器系の内科又は外科の経験を5年以上有する常勤の医師が1人以上配置されている場合に限り算定する。なお、カプセル型内視鏡の滞留に適切に対処できる体制が整っている保険医療機関において実施すること。

イ カプセル型内視鏡の適用対象(患者)については、薬事承認の内容に従うこと。

ウ カプセル型内視鏡を使用した患者については、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書に症状詳記を添付する。

(2) 小腸内視鏡検査は、2種類以上行った場合は、主たるもののみ算定する。ただし、「2」のカプセル型内視鏡によるものを行った後に、診断の確定又は治療を目的として「1」のバルーン内視鏡によるもの又は(4)の電動回転可能なスパイラル形状のフィンを装着した内視鏡によるものを行った場合においては、いずれの点数も算定する。

(3) 関連する学会の消化器内視鏡に関するガイドラインを参考に消化器内視鏡の洗浄消毒を実施していることが望ましい。

(4) 電動回転可能なスパイラル形状のフィンを装着した内視鏡を用いて小腸内視鏡検査を行った場合は、本区分の「1」バルーン内視鏡によるものの所定点数を準用して算定する。

D310―2 消化管通過性検査

消化管通過性検査は、消化管の狭窄又は狭小化を有する又は疑われる患者に対して、区分番号「D310」小腸内視鏡検査の「3」のカプセル型内視鏡によるものを実施する前に、カプセル型内視鏡と形・大きさが同一の造影剤入りカプセルを患者に内服させ、消化管の狭窄や狭小化を評価した場合に、一連の検査につき1回に限り算定する。また、区分番号「E001」の写真診断及び区分番号「E002」の撮影は別に算定できる。

D311 直腸鏡検査

(1) 直腸鏡検査を、区分番号「D311―2」肛門鏡検査と同時に行った場合は主たるもののみ算定する。

(2) 肛門部の観察のみを行った場合は、直腸鏡検査ではなく、区分番号「D311―2」肛門鏡検査を算定する。

(3) コロンブラッシュ法は、直腸鏡検査の所定点数に、検鏡診断料として沈渣塗抹染色による細胞診断の場合は、区分番号「N004」細胞診(1部位につき)の所定点数を、また、包埋し組織切片標本を作製し検鏡する場合は、区分番号「N000」病理組織標本作製(1臓器につき)の所定点数を併せて算定する。

D311―2 肛門鏡検査

肛門鏡検査を、区分番号「D311」直腸鏡検査と同時に行った場合は主たるもののみ算定する。

D312 直腸ファイバースコピー

関連する学会の消化器内視鏡に関するガイドラインを参考に消化器内視鏡の洗浄消毒を実施していることが望ましい。

D312―2 回腸嚢ファイバースコピー

関連する学会の消化器内視鏡に関するガイドラインを参考に消化器内視鏡の洗浄消毒を実施していることが望ましい。

D313 大腸内視鏡検査

(1) 「1」のファイバースコピーによるものについては、関連する学会の消化器内視鏡に関するガイドラインを参考に消化器内視鏡の洗浄消毒を実施していることが望ましい。

(2) 「2」のカプセル型内視鏡によるものは以下のいずれかに該当する場合に限り算定する。

ア 大腸内視鏡検査が必要であり、大腸ファイバースコピーを実施したが、腹腔内の癒着等により回盲部まで到達できなかった患者に用いた場合

イ 大腸内視鏡検査が必要であるが、腹部手術歴があり癒着が想定される場合等、器質的異常により大腸ファイバースコピーが実施困難であると判断された患者に用いた場合

ウ 大腸内視鏡検査が必要であるが、以下のいずれかに該当し、身体的負担により大腸ファイバースコピーが実施困難であると判断された患者に用いた場合

① 以下の(イ)から(ニ)のいずれかに該当する場合

(イ) 3剤の異なる降圧剤を用いても血圧コントロールが不良の高血圧症(収縮期血圧160mmHg以上)

(ロ) 慢性閉塞性肺疾患(1秒率 70%未満)

(ハ) 6か月以上の内科的治療によっても十分な効果が得られないBMIが35以上の高度肥満症の患者であって、糖尿病、高血圧症、脂質異常症又は閉塞性睡眠時無呼吸症候群のうち1つ以上を合併している患者

(ニ) 左室駆出率低下(LVEF 40%未満)

② 放射線医学的に大腸過長症と診断されており、かつ慢性便秘症で、大腸内視鏡検査が実施困難であると判断された場合。大腸過長症はS状結腸ループが腸骨稜を超えて頭側に存在、横行結腸が腸骨稜より尾側の骨盤内に存在又は肝弯曲や脾弯曲がループを描いている場合とし、慢性便秘症はRome Ⅳ基準とする。また診断根拠となった画像を診療録に添付すること。

(3) 同一の患者につき、「1」のファイバースコピーによるものと「2」のカプセル型内視鏡によるものを併せて2回以上行った場合には、主たるもののみ算定する。ただし、(2)のイに掲げる場合は、併せて2回に限り算定する。

(4) 「2」のカプセル型内視鏡によるものは、消化器系の内科又は外科の経験を5年以上有する常勤の医師が1人以上配置されている場合に限り算定する。なお、カプセル型内視鏡の滞留に適切に対処できる体制が整っている保険医療機関において実施すること。

(5) 「2」のカプセル型内視鏡により大腸内視鏡検査を実施した場合は、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書に症状詳記を添付すること。さらに、(2)のアの場合は大腸ファイバースコピーを実施した日付を明記し、(2)のイ又はウの場合は大腸ファイバースコピーが実施困難な理由を明記すること。

D314 腹腔鏡検査

(1) 人工気腹術は、腹腔鏡検査に伴って行われる場合にあっては、別に算定できない。

(2) 腹腔鏡検査を、区分番号「D315」腹腔ファイバースコピーと同時に行った場合は主たるものの所定点数を算定する。

D317 膀胱尿道ファイバースコピー

(1) 膀胱尿道ファイバースコピーは軟性膀胱鏡を用いた場合に算定する。

(2) 膀胱尿道ファイバースコピーを必要とする場合において、膀胱結石等により疼痛が甚しいとき、あるいは著しく患者の知覚過敏なとき等にキシロカインゼリーを使用した場合における薬剤料は、区分番号「D500」薬剤により算定する。

(3) 膀胱尿道ファイバースコピーにインジゴカルミンを使用した場合は、区分番号「D289」その他の機能テストの「2」の所定点数を併せて算定する。

(4) 膀胱尿道ファイバースコピーについては、前部尿道から膀胱までの一連の検査を含むものとする。

(5) 「注」の狭帯域光強調加算は、上皮内癌(CIS)と診断された患者に対し、治療方針の決定を目的に実施した場合に限り算定する。

D317―2 膀胱尿道鏡検査

(1) 膀胱尿道鏡検査は硬性膀胱鏡を用いた場合に算定する。

(2) 膀胱尿道鏡検査を必要とする場合において、膀胱結石等により疼痛が甚しいとき、あるいは著しく患者の知覚過敏なとき等にキシロカインゼリーを使用した場合における薬剤料は、区分番号「D500」薬剤により算定する。

(3) 膀胱尿道鏡検査にインジゴカルミンを使用した場合は、区分番号「D289」その他の機能テストの「2」の所定点数を併せて算定する。

(4) 膀胱尿道鏡検査については、前部尿道から膀胱までの一連の検査を含むものとする。

なお、膀胱のみ又は尿道のみの観察では所定点数は算定できない。

(5) 「注」の狭帯域光強調加算は、上皮内癌(CIS)と診断された患者に対し、治療方針の決定を目的に実施した場合に限り算定する。

D318 尿管カテーテル法(両側)

尿管カテーテル法は、ファイバースコープを用いて尿管の通過障害、結石、腫瘍等の検索を行った場合に算定できるもので、同時に行う区分番号「D317」膀胱尿道ファイバースコピー及び区分番号「D317―2」膀胱尿道鏡検査を含む。

なお、ファイバースコープ以外の膀胱鏡による場合には算定できない。

D319 腎盂尿管ファイバースコピー(片側)

腎盂尿管ファイバースコピーの所定点数には、ファイバースコープを用いた前部尿道から腎盂までの一連の検査を含む。

D320 ヒステロスコピー

ヒステロスコピーに際して、子宮腔内の出血により子宮鏡検査が困難なため、子宮鏡検査時の腔内灌流液を使用した場合における薬剤料は、区分番号「D500」薬剤により算定する。ただし、注入手技料は算定しない。

D324 血管内視鏡検査

区分番号「D220」呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープの費用は、所定点数に含まれる。

D325 肺臓カテーテル法、肝臓カテーテル法、膵臓カテーテル法

(1) 造影剤を使用した場合においても、血管造影等のエックス線診断の費用は、別に算定しない。

(2) 検査を実施した後の縫合に要する費用は、所定点数に含まれる。

第4節 診断穿刺・検体採取料

1 各部位の穿刺・針生検においては、同一部位において2か所以上行った場合にも、所定点数のみの算定とする。

2 診断穿刺・検体採取後の創傷処置については、区分番号「J000」創傷処置における手術後の患者に対するものとして翌日より算定できる。

3 同一日に実施された下記に掲げる穿刺と同一の処置としての穿刺については、いずれか一方のみ算定する。

(1) 脳室穿刺

(2) 後頭下穿刺

(3) 腰椎穿刺、胸椎穿刺又は頸椎穿刺

(4) 骨髄穿刺

(5) 関節穿刺

(6) 上顎洞穿刺並びに扁桃周囲炎又は扁桃周囲膿瘍における試験穿刺

(7) 腎嚢胞又は水腎症穿刺

(8) ダグラス窩穿刺

(9) リンパ節等穿刺

(10) 乳腺穿刺

(11) 甲状腺穿刺

4 区分番号「D409」リンパ節等穿刺又は針生検から区分番号「D413」前立腺針生検法までに掲げるものをCT透視下に行った場合は、区分番号「E200」コンピューター断層撮影(CT撮影)の所定点数を別途算定する。ただし、第2章第4部第3節コンピューター断層撮影診断料の「通則2」に規定する場合にあっては、「通則2」に掲げる点数を算定する。

D400 血液採取

血液採取に係る乳幼児加算は、「1」の静脈及び「2」のその他のそれぞれについて加算するものである。

D404―2 骨髄生検

骨髄生検は、骨髄生検針を用いて採取した場合にのみ算定できる。骨髄穿刺針を用いた場合は区分番号「D404」骨髄穿刺の所定点数により算定する。

D409―2 センチネルリンパ節生検

(1) 触診及び画像診断の結果、腋窩リンパ節への転移が認められない乳がんに係る手術を予定している場合のみ算定する。

(2) センチネルリンパ節生検を乳房悪性腫瘍手術と同一日に行う場合は、区分番号「K476」乳腺悪性腫瘍手術の注1又は注2で算定する。

(3) センチネルリンパ節生検に伴う放射性同位元素の薬剤料は、区分番号「D500」薬剤として算定する。

(4) 放射性同位元素の検出に要する費用は、区分番号「E100」シンチグラム(画像を伴うもの)の「1」部分(静態)(一連につき)により算定する。

(5) 摘出したセンチネルリンパ節の病理診断に係る費用は、第13部病理診断の所定点数を算定する。

D412 経皮的針生検法

経皮的針生検法とは、区分番号「D404―2」、区分番号「D409」、区分番号「D410」、区分番号「D411」、区分番号「D412―2」及び区分番号「D413」に掲げる針生検以外の臓器に係る経皮的針生検をいう。

なお、所定点数には透視(CT透視を除く。)、心電図検査及び超音波検査が含まれており、別途算定できない。

D412―2 経皮的腎生検法

所定点数には心電図検査及び超音波検査が含まれており、別途算定できない。

D414 内視鏡下生検法

「1臓器」の取扱いについては、区分番号「N000」病理組織標本作製(1臓器につき)に準ずる。

D414―2 超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(EUS―FNA)

(1) 超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(EUS―FNA)はコンベックス走査型超音波内視鏡を用いて、経消化管的に生検を行った場合に算定できる。

(2) 採取部位に応じて、内視鏡検査のうち主たるものの所定点数を併せて算定する。ただし、内視鏡検査通則「1」に掲げる超音波内視鏡検査加算は所定点数に含まれ、算定できない。

D415 経気管肺生検法

(1) 経気管肺生検法と同時に行われるエックス線透視に係る費用は、当該検査料に含まれる。

また、写真診断を行った場合は、フィルム代のみ算定できるが、撮影料、診断料は算定できない。

(2) 経気管肺生検法は、採取部位の数にかかわらず、所定点数のみ算定する。

(3) 区分番号「D302」に掲げる気管支ファイバースコピーの点数は別に算定できない。

(4) CT透視下とは、気管支鏡を用いた肺生検を行う場合に、CTを連続的に撮影することをいう。またこの場合、CTに係る費用は別に算定できる。

D415―2 超音波気管支鏡下穿刺吸引生検法(EBUS―TBNA)

(1) 超音波気管支鏡(コンベックス走査方式に限る。)を用いて行う検査をいい、気管支鏡検査及び超音波に係る費用は別に算定できない。

(2) 採取部位の数にかかわらず、所定点数のみ算定する。

(3) 当該検査と同時に行われるエックス線透視に係る費用は、当該検査料に含まれる。また、写真診断を行った場合は、フィルム代のみ算定できるが、撮影料、診断料は算定できない。

D415―3 経気管肺生検法(ナビゲーションによるもの)

(1) 経気管肺生検法の実施にあたり、胸部X線検査において2cm以下の陰影として描出される肺末梢型小型病変が認められる患者又は到達困難な肺末梢型病変が認められる患者に対して、患者のCT画像データを基に電磁場を利用したナビゲーションを行った場合に算定できる。なお、この場合、CTに係る費用は別に算定できる。

(2) 経気管肺生検法(ナビゲーションによるもの)は、採取部位の数にかかわらず、所定点数のみ算定する。

(3) 区分番号「D302」に掲げる気管支ファイバースコピーの点数は別に算定できない。

D415―4 経気管肺生検法(仮想気管支鏡を用いた場合)

(1) 経気管肺生検法の実施にあたり、胸部X線検査において2cm以下の陰影として描出される肺末梢型小型病変が認められる患者又は到達困難な肺末梢型病変が認められる患者に対して、患者のCT画像データから構築した仮想気管支鏡の画像を利用して行った場合に算定できる。なお、この場合、CTに係る費用は別に算定できる。

(2) 経気管肺生検法(仮想気管支鏡を用いた場合)は、採取部位の数にかかわらず、所定点数のみ算定する。

(3) 区分番号「D302」に掲げる気管支ファイバースコピーの点数は別に算定できない。

D415―5 経気管支凍結生検法

(1) 経気管支凍結生検法の実施に当たり、肺組織を凍結させて採取した場合に算定できる。

(2) 経気管支凍結生検法と同時に行われるエックス線透視に係る費用は、当該検査料に含まれる。また、写真診断を行った場合は、フィルム代のみ算定できるが、撮影料及び診断料は算定できない。

(3) 経気管支凍結生検法は、採取部位の数にかかわらず、所定点数のみ算定する。

(4) 区分番号「D302」に掲げる気管支ファイバースコピーの点数は別に算定できない。

D416 臓器穿刺、組織採取

「2」の開腹による臓器穿刺、組織採取については、穿刺回数、採取臓器数又は採取した組織の数にかかわらず、1回として算定する。

D418 子宮腟部等からの検体採取

子宮全摘術後の腟端細胞診を目的とした検体採取は、「1」の所定点数を算定する。

D419 その他の検体採取

(1) 「1」の胃液・十二指腸液採取については、1回採取、分割採取にかかわらず、この項の所定点数により算定するものとし、ゾンデ挿入に伴いエックス線透視を行った場合においても、エックス線透視料は、別に算定しない。

(2) 「2」の胸水・腹水採取の所定点数には、採取及び簡単な液検査(肉眼的性状観察、リバルタ反応、顕微鏡による細胞の数及び種類の検査)の費用が含まれる。

なお、塗抹染色顕微鏡検査を行った場合は、区分番号「D017」排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査により、血液化学検査を行った場合は、区分番号「D004」穿刺液・採取液検査の「15」その他により、細胞診検査を行った場合は、区分番号「N004」細胞診により算定する。

(3) 「4」の前房水採取については、内眼炎等の診断を目的に前房水を採取した場合に算定する。

(4) 人工腎臓、人工心肺等の回路から動脈血採取を行った場合の採血料は算定できない。

(5) 副腎静脈サンプリング(一連につき)

ア 原発性アルドステロン症及び原発性アルドステロン症合併クッシング症候群の患者に対して、副腎静脈までカテーテルを進め、左右副腎静脈から採血を行った場合に算定する。

イ 副腎静脈サンプリング実施時に副腎静脈造影を行った場合においては、血管造影等のエックス線診断の費用は、別に算定しない。

ウ 副腎静脈サンプリングで実施する血液採取以外の血液採取は、別に算定できない。

D419―2 眼内液(前房水・硝子体液)検査

眼内液(前房水・硝子体液)検査は、眼内リンパ腫の診断目的に眼内液(前房水・硝子体液)を採取し、ELISA法によるIL―10濃度と、CLEIA法によるIL―6濃度を測定した場合に算定する。なお、眼内液採取に係る費用は別に算定できない。

第4部 画像診断

<通則>

1 薬剤料

(1) 画像診断のために使用した薬剤料は別に算定できるが、投薬に係る処方料、処方箋料、調剤料及び調剤技術基本料並びに注射に係る注射料は別に算定できない。

(2) 画像診断のために使用した造影剤又は造影剤以外の薬剤は、区分番号「E300」に掲げる薬剤料により算定する。

2 画像診断に当たって、麻酔を行った場合は、第2章第11部麻酔に規定する所定点数を別に算定する。ただし、麻酔手技料を別に算定できない麻酔を行った場合の薬剤料は、第4節薬剤料の規定に基づき算定できる。

3 時間外緊急院内画像診断加算

(1) 保険医療機関において、当該保険医療機関が表示する診療時間以外の時間、休日又は深夜に入院中の患者以外の患者に対して診療を行った際、医師が緊急に画像診断を行う必要性を認め、当該保険医療機関において、当該保険医療機関の従事者が当該保険医療機関に具備されている画像診断機器を用いて当該画像撮影及び診断を実施した場合に限り算定できる。

(2) 画像診断の開始時間が診療時間以外の時間、休日又は深夜に該当する場合に当該加算を算定する。なお時間外等の定義については、区分番号「A000」初診料の注7に規定する時間外加算等における定義と同様であること。

(3) 同一患者に同一日に2回以上、時間外、休日又は深夜の診療を行い、その都度緊急の画像診断を行った場合(複数の区分にまたがる場合を含む。)においても1回のみの算定とする。

(4) 入院中の患者には当該加算は算定できない。ただし、時間外、休日又は深夜に外来を受診した患者に対し、画像診断の結果入院の必要性を認めて、引き続き入院となった場合はこの限りではない。

(5) 時間外緊急院内画像診断加算を算定する場合においては、区分番号「A000」初診料の注9及び区分番号「A001」再診料の注7に規定する夜間・早朝等加算は算定できない。

(6) 時間外緊急院内画像診断加算は他の医療機関で撮影されたフィルムを診断した場合は算定できない。

(7) 緊急に画像診断を要する場合とは、直ちに何らかの処置・手術等が必要な患者であって、通常の診察のみでは的確な診断が下せず、なおかつ通常の画像診断が整う時間まで画像診断の実施を見合わせることができないような重篤な場合をいう。

4 画像診断に当たって通常使用される患者の衣類の費用は、画像診断の所定点数に含まれる。

5 画像診断管理加算

(1) 画像診断管理加算1は、専ら画像診断を担当する医師(地方厚生(支)局長に届け出た、専ら画像診断を担当した経験を10年以上有するもの又は当該療養について、関係学会から示されている2年以上の所定の研修を修了し、その旨が登録されているものに限る。以下同じ。)が読影及び診断を行い、その結果を文書により当該専ら画像診断を担当する医師の属する保険医療機関において当該患者の診療を担当する医師に報告した場合に、月の最初の診断の日に算定する。画像診断管理加算2又は画像診断管理加算3は、当該保険医療機関において実施される核医学診断、CT撮影及びMRI撮影について、専ら画像診断を担当する医師が読影及び診断を行い、その結果を文書により当該専ら画像診断を担当する医師の属する保険医療機関において当該患者の診療を担当する医師に報告した場合に、月の最初の診断の日に算定する。なお、夜間又は休日に撮影された画像については、当該専ら画像診断を担当する医師が、自宅等の当該保険医療機関以外の場所で、画像の読影及び送受信を行うにつき十分な装置・機器を用いた上で読影及び診断を行い、その結果を文書により当該患者の診療を担当する医師に報告した場合も算定できる。その際には、患者の個人情報を含む医療情報の送受信に当たり、安全管理を確実に行った上で実施すること。また、当該保険医療機関以外の施設に読影又は診断を委託した場合は、これらの加算は算定できない。(「6」又は「7」により算定する場合を除く。)また、これらの加算を算定する場合は、報告された文書又はその写しを診療録に添付する。

(2) 画像診断管理加算1、画像診断管理加算2又は画像診断管理加算3は、それぞれの届出を行った保険医療機関において、専ら画像診断を担当する常勤の医師のうち当該保険医療機関において勤務する1名(画像診断管理加算3を算定する場合にあっては6名)を除いた専ら画像診断を担当する医師については、当該保険医療機関において常態として週3日以上かつ週22時間以上の勤務を行っている場合に、当該勤務時間以外の所定労働時間については、自宅等の当該保険医療機関以外の場所で、画像の読影及び送受信を行うにつき十分な装置・機器を用いた上で読影を行い、その結果を文書により当該患者の診療を担当する医師に報告した場合も算定できる。その際、患者の個人情報を含む医療情報の送受信に当たり、安全管理を確実に行った上で実施する。また、病院の管理者が当該医師の勤務状況を適切に把握していること。

6 遠隔画像診断による画像診断管理加算

(1) 遠隔画像診断を行った場合は、送信側の保険医療機関において撮影料、診断料及び画像診断管理加算(当該加算の算定要件を満たす場合に限る。)を算定できる。受信側の保険医療機関における診断等に係る費用については受信側、送信側の医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。

(2) 遠隔画像診断を行った場合、画像診断管理加算1は、受信側の保険医療機関において専ら画像診断を担当する医師が読影及び診断を行い、その結果を文書により送信側の保険医療機関において当該患者の診療を担当する医師に報告した場合に、月の最初の診断の日に算定する。遠隔画像診断を行った場合、画像診断管理加算2又は画像診断管理加算3は、送信側の保険医療機関において実施される核医学診断、CT撮影及びMRI撮影について、受信側の保険医療機関において専ら画像診断を担当する医師が読影を行い、その結果を文書により送信側の保険医療機関において当該患者の診療を担当する医師に報告した場合に、月の最初の診断の日に算定する。なお、夜間又は休日に撮影された画像については、受信側の保険医療機関において専ら画像診断を担当する医師が、自宅等の当該保険医療機関以外の場所で、画像の読影及び送受信を行うにつき十分な装置・機器を用いた上で読影及び診断を行い、その結果を文書により当該患者の診療を担当する医師に報告した場合も算定できる。その際には、患者の個人情報を含む医療情報の送受信に当たり、安全管理を確実に行った上で実施すること。また、受信側又は送信側の保険医療機関が受信側及び送信側の保険医療機関以外の施設に読影又は診断を委託した場合は、当該加算は算定できない。また、これらの加算を算定する場合は、報告された文書又はその写しを診療録に添付する。

(3) 遠隔画像診断を行った場合、画像診断管理加算1、画像診断管理加算2又は画像診断管理加算3は、それぞれの届出を行った保険医療機関において、専ら画像診断を担当する常勤の医師のうち当該保険医療機関において勤務する1名(画像診断管理加算3を算定する場合にあっては6名)を除いた専ら画像診断を担当する医師については、当該保険医療機関において常態として週3日以上かつ週22時間以上の勤務を行っている場合に、当該勤務時間以外の所定労働時間については、自宅等の当該保険医療機関以外の場所で、画像の読影及び送受信を行うにつき十分な装置・機器を用いた上で読影を行い、その結果を文書により当該患者の診療を担当する医師に報告した場合も算定できる。その際、患者の個人情報を含む医療情報の送受信に当たり、安全管理を確実に行った上で実施する。また、病院の管理者が当該医師の勤務状況を適切に把握していること。

第1節 エックス線診断料

1 エックス線診断に係る一般的事項

(1) エックス線写真撮影の際に失敗等により、再撮影をした場合については再撮影に要した費用は算定できない。再撮影に要した費用は、その理由が患者の故意又は重大な過失による場合を除き、当該保険医療機関の負担とする。

(2) 「2」又は「3」の「同一の部位」とは、部位的な一致に加え、腎と尿管、胸椎下部と腰椎上部のように通常同一フィルム面に撮影し得る範囲をいう。

ただし、食道・胃・十二指腸、血管系(血管及び心臓)、リンパ管系及び脳脊髄腔については、それぞれ全体を「同一の部位」として取り扱うものである。

(3) 「2」又は「3」の「同時に」とは、診断するため予定される一連の経過の間に行われたものをいう。例えば、消化管の造影剤使用写真診断(食道・胃・十二指腸等)において、造影剤を嚥下させて写真撮影し、その後2~3時間経過して再びレリーフ像を撮影した場合は、その診断料は100分の50とする。

ただし、胸部単純写真を撮影して診断した結果、断層像の撮影の必要性を認めて、当該断層像の撮影を行った場合等、第1の写真診断を行った後に別種の第2の撮影、診断の必要性を認めて第2の撮影診断を行った場合は、「同時に」には該当せず、第2の診断についても100分の50とはしない。

(4) 「2」の「2以上のエックス線撮影」とは、単純撮影、特殊撮影、造影剤使用撮影又は乳房撮影のうち2種以上の撮影を行った場合をいう。この場合、デジタル撮影及びアナログ撮影については区別せず、1種の撮影として扱う。

(5) 「3」の「同一の方法」による撮影とは、単純撮影、特殊撮影、造影剤使用撮影又は乳房撮影のそれぞれの撮影方法をいい、デジタル撮影及びアナログ撮影については「同一の方法」として扱う。

(6) 特殊撮影、乳房撮影、心臓及び冠動脈の造影剤使用撮影の診断料及び撮影料は、フィルム枚数にかかわらず、一連のものについて1回として算定する。ただし、別個に撮影した両側の肺野の断層写真等、撮影部位の異なる場合(乳房撮影を除く。)は、部位ごとに1回とする。

(7) 次の場合は、「同一の方法」の繰り返しと考えられるので、「3」の算定方法が適用される。ただし、ウについては、いずれか一方の写真診断の結果、他法による撮影の必要性を認め、診断を行った場合は「同時に」には該当しないので、胸部単純撮影及び胸椎撮影のそれぞれについて「3」の適用となるか否かを判断すること。なお、仮にそれぞれについて同時に2枚以上のフィルムが使用されれば「3」の適用となること。

ア 脊椎の単純撮影において、頸椎及び胸椎上部を正面・側面等曝射の角度を変えて数回にわたって撮影した場合

イ 胸部単純撮影と肺尖撮影を併施した場合

ウ 胸部単純撮影と胸椎撮影を併施した場合

エ 消化管造影において、食道・胃・十二指腸を背腹・腹背等体位を変換させて数回にわたって撮影した場合

オ 耳鼻科領域におけるシュラー法、ステンバー法及びマイヤー法のうち、2方法以上の撮影を併せて実施した場合

(8) 耳・肘・膝等の対称器官又は対称部位の健側を患側の対照として撮影する場合における撮影料、診断料については、同一部位の同時撮影を行った場合と同じ取扱いとする。

(9) 2枚目以降100分の50で算定する場合及び間接撮影を行った場合に端数が生じる場合の端数処理は、点数計算の最後に行うものとする。

例 2枚の頭部単純デジタルエックス線撮影を行った場合

[診断料] 85点+85点×0.5=127.5点→(四捨五入)→128点

[撮影料] 68点+68点×0.5=102点

3枚の頭部単純デジタルエックス線撮影を行った場合

[診断料] 85点+85点×0.5×2=170点

[撮影料] 68点+68点×0.5×2=136点

2枚の胸部アナログエックス線間接撮影を行った場合

[診断料] 85点×0.5+85点×0.5×0.5=63.75点→(四捨五入)→64点

[撮影料] 60点×0.5+60点×0.5×0.5=45点

(10) デジタル撮影

デジタル撮影とは、エックス線撮影後、画像情報のデジタル処理を行うことが可能なものをいい、デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィー法、コンピューテッド・ラジオグラフィー法又はデジタル透視撮影法による。

なお、デジタル透視撮影法とは、超細密イメージング・インテンシファイアー及び超細密ビデオカメラを用いてデジタル映像化処理を行うものをいう。

2 電子画像管理加算

(1) 「4」に規定する画像を電子化して管理及び保存した場合とは、デジタル撮影した画像を電子媒体に保存して管理した場合をいい、フィルムへのプリントアウトを行った場合にも当該加算を算定することができるが、本加算を算定した場合には当該フィルムの費用は算定できない。

(2) 電子画像管理加算は、同一の部位につき、同時に2種類以上の撮影方法を使用した場合は一連の撮影とみなし、主たる撮影の点数のみ算定する。

(3) 電子画像管理加算は、他の医療機関で撮影したフィルム等についての診断のみを行った場合には算定しない。

E000 透視診断

(1) 本項の透視診断とは、透視による疾病、病巣の診断を評価するものであり、特に別途疑義解釈通知等により取扱いを示した場合を除き、消化管の造影剤使用撮影に際し腸管の所要の位置に造影剤が到達しているか否かを透視により検査する場合等、撮影の時期決定や準備手段又は他の検査、注射、処置及び手術の補助手段として行う透視については算定できない。

(2) 造影剤を使用する透視診断は一連の診断目的のために行うものについては、時間を隔てて行う場合であっても1回として算定する。ただし、腸管の透視を時間を隔てて数回行いその時間が数時間にわたる場合には、2回以上として算定できる。その基準は概ね2時間に1回とする。

E001 写真診断

(1) 他の医療機関で撮影したフィルム等についての診断料は撮影部位及び撮影方法(単純撮影、特殊撮影、造影剤使用撮影又は乳房撮影を指し、アナログ撮影又はデジタル撮影の別は問わない。)別に1回の算定とする。例えば、胸部単純写真と断層像についてであれば2回として算定できる。

ただし、1つの撮影方法については撮影回数、写真枚数にかかわらず1回として算定する。

(2) 写真診断においては、耳、副鼻腔は頭部として、骨盤、腎、尿管、膀胱は腹部として、それぞれ「1」の「イ」により算定する。また、頸部、腋窩、股関節部、肩関節部、肩胛骨又は鎖骨にあっても、「1」の「イ」により算定する。

(3) 写真診断に掲げる所定点数は、フィルムへのプリントアウトを行わずに画像を電子媒体に保存した場合にも算定できる。

(4) イメージ・インテンシファイアー間接撮影装置によるエックス線撮影については、診断料及び撮影料は間接撮影の場合の所定点数により算定できる。また、同一部位に対し直接撮影を併せて行った場合は、イメージ・インテンシファイアー間接撮影装置による一連の撮影として間接撮影の場合の所定点数のみを算定する。

E002 撮影

(1) 高圧撮影、拡大撮影及び軟部組織撮影は、「1」の単純撮影として算定する。

(2) エックス線フィルムサブトラクションについては、反転フィルムの作製の費用として、一連につき、「1」及び区分番号「E400」フィルムによって算定し、診断料は別に算定できない。なお、診療継続中の患者であって診療上の必要性を認め以前撮影した脳血管造影フィルムを用いてサブトラクションを実施した場合であっても、反転フィルムの作製の費用及びフィルム料は算定できるが、診断料は別に算定できない。

(3) 特殊撮影とは、パントモグラフィー、断層撮影(同時多層撮影、回転横断撮影を含む。)、スポット撮影(胃、胆嚢及び腸)、側頭骨・上顎骨・副鼻腔曲面断層撮影及び児頭骨盤不均衡特殊撮影(側面撮影及び骨盤入口撮影後、側面、骨盤入口撮影のフィルムに対し特殊ルーラー(計測板)の重複撮影を行う方法をいう。)をいう。なお、胃のスポット撮影、胆嚢スポット撮影及び腸スポット撮影については、消化管撮影の一連の診断行為の1つとみなされる場合であっても、第1節エックス線診断料の「2」の適用の対象とする。

(4) 撮影に掲げる所定点数は、フィルムへのプリントアウトを行わずに画像を電子媒体に保存した場合にも算定できる。

(5) 造影剤使用撮影時の算定方法

ア 造影剤使用撮影とは、血管造影、瘻孔造影及び気造影等の造影剤を使用して行った撮影をいう。

イ 二重造影は、消化管診断に含まれ、別に算定できないが、その際に使用される発泡錠は薬剤料として別に算定できる。

ウ 椎間板の変性を見るため、エックス線透視下に造影剤を使用し、椎間板を求めて1~3か所注入し、四ツ切フィルム2枚のエックス線写真診断を行った場合は、「3」により算定する。

エ 高速心大血管連続撮影装置による撮影は、「3」により算定する。

オ 子宮卵管造影法による検査は、区分番号「E001」写真診断の「3」、区分番号「E002」撮影の「3」、区分番号「E003」造影剤注入手技の「6」の「ロ」、区分番号「E300」薬剤及び区分番号「E400」フィルムにより算定する。

(6) 乳房撮影とは、当該撮影専用の機器を用いて、原則として両側の乳房に対し、それぞれ2方向以上の撮影を行うものをいい、両側について一連として算定する。

(7) 「注2」により新生児加算、乳幼児加算又は幼児加算を行う場合の所定点数とは、「1」、「2」、「3」(「注3」による加算を含む。)又は「4」の点数(間接撮影の場合は100分の50に相当する点数)をいう。

なお、新生児加算、乳幼児加算又は幼児加算を行う場合に端数が生じる場合の端数処理は、当該撮影の最後に行うものとする。

例 単純撮影(デジタル撮影)における新生児加算、乳幼児加算又は幼児加算を行う場合の端数処理の例

1枚撮影の場合

[新生児加算] 68点×1.8=122.4点→(四捨五入)→122点

3枚撮影の場合

[新生児加算] 68点×1.8+68点×1.8×0.5×2=244.8点→(四捨五入)→245点

E003 造影剤注入手技

(1) 造影剤注入手技料は、造影剤使用撮影を行うに当たって造影剤を注入した場合に算定する。ただし、同一日に静脈内注射又は点滴注射を算定した場合は造影剤注入手技の「1」点滴注射の所定点数は重複して算定できない。

(2) 「3」の動脈造影カテーテル法及び「4」の静脈造影カテーテル法とは、血管造影用カテーテルを用いて行った造影剤注入手技をいう。

(3) 「3」の「イ」は、主要血管である総頸動脈、椎骨動脈、鎖骨下動脈、気管支動脈、腎動脈、腹部動脈(腹腔動脈、上及び下腸間膜動脈をも含む。)、骨盤動脈又は各四肢の動脈の分枝血管を選択的に造影撮影した場合、分枝血管の数にかかわらず1回に限り算定できる。

総頸動脈、椎骨動脈、鎖骨下動脈、気管支動脈及び腎動脈の左右両側をあわせて造影した場合であっても一連の主要血管として所定点数は1回に限り算定する。

(4) 静脈造影カテーテル法は、副腎静脈、奇静脈又は脊椎静脈に対して実施した場合に算定できる。

(5) 「6」の「イ」注腸を実施する際の前処置として行った高位浣腸の処置料は所定点数に含まれ、別途算定できない。

(6) 「6」の「ロ」その他のものとは、腰椎穿刺注入、胸椎穿刺注入、頸椎穿刺注入、関節腔内注入、上顎洞穿刺注入、気管内注入(内視鏡下の造影剤注入によらないもの)、子宮卵管内注入、胃・十二指腸ゾンデ挿入による注入、膀胱内注入、腎盂内注入及び唾液腺注入をいう。

(7) 経皮経肝胆管造影における造影剤注入手技は区分番号「D314」により算定し、胆管に留置したドレーンチューブ等からの造影剤注入手技は区分番号「E003」の「6」の「ロ」により算定する。

(8) 精嚢撮影を行うための精管切開は、区分番号「K829」により算定する。

(9) 造影剤を注入するために観血手術を行った場合は、当該観血手術の所定点数をあわせて算定する。

(10) リンパ管造影を行うときの造影剤注入のための観血手術及び注入の手技料は、あわせて、区分番号「K626」リンパ節摘出術の「1」により算定する。

E004 基本的エックス線診断料

(1) 基本的エックス線診断料は、特定機能病院の入院医療において通常行われる基本的な画像診断について、その適正化及び請求事務の簡素化の観点から包括化して入院日数に応じた算定を行うものである。

(2) 1月を通じて、基本的エックス線診断料に包括されている画像診断項目のいずれも行われなかった場合は、当該月は本診断料は算定できない。

(3) 写真診断及び撮影を行い、これに伴って使用されるフィルムは、別に算定できる。

(4) 基本的エックス線診断料を算定している患者に対して、撮影した画像を電子化して管理及び保存した場合は、一連の撮影ごとに第1節のエックス線診断料通則の「4」に規定する電子画像管理加算を別に算定できる。

(5) 基本的エックス線診断料を算定している患者に対して、エックス線フィルムサブトラクションを行った場合は、基本的エックス線診断料の他、手技料として区分番号「E002」の「1」の所定点数を算定できる。

(6) 基本的エックス線診断料に含まれない画像診断を行った場合は、別途当該画像診断に係る所定点数を算定できる。

(7) 単純撮影を2枚以上撮影した場合又は間接撮影を行った場合にあっても、手技料は基本的エックス線診断料に含まれ、別に算定できない。

(8) 入院日数については、入院基本料とは異なり、入院の都度当該入院の初日から数え、また、退院日も算定対象となる。なお、外泊期間中は、入院日数に含まれない。

(9) 療養病棟、結核病棟又は精神病棟に入院している患者及び第1章第2部第2節に規定するHIV感染者療養環境特別加算、二類感染症患者療養環境特別加算若しくは重症者等療養環境特別加算又は同部第3節に規定する特定入院料を算定している患者については、基本的エックス線診断料は別に算定しないが、入院日数は入院初日から数える。

第2節 核医学診断料

1 核医学診断に係る一般的事項

「1」に規定する核医学診断に係る所定点数とは、区分番号「E100」から区分番号「E101―5」までに掲げる所定点数及び区分番号「E102」に掲げる所定点数を合算した点数をいう。

2 「3」に規定する画像を電子化して管理及び保存した場合とは、デジタル撮影した画像を電子媒体に保存して管理した場合をいい、フィルムへのプリントアウトを行った場合にも当該加算を算定することができるが、本加算を算定した場合には当該フィルムの費用は算定できない。

3 ラジオアイソトープの費用

ラジオアイソトープの費用を算定する場合は、「使用薬剤の薬価(薬価基準)」の定めるところによる。

E100 シンチグラム(画像を伴うもの)

「注3」の加算における所定点数には「注2」による加算は含まれない。

E101 シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影

(1) シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影は、同一のラジオアイソトープを使用した一連の検査につき、撮影の方向、スライスの数、撮影の部位数及び疾病の種類等にかかわらず所定点数のみにより算定する。

(2) 「注2」の加算における所定点数とは、「注1」及び「注3」の加算を含まない点数である。

(3) 「注3」の加算における所定点数とは、「注1」及び「注2」の加算を含まない点数である。

E101―2 ポジトロン断層撮影

(1) ポジトロン断層撮影は、撮影の方向、スライスの数、撮影の部位数及び疾患の種類等にかかわらず所定点数のみにより算定する。

(2) 18FDGを用いたポジトロン断層撮影については、てんかん、心疾患若しくは血管炎の診断又は悪性腫瘍(早期胃癌を除き、悪性リンパ腫を含む。)の病期診断若しくは転移・再発の診断を目的とし、次の表に定める要件を満たす場合に限り算定する。

1.てんかん

難治性部分てんかんで外科切除が必要とされる患者に使用する。

2.心疾患

虚血性心疾患による心不全患者における心筋組織のバイアビリティ診断(他の検査で判断のつかない場合に限る。)、心サルコイドーシスの診断(心臓以外で類上皮細胞肉芽腫が陽性でサルコイドーシスと診断され、かつ心臓病変を疑う心電図又は心エコー所見を認める場合に限る。)又は心サルコイドーシスにおける炎症部位の診断が必要とされる患者に使用する。

3.悪性腫瘍(早期胃癌を除き、悪性リンパ腫を含む。)

他の検査又は画像診断により病期診断又は転移若しくは再発の診断が確定できない患者に使用する。

4.血管炎

高安動脈炎等の大型血管炎において、他の検査で病変の局在又は活動性の判断のつかない患者に使用する。

(3) 18FDG製剤を医療機関内で製造する場合は、18FDG製剤の製造に係る衛生管理、品質管理等については、関係学会の定める基準を参考として、十分安全な体制を整備した上で実施すること。なお、高安動脈炎等の大型血管炎の診断に用いる18FDG製剤については、当該診断のために用いるものとして薬事承認を得ている18FDG製剤を使用した場合に限り算定する。

(4) 当該画像診断を実施した同一月内に悪性腫瘍の診断の目的で区分番号「E100」シンチグラム(画像を伴うもの)(ガリウムにより標識された放射性医薬品を用いるものに限る。)を実施した場合には、主たるもののみを算定する。

(5) ポジトロン断層撮影と同時に同一の機器を用いて行ったコンピューター断層撮影の費用はポジトロン断層撮影の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(6) 15O標識ガス剤を用いた場合に当該画像診断に伴って行われる血液ガス分析の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(7) ターゲットガス(窒素、酸素、二酸化炭素)等の15O標識ガス剤の合成及び吸入に係る費用並びに18FDG並びに13N標識アンモニア剤の合成及び注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(8) 13N標識アンモニア剤を用いたポジトロン断層撮影については、他の検査で判断のつかない虚血性心疾患の診断を目的として行った場合に算定する。負荷に用いる薬剤料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

E101―3 ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影

(1) ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影は、X線CT組合せ型ポジトロンCT装置を用いて、診断用の画像としてポジトロン断層撮影画像、コンピューター断層撮影画像及び両者の融合画像を取得するものをいい、ポジトロン断層撮影画像の吸収補正用としてのみコンピューター断層撮影を行った場合は該当しない。また、撮影の方向、スライスの数、撮影の部位数及び疾患の種類等にかかわらず所定点数により算定する。

(2) 同一月に、区分番号「E200」コンピューター断層撮影(CT撮影)を行った後にポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影を行う場合は、本区分は算定せず、区分番号「E101―2」ポジトロン断層撮影により算定する。この場合においては、区分番号「E101―2」の別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出ていなくても差し支えない。

(3) 18FDGを用いたポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影については、てんかん若しくは血管炎の診断又は悪性腫瘍(早期胃癌を除き、悪性リンパ腫を含む。)の病期診断若しくは転移・再発の診断を目的とし、次の表に定める要件を満たす場合に限り算定する。ただし、表中の「画像診断」からは、コンピューター断層撮影を除く。次の表に定める要件は満たさないが、区分番号「E101―2」ポジトロン断層撮影に定める要件を満たす場合は、区分番号「E101―2」により算定する。

1.てんかん

難治性部分てんかんで外科切除が必要とされる患者に使用する。

2.悪性腫瘍(早期胃癌を除き、悪性リンパ腫を含む。)

他の検査又は画像診断により病期診断又は転移若しくは再発の診断が確定できない患者に使用する。

3.血管炎

高安動脈炎等の大型血管炎において、他の検査で病変の局在又は活動性の判断のつかない患者に使用する。

(4) 18FDG製剤を医療機関内で製造する場合は、18FDG製剤の製造に係る衛生管理、品質管理等については、関係学会の定める基準を参考として、十分安全な体制を整備した上で実施すること。なお、高安動脈炎等の大型血管炎の診断に用いる18FDG製剤については、当該診断のために用いるものとして薬事承認を得ている18FDG製剤を使用した場合に限り算定する。

(5) 撮影に当たって造影剤を使用した場合は、区分番号「E200」コンピューター断層撮影(CT撮影)の「注3」の加算を本区分に対する加算として併せて算定する。

(6) 当該画像診断を実施した同一月内に悪性腫瘍の診断の目的で区分番号「E100」シンチグラム(画像を伴うもの)(ガリウムにより標識された放射性医薬品を用いるものに限る。)又は区分番号「E101―4」ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影を実施した場合には、主たるもののみを算定する。

(7) 15O標識ガス剤を用いた場合に当該画像診断に伴って行われる血液ガス分析の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(8) ターゲットガス(窒素、酸素、二酸化炭素)等の15O標識ガス剤の合成及び吸入に係る費用並びに18FDGの合成及び注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

E101―4 ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影(一連の検査につき)

(1) ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影は、PET装置とMRI装置を組み合わせた装置を用いて、診断用の画像としてポジトロン断層撮影画像、磁気共鳴コンピューター断層撮影画像及び両者の融合画像を取得するものをいう。また、画像のとり方、画像処理法の種類、スライスの数、撮影の部位数、疾病の種類等にかかわらず、所定点数により算定する。

(2) 同一月に、区分番号「E202」磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)を行った後にポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影を行う場合は、本区分は算定せず、区分番号「E101―2」ポジトロン断層撮影により算定する。この場合においては、区分番号「E101―2」の別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出ていなくても差し支えない。

(3) 18FDGを用いて、悪性腫瘍(脳、頭頸部、縦隔、胸膜、乳腺、直腸、泌尿器、卵巣、子宮、骨軟部組織、造血器、悪性黒色腫)の病期診断及び転移・再発の診断を目的とし、他の検査、画像診断により病期診断及び転移・再発の診断が確定できない患者に使用した場合に限り算定する。ただし、この画像診断からは磁気共鳴コンピューター断層撮影を除く。

(4) 撮影に当たって造影剤を使用した場合は、区分番号「E202」磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)の「注3」の加算を本区分に対する加算として併せて算定する。

(5) 当該画像診断を実施した同一月内に悪性腫瘍の診断の目的で区分番号「E100」シンチグラム(画像を伴うもの)(ガリウムにより標識された放射性医薬品を用いるものに限る。)又は区分番号「E101―3」ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影を実施した場合には、主たるもののみを算定する。

(6) 18FDG製剤を医療機関内で製造する場合は、18FDG製剤の製造に係る衛生管理、品質管理等については、関係学会の定める基準を参考として、十分安全な体制を整備した上で実施すること。18FDGの合成及び注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

E101―5 乳房用ポジトロン断層撮影

(1) 乳房用ポジトロン断層撮影とは、乳房専用のPET装置を用いて、診断用の画像としてポジトロン断層撮影画像を撮影するものをいう。また、画像の方向、スライスの数、撮影の部位数、疾病の種類等にかかわらず、所定点数により算定する。

(2) 18FDGを用いて、乳がんの病期診断及び転移又は再発の診断を目的とし、他の検査又は画像診断により病期診断又は転移若しくは再発の診断が確定できない患者に使用した場合に限り算定する。

(3) 区分番号「E101―2」ポジトロン断層撮影の「2」18FDGを用いた場合(一連の検査につき)、区分番号「E101―3」ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影(一連の検査につき)の「2」18FDGを用いた場合(一連の検査につき)又は区分番号「E101―4」のポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影(一連につき)と併せて同日に行った場合に限り算定する。

(4) 18FDG製剤を医療機関内で製造する場合は、18FDG製剤の製造に係る衛生管理、品質管理等については、関係学会の定める基準を参考として、十分安全な体制を整備した上で実施すること。18FDGの合成及び注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

E102 核医学診断

(1) 核医学診断料は、実施した区分番号「E100」から区分番号「E101―5」までに掲げる各区分の種類又は回数にかかわらず、月1回の算定とし、初回のシンチグラム(画像を伴うもの)、シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影、ポジトロン断層撮影、ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影、ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影又は乳房用ポジトロン断層撮影を実施する日に算定する。

(2) 同一月内において入院及び外来の両方又は入院中に複数の診療科においてシンチグラム(画像を伴うもの)、シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影、ポジトロン断層撮影、ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影、ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影又は乳房用ポジトロン断層撮影を実施した場合においては、入院若しくは外来又は診療科の別にかかわらず、月1回に限り算定する。

第3節 コンピューター断層撮影診断料

1 コンピューター断層撮影と磁気共鳴コンピューター断層撮影を行う際の取扱い

(1) 同一月に区分番号「E101―3」ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影又は区分番号「E101―4」ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影を行った後に区分番号「E200」コンピューター断層撮影(CT撮影)又は区分番号「E202」磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)を行った場合には、当該コンピューター断層撮影又は磁気共鳴コンピューター断層撮影については、2回目以降として「2」の例により算定する。

(2) 開設者が同一である複数の保険医療機関又は検査施設提供の契約を結んだ複数の医療機関において、同一の患者につき、コンピューター断層撮影及び磁気共鳴コンピューター断層撮影を同一月に2回以上行った場合は、当該月の2回目以降の断層撮影について、「2」により算定する。

2 「3」に規定する画像を電子化して管理及び保存した場合とは、デジタル撮影した画像を電子媒体に保存して管理した場合をいい、フィルムへのプリントアウトを行った場合にも当該加算を算定することができるが、本加算を算定した場合には当該フィルムの費用は算定できない。

3 「4」の加算における所定点数には、区分番号「E200」の「注3」及び区分番号「E202」の「注3」による加算が含まれる。「2」における所定点数には、注に掲げる加算は含まれない。

4 「4」の新生児頭部外傷撮影加算、乳幼児頭部外傷撮影加算及び幼児頭部外傷撮影加算は、6歳未満の小児の頭部外傷に対して、関連学会が定めるガイドラインに沿って撮影を行った場合に限り算定する。この場合において、その医学的な理由ついて診療報酬明細書の摘要欄に該当項目を記載すること。また、カに該当する場合は、その詳細な理由及び医学的な必要性を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ア GCS≦14

イ 頭蓋骨骨折の触知又は徴候

ウ 意識変容(興奮、傾眠、会話の反応が鈍い等)

エ 受診後の症状所見の悪化

オ 家族等の希望

カ その他

E200 コンピューター断層撮影(CT撮影)

(1) コンピューター断層撮影は、スライスの数、疾患の種類等にかかわらず、所定点数のみにより算定する。

(2) 「1」の「イ」、「ロ」、「ハ」及び「ニ」並びに「2」に掲げる撮影のうち2以上のものを同時に行った場合は主たる撮影の所定点数のみにより算定する。

(3) 「1」のCT撮影の「イ」、「ロ」及び「ハ」は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、64列以上のマルチスライス型、16列以上64列未満のマルチスライス型又は4列以上16列未満のマルチスライス型のCT装置を使用して撮影を行った場合に限りそれぞれ算定する。

(4) 「1」の「イ」について、64列以上のマルチスライス型の機器であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しない場合には、「ロ」として届け出たうえで、「ロ」を算定すること。

(5) 「注3」に規定する「1」のCT撮影における「造影剤を使用した場合」とは、静脈内注射、点滴注射、腔内注入及び穿刺注入等により造影剤使用撮影を行った場合をいう。ただし、経口造影剤を使用した場合を除く。

(6) 造影剤を使用しないCT撮影を行い、引き続き造影剤を使用して撮影を行った場合は、所定点数及び造影剤の使用による加算点数のみにより算定する。

(7) 造影剤を使用してコンピューター断層撮影を行った場合、閉鎖循環式全身麻酔に限り麻酔手技料を別に算定できる。

(8) 「注4」に規定する冠動脈CT撮影加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、以下のアからオまでの場合に、64列以上のマルチスライス型のCT装置を使用し、冠動脈を撮影した上で三次元画像処理を行った場合に限り算定する。なお、その医学的根拠について診療報酬明細書の摘要欄に該当項目を記載すること。また、オに該当する場合は、その詳細な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ア 諸種の原因による冠動脈の構造的・解剖学的異常(超音波検査等の所見から疑われた場合に限る。)

イ 急性冠症候群(血液検査や心電図検査等により治療の緊急性が高いと判断された場合に限る。)

ウ 狭心症(定量的負荷心電図又は負荷心エコー法により機能的虚血が確認された場合又はその確認が困難な場合に限る。)

エ 狭心症等が疑われ、冠動脈疾患のリスク因子(糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙等)が認められる場合

オ その他、冠動脈CT撮影が医学的に必要と認められる場合

(9) 「注6」の外傷全身CTとは、全身打撲症例における初期診断のため行う、頭蓋骨から少なくとも骨盤骨までの連続したCT撮影をいう。

(10) 「注7」に規定する大腸CT撮影加算

ア 他の検査で大腸悪性腫瘍が疑われる患者に対して、「1」の「イ」又は「ロ」として届出を行っている機器を使用し、大腸のCT撮影を行った場合に算定する。

なお、当該撮影は、直腸用チューブを用いて、二酸化炭素を注入し下部消化管をCT撮影した上で三次元画像処理を行うものであり、大腸CT撮影に係る「注3」の加算、造影剤注入手技料及び麻酔料(区分番号「L008」に掲げるマスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を除く。)は、所定点数に含まれるものとする。

イ アとは別に、転移巣の検索や他の部位の検査等の目的で、静脈内注射、点滴注射等により造影剤使用撮影を同時に行った場合には、「注3」の加算を別に算定できる。

(11) 「1」の「イ」の「(1)」については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において64列以上のマルチスライス型のCT装置を使用して撮影が行われる場合、又は診断撮影機器での撮影を目的として別の保険医療機関に依頼し64列以上のマルチスライス型のCT装置を使用して撮影が行われる場合に限り算定する。

E200―2 血流予備量比コンピューター断層撮影

(1) 血流予備量比コンピューター断層撮影は、血流予備量比コンピューター断層撮影の解析を行うものとして薬事承認を取得したプログラムを用いた解析結果を参照して、コンピューター断層撮影による診断を行った場合に限り算定する。

(2) 血流予備量比コンピューター断層撮影の結果により、血流予備量比が陰性にもかかわらず、本検査実施後90日以内に区分番号「D206」心臓カテーテル法による諸検査を行った場合は、主たるものの所定点数のみ算定する。

(3) 血流予備量比コンピューター断層撮影と区分番号「D206」の「注4」冠動脈血流予備能測定検査加算、区分番号「D215」の「3」の「ホ」負荷心エコー法、区分番号「E101」シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影(同一のラジオアイソトープを用いた一連の検査につき)、区分番号「E101―2」ポジトロン断層撮影、区分番号「E101―3」ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影(一連の検査につき)、区分番号「E101―4」ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影(一連の検査につき)、区分番号「E102」核医学診断、区分番号「E200」コンピューター断層撮影(CT撮影)(一連につき)及び区分番号「E202」磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)(一連につき)は併せて算定できない。

(4) 血流予備量比コンピューター断層撮影の検査結果及び検査結果に基づき患者に説明した内容を診療録に記載すること。

(5) 血流予備量比コンピューター断層撮影が必要な医学的理由及び冠動脈CT撮影による診断のみでは治療方針の決定が困難である理由を患者に説明した書面又はその写しを診療録に添付すること。

(6) 血流予備量比コンピューター断層撮影による血流予備量比の値を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(7) 関連学会が定める適正使用指針に沿って実施すること。

E202 磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)

(1) 磁気共鳴コンピューター断層撮影は、画像のとり方、画像処理法の種類、スライスの数、撮影の部位数、疾病の種類等にかかわらず、所定点数のみにより算定する。

(2) 「1」、「2」及び「3」に掲げる撮影を同時に行った場合は、主たる撮影の所定点数のみにより算定する。

(3) 「1」及び「2」は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、3テスラ以上又は1.5テスラ以上3テスラ未満のMRI装置を使用して撮影を行った場合に限り算定する。

(4) 「1」の3テスラ以上の機器であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に該当しない場合には、「2」として届け出たうえで、「2」を算定すること。

(5) 「注3」に規定する「造影剤を使用した場合」とは、静脈内注射等により造影剤使用撮影を行った場合をいう。ただし、経口造影剤を使用した場合は除く。

(6) 造影剤を使用しない磁気共鳴コンピューター断層撮影を行い、引き続き造影剤を使用して撮影を行った場合は、所定点数及び造影剤の使用による加算点数のみにより算定する。

(7) 造影剤を使用して磁気共鳴コンピューター断層撮影を行った場合、閉鎖循環式全身麻酔に限り麻酔手技料を別に算定できる。

(8) 「注4」に規定する心臓MRI撮影加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、1.5テスラ以上のMRI装置を使用して心臓又は冠動脈を描出した場合に限り算定する。

(9) MRI対応型ペースメーカー、MRI対応型植込型除細動器又はMRI対応型両室ペーシング機能付き植込型除細動器を植え込んだ患者に対してMRI撮影を行う場合、別に厚生労働大臣が定める施設基準に加えて、日本医学放射線学会、日本磁気共鳴医学会、日本不整脈学会が定める「MRI対応植込み型デバイス患者のMRI検査の施設基準」を満たす保険医療機関で行うこと。

(10) MRI対応型ペースメーカー、MRI対応型植込型除細動器又はMRI対応型両室ペーシング機能付き植込型除細動器を植え込んだ患者に対してMRI撮影を行う場合は、患者が携帯している当該機器を植え込んでいることを示すカード(製造販売業者が発行する「条件付きMRI対応ペースメーカーカード」、「条件付きMRI対応ICDカード」又は「条件付きMRI対応CRT―Dカード」)を確認し、そのカードの写しを診療録等に添付すること。

(11) 「1」の「イ」については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において3テスラ以上のMRI装置を使用して撮影が行われる場合、又は診断撮影機器での撮影を目的として別の保険医療機関に依頼し3テスラ以上のMRI装置を使用して撮影が行われる場合に限り算定する。

(12) 「注5」に規定する乳房MRI撮影加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、触診、エックス線撮影、超音波検査等の検査で乳腺の悪性腫瘍が疑われる患者に対して、手術適応及び術式を決定するために、1.5テスラ以上のMRI装置及び乳房専用撮像コイルを使用して乳房を描出した場合又は遺伝性乳癌卵巣癌症候群患者に対して、乳癌の精査を目的として1.5テスラ以上のMRI装置及び乳房専用撮像コイルを使用して乳房を描出した場合に限り算定する。

(13) 「注7」に規定する小児鎮静下MRI撮影加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、15歳未満の小児に対して、複数の医師の管理の下、麻酔薬を投与して鎮静を行い、1.5テスラ以上のMRI装置を使用して1回で頭部、頸部、胸部、腹部、脊椎又は四肢軟部のうち複数の領域を一連で撮影した場合に限り算定する。なお、所定点数とは、「注3」から「注5」まで、「注8」及び「注9」の加算を含まない点数とする。

(14) 「注8」に規定する頭部MRI撮影加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、3テスラ以上のMRI装置を使用して頭部の画像を撮影した場合に限り算定する。

(15) 「注9」に規定する全身MRI撮影加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、関連学会の定める指針に従って、前立腺癌の骨転移の診断を目的とし、1.5テスラ以上のMRI装置を使用して複数の躯幹部用コイルと脊椎用コイルを組み合わせ、頸部から骨盤部を少なくとも3部位に分けて撮像した場合に限り算定する。なお、当該画像診断を実施した同一月内に骨転移の診断の目的で区分番号「E100」シンチグラム(画像を伴うもの)又は区分番号「E101」シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影(同一のラジオアイソトープを用いた一連の検査につき)を実施した場合には、主たるもののみ算定する。

E203 コンピューター断層診断

(1) コンピューター断層診断は、実施したコンピューター断層撮影(磁気共鳴コンピューター断層撮影、血流予備量比コンピューター断層撮影及び非放射性キセノン脳血流動態検査を含み、区分番号「E101―3」ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影及び区分番号「E101―4」ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影は含まない。以下同じ。)の種類又は回数にかかわらず、月1回の算定とし、初回のコンピューター断層撮影を実施する日に算定する。

(2) 同一月内において、入院及び外来の両方又は入院中に複数の診療科において、コンピューター断層撮影を実施した場合においては、入院若しくは外来又は診療科の別にかかわらず、月1回に限り算定する。

(3) 当該保険医療機関以外の医療機関で撮影したフィルムについて診断を行った場合には、区分番号「A000」に掲げる初診料(注5のただし書に規定する2つ目の診療科に係る初診料を含む。)を算定した日に限り、コンピューター断層診断料を算定できる。

第5部 投薬

<通則>

1 投薬の費用は、第1節調剤料、第2節処方料、第3節薬剤料、第4節特定保険医療材料料及び第6節調剤技術基本料に掲げる所定点数を合算した点数で算定する。ただし、処方箋を交付した場合は第5節処方箋料に掲げる所定点数のみを算定する。

なお、使用薬剤の薬価(薬価基準)に収載されている臨床試用医薬品を使用した場合は、薬剤料は算定せず、調剤料、処方料、特定保険医療材料料、調剤技術基本料のみを算定する。

2 別に規定する場合を除き、入院実日数を超えて投薬を算定することができる。退院時の投薬については、服用の日の如何にかかわらず入院患者に対する投薬として扱う。

3 投薬時における薬剤の容器は、原則として保険医療機関から患者へ貸与するものとする。なお、患者が希望する場合には、患者にその実費負担を求めて容器を交付できるが、患者が当該容器を返還した場合には、当該容器本体部分が再使用できるものについて当該実費を返還しなければならない。

4 患者に直接投薬する目的で製品化されている薬剤入りチューブ及び薬剤入り使い捨て容器のように再使用できない薬剤の容器については、患者に容器代金を負担させることは認められない。

5 保険医療機関が患者に喘息治療剤の施用のため小型吸入器及び鼻腔・口腔内治療剤の施用のため噴霧・吸入用器具(散粉器)を交付した場合は、患者にその実費負担を求めることができるが、患者が当該吸入器を返還した場合には当該実費を返還しなければならない。

6 入院中の患者に月をまたがって投与した薬剤は、投薬の日の属する月により区分する。

7 外来において数日分投与しその薬剤を入院後も服用する場合、この入院後服用の分の請求区分は服用の日の如何にかかわらず、外来投与として扱う。

8 被保険者が保険医より薬品の授与を受け、持ち帰りの途中又は自宅において薬品を紛失したために(天災地変の他やむを得ない場合を除く。)保険医が再交付した場合は、その薬剤の費用は、被保険者の負担とする。

9 「通則4」については、うがい薬のみの投薬が治療を目的としないものである場合には算定しないことを明らかにしたものであり、治療を目的とする場合にあっては、この限りでない。

なお、うがい薬とは、薬効分類上の含嗽剤をいう。

10 「通則5」の湿布薬とは、貼付剤のうち、薬効分類上の鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤(ただし、専ら皮膚疾患に用いるものを除く。)をいう。

11 入院中の患者以外の患者に対して、血行促進・皮膚保湿剤(ヘパリンナトリウム又はヘパリン類似物質に限る。)を処方された場合で、疾病の治療を目的としたものであり、かつ、医師が当該保湿剤の使用が有効であると判断した場合を除き、これを算定しない。

第1節 調剤料

F000 調剤料

(1) 入院中の患者以外の患者に係る調剤料の所定単位については、1回の処方に係る調剤料として、その剤数・日数又は調剤した量にかかわらず「1」の所定点数を処方料算定時にまとめて算定する。ただし、2以上の診療科で異なる医師が処方した場合は、それぞれの処方につき、調剤料を算定できる。

(2) トローチ剤又は亜硝酸アミル等の嗅薬、噴霧吸入剤については外用薬として、投薬に係る費用を算定する。例えば、トローチ剤の1日量6錠3日分は、18錠分を1調剤の薬剤料として算定する。

(3) 外泊期間中及び入院実日数を超えた部分について、調剤料は算定できない。

(4) 「注」の加算については、内服薬、浸煎薬及び屯服薬、外用薬等の区分、剤数、用法用量等の如何にかかわらず、入院中の患者以外の患者に対して投薬を行う場合は1処方につき1点を、また、入院中の患者に対して投薬を行う場合は1日につき1点を所定点数に加算する。なお、コデインリン酸塩散1%のように、当該薬剤の基剤が麻薬等に属していても、稀釈度により麻薬等の取扱いを受けていないものを調剤又は処方した場合には対象とならない。

(5) 「注」にいう麻薬、向精神薬、覚醒剤原料及び毒薬は次のとおりである。

ア 毒薬とは医薬品医療機器等法第44条第1項の規定(同施行規則第204条、別表第3)による毒薬をいう。

イ 向精神薬とは、麻薬及び向精神薬取締法第2条第6号の規定(同法別表第3)による向精神薬をいう。

第2節 処方料

F100 処方料

(1) 医師が処方する投薬量については、予見することができる必要期間に従ったものでなければならず、30日を超える長期の投薬を行うに当たっては、長期の投薬が可能な程度に病状が安定し、服薬管理が可能である旨を医師が確認するとともに、病状が変化した際の対応方法及び当該保険医療機関の連絡先を患者に周知する。

なお、上記の要件を満たさない場合は、原則として次に掲げるいずれかの対応を行うこと。

ア 30日以内に再診を行う。

イ 許可病床数が200床以上の保険医療機関にあっては、患者に対して他の保険医療機関(許可病床数が200床未満の病院又は診療所に限る。)に文書による紹介を行う旨の申出を行う。

ウ 患者の病状は安定しているものの服薬管理が難しい場合には、分割指示に係る処方箋を交付する。

(2) 複数の診療科を標榜する保険医療機関において、2以上の診療科で異なる医師が処方した場合は、それぞれの処方につき処方料を算定する。

(3) 「1」について

ア 当該保険医療機関が、1回の処方において、抗不安薬を3種類以上、睡眠薬を3種類以上、抗うつ薬を3種類以上、抗精神病薬を3種類以上又は抗不安薬と睡眠薬を合わせて4種類以上投与(以下この部において「向精神薬多剤投与」という。)した場合に算定する。ただし、以下の(イ)から(ハ)までのいずれかに該当する場合、又は抗うつ薬を3種類若しくは抗精神病薬を3種類投与する場合であって(ニ)に該当する場合には、「1」の所定点数は算定せず、「2」又は「3」により算定する。なお、この場合においては、診療報酬明細書の摘要欄に向精神薬多剤投与に該当するが「1」の所定点数を算定しない理由を記載すること。

なお、「臨時の投薬等のもの」とは(イ)から(ハ)までのいずれかを満たすことをいい、「患者の病状等によりやむを得ず投与するもの」とは、(ニ)を満たすことをいう。

(イ) 精神疾患を有する患者が、当該疾患の治療のため、当該保険医療機関を初めて受診した日において、他の保険医療機関で既に向精神薬多剤投与されている場合の連続した6か月間。この場合、診療報酬明細書の摘要欄に、当該保険医療機関の初診日を記載すること。

(ロ) 向精神薬多剤投与に該当しない期間が1か月以上継続しており、向精神薬が投与されている患者について、当該患者の症状の改善が不十分又はみられず、薬剤の切り替えが必要であり、既に投与されている薬剤と新しく導入する薬剤を一時的に併用する場合の連続した3か月間。(年2回までとする。)この場合、診療報酬明細書の摘要欄に、薬剤の切り替えの開始日、切り替え対象となる薬剤名及び新しく導入する薬剤名を記載すること。

(ハ) 臨時に投与した場合。(臨時に投与した場合とは、連続する投与期間が2週間以内又は14回以内のものをいう。1回投与量については、1日量の上限を超えないよう留意すること。なお、投与中止期間が1週間以内の場合は、連続する投与とみなして投与期間を計算する。)なお、抗不安薬及び睡眠薬については、臨時に投与する場合についても種類数に含める。この場合、診療報酬明細書の摘要欄に、臨時の投与の開始日を記載すること。

(ニ) 抗うつ薬又は抗精神病薬に限り、精神科の診療に係る経験を十分に有する医師として別紙様式39を用いて地方厚生(支)局長に届け出たものが、患者の病状等によりやむを得ず投与を行う必要があると認めた場合。なお、ここでいう精神科の診療に係る経験を十分に有する医師とは以下のいずれにも該当するものであること。

① 臨床経験を5年以上有する医師であること。

② 適切な保険医療機関において3年以上の精神科の診療経験を有する医師であること。なお、ここでいう適切な保険医療機関とは、医師に対する適切な研修を実施するため、常勤の指導責任者を配置した上で、研修プログラムの策定、医師に対する精神科医療に係る講義の提供、症例検討会の実施等を満たす保険医療機関を指す。

③ 精神疾患に関する専門的な知識と、ICD―10(平成21年総務省告示第176号(統計法第28条及び附則第3条の規定に基づき、疾病、傷害及び死因に関する分類の名称及び分類表を定める件)の「3」の「(1)疾病、傷害及び死因の統計分類基本分類表」に規定する分類をいう)においてF0からF9までの全てについて主治医として治療した経験を有すること。

④ 精神科薬物療法に関する適切な研修を修了していること。

イ 抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬及び抗精神病薬の種類数は一般名で計算する。また、抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬及び抗精神病薬の種類については、別紙36を参考にすること。

ウ 向精神薬多剤投与を行った保険医療機関は、毎年度4月、7月、10月、1月に、前月までの3か月間の向精神薬多剤投与の状況を別紙様式40を用いて地方厚生(支)局長に報告すること。

(4) 「2」において、処方料における内服薬の種類については、区分番号「F200」薬剤の「注3」における内服薬の種類と同様の取扱いとする。なお、当該処方に係る内服薬の投薬が6種類以下の場合又は外用薬、屯服薬のみの投薬の場合は「3」で算定する。

(5) 「2」において、臨時的に内服薬の追加投与等を行った場合の取扱いについては、区分番号「F200」薬剤の(6)に準じるものとする。

(6) 「2」において、「不安若しくは不眠の症状を有する患者に対して1年以上継続して別に厚生労働大臣が定める薬剤の投薬を行った場合(以下「向精神薬長期処方」という。)」とは、薬効分類上の抗不安剤、催眠鎮静剤、精神神経用剤又はその他の中枢神経系用薬のいずれかに該当する医薬品のうち、ベンゾジアゼピン受容体作動薬を1年以上にわたって、同一の成分を同一の1日当たり用量で連続して処方している場合をいう。なお、定期処方と屯服間の変更については、同一の1日当たり用量には該当しない。また、以下のいずれかに該当する医師が行った処方又は当該処方の直近1年以内に精神科の医師からの助言を得て行っている処方については、向精神薬長期処方に該当せず、「3」を算定すること。

ア 不安又は不眠に係る適切な研修を修了した医師であること。

イ 精神科薬物療法に係る適切な研修を修了した医師であること。

(7) 「注2」の加算は、内服薬、浸煎薬及び屯服薬、外用薬等の区分、剤数、用法用量等の如何にかかわらず、1処方につき1点を所定点数に加算する。

(8) 複数の診療科を標榜する保険医療機関において、2以上の診療科で、異なる医師が3歳未満の乳幼児に対して処方を行った場合は、それぞれの処方について「注4」による乳幼児加算を算定することができる。

(9) 特定疾患処方管理加算

ア 特定疾患処方管理加算は、生活習慣病等の厚生労働大臣が別に定める疾患を主病とする患者について、プライマリ機能を担う地域のかかりつけ医師が総合的に病態分析を行い、それに基づく処方管理を行うことを評価したものであり、診療所又は許可病床数が200床未満の病院においてのみ算定する。

イ 処方期間が28日以上の場合は、特定疾患処方管理加算2として、月1回に限り1処方につき66点を加算する。なお、同一暦月に区分番号「F100」処方料と区分番号「F400」処方箋料を算定する場合にあっては、区分番号「F100」処方料又は区分番号「F400」処方箋料のいずれか一方の加算として月1回に限り算定する。

ウ 処方期間が28日以上の場合の加算は、長期投薬の際の病態分析及び処方管理の評価の充実を図るものであり、特定疾患に対する薬剤の処方期間が28日以上の場合に算定する。ただし、当該患者に処方された薬剤の処方期間が全て28日以上である必要はない。

エ イに該当する場合以外の場合には、特定疾患処方管理加算1として、月2回に限り1処方につき18点を算定する。なお、同一暦月に処方料と処方箋料を算定する場合であっても、処方箋料の当該加算と合わせて2回を限度とする。

オ 主病とは、当該患者の全身的な医学管理の中心となっている特定疾患をいうものであり、2以上の診療科にわたり受診している場合においては、主病と認められる特定疾患の治療に当たっている診療科においてのみ算定する。

カ 特定疾患処方管理加算は初診料を算定した初診の日においても算定できる。

キ 投薬は本来直接本人を診察した上で適切な薬剤を投与すべきであるが、やむを得ない事情で看護等に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合においても算定できる。

(10) 抗悪性腫瘍剤処方管理加算

ア 「注7」に規定する抗悪性腫瘍剤処方管理加算については、入院中の患者以外の悪性腫瘍の患者に対して、抗悪性腫瘍剤による投薬の必要性、副作用、用法・用量、その他の留意点等について文書で説明し同意を得た上で、抗悪性腫瘍剤の適正使用及び副作用管理に基づく処方管理のもとに悪性腫瘍の治療を目的として抗悪性腫瘍剤が処方された場合に算定する。

イ 同一暦月に区分番号「F100」処方料と区分番号「F400」処方箋料を算定する場合にあっては、区分番号「F100」処方料又は区分番号「F400」処方箋料のいずれか一方の加算として月1回に限り算定する。

ウ 加算対象となる抗悪性腫瘍剤は、薬効分類上の腫瘍用薬とする。

(11) 「注8」については、区分番号「A000」初診料の「注2」又は「注3」、区分番号「A002」外来診療料の「注2」又は「注3」を算定する保険医療機関において、以下のアからコまでに定める薬剤を除き、1処方につき投与期間が30日以上の投薬を行った場合には、所定点数の100分の40に相当する点数により算定する。

ア 薬効分類が抗てんかん剤のもので、てんかんに対して用いた場合

イ 薬効分類の小分類が甲状腺ホルモン製剤のもので、甲状腺の障害に対して用いた場合

ウ 薬効分類が副腎ホルモン剤のもので、副腎性器障害又は副腎皮質機能不全に対して用いた場合

エ 薬効分類が卵胞ホルモン及び黄体ホルモン剤のもので、卵巣除去後機能不全その他の卵巣機能不全に対して用いた場合

オ 薬効分類の小分類が合成ビタミンD製剤のもので、副甲状腺機能低下症又は偽性副甲状腺機能低下症に対して用いた場合

カ 薬効分類が乳幼児用剤のもので、フェニルケトン尿症、楓糖尿症、ホモシスチン尿症又はガラクトース血症に対して用いた場合

キ 薬効分類が抗ウイルス剤のもので、後天性免疫不全症候群の病原体に感染している者に対して用いた場合

ク 薬効分類が血液製剤類のもので、血友病の者に対して用いた場合

ケ 薬効分類がその他の腫瘍用薬のもので、慢性骨髄性白血病に対して用いた場合

コ アからケまでの内服薬と併用する薬効分類が健胃消化剤のもので、アからケまでに該当する疾患に対して用いた場合

(12) 「注9」に規定する外来後発医薬品使用体制加算は、後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえ後発医薬品の採用を決定する体制が整備されている保険医療機関を評価したものであり、診療所においてのみ算定する。

(13) 「注10」に規定する向精神薬調整連携加算については、直近の処方が向精神薬多剤投与又は向精神薬長期処方に該当する患者であって、当該処方において直近の処方から抗不安薬等の種類数又は1日当たり用量が減少したものについて、薬剤師又は看護職員に処方内容の変更に伴う心身の状態の変化について確認を指示した場合に算定する。指示に当たっては、処方の変更点を説明するとともに、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)による「PMDAからの医薬品適正使用のお願い(No.11 2017年3月)」又は睡眠薬の適正使用及び減量・中止のための診療ガイドラインに関する研究班(平成24年度厚生労働科学研究・障害者対策総合研究事業)が作成した「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」等を参考に特に留意すべき症状等について具体的に指示をすること。

(14) (13)における「抗不安薬等の種類数の減少」については、一般名で種類数を計算した場合に抗不安薬等の種類数が減少している場合をいう。また、「抗不安薬等の1日当たり用量の減少」には、一般名で用量を計算した場合に抗不安薬等の用量が減少している場合をいい、定期処方を屯服に変更した場合が含まれること。

(15) 外来後発医薬品使用体制加算は、当該保険医療機関において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が70%以上、75%以上又は85%以上であるとともに、外来において後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用を積極的に行っている旨を当該保険医療機関の見やすい場所に掲示している保険医療機関において、1処方につき2点、4点又は5点を所定点数に加算する。

第3節 薬剤料

F200 薬剤

(1) 「注2」については、区分番号「F100」処方料の(3)に準じるものとする。

(2) 「注2」の算定は、外来の場合に限る。なお、1処方とは処方料の算定単位となる処方をいう。

(3) 1回の処方において、2種類以上の内服薬を調剤する場合には、それぞれの薬剤を個別の薬包等に調剤しても、服用時点及び服用回数が同じであるものについては、次の場合を除き1剤として算定する。

ア 配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合

イ 固形剤と内用液剤の場合

ウ 内服錠とチュアブル錠等のように服用方法が異なる場合

(4) 「注1」における「その他の特定の疾患」とは、難病の患者に対する医療等に関する法律第5条に規定する指定難病(同法第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されている患者(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に係るものに限る。)又は「特定疾患治療研究事業について」に掲げる疾患(当該疾患に罹患しているものとして都道府県知事から受給者証の交付を受けているものに限る。ただし、スモンについては過去に公的な認定を受けたことが確認できる場合等を含む。)をいう。

(5) 特別入院基本料等を算定する病棟を有する病院の長期入院患者に係る入院期間の算定は、当該特別入院基本料等を算定する病棟を有する病院となる以前からの入院期間を通算する。

また、入院期間の算定は第1章第2部入院料等の通則の例に準じる。

(6) 「注3」の多剤投与の場合の算定

ア 「注3」の算定は、外来の場合に限り、1処方のうち、内服薬についてのみ対象とする。この場合の「種類」については、次のように計算する。なお、1処方とは処方料の算定単位となる処方をいう。

(イ) 錠剤、カプセル剤については、1銘柄ごとに1種類と計算する。

(ロ) 散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類と計算する。

(ハ) (ロ)の薬剤を混合して服薬できるよう調剤を行ったものについては、1種類とする。

(ニ) 薬剤料に掲げる所定単位当たりの薬価が205円以下の場合には、1種類とする。

イ 「注3」の「所定点数」とは、1処方のうちの全ての内服薬の薬剤料をいう。

ウ 「注3」の算定は、常態として投与する内服薬が7種類以上の場合に行い、臨時に投与する薬剤については対象としない。

エ ウの臨時に投与する薬剤とは連続する投与期間が2週間以内のものをいい、2週間を超える投与期間の薬剤にあっては常態として投与する薬剤として扱う。なお、投与中止期間が1週間以内の場合は、連続する投与とみなして投与期間を計算する。

オ 臨時的に内服薬の追加投与等を行った結果、1処方につき内服薬が7種類以上となる場合において、傷病名欄からその必要性が明らかでない場合には、診療報酬明細書の摘要欄にその必要性を記載する。

(7) 「注4」については、区分番号「F100」処方料の(12)に準じるものとする。

(8) ビタミン剤

ア 「注5」に規定するビタミン剤とは、内服薬及び注射薬をいうものであり、また、ビタミンを含有する配合剤を含むものである。

イ ビタミン剤に係る薬剤料が算定できるのは、医師が当該ビタミン剤の投与が有効であると判断し、適正に投与された場合に限られるものであり、医師が疾患の特性により投与の必要性を認める場合のほか、具体的には、次のような場合をいう。ただし、薬事承認の内容に従って投与された場合に限る。

(イ) 患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝障害であることが明らかであり、かつ、必要なビタミンを食事により摂取することが困難である場合(例えば、悪性貧血のビタミンB12の欠乏等、診察及び検査の結果から当該疾患又は症状が明らかな場合)

(ロ) 患者が妊産婦、乳幼児等(手術後の患者及び高カロリー輸液療法実施中の患者を含む。)であり、診察及び検査の結果から食事からのビタミンの摂取が不十分であると診断された場合

(ハ) 患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝障害であると推定され、かつ、必要なビタミンを食事により摂取することが困難である場合

(ニ) 重湯等の流動食及び軟食のうち、一分がゆ、三分がゆ又は五分がゆを食している場合

(ホ) 無菌食、フェニールケトン尿症食、楓糖尿症食、ホモシスチン尿症食又はガラクトース血症食を食している場合

ウ ビタミン剤に係る薬剤料を算定する場合には、当該ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨を具体的に診療録及び診療報酬明細書に記載しなければならない。ただし、病名によりビタミン剤の投与が必要、かつ、有効と判断できる場合は趣旨を診療報酬明細書に記載することは要しない。

第5節 処方箋料

F400 処方箋料

(1) 医師が処方する投薬量については、予見することができる必要期間に従ったものでなければならず、30日を超える長期の投薬を行うに当たっては、長期の投薬が可能な程度に病状が安定し、服薬管理が可能である旨を医師が確認するとともに、病状が変化した際の対応方法及び当該保険医療機関の連絡先を患者に周知する。

なお、上記の要件を満たさない場合は、原則として次に掲げるいずれかの対応を行うこと。

ア 30日以内に再診を行う。

イ 許可病床数が200床以上の保険医療機関にあっては、患者に対して他の保険医療機関(許可病床数が200床未満の病院又は診療所に限る。)に文書による紹介を行う旨の申出を行う。

ウ 患者の病状は安定しているものの服薬管理が難しい場合には、分割指示に係る処方箋を交付する。

(2) 保険薬局で保険調剤を受けさせるために、患者に保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)に定められている様式の完備した処方箋(院外処方箋)を交付した場合に限り算定し、その処方箋に処方した剤数、投与量(日分数)等の如何にかかわらず、1回として算定する。なお、分割指示に係る処方箋を発行する場合は、保険医療機関及び保険医療養担当規則に定められている様式第二号の二を用いることとし、分割の回数は3回までとする。また、患者に対し、調剤を受ける度に別紙を含む分割指示に係る処方箋の全てを保険薬局に提出するよう指導する。

(3) 同一の保険医療機関が一連の診療に基づいて、同時に、同一の患者に2枚以上の処方箋を交付した場合は、1回として算定する。

(4) 複数の診療科を標榜する保険医療機関において、2以上の診療科で、異なる医師が処方した場合は、それぞれの処方につき処方箋料を算定することができる。

(5) 「1」については、区分番号「F100」処方料の(3)に準じるものとする。

(6) 「2」において、処方箋料における内服薬の種類については、区分番号「F200」薬剤の「注3」における内服薬の種類と同様の取扱いとする。なお、当該処方に係る内服薬の投薬が6種類以下の場合又は外用薬、屯服薬のみの投薬の場合は「3」で算定する。

(7) 「2」において、臨時的に内服薬の追加投与等を行った結果、1処方につき内服薬が7種類以上となる場合には、処方箋の備考欄にその必要性を記載する。

その他、臨時的に内服薬の追加投与を行った場合の取扱いについては区分番号「F200」薬剤の(6)に準じるものとする。

(8) 「2」において、「不安若しくは不眠の症状を有する患者に対して1年以上継続して別に厚生労働大臣が定める薬剤の投薬を行った場合」については、区分番号「F100」処方料の(6)に準じるものとする。

(9) 同一の患者に対して、同一診療日に、一部の薬剤を院内において投薬し、他の薬剤を院外処方箋により投薬することは、原則として認められない。

また、注射器、注射針又はその両者のみを処方箋により投与することは認められない。

(10) 「注2」については、区分番号「F100」処方料の(11)に準じるものとする。

(11) 乳幼児加算、特定疾患処方管理加算及び抗悪性腫瘍剤処方管理加算は区分番号「F100」処方料の(8)、(9)又は(10)に準じるものとする。

(12) 「注7」に規定する一般名処方加算は、後発医薬品のある医薬品について、薬価基準に収載されている品名に代えて、一般的名称に剤形及び含量を付加した記載(以下「一般名処方」という。)による処方箋を交付した場合に限り算定できるものである。交付した処方箋に含まれる医薬品のうち、後発医薬品のある全ての医薬品(2品目以上の場合に限る。)が一般名処方されている場合には一般名処方加算1を、1品目でも一般名処方されたものが含まれている場合には一般名処方加算2を、処方箋の交付1回につきそれぞれ加算する。品目数については、一般的名称で計算する。ただし、投与経路が異なる場合は、一般的名称が同一であっても、別品目として計算する。

なお、一般名処方とは、単に医師が先発医薬品か後発医薬品かといった個別の銘柄にこだわらずに処方を行っているものである。

また、一般名処方を行った場合の(6)の取扱いにおいて、「種類」の計算に当たっては、該当する医薬品の薬価のうち最も低いものの薬価とみなすものとする。

(13) 「注8」については、区分番号「F100」処方料の(13)及び(14)に準じるものとする。

(14) 訪問薬剤管理指導との関係

保険薬局に訪問薬剤管理指導を依頼している場合は、当該保険医療機関は区分番号「C008」在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定できない。保険薬局から情報提供があった場合は、当該保険医療機関は文書を診療録等に添付する。なお、地方厚生(支)局長に届出を行った保険薬局が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定できるのは月に4回(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者については、週2回かつ月8回)に限られる。

第6節 調剤技術基本料

F500 調剤技術基本料

(1) 調剤技術基本料は、重複投薬の防止等保険医療機関内における調剤の管理の充実を図るとともに投薬の適正を確保することを目的としており、薬剤師が常態として勤務する保険医療機関において、薬剤師の管理のもとに調剤が行われた場合に、患者1人につき、月1回に限り算定する。

(2) 同一医療機関において同一月内に処方箋の交付がある場合は、調剤技術基本料は算定できない。

(3) 同一月に区分番号「B008」薬剤管理指導料又は区分番号「C008」在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している場合には、調剤技術基本料は算定しない。

(4) 院内製剤加算

ア 「注3」の院内製剤加算は、薬価基準に収載されている医薬品に溶媒、基剤等の賦形剤を加え、当該医薬品とは異なる剤形の医薬品を院内製剤の上調剤した場合に、次の場合を除き算定できる。

(イ) 調剤した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合

(ロ) 散剤を調剤した場合

(ハ) 液剤を調剤する場合であって、薬事承認の内容が用時溶解して使用することとなっている医薬品を交付時に溶解した場合

(ニ) 1種類のみの医薬品を水に溶解して液剤とする場合(安定剤、溶解補助剤、懸濁剤等製剤技術上必要と認められる添加剤を使用した場合及び調剤技術上、ろ過、加温、滅菌行為をなす必要があって、これらの行為を行った場合を除く。)

イ 上記アにかかわらず、剤形が変わらない場合であっても、次に該当する場合には、院内製剤加算が算定できる。ただし、調剤した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合を除く。

(イ) 同一剤形の2種類以上の既製剤(賦形剤、矯味矯臭剤等を除く。)を混合した場合(散剤及び顆粒剤を除く。)

(ロ) 安定剤、溶解補助剤、懸濁剤等製剤技術上必要と認められる添加剤を加えて調剤した場合

(ハ) 調剤技術上、ろ過、加温、滅菌行為をなす必要があって、これらの行為を行った場合

ウ ア、イにかかわらず調剤した医薬品を、原料とした医薬品の承認内容と異なる用法・用量あるいは効能・効果で用いる場合は院内製剤加算は算定できない。

第6部 注射

<通則>

1 注射に係る費用は、第1節注射料、第2節薬剤料及び第3節特定保険医療材料料(別に厚生労働大臣が定める保険医療材料のうち注射に当たり使用したものの費用に限る。)に掲げる所定点数を合算した点数によって算定する。

2 生物学的製剤注射加算

(1) 「通則3」の生物学的製剤注射加算を算定できる注射薬は、トキソイド、ワクチン及び抗毒素であり、注射の方法にかかわらず、次に掲げる薬剤を注射した場合に算定できる。

ア ((局))乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン

イ 組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)

ウ 組換え沈降B型肝炎ワクチン(チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞由来)

エ 肺炎球菌ワクチン

オ 髄膜炎菌ワクチン

カ 沈降破傷風トキソイド

キ ((局))ガスえそウマ抗毒素

ク 乾燥ガスえそウマ抗毒素

ケ ((局))乾燥ジフテリアウマ抗毒素

コ ((局))乾燥破傷風ウマ抗毒素

サ ((局))乾燥はぶウマ抗毒素

シ ((局))乾燥ボツリヌスウマ抗毒素

ス ((局))乾燥まむしウマ抗毒素

(2) 区分番号「G005」中心静脈注射又は区分番号「G006」植込型カテーテルによる中心静脈注射の回路より生物学的製剤を注入した場合は、「通則3」の加算を算定できる。

3 精密持続点滴注射加算

(1) 「通則4」の精密持続点滴注射は、自動輸液ポンプを用いて1時間に30mL以下の速度で体内(皮下を含む。)又は注射回路に薬剤を注入することをいう。

(2) 1歳未満の乳児に対して精密持続点滴注射を行う場合は、注入する薬剤の種類にかかわらず算定できるが、それ以外の者に対して行う場合は、緩徐に注入する必要のあるカテコールアミン、βブロッカー等の薬剤を医学的必要性があって注入した場合に限り算定する。

(3) 区分番号「G003」抗悪性腫瘍剤局所持続注入の実施時に精密持続点滴を行った場合は、「通則4」の加算を算定できる。

(4) 区分番号「G005」中心静脈注射又は区分番号「G006」植込型カテーテルによる中心静脈注射の回路より精密持続点滴注射を行った場合は、「通則4」の加算を算定できる。

4 外来化学療法加算

(1) 「通則6」に規定する外来化学療法加算については、入院中の患者以外の悪性腫瘍等の患者に対して、抗悪性腫瘍剤等による注射の必要性、副作用、用法・用量、その他の留意点等について文書で説明し同意を得た上で、外来化学療法に係る専用室において、悪性腫瘍等の治療を目的として抗悪性腫瘍剤等が投与された場合に、投与された薬剤に従い、いずれかの主たる加算の所定点数を算定する。同一日に「(1)」に掲げる抗悪性腫瘍剤を注射した場合と「(2)」に掲げる抗悪性腫瘍剤以外の薬剤を注射した場合は併せて算定できない。

(2) 外来化学療法加算1を届け出た保険医療機関において外来化学療法加算1を算定するに当たり、当該保険医療機関で実施される化学療法のレジメン(治療内容)の妥当性を評価し、承認する委員会(他の保険医療機関と連携し、共同で開催する場合を含む。)において、承認され、登録されたレジメンを用いて治療を行ったときのみ算定でき、それ以外の場合には、外来化学療法加算1及び2は算定できない。

(3) 「(1)」に掲げる抗悪性腫瘍剤を注射した場合は、薬効分類上の腫瘍用薬を、区分番号「G000」皮内、皮下及び筋肉内注射以外により投与した場合に算定する。なお、この場合において、引き続き薬効分類上の腫瘍用薬を用いて、入院中の患者以外の患者に対して在宅自己注射指導管理に係る自己注射に関する指導管理を行った場合であっても、同一月に区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料は算定できない。

(4) 「(2)」に掲げる抗悪性腫瘍剤以外の薬剤を注射した場合は、次に掲げるいずれかの投与を行った場合に限り算定する。なお、この場合において、引き続き次に掲げる製剤を用いて、入院中の患者以外の患者に対して在宅自己注射指導管理に係る自己注射に関する指導管理を行った場合であっても、同一月に区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料は算定できない。

ア 関節リウマチ、クローン病、ベーチェット病、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬又は乾癬性紅皮症の患者に対してインフリキシマブ製剤を投与した場合

イ 関節リウマチ、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎又はキャッスルマン病の患者に対してトシリズマブ製剤を投与した場合

ウ 関節リウマチの患者に対してアバタセプト製剤を投与した場合

エ 多発性硬化症の患者に対してナタリズマブ製剤を投与した場合

オ 全身性エリテマトーデスの患者に対してベリムマブ製剤を投与した場合

(5) 「通則7」に規定する連携充実加算については、外来化学療法加算1を届け出た保険医療機関において、入院中の患者以外の悪性腫瘍の患者に対して、外来化学療法加算1(抗悪性腫瘍剤を注射した場合)を算定する日に、次に掲げる全ての業務を実施した場合に月1回に限り算定する。

ア 化学療法の経験を有する専任の医師又は化学療法に係る調剤の経験を有する専任の薬剤師が必要に応じてその他の職種と共同して、患者に注射又は投薬されている抗悪性腫瘍剤等の副作用の発現状況を評価するとともに、副作用の発現状況を記載した治療計画等の治療の進捗に関する文書を患者に交付すること。なお、当該文書に次に掲げる事項が記載されていること。

(イ) 患者に実施しているレジメン

(ロ) 当該レジメンの実施状況

(ハ) 患者に投与した抗悪性腫瘍剤等の投与量

(ニ) 主な副作用の発現状況(「有害事象共通用語規準v5.0日本語訳JCOG版」に基づく副作用の重篤度のスケール(Grade)及び関連する血液・生化学的検査の結果等)

(ホ) その他医学・薬学的管理上必要な事項

イ 治療の状況等を共有することを目的に、交付した治療計画等の治療の進捗に関する文書を他の保険医療機関又は保険薬局の医師又は薬剤師に提示するよう患者に指導を行うこと。

ウ 他の保険医療機関又は保険薬局から服薬状況、抗悪性腫瘍剤等の副作用等に関する情報が提供された場合には、必要な分析又は評価等を行うこと。

エ 悪性腫瘍の治療を担当する医師の診察に当たっては、あらかじめ薬剤師、看護師等と連携して服薬状況、抗悪性腫瘍剤等の副作用等に関する情報を収集し、診療に活用することが望ましい。

オ 療養のため必要な栄養の指導を実施する場合には、管理栄養士と連携を図ること。

5 特定入院料等注射の手技料を含む点数を算定した場合は、「通則3」、「通則4」及び「通則5」の加算は算定できない。なお、使用薬剤の薬価(薬価基準)に収載されている臨床試用医薬品を使用した場合は、第2節薬剤料は算定せず、第1節注射料及び第3節特定保険医療材料料のみ算定する。

6 心臓内注射及び痔核注射等の第1節に掲げられていない注射のうち簡単なものに係る費用については、第2節薬剤料に掲げる所定点数のみ算定する。ただし、胸腔注入、前房注射、副鼻腔注入及び気管支カテーテル薬液注入法については、第2章第9部処置に掲げる所定点数をそれぞれ算定し、これらに係る薬剤料の算定に関しては第2章第5部投薬の区分番号「F200」薬剤の(4)、(5)及び(8)の例による。

7 第1節に掲げられていない注射のうち、特殊なもの(点数表にあっても、手技が従来の注射と著しく異なる場合等を含む。)の費用は、その都度当局に内議し、最も近似する注射として準用が通知された算定方法により算定する。

8 区分番号「G001」静脈内注射、区分番号「G004」点滴注射、区分番号「G005」中心静脈注射又は区分番号「G006」植込型カテーテルによる中心静脈注射のうち2以上を同一日に併せて行った場合は、主たるものの所定点数のみ算定する。

9 区分番号「G004」点滴注射、区分番号「G005」中心静脈注射及び区分番号「G006」植込型カテーテルによる中心静脈注射の回路に係る費用並びに穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料については、それぞれの所定点数に含まれ、別に算定できない。

10 人工腎臓の回路より注射を行った場合は、当該注射に係る費用は別に算定できない。

第1節 注射料

<通則>

注射料は、第1款注射実施料及び第2款無菌製剤処理料に掲げる点数を合算した所定点数により算定する。なお、6歳未満の乳幼児である入院患者に対する1日分の注射量が100mL未満の点滴注射等、注射実施料が算定できないこととされる場合であっても、無菌製剤処理料を算定できる。

第1款 注射実施料

G000 皮内、皮下及び筋肉内注射

(1) 入院中の患者以外の患者に対して行った場合にのみ算定し、入院中の患者に行った場合は、1日の薬剤料を合算し、第2節薬剤料のみ算定できる。

(2) 涙のう内薬液注入、鼓室内薬液注入、局所・病巣内薬剤注入、子宮腟部注射、咽頭注射(軟口蓋注射、口蓋ヒヤリー氏点の注射を含む。)、腱鞘周囲注射及び血液注射については、皮内、皮下及び筋肉内注射に準じて算定する。ただし、涙のう内薬液注入については、両眼にそれぞれ異なる薬剤を使用した場合は、片眼ごとに所定点数を算定する。

(3) 区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料、区分番号「C108」在宅悪性腫瘍等患者指導管理料又は区分番号「C108―2」在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)に対して、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて皮内、皮下及び筋肉内注射を行った場合は、当該注射に係る費用は算定しない。

G001 静脈内注射

(1) 入院中の患者以外の患者に対して行った場合にのみ算定し、入院中の患者に行った場合は、1日の薬剤料を合算し、第2節薬剤料のみ算定する。

(2) 区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料、区分番号「C104」在宅中心静脈栄養法指導管理料、区分番号「C108」在宅悪性腫瘍等患者指導管理料又は区分番号「C108―2」在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)に対して、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて静脈内注射を行った場合は、当該注射に係る費用は算定しない。

G002 動脈注射

「内臓の場合」とは、肺動脈起始部、大動脈弓及び腹部大動脈等深部動脈に対して行う場合であり、「その他の場合」とは、頸動脈、鎖骨下動脈、股動脈、上腕動脈等に対して行う場合をいう。

G003 抗悪性腫瘍剤局所持続注入

(1) ポンプを利用して注入する場合におけるポンプの費用及び当該注入に必要なカテーテル等の材料の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 区分番号「C108」在宅悪性腫瘍等患者指導管理料を算定している月においては、当該抗悪性腫瘍剤局所持続注入に係る費用(薬剤料は除く。)は算定できない。

G003―3 肝動脈塞栓を伴う抗悪性腫瘍剤肝動脈内注入

(1) 抗悪性腫瘍剤注入用肝動脈塞栓材と抗悪性腫瘍剤を混和して肝動脈内に注入する場合に算定できる。なお、当該注入に必要なカテーテル等の材料の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 抗悪性腫瘍剤注入用肝動脈塞栓材の使用量を決定する目的で当該塞栓材のみを注入する場合は、その必要性が高い場合に限り、月1回に限り算定できる。

G004 点滴注射

(1) 6歳未満の乳幼児に対する1日分の注射量が100mL未満の場合及び6歳以上の者に対する1日分の注射量が500mL未満の場合は、入院中の患者以外の患者に限り、3に掲げる所定点数で算定する。

(2) 「注射量」は、次のように計算する。

ア 点滴回路より薬物を注入するいわゆる「管注」を行った場合には、「管注」に用いた薬剤及び補液に用いた薬剤の総量。

イ 同一の者に対して、点滴注射を1日に2回以上行った場合には、それぞれの注射に用いた薬剤の総量。

(3) 血漿成分製剤加算

ア 「注3」に規定する「文書による説明」とは、1回目の輸注を行う際(当該患者に対して複数回の輸注を行う場合は概ね1週間毎)に、別紙様式20又はこれに準ずる様式により、患者(医師の説明に対して理解が困難と認められる小児又は意識障害者等にあっては、その家族等)に対して、輸注の必要性、副作用、輸注方法及びその他の留意点等について説明することをいう。

イ 説明に用いた文書については、患者(医師の説明に対して理解が困難と認められる小児又は意識障害者等にあっては、その家族等)から署名又は押印を得た上で、当該患者に交付するとともに、その文書の写しを診療録に添付することとする。

ウ 緊急その他やむを得ない場合は、輸注後に説明を行った場合も算定できるが、この場合輸注後速やかに行うこととする。

エ 「注3」に規定する血漿成分製剤とは、新鮮液状血漿及び新鮮凍結人血漿等をいい、血漿分画製剤(アルブミン製剤、グロブリン製剤等)は含まれないが、血漿成分製剤に準じ、患者に対して輸注の必要性等の説明を行うよう努めること。なお、血漿成分製剤及び血漿分画製剤の輸注に当たっては、「「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」の一部改正について」(平成26年11月12日薬食発1112第12号)及び「「血液製剤の使用指針」の改定について」(平成31年3月25日薬生発0325第1号)を遵守するよう努めるものとする。

(4) 区分番号「C101」、区分番号「C104」、区分番号「C108」又は区分番号「C108―2」に掲げる在宅自己注射指導管理料、在宅中心静脈栄養法指導管理料、在宅悪性腫瘍等患者指導管理料又は在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)に対して、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて点滴注射を行った場合は、当該注射に係る費用は算定しない。

G005 中心静脈注射

(1) 中心静脈注射により高カロリー輸液を行っている場合であっても、必要に応じ食事療養又は生活療養を行った場合は、入院時食事療養(Ⅰ)若しくは入院時食事療養(Ⅱ)又は入院時生活療養(Ⅰ)の食事の提供たる療養に係る費用若しくは入院時生活療養(Ⅱ)の食事の提供たる療養に係る費用を別に算定できる。

(2) 「注1」に掲げられる血漿成分製剤加算については、区分番号「G004」点滴注射の(3)に規定する血漿成分製剤加算の例による。

(3) 区分番号「C104」在宅中心静脈栄養法指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者及び医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の患者を除く。)については、中心静脈注射の費用は算定できない。

(4) 区分番号「C108」在宅悪性腫瘍等患者指導管理料又は区分番号「C108―2」在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)について、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて中心静脈注射を行った場合は当該注射の費用は算定しない。

G005―2 中心静脈注射用カテーテル挿入

(1) 長期の栄養管理を目的として、中心静脈注射用カテーテル挿入を行う際には、中心静脈注射用カテーテルによる療養の必要性、管理の方法及び終了の際に要される身体の状態等、療養上必要な事項について患者又はその家族等への説明を行うこと。

(2) 長期の栄養管理を目的として、中心静脈注射用カテーテル挿入を実施した後、他の保険医療機関等に患者を紹介する場合は、中心静脈注射用カテーテルによる療養の必要性、管理の方法及び終了の際に要される身体の状態等、療養上必要な事項並びに患者又はその家族等への説明内容等を情報提供すること。

(3) 中心静脈圧測定の目的でカテーテルを挿入した場合は、中心静脈注射用カテーテル挿入に準じて算定する。中心静脈注射及び中心静脈圧測定を同一の回路より同時に行った場合は、どちらか一方のみを算定する。

ただし、中心静脈注射及び中心静脈圧測定を別の回路から別のカテーテルを用いて同時に行った場合は、それぞれ材料料及び手技料を算定できる。

(4) カテーテルの詰まり等によりカテーテルを交換する場合は、カテーテルの材料料及び手技料はその都度算定できる。

(5) カテーテル挿入時の局所麻酔の手技料は別に算定できず、使用薬剤の薬剤料は別に算定できる。

(6) 区分番号「C104」、区分番号「C108」又は区分番号「C108―2」在宅中心静脈栄養法指導管理料、在宅悪性腫瘍等患者指導管理料又は在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)について、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて中心静脈注射用カテーテル挿入を行った場合は、カテーテルの材料料及び手技料は別に算定できる。

(7) 緊急時ブラッドアクセス用留置カテーテル(ただし、カフ型緊急時ブラッドアクセス用留置カテーテルを除く。)を挿入した場合は、中心静脈注射用カテーテル挿入に準じて算定する。

(8) 中心静脈注射用カテーテル挿入に係る抜去の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

G005―3 末梢留置型中心静脈注射用カテーテル挿入

(1) 長期の栄養管理を目的として、末梢留置型中心静脈注射用カテーテル挿入を行う際には、末梢留置型中心静脈注射用カテーテルによる療養の必要性、管理の方法及び終了の際に要される身体の状態等、療養上必要な事項について患者又はその家族等への説明を行うこと。

(2) 長期の栄養管理を目的として、末梢留置型中心静脈注射用カテーテル挿入を実施した後、他の保険医療機関等に患者を紹介する場合は、末梢留置型中心静脈注射用カテーテルによる療養の必要性、管理の方法及び終了の際に要される身体の状態等、療養上必要な事項並びに患者又はその家族等への説明内容等を情報提供すること。

(3) カテーテルの詰まり等によりカテーテルを交換する場合は、カテーテルの材料料及び手技料はその都度算定できる。

(4) カテーテル挿入時の局所麻酔の手技料は別に算定できず、使用薬剤の薬剤料は別に算定できる。

(5) 区分番号「C104」に掲げる在宅中心静脈栄養法指導管理料、区分番号「C108」に掲げる在宅悪性腫瘍等患者指導管理料又は区分番号「C108―2」に掲げる在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含む。)に対して、区分番号「C001」に掲げる在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号「C001―2」に掲げる在宅患者訪問診療料(Ⅱ)を算定する日に、患家において当該訪問診療と併せて末梢留置型中心静脈注射用カテーテル挿入を行った場合は、カテーテルの材料料及び手技料は別に算定できる。

G005―4 カフ型緊急時ブラッドアクセス用留置カテーテル挿入

(1) 本カテーテルの材料料及び手技料は1週間に1回を限度として算定できる。

(2) カテーテル挿入時の局所麻酔の手技料は別に算定できず、使用薬剤の薬剤料は別に算定できる。

G006 植込型カテーテルによる中心静脈注射

(1) 植込型カテーテルにより中心静脈栄養を行った場合は、本区分により算定する。

(2) 植込型カテーテルによる中心静脈注射により高カロリー輸液を行っている場合であっても、必要に応じ食事療養又は生活療養を行った場合は、入院時食事療養(Ⅰ)若しくは入院時食事療養(Ⅱ)又は入院時生活療養(Ⅰ)の食事の提供たる療養に係る費用若しくは入院時生活療養(Ⅱ)の食事の提供たる療養に係る費用を別に算定できる。

(3) 区分番号「C104」在宅中心静脈栄養法指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算又は薬剤料若しくは特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者及び医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については、植込型カテーテルによる中心静脈注射の費用は算定できない。

G009 脳脊髄腔注射

検査、処置を目的とする穿刺と同時に実施した場合は、当該検査若しくは処置又は脳脊髄腔注射のいずれかの所定点数を算定する。

G010 関節腔内注射

検査、処置を目的とする穿刺と同時に実施した場合は、当該検査若しくは処置又は関節腔内注射のいずれかの所定点数を算定する。

G012 結膜下注射

(1) 両眼に行った場合は、それぞれに片眼ごとの所定点数を算定する。

(2) 結膜下注射又は眼球注射の実施時に使用された麻薬については、「通則5」の加算は算定できない。

G012―2 自家血清の眼球注射

眼球注射に際し、患者の血液を採取する場合は所定点数に採血料を加算して算定する。

G016 硝子体内注射

両眼に行った場合は、それぞれに片眼ごとの所定点数を算定する。

G017 腋窩多汗症注射(片側につき)

同一側の2箇所以上に注射を行った場合においても、1回のみの算定とする。

G018 外眼筋注射(ボツリヌス毒素によるもの)

当該注射の実施に当たっては、関連学会の定める手引きを遵守すること。

第2款 無菌製剤処理料

G020 無菌製剤処理料

(1) 無菌製剤処理とは、無菌室、クリーンベンチ、安全キャビネット等の無菌環境において、無菌化した器具を用いて、製剤処理を行うことをいう。

無菌製剤処理は、常勤の薬剤師が行うとともに、その都度、当該処理に関する記録を整備し、保管しておくこと。

(2) 無菌製剤処理料1の対象患者は、悪性腫瘍に対して用いる薬剤であって細胞毒性を有するものに関し、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、動脈注射、抗悪性腫瘍剤局所持続注入、肝動脈塞栓を伴う抗悪性腫瘍剤肝動脈内注入又は点滴注射が行われる患者であり、この場合において、「悪性腫瘍に対して用いる薬剤であって細胞毒性を有するもの」とは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律第192号)第4条第5項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が指定した医薬品(平成16年厚生労働省告示第185号)のうち、悪性腫瘍に対して用いる注射剤をいう。

なお、この場合の無菌製剤処理は、常勤の薬剤師が無菌製剤処理を行う薬剤を用いる患者ごとに、投与経路、投与速度、投与間隔等の確認を行った上で行うこととする。また、安全キャビネットを用いた無菌環境下で無菌製剤処理を行うこと。

(3) 無菌製剤処理料1のうち、イについては、バイアル内外の差圧を調節する機構を有することにより、薬剤の飛散等を防止する閉鎖式接続器具を用いて無菌製剤処理を行った場合に算定する。

閉鎖式接続器具を使用した場合は、当該器具の製品名及び数量を(1)に基づき記録すること。

(4) 閉鎖式接続器具については、薬剤の漏出防止性能を有するものとして薬事承認された医療機器を用いることが望ましい。

(5) 無菌製剤処理料2の対象患者は、以下のア又はイに該当する患者である。

ア 動脈注射又は点滴注射が行われる入院中の患者のうち、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症等の患者及び後天性免疫不全症候群の病原体に感染し抗体の陽性反応がある患者であって、無菌治療室管理加算若しくはHIV感染者療養環境特別加算を算定する患者又はこれらの患者と同等の状態にある患者

イ 中心静脈注射又は植込型カテーテルによる中心静脈注射が行われる患者

第2節 薬剤料

G100 薬剤

アレルゲン治療エキス及びアレルゲンハウスダストエキス等によるアレルギー疾患減感作療法において使用した薬剤料については、使用量(やむを得ず廃棄した場合の薬液量を含む。)に応じて薬価により算定する。

第7部 リハビリテーション

<通則>

1 リハビリテーション医療は、基本的動作能力の回復等を目的とする理学療法や、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法、言語聴覚能力の回復等を目的とした言語聴覚療法等の治療法より構成され、いずれも実用的な日常生活における諸活動の実現を目的として行われるものである。

2 第1節リハビリテーション料に掲げられていないリハビリテーションのうち、簡単なものの費用は、算定できないものであるが、個別に行う特殊なものの費用は、その都度当局に内議し、最も近似するリハビリテーションとして準用が通知された算定方法により算定する。

3 各区分におけるリハビリテーションの実施に当たっては、全ての患者の機能訓練の内容の要点及び実施時刻(開始時刻と終了時刻)の記録を診療録等へ記載すること。

4 区分番号「H000」心大血管疾患リハビリテーション料、区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料、区分番号「H001―2」廃用症候群リハビリテーション料、区分番号「H002」運動器リハビリテーション料及び区分番号「H003」呼吸器リハビリテーション料(以下この部において「疾患別リハビリテーション料」という。)に掲げるリハビリテーション(以下この部において「疾患別リハビリテーション」という。)の実施に当たっては、医師は定期的な機能検査等をもとに、その効果判定を行い、別紙様式21を参考にしたリハビリテーション実施計画書をリハビリテーション開始後原則として7日以内、遅くとも14日以内に作成する必要がある。また、リハビリテーション実施計画書の作成時及びその後(疾患別リハビリテーション料の各規定の「注4」並びに区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料、区分番号「H001―2」廃用症候群リハビリテーション料及び区分番号「H002」運動器リハビリテーション料の「注5」にそれぞれ規定する場合を含む。)3か月に1回以上(特段の定めのある場合を除く。)、患者又はその家族等に対して当該リハビリテーション実施計画書の内容を説明の上交付するとともに、その写しを診療録に添付すること。なお、リハビリテーション実施計画書の作成前に疾患別リハビリテーションを実施する場合には、医師が自ら実施する場合又は実施するリハビリテーションについて医師の具体的指示があった場合に限り、該当する疾患別リハビリテーション料を算定できる。

また、疾患別リハビリテーションを実施している患者であって、急性期又は回復期におけるリハビリテーション料を算定する日数として、疾患別リハビリテーション料の各規定の「注1」本文に規定する日数(以下「標準的算定日数」という。)を超えて継続して疾患別リハビリテーションを行う患者(疾患別リハビリテーション料の各規定の「注4」並びに区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料、区分番号「H001―2」廃用症候群リハビリテーション料及び区分番号「H002」運動器リハビリテーション料の「注5」にそれぞれ規定する場合を除く。)のうち、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合(特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一号に掲げる患者であって、別表第九の九第一号に掲げる場合)は、継続することとなった日を診療録に記載することと併せ、継続することとなった日及びその後1か月に1回以上リハビリテーション実施計画書を作成し、患者又はその家族等に説明の上交付するとともに、その写しを診療録に添付すること。なお、当該リハビリテーション実施計画書は、①これまでのリハビリテーションの実施状況(期間及び内容)、②前月の状態と比較した当月の患者の状態、③将来的な状態の到達目標を示した今後のリハビリテーション計画と改善に要する見込み期間、④機能的自立度評価法(Functional Independence Measure)(以下この部において「FIM」という。)又は基本的日常生活活動度(Barthel Index)(以下この部において「BI」という。)及びその他の指標を用いた具体的な改善の状態等を示した継続の理由、などを記載したものであること。

4の2 疾患別リハビリテーションを実施している患者であって、標準的算定日数を超えて継続して疾患別リハビリテーションを行う患者(疾患別リハビリテーション料の各規定の「注4」並びに区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料、区分番号「H001―2」廃用症候群リハビリテーション料及び区分番号「H002」運動器リハビリテーション料の「注5」にそれぞれ規定する場合を除く。)のうち、患者の疾患、状態等を総合的に勘案し、治療上有効であると医学的に判断される場合(特掲診療料の施設基準等別表第九の八第二号に掲げる患者であって、別表第九の九第二号に掲げる場合)は、継続することとなった日を診療録に記載することと併せ、継続することとなった日及びその後3か月に1回以上、リハビリテーション実施計画書を作成し、患者又はその家族等に説明の上交付するとともに、その写しを診療録に添付すること。なお、当該リハビリテーション実施計画書は、①これまでのリハビリテーションの実施状況(期間及び内容)、②前3か月の状態と比較した当月の患者の状態、③今後のリハビリテーション計画等について記載したものであること。なお、入院中の患者以外の患者に対して、標準的算定日数を超えて継続して疾患別リハビリテーションを提供する場合にあっては、介護保険による訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、介護予防訪問リハビリテーション又は介護予防通所リハビリテーション(以下「介護保険によるリハビリテーション」という。)の適用について適切に評価し、適用があると判断された場合にあっては、患者に説明の上、患者の希望に基づき、介護保険によるリハビリテーションを受けるために必要な手続き等について指導すること。

4の3 同一の疾患等に係る疾患別リハビリテーションについては、1つの保険医療機関が責任をもって実施するべきであるが、言語聴覚療法に係る疾患別リハビリテーションについては、言語聴覚療法を実施できる保険医療機関が少ないことを考慮し、当分の間、別の保険医療機関において実施した場合であっても算定することができるものとする。また、区分番号「H007」障害児(者)リハビリテーション料については、その特殊性を勘案し、疾患別リハビリテーション料、区分番号「H007―2」がん患者リハビリテーション料又は区分番号「H007―3」認知症患者リハビリテーション料を算定している保険医療機関とは別の保険医療機関で算定することができるものとする。

5 疾患別リハビリテーション料の点数は、患者に対して20分以上個別療法として訓練を行った場合(以下この部において「1単位」という。)にのみ算定するものであり、訓練時間が1単位に満たない場合は、基本診療料に含まれる。

6 届出施設である保険医療機関内において、治療又は訓練の専門施設外で訓練を実施した場合においても、疾患別リハビリテーションとみなすことができる。

また、当該保険医療機関外であっても、以下の(1)から(4)までを全て満たす場合は、1日に3単位に限り疾患別リハビリテーションとみなすことができる。なお、訓練の前後において、訓練場所との往復に要した時間は、当該リハビリテーションの実施時間に含まない。また、保険医療機関外でリハビリテーションを実施する際には、訓練場所との往復を含め、常時従事者が付き添い、必要に応じて速やかに当該保険医療機関に連絡、搬送できる体制を確保する等、安全性に十分配慮すること。

(1) 当該保険医療機関に入院中の患者に対する訓練であること。

(2) 心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)、廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)、運動器リハビリテーション料(Ⅰ)又は呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)を算定するものであること。

(3) 以下の訓練のいずれかであること。

ア 移動の手段の獲得を目的として、道路の横断、エレベーター、エスカレーターの利用、券売機、改札機の利用、バス、電車等への乗降、自動車の運転等、患者が実際に利用する移動手段を用いた訓練を行うもの。

イ 特殊な器具、設備を用いた作業(旋盤作業等)を行う職業への復職の準備が必要な患者に対し、当該器具、設備等を用いた訓練であって当該保険医療機関内で実施できないものを行うもの。

ウ 家事能力の獲得が必要である患者に対し、店舗における日用品の買い物、居宅における掃除、調理、洗濯等、実際の場面で家事を実施する訓練(訓練室の設備ではなく居宅の設備を用いた訓練を必要とする特段の理由がある場合に限る。)を行うもの。

(4) 専ら当該保険医療機関の従事者が訓練を行うものであり、訓練の実施について保険外の患者負担(公共交通機関の運賃を除く。)が発生しないものであること。

7 疾患別リハビリテーション料は、患者1人につき1日合計6単位(別に厚生労働大臣が定める患者については1日合計9単位)に限り算定できる。

当該別に厚生労働大臣が定める患者のうち「入院中の患者であって、その入院する病棟等において早期歩行、ADLの自立等を目的として区分番号「H000」心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)、区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)、区分番号「H001―2」廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)、区分番号「H002」運動器リハビリテーション料(Ⅰ)又は区分番号「H003」呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)を算定するもの」とは、訓練室以外の病棟等(屋外を含む。)において、早期歩行自立及び実用的な日常生活における諸活動の自立を目的として、実用歩行訓練・日常生活活動訓練が行われた患者であること。ただし、平行棒内歩行、基本的動作訓練としての歩行訓練、座位保持訓練等のみを行っている患者については含まれない。

8 疾患別リハビリテーション料は、患者の疾患等を総合的に勘案して最も適切な区分に該当する疾患別リハビリテーション料を算定する。ただし、当該患者が病態の異なる複数の疾患を持つ場合には、必要に応じ、それぞれを対象とする疾患別リハビリテーション料を算定できる。例えば、疾患別リハビリテーション料のいずれかを算定中に、新たな疾患が発症し、新たに他の疾患別リハビリテーションを要する状態となった場合には、新たな疾患の発症日等をもって他の疾患別リハビリテーションの起算日として、それぞれの疾患別リハビリテーション料を算定することができる。この場合においても、1日の算定単位数は前項の規定による。

9 疾患別リハビリテーションを実施する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、疾患名及び当該疾患の治療開始日又は発症日、手術日又は急性増悪(当該疾患別リハビリテーションの対象となる疾患の増悪等により、1週間以内にFIM又はBIが10以上(「難病の患者に対する医療等に関する法律」第5条第1項に規定する指定難病については5以上とする)低下するような状態等に該当する場合をいう。以下この部において同じ。)の日(以下この部において「発症日等」という。)を記載すること。また、標準的算定日数を超えて継続して疾患別リハビリテーションを行う患者(疾患別リハビリテーション料の各規定の「注4」並びに区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料、区分番号「H001―2」廃用症候群リハビリテーション料及び区分番号「H002」運動器リハビリテーション料の「注5」にそれぞれ規定する場合を除く。)のうち、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合(特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一号に掲げる患者であって、別表第九の九第一号に掲げる場合)は、①これまでのリハビリテーションの実施状況(期間及び内容)、②前3か月の状態との比較をした当月の患者の状態、③将来的な状態の到達目標を示した今後のリハビリテーション計画と改善に要する見込み期間、④FIM又はBI及びその他の指標を用いた具体的な改善の状態等を示した継続の理由を摘要欄に記載すること。ただし、リハビリテーション実施計画書を作成した月にあっては、改善に要する見込み期間とリハビリテーション継続の理由を摘要欄に記載した上で、当該計画書の写しを添付することでも差し支えない。なお、継続の理由については、具体的には次の例を参考にして記載すること。

本患者は、2008年9月21日に脳出血を発症し、同日開頭血腫除去術を施行した。右片麻痺を認めたが、術後に敗血症を合併したため、積極的なリハビリテーションが実施できるようになったのは術後40日目からであった。2009年2月中旬まで1日5単位週4日程度のリハビリテーションを実施し、BIは45点から65点に改善を認めた。3月末に標準的算定日数を超えるが、BIの改善を引き続き認めており、リハビリテーションの開始が合併症のために遅れたことを考えると、1か月程度のリハビリテーション継続により、更なる改善が見込めると判断される。

第1節 リハビリテーション料

H000 心大血管疾患リハビリテーション料

(1) 心大血管疾患リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において算定するものであり、心機能の回復、当該疾患の再発予防等を図るために、心肺機能の評価による適切な運動処方に基づき運動療法等を個々の症例に応じて行った場合に算定する。なお、関係学会により周知されている「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)」に基づいて実施すること。

(2) 心大血管疾患リハビリテーション料の対象となる患者は、特掲診療料の施設基準等別表第九の四に掲げる対象患者であって、以下のいずれかに該当するものをいい、医師が個別に心大血管疾患リハビリテーションが必要であると認めるものであること。

ア 急性発症した心大血管疾患又は心大血管疾患の手術後の患者とは、急性心筋梗塞、狭心症、開心術後、経カテーテル大動脈弁置換術後、大血管疾患(大動脈解離、解離性大動脈瘤、大血管術後)のものをいう。なお、心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅱ)を算定する場合、急性心筋梗塞及び大血管疾患は発症後(手術を実施した場合は手術後)1月以上経過したものに限る。

イ 慢性心不全、末梢動脈閉塞性疾患その他の慢性の心大血管の疾患により、一定程度以上の呼吸循環機能の低下及び日常生活能力の低下を来している患者とは、

(イ) 慢性心不全であって、左室駆出率40%以下、最高酸素摂取量が基準値80%以下、脳性Na利尿ペプチド(BNP)が80pg/mL以上の状態のもの又は脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)が400pg/mL以上の状態のもの

(ロ) 末梢動脈閉塞性疾患であって、間欠性跛行を呈する状態のものをいう。

(3) 心大血管疾患リハビリテーション料の標準的な実施時間は、1回1時間(3単位)程度とするが、入院中の患者以外の患者については、1日当たり1時間(3単位)以上、1週3時間(9単位)を標準とする。

(4) 心大血管疾患リハビリテーションは、専任の医師の指導管理の下に実施することとする。この場合、医師が直接監視を行うか、又は医師が同一建物内において直接監視をしている他の従事者と常時連絡が取れる状態かつ緊急事態に即時的に対応できる態勢であること。また、専任の医師は定期的な心機能チェックの下に、運動処方を含むリハビリテーションの実施計画書を作成し、診療録に記載又は添付すること。この場合、入院中の患者については、当該療法を担当する医師又は理学療法士、作業療法士及び看護師の1人当たりの患者数は、それぞれ1回15人程度、1回5人程度とし、入院中の患者以外の患者については、それぞれ、1回20人程度、1回8人程度とする。

(5) 当該リハビリテーションと他の疾患別リハビリテーション及び集団コミュニケーション療法を同一の従事者が行う場合、心大血管疾患リハビリテーションに実際に従事した時間20分を1単位としてみなした上で、他の疾患別リハビリテーション等の実施単位数を足した値が、従事者1人につき1日18単位を標準とし、週108単位までとする。

(6) 心大血管疾患リハビリテーション料の所定点数には、同一日に行われる区分番号「D208」に掲げる心電図検査、区分番号「D209」に掲げる負荷心電図検査及び区分番号「D220」に掲げる呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープの費用が含まれる。

(7) 標準的算定日数を超えた患者については、「注4」に規定するとおり、1月に13単位に限り心大血管疾患リハビリテーション料の所定点数を算定できる。なお、その際、入院中の患者以外の患者にあっては、介護保険によるリハビリテーションの適用があるかについて、適切に評価し、患者の希望に基づき、介護保険によるリハビリテーションサービスを受けるために必要な支援を行うこと。ただし、特掲診療料の施設基準等別表第九の八に掲げる患者であって、別表第九の九に掲げる場合については、標準的算定日数を超えた場合であっても、標準的算定日数内の期間と同様に算定できるものである。なお、その留意事項は以下のとおりである。

ア 特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一号に規定する「その他別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続して行うことが必要であると医学的に認められるもの」とは、別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に認められる者をいうものである。

イ 特掲診療料の施設基準等別表第九の八に規定する「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者」とは、要介護状態又は要支援状態にある40歳以上の者であって、その要介護状態又は要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が、介護保険法第7条第3項第2号に規定する特定疾病によって生じたものであるものをいう。

(8) 「注2」に掲げる加算は、当該施設における心大血管疾患に対する治療開始後早期からのリハビリテーションの実施について評価したものであり、入院中の患者に対して1単位以上の個別療法を行った場合に算定できる。また、訓練室以外の病棟等(ベッドサイドを含む。)で実施した場合においても算定することができる。特掲診療料の施設基準等別表第九の四第二号に掲げる患者については、手術を実施したもの及び急性増悪したものを除き、「注2」に掲げる加算は算定できない。

(9) 「注3」に掲げる加算は、当該施設における心大血管疾患に対する治療開始後、より早期からのリハビリテーションの実施について評価したものであり、入院中の患者に対して「注2」に掲げる加算と別に算定することができる。特掲診療料の施設基準等別表第九の四第二号に掲げる患者については、手術を実施したもの及び急性増悪したものを除き、「注3」に掲げる加算は算定できない。

(10) 「注4」に掲げる標準的算定日数を超えてリハビリテーションを継続する患者について、月の途中で標準的算定日数を超える場合においては、当該月における標準的算定日数を超えた日以降に実施された疾患別リハビリテーションが13単位以下であること。

(11) 訓練を実施する場合、患者一人につき概ね3平方メートル以上の面積を確保すること。

H001 脳血管疾患等リハビリテーション料

(1) 脳血管疾患等リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において算定するものであり、基本的動作能力の回復等を通して、実用的な日常生活における諸活動の自立を図るために、種々の運動療法、実用歩行訓練、日常生活活動訓練、物理療法、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合又は言語聴覚機能に障害を持つ患者に対して言語機能若しくは聴覚機能に係る訓練を行った場合に算定する。なお、マッサージや温熱療法などの物理療法のみを行った場合には第2章特掲診療料第9部処置の項により算定する。

(2) 脳血管疾患等リハビリテーション料の対象となる患者は、特掲診療料の施設基準等別表第九の五に掲げる患者であって、以下のいずれかに該当するものをいい、医師が脳血管疾患等リハビリテーションが必要であると認めるものである。

ア 急性発症した脳血管疾患又はその手術後の患者とは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳外傷、脳炎、急性脳症(低酸素脳症等)、髄膜炎等のものをいう。

イ 急性発症した中枢神経疾患又はその手術後の患者とは、脳膿瘍、脊髄損傷、脊髄腫瘍、脳腫瘍摘出術などの開頭術後、てんかん重積発作等のものをいう。

ウ 神経疾患とは、多発性神経炎(ギランバレー症候群等)、多発性硬化症、末梢神経障害(顔面神経麻痺等)等をいう。

エ 慢性の神経筋疾患とは、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、運動ニューロン疾患(筋萎縮性側索硬化症)、遺伝性運動感覚ニューロパチー、末梢神経障害、皮膚筋炎、多発性筋炎等をいう。

オ 失語症、失認及び失行症、高次脳機能障害の患者

カ 難聴や人工内耳植込手術等に伴う聴覚・言語機能の障害を有する患者とは、音声障害、構音障害、言語発達障害、難聴に伴う聴覚・言語機能の障害又は人工内耳植込手術等に伴う聴覚・言語機能の障害を持つ患者をいう。

キ 顎・口腔の先天異常に伴う構音障害を有する患者

ク 舌悪性腫瘍等の手術による構音障害を有する患者

ケ リハビリテーションを要する状態であって、一定程度以上の基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力及び日常生活能力の低下を来しているものとは、脳性麻痺等に伴う先天性の発達障害等の患者であって、治療開始時のFIM115以下、BI85以下の状態等のものをいう。

(3) 脳血管疾患等リハビリテーション料の所定点数には、徒手筋力検査及びその他のリハビリテーションに付随する諸検査が含まれる。

(4) 脳血管疾患等リハビリテーション料は、医師の指導監督の下、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の監視下に行われたものについて算定する。また専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が実施した場合と同様に算定できる。

(5) 脳血管疾患等リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションは、1人の従事者が1人の患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士と患者が1対1で行うものとする。

なお、当該リハビリテーションの実施単位数は、従事者1人につき1日18単位を標準とし、週108単位までとする。ただし、1日24単位を上限とする。また、当該実施単位数は、他の疾患別リハビリテーション及び集団コミュニケーション療法の実施単位数を合わせた単位数であること。この場合にあって、当該従事者が心大血管疾患リハビリテーションを実施する場合には、実際に心大血管疾患リハビリテーションに従事した時間20分を1単位とみなした上で計算するものとする。

(6) 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅱ)の届出を行った保険医療機関(専従する常勤の理学療法士が2人以上勤務しているものに限る。)又は脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅲ)の届出を行った保険医療機関(専従する常勤の理学療法士が勤務している場合に限る。)において、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士以外に、運動療法機能訓練技能講習会を受講するとともに、定期的に適切な研修を修了しているあん摩マッサージ指圧師等の従事者が訓練を行った場合については、当該療法を実施するに当たり、医師又は理学療法士が事前に指示を行い、かつ事後に当該療法に係る報告を受ける場合であって、(1)から(5)までのいずれにも該当する場合に限り、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅲ)の所定点数を算定できる。

(7) 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅱ)又は(Ⅲ)を届け出ている施設で、看護師、あん摩マッサージ指圧師等、理学療法士以外の従事者が理学療法を行う場合については、理学療法士は医師の指導監督の下に訓練を受ける患者の運動機能訓練の内容等を的確に把握すること。

(8) 理学療法士又は作業療法士等が、車椅子上での姿勢保持が困難なために食事摂取等の日常生活動作の能力の低下を来した患者に対し、いわゆるシーティングとして、車椅子や座位保持装置上の適切な姿勢保持や褥瘡予防のため、患者の体幹機能や座位保持機能を評価した上で体圧分散やサポートのためのクッションや付属品の選定や調整を行った場合にも算定できる。ただし、単なる離床目的で車椅子上での座位をとらせる場合は算定できない。

(9) 「注1」に規定する標準的算定日数は、発症、手術又は急性増悪の日が明確な場合はその日から180日以内、それ以外の場合は最初に当該疾患の診断がされた日から180日以内とする。

(10) 標準的算定日数を超えた患者については、「注4」及び「注5」に規定するとおり、1月に13単位に限り脳血管疾患等リハビリテーション料の所定点数を算定できる。なお、その際、入院中の患者以外の患者にあっては、介護保険によるリハビリテーションの適用があるかについて、適切に評価し、患者の希望に基づき、介護保険によるリハビリテーションサービスを受けるために必要な支援を行うこと。また、入院中の患者であって、介護保険法第62条に規定する要介護被保険者等であるものについては、「注5」に規定する点数をそれぞれの区分に従い算定する。ただし、特掲診療料の施設基準等別表第九の八に掲げる患者であって、別表第九の九に掲げる場合については、標準的算定日数を超えた場合であっても、標準的算定日数内の期間と同様に算定できるものである。なお、その留意事項は以下のとおりである。

ア 特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一号に規定する「その他別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続して行うことが必要であると医学的に認められるもの」とは、別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に認められるものをいうものである。

イ 特掲診療料の施設基準等別表第九の八に規定する「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者」とは、要介護状態又は要支援状態にある40歳以上の者であって、その要介護状態又は要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が、介護保険法第7条第3項第2号に規定する特定疾病によって生じたものであるものをいう。

(11) 「注2」に掲げる加算は、当該施設における脳血管疾患等に対する発症、手術又は急性増悪後早期からのリハビリテーションの実施について評価したものであり、入院中の患者又は入院中の患者以外の患者(脳卒中の患者であって、当該保険医療機関を退院したもの又は他の保険医療機関を退院したもの(区分番号「A246」注4の地域連携診療計画加算を算定した患者に限る。)に限る。)に対して1単位以上の個別療法を行った場合に算定できる。また、入院中の患者については、訓練室以外の病棟(ベッドサイドを含む。)で実施した場合においても算定することができる。なお、特掲診療料の施設基準等別表第九の五第三、四、六及び七号に掲げる患者については、手術を実施したもの及び急性増悪したものを除き、「注2」に掲げる加算は算定できない。

(12) 「注3」に掲げる加算は、当該施設における脳血管疾患等に対する発症、手術又は急性増悪後、より早期からのリハビリテーションの実施について評価したものであり、「注2」に掲げる加算とは別に算定することができる。また、当該加算の対象患者は、入院中の患者又は入院中の患者以外の患者(脳卒中の患者であって、当該保険医療機関を退院したもの又は他の保険医療機関を退院したもの(区分番号「A246」注4の地域連携診療計画加算を算定した患者に限る。)に限る。)である。なお、特掲診療料の施設基準等別表第九の五第三、四、六及び七号に掲げる患者については、手術を実施したもの及び急性増悪したものを除き、「注3」に掲げる加算は算定できない。

(13) 入院中の患者以外の患者(脳卒中の患者であって他の保険医療機関を退院したもの)が「注2」又は「注3」に掲げる加算を算定する場合にあっては、区分番号「A246」注4の地域連携診療計画加算の算定患者である旨を、診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(14) 「注4」及び「注5」に掲げる標準的算定日数を超えてリハビリテーションを継続する患者について、月の途中で標準的算定日数を超える場合においては、当該月における標準的算定日数を超えた日以降に実施された疾患別リハビリテーションが13単位以下であること。

(15) 「注6」における「所定点数」とは、「注1」から「注5」までを適用して算出した点数である。

H001―2 廃用症候群リハビリテーション料

(1) 廃用症候群リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める基準に適合している保険医療機関において算定するものであり、基本的動作能力の回復等を通して、実用的な日常生活における諸活動の自立を図るために、種々の運動療法、実用歩行訓練、日常生活活動訓練、物理療法、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合に算定する。なお、マッサージや温熱療法などの物理療法のみを行った場合には第2章特掲診療料第9部処置の項により算定する。

(2) 廃用症候群リハビリテーション料の対象となる患者は、急性疾患等に伴う安静(治療の有無を問わない。)による廃用症候群であって、一定程度以上の基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力及び日常生活能力の低下を来しているものであること。「一定程度以上の基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力及び日常生活能力の低下を来しているもの」とは、治療開始時において、FIM115以下、BI85以下の状態等のものをいう。区分番号「H000」心大血管疾患リハビリテーション料、区分番号「H002」運動器リハビリテーション料、区分番号「H003」呼吸器リハビリテーション料、区分番号「H007」障害児(者)リハビリテーション料又は区分番号「H007―2」がん患者リハビリテーション料の対象となる患者が廃用症候群を合併している場合、廃用症候群に関連する症状に対してリハビリテーションを行った場合は、廃用症候群リハビリテーション料により算定する。

(3) 廃用症候群リハビリテーション料の所定点数には、徒手筋力検査及びその他のリハビリテーションに付随する諸検査が含まれる。

(4) 廃用症候群リハビリテーション料は、医師の指導監督の下、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の監視下に行われたものについて算定する。また、専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が実施した場合と同様に算定できる。

(5) 廃用症候群リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションは、1人の従事者が1人の患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士と患者が1対1で行うものとする。

なお、当該リハビリテーションの実施単位数は、従事者1人につき1日18単位を標準とし、週108単位までとする。ただし、1日24単位を上限とする。また、当該実施単位数は、他の疾患別リハビリテーション及び集団コミュニケーション療法の実施単位数を合わせた単位数であること。この場合にあって、当該従事者が心大血管疾患リハビリテーションを実施する場合には、実際に心大血管疾患リハビリテーションに従事した時間20分を1単位とみなした上で計算するものとする。

(6) 廃用症候群リハビリテーション料(Ⅱ)の届出を行った保険医療機関(専従する常勤の理学療法士が2人以上勤務しているものに限る。)又は廃用症候群リハビリテーション料(Ⅲ)の届出を行った保険医療機関(専従する常勤の理学療法士が勤務している場合に限る。)において、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士以外に、運動療法機能訓練技能講習会を受講するとともに、定期的に適切な研修を修了しているあん摩マッサージ指圧師等の従事者が訓練を行った場合については、当該療法を実施するに当たり、医師又は理学療法士が事前に指示を行い、かつ事後に当該療法に係る報告を受ける場合であって、(1)から(5)までのいずれにも該当する場合に限り、廃用症候群リハビリテーション料(Ⅲ)の所定点数を算定できる。

(7) 廃用症候群リハビリテーション料(Ⅱ)又は(Ⅲ)を届け出ている施設で、看護師、あん摩マッサージ指圧師等、理学療法士以外の従事者が理学療法を行う場合については、理学療法士は医師の指導監督の下に訓練を受ける患者の運動機能訓練の内容等を的確に把握すること。

(8) 理学療法士又は作業療法士等が、車椅子上での姿勢保持が困難なために食事摂取等の日常生活動作の能力の低下を来した患者に対し、いわゆるシーティングとして、車椅子や座位保持装置上の適切な姿勢保持や褥瘡予防のため、患者の体幹機能や座位保持機能を評価した上で体圧分散やサポートのためのクッションや付属品の選定や調整を行った場合にも算定できる。ただし、単なる離床目的で車椅子上での座位をとらせる場合は算定できない。

(9) 標準的算定日数を超えた患者については、「注4」及び「注5」に規定するとおり、1月に13単位に限り廃用症候群リハビリテーション料の所定点数を算定できる。なお、その際、入院中の患者以外の患者にあっては、介護保険によるリハビリテーションの適用があるかについて、適切に評価し、患者の希望に基づき、介護保険によるリハビリテーションサービスを受けるために必要な支援を行うこと。また、入院中の患者であって、介護保険法第62条に規定する要介護被保険者等であるものについては、「注5」に規定する点数をそれぞれの区分に従い算定する。ただし、特掲診療料の施設基準等別表第九の八に掲げる患者であって、別表第九の九に掲げる場合については、標準的算定日数を超えた場合であっても、標準的算定日数内の期間と同様に算定できるものである。なお、その留意事項は以下のとおりである。

ア 特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一号に規定する「その他別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続して行うことが必要であると医学的に認められるもの」とは、別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に認められるものをいうものである。

イ 特掲診療料の施設基準等別表第九の八に規定する「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者」とは、要介護状態又は要支援状態にある40歳以上の者であって、その要介護状態又は要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が、介護保険法第7条第3項第2号に規定する特定疾病によって生じたものであるものをいう。

(10) 廃用症候群リハビリテーション料を算定する場合は、廃用症候群に係る評価表(別紙様式22)を用いて、月ごとに評価し、診療報酬明細書に添付する又は同様の情報を摘要欄に記載するとともに、その写しを診療録に添付すること。

(11) 「注2」に掲げる加算は、当該施設における急性疾患等の発症、手術若しくは急性増悪又は廃用症候群に係る急性増悪後早期からのリハビリテーションの実施について評価したものであり、入院中の患者に対して1単位以上の個別療法を行った場合に算定できる。また、訓練室以外の病棟(ベッドサイドを含む。)で実施した場合においても算定することができる。

(12) 「注3」に掲げる加算は、当該施設における急性疾患等の発症、手術若しくは急性増悪又は廃用症候群に係る急性増悪後、より早期からのリハビリテーションの実施について評価したものであり、入院中の患者に対して「注2」に掲げる加算とは別に算定することができる。

(13) 「注4」及び「注5」に掲げる標準的算定日数を超えてリハビリテーションを継続する患者について、月の途中で標準的算定日数を超える場合においては、当該月における標準的算定日数を超えた日以降に実施された疾患別リハビリテーションが13単位以下であること。

(14) 「注6」における「所定点数」とは、「注1」から「注5」までを適用して算出した点数である。

H002 運動器リハビリテーション料

(1) 運動器リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において算定するものであり、基本的動作能力の回復等を通して、実用的な日常生活における諸活動の自立を図るために、種々の運動療法、実用歩行訓練、日常生活活動訓練、物理療法、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合に算定する。なお、マッサージや温熱療法などの物理療法のみを行った場合には第2章特掲診療料第9部処置の項により算定する。

(2) 運動器リハビリテーション料の対象となる患者は、特掲診療料の施設基準等別表第九の六に掲げる患者であって、以下のいずれかに該当するものをいい、医師が個別に運動器リハビリテーションが必要であると認めるものである。

ア 急性発症した運動器疾患又はその手術後の患者とは、上・下肢の複合損傷(骨、筋・腱・靭帯、神経、血管のうち3種類以上の複合損傷)、脊椎損傷による四肢麻痺(1肢以上)、体幹・上・下肢の外傷・骨折、切断・離断(義肢)、運動器の悪性腫瘍等のものをいう。

イ 慢性の運動器疾患により、一定程度以上の運動機能及び日常生活能力の低下を来している患者とは、関節の変性疾患、関節の炎症性疾患、熱傷瘢痕による関節拘縮、運動器不安定症等のものをいう。

(3) 運動器リハビリテーション料の所定点数には、徒手筋力検査及びその他のリハビリテーションに付随する諸検査が含まれる。

(4) 運動器リハビリテーション料は、医師の指導監督の下、理学療法士又は作業療法士の監視下により行われたものについて算定する。また専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、理学療法士又は作業療法士が実施した場合と同様に算定できる。

(5) 運動器リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションは、1人の従事者が1人の患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、理学療法士又は作業療法士と患者が1対1で行うものとする。

なお、当該リハビリテーションの実施単位数は、従事者1人につき1日18単位を標準とし、週108単位までとする。ただし、1日24単位を上限とする。また、当該実施単位数は、他の疾患別リハビリテーション及び集団コミュニケーション療法の実施単位数を合わせた単位数であること。この場合にあって、当該従事者が心大血管疾患リハビリテーションを実施する場合には、実際に心大血管疾患リハビリテーションに従事した時間20分を1単位とみなした上で計算するものとする。

(6) 運動器リハビリテーション料(Ⅲ)の届出を行った保険医療機関(専従する常勤の理学療法士が勤務している場合に限る。)において、理学療法士及び作業療法士以外に、運動療法機能訓練技能講習会を受講するとともに、定期的に適切な研修を修了しているあん摩マッサージ指圧師等の従事者が訓練を行った場合については、当該療法を実施するに当たり、医師又は理学療法士が事前に指示を行い、かつ事後に当該療法に係る報告を受ける場合であって(1)から(5)までのいずれにも該当する場合に限り、運動器リハビリテーション料(Ⅲ)の所定点数を算定できる。

(7) 運動器リハビリテーション料(Ⅱ)の届出を行った保険医療機関において、理学療法士及び作業療法士以外に、適切な運動器リハビリテーションに係る研修を修了したあん摩マッサージ指圧師等の従事者が訓練を行った場合については、当該療法を実施するに当たり、医師又は理学療法士が事前に指示を行い、かつ事後に当該療法に係る報告を受ける場合であって(1)から(5)までのいずれにも該当する場合に限り、運動器リハビリテーション料(Ⅲ)の所定点数を算定できる。

(8) 理学療法士又は作業療法士等が、車椅子上での姿勢保持が困難なために食事摂取等の日常生活動作の能力の低下を来した患者に対し、いわゆるシーティングとして、車椅子や座位保持装置上の適切な姿勢保持や褥瘡予防のため、患者の体幹機能や座位保持機能を評価した上で体圧分散やサポートのためのクッションや付属品の選定や調整を行った場合にも算定できる。ただし、単なる離床目的で車椅子上での座位をとらせる場合は算定できない。

(9) 運動器リハビリテーション料(Ⅰ)の届出を行った保険医療機関において、理学療法士及び作業療法士以外に、適切な運動器リハビリテーションに係る研修を修了したあん摩マッサージ指圧師等の従事者が訓練を行った場合については、当該療法を実施するに当たり、医師又は理学療法士が事前に指示を行い、かつ事後に当該療法に係る報告を受ける場合であって(1)から(5)までのいずれにも該当する場合に限り、運動器リハビリテーション料(Ⅲ)の所定点数を算定できる。

(10) 「注1」に規定する標準的算定日数は、発症、手術又は急性増悪の日が明確な場合はその日から150日以内、それ以外の場合は最初に当該疾患の診断がされた日から150日以内とする。

(11) 標準的算定日数を超えた患者については、「注4」及び「注5」に規定するとおり、1月13単位に限り運動器リハビリテーション料の所定点数を算定できる。なお、その際、入院中の患者以外の患者にあっては、介護保険によるリハビリテーションの適用があるかについて、適切に評価し、患者の希望に基づき、介護保険によるリハビリテーションサービスを受けるために必要な支援を行うこと。また、入院中の患者であって、介護保険法第62条に規定する要介護被保険者等であるものについては、「注5」に規定する点数をそれぞれの区分に従い算定する。ただし、特掲診療料の施設基準等別表第九の八に掲げる患者であって、別表第九の九に掲げる場合については、標準的算定日数を超えた場合であっても、標準的算定日数内の期間と同様に算定できるものである。なお、その留意事項は以下のとおりである。

ア 特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一号に規定する「その他別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続して行うことが必要であると医学的に認められるもの」とは、別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に認められるものをいうものである。

イ 特掲診療料の施設基準等別表第九の八に規定する「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者」とは、要介護状態又は要支援状態にある40歳以上の者であって、その要介護状態又は要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が、介護保険法第7条第3項第2号に規定する特定疾病によって生じたものであるものをいう。

(12) 「注2」に掲げる加算は、当該施設における運動器疾患に対する発症、手術又は急性増悪後早期からのリハビリテーションの実施について評価したものであり、入院中の患者又は入院中の患者以外の患者(大腿骨頸部骨折の患者であって、当該保険医療機関を退院したもの又は他の保険医療機関を退院したもの(区分番号「A246」注4の地域連携診療計画加算を算定した患者に限る。)に限る。)に対して1単位以上の個別療法を行った場合に算定できる。また、入院中の患者については、訓練室以外の病棟(ベッドサイドを含む。)で実施した場合においても算定することができる。なお、特掲診療料の施設基準等別表第九の六第二号に掲げる患者については、手術を実施したもの及び急性増悪したものを除き、「注2」に掲げる加算は算定できない。

(13) 「注3」に掲げる加算は、当該施設における運動器疾患に対する発症、手術又は急性増悪後、より早期からのリハビリテーションの実施について評価したものであり、「注2」に掲げる加算とは別に算定することができる。また、当該加算の対象患者は、入院中の患者又は入院中の患者以外の患者(大腿骨頸部骨折の患者であって、当該保険医療機関を退院したもの又は他の保険医療機関を退院したもの(区分番号「A246」注4の地域連携診療計画加算を算定した患者に限る。)に限る。)である。なお、特掲診療料の施設基準等別表第九の六第二号に掲げる患者については、手術を実施したもの及び急性増悪したものを除き、「注3」に掲げる加算は算定できない。

(14) 入院中の患者以外の患者(大腿骨頸部骨折の患者であって他の保険医療機関を退院したもの)が「注2」又は「注3」に掲げる加算を算定する場合にあっては、区分番号「A246」注4の地域連携診療計画加算の算定患者である旨を、診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(15) 「注4」及び「注5」に掲げる標準的算定日数を超えてリハビリテーションを継続する患者について、月の途中で標準的算定日数を超えた場合においては、当該月における標準的算定日数を超えた日以降に実施された疾患別リハビリテーションが13単位以下であること。

(16) 「注6」における「所定点数」とは、「注1」から「注5」までを適用して算出した点数である。

H003 呼吸器リハビリテーション料

(1) 呼吸器リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において算定するものであり、呼吸訓練や種々の運動療法等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合に算定する。

(2) 呼吸器リハビリテーション料の対象となる患者は、特掲診療料の施設基準等別表第九の七に掲げる患者であって、以下のいずれかに該当するものをいい、医師が個別に呼吸器リハビリテーションが必要であると認めるものである。

ア 急性発症した呼吸器疾患の患者とは、肺炎、無気肺等のものをいう。

イ 肺腫瘍、胸部外傷その他の呼吸器疾患又はその手術後の患者とは、肺腫瘍、胸部外傷、肺塞栓、肺移植手術、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対するLVRS(Lung volume reduction surgery)等の呼吸器疾患又はその手術後の患者をいう。

ウ 慢性の呼吸器疾患により、一定程度以上の重症の呼吸困難や日常生活能力の低下を来している患者とは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、気管支拡張症、間質性肺炎、塵肺、びまん性汎気管支炎(DPB)、神経筋疾患で呼吸不全を伴う患者、気管切開下の患者、人工呼吸管理下の患者、肺結核後遺症等のものであって、次の(イ)から(ハ)までのいずれかに該当する状態であるものをいう。

(イ) 息切れスケール(Medical Research Council Scale)で2以上の呼吸困難を有する状態

(ロ) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)で日本呼吸器学会の重症度分類のⅡ以上の状態

(ハ) 呼吸障害による歩行機能低下や日常生活活動度の低下により日常生活に支障を来す状態

エ 食道癌、胃癌、肝臓癌、咽・喉頭癌等の手術前後の呼吸機能訓練を要する患者とは、食道癌、胃癌、肝臓癌、咽・喉頭癌等の患者であって、これらの疾患に係る手術日から概ね1週間前の患者及び手術後の患者で呼吸機能訓練を行うことで術後の経過が良好になることが医学的に期待できる患者のことをいう。

(3) 呼吸器リハビリテーション料の所定点数には、区分番号「D200」から「D204」までに掲げる呼吸機能検査等、区分番号「D223」経皮的動脈血酸素飽和度測定及びその他のリハビリテーションに付随する諸検査及び呼吸機能訓練と同時に行った区分番号「J024」酸素吸入の費用が含まれる。

(4) 呼吸器リハビリテーション料は、医師の指導監督の下で行われるものであり、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の監視下に行われたものについて算定する。また、専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が実施した場合と同様に算定できる。

(5) 呼吸器リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションは、1人の従事者が1人の患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士と患者が1対1で行うものとする。

なお、当該リハビリテーションの実施単位数は、従事者1人につき1日18単位を標準とし、週108単位までとする。ただし、1日24単位を上限とする。また、当該実施単位数は、他の疾患別リハビリテーション及び集団コミュニケーション療法の実施単位数を合わせた単位数であること。この場合にあって、当該従事者が心大血管疾患リハビリテーションを実施する場合には、実際に心大血管疾患リハビリテーションに従事した時間20分を1単位とみなした上で計算するものとする。

(6) 標準的算定日数を超えた患者については、「注4」に規定するとおり、1月に13単位に限り呼吸器リハビリテーション料の所定点数が算定できる。なお、その際、入院中の患者以外の患者にあっては、介護保険によるリハビリテーションの適用があるかについて、適切に評価し、患者の希望に基づき、介護保険によるリハビリテーションサービスを受けるために必要な支援を行うこと。ただし、特掲診療料の施設基準等別表第九の八に掲げる患者であって、別表第九の九に掲げる場合については、標準的算定日数を超えた場合であっても、標準的算定日数内の期間と同様に算定できるものである。なお、その留意事項は以下のとおりである。

ア 特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一号に規定する「その他別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続して行うことが必要であると医学的に認められるもの」とは、別表第九の四から別表第九の七までに規定する患者であって、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に認められるものをいうものである。

イ 特掲診療料の施設基準等別表第九の八に規定する「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者」とは、要介護状態又は要支援状態にある40歳以上の者であって、その要介護状態又は要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が、介護保険法第7条第3項第2号に規定する特定疾病によって生じたものであるものをいう。

(7) 「注2」に掲げる加算は、当該施設における呼吸器疾患の発症、手術若しくは急性増悪又は当該疾患に対する治療開始後早期からのリハビリテーションの実施について評価したものであり、入院中の患者に対して1単位以上の個別療法を行った場合に算定できる。また、訓練室以外の病棟(ベッドサイドを含む。)で実施した場合においても算定することができる。なお、特掲診療料の施設基準等別表第九の七第三号に掲げる患者については、急性増悪したものを除き、「注2」に掲げる加算は算定できない。

(8) 「注3」に掲げる加算は、当該施設における呼吸器疾患の発症、手術若しくは急性増悪又は当該疾患に対する治療開始後、より早期からのリハビリテーションの実施について評価したものであり、入院中の患者に対して「注2」に掲げる加算とは別に算定することができる。なお、特掲診療料の施設基準等別表第九の七第三号に掲げる患者については、急性増悪したものを除き、「注3」に掲げる加算は算定できない。

(9) 「注4」に掲げる標準的算定日数を超えてリハビリテーションを継続する患者について、月の途中で標準的算定日数を超えた場合においては、当該月における標準的算定日数を超えた日以降に実施された疾患別リハビリテーションが13単位以下であること。

H003―2 リハビリテーション総合計画評価料

(1) リハビリテーション総合計画評価料は、定期的な医師の診察及び運動機能検査又は作業能力検査等の結果に基づき医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等の多職種が共同してリハビリテーション総合実施計画書を作成し、これに基づいて行ったリハビリテーションの効果、実施方法等について共同して評価を行った場合に算定する。

(2) 医師及びその他の従事者は、共同してリハビリテーション総合実施計画書を作成し、その内容を患者に説明の上交付するとともに、その写しを診療録等に添付する。

(3) 「注1」及び「注2」における介護リハビリテーションの利用を予定している患者とは、介護保険法第62条に規定する要介護被保険者等であって、各疾患別リハビリテーション料に規定する標準的算定日数の3分の1を経過した期間にリハビリテーションを実施している患者をいう。

(4) リハビリテーション総合実施計画書の様式については、以下のいずれかを患者の状態等に応じ選択する。患者の理解に資する記載となるよう、十分配慮すること。

ア 別紙様式23又はこれに準じた様式

イ 別紙様式21の6又はこれに準じた様式に、(イ)から(ヘ)までの全て及び(ト)から(ヲ)までのうちいずれか1項目以上を組み合わせて記載する様式(回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定する患者については、必ず(ヌ)を含めること。)

(イ) 疾患別リハビリテーション開始前の日常生活動作の状況

(ロ) FIMを用いた評価

(ハ) 前回計画書作成時からの改善・変化

(ニ) 今後1ヶ月のリハビリテーションの目標、リハビリテーションの頻度、方針及び留意点

(ホ) 疾患別リハビリテーションの実施に当たり、医師、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、その他の従事者が担う具体的内容に係るもの

(ヘ) 今後十分なリハビリテーションを実施しない場合に予想される状態の変化

(ト) 疾患別リハビリテーション終了後のリハビリテーションの提供の必要性及び必要な場合の具体的なリハビリテーションの内容

(チ) 病棟における日常生活動作の状況(入院患者に対し、リハビリテーション総合計画評価料を算定する場合のみ記載することができる。)

(リ) 関節可動域、筋力、持久力、変形、関節不安定性、運動機能発達に係る障害、麻痺等、個々の運動機能障害における重症度の評価

(ヌ) 身長、体重、BMI(Body Mass Index)、栄養補給方法(経口、経管栄養、静脈栄養)等に基づく患者の栄養状態の評価に係るもの(栄養障害等の状態にある患者については、必要栄養量、総摂取栄養量等も踏まえた評価を行う。なお、嚥下調整食を必要とする患者については、栄養障害等の有無にかかわらず、当該嚥下調整食の形態に係る情報として、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類コードも必ず記載する。)

(ル) リハビリテーションの観点から、家庭や病棟において、患者自ら行うことが望ましい訓練

(ヲ) FAI(Frenchay Activities Index)、LSA(Life―Space Assessment)、日本作業療法士協会が作成する生活行為向上アセスメント、ロコモ25(平成22年厚生労働科学研究費補助金疾病・障害対策研究分野長寿科学総合研究「運動器機能不全(ロコモティブシンドローム)の早期発見ツールの開発」において作成されたもの)又は老研式活動能力指標のいずれかを用いた患者の心身機能又は活動の評価に係るもの

(5) 「注3」に掲げる入院時訪問指導加算は、区分番号「A308」回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者について、当該病棟への入院日前7日以内又は入院後7日以内に当該患者の同意を得て、医師、看護師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士のうち1名以上が、必要に応じて社会福祉士、介護支援専門員又は介護福祉士等と協力して、退院後生活する患家等を訪問し、患者の病状、退院後生活する住環境(家屋構造、室内の段差、手すりの場所、近隣の店までの距離等)、家族の状況、患者及び家族の住環境に関する希望等の情報収集及び評価を行った上で、リハビリテーション総合実施計画を作成した場合に、入院中に1回に限り算定する。

(6) 当該加算を算定する場合には、入院前に訪問した場合は入院した日の属する月に算定し、入院後に訪問した場合は訪問日の属する月に算定すること。

(7) なお、ここでいう退院後生活する患家等には、他の保険医療機関、介護老人保健施設又は当該加算を算定する保険医療機関に併設されている介護保険施設等は含まれない。

(8) 当該加算を算定する場合には、別紙様式42又はこれに準ずる様式を用いて評価書を作成するとともに、その写しを診療録に添付すること。

(9) 「注5」に掲げる運動量増加機器加算は、脳卒中又は脊髄障害の急性発症に伴う上肢又は下肢の運動機能障害を有する患者(脳卒中又は脊髄障害の再発によるものを含む。)に対して、医師、理学療法士又は作業療法士のうち1名以上が、患者の運動機能障害の状態を評価した上で、脳血管疾患等リハビリテーションに運動量増加機器を用いることが適当と判断した場合であって、当該機器を用いたリハビリテーション総合実施計画を作成した場合に、1回に限り算定する。ただし、当該機器の使用に有効性が認められ、継続すべき医学的必要性が認められる場合に限り、発症日から起算して2月を限度として月1回に限り算定できる。なお、この場合においては、医学的な必要性について診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(10) 当該加算を算定する場合には、適応疾患、発症年月日、運動障害に係る所見、使用する運動量増加機器の名称及び実施期間の予定をリハビリテーション総合実施計画書に記載し、その写しを診療録等に添付すること。

H003―3 リハビリテーション計画提供料

(1) リハビリテーション計画提供料1は、要介護認定を申請中の者又は介護保険法第62条に規定する要介護被保険者等であって、介護保険によるリハビリテーションへの移行を予定しているものについて、当該患者の同意を得た上で、利用を予定している指定通所リハビリテーション事業所、指定訪問リハビリテーション事業所、指定介護予防通所リハビリテーション事業所又は指定介護予防訪問リハビリテーション事業所(以下「指定通所リハビリテーション事業所等」という。)に対して、別紙様式21の6を用いて3月以内に作成したリハビリテーション実施計画又はリハビリテーション総合実施計画書を文書により提供した場合に算定する。利用を予定している指定通所リハビリテーション事業所等とは、当該患者、患者の家族等又は当該患者のケアマネジメントを担当する居宅介護支援専門員を通じ、当該患者の利用について検討する意向が確認できた指定通所リハビリテーション事業所等をいう。

(2) リハビリテーション計画提供料1について、当該患者が、直近3月以内に目標設定等支援・管理料を算定している場合には、目標設定等支援・管理シートも併せて提供した場合に算定できる。

(3) 当該保険医療機関と同一敷地内又は隣接敷地内にある指定通所リハビリテーション事業所等を除き、当該保険医療機関と特別の関係にある指定通所リハビリテーション事業所等に提供した場合でも算定できる。

(4) リハビリテーション計画提供料1を算定した場合、診療情報提供料(Ⅰ)は算定できない。

(5) 「注4」については、リハビリテーション計画提供料1を算定する場合に、文書によるリハビリテーション実施計画書等の提供とともに、「通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業」で利用可能な適切な電子媒体を用いてリハビリテーション実施計画書等の提供を行った場合に算定する。

(6) リハビリテーション計画提供料2は、入院中に疾患別リハビリテーションを実施した患者であって、退院時に区分番号「A246」注4の地域連携診療計画加算を算定した者について、当該患者の同意を得た上で、退院後の外来におけるリハビリテーションを担う他の保険医療機関に対してリハビリテーション実施計画を文書により提供した場合に算定する。なお、当該患者が他の保険医療機関に入院を伴う転院をした場合は算定できない。

(7) リハビリテーション計画提供料2を算定する場合、他の保険医療機関に提供した文書の写しを診療録等に添付すること。

H003―4 目標設定等支援・管理料

(1) 目標設定等支援・管理料は、要介護被保険者等に対するリハビリテーションの実施において、定期的な医師の診察、運動機能検査又は作業能力検査等の結果、患者との面接等に基づき、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等の多職種が患者と共同して、個々の患者の特性に応じたリハビリテーションの目標設定と方向付けを行い、またその進捗を管理した場合に算定する。

(2) 医師及びその他の従事者は、共同して目標設定等支援・管理シート(別紙様式23の5又はこれに準じた様式)を作成し、患者に交付し、その写しを診療録等に添付すること。

(3) 医師は、作成した目標設定等支援・管理シートに基づき、少なくとも次に掲げる内容について、医師が患者又は患者の看護に当たる家族等(以下この区分番号において「患者等」という。)に対して説明すること。また、説明を受けた患者等の反応を踏まえ、必要に応じて適宜、リハビリテーションの内容を見直すこと。

ア 説明時点までの経過

イ 当該保険医療機関における治療開始時及び説明時点のADL評価(BI又はFIMによる評価の得点及びその内訳を含む。)

ウ 説明時点における患者の機能予後の見通し

エ 当該患者の生きがい、価値観等に対する医師及びその他の従事者の理解や認識及びウの機能予後の見通し等を踏まえ、どのような活動、社会参加の実現を目指してリハビリテーションを行っているか又は行う予定か。

オ 現在実施している、又は今後実施する予定のリハビリテーションが、それぞれエの目標にどのように関係するか。

(4) 医師は、(3)の説明について、その内容、当該説明を患者等がどのように受け止め、どのように反応したかについて診療録に記載すること。

(5) 当該患者が、以後、介護保険によるリハビリテーション等のサービスの利用が必要と思われる場合には、必要に応じて介護支援専門員と協力して、患者等に介護保険による訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション等を提供する事業所(当該保険医療機関を含む。)を紹介し、見学、体験(入院中の患者以外の患者に限る。)を提案すること。

H004 摂食機能療法

(1) 摂食機能療法は、摂食機能障害を有する患者に対して、個々の患者の症状に対応した診療計画書に基づき、医師又は歯科医師若しくは医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士、看護師、准看護師、歯科衛生士、理学療法士又は作業療法士が1回につき30分以上訓練指導を行った場合に限り算定する。なお、摂食機能障害者とは、以下のいずれかに該当する患者をいう。

ア 発達遅滞、顎切除及び舌切除の手術又は脳卒中等による後遺症により摂食機能に障害があるもの

イ 内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影によって他覚的に嚥下機能の低下が確認できるものであって、医学的に摂食機能療法の有効性が期待できるもの

(2) 摂食機能療法の実施に当たっては、摂食機能療法に係る計画を作成し、医師は定期的な摂食機能検査をもとに、その効果判定を行う必要がある。なお、治療開始日並びに毎回の訓練内容、訓練の開始時間及び終了時間を診療録等に記載すること。

(3) 摂食機能療法を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に疾患名及び当該疾患に係る摂食機能療法の治療開始日を記載すること。

(4) 医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士、看護師、准看護師又は歯科衛生士が行う嚥下訓練は、摂食機能療法として算定できる。

(5) 「2」については、脳卒中の発症後14日以内の患者に対し、15分以上の摂食機能療法を行った場合に算定できる。なお、脳卒中の発症後14日以内の患者であっても、30分以上の摂食機能療法を行った場合には「1」を算定できる。

(6) 当該患者の転院時又は退院時には、患者又はその家族等に対して、嚥下機能の状態の説明並びに誤嚥予防のための食事内容及び摂食方法の指導を行うとともに、転院後又は退院後の摂食機能療法を担う他の保険医療機関等の医師及びその他の職種に対して、患者の嚥下機能の状態並びに患者又はその家族等への説明及び指導の内容について情報提供を行うこと。

(7) 「注3」に掲げる摂食嚥下支援加算は、摂食機能及び嚥下機能の回復の支援に係る専門知識を有した多職種により構成されたチーム(以下「摂食嚥下支援チーム」という。)の対応によって摂食機能又は嚥下機能の回復が見込まれる患者に対して、多職種が共同して必要な指導管理を行った場合に算定できる。

(8) 「注3」に掲げる摂食嚥下支援加算は、アからウまでの要件をいずれも満たす場合に算定する。

ア 摂食嚥下支援チームによる対応を開始する際には、当該患者の診療を担う医師、看護師等と共同の上、当該チームにより、内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影の結果に基づいて摂食嚥下支援計画書を作成すること。なお、すでに摂食機能療法を実施中であり、当該計画書が作成されている場合には、当該チームにより見直しを行うこととしても差し支えない。当該計画書について、その内容を患者又はその家族等に説明の上交付するとともに、その写しを診療録等に添付すること。

イ アを実施した患者について、月に1回以上、内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影を実施すること。当該検査結果等を踏まえて、摂食嚥下支援チームにより、摂食嚥下支援計画書等の見直しに係るカンファレンスを週に1回以上行うこと。当該カンファレンスには、当該チームの構成員である医師又は歯科医師、看護師、言語聴覚士、薬剤師及び管理栄養士が参加していること。

ウ 摂食嚥下支援チームは、カンファレンスの結果に基づき、摂食嚥下支援計画書の見直し、嚥下調整食の見直し(嚥下機能の観点から適切と考えられる食事形態に見直すことや量の調整を行うことを含む。)及び摂食方法の調整や口腔管理等の見直しを行い、患者又はその家族等への指導管理を行うこと。カンファレンスの結果を踏まえて計画書等の見直しを行った際には、見直しの要点を診療録等に記載、又は、計画書の写しを診療録等に添付すること。

(9) 「注3」に掲げる摂食嚥下支援加算を算定する場合は、当該患者の摂食機能療法の効果や進捗状況、内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影の結果及びカンファレンスの概要を診療録等に記載又は添付すること。また、内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影を実施した日付及びカンファレンスを実施した日付を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

H005 視能訓練

(1) 視能訓練は、両眼視機能に障害のある患者に対して、その両眼視機能回復のため矯正訓練(斜視視能訓練、弱視視能訓練)を行った場合に算定できるものであり、1日につき1回のみ算定する。

(2) 斜視視能訓練と弱視視能訓練を同時に施行した場合は、主たるもののみで算定する。

(3) 実施に当たって、医師は個々の患者の症状に対応した診療計画を作成し診療録に記載又は添付すること。

H006 難病患者リハビリテーション料

(1) 難病患者リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において、難病患者の社会生活機能の回復を目的として難病患者リハビリテーションを行った場合に、実施される内容の種類にかかわらず1日につき1回のみ算定する。

(2) 難病患者リハビリテーション料の算定対象は、入院中の患者以外の難病患者であって、要介護者(食事又はトイレに介助が必要な者)及び準要介護者(移動又は入浴に介助が必要な者)であり、医師がリハビリテーションが必要であると認めるものであること。

(3) 難病患者リハビリテーションは、個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであるが、この実施に当たっては、患者の症状等に応じたプログラムの作成、効果の判定等に万全を期すること。なお、実施時間は患者1人当たり1日につき6時間を標準とする。

(4) 難病患者リハビリテーション料を算定している患者に対して、同一日に行う他のリハビリテーションは所定点数に含まれるものとする。

(5) 「注2」に規定する短期集中リハビリテーション実施加算は、退院後早期の個々の患者の状態に対応した集中的なリハビリテーションの評価を行うものであり、退院日から起算して1月以内に行われる場合は、1週につき概ね2回以上、1回当たり40分以上、退院日から起算して1月を超え3月以内の期間に行われる場合は、1週につき概ね2回以上、1回当たり20分以上の個別リハビリテーションを含む難病患者リハビリテーションを行った場合に算定する。なお、個別リハビリテーション実施の際には、他の患者に対して提供するリハビリテーションに支障のないよう配慮すること。

(6) 治療の一環として治療上の目的を達するために食事を提供する場合にあっては、その費用は所定点数に含まれる。

H007 障害児(者)リハビリテーション料

(1) 障害児(者)リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める障害児(者)リハビリテーション料の施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関である次に掲げるいずれかの施設で行った場合に算定する。

ア 児童福祉法第42条第2号に規定する医療型障害児入所施設(主として肢体不自由のある児童又は重症心身障害児(同法第7条第2項に規定する重症心身障害児をいう。)を入所させるものに限る。)

イ 児童福祉法第6条の2に規定する指定医療機関

ウ 当該保険医療機関においてリハビリテーションを実施している外来患者のうち、概ね8割以上が特掲診療料の施設基準等別表第十の二に該当する患者(ただし加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病の者を除く。)である保険医療機関

(2) 障害児(者)リハビリテーション料は、(1)に掲げる施設の入所者、入院患者、通園者又は通院患者のうち、以下の患者(医師がリハビリテーションが必要と認めた患者に限る。)に対して、個々の症例に応じてリハビリテーションを行った場合に算定する。

ア 脳性麻痺の患者

イ 胎生期若しくは乳幼児期に生じた脳又は脊髄の奇形及び障害の患者(脳形成不全、小頭症、水頭症、奇形症候症、二分脊椎等の患者を含む。)

ウ 顎・口腔の先天異常の患者

エ 先天性の体幹四肢の奇形又は変形の患者(先天性切断、先天性多発性関節拘縮症等の患者を含む。)

オ 先天性神経代謝異常症、大脳白質変性症の患者

カ 先天性又は進行性の神経筋疾患の患者(脊髄小脳変性症、シャルコーマリートゥース病、進行性筋ジストロフィー症等の患者を含む。)

キ 神経障害による麻痺及び後遺症の患者(低酸素性脳症、頭部外傷、溺水、脳炎・脳症・髄膜炎、脊髄損傷、脳脊髄腫瘍、腕神経叢損傷・坐骨神経損傷等回復に長期間を要する神経疾患等の患者を含む。)

ク 言語障害、聴覚障害、認知障害を伴う自閉症等の発達障害の患者(広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、学習障害等の患者を含む。)

(3) 障害児(者)リハビリテーションの実施に当たっては、医師は定期的な運動機能検査等をもとに、その効果判定を行い、リハビリテーション実施計画を作成する必要がある。なお、障害児(者)リハビリテーションを実施するに当たっては、開始時及びその後3か月に1回以上、患者又はその家族に対して実施計画の内容を説明し、その要点を診療録に記載又は添付する。

(4) 障害児(者)リハビリテーション料を算定する場合は、同一の保険医療機関において、区分番号「H000」心大血管疾患リハビリテーション料、区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料、区分番号「H001―2」廃用症候群リハビリテーション料、区分番号「H002」運動器リハビリテーション料、区分番号「H003」呼吸器リハビリテーション料又は区分番号「H007―2」がん患者リハビリテーション料は別に算定できない。ただし、障害児(者)リハビリテーションについては、その特殊性を勘案し、疾患別リハビリテーション料又は区分番号「H007―2」がん患者リハビリテーション料を算定している保険医療機関とは別の保険医療機関で算定することは可能である。

H007―2 がん患者リハビリテーション料

(1) がん患者リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において算定するものであり、がんの種類や進行、がんに対して行う治療及びそれに伴って発生する副作用又は障害等について十分な配慮を行った上で、がんやがんの治療により生じた疼痛、筋力低下、障害等に対して、二次的障害を予防し、運動器の低下や生活機能の低下予防・改善することを目的として種々の運動療法、実用歩行訓練、日常生活活動訓練、物理療法、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合について算定する。なお、マッサージや温熱療法などの物理療法のみを行った場合には第2章特掲診療料第9部処置の項により算定する。

(2) がん患者リハビリテーション料は、対象となる患者に対して、医師の指導監督の下、がん患者リハビリテーションに関する適切な研修を修了した理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が個別に20分以上のリハビリテーションを行った場合を1単位として、1日につき6単位に限り算定する。また、専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が実施した場合と同様に算定できる。

(3) がん患者リハビリテーション料の対象となる患者は、入院中のがん患者であって、以下のいずれかに該当する者をいい、医師が個別にがん患者リハビリテーションが必要であると認める者である。

ア 当該入院中にがんの治療のための手術、骨髄抑制を来しうる化学療法、放射線治療若しくは造血幹細胞移植が行われる予定の患者又は行われた患者

イ 在宅において緩和ケア主体で治療を行っている進行がん又は末期がんの患者であって、症状増悪のため一時的に入院加療を行っており、在宅復帰を目的としたリハビリテーションが必要な患者

(4) がん患者リハビリテーションを行う際には、定期的な医師の診察結果に基づき、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等の多職種が共同してリハビリテーション計画を作成し、区分番号「H003―2」リハビリテーション総合計画評価料1を算定していること。なお、がん患者リハビリテーションの開始時及びその後3か月に1回以上、患者又はその家族等に対して当該がん患者リハビリテーションの実施計画の内容を説明し、その要点を診療録等に記載する。なお、がんのリハビリテーションに従事する者は、積極的にキャンサーボードに参加することが望ましい。

(5) がん患者リハビリテーション料を算定している患者に対して、区分番号「H000」心大血管疾患リハビリテーション料、区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料、区分番号「H001―2」廃用症候群リハビリテーション料、区分番号「H002」運動器リハビリテーション料、区分番号「H003」呼吸器リハビリテーション料又は区分番号「H007」障害児(者)リハビリテーション料は別に算定できない。

H007―3 認知症患者リハビリテーション料

(1) 認知症患者リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において算定するものであり、重度認知症の患者(区分番号「A314」認知症治療病棟入院料を算定する患者又は認知症疾患医療センターに入院している患者に限る。)に対して、認知症の行動・心理症状の改善及び認知機能や社会生活機能の回復を目的として、作業療法、学習訓練療法、運動療法等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合について算定する。ここでいう重度認知症の患者とは、「「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」の活用について」(平成18年4月3日老発第0403003号。「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の別添6の別紙12及び別紙13参照)におけるランクMに該当するものをいう。ただし、重度の意識障害のある者(JCS(Japan Coma Scale)でⅡ―3(又は30)以上又はGCS(Glasgow Coma Scale)で8点以下の状態にある者)を除く。また、ここでいう認知症疾患医療センターとは、「認知症施策等総合支援事業の実施について」(平成26年7月9日老発0709第3号老健局長通知)に基づき、都道府県知事又は指定都市市長が指定した保険医療機関であること。

(2) 認知症患者リハビリテーション料は、対象となる患者に対して、認知症リハビリテーションに関して、十分な経験を有する医師の指導監督の下、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が個別に20分以上のリハビリテーションを行った場合に算定する。また、専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が実施した場合と同様に算定できる。

(3) 認知症患者リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションは、1人の従事者が1人の患者に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士と患者が1対1で行うものとする。

なお、当該リハビリテーションを実施する患者数は、従事者1人につき1日18人を上限とする。ただし、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の労働時間が適切なものになるよう配慮すること。

(4) 認知症患者リハビリテーションを行う際には、定期的な医師の診察結果に基づき、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等の多職種が共同してリハビリテーション計画を作成し、区分番号「H003―2」リハビリテーション総合計画評価料1を算定していること。

(5) 認知症患者リハビリテーションを算定している患者について、区分番号「H000」心大血管疾患リハビリテーション料、区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料、区分番号「H001―2」廃用症候群リハビリテーション料、区分番号「H002」運動器リハビリテーション料、区分番号「H003」呼吸器リハビリテーション料、区分番号「H007」障害児(者)リハビリテーション料又は区分番号「H007―2」がん患者リハビリテーション料は別に算定できない。

H007―4 リンパ浮腫複合的治療料

(1) リンパ浮腫複合的治療料は、鼠径部、骨盤部若しくは腋窩部のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍に対する手術を行った患者又は原発性リンパ浮腫と診断された患者であって、国際リンパ学会による病期分類Ⅰ期以降のものに対し、複合的治療を実施した場合に算定する。なお、この場合において、病期分類Ⅱ期以降の患者が「1」の「重症の場合」の対象患者となる。

(2) リンパ浮腫複合的治療料は、専任の医師が直接行うもの又は専任の医師の指導監督の下、専任の看護師、理学療法士若しくは作業療法士が行うものについて算定する。あん摩マッサージ指圧師(当該保険医療機関に勤務する者であって、あん摩マッサージ指圧師の資格を取得後、2年以上業務に従事(うち6月以上は当該保険医療機関において従事)し、施設基準に定める適切な研修を修了したものに限る。)が行う場合は、専任の医師、看護師、理学療法士又は作業療法士が事前に指示し、かつ事後に報告を受ける場合に限り算定できる。いずれの場合も、患者1名に対し従事者1名以上の割合で実施する。

(3) リンパ浮腫複合的治療料は、弾性着衣又は弾性包帯による圧迫、圧迫下の運動、用手的リンパドレナージ、患肢のスキンケア及び体重管理等のセルフケア指導等を適切に組み合わせ、「1」の「重症の場合」は1回40分以上、「2」の「1以外の場合」は1回20分以上行った場合に算定する。なお、一連の治療において、患肢のスキンケア、体重管理等のセルフケア指導は必ず行うこと。また、重症の場合は、毎回の治療において弾性着衣又は弾性包帯による圧迫を行うこと(圧迫を行わない医学的理由がある場合を除く。)。

(4) 当該保険医療機関において、直近1年間にリンパ浮腫指導管理料を50回以上算定していない場合は、リンパ浮腫の診断等に係る連携先として届け出た保険医療機関(直近1年間にリンパ浮腫指導管理料を50回以上算定しているものに限る。)においてリンパ浮腫と診断され、リンパ浮腫の複合的治療を依頼する旨とともに紹介されたもの(区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)を算定するものに限る。)についてのみ算定できる。

H008 集団コミュニケーション療法料

(1) 集団コミュニケーション療法料は、別に厚生労働大臣が定める区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料又は区分番号「H007」障害児(者)リハビリテーション料の施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関であって、当該施設において医師又は医師の指導監督の下で言語聴覚士が複数の患者に対して訓練を行った場合に算定できる。

(2) 集団コミュニケーション療法料の算定対象となるのは、区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料、区分番号「H001―2」廃用症候群リハビリテーション料又は区分番号「H007」障害児(者)リハビリテーション料を算定する患者のうち、1人の言語聴覚士が複数の患者に対して訓練を行うことができる程度の症状の患者であって、特に集団で行う言語聴覚療法である集団コミュニケーション療法が有効であると期待できる患者である。

(3) 集団コミュニケーション療法の実施単位数は言語聴覚士1人当たり1日のべ54単位を限度とする。また、集団コミュニケーション療法と脳血管疾患等リハビリテーション、廃用症候群リハビリテーション又は障害児(者)リハビリテーションを併せて行っている従事者については、実施するリハビリテーションの単位数が、集団コミュニケーション療法3単位を疾患別リハビリテーション1単位とみなした上で、1日に概ね18単位、週に108単位を超えないものとする。

(4) 集団コミュニケーション療法の実施に当たっては、医師は定期的な言語聴覚機能能力に係る検査をもとに効果判定を行い、集団コミュニケーション療法の実施計画を作成する必要がある。なお、集団コミュニケーション療法を実施する場合は開始時及びその後3か月に1回以上、患者又はその家族に対して当該集団コミュニケーション療法の実施計画の内容を説明し、その要点を診療録に記載又は添付する。

第8部 精神科専門療法

<通則>

精神科専門療法においては、薬剤を使用した場合は、第1節の精神科専門療法料と第2節の薬剤料を合算した点数により、薬剤を使用しない場合は、第1節の精神科専門療法料に掲げる所定点数のみによって算定する。この部において、精神疾患とは、ICD―10(国際疾病分類)の第5章「精神および行動の障害」に該当する疾病又は第6章に規定する「アルツハイマー<Alzheimer>病」、「てんかん」及び「睡眠障害」に該当する疾病をいう。

第1節 精神科専門療法料

I000 精神科電気痙攣療法

(1) 精神科電気痙攣療法とは、100ボルト前後の電流を頭部に短時間通電することを反復し、各種の精神症状の改善を図る療法をいい、精神科を標榜する保険医療機関において、精神科を担当する医師が行った場合に限り、1日1回に限り算定する。

(2) 精神科電気痙攣療法は、当該療法について十分な知識を有する医師が実施すべきものであり、当該医師以外の介助者の立ち合いの下に、何らかの副作用が生じた際に適切な処置が取り得る準備の下に行われなければならない。

(3) マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を伴った精神科電気痙攣療法を実施する場合は、当該麻酔に要する費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。ただし、当該麻酔に伴う薬剤料及び特定保険医療材料料は別途算定できる。

(4) 「注3」に規定する加算は、麻酔科標榜医により、質の高い麻酔が提供されることを評価するものである。当該加算を算定する場合には、当該麻酔科標榜医の氏名、麻酔前後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載する。なお、麻酔前後の診察について記載された麻酔記録又は麻酔中の麻酔記録の診療録への添付により診療録への記載に代えることができる。

I000―2 経頭蓋磁気刺激療法

(1) 当該治療を実施する場合は関連学会の定める適正使用指針を遵守すること。

(2) 経頭蓋磁気刺激療法は、抗うつ剤を使用した経験があって、十分な効果が認められない成人のうつ病患者に用いた場合に限り算定できる。ただし、双極性感情障害、軽症うつ病エピソード、持続気分障害などの軽症例や、精神病症状を伴う重症うつ病エピソード、切迫した希死念慮、緊張病症状、速やかに改善が求められる身体的・精神医学的状態を認めるなどの電気痙攣療法が推奨される重症例を除く。

(3) 経頭蓋磁気刺激療法は、関連学会の定める適正使用指針に基づき、適正時間の刺激により治療が行われた場合に算定できる。時間については、治療装置による治療の前後の医師又は看護師によって行われる面接の時間及び治療装置の着脱に係る時間は含まない。なお、当該治療に用いた医療機器、治療を行った日時及び刺激した時間について、診療録に記載する。

(4) 初回の治療を行った日から起算して6週を限度として、計30回に限り算定できる。また、治療開始日と終了日の年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(5) 治療開始前にHAMD17又はHAMD24(ハミルトンうつ病症状評価尺度)による評価を行い、その分析結果及び患者に対する本治療の説明内容の要点を診療録に記載する。

(6) 治療開始から第3週目及び第6週目にHAMD17又はHAMD24による再評価を行い、その分析結果を診療録に記載する。なお、第3週目の評価において、その合計スコアがHAMD17で7以下、HAMD24で9以下である場合は寛解と判断し当該治療は中止又は漸減する。漸減する場合、第4週目は最大週3回、第5週目は最大週2回、第6週目は最大週1回まで算定できる。また、第3週目の評価において、HAMD17又はHAMD24の合計スコアで寛解と判断されず、かつ治療開始前の評価より改善が20%未満の場合には中止する。

I001 入院精神療法

(1) 入院精神療法とは、入院中の患者であって精神疾患又は精神症状を伴う脳器質性障害があるものに対して、一定の治療計画に基づいて精神面から効果のある心理的影響を与えることにより、対象精神疾患に起因する不安や葛藤を除去し、情緒の改善を図り洞察へと導く治療方法をいう。

(2) 入院精神療法は、精神科を標榜する保険医療機関の精神保健指定医又はその他の精神科を担当する医師が、当該保険医療機関内の精神療法を行うにふさわしい場所において、対象精神疾患の患者に対して必要な時間行った場合に限り算定する。ただし、区分番号「A230―4」精神科リエゾンチーム加算の届出を行っている保険医療機関については、精神科を標榜していない場合にも、入院精神療法を算定できる。

(3) 入院精神療法として算定できる回数は、医学的に妥当と認められる回数を限度とする。なお、入院精神療法は、同時に複数の患者又は複数の家族を対象として集団的に行われた場合には、算定できない。

(4) 患者の家族に対する入院精神療法は、統合失調症の患者であって、家族関係が当該疾患の原因又は増悪の原因と推定される場合に限り、当該保険医療機関における初回の入院の時に、入院中2回に限り算定できる。ただし、患者の病状説明、服薬指導等一般的な療養指導である場合は、算定できない。なお、家族に対して入院精神療法を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に画像5 (20KB)別ウィンドウが開きます
と記載する。

(5) 入院精神療法を行った場合(家族に対して行った場合を含む。)は、その要点を診療録に記載する。入院精神療法(Ⅰ)にあっては、更に当該療法に要した時間及びその要点を診療録に記載する。

(6) 患者に対して入院精神療法を行った日と同一の日に家族に対して入院精神療法を行った場合における費用は、患者に対する入院精神療法の費用に含まれ、別に算定できない。

(7) 入院の日及び入院の期間の取扱いについては、入院基本料の取扱いの例による。

(8) 重度の精神障害者とは、措置入院患者、医療保護入院患者及び任意入院であるが何らかの行動制限を受けている患者等をいう。

(9) 入院精神療法(Ⅰ)を行った週と同一週に行われた入院精神療法(Ⅱ)は別に算定できない。

(10) 入院中の対象精神疾患の患者に対して、入院精神療法に併せて区分番号「I004」心身医学療法が算定できる自律訓練法、森田療法等の療法を行った場合であっても、入院精神療法のみにより算定する。

(11) 当該患者に対して、同じ日に入院精神療法と区分番号「I003」標準型精神分析療法を行った場合は標準型精神分析療法により算定する。

I002 通院・在宅精神療法

(1) 通院・在宅精神療法とは、入院中の患者以外の患者であって、精神疾患又は精神症状を伴う脳器質性障害があるもの(患者の著しい病状改善に資すると考えられる場合にあっては当該患者の家族)に対して、精神科を担当する医師(研修医を除く。)が一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法をいう。

(2) 通院・在宅精神療法は、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が行った場合に限り算定する。

(3) 通院・在宅精神療法は、同時に複数の患者又は複数の家族を対象に集団的に行われた場合には算定できない。

(4) 通院・在宅精神療法の「1」のイ及び「1」のハの(2)並びに「2」のイ及び「2」のハの(3)は、診療に要した時間が5分を超えたときに限り算定する。

(5) 通院・在宅精神療法の「1」のロ及び「2」のロは、区分番号「A000」初診料を算定する初診の日(区分番号「A000」の初診料の「注5」のただし書に規定する初診を含む。)は、診療に要した時間が60分以上の場合に限り算定することとし、「1」のハの(1)及び「2」のハの(2)は、診療に要した時間が30分以上の場合に、「2」のハの(1)は、診療に要した時間が60分以上の場合に限り算定する。この場合において、診療に要した時間とは、医師が自ら患者に対して行う問診、身体診察(視診、聴診、打診及び触診をいう。)及び当該通院・在宅精神療法に要する時間をいい、これら以外の診療に要する時間は含まない。

(6) 通院・在宅精神療法の「1」のイ及び「2」のイについては、当該患者の退院後支援についての総合調整を担う都道府県、保健所を設置する市又は特別区(以下「都道府県等」という。)が、精神障害者の退院後支援に関する指針を踏まえて作成する退院後支援に関する計画に基づく支援期間にある患者に対し、当該計画において外来又は在宅医療を担うこととされている保険医療機関の精神科の医師が実施した場合に限り算定できる。

(7) 通院・在宅精神療法の「1」のイ又は「1」のロ及び「2」のイ又は「2」のロを算定する保険医療機関においては、以下のいずれかの要件に該当していること等、標榜時間外において、所属する保険医療機関を継続的に受診している患者に関する電話等の問合せに応じる体制を整備するとともに、必要に応じてあらかじめ連携している保険医療機関に紹介できる体制を有していることが望ましい。

ア 区分番号「A001」再診料の時間外対応加算1の届出を行っていること。

イ 精神科救急情報センター、都道府県、市町村、保健所、警察、消防(救急車)、救命救急センター、一般医療機関等からの患者に関する問合せ等に対し、原則として当該保険医療機関において、常時対応できる体制がとられていること。また、やむを得ない事由により、電話等による問合せに応じることができなかった場合であっても、速やかに折り返して電話することができる体制がとられていること。

(8) 通院・在宅精神療法を算定するに当たっては、診療録に当該診療に要した時間を記載すること。ただし、当該診療に要した時間が明確でない場合には、当該診療に要した時間が5分、30分又は60分を超えたことが明らかであると判断される精神療法を行った場合に限り、「○分超」などの記載でも差し支えない。また、通院・在宅精神療法の「1」のロ又は「2」のロ又は「2」のハを算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄に当該診療に要した時間を記載する。

(9) 当該患者の家族に対する通院・在宅精神療法は、家族関係が当該疾患の原因又は増悪の原因と推定される場合に限り算定する。ただし、患者の病状説明、服薬指導等一般的な療養指導である場合は、算定できない。家族に対して通院・在宅精神療法を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に画像6 (20KB)別ウィンドウが開きます
と記載する。

(10) 通院・在宅精神療法を行った場合(家族に対して行った場合を含む。)は、その要点を診療録に記載する。

(11) 患者に対して通院・在宅精神療法を行った日と同一の日に家族に対して通院・在宅精神療法を行った場合における費用は、患者に対する通院・在宅精神療法の費用に含まれ、別に算定できない。

(12) 入院中の患者以外の精神疾患を有する患者に対して、通院・在宅精神療法に併せて区分番号「I004」心身医学療法が算定できる自律訓練法、森田療法等の療法を行った場合であっても、通院・在宅精神療法のみにより算定する。

(13) 当該患者に対する通院・在宅精神療法を算定した場合は、同じ日に区分番号「I003」標準型精神分析療法は算定できない。

(14) 通院・在宅精神療法は、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が、訪問診療又は往診による診療を行った際にも算定できる。

(15) 「注3」に規定する加算は、必要に応じて児童相談所等と連携し、保護者等へ適切な指導を行った上で、20歳未満の患者に対して、通院・在宅精神療法を行った場合(当該保険医療機関の精神科を初めて受診した日から起算して1年以内の期間に行った場合に限る。)に、所定点数に加算する。

(16) 「注4」に規定する児童思春期精神科専門管理加算は、児童思春期精神科の専門の医師(精神保健指定医に指定されてから5年以上にわたって主に20歳未満の患者に対する精神医療に従事した医師であって、現に精神保健指定医である医師をいう。)又は当該専門の医師の指導の下、精神療法を実施する医師が、20歳未満の患者(イについては16歳未満の患者に限る。)に対し、専門的な精神療法を実施した場合に算定する。

(17) 「注4」のロについては、発達障害や虐待の有無等を含む精神状態の総合的な評価、鑑別診断及び療育方針の検討等が必要な者に対し、発達歴や日常生活の状況の聴取・行動観察等に基づく、60分以上の専門的な精神療法を実施すること。なお、実施に当たっては、以下の要件をいずれも満たすこと。

ア 発達障害の評価に当たっては、ADI―R(Autism Diagnostic Interview-Revised)やDISCO(The Diagnostic Interview for Social and Communication Disorders)等で採用されている診断項目を考慮すること。

イ 患者及び患者の家族に、今後の診療計画について文書及び口頭で説明すること。説明に用いた診療計画の写しを診療録に添付すること。

(18) 「注5」に定める特定薬剤副作用評価加算は、抗精神病薬を服用中の患者について、精神保健指定医又はこれに準ずる者が、通常行うべき薬剤の副作用の有無等の確認に加え、更に薬原性錐体外路症状評価尺度を用いて定量的かつ客観的に薬原性錐体外路症状の評価を行った上で、薬物療法の治療方針を決定した場合に、月に1回に限り算定する。この際、別紙様式33に準じて評価を行い、その結果と決定した治療方針について、診療録に記載すること。なお、同一月に区分番号「I002―2」精神科継続外来支援・指導料の「注4」に規定する特定薬剤副作用評価加算を算定している患者については、当該加算は算定できない。

(19) 「注6」に定める所定点数には、注3から注5までの加算を含まないこと。また、別に厚生労働大臣が定める要件は、特掲診療料の施設基準等別表第十の二の四に掲げるものを全て満たすものをいう。なお、その留意事項は以下のとおりである。

ア 「当該保険医療機関において、3種類以上の抗うつ薬及び3種類以上の抗精神病薬の投与の頻度が一定以下であること」とは、当該保険医療機関において抗うつ薬又は抗精神病薬のいずれかを処方された患者のうち、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬を処方された患者の割合が1割未満であるか、その数が20名未満であることをいう。なお、抗うつ薬及び抗精神病薬の種類数は区分番号「F100」処方料における計算方法に準じる。抗うつ薬又は抗精神病薬を処方された患者のうち、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬を処方された患者の割合は、区分番号「F100」処方料(3)ウにより報告したもののうち、直近のものを用いることとする。また、抗不安薬を3種類以上、睡眠薬を3種類以上、抗うつ薬を3種類以上又は抗精神病薬を3種類以上投与(以下この部において「向精神薬多剤投与」という。)していないために当該報告を行わなかった保険医療機関については、当該要件を満たすものとして扱う。

イ 「当該患者に対し、適切な説明や医学管理が行われていること」とは、当該月を含む過去3か月以内に以下の全てを行っていることをいう。

(イ) 患者又はその家族等の患者の看護や相談に当たる者(以下イにおいて「患者等」という。)に対して、当該投与により見込む効果及び特に留意する副作用等について説明し、診療録に説明内容及び患者等の受け止めを記載していること。ただし、説明を行うことが診療上適切でないと考える場合は、診療録にその理由を記載することで代替して差し支えない。

(ロ) 服薬状況(残薬の状況を含む。)を患者等から聴取し、診療録に記載していること。

(ハ) 3種類以上の抗精神病薬を投与している場合は、「注5」に掲げる客観的な指標による抗精神病薬の副作用評価を行っていること。

(ニ) 減薬の可能性について検討し、今後の減薬計画又は減薬計画が立てられない理由を患者等に説明し、診療録に説明内容及び患者等の受け止めを記載していること。

ウ 「当該処方が臨時の投薬等のもの又は患者の病状等によりやむを得ないものであること」とは、区分番号「F100」処方料(3)のアの(イ)から(ニ)までのいずれかに該当するものであることをいう。

(20) 「注7」に規定する措置入院後継続支援加算は、通院・在宅精神療法の「1」のイを算定する患者に対し、医師の指示を受けた看護職員又は精神保健福祉士が、対面又は電話で、月1回以上の指導を行った上で、3月に1回以上の頻度で当該患者の退院後支援について総合調整を担う都道府県等に対し、当該患者の治療や生活の状況及びより一層の支援が必要と考えられる課題について、文書で情報提供している場合に、3月に1回に限り算定できる。診療録等において、毎回の指導内容を記載するとともに、都道府県等への情報提供の写しを記録すること。なお、指導等を実施した月の翌月以降に通院・在宅精神療法を行った場合に算定しても差し支えないこととし、指導等を行った月と算定する月が異なる場合には、診療報酬明細書の摘要欄に指導等を行った月を記載すること。

(21) 「注8」に規定する療養生活環境整備指導加算は、通院・在宅精神療法の「1」を算定する患者について、当該保険医療機関における直近の入院において、区分番号「B015」精神科退院時共同指導料の「1」精神科退院時共同指導料1を算定した患者であって、退院した日の属する月の翌月末日までに当該保険医療機関を受診したもの又はその家族等に対して、精神科を担当する医師の指示の下、保健師、看護師又は精神保健福祉士が、療養生活環境を整備するための指導を行った場合に月1回に限り算定できる。なお、実施に当たっては、以下の要件をいずれも満たすこと。また、精神科退院時共同指導料1を算定した月と当該加算を算定する月が異なる場合には、診療報酬明細書の摘要欄に直近の精神科退院時共同指導料1を算定した年月を記載すること。

ア 当該患者の支援方針等について、多職種が共同して、3月に1回の頻度でカンファレンスを実施すること。また、カンファレンスには、以下の(イ)から(ハ)の職種がそれぞれ1名以上参加していること。なお、必要に応じて、(ニ)から(ヌ)の職種が参加すること。ただし、(イ)から(ヘ)については、当該保険医療機関の者に限る。

(イ) 当該患者の診療を担当する精神科の医師

(ロ) 保健師又は看護師(以下、この項において「看護師等」という。)

(ハ) 精神保健福祉士

(ニ) 薬剤師

(ホ) 作業療法士

(ヘ) 公認心理師

(ト) 在宅療養担当医療機関の保険医の指示を受けた訪問看護ステーションの看護師等

(チ) 在宅療養担当医療機関の保険医の指示を受けた訪問看護ステーションの作業療法士

(リ) 市町村若しくは都道府県等の担当者

(ヌ) その他の関係職種

イ アのカンファレンスにおいて、患者の状態を把握した上で、多職種が共同して別紙様式51の2に掲げる「療養生活環境の整備に関する支援計画書」(この区分において「支援計画書」という。)を作成し、その写しを診療録等に添付する。なお、支援計画書の作成に当たっては、平成28~30年度厚生労働行政推進調査事業において「精神障害者の地域生活支援を推進する政策研究」の研究班が作成した、「包括的支援マネジメント実践ガイド」を参考にすること。ただし、初回のカンファレンスについては、区分番号「B015」精神科退院時共同指導料に規定する指導を実施した日から当該患者の状態に著しい変化を認めない場合に限り、当該指導時に作成した支援計画書(直近の入院中に作成した支援計画書に限る。)を用いても差し支えない。

ウ 当該患者を担当する看護師等又は精神保健福祉士は、患者等に対し、イにおいて作成した支援計画書の内容を説明し、かつ、当該支援計画書の写しを交付した上で、療養生活環境の整備のための指導を行う。また、担当する患者ごとに療養生活環境整備指導記録を作成し、当該指導記録に指導の要点、指導実施時間を明記すること。

I002―2 精神科継続外来支援・指導料

(1) 精神科継続外来支援・指導料とは、入院中の患者以外の患者であって、精神疾患のものに対して、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が、精神障害者の地域生活の維持や社会復帰に向けた支援のため、患者又はその家族等の患者の看護や相談に当たる者に対して、病状、服薬状況及び副作用の有無等の確認を主とした支援を継続して行う場合を評価したものである。

(2) 「注2」については、当該保険医療機関が、1回の処方において、向精神薬多剤投与した場合には、算定しない。ただし、区分番号「F100」処方料(3)のアの(イ)から(ハ)までのいずれかに該当する場合、及び3種類の抗うつ薬又は3種類の抗精神病薬を投与する場合で(ニ)に該当する場合は算定することができる。なお、この場合においては、診療報酬明細書の摘要欄に向精神薬多剤投与に該当するが、精神科継続外来支援・指導料を算定する理由を記載すること。

(3) 抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬及び抗精神病薬の種類数は一般名で計算する。また、抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬及び抗精神病薬の種類については、別紙36を参考にすること。

(4) 「注3」に規定する加算は、「注1」に規定する医師による支援と併せて、精神科を担当する医師の指示の下、保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士(以下「保健師等」という。)が、患者又はその家族等の患者の看護や相談に当たる者に対して、療養生活環境を整備するための支援を行った場合を評価したものである。

(5) 「注4」に定める特定薬剤副作用評価加算は、抗精神病薬を服用中の患者について、精神保健指定医又はこれに準ずる者が、通常行うべき薬剤の副作用の有無等の確認に加え、更に薬原性錐体外路症状評価尺度を用いて定量的かつ客観的に薬原性錐体外路症状の評価を行った上で、薬物療法の治療方針を決定した場合に、月1回に限り算定する。この際、別紙様式33に準じて評価を行い、その結果と決定した治療方針について、診療録に記載すること。なお、同一月に区分番号「I002」通院・在宅精神療法の「注5」に規定する特定薬剤副作用評価加算を算定している患者については、当該加算は算定できない。

(6) 他の精神科専門療法と同一日に行う精神科継続外来支援・指導に係る費用は、他の精神科専門療法の所定点数に含まれるものとする。

(7) 精神科継続外来支援・指導料は、初診時(区分番号「A000」初診料の「注5」のただし書に規定する初診を含む。)は算定できないものとする。

(8) 精神科継続外来支援・指導を行った場合は、その要点を診療録に記載する。

(9) 「注5」に定める別に厚生労働大臣が定める要件は、特掲診療料の施設基準等別表十の二の四に掲げるものを全て満たすものをいう。なお、その留意事項は、「I002」通院・在宅精神療法の(19)に示すものと同様である。

I002―3 救急患者精神科継続支援料

(1) 救急患者精神科継続支援料は、精神科医又は精神科医の指示を受けた看護師、作業療法士、精神保健福祉士、公認心理師若しくは社会福祉士が、自殺企図若しくは自傷又はそれらが疑われる行為によって生じた外傷や身体症状のために医師が入院の必要を認めた患者であって、精神疾患の状態にあるものに対し、自殺企図や精神状態悪化の背景にある生活上の課題の状況を確認した上で、解決に資する社会資源について情報提供する等の援助を行う他、かかりつけ医への受診や定期的な服薬等、継続して精神疾患の治療を受けるための指導や助言を行った場合に算定する。なお、指導等を行う精神科医又は精神科医の指示を受けた看護師等は、適切な研修を受講している必要があること。

(2) 「1」については、精神科医の指示を受けた看護師等が指導等を行う場合には、あらかじめ、当該精神科医が週に1回以上診察している必要があること。

(3) 「2」については、精神科医又は当該精神科医の指示を受けた看護師等(いずれも入院中に当該患者の指導等を担当した者に限る。)が、電話等で1月に2回以上の指導等を行った場合に1回算定することとし、退院から6月に6回に限り算定する。なお、指導等を実施した月の翌月以降に外来を受診した際に算定しても差し支えないこととし、指導等を行った月と算定する月が異なる場合には、診療報酬明細書の摘要欄に指導等を行った月を記載すること。

(4) 指導等の内容の要点を診療録等に記載すること。

I003 標準型精神分析療法

(1) 標準型精神分析療法とは、口述による自由連想法を用いて、抵抗、転移、幼児体験等の分析を行い解釈を与えることによって洞察へと導く治療法をいい、当該療法に習熟した医師により行われた場合に、概ね月6回を標準として算定する。また、精神科を標榜する保険医療機関以外の保険医療機関において、標準型精神分析療法に習熟した心身医学を専門とする医師が当該療法を行った場合においても算定できる。

(2) 口述でなく筆記による自由連想法的手法で行う精神分析療法は、1時間以上にわたるような場合であっても、入院中の患者にあっては区分番号「I001」入院精神療法により、入院中の患者以外の患者にあっては区分番号「I002」通院・在宅精神療法により算定する。

(3) 標準型精神分析療法を行った場合は、その要点及び診療時間を診療録に記載する。

I003―2 認知療法・認知行動療法

(1) 認知療法・認知行動療法とは、入院中の患者以外のうつ病等の気分障害、強迫性障害、社交不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害又は神経性過食症の患者に対して、認知の偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって治療することを目的とした精神療法をいう。

(2) 認知療法・認知行動療法は、一連の治療計画を策定し、患者に対して詳細な説明を行った上で、当該療法に関する研修を受講するなど当該療法に習熟した医師によって30分を超えて治療が行われた場合(「2」において、看護師により30分を超える面接が行われ、その後当該療法に習熟した医師により5分以上の面接が行われた場合を含む。)に算定する。

(3) 一連の治療につき16回に限り算定する。

(4) 認知療法・認知行動療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。

(5) うつ病等の気分障害の患者に対する認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「うつ病の認知療法・認知行動療法治療者用マニュアル」(平成21年度厚生労働省こころの健康科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。

(6) 強迫性障害の患者に対する認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「強迫性障害(強迫症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)」(平成27年度厚生労働省障害者対策総合研究事業「認知行動療法等の精神療法の科学的エビデンスに基づいた標準治療の開発と普及に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。

(7) 社交不安障害の患者に対する認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「社交不安障害(社交不安症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)」(平成27年度厚生労働省障害者対策総合研究事業「認知行動療法等の精神療法の科学的エビデンスに基づいた標準治療の開発と普及に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。

(8) パニック障害の患者に対する認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「パニック障害(パニック症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)」(平成27年度厚生労働省障害者対策総合研究事業「認知行動療法等の精神療法の科学的エビデンスに基づいた標準治療の開発と普及に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。

(9) 心的外傷後ストレス障害に対する認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「PTSD(心的外傷後ストレス障害)の認知行動療法マニュアル〔持続エクスポージャー療法/PE療法〕(平成27年度厚生労働省障害者対策総合研究事業「認知行動療法等の精神療法の科学的エビデンスに基づいた標準治療の開発と普及に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。

(10) 神経性過食症に対する認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター研究班作成の「摂食障害に対する認知行動療法CBT―E簡易マニュアル」(平成29年度国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神・神経疾患研究開発費研究事業「心身症・摂食障害の治療プログラムと臨床マーカーの検証」)に従って行った場合に限り、算定できる。

(11) 認知療法・認知行動療法を行った場合は、その要点及び診療時間を診療録に記載する。

(12) 認知療法・認知行動療法の「2」は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、入院中の患者以外のうつ病等の気分障害の患者に対して、医師が治療を行うに当たり、治療に係る面接の一部を専任の看護師が実施した場合に算定する。ただし、この場合にあっては、次の全てを満たすこと。

ア 初回時又は治療終了時を予定する回の治療に係る面接は専任の医師が実施し、専任の看護師が同席すること。

イ 初回から治療を終了するまでの間の治療は、初回時に同席した看護師が実施し、当該看護師による面接後に、専任の医師が患者と5分以上面接すること。

ウ 看護師が面接を実施する場合は、患者の同意を得た上で当該面接の内容を録音し、専任の医師はその内容を、指示又は指導の参考とすること。

(13) 認知療法・認知行動療法の「1」及び「2」は、一連の治療において同一の点数を算定する。ただし、「2」の要件を満たす場合のうち、医師と看護師が同席して30分以上の面接を行った日に限り、「1」の点数を算定できる。

I004 心身医学療法

(1) 心身医学療法とは、心身症の患者について、一定の治療計画に基づいて、身体的傷病と心理・社会的要因との関連を明らかにするとともに、当該患者に対して心理的影響を与えることにより、症状の改善又は傷病からの回復を図る治療方法をいう。この心身医学療法には、自律訓練法、カウンセリング、行動療法、催眠療法、バイオフィードバック療法、交流分析、ゲシュタルト療法、生体エネルギー療法、森田療法、絶食療法、一般心理療法及び簡便型精神分析療法が含まれる。

(2) 心身医学療法は、当該療法に習熟した医師によって行われた場合に算定する。

(3) 心身医学療法は、初診時(区分番号「A000」初診料の「注5」のただし書に規定する初診を含む。以下この項において同じ。)には診療時間が30分を超えた場合に限り算定できる。この場合において診療時間とは、医師自らが患者に対して行う問診、理学的所見(視診、聴診、打診及び触診)及び当該心身医学療法に要する時間をいい、これら以外の診療に要する時間は含まない。なお、初診時に心身医学療法を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄に当該診療に要した時間を記載する。

(4) 心身医学療法を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の傷病名欄において、心身症による当該身体的傷病の傷病名の次に「(心身症)」と記載する。

例 「胃潰瘍(心身症)」

(5) 心身医学療法を行った場合は、その要点を診療録に記載する。

(6) 入院の日及び入院の期間の取扱いについては、入院基本料の取扱いの例による。

(7) 「注5」に規定する加算は、必要に応じて児童相談所等と連携し、保護者等へ適切な指導を行った上で、20歳未満の患者に対して、心身医学療法を行った場合に、所定点数を加算する。

(8) 区分番号「I001」入院精神療法、区分番号「I002」通院・在宅精神療法又は区分番号「I003」標準型精神分析療法を算定している患者については、心身医学療法は算定できない。

I005 入院集団精神療法

(1) 入院集団精神療法とは、入院中の患者であって、精神疾患のものに対して、一定の治療計画に基づき、言葉によるやりとり、劇の形態を用いた自己表現等の手法により、集団内の対人関係の相互作用を用いて、対人場面での不安や葛藤の除去、患者自身の精神症状・問題行動に関する自己洞察の深化、対人関係技術の習得等をもたらすことにより、病状の改善を図る治療法をいう。

(2) 入院集団精神療法は、精神科を標榜している保険医療機関において、精神科を担当する医師及び1人以上の精神保健福祉士又は公認心理師等により構成される2人以上の者が行った場合に限り算定する。

(3) 1回に15人に限り、1日につき1時間以上実施した場合に、入院の日から起算して6月を限度として週2回に限り算定する。この場合、個々の患者について、精神科医師による治療計画が作成されていることが必要である。なお、入院の日及び入院の期間の取扱いについては、入院基本料の取扱いの例による。

(4) 入院集団精神療法に使用する十分な広さを有する当該医療機関内の一定の場所及びその場所を使用する時間帯を予め定めておくこと。

(5) 入院集団精神療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録等に記載する。

(6) 入院集団精神療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。

I006 通院集団精神療法

(1) 通院集団精神療法とは、入院中の患者以外の患者であって、精神疾患のものに対して、一定の治療計画に基づき、集団内の対人関係の相互作用を用いて、自己洞察の深化、社会適応技術の習得、対人関係の学習等をもたらすことにより病状の改善を図る治療法をいう。

(2) 通院集団精神療法は、精神科を標榜している保険医療機関において、精神科を担当する医師及び1人以上の精神保健福祉士又は公認心理師等により構成される2人以上の者が行った場合に限り算定する。

(3) 1回に10人に限り、1日につき1時間以上実施した場合に、開始日から6月を限度として週2回に限り算定する。

(4) 通院集団精神療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録等に記載する。

(5) 通院集団精神療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。

I006―2 依存症集団療法

(1) 依存症集団療法の「1」については、次のアからウまでのいずれも満たす場合に算定できる。

ア 入院中の患者以外の患者であって、覚醒剤(覚醒剤取締法(昭和26年法律第252号)第2条に規定する覚醒剤とする。)、麻薬(麻薬及び向精神薬取締法第2条に規定する麻薬とする。)、大麻(大麻取締法第1条に規定する大麻とする。)又は危険ドラッグ(医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物又は指定薬物と同等以上の精神作用を有する蓋然性が高い薬物、ハーブ、リキッド、バスソルト等をいう。)に対する物質依存の状態にあるものについて、精神科医又は精神科医の指示を受けた看護師、作業療法士、精神保健福祉士若しくは公認心理師で構成される2人以上の者(このうち1人以上は、当該療法の実施時間において専従する精神科医、看護師又は作業療法士(いずれも薬物依存症集団療法に関する適切な研修を修了した者に限る。)であること。)が、認知行動療法の手法を用いて、薬物の使用を患者自らコントロールする手法等の習得を図るための指導を行うこと。

イ 1回に20人に限り、90分以上実施すること。

ウ 平成22~24年度厚生労働科学研究費補助金障害者対策総合研究事業において「薬物依存症に対する認知行動療法プログラムの開発と効果に関する研究」の研究班が作成した、物質使用障害治療プログラムに沿って行うこと。

(2) 依存症集団療法の「2」については、次のアからウまでのいずれも満たす場合に算定できる。

ア 入院中の患者以外の患者であって、ギャンブル(ギャンブル等依存症対策基本法(平成30年法律第74号)第2条に規定するギャンブル等をいう。)に対する依存の状態にあるものについて、精神科医又は精神科医の指示を受けた看護師、作業療法士、精神保健福祉士若しくは公認心理師で構成される2人以上の者(このうち1人以上は、当該療法の実施時間において専従する精神科医、看護師又は作業療法士(いずれもギャンブル依存症集団療法に関する適切な研修を修了した者に限る。)であること。)が、認知行動療法の手法を用いて、ギャンブルの実施を患者自らコントロールする手法等の習得を図るための指導を行うこと。

イ 1回に10人に限り、60分以上実施すること。

ウ 平成28~30年度日本医療研究開発機構障害者対策総合研究開発事業において「ギャンブル障害の疫学調査、生物学的評価、医療・福祉・社会的支援のありかたについての研究」の研究班が作成した、「ギャンブル障害の標準的治療プログラム」に沿って行うこと。

(3) 依存症集団療法実施後に、精神科医及び精神科医の指示を受けて当該療法を実施した従事者が、個別の患者の理解度や精神状態等について評価を行い、その要点を診療録等に記載すること。

I007 精神科作業療法

(1) 精神科作業療法は、精神疾患を有するものの社会生活機能の回復を目的として行うものであり、実施される作業内容の種類にかかわらずその実施時間は患者1人当たり1日につき2時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。

(2) 1人の作業療法士が、当該療法を実施した場合に算定する。この場合の1日当たりの取扱い患者数は、概ね25人を1単位として、1人の作業療法士の取扱い患者数は1日2単位50人以内を標準とする。

(3) 精神科作業療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録等に記載する。

(4) 当該療法に要する消耗材料及び作業衣等については、当該保険医療機関の負担とする。

I008 入院生活技能訓練療法

(1) 入院生活技能訓練療法とは、入院中の患者であって精神疾患を有するものに対して、行動療法の理論に裏付けられた一定の治療計画に基づき、観察学習、ロールプレイ等の手法により、服薬習慣、再発徴候への対処技能、着衣や金銭管理等の基本生活技能、対人関係保持能力及び作業能力等の獲得をもたらすことにより、病状の改善と社会生活機能の回復を図る治療法をいう。

(2) 精神科を標榜している保険医療機関において、経験のある2人以上の従事者が行った場合に限り算定できる。この場合、少なくとも1人は、看護師、准看護師又は作業療法士のいずれかとし、他の1人は精神保健福祉士、公認心理師又は看護補助者のいずれかとすることが必要である。なお、看護補助者は専門機関等による生活技能訓練、生活療法又は作業療法に関する研修を修了したものでなければならない。

(3) 対象人数及び実施される訓練内容の種類にかかわらず、患者1人当たり1日につき1時間以上実施した場合に限り、週1回に限り算定できる。

(4) 1人又は複数の患者を対象として行った場合に算定できるが、複数の患者を対象とする場合は、1回に15人に限る。ただし、精神症状の安定しない急性期の精神疾患患者は、対象としない。

(5) 当該療法に従事する作業療法士は、精神科作業療法の施設基準において、精神科作業療法に専従する作業療法士の数には算入できない。また、当該療法に従事する看護師、准看護師及び看護補助者が従事する時間については、入院基本料等の施設基準における看護要員の数に算入できない。

(6) 入院生活技能訓練療法を実施した場合はその要点を個々の患者の診療録等に記載する。

(7) 入院生活技能訓練療法と同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。

(8) 当該療法に要する消耗材料等については、当該保険医療機関の負担とする。

I008―2 精神科ショート・ケア

(1) 精神科ショート・ケアは、精神疾患を有するものの地域への復帰を支援するため、社会生活機能の回復を目的として個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人当たり1日につき3時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。

(2) 「大規模なもの」については、多職種が共同して疾患等に応じた診療計画を作成した場合に算定する。なお、診療終了後に当該計画に基づいて行った診療方法や診療結果について評価を行い、その要点を診療録等に記載している場合には、参加者個別のプログラムを実施することができる。

(3) 精神科ショート・ケアは入院中の患者以外の患者に限り算定する。精神科ショート・ケアを算定している患者に対しては、同一日に行う他の精神科専門療法(他の保険医療機関において実施するものも含む。)は、別に算定できない。ただし、他の医療機関に入院中の患者であって、退院を予定しているもの(区分番号「I011」に掲げる精神科退院指導料を算定したもの又は区分番号「A318」地域移行機能強化病棟入院料を算定している患者であって、指定特定相談支援事業者等において、退院後の生活を念頭に置いたサービス等利用計画が作成されているものに限る。)に対しては、退院支援の一環として、当該他の医療機関の入院中1回に限り算定できる。この場合、当該他の医療機関に照会を行い、退院を予定しているものであること、入院料等について他医療機関を受診する場合の取扱いがなされていること、他の医療機関を含め、入院中に精神科ショート・ケアの算定のないことを確認すること。また、精神科ショート・ケアに引き続き、同一日に、患家又は社会復帰施設等において精神科訪問看護・指導を行う場合は、退院後3か月以内に限り、精神科訪問看護・指導料を算定できるものとする。

(4) 同一の保険医療機関で精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア又は精神科デイ・ナイト・ケア(以下「精神科デイ・ケア等」という。)を開始した日から起算して1年を超える場合には、精神科ショート・ケアの実施回数にかかわらず、算定は1週間に5日を限度とする。ただし、週4日以上算定できるのは、以下のいずれも満たす場合に限られること。

ア 少なくとも6月に1回以上医師が精神科デイ・ケア等の必要性について精神医学的な評価を行っていること。継続が必要と判断した場合には、その理由を診療録に記載すること。

イ 少なくとも6月に1回以上、精神保健福祉士又は公認心理師が患者の意向を聴取していること。

ウ 精神保健福祉士等が聴取した患者の意向を踏まえ、医師を含む多職種が協同して、患者の意向及び疾患等に応じた診療計画を作成していること。診療計画には、短期目標及び長期目標、必要なプログラム内容と実施頻度、精神科デイ・ケア等を必要とする期間等を記載すること。医師は、作成した診療計画を患者又は家族等に説明し、精神科デイ・ケア等の実施について同意を得ること。

エ 当該保険医療機関が以下のいずれかの要件を満たしていること。

(イ) 直近6月の各月について、次の(a)に掲げる数を(b)に掲げる数で除して算出した数値の平均が0.8未満であること。

(a) 当該月において、14回以上精神科デイ・ケア等を実施した患者の数

(b) 当該月において、1回以上精神科デイ・ケア等を実施した患者の数

(ロ) 直近1か月に1回以上精神科デイ・ケア等を実施した患者について、当該保険医療機関の精神科デイ・ケア等を最初に算定した月から当該月末までの月数の平均が、12か月未満であること。

(5) 月14回以上精神科デイ・ケア等を実施した患者の数等について、毎年10月に「別紙様式31」を用いて地方厚生(支)局長に報告すること。

(6) 精神科ショート・ケアと精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアの届出を併せて行っている保険医療機関にあっては、精神科ショート・ケアと精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアを各々の患者に対して同時に同一施設で実施することができる。この場合、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアを算定する患者は、各々に規定する治療がそれぞれ実施されている場合に限り、それぞれ算定できる。なお、同一日に実施される精神科ショート・ケアの対象患者数と精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアの対象患者数の合計は、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアの届出に係る患者数の限度を超えることはできない。この場合において、精神科ショート・ケアの対象患者数の計算に当たっては、精神科デイ・ケアの対象患者数の2分の1として計算する。

(7) 当該療法に要する消耗材料等については、当該保険医療機関の負担とする。

(8) 「注4」に掲げる早期加算の対象となる患者は、当該療法の算定を開始してから1年以内又は精神病床を退院して1年以内の患者であること。

(9) 「注5」については、入院中の患者であって、退院を予定しているもの(区分番号「Ⅰ011」に掲げる精神科退院指導料を算定したもの又は区分番号「A318」地域移行機能強化病棟入院料を算定している患者であって、指定特定相談支援事業者等において、退院後の生活を念頭に置いたサービス等利用計画が作成されているものに限る。)に対して、精神科ショート・ケアを行う場合に、入院中1回に限り算定できる。

(10) 「注7」については、概ね40歳未満の患者で構成される10人以下の患者グループに対し、あらかじめ治療内容や到達目標を示した治療計画を作成し、個々の患者に説明し、治療の目的について患者本人が理解できるよう文書で説明し同意を得た上で、治療計画に従って、2名の従事者が当該患者グループに対し精神科ショート・ケアを実施した場合に、40歳未満の患者についてそれぞれ算定する。当該加算は、あらかじめ治療計画に記載された治療期間のみ算定できる。一連の治療計画に従って精神科ショート・ケアを実施している間は、患者グループを構成する患者は固定されることが望ましいが、患者グループの人数が10人に満たない場合であって、既に患者グループを構成する患者の治療に支障のない場合には、治療計画の途中で新たな患者を患者グループに加えることも差し支えない。なお、自閉症スペクトラム及びその近縁の発達障害の患者に対する精神科ショート・ケアの実施に当たっては、「発達障害専門プログラム」(日本医療研究開発機構「発達障害者の特性をふまえた精神科ショートケア・プログラムの開発と臨床応用に関する研究」において作成)を参考に行うことが望ましい。

(11) 「注7」の対象患者は、自閉症スペクトラム及びその近縁の発達障害、薬物依存症又は病的賭博のいずれかの疾患を有する患者又はこれらの複数の疾患を併せ持つ患者とする。一連の治療計画において治療の対象となる疾患はいずれか一つであり、例えば自閉症スペクトラムの治療のために精神科ショート・ケアを実施する患者と薬物依存症のために精神科ショート・ケアを実施する患者が、治療計画を共有する同一の患者グループを構成することはできない。また、入院中の患者についても注7の加算を算定することができるが、この場合「注5」の規定における「所定点数」には注7の加算を含まないこと。

(12) 入院中の患者が精神科ショート・ケアを行う場合は、対象患者数に含めること。

(13) 精神科ショート・ケアを行った場合は、その要点及び診療時間を診療録等に記載する。

I009 精神科デイ・ケア

(1) 精神科デイ・ケアは、精神疾患を有するものの社会生活機能の回復を目的として個々の患者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人当たり1日につき6時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。また、この実施に当たっては、患者の症状等に応じたプログラムの作成、効果の判定等に万全を期すること。

(2) 「大規模なもの」については、多職種が共同して疾患等に応じた診療計画を作成した場合に算定する。なお、診療終了後に当該計画に基づいて行った診療方法や診療結果について評価を行い、その要点を診療録等に記載している場合には、参加者個別のプログラムを実施することができる。

(3) 精神科デイ・ケアは入院中の患者以外の患者に限り算定する。ただし、他の医療機関に入院中の患者であって、退院を予定しているもの(区分番号「I011」精神科退院指導料を算定したもの又は区分番号「A318」地域移行機能強化病棟入院料を算定している患者であって、指定特定相談支援事業者等において、退院後の生活を念頭に置いたサービス等利用計画が作成されているものに限る。)に対しては、退院支援の一環として、当該他の医療機関の入院中1回(区分番号「A318」地域移行機能強化病棟入院料を算定しているものについては入院中4回)に限り算定できる。この場合、当該他の医療機関に照会を行い、退院を予定しているものであること、入院料等について他医療機関を受診する場合の取扱いがなされていること、他の医療機関を含め、入院中に精神科デイ・ケアの算定のないことを確認すること。また、精神科デイ・ケアを算定している患者に対しては、同一日に行う他の精神科専門療法(他の医療機関で実施するものも含む。)は、別に算定できない。

(4) 同一の保険医療機関で精神科デイ・ケア等を開始した日から起算して1年を超える場合には、精神科デイ・ケア等の実施回数にかかわらず、算定は1週間に5日を限度とする。ただし、週4日以上算定できるのは、区分番号「I008―2」精神科ショート・ケアの(4)のアからエまでのいずれも満たす場合に限られること。

(5) 月14回以上精神科デイ・ケア等を実施した患者の数等について、毎年10月に「別紙様式31」を用いて地方厚生(支)局長に報告すること。

(6) 治療の一環として治療上の目的を達するために食事を提供する場合にあっては、その費用は所定点数に含まれる。

(7) 同一の患者に対して同一日に精神科デイ・ケアと精神科ナイト・ケアを併せて実施した場合は、精神科デイ・ナイト・ケアとして算定する。

(8) 当該療法に要する消耗材料等については、当該保険医療機関の負担とする。

(9) 「注5」に掲げる早期加算の対象となる患者は、当該療法の算定を開始してから1年以内又は精神病床を退院して1年以内の患者であること。

(10) 「注6」については、入院中の患者であって、退院を予定しているもの(区分番号「Ⅰ011」精神科退院指導料を算定したもの又は区分番号「A318」地域移行機能強化病棟入院料を算定している患者であって、指定特定相談支援事業者等において、退院後の生活を念頭に置いたサービス等利用計画が作成されているものに限る。)に対して、精神科デイ・ケアを行う場合に、入院中1回に限り算定できる。

(11) 「注4」に掲げる長期の入院歴を有する患者とは、精神疾患により、通算して1年以上の入院歴を有する患者であること。

(12) 当該保険医療機関又は他の保険医療機関に入院中の患者に対して精神科デイ・ケアを行う場合、当該患者は精神科デイ・ケアを提供する対象患者数に含めること。

(13) 精神科デイ・ケアを行った場合は、その要点及び診療時間を診療録等に記載する。

I010 精神科ナイト・ケア

(1) 精神科ナイト・ケアは、精神疾患を有するものの社会生活機能の回復を目的として行うものであり、その開始時間は午後4時以降とし、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人当たり1日につき4時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。

(2) その他精神科ナイト・ケアの取扱いについては、精神科デイ・ケアの取扱いに準じて行う。

(3) 精神科ナイト・ケアを算定する場合においては、区分番号「A000」初診料の「注9」及び「A001」再診料の「注7」に規定する夜間・早朝等加算は算定できない。

(4) 精神科ナイト・ケアを行った場合は、その要点及び診療時間を診療録等に記載する。

I010―2 精神科デイ・ナイト・ケア

(1) 精神科デイ・ナイト・ケアは、精神疾患を有するものの社会生活機能の回復を目的として行うものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は患者1人当たり1日につき10時間を標準とする。なお、治療上の必要がある場合には、病棟や屋外など、専用の施設以外において当該療法を実施することも可能であること。

(2) 精神科デイ・ナイト・ケアと精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアの届出を併せて行っている保険医療機関にあっては、精神科デイ・ナイト・ケアと精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアを各々の患者に対して同時に同一施設で実施することができる。この場合、精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア又は精神科ナイト・ケアを算定する患者は、各々に規定する治療がそれぞれ実施されている場合に限り、それぞれ算定できる。なお、同一日に実施される精神科デイ・ケア等の対象患者数の合計は、精神科デイ・ケア又は精神科デイ・ナイト・ケアの届出に係る患者数の限度を超えることはできない。この場合において、精神科ショート・ケアの対象患者数の計算に当たっては、精神科デイ・ケアの対象患者数の2分の1として計算する。

(3) 「注5」に掲げる加算の対象となる患者は、多職種が共同して「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の別添2の様式46の2又はこれに準じる様式により疾患等に応じた診療計画を作成して行った場合に、加算する。なお、診療終了後に、当該計画に基づいて行った診療方法や診療結果について評価を行い、その要点を診療録等に記載している場合には、参加者個別のプログラムを実施することができる。

(4) その他精神科デイ・ナイト・ケアの取扱いについては、精神科デイ・ケアの取扱いに準じて行う。

(5) 精神科デイ・ナイト・ケアを行った場合は、その要点及び診療時間を診療録等に記載する。

I011 精神科退院指導料

(1) 精神科退院指導料は、精神科を標榜する保険医療機関において、1月を超えて入院している精神疾患を有するもの又はその家族等退院後の患者の看護に当たる者に対して、精神科を担当する医師、看護師、作業療法士及び精神保健福祉士が共同して、必要に応じて障害福祉サービス事業所及び相談支援事業所等と連携しつつ、保健医療サービス又は福祉サービス等に関する計画を策定し、別紙様式24を参考として作成した文書により、退院後の治療計画、退院後の療養上の留意点、退院後に必要となる保健医療サービス又は福祉サービス等について医師が説明を行った場合に算定する。また、入院期間が1年を超える精神疾患を有するもの又はその家族等退院後の患者の看護に当たる者に対して、当該計画に基づき必要な指導を行った場合であって、当該患者が退院したときには、精神科地域移行支援加算として、退院時に1回に限り算定する。なお、説明に用いた文書は、患者又はその家族等に交付するとともに、その写しを診療録に添付すること。

(2) 精神科退院指導料は、指導を行ったもの及び指導の対象が患者又はその家族等であるか等の如何を問わず、算定の基礎となる退院につき、1回に限り当該患者の入院中に算定する。

(3) 入院の日及び入院期間の取扱いについては、入院基本料における取扱いと同様である。

(4) 死亡退院の場合又は他の病院若しくは診療所に入院するため転院した患者については、算定できない。

I011―2 精神科退院前訪問指導料

(1) 精神科退院前訪問指導料は、精神科を標榜する保険医療機関に入院している精神疾患を有するものの円滑な退院のため、患家又は精神障害者施設、小規模作業所等を訪問し、患者の病状、生活環境及び家族関係等を考慮しながら、患者又は家族等の退院後患者の看護や相談に当たる者に対して、必要に応じて障害福祉サービス事業所及び相談支援事業所等と連携しつつ、退院後の療養上必要な指導や、在宅療養に向けた調整を行った場合に算定する。なお、医師の指示を受けて保険医療機関の保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士が訪問し、指導を行った場合にも算定できる。

(2) 精神科退院前訪問指導料は、指導を行ったもの及び指導の対象が患者又はその家族等であるか等の如何を問わず、1回の入院につき3回(当該入院期間が6月を超えると見込まれる患者にあっては、6回)に限り指導の実施日にかかわらず退院日に算定する。

(3) 「注2」に係る加算は、患者の社会復帰に向けた調整等を行うに当たり、必要があって複数の職種が共同して指導を行った場合に算定するものであり、単一の職種の複数名による訪問の場合は対象としない。

(4) 精神科退院前訪問指導料は、退院して患家に復帰又は精神障害者施設に入所する患者が算定の対象であり、医師又は看護師、作業療法士若しくは精神保健福祉士が配置されている施設に入所予定の患者は算定の対象としない。

(5) 精神科退院前訪問指導を行った場合は、指導内容の要点を診療録等に記載する。

(6) 精神科退院前訪問指導に当たっては、当該保険医療機関における看護業務等に支障を来すことのないよう留意する。

(7) 保険医療機関は、精神科退院前訪問指導の実施に当たっては、保健所等の実施する訪問指導事業等関連事業との連携に十分配慮する。

(8) 退院前訪問指導料を算定した場合は、精神科退院前訪問指導料は算定できない。

I012 精神科訪問看護・指導料

(1) 精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)又は(Ⅲ)は、精神科を標榜している保険医療機関において精神科を担当している医師の指示を受けた当該保険医療機関の保健師、看護師、准看護師、作業療法士又は精神保健福祉士(以下「保健師等」という。)が、精神疾患を有する入院中以外の患者又はその家族等の了解を得て患家を訪問し、個別に患者又はその家族等に対して看護及び社会復帰指導等を行った場合に算定する。

(2) 「注1」及び「注2」に規定する精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)及び(Ⅲ)の算定回数は、週(日曜日から土曜日までの連続した7日間をいう。)について計算する。また、「注1」ただし書及び「注2」ただし書の患者に対する算定回数は、急性増悪した日から連続した7日間について計算すること。また、同一日に複数回精神科訪問看護・指導を行った場合であっても、1日につき1回に限り算定する。

(3) 「注1」のただし書及び「注2」のただし書に規定する場合とは、患者が急性増悪した状態であって、精神科を担当している医師が患者を直接診察した上で、精神科訪問看護・指導の必要性を認め、指示した場合である。また、「注3」に規定する場合には、医師が患者を直接診察していない場合であっても、当該患者に対して精神科訪問看護・指導を行った保健師等からの情報により、精神科を担当している医師が患者の病状を十分に把握し、必要と判断して、指示した場合を含むものとする。

(4) 「注1」ただし書及び「注2」ただし書に規定する場合並びに「注3」に規定する場合においては、それぞれの指示は月に1回ずつに限り、その必要性について、急性増悪の状態及び指示内容の要点と併せて診療録に記載し、診療報酬明細書にもその必要性について記載する。

(5) 精神科訪問看護・指導料(Ⅲ)は、精神科訪問看護・指導を受けようとする同一建物居住者に対して、当該患者を診察した精神科を標榜する保険医療機関の保健師等を訪問させて、看護又は療養上必要な指導を行った場合に、以下のア又はイにより算定する。なお、同一建物居住者に係る人数については、同一日に区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料を算定する患者数と精神科訪問看護・指導料(Ⅲ)を算定する患者数とを合算した人数とすること。

ア 同一建物居住者が2人の場合は、当該患者全員に対して、イの(1)、ロの(1)、ハの(1)又はニの(1)により算定

イ 同一建物居住者が3人以上の場合は、当該患者全員に対して、イの(2)、ロの(2)、ハの(2)又はニの(2)により算定

(6) 同一建物居住者とは、基本的には、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に掲げる建築物に居住する複数の患者のことをいうが、具体的には、例えば以下のような患者のことをいう。

ア 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の4に規定する養護老人ホーム、老人福祉法第20条の6に規定する軽費老人ホーム、老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホーム、老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム、マンションなどの集合住宅等に入居又は入所している複数の患者

イ 介護保険法第8条第9項に規定する短期入所生活介護、介護保険法第8条第18項に規定する小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第63条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、介護保険法第8条第19項に規定する認知症対応型共同生活介護、介護保険法第8条の2第9項に規定する介護予防短期入所生活介護、介護保険法第8条の2第16項に規定する介護予防小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第36号)第44条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、介護保険法第8条の2第17項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護などのサービスを受けている複数の患者

(7) 精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)及び(Ⅲ)は、1回の訪問の実施時間に基づき、30分未満、30分以上90分程度の時間区分のいずれか一方の所定点数を算定する。30分未満の訪問については、当該患者に短時間訪問の必要性があると医師が認めた場合にのみ算定する。

(8) 同一の患者について、訪問看護ステーションにおいて訪問看護療養費を算定した月については、精神科訪問看護・指導料を算定できない。ただし、次に掲げる場合はこの限りではない。なお、オの場合にあっては、精神科訪問看護・指導料及び訪問看護基本療養費を算定する日と合わせて週3日(退院後3月以内の期間において行われる場合にあっては、週5日)を限度とする。

ア 特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の患者及び特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる状態等の患者について、訪問看護療養費を算定した場合

イ 服薬中断等により急性増悪した場合であって、一時的に週4日以上の頻回の精神科訪問看護・指導を行う必要を認めた患者

ウ 当該保険医療機関を退院後3月以内の患者

エ 区分番号「I016」精神科在宅患者支援管理料(1のハを除く。)を算定する患者

オ 精神科在宅患者支援管理料(1のハを除く。)の施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長へ届け出ている保険医療機関において、精神保健福祉士による精神科訪問看護・指導を行う場合

(9) (8)のただし書の場合において、同一の患者について、精神科訪問看護・指導料及び訪問看護療養費を算定できる場合であっても、訪問看護療養費を算定した日については、精神科訪問看護・指導料を算定できない。ただし、精神科在宅患者支援管理料1(ハを除く。)又は3を算定する保険医療機関及び当該保険医療機関と連携する特別の関係にある訪問看護ステーションのそれぞれが同一日に訪問看護を実施した場合における精神科訪問看護・指導料(作業療法士又は精神保健福祉士による場合に限る。)の算定、並びに、精神科在宅患者支援管理料2を算定する保険医療機関及び当該保険医療機関と連携する訪問看護ステーションのそれぞれが同一日に訪問看護を実施した場合における精神科訪問看護・指導料の算定は、この限りでない。

(10) 同一の患者について、複数の保険医療機関や訪問看護ステーションにおいて精神科訪問看護・指導を行う場合は、当該保険医療機関及び訪問看護ステーション間において十分に連携を図る。具体的には、精神科訪問看護・指導の実施による患者の目標の設定、計画の立案、精神科訪問看護・指導の実施状況及び評価を共有する。

(11) 介護保険法第8条第20項に規定する認知症対応型共同生活介護を行う施設、高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項に規定するサービス付き高齢者向け住宅、障害者総合支援法第5条第1項に規定する障害福祉サービスを行う施設又はその他の高齢者向け施設等に入所している患者に精神科訪問看護・指導を行う場合においては、介護保険等による医療及び看護サービスの提供に係る加算の算定等を含む当該施設における利用者の医療ニーズへの対応について確認し、当該施設で行われているサービスと十分に連携する。また、当該施設において当該保険医療機関が日常的な健康管理等(医療保険制度の給付によるものを除く。)を行っている場合は、健康管理等と医療保険制度の給付による精神科訪問看護・指導を区別して実施する。

(12) 「注4」に係る複数名精神科訪問看護・指導加算は、精神科を担当する医師が、複数の保健師等又は看護補助者による患家への訪問が必要と判断し、患者又はその家族等に同意を得て、当該医師の指示を受けた当該保険医療機関の保健師又は看護師と保健師等又は看護補助者が、患者又はその家族等に対して看護及び社会復帰指導等を行った場合(30分未満の場合を除く。)は、1日につき「注4」のイ、ロ又はハのいずれかを算定する。精神科訪問看護・指導を行う保健師又は看護師に保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士が同行する場合はイを、准看護師が同行する場合はロを、1日当たりの回数に応じて算定する。また、看護補助者が同行する場合はハを所定点数に加算すること。ただし、看護補助者が同行する場合には、週1日を限度として所定点数に加算する。単に2人の保健師等又は看護補助者が同時に精神科訪問看護・指導を行ったことのみをもって算定することはできない。

また、精神科訪問看護・指導料(Ⅲ)を算定する場合にあっては、同一建物内において、当該加算又は区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料の「注4」に規定する複数名訪問看護・指導加算(同時に訪問看護・指導を実施する職種及び1日当たりの回数の区分が同じ場合に限る。)を同一日に算定する患者の人数に応じて、以下のアからウまでにより算定する。

ア 同一建物内に1人の場合は、「注4」の「イ」の(1)の①、「イ」の(2)の①、「イ」の(3)の①、「ロ」の(1)の①、「ロ」の(2)の①、「ロ」の(3)の①又は「ハ」の(1)により算定

イ 同一建物内に2人の場合は、当該加算を算定する患者全員に対して、「注4」の「イ」の(1)の②、「イ」の(2)の②、「イ」の(3)の②、「ロ」の(1)の②、「ロ」の(2)の②、「ロ」の(3)の②又は「ハ」の(2)により算定

ウ 同一建物内に3人以上の場合は、当該加算を算定する患者全員に対して、「注4」の「イ」の(1)の③、「イ」の(2)の③、「イ」の(3)の③、「ロ」の(1)の③、「ロ」の(2)の③、「ロ」の(3)の③又は「ハ」の(3)により算定

(13) 保健師又は看護師と同行する看護補助者は、常に同行の必要はないが、必ず患家において両者が同時に滞在する一定の時間を確保すること。

(14) 「注5」に規定する長時間精神科訪問看護・指導加算は、特掲診療料の施設基準等別表第十の一の七の(1)に規定する長時間の訪問を要する者に対して、1回の精神科訪問看護・指導の時間が90分を超えた場合について算定するものであり、週1回(特掲診療料の施設基準等第十の一の七の(2)に規定する者にあっては週3回)に限り算定できるものとする。なお、特掲診療料の施設基準等第十の一の七の(1)のイ及び(2)のイに規定する者のうち、超重症児・準超重症児については、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の別添6の別紙14の超重症児(者)・準超重症児(者)の判定基準による判定スコアが10以上のものをいう。

(15) 「注6」に規定する夜間・早朝訪問看護加算は、夜間(午後6時から午後10時までの時間をいう。)又は早朝(午前6時から午前8時までの時間をいう。)に精神科訪問看護・指導を行った場合に、深夜訪問看護加算は深夜(午後10時から午前6時までの時間をいう。)に精神科訪問看護・指導を行った場合に、所定点数を加算すること。当該加算は、精神科緊急訪問看護加算との併算定を可とする。

(16) (15)は患者の求めに応じて、当該時間に精神科訪問看護・指導を行った場合に算定できるものであり、保険医療機関の都合により、当該時間に保健師等を訪問させて精神科訪問看護・指導を行った場合には算定できない。

(17) 「注7」に規定する精神科緊急訪問看護加算は、精神科訪問看護計画に基づき定期的に行う精神科訪問看護・指導以外であって、患者又はその家族等の緊急の求めに応じて、精神科を担当する医師の指示により、保健師等が精神科訪問看護・指導を行った場合に1日につき1回に限り加算すること。

(18) 精神科緊急訪問看護加算に係る精神科緊急訪問看護を行った場合は、速やかに指示を行った精神科を担当する医師に患者の病状等を報告するとともに、必要な場合は精神科特別訪問看護指示書の交付を受け、精神科訪問指導計画について見直しを行うこと。

(19) 医師は、保健師等に対して行った指示内容の要点を診療録に記載する。

(20) 保健師等は、医師の指示に基づき行った指導の内容の要点、月の初日の訪問看護・指導時におけるGAF尺度により判定した値並びに精神科訪問看護・指導を実施した際の開始時刻及び終了時刻を記録すること。また、保険医療機関における日々の精神科訪問看護・指導を実施した患者氏名、訪問場所、訪問時間(開始時刻及び終了時刻)及び訪問人数等について記録し、保管しておくこと。

(21) 保険医療機関は、精神科訪問看護・指導の実施に当たっては、保健所の実施する訪問指導事業との連携に十分配慮する。

(22) 「注9」に規定する交通費は実費とする。

(23) 精神科在宅患者支援管理料1(ハを除く。)又は3を算定する保険医療機関と連携する訪問看護ステーションのそれぞれが、同一日において訪問看護を行った場合は、それぞれが精神科訪問看護・指導料(ただし、作業療法士又は精神保健福祉士による場合に限る。)及び精神科訪問看護基本療養費を算定することができる。

(24) 「注10」に規定する精神科複数回訪問加算は、精神科在宅患者支援管理料を算定する保険医療機関が、精神科在宅患者支援管理料(1のハを除く。)を算定し、医師が複数回の精神科訪問看護・指導が必要であると認めた患者に対して、1日に2回又は3回以上の訪問看護を行った場合に、患者1人につき、それぞれの点数を加算する。

また、精神科訪問看護・指導料(Ⅲ)を算定する場合にあっては、同一建物内において、当該加算又は区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料の「注3」に規定する難病等複数回訪問加算(1日当たりの回数の区分が同じ場合に限る。)を同一日に算定する患者の人数に応じて、以下のアからウまでにより算定する。

ア 同一建物内に1人の場合は、「注10」の「イ」の(1)又は「ロ」の(1)により算定

イ 同一建物内に2人の場合は、当該加算を算定する患者全員に対して、「注10」の「イ」の(2)又は「ロ」の(2)により算定

ウ 同一建物内に3人以上の場合は、当該加算を算定する患者全員に対して、「注10」の「イ」の(3)又は「ロ」の(3)により算定

(25) 精神科在宅患者支援管理料1(ハを除く。)又は3を算定する保険医療機関と連携する訪問看護ステーションのそれぞれが、同一日に2回又は3回以上の訪問看護を行った場合は、当該訪問看護ステーションは訪問看護療養費に係る精神科複数回訪問加算を算定せず、当該保険医療機関が「注10」に規定する精神科複数回訪問加算を算定する。

(26) 精神科在宅患者支援管理料1(ハを除く。)又は3を算定する保険医療機関と連携する訪問看護ステーションのそれぞれが、同一時間帯に訪問看護を実施した場合は、当該訪問看護ステーションは精神科訪問看護基本療養費を算定せず、当該保険医療機関が精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)又は(Ⅲ)を算定する。

(27) 精神科在宅患者支援管理料2を算定する保険医療機関と連携する訪問看護ステーションのそれぞれが、同一日に2回又は3回以上の訪問看護を行った場合、当該訪問看護ステーションが訪問看護療養費に係る精神科複数回訪問加算を算定し、当該保険医療機関は「注10」に規定する精神科複数回訪問加算を算定できない。

(28) 精神科在宅患者支援管理料2を算定する保険医療機関と連携する訪問看護ステーションのそれぞれが、同一時間帯に訪問看護を実施した場合は、当該訪問看護ステーションが精神科訪問看護基本療養費を算定し、当該保険医療機関は精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)又は(Ⅲ)を算定できない。

(29) 「注11」に規定する看護・介護職員連携強化加算については、保険医療機関の看護師又は准看護師が、口腔内の喀痰吸引、鼻腔内の喀痰吸引、気管カニューレ内部の喀痰吸引、胃瘻若しくは腸瘻による経管栄養又は経鼻経管栄養を必要とする患者に対して、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第48条の3第1項の登録を受けた登録喀痰吸引等事業者又は同法附則第20条第1項の登録を受けた登録特定行為事業者(以下、「登録喀痰吸引等事業者等」という。)の介護職員等(以下、「介護職員等」という。)が実施する社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和62年厚生省令第49号)第1条各号に掲げる医師の指示の下に行われる行為(以下「喀痰吸引等」という。)の業務が円滑に行われるよう支援を行う取組を評価するものである。

ア 当該加算は、患者の病状やその変化に合わせて、主治医の指示により、(イ)及び(ロ)の対応を行っている場合に算定する。

(イ) 喀痰吸引等に係る計画書や報告書の作成及び緊急時等の対応についての助言

(ロ) 介護職員等に同行し、患者の居宅において喀痰吸引等の業務の実施状況についての確認

イ 当該加算は、次の場合には算定できない。

(イ) 介護職員等の喀痰吸引等に係る基礎的な技術取得や研修目的での同行訪問

(ロ) 同一の患者に、他の保険医療機関又は訪問看護ステーションにおいて看護・介護職員連携強化加算を算定している場合

ウ 当該加算は、介護職員等と同行訪問を実施した日の属する月の初日の訪問看護・指導の実施日に算定する。また、その内容を訪問看護記録書に記録すること。

エ 登録喀痰吸引等事業者等が、患者に対する安全なサービス提供体制整備や連携体制確保のために会議を行う場合は、当該会議に出席し連携する。また、その場合は、会議の内容を訪問看護記録書に記録すること。

オ 患者又はその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に対応できるよう、患者又はその家族等に対して、保険医療機関の名称、所在地、電話番号並びに時間外及び緊急時の連絡方法を記載した文書を交付すること。

(30) 「注12」に規定する特別地域訪問看護加算は、当該保険医療機関の所在地から患家までの訪問につき、最も合理的な通常の経路及び方法で片道1時間以上要する患者に対して、特別地域に所在する保険医療機関の保健師等が精神科訪問看護・指導を行った場合又は特別地域外に所在する保険医療機関の保健師等が、特別地域に居住する患者に対して精神科訪問看護・指導を行った場合に、精神科訪問看護・指導料の所定点数(注に規定する加算は含まない。)の100分の50に相当する点数を加算する。なお、当該加算は、交通事情等の特別の事情により訪問に要した時間が片道1時間以上となった場合は算定できない。特別地域訪問看護加算を算定する保険医療機関は、その所在地又は患家の所在地が特別地域に該当するか否かについては、地方厚生(支)局に確認すること。

I012―2 精神科訪問看護指示料

(1) 精神科訪問看護指示料は、入院中以外の精神疾患を有する患者であって、適切な在宅医療を確保するため、指定訪問看護に関する指示を行うことを評価するものであり、患者の診療を担う保険医(精神科の医師に限る。)が診療に基づき指定訪問看護の必要性を認め、当該患者又はその家族等の同意を得て、別紙様式17を参考に作成した精神科訪問看護指示書に有効期間(6月以内に限る。)を記載して、当該患者又はその家族等が選定する訪問看護ステーションに対して交付した場合に算定する。なお、1か月の指示を行う場合には、精神科訪問看護指示書に有効期間を記載することを要しない。

(2) 精神科訪問看護指示書を交付した保険医(精神科の医師に限る。)は、在宅療養に必要な衛生材料及び保険医療材料(以下「衛生材料等」という。)の量の把握に努め、十分な量の衛生材料等を患者に支給すること。

(3) 精神科訪問看護の指示は、当該患者に対して主として診療を行う保険医療機関が行うことを原則とし、退院時に1回算定できるほか、在宅で療養を行っている患者について1月に1回に限り算定できる。なお、同一月において、1人の患者について複数の訪問看護ステーションに対して訪問看護指示書を交付した場合であっても、当該指示料は、1月に1回を限度に算定するものであること。

ただし、A保険医療機関と特別の関係にあるB保険医療機関において区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料又は区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料及び精神科訪問看護・指導料を算定している月においては、A保険医療機関は当該患者について区分番号「C007」訪問看護指示料は算定できない。

(4) 精神科特別訪問看護指示加算は、当該患者が服薬中断等により急性増悪した場合であって、当該患者の診療を担う保険医(精神科の医師に限る。)が、一時的に頻回の指定訪問看護を当該患者に対して行う必要性を認め、当該患者又はその家族等の同意を得て、別紙様式17の2を参考に作成した精神科特別訪問看護指示書を、当該患者等が選定する訪問看護ステーションに対して交付した場合に、1月に1回に限り算定する。

ここでいう一時的に頻回の指定訪問看護を行う必要性とは、恒常的な頻回の指定訪問看護の必要性ではなく、状態の変化等で日常行っている指定訪問看護の回数では対応できない場合であること。また、その理由等については、精神科特別訪問看護指示書に記載すること。

なお、当該頻回の指定訪問看護は、当該特別の指示に係る診療の日から14日以内に限り実施するものであること。

(5) 患者の診療を行った精神科の医師は、指定訪問看護の必要性を認めた場合には、診療に基づき速やかに精神科訪問看護指示書及び精神科特別訪問看護指示書(以下この項において「精神科訪問看護指示書等」という。)を作成すること。当該精神科訪問看護指示書等には、緊急時の連絡先として、診療を行った保険医療機関の電話番号等を必ず記載した上で、訪問看護ステーションに交付すること。

なお、精神科訪問看護指示書等は、特に患者の求めに応じて、患者又はその家族等を介して訪問看護ステーションに交付できるものであること。

(6) 主治医は、交付した精神科訪問看護指示書等の写しを診療録に添付すること。

(7) 患者の診療を担う保険医(精神科の医師に限る。)は、当該精神科訪問看護指示書交付後であっても、患者の病状等に応じてその期間を変更することができるものであること。なお、指定訪問看護の指示を行った保険医療機関は、訪問看護ステーションからの対象患者について相談等があった場合には、懇切丁寧に対応すること。

(8) 「注3」に規定する衛生材料等提供加算は、在宅療養において衛生材料等が必要な患者に対し、当該患者へ精神科訪問看護を実施している訪問看護ステーションから提出された精神科訪問看護計画書及び精神科訪問看護報告書を基に、療養上必要な量について判断の上、必要かつ十分な量の衛生材料等を患者に支給した場合に算定する。

(9) 「C002」在宅時医学総合管理料、「C002―2」施設入居時等医学総合管理料、「C003」在宅がん医療総合診療料、「C005―2」在宅患者訪問点滴注射管理指導料、第2部第2節第1款の各区分に規定する在宅療養指導管理料を算定した場合は、「注3」の加算は当該管理料等に含まれ別に算定できない。

I013 抗精神病特定薬剤治療指導管理料

(1) 抗精神病特定薬剤治療指導管理料の「1」のイは、精神科を標榜する保険医療機関において、精神科を担当する医師が、持続性抗精神病注射薬剤を投与している入院中の統合失調症患者に対して、計画的な治療管理を継続して行い、かつ、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明を含め、療養上必要な指導を行った場合に、当該入院における当該薬剤の投与開始日の属する月及びその翌月にそれぞれ1回に限り、当該薬剤を投与したときに算定する。

(2) 抗精神病特定薬剤治療指導管理料の「1」のロは、精神科を標榜する保険医療機関において、精神科を担当する医師が、持続性抗精神病注射薬剤を投与している入院中の患者以外の統合失調症患者に対して、計画的な治療管理を継続して行い、かつ、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明を含め、療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り、当該薬剤を投与した日に算定する。

(3) 持続性抗精神病注射薬剤の種類については、別紙36を参考にすること。

(4) 抗精神病特定薬剤治療指導管理料の「2」治療抵抗性統合失調症治療指導管理料は、精神科を標榜する保険医療機関において、精神科を担当する医師が、治療抵抗性統合失調症治療薬を投与している治療抵抗性統合失調症患者に対して、計画的な治療管理を継続して行い、かつ、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明を含め、療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り算定する。

(5) 治療抵抗性統合失調症治療薬とは、クロザピンをいう。

(6) 抗精神病特定薬剤治療指導管理料を算定する場合は、治療計画及び治療内容の要点を診療録に記載する。

I014 医療保護入院等診療料

(1) 医療保護入院等診療料は、措置入院、緊急措置入院、医療保護入院、応急入院に係る患者について、当該入院期間中1回に限り算定する。

(2) 医療保護入院等診療料を算定する場合にあっては、患者の入院形態について、措置入院、緊急措置入院、医療保護入院、応急入院の中から該当するものを診療報酬明細書に記載する。

(3) 医療保護入院等診療料を算定する病院は、隔離等の行動制限を最小化するための委員会において、入院医療について定期的(少なくとも月1回)な評価を行うこと。

(4) 入院患者の隔離及び身体拘束その他の行動制限が病状等に応じて必要最小限の範囲内で適正に行われていることを常に確認できるよう、一覧性のある台帳が整備されていること(平成26年3月14日障精発0314第1号「精神科病院に対する指導監督等の徹底について」)。また、その内容について他の医療機関と相互評価できるような体制を有していることが望ましい。

(5) 患者に対する治療計画、説明の要点について診療録に記載すること。

I015 重度認知症患者デイ・ケア料

(1) 精神症状及び行動異常が著しい認知症患者(「認知症高齢者の日常生活度判定基準」がランクMに該当するもの)の精神症状等の軽快及び生活機能の回復を目的とし、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関において、患者1人当たり1日につき6時間以上行った場合に算定する。

(2) 医師の診療に基づき、対象となる患者ごとにプログラムを作成し、当該プログラムに従って行うものであって、定期的にその評価を行う等計画的な医学的管理に基づいて行うものであること。

(3) 治療の一環として治療上の目的を達するために食事を提供する場合にあっては、その費用は所定点数に含まれる。

(4) 「注2」に掲げる早期加算の対象となる患者は、当該療法の算定を開始してから1年以内又は精神病床を退院して1年以内の患者であること。

(5) 「注3」に掲げる夜間ケア加算の対象となる患者は、夜間の精神状態及び行動異常が著しい認知症患者で、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関において、当該療法に引き続き2時間以上の夜間ケアを行った場合には、当該療法を最初に算定した日から起算して1年以内の期間に限り算定できる。

(6) 重度認知症患者デイ・ケアを行った場合は、その要点及び診療時間を診療録等に記載すること。

(7) 重度認知症患者デイ・ケア料は入院中の患者以外の患者に限り算定する。ただし、重度認知症患者デイ・ケア料を算定している患者に対しては、同一日に行う他の精神科専門療法は、別に算定できない。

I016 精神科在宅患者支援管理料

(1) 精神科在宅患者支援管理料「1」及び「2」は、精神科を標榜する保険医療機関への通院が困難な者(精神症状により単独での通院が困難な者を含む。)に対し、精神科医、看護師又は保健師、作業療法士、精神保健福祉士等の多職種が、計画的な医学管理の下に月1回以上の訪問診療及び定期的な精神科訪問看護を実施するとともに、必要に応じ、急変時等に常時対応できる体制を整備し、多職種が参加する定期的な会議を開催することを評価するものであり、月1回に限り算定する。なお、「1」及び「2」の算定に当たっては、診療報酬明細書の摘要欄に、直近の入院についての入院日、入院形態並びに退院日(入退院を繰り返す者の場合は、直近の入院に加え、前々回の入院についての入院日、入院形態並びに退院日)、直近の退院時におけるGAF、当該月の最初の訪問診療時におけるGAF、「「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」の活用について」(平成18年4月3日老発第0403003号)におけるランク、初回の算定日及び算定する月に行った訪問の日時、診療時間並びに訪問した者の職種を記載すること。

(2) 「1」のイ及び「2」のイについては、以下の全てに該当する患者に対して、初回の算定日から起算して6月以内に限り、月に1回に限り算定すること。

ア 1年以上の入院歴を有する者、措置入院又は緊急措置入院を経て退院した患者であって、都道府県等が精神障害者の退院後支援に関する指針を踏まえて作成する退院後支援計画に関する計画に基づく支援期間にある患者又は入退院を繰り返す者(入退院を繰り返す者については、直近の入院が、措置入院、緊急措置入院又は医療保護入院であり、かつ当該直近の入院の入院日より起算して過去3月以内に措置入院、緊急措置入院又は医療保護入院をしたことのある者に限る。)

イ 統合失調症、統合失調症型障害若しくは妄想性障害、気分(感情)障害又は重度認知症の状態で、退院時又は算定時におけるGAF尺度による判定が40以下の者(重度認知症の状態とは、「「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」の活用について」(平成18年4月3日老発第0403003号)(「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の別添6の別紙12及び別紙13参照)におけるランクMに該当すること。ただし、重度の意識障害のある者(JCS(Japan Coma Scale)でⅡ―3(又は30)以上又はGCS(Glasgow Coma Scale)で8点以下の状態にある者)を除く。)

(3) 「1」のロ及び「2」のロについては、(2)のア又はイに該当する患者に対して、初回の算定日から起算して6月以内に限り、月に1回に限り算定すること。

(4) 「3」は、精神科を標榜する保険医療機関への通院が困難な者(精神症状により単独での通院が困難な者を含む。)のうち、以下のいずれかに該当する患者に対して、計画的な医学管理の下に月1回以上の訪問診療を実施するとともに、必要に応じ、急変時等に常時対応できる体制を整備することを評価するものであり、「1」又は「2」の初回の算定日から起算して2年に限り、月1回に限り算定する。なお、「3」の算定に当たっては、診療報酬明細書の摘要欄に、「1」又は「2」の初回の算定日、「3」の初回の算定日及び算定する月に行った訪問の日時、診療時間並びに訪問した者の職種を記載すること。

ア 「1」のイ又は「2」のイを算定した患者であって、当該管理料の算定を開始した月から、6月を経過した患者

イ 「1」のロ又は「2」のロを前月に算定した患者であって、引き続き訪問診療が必要な患者

(5) 「3」を前月に算定した患者であって、(2)のイを満たし、対象となる状態の著しい急性増悪を認めるものについては、要件を満たす場合に限り、「1」の「ロ」及び「2」の「ロ」を算定して差し支えない。なお、この場合においては、診療報酬明細書の摘要欄に、急性増悪における状態像について記載すること。

(6) 計画的な医学管理については、別紙様式41又はこれに準じた様式を用いて総合支援計画書を月1回以上作成し、総合支援計画書の写しを診療録に添付すること。

(7) 「1」のイ及び「2」のイは、以下の全てを実施する場合に算定すること。

ア 算定患者ごとに、当該患者の診療等を担当する精神科医、看護師又は保健師、精神保健福祉士及び作業療法士の各1名以上からなる専任のチームを設置すること。

イ 当該患者に対して月1回以上の訪問診療と週2回以上の精神科訪問看護及び精神科訪問看護・指導(うち月2回以上は精神保健福祉士又は作業療法士による訪問であること)を行うこと。原則として、(7)のアに規定する専任のチームに所属する精神科医等が訪問することとし、異なる従事者が行う場合には、あらかじめ患者又は患者家族等に説明を行い、同意を得ること。

ウ (7)のアに規定する専任のチームが週1回以上一堂に会しカンファレンス(以下「チームカンファレンス」という。)を行うこと。うち、2月に1回以上は保健所又は精神保健福祉センター等と共同して会議(以下「共同カンファレンス」という。)を開催すること。ただし、当該保健所又は精神保健福祉センター等の都合により当該保健所又は精神保健福祉センター等がカンファレンスに参加できなかった場合は、参加できなかった理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。なお、共同カンファレンスについては、初回は関係者全員が一同に会して実施すること。2回目以降についても、関係者全員が一同に会して実施することが原則であるが、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施した場合でも算定可能である。

(8) 「1」のロ及び「2」のロは、(7)のアに加え、以下の全てを実施する場合に算定すること。

ア 当該患者に対して月1回以上の訪問診療と月2回以上の精神科訪問看護及び精神科訪問看護・指導(うち月1回以上は精神保健福祉士又は作業療法士による訪問であること)を行うこと。原則として、(7)のアに規定する専任のチームに所属する精神科医等が訪問することとし、異なる従事者が行う場合には、あらかじめ患者又は患者家族等に説明を行い、同意を得ること。

イ (7)のアに規定する専任のチームが月1回以上一堂に会しチームカンファレンスを行い、その都度、患者の同意を得た上で、保健所又は精神保健センター等にチームカンファレンスの結果を文書により情報提供すること。必要に応じて共同カンファレンスを行うこと。なお、共同カンファレンスについては、関係者全員が一同に会して実施することが原則であるが、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施した場合でも算定可能である。

(9) 連携する訪問看護ステーションが精神科訪問看護を行う場合には、精神科在宅患者支援管理料2を算定する。この場合、(7)のアに規定する専任のチームに、連携する訪問看護ステーションの看護師若しくは保健師、作業療法士又は精神保健福祉士のいずれか1名以上が参加している必要があること。また、連携する訪問看護ステーションにおいて緊急時に円滑な対応ができるよう、定期的な多職種会議の他、あらかじめ患家の同意を得て、当該患者の病状、治療計画、直近の診療内容等緊急の対応に必要な診療情報を随時提供していること。なお、この場合、(7)及び(8)に規定するチームカンファレンスについては、関係者全員が一同に会して実施することが原則であるが、ビデオ通話が可能な機器を用いて実施した場合でも算定可能である。

(10) (7)、(8)及び(9)において、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

(11) チームカンファレンス及び共同カンファレンスの開催に当たっては、以下の点に留意すること。

ア チームカンファレンス及び共同カンファレンスにおいて、患者についての診療情報の共有、支援計画書の作成と見直し、具体的な支援内容、訪問日程の計画及び支援の終了時期等について協議を行うこと。また、診療録等に会議の要点、参加者の職種と氏名を記載すること。

イ 可能な限り、患者又はその家族等が同席することが望ましい。

ウ 支援計画書の内容については、患者又はその家族等へ文書による説明を行い、説明に用いた文書を交付すること。また、説明に用いた文書の写しを診療録等に添付すること。

(12) 特別の関係にある訪問看護ステーションと連携して行う場合は、精神科在宅患者支援管理料1を算定すること。

(13) 連携する訪問看護ステーションが当該患者について訪問看護基本療養費又は精神科訪問看護基本療養費を算定した場合、訪問看護ステーションが訪問を行った同一時間帯に行う区分番号「C000」往診料、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)、区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)、区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料、区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料、区分番号「C006」在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料、区分番号「C008」在宅患者訪問薬剤管理指導料、区分番号「C009」在宅患者訪問栄養食事指導料又は区分番号「I012」精神科訪問看護・指導料は算定できない。

(14) 2以上の保険医療機関が同一の患者について同一の精神科在宅患者支援管理料を算定すべき医学管理を行っている場合には、主たる医学管理を行っている保険医療機関において当該精神科在宅患者支援管理料を算定する。

(15) 精神科オンライン在宅管理料は、以下の全てを実施する場合に算定する。

ア 精神科オンライン在宅管理料は、対面診療の原則のもとで、訪問診療とオンライン診療を組み合わせた在宅診療計画を作成し、当該計画に基づいて、オンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行うことを評価したものであり、訪問診療を実施した時間帯以外の時間帯にオンライン診療による医学管理を実施した場合に算定できる。なお、当該計画に基づかない他の傷病に対する診察は、対面診療で行うことが原則であり、精神科オンライン在宅管理料は算定できない。

イ オンライン診療は、アの計画に基づき、訪問診療とオンライン診療を組み合わせた医学管理のもとで実施すること。

ウ 精神科オンライン在宅管理料が算定可能な患者は、精神科在宅患者支援管理料の算定対象となる患者であって、精神科在宅患者支援管理料を初めて算定した月から3月以上経過し、かつオンライン診療を実施しようとする月の直近3月の間、オンライン診療を行う医師と同一の医師により、毎月訪問診療を行っているものに限る。

エ 患者の同意を得た上で、訪問診療とオンライン診療を組み合わせた在宅診療計画を作成する。当該計画の中には、患者の急変時における対応等も記載する。

オ 当該計画に沿って、オンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行った際には、当該管理の内容、当該管理に係るオンライン診療を行った日、診察時間等の要点を診療録に記載すること。

カ オンライン診療による計画的な療養上の医学管理を行う医師は、精神科在宅患者支援管理料を算定する際に診療を行う医師と同一のものに限る。ただし、在宅診療を行う医師が同一の保険医療機関に所属する5人以下のチームで診療を行っている場合であって、あらかじめ診療を行う医師について在宅診療計画に記載し、複数医師が診療を行うことについて患者の同意を得ている場合に限り、事前の対面診療を行っていない医師がオンライン診療による医学管理を行っても差し支えない。

キ オンライン診療を行う際には、厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針に沿って診察を行う。

ク オンライン診療による計画的な療養上の医学管理は、当該保険医療機関内において行う。

ケ 同一の患者について、オンライン診療による医学管理を実施した同一時間帯に連携する訪問看護ステーションが訪問看護基本療養費又は精神科訪問看護基本療養費を算定した場合、精神科オンライン在宅管理料は算定できない。

コ 同一の患者について、オンライン診療による医学管理を実施した日に、区分番号「C000」往診料、区分番号「C001」在宅患者訪問診療料(Ⅰ)、区分番号「C001―2」在宅患者訪問診療料(Ⅱ)、区分番号「C005」在宅患者訪問看護・指導料、区分番号「C005―1―2」同一建物居住者訪問看護・指導料、区分番号「C006」在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料、区分番号「C008」在宅患者訪問薬剤管理指導料、区分番号「C009」在宅患者訪問栄養食事指導料又は区分番号「I012」精神科訪問看護・指導料を算定した場合、精神科オンライン在宅管理料は算定できない。

サ 当該管理料を算定する場合、オンライン診療を受ける患者は、当該患者の自宅においてオンライン診療を受ける必要がある。また、複数の患者に対して同時にオンライン診療を行った場合は、当該管理料は算定できない。

シ 当該診察を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる。

ス 精神科オンライン在宅管理料を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、精神科在宅患者支援管理料の算定を開始した年月を記載すること。

第2節 薬剤料

精神病特殊薬物療法は、第2章第5部投薬として算定する。

第3節 経過措置

平成31年4月1日から当分の間、以下のいずれかの要件に該当する者を公認心理師とみなす。

ア 平成31年3月31日時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者

イ 公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者

第9部 処置

<通則>

1 処置の費用は、第1節処置料及び第2節処置医療機器等加算、第3節薬剤料又は第4節特定保険医療材料料に掲げる所定点数を合算した点数によって算定する。この場合において、処置に当たって通常使用される包帯(頭部・頸部・躯幹等固定用伸縮性包帯を含む。)、ガーゼ等衛生材料、患者の衣類及び保険医療材料の費用は、所定点数に含まれており、別に算定できない。

なお、処置に用いる衛生材料を患者に持参させ、又は処方箋により投与するなど患者の自己負担とすることは認められない。

2 特に規定する場合を除き、患者に対して特定保険医療材料又は薬剤を支給したときは、これに要する費用として、特定保険医療材料については「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)」の定めるところにより、薬剤については「使用薬剤の薬価(薬価基準)」の定めるところにより算定する。なお、この場合、薬剤費の算定の単位は1回に使用した総量の価格であり、患者に対して施用した場合に限り、特に規定する場合を除き算定できるものであるが、投薬の部に掲げる処方料、調剤料、処方箋料及び調剤技術基本料並びに注射の部に掲げる注射料は、別に算定できない。

3 浣腸、注腸、吸入、100平方センチメートル未満の第1度熱傷の熱傷処置、100平方センチメートル未満の皮膚科軟膏処置、洗眼、点眼、点耳、簡単な耳垢栓除去、鼻洗浄、狭い範囲の湿布処置その他第1節処置料に掲げられていない処置であって簡単なもの(簡単な物理療法を含む。)の費用は、基本診療料に含まれるものとし、別に算定することはできない。

なお、処置に対する費用が別に算定できない場合(処置後の薬剤病巣撒布を含む。)であっても、処置に際して薬剤を使用した場合には、第3節薬剤料に定めるところにより薬剤料を算定することはできる。

4 通則5の入院中の患者以外の患者に対する処置の休日加算1、時間外加算1又は深夜加算1(以下「時間外等加算1」という。)は、次のア又はイの場合であって、所定点数が1,000点以上の緊急処置の場合についてのみ算定できる。

ア 区分番号「A000」の注7、区分番号「A001」の注5、区分番号「A002」の注8に規定する加算を算定する初診又は再診に引き続き行われた場合。ただし、区分番号「A000」の注9又は区分番号「A001」の注7に規定する夜間・早朝等加算を算定する初診若しくは再診に引き続き行われた場合は対象とならない。なお、当該処置の開始時間が入院手続の後であっても、当該加算は算定できる。

イ 初診又は再診に引き続いて、緊急処置に必要不可欠な検査等を行った後、速やかに緊急処置(休日に行うもの又はその開始時間が診療時間以外の時間若しくは深夜であるものに限る。)を開始した場合であって、当該初診又は再診から処置の開始時間までの間が8時間以内である場合(当該処置の開始時間が入院手続きの後の場合を含む。)

5 通則5の休日加算2、時間外加算2又は深夜加算2(以下「時間外加算等2」という。)は、区分番号「A000」の注7、区分番号「A001」の注5、区分番号「A002」の注8に規定する加算を算定する初診又は再診に引き続き行われた所定点数が150点以上の緊急処置の場合についてのみ算定できるものであり、区分番号「A000」の注9又は区分番号「A001」の注7に規定する夜間・早朝等加算を算定する初診若しくは再診に引き続き行われた場合又は入院中の患者に対して行われた場合については対象とならない。なお、当該処置の開始時間が入院手続の後であっても当該加算は算定できる。

6 通則5の入院中の患者に対する処置の休日加算1又は深夜加算1は、病状の急変により、休日に緊急処置を行った場合又は開始時間が深夜である緊急処置を行った場合であって、所定点数が1,000点以上の緊急処置を行った場合に算定できる。

7 通則5の時間外等加算1は、当該加算を算定するものとして、地方厚生(支)局長に届出を行っている診療科において処置を実施した場合に限り算定できる。

8 処置の開始時間とは、患者に対し直接施療した時とする。なお、処置料において「1日につき」とあるものは午前0時より午後12時までのことであり、午前0時前に処置を開始し、午前0時以降に処置が終了した場合には、処置を行った初日のみ時間外加算等を算定し、午前0時以降の2日目については算定できない。

9 処置が保険医療機関又は保険医の都合により時間外となった場合は、時間外加算等は算定できない。

10 時間外加算等に係る「所定点数」とは、第1節処置料に掲げられた点数及び各注による加算(プラスチックギプス加算及びギプスに係る乳幼児加算を含む。)を合計した点数であり、第2節、第3節及び第4節における費用は含まない。

11 4から10までに規定する他、時間外加算等の取扱いについては、初診料における場合と同様である。

12 「通則6」における「特に規定する場合」とは、処置名の末尾に「片側」、「1肢につき」等と記入したものをいう。両眼に異なる疾患を有し、それぞれ異なった処置を行った場合は、その部分についてそれぞれ別に算定できる。

13 第1節に掲げられていない特殊なものの費用は、その都度当局に内議し、最も近似する処置として準用が通知された算定方法により算定する。

14 血腫、膿腫その他における穿刺は、新生児頭血腫又はこれに準ずる程度のものに対して行う場合は、区分番号「J059―2」血腫、膿腫穿刺により算定できるが、小範囲のものや試験穿刺については、算定できない。

<処置料>

(一般処置)

J000 創傷処置

(1) 創傷処置、区分番号「J001」熱傷処置、区分番号「J001―4」重度褥瘡処置及び区分番号「J053」皮膚科軟膏処置の各号に示す範囲とは、包帯等で被覆すべき創傷面の広さ、又は軟膏処置を行うべき広さをいう。

(2) 同一疾病又はこれに起因する病変に対して創傷処置、皮膚科軟膏処置又は湿布処置が行われた場合は、それぞれの部位の処置面積を合算し、その合算した広さを、いずれかの処置に係る区分に照らして算定するものとし、併せて算定できない。

(3) 同一部位に対して創傷処置、皮膚科軟膏処置、面皰圧出法又は湿布処置が行われた場合はいずれか1つのみにより算定し、併せて算定できない。

(4) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料又は区分番号「C112」在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、創傷処置(熱傷に対するものを除く。)、爪甲除去(麻酔を要しないもの)及び穿刺排膿後薬液注入の費用は算定できない。

(5) 手術後の患者に対する創傷処置は、その回数にかかわらず、1日につき所定の点数のみにより算定する。

(6) 複数の部位の手術後の創傷処置については、それぞれの部位の処置面積を合算し、その合算した広さに該当する点数により算定する。

(7) 中心静脈圧測定、静脈内注射、点滴注射、中心静脈注射及び植込型カテーテルによる中心静脈注射に係る穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は、別に算定できない。

(8) 軟膏の塗布又は湿布の貼付のみの処置では算定できない。

J001 熱傷処置

(1) 熱傷処置を算定する場合は、創傷処置、爪甲除去(麻酔を要しないもの)及び穿刺排膿後薬液注入は併せて算定できない。

(2) 熱傷には電撃傷、薬傷及び凍傷が含まれる。

(3) 「1」については、第1度熱傷のみでは算定できない。

J001―2 絆創膏固定術

足関節捻挫又は膝関節靱帯損傷に絆創膏固定術を行った場合に算定する。ただし、交換は原則として週1回とする。

J001―3 鎖骨又は肋骨骨折固定術

鎖骨骨折固定術後の包帯交換は、区分番号「J000」創傷処置に準じて算定し、肋骨骨折固定術の2回目以降の絆創膏貼用は、絆創膏固定術に準じて算定する。

J001―4 重度褥瘡処置

(1) 皮下組織に至る褥瘡(筋肉、骨等に至る褥瘡を含む。)(DESIGN―R分類D3、D4及びD5)に対して褥瘡処置を行った場合に算定する。

(2) 重度褥瘡処置を算定する場合は、創傷処置、爪甲除去(麻酔を要しないもの)及び穿刺排膿後薬液注入は併せて算定できない。

J001―5 長期療養患者褥瘡等処置

(1) 長期療養患者褥瘡等処置の算定に係る褥瘡処置とは、臥床に伴う褥瘡性潰瘍又は圧迫性潰瘍に対する処置(創傷処置又は皮膚科軟膏処置において、入院中の患者について算定することとされている範囲のものに限る。)をいうものであり、重度褥瘡処置を含むものであること。

(2) 褥瘡処置の回数及び部位数にかかわらず1日につき1回に限り算定するものであること。

(3) 1年を超える入院の場合にあって創傷処置又は皮膚科軟膏処置の費用を算定する場合は、その対象傷病名を診療報酬明細書に記載すること。

J001―6 精神病棟等長期療養患者褥瘡等処置

(1) 「注1」に掲げる処置には褥瘡処置及び重度褥瘡処置を含む。

(2) 入院期間が1年を超える入院中の患者に対して行った褥瘡処置、重度褥瘡処置が、「注1」に掲げるもの以外の創傷処置又は皮膚科軟膏処置である場合は、長期療養患者褥瘡等処置の所定点数により算定する。

(3) 結核病棟又は精神病棟に入院している患者であって入院期間が1年を超えるものに対して、ドレーン法を行った場合は、その種類又は回数にかかわらず精神病棟等長期療養患者褥瘡等処置として、1日につき所定点数を算定する。

J001―9 空洞切開術後ヨードホルムガーゼ処置

肺空洞切開手術後の空洞内にヨードホルムガーゼを使用した場合に算定する。なお、ヨードホルムガーゼを多量に使用することは、中毒のおそれもあり留意すべきである。

J001―10 静脈圧迫処置(慢性静脈不全に対するもの)

(1) 静脈圧迫処置は、慢性静脈不全による難治性潰瘍の患者であって、次のいずれにも該当する場合に、月に1回に限り、3月を限度として算定する。ただし、初回の潰瘍の大きさが100cm2を超える場合は6月を限度として算定する。

ア 2週間以上持続し、他の治療法によっては治癒又は改善しない下肢の難治性潰瘍を有する患者である場合。

イ 次のいずれかの方法により、慢性静脈不全と診断された患者であって、それ以外の原因が否定されている場合。

① 下肢静脈超音波検査により、表在静脈において0.5秒、深部静脈において1秒を超える逆流所見が認められる場合又は深部静脈において有意な閉塞所見が認められる場合

② 動脈性静脈性混合性潰瘍が疑われる場合であって、足関節上腕血圧比(ABI)検査0.5以上の場合

(2) 静脈圧迫処置は、専任の医師が直接行うもの又は専任の医師の指導の下、専任の看護師が行うものについて算定する。なお、当該医師又は看護師は、関連学会が主催する所定の研修会を受講していること。

(3) 静脈圧迫処置は、弾性着衣又は弾性包帯による圧迫、圧迫下の運動及び患肢のスキンケアによるセルフケア指導を適切に組み合わせて、処置及び指導を行った場合に算定する。

(4) 関連学会が定める指針等を遵守すること。

(5) 診療報酬の請求に当たって、診療報酬明細書の摘要欄に、難治性潰瘍の所見(潰瘍の持続期間、部位、深達度及び面積を含む。)、これまでの治療経過、慢性静脈不全と診断した根拠(下肢静脈超音波検査等の所見)、静脈圧迫処置を必要とする医学的理由及び指導内容について記載すること。

J002 ドレーン法(ドレナージ)

(1) 部位数、交換の有無にかかわらず、1日につき、所定点数のみにより算定する。

(2) ドレナージの部位の消毒等の処置料は所定点数に含まれ、区分番号「J000」創傷処置は別に算定できない。ただし、ドレーン抜去後に抜去部位の処置が必要な場合は、区分番号「J000」創傷処置の「1」により手術後の患者に対するものとして算定する。

(3) 「1」と「2」は同一日に併せて算定できない。

(4) PTCDチューブの単なる交換については、「2」により算定する。

J003 局所陰圧閉鎖処置(入院)(1日につき)

(1) 入院中の患者に対して処置を行った場合に限り算定できる。

(2) 「1」から「3」までに示す範囲は、局所陰圧閉鎖処置用材料で被覆すべき創傷面の広さをいう。

(3) 部位数にかかわらず、1日につき、所定点数により算定する。

(4) 局所陰圧閉鎖処置(入院)を算定する場合は、区分番号「J001―4」重度褥瘡処置及び区分番号「J053」皮膚科軟膏処置は併せて算定できない。区分番号「J000」創傷処置又は区分番号「J001」熱傷処置は併せて算定できるが、当該処置が対象とする創傷を重複して算定できない。

(5) 局所陰圧閉鎖処置(入院)終了後に多血小板血漿処置を行う場合は、区分番号「J003―4」多血小板血漿処置を算定する。また、引き続き創傷部位の処置(多血小板血漿処置を除く。)が必要な場合は、区分番号「J000」創傷処置により算定する。

(6) 「注1」に規定する加算は、入院前に区分番号「J003―2」局所陰圧閉鎖処置(入院外)を算定していた患者が、引き続き入院中に局所陰圧閉鎖処置(入院)を行った場合は算定できない。

(7) 「注2」の持続洗浄加算については、局所感染を伴う難治性創傷(局所感染が存在するが、その拡大がなく、沈静化すると考えられる創傷及び汚染創に限り、骨髄炎又は骨膜炎を除く。)に対して、持続洗浄を併せて実施した場合に算定する。持続洗浄加算を算定した場合は、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。

(8) 骨髄炎又は骨膜炎を伴う難治性創傷に対して、局所陰圧閉鎖処置と洗浄を行った場合は、「注2」の持続洗浄加算は算定できず、区分番号「J040」局所灌流の「2」骨膜・骨髄炎に対するものを併せて算定する。この場合は、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。

(9) 局所陰圧閉鎖処置(入院)を算定する場合は、特定保険医療材料の局所陰圧閉鎖処置用材料を併せて使用した場合に限り算定できる。ただし、切開創手術部位感染のリスクを低減する目的で使用した場合は算定できない。

(10) 陰圧維持管理装置として単回使用の機器を使用し、局所陰圧閉鎖処置(入院)を算定する場合は、特定保険医療材料の局所陰圧閉鎖処置用材料を併せて算定した日に週3回に限り算定できる。

(11) 初回加算を算定した日、陰圧維持管理装置として使用した機器及び本処置の医学的必要性を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

J003―2 局所陰圧閉鎖処置(入院外)(1日につき)

(1) 入院中の患者以外の患者に対して陰圧創傷治療用カートリッジを用いて処置を行った場合に限り算定できる。

(2) 「1」から「3」までに示す範囲は、局所陰圧閉鎖処置用材料で被覆すべき創傷面の広さをいう。

(3) 部位数にかかわらず、1日につき、所定点数により算定する。

(4) 局所陰圧閉鎖処置(入院外)を算定する場合は、区分番号「J001―4」重度褥瘡処置及び区分番号「J053」皮膚科軟膏処置は併せて算定できない。区分番号「J000」創傷処置又は区分番号「J001」熱傷処置は併せて算定できるが、当該処置が対象とする創傷を重複して算定できない。

(5) 局所陰圧閉鎖処置(入院外)終了後に多血小板血漿処置を行う場合は、区分番号「J003―4」多血小板血漿処置を算定する。また、引き続き創傷部位の処置(多血小板血漿処置を除く。)が必要な場合は、区分番号「J000」創傷処置により算定する。

(6) 「注」に規定する加算は、入院中に区分番号「J003」局所陰圧閉鎖処置(入院)(1日につき)を算定していた患者が引き続き入院外で局所陰圧閉鎖処置を実施した場合は算定できない。

(7) 局所陰圧閉鎖処置(入院外)を算定する場合は、特定保険医療材料の局所陰圧閉鎖処置用材料を併せて使用した場合に限り算定できる。ただし、切開創手術部位感染のリスクを低減する目的で使用した場合は算定できない。

J003―3 局所陰圧閉鎖処置(腹部開放創)(1日につき)

(1) 腹部開放創用局所陰圧閉鎖キットを用いた場合に限り、10日を限度として算定する。なお、処置開始日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(2) 局所陰圧閉鎖処置(腹部開放創)を算定する場合は、区分番号「J003」局所陰圧閉鎖処置(入院)は併せて算定できない。

J003―4 多血小板血漿処置

(1) トラフェルミン(遺伝子組換え)を用いた治療又は局所陰圧閉鎖処置を28日以上行っても効果が得られない難治性皮膚潰瘍に対して、多血小板血漿処置を行った場合に限り算定する。なお、診療報酬明細書の摘要欄に当該処置を行う医学的必要性を記載すること。

(2) 一連につき2クールを限度として行い、1クール(4週間に限る。)につき1回を限度として算定する。

(3) 部位数にかかわらず、所定点数により算定する。

(4) 多血小板血漿処置を算定する場合は、一連の期間内において、区分番号「J001―4」重度褥瘡処置、「J003」局所陰圧閉鎖処置(入院)、「J003―2」局所陰圧閉鎖処置(入院外)及び「J053」皮膚科軟膏処置は併せて算定できない。なお、区分番号「J000」創傷処置又は「J001」熱傷処置は併せて算定できるが、当該処置が対象とする創傷を重複して算定できない。

J004 流注膿瘍穿刺

区分番号「J001―8」穿刺排膿後薬液注入と同一日に算定することはできない。

J005 脳室穿刺

区分番号「D401」脳室穿刺と同一日に算定することはできない。

J006 後頭下穿刺

区分番号「D402」後頭下穿刺と同一日に算定することはできない。

J007 頸椎、胸椎又は腰椎穿刺

区分番号「J007」頸椎穿刺は区分番号「D403」頸椎穿刺と、区分番号「J007」胸椎穿刺は区分番号「D403」胸椎穿刺と、区分番号「J007」腰椎穿刺は区分番号「D403」腰椎穿刺と同一日に算定することはできない。

J007―2 硬膜外自家血注入

硬膜外自家血注入は、起立性頭痛を有する患者に係るものであって、関係学会の定める脳脊髄液漏出症診療指針に基づき、脳脊髄液漏出症として「確実」又は「確定」と診断されたものに対して実施した場合に限り算定できる。なお、診療報酬請求に当たっては、診療報酬明細書に当該指針に規定する画像診断基準を満たすことを示す画像所見、撮影日、撮影医療機関の名称等の症状詳記を添付すること。

J008 胸腔穿刺

(1) 胸腔穿刺、洗浄、薬液注入又は排液について、これらを併せて行った場合においては、胸腔穿刺の所定点数を算定する。

(2) 単なる試験穿刺として行った場合は、区分番号「D419」その他の検体採取の「2」により算定する。

J011 骨髄穿刺

区分番号「D404」骨髄穿刺と同一日に算定することはできない。

J012 腎嚢胞又は水腎症穿刺

区分番号「D407」腎嚢胞又は水腎症穿刺と同一日に算定することはできない。

J013 ダグラス窩穿刺

区分番号「D408」ダグラス窩穿刺と同一日に算定することはできない。

J014 乳腺穿刺

区分番号「D410」乳腺穿刺又は針生検と同一日に算定することはできない。

J015 甲状腺穿刺

区分番号「D411」甲状腺穿刺又は針生検と同一日に算定することはできない。

J016 リンパ節等穿刺

区分番号「D409」リンパ節等穿刺又は針生検と同一日に算定することはできない。

J017 エタノールの局所注入

(1) 肝癌、有症状の甲状腺のう胞、機能性甲状腺結節(Plummer病)、内科的治療に抵抗性の2次性副甲状腺機能亢進症等に対してエタノールを局所注入した場合に算定する。なお、使用したエタノールは、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 当該手技に伴って実施される超音波検査、画像診断の費用は所定点数に含まれる。

J017―2 リンパ管腫局所注入

リンパ管腫にピシバニールを局所注入した場合に算定する。

J018 喀痰吸引

(1) 喀痰の凝塊又は肺切除後喀痰が気道に停滞し、喀出困難な患者に対し、ネラトンカテーテル及び吸引器を使用して喀痰吸引を行った場合に算定する。

(2) 喀痰吸引、内視鏡下気管支分泌物吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、間歇的陽圧吸入法、鼻マスク式補助換気法、体外式陰圧人工呼吸器治療、ハイフローセラピー、高気圧酸素治療、インキュベーター、人工呼吸、持続陽圧呼吸法、間歇的強制呼吸法、気管内洗浄(気管支ファイバースコピーを使用した場合を含む。)、ネブライザー又は超音波ネブライザーを同一日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。

(3) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料、区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料、区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料又は区分番号「C112」在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、喀痰吸引の費用は算定できない。

J018―3 干渉低周波去痰器による喀痰排出

(1) 区分番号「J018」喀痰吸引を同一日に行った場合はどちらか一方のみ算定する。

(2) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料、区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料、区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料又は区分番号「C112」在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、干渉低周波去痰器による喀痰排出の費用は算定できない。

(3) 算定は1日に1回を限度とする。

J019 持続的胸腔ドレナージ

(1) 2日目以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。

(2) 手術と同一日に行った持続的胸腔ドレナージは別に算定できない。なお、手術の翌日以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

(3) 胸腔内出血排除(非開胸的)については本区分で算定する。

J020 胃持続ドレナージ

2日目以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。

J021 持続的腹腔ドレナージ

(1) 2日目以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。

(2) 手術と同一日に行った持続的腹腔ドレナージは別に算定できない。なお、手術の翌日以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

J022 高位浣腸、高圧浣腸、洗腸

高位浣腸、高圧浣腸、洗腸、摘便、腰椎麻酔下直腸内異物除去又は腸内ガス排気処置(開腹手術後)を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数により算定する。

J022―5 持続的難治性下痢便ドレナージ

(1) 持続的難治性下痢便ドレナージは、救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料又は無菌治療室管理加算を現に算定している患者であって、2時間に1回以上の反復する難治性の下痢便を認める患者又は肛門周囲熱傷を伴う患者に対し、急性期患者の皮膚・排泄ケアを実施するための適切な知識・技術を有する医師又は看護師が、便の回収を持続的かつ閉鎖的に行う機器を用いて行った場合に算定する。

(2) 持続的難治性下痢便ドレナージは、当該技術に関する十分な経験を有する医師又は5年以上の急性期患者の看護に従事した経験を有し、急性期患者の皮膚・排泄ケア等に係る適切な研修を修了した看護師が実施することがのぞましい。なお、ここでいう急性期患者への看護等に係る適切な研修とは、次の事項に該当する研修のことをいう。

ア 国及び医療機関団体等が主催する研修であること。(6月以上の研修期間で、修了証が交付されるもの)

イ 急性期看護又は排泄ケア関連領域における専門的な知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であること。

(3) 開始日については、当該点数で算定し、2日目以降は区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)(1日につき)の「2」その他のもので算定する。

J024 酸素吸入、J024―2 突発性難聴に対する酸素療法

(1) 間歇的陽圧吸入法、鼻マスク式補助換気法、体外式陰圧人工呼吸器治療、ハイフローセラピー、インキュベーター、人工呼吸、持続陽圧呼吸法、間歇的強制呼吸法又は気管内洗浄(気管支ファイバースコピーを使用した場合を含む。)と同一日に行った酸素吸入、突発性難聴に対する酸素療法又は酸素テントの費用は、それぞれの所定点数に含まれており、別に算定できない。

(2) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料又は区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、酸素吸入及び突発性難聴に対する酸素療法の費用は算定できない。

(3) 肺血流増加型先天性心疾患の患者に対して、呼吸循環管理を目的として低濃度酸素吸入を行った場合は、区分番号「J024」酸素吸入の所定点数を算定する。

J025 酸素テント

(1) 使用したソーダライム等の二酸化炭素吸着剤の費用は所定点数に含まれる。

(2) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料又は区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、酸素テントの費用は算定できない。

J026 間歇的陽圧吸入法

(1) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料又は区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、間歇的陽圧吸入法の費用は算定できない。

(2) 間歇的陽圧吸入法と同時に行う喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、酸素吸入、突発性難聴に対する酸素療法又は酸素テントは、所定点数に含まれるものとする。

J026―2 鼻マスク式補助換気法、J026―3 体外式陰圧人工呼吸器治療

(1) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料又は区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者及び医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については、鼻マスク式補助換気法及び体外式陰圧人工呼吸器治療の費用は算定できない。

(2) 鼻マスク式補助換気法又は体外式陰圧人工呼吸器治療と同時に行う喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、酸素吸入、突発性難聴に対する酸素療法又は酸素テントは、所定点数に含まれるものとする。

J026―4 ハイフローセラピー(1日につき)

(1) 動脈血酸素分圧が60mmHg以下又は経皮的動脈血酸素飽和度が90%以下の急性呼吸不全の患者に対して実施した場合に限り算定する。なお、算定に当たっては、動脈血酸素分圧又は経皮的酸素飽和度の測定結果について、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(2) 区分番号「C103」在宅酸素療法指導管理料又は区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、ハイフローセラピーの費用は算定できない。

J027 高気圧酸素治療

(1) 「1」は減圧症又は空気塞栓に対して、発症後1か月以内に行う場合に、一連につき7回を限度として算定する。

(2) 「2」は次の疾患に対して行う場合に、一連につき10回を限度として算定する。

ア 急性一酸化炭素中毒その他のガス中毒(間歇型を含む。)

イ 重症軟部組織感染症(ガス壊疽、壊死性筋膜炎)又は頭蓋内膿瘍

ウ 急性末梢血管障害

(イ) 重症の熱傷又は凍傷

(ロ) 広汎挫傷又は中等度以上の血管断裂を伴う末梢血管障害

(ハ) コンパートメント症候群又は圧挫症候群

エ 脳梗塞

オ 重症頭部外傷後若しくは開頭術後の意識障害又は脳浮腫

カ 重症の低酸素脳症

キ 腸閉塞

(3) 「2」は次の疾患に対して行う場合に、一連につき30回を限度として算定する。

ア 網膜動脈閉塞症

イ 突発性難聴

ウ 放射線又は抗癌剤治療と併用される悪性腫瘍

エ 難治性潰瘍を伴う末梢循環障害

オ 皮膚移植

カ 脊髄神経疾患

キ 骨髄炎又は放射線障害

(4) スモンの患者に対して行う場合は、「2」により算定する。

(5) 2絶対気圧以上の治療圧力が1時間に満たないものについては、1日につき区分番号「J024」酸素吸入により算定する。

(6) 高気圧酸素治療を行うに当たっては、関係学会より留意事項が示されているので、これらの事項を十分参考とすべきものである。

J028 インキュベーター

(1) インキュベーターを行うに当たって使用した滅菌精製水の費用は、所定点数に含まれる。

(2) 1日につき所定点数により算定する。

J029 鉄の肺

1日につき所定点数により算定する。

J032 肛門拡張法(徒手又はブジーによるもの)

「注」に規定する加算は、3歳未満の乳幼児であって、鎖肛又は先天性腸疾患に対する根治術等の前後に肛門拡張法を行った場合に限り算定できる。なお、当該加算は初回の算定日から起算して3月以内に限り算定できることとし、診療報酬明細書の摘要欄に初回の算定年月日(初回の場合は初回である旨)を記載すること。

J034 イレウス用ロングチューブ挿入法

(1) 2日目以降は、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)の所定点数により算定する。

(2) 経肛門的に挿入した場合においても本区分により算定する。

J034―2 経鼻栄養・薬剤投与用チューブ挿入術

(1) EDチューブを用いて経管栄養を行うためにEDチューブを挿入した場合は、胃食道逆流症や全身状態の悪化等により、経口又は経胃の栄養摂取では十分な効果が得られない患者に対して実施した場合に限り算定する。

(2) 経鼻栄養・薬剤投与用チューブ挿入術は、X線透視下に経鼻栄養・薬剤投与用チューブを挿入し、食道から胃を通過させ、先端が十二指腸あるいは空腸内に存在することを確認した場合に算定する。

(3) EDチューブを用いて経管栄養を行う場合には、区分番号「J120」鼻腔栄養(1日につき)の所定点数により算定する。

(4) 経鼻薬剤投与を行う場合は、レボドパ・カルビドパ水和物製剤を投与する目的の場合に限り算定する。なお、この場合の画像診断及び内視鏡等の費用は、当該点数の算定日に限り算定する。

J034―3 内視鏡的結腸軸捻転解除術

一連につき、一回に限り算定する。なお、区分番号「D313」大腸内視鏡検査の費用は、所定点数に含まれる。

J038 人工腎臓

(1) 人工腎臓には、血液透析のほか血液濾過、血液透析濾過が含まれる。

(2) 人工腎臓を行う医療機関の規模や効率性等を踏まえた評価とする観点から、「1」については「慢性維持透析を行った場合1」の施設基準、「2」については「慢性維持透析を行った場合2」の施設基準の届出を行った保険医療機関において算定する。「慢性維持透析を行った場合3」については、「1」又は「2」の施設基準のいずれかに該当するものとして届出を行った保険医療機関以外の保険医療機関において算定する。ただし、「慢性維持透析を行った場合3」についても、関連学会から示されている基準に基づき、水質管理が適切に実施されていることが望ましい。

(3) 人工腎臓の時間は、シャント等から動脈血等を人工腎臓用特定保険医療材料に導き入れたときを起点として、人工腎臓用特定保険医療材料から血液を生体に返却し終えたときまでとする。したがって、人工腎臓実施前後の準備、整理等に要する時間は除かれる。

(4) 人工腎臓の時間等については、患者に対し十分な説明を行った上で、患者の病態に応じて、最も妥当なものとし、人工腎臓を行った時間(開始及び終了した時間を含む。)を診療録等に記載すること。また、治療内容の変更が必要となった場合においても、患者に十分な説明を行うこと。

(5) 妊娠中の患者以外の患者に対し、人工腎臓と区分番号「J038―2」持続緩徐式血液濾過を併せて1月に15回以上実施した場合(人工腎臓のみを15回以上実施した場合を含む。)は、15回目以降の人工腎臓又は持続緩徐式血液濾過は算定できない。ただし、薬剤料(透析液、血液凝固阻止剤、エリスロポエチン製剤、ダルベポエチン製剤、エポエチンベータペゴル製剤、HIF―PH阻害剤(院内処方されたものに限る。)及び生理食塩水を含む。)又は特定保険医療材料料は別に算定できる。

(6) 区分番号「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している患者に対して行った場合には、区分番号「J042」腹膜灌流の「1」連続携行式腹膜灌流の実施回数と併せて週1回を限度として算定できる。また、区分番号「C102―2」在宅血液透析指導管理料を算定している患者に対して行った場合には、週1回を限度として算定できる。それを超えた回数を実施した場合は、薬剤料及び特定保険医療材料料に限り算定できる。なお、他の医療機関において区分番号「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している場合には、診療報酬明細書の摘要欄に、区分番号「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している保険医療機関名を記載した場合に限り、週1回を限度として算定できる。

(7) 人工腎臓の所定点数に含まれるものの取扱いについては、次の通りとする。

ア 「1」から「3」までの場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)には、透析液(灌流液)、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤、ダルベポエチン製剤、エポエチンベータペゴル製剤及びHIF―PH阻害剤の費用(HIF―PH阻害剤は「イ」から「ハ」までの場合に限る。)は所定点数に含まれており、別に算定できない。なお、生理食塩水には、回路の洗浄・充填、血圧低下時の補液、回収に使用されるもの等が含まれ、同様の目的で使用される電解質補液、ブドウ糖液等についても別に算定できない。

イ 「1」から「3」までにより算定する場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)においても、透析液(灌流液)、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤、ダルベポエチン製剤、エポエチンベータペゴル製剤及びHIF―PH阻害剤(院内処方されたものに限る。)の使用について適切に行うこと。また、慢性維持透析患者の貧血の管理に当たっては、関係学会が示している腎性貧血治療のガイドラインを踏まえ適切に行うこと。

ウ 「1」から「4」までにより算定する場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)において人工腎臓灌流原液の希釈水の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。また、必要があって脱イオン(純水製造装置による)を行わなければ使用できない場合であっても同様である。

エ 「1」から「4」までにより算定する場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)において人工腎臓の希釈水に対してアルミニウム、フッ素、遊離塩素及びエンドトキシン等を除去する目的で逆浸透装置、活性炭フィルター及び軟水装置を用いて水処理を行った場合の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

オ 「1」から「4」までにより算定する場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)において人工腎臓の回路を通して行う注射料は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(8) 「4」その他の場合は次の場合に算定する。

ア 急性腎不全の患者に対して行った場合

イ 透析導入期(導入後1月に限る。)の患者に対して行った場合

ウ 血液濾過又は血液透析濾過(「注13」の加算を算定する場合を除く。)を行った場合

エ 以下の合併症又は状態を有する患者((ニ)から(ヌ)までについては入院中の患者に限る。)に対して行った場合であって、連日人工腎臓を実施する場合や半減期の短い特別な抗凝固剤を使用する場合等特別な管理を必要とする場合

(イ) 重大な視力障害にいたる可能性が著しく高い、進行性眼底出血(発症後2週間に限る。)

(ロ) 重篤な急性出血性合併症(頭蓋内出血、消化管出血、外傷性出血等)(発症後2週間に限る。)

(ハ) ヘパリン起因性血小板減少症

(ニ) 播種性血管内凝固症候群

(ホ) 敗血症

(ヘ) 急性膵炎

(ト) 重篤な急性肝不全

(チ) 悪性腫瘍(注射による化学療法中のものに限る。)

(リ) 自己免疫疾患の活動性が高い状態

(ヌ) 区分番号「L002」硬膜外麻酔、「L004」脊椎麻酔若しくは「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔による手術を実施した状態(手術前日から術後2週間に限る。)

(9) (8)の場合に該当し、「4」により算定する場合にあっては、(8)のアからエ(エについては(イ)から(ヌ)まで)までの中から該当するものを診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(10) 人工腎臓における血液濾過は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症若しくは透析困難症の患者又は緑内障、心包炎若しくは心不全を合併する患者について、血液透析を行った上で、その後血液濾過を実施した場合に限り算定できる。この場合の人工腎臓の費用は、「4」により算定する。

(11) 人工腎臓における血液透析濾過(「注13」の加算を算定する場合を除く。)は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症又は透析困難症の患者について実施した場合に限り算定できる。この場合の人工腎臓の費用は「4」により算定する。

(12) 「注1」の加算については、人工腎臓を緊急のため午後5時以降に開始したため又は緊急のため休日に行ったため、通則5による時間外加算等が算定できる場合にあっては、併せて算定できない。

(13) 「注1」の加算を算定する場合は、区分番号「A000」初診料の「注9」及び区分番号「A001」再診料の「注7」に掲げる夜間・早朝等加算は算定しない。

(14) 休日加算の対象となる休日とは、初診料における休日加算の対象となる休日と同じ取扱いである。ただし、日曜日である休日(日曜日である12月29日から1月3日までの日を除く。)は、休日加算の対象としない。

(15) 休日の午後5時以降に開始した場合又は午後9時以降に終了した場合にあっては、「注1」の加算を1回のみ算定できる。

(16) 療養の一環として行われた食事以外の食事が提供された場合には、患者から実費を徴収することができる。

(17) 「注2」の加算については、腎代替療法についての患者への説明の実施状況並びに腹膜透析及び腎移植に係る実績に応じて、1日につき200点又は500点を1月間に限り算定する。なお、「人工腎臓における導入期」とは継続して血液透析を実施する必要があると判断された場合の血液透析の開始日より1月間をいう。

(18) 「注3」の加算については、次に掲げる状態の患者であって著しく人工腎臓が困難なものについて算定する。

ア 障害者基本法にいう障害者(腎不全以外には身体障害者手帳を交付される程度の障害を有さない者であって、腎不全により身体障害者手帳を交付されているものを除く。)

イ 精神保健福祉法の規定によって医療を受ける者

ウ 難病の患者に対する医療等に関する法律第5条第1項に規定する指定難病(同法第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されている患者(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に係るものに限る。)又は「特定疾患治療研究事業について」(昭和48年4月17日衛発第242号)に掲げる疾患(当該疾患に罹患しているものとして都道府県知事から受給者証の交付を受けているものに限る。ただし、スモンについては過去に公的な認定を受けたことが確認できる場合等を含む。)に罹患している者であって介護を要するもの(腎疾患により受給者証を発行されているものを除く。)

エ 透析中に頻回の検査、処置を必要とするインスリン注射を行っている糖尿病の患者

オ 運動麻痺を伴う脳血管疾患患者

カ 認知症患者

キ 常時低血圧症(収縮期血圧が90mmHg以下)の者

ク 透析アミロイド症で手根管症候群や運動機能障害を呈する者

ケ 出血性消化器病変を有する者

コ 骨折を伴う二次性副甲状腺機能亢進症の患者

サ 重症感染症に合併しているために入院中の患者

シ 末期癌に合併しているために入院中の患者

ス 入院中の患者であって腹水・胸水が貯留しているもの

セ 妊婦(妊娠中期以降)

ソ うっ血性心不全(NYHAⅢ度以上)

タ 12歳未満の小児

チ 人工呼吸を実施中の患者

ツ 結核菌を排菌中の患者

(19) 人工腎臓を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、「4」の場合であって、夜間に人工腎臓を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。

(20) 「注10」の下肢末梢動脈疾患指導管理加算は、当該保険医療機関において慢性維持透析を実施している全ての患者に対しリスク評価等を行った場合に算定できる。その際「血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」等に基づき、下肢動脈の触診や下垂試験・挙上試験等を実施した上で、下肢末梢動脈の虚血性病変が疑われる場合には足関節上腕血圧比(ABI)検査又は皮膚組織灌流圧(SPP)検査によるリスク評価を行っていること。また、ABI検査0.7以下又はSPP検査40mmHg以下の患者については、専門的な治療体制を有している保険医療機関へ紹介を行うこと。当該保険医療機関が専門的な治療体制を有している保険医療機関の要件を満たしている場合は、当該保険医療機関内の専門科と連携を行っていること。

(21) 「注11」の長時間加算については、次に掲げる状態の患者であって、通常の人工腎臓では管理困難な徴候を有するものについて、6時間以上の人工腎臓を行った場合に算定する。

ア 心不全徴候を認める又は血行動態の不安定な患者

イ 適切な除水、適切な降圧薬管理及び適切な塩分摂取管理を行っても高血圧が持続する患者

ウ 高リン血症が持続する患者

(22) 「注13」慢性維持透析濾過(複雑なもの)は、血液透析濾過のうち、透析液から分離作製した置換液を用いて血液透析濾過を行うことをいう。

(23) 原則として、関連学会から示されている基準に基づき、水質管理が適切に実施されていること及び透析機器安全管理委員会を設置し、その責任者として専任の医師又は専任の臨床工学技士が1名以上配置されていること。

(24) 「1」から「3」までのうち、「ニ」から「ヘ」までの場合(「注13」の加算を算定する場合を含む。)には、HIF―PH阻害剤の服薬状況について、診療録に記載すること。

J038―2 持続緩徐式血液濾過

(1) 使用した特定保険医療材料については、持続緩徐式血液濾過器として算定する。

(2) 持続緩徐式血液濾過は、次のアからケまでに掲げるいずれかの状態の患者に算定できる。ただし、キ及びクの場合にあっては一連につき概ね8回を限度とし、ケの場合にあっては一連につき月10回を限度として3月間に限って算定する。

ア 末期腎不全の患者

イ 急性腎障害と診断された高度代謝性アシドーシスの患者

ウ 急性腎障害と診断された薬物中毒の患者

エ 急性腎障害と診断された尿毒症の患者

オ 急性腎障害と診断された電解質異常の患者

カ 急性腎障害と診断された体液過剰状態の患者

キ 急性膵炎診療ガイドライン2015において、持続緩徐式血液濾過の実施が推奨される重症急性膵炎の患者

ク 重症敗血症の患者

ケ 劇症肝炎又は術後肝不全(劇症肝炎又は術後肝不全と同程度の重症度を呈する急性肝不全を含む。)の患者

(3) (2)のアからカのいずれかに該当する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に該当項目を記載すること。

(4) (2)のキからケのいずれかに該当する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に(2)のキからケまでのそれぞれについて、要件を満たす医学的根拠について記載すること。

(5) 人工腎臓、腹膜灌流又は持続緩徐式血液濾過を同一日に実施した場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。

(6) 「注1」の加算を算定する場合は、区分番号「A000」初診料の注9及び区分番号「A001」再診料の注7に掲げる夜間・早朝等加算は算定しない。

(7) 持続緩徐式血液濾過を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に持続緩徐式血液濾過を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。

(8) 妊娠中の患者以外の患者に対し、持続緩徐式血液濾過と人工腎臓を併せて1月に15回以上実施した場合(持続緩徐式血液濾過のみを15回以上実施した場合を含む。)は、15回目以降の持続緩徐式血液濾過又は人工腎臓は算定できない。ただし、薬剤料又は特定保険医療材料料は別に算定できる。

J039 血漿交換療法

(1) 血漿交換療法は、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、劇症肝炎、薬物中毒、重症筋無力症、悪性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、血栓性血小板減少性紫斑病、重度血液型不適合妊娠、術後肝不全、急性肝不全、多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎、ギラン・バレー症候群、天疱瘡、類天疱瘡、巣状糸球体硬化症、抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)型急速進行性糸球体腎炎、抗白血球細胞質抗体(ANCA)型急速進行性糸球体腎炎、溶血性尿毒症症候群、家族性高コレステロール血症、閉塞性動脈硬化症、中毒性表皮壊死症、川崎病、スティーヴンス・ジョンソン症候群若しくはインヒビターを有する血友病の患者、ABO血液型不適合間若しくは抗リンパ球抗体陽性の同種腎移植、ABO血液型不適合間若しくは抗リンパ球抗体陽性の同種肝移植又は慢性C型ウイルス肝炎の患者に対して、遠心分離法等により血漿と血漿以外とを分離し、二重濾過法、血漿吸着法等により有害物質等を除去する療法(血漿浄化法)を行った場合に算定できるものであり、必ずしも血漿補充を要しない。

(2) 当該療法の対象となる多発性骨髄腫、マクログロブリン血症の実施回数は、一連につき週1回を限度として3月間に限って算定する。

(3) 当該療法の対象となる劇症肝炎については、ビリルビン及び胆汁酸の除去を目的に行われる場合であり、当該療法の実施回数は、一連につき概ね10回を限度として算定する。

(4) 当該療法の対象となる薬物中毒の実施回数は、一連につき概ね8回を限度として算定する。

(5) 当該療法の対象となる重症筋無力症については、発病後5年以内で重篤な症状悪化傾向のある場合、又は胸腺摘出術や副腎皮質ホルモン剤に対して十分奏効しない場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき月7回を限度として3月間に限って算定する。

(6) 当該療法の対象となる悪性関節リウマチについては、都道府県知事によって特定疾患医療受給者と認められた者であって、血管炎により高度の関節外症状(難治性下腿潰瘍、多発性神経炎及び腸間膜動脈血栓症による下血等)を呈し、従来の治療法では効果の得られない者に限り、当該療法の実施回数は、週1回を限度として算定する。

(7) 当該療法の対象となる全身性エリテマトーデスについては、次のいずれにも該当する者に限り、当該療法の実施回数は、月4回を限度として算定する。なお、測定した血清補体価、補体蛋白の値又は抗DNA抗体の値を診療録に記載する。

ア 都道府県知事によって特定疾患医療受給者と認められた者

イ 血清補体価(CH50)の値が20単位以下、補体蛋白(C3)の値が40mg/dL以下及び抗DNA抗体の値が著しく高く、ステロイド療法が無効又は臨床的に不適当な者

ウ 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)又は中枢神経性ループス(CNSループス)と診断された者

(8) 当該療法の対象となる血栓性血小板減少性紫斑病の患者に実施する場合は、当該療法の開始後1月を上限として、原則として血小板数が15万/μL以上となった日の2日後まで算定できる。ただし、血小板数が15万/μL以上となった後1月以内に血栓性血小板減少性紫斑病が再燃した場合等、医学的な必要性により別途実施する場合には、診療録及び診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的な必要性を記載すること。

(9) 当該療法の対象となる重度血液型不適合妊娠とは、Rh式血液型不適合妊娠による胎内胎児仮死又は新生児黄疸の既往があり、かつ、間接クームス試験が妊娠20週未満にあっては64倍以上、妊娠20週以上にあっては128倍以上であるものをいう。

(10) 当該療法の対象となる術後肝不全については、手術後に発症した肝障害(外科的閉塞性機序によるものを除く。)のうち次のいずれにも該当する場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき概ね7回を限度として算定する。

ア 総ビリルビン値が5mg/dL以上で、かつ、持続的に上昇を認める場合

イ ヘパプラスチンテスト(HPT)40%以下又はComa Grade Ⅱ以上の条件のうち2項目以上を有する場合

(11) 当該療法の対象となる急性肝不全については、プロトロンビン時間、昏睡の程度、総ビリルビン及びヘパプラスチンテスト等の所見から劇症肝炎又は術後肝不全と同程度の重症度を呈するものと判断できる場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき概ね7回を限度として算定する。

(12) 当該療法の対象となる多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の実施回数は、一連につき月7回を限度として3月間に限って算定する。

(13) 当該療法の対象となるギラン・バレー症候群については、Hughesの重症度分類で4度以上の場合に限り、当該療法の実施回数は、一連につき月7回を限度として、3月間に限って算定する。

(14) 当該療法の対象となる天疱瘡、類天疱瘡については、診察及び検査の結果、診断の確定したもののうち他の治療法で難治性のもの又は合併症や副作用でステロイドの大量投与ができないものに限り、当該療法の実施回数は、一連につき週2回を限度として、3月間に限って算定する。ただし、3月間治療を行った後であっても重症度が中等度以上(厚生省特定疾患調査研究班の天疱瘡スコア)の天疱瘡の患者については、さらに3月間に限って算定する。

(15) 当該療法の対象となる巣状糸球体硬化症は、従来の薬物療法では効果が得られず、ネフローゼ状態を持続し、血清コレステロール値が250mg/dL以下に下がらない場合であり、当該療法の実施回数は、一連につき3月間に限って12回を限度として算定する。

(16) 当該療法の対象となる抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)型急速進行性糸球体腎炎は、急速進行性糸球体腎炎(RPGN)と診断された患者のうち、抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)が陽性であった患者について、一連につき2クールを限度として行い、1クール(2週間に限る。)につき7回を限度として算定する。

(17) 当該療法の対象となる家族性高コレステロール血症については、次のいずれかに該当する者のうち、黄色腫を伴い、負荷心電図及び血管撮影により冠状動脈硬化が明らかな場合であり、維持療法としての当該療法の実施回数は週1回を限度として算定する。

ア 空腹時定常状態の血清LDLコレステロール値が370mg/dLを超えるホモ接合体の者

イ 薬物療法を行っても血清LDLコレステロール値が170mg/dL以下に下がらないヘテロ接合体の者

(18) 当該療法の対象となる閉塞性動脈硬化症については、次のいずれにも該当する者に限り、当該療法の実施回数は、一連につき3月間に限って10回を限度として算定する。

ア フォンテイン分類Ⅱ度以上の症状を呈する者

イ 薬物療法で血中総コレステロール値220mg/dL又はLDLコレステロール値140mg/dL以下に下がらない高コレステロール血症の者

ウ 膝窩動脈以下の閉塞又は広範な閉塞部位を有する等外科的治療が困難で、かつ従来の薬物療法では十分な効果を得られない者

(19) 当該療法の対象となる中毒性表皮壊死症又はスティーヴンス・ジョンソン症候群の実施回数は、一連につき8回を限度として算定する。

(20) 当該療法の対象となるインヒビターを有する血友病は、インヒビター力価が5ベセスダ単位以上の場合に限り算定する。

(21) 当該療法の対象となる同種腎移植又は同種肝移植は、二重濾過法により、ABO血液型不適合間の同種腎移植若しくは同種肝移植を実施する場合又はリンパ球抗体陽性の同種腎移植若しくは同種肝移植を実施する場合に限り、当該療法の実施回数は一連につき術前は4回を限度とし、術後は2回を限度として算定する。

(22) 当該療法の対象となる慢性C型ウイルス肝炎は、セログループ1(ジェノタイプⅡ(lb))型であり、直近のインターフェロン療法を施行した後、血液中のHCV RNA量が100KIU/mL以上のものとする。なお、当該療法の実施回数は、直近のインターフェロン療法より、5回を限度として算定する(ただしインターフェロン療法に先行して当該療法を行った場合に限る。)。

(23) 当該療法の対象となる川崎病は、免疫グロブリン療法、ステロイドパルス療法又は好中球エラスターゼ阻害薬投与療法が無効な場合又は適応とならない場合に限り、一連につき6回を限度として算定する。

(24) 当該療法の対象となる溶血性尿毒症症候群の実施回数は一連につき21回を限度として算定する。

(25) 当該療法の対象となる抗白血球細胞質抗体(ANCA)型急速進行性糸球体腎炎は、急速進行性糸球体腎炎(RPGN)と診断された患者のうち、抗白血球細胞質抗体(ANCA)が陽性であった患者について、一連につき2クールを限度として行い、1クール(2週間に限る。)につき7回を限度として算定する。

(26) 血漿交換療法を行う回数は、個々の症例に応じて臨床症状の改善状況、諸検査の結果の評価等を勘案した妥当適切な範囲であること。

(27) 本療法を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に一連の当該療法の初回実施日及び初回からの通算実施回数(当該月に実施されたものも含む。)を記載する。

(28) 血漿交換療法を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に血漿交換療法を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。

J040 局所灌流

(1) 開始日の翌日以降に行ったものについては、区分番号「J000」創傷処置における手術後の患者に対するものに準じて算定する。

(2) 局所灌流を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に局所灌流を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。

J041 吸着式血液浄化法

(1) 吸着式血液浄化法は、肝性昏睡又は薬物中毒の患者に限り算定できる。

(2) エンドトキシン選択除去用吸着式血液浄化法において、18歳以上の患者にあっては、次のいずれにも該当する患者に対して行った場合に、区分番号「J041」吸着式血液浄化法により算定する。

ア エンドトキシン血症が強く疑われる状態であり、次のいずれかの項目に該当するもの。なお、診療報酬明細書の摘要欄に①から③までのいずれかの要件を満たす医学的根拠について記載すること。

① 細菌感染症を疑ってから当該治療が終了するまでに、エンドトキシン選択除去用吸着式血液浄化法の開始前までに行った区分番号「D018」細菌培養同定検査の「3」血液又は穿刺液血液(血液に限る。)において、グラム陰性桿菌の陽性が確認されている場合。

② 細菌感染症を疑ってから当該治療が終了するまでに、他の保険医療機関においてグラム陰性桿菌の感染が疑われ抗菌薬投与が行われていたことが証明されている患者であって、当該医療機関において初回に実施した区分番号「D018」細菌培養同定検査の「3」血液又は穿刺液血液(血液に限る。)が陰性である場合。

③ 細菌感染症を疑ってから当該治療が終了するまでに、当該医療機関において初回に実施した区分番号「D018」細菌培養同定検査の「3」血液又は穿刺液血液(血液に限る。)が陰性であるものの、グラム陰性桿菌による敗血症性ショックであることが区分番号「D018」細菌培養同定検査の「3」血液又は穿刺液血液(血液に限る。)以外の細菌培養同定検査において強く疑われ、日本救急医学会急性期DIC診断基準が4点以上の場合又はこれに準ずる場合。

イ 次のいずれも満たすもの。なお、診療報酬明細書の摘要欄に①及び②の要件を満たす医学的根拠について記載すること。

① 「日本版敗血症診療ガイドライン2016」に基づき、quick SOFAで2項目以上の項目を満たし、敗血症を疑った時から臓器障害評価を行った間で、総SOFAスコアの2点以上の上昇を認めること。

② 適切な輸液負荷にもかかわらず、平均血圧≧65mmHgを維持するために循環作動薬を必要とし、かつ血清乳酸値>2mmol/L(18mg/dL)を認めること。

(3) エンドトキシン選択除去用吸着式血液浄化法において、18歳未満の患者にあっては、エンドトキシン血症であるもの又はグラム陰性菌感染症が疑われるものであって、細菌感染症を疑ってから当該治療が終了するまでの期間におけるエンドトキシン選択除去用吸着式血液浄化法の開始前の時点で、「日本版敗血症診療ガイドライン2016」における小児SIRS診断基準をみたすこと。

(4) 吸着式血液浄化法を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に吸着式血液浄化法を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。

J041―2 血球成分除去療法

(1) 血球成分除去療法(吸着式及び遠心分離式を含む。)は、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ(吸着式のみ。)、クローン病、膿疱性乾癬又は関節症性乾癬患者に対して次のアからオまでのとおり実施した場合に算定できる。

ア 潰瘍性大腸炎の重症・劇症患者及び難治性患者(厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班の診断基準)に対しては、活動期の病態の改善及び緩解導入を目的として行った場合に限り算定できる。

なお、当該療法の実施回数は、一連につき10回を限度として算定する。ただし、劇症患者については、11回を限度として算定できる。

イ 薬物療法に抵抗する関節リウマチ患者に対しては、臨床症状改善を目的として行った場合に限り、一連の治療につき1クールを限度として行い、1クールにつき週1回を限度として、5週間に限って算定できる。なお、当該療法の対象となる関節リウマチ患者は、活動性が高く薬物療法に抵抗する関節リウマチ患者又は発熱などの全身症状と多関節の激しい滑膜炎を呈し薬物療法に抵抗する急速進行型関節リウマチ患者であって、以下の2項目を満たすものである。

(イ) 腫脹関節数 6カ所以上

(ロ) ESR50mm/h以上又はCRP3mg/dL以上

ウ 栄養療法及び既存の薬物療法が無効又は適用できない、大腸の病変に起因する明らかな臨床症状が残る中等症から重症の活動期クローン病患者に対しては、緩解導入を目的として行った場合に限り算定できる。

なお、当該療法の実施回数は、一連の治療につき10回を限度として算定する。

エ 薬物療法が無効又は適用できない、中等症以上の膿疱性乾癬患者(厚生労働省難治性疾患克服研究事業稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究班の診断基準)に対しては、臨床症状の改善を目的として行った場合に限り、一連の治療につき1クールを限度として行い、1クールにつき週1回を限度として、5週間に限って算定できる。

オ 関連学会のガイドラインに準拠した既存の薬物療法が無効又は適用できない関節症性乾癬患者に対しては、臨床症状の改善を目的として行った場合に限り、一連の治療につき2クールを限度として算定する。なお、当該療法の実施回数は、1クールにつき週1回を限度として、5週間に限って算定する。ただし、1クール終了時に治療に対する効果を判定し、無効と判断されれば中止すること。

カ 寛解期の潰瘍性大腸炎で既存の薬物治療が無効、効果不十分又は適用できない難治性患者(厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班の診断基準)に対しては、寛解維持を目的として行った場合に限り、原則として一連につき2週間に1回を限度として48週間に限って算定する。なお、医学的な必要性から一連につき2週間に2回以上算定する場合又は48週間を超えて算定する場合には、その理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

また、初回実施に当たっては、医学的な必要性を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(2) 本療法を実施した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に一連の当該療法の初回実施日及び初回からの通算実施回数(当該月に実施されたものも含む。)を記載する。

(3) 血球成分除去療法を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、夜間に血球成分除去療法を開始し、12時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。

J042 腹膜灌流

(1) 腹膜灌流における導入期とは、継続して連続携行式腹膜灌流を実施する必要があると判断され、当該処置の開始日より14日間をいうものであり、再開の場合には算定できない。

(2) 区分番号「C102」に掲げる在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定する患者に対して「1連続携行式腹膜灌流」を行った場合には、区分番号「J038」人工腎臓の実施回数と併せて週1回を限度として算定できる。それを超えた回数を実施した場合は、薬剤料及び特定保険医療材料料に限り算定できる。

(3) 人工腎臓、腹膜灌流又は持続緩徐式血液濾過を同一日に実施した場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。

J043 新生児高ビリルビン血症に対する光線療法

疾病、部位又は部位数にかかわらず1日につき所定点数により算定する。

J043―2 瀉血療法

瀉血療法は、真性多血症、続発性多血症又はインターフェロンや肝庇護療法に抵抗性のあるC型慢性肝炎に対して行った場合に算定する。

J043―3 ストーマ処置

(1) ストーマ処置は、消化器ストーマ又は尿路ストーマに対して行った場合に算定する。

(2) ストーマ処置には、装具の交換の費用は含まれるが、装具の費用は含まない。

(3) 区分番号「C109」に掲げる在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、ストーマ処置の費用は算定できない。

J043―4 経管栄養・薬剤投与用カテーテル交換法

(1) 経管栄養・薬剤投与用カテーテル交換法は、胃瘻カテーテル又は経皮経食道胃管カテーテルについて、十分に安全管理に留意し、経管栄養・薬剤投与用カテーテル交換後の確認を画像診断又は内視鏡等を用いて行った場合に限り算定する。なお、その際行われる画像診断及び内視鏡等の費用は、当該点数の算定日にのみ、1回に限り算定する。

(2) 薬剤投与を目的として胃瘻カテーテルの交換を行った場合は、レボドパ・カルビドパ水和物製剤を投与する目的の場合に限り算定する。

J043―5 尿路ストーマカテーテル交換法

尿路ストーマカテーテル交換法は、十分に安全管理に留意し、尿路ストーマカテーテル交換後の確認について画像診断等を用いて行った場合に限り算定する。なお、その際行われる画像診断等の費用は、当該点数の算定日に限り、1回に限り算定する。

J043―6 人工膵臓療法

(1) 人工膵臓療法は、糖尿病患者の治療に際して、周術期における血糖コントロール等を目的として、血管内に留置した二重腔カテーテルから吸引した血中のグルコース値を連続して測定し、持続的な血糖管理を行った場合に算定できる。

(2) 算定の対象となる患者は、次の療養が必要な糖尿病等の患者であって、医師が人工膵臓療法以外による血糖調整が困難であると認めたものである。

ア 高血糖時(糖尿病性昏睡等)における救急的治療

イ 手術、外傷及び分娩時の血糖管理

ウ インスリン産生腫瘍摘出術の術前、術後の血糖管理

(3) 人工膵臓療法と同一日に行った血中グルコース測定は別に算定できない。

(4) 穿刺部位のガーゼ交換等の処置料及び材料料は別に算定できない。

(5) 人工膵臓療法を4日以上実施した場合の費用は、3日目までの所定点数に含まれ別に算定できない。

J043―7 経会陰的放射線治療用材料局所注入

区分番号「M001」に掲げる体外照射、区分番号「M001―2」に掲げるガンマナイフによる定位放射線治療、区分番号「M001―3」に掲げる直線加速器による放射線治療(一連につき)、区分番号「M001―4」に掲げる粒子線治療(一連につき)又は区分番号「M004」に掲げる密封小線源治療(一連につき)を行うに当たりハイドロゲル型の放射線治療用合成吸収性材料を用いた場合に限り算定する。

(救急処置)

J044 救命のための気管内挿管

(1) 救命のための気管内挿管は、救命救急処置として特に設けられたものであり、検査若しくは麻酔のため挿管する場合又は既に挿管している気管内チューブを交換する場合は算定できない。

(2) 救命のための気管内挿管に併せて、人工呼吸を行った場合は、区分番号「J045」人工呼吸の所定点数を合わせて算定できる。

J044―2 体表面ペーシング法又は食道ペーシング法

救急処置として体表面ペーシング法又は食道ペーシング法を行った場合に算定する。

J045 人工呼吸

(1) 胸部手術後肺水腫を併発し、応急処置として閉鎖循環式麻酔器による無水アルコールの吸入療法を行った場合は、人工呼吸の所定点数により算定し、これに要した無水アルコールの費用については区分番号「J300」薬剤により算定する。

(2) 呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープ、経皮的動脈血酸素飽和度測定又は非観血的連続血圧測定を同一日に行った場合は、これらに係る費用は人工呼吸の所定点数に含まれる。

(3) 喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、酸素吸入及び突発性難聴に対する酸素療法の費用は、所定点数に含まれる。

(4) 閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸及びマイクロアダプター(人工蘇生器)を使用して、酸素吸入を施行した場合は、実施時間に応じて人工呼吸の所定点数により算定する。また、ガス中毒患者に対して、閉鎖循環式麻酔器を使用し、気管内挿管下に酸素吸入を行った場合も同様とする。なお、この場合、酸素吸入の費用は人工呼吸の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) 気管内挿管下に閉鎖循環式麻酔器による酸素加圧により、肺切除術後の膨張不全に対して肺膨張を図った場合は、実施時間に応じて人工呼吸の所定点数により算定する。

(6) 閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸を手術直後に引き続いて行う場合には、区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔の所定点数に含まれ、別に算定できない。また、半閉鎖式循環麻酔器による人工呼吸についても、閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸と同様の取扱いとする。

(7) 新生児の呼吸障害に対する補助呼吸装置による持続陽圧呼吸法(CPAP)及び間歇的強制呼吸法(IMV)を行った場合は、実施時間に応じて人工呼吸の所定点数により算定する。

(8) 鼻マスク式人工呼吸器を用いた場合は、PaO2/FIO2が300mmHg以下又はPaCO2が45mmHg以上の急性呼吸不全の場合に限り人工呼吸に準じて算定する。

(9) 区分番号「C107」在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者及び医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については、人工呼吸の費用は算定できない。

J045―2 一酸化窒素吸入療法

(1) 新生児の肺高血圧を伴う低酸素性呼吸不全の改善を目的として本療法を行った場合は、「1」により算定する。この場合、開始時刻より通算して96時間を限度として、一酸化窒素ガス加算を加算でき、本療法の終了日に算定する。ただし、医学的根拠に基づきこの限度を超えて算定する場合は、さらに48時間を限度として算定でき、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的な根拠を詳細に記載すること。

(2) 心臓手術又は先天性横隔膜ヘルニアの周術期における肺高血圧の改善を目的として一酸化窒素吸入療法を行った場合は、「2」により算定する。この場合、開始時刻より通算して168時間を限度として、一酸化窒素ガス加算を加算でき、本療法の終了日に算定するが、56時間を超えて本療法を実施する場合は、症状に応じて離脱の可能性について検討し、その検討結果を診療録に記録すること。ただし、医学的根拠に基づき168時間を超えて算定する場合は、さらに48時間を限度として算定でき、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的な根拠を詳細に記載すること。

(3) (1)及び(2)の開始時刻とは一酸化窒素供給装置を人工呼吸器と接続し、一酸化窒素の供給を開始した時刻を指し、本療法を実施した場合は、同時刻を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(4) (1)又は(2)と呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープ、経皮的動脈血酸素飽和度測定又は非観血的連続血圧測定を同一日に行った場合は、これらに係る費用は一酸化窒素吸入療法の所定点数に含まれる。

(5) 喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、酸素吸入及び突発性難聴に対する酸素療法の費用は(1)又は(2)の所定点数に含まれる。

J047 カウンターショック

(1) 非医療従事者向け自動除細動器を用いて行った場合には、「1」を算定する。ただし、保険医療機関において保険医により施行された場合においてのみ算定する。

(2) カウンターショックに伴う皮膚の創傷に対する処置に要する費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 心臓手術に伴うカウンターショックは、それぞれの心臓手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(4) カウンターショックと開胸心臓マッサージを併せて行った場合は、カウンターショックの所定点数と区分番号「K545」開胸心臓マッサージの所定点数をそれぞれ算定する。

J047―2 心腔内除細動

心房性不整脈に対する治療の目的で心腔内除細動カテーテルを用いて心腔内除細動を実施した場合に算定する。ただし、不整脈手術などに伴う心腔内除細動は、それぞれの手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。

J047―3 心不全に対する遠赤外線温熱療法

(1) 心不全に対する遠赤外線温熱療法の対象となる患者は、特掲診療料の施設基準等第十一の四の二の(2)に掲げる患者であって、以下のいずれにも該当するものであること。

ア 左室流出路の狭窄を伴わない、NYHAⅢ又はⅣの慢性心不全患者(左室駆出率40%以下及び脳性Na利尿ペプチド(BNP)が200pg/mL以上の状態のもの又は脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT―proBNP)が900pg/mL以上のもの)のうち、心拍出量低下による循環不全及び全身のうっ血症状の急性増悪期の入院患者であって、座位又は車椅子移動が可能であるもの。

イ 意識障害や重症の認知機能障害がなく、医師や看護師の指示に従うことのできるもの。

(2) 心不全に対する遠赤外線温熱療法は、専任の医師の指導管理の下に実施することとする。この場合、医師が直接監視を行い、又は同一建物内において直接監視をしている他の従事者と医師が常時連絡を取れる状態かつ緊急事態に即時的に対応できる態勢であること。また、専任の医師は定期的な心機能チェックの下に、当該療法に係る実施計画を作成し、診療録に添付すること。

(3) 心不全に対する遠赤外線温熱療法は、当該療法の目的で利用される医療機器として薬事承認又は認証を得ているものを使用すること。

(4) 心不全に対する遠赤外線温熱療法の実施に当たっては、関連学会から示された指針等を遵守すること。

(5) 所定点数には、同一日に行われる区分番号「D208」に掲げる心電図検査、区分番号「D209」に掲げる負荷心電図検査及び区分番号「D220」に掲げる呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープの費用が含まれる。

(6) 当該療法と区分番号H000に掲げる心大血管疾患リハビリテーションを併せて行った場合は、主たるものの所定点数のみを算定する。

(7) 当該療法の開始日及び医学的必要性について、診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

J050 気管内洗浄

(1) 気管から区域細気管支にわたる範囲で異物又は分泌物による閉塞(吐物の逆流、誤嚥、気管支喘息重積状態又は無気肺)のために急性呼吸不全をおこした患者に対し、気管内挿管下(気管切開下を含む。)に洗浄した場合に1日につき所定点数を算定する。

(2) 新たに気管内挿管を行った場合には、区分番号「J044」救命のための気管内挿管の所定点数を合わせて算定できる。

(3) 気管支ファイバースコピーを使用した場合は、区分番号「D302」気管支ファイバースコピーの所定点数のみを算定する。

(4) 気管内洗浄(気管支ファイバースコピーを使用した場合を含む。)と同時に行う喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出又は酸素吸入は、所定点数に含まれる。

J052―2 熱傷温浴療法

(1) 熱傷温浴療法は、体表面積の30%以上の広範囲熱傷に対する全身温浴として、入院中の患者に対し受傷後60日以内に行われたものについて算定する。

(2) 受傷日を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(皮膚科処置)

J053 皮膚科軟膏処置

(1) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、皮膚科軟膏処置の費用は算定できない。

(2) 100平方センチメートル未満の皮膚科軟膏処置は、第1章基本診療料に含まれるものであり、皮膚科軟膏処置を算定することはできない。

J054 皮膚科光線療法

(1) 赤外線療法は、ソラックス灯等の赤外線を出力する機器を用いて行った場合に算定できる。

(2) 紫外線療法は、フィンゼン灯、クロマイエル水銀石英灯等の紫外線を出力する機器を用いて行った場合に算定できる。

(3) 赤外線又は紫外線療法(長波紫外線療法及び中波紫外線療法を除く。)は、5分以上行った場合に算定する。

(4) 長波紫外線又は中波紫外線療法は、長波紫外線(概ね315ナノメートル以上400ナノメートル以下)又は、中波紫外線(概ね290ナノメートル以上315ナノメートル以下)を選択的に出力できる機器によって長波紫外線又は中波紫外線療法を行った場合に算定できるものであり、いわゆる人工太陽等の長波紫外線及び中波紫外線を非選択的に照射する機器によって光線療法を行った場合は、赤外線又は紫外線療法の所定点数によって算定する。

(5) 中波紫外線療法(308ナノメートル以上313ナノメートル以下に限定したもの)は、いわゆるナローバンドUVB療法をいい、308ナノメートル以上313ナノメートル以下の中波紫外線を選択的に出力できる機器によって中波紫外線療法を行った場合に算定する。

(6) 長波紫外線療法又は中波紫外線療法は乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫(症)、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎又は円形脱毛症に対して行った場合に限って算定する。

(7) 赤外線療法、紫外線療法、長波紫外線療法又は中波紫外線療法を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。また、同じものを同一日に複数回行った場合でも、1日につき所定点数のみにより算定する。

(8) 皮膚科光線療法は、同一日において消炎鎮痛等処置とは併せて算定できない。

J054―2 皮膚レーザー照射療法

(1) 皮膚レーザー照射療法は、単なる美容を目的とした場合は算定できない。

(2) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいい、概ね3月間にわたり行われるものをいう。例えば、対象病変部位の一部ずつに照射する場合や、全体に照射することを数回繰り返して一連の治療とする場合は、1回のみ所定点数を算定する。

(3) 皮膚レーザー照射療法を開始した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、前回の一連の治療の開始日を記載する。

(4) 「1」の色素レーザー照射療法は、単純性血管腫、苺状血管腫又は毛細血管拡張症に対して行った場合に算定する。

(5) 「2」のQスイッチ付レーザー照射療法は、Qスイッチ付ルビーレーザー照射療法、ルビーレーザー照射療法、Qスイッチ付アレキサンドライトレーザー照射療法及びQスイッチ付ヤグレーザー照射療法をいう。

(6) Qスイッチ付レーザー照射療法は、頭頸部、左上肢、左下肢、右上肢、右下肢、胸腹部又は背部(臀部を含む。)のそれぞれの部位ごとに所定点数を算定する。また、各部位において、病変部位が重複しない複数の疾患に対して行った場合は、それぞれ算定する。

(7) Qスイッチ付ルビーレーザー照射療法及びルビーレーザー照射療法は、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症、扁平母斑等に対して行った場合に算定できる。なお、一連の治療が終了した太田母斑、異所性蒙古斑又は外傷性色素沈着症に対して再度当該療法を行う場合には、同一部位に対して初回治療を含め5回を限度として算定する。

(8) Qスイッチ付ルビーレーザー照射療法及びルビーレーザー照射療法は扁平母斑等に対しては、同一部位に対して初回治療を含め2回を限度として算定する。

(9) Qスイッチ付アレキサンドライトレーザー照射療法は、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症等に対して行った場合に算定できる。なお、扁平母斑にあっては算定できない。

(10) Qスイッチ付ヤグレーザー照射療法は、太田母斑、異所性蒙古斑又は外傷性色素沈着症に対して行った場合に算定できる。

J055―2 イオントフォレーゼ

(1) 尋常性白斑に対するイオントフォレーゼ療法は露出部におけるもので、他の療法が無効な場合に限り、4cm四方ごとに算定する。

(2) 汗疱状白癬、慢性湿疹、尋常性画像7 (19KB)別ウィンドウが開きます
瘡、慢性皮膚炎、稽留性化膿性肢端皮膚炎、多汗症、頑癬に対するイオントフォレーゼは、他の療法が無効な場合に限り算定する。

J057 軟属腫摘除

伝染性軟属腫の内容除去は、軟属腫摘除として算定する。

J057―2 面皰圧出法

面皰圧出法は、顔面、前胸部、上背部等に多発した面皰に対して行った場合に算定する。

J057―3 鶏眼・胼胝処置

鶏眼・胼胝処置は、同一部位について、その範囲にかかわらず月2回を限度として算定する。

(泌尿器科処置)

J060 膀胱洗浄、J060―2 後部尿道洗浄(ウルツマン)

(1) カテーテル留置中に膀胱洗浄及び薬液膀胱内注入を行った場合は、1日につき、膀胱洗浄により算定する。

(2) 膀胱洗浄、留置カテーテル設置、導尿(尿道拡張を要するもの)又は後部尿道洗浄(ウルツマン)を同一日に行った場合には、主たるものの所定点数により算定する。

(3) 区分番号「C106」在宅自己導尿指導管理料又は区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者及び医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については膀胱洗浄又は後部尿道洗浄(ウルツマン)の費用は算定できない。

J061 腎盂洗浄

(1) 腎盂洗浄は片側ごとに所定点数をそれぞれ算定する。

(2) 尿管カテーテル挿入を行った場合は、所定点数に区分番号「D318」尿管カテーテル法の所定点数を合わせて算定できる。

J063 留置カテーテル設置

(1) 長期間にわたり、バルーンカテーテルを留置するための挿入手技料は、留置カテーテル設置により算定する。この場合、必要があってカテーテルを交換したときの挿入手技料も留置カテーテル設置により算定する。

(2) 区分番号「C106」在宅自己導尿指導管理料又は区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者及び医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については、留置カテーテル設置の費用は算定できない。

(3) 留置カテーテル設置時に使用する注射用蒸留水又は生理食塩水等の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

J064 導尿(尿道拡張を要するもの)

区分番号「C106」在宅自己導尿指導管理料又は区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者及び医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については、導尿(尿道拡張を要するもの)の費用は算定できない。

J065 間歇的導尿

間歇的導尿は、脊椎損傷の急性期の尿閉、骨盤内の手術後の尿閉の患者に対し、排尿障害の回復の見込みのある場合に行うもので、6月間を限度として算定する。

J068 嵌頓包茎整復法

小児仮性包茎における包皮亀頭癒着に対する用手法等による剥離術は、嵌頓包茎整復法に準じて算定する。

J070―2 干渉低周波による膀胱等刺激法

(1) 干渉低周波による膀胱等刺激法は、尿失禁の治療のために行った場合に算定する。

(2) 治療開始時点においては、3週間に6回を限度とし、その後は2週間に1回を限度とする。

J070―3 冷却痔処置

(1) Ⅰ度又はⅡ度の内痔核の患者に対し、1日1回又は2回、かつ連続して5日以上実施した場合に10日間を限度として、1日につき1回算定できる。なお、当該処置に使用した冷却痔疾治療用具については、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 冷却痔処置の請求に当たっては、内痔核の重症度について、Ⅰ度又はⅡ度のいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

J070―4 磁気による膀胱等刺激法

(1) 次のいずれかに該当する尿失禁を伴う成人女性の過活動膀胱患者に対して実施した場合に限り算定できる。

ア 尿失禁治療薬を12週間以上服用しても症状改善がみられない患者

イ 副作用等のために尿失禁治療薬が使用できない患者

(2) 1週間に2回を限度とし、6週間を1クールとして、1年間に2クールに限り算定できる。

(産婦人科処置)

J077 子宮出血止血法

子宮用止血バルーンカテーテルを用いた止血を行う前に他の止血法を実施した場合は、主たるもののみ算定する。

J078 子宮腟部薬物焼灼法

ゲメプロスト製剤の投与により子宮内容物の排出が認められた場合は、子宮腟部薬物焼灼法に準じて算定できる。

J082―2 薬物放出子宮内システム処置

避妊を目的とするものは保険給付の対象とならない。

J085―2 人工羊水注入法

人工羊水注入法は、羊水過少症等の患者に対して、超音波断層法検査及び子宮内圧測定を施行し、適正な注入量の羊水を子宮内に注入した場合に算定する。なお、当該手技に伴って実施される超音波検査等の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(眼科処置)

J086 眼処置

(1) 所定点数には、片眼帯、巻軸帯を必要とする処置、蒸気罨法、熱気罨法、イオントフォレーゼ及び麻薬加算が含まれており、これらを包括して1回につき所定点数を算定する。

(2) 点眼又は洗眼は、第1章基本診療料に含まれるものであり、眼処置を算定することはできない。

J089 睫毛抜去

5~6本程度の睫毛抜去は「1」を算定する。また、「1」については、他の眼科処置又は眼科手術に併施した場合には、その所定点数に含まれ別に算定できない。

(耳鼻咽喉科処置)

J095 耳処置

(1) 耳処置とは、外耳道入口部から鼓膜面までの処置であり、耳浴及び耳洗浄が含まれており、これらを包括して一側、両側の区別なく1回につき所定点数を算定する。

(2) 点耳又は簡単な耳垢栓除去は、第1章基本診療料に含まれるものであり、耳処置を算定することはできない。

J095―2 鼓室処置

鼓室処置は、急性又は慢性の鼓膜穿孔耳に対して鼓室病変の沈静・制御を目的として、鼓室腔内の分泌物・膿汁等の吸引及び鼓室粘膜処置等を行った場合に算定する。

J096 耳管処置

(1) 「1」には、耳管通気に必要とする表面麻酔薬又は血管収縮薬等の塗布、噴霧等の鼻内における処置が含まれており、これらを包括して1回につき片側ごとに所定点数を算定する。ただし、鼻処置を必要とする疾病があって別に鼻処置を行った場合は別に算定できるが、傷病名の記載を要する。

(2) ポリッツェル球により両耳に通気する場合は、片側、両側の区別なく1回につき所定点数を算定する。

(3) 耳管処置に当たり咽頭処置を行った場合であっても、咽頭に特に異常がなければ、咽頭処置は算定できない。

(4) 耳管開放症に対する処置は、「1」により算定する。

J097 鼻処置

(1) 鼻処置には、鼻吸引、単純鼻出血及び鼻前庭の処置が含まれており、これらを包括して一側、両側の区別なく1回につき所定点数を算定する。なお、口腔、咽頭処置と併せて行った場合であっても、口腔、咽頭処置の所定点数は別に算定できない。

(2) 副鼻腔洗浄に伴う単なる鼻処置は、副鼻腔洗浄又は吸引の所定点数に含まれ別に算定はできない。

(3) 鼻洗浄は、第1章基本診療料に含まれるものであり、鼻処置を算定することはできない。

J097―2 副鼻腔自然口開大処置

副鼻腔自然口開大処置は、急性副鼻腔炎及び慢性副鼻腔炎の患者に対して、副鼻腔の換気・排液並びにネブライザー効果の増大を目的として自然口の開大処置を行った場合に算定する。

J098 口腔、咽頭処置

(1) 口腔、咽頭処置をそれぞれ単独に実施した場合も、同時に実施した場合も1回につき所定点数を算定する。

(2) ルゴール等の噴霧吸入は口腔、咽頭処置に準ずる。

(3) ルゴール等の噴霧吸入と鼻、口腔又は咽頭処置を同時に行った場合は、鼻処置又は口腔、咽頭処置の所定点数を算定する。

J098―2 扁桃処置

(1) 扁桃処置は、慢性扁桃炎の急性増悪、急性腺窩(陰窩)性扁桃炎、扁桃周囲炎又は扁桃周囲膿瘍等に対し、膿栓吸引、洗浄等を行った場合に算定する。

(2) 扁桃処置の所定点数には、咽頭処置が含まれ別途算定できない。

J099 間接喉頭鏡下喉頭処置

(1) 間接喉頭鏡下喉頭処置には、喉頭注入が含まれており、喉頭蓋、仮声帯、披裂部、声帯等の病変に対して処置を行った場合に算定する。

(2) 喉頭処置後の薬剤注入は、間接喉頭鏡下喉頭処置の所定点数に含まれる。

J100 副鼻腔手術後の処置(片側)

副鼻腔手術後の洗浄、ガーゼ交換等(手術日の翌日以降のものに限る。)を行った場合に算定する。

この場合、創傷処置、爪甲除去(麻酔を要しないもの)及び穿刺排膿後薬液注入は別に算定できない。

J102 上顎洞穿刺

区分番号「D406」上顎洞穿刺と同一日に算定することはできない。

J103 扁桃周囲膿瘍穿刺

(1) 扁桃周囲炎又は扁桃周囲膿瘍において、単に穿刺排膿のみ行い切開しなかった場合は所定点数を算定し、試験穿刺を行い膿汁を認め直ちに切開した場合は区分番号「K368」扁桃周囲膿瘍切開術を算定する。

(2) 区分番号「D406―2」扁桃周囲炎又は扁桃周囲膿瘍における試験穿刺と同一日に算定することはできない。

J113 耳垢栓塞除去

(1) 耳垢水等を用いなければ除去できない耳垢栓塞を、完全に除去した場合に算定する。

(2) 簡単な耳垢栓除去は、第1章基本診療料に含まれるものであり、耳垢栓塞除去を算定することはできない。

J115 超音波ネブライザー

超音波ネブライザーにおいて、酸素療法を併せて行った場合は区分番号「J024」酸素吸入の所定点数を合わせて算定できる。

J115―2 排痰誘発法

(1) 排痰誘発法は、結核を疑う患者に対し、非能動型呼吸運動訓練装置を用いて患者の排痰を促し、培養検査等を実施した場合に1日につき算定する。

(2) 患者の排痰を促し、培養検査等を目的としてネブライザー、超音波ネブライザー又は排痰誘発法を同一日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。

(整形外科的処置)

J116 関節穿刺

関節穿刺を左右両側に行った場合は、それぞれ算定できるが、同一側の関節に対して、区分番号「D405」関節穿刺、区分番号「G010」関節腔内注射を同一日に行った場合は、主たるもののみ算定する。

J116―5 酵素注射療法

酵素注射療法は、デュピュイトラン拘縮の患者に対し、コラゲナーゼ(クロストリジウム ヒストリチクム)を拘縮索に注射した場合に、1回の投与(同一日に複数箇所に注射を行った場合を含む。)及び伸展処置に係る一連の手技として算定する。なお、当該注射に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

J117 鋼線等による直達牽引

(1) 鋼線等による直達牽引は、鋼線等を用いて観血的に牽引を行った場合に算定する。なお鋼線等による直達牽引には、鋼線牽引法、双鋼線伸延法及び直達頭蓋牽引法を含むものである。

(2) 1局所とは、上肢の左右、下肢の左右及び頭より尾頭までの躯幹のそれぞれをいい、全身を5局所に分けるものである。

(3) 消炎鎮痛等処置、腰部又は胸部固定帯固定、低出力レーザー照射又は肛門処置を併せて行った場合は、鋼線等による直達牽引(2日目以降。観血的に行った場合の手技料を含む。)の所定点数のみにより算定する。

J118 介達牽引

(1) 介達牽引は、絆創膏牽引法、斜面牽引法、スピードラック牽引、腰椎バンド及びグリソン係蹄によるモーターを使用した断続牽引並びにベーラー法を含むものであり、部位数にかかわらず所定点数を算定する。

(2) 介達牽引、矯正固定又は変形機械矯正術に消炎鎮痛等処置、腰部又は胸部固定帯固定、低出力レーザー照射又は肛門処置を併せて行った場合は、主たるものいずれかの所定点数のみにより算定する。

(3) 介達牽引、矯正固定又は変形機械矯正術を同一日に併せて行った場合は、主たるものいずれかの所定点数のみにより算定する。

(4) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者及び医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については、介達牽引の費用は算定できない。

J118―2 矯正固定

(1) 変形の矯正を目的としてマッサージ等を行った後に、副子、厚紙や絆創膏にて矯正固定を行った場合に1日につき所定点数を算定する。

(2) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者及び医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については、矯正固定の費用は算定できない。

J118―3 変形機械矯正術

(1) 1日につき所定点数を算定する。

(2) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る在宅療養指導管理材料加算のみを算定している者を含み、入院中の患者及び医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については、変形機械矯正術の費用は算定できない。

J118―4 歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)

(1) 脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、シャルコー・マリー・トゥース病、遠位型ミオパチー、封入体筋炎、先天性ミオパチー、筋ジストロフィーの患者に対して、ロボットスーツを装着し、関連学会が監修する適正使用ガイドを遵守して、転倒しないような十分な配慮のもと歩行運動を実施した場合に算定する。

(2) 算定に当たっては、事前に適切な計画を策定した上で実施し、計画された5週間以内に実施される9回の処置が終了した際には、担当の複数職種が参加するカンファレンスにより、9回の処置による歩行機能の改善効果を検討すること。

(3) (2)に定めるカンファレンスにより、通常の歩行運動に比して客観的に明確な上乗せの改善効果が認められると判断される場合に限り、本処置を継続して算定できることとし、カンファレンスにおける当該検討結果については、その要点(5週間以内に実施される9回の処置の前後の結果を含む。)を診療録に記載した上で、診療報酬明細書に症状詳記を添付すること。

(4) 初めて当該処置を実施する場合の患者の体重、大腿長、下腿長、腰幅等を勘案した当該患者に適切な装着条件の設定については、1肢毎に区分番号「J129」義肢採型法の「1」四肢切断の場合(1肢につき)に準じて算定する。

J119 消炎鎮痛等処置

(1) 消炎鎮痛等処置は、疾病、部位又は部位数にかかわらず1日につき所定点数により算定する。

(2) 「1」のマッサージ等の手技による療法とは、あんま、マッサージ及び指圧による療法をいう。また、「2」の器具等による療法とは、電気療法、赤外線治療、熱気浴、ホットパック、超音波療法、マイクロレーダー等による療法をいう。

(3) 消炎鎮痛を目的とする外用薬を用いた処置は「3」の湿布処置として算定する。

(4) 患者自ら又は家人等に行わせて差し支えないと認められる湿布については、あらかじめ予見される当該湿布薬の必要量を外用薬として投与するものとし、湿布処置は算定できない。

(5) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者及び医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については、消炎鎮痛等処置の費用は算定できない。

(6) 「3」の対象となる湿布処置は、半肢の大部又は頭部、頸部及び顔面の大部以上にわたる範囲のものについて算定するものであり、それ以外の狭い範囲の湿布処置は、第1章基本診療料に含まれるものであり、湿布処置を算定することはできない。

J119―2 腰部又は胸部固定帯固定

(1) 腰痛症の患者に対して腰部固定帯で腰部を固定した場合又は骨折非観血的整復術等の手術を必要としない肋骨骨折等の患者に対して、胸部固定帯で胸部を固定した場合に1日につき所定点数を算定する。

(2) 同一患者につき同一日において、腰部又は胸部固定帯固定に併せて消炎鎮痛等処置、低出力レーザー照射又は肛門処置を行った場合は、主たるものにより算定する。

(3) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者及び医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については、腰部又は胸部固定帯固定の費用は算定できない。

J119―3 低出力レーザー照射

(1) 筋肉、関節の慢性非感染性炎症性疾患における疼痛の緩和のために低出力レーザー照射を行った場合に、疾病、照射部位又は照射回数に関わらず1日につき所定点数を算定する。

(2) 同一患者につき同一日において、低出力レーザー照射に併せて消炎鎮痛等処置、腰部又は胸部固定帯固定、肛門処置を行った場合は、主たるものにより算定する。

(3) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者及び医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については、低出力レーザー照射の費用は算定できない。

J119―4 肛門処置

(1) 診療所において、入院中の患者以外の患者についてのみ1日につき所定点数を算定する。

(2) 単に坐薬等を挿入した場合は算定できない。

(3) 同一患者につき同一日において、肛門処置に併せて消炎鎮痛等処置、腰部又は胸部固定帯固定、低出力レーザー照射を行った場合は、主たるものにより算定する。

(4) 区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これに係る薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、肛門処置の費用は算定できない。

(栄養処置)

J120 鼻腔栄養

(1) 鼻腔栄養は、注入回数の如何を問わず1日につき算定するものである。

(2) 患者が経口摂取不能のため、薬価基準に収載されている高カロリー薬を経鼻経管的に投与した場合は鼻腔栄養の所定点数及び薬剤料を算定し、食事療養に係る費用又は生活療養の食事の提供たる療養に係る費用及び投薬料は別に算定しない。

(3) 患者が経口摂取不能のため、薬価基準に収載されていない流動食を提供した場合は、鼻腔栄養の所定点数及び食事療養に係る費用又は生活療養の食事の提供たる療養に係る費用を算定する。この場合において、当該保険医療機関が入院時食事療養(Ⅰ)又は入院時生活療養(Ⅰ)の届出を行っているときは入院時食事療養(Ⅰ)又は入院時生活療養(Ⅰ)の食事の提供たる療養に係る費用を、さらに、特別食の算定要件を満たしているときは特別食の加算をそれぞれ算定する。

(4) 薬価基準に収載されている高カロリー薬及び薬価基準に収載されていない流動食を併せて投与及び提供した場合は、(2)又は(3)のいずれかのみにより算定する。

(5) 胃瘻より流動食を点滴注入した場合は、鼻腔栄養に準じて算定する。

(6) 区分番号「C105」在宅成分栄養経管栄養法指導管理料、区分番号「C105―2」在宅小児経管栄養法指導管理料、区分番号「C105―3」在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料又は区分番号「C109」在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者及び医療型短期入所サービス費又は医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の者を除く。)については、鼻腔栄養の費用は算定できない。

(ギプス)

1 一般的事項

(1) ギプス包帯をギプスシャーレとして切割使用した場合は、ギプス包帯を作成した保険医療機関もギプス包帯の切割使用に係る点数を算定できる。

(2) 既装着のギプスを他の保険医療機関で除去したときは、ギプス除去料としてギプス包帯を切割使用した場合の2分の1に相当する点数により算定する。

(3) ギプスベッド又はギプス包帯の修理を行ったときは、修理料として所定点数の100分の10に相当する点数を算定することができる。

(4) プラスチックギプスを用いてギプスを行った場合にはシーネとして用いた場合が含まれる。

(5) ギプスシーネは、ギプス包帯の点数(ギプス包帯をギプスシャーレとして切割使用した場合の各区分の所定点数の100分の20に相当する点数を算定する場合を除く。)により算定する。

(6) 四肢ギプス包帯の所定点数にはプラスチックギプスに係る費用が含まれ、別に算定できない。

2 練習用仮義足又は仮義手採型法

練習用仮義足又は仮義手の処方、採型、装着、調整等については、仮義足又は仮義手を支給する1回に限り算定する。

J129―3 治療用装具採寸法

(1) 区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「20」糖尿病合併症管理料を算定している患者について、糖尿病足病変に対して用いる装具の採寸を行った場合は、1年に1回に限り、所定点数を算定する。ただし、過去1年以内に区分番号「J129―4」治療用装具採型法を算定している場合は算定できない。

(2) 当該採寸と区分番号「J129―4」治療用装具採型法を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

J129―4 治療用装具採型法

(1) 区分番号「B001」特定疾患治療管理料の「20」糖尿病合併症管理料を算定している患者について、糖尿病足病変に対して用いる装具の採型を行った場合は、1年に1回に限り、所定点数を算定する。ただし、過去1年以内に区分番号「J129―3」治療用装具採寸法を算定している場合は算定できない。

(2) 区分番号「J129―3」治療用装具採寸法と当該採型を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。

(3) フットインプレッションフォームを使用して装具の採型を行った場合は、本区分の「3」その他の場合を算定する。

(処置医療機器等加算)

J200 腰部、胸部又は頸部固定帯加算

(1) 本加算は、それぞれの固定帯を給付する都度算定する。なお、「固定帯」とは、従来、頭部・頸部・躯幹等固定用伸縮性包帯として扱われてきたもののうち、簡易なコルセット状のものをいう。

(2) 胸部固定帯については、肋骨骨折に対し非観血的整復術を行った後に使用した場合は、手術の所定点数に含まれており別途算定できない。

J201 酸素加算

(1) 酸素吸入のほか酸素又は窒素を使用した診療に係る酸素又は窒素の価格は、「酸素及び窒素の価格」(平成2年厚生省告示第41号)により定められており、その単価(単位 リットル。摂氏35度、1気圧における容積とする。)は、次のとおりである。

ア 離島等以外の地域に所在する保険医療機関の場合

液体酸素の単価

定置式液化酸素貯槽(CE)に係る酸素の単価 1リットル当たり0.19円

可搬式液化酸素容器(LGC)に係る酸素の単価 1リットル当たり0.32円

酸素ボンベに係る酸素の単価

大型ボンベに係る酸素の単価 1リットル当たり0.42円

小型ボンベに係る酸素の単価 1リットル当たり2.36円

イ 離島等に所在する保険医療機関の場合

液体酸素の単価

定置式液化酸素貯槽(CE)に係る酸素の単価 1リットル当たり0.29円

可搬式液化酸素容器(LGC)に係る酸素の単価 1リットル当たり0.47円

酸素ボンベに係る酸素の単価

大型ボンベに係る酸素の単価 1リットル当たり0.63円

小型ボンベに係る酸素の単価 1リットル当たり3.15円

(2) 離島等とは、以下の地域をいう。

ア 離島振興法(昭和28年法律第72号)第2条第1項の規定により離島振興対策実施地域として指定された離島の地域

イ 奄美群島振興開発特別措置法(昭和29年法律第189号)第1条に規定する奄美群島の地域

ウ 小笠原諸島振興開発特別措置法(昭和44年法律第79号)第4条第1項に規定する小笠原諸島の地域

エ 沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)第3条第三号に規定する離島

オ 過疎地域自立促進特別措置法(平成12年法律第15号)第2条第1項に規定する過疎地域

カ 豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年法律第73号)第2条第2項の規定により特別豪雪地帯として指定された地域

(3) 定置式液化酸素貯槽(CE)とは、医療機関の敷地内に設置されており、通常気体酸素容量が200万Lから1,500万Lまでのものをいい、可搬式液化酸素容器(LGC)とは、気体酸素容量が13.3万L又は37.6万Lのものをいい、大型ボンベとは、ボンベ1本当たり通常7,000L又は6,000L用のボンベをいい3,000Lを超えるもの、小型ボンベとは、ボンベ1本当たり通常1,500L又は500L用のボンベをいい3,000L以下のものをいう。

(4) 酸素の価格については、次の算式により算出した値の1円未満を四捨五入して得た額とする。

酸素の価格(単位 円)=酸素の単価(単位 円)×当該患者に使用した酸素の容積(単位 リットル)×補正率

(5) (1)の規定にかかわらず、(1)に規定する区分ごとに次の算式により、保険医療機関ごとに算出される酸素の購入単価が(1)に規定する単価に満たない場合には、4月1日から3月31日までの1年間の診療については、この酸素の購入単価を用いて算出した酸素の購入価格によって請求するものとする。

酸素の購入価格(単位 円)=酸素の購入単価(単位 円)×当該患者に使用した酸素の容積(単位 リットル)×補正率

酸素の購入単価(単位 円)=当該年度の前年の1月から12月までの間に当該保険医療機関が購入した酸素の対価/当該購入した酸素の容積(単位 リットル。35℃1気圧で換算)

なお、酸素の購入時期と請求時期との関係を以下に明示する。

●の診療に係る請求

③、④及び⑤の購入実績により算出した酸素の購入単価による。

▲の診療に係る請求

①及び②の購入実績により算出した酸素の購入単価による。

(6) (4)及び(5)の算式の場合において、「当該患者に使用した酸素の容積」とは、患者に使用する際の状態の温度及び気圧において測定された酸素の容積をいうものであり、一定の温度又は気圧に換算する必要はない。

また、補正率1.3は、購入時と使用時の気体の状態の違いに由来する容積差等を勘案の上設定したものである。

(7) 新規に保険医療機関の指定を受けた場合及び(1)に規定する区分を追加又は変更した場合であって、当該診療に係る年度の前年の1月から12月までの1年間において酸素の購入実績がない場合にあっては、当年度の3月までの間は、次に定めるところによって酸素の購入単価を算出するものとする。その場合において購入単価が(1)に規定する単価を超える場合は、(1)の購入単価とする。

ア 当該診療月前に酸素を購入した実績がある場合(当該年度内に新規に指定され購入又は区分の追加若しくは変更(大型ボンベを廃止し、CEに変更等)を行った場合に限る。)にあっては、購入した酸素(保険医療機関の指定を受けた日前に購入したものを含む。)の対価を当該購入した酸素の摂氏35度、1気圧における容積(単位 リットル)で除して得た額の0.01円未満の端数を四捨五入した額を酸素の購入単価とする。

イ アにより算出した場合の購入単価について、当年度の3月までの間については、当該診療月前に購入した全ての酸素(保険医療機関の指定を受けた日前に購入したものを含む。)の対価を当該購入した酸素の摂氏35度、1気圧における容積(単位 リットル)で除して得た額の0.01円未満の端数を四捨五入した額を酸素の購入単価とする。

(8) (5)並びに(7)のア及びイの関係は、当該年度(診療日の属する年度)に係る購入単価は、原則、前年の1月から12月までの購入実績に基づき算出した単価とするものであるが、年度の途中において新規又は区分の変更を行った年度に限り当該年度内の購入実績に基づき購入単価とするものである。従って、翌年度の4月1日からは、(5)により算出した購入単価によることとなる。

(9) 離島等における特別の事情とは、酸素の搬入において船舶による搬入時間が、多くの時間を要する場合や酸素製造工場又は医療用酸素充填所から著しく遠距離であるため通常の価格では購入が困難な場合等を考慮したものであり、当該事情があると認められた場合には、(1)の規定にかかわらず、(1)に規定する区分ごとに(5)に規定する算式により、保険医療機関ごとに算出される酸素の購入単価が(1)に規定する単価を超える場合は、4月1日から3月31日までの1年間の診療については、この酸素の購入単価を用いて算出した酸素の購入価格によって請求するものとする。なお、この場合、前年度の購入単価を超えることはできないものとする。ただし、大型ボンベにあっては、6,000L以上、小型ボンベにあっては、500L以上に限る。

(10) 離島等における特別の事情がある場合は、その理由を記載した書面を地方厚生(支)局長に届け出るものとする。

(11) 保険医療機関は、当該年の4月1日以降の診療に係る費用の請求に当たって用いる酸素の単価並びにその算出の基礎となった前年の1月から12月までの間に当該保険医療機関が購入した酸素の対価及び当該購入した酸素の容積を別紙様式25により、当該年の2月15日までに地方厚生(支)局長に届け出るものとする。ただし、(7)のア又はイの方法によって酸素の購入単価を算出している場合にあっては、随時(当該年度内において算出した購入単価に30%を超える変動があった場合を含む。)地方厚生(支)局長に届け出るものとする。

(12) 地方厚生(支)局においては、届出を受けた購入単価について、審査支払機関に対し通知するとともに、保険者に対し通知し、情報提供を行うこと。

(13) 窒素の価格は、液化窒素、ボンベ等の窒素の形態にかかわらず、窒素の単価に当該患者に使用した窒素の容積を乗じた値とする。なお、窒素の単価は1リットル当たり0.12円である。

(14) 酸素を動力源とする閉鎖循環式麻酔装置、高気圧酸素治療装置等を利用して、人工呼吸、酸素吸入、高気圧酸素治療等を行った場合、動力源として消費される酸素の費用は算定できない。また、動力源として消費される窒素の費用も算定できない。

(15) 酸素と窒素を用いて空気と類似した組成の気体を作成し酸素吸入等に用いた場合、酸素及び窒素の費用は算定できない。

(16) (5)、(7)及び(11)に掲げる対価については、平成30年1月1日から令和元年9月30日までの間に医療機関が購入したものについては、当該対価に108分の110を乗じて得た額の1円未満の端数を四捨五入した額とする。

第10部 手術

<通則>

1 「通則1」の「診断穿刺・検体採取」とは、第2章第3部検査の第4節診断穿刺・検体採取料に係るものをいう。

2 「通則1」及び「通則2」は、手術料算定の内容には次の3通りあることを示しており、輸血料については、手術料の算定がなくとも単独で算定できる。

(1) 手術料(+薬剤料等)

(2) 手術料+輸血料(+薬剤料等)

(3) 輸血料(+薬剤料等)

3 手術料(輸血料を除く。)は、特別の理由がある場合を除き、入院中の患者及び入院中の患者以外の患者にかかわらず、同種の手術が同一日に2回以上実施される場合には、主たる手術の所定点数のみにより算定する。

4 手術当日に、手術(自己血貯血を除く。)に関連して行う処置(ギプスを除く。)の費用及び注射の手技料は、術前、術後にかかわらず算定できない。また、内視鏡を用いた手術を行う場合、これと同時に行う内視鏡検査料は別に算定できない。

5 手術に当たって通常使用される保険医療材料(チューブ、縫合糸(特殊縫合糸を含む。)等)、衛生材料(ガーゼ、脱脂綿及び絆創膏等)、外皮用殺菌剤、患者の衣類及び1回の手術に使用される総量価格が15円以下の薬剤の費用は手術の所定点数に含まれる。

ただし、別に厚生労働大臣が定める特定保険医療材料及び1回の手術に使用される総量価格が15円を超える薬剤(手術後の薬剤病巣撒布を含み、外皮用殺菌剤を除く。)については、当該手術の所定点数の他に当該特定保険医療材料及び薬剤の費用を算定できる。

6 画像診断及び検査の費用を別に算定できない手術の際に画像診断又は検査を行った場合においても、当該画像診断及び検査に伴い使用したフィルムに要する費用については、区分番号「E400」(注を含む。)に掲げるフィルム料を算定できる。また、当該画像診断及び検査に伴い特定保険医療材料又は薬剤を使用した場合は、区分番号「K950」に掲げる特定保険医療材料料又は区分番号「K940」に掲げる薬剤料を算定できる。なお、この場合、フィルム料、特定保険医療材料料及び薬剤料以外の画像診断及び検査の費用は別に算定できない。

7 第1節手術料に掲げられていない手術のうち、簡単な手術の手術料は算定できないが、特殊な手術(点数表にあっても、手技が従来の手術と著しく異なる場合等を含む。)の手術料は、その都度当局に内議し、最も近似する手術として準用が通知された算定方法により算定する。

例えば、従来一般的に開胸又は開腹により行われていた手術を内視鏡下において行った場合等はこれに該当する。

8 通則5に規定する体外循環を要する手術とは、区分番号「K541」から「K544」まで、「K551」、「K553」、「K554」から「K556」まで、「K557」から「K557―3」まで、「K558」、「K560」、「K560―2」、「K568」、「K570」、「K571」から「K574」まで、「K576」、「K577」、「K579」から「K580」まで、「K582」から「K589」まで、「K592」から「K593」まで及び「K594」(「4」の「ロ」を除く。)に掲げる人工心肺を用いた手術をいう。

9 「通則7」及び「通則8」の加算は、第1節手術料に定める手術にのみ適用され、輸血料、手術医療機器等加算、薬剤料及び特定保険医療材料料は加算の対象とならない。

また、「通則7」及び「通則8」の「所定点数」とは、第1節手術料の各区分に掲げられた点数及び各区分の注に規定する加算の合計をいい、通則の加算点数は含まない。

10 「通則10」の加算は、HIV―1抗体(ウエスタンブロット法)若しくはHIV―2抗体(ウエスタンブロット法)によってHIV抗体が陽性と認められた患者又はHIV―1核酸検査によってHIV―1核酸が確認された患者に対して観血的手術を行った場合に1回に限り算定する。ただし、同一日に複数の手術を行った場合は、主たる手術についてのみ加算する。

11 「通則11」の加算は、次のいずれかに該当する患者に対して全身麻酔、硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を伴う観血的手術を行った場合に1回に限り算定する。ただし、同一日に複数の手術を行った場合は、主たる手術についてのみ加算する。

(1) 感染症法に基づく医師から都道府県知事等への届出のための基準により医師により届け出が義務付けられているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症の患者(診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断がなされたもの。)

(2) HBs又はHBe抗原によって抗原が陽性と認められたB型肝炎患者

(3) HCV抗体定性・定量によってHCV抗体が陽性と認められたC型肝炎患者

(4) 微生物学的検査により結核菌を排菌していることが術前に確認された結核患者

12 「通則12」の入院中の患者以外の患者に対する手術の休日加算1及び2、時間外加算1及び2又は深夜加算1及び2は、次の場合に算定できる。ただし、手術が保険医療機関又は保険医の都合により休日、時間外又は深夜に行われた場合には算定できない。

(1) 休日加算、時間外加算又は深夜加算が算定できる初診又は再診に引き続き行われた緊急手術の場合

(2) 初診又は再診から手術までの間に、手術に必要不可欠な検査等を行い、かつ、当該検査等の終了後に手術(休日に行うもの又はその開始時間(執刀した時間をいう。)が診療時間以外の時間若しくは深夜であるものに限る。)を開始した場合であって、当該初診又は再診から手術の開始時間までの間が8時間以内である場合(当該手術の開始時間が入院手続きの後の場合を含む。)

13 「通則12」の入院中の患者に対する手術の休日加算1及び2又は深夜加算1及び2は、病状の急変により、休日に緊急手術を行った場合又は開始時間が深夜である緊急手術を行った場合に算定できる。

ただし、手術が保険医療機関又は保険医の都合により休日又は深夜に行われた場合には算定できない。

14 「通則12」の休日加算1及び2、時間外加算1及び2又は深夜加算1及び2の対象となる時間の取扱いは初診料と同様であり、区分番号「A000」の注9又は区分番号「A001」の注7に規定する夜間・早朝等加算を算定する場合にあっては、「通則12」の休日加算1及び2、時間外加算1及び2又は深夜加算1及び2は算定しない。また、「通則12」の加算に係る適用の範囲及び「所定点数」については、「通則7」及び「通則8」の加算の取扱いと同様(本通則9参照)である。なお、区分番号「K780」同種死体腎移植術の「注1」に規定する死体腎移植加算について、「通則12」の加算を算定する場合は、同種死体腎移植の開始時間により要件の該当の有無を判断するのではなく、死体腎の摘出術の開始時間をもって判断する。

15 「通則12」の休日加算1、時間外加算1又は深夜加算1(以下「時間外等加算1」という。)は、当該加算を算定するものとして、地方厚生(支)局長に届出を行っている診療科において手術を実施した場合に限り算定できる。

16 「通則12」の時間外等加算1を算定する場合は、手術を実施した診療科、初診又は再診の日時(入院中の患者以外の患者に手術を実施した場合に限る。)及び手術を開始した日時を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

17 「通則13」の「特に規定する場合」とは、各区分に掲げる手術名の末尾に両側と記入したものをいう。なお、この場合において、両側にわたり手術を行う医療上の必要性がなく片側の手術のみを行った場合であっても、両側に係る所定点数を算定する。

また、肺の両側に対し手術を行った場合は、片側それぞれについて算定できる。

18 同一手術野又は同一病巣における算定方法

(1) 「通則14」の「同一手術野又は同一病巣」とは、原則として、同一皮切により行い得る範囲をいい、具体的には、次のような手術の組み合わせが行われる範囲をいう。この場合においては、「主たる手術」の所定点数のみを算定する。なお、「主たる手術」とは、所定点数及び注による加算点数を合算した点数の高い手術をいう。

ア 肺切除術の際に併施する簡単な肺剥皮術

イ 虫垂切除術と盲腸縫縮術

ウ 子宮附属器腫瘍摘出術と卵管結紮術

(2) (1)にかかわらず、「同一皮切により行い得る範囲」内にあっても、次に掲げる場合には、「同一手術野又は同一病巣」には該当せず、それぞれ所定点数を算定する。なお、それらの他、「同一皮切により行い得る範囲」の原則によることが著しく不合理である場合は、「通則3」に照らしてその都度当局に内議のうえ決定する。

ア 胃切除術(消化器系の手術)と腹部大動脈瘤に対する大動脈瘤切除術(脈管系の手術)の組み合わせ、胃切除術(消化器系の手術)と腎摘出術(尿路系の手術)の組み合わせ、胃切除術(消化器系の手術)と子宮附属器腫瘍摘出術(開腹によるもの)(婦人科系の手術)の組み合わせ、腎悪性腫瘍手術(尿路系の手術)と肺切除術(呼吸器系の手術)の組み合わせ、腹腔鏡下胃切除術(消化器系の手術)と腹腔鏡下腎摘出術(尿路系の手術)の組み合わせ、腹腔鏡下胃切除術(消化器系の手術)と子宮附属器腫瘍摘出術(腹腔鏡によるもの)(婦人科系の手術)の組み合わせ等、相互に関連のない2手術を同時に行う場合

イ 胃切除術と直腸切除術の組み合わせ、食道腫瘍摘出術(開腹手術によるもの)と結腸切除術の組み合わせ、腹腔鏡下胃切除術と腹腔鏡下直腸切除術の組み合わせ、食道腫瘍摘出術(腹腔鏡下によるもの)と腹腔鏡下結腸切除術の組み合わせ等、同じ消化器系の手術であっても、遠隔部位の2手術を行う場合

ウ 人工妊娠中絶術(腟式手術)と卵管結紮術(開腹術)の組み合わせ等、通常行う手術の到達方法又は皮切及び手術部位が異なる場合

(3) 同一手術野又は同一病巣であっても、「複数手術に係る費用の特例(平成30年厚生労働省告示第72号)」に規定するものについては、主たる手術の所定点数に、従たる手術(1つに限る。)の所定点数の100分の50に相当する額を加えた点数により算定する。

なお、具体的な取扱いについては、別途通知する。

(4) 指に係る同一手術野の範囲

指に係る同一手術野の範囲と算定方法については次の通りである。

ア 第1指から第5指までを別の手術野とする次に掲げる手術のうち、2つ以上の手術を同一指について行った場合には、「通則14」における「別に厚生労働大臣が定める場合」に該当する場合及び(ハ)に掲げる手術を除き、当該手術の中で主たる手術の所定点数のみを算定する。なお、(イ)及び(ロ)に掲げる手術については、複数指について行った場合には、それぞれの指について算定し、(ハ)に掲げる手術については、同一指内の複数の骨又は関節について行った場合には、各々の骨又は関節について算定する。

(イ) 第1指から第5指まで(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含む。)のそれぞれを同一手術野とする手術は、次に掲げる手術である。

区分番号「K028」腱鞘切開術(関節鏡下によるものを含む。)

区分番号「K034」腱切離・切除術(関節鏡下によるものを含む。)

区分番号「K035」腱剥離術(関節鏡下によるものを含む。)

区分番号「K037」腱縫合術

区分番号「K038」腱延長術

区分番号「K039」腱移植術(人工腱形成術を含む。)の「1」指(手、足)

区分番号「K040」腱移行術の「1」指(手、足)

区分番号「K040―2」指伸筋腱脱臼観血的整復術

区分番号「K054」骨切り術の「3」中の指(手、足)(関節リウマチの患者に対し、関節温存を前提として中足骨短縮骨切り術を行った場合に限る。)

(ロ) 第1指から第5指まで(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含まない。)のそれぞれを同一手術野とする手術は、次に掲げる手術である。ただし、合指症手術にあっては各指間のそれぞれを同一手術野とする。

区分番号「K089」爪甲除去術 区分番号「K100」多指症手術

区分番号「K090」ひょう疽手術 区分番号「K101」合指症手術

区分番号「K091」陥入爪手術 区分番号「K102」巨指症手術

区分番号「K099」指瘢痕拘縮手術 区分番号「K103」屈指症手術、斜指症手術

第1節手術料の項で「指(手、足)」と規定されている手術(区分番号「K039」腱移植術(人工腱形成術を含む。)の「1」指(手、足)、区分番号「K040」腱移行術の「1」指(手、足)、区分番号「K045」骨折経皮的鋼線刺入固定術の「3」中の指(手、足)、区分番号「K046」骨折観血的手術の「3」中の指(手、足)、区分番号「K054」骨切り術の「3」中の指(手、足)(関節リウマチの患者に対し、関節温存を前提として中足骨短縮骨切り術を行った場合に限る。)、区分番号「K063」関節脱臼観血的整復術の「3」中の指(手、足)、区分番号「K073」関節内骨折観血的手術の「3」中の指(手、足)、区分番号「K080」関節形成手術の「3」中の指(手、足))及び「K082」人工関節置換術の「3」中の指(手、足)を除く。)

(ハ) 同一指内の骨及び関節(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含む。)のそれぞれを同一手術野とする手術は、次に掲げる手術である。

区分番号「K045」骨折経皮的鋼線刺入固定術

区分番号「K046」骨折観血的手術

区分番号「K063」関節脱臼観血的整復術

区分番号「K073」関節内骨折観血的手術

区分番号「K078」観血的関節固定術

区分番号「K080」関節形成手術

区分番号「K082」人工関節置換術

区分番号「K082―3」人工関節再置換術

イ デブリードマンその他(イ)、(ロ)及び(ハ)に該当しない手術については、第1指から第5指までを同一手術野として取り扱い、当該手術のうち2以上の手術を複数指に行った場合には、「通則14」における「別に厚生労働大臣が定める場合」に該当する場合を除き、主たる手術の所定点数のみを算定する。

ウ (イ)及び(ロ)に掲げる手術と、(ハ)に掲げる手術を同時に行った場合にあっては、「通則14」における「別に厚生労働大臣が定める場合」に該当する場合を除き、同一指に対して行われたものは主たる手術の点数を算定し、別々の指に対して行われたものはそれぞれ所定の点数を算定する。

エ 第1指から第5指までを別の手術野として取り扱う手術(同一指内の骨及び関節を別の手術野として取り扱う手術を含む。)と、第1指から第5指までを同一手術野として取り扱う手術を同時に行った場合にあっては、それぞれの手術が別々の指に対して行われたものであっても、「通則14」における「別に厚生労働大臣が定める場合」に該当する場合を除き、主たる手術の所定点数のみを算定する。

ただし、第1指から第5指までを別の手術野として取り扱う手術(同一指内の骨及び関節を別の手術野として取り扱う手術を含む。)を複数指に対し行った場合に、それぞれの点数を合算した点数が、同一手術野として取り扱う手術の点数よりも高くなる場合にあっては、いずれかにより算定する。

(5) 眼球の手術(第1節手術料第4款眼に掲げるものをいう。)については、片眼を同一手術野として取り扱う。

(6) 多発性嚢腫等で近接しているものについては、数か所の切開を行った場合でも1切開として算定する。また、麦粒腫、霰粒腫等については、同一瞼内にあるものについては1回として算定する。

(7) 骨折整復と脱臼整復を併施した場合については、骨折部位と関節との距離やそれぞれの整復が非観血的に行われたか観血的に行われたか、また、一方の整復手技が他方の整復手技と個別に行われる場合と、併せて1手術とみなすのが適当な場合等によって異なるが、一般には近接部位の場合は通例同一手術野の手術として「通則14」により主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、(4)の(ハ)に掲げる場合は別に算定できる。

(8) 悪性腫瘍に対する手術において、区分番号「K469」頸部郭清術(ネックディセクション)及び区分番号「K627」リンパ節群郭清術の「2」は所定点数に含まれ、特に規定する場合を除き、別に算定できない。

(9) 「通則14」の植皮術とは区分番号「K013」分層植皮術及び「K013―2」全層植皮術をいう。

(10) 「通則14」の神経移植術とは区分番号「K198」神経移植術をいう。

19 手術の中絶等の場合の算定方法

(1) 手術の開始後、患者の病状の急変等やむを得ない事情により手術を中途で中絶せざるを得なかった場合においては、当該中絶までに施行した実態に最も近似する手術項目の所定点数により算定する。

例えば、胃切除術を行うべく開腹したが、適応でないのでそのまま手術創を閉じた場合は、区分番号「K636」試験開腹術の所定点数により、また、汎副鼻腔根治手術を開始したが、上顎洞、篩骨洞を終えたのみで中絶した場合は、区分番号「K358」上顎洞篩骨洞根治手術の所定点数により、算定する。なお、術前において中絶した場合は、算定の対象にならない。

(2) 妊娠9か月において子宮出血があり、前置胎盤の疑いで入院し、止血剤注射を行い帝王切開の準備として諸器械の消毒を終わったところ出血が止まり、そのまま分娩した場合の消毒に要した諸経費は、保険給付の対象とならない。

(3) 手術の準備をしていたところ、患者が来院しなかったとき又は患者が手術の術前において手術不能となった場合は保険給付の対象とならない。

20 臓器等移植における組織適合性試験及び臓器等提供者に係る感染症検査の取扱い

(1) 組織適合性試験

ア 組織適合性試験とは、HLA型クラスⅠ(A、B、C)、クラスⅡ(DR、DQ、DP)、リンパ球直接交差試験(ダイレクト・クロスマッチテスト)及びDNAタイピングをいう。

イ 次に掲げる臓器等移植の提供者に係る組織適合性試験の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

区分番号「K514―3」移植用肺採取術(死体)(両側)

区分番号「K514―5」移植用部分肺採取術(生体)

区分番号「K605」移植用心採取術

区分番号「K605―3」移植用心肺採取術

区分番号「K697―4」移植用部分肝採取術(生体)

区分番号「K697―6」移植用肝採取術(死体)

区分番号「K709―2」移植用膵採取術(死体)

区分番号「K709―4」移植用膵腎採取術(死体)

区分番号「K716―3」移植用部分小腸採取術(生体)

区分番号「K716―5」移植用小腸採取術(死体)

区分番号「K779」移植用腎採取術(生体)

区分番号「K779―2」移植用腎採取術(死体)

区分番号「K779―3」腹腔鏡下移植用腎採取術(生体)

区分番号「K921」造血幹細胞採取の「1」骨髄採取の「イ」同種移植の場合

区分番号「K921」造血幹細胞採取の「2」末梢血幹細胞採取の「イ」同種移植の場合

ウ 次に掲げる臓器等移植の移植者に係る組織適合性試験の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

区分番号「K014」皮膚移植術(生体・培養)

区分番号「K014―2」皮膚移植術(死体)

区分番号「K059」骨移植術(軟骨移植術を含む。)

区分番号「K514―4」同種死体肺移植術

区分番号「K514―6」生体部分肺移植術

区分番号「K605―2」同種心移植術

区分番号「K605―4」同種心肺移植術

区分番号「K697―5」生体部分肝移植術

区分番号「K697―7」同種死体肝移植術

区分番号「K709―3」同種死体膵移植術

区分番号「K709―5」同種死体膵腎移植術

区分番号「K709―6」同種死体膵島移植術

区分番号「K716―4」生体部分小腸移植術

区分番号「K716―6」同種死体小腸移植術

区分番号「K780」同種死体腎移植術

区分番号「K780―2」生体腎移植術

区分番号「K922」造血幹細胞移植の「1」骨髄移植の「イ」同種移植の場合

区分番号「K922」造血幹細胞移植の「2」末梢血幹細胞移植の「イ」同種移植の場合

エ 次に掲げる臓器等移植の提供者及び移植者に係る組織適合性試験の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

区分番号「K922」造血幹細胞移植の「3」臍帯血移植

(2) 臓器等提供者に係る感染症検査

ア 臓器等提供者に係る感染症検査とは、HBs抗原、HBc抗体半定量・定量、HCV抗体定性・定量、HIV―1抗体、HIV―2抗体定性・定量、HTLV―Ⅰ抗体、梅毒トレポネーマ抗体半定量、梅毒トレポネーマ抗体定量又はサイトメガロウイルス抗体(同一検査で定性及び定量測定がある場合は、いずれか1つの検査に限る。)の全部又は一部をいう。

イ 次に掲げる臓器等移植に際し、必要に応じ臓器等提供者に係る感染症検査を行った場合には、スクリーニングにつき、1回に限り別に算定する。

区分番号「K014」皮膚移植術(生体・培養)

区分番号「K514―5」移植用部分肺採取術(生体)

区分番号「K697―4」移植用部分肝採取術(生体)

区分番号「K716―3」移植用部分小腸採取術(生体)

区分番号「K779」移植用腎採取術(生体)

区分番号「K779―3」腹腔鏡下移植用腎採取術(生体)

区分番号「K921」造血幹細胞採取の「1」骨髄採取の「イ」同種移植の場合

区分番号「K921」造血幹細胞採取の「2」末梢血幹細胞採取の「イ」同種移植の場合

区分番号「K922」造血幹細胞移植の「3」臍帯血移植

ウ 次に掲げる臓器等移植に際し行った臓器等提供者に係る感染症検査は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

区分番号「K259」角膜移植術

区分番号「K709―2」移植用膵採取術(死体)(死体膵(臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)第6条第2項に規定する脳死した者の身体から採取された膵を除く。)を採取する場合に限る。)

区分番号「K709―4」移植用膵腎採取術(死体)(死体膵腎(臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した者の身体から採取された膵腎を除く)を移植する場合に限る。)

区分番号「K780」同種死体腎移植術(死体腎(臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した者の身体から採取された腎を除く)を移植する場合に限る。)

エ 臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した者の身体から採取して臓器等移植を行った場合の臓器等提供者に係る感染症検査は、次に掲げる所定点数に含まれ、別に算定できない。

区分番号「K914」脳死臓器提供管理料

21 第1節第2款筋骨格系・四肢・体幹に掲げる手術のうち、関節鏡下による手術については、内視鏡を用いた場合についても算定できる。

22 既に保険適用されている腹腔鏡下手術以外の手術で腹腔鏡を用いる場合については、その都度当局に内議し準用が通知されたもののみが保険給付の対象となる。それ以外の場合については、その手術を含む診療の全体が保険適用とならないので留意されたい。なお、胸腔鏡下手術及び内視鏡手術用支援機器を用いた手術も同様の取扱いとする。

23 「通則17」の加算を算定した場合は、周術期口腔機能管理を実施した歯科医療機関名(歯科を併設する病院は除く。)を診療録に記載すること。なお、悪性腫瘍手術は病理診断により悪性腫瘍であることが確認された場合に限り算定できる。

24 性同一性障害の患者に対して次に掲げる手術を行う場合は、届出を行った場合に限り算定できる。

区分番号「K475」乳房切除術

区分番号「K818」尿道形成手術の「1」前部尿道

区分番号「K819」尿道下裂形成手術

区分番号「K819―2」陰茎形成術

区分番号「K825」陰茎全摘術

区分番号「K830」精巣摘出術

区分番号「K851」会陰形成手術の「1」筋層に及ばないもの

区分番号「K859」造膣術、膣閉鎖症術の「2」遊離植皮によるもの

区分番号「K859」造膣術、膣閉鎖症術の「4」腸管形成によるもの

区分番号「K859」造膣術、膣閉鎖症術の「5」筋皮弁移植によるもの

区分番号「K877」子宮全摘術

区分番号「K877―2」腹腔鏡下膣式子宮全摘術

区分番号「K888」子宮附属器腫瘍摘出術(両側)の「1」開腹によるもの

区分番号「K888」子宮附属器腫瘍摘出術(両側)の「2」腹腔鏡によるもの

25 「通則19」に掲げる手術を実施するに当たっては、実施前に臨床遺伝学に関わる専門的な知識及び技能を有する医師並びに乳腺外科、産婦人科又は婦人科の医師が参加するカンファレンスを実施し、遺伝カウンセリング等の結果を踏まえた治療方針の検討を行うこと。また当該カンファレンスにおける検討内容を踏まえ、当該手術の目的並びに当該手術の実施によって生じうる利益及び不利益について当該患者に事前に説明を行うこと。

第1節 手術料

第1款 皮膚・皮下組織

K000 創傷処理、K000―2 小児創傷処理

(1) 創傷処理とは、切・刺・割創又は挫創に対して切除、結紮又は縫合(ステープラーによる縫合を含む。)を行う場合の第1回治療のことであり、第2診以後の手術創に対する処置は区分番号「J000」創傷処置により算定する。なお、ここで筋肉、臓器に達するものとは、単に創傷の深さを指すものではなく、筋肉、臓器に何らかの処理を行った場合をいう。

(2) 創傷が数か所あり、これを個々に縫合する場合は、近接した創傷についてはそれらの長さを合計して1つの創傷として取り扱い、他の手術の場合に比し著しい不均衡を生じないようにすること。

(3) 「3」の「イ」頭頸部のもの(長径20センチメートル以上のものに限る。)は、長径20センチメートル以上の重度軟部組織損傷に対し、全身麻酔下で実施した場合に限り算定できる。

(4) 「注2」の「露出部」とは、頭部、頸部、上肢にあっては肘関節以下及び下肢にあっては膝関節以下をいう。

(5) 「注3」のデブリードマンの加算は、汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行った場合に限り算定する。

(6) 腹部開放創用局所陰圧閉鎖キットの交換のみを目的として実施した場合は、「1」、「2」又は「3」の「ロ」のいずれかを算定する。

(7) 次のいずれにも該当する閉塞性動脈硬化症の患者に対して、吸着式血液浄化用浄化器(閉塞性動脈硬化症用)を使用して治療を行った場合には、本区分の「2」筋肉、臓器に達するもの(長径5センチメートル以上10センチメートル未満)の所定点数を準用して算定する。なお、当該療法の実施回数は、原則として一連につき3月間に限って24回を限度として算定する。

ア フォンテイン分類Ⅳ度の症状を呈する者

イ 膝下動脈以下の閉塞又は広範な閉塞部位を有する等外科的治療又は血管内治療が困難で、かつ従来の薬物療法では十分な効果を得られない者

(8) 閉塞性動脈硬化症の患者に対して吸着式血液浄化用浄化器(閉塞性動脈硬化症用)を使用して治療を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に当該治療を行う医学的必要性を記載すること。

K001 皮膚切開術

(1) 長径10センチメートルとは、切開を加えた長さではなく、膿瘍、せつ又は蜂窩織炎等の大きさをいう。

(2) 多発性せつ腫等で近接しているものについては、数か所の切開も1切開として算定する。

K002 デブリードマン

(1) 区分番号「K013」分層植皮術から区分番号「K021―2」粘膜弁手術までの手術を前提に行う場合にのみ算定する。

(2) 面積の算定方法については、区分番号「J000」創傷処置の取扱いの例による。

(3) 汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに算定する。また、繰り返し算定する場合は、植皮の範囲(全身に占める割合)を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(4) 「注1」のA群溶連菌感染症に伴う壊死性筋膜炎に対して行う場合については、病歴、細菌培養検査及び画像所見等により、A群溶連菌感染症に伴う壊死性筋膜炎と診断した場合に算定する。なお、診療報酬の請求に当たっては、病歴、細菌培養検査及び画像所見を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(5) 「注3」の深部デブリードマン加算は、(3)でいう繰り返し算定する場合についても、要件をみたせば算定できる。

(6) 「注4」の水圧式デブリードマン加算は、Ⅱ度以上の熱傷、糖尿病性潰瘍又は植皮を必要とする創傷に対して、水圧式ナイフを用いて、組織や汚染物質等の切除、除去を実施した場合に、一連の治療につき1回に限り算定する。なお、加圧に用いた生理食塩水の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(7) Ⅱ度以上の熱傷、糖尿病性潰瘍又は植皮を必要とする創傷に対して、主にデブリードマンに使用する超音波手術器を用いて、組織や汚染物質等の切除、除去を実施した場合に、一連の治療につき1回に限り水圧式デブリードマン加算を準用して算定する。なお、噴霧に用いた生理食塩水の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K003、K004 皮膚、皮下、粘膜下血管腫摘出術

(1) 「露出部」とは区分番号「K000」創傷処理の「注2」の「露出部」と同一の部位をいう。

(2) 露出部と露出部以外が混在する患者については、露出部に係る長さが全体の50%以上の場合は、区分番号「K003」の所定点数により算定し、50%未満の場合は、区分番号「K004」の所定点数により算定する。

K005、K006 皮膚、皮下腫瘍摘出術

(1) 「露出部」とは区分番号「K000」創傷処理の「注2」の「露出部」と同一の部位をいう。

(2) 近接密生しているいぼ及び皮膚腫瘍等については、1個として取り扱い、他の手術等の点数と著しい不均衡を生じないようにすること。

(3) 露出部と露出部以外が混在する患者については、露出部に係る長さが全体の50%以上の場合は、区分番号「K005」の所定点数により算定し、50%未満の場合は、区分番号「K006」の所定点数により算定する。

K006―2、K006―3 鶏眼・胼胝切除術

(1) 「露出部」とは区分番号「K000」創傷処理の「注2」の「露出部」と同一の部位をいう。

(2) 近接密生している鶏眼・胼胝等については、1個として取り扱い、他の手術等の点数と著しい不均衡を生じないようにすること。

(3) 露出部と露出部以外が混在する患者については、露出部に係る長さが全体の50%以上の場合は、区分番号「K006―2」の所定点数により算定し、50%未満の場合は、区分番号「K006―3」の所定点数により算定する。

K006―4 皮膚腫瘍冷凍凝固摘出術

(1) ここでいう「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいい、概ね3月間にわたり行われるものをいう。

(2) 脂漏性角化症、軟性線維腫に対する凍結療法については、区分番号「J056」いぼ等冷凍凝固法により算定する。

K007 皮膚悪性腫瘍切除術

(1) 皮膚悪性腫瘍切除術を行った場合において、リンパ節の郭清を伴う場合は「1」により算定し、病巣部のみを切除した場合は「2」により算定する。

(2) 「注」に規定するセンチネルリンパ節加算については、以下の要件に留意し算定すること。

ア 触診及び画像診断の結果、遠隔転移が認められない悪性黒色腫、メルケル細胞癌、乳房外パジェット病又は長径2cmを超える有棘細胞癌であって、臨床的に所属リンパ節の腫大が確認されていない場合にのみ算定する。

イ センチネルリンパ節生検に伴う放射性同位元素の薬剤料は、区分番号「K940」薬剤により算定する。

ウ 放射性同位元素の検出に要する費用は、区分番号「E100」シンチグラム(画像を伴うもの)の「1」部分(静態)(一連につき)により算定する。

エ 摘出したセンチネルリンパ節の病理診断に係る費用は、第13部病理診断の所定点数により算定する。

K007―3 放射線治療用合成吸収性材料留置術

近接する消化管等のため粒子線治療の実施が困難な患者に対して、シート型の放射線治療用合成吸収性材料を用いて腹腔内又は骨盤内の悪性腫瘍(後腹膜腫瘍を含む。)と消化管等との間隙を確保した場合に算定する。

K009 皮膚剥削術

皮膚剥削術(グラインダーで皮膚を剥削する手術)は、小腫瘍、丘疹性疾患及び外傷性異物の場合に算定する。なお、単なる美容を目的とした場合は保険給付の対象とならない。

K010 瘢痕拘縮形成手術

(1) 単なる拘縮に止まらず運動制限を伴うものに限り算定する。

(2) 指に対して行う場合には、区分番号「K099」指瘢痕拘縮手術により算定する。

K013 分層植皮術

(1) デルマトームを使用した場合の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 広範囲の皮膚欠損に対して、分層植皮術を頭頸部、左上肢、左下肢、右上肢、右下肢、腹部(胸部を含む。)又は背部の部位のうち同一部位以外の2以上の部位について行った場合は、それぞれの部位について所定点数を算定する。

K013―2 全層植皮術

(1) デルマトームを使用した場合の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 広範囲の皮膚欠損に対して、全層植皮術を頭頸部、左上肢、左下肢、右上肢、右下肢、腹部(胸部を含む。)又は背部の部位のうち同一部位以外の2以上の部位について行った場合は、それぞれの部位について所定点数を算定する。

K014 皮膚移植術(生体・培養)

(1) 皮膚提供者の皮膚採取料及び組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 生体皮膚を移植する場合においては、皮膚提供者から移植用皮膚を採取することに要する費用(皮膚提供者の皮膚採取料及び組織適合性試験の費用は除く。)については、各所定点数により算出し、皮膚移植術(生体・培養)の所定点数に加算する。

(3) 皮膚移植を行った保険医療機関と皮膚移植に用いる移植用皮膚を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求については、皮膚移植を行った保険医療機関で行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。なお、請求に当たっては、皮膚移植者の診療報酬明細書の摘要欄に皮膚提供者の療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、皮膚提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付すること。

(4) 皮膚を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。

(5) 自家培養表皮移植の実施に際して、自家培養表皮用皮膚採取のみに終わり皮膚移植術に至らない場合については、区分番号「K000」創傷処理又は区分番号「K000―2」小児創傷処理(6歳未満)に準じて算定する。

K014―2 皮膚移植術(死体)

(1) 皮膚提供者の皮膚採取料及び組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 死体から死体皮膚を採取・保存するために要する全ての費用は、所定点数に含まれ別に請求できない。

(3) 皮膚を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。

K022 組織拡張器による再建手術

(1) 治療に要した日数又は回数にかかわらず、一連のものとして所定点数を算定する。なお、ここでいう一連とは、組織拡張器の挿入、生理食塩水等の注入及び組織拡張器の除去を含めた一連の手技のことであり、治療に要した日数又は回数にかかわらず、一連のものとして組織拡張器挿入時にのみ所定点数を算定する。また、拡張器の除去に要する手技料は別に算定できない。

(2) 「1」の乳房(再建手術)の場合は、乳腺腫瘍患者若しくは遺伝性乳癌卵巣癌症候群患者に対する乳房切除術又は乳腺悪性腫瘍手術後の乳房再建術を行う症例で、次のいずれかに該当し、乳房用の組織拡張器を挿入した場合に限り算定できる。その際、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。ただし、美容を目的とするものは保険給付の対象とならない。

ア 一次再建の場合

乳腺全摘術後の症例で、かつ、皮膚欠損を生じないか、小範囲で緊張なく縫合閉鎖可能な症例。ただし、乳腺悪性腫瘍手術後の場合においては、術前診断においてStageⅡ以下で、皮膚浸潤、大胸筋浸潤や高度のリンパ節転移を認めないこと。

イ 二次再建の場合

乳腺全摘術後で大胸筋が残存している症例。ただし、放射線照射により皮膚の血行や弾力性が障害されていないこと。

(3) 「1」の乳房(再建手術)の場合において乳房切除術又は乳腺悪性腫瘍手術と乳房再建術を行う医療機関が異なる場合は、双方の持つ臨床情報、手術日、術式等を示す文書を相互に交付した上で、診療録に添付して保存すること。

(4) 「2」のその他の場合は、「1」の乳房(再建手術)の場合以外の場合であって、先天異常、母斑(血管腫を含む。)、外傷性瘢痕拘縮、術後瘢痕拘縮及び悪性腫瘍切除後の患者に対して一般用の組織拡張器を挿入した場合に算定できる。なお、美容を目的とするものは保険給付外である。

(5) 原則として1患者の同一部位の同一疾患に対して1回のみの算定であり、1回行った後に再度行っても算定できない。ただし、医学的な必要からそれ以上算定する場合においては、その詳細な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

第2款 筋骨格系・四肢・体幹

腱形成術は、区分番号「K034」腱切離・切除術(関節鏡下によるものを含む。)から区分番号「K040」腱移行術までにより算定する。

K030 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術

皮膚又は皮下にある腫瘍に係る手術については、区分番号「K005」皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)又は区分番号「K006」皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)により算定する。

K031 四肢・躯幹軟部悪性腫瘍手術

(1) 「注」に規定する処理骨再建加算は、骨の切除を必要とする骨軟部悪性腫瘍手術において、腫瘍の広範切除後に、切除した自家腫瘍骨を殺細胞処理し再建に用いた場合に、所定点数に加算する。

(2) 当該手術の実施及び処理骨の作製に当たっては、日本整形外科学会から示された指針を遵守すること。

(3) 処理骨再建加算は、骨軟部悪性腫瘍手術に関する専門の知識及び5年以上の経験を有する医師により行われた場合に算定する。

K037 腱縫合術

(1) 「注」に掲げる複数縫合加算は、前腕から手根部における腱について、複数の指に係る腱の形成術を行った場合に、1指を増すごとに所定点数に加算する。ただし、同一の指に係る複数の腱形成術を行った場合は1指と数えることとし、1指分の加算を算定できる。

(2) 切創等の創傷によって生じた固有指の伸筋腱の断裂の単なる縫合は、区分番号「K000」創傷処理の「2」又は区分番号「K000―2」小児創傷処理の「3」に準じて算定する。

K044 骨折非観血的整復術

(1) ギプスを使用した場合にはギプス料を別に算定できる。

(2) 著しい腫脹等によりギプスを掛けられない状態にあるために徒手整復のみを行った場合についても、骨折非観血的整復術により算定できる。その際に副木を使用した場合には、当該副木の費用は別に算定できる。

(3) 徒手整復した骨折部位に対して2回目以降の処置を行った場合は、区分番号「J000」創傷処置における手術後の患者に対するものにより算定する。

K046 骨折観血的手術

前腕骨又は下腿骨骨折の手術に際し、両骨(橈骨と尺骨又は脛骨と腓骨)を同時に行った場合であって、皮膚切開が個別の場合には、別の手術野として骨折観血的手術の「2」の所定点数をそれぞれの手術野について算定する。

K046―3 一時的創外固定骨折治療術

(1) 開放骨折、関節内骨折若しくは粉砕骨折又は骨盤骨折(腸骨翼骨折を除く。)について骨折観血的手術に当たって一時的に創外固定器を用いて骨折治療術を行った場合に算定する。

(2) 区分番号「K932」創外固定器加算については、別に算定できない。

(3) 当該手術後に、当該骨折の治療のために行った他の手術の費用は、別に算定できる。

K047 難治性骨折電磁波電気治療法

(1) 対象は四肢(手足を含む。)の遷延治癒骨折や偽関節であって、観血的手術、区分番号「K044」骨折非観血的整復術、区分番号「K045」骨折経皮的鋼線刺入固定術又は区分番号「K047―3」超音波骨折治療法等他の療法を行っても治癒しない難治性骨折に対して行った場合に限り算定する。ただし、やむを得ない理由により観血的手術、区分番号「K044」骨折非観血的整復術、区分番号「K045」骨折経皮的鋼線刺入固定術又は区分番号「K047―3」超音波骨折治療法等他の療法を行わずに難治性骨折電磁波電気治療法を行った場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由を詳細に記載すること。

(2) 当該治療を開始してから6か月間又は骨癒合するまでの間、原則として連日、継続して実施する場合に、一連のものとして1回のみ所定点数を算定する。なお、算定に際しては、当該治療の実施予定期間及び頻度について患者に対して指導した上で、当該指導内容を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(3) 当該治療法を1回行った後に再度行った場合又は入院中に開始した当該療法を退院した後に継続して行っている場合であっても、一連として1回のみ算定する。

(4) 本手術の所定点数には、使用される機器等(医師の指示に基づき、患者が自宅等において当該治療を継続する場合を含む。)の費用が含まれる。

K047―2 難治性骨折超音波治療法

区分番号「K047」難治性骨折電磁波電気治療法の取扱いと同様とする。

K047―3 超音波骨折治療法

(1) 超音波骨折治療法は、四肢(手足を含む。)の観血的手術、骨切り術又は偽関節手術を実施した後に、骨折治癒期間を短縮する目的で、当該骨折から3週間以内に超音波骨折治療法を開始した場合に算定する。なお、やむを得ない理由により3週間を超えて当該超音波骨折治療法を開始した場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由を詳細に記載すること。

(2) 当該治療を開始してから3か月間又は骨癒合するまでの間、原則として連日、継続して実施する場合に、一連のものとして1回のみ所定点数を算定する。なお、算定に際しては、当該治療の実施予定期間及び頻度について患者に対して指導した上で、当該指導内容を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(3) 当該治療法を1回行った後に再度行った場合又は入院中に開始した当該療法を退院した後に継続して行っている場合であっても、一連として1回のみ算定する。

(4) 本手術の所定点数には、使用される機器等(医師の指示に基づき、患者が自宅等において当該治療を継続する場合を含む。)の費用が含まれる。

(5) 本手術に併せて行った区分番号「J119」消炎鎮痛等処置、区分番号「J119―2」腰部又は胸部固定帯固定又は区分番号「J119―4」肛門処置については、別に算定できない。

K048 骨内異物(挿入物を含む。)除去術

(1) 「1」の「頭蓋、顔面(複数切開を要するもの)」は、顔面多発骨折手術などで、複数個の骨固定材料による手術が行われた症例に対し、複数箇所の切開により複数個の骨固定材料を除去・摘出する場合に算定する。

(2) 三翼釘、髄内釘、ロッドを抜去する場合の骨内異物(挿入物を含む。)除去術は、手術を行った保険医療機関であると否とにかかわらず算定できる。

(3) 鋼線、銀線等で簡単に除去し得る場合には、区分番号「J000」創傷処置、区分番号「K000」創傷処理又は区分番号「K000―2」小児創傷処理の各区分により算定する。

K053 骨悪性腫瘍手術

(1) 「注」に規定する処理骨再建加算は、骨の切除を必要とする骨軟部悪性腫瘍手術において、腫瘍の広範切除後に、切除した自家腫瘍骨を殺細胞処理し再建に用いた場合に、所定点数に加算する。また、当該手術の実施及び処理骨の作製に当たっては、日本整形外科学会から示された指針を遵守すること。

(2) 処理骨再建加算は、骨軟部悪性腫瘍手術に関する専門の知識及び5年以上の経験を有する医師により行われた場合に算定する。

(3) 処理骨を用いた再建と、区分番号「K081」人工骨頭挿入術又は「K082」人工関節置換術掲げる手術を同時に行った場合は、主たるもののみにより算定する。

K054 骨切り術

(1) 先天異常による骨の変形を矯正することを目的とする骨切り術については本区分の所定点数により算定する。

(2) 患者適合型変形矯正ガイド加算は、先天異常による上腕又は前腕の骨の変形を矯正することを目的とする骨切り術において、手術前に得た画像等により作成された実物大の患者適合型の変形矯正ガイドとして薬事承認を得ている医療機器を用いて実施した場合に、「1」の上腕又は「2」の前腕の所定点数に加算する。

(3) 先天異常による上腕又は前腕の骨の変形を矯正することを目的とする骨切り術において、手術前に得た画像等により作成された実物大の患者適合型の変形矯正ガイドと変形矯正プレートが一体として薬事承認を得ている医療機器を使用した場合に、本区分の「注」に定める患者適合型変形矯正ガイド加算の所定点数を準用して加算する。

K055―3 大腿骨近位部(転子間を含む。)骨切り術

大腿骨近位部(転子間を含む。)骨切り術とは、イムホイザー3次元骨切り術、ダン骨切り術、外反伸展骨切り術、外反屈曲骨切り術、転子間彎曲骨切り術、パウエル外内反骨切り術等をいう。

K057 変形治癒骨折矯正手術

(1) 次に掲げる変形治癒骨折矯正手術は、それぞれに規定する区分により算定する。

ア 眼窩変形治癒骨折に対する矯正術は、区分番号「K228」眼窩骨折整復術による。

イ 鼻骨変形治癒骨折に対する矯正術は、区分番号「K334―2」鼻骨変形治癒骨折矯正術による。

ウ 頬骨変形治癒骨折に対する矯正術は、区分番号「K427―2」頬骨変形治癒骨折矯正術による。

(2) 患者適合型変形矯正ガイド加算は、上腕又は前腕の変形治癒骨折矯正手術において、手術前に得た画像等により作成された実物大の患者適合型の変形矯正ガイドとして薬事承認を得ている医療機器を用いて実施した場合に算定する。

(3) 上腕又は前腕の変形治癒骨折矯正手術において、手術前に得た画像等により作成された実物大の患者適合型の変形矯正ガイドと変形矯正プレートが一体として薬事承認を得ている医療機器を使用した場合に、本区分の「注」に定める患者適合型変形矯正ガイド加算の所定点数を準用して加算する。

K058 骨長調整手術

使用するステイプルの数にかかわらず1回の算定とする。

K059 骨移植術(軟骨移植術を含む。)

(1) 骨移植術に併せて他の手術を行った場合は、本区分の所定点数に他の手術の所定点数を併せて算定する。

(2) 移植用に採取した健骨を複数か所に移植した場合であっても、1回のみ算定する。

(3) 移植用骨採取のみに終わり骨移植に至らない場合については、区分番号「K126」脊椎、骨盤骨(軟骨)組織採取術(試験切除によるもの)に準じて算定する。

(4) 自家軟骨の移植を行った場合は、「1」により算定する。

(5) 同種骨(凍結保存された死体骨を含む。)を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守した場合に限り算定する。

(6) 移植用骨採取及び骨提供者の組織適合性試験に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(7) 自家骨又は非生体同種骨(凍結保存された死体骨を含む。)移植に加え、人工骨移植を併せて行った場合は「3」により算定する。ただし、人工骨移植のみを行った場合は算定できない。

(8) 同種骨移植(特殊なもの)は、腫瘍、感染、人工関節置換等に係る広範囲の骨及び靱帯組織の欠損に対して、日本組織移植学会が認定した組織バンクにおいて適切に採取、加工及び保存された非生体の同種骨及び靱帯組織を使用した場合に限り算定できる。なお、この場合、骨移植等を行った保険医療機関と骨移植等に用いた同種骨等を採取等した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求については、同種骨移植等を行った保険医療機関で行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

(9) 自家培養軟骨を患者自身に移植した場合は、「4」により算定する。

K062 先天性股関節脱臼非観血的整復術(両側)

先天性股関節脱臼非観血的整復術のギプス料は、区分番号「J127」先天性股関節脱臼ギプス包帯により算定する。

K079―2 関節鏡下靱帯断裂形成手術

「注」に規定する加算は、膝前十字靱帯断裂及び膝後十字靱帯断裂を同時に有する患者に対して、医学的な必要性から一期的に両靱帯の形成術を行った場合に算定する。なお、両靱帯損傷と診断する根拠となった検査所見等及び一期的な両靱帯形成術の医学的必要性について、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

K080 関節形成手術

同側足関節に対して、二関節固定術と後方制動術を併施した場合は、関節形成手術の「2」により算定する。

K080―2 内反足手術

内反足手術は、アキレス腱延長術・後方足関節切開術・足底腱膜切断術を行い、後足部をキルシュナー鋼線で矯正する方法により行った場合に算定する。

K080―3 肩腱板断裂手術

「2」複雑なものとは、腱板の断裂が5cm以上の症例に対して行う手術であって、筋膜の移植又は筋腱の移行を伴うものをいう。

K080―4 関節鏡下肩腱板断裂手術

「2」複雑なものとは、腱板の断裂が5cm以上の症例に対して行う手術であって、筋膜の移植又は筋腱の移行を伴うものをいう。

K082―3 人工関節再置換術

人工関節再置換術は、区分番号「K082」人工関節置換術から6か月以上経過して行った場合にのみ算定できる。

K082―4 自家肋骨肋軟骨関節全置換術

肋骨肋軟骨移行部から採取した骨及び軟骨を用いて、関節の両側又は片側の全置換を行った場合に算定できる。この場合、区分番号「K059」骨移植術は別に算定できない。

K083 鋼線等による直達牽引

(1) 鋼線等を用いて観血的に牽引を行った場合に算定する。なお、鋼線等による直達牽引には、鋼線牽引法、双鋼線伸延法及び直達頭蓋牽引法を含む。

(2) 当該鋼線等による直達牽引のうち初日に行ったものについて所定点数を算定する。なお、鋼線等の除去の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 1局所とは、上肢の左右、下肢の左右及び頭より尾頭までの躯幹のそれぞれをいい、全身を5局所に分けるものである。

(4) 区分番号「J118」介達牽引、区分番号「J118―2」矯正固定、区分番号「J118―3」変形機械矯正術、区分番号「J119」消炎鎮痛等処置、区分番号「J119―2」腰部又は胸部固定帯固定、区分番号「J119―3」低出力レーザー照射又は区分番号「J119―4」肛門処置を併せて行った場合であっても、本区分の所定点数のみにより算定する。

K083―2 内反足足板挺子固定

(1) 内反足に対しキルシュナー鋼線等で足板挺子を固定した場合に算定する。この場合において、ギプス固定を行った場合は、その所定点数を別に算定する。

(2) 区分番号「J118」介達牽引、区分番号「J118―2」矯正固定、区分番号「J118―3」変形機械矯正術、区分番号「J119」消炎鎮痛等処置、区分番号「J119―2」腰部又は胸部固定帯固定、区分番号「J119―3」低出力レーザー照射又は区分番号「J119―4」肛門処置を併せて行った場合であっても、本区分の所定点数のみにより算定する。

K088 切断四肢再接合術

切断四肢再接合術は、顕微鏡下で行う手術の評価を含む。

K089 爪甲除去術

爪甲白せん又は爪床間に「とげ」等が刺さった場合の爪甲除去で、麻酔を要しない程度のものは区分番号「J001―7」爪甲除去(麻酔を要しないもの)により算定する。

K096―2 体外衝撃波疼痛治療術

(1) 治療に要した日数又は回数にかかわらず一連のものとして算定する。再発により2回目以降算定する場合には、少なくとも3か月以上あけて算定する。

(2) 保存療法の開始日及び本治療を選択した医学的理由並びに2回目以降算定する場合にはその理由を診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載すること。なお、本手術に併せて行った区分番号「J119」消炎鎮痛等処置については、別に算定できない。

K099 指瘢痕拘縮手術

(1) 単なる拘縮に止まらず運動制限を伴う場合に算定する。

(2) 本手術には、Z形成術のみによるもの及び植皮術を要するものが含まれる。

K099―2 デュプイトレン拘縮手術

運動障害を伴う手掌・手指腱膜の線維性増殖による拘縮(デュプイトレン拘縮)に対して、指神経、指動静脈を剥離しながら拘縮を解除し、Z形成術等の皮膚形成術を行った場合に算定する。

K117―2 頸椎非観血的整復術

頸椎椎間板ヘルニア及び頸椎骨軟骨症の新鮮例に対する頸椎の非観血的整復術(全麻、牽引による)を行った場合に算定する(手術の前処置として変形機械矯正術(垂直牽引、グリソン係蹄使用)を行った場合を除く。)。

なお、頸腕症候群及び五十肩に対するものについては算定できない。

K126―2 自家培養軟骨組織採取術

自家培養軟骨を作製するために、患者の軟骨から組織を採取した場合は、採取した回数にかかわらず、一連のものとして算定する。

K133―2 後縦靱帯骨化症手術(前方進入によるもの)

頸椎又は胸椎の1又は2以上の椎間に係る後縦靱帯骨化症に対して、前方又は前側方から病巣に到達した場合に算定する。

K134 椎間板摘出術

椎間板摘出術の「4」経皮的髄核摘出術については、1椎間につき2回を限度とする。

K134―4 椎間板内酵素注入療法

適正使用ガイドを遵守して実施した場合に限り算定する。

K141―2 寛骨臼移動術

寛骨臼全体を移動させ関節軟骨で骨頭の被覆度を高め安定した股関節を再建するものであり、寛骨臼回転骨切り術、寛骨臼球状骨切り術、ホフ骨切り術、ガンツ骨切り術、スティールのトリプル骨切り術、サルター骨切り術等を行った場合に算定する。

K142 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。)

(1) 「2」後方又は後側方固定から「4」前方後方同時固定までの各区分に掲げる手術の費用には、当該手術を実施した椎間に隣接する椎弓に係る「5」椎弓切除及び「6」椎弓形成の費用が含まれる。

例1 第10胸椎から第12胸椎までの後方固定及び第11胸椎の椎弓切除を実施した場合の算定例

下記ア及びイを合算した点数を算定する。

ア 「2」後方又は後側方固定の所定点数

イ 「2」後方又は後側方固定の所定点数の100分の50に相当する点数

例2 第10胸椎から第12胸椎までの後方固定及び第9胸椎の椎弓切除を実施した場合の算定例

下記のア、イ及びウを合算した点数を算定する。

ア 「2」後方又は後側方固定の所定点数

イ 「2」後方又は後側方固定の所定点数の100分の50に相当する点数

ウ 「5」椎弓切除の所定点数の100分の50に相当する点数

(2) 骨形成的片側椎弓切除術及び髄核摘出術を併せて2椎間に行った場合は、区分番号「K186」脊髄硬膜内神経切断術に準じて算定する。

K142―2 脊椎側彎症手術

(1) 「注」に規定する胸郭変形矯正用材料を用いた場合とは、「2」の「ロ」交換術を行う場合を指しており、「1」の場合には適用されない。

(2) 矯正術を前提として行われるアンカー補強手術(foundation作成)は区分番号「K142」脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。)の「2」後方又は後側方固定にて算定する。また、その一連の治療として数か月後に行われる矯正術は「2」の「ロ」交換術にて算定する。

(3) 「2」の「ロ」交換術とは、患者の成長に伴い、ロッド又はグレードルを含めた全体の交換が必要となった場合の術式を指す。一部のクリップ等を交換し、固定位置の調整等を行った場合は「ハ」伸展術にて算定する。

K142―6 歯突起骨折骨接合術

歯突起骨折に対して、椎間の可動域を温存しながら骨接合術を行った場合に算定する。

K142―7 腰椎分離部修復術

腰椎分離症に対して、椎間の可動域を温存しながら修復術を行った場合に算定する。

K144 体外式脊椎固定術

(1) 体外式脊椎固定術は、ハローペルビック牽引装置、ハローベスト等の器械・器具を使用して脊椎の整復固定を行った場合に算定する。この場合において、当該器械・器具の費用は所定点数に含まれる。

(2) ベスト式の器械・器具に用いられるベスト部分は、その患者のみの使用で消耗する程度のものに限り副木として算定できる。

第3款 神経系・頭蓋

第3款 神経系・頭蓋の手術において神経内視鏡を使用した場合の当該神経内視鏡に係る費用は、当該手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。

K145 穿頭脳室ドレナージ術

(1) 穿頭術の手技料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 当該手術は、初回実施に限り算定し、2回目以降の処置に係るドレナージについては、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

K147 穿頭術(トレパナチオン)

(1) 穿頭術又は開頭術を行い、脳室穿刺を行った場合の手技料は当該手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 穿頭術における穿頭とは穿頭器を用いて穿孔することのみをいう。

(3) 穿頭による慢性硬膜下血腫洗浄・除去術は、区分番号「K164―2」慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術により算定する。

K148 試験開頭術

(1) 試験開頭術における開頭とは、穿頭器以外の器具を用いて広範囲に開窓することをいう。

(2) 区分番号「K147」穿頭術及び本手術を同時又は短時間の間隔をおいて2か所以上行った場合の点数は、本区分の所定点数のみにより1回に限り算定する。

K149―2 後頭蓋窩減圧術

キアリ奇形を伴う脊髄空洞症に対して行った場合に算定する。

K151―2 広範囲頭蓋底腫瘍切除・再建術

広範囲頭蓋底腫瘍切除・再建術は、次のような手術を行った場合に算定する。

ア 眼窩内又は副鼻腔に及ぶ腫瘍に対する眼窩内又は副鼻腔を含む前頭蓋底切除による腫瘍摘出及び再建術

イ 海綿静脈洞に及ぶ腫瘍に対する海綿静脈洞の開放を伴う腫瘍切除及び再建術

ウ 錐体骨・斜台の腫瘍に対する経口的腫瘍摘出又は錐体骨削除・S状静脈洞露出による腫瘍摘出及び再建術

エ 頸静脈孔周辺部腫瘍に対するS状静脈洞露出を伴う頸静脈孔開放術による腫瘍摘出及び再建術

K154 機能的定位脳手術

(1) 脳性小児麻痺に対するレンズ核破壊術若しくはパーキンソニズム、振戦麻痺等の不随意運動又は筋固縮に対する脳淡蒼球内オイルプロカイン注入療法(脳深部定位手術)を行った場合は、本区分により算定する。

(2) 機能的定位脳手術に係る特殊固定装置による固定及び穿頭並びに穿刺、薬剤注入に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。ただし、手術前に行うエックス線撮影及びフィルムによる注入部位の位置計測については、第2章第4部画像診断のエックス線診断料により別に算定できる。

K154―4 集束超音波による機能的定位脳手術

(1) 薬物療法で十分に効果が得られない本態性振戦及びパーキンソン病の患者に対し、振戦症状の緩和を目的として、視床を標的としたMRガイド下集束超音波治療器による機能的定位脳手術を行った場合に、患者1人につき1回に限り算定する。

(2) 薬物療法で十分に効果が得られないパーキンソン病の患者であって、脳深部刺激術が不適応の患者に対し、運動症状の緩和を目的として、淡蒼球を標的としたMRガイド下集束超音波治療器による機能的定位脳手術を行った場合に、患者1人につき1回に限り算定する。

(3) 関連学会の定める適正使用指針を遵守し、振戦の診断や治療に関して、専門の知識及び少なくとも5年以上の経験を有し、関連学会が定める所定の研修を修了している常勤の脳神経外科の医師が実施した場合に限り算定する。

K155 脳切截術(開頭して行うもの)

本手術を両側同時に施行した場合は、片側ごとに所定点数を算定する。

K160―2 頭蓋内微小血管減圧術

後頭蓋窩の顔面神経又は三叉神経への微小血管圧迫に起因する顔面痙攣又は三叉神経痛に対して、後頭下開頭による神経減圧術を行った場合に算定する。

K164 頭蓋内血腫除去術(開頭して行うもの)

定位的脳内血腫除去術を行った場合は、区分番号「K164―4」定位的脳内血腫除去術により算定する。

K169 頭蓋内腫瘍摘出術

「注1」に規定する脳腫瘍覚醒下マッピング加算を算定する場合は、区分番号「K930」脊髄誘発電位測定等加算は算定できない。

K172 脳動静脈奇形摘出術

「2」については、SM―Grade3から5の患者に対して実施した場合であって、当該手術について十分な経験を有する医師により実施されたときに算定する。なお、画像所見及び手術の概要を診療報酬明細書の摘要欄に記載又は添付すること。

K174 水頭症手術

脳室穿破術、脳室腹腔シャント手術、脳室心耳シャント手術又は腰部くも膜下腔腹腔シャント手術を行った場合に算定する。

K174―2 髄液シャント抜去術

水頭症に対してシャント手術を実施した後、経過良好のためカテーテルを抜去した場合に算定する。

K176 脳動脈瘤流入血管クリッピング(開頭して行うもの)

本手術は、開頭の部位数又は使用したクリップの個数にかかわらず、クリッピングを要する病変の箇所数に応じて算定する。

K177 脳動脈瘤頸部クリッピング

(1) 「注2」に規定するローフローバイパス術併用加算は、本手術に際し、親血管より末梢側の血流を確保するため、頭皮から採取した血管を用いた頭蓋外・頭蓋内血管吻合を併せて行った場合に算定する。

(2) 「注3」に規定するハイフローバイパス術併用加算は、本手術に際し、親血管より末梢側の血流を確保するため、上肢又は下肢から採取した血管を用いた頭蓋外・頭蓋内血管吻合を併せて行った場合に算定する。

(3) 「注2」及び「注3」におけるバイパス造成用自家血管の採取料については、当該所定点数に含まれ別に算定できない。

K178 脳血管内手術

(1) 脳動脈瘤、脳動静脈奇形等の脳血管異常に対して、血管内手術用カテーテルを用いて手術を行った場合に算定する。

(2) 脳血管内ステントを用いて脳血管内手術を行った場合には、手術を行った箇所数にかかわらず、「3」を算定する。

K178―2 経皮的脳血管形成術

頭蓋内の椎骨動脈又は内頸動脈の狭窄に対して、経皮的脳血管形成術用カテーテルを用いて経皮的脳血管形成術を行った場合に算定する。

K178―5 経皮的脳血管ステント留置術

経皮的脳血管ステント留置術は、脳血管用ステントセットを用いて経皮的脳血管ステント留置術を行った場合に算定する。なお、実施に当たっては、関係学会の定める診療に関する指針を遵守すること。

K181 脳刺激装置植込術

薬物療法、他の外科療法及び神経ブロック療法の効果が認められない慢性難治性疼痛又は振戦等の神経症状の除去若しくは軽減、或いはてんかん治療を目的として行った場合に算定する。

K181―3 頭蓋内電極抜去術

本手術は、電極の抜去のみを目的として開頭術を行った場合に算定する。なお、それ以外の場合にあっては、併せて行った開頭術(脳刺激装置植込術及び頭蓋内電極植込術を含む。)の所定点数に含まれ、別に算定できない。

K181―4 迷走神経刺激装置植込術

(1) 本手術は、てんかん外科治療に関する専門の知識及び5年以上の経験を有する医師により行われた場合に算定する。また、当該手術の実施に当たっては、関連学会の定める実施基準に準じること。

(2) 以下のアからキの全てを満たす閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者に対し、関係学会の定める舌下神経電気刺激装置適正使用指針に基づき、舌下神経電気刺激装置を植え込む手術を実施した場合、本区分の所定点数を準用して算定する。

ア 無呼吸低呼吸指数が20以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群であること。

イ CPAP療法が不適又は不忍容であること。

ウ 扁桃肥大等の重度の解剖学的異常がないこと。

エ 18歳以上であること。

オ BMIが30未満であること。

カ 薬物睡眠下内視鏡検査で軟口蓋の同心性虚脱を認めないこと。

キ 中枢性無呼吸の割合が25%以下であること。

(3) (2)の舌下神経電気刺激装置を植え込む手術については、関係学会の定める舌下神経電気刺激装置適正使用指針に基づき、耳鼻咽喉科又は頭頸部外科について5年以上の経験を有し、本治療に関する所定の研修を修了している常勤の医師が実施すること。なお、当該医師の所定の講習修了を証する文書の写しを診療報酬明細書に添付すること。

K181―6 頭蓋内電極植込術

「2」の「ロ」の実施に当たっては、原則として能動的定位装置を用いる等、関連学会の定める指針を遵守すること。なお、当該手術について十分な経験を有する医師により実施された場合に算定する。

K182―2 神経交差縫合術

交通事故等により腕神経叢が根部で切断された病状で、患側の肋間神経を剥離し、易動性にし、切断部より末梢部において神経縫合した場合等、末梢神経損傷に対し、他の健常な神経を遊離可動化し、健常神経の末梢端と損傷神経の中枢端を縫合した場合に算定する。

K182―3 神経再生誘導術

神経再生誘導術は、神経再生誘導材を用いて神経再建を実施した場合に算定する。

K188―2 硬膜外腔癒着剥離術

(1) 経皮的にカテーテルを用いて機械的な癒着剥離を含む硬膜外腔の癒着剥離を透視下に実施した場合に算定する。

(2) 経皮的にカテーテルを硬膜外腔に挿入し局所麻酔剤の注入等を行った場合であっても、機械的な癒着剥離を含む硬膜外腔の癒着剥離を目的としない場合は、第11部麻酔第2節神経ブロック料により算定する。

K190 脊髄刺激装置植込術

(1) 薬物療法、他の外科療法及び神経ブロック療法の効果が認められない慢性難治性疼痛の除去又は軽減を目的として行った場合に算定する。

(2) 試験刺激を実施し、効果判定時に効果なしと判断されリードを抜去した場合、その費用は「1」の所定点数に含まれ別に算定できない。

K190―6 仙骨神経刺激装置植込術

(1) 医師の指示に従い、自ら送信機を使用することで便失禁又は過活動膀胱に対するコントロールを行う意思のある者であって、保存的療法が無効又は適用できない患者に対して実施する場合に限り算定できる。なお、自ら送信機を使用することができない患者に対して実施する場合は算定できない。

(2) 患者自身により記載された同意書を診療録に添付すること。

(3) リードの抜去に要する費用は所定点数に含まれる。試験刺激を実施し、効果判定時に効果なしと判断されリードを抜去した場合、その費用は「1」の所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 実施に当たっては、関係学会の定める診療に関する指針を遵守すること。

K190―7 仙骨神経刺激装置交換術

医師の指示に従い、自ら送信機を使用することで便失禁又は過活動膀胱に対するコントロールを行う意思のある者であって、保存的療法が無効又は適用できない患者に対して実施する場合であって、関係学会の定める診療に関する指針に従って実施した場合に限り算定できる。なお、自ら送信機を使用することができない患者に対して実施する場合は算定できない。

K193―2 レックリングハウゼン病偽神経腫切除術(露出部)、K193―3 レックリングハウゼン病偽神経腫切除術(露出部以外)

(1) 「露出部」とは区分番号「K000」創傷処理の「注2」の「露出部」と同一の部位をいう。

(2) 近接密生しているレックリングハウゼン病偽神経腫については、1個として取り扱い、他の手術等の点数と著しい不均衡を生じないようにする。

(3) 露出部と露出部以外が混在する患者については、露出部に係る長さが全体の50%以上の場合は、区分番号「K193―2」の所定点数により算定し、50%未満の場合は、区分番号「K193―3」の所定点数により算定する。

K196 交感神経節切除術

下腹部神経叢切除術又はコット手術にクレニッヒ手術を併せて行った場合は、交感神経節切除術の「3」により算定する。

K196―5 末梢神経遮断(挫滅又は切断)術(浅腓骨神経、深腓骨神経、後脛骨神経又は腓腹神経に限る。)

疼痛に対して行う末梢神経遮断(挫滅又は切断)術は、浅腓骨神経、深腓骨神経、後脛骨神経又は腓腹神経の場合に限り算定する。なお、浅腓骨神経、深腓骨神経、後脛骨神経及び腓腹神経を同時に遮断した場合には、それぞれ別に所定点数を算定する。

第4款 眼

K200―2 涙点プラグ挿入術、涙点閉鎖術

(1) 乾性角結膜炎(シルマーテスト第1法変法5mm以下、又はローズベンガル染色試験++以上)及びシェーグレン症候群に対して行った場合に算定する。

(2) 上下涙点に実施した場合も含め1回のみの算定とする。

K208 麦粒腫切開術

数か所の切開も同一瞼内にあるものについては1回として算定する。

K212 兎眼矯正術

兎眼症に対して瞼板縫合術を行った場合は、本区分により算定する。

K214 霰粒腫摘出術

数か所の切開も同一瞼内にあるものについては1回として算定する。

K228 眼窩骨折整復術

陳旧性の変形治癒骨折に対して整復術を実施した場合に算定する。

K259 角膜移植術

(1) 角膜を採取・保存するために要する費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 角膜を移植する場合においては、「眼球提供者(ドナー)適応基準について」(平成12年1月7日健医発第25号厚生労働省保健医療局長通知)、「眼球のあっせん技術指針について」(平成12年1月7日健医発第26号厚生労働省保健医療局長通知)を遵守している場合に限り算定する。

(3) 眼科用レーザー角膜手術装置により角膜切片を作成し、角膜移植術を行った場合は、「注1」に規定するレーザー使用加算を併せて算定する。

(4) 水疱性角膜症の患者に対して、角膜内皮移植を実施した場合は、「注2」に規定する内皮移植加算を算定できる。

(5) 角膜上皮幹細胞疲弊症に対して自家培養角膜上皮移植又は自家培養口腔粘膜上皮移植を行った場合は本区分の所定点数を準用して算定する。この場合にあっては、「注1」に規定するレーザー使用加算及び「注2」に規定する内皮移植加算は適用しない。

(6) 自家培養角膜上皮移植の実施に際して、角膜輪部組織採取のみに終わり角膜移植術に至らない場合については、区分番号「K246」に掲げる角膜・強膜縫合術の所定点数を準用して算定する。

(7) 自家培養口腔粘膜上皮移植の実施に際して、口腔粘膜組織採取のみに終わり角膜移植術に至らない場合については、区分番号「K423」に掲げる頬腫瘍摘出術の「1」粘液嚢胞摘出術の所定点数を準用して算定する。

(8) 自家培養口腔粘膜上皮移植の実施に際して、自家培養口腔粘膜上皮移植を行った保険医療機関と口腔粘膜組織採取を行った保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、自家培養口腔粘膜上皮移植を行った保険医療機関で行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K260 強膜移植術

(1) 強膜を採取・保存するために要する費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 強膜を移植する場合においては、「眼球提供者(ドナー)適応基準について」(平成12年1月7日健医発第25号厚生労働省保健医療局長通知)、「眼球のあっせん技術指針について」(平成12年1月7日健医発第26号厚生労働省保健医療局長通知)及び日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。

K260―2 羊膜移植術

(1) スティーヴンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、熱・化学外傷瘢痕、再発翼状片、角膜上皮欠損(角膜移植によるものを含む。)、角膜穿孔、角膜化学腐食、角膜瘢痕、瞼球癒着、結膜上皮内過形成、結膜腫瘍等であって、羊膜移植以外では治療効果が期待できないものに対して実施した場合に算定する。

(2) 日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」等関連学会から示されている基準等を遵守している場合に限り算定する。

(3) 羊膜採取料及び組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(4) 羊膜を採取・保存するために要する全ての費用は、所定点数に含まれ別に請求できない。

K268 緑内障手術

(1) 「6」水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術は、1眼に白内障及び緑内障がある患者に対して、水晶体再建術と同時に眼内ドレーン挿入術を関連学会の作成した使用要件基準に従って行った場合に限り算定する。なお、水晶体再建術の技術料は当該点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 「6」水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術を行った際は、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書に症状詳記を添付する。

(3) 眼内レンズ及び眼内ドレーンの費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K276 網膜光凝固術

(1) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいう。例えば、糖尿病性網膜症に対する汎光凝固術の場合は、1週間程度の間隔で一連の治療過程にある数回の手術を行うときは、1回のみ所定点数を算定するものであり、その他数回の手術の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 「2」その他特殊なものとは、裂孔原性網膜剥離、円板状黄斑変性症、網膜中心静脈閉鎖症による黄斑浮腫、類嚢胞黄斑浮腫及び未熟児網膜症に対する網膜光凝固術並びに糖尿病性網膜症に対する汎光凝固術を行うことをいう。

K277―2 黄斑下手術

黄斑下手術は、中心窩下新生血管膜を有する疾患(加齢黄斑変性症等)又は黄斑下血腫に対して行った場合に算定する。

K280―2 網膜付着組織を含む硝子体切除術(眼内内視鏡を用いるもの)

当該手術は、高度の角膜混濁あるいは裂傷などにより、眼底の透見が困難な網膜硝子体疾患に対して行った場合に算定する。また、当該手術を行った際には、診療報酬明細書の摘要欄に、当該術式を選択した理由について詳細に記載すること。

K281―2 網膜再建術

(1) 未熟児網膜症、先天異常に伴う網膜剥離(主に家族性滲出性硝子体網膜症又は第1次硝子体過形成遺残)及び外傷による眼球破裂に対して実施した場合に算定する。なお、未熟児網膜症及び先天異常に伴う網膜剥離にあっては、線維血管増殖によって起こる、黄斑を脅かす網膜部分剥離又は網膜全剥離の状態をいい、眼球破裂例にあっては強膜の3分の1を超える破裂創があり、眼球内容物の脱出を認める状態をいう。

(2) 関係学会の定める指針を遵守すること。

K282 水晶体再建術

(1) 1眼に白内障及び斜視があり両者に対する手術を同時に行った場合は、別に算定できる。ただし、斜視手術が保険給付の対象となる場合に限る。

(2) 眼内レンズの費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 「1」の「イ」の縫着レンズを挿入するものについては、眼内レンズを縫着し挿入した場合に算定する。

(4) 「3」の計画的後嚢切開を伴う場合は、16歳未満の患者に対して行われた場合に限り算定する。

(5) 「注1」に規定する加算は、チン小帯の脆弱・断裂を有する症例に対して、水晶体嚢拡張リングを用いて水晶体再建術を実施した場合に算定する。なお、水晶体嚢拡張リングを使用した場合は、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書に症状詳記を添付すること。

(6) 「注2」に規定する加算は、水晶体偏位又は眼内レンズ偏位の患者に対して、高次収差解析を行った場合は、「1」の「イ」の縫着レンズを挿入するものの手術の前後それぞれ1回に限り算定する。なお、水晶体偏位又は眼内レンズ偏位が疑われた場合であっても、当該手術を行わなかったときは、当該加算は算定できない。

K282―2 後発白内障手術

後発白内障切開術(観血的)は当該区分に準じて算定する。

第5款 耳鼻咽喉

K296 耳介形成手術

耳介形成手術は、耳輪埋没症、耳垂裂等に対して行った場合に算定する。

K305 乳突削開術

関連学会の定める適応基準に合致する難聴患者に対し、植込型骨導補聴器(直接振動型)を植え込む手術を実施した場合、本区分の所定点数を準用して算定する。

K311 鼓膜穿孔閉鎖術(一連につき)

トラフェルミン(遺伝子組換え)を用いた鼓膜穿孔閉鎖に当たっては、6か月以上続く鼓膜穿孔であって、自然閉鎖が見込まれない患者のうち、当該鼓膜穿孔が原因の聴力障害を来し、かつ本剤による鼓膜穿孔閉鎖によって聴力障害の改善が見込まれる者に対して実施した場合に限り、本区分の所定点数により算定する。なお、診療報酬請求に当たっては、診療報酬明細書に本剤による鼓膜穿孔閉鎖を実施する医学的必要性の症状詳記を添付すること。

K318 鼓膜形成手術

(1) 鼓膜形成手術に伴う鼓膜又は皮膚の移植については、別に算定できない。

(2) 耳翼後面から植皮弁を採りWullsteinの鼓室形成手術の第1型とほぼ同様の操作(ただ鼓膜の上皮のみを除去することが異なる。)で、鼓膜形成手術を行った場合は、区分番号「K319」鼓室形成手術により算定する。

(3) 保存的治療が奏功しない難治性耳管開放症の症状改善を目的に耳管用補綴材を耳管内に留置した場合は、本区分の所定点数を準用して算定する。

K319 鼓室形成手術

鼓室形成手術に伴う皮膚の移植については、算定できない。

K328―3 植込型骨導補聴器交換術

接合子付骨導端子又は骨導端子の交換術を実施した場合に算定し、音振動変換器のみ交換した場合は算定できない。

K338 鼻甲介切除術、K339 粘膜下下鼻甲介骨切除術

(1) 慢性肥厚性鼻炎兼鼻茸に対して、区分番号「K338」鼻甲介切除術及び区分番号「K340」鼻茸摘出術を併施した場合は、それぞれの所定点数を別に算定する。

(2) 区分番号「K338」鼻甲介切除術又は区分番号「K339」粘膜下下鼻甲介骨切除術を副鼻腔手術と併施した場合においては、鼻甲介切除術又は粘膜下下鼻甲介骨切除術を副鼻腔手術の遂行上行う場合以外は同一手術野とはみなさず、それぞれの所定点数を別に算定する。

K340 鼻茸摘出術

高周波電磁波で行う場合にあっても本区分により算定する。

K340―3 内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅰ型(副鼻腔自然口開窓術)、K340―4 内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅱ型(副鼻腔単洞手術)、K340―5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅲ型(選択的(複数洞)副鼻腔手術)、K340―6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅳ型(汎副鼻腔手術)、K340―7 内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅴ型(拡大副鼻腔手術)

区分番号「K340―3」から「K340―7」までに掲げる手術を同時に実施した場合は、主たるもののみ算定する。

K347―2 変形外鼻手術

(1) 先天性の高度斜鼻・鞍鼻、口唇裂外鼻又は上顎洞・外鼻の悪性腫瘍術後等による機能障害を伴う外鼻の変形に対して、機能回復を目的として外鼻形成を行った場合に算定する。なお、外傷等による骨折治癒後の変形等に対するものは、区分番号「K334―2」鼻骨変形治癒骨折矯正術により算定する。

(2) 単なる美容を目的とするものは保険給付の対象とならない。

K352―3 副鼻腔炎術後後出血止血法

副鼻腔炎術後の後出血(手術日の翌日以後起った場合をいう。)が多量で、必要があって再び術創を開く場合に算定する。

K361 上顎洞篩骨洞蝶形洞根治手術

区分番号「K353」鼻内篩骨洞根治手術、及び区分番号「K352―2」鼻内上顎洞根治手術を併施した場合は、本区分により算定する。

K377 口蓋扁桃手術

(1) 扁桃除去を行った当日における止血については算定できない。

(2) 口蓋扁桃手術を行った日の翌日以降の後出血が多量で、やむを得ず再び術創を開く場合における止血術は、区分番号「K367」咽後膿瘍切開術に準じて算定する。

K386 気管切開術

気管切開術後カニューレを入れた数日間の処置(単なるカニューレの清拭でない)は、区分番号「J000」創傷処置における手術後の患者に対するものにより算定する。

K386―2 輪状甲状靱帯切開術

気道確保のための輪状甲状靱帯膜穿刺を行った場合は、本区分により算定する。

K388―2 喉頭粘膜下軟骨片挿入術

反回神経麻痺に対し、声帯固定のため甲状軟骨を左右に分離し、喉頭側軟骨膜下に甲状軟骨より取り出した小軟骨片を挿入した場合に算定する。

K389 喉頭・声帯ポリープ切除術

喉頭ポリープが左右の声帯にあるときは、各側ごとに算定できる。

第6款 顔面・口腔・頸部

K407―2 軟口蓋形成手術

いびきに対して軟口蓋形成手術を行った場合に算定する。

K423 頬腫瘍摘出術

皮膚又は皮下にある腫瘍の摘出術は、区分番号「K005」皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)又は区分番号「K006」皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)により算定する。

K429―2 下顎関節突起骨折観血的手術

「2」両側は、両側の下顎関節突起骨折について観血的に手術を行った場合に算定する。

K434 顔面多発骨折観血的手術

顔面多発骨折観血的手術は、上下顎の同時骨折の場合等複数の骨に対して観血的に手術を行った場合に算定する。

K443 上顎骨形成術

(1) 「1」単純な場合とは上顎骨発育不全症又は外傷後の上顎骨後位癒着等に対し、Le FortⅠ型切離により移動を図る場合をいう。

(2) 「注1」に規定する加算は、上顎骨発育不全症、外傷後の上顎骨後位癒着、上顎前突症、開咬症又は過蓋咬合症等に対し、Le FortⅠ型切離を行い、上顎骨を複数に分割して移動させた場合に算定する。

(3) 「2」複雑な場合及び2次的再建の場合とは、「1」と同様の症例に対し、Le FortⅡ型若しくはLe FortⅢ型切離により移動する場合又は悪性腫瘍手術等による上顎欠損症に対し2次的骨性再建を行う場合をいう。

K444―2 下顎骨延長術

仮骨延長法を用いて下顎骨を延長・形成する場合に算定する。

K446 顎関節授動術

(1) 「1」の「ロ」パンピングを併用した場合とは、顎関節の運動障害を有する患者に対して、パンピング(顎関節腔に対する薬液の注入、洗浄)を行いながら、徒手的に顎関節の授動を図ったものをいう。

(2) 「1」の「ハ」関節腔洗浄療法を併用した場合とは、局所麻酔下で上関節腔に注射針を2本刺入し、上関節腔を薬剤にて自然灌流することにより顎関節可動域の増加又は除痛を目的とするものをいう。

K450 唾石摘出術

(1) 「1」表在性のものとは、導管開口部付近に位置する唾石をいう。

(2) 「2」深在性のものとは、腺体付近の導管等に位置する唾石をいう。

(3) 所期の目的を達するために複数回実施した場合であっても、一連として算定する。

K469 頸部郭清術

(1) 頸部郭清術(ネックディセクション)とは、頸部リンパ節群が存在する頸部領域の腫瘍細胞を根絶するため、当該領域の組織(筋、リンパ節、静脈、脂肪、結合織等)を広範囲に摘出することをいう。

(2) 頸部郭清術を他の手術に併せて行った場合は、手術の「通則9」に規定されている所定点数を算定するものとし、独立して行った場合には本区分の所定点数を算定する。

(3) 他の手術に併せて行った頸部リンパ節の単なる郭清は手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。なお、単独に行った場合は、区分番号「K627」リンパ節群郭清術の「2」により算定する。

第7款 胸部

K474―3 乳腺腫瘍画像ガイド下吸引術

(1) 乳腺腫瘍画像ガイド下吸引術は、マンモグラフィー、CT撮影、MRI撮影、超音波検査等を行った結果、乳房に非触知病変や石灰化病変などが認められる場合に、画像ガイド下(マンモグラフィー、超音波装置又はMRIに限る。)で乳房専用の吸引システムを用いて、当該乳腺組織を摘出した場合に算定する。

(2) 当該乳腺組織の確定診断や手術適用を決定することを目的として行った場合も本区分で算定する。

(3) 組織の採取に用いる保険医療材料の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 「2」は、マンモグラフィー又は超音波検査では検出できず、MRI撮影によってのみ検出できる病変が認められる患者に対して、当該病変が含まれる乳腺組織を摘出する目的で実施した場合に限り算定できる。

K476 乳腺悪性腫瘍手術

(1) 乳腺悪性腫瘍手術において、両側の腋窩リンパ節郭清術を併せて行った場合は、「7」により算定する。

(2) 「注1」に規定する乳がんセンチネルリンパ節加算1及び「注2」に規定する乳がんセンチネルリンパ節加算2については、以下の要件に留意し算定すること。

ア 触診及び画像診断の結果、腋窩リンパ節への転移が認められない乳がんに係る手術の場合のみ算定する。

イ センチネルリンパ節生検に伴う放射性同位元素の薬剤料は、区分番号「K940」薬剤により算定する。

ウ 放射性同位元素の検出に要する費用は、区分番号「E100」シンチグラム(画像を伴うもの)の「1」部分(静態)(一連につき)により算定する。

エ 摘出したセンチネルリンパ節の病理診断に係る費用は、第13部病理診断の所定点数により算定する。

K476―2 陥没乳頭形成術、再建乳房乳頭形成術

(1) 授乳障害のある陥没乳頭に対して乳頭形成を行った場合、又は乳腺悪性腫瘍手術後の再建乳房に対して二期的に乳頭形成を行った場合に算定する。

(2) 単なる美容を目的とするものは保険給付の対象とならない。

K476―3 動脈(皮)弁及び筋(皮)弁を用いた乳房再建術(乳房切除後)

乳房再建術(乳房切除後)は、動脈(皮)弁術及び筋(皮)弁術を実施した場合に算定する。なお、区分番号「K017」遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)を実施した場合は、区分番号「K017」遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)の所定点数のみを算定し、本区分の所定点数は別に算定できない。

K476―4 ゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術

(1) 乳腺腫瘍患者若しくは遺伝性乳癌卵巣癌症候群患者に対する乳房切除術又は乳腺悪性腫瘍手術後の乳房再建術にゲル充填人工乳房を用いた場合に限り算定できる。

(2) 乳腺腫瘍患者若しくは遺伝性乳癌卵巣癌症候群患者に対する乳房切除術又は乳腺悪性腫瘍手術後の乳房再建術を行う症例で、次のいずれかに該当した場合に限り算定できる。その際、次のいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ア 一次一期的再建の場合

大胸筋が温存され皮膚欠損が生じない乳輪乳頭温存皮下乳腺全摘術を行った症例。ただし、乳腺悪性腫瘍術後の場合においては、術前診断においてStageⅡ以下で、皮膚浸潤、大胸筋浸潤や高度のリンパ節転移を認めないこと。

イ 一次二期的再建の場合

乳腺全摘術時に組織拡張器が挿入され、十分に皮膚が拡張されている症例。

ウ 二次再建の場合

乳腺全摘術後で大胸筋が残存しており、初回手術で組織拡張器が挿入され十分に皮膚が拡張されているか、皮弁移植術などにより皮膚の不足が十分に補われている、あるいは十分に補われることが見込まれる症例。ただし、放射線照射により皮膚の血行や弾力性が障害されていないこと。

(3) 乳房切除術又は乳腺悪性腫瘍手術と乳房再建術を行う医療機関が異なる場合は、双方の持つ臨床情報、手術日、術式等を示す文書を相互に交付した上で、診療録に添付して保存すること。

K480―2 流注膿瘍切開掻爬術

流注膿瘍の切開掻爬術に当たって、原発巣まで追及して拡大手術を行った場合に算定する。

K482 肋骨切除術

切除した肋骨の本数にかかわらず所定点数を1回に限り算定する。また、2本以上の肋骨の切除と胸骨の掻爬を併施した場合も本区分により算定する。また、胸郭出口症候群根治術を行った場合は、当該区分にて算定する。

K486 胸壁瘻手術

非開胸で肋骨の切除を行うと否とにかかわらず本区分により算定する。

K487 漏斗胸手術

内臓の機能障害等による症状を有するものに対して行った場合に限り算定する。

K488 試験開胸術

開胸術のみを行った時点で手術を中止した場合は、本区分により算定する。

K488―3 胸腔鏡下試験開胸術

胸腔鏡による胸腔内の確認のみを行った時点で手術を中止した場合は、本区分により算定する。

K488―4 胸腔鏡下試験切除術

胸腔鏡による胸腔内の確認を行い、臓器・組織の一部を切除した時点で手術を中止した場合は、本区分により算定する。

K496―5 経皮的膿胸ドレナージ術

当該手術は初回実施に限り算定し、2回目以降の処置に係るドレナージについては、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

K499 胸郭形成手術(肺切除後遺残腔を含む。)

肺結核手術、肺切除後遺残腔等に対して行われた場合に算定する。

K507 肺膿瘍切開排膿術

肺結核空洞吸引術(モナルジー法)又は肺結核空洞切開術を行った場合は本区分で算定する。

K508―3 気管支熱形成術

(1) 18歳以上の重症喘息患者に対し、気管支熱形成術(気管支サーモプラスティ)を実施した場合に、本区分の所定点数を算定する。

(2) 気管支ファイバースコピーに要する費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K509―3 気管支内視鏡的放射線治療用マーカー留置術

気管支内視鏡的放射線治療用マーカー留置術は、放射線治療目的でマーカーを留置した場合に限り算定し、マーカー代は所定点数に含まれ、別に算定できない。

植込み型病変識別マーカーを用いて、経皮的にマーカー留置を行った場合は、気管支内視鏡的放射線治療用マーカー留置術に準じて算定する。この際、マーカー代は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K509―4 気管支瘻孔閉鎖術

(1) 気管支瘻孔閉鎖術は、気管支用充填材を用いて気管支の瘻孔閉鎖を実施した場合に算定する。

(2) 気管支ファイバースコピーに要する費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K510―2 光線力学療法

光線力学療法は、ポルフィマーナトリウムを投与した患者に対しエキシマ・ダイ・レーザー(波長630nm)及びYAG―OPOレーザーを使用した場合など、保険適用された薬剤、機器を用いて行った場合に限り算定できる。

K511 肺切除術、K517 肺縫縮術

(1) 刺創のため開腹、開胸により心筋損傷の縫合、心嚢の縫合、横隔膜の縫合、胃の腹腔内還納等の手術を併施した場合は、区分番号「K511」肺切除術の「2」により算定する。

(2) 肺切除と胸郭形成手術の併施は、区分番号「K511」肺切除術の「5」により算定する。

(3) 肺気腫に対する正中切開による肺縫縮術は、区分番号「K511」肺切除術の「1」に準じて算定する。

(4) 肺気腫に対する正中切開による肺縫縮術に当たって自動縫合器を使用した場合は、区分番号「K936」自動縫合器加算の加算点数に15個を限度として使用個数を乗じて得た点数を加算する。

K513 胸腔鏡下肺切除術

慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する治療的な胸腔鏡下肺切除術については「1」により算定する。

K513―2 胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術

(1) 胸腔鏡下胸腺摘出術(重症筋無力症に対するものを除く)については本区分で算定する。

(2) 胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術については、本区分で算定する。

K514―3 移植用肺採取術(死体)(両側)

(1) 移植用肺採取術(死体)の所定点数は、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した者の身体から肺の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 移植用肺採取術の所定点数には、脳死した者の身体から移植のための肺採取を行う際の採取前の採取対象肺の灌流、肺採取、採取肺の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用が全て含まれる。ただし、肺採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取肺を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(3) 部分肺を用いて複数の者に対する移植が行われた場合には、移植を行った保険医療機関それぞれにおいて算定する。

(4) 肺移植を行った保険医療機関と肺移植に用いる健肺を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肺移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K514―4 同種死体肺移植術

(1) 同種死体肺移植術の所定点数は、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した者の身体から肺の移植が行われた場合に限り算定する。

(2) 同種死体肺移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(3) 肺移植を行った保険医療機関と肺移植に用いる健肺を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肺移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K514―5 移植用部分肺採取術(生体)

肺移植を行った保険医療機関と肺移植に用いる健肺を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肺移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。なお、請求に当たっては、肺移植者の診療報酬明細書の摘要欄に肺提供者の療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、肺提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付すること。

K514―6 生体部分肺移植術

(1) 対象疾患は、肺動脈性肺高血圧症、肺静脈狭窄症、肺毛細血管腫症、特発性間質性肺炎、気管支拡張症、肺サルコイドーシス、肺リンパ脈管筋腫症、アイゼンメンジャー症候群、その他の間質性肺炎、閉塞性細気管支炎、じん肺、肺好酸球性肉芽腫症、びまん性汎細気管支炎、慢性血栓塞栓性肺高血圧症、多発性肺動静脈瘻、α1アンチトリプシン欠損型肺気腫、その他の肺気腫、嚢胞性線維症、肺嚢胞症、慢性過敏性肺臓炎、その他肺・心肺移植関連学会協議会で承認する進行性肺疾患である。

(2) 生体肺を移植する場合においては、日本移植学会が作成した「生体部分肺移植ガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。

(3) 生体肺を移植する場合においては肺提供者から移植肺を摘出することに係る全ての療養上の費用を所定点数により算出し、生体部分肺移植術の所定点数に加算する。なお、肺提供者の生体肺を摘出することに係る療養上の費用には、食事の提供も含まれ、具体的には、「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第99号)によって算定した費用額を10円で除して得た数と他の療養上の費用に係る点数を合計した点数とする。この場合、肺提供者から食事に係る標準負担額を求めることはできない。

(4) 生体部分肺移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(5) 肺移植を行った保険医療機関と肺移植に用いる健肺を摘出した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肺移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。なお、請求に当たっては、肺移植者の診療報酬明細書の摘要欄に肺提供者の療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、肺提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付すること。

K516 気管支瘻閉鎖術

巨大な陳旧性空洞(排菌があるものに限る。)の結核に対して、一次的胸郭形成手術(第1、第2及び第3肋骨)に、肺尖剥離、空洞切開術(空洞内容郭清)及び肺を含めた空洞縫縮術を同時に行った場合は、本区分により算定する。

K522 食道狭窄拡張術

マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K525―2 胸壁外皮膚管形成吻合術

薬物腐蝕による全食道狭窄に対して本手術を行った場合に算定する。

K526 食道腫瘍摘出術

「1」を行った場合について、マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K526―2 内視鏡的食道粘膜切除術

マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K526―3 内視鏡的表在性食道悪性腫瘍光線力学療法

内視鏡的表在性食道悪性腫瘍光線力学療法は、ポルフィマーナトリウムを投与した患者に対しエキシマ・ダイ・レーザー(波長630nm)及びYAG―OPOレーザーを使用した場合など、保険適用された薬剤、機器を用いて行った場合(タラポルフィンナトリウム及び半導体レーザー用プローブを用いた場合は除く。)に限り算定できる。

K526―4 内視鏡的食道悪性腫瘍光線力学療法

(1) タラポルフィンナトリウム及び半導体レーザー用プローブを用いて、以下のいずれにも該当する局所遺残再発食道悪性腫瘍に対して光線力学療法を実施した場合に算定する。

ア 外科的切除又は内視鏡的治療等の根治的治療が不可能であるもの

イ 壁深達度が固有筋層を越えないもの

ウ 長径が3cm以下かつ周在性が1/2周以下であるもの

エ 頸部食道に及ばないもの

オ 遠隔転移及びリンパ節転移のいずれも有さないもの

(2) 内視鏡的食道悪性腫瘍光線力学療法の実施に当たり、追加照射の要否を判定するための内視鏡検査及び追加照射に係る費用は全て所定の点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 半導体レーザー用プローブを用いて切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌に対してレーザー光照射を実施した場合は、本区分の所定点数を準用して算定する。

ア 本治療は、頭頸部外科について5年以上の経験を有し、本治療に関する所定の研修を修了している医師が実施すること。なお、その医師の所定の研修修了を証する文書の写しを診療報酬明細書に添付すること。

イ 本治療は、次のいずれにも該当する医療機関において実施すること。

① 関連学会により教育研修施設として認定されていること。

② 頭頸部外科について5年以上の経験を有し、本治療に関する所定の研修を修了している常勤の医師が1名以上配置されていること。

③ 常勤の麻酔科標榜医が1名以上配置されていること。

④ 緊急手術の体制が整備されていること。

⑤ 当該療養に用いる機器について、適切に保守管理がなされていること。

K527 食道悪性腫瘍手術(単に切除のみのもの)

単に腫瘍のみを切除した場合については、区分番号「K526」食道腫瘍摘出術で算定する。

K527―2 食道切除術(単に切除のみのもの)

(1) 一期的な食道切除再建術が困難な場合であって、食道切除術を行ったときに算定する。

(2) 大動脈ステント内挿術後であって、食道大動脈瘻に対する食道切除術を行った場合には、本区分の所定点数により算定する。

K530―2 腹腔鏡下食道アカラシア形成手術

胸腔鏡下(腹腔鏡下を含む)食道筋層切開術は本区分で算定する。

K530―3 内視鏡下筋層切開術

食道アカラシア、食道びまん性けいれん症等の食道運動機能障害を有するもの(食道の内腔が狭窄しているものに限る。)に対して実施した場合に限り算定する。

K533 食道・胃静脈瘤硬化療法(内視鏡によるもの)(一連として)

(1) 「一連」とは1週間を目安とする。治療上の必要があって初回実施後1週間を経過して実施した場合は改めて所定点数を算定する。

(2) 食道・胃静脈瘤硬化療法と区分番号「K533―2」内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術を併施した場合(一連の期間内において異なる日に実施する場合を含む。)は、主たるもののみで算定する。

(3) マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K533―2 内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術

(1) 一連の期間(概ね1週間)において、1回に限り算定する。治療上の必要があって初回実施後1週間を経過して実施した場合は改めて所定点数を算定する。

(2) マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K534―4 腹腔鏡下横隔膜電極植込術

横隔神経電気刺激装置の電極の植込みを行った場合に算定する。

第8款 心・脈管

K545 開胸心臓マッサージ

(1) 開胸心臓マッサージに併せて行った人工呼吸については、区分番号「J045」人工呼吸により別に算定する。

(2) 開胸心臓マッサージに併せて行ったカウンターショックについては、区分番号「J047」カウンターショックにより別に算定する。

K546 経皮的冠動脈形成術

(1) 一方向から造影して75%以上の狭窄病変が存在する症例に対して当該手術を行った場合に算定する。なお、医学的根拠に基づきこれ以外の症例に対して算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。

(2) 「1」の急性心筋梗塞に対するものは、次のいずれにも該当する急性心筋梗塞患者に対して実施した場合に算定する。ただし、冠動脈インターベンション治療(区分番号「K546」から「K550―2」まで)又は冠動脈バイパス術(区分番号「K552」及び「K552―2」)後24時間以内に発症した場合は「1」の急性心筋梗塞に対するものは算定できない。なお、診療報酬明細書の摘要欄にアからウまでのそれぞれについて、要件を満たす医学的根拠について記載すること。

ア 心筋トロポニンT(TnT)又は心筋トロポニンIが高値であること又は心筋トロポニンT(TnT)若しくは心筋トロポニンIの測定ができない場合であってCK―MBが高値であること。なお、診療報酬明細書の摘要欄に測定項目及びその値について記載すること。

イ 以下の(イ)から(ホ)までのいずれかに該当すること。なお、診療報酬明細書の摘要欄に該当項目及びその所見の得られた時刻を記載すること。

(イ) 胸痛等の虚血症状

(ロ) 新規のST―T変化又は新規の左脚ブロック

(ハ) 新規の異常Q波の出現

(ニ) 心臓超音波検査又は左室造影で認められる新規の心筋の可動性の低下又は壁運動異常

(ホ) 冠動脈造影で認められる冠動脈内の血栓

ウ 以下の(イ)又は(ロ)のいずれかに該当すること。なお、診療報酬明細書の摘要欄に該当項目、発症時刻、来院時刻及び再開通した時刻を記載すること。

(イ) 症状発現後12時間以内に来院し、来院からバルーンカテーテルによる責任病変の再開通までの時間(door to balloon time)が90分以内であること。

(ロ) 症状発現後36時間以内に来院し、心原性ショック(Killip分類classⅣ)であること。

(3) 「2」の不安定狭心症に対するものは、次のいずれにも該当する不安定狭心症患者に対して実施した場合に算定する。なお、診療報酬明細書の摘要欄にアからウまでのそれぞれについて、要件を満たす医学的根拠について記載すること。

ア 日本循環器学会の承認を得た非ST上昇型急性冠症候群ガイドラインにおける不安定狭心症の分類で重症度classⅠ、classⅡ又はclassⅢであること。なお、診療報酬明細書の摘要欄に重症度及びその医学的根拠を記載すること。

イ 日本循環器学会の承認を得た非ST上昇型急性冠症候群ガイドラインにおける急性冠症候群の短期リスク評価が高リスク又は中等度リスクであること。なお、診療報酬明細書の摘要欄に短期リスク評価及びその医学的根拠を記載すること。

ウ 来院から24時間以内(院内発症の場合は症状発現後24時間以内)に当該手術を開始すること。なお、診療報酬明細書の摘要欄に来院時刻及び手術開始時刻を記載すること。

(4) 「3」のその他のものは、原則として次のいずれかに該当する病変に対して実施した場合に算定することとし、診療報酬明細書の摘要欄にアからウまでのいずれかの要件を満たす医学的根拠について記載すること。なお、ウの病変に対して実施する場合は、循環器内科又は心臓血管外科を担当する医師が複数名参加するカンファレンス等により医学的な必要性を検討すること。また、実施の医学的な必要性及び検討の結果を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ア 機能的虚血の原因である狭窄病変

イ 区分番号「D206」に掲げる心臓カテーテル法における90%以上の狭窄病変

ウ その他医学的必要性が認められる病変

(5) (2)のア及びイに該当する急性心筋梗塞患者に対して、(3)のウを満たして当該手術を実施した場合は、「2」に準じて算定する。

(6) 次の表に該当する場合は、経皮的冠動脈形成術用カテーテルに係る費用は、それぞれ次の表に示す本数を算定する。なお、医学的根拠に基づきこれを上回る本数を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。


病変箇所数

経皮的冠動脈形成術用カテーテル算定本数

完全閉塞病変の場合

1箇所

2本以下

2箇所

3本以下

完全閉塞病変以外の場合

1箇所

1本以下

2箇所

2本以下

(7) 同一医療機関において、同一患者の同一標的病変に対して区分番号「K546」経皮的冠動脈形成術、区分番号「K547」経皮的冠動脈粥腫切除術、区分番号「K548」経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの)又は区分番号「K549」経皮的冠動脈ステント留置術を行う場合の合計回数は、5年間に2回以下を標準とする。なお、医学的根拠に基づきこれを超える回数の手術を実施する場合にあっては、以下の事項を診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載すること。

ア 過去の実施時期

イ 実施した手術及びそれぞれの実施時において使用した経皮的冠動脈形成術用カテーテル、アテレクトミーカテーテル、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル、エキシマレーザー血管形成用カテーテル及び冠動脈用ステントセットの使用本数

ウ 今回、経皮的冠動脈形成術を実施する理由及び医学的根拠

(8) 当該手術が、日本循環器学会、日本冠疾患学会、日本胸部外科学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心臓血管外科学会、日本心臓病学会、日本集中治療医学会、日本心臓リハビリテーション学会及び日本不整脈心電学会の承認を受けた「急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)」又は「安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)」に沿って行われた場合に限り算定する。

K547 経皮的冠動脈粥腫切除術

(1) 一方向から造影して75%以上の狭窄病変が存在する症例に対して当該手術を行った場合に算定する。なお、医学的根拠に基づきこれ以外の症例に対して算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。

(2) 同一医療機関において、同一患者の同一標的病変に対して区分番号「K546」経皮的冠動脈形成術、区分番号「K547」経皮的冠動脈粥腫切除術、区分番号「K548」経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの)又は区分番号「K549」経皮的冠動脈ステント留置術を行う場合の合計回数は、5年間に2回以下を標準とする。なお、医学的根拠に基づきこれを超える回数の手術を実施する場合にあっては、以下の事項を診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載すること。

ア 過去の実施時期

イ 実施した手術及びそれぞれの実施時において使用した経皮的冠動脈形成術用カテーテル、アテレクトミーカテーテル、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル、エキシマレーザー血管形成用カテーテル及び冠動脈用ステントセットの使用本数

ウ 今回、経皮的冠動脈粥腫切除術を実施する理由及び医学的根拠

(3) 当該手術が、日本循環器学会、日本冠疾患学会、日本胸部外科学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心臓血管外科学会、日本心臓病学会、日本集中治療医学会、日本心臓リハビリテーション学会及び日本不整脈心電学会の承認を受けた「急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)」又は「安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)」に沿って行われた場合に限り算定する。

K548 経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの)

(1) 同一医療機関において、同一患者の同一標的病変に対して区分番号「K546」経皮的冠動脈形成術、区分番号「K547」経皮的冠動脈粥腫切除術、区分番号「K548」経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの)又は区分番号「K549」経皮的冠動脈ステント留置術を行う場合の合計回数は、5年間に2回以下を標準とする。なお、医学的根拠に基づきこれを超える回数の手術を実施する場合にあっては、以下の事項を診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載すること。

ア 過去の実施時期

イ 実施した手術及びそれぞれの実施時において使用した経皮的冠動脈形成術用カテーテル、アテレクトミーカテーテル、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル、エキシマレーザー血管形成用カテーテル及び冠動脈用ステントセットの使用本数

ウ 今回、経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの)を実施する理由及び医学的根拠

(2) 当該手術が、日本循環器学会、日本冠疾患学会、日本胸部外科学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心臓血管外科学会、日本心臓病学会、日本集中治療医学会、日本心臓リハビリテーション学会及び日本不整脈心電学会の承認を受けた「急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)」又は「安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)」に沿って行われた場合に限り算定する。

K549 経皮的冠動脈ステント留置術

(1) 一方向から造影して75%以上の狭窄病変が存在する症例に対して当該手術を行った場合に算定する。なお、医学的根拠に基づきこれ以外の症例に対して算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。

(2) 「1」の急性心筋梗塞に対するものは、次のいずれにも該当する急性心筋梗塞患者に対して実施した場合に算定する。ただし、冠動脈インターベンション治療(区分番号「K546」から「K550―2」まで)又は冠動脈バイパス術(区分番号「K552」及び「K552―2」)後24時間以内に発症した場合は「1」の急性心筋梗塞に対するものは算定できない。なお、診療報酬明細書の摘要欄にアからウまでのそれぞれについて、要件を満たす医学的根拠について記載すること。

ア 心筋トロポニンT(TnT)又は心筋トロポニンIが高値であること又は心筋トロポニンT(TnT)若しくは心筋トロポニンIの測定ができない場合であってCK―MBが高値であること。なお、診療報酬明細書の摘要欄に測定項目及びその値について記載すること。

イ 以下の(イ)から(ホ)までのいずれかに該当すること。なお、診療報酬明細書の摘要欄に該当項目及びその所見の得られた時刻を記載すること。

(イ) 胸痛等の虚血症状

(ロ) 新規のST―T変化又は新規の左脚ブロック

(ハ) 新規の異常Q波の出現

(ニ) 心臓超音波検査又は左室造影で認められる新規の心筋の可動性の低下又は壁運動異常

(ホ) 冠動脈造影で認められる冠動脈内の血栓

ウ 以下の(イ)又は(ロ)のいずれかに該当すること。なお、診療報酬明細書の摘要欄に該当項目、発症時刻、来院時刻及び再開通した時刻を記載すること。

(イ) 症状発現後12時間以内に来院し、来院からバルーンカテーテルによる責任病変の再開通までの時間(door to balloon time)が90分以内であること。

(ロ) 症状発現後36時間以内に来院し、心原性ショック(Killip分類classⅣ)であること。

(3) 「2」の不安定狭心症に対するものは、次のいずれにも該当する不安定狭心症患者に対して実施した場合に算定する。なお、診療報酬明細書の摘要欄にアからウまでのそれぞれについて、要件を満たす医学的根拠について記載すること。

ア 日本循環器学会の承認を得た非ST上昇型急性冠症候群ガイドラインにおける不安定狭心症の分類で重症度classⅠ、classⅡ又はclassⅢであること。なお、診療報酬明細書の摘要欄に重症度及びその医学的根拠を記載すること。

イ 日本循環器学会の承認を得た非ST上昇型急性冠症候群ガイドラインにおける急性冠症候群の短期リスク評価が高リスク又は中等度リスクであること。なお、診療報酬明細書の摘要欄に短期リスク評価及びその医学的根拠を記載すること。

ウ 来院から24時間以内(院内発症の場合は症状発現後24時間以内)に当該手術を開始すること。なお、診療報酬明細書の摘要欄に来院時刻及び手術開始時刻を記載すること。

(4) 「3」のその他のものは、原則として次のいずれかに該当する病変に対して実施した場合に算定することとし、診療報酬明細書の摘要欄にアからウまでのいずれかの要件を満たす医学的根拠について記載すること。なお、ウの病変に対して実施する場合は、循環器内科又は心臓血管外科を担当する医師が複数名参加するカンファレンス等により医学的な必要性を検討すること。また、実施の医学的な必要性及び検討の結果を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

ア 機能的虚血の原因である狭窄病変

イ 区分番号「D206」に掲げる心臓カテーテル法における90%以上の狭窄病変

ウ その他医学的必要性が認められる病変

(5) (2)のア及びイに該当する急性心筋梗塞患者に対して、(3)のウを満たして当該手術を実施した場合は、「2」に準じて算定する。

(6) 次の表に該当する場合は、経皮的冠動脈形成術用カテーテル及び冠動脈用ステントセットに係る費用は、それぞれ次の表に示す本数及びセット数を算定する。なお、医学的根拠に基づきこれ以上の本数を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的根拠を詳細に記載すること。


病変箇所数

経皮的冠動脈形成術用カテーテル算定本数

冠動脈用ステントセット算定セット数

完全閉塞病変の場合

1箇所

2本以下

1セット以下

2箇所

3本以下

2セット以下

完全閉塞病変以外の場合

1箇所

1本以下

1セット以下

2箇所

2本以下

2セット以下

(7) 同一医療機関において、同一患者の同一標的病変に対して区分番号「K546」経皮的冠動脈形成術、区分番号「K547」経皮的冠動脈粥腫切除術、区分番号「K548」経皮的冠動脈形成術(特殊カテーテルによるもの)又は区分番号「K549」経皮的冠動脈ステント留置術を行う場合の合計回数は、5年間に2回以下を標準とする。なお、医学的根拠に基づきこれを超える回数の手術を実施する場合にあっては、以下の事項を診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載すること。

ア 過去の実施時期

イ 実施した手術及びそれぞれの実施時において使用した経皮的冠動脈形成術用カテーテル、アテレクトミーカテーテル、高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル、エキシマレーザー血管形成用カテーテル及び冠動脈用ステントセットの使用本数

ウ 今回、経皮的冠動脈ステント留置術を繰り返して実施する理由及び医学的根拠

(8) 当該手術が、日本循環器学会、日本冠疾患学会、日本胸部外科学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心臓血管外科学会、日本心臓病学会、日本集中治療医学会、日本心臓リハビリテーション学会及び日本不整脈心電学会の承認を受けた「急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)」又は「安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)」に沿って行われた場合に限り算定する。

K552 冠動脈、大動脈バイパス移植術、K552―2 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)

(1) 区分番号「K552」冠動脈、大動脈バイパス移植術、区分番号「K552―2」冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)及び区分番号「K614」血管移植術、バイパス移植術におけるバイパス造成用自家血管の採取料については、当該所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 区分番号「K552」冠動脈、大動脈バイパス移植術、区分番号「K552―2」冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)及び区分番号「K614」血管移植術、バイパス移植術以外の手術における自家血管の採取料については、区分番号「K000」創傷処理の「2」又は区分番号「K000―2」小児創傷処理の「3」に準じて算定する。

(3) 吻合とは、グラフトと冠動脈の吻合部位のことであり、1本のグラフトを用いて冠動脈の2箇所について吻合を行った場合は2吻合とみなす。

(4) 区分番号「K552―2」冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)を区分番号「K602」経皮的心肺補助法と併施した場合は、区分番号「K552」冠動脈、大動脈バイパス移植術により算定する。

K554―2 胸腔鏡下弁形成術

次に掲げる要件をいずれも満たす場合に限り算定する。

(1) 右小開胸手術であること。

(2) 胸骨温存手術であること(胸骨部分切開を行うものは当該手術に含めない)。

(3) 主たる手術操作を胸腔鏡下に行っていること。

K555 弁置換術

(1) 区分番号「K554」弁形成術を併せて行った場合は、弁置換又は弁形成を行った弁の合計数に基づき、本区分の所定点数により算定する。

(2) 同種弁を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守した場合に限り算定する。

(3) 弁提供者の移植用弁採取及び組織適合性試験に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 移植用弁採取に係る費用については、弁置換を行った保険医療機関にて請求するものとし、診療報酬の分配は弁置換を行った保険医療機関と移植用弁採取を行った保険医療機関との合議に委ねる。

(5) 心臓弁再置換術加算は弁置換術後の再置換、弁置換術後の違う弁の置換又は弁形成後の弁置換を行った場合に算定する。なお、前回の手術から3か月以上経過していること。

(6) 心臓弁再置換術加算を算定する場合は、前回の手術日、術式及び医療機関名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

K555―2 経カテーテル大動脈弁置換術

(1) 経カテーテル大動脈弁置換術は、経カテーテル人工生体弁セットを用いて大動脈弁置換術を実施した場合に算定する。

(2) 経カテーテル人工生体弁セットを用いて肺動脈弁置換術を実施した場合は、本区分の「2」経皮的大動脈弁置換術の所定点数を準用して算定する。

(3) 経カテーテル人工生体弁セットを用いて肺動脈弁置換術を実施する場合は、関連学会の定める適正使用基準に従って使用する場合に限り算定できる。

(4) 経カテーテル人工生体弁セットを用いて肺動脈弁置換術を実施する場合は、関連学会より認定された保険医療機関で使用した場合に限り算定できる。なお、関連学会より認定された保険医療機関であることを証する文書の写しを診療報酬明細書に添付すること。

(5) 経カテーテル人工生体弁セットを用いて肺動脈弁置換術を実施する場合は、本区分に係る施設基準の規定は適用しない。

K555―3 胸腔鏡下弁置換術

(1) 次に掲げる要件をいずれも満たす場合に限り算定する。

ア 右小開胸手術であること。

イ 胸骨温存手術であること(胸骨部分切開を行うものは当該手術に含めない)。

ウ 主たる手術操作を胸腔鏡下に行っていること。

(2) 区分番号「K554―2」胸腔鏡下弁形成術を併せて行った場合は、弁置換又は弁形成を行った弁の合計数に基づき、本区分の所定点数により算定する。

(3) 同種弁を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守した場合に限り算定する。

(4) 弁提供者の移植用弁採取及び組織適合性試験に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(5) 移植用弁採取に係る費用については、弁置換を行った保険医療機関にて請求するものとし、この場合の診療報酬の分配は、弁置換を行った保険医療機関と移植用弁採取を行った保険医療機関との合議に委ねる。

(6) 心臓弁再置換術加算は弁置換術後の再置換、弁置換術後の違う弁の置換又は弁形成後の弁置換を行った場合に算定する。なお、前回の手術から3か月以上経過していること。

(7) 心臓弁再置換術加算を算定する場合は、前回の手術日、術式及び医療機関名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

K557―3 弁輪拡大術を伴う大動脈弁置換術

(1) 心臓弁再置換術加算は弁置換術後の再置換、弁置換術後の違う弁の置換又は弁形成後の弁置換を行った場合に算定する。なお、前回の手術から3か月以上経過していること。

(2) 心臓弁再置換術加算を算定する場合は、前回の手術日、術式及び医療機関名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

K559―3 経皮的僧帽弁クリップ術

経皮的僧帽弁クリップ術は、経皮的僧帽弁クリップシステムを用いて実施した場合に算定する。

K560 大動脈瘤切除術

(1) 下行大動脈から腹部大動脈にかけて大動脈瘤があり、胸部及び腹部の操作を行った場合は、「5」により算定する。

(2) 腎動脈遮断を伴う腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術については、「6」により算定する。

(3) 心臓弁再置換術加算は弁置換術後の再置換、弁置換術後の違う弁の置換又は弁形成後の弁置換を行った場合に算定する。なお、前回の手術から3か月以上経過していること。

(4) 心臓弁再置換術加算を算定する場合は、前回の手術日、術式及び医療機関名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

K560―2 オープン型ステントグラフト内挿術

オープン型ステントグラフトを直視下に挿入し、中枢側血管又は中枢側人工血管と吻合した場合に、術式に応じて算定する。

K561 ステントグラフト内挿術

(1) 血管塞栓術を同時に実施した場合の血管塞栓術の手技料は、ステントグラフト内挿術の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 一連の治療過程中に、血管塞栓術を実施した場合の手技料も原則として所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 「1」血管損傷の場合は、末梢血管ステントグラフトを用いて腸骨動脈以外の末梢血管に対し血管損傷治療を行った場合に算定できる。

K562 動脈管開存症手術

ボタロー管開存症に対して、血管カテーテルを用いて閉鎖術を行った場合は、「1」により算定する。

K562―2 胸腔鏡下動脈管開存閉鎖術

次に定める要件をいずれも満たす場合に限り算定する。

(1) 16歳未満の患者に実施すること

(2) 最大径が10mm以下で、かつ、石灰化、感染又は瘤化していない動脈管に対して実施すること

K570―4 経皮的肺動脈穿通・拡大術

心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症の患者に対して実施した場合に算定する。

K571 肺静脈還流異常症手術

「2」の「ロ」その他のものとは、上心臓型、下心臓型又は混合型の場合をいう。

K581 肺動脈閉鎖症手術

(1) 人工血管等再置換術加算は、患者の成長に伴うパッチ、導管、人工血管等の再置換のために、同一部位に対して再手術を実施した場合に算定する。なお、前回の手術から1年以上経過していること。

(2) 人工血管等再置換術加算を算定する場合は、前回の手術日、術式及び医療機関名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

K583 大血管転位症手術

(1) 人工血管等再置換術加算は、患者の成長に伴うパッチ、導管、人工血管等の再置換のために、同一部位に対して再手術を実施した場合に算定する。なお、前回の手術から1年以上経過していること。

(2) 人工血管等再置換術加算を算定する場合は、前回の手術日、術式及び医療機関名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

K584 修正大血管転位症手術

(1) 人工血管等再置換術加算は、患者の成長に伴うパッチ、導管、人工血管等の再置換のために、同一部位に対して再手術を実施した場合に算定する。なお、前回の手術から1年以上経過していること。

(2) 人工血管等再置換術加算を算定する場合は、前回の手術日、術式及び医療機関名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

K586 単心室症又は三尖弁閉鎖症手術

(1) 人工血管等再置換術加算は、患者の成長に伴うパッチ、導管、人工血管等の再置換のために、同一部位に対して再手術を実施した場合に算定する。なお、前回の手術から1年以上経過していること。

(2) 人工血管等再置換術加算を算定する場合は、前回の手術日、術式及び医療機関名を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

K594 不整脈手術

(1) 「4」の「イ」開胸手術によるもの又は(5)に掲げる左心耳閉鎖術を胸腔鏡下に実施したものは、開胸的心大血管手術を受ける患者又は区分番号「K554―2」及び「K555―3」に掲げる手術を受ける患者のうち、手術前より心房細動又は心房粗動と診断され、術後の抗凝固療法の継続の可否、患者の脳梗塞及び出血に係るリスク等を総合的に勘案し、特に左心耳閉鎖術を併せて実施することが適当と医師が認めたものに対して行われた場合に限り算定する。

(2) 「4」の「イ」開胸手術によるもの又は(5)に掲げる左心耳閉鎖術を胸腔鏡下に実施したものは、区分番号「K552」、「K552―2」、「K554」、「K554―2」、「K555」、「K555―3」、「K557」から「K557―3」まで、「K560」及び「K594」の「3」に掲げる手術(弁置換術については機械弁によるものを除く。)と併せて実施した場合に限り算定でき、当該手術を単独で行った場合は算定できない。

(3) 「4」の「イ」開胸手術によるもの又は(5)に掲げる左心耳閉鎖術を胸腔鏡下に実施したものの診療報酬請求に当たっては、手術前に心房細動又は心房粗動と診断した根拠となる12誘導心電図検査又は長時間記録心電図検査(ホルター心電図検査を含む。)の結果及び当該手術を行う医学的理由について診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(4) 「4」の「ロ」経カテーテル的手術によるものは、左心耳閉鎖デバイスを用いて、左心耳の永久閉鎖を行った場合に限り算定する。

(5) 左心耳閉鎖術を胸腔鏡下に実施した場合は、本区分の「4」の「イ」開胸手術によるものの所定点数を準用して算定する。

K595 経皮的カテーテル心筋焼灼術

(1) 「注1」に規定する三次元カラーマッピングとは、体表面電極から発生する微弱な電気信号を体外式ペースメーカー用カテーテル電極(磁気センサーを有するものを除く。)等により検出し、三次元心腔内形状を作成し、これらのカテーテル電極にて検出した心電図との合成により三次元画像を構築することをいう。

(2) 「注1」の三次元カラーマッピング加算を算定する場合は、特定保険医療材料114の体外式ペースメーカー用カテーテル電極のうち、心臓電気生理学的検査機能付加型の「心房内・心室内全域型」並びに特定保険医療材料123の経皮的カテーテル心筋焼灼術用カテーテルのうち、熱アブレーション用の「体外式ペーシング機能付き」及び「体外式ペーシング機能付き・特殊型」については算定できない。

(3) 注2に規定する磁気ナビゲーション法は、心臓マッピングシステムワークステーションを用いて実施した場合に算定できる。

(4) 経皮的カテーテル心筋冷凍焼灼術を実施した場合は、本区分の所定点数を算定する。その場合、実施に当たっては、関係学会の定める診療に関する指針を遵守すること

K597 ペースメーカー移植術、K597―2 ペースメーカー交換術

(1) ペースメーカー移植の実施日と体外ペースメーキング術の実施日の間隔が1週間以内の場合にあっては、ペースメーカー移植術の所定点数のみを算定する。

(2) ペースメーカー本体の交換のみの場合は、区分番号「K597―2」ペースメーカー交換術により算定する。

K598 両心室ペースメーカー移植術

(1) 両心室ペースメーカー移植術は、左右の心室を電気的に刺激することにより、重症心不全患者の心臓リズムを補正すると同時に、左右の心室間伝導障害を軽減し、血行動態を改善することを目的に実施されるものであり、十分な薬物治療にもかかわらず改善のみられないQRS幅120ms以上及び左室駆出率35%以下の重症心不全に対して、症状の改善を目的に行われた場合に算定する。

(2) 「1」については、循環器内科又は小児循環器内科の医師と心臓血管外科の医師が参加する、重症心不全患者又は不整脈患者の治療方針を決定するカンファレンスにより、本治療の適応判断を行うこと。

(3) 両心室ペースメーカー移植術を行った患者については、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書に症状詳記を添付する。なお、「1」を算定する場合は、(2)に規定するカンファレンスの概要も併せて添付すること。

K599 植込型除細動器移植術、K599―2 植込型除細動器交換術

(1) 植込型除細動器移植術は、次のいずれかに該当する患者に対して実施した場合に算定する。

ア 血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動の自然発作が1回以上確認されている患者であって、植込型除細動器移植術以外の治療法の有効性が心臓電気生理学的検査及びホルター型心電図検査によって予測できないもの

イ 血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動の自然発作が1回以上確認されている患者であって、有効薬が見つからないもの又は有効薬があっても認容性が悪いために服用が制限されるもの

ウ 既に十分な薬物療法や心筋焼灼術等の手術が行われているにもかかわらず、心臓電気生理学的検査によって血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動が繰り返し誘発される患者

(2) 「1」については、循環器内科又は小児循環器内科の医師と心臓血管外科の医師が参加する、重症心不全患者又は不整脈患者の治療方針を決定するカンファレンスにより、本治療の適応判断を行うこと。

(3) 植込型除細動器移植術を行った患者については、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書に症状詳記を添付する。なお、「1」を算定する場合は、(2)に規定するカンファレンスの概要も併せて添付すること。

(4) 植込型除細動器本体の交換のみを行った場合は、区分番号「K599―2」植込型除細動器交換術により算定する。

(5) K599の「3」は、特定保険医療材料の植込型除細動器(Ⅲ型)・皮下植込式電極併用型を、植込型除細動器用カテーテル電極(皮下植込式)と組み合わせて使用した場合に算定する。

K599―3 両室ペーシング機能付き植込型除細動器移植術、K599―4 両室ペーシング機能付き植込型除細動器交換術

(1) 両室ペーシング機能付き植込型除細動器移植術は、次のいずれかに該当する患者に対して実施した場合に算定する。

ア 血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動の自然発作が1回以上確認されている患者であって、両室ペーシング機能付き植込型除細動器移植術以外の治療法の有効性が心臓電気生理学的検査及びホルター型心電図検査によって予測できないもの

イ 血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動の自然発作が1回以上確認されている患者であって、有効薬が見つからないもの又は有効薬があっても認容性が悪いために服用が制限されるもの

ウ 既に十分な薬物療法や心筋焼灼術等の手術が行われているにもかかわらず、心臓電気生理学的検査によって血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動が繰り返し誘発される患者

(2) 「1」については、循環器内科又は小児循環器内科の医師と心臓血管外科の医師が参加する、重症心不全患者又は不整脈患者の治療方針を決定するカンファレンスにより、本治療の適応判断を行うこと。

(3) 両室ペーシング機能付き植込型除細動器移植術を行った患者については、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書に症状詳記を添付する。なお、「1」を算定する場合は、(2)に規定するカンファレンスの概要も合わせて添付すること。

(4) 両室ペーシング機能付き植込型除細動器本体の交換のみを行った場合は、区分番号「K599―4」両室ペーシング機能付き植込型除細動器交換術により算定する。

K599―5 経静脈電極抜去術

当該手術の実施に当たっては、関連学会の定める実施基準に準じること。

K600 大動脈バルーンパンピング法(IABP法)

(1) ガスの価格は別に算定できない。

(2) 大動脈バルーンパンピング法(IABP法)、区分番号「K601」人工心肺、区分番号「K602」経皮的心肺補助法、区分番号「K603」補助人工心臓又は区分番号「K602―2」経皮的循環補助法(ポンプカテーテルを用いたもの)を併施した場合においては、1日ごとに主たるもののみにより算定する。また、これら5つの開心術補助手段等と冠動脈、大動脈バイパス移植術等の他手術を併施した場合は、当該手術の所定点数を別に算定できる。

K601 人工心肺

(1) 人工心肺実施のために血管を露出し、カニューレ、カテーテル等を挿入した場合の手技料は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪であって、人工呼吸器で対応できない場合に使用した場合は、本区分により算定する。

(3) 人工心肺をはずすことができず、翌日以降も引き続き補助循環を行った場合は、1日につき「2」により算定する。

(4) 「注1」の補助循環加算は、人工心肺を用いた心大血管手術後の低心拍出量症候群に対して人工心肺を用いて循環を補助した場合に限り算定できる。

(5) 「注1」の選択的冠灌流加算は大動脈基部を切開し、左右冠動脈口に個別にカニューレを挿入し、心筋保護を行った場合に算定する。

(6) 「注1」の逆行性冠灌流加算は、冠静脈洞にバルーンカテーテルを挿入し、心筋保護を行った場合に算定する。

K602―2 経皮的循環補助法(ポンプカテーテルを用いたもの)(1日につき)

経皮的循環補助法(ポンプカテーテルを用いたもの)の実施のために、カニューレ、カテーテル等を挿入した場合の手技料は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

K603 補助人工心臓

開心術症例の体外循環離脱困難、開心術症例の術後低心拍出症候群、その他の心原性循環不全に対して補助人工心臓を行った場合に算定する。ただし、重症感染症、重症多臓器不全を合併する症例に対して行った場合は算定できない。

K603―2 小児補助人工心臓

投薬治療、外科手術及び補助循環では症状の改善が見込めない小児の重症心不全患者であって、小児補助人工心臓による治療が当該患者にとって最善であると判断された患者に対して、心移植に達するまで又は心機能が回復するまでの循環改善を目的に実施した場合に算定する。

K604―2 植込型補助人工心臓(非拍動流型)

(1) 植込型補助人工心臓(非拍動流型)は、次のいずれかの場合に算定する。

ア 心臓移植適応の重症心不全患者で、薬物療法や体外式補助人工心臓等の他の補助循環法によっても継続した代償不全に陥っており、かつ、心臓移植以外には救命が困難と考えられる症例に対して、心臓移植までの循環改善を目的とした場合。

イ 心臓移植不適応の重症心不全患者で、薬物療法や体外式補助人工心臓などの補助循環法によっても継続した代償不全に陥っている症例に対して、長期循環補助を目的とした場合。

(2) 外来で定期的な管理を行っている場合には、区分番号「C116」在宅植込型補助人工心臓(非拍動流型)指導管理料を算定する。

K605 移植用心採取術

(1) 移植用心採取術の所定点数は、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した者の身体から心臓の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 移植用心採取術の所定点数には、脳死した者の身体から移植のための心採取を行う際の採取前の採取対象心の灌流、心採取、採取心の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用が全て含まれる。ただし、心採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取心を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(3) 心移植を行った保険医療機関と心移植に用いる健心を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、心移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K605―2 同種心移植術

(1) 同種心移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(2) 心移植を行った保険医療機関と心移植に用いる健心を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、心移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K605―3 移植用心肺採取術

(1) 移植用心肺採取術の所定点数は、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した者の身体から同時に心と肺の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 移植用心肺採取術の所定点数には、脳死した者の身体から移植のための心肺採取を行う際の採取前の採取対象心肺の灌流、心肺採取、採取心肺の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用が全て含まれる。ただし、心肺採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取心肺を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(3) 心肺移植を行った保険医療機関と心肺移植に用いる健心肺を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、心肺移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K605―4 同種心肺移植術

(1) 同種心肺移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(2) 心肺移植を行った保険医療機関と心肺移植に用いる健心肺を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、心肺移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K605―5 骨格筋由来細胞シート心表面移植術

(1) 虚血性心疾患による重症心不全患者で、薬物治療や侵襲的治療を含む標準治療では効果不十分として関連学会の定める「ヒト(自己)骨格筋由来細胞シートの使用要件等の基準について」に定めるハートチームによる適応判定が行われ、かつ、根治療法として心臓移植以外に治療手段がないと考えられる症例に対して、上記基準に従って実施された場合に限り算定できる。

(2) 本技術に先立って行われる骨格筋由来細胞シートを調整するための骨格筋採取に係る技術については、区分番号「K000」創傷処理又は区分番号「K000―2」小児創傷処理(6歳未満)により算定する。

K606 血管露出術

(1) 経皮的に留置針を挿入する場合は、血管露出術は算定できない。

(2) 手術に伴う血管露出術は、同一術野でない場合においても算定できない。

K608 動脈塞栓除去術

動脈血栓除去術は、本区分により算定する。

K609―2 経皮的頸動脈ステント留置術

経皮的頸動脈ステント留置術を行う場合は、総頸動脈又は内頸動脈にステントを留置した際の血栓の移動に対する予防的措置を同時に行うこと。

K610―2 脳新生血管造成術

脳新生血管造成術は、もやもや病に対して、浅側頭動脈及び側頭筋を硬膜に縫合することにより新生血管の造成を図った場合に算定する。

K610―5 血管吻合術及び神経再接合術(上腕動脈、正中神経及び尺骨神経)

血管吻合術及び神経再接合術(上腕動脈、正中神経及び尺骨神経)は、上腕動脈、正中神経及び尺骨神経が切断された場合、上腕動脈及び正中神経が切断された場合、又は上腕動脈及び尺骨神経が切断された場合の血管吻合術及び神経再接合術を行った場合に算定する。

K611 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置

(1) 悪性腫瘍の患者に対し、抗悪性腫瘍剤の局所持続注入又は疼痛の制御を目的として、チューブ又は皮下植込型カテーテルアクセスを設置した場合に算定できる。

(2) 設置するチューブ、体内に植え込むカテーテル及びカテーテルアクセス等の材料の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル抜去の際の費用は「K000」創傷処理の「1」筋肉、臓器に達するもの(長径5センチメートル未満)で算定する。

K612 末梢動静脈瘻造設術

「1」のロについては、穿刺することが困難な部位を走行する静脈を長さ15cm以上遊離して遠位端を切断し、穿刺することが可能な部位に転位して、断端を動脈と吻合して動静脈瘻を造設した場合に算定する。

K614 血管移植術、バイパス移植術

(1) 「6」膝窩動脈は、膝関節より遠位側で下腿三分岐に至らない部分で行った場合をいう。

(2) 大腿動脈閉塞症に対して自家血管を用いた動脈間バイパス造成術を行った場合は、「7」により算定する。

(3) 同種血管を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守した場合に限り算定する。

(4) 血管提供者の移植用血管採取及び組織適合性試験に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(5) 血管移植を行った保険医療機関と移植用血管採取を行った保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、血管移植を行った保険医療機関で行うものとし、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K615 血管塞栓術

(1) 手術に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない。

(2) 「1」の止血術は、外傷等による動脈損傷が認められる患者に対し、血管塞栓術を行った場合に算定する。

(3) カテーテルを肝動脈等に留置して造影CT等を行い、病変の個数及び分布を確認の上、肝細胞癌に対して区域枝より末梢側において肝動脈等の動脈化学塞栓術を行った場合には、「2」により算定する。

(4) 「2」の選択的動脈化学塞栓術の場合、動脈化学塞栓術を選択的に行った肝動脈等の部位を診療録に記載すること。

(5) 「2」の選択的動脈化学塞栓術以外の場合であって、脳動脈奇形摘出術前及び肝切除術前の前処置としての血管塞栓術を行った場合には、「3」により算定する。

(6) 「2」の選択的動脈化学塞栓術以外の場合であって、多血性腫瘍又は動静脈奇形に対して、血管内塞栓材を用いて動脈塞栓術又は動脈化学塞栓術を行った場合は、本区分「3」を算定する。

K615―2 経皮的大動脈遮断術

経皮的大動脈遮断術は、重度外傷等による腹腔内大量出血に対して、経皮的にバルーンカテーテルを挿入し大動脈の血行を遮断した場合に算定する。

K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術

膝窩動脈又はそれより末梢の動脈に対するステントの留置では、当該点数は算定できない。

K616―4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術

(1) 「1」については、3月に1回に限り算定する。

(2) 「1」を算定してから3月以内に実施した場合には、次のいずれかに該当するものに限り、1回を限度として「2」を算定する。また、次のいずれかの要件を満たす画像所見等の医学的根拠を診療報酬明細書の概要欄に記載すること。

ア 透析シャント閉塞の場合

イ 超音波検査において、シャント血流量が400ml以下又は血管抵抗指数(RI)が0.6以上の場合(アの場合を除く。)

(3) 「2」については、「1」の前回算定日(他の保険医療機関での算定を含む。)を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(4) 人工血管内シャントの静脈側吻合部狭窄病変に対し、末梢血管用ステントグラフトを留置する場合には当該点数の所定点数を準用して算定する。

K616―6 経皮的下肢動脈形成術

経皮的下肢動脈形成術は、エキシマレーザー血管形成用カテーテルを使用し、大腿膝窩動脈に留置されたステントにおける狭窄又は閉塞に対して、経皮的下肢動脈形成術を行った場合に算定する。なお、実施に当たっては、関係学会の定める診療に関する指針を遵守すること。

K617 下肢静脈瘤手術

(1) 大腿部から下腿部に及ぶ広範囲の静脈瘤に対してストリッピングを行った場合は、「1」により算定する。

(2) 「2」における「一連」とは、所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいい、概ね2週間にわたり行われるものをいう。

K617―4 下肢静脈瘤血管内焼灼術

(1) 所定の研修を修了した医師が実施した場合に限り算定し、一側につき1回に限り算定する。なお、当該手技に伴って実施される画像診断及び検査の費用は所定点数に含まれる。

(2) 下肢静脈瘤血管内焼灼術の実施に当たっては、関係学会が示しているガイドラインを踏まえ適切に行うこと。

K617―5 内視鏡下下肢静脈瘤不全穿通枝切離術

(1) 下腿の広範囲の皮膚に色素沈着、硬化、萎縮又は潰瘍を有しており、かつ、超音波検査等により、不全穿通枝が同定され、血液が逆流していることが確認されている患者について実施した場合であって、次のア又はイに該当する場合に一側につき1回のみ算定できる。

ア 下肢静脈瘤手術(抜去切除術、硬化療法及び高位結紮術をいう。)、大伏在静脈抜去術又は下肢静脈瘤血管内焼灼術を実施したが、効果が不十分な患者に対して、当該手技を実施した場合

イ 下肢静脈瘤手術(抜去切除術、硬化療法及び高位結紮術をいう。)、大伏在静脈抜去術又は下肢静脈瘤血管内焼灼術のみでは効果が不十分と予想される患者に対して、当該手技を下肢静脈瘤手術、大伏在静脈抜去術又は下肢静脈瘤血管内焼灼術と同時に実施した場合

(2) 当該手技に伴って実施される画像診断及び検査の費用は所定点数に含まれる。

K617―6 下肢静脈瘤血管内塞栓術

所定の研修を修了した医師が実施した場合に限り、一側につき1回に限り算定する。なお、当該手術に伴って実施される画像診断及び検査の費用は所定の点数に含まれる。

K618 中心静脈注射用植込型カテーテル設置

(1) 中心静脈注射用の皮下植込型カテーテルアクセスを設置した場合に算定できる。

(2) 長期の栄養管理を目的として、中心静脈注射用植込型カテーテルの設置を行う際には、中心静脈注射用植込型カテーテルによる療養の必要性、管理の方法及び終了の際に要される身体の状態等、療養上必要な事項について患者又はその家族等への説明を行うこと。

(3) 長期の栄養管理を目的として、中心静脈注射用植込型カテーテルを設置した後、他の保険医療機関等に患者を紹介する場合は、中心静脈注射用植込型カテーテルによる療養の必要性、管理の方法及び終了の際に要される身体の状態等、療養上必要な事項並びに患者又はその家族等への説明内容等を情報提供すること。

(4) 体内に植え込むカテーテル及びカテーテルアクセス等の材料の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) 中心静脈注射用植込型カテーテル抜去の際の費用は「K000」創傷処理の「1」筋肉、臓器に達するもの(長径5センチメートル未満)で算定する。

K620 下大静脈フィルター留置術

下大静脈フィルター留置術は、肺血栓塞栓症の患者又は肺血栓塞栓症を発症する危険性が高い患者に対して行った場合に算定する。

K627 リンパ節群郭清術

独立手術として行った場合にのみ算定できる。悪性腫瘍に対する手術と同時に行うリンパ節郭清の費用は悪性腫瘍に対する手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。

K627―2 腹腔鏡下リンパ節群郭清術

(1) 独立手術として行った場合にのみ算定できる。悪性腫瘍に対する手術と同時に行うリンパ節郭清の費用は悪性腫瘍に対する手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 「1」については、原発性精巣がんから後腹膜リンパ節群に転移したものに対して実施した場合に限り算定する。

(3) 「2」については、子宮体がんから傍大動脈リンパ節群に転移したものに対して実施した場合に限り算定する。

(4) 「3」については、原発性泌尿器がん(腎、副腎、尿管、膀胱、尿道、陰茎、精巣、前立腺等のがんをいう。)から骨盤内リンパ節群に転移したものに対して実施した場合に限り算定する。

K627―3 腹腔鏡下小切開骨盤内リンパ節群郭清術

(1) 独立手術として行った場合にのみ算定できる。悪性腫瘍に対する手術と同時に行うリンパ節郭清の費用は悪性腫瘍に対する手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 原発性泌尿器がん(腎、副腎、尿管、膀胱、尿道、陰茎、精巣、前立腺等のがんをいう。)から骨盤内リンパ節群に転移したものに対して実施した場合に限り算定する。

K627―4 腹腔鏡下小切開後腹膜リンパ節群郭清術

(1) 独立手術として行った場合にのみ算定できる。悪性腫瘍に対する手術と同時に行うリンパ節郭清の費用は悪性腫瘍に対する手術の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 原発性精巣がんから後腹膜リンパ節群に転移したものに対して実施した場合に限り算定する。

第9款 腹部

K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法

一連の治療過程中、第1回目の実施日に、1回に限り算定する。なお、一連の治療期間は2週間を目安とし、治療上の必要があって初回実施後2週間を経過して実施した場合は改めて所定点数を算定する。

K635―3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術

連続携行式腹膜灌流を開始するに当たり、当該カテーテルを留置した場合に算定できる。また、当該療法開始後一定期間を経て、カテーテル閉塞等の理由により再度装着した場合においても算定できる。

K636 試験開腹術

開腹術のみを行った時点で手術を中止した場合は、本区分により算定する。

K636―2 ダメージコントロール手術

(1) ダメージコントロール手術とは、重度胸部、腹部又は骨盤部外傷患者に対する初回手術において、止血手術、損傷臓器等に対する処置、タオルパッキング等を迅速に実施した後に、患者を一度集中治療室等に収容し、全身状態の改善を図り、二期的又は多期的手術により根治を図る段階的外科治療のことである。

(2) 重度胸部、腹部又は骨盤部外傷に対してダメージコントロール手術を行った場合は原則として当初の1回に限り所定点数を算定し、2回目以降に行った手術については各区分に掲げる所定点数を算定する。ただし、2回目以降も当該手術を施行した場合は、当該所定点数を算定できる。

K636―3 腹腔鏡下試験開腹術

腹腔鏡による腹腔内の確認のみを行った時点で手術を中止した場合は、本区分により算定する。

K636―4 腹腔鏡下試験切除術

腹腔鏡による腹腔内の確認を行い、臓器・組織の一部を切除した時点で手術を中止した場合は、本区分により算定する。

K637―2 経皮的腹腔膿瘍ドレナージ術

当該手術は初回実施に限り算定し、2回目以降の処置に係るドレナージについては、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

K647 胃縫合術(大網充填術又は被覆術を含む。)

外傷等により破裂した胃を縫合した場合、又は胃、十二指腸潰瘍穿孔に対して大網充填術若しくは被覆術を行った場合に算定する。

K653 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術

(1) 短期間又は同一入院期間中において、回数にかかわらず、第1回目の実施日に1回に限り算定する。

(2) ポリープを数個切除又は焼灼した場合においても、切除又は焼灼したポリープの数にかかわらず所定点数のみにより算定する。

(3) 「2」及び「3」は、経内視鏡的に高周波切除器を用いて病変の周囲を全周性に切開し、粘膜下層を剥離することにより病変部を含む3センチメートル以上の範囲を一括で切除した場合に算定する。

(4) 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術と同時に施行した内視鏡的止血術の手技料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K653―3 内視鏡的食道及び胃内異物摘出術

内視鏡的食道及び胃内異物摘出術は、食道及び胃内の異物(電池、胃手術時の縫合糸、アニサキス等)を内視鏡(ファイバースコープ)下により摘出した場合に算定する。

K653―4 内視鏡的表在性胃悪性腫瘍光線力学療法

(1) 内視鏡的表在性胃悪性腫瘍光線力学療法は、ポルフィマーナトリウムを投与した患者に対しエキシマ・ダイ・レーザー(波長630nm)及びYAG―OPOレーザーを使用した場合など、保険適用された薬剤、機器を用いて行った場合に限り算定できる。

(2) マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K653―5 内視鏡的胃、十二指腸狭窄拡張術

短期間又は同一入院期間中において、回数にかかわらず、第1回目の実施日に1回に限り算定する。

K654 内視鏡的消化管止血術

(1) 内視鏡的消化管止血術は1日1回、週3回を限度として算定する。

(2) マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K654―3 腹腔鏡下胃局所切除術

(1) 「1」は、経内視鏡的に高周波切除器を用いて病変の周囲に粘膜下層に達する切開線を設け、腹腔鏡下にこの切開線に沿って腫瘍を摘出した場合に算定する。

(2) 「1」において、内視鏡に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K654―4 腹腔鏡下十二指腸局所切除術(内視鏡処置を併施するもの)

(1) 経内視鏡的に高周波切除器を用いて病変の周囲に粘膜下層に達する切開線を設け、腹腔鏡下にこの切開線に沿って腫瘍を摘出した場合に算定する。

(2) 内視鏡に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K655 胃切除術、K655―2 腹腔鏡下胃切除術、K655―4 噴門側胃切除術、K657 胃全摘術、K657―2 腹腔鏡下胃全摘術

悪性腫瘍に対する手術であっても、リンパ節郭清等を伴わない単純な切除・消化管吻合術又は単純な全摘・消化管吻合術を行った場合には単純切除術又は単純全摘術により算定する。

K655―3 十二指腸窓(内方)憩室摘出術

十二指腸窓(内方)に生じた憩室(多数)を後腹膜を切開し、大腸肝屈曲部を剥離して摘出する場合に算定する。

K656―2 腹腔鏡下胃縮小術(スリーブ状切除によるもの)

(1) 次の患者に対して、腹腔鏡下にスリーブ状胃切除術を実施した場合に限り算定する。

ア 6か月以上の内科的治療によっても十分な効果が得られないBMIが35以上の肥満症の患者であって、糖尿病、高血圧症、脂質異常症又は閉塞性睡眠時無呼吸症候群のうち1つ以上を合併しているもの。

イ 6か月以上の内科的治療によっても十分な効果が得られないBMIが32.5~34.9の肥満症及びヘモグロビンA1c(HbA1c)が8.4%以上(NGSP値)の糖尿病の患者であって、高血圧症(6か月以上、降圧剤による薬物治療を行っても管理が困難(収縮期血圧160mmHg以上)なものに限る。)、脂質異常症(6か月以上、スタチン製剤等による薬物治療を行っても管理が困難(LDLコレステロール140mg/dL以上又はnon―HDLコレステロール170m/dL以上)なものに限る。)又は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(AHI≧30の重症のものに限る。)のうち1つ以上を合併しているもの。

(2) 実施するに当たっては、高血圧症、脂質異常症又は糖尿病の治療について5年以上の経験を有する常勤の医師(当該保険医療機関に配置されている医師に限る。)が治療の必要性を認めていること。

(3) 長期継続的に生活習慣病の管理を行うため、患者の同意を得た上で治療計画を作成し、当該手術の副作用等を含めて患者に説明し、文書により提供するとともに、術後の継続的な治療を他の保険医療機関において行う場合は、術後の継続的な治療を担う他の保険医療機関へ当該患者に係る治療計画及び診療情報を文書により提供すること。また、手術前のBMI、手術前に行われた内科的管理の内容及び期間、手術の必要性等を診療報酬明細書の摘要欄及び診療録に記載すること。

K659 食道下部迷走神経切除術

十二指腸潰瘍に対して迷走神経切断術及び幽門形成術を併施した場合は、区分番号「K664」胃瘻造設術の併施の有無にかかわらず、「3」により算定する。

K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む。)

(1) 実施した胃瘻造設術の術式について、開腹による胃瘻造設術、経皮的内視鏡下胃瘻造設術又は腹腔鏡下胃瘻造設術のいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。なお、経皮的内視鏡下胃瘻造設術で用いるカテーテル及びキットの費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 当該療養を行う際には、胃瘻造設の必要性、管理の方法及び閉鎖の際に要される身体の状態等、療養上必要な事項について患者又はその家族等への説明を行うこと。

(3) 胃瘻造設後、他の保険医療機関等に患者を紹介する場合は、嚥下機能評価の結果、嚥下機能訓練等の必要性や実施するべき内容、嚥下調整食の内容(嚥下機能の観点から適切と考えられる食事形態や量の情報等を含む。)、患者又はその家族等への説明内容等を情報提供すること。

(4) 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関以外の保険医療機関において行われる場合は、所定点数の100分の80に相当する点数により算定する。

K664―2 経皮経食道胃管挿入術(PTEG)

(1) 経皮経食道胃管挿入術を実施した医学的な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(2) 経皮経食道胃管挿入術(PTEG)で用いるカテーテル及びキットの費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

K664―3 薬剤投与用胃瘻造設術

(1) レボドパ・カルビドパ水和物製剤を経胃瘻空腸投与する目的で胃瘻造設を行った場合に限り算定する。算定に当たっては、診療報酬明細書の摘要欄に経胃瘻空腸投与が必要な理由及び医学的な根拠を詳細に記載すること。なお、薬剤投与用胃瘻造設術で用いるカテーテル及びキットの費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 当該療養を行う際には、胃瘻造設の必要性、管理の方法及び閉鎖の際に要される身体の状態等、療養上必要な事項について患者又はその家族等への説明を行うこと。

K665 胃瘻閉鎖術

外科的に造設された胃瘻について、開腹や腹腔鏡による操作等を伴う胃瘻閉鎖を行った場合に算定する。なお、胃瘻カテーテルを抜去し閉鎖した場合は算定できない。

K665―2 胃瘻抜去術

胃瘻カテーテルを抜去し、閉鎖した場合に算定する。

K668―2 バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術

胃静脈瘤出血又は出血リスクの高い胃静脈瘤に対して行った場合に算定する。

K670 胆嚢切開結石摘出術

胆嚢結石症に対して、胆嚢結石のみを摘出した場合に算定するものとする。

K672 胆嚢摘出術

胆嚢結石症及び腸間膜動脈性十二指腸閉塞症に対し、胆嚢摘出術及び十二指腸空腸吻合術(十二指腸水平脚と空腸起始部より20cmの部で側々吻合を行う。)を併施した場合は、区分番号「K655」胃切除術の「1」に準じて算定する。

K674 総胆管拡張症手術

先天性胆管拡張症に対し、胃切除、総胆管切除、胆嚢摘出、胃腸吻合兼ブラウン吻合、胆管空腸吻合、十二指腸膵頭吻合及び空腸吻合術を同時に行った場合は、区分番号「K657」胃全摘術の「2」に準じて算定する。

K677―2 肝門部胆管悪性腫瘍手術

(1) 「1」は門脈又は肝動脈血行再建を併施した場合に算定する。

(2) 肝切除を伴う肝外胆道悪性腫瘍切除術についても、本区分で算定する。

K678 体外衝撃波胆石破砕術

(1) 当該技術の適応となる胆石は、次の要件を満たすもののうち、胆石破砕術の適応となるものである。

ア 胆嚢結石症の既往があるもの

イ 胆嚢に炎症がなく、胆嚢機能が良好な胆嚢結石症又は肝内・総胆管内結石症

(2) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいう。数日の間隔をおいて一連の治療過程にある数回の体外衝撃波胆石破砕を行う場合は、所定点数を1回に限り算定するものであり、その後に行われた同一目的の手術の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 体外衝撃波胆石破砕によっては所期の目的が達成できず、他の手術手技を行った場合の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

K682―2 経皮的胆管ドレナージ術

(1) 当該手術は初回実施に限り算定し、2回目以降の処置に係るドレナージについては、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

(2) 急性胆嚢炎に対して、経皮的胆嚢穿刺のみを行い、ドレーンを留置しなかった場合は、区分番号「J010―2」経皮的肝膿瘍等穿刺術により算定する。

K682―3 内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術(ENBD)

当該手術は初回実施に限り算定し、2回目以降の処置に係るドレナージについては、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

K682―4 超音波内視鏡下瘻孔形成術(腹腔内膿瘍に対するもの)

腹腔内の膿瘍形成に対し、コンベックス型超音波内視鏡を用いて瘻孔形成術を行った場合に算定する。この際の超音波検査及び内視鏡検査の費用は所定点数に含まれる。なお、膵仮性嚢胞、膵膿瘍、閉塞性黄疸又は骨盤腔内膿瘍に対し、コンベックス型超音波内視鏡を用いて瘻孔形成術を行った場合についても本区分で算定する。

K684 先天性胆道閉鎖症手術

初回根治手術が適切に行われた患者であって、初回手術後胆汁排泄不良を認め、再手術を行ったものについては、初回手術における肝門部処理と同等以上の肝門部処理が行われた場合は、2回目の手術についても当該手術の所定点数を算定できる。

K684―2 腹腔鏡下胆道閉鎖症手術

初回根治手術が適切に行われた患者であって、初回手術後胆汁排泄不良を認め、再手術を行ったものについては、初回手術における肝門部処理と同等以上の肝門部処理が行われた場合は、2回目の手術についても当該手術の所定点数を算定できる。

K685 内視鏡的胆道結石除去術

(1) 「1」の胆道砕石術を伴うものは、胆道鏡を用いT字管又は胆管外瘻孔を介し、若しくは内視鏡を用い経十二指腸的に、電気水圧衝撃波、超音波又は砕石用把持鉗子等により結石を破砕し、バスケットワイヤーカテーテルを用いて摘出する場合に算定する。

(2) バスケットワイヤーカテーテルを用いて、砕石を行わず結石の摘出のみを行った場合は、「2」その他のもので算定する。

(3) 短期間又は同一入院期間中において、回数にかかわらず、第1回目の実施日に1回に限り算定する。

(4) 短期間又は同一入院期間中において、区分番号「K687」内視鏡的乳頭切開術と区分番号「K685」内視鏡的胆道結石除去術を併せて行った場合は、主たるもののみにより算定する。

(5) 「注」の加算については、術後再建腸管を有する患者に対して実施した場合のみ算定できる。

K686 内視鏡的胆道拡張術

「注」の加算については、術後再建腸管を有する患者に対して実施した場合のみ算定できる。

K687 内視鏡的乳頭切開術

(1) 短期間又は同一入院期間中において、回数にかかわらず、第1回目の実施日に1回に限り算定する。

(2) 乳頭切開を行った後、経乳頭的に電気水圧衝撃波、超音波又は砕石用把持鉗子等により結石を破砕し、バスケットワイヤーカテーテルを用いて摘出した場合は、「2」により算定する。ただし、バスケットワイヤーカテーテルを用いて、砕石を行わず結石の摘出のみを行った場合は、「1」により算定する。

(3) 乳頭切開を行った後、経乳頭的に胆道鏡下に結石の摘出を行った場合は、「3」により算定する。

(4) マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

(5) 短期間又は同一入院期間中において、区分番号「K685」内視鏡的胆道結石除去術と区分番号「K687」内視鏡的乳頭切開術を併せて行った場合は、主たるもののみにより算定する。

(6) 内視鏡的乳頭拡張術を行った場合は、「1」により算定する。

(7) 「注」の加算については、術後再建腸管を有する患者に対して実施した場合のみ算定できる。

K688 内視鏡的胆道ステント留置術

「注」の加算については、術後再建腸管を有する患者に対して実施した場合のみ算定できる。

K691―2 経皮的肝膿瘍ドレナージ術

当該手術は初回実施に限り算定し、2回目以降の処置に係るドレナージについては、区分番号「J002」ドレーン法(ドレナージ)により算定する。

K695 肝切除術

(1) 「1」の「ロ」を算定する場合は、複数回の切除を要した根拠となる画像所見及び医学的な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載又は添付すること。

(2) 尾状葉全切除は「6」の3区域切除以上のもので算定する。なお、単に、尾状葉の一部を切除するものについては、「1」の部分切除で算定する。

K695―2 腹腔鏡下肝切除術

(1) 「1」の「ロ」を算定する場合は、複数回の切除を要した根拠となる画像所見及び医学的な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載又は添付すること。

(2) 「3」、「4」、「5」及び「6」については、血行再建や胆道再建を伴うものは対象とならない。

K697―2 肝悪性腫瘍マイクロ波凝固法(一連として)

(1) 「1」及び「2」を併せて実施した場合には、主たるもののみ算定する。

(2) 区分番号「K697―3」肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法と併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

K697―3 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として)

(1) 「1」及び「2」のそれぞれについて、「イ」及び「ロ」を併せて実施した場合には、主たるもののみ算定する。

(2) 区分番号「K697―2」肝悪性腫瘍マイクロ波凝固法と併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。

(3) ここでいう2センチメートルとは、ラジオ波による焼灼範囲ではなく、腫瘍の長径をいう。

(4) 副腎腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として)

ア 腫瘍の長径が1センチメートル未満の副腎腫瘍に対してラジオ波焼灼療法を実施した場合は、本区分の「1」2センチメートル以内のものの「ロ」その他のもの及び区分番号「D415」経気管肺生検法の「注2」CT透視下気管支鏡検査加算の所定点数を合算した点数を準用して算定し、腫瘍の長径が1センチメートル以上の副腎腫瘍に対してラジオ波焼灼療法を実施した場合は、本区分の「2」2センチメートルを超えるものの「ロ」その他のもの及び区分番号「D415」経気管肺生検法の「注2」CT透視下気管支鏡検査加算の所定点数を合算した点数を準用して算定する。

イ 本治療の実施に当たっては、関係学会の定める適正使用指針を遵守すること。

ウ 本治療は、片側性アルドステロン過剰分泌による原発性アルドステロン症の患者であって、副腎摘出術が適応外であるものに対して実施すること。なお、本治療の実施に当たっては、副腎摘出術が適応外である詳細な理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

エ 本治療は、以下のいずれにも該当する医療機関において実施すること。

① 放射線科を標榜している病院であること。

② 内分泌内科又は高血圧症について専門の知識及び3年以上の経験を有する常勤の医師、泌尿器科について専門の知識及び5年以上の経験を有する常勤の医師並びに放射線科について専門の経験及び5年以上の経験を有する常勤の医師がそれぞれ1名以上配置されていること。

③ 副腎静脈サンプリングが年間20例以上実施されていること。

④ 副腎手術が年間10例以上実施されていること、又は原発性アルドステロン症に対する副腎手術が5例以上実施されていること。

⑤ 緊急手術が可能な体制を有していること。

オ 本区分の「注」に定める規定は適用しない。

K697―5 生体部分肝移植術

(1) 対象疾患は、先天性胆道閉鎖症、進行性肝内胆汁うっ滞症(原発性胆汁性肝硬変と原発性硬化性胆管炎を含む。)、アラジール症候群、バッドキアリー症候群、先天性代謝性肝疾患(家族性アミロイドポリニューロパチーを含む。)、多発嚢胞肝、カロリ病、肝硬変(非代償期)及び劇症肝炎(ウイルス性、自己免疫性、薬剤性、成因不明を含む。)である。なお、肝硬変(非代償期)に肝癌(転移性のものを除く。以下同じ。)を合併している場合には、遠隔転移と血管侵襲を認めないもので、当該肝癌が、次の条件により、肝内に長径5cm以下1個、長径3cm以下3個以内、又は長径5cm以下5個以内かつα―フェトプロテイン(AFP)の検査結果が500ng/mL以下である場合に限る。また、小児肝芽腫についても対象疾患に含むものとする。

ア 肝癌の長径及び個数については、病理結果ではなく、当該移植実施日から1月以内の術前画像を基に判定することを基本とする。

イ 術前画像において肝癌と判定される結節性病変は、単純CTで撮影した画像において低吸収域として描出され、造影CTで撮影した画像の動脈相において高吸収域として、門脈相において低吸収域として描出されるものをいい、これを典型的な肝癌と判定する。なお、非典型的な肝癌の場合は、最新の科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン作成に関する研究班「肝癌診療ガイドライン」に基づき、肝癌と診断された場合に限る。また、造影剤にアレルギーがあり造影CTが実施できない場合は、MRIで代用する。

ウ 当該移植前に肝癌に対する治療を行った症例に関しては、当該治療を終了した日から3月以上経過後の移植前1月以内の術前画像を基に判定するものとする。なお、完全壊死に陥っている結節は、肝癌の個数には含めない。

(2) 生体肝を移植する場合においては、日本移植学会が作成した「生体肝移植ガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。

(3) 生体肝を移植する場合においては肝提供者から移植肝を摘出することに係る全ての療養上の費用を所定点数により算出し、生体部分肝移植術の所定点数に加算する。なお、肝提供者の生体肝を摘出することに係る療養上の費用には、食事の提供も含まれ、具体的には、「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第99号)によって算定した費用額を10円で除して得た点数につき1点未満の端数を四捨五入して得た点数と他の療養上の費用に係る点数を合計した点数とする。この場合、肝提供者に食事療養標準負担額を求めることはできない。

(4) 肝採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取肝を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(5) 請求に当たっては、肝移植者の診療報酬明細書の摘要欄に肝提供者の療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、肝提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付する。

(6) 生体部分肝移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(7) 肝移植を行った保険医療機関と肝移植に用いる健肝を摘出した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肝移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K697―6 移植用肝採取術(死体)

(1) 移植用肝採取術(死体)の所定点数は、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した者の身体から肝の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 移植用肝採取術(死体)の所定点数には、脳死した者の身体から移植のための肝採取を行う際の採取前の採取対象肝の灌流、肝採取、採取肝の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用が全て含まれる。ただし、肝採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取肝を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(3) 部分肝を用いて複数の者に対する移植が行われた場合には、移植を行った保険医療機関それぞれにおいて算定する。

(4) 肝移植を行った保険医療機関と肝移植に用いる健肝を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肝移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K697―7 同種死体肝移植術

(1) 同種死体肝移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(2) 肝移植を行った保険医療機関と肝移植に用いる健肝を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肝移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K699―2 体外衝撃波膵石破砕術

(1) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいう。数日の間隔をおいて一連の治療過程にある数回の体外衝撃波膵石破砕術を行う場合は、1回のみ所定点数を算定する。なお、その他数回の手術の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 体外衝撃波膵石破砕によっては所期の目的が達成できず、内視鏡を用いた破砕膵石の除去以外の手術手技を実施した場合の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

K700―3 腹腔鏡下膵腫瘍摘出術

当該手術について十分な経験を有する医師により実施された場合に算定する。

K702―2 腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術

当該手術について十分な経験を有する医師により実施された場合に算定する。なお、原則として周辺臓器及び脈管の合併切除を伴わないものに対して実施した場合に限り算定すること。

K703―2 腹腔鏡下膵頭部腫瘍切除術

当該手術について十分な経験を有する医師により実施された場合に算定する。なお、原則として周辺臓器(胃、結腸、腎、副腎等)の合併切除を伴わないものに対して実施した場合に限り算定すること。

K709―2 移植用膵採取術(死体)

(1) 移植用膵採取術(死体)の所定点数は、死体から膵の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 死体膵には、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した者の身体の膵を含む。

(3) 移植用膵採取術(死体)の所定点数には、移植のための膵採取を行う際の採取前の採取対象膵の灌流、膵採取、採取膵の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用が全て含まれる。ただし、膵採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取膵を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(4) 膵移植を行った保険医療機関と膵移植に用いる健膵を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、膵移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K709―3 同種死体膵移植術

(1) 同種死体膵移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(2) 移植の対象となる死体膵には、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した身体の膵を含む。

(3) 膵移植を行った保険医療機関と膵移植に用いる健膵を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、膵移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

(4) 「注1」の加算は、死体(脳死体を除く。)から移植のための膵採取を行う際の採取前の採取対象膵の灌流、膵採取、採取膵の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用が全て含まれる。ただし、膵採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取膵を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

K709―4 移植用膵腎採取術(死体)

(1) 移植用膵腎採取術(死体)の所定点数は、死体から同時に膵と腎の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 死体膵腎には、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した者の身体の膵腎を含む。

(3) 移植用膵腎採取術(死体)の所定点数には、移植のための膵腎採取を行う際の採取前の採取対象膵腎の灌流、膵腎採取、採取膵腎の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用が全て含まれる。ただし、膵腎採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取膵腎を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(4) 膵腎移植を行った保険医療機関と膵腎移植に用いる健膵腎を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、膵腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K709―5 同種死体膵腎移植術

(1) 同種死体膵腎移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(2) 移植の対象となる死体膵腎には、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した身体の膵腎を含む。

(3) 膵腎移植を行った保険医療機関と膵腎移植に用いる健膵腎を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、膵腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

(4) 「注1」の加算は、死体(脳死体を除く。)から移植のための膵腎採取を行う際の採取前の採取対象膵腎の灌流、膵腎採取、採取膵腎の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用が全て含まれる。ただし、膵腎採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取膵腎を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

K709―6 同種死体膵島移植術

(1) 対象患者は、1型糖尿病患者であって、慢性腎不全を伴わない者又は腎移植後の者とする。

(2) 同種死体膵島移植術の所定点数には、膵島分離の費用が含まれる。

(3) 移植の対象となる死体膵島には、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した身体の膵島を含む。

(4) 膵島移植を行った保険医療機関と膵島移植に用いる健膵を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、膵島移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

(5) 「注1」の規定に基づく加算は、死体(脳死体を除く。)から移植のための膵採取を行う際の採取前の採取対象膵の灌流、膵採取、採取膵の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用が全て含まれる。ただし、膵採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取膵を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

K714 腸管癒着症手術

腸閉塞症手術を行った場合は、その術式により腸管癒着症手術、区分番号「K715」腸重積症整復術、区分番号「K716」小腸切除術又は区分番号「K719」結腸切除術等により算定する。

K716 小腸切除術

「1」については、クローン病の患者のうち、複雑な瘻孔形成や膿瘍形成のあるものに対して小腸切除術を実施した場合は、本区分の所定点数により算定する。

K716―2 腹腔鏡下小腸切除術

「1」については、クローン病の患者のうち、複雑な瘻孔形成や膿瘍形成のあるものに対して小腸切除術を実施した場合は、本区分の所定点数により算定する。

K716―4 生体部分小腸移植術

(1) 対象症例は、短腸症候群又は機能的難治性小腸不全であって、経静脈栄養を必要とし、経静脈栄養の継続が困難なもの又は困難になることが予測されるものとする。

(2) 生体小腸を移植する場合においては、日本移植学会による「生体小腸移植実施指針」を遵守している場合に限り算定する。

(3) 生体小腸を移植する場合においては、小腸提供者から移植小腸を摘出することに係る全ての療養上の費用を所定点数により算出し、生体部分小腸移植術の所定点数に加算する。なお、小腸提供者の生体小腸を摘出することに係る療養上の費用には、食事の提供も含まれ、具体的には、「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第99号)によって算定した費用額を10円で除して得た点数につき1点未満の端数を四捨五入して得た点数と他の療養上の費用に係る点数を合計した点数とする。この場合、小腸提供者に食事療養標準負担額を求めることはできない。

(4) 小腸採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取小腸を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(5) 請求に当たっては、小腸移植者の診療報酬明細書の摘要欄に小腸提供者の療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、小腸提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付する。

(6) 生体部分小腸移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(7) 小腸移植を行った保険医療機関と小腸移植に用いる健小腸を摘出した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、小腸移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K716―5 移植用小腸採取術(死体)

(1) 移植用小腸採取術(死体)の所定点数は、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した者の身体から小腸の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 移植用小腸採取術(死体)の所定点数には、脳死した者の身体から移植のための小腸採取を行う際の採取前の採取対象小腸の灌流、小腸採取、採取小腸の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用が全て含まれる。ただし、小腸採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取小腸を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(3) 小腸移植を行った保険医療機関と小腸移植に用いる健小腸を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、小腸移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K716―6 同種死体小腸移植術

(1) 同種死体小腸移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(2) 小腸移植を行った保険医療機関と小腸移植に用いる健小腸を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、小腸移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K721 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術

(1) 短期間又は同一入院期間中において、回数にかかわらず、第1回目の実施日に1回に限り算定する。

(2) 「1」は、ポリープの長径又は粘膜切除範囲が2cm未満の場合に算定する。

(3) 「2」は、ポリープの長径又は粘膜切除範囲が2cm以上の場合に算定する。

(4) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術と同時に施行した内視鏡的止血術の手技料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K721―4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術

(1) 短期間又は同一入院期間中において、回数にかかわらず、第1回目の実施日に1回に限り算定する。

(2) 経内視鏡的に高周波切除器を用いて病変の周囲を全周性に切開し、粘膜下層を剥離することにより、最大径が2cm以上の早期癌又は最大径が5mmから1cmまでの神経内分泌腫瘍に対して、病変を含む範囲を一括で切除した場合に算定する。ただし、線維化を伴う早期癌については、最大径が2cm未満のものに対して実施した場合でも算定できる。

(3) 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術と同時に施行した内視鏡的止血術の手技料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K722 小腸結腸内視鏡的止血術

(1) 小腸結腸内視鏡的止血術は1日1回、週3回を限度として算定する。

(2) マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

(3) 「注」の加算については、小腸出血に対して内視鏡的止血術を行った場合のみ算定できる。

(4) 電動回転可能なスパイラル形状のフィンを装着した内視鏡を用いて実施した場合は、本区分の「注」に掲げるバルーン内視鏡加算の所定点数を準用して加算する。当該加算については、小腸出血に対して内視鏡的止血術を行った場合のみ算定できる。

K725 腸瘻、虫垂瘻造設術

(1) 長期の栄養管理を目的として、腸瘻、虫垂瘻を造設する際には、腸瘻、虫垂瘻による療養の必要性、管理の方法及び腸瘻、終了の際に要される身体の状態等、療養上必要な事項について患者又はその家族等への説明を行うこと。

(2) 長期の栄養管理を目的として、腸瘻、虫垂瘻を造設した後、他の保険医療機関等に患者を紹介する場合は、腸瘻、虫垂瘻による療養の必要性、管理の方法及び終了の際に要される身体の状態等、療養上必要な事項並びに、患者又はその家族等への説明内容等を情報提供すること。

K725―2 腹腔鏡下腸瘻、虫垂瘻造設術

(1) 長期の栄養管理を目的として、腸瘻、虫垂瘻を造設する際には、腸瘻、虫垂瘻による療養の必要性、管理の方法及び腸瘻、虫垂瘻よる療養の終了の際に要される身体の状態等、療養上必要な事項について患者又はその家族等への説明を行うこと。

(2) 長期の栄養管理を目的として、腸瘻、虫垂瘻を造設した後、他の保険医療機関等に患者を紹介する場合は、腸瘻、虫垂瘻による療養の必要性、管理の方法及び腸瘻、虫垂瘻による療養の終了の際に要される身体の状態等、療養上必要な事項並びに患者又はその家族等への説明内容等を情報提供すること。

(3) 腹腔鏡下逆流防止弁付加結腸瘻造設術についても本区分で算定する。

K726 人工肛門造設術

区分番号「K740」直腸切除・切除術の「4」を行った場合の人工肛門造設に係る腸管の切除等の手技料は、それぞれの所定点数に含まれ、別に算定できない。

K726―2 腹腔鏡下人工肛門造設術

区分番号「K740―2」腹腔鏡下直腸切除・切断術の「3」を行った場合の人工肛門造設に係る腸管の切除等の手技料は、それぞれの所定点数に含まれ、別に算定できない。

K729―2 多発性小腸閉鎖症手術

当該手術は、先天性小腸閉鎖に対して2箇所以上の病変に対して行われる場合に限り算定する。

K732 人工肛門閉鎖術

「2」の「イ」直腸切除術後のものについては、悪性腫瘍に対する直腸切除術の際に造設した人工肛門に対して、人工肛門閉鎖術を行った場合に算定する。

K732―2 腹腔鏡下人工肛門閉鎖術(悪性腫瘍に対する直腸切除術後のものに限る。)

悪性腫瘍に対する直腸切除術の際に造設した人工肛門に対して、人工肛門閉鎖術を行った場合に算定する。

K735―2 小腸・結腸狭窄部拡張術(内視鏡によるもの)

(1) 短期間又は同一入院期間中において2回に限り算定する。なお、2回目を算定する場合は診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的な必要性を記載すること。

(2) 電動回転可能なスパイラル形状のフィンを装着した内視鏡を用いて実施した場合は、本区分の「注」に掲げるバルーン内視鏡加算の所定点数を準用して加算する。

K735―5 腸管延長術

腸管延長術は、短腸症候群の患者の拡張した残存小腸に対し、自動縫合器を用いて切離延長を行った場合に算定する。

K736 人工肛門形成術

人工肛門造設後における、人工肛門狭窄又は腸管断端の過不足により、改めてそれを拡張又は整形した場合は、本区分により算定する。

K739 直腸腫瘍摘出術(ポリープ摘出を含む。)

マイクロ波凝固療法を実施した場合における当該療法に係る費用は、所定点数に含まれる。

K740 直腸切除・切断術

(1) 「4」については、経腹的操作及び経肛門的操作による内外括約筋間直腸切除と、経肛門操作による肛門再建による自然肛門温存を行った場合に算定する。なお、診療報酬明細書に手術記録を添付すること。

(2) 「4」及び「5」において、人工肛門造設に係る腸管の切除等の手技料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 「注」の人工肛門造設加算については、医学的な必要性がある場合に一時的人工肛門造設を行った場合に算定する。なお、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的な必要性を記載すること。

K740―2 腹腔鏡下直腸切除・切断術

(1) 「3」において、人工肛門造設に係る腸管の切除等の手技料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 「注」の人工肛門造設加算については、医学的な必要性がある場合に一時的人工肛門造設を行った場合に算定する。なお、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的な必要性を記載すること。

K741―2 直腸瘤手術

直腸瘤に対して、経膣的又は経肛門的に行った場合に算定する。

K742 直腸脱手術

(1) 「1」の「ロ」は、デロルメ法又はアルテマイヤー法により実施された場合に限り算定する。

(2) 区分番号「K865」子宮脱手術及び区分番号「K887―2」卵管結紮術を併せて行った場合は、「4」により算定する。

K743 痔核手術(脱肛を含む。)

(1) 内痔核に対するミリガン・モーガン手術により1か所又は2か所以上の手術を行った場合は、「4」により算定する。

(2) ホワイトヘッド手術は、「4」により算定する。

(3) 自動吻合器を用いて痔核手術を行った場合は、本区分の「6」により算定する。ただし、自動吻合器等の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K743―2 肛門括約筋切開術

本手術は、結腸又は直腸の拡張を伴う慢性便秘症に対して、肛門括約筋切開術を行った場合に算定する。

K743―5 モルガニー氏洞及び肛門管切開術、K743―6 肛門部皮膚剥離切除術

肛門掻痒症に対し種々の原因治療を施しても治癒しない場合において、本手術を行った場合に算定する。

第10款 尿路系・副腎

K754―2 腹腔鏡下副腎摘出術

腹腔鏡下副腎摘出術の対象疾患は、良性副腎腫瘍とする。

K754―3 腹腔鏡下小切開副腎摘出術

腹腔鏡下小切開副腎摘出術の対象疾患は、良性副腎腫瘍とする。

K762 腎固定術

遊走腎兼移動性盲腸に対して、必要があって腸固定術、腎固定術を行った際に一皮切から行い得た場合は、同一手術野の手術として「通則14」により腎固定術のみにより算定する。

K764 経皮的尿路結石除去術

経皮的尿路結石除去術は、腎結石症又は尿管結石症に対して、経皮的に腎瘻を造設した後、腎瘻より腎盂鏡を挿入し、電気水圧衝撃波、弾性衝撃波又は超音波等を用いて結石を摘出した場合に算定する。

K768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術

(1) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいう。数日の間隔をおいて一連の治療過程にある数回の体外衝撃波腎・尿管結石破砕を行う場合は、1回のみ所定点数を算定する。なお、その他数回の手術の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 体外衝撃波腎・尿管結石破砕によっては所期の目的が達成できず、他の手術手技を行った場合の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

K769 腎部分切除術

残腎結核に対して、腎空洞切開術及び腎盂尿管移行部形成術を併施した場合は、区分番号「K789」尿管腸膀胱吻合術に準じて算定する。

K773―4 腎腫瘍凝固・焼灼術(冷凍凝固によるもの)

腎腫瘍凝固・焼灼術(冷凍凝固によるもの)は経皮的、開腹下又は腹腔鏡下のいずれの方法によるものについても算定できる。

K773―5 腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)

原発病巣が7センチメートル以下であり転移病巣のない腎悪性腫瘍に対して、腎部分切除を行った場合に限り算定する。

K775 経皮的腎(腎盂)瘻造設術

手術に伴う画像診断及び検査の費用は算定しない。

K779 移植用腎採取術(生体)

腎移植を行った保険医療機関と腎移植に用いる健腎を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。なお、請求に当たっては、腎移植者の診療報酬明細書の摘要欄に腎提供者の療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、腎提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付すること。

K779―2 移植用腎採取術(死体)

(1) 移植用腎採取術(死体)の所定点数は、死体から腎の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 死体腎には、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した身体の腎を含む。

(3) 移植用腎採取術(死体)の所定点数には、移植のための腎採取を行う際の採取前の採取対象腎の灌流、腎採取、採取腎の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用が全て含まれる。ただし、腎採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取腎を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(4) 腎移植を行った保険医療機関と腎移植に用いる健腎を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K779―3 腹腔鏡下移植用腎採取術(生体)

腎移植を行った保険医療機関と腎移植に用いる健腎を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。なお、請求に当たっては、腎移植者の診療報酬明細書の摘要欄に腎提供者の療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、腎提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付すること。

K780 同種死体腎移植術

(1) 同種死体腎移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(2) 移植の対象となる死体腎には、臓器の移植に関する法律に規定する脳死体の腎を含む。

(3) 腎移植を行った保険医療機関と腎移植に用いる健腎を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

(4) 「注1」の規定に基づく加算は、死体(脳死体を除く。)から移植のための腎採取を行う際の採取前の採取対象腎の灌流、腎採取、採取腎の灌流及び保存並びにリンパ節の保存に要する人件費、薬品・容器等の材料費等の費用が全て含まれる。ただし、腎採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取腎を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

K780―2 生体腎移植術

(1) 対象疾患は、末期慢性腎不全である。

(2) 生体腎を移植する場合においては、日本移植学会が作成した「生体腎移植ガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。

(3) 生体腎を移植する場合においては腎提供者から移植腎を摘出することに係る全ての療養上の費用を所定点数により算出し、生体腎移植術の所定点数に加算する。なお、腎提供者の生体腎を摘出することに係る療養上の費用には、食事の提供も含まれ、具体的には、「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第99号)によって算定した費用額を10円で除して得た数と他の療養上の費用に係る点数を合計した点数とする。この場合、腎提供者から食事に係る標準負担額を求めることはできない。

(4) 生体腎移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。

(5) 腎移植を行った保険医療機関と腎移植に用いる健腎を摘出した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、腎移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。なお、請求に当たっては、腎移植者の診療報酬明細書の摘要欄に腎提供者の療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、腎提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付すること。

K781 経尿道的尿路結石除去術

経尿道的尿路結石除去術は、腎結石症、腎盂結石症又は尿管結石症に対して経尿道的に内視鏡を腎、腎盂又は尿管内に挿入し、電気水圧衝撃波、弾性衝撃波、超音波又はレーザー等により結石を破砕し、バスケットワイヤーカテーテル等を用いて摘出する場合に算定する。ただし、透視下にバスケットワイヤーカテーテルのみを用いて、砕石を行わず結石の摘出のみを行った場合は、区分番号「K798」膀胱結石、異物摘出術の「1」に準じて算定する。

K781―3 経尿道的腎盂尿管凝固止血術

経尿道的腎盂尿管凝固止血術は、画像診断、血液学的検査、尿細胞診検査によっても原因が特定できない肉眼的血尿に対し、腎盂尿管鏡を用いて出血部位を特定し、Ho―YAGレーザー等を用いて、止血を行った場合に算定する。なお、内視鏡検査及び使用するレーザー等に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K783 経尿道的尿管狭窄拡張術、K783―2 経尿道的尿管ステント留置術、K783―3 経尿道的尿管ステント抜去術、K785 経尿道的腎盂尿管腫瘍摘出術、K794―2 経尿道的尿管瘤切除術、K798 膀胱結石、異物摘出術の「1」、K798―2 経尿道的尿管凝血除去術(バスケットワイヤーカテーテル使用)、K800―2 経尿道的電気凝固術、K803 膀胱悪性腫瘍手術の「6」、K817 尿道悪性腫瘍摘出術の「2」、K821 尿道狭窄内視鏡手術

内視鏡検査に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K783―2 経尿道的尿管ステント留置術、K783―3 経尿道的尿管ステント抜去術

区分番号「K783―2」経尿道的尿管ステント留置術と区分番号「K783―3」経尿道的尿管ステント抜去術を併せて行った場合は、主たるもののみ算定する。

K802―2 膀胱脱手術

「1」については、メッシュを使用した場合に算定する。

K803 膀胱悪性腫瘍手術

「注」の狭帯域光強調加算は、上皮内癌(CIS)の患者に対し、手術中に切除範囲の決定を目的に実施した場合に限り算定する。

K805―2 膀胱皮膚瘻造設術

穿刺によらず、膀胱と皮膚とを縫合することで膀胱皮膚瘻を造設した場合に算定する。

K805―3 導尿路造設術

腸管を用いて膀胱からの導尿路を造設した場合に算定する。

K809―3 腹腔鏡下膀胱内手術

膀胱尿管逆流症又は巨大尿管症に対して行われたものに対して算定する。

K821―3 尿道ステント前立腺部尿道拡張術

全身状態が不良のため、区分番号「K840」前立腺被膜下摘出術又は区分番号「K841」経尿道的前立腺手術を実施できない患者に対して、尿道ステントを用いて前立腺部の尿道拡張を行った場合に算定する。

K823 尿失禁手術

恥骨固定式膀胱頸部吊上術を行うものについては、恥骨固定式膀胱頸部吊上キットを用いて尿失禁手術を行った場合に算定する。手術に必要な保険医療材料の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K823―2 尿失禁又は膀胱尿管逆流現象コラーゲン注入手術

(1) 注入に用いるコラーゲン、皮内反応用のコラーゲン、注入針、膀胱鏡等の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 本手術の対象疾患は、1年以上改善の見られない腹圧性尿失禁又は膀胱尿管逆流症とする。

(3) 所期の目的を達するために複数回実施しても、一連として算定する。

K823―3 膀胱尿管逆流症手術(治療用注入材によるもの)

所期の目的を達するために複数回実施しても、一連として算定する。

K823―6 尿失禁手術(ボツリヌス毒素によるもの)

(1) 過活動性膀胱又は神経因性排尿筋過活動の患者であって、行動療法、各種抗コリン薬及びβ3作動薬を含む薬物療法を単独又は併用療法として、少なくとも12週間の継続治療を行っても効果が得られない又は継続が困難と医師が判断したものに対して行った場合に限り、算定できる。

(2) 効果の減弱等により再手術が必要となった場合には、4月に1回に限り算定できる。

第11款 性器

K828―2 陰茎持続勃起症手術

陰茎背静脈、尿道海綿体、大伏在静脈又は体外静脈系と陰茎海綿体のシャント術を行った場合には、「2」により算定する。

K834―2 腹腔鏡下内精巣静脈結紮術

腹腔鏡下精索静脈瘤手術は本区分で算定する。

K841―2 経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術

(1) 経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術は、膀胱・尿道鏡下に行われた場合に算定し、超音波ガイド下に行われた場合は算定できない。

(2) 使用されるレーザープローブの費用等レーザー照射に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) ネオジウム・ヤグ倍周波数レーザ(グリーンレーザ)又はダイオードレーザによる経尿道的前立腺蒸散術を行った場合には、「1」に掲げる所定点数を算定する。

K841―3 経尿道的前立腺高温度治療

(1) 本手術は、前立腺肥大組織を45℃以上で加熱するものをいう。

(2) 本手術の所定点数には、使用される機器等の費用が含まれ、別に算定できない。

(3) 所期の目的を達するために複数回実施した場合であっても、一連として算定する。

K841―4 焦点式高エネルギー超音波療法

(1) 前立腺肥大症に対して行われた場合に限り算定する。

(2) 本手術の所定点数には、使用される機器等の費用が含まれ、別に算定できない。

(3) 前立腺肥大症の治療のために行われる当該手術については、一連の手術につき1回に限り算定するものとし、治療終了後、医師が治療の必要性を認めた場合には算定できる。

K841―5 経尿道的前立腺核出術

経尿道的前立腺核出術は、電解質溶液を灌流液として用いて、前立腺核出用電極により、経尿道的に前立腺腺腫を核出した場合に算定する。

K854 腟式子宮旁結合織炎(膿瘍)切開術

子宮旁結合織炎(膿瘍)切開排膿の第2回以後の洗浄処置については、区分番号「J066」尿道拡張法により算定する。

K865 子宮脱手術

(1) 腟壁縫合術の費用は本区分の所定点数に含まれ、別に算定できない。

(2) 区分番号「K852」腟壁裂創縫合術(分娩時を除く。)及び区分番号「K877」子宮全摘術を併施した場合は、それぞれの所定点数を別に算定する。

ただし、区分番号「K852」腟壁裂創縫合術(分娩時を除く。)と区分番号「K872」子宮筋腫摘出(核出)術の「2」を併施した場合は、区分番号「K872」子宮筋腫摘出(核出)術の「2」の所定点数のみにより算定する。

K867―2 子宮膣部糜爛等子宮膣部乱切除術

子宮腟部糜爛(ナボット胞のあるもの)等の場合に、子宮腟部の乱切除術を行う場合に算定する。

K872―5 子宮頸部初期癌又は異形成光線力学療法

子宮頸部初期癌又は異形成光線力学療法は、ポルフィマーナトリウムを投与した患者に対しエキシマ・ダイ・レーザー(波長630nm)及びYAG―OPOレーザーを使用した場合など、保険適用された薬剤、機器を用いて行った場合に限り算定できる。

K877―2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術

腹腔鏡下腟式子宮全摘術の対象疾患は、良性子宮疾患とする。

K879―2 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術

(1) 子宮体がんに対するものについては、日本産科婦人科学会、日本病理学会、日本医学放射線学会及び日本放射線腫瘍学会が定める「子宮体癌取扱い規約」におけるⅠA期の子宮体がんに対して実施した場合に算定する。

(2) 子宮体がんに対するものについては、ⅠA期の術前診断により当該手術を行おうとしたが、術中所見でⅠB期以降であったため、開腹手術を実施した場合は、区分番号「K879」子宮悪性腫瘍手術を算定する。

(3) 子宮頸がんに対するものについては、関係学会の定める診療に関する指針を遵守し、実施すること。

K885―2 経皮的卵巣嚢腫内容排除術

経皮的卵巣嚢腫内容排除術は、単房性の卵巣嚢腫を呈した1歳未満の患者に対して実施した場合に限り算定する。

K890―2 卵管鏡下卵管形成手術

手術に伴う腹腔鏡検査等の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

K892 骨盤位娩出術

産科娩出術において双子の場合は、帝王切開術を除き1児ごとに所定点数を算定する。

K898 帝王切開術

(1) 「1」緊急帝王切開は、母体及び胎児の状況により緊急に帝王切開となった場合に算定する。なお、「2」選択帝王切開を予定していた場合であっても、母体及び胎児の状態により緊急に帝王切開となった場合は「1」により算定する。

(2) 「注」に規定する「複雑な場合」とは以下に掲げるものをいう。

ア 前置胎盤の合併を認める場合

イ 32週未満の早産の場合

ウ 胎児機能不全を認める場合

エ 常位胎盤早期剥離を認める場合

オ 開腹歴(腹腔・骨盤腔内手術の既往をいう。)のある妊婦に対して実施する場合

カ 多胎の場合

K901 子宮双手圧迫術(大動脈圧迫術を含む。)

子宮双手圧迫術を実施した後、子宮用止血バルーンカテーテルを用いた止血を実施した場合は主たるもののみ算定する。

K906 子宮頸管縫縮術

子宮頸管縫縮術のうち、シロッカー法は、筋膜採取を含めて所定点数による。

K907 胎児外回転術

胎児外回転術の算定は分娩時のみに限るものではないが、その効果が十分期待しうる時期に実施された場合に限り算定する。

K909 流産手術

(1) 流産手術は原則として、あらかじめ頸管拡張を行った場合であってもそれを別に算定することなく、本区分の所定点数のみにより算定する。

(2) 人工妊娠中絶のために必要があって、区分番号「K898」帝王切開術、区分番号「K877」子宮全摘術又は区分番号「K876」子宮腟上部切断術を実施した場合は、流産手術の所定点数によらずそれぞれの所定点数により算定する。

(3) 妊娠満22週以上のものの中絶は、流産手術として算定せず、実際に行った分娩誘導又は産科手術の術式の所定点数によって算定する。

K910―2 内視鏡的胎盤吻合血管レーザー焼灼術

内視鏡的胎盤吻合血管レーザー焼灼術は双胎間輸血症候群と診断された患者に対し、双胎間輸血症候群の十分な経験を有する医師の下で行われた場合に算定する。

K910―3 胎児胸腔・羊水腔シャント術

胎児胸腔・羊水腔シャント術は、胎児胸水に対し、胎児胸水排出用シャントを用いて胸水を羊水腔に持続的に排出した場合に、一連につき1回に限り算定する。なお、使用した胎児胸水排出用シャントの費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

K910―4 無心体双胎焼灼術(一連につき)

無心体双胎に対するラジオ波焼灼術は、無心体双胎に対する十分な経験を有する医師の下で行われた場合に算定する。

K910―5 胎児輸血術(一連につき)

(1) 胎児輸血術は、貧血又は血小板減少が疑われる胎児に対して、超音波ガイド下に母体経皮経腹的に子宮内の臍帯血管を穿刺し、輸血を行った場合に算定する。なお、「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいう。また、数日の間隔をおいて一連の治療過程にある数回の胎児輸血を行う場合は、1回のみ所定点数を算定する。

(2) 胎児血の採取に係る費用は、所定点数に含まれる。

K912 異所性妊娠手術

外妊破裂を起こさなかった場合であっても算定できる。

K913 新生児仮死蘇生術

新生児仮死蘇生術は、「通則7」の極低出生体重児又は新生児加算を算定できる。

K913―2 性腺摘出術

停留精巣又は性分化異常症等による性腺等を摘出した場合に算定する。

第12款 削除

第13款 臓器提供管理料

K914 脳死臓器提供管理料

(1) 脳死臓器提供管理料の所定点数は、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した者の身体から臓器の移植が行われた場合に、移植を行った保険医療機関において算定する。

(2) 脳死臓器提供管理料の所定点数には、臓器の移植に関する法律第6条に規定する脳死判定並びに判定後の脳死した者の身体への処置、検査、医学的管理、看護、院内のコーディネート、薬剤及び材料の使用、採取対象臓器の評価及び脳死した者の身体から臓器を採取する際の術中全身管理に係る費用等が含まれる。

(3) 脳死臓器提供管理料は、区分番号「K514―4」同種死体肺移植術、区分番号「K605―2」同種心移植術、区分番号「K605―4」同種心肺移植術、区分番号「K697―7」同種死体肝移植術、区分番号「K709―3」同種死体膵移植術、区分番号「K709―5」同種死体膵腎移植術、「K709―6」同種死体膵島移植術、区分番号「K716―6」同種死体小腸移植術又は区分番号「K780」同種死体腎移植術が算定できる場合に限り、算定する。

(4) 診療報酬の請求は臓器の移植を行った保険医療機関で行い、脳死臓器提供管理を行った医療機関との診療報酬の分配は、相互の合議に委ねる。

(5) 脳死臓器提供管理料について、「通則10」、「通則11」及び「通則12」の加算は適用できない。

K915 生体臓器提供管理料

(1) 生体臓器提供管理料の所定点数には、採取対象臓器の評価や生体から臓器を採取する際の術中全身管理をはじめとする臓器提供者の安全管理等に係る費用が含まれる。

(2) 生体臓器提供管理料の所定点数は、移植を行った保険医療機関において算定する。

(3) 生体臓器提供管理料は、区分番号「K514―6」生体部分肺移植術、区分番号「K697―5」生体部分肝移植術、区分番号「K716―4」生体部分小腸移植術又は区分番号「K780―2」生体腎移植術が算定できる場合に限り算定する。

(4) 診療報酬の請求は臓器の移植を行った保険医療機関で行い、生体臓器提供管理を行った医療機関との診療報酬の分配は、相互の合議に委ねる。

(5) 生体臓器提供管理料について、「通則8」、「通則10」、「通則11」及び「通則12」の加算は適用できない。

第2節 輸血料

K920 輸血

(1) 自家採血輸血、保存血液輸血、自己血輸血及び希釈式自己血輸血の算定に当たっては、200mLを単位とし、200mL又はその端数を増すごとに所定点数を算定する。ただし、6歳未満の患者に対して自己血輸血を行った場合は、体重1kgにつき4mLを単位とし、当該単位又はその端数を増すごとに所定点数を算定する。

(2) 自家採血輸血及び保存血液輸血における1回目とは、一連の輸血における最初の200mLの輸血をいい、2回目とはそれ以外の輸血をいう。

(3) 輸血と補液を同時に行った場合は、輸血の量と、補液の量は別々のものとして算定する。

(4) 自家採血輸血を算定する単位としての血液量は、採血を行った量ではなく、実際に輸血を行った1日当たりの量である。

(5) 自家製造した血液成分製剤を用いた注射の手技料は、原材料として用いた血液の量に従い、「1」により算定する。ただし、この場合の血液の量は3,000mLを限度とすること。この場合、患者に用いるリンゲル液、糖液等については、区分番号「G100」薬剤により算定するが、自家製造に要する費用及び製造の過程で用いる薬剤については算定できない。

(6) 同種造血幹細胞移植後の慢性骨髄性白血病の再発、骨髄異形成症候群の再発及びEBウイルス感染によるB細胞性リンパ球増殖性疾患に対し、造血幹細胞提供者のリンパ球を採取・輸注した場合は、「1」により算定する。またこの際、自家製造したリンパ球を使用した場合には、(5)の規定に基づき、原材料として用いた血液の量に従い算定する。

(7) 保存血液輸血の注入量は、1日における保存血及び血液成分製剤(自家製造したものを除く。)の実際に注入した総量又は原材料として用いた血液の総量のうちいずれか少ない量により算定する。例えば、200mLの血液から製造された30mLの血液成分製剤については30mLとして算定し、200mLの血液から製造された230mLの保存血及び血液成分製剤は、200mLとして算定する。

(8) 血小板濃厚液の注入は、「2」により算定する。なお、血漿成分製剤(新鮮液状血漿、新鮮凍結血漿等)は注射の部において取り扱われる。

(9) 自己血貯血は、当該保険医療機関において手術又はヒト骨髄由来間葉系幹細胞の投与を予定している患者から採血を行い、当該血液を保存した場合に算定する。また、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞の投与を予定している患者に関しては、「3」自己血貯血の「イ」6歳以上の患者の場合(200mLごとに)の「(1)」の液状保存の場合により算定する。

(10) 自己血輸血は、当該保険医療機関において手術を行う際に予め貯血しておいた自己血(自己血貯血)を輸血した場合において、手術時及び手術後3日以内に輸血を行ったときに算定できる。

(11) 自己血輸血を算定する単位としての血液量は、採血を行った量ではなく、手術開始後に実際に輸血を行った1日当たりの量である。なお、使用しなかった自己血については、算定できない。

(12) 希釈式自己血輸血は、当該保険医療機関において手術を行う際、麻酔導入後から執刀までの間に自己血の採血を行った後に、採血量に見合った量の代用血漿の輸液を行い、手術時予め採血しておいた自己血を輸血した場合に算定できる。

(13) 希釈式自己血輸血を算定する単位としての血液量は、採血を行った量ではなく、手術開始後に実際に輸血を行った1日当たりの量である。なお、使用しなかった自己血については、算定できない。

(14) 患者への説明

ア 「注1」に規定する説明とは、別紙様式26を参考として、文書により輸血の必要性、副作用、輸血方法及びその他の留意点等について、輸血を行う際に患者本人に対して行うことを原則とするが、医師の説明に対して理解ができないと認められる患者(例えば小児、意識障害者等)については、その家族等に対して説明を行うことが必要である。

イ アの説明は、当該患者に対する一連の輸血につき1回行うものとする。なお、この場合、「一連」とは、概ね1週間とする。ただし、再生不良性貧血、白血病等の患者の治療において、輸血の反復の必要性が明らかである場合はこの限りでない。

ウ 説明に用いた文書については、患者(医師の説明に対して理解が困難と認められる小児又は意識障害者等にあっては、その家族等)から署名又は押印を得た上で、当該患者に交付するとともに、その文書の写しを診療録に添付することとする。

エ 緊急その他事前に説明を行うことが著しく困難な場合は、事後の説明でも差し支えないものとする。

(15) 輸血に当たっては、「血液製剤の使用指針及び輸血療法の実施に関する指針について」(平成11年6月10日付け医薬発第715号厚生省医薬安全局長通知)及び「血小板製剤の使用適正化の推進について」(平成6年7月11日付け薬発第638号厚生省薬務局長通知)による、両通知別添(「血液製剤の使用指針」、「輸血療法の実施に関する指針」及び「血小板製剤の適正使用について」)を遵守するよう努めるものとする。

(16) 「注3」の加算は、第1節に掲げる手術と同日に骨髄内輸血又は血管露出術が行われた場合には、算定できない。

(17) 「注6」の頻回に輸血を行う場合とは、週1回以上、当該月で3週以上にわたり行われるものである。

(18) 「注7」の加算を算定できるHLA型適合血小板輸血は、白血病又は再生不良性貧血の場合であって、抗HLA抗体のために血小板輸血に対して不応状態となり、かつ、強い出血傾向を呈しているものに限る。なお、この場合において、対象となる白血病及び再生不良性貧血の患者の血小板数は概ね、それぞれ2万/mm3以下及び1万/mm3以下を標準とする。

(19) 「注8」の血液交叉試験又は間接クームス検査の加算は、自家採血を使用する場合にあっては、供血者ごとに、保存血を使用する場合にあっては、血液バッグ(袋)1バッグごとにそれぞれ算定する。

(20) 「注8」のコンピュータクロスマッチ加算は、(15)に規定する「輸血療法の実施に関する指針」を遵守してコンピュータクロスマッチを実施した場合に算定する。

(21) 「注10」に規定する「輸血に伴って行った供血者の諸検査」には、HCV抗体定性・定量、HIV―1抗体、HIV―1,2抗体定性、HIV―1,2抗体半定量、HIV―1,2抗体定量、HIV―1,2抗原・抗体同時測定定性、HIV―1,2抗原・抗体同時測定定量、HTLV―Ⅰ抗体、不規則抗体等が含まれ、これらの検査に係る費用は別に算定できない。

(22) 自己血を採血する際の採血バッグ並びに輸血する際の輸血用回路及び輸血用針の費用並びに自己血の保存に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。なお、自己血の採血に伴うエリスロポエチンに係る第2章第6部第1節第1款注射実施料については、自己血貯血の所定点数とは別に算定する。

(23) 「注12」に規定する血小板洗浄術加算は、血液・造血器疾患において、副作用の発生防止を目的として、血小板濃厚液を置換液等で洗浄操作した上で血漿成分を除去し輸血を行った場合に算定する。

血小板洗浄術の実施に当たっては関係学会の定めるガイドラインを遵守すること。

K920―2 輸血管理料

(1) 輸血管理料は輸血療法の安全かつ適正な実施を推進する観点から、医療機関における輸血管理体制の構築及び輸血の適正な実施について評価を行うものである。

(2) 輸血管理料は、赤血球濃厚液(浮遊液を含む。)、血小板濃厚液若しくは自己血の輸血、又は新鮮凍結血漿若しくはアルブミン製剤の輸注を行った場合に、月1回を限度として算定する。

K921 造血幹細胞採取

区分番号「K921」造血幹細胞採取の自家移植を行う場合は、区分番号「K922」造血幹細胞移植を行わなかった場合においても算定できる。また、区分番号「K921」造血幹細胞採取の同種移植を行う場合は、区分番号「K922」造血幹細胞移植の同種移植を算定した場合に限り算定できる。

なお、骨髄の採取に係る当該骨髄穿刺を行った場合は、区分番号「D404」骨髄穿刺及び区分番号「J011」骨髄穿刺の所定点数を別に算定できない。

K921―2 間葉系幹細胞採取(一連につき)

ヒト骨髄由来間葉系幹細胞の投与を予定している患者に対して、骨髄採取を行った場合に算定する。なお、骨髄の採取に係る当該骨髄穿刺を行った場合は、区分番号「D404」骨髄穿刺及び区分番号「J011」骨髄穿刺の所定点数を別に算定できない。

K922 造血幹細胞移植

(1) 同種移植における造血幹細胞移植の所定点数には、造血幹細胞移植に関連して実施した造血幹細胞移植者の組織適合性試験の費用が含まれる。

(2) 同種移植とは、ヒト組織適合性抗原が概ね一致する提供者の造血幹細胞を移植する場合をいう。

(3) 同種移植の所定点数は、適合する造血幹細胞提供者の情報検索連絡調整に係る費用やコーディネート中断後の再ドナー候補者に対する追加確認検査(HLA検査等)といった安全管理の追加費用等、造血幹細胞移植の実施に必要な費用の一部も含めて評価したものである。

(4) 臍帯血移植の所定点数は、臍帯血のHLA検査等の安全性確認試験の実施を含めた臍帯血の管理に係る費用等、臍帯血移植の実施に必要な費用の一部も含めて評価したものである。

(5) 同種移植の対象疾患は、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症等であり、また、自家骨髄移植、自家末梢血幹細胞移植の対象疾患は、化学療法や放射線療法に感受性のある白血病等の悪性腫瘍である。

(6) 同種移植の請求に当たっては、造血幹細胞移植者の診療報酬明細書の摘要欄に造血幹細胞提供者の療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、造血幹細胞提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付する。

(7) 造血幹細胞採取(臍帯血移植を除く。)を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取した造血幹細胞を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。

(8) 移植に使用した臍帯血の保存施設から移植実施保険医療機関までの搬送に要した費用については療養費として支給し、その額は移送費の算定方法に準じて算定する。

(9) 造血幹細胞採取(臍帯血移植を除く。)を行った医療機関と造血幹細胞移植を行った保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、造血幹細胞移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K923 術中術後自己血回収術

(1) 開心術及び大血管手術で出血量が600mL以上(12歳未満の患者においては10mL/kg)の場合並びにその他無菌的手術で出血量が600mL以上(12歳未満の患者においては10mL/kg)の場合(外傷及び悪性腫瘍の手術を除く。ただし、外傷のうち骨盤骨折、大腿骨骨折等の閉鎖骨折に対する手術においては算定できる。)に、術中術後自己血回収術を算定する。

(2) 術中術後自己血回収セットとは、術野から血液を回収して、濃縮及び洗浄を行い、又は濾過を行い、当該手術の際に患者の体内に戻す一連の器具をいう。

(3) 「1」については、術中術後自己血回収セットを用いて血液の濃縮及び洗浄を行った場合に算定する。

(4) 「2」については、術中術後自己血回収セットを用いて血液の濾過を行った場合に算定する。

第3節 手術医療機器等加算

K930 脊髄誘発電位測定等加算

(1) 神経モニタリングについては、本区分により加算する。

(2) 「1」に規定する脳、脊椎、脊髄、大動脈瘤又は食道の手術とは、区分番号「K116」から「K118」まで、「K128」から「K136」まで、「K138」、「K139」、「K142」から「K142―3」まで、「K142―5」から「K142―7」、「K151―2」、「K154」、「K154―2」、「K159」、「K160―2」、「K169」、「K170」、「K172」、「K175」から「K178―3」まで、「K181」、「K183」から「K190―2」まで、「K191」、「K192」、「K457」、「K458」、「K527」、「K529」の1及び2、「K529―2」、「K529―3」、「K560」、「K560―2」、「K609」及び「K609―2」に掲げる手術をいう。なお、これらの項目の所定点数を準用する手術については加算を行わない。

(3) 「2」に規定する甲状腺又は副甲状腺の手術とは区分番号「K461」から「K463―2」及び「K465」に掲げる手術をいう。なお、これらの項目の所定点数を準用する手術については加算を行わない。

K931 超音波凝固切開装置等加算

(1) ベッセルシーリングシステムについては、本区分により加算する。

(2) 「注」に規定する「悪性腫瘍等に係る手術」とは、「K031」、「K053」、「K374」、「K374―2」、「K376」、「K379―2」、「K394」、「K394―2」、「K395」、「K461」、「K461―2」、「K463」、「K463―2」、「K465」、「K476」の「4」、「K476」の「6」、「K476」の「9」、「K476―3」、「K484」、「K484―2」、「K502」、「K502―4」、「K504」、「K511」、「K514」、「K514―3」から「K514―6」まで、「K522―3」、「K527」、「K529」、「K531」、「K552」、「K552―2」、「K643」、「K645」、「K655」の「2」、「K655―4」の「2」、「K657」の「2」、「K675」、「K677」、「K677―2」、「K695」、「K697―4」から「K697―7」まで、「K702」から「K704」まで、「K709―2」から「K709―5」まで、「K716」、「K719」の「2」、「K719」の「3」、「K719―5」、「K740」、「K748」、「K756」、「K773」、「K779」、「K779―2」、「K780」、「K780―2」、「K801」の「1」、「K803」、「K817」の「3」、「K843」、「K843―4」、「K850」、「K857」、「K879」及び「K889」に掲げる手術をいう。

(3) 区分番号「K716」小腸切除術の「2」、区分番号「K719」結腸切除術の「2」及び区分番号「K719―5」全結腸・直腸切除嚢肛門吻合術については、クローン病又は潰瘍性大腸炎の再手術に対して超音波凝固切開装置等を用いた場合に限り算定する。

K932 創外固定器加算

区分番号「K046」骨折観血的手術及び「K073」関節内骨折観血的手術については、開放骨折、関節内骨折又は粉砕骨折に対して創外固定器を用いた場合、区分番号「K058」骨長調整手術については、軟骨無形成症及び軟骨低形成症等の骨異形成症、四肢形成不全又は四肢変形の患者に対して脚延長術を行う際に創外固定器を用いた場合、区分番号「K076」観血的関節授動術については、外傷又は変性疾患等により拘縮となった関節に対して創外固定器を用いた場合、区分番号「K125」骨盤骨折観血的手術(腸骨翼骨折を除く。)については骨盤骨折(腸骨翼骨折を除く。)について創外固定器を用いた場合、区分番号「K180の3」頭蓋骨形成手術(骨移動を伴うもの)については頭蓋縫合早期癒合症等の頭蓋骨変形の患者に対して骨延長術を行う際に創外固定器を用いた場合、区分番号「K443」上顎骨形成術については外傷後の上顎骨後位癒着、上顎骨発育不全症又は症候群性頭蓋縫合早期癒合症等の先天異常に対しLe FortⅠ、Ⅱ又はⅢ型骨切離による移動を創外固定器により行う場合、区分番号「K444」下顎骨形成術及び「K444―2」下顎骨延長術については先天性の第1第2鰓弓症候群、トリーチャー・コリンズ症候群等にみられる小顎症の患者に対して骨形成術又は骨延長術を行う際に創外固定器を用いた場合に算定する。

K933 イオントフォレーゼ加算

当該加算を算定した場合、麻酔料は別に算定できない。

K934―2 副鼻腔手術用骨軟部組織切除機器加算

(1) 区分番号「K934」副鼻腔手術用内視鏡加算と併せて算定できる。

(2) 両側に使用した場合であっても一連として所定点数は1回に限り算定する。

K936 自動縫合器加算

(1) 区分番号「K514―3」、「K515―5」、「K552」、「K552―2」、「K674」、「K674―2」、「K675」の「2」から「K675」の「5」まで、「K677」、「K677―2」、「K680」、「K684―2」、「K696」、「K705」、「K706」、「K716―3」及び「K716―5」に掲げる手術に当たって自動縫合器を使用した場合は、2個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

(2) 区分番号「K524―2」、「K654―3」の「2」、「K655」、「K662」、「K662―2」、「K695」の「4」から「K695」の「7」まで、「K695―2」の「4」から「K695―2」の「6」まで、「K697―4」、「K700―2」、「K700―3」、「K711―2」、「K716」、「716―2」、「K732」の「2」、「K739」及び「K739―3」に掲げる手術に当たって自動縫合器を使用した場合は、3個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

(3) 区分番号「K488―4」、「K522―3」、「K525」、「K529」の「3」、「K531」、「K645」、「K655―4」、「K655―5」、「K657―2」、「K700」、「K702」から「K703―2」まで、「K716―4」、「K716―6」、「K719」から「K719―3」まで、「K735」、「K735―3」、「K740」及び「K740―2」に掲げる手術に当たって自動縫合器を使用した場合は、4個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

(4) 区分番号「K655―2」、「K657」、「K803」から「K803―3」まで及び「K817」の「3」に掲げる手術に当たって自動縫合器を使用した場合は、5個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

(5) 区分番号「K511」、「K513」、「K514」、「K514―2」の「1」、「K514―2」の「3」、「K514―4」、「K514―6」、「K529」の「1」、「K529」の「2」、「K529―2」、「K529―3」及び「K656―2」に掲げる手術に当たって自動縫合器を使用した場合は、6個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

(6) 区分番号「K514―2」の「2」及び「K735―5」に掲げる手術にあたって自動縫合器を使用した場合は、8個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

(7) 区分番号「K552」、「K552―2」、「K554」、「K554―2」、「K555」、「K555―3」、「K557」、「K557―2」、「K557―3」、「K560」及び「K594」の「3」に掲げる手術に当たって左心耳閉塞用クリップを使用した場合は、1個を限度として本区分の所定点数を算定する。

K936―2 自動吻合器加算

区分番号「K655―4」、「K655―5」、「K657」及び「K657―2」に掲げる手術に当たって自動吻合器を使用した場合は2個を限度として、それ以外の手術にあっては1個を限度として当該加算点数に使用個数を乗じて得た点数を加算する。

K936―3 微小血管自動縫合器加算

四肢(手、足、指(手、足)を含む。)以外の部位において、「K017」遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)又は「K020」自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)を行う際に、微小静脈の縫合のために微小血管自動縫合器を用いた場合に算定する。なお、この場合において、2個を限度として当該加算点数に微小血管自動縫合器用カートリッジの使用個数を乗じて得た点数を加算するものとする。

K937―2 術中グラフト血流測定加算

冠動脈血行再建術、四肢の血管移植術又はバイパス移植術に当たって超音波トランジットタイム法又は高解像度心外膜超音波法により、グラフトの血流を術中に測定した場合に算定する。

K938 体外衝撃波消耗性電極加算

(1) 消耗性電極とは、1回又は2回以上の使用により消耗し、交換が必要となる電極をいう。なお、この加算は一連の手術について1回のみ算定する。

(2) 滲出液を持続的に除去し、切開創手術部位感染のリスクを低減させる目的のみで薬事承認されている局所陰圧閉鎖処置用材料をCDC手術創クラスⅢ以上に相当する術後縫合層に対して使用した場合は、区分番号「K938」体外衝撃波消耗性電極加算及び区分番号「J003」局所陰圧閉鎖処置(入院)の「1」100平方センチメートル未満の「注1」初回加算並びに「注2」持続洗浄加算を合算した点数を準用して算定する。

ア 区分番号「A301」特定集中治療室管理料、区分番号「A301―3」脳卒中ケアユニット入院医療管理料、区分番号「A301―4」小児特定集中治療室管理料、区分番号「A302」新生児特定集中治療室管理料又は区分番号「A303」総合周産期特定集中治療室管理料を算定する患者であって、次に掲げる患者に対して使用した場合に限り算定できる。その際、次に掲げる患者のいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載すること。

(イ) BMIが30以上の肥満症の患者

(ロ) 糖尿病患者のうち、ヘモグロビンA1c(HbA1c)がJDS値で6.6%以上(NGSP値で7.0%以上)の者

(ハ) ステロイド療法を受けている患者

(ニ) 慢性維持透析患者

(ホ) 免疫不全状態にある患者

(ヘ) 低栄養状態にある患者

(ト) 創傷治癒遅延をもたらす皮膚疾患もしくは皮膚の血流障害を有する患者

(チ) 手術の既往がある者に対して、同一部位に再手術を行う患者

イ ア以外の患者に対して使用する場合には、手術後の切開創手術部位感染のリスクを低減させる目的で使用する局所陰圧閉鎖処置に係る費用はそれぞれの手術の所定点数に含まれる。

ウ 区分番号「K938」体外衝撃波消耗性電極加算の「注」に定める規定は適用しない。

K939 画像等手術支援加算

(1) 画像等手術支援加算は、当該技術の補助により手術が行われた場合に算定するものであり、当該技術が用いられた場合であっても、手術が行われなかった場合は算定できない。

(2) ナビゲーションによるものとは、手術前又は手術中に得た画像を3次元に構築し、手術の過程において、3次元画像と術野の位置関係をリアルタイムにコンピューター上で処理することで、手術を補助する目的で用いることをいう。

(3) 実物大臓器立体モデルによるものとは、手術前に得た画像等により作成された実物大臓器立体モデルを、手術を補助する目的で用いることをいう。

(4) 患者適合型手術支援ガイドによるものとは、手術前に得た画像等により作成された実物大の患者適合型手術支援ガイドとして薬事承認を得ている医療機器を、人工膝関節置換術又は再置換術を補助する目的で用いることをいう。

(5) 区分番号「K437」に掲げる下顎骨部分切除術、区分番号「K438」に掲げる下顎骨離断術、区分番号「K439」に掲げる下顎骨悪性腫瘍手術又は区分番号「K444」に掲げる下顎骨形成術に当たって、手術前に得た画像等により作成された患者適合型単回使用骨手術用器械を使用した場合は、本区分の「3 患者適合型手術支援ガイドによるもの」の所定点数を準用して、一連の手術について1回に限り算定する。なお、この場合にあっては、本区分の「3 患者適合型手術支援ガイドによるもの」の「注」に定める規定は適用しない。

(6) 区分番号「K169」の「2」又は「K171―2」に掲げる手術に当たって、同一手術室内において術中にMRIを撮像した場合は、区分番号「K939」の「1」ナビゲーションによるもの及び区分番号「N003」術中迅速病理組織標本作製(1手術につき)の所定点数を合算した点数を準用して算定する。

ア 関係学会の定める「術中MRIガイドライン」を遵守すること。

イ MRIに係る費用は別に算定できる。

ウ 本区分の「1」の「注」に定める規定は適用しない。

K939―2 術中血管等描出撮影加算

術中血管等描出撮影加算は脳神経外科手術、冠動脈血行再建術、区分番号「K017」の遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)の「1」、「K476―3」動脈(皮)弁及び筋(皮)弁を用いた乳房再建術(乳房切除術)、「K695」肝切除術の「2」から「7」まで、区分番号「K695―2」腹腔鏡下肝切除術の「2」から「6」まで又は「K803」膀胱悪性腫瘍手術の「6」においてインドシアニングリーン若しくはアミノレブリン酸塩酸塩を用いて、蛍光測定等により血管や腫瘍等を確認した際又は手術において消化管の血流を確認した際に算定する。なお、単にX線用、超音波用又はMRI用の造影剤を用いたのみでは算定できない。

K939―3 人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算

人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算は、人工肛門等造設後の合併症等の予防のため、術前の画像診断や触診等により、腹直筋の位置を確認した上で、適切な造設部位に術前に印をつけるなどの処置を行うことをいい、人工肛門又は人工膀胱のケアに従事した経験を5年以上有する看護師等であって、人工肛門又は人工膀胱のケアにかかる適切な研修を修了したものが、手術を実施する医師とともに、術前に実施した場合に算定すること。

K939―5 胃瘻造設時嚥下機能評価加算

(1) 胃瘻造設前に嚥下造影又は内視鏡下嚥下機能検査による嚥下機能評価を実施し、その結果に基づき、当該保険医療機関に配置されている医師が胃瘻造設の必要性、今後の摂食機能療法の必要性及び方法、胃瘻抜去又は閉鎖の可能性等について患者又はその家族等に十分に説明及び相談を行った上で胃瘻造設術を実施した場合に算定する。

(2) 内視鏡下嚥下機能検査による嚥下機能評価を実施する場合(他の保険医療機関で内視鏡下嚥下機能検査を実施する場合を含む。)は、関連学会等が実施する所定の研修を修了した者が実施すること。

(3) 他の保険医療機関において嚥下造影による嚥下機能評価を実施した場合又は内視鏡下嚥下機能検査(関連学会等が実施する所定の研修を修了した者が実施する場合に限る。)による嚥下機能評価を実施した場合は、当該評価を実施した保険医療機関において、その結果を患者又はその家族等に十分に説明するとともに、胃瘻造設術を実施する保険医療機関に情報提供すること。また、胃瘻造設術を実施する保険医療機関と嚥下機能評価を実施した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、胃瘻造設を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

(4) 嚥下機能評価の結果及び患者又はその家族等に対する説明の要点を診療録に記載すること。

(5) 嚥下造影又は内視鏡下嚥下機能検査の実施日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(6) 当該加算を算定した場合であっても、区分番号「E003」の「7」嚥下造影及び区分番号「D298―2」内視鏡下嚥下機能検査は別に算定できる。

(7) 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関以外の保険医療機関において実施される場合は、所定点数の100分の80に相当する点数により算定する。

K939―6 凍結保存同種組織加算

(1) 区分番号「K555」、「K555―3」、「K557」、「K557―4」、「K558」、「K560」、「K566」、「K567」、「K570」、「K580」から「K587」まで、「K614」、「K623」、「K642」、「K643」、「K675」の「2」から「5」まで、「K677―2」、「K695」、「K697―5」、「K697―7」、「K702」の「4」、「K703」の「4」及び「K704」に掲げる手術に当たって、凍結保存された同種組織である心臓弁又は血管を用いた場合に限り算定する。

(2) 日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守した場合に限り算定する。

(3) 組織適合性試験及び同種組織を採取及び保存するために要する全ての費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 日本組織移植学会が認定した組織バンクにおいて適切に採取、加工及び保存された非生体の同種組織である、生体弁又は血管を使用した場合に限り算定できる。なお、組織移植を行った保険医療機関と組織移植に用いた組織を採取等した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求については、組織移植を行った保険医療機関で行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

K939―7 レーザー機器加算

レーザー機器加算は、口腔内の軟組織の切開、止血、凝固及び蒸散が可能なものとして保険適用されている機器を使用して「注2」から「注4」までに掲げる手術を行った場合に算定する。なお、通則14に規定する「同一手術野又は同一病巣につき、2以上の手術を同時に行った場合」に該当しない2以上の手術を算定した場合はそれぞれの手術において算定する。

第11部 麻酔

<通則>

1 血圧降下等当然予測される副作用等を防止するための注射、麻酔の前処置として行われる麻薬、鎮静剤等の注射及び投薬に要する費用については、第3節薬剤料の規定に基づき薬価基準の定めるところにより算定できる。

2 麻酔の術中に起こる偶発事故に対する処置(酸素吸入、人工呼吸)及び注射(強心剤等)等の費用は、別に算定することができる。ただし、区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔の場合は、区分番号「J024」酸素吸入及び区分番号「J045」人工呼吸は算定できない。

3 検査、画像診断、処置又は手術に当たって、麻酔が前処置と局所麻酔のみによって行われる場合には、麻酔の手技料は検査料、画像診断料、処置料又は手術料に含まれ、算定できない。ただし、薬剤を使用した場合は、各部の薬剤料の規定に基づき薬価基準の定めるところにより算定できる。

4 麻酔法の選択については、保険診療の原則に従い、経済面にも考慮を払いつつ、必要に応じ妥当適切な方法を選択することが必要である。なお、特に規定するものについては、当該規定に従い適切に行うこと。

5 第1節及び第2節に掲げる麻酔法(1つに限る。)を別の麻酔の補助麻酔、強化麻酔又は前処置として行った場合の麻酔料は、主たる麻酔法の所定点数のみを算定する。この場合、当該一連の麻酔に使用された全ての薬剤については薬剤料として算定できる。

なお、手術中において他の麻酔法を追加併用した場合も同様に算定する。

6 「通則」の麻酔料又は神経ブロック料の所定点数とは、麻酔料又は神経ブロック料の節に掲げられた点数及び各注に規定する加算(酸素又は窒素を使用した場合の加算を除く。)の合計をいい、「通則」の加算点数は含まない。

7 「通則2」の加算及び「通則3」の加算は、第1節麻酔料(麻酔管理料は除く。)又は第2節神経ブロック料について適用され、第3節薬剤料については適用されない。この場合、麻酔に要する費用は、麻酔料及び神経ブロック料の所定点数に各通則の加算を加えた点数並びに薬剤料の合計点数により算定する。

8 「通則2」の未熟児加算は、出生時体重が2,500グラム未満の新生児に対し、出生後90日以内に麻酔が行われた場合に限り算定できる。

9 「通則3」の休日加算、時間外加算又は深夜加算(本項において「時間外加算等」という。)の取扱いは、次に掲げるものの他、初診料の時間外加算等と同様である。なお、区分番号「A000」の「注9」又は区分番号「A001」の「注7」に規定する夜間・早朝等加算を算定する初診又は再診において実施された麻酔については算定できない。

ア 麻酔料

時間外加算等が算定できる緊急手術に伴う麻酔に限り算定できる。

イ 神経ブロック料

緊急やむを得ない理由により時間外加算等が算定できる時間に行われた場合に算定できる。

10 麻酔料に掲げられていない麻酔であって特殊なものの費用は、その都度当局に内議し、最も近似する麻酔として準用が通知された算定方法により算定する。

第11部 麻酔

<通則>

1 血圧降下等当然予測される副作用等を防止するための注射、麻酔の前処置として行われる麻薬、鎮静剤等の注射及び投薬に要する費用については、第3節薬剤料の規定に基づき薬価基準の定めるところにより算定できる。

2 麻酔の術中に起こる偶発事故に対する処置(酸素吸入、人工呼吸)及び注射(強心剤等)等の費用は、別に算定することができる。ただし、区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔の場合は、区分番号「J024」酸素吸入及び区分番号「J045」人工呼吸は算定できない。

3 検査、画像診断、処置又は手術に当たって、麻酔が前処置と局所麻酔のみによって行われる場合には、麻酔の手技料は検査料、画像診断料、処置料又は手術料に含まれ、算定できない。ただし、薬剤を使用した場合は、各部の薬剤料の規定に基づき薬価基準の定めるところにより算定できる。

4 麻酔法の選択については、保険診療の原則に従い、経済面にも考慮を払いつつ、必要に応じ妥当適切な方法を選択することが必要である。なお、特に規定するものについては、当該規定に従い適切に行うこと。

5 第1節及び第2節に掲げる麻酔法(1つに限る。)を別の麻酔の補助麻酔、強化麻酔又は前処置として行った場合の麻酔料は、主たる麻酔法の所定点数のみを算定する。この場合、当該一連の麻酔に使用された全ての薬剤については薬剤料として算定できる。

なお、手術中において他の麻酔法を追加併用した場合も同様に算定する。

6 「通則」の麻酔料又は神経ブロック料の所定点数とは、麻酔料又は神経ブロック料の節に掲げられた点数及び各注に規定する加算(酸素又は窒素を使用した場合の加算を除く。)の合計をいい、「通則」の加算点数は含まない。

7 「通則2」の加算及び「通則3」の加算は、第1節麻酔料(麻酔管理料は除く。)又は第2節神経ブロック料について適用され、第3節薬剤料については適用されない。この場合、麻酔に要する費用は、麻酔料及び神経ブロック料の所定点数に各通則の加算を加えた点数並びに薬剤料の合計点数により算定する。

8 「通則2」の未熟児加算は、出生時体重が2,500グラム未満の新生児に対し、出生後90日以内に麻酔が行われた場合に限り算定できる。

9 「通則3」の休日加算、時間外加算又は深夜加算(本項において「時間外加算等」という。)の取扱いは、次に掲げるものの他、初診料の時間外加算等と同様である。なお、区分番号「A000」の「注9」又は区分番号「A001」の「注7」に規定する夜間・早朝等加算を算定する初診又は再診において実施された麻酔については算定できない。

ア 麻酔料

時間外加算等が算定できる緊急手術に伴う麻酔に限り算定できる。

イ 神経ブロック料

緊急やむを得ない理由により時間外加算等が算定できる時間に行われた場合に算定できる。

10 麻酔料に掲げられていない麻酔であって特殊なものの費用は、その都度当局に内議し、最も近似する麻酔として準用が通知された算定方法により算定する。

第1節 麻酔料

L000 迷もう麻酔

(1) 迷もう麻酔とは、吸入麻酔であって、実施時間が10分未満のものをいう。なお、迷もう麻酔の実施時間は、麻酔薬の吸入を最初に行った時間を開始時間とし、検査、画像診断、処置又は手術が終了した時点を終了時間とする。

(2) ガス麻酔器を使用する10分未満の麻酔は、本区分により算定する。なお、ガス麻酔器を使用する麻酔の実施時間は、麻酔器を患者に接続した時間を開始時間とし、当該麻酔器から離脱した時間を終了時間とする。

L001―2 静脈麻酔

(1) 静脈麻酔とは、静脈注射用麻酔剤を用いた全身麻酔であり、意識消失を伴うものをいう。

(2) 「1」は、静脈麻酔の実施の下、検査、画像診断、処置又は手術が行われた場合であって、麻酔の実施時間が10分未満の場合に算定する。

(3) 「2」及び「3」は、静脈注射用麻酔剤を用いた全身麻酔を10分以上行った場合であって、区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔以外の静脈麻酔が行われた場合に算定する。ただし、安全性の観点から、呼吸抑制等が起きた場合等には速やかにマスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔に移行できる十分な準備を行った上で、医療機器等を用いて十分な監視下で行わなければならない。

(4) 「3」に規定する複雑な場合とは、常勤の麻酔科医が専従で当該麻酔を実施した場合をいう。

(5) 静脈麻酔の実施時間は、静脈注射用麻酔剤を最初に投与した時間を開始時間とし、当該検査、画像診断、処置又は手術が終了した時間を終了時間とする。

(6) 「注1」における所定点数とは、「注2」における加算点数を合算した点数をいう。

L002 硬膜外麻酔

(1) 実施時間は、硬膜外腔に当該麻酔を施行するために局所麻酔剤を注入した時点を開始時間とし、当該検査、画像診断、処置又は手術の終了した時点を終了時間として計算する。

(2) 第12胸椎と第1腰椎の間より硬膜外針を刺入した場合は「1」で算定する。また、第5腰椎と第1仙椎の間より硬膜外針を刺入した場合は「2」で算定する。

L003 硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入

精密持続注入とは、自動注入ポンプを用いて1時間に10mL以下の速度で局所麻酔剤を注入するものをいう。

L004 脊椎麻酔

実施時間は、くも膜下腔に局所麻酔剤を注入した時点を開始時間とし、当該検査、画像診断、処置又は手術の終了した時点を終了時間として計算する。

L005 上・下肢伝達麻酔

(1) 上肢伝達麻酔は、検査、画像診断、処置又は手術のために腕神経叢の麻酔を行った場合に算定する。

(2) 下肢伝達麻酔は、検査、画像診断、処置又は手術のために少なくとも坐骨神経及び大腿神経の麻酔を行った場合に算定する。

L006 球後麻酔及び顔面・頭頸部の伝達麻酔

球後麻酔と顔面伝達麻酔を同時に行った場合は、主たるもののみで算定し、重複して算定できない。

L007 開放点滴式全身麻酔

ガス麻酔器を使用する10分以上20分未満の麻酔は、本区分により算定する。なお、ガス麻酔器を使用する麻酔の実施時間は、麻酔器に接続した時間を開始時間とし、当該麻酔器から離脱した時間を終了時間とする。

L008 マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔

(1) ガス麻酔器を使用する閉鎖式・半閉鎖式等の全身麻酔を20分以上実施した場合は、本区分により算定する。

(2) 静脈注射用麻酔剤を用いて全身麻酔を実施した場合であって、マスク又は気管内挿管による酸素吸入又は酸素・亜酸化窒素混合ガス吸入と併用する場合は、20分以上実施した場合は、本区分により算定する。

(3) 本区分の全身麻酔の実施時間は、当該麻酔を行うために閉鎖循環式全身麻酔器を患者に接続した時点を開始時間とし、患者が当該麻酔器から離脱した時点を終了時間とする。なお、これ以外の観察等の時間は実施時間に含めない。

(4) 麻酔が困難な患者とは、以下に掲げるものをいい、麻酔前の状態により評価する。

ア 心不全(NYHAⅢ度以上のものに限る。)の患者

イ 狭心症(CCS分類Ⅲ度以上のものに限る。)の患者

ウ 心筋梗塞(発症後3月以内のものに限る。)の患者

エ 大動脈閉鎖不全、僧帽弁閉鎖不全又は三尖弁閉鎖不全(いずれも中等度以上のものに限る。)の患者

オ 大動脈弁狭窄(経大動脈弁血流速度4m/秒以上、大動脈弁平均圧較差40mmHg以上又は大動脈弁口面積1cm2以下のものに限る。)又は僧帽弁狭窄(僧帽弁口面積1.5cm2以下のものに限る。)の患者

カ 植込型ペースメーカー又は植込型除細動器を使用している患者

キ 先天性心疾患(心臓カテーテル検査により平均肺動脈圧25mmHg以上であるもの又は、心臓超音波検査によりそれに相当する肺高血圧が診断されているものに限る。)の患者

ク 肺動脈性肺高血圧症(心臓カテーテル検査により平均肺動脈圧25mmHg以上であるもの又は、心臓超音波検査によりそれに相当する肺高血圧が診断されているものに限る。)の患者

ケ 呼吸不全(動脈血酸素分圧60mmHg未満又は動脈血酸素分圧・吸入気酸素分画比300未満のものに限る。)の患者

コ 換気障害(1秒率70%未満かつ肺活量比70%未満のものに限る。)の患者

サ 気管支喘息(治療が行われているにもかかわらず、中発作以上の発作を繰り返すものに限る。)の患者

シ 糖尿病(HbA1cがJDS値で8.0%以上(NGSP値で8.4%以上)、空腹時血糖160mg/dL以上又は食後2時間血糖220mg/dL以上のものに限る。)の患者

ス 腎不全(血清クレアチニン値4.0mg/dL以上のものに限る。)の患者

セ 肝不全(Child―Pugh分類B以上のものに限る。)の患者

ソ 貧血(Hb6.0g/dL未満のものに限る。)の患者

タ 血液凝固能低下(PT―INR2.0以上のものに限る。)の患者

チ DICの患者

ツ 血小板減少(血小板5万/uL未満のものに限る。)の患者

テ 敗血症(SIRSを伴うものに限る。)の患者

ト ショック状態(収縮期血圧90mmHg未満のものに限る。)の患者

ナ 完全脊髄損傷(第5胸椎より高位のものに限る。)の患者

ニ 心肺補助を行っている患者

ヌ 人工呼吸を行っている患者

ネ 透析を行っている患者

ノ 大動脈内バルーンパンピングを行っている患者

ハ BMI35以上の患者

(5) (4)の場合に該当し、本区分1から5までのイに掲げる点数により算定する場合にあっては、(4)のアからハまでの中から該当する状態を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(6) 流量計を装置した酸素ボンベ及びエーテル蒸発装置を使用し、気管内チューブ挿入吹送法又はノンレブリージングバルブを使用して麻酔を維持した場合は本区分により算定できる。

(7) 本区分について「通則3」の加算を算定する場合の所定点数は、「注2」、「注4」、「注5」及び「注7」による加算を含むものとする。

(8) 麻酔の種類等について

ア 「心臓手術」とは、開胸式心大血管手術をいう。

イ 「低血圧麻酔」とは、手術操作を安全にし、出血量を減少させる目的で、脳動脈瘤手術や出血しやすい手術の際に、低血圧の状態を維持する麻酔をいう。なお、この場合の「低血圧」とは概ね、患者の通常収縮期血圧の60%又は平均動脈圧で60~70mmHgを標準とする。

ウ 「高頻度換気法」とは、特殊な換気装置を使用し、1回換気量を少なくし、換気回数を著しく増加させた換気法をいう。なお、この場合の「換気回数」は概ね1分間に60回以上である。

エ 「低体温麻酔」は、重度脳障害患者への治療的低体温では算定できない。

(9) 麻酔の種類等における実施時間について

ア 「低体温麻酔」については、クーリングを開始した時点から復温する時点までをいう。

イ 「低血圧麻酔」については、人為的低血圧を開始した時点から低血圧を離脱する時点までをいう。

ウ 「高頻度換気法による麻酔」については、特殊な換気装置を作動させた時点から終了させた時点までをいう。

エ 「人工心肺を使用した麻酔」については、人工心肺装置に接続し装置を動かし始めた時点から装置を停止した時点までをいう。

(10) 複数の点数に分類される麻酔や手術が一の全身麻酔の中で行われる場合においては、行われた麻酔の中で最も高い点数のものを算定する。なお、ここでいう一の全身麻酔とは、当該麻酔を行うために閉鎖循環式全身麻酔器を接続した時点を開始とし、患者が麻酔器から離脱した時点を終了とする麻酔をいう。

(11) 臓器移植術加算は、K514―4同種死体肺移植術、K605―2同種心移植術、K605―4同種心肺移植術、K697―7同種死体肝移植術、K709―3同種死体膵移植術、K709―5同種死体膵腎移植術、K716―6同種死体小腸移植術又はK780同種死体腎移植術が算定できる場合に限り算定する。

(12) 麻酔の実施時間

ア 全身麻酔の実施時間は、(3)により計算する。

イ 当該麻酔の開始時間及び終了時間を麻酔記録に記載すること。

ウ 複数の点数の区分に当たる麻酔が行われた場合は、以下のように算定する。

(イ) 同じ点数区分にある麻酔の時間について合算する。

(ロ) 麻酔時間の基本となる2時間については、その点数の高い区分の麻酔時間から順に充当する。

(ハ) (ロ)の計算を行った残りの時間について、それぞれ「注2」の規定に従い30分又はその端数を増すごとに加算を行う。

(ニ) (ハ)の場合において、各々の区分に係る麻酔が30分を超えない場合については、それらの麻酔の実施時間を合計し、その中で実施時間の長い区分から順に加算を算定する。なお、いずれの麻酔の実施時間も等しい場合には、その中で最も高い点数の区分に係る加算を算定する。

例1 麻酔が困難な患者以外の患者に対し、次の麻酔を行った場合

① 最初に仰臥位で10分間

② 次に伏臥位で2時間30分間

③ 最後に仰臥位で20分間

の計3時間の麻酔を行った場合

基本となる2時間に②の2時間を充当 9,050点

②の残り30分の加算 900点

仰臥位で行われた①と③を合計して30分の加算 600点

算定点数 10,550点

例2 麻酔が困難な患者に対し、次の麻酔を行った場合

① 最初に仰臥位で10分間

② 次に側臥位で1時間20分間

③ 最後に仰臥位で47分間

の計2時間17分の麻酔を行った場合

基本となる2時間に②の1時間20分+①と③の57分のうち40分 9,130点

①と③の残り17分の加算 600点

算定点数 9,730点

例3 麻酔が困難な患者に対し、次の麻酔を行った場合

① 最初に仰臥位で5分間

② 次に側臥位で21分間

③ 次に分離肺換気で1時間27分間

④ 次に側臥位で30分間

⑤ 最後に仰臥位で5分間

の計2時間28分の麻酔を行った場合

基本となる2時間に③の1時間27分+②と④の51分のうち33分 16,600点

②と④の残り18分+①と⑤の10分の合計28分の加算 660点

算定点数 17,260点

例4 麻酔が困難な患者に対し、次の心臓手術の麻酔を行った場合

① 最初に仰臥位で10分間

② 次に心臓手術を人工心肺装置を使用せずに45分間

③ 次に心臓手術を人工心肺装置を使用して2時間25分間

④ 次に心臓手術を人工心肺装置を使用せずに1時間

⑤ 最後に仰臥位で10分間

の計4時間30分の麻酔を行った場合

基本となる2時間に③の2時間を充当 16,600点

②+④で1時間45分となり、このうち30分×3の加算 2,700点

③の残り25分間に④の残り15分間のうち5分間を加算 1,200点

①+⑤の20分間に④の残り10分間を加算 600点

算定点数 21,100点

(13) 酸素・窒素(注3)

ア 酸素又は窒素の価格は、「酸素及び窒素の価格」(平成2年厚生省告示第41号)の定めるところによる。

イ 酸素及び窒素を動力源とする閉鎖循環式麻酔装置を使用して全身麻酔を施行した場合、動力源として消費される酸素及び窒素の費用は、「注3」の加算として算定できない。

(14) 硬膜外麻酔併施加算(注4)

硬膜外麻酔を併せて行った場合は、その区分に応じて「注4」に掲げる点数を所定点数に加算し、さらにその実施時間に応じて「注5」に規定する加算を算定する。

(15) 所定点数に含まれる費用

ア 本区分の麻酔法の際に使用するソーダライム等の二酸化炭素吸着剤の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

イ 区分番号「D220」呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープの検査に要する費用は本区分の所定点数に含まれ、本区分の所定点数を算定した同一日においては、麻酔の前後にかかわらず、当該検査に要する費用は別に算定できない。

ウ 体温(深部体温を含む。)測定の検査に要する費用は本区分の所定点数に含まれ、別に算定できない。

エ 経皮的動脈血酸素飽和度測定又は終末呼気炭酸ガス濃度測定に要する費用は所定点数に含まれ、本区分の所定点数を算定した同一日においては、麻酔の前後にかかわらず、経皮的動脈血酸素飽和度測定及び終末呼気炭酸ガス濃度測定は別に算定できない。

(16) 「注7」に規定する術中経食道心エコー連続監視加算は、手術患者の心臓機能を評価する目的で経食道心エコー法を行った場合に算定できる。

(17) 「注7」でいう、麻酔が困難な患者のうち冠動脈疾患又は弁膜症の患者とは、(4)のイ、ウ、エ、オに掲げるものをいい、麻酔前の状態により評価する。

(18) 神経ブロックを超音波ガイド下に併せて行った場合は、「注9」に掲げる点数を所定点数に加算する。この際、硬膜外麻酔の適応となる手術(開胸、開腹、関節置換手術等)を受ける患者であって、当該患者の併存疾患や状態等(服用する薬により硬膜外麻酔が行えない場合を含む。)を踏まえ、硬膜外麻酔の代替として神経ブロックを行う医学的必要性があるものに対して実施する場合は「イ」に掲げる点数を、それ以外の患者(硬膜外麻酔の適応とならない手術を受ける患者を含む。)に対して実施する場合は「ロ」に掲げる点数を、それぞれ所定点数に加算する。なお、「イ」の加算を算定する場合は、硬膜外麻酔の代替として神経ブロックを行う医学的必要性を、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(19) 「注10」に規定する非侵襲的血行動態モニタリング加算は、動脈圧測定用カテーテル、サーモダイリューション用カテーテル、体外式連続心拍出量測定用センサー等を用いた侵襲的モニタリングが実施されている場合には、算定できない。

(20) 「注11」に規定する術中脳灌流モニタリング加算は、近赤外光を用いて非侵襲的かつ連続的に脳灌流のモニタリングを実施した場合に算定できる。

L008―2 低体温療法

(1) 低体温療法は、心肺蘇生後の患者に対し、直腸温35℃以下で12時間以上維持した場合に、開始日から3日間に限り算定する。

(2) 重度脳障害患者への治療的低体温の場合は算定できない。

(3) 当該点数を算定するに当たり、必ずしも手術を伴う必要はない。

(4) 低体温迅速導入加算は、目撃された心停止発症後15分以内に医療従事者による蘇生術が開始された心停止患者に対して、心拍再開の15分後までに咽頭冷却装置を用いて低体温を導入した場合に算定できる。低体温迅速導入加算の算定に当たっては、診療報酬明細書に症状詳記を添付する。

(5) 中心静脈留置型経皮的体温調節装置システムを用いる場合、G005―2に掲げる中心静脈注射用カテーテル挿入は所定点数に含まれ、別に算定できない。

L008―3 経皮的体温調節療法

経皮的体温調節療法は、集中治療室等において、くも膜下出血、頭部外傷又は熱中症による急性重症脳障害を伴う発熱患者に対して、中心静脈留置型経皮的体温調節装置を用いて体温調節を行った場合に、一連につき1回に限り算定する。

L009 麻酔管理料(Ⅰ)

(1) 当該点数は、麻酔科標榜医により、質の高い麻酔が提供されることを評価するものである。

(2) 麻酔管理料(Ⅰ)は厚生労働大臣が定める施設基準に適合している麻酔科を標榜する保険医療機関において、当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医(地方厚生(支)局長に届け出ている医師に限る。以下この項において同じ。)が麻酔前後の診察を行い、かつ専ら当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医が区分番号「L002」硬膜外麻酔、区分番号「L004」脊椎麻酔又は区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行った場合に算定する。なお、この場合において、緊急の場合を除き、麻酔前後の診察は、当該麻酔を実施した日以外に行われなければならない。

(3) 麻酔科標榜医が、麻酔科標榜医以外の医師と共同して麻酔を実施する場合においては、麻酔科標榜医が、当該麻酔を通じ、麻酔中の患者と同室内で麻酔管理に当たり、主要な麻酔手技を自ら実施した場合に算定する。

(4) 麻酔管理料(Ⅰ)を算定する場合には、麻酔前後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載する。なお、麻酔前後の診察について記載された麻酔記録又は麻酔中の麻酔記録の診療録への添付により診療録への記載に代えることができる。

(5) 麻酔管理料(Ⅰ)について、「通則2」及び「通則3」の加算は適用しない。

L010 麻酔管理料(Ⅱ)

(1) 当該点数は、複数の麻酔科標榜医により麻酔の安全管理体制が確保され、質の高い麻酔が提供されることを評価するものである。

(2) 麻酔管理料(Ⅱ)は厚生労働大臣が定める施設基準に適合している麻酔科を標榜する保険医療機関において、当該保険医療機関において常態として週3日以上かつ週22時間以上の勤務を行っている医師であって、当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医の指導の下に麻酔を担当するもの(以下この区分番号において、単に「担当医師」という。)又は当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医が、麻酔前後の診察を行い、担当医師が、区分番号「L002」硬膜外麻酔、区分番号「L004」脊椎麻酔又は区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行った場合に算定する。なお、この場合において、緊急の場合を除き、麻酔前後の診察は、当該麻酔を実施した日以外に行われなければならない。また、麻酔前後の診察を麻酔科標榜医が行った場合、当該麻酔科標榜医は、診察の内容を担当医師に共有すること。

(3) 主要な麻酔手技を実施する際には、麻酔科標榜医の管理下で行わなければならない。この場合、当該麻酔科標榜医は、麻酔中の患者と同室内にいる必要があること。

(4) 担当医師が実施する一部の行為を、麻酔中の患者の看護に係る適切な研修を修了した常勤看護師が実施しても差し支えないものとする。また、この場合において、麻酔前後の診察を行った担当医師又は麻酔科標榜医は、当該診察の内容を当該看護師に共有すること。

(5) 麻酔管理料(Ⅱ)を算定する場合には、麻酔前後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載する。なお、麻酔前後の診察について記載された麻酔記録又は麻酔中の麻酔記録の診療録への添付により診療録への記載に代えることができる。

(6) 麻酔管理料(Ⅱ)について、「通則2」及び「通則3」の加算は適用しない。

(7) 同一の患者について、麻酔管理料(Ⅰ)と麻酔管理料(Ⅱ)を併算定することはできないが、同一保険医療機関において麻酔管理料(Ⅰ)と麻酔管理料(Ⅱ)の双方を異なる患者に算定することは可能であること。

第2節 神経ブロック料

L100 神経ブロック(局所麻酔剤又はボツリヌス毒素使用)、L101神経ブロック(神経破壊剤又は高周波凝固法使用)

(1) 神経ブロックとは、疼痛管理に専門的知識を持った医師が行うべき手技であり、疾病の治療又は診断を目的とし、主として末梢の脳脊髄神経節、脳脊髄神経、交感神経節等に局所麻酔剤、ボツリヌス毒素若しくはエチルアルコール(50%以上)及びフェノール(2%以上)等の神経破壊剤の注入又は高周波凝固法により、神経内の刺激伝達を遮断することをいう。

(2) 神経ブロックは、疼痛管理を専門としている医師又はその経験のある医師が、原則として局所麻酔剤、ボツリヌス毒素若しくは神経破壊剤又は高周波凝固法を使用した場合に算定する。ただし、医学的な必要性がある場合には、局所麻酔剤又は神経破壊剤とそれ以外の薬剤を混合注射した場合においても神経ブロックとして算定できる。なお、この場合において、医学的必要性について診療報酬明細書に記載する。

(3) 同一神経のブロックにおいて、神経破壊剤又は高周波凝固法使用によるものは、がん性疼痛を除き、月1回に限り算定する。また、同一神経のブロックにおいて、局所麻酔剤又はボツリヌス毒素により神経ブロックの有効性が確認された後に、神経破壊剤又は高周波凝固法を用いる場合に限り、局所麻酔剤又はボツリヌス毒素によるものと神経破壊剤又は高周波凝固法によるものを同一月に算定できる。

(4) 同一名称の神経ブロックを複数か所に行った場合は、主たるもののみ算定する。また、2種類以上の神経ブロックを行った場合においても、主たるもののみ算定する。

(5) 椎間孔を通って脊柱管の外に出た脊髄神経根をブロックする「1」の神経根ブロックに先立って行われる選択的神経根造影等に要する費用は、「1」の神経根ブロックの所定点数に含まれ、別に算定できない。

(6) 神経ブロックに先立って行われるエックス線透視や造影等に要する費用は、神経ブロックの所定点数に含まれ、別に算定できない。

(7) 同一日に神経ブロックと同時に行われたトリガーポイント注射や神経幹内注射については、部位にかかわらず別に算定できない。

L103 カテラン硬膜外注射

刺入する部位にかかわらず、所定点数を算定する。

L104 トリガーポイント注射

(1) トリガーポイント注射は、圧痛点に局所麻酔剤あるいは局所麻酔剤を主剤とする薬剤を注射する手技であり、施行した回数及び部位にかかわらず、1日につき1回算定できる。

(2) トリガーポイント注射と神経幹内注射は同時に算定できない。

L105 神経ブロックにおける麻酔剤の持続的注入

「注」の「精密持続注入」とは、自動注入ポンプを用いて1時間に10mL以下の速度で麻酔剤を注入するものをいう。

第12部 放射線治療

<通則>

1 放射線治療に係る費用は、第1節放射線治療管理・実施料及び第2節特定保険医療材料料(厚生労働大臣が定める保険医療材料のうち放射線治療に当たり使用したものの費用に限る。)に掲げる所定点数を合算した点数によって算定する。

2 第1節に掲げられていない放射線治療のうち、簡単なものの費用は算定できないものであるが、特殊なものの費用は、その都度当局に内議し、最も近似する放射線治療として準用が通知された算定方法により算定する。

3 小児放射線治療加算は、各区分の注に掲げる加算については加算の対象とならない。

第1節 放射線治療管理・実施料

M000 放射線治療管理料

(1) 放射線治療管理料は、区分番号「M001」体外照射又は区分番号「M004」密封小線源治療の「1」に掲げる外部照射、「2」に掲げる腔内照射若しくは「3」に掲げる組織内照射による治療を行うに際して、あらかじめ作成した線量分布図に基づいた照射計画(三次元線量分布図を用いるものを含む。以下同じ。)により放射線照射を行った場合に、分布図の作成1回につき1回、所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程において2回に限り算定する。ただし、子宮頸癌に対して行う場合は、一連の治療過程において4回まで算定できる。

(2) 画像診断を実施し、その結果に基づき、線量分布図に基づいた照射計画を作成した場合には、画像診断の所定点数は算定できるが、照射計画の作成に係る費用は当該治療管理料に含まれ、別に算定できない。

(3) 「注2」に掲げる放射線治療専任加算は、区分番号「M001」体外照射の「2」に掲げる高エネルギー放射線治療又は区分番号「M001」体外照射の「3」に掲げる強度変調放射線治療(IMRT)の際に、放射線治療を専ら担当する医師により、照射計画の作成、照射中の患者の管理及び照射後の副作用管理を含めた放射線科的管理が行われた場合に限り算定する。

(4) 「注3」に掲げる外来放射線治療加算の対象となる患者は、放射線治療を必要とする悪性腫瘍の患者であり、以下のいずれかに該当する場合に、1日につき1回に限り算定する。

ア 入院中の患者以外の患者に対して、区分番号「M001」体外照射の「2」に掲げる高エネルギー放射線治療又は区分番号「M001」体外照射の「3」に掲げる強度変調放射線治療(IMRT)の際に、あらかじめ作成した線量分布図に基づいた照射計画により放射線照射を行った場合

イ 他医療機関に入院中の患者に対して、区分番号「M001」体外照射の「3」に掲げる強度変調放射線治療(IMRT)の際に、あらかじめ作成した線量分布図に基づいた照射計画により放射線照射を行った場合

(5) 「注4」に掲げる遠隔放射線治療計画加算は、放射線治療を専ら担当する常勤の医師が配置されていない施設における放射線治療において、緊急時の放射線治療における業務の一部(照射計画の立案等)を、情報通信技術を用いたシステムを利用し、放射線治療を行う施設と連携した放射線治療を支援する施設の医師等による支援を受けて実施した場合に、一連の治療につき1回に限り算定する。なお、緊急時とは急激な病態の変化により速やかに放射線治療の開始が必要な切迫した病態や、臨時的な放射線治療計画変更が必要とされる状態をいう。

M000―2 放射性同位元素内用療法管理料

(1) 放射性同位元素内用療法管理料は、非密封放射線源による治療で、放射性同位元素を生体に投与し、その放射能による病巣内照射を行う放射線治療に当たり、当該治療を受けている患者の継続的な管理を評価するものである。

(2) 放射性同位元素内用療法管理料は入院・入院外を問わず、患者に対して放射性同位元素内用療法に関する内容について説明・指導した場合に限り算定できる。また、説明・指導した内容等を診療録に記載又は添付すること。

(3) 放射性同位元素の内用後4月間は、内用の有無にかかわらず算定できる。ただし、診療報酬明細書には、管理の開始の日付を記載すること。

(4) 「1」の「甲状腺癌に対するもの」は、甲状腺分化癌の患者(甲状腺分化癌であって、甲状腺組織の破壊、又は甲状腺癌の転移の治療(甲状腺全摘術、亜全摘術後及び手術により摘出できない症例等))に対して行った場合に算定する。

(5) 「3」の「固形癌骨転移による疼痛に対するもの」は、固形癌骨転移の患者(骨シンチグラフィで陽性像を呈する骨転移があって、骨転移部位の疼痛緩和目的(他の治療法(手術、化学療法、内分泌療法、鎮痛剤、外部放射線照射等)で疼痛コントロールが不十分である症例))に対して行った場合に算定する。

(6) 「4」の「B細胞性非ホジキンリンパ腫に対するもの」は、CD20陽性の再発又は難治性である、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫又はマントル細胞リンパ腫の患者に対して行った場合に算定する。

(7) 「5」の「骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌に対するもの」は、去勢抵抗性前立腺癌であって、骨シンチグラフィ等で骨転移を認める患者に対して行った場合に、1月あたりの回数によらず、放射性同位元素を内用した日に限り算定する。

(8) 放射性同位元素内用療法管理に当たっては、退出基準等、放射線管理の基準に沿って行われるものであること。

M001 体外照射

(1) 体外照射の具体的な定義は次のとおりである。

ア エックス線表在治療とは、管電圧10万ボルト未満による照射療法をいう。

イ 高エネルギー放射線治療とは、100万電子ボルト以上のエックス線又は電子線の応用で、直線加速装置又はマイクロトロン治療装置使用による照射療法をいう。

ウ 強度変調放射線治療(IMRT)とは、多分割絞り(マルチリーフコリメータ)などを用いて、空間的又は時間的な放射線強度の調整を同一部位に対する複数方向からの照射について行うことで、三次元での線量分布を最適なものとする照射療法をいう。ただし、診療報酬の算定については、関連学会のガイドラインに準拠し、3方向以上の照射角度から各門につき3種以上の線束強度変化を持つビームによる治療計画を逆方向治療計画法にて立案したものについて照射した場合に限る。

(2) 体外照射の治療料は、疾病の種類、部位の違い、部位数、同一患部に対する照射方法にかかわらず、1回につき所定点数を算定する。また、2方向以上の照射であっても当該所定点数のみにより算定する。

(3) 「1」エックス線表在治療及び「2」高エネルギー放射線治療は、1日に複数部位の照射を行う場合においては、1回目とは異なる部位に係る2回目の照射に限り、「ロ」の2回目の所定点数を算定する。1日に同一部位に対する複数回の照射を行う場合は、1回目の照射と2回目の照射の間隔が2時間を超える場合に限り、「イ」の1回目の所定点数を1日に2回分算定できる。

(4) 1回線量増加加算

ア 日本放射線腫瘍学会が作成した最新の「放射線治療計画ガイドライン」を遵守して実施した場合に限り算定できる。

イ 患者に対して、当該治療の内容、合併症及び予後等を照射線量と回数の違いによる差異が分かるように文書を用いて詳しく説明を行い、患者の同意を得るとともに、患者から要望のあった場合、その都度治療に関して十分な情報を提供すること。

なお、患者への説明は、図、画像、映像、模型等を用いて行うことも可能であるが、説明した内容については文書(書式様式は自由)で交付、診療録に添付すること。また、患者への説明が困難な状況にあっては、事後の説明又は家族等関係者に説明を行っても差し支えない。ただし、その旨を診療録に記載すること。

ウ 「3」強度変調放射線治療(IMRT)の「注2」の1回線量増加加算は、強度変調放射線治療(IMRT)を行う場合であって、「注4」の「ハ」(画像誘導放射線治療加算(腫瘍の位置情報によるもの))を算定する場合に限り算定する。

(5) 「注3」の体外照射用固定器具加算は、悪性腫瘍に対して体外照射を行う際に身体を精密に固定する器具を使用した場合に限り、一連の治療につき1回に限り算定できる。

(6) 「注4」の画像誘導放射線治療(IGRT)とは、毎回の照射時に治療計画時と照射時の照射中心位置の三次元的な空間的再現性が5ミリメートル以内であることを照射室内で画像的に確認・記録して照射する治療のことである。

(7) 「注4」の画像誘導放射線治療加算は、「2」高エネルギー放射線治療の所定点数を1日に2回分算定できる場合であっても、1日に1回の算定を限度とする。

(8) 「注5」の呼吸性移動対策とは、呼吸による移動長が10ミリメートルを超える肺がん、食道がん、胃がん、肝がん、胆道がん、膵がん、腎がん若しくは副腎がん又は深吸気位において心臓の線量低減が可能な左乳がんに対し、治療計画時及び毎回の照射時に呼吸運動(量)を計測する装置又は実時間位置画像装置等を用いて、呼吸性移動による照射範囲の拡大を低減する対策のことをいい、呼吸性移動のために必要な照射野の拡大が三次元的な各方向に対しそれぞれ5ミリメートル以下となることが、治療前に計画され、照射時に確認されるものをいう。なお、治療前の治療計画の際に、照射範囲計画について記録し、毎回照射時に実際の照射範囲について記録の上、検証すること。

M001―2 ガンマナイフによる定位放射線治療

(1) ガンマナイフによる定位放射線治療とは、半球状に配置された多数のコバルト60の微小線源から出るガンマ線を集束させ、病巣部を照射する治療法をいう。

(2) 数か月間の一連の治療過程に複数回の治療を行った場合であっても、所定点数は1回のみ算定する。

(3) 定位型手術枠(フレーム)を取り付ける際等の麻酔、位置決め等に係る画像診断、検査、放射線治療管理等の当該治療に伴う一連の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

M001―3 直線加速器による放射線治療(一連につき)

(1) 直線加速器による放射線治療は、実施された直線加速器による体外照射を一連で評価したものであり、「M001」体外照射を算定する場合は、当該点数は算定できない。

(2) 定位放射線治療とは、直線加速器(マイクロトロンを含む。)により極小照射野で線量を集中的に照射する治療法であり、頭頸部に対する治療については、照射中心の固定精度が2ミリメートル以内であるものをいい、体幹部に対する治療については、照射中心の固定精度が5ミリメートル以内であるものをいう。

(3) 定位放射線治療における頭頸部に対する治療については、頭頸部腫瘍(頭蓋内腫瘍を含む。)及び脳動静脈奇形に対して行った場合にのみ算定し、体幹部に対する治療については、原発病巣が直径5センチメートル以下であり転移病巣のない原発性肺癌、原発性肝癌又は原発性腎癌、3個以内で他病巣のない転移性肺癌又は転移性肝癌、転移病巣のない限局性の前立腺癌又は膵癌、直径5センチメートル以下の転移性脊椎腫瘍、5個以内のオリゴ転移及び脊髄動静脈奇形(頸部脊髄動静脈奇形を含む。)に対して行った場合にのみ算定し、数か月間の一連の治療過程に複数回の治療を行った場合であっても、所定点数は1回のみ算定する。

(4) 定位放射線治療については、定位型手術枠又はこれと同等の固定精度を持つ固定装置を取り付ける際等の麻酔、位置決め等に係る画像診断、検査、放射線治療管理等の当該治療に伴う一連の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) 「注2」の呼吸性移動対策とは、呼吸による移動長が10ミリメートルを超える肺がん、肝がん又は腎がんに対し、治療計画時及び毎回の照射時に呼吸運動(量)を計測する装置又は実時間位置画像装置等を用いて、呼吸性移動による照射範囲の拡大を低減する対策のことをいい、呼吸性移動のために必要な照射野の拡大が三次元的な各方向に対しそれぞれ5ミリメートル以下となることが、治療前に計画され、照射時に確認されるものをいう。なお、治療前の治療計画の際に、照射範囲計画について記録し、毎回照射時に実際の照射範囲について記録の上、検証すること。

(6) 「注2」の「イ」動体追尾法は、自由呼吸の下で、呼吸運動と腫瘍位置との関係を分析し、呼吸運動に合わせて照射野を移動して照射する方法、又は呼吸運動に合わせて腫瘍の近傍のマーカー等をエックス線透視し、決められた位置を通過する時に照射する方法のいずれかの場合に算定する。

M001―4 粒子線治療

(1) 重粒子線治療とは、炭素原子核を加速することにより得られた重粒子線を集中的に照射する治療法であるものをいう。

(2) 陽子線治療とは、水素原子核を加速することにより得られた陽子線を集中的に照射する治療法であるものをいう。

(3) 重粒子線治療は、手術による根治的な治療法が困難である限局性の骨軟部腫瘍、頭頸部悪性腫瘍(口腔・咽喉頭の扁平上皮癌を除く。)又は限局性及び局所進行性前立腺癌(転移を有するものを除く。)に対して根治的な治療法として行った場合にのみ算定し、数か月間の一連の治療過程に複数回の治療を行った場合であっても、所定点数は1回のみ算定する。

(4) 陽子線治療は、小児腫瘍(限局性の固形悪性腫瘍に限る。)、手術による根治的な治療法が困難である限局性の骨軟部腫瘍、頭頸部悪性腫瘍(口腔・咽喉頭の扁平上皮癌を除く。)又は限局性及び局所進行性前立腺癌(転移を有するものを除く。)に対して根治的な治療法として行った場合にのみ算定し、数か月間の一連の治療過程に複数回の治療を行った場合であっても、所定点数は1回のみ算定する。

(5) 「1」に規定する希少な疾病とは、小児腫瘍(限局性の固形悪性腫瘍に限る。)、手術による根治的な治療法が困難である限局性の骨軟部腫瘍及び頭頸部悪性腫瘍(口腔・咽喉頭の扁平上皮癌を除く。)のことを指し、「2」に規定する「1」以外の特定の疾病とは、限局性及び局所進行性前立腺癌(転移を有するものを除く。)のことを指す。

(6) 粒子線治療について、位置決めなどに係る画像診断、検査等の当該治療に伴う一連の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(7) 「注2」の粒子線治療適応判定加算は、当該治療の実施に当たって、治療適応判定に関する体制が整備された保険医療機関において、適応判定が実施された場合に算定できるものであり、当該治療を受ける全ての患者に対して、当該治療の内容、合併症及び予後等を文書を用いて詳しく説明を行い、併せて、患者から要望のあった場合、その都度治療に関して十分な情報を提供すること。なお、患者への説明内容については文書(書式様式は自由)で交付し、診療録に添付するものであること。

(8) 「注3」の粒子線治療医学管理加算は、粒子線治療に係る照射に際して、画像診断に基づきあらかじめ作成した線量分布図に基づいた照射計画と照射時の照射中心位置を、三次元的な空間的再現性により照射室内で画像的に確認・記録するなどの医学的管理を行った場合に限り算定する。

(9) 粒子線治療の実施に当たっては、薬事承認された粒子線治療装置を用いた場合に限り算定する。

(10) ホウ素中性子捕捉療法を実施するにあたっては、区分番号「M001―4」粒子線治療(一連につき)の「1」希少な疾病に対して実施した場合「イ」重粒子線の場合の所定点数を準用して算定する。

ア ホウ素中性子捕捉療法は、薬事承認された医療機器及び医薬品を用いて、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌の患者に対して実施した場合に限り算定する。

イ ホウ素中性子捕捉療法の実施にあたっては、関連学会により認定された医師の管理の下で実施すること。

ウ ホウ素中性子捕捉療法の実施にあたっては、使用した薬剤は別途算定できる。

エ ホウ素中性子捕捉療法の実施にあたっては、位置決めなどに係る画像診断、検査等の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

オ ホウ素中性子捕捉療法の実施の際に、治療適応判定に関する体制が整備された保険医療機関において、適応判定が実施された場合には区分番号「M001―4」粒子線治療(一連につき)の「注2」に掲げる粒子線治療適応判定加算を準用して算定する。なお、その際には、当該治療を受ける全ての患者に対して、当該治療の内容、合併症及び予後等を文書を用いて詳しく説明を行い、併せて、患者から要望のあった場合、その都度治療に関して十分な情報を提供すること。なお、患者への説明内容については文書(書式様式は自由)で交付し、診療録に添付するものであること。

カ ホウ素中性子捕捉療法に係る照射に際して、画像診断に基づきあらかじめ作成した線量分布図に基づいた照射計画と照射時の照射中心位置を、三次元的な空間的再現性により照射室内で画像的に確認・記録するなどの医学的管理を行った場合には区分番号「M001―4」粒子線治療(一連につき)の「注3」に掲げる粒子線治療医学管理加算を準用して算定する。

キ 身体を精密に固定する器具を使用した場合は、区分番号「M001」体外照射の「注3」に掲げる体外照射用固定器具加算を準用して算定する。

M002 全身照射

全身照射は、1回の造血幹細胞移植について、一連として1回に限り算定できる。

M003 電磁波温熱療法

(1) 「1」の深在性悪性腫瘍に対するものは、頭蓋内又は体腔内に存在する腫瘍であって、腫瘍の大半が概ね皮下6センチメートル以上の深部に所在するものに対して、高出力の機器(100メガヘルツ以下の低周波数のもの)を用いて電磁波温熱療法を行う場合に算定できる。

(2) 四肢若しくは頸部の悪性腫瘍に対して行う場合又はアプリケーターを用いて腔内加温を行う場合は、腫瘍の存在する部位及び使用する機器の如何を問わず、「2」の浅在性悪性腫瘍に対するものにより算定する。

(3) 電磁波温熱療法は、放射線治療と併用しない場合(化学療法と併用する場合又は単独で行う場合)においても算定できる。

(4) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいう。数か月間の一連の治療過程に複数回の電磁波温熱療法を行う場合は、1回のみ所定点数を算定し、その他数回の療法の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。なお、医学的な必要性から、一連の治療過程後に再度、当該療法を行う場合は、2月に1回、2回を限度として算定する。

(5) 電磁波温熱療法の実施に当たっては、治療部分の温度を測定し、十分な加温を確認する等の必要な措置を講ずる。

(6) 電磁波温熱療法を行うに当たって使用するセンサー等の消耗品の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

M004 密封小線源治療

(1) 密封小線源治療の治療料は疾病の種類、部位の違い、部位数の多寡にかかわらず、一連として所定点数を算定する。

(2) 外部照射とは、コバルト60、セシウム137等のガンマ線又はストロンチウム90等のベーター線による4センチメートル以下の近距離照射又は直接貼布する療法をいう。

(3) 腔内照射

ア 高線量率イリジウム照射を行った場合とは、子宮腔、腟腔、口腔、直腸等の腔内にイリジウム192管を挿入し照射する場合であり、アプリケーターの挿入から抜去までを一連として算定する。なお、挿入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

イ 新型コバルト小線源治療装置とは、高線量率イリジウム照射で用いられる線源と概ね同じ大きさの径の線源を用いるものをいう。

ウ その他の場合とは、子宮腔、腟腔、口腔、直腸等の腔内にセシウム137管等を挿入して照射する場合や眼窩内等にストロンチウム容器を挿入して照射する場合であり、アプリケーターの挿入から抜去までを一連として算定するものとし、新型コバルト小線源治療装置を用いた場合には、「イ」により算定し、旧型コバルト腔内照射装置を用いた場合は算定できない。なお、挿入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

(4) 組織内照射

ア 前立腺癌に対する永久挿入療法とは、前立腺組織内にヨウ素125粒子を挿入する療法をいい、当該療法の実施に当たっては、関係法令及び関係学会のガイドラインを踏まえ、適切に行われるよう十分留意すること。

イ 高線量率イリジウム照射を行った場合とは、イリジウム192線源を挿入する場合であり、外套針の刺入から抜去までの全期間を一連として算定する。なお、外套針の刺入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

ウ 新型コバルト小線源治療装置とは、高線量率イリジウム照射で用いられる線源と概ね同じ大きさの径の線源を用いるものであり、それよりも大きな径の線源である従前のコバルト線源を用いるものは該当しない。

エ その他の場合とは、舌その他の口腔癌、皮膚癌、乳癌等の癌組織内にコバルト針、セシウム針等を刺入する場合であり、刺入から抜去までの全期間を一連として算定する。なお、刺入及び抜去に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) 放射性粒子照射とは、組織内に放射性金粒子等の放射性粒子を刺入するものであって、その使用本数等に関係なく一連につき所定点数を算定する。また、この場合「注6」により放射性粒子の費用は別に算定できる。なお、刺入に係る手技料は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。

(6) 同一の高線量率イリジウムを使用し、1人又は複数の患者に対して1回又は複数回の密封小線源治療を行った場合は、使用した高線量率イリジウムの費用として、患者1人につき1回に限り加算する。

(7) 同一の低線量率イリジウムを使用し、1人の患者に対して複数回の密封小線源治療を行った場合は、使用した低線量率イリジウムの費用として、患者1人につき1回に限り加算する。

(8) 同一のコバルトを使用し、1人の患者に対して複数回の密封小線源治療を行った場合は、使用したコバルトの費用として、患者1人につき1回に限り加算する。

(9) 「注8」の画像誘導密封小線源治療加算は、治療用のアプリケーターを挿入した状態で撮影したCT又はMRIの画像所見を用いて治療計画を行い、腫瘍と周囲臓器への最適な照射線量を計算して、子宮頸癌に対して照射した場合に限り、一連につき1回に限り算定する。

(10) 「注8」の画像誘導密封小線源治療加算は、日本放射線腫瘍学会が作成した最新の「密封小線源治療の診療・物理QAガイドライン」を遵守して実施した場合に限り算定できる。

M005 血液照射

(1) 血液照射は、輸血後移植片対宿主病予防のために輸血用血液に対して放射線照射を行った場合に算定する。

(2) 血液照射料は、血液照射を行った血液量が400ミリリットル以下の場合には110点、これ以降400ミリリットル又はその端数を増すごとに110点を加えて計算する。なお、血液照射を行った血液のうち、実際に輸血を行った1日当たりの血液量についてのみ算定する。

(3) 血液量は、実際に照射を行った総量又は原材料として用いた血液の総量のうちいずれか少ない量により算定する。例えば、200ミリリットルの血液から製造された30ミリリットルの血液成分製剤については30ミリリットルとして算定し、200ミリリットルの血液から製造された230ミリリットルの保存血及び血液成分製剤は、200ミリリットルとして算定する。

(4) 放射線を照射した血液製剤を使用した場合は、当該血液照射は別に算定できない。

(5) 血液照射に当たっては、「血液製剤の使用指針及び輸血療法の実施に関する指針について」(平成11年6月10日付け医薬発第715号厚生省医薬安全局長通知)及び「血小板製剤の使用適正化の推進について」(平成6年7月11日付け薬発第638号厚生省薬務局長通知)による、両通知別添(「血液製剤の使用指針」、「輸血療法の実施に関する指針」及び「血小板製剤の適正使用について」)その他の関係通知及び関係学会から示されている血液照射についてのガイドラインを遵守するよう努めるものとする。

第13部 病理診断

<通則>

1 病理診断の費用には、病理標本作製を行う医師、看護師、臨床検査技師、衛生検査技師及び病理診断・判断を行う医師の人件費、試薬、デッキグラス、試験管等の材料費、機器の減価償却費、管理費等の費用が含まれる。

2 病理標本作製に当たって使用される試薬は、原則として医薬品として承認されたものであることを要する。

3 病理標本を撮影した画像を電子媒体に保存した場合、保存に要した電子媒体の費用は所定点数に含まれる。

4 第1節に掲げられていない病理標本作製であって簡単な病理標本作製の費用は、基本診療料に含まれ、別に算定できない。

5 第1節に掲げる病理標本作製料の項に掲げられていない病理標本作製のうち簡単な病理標本作製の病理標本作製料は算定できないが、特殊な病理標本作製については、その都度当局に内議し、最も近似する病理標本作製として通知されたものの算定方法及び注(特に定めるものを除く。)を準用して、準用された病理標本作製料に係る病理診断・判断料と併せて算定する。

6 保険医療機関間の連携により病理診断を行った場合は、標本若しくは検体(以下「標本等」という。)の送付側又はデジタル病理画像の送信側の保険医療機関において区分番号「N006」病理診断料を算定できる。なお、その際には、送付側又は送信側の保険医療機関において、別紙様式44又はこれに準じた様式に診療情報等の必要事項を記載し、受取側又は受信側の保険医療機関に交付するものであること。更に、病理標本の作製を衛生検査所に委託する場合には、衛生検査所にも当該事項を同様に交付すること。

また、「N006」の「注4」に規定する病理診断管理加算1又は2については、標本若しくは検体の受取側又はデジタル病理画像の受信側の保険医療機関において、病理診断を専ら担当する常勤の医師が病理診断を行い、標本等の送付側又は送信側の保険医療機関にその結果を文書により報告した場合に当該基準に係る区分に従い、送付側又は送信側の保険医療機関において所定点数に加算する。標本等の受取側又は受信側の保険医療機関における診断等に係る費用は、標本等の送付側又は送信側、標本等の受取側又は受信側の保険医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。

7 保険医療機関間のデジタル病理画像の送受信及び受信側の保険医療機関における当該デジタル病理画像の観察による術中迅速病理組織標本作製を行った場合は、送信側の保険医療機関において区分番号「N003」術中迅速病理組織標本作製及び区分番号「N006」病理診断料の「1」を算定できる。また、「N006」の「注4」に規定する病理診断管理加算1又は2については、受信側の保険医療機関が、当該加算の施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関であり、病理診断を専ら担当する常勤の医師が病理診断を行い、送信側の保険医療機関にその結果を報告した場合に当該基準に係る区分に従い、所定点数に加算する。受信側の保険医療機関における診断等に係る費用は、受信側、送信側の保険医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。

8 保険医療機関間のデジタル病理画像の送受信及び受信側の保険医療機関における当該デジタル病理画像の観察による迅速細胞診を行った場合は、送信側の保険医療機関において区分番号「N003―2」迅速細胞診及び区分番号「N006」病理診断料の「2」を算定できる。また、「N006」の「注4」に規定する病理診断管理加算1又は2については、受信側の保険医療機関が、当該加算の施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関であり、病理診断を専ら担当する常勤の医師が病理診断を行い、送信側の保険医療機関にその結果を報告した場合に当該基準に係る区分に従い、所定点数に加算する。受信側の保険医療機関における診断等に係る費用は、受信側、送信側の保険医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。

9 デジタル病理画像に基づく病理診断については、デジタル病理画像の作成、観察及び送受信を行うにつき十分な装置・機器を用いた上で観察及び診断を行った場合に算定できる。なお、デジタル病理画像に基づく病理診断を行うに当たっては、関係学会による指針を参考とすること。

第1節 病理標本作製料

N000 病理組織標本作製

(1) 「1」の「組織切片によるもの」について、次に掲げるものは、各区分ごとに1臓器として算定する。

ア 気管支及び肺臓

イ 食道

ウ 胃及び十二指腸

エ 小腸

オ 盲腸

カ 上行結腸、横行結腸及び下行結腸

キ S状結腸

ク 直腸

ケ 子宮体部及び子宮頸部

(2) 「2」の「セルブロック法によるもの」について、同一又は近接した部位より同時に数検体を採取して標本作製を行った場合であっても、1回として算定する。

(3) 病理組織標本作製において、1臓器又は1部位から多数のブロック、標本等を作製した場合であっても、1臓器又は1部位の標本作製として算定する。

(4) 病理組織標本作製において、悪性腫瘍がある臓器又はその疑いがある臓器から多数のブロックを作製し、又は連続切片標本を作製した場合であっても、所定点数のみ算定する。

(5) 当該標本作製において、ヘリコバクター・ピロリ感染診断を目的に行う場合の保険診療上の取扱いについては、「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日保険発第180号)に即して行うこと。

(6) 「2」の「セルブロック法によるもの」は、悪性中皮腫を疑う患者又は組織切片を検体とした病理組織標本作製が実施困難な肺悪性腫瘍、胃癌、大腸癌、卵巣癌若しくは悪性リンパ腫を疑う患者に対して、穿刺吸引等により採取した検体を用いてセルブロック法により標本作製した場合に算定する。なお、肺悪性腫瘍、胃癌、大腸癌、卵巣癌又は悪性リンパ腫を疑う患者に対して実施した場合には、組織切片を検体とした病理組織標本作製が実施困難である医学的な理由を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

N001 電子顕微鏡病理組織標本作製

(1) 電子顕微鏡病理組織標本作製は、腎組織、内分泌臓器の機能性腫瘍(甲状腺腫を除く。)、異所性ホルモン産生腫瘍、軟部組織悪性腫瘍、ゴーシェ病等の脂質蓄積症、多糖体蓄積症等に対する生検及び心筋症に対する心筋生検の場合において、電子顕微鏡による病理診断のための病理組織標本を作製した場合に算定できる。

(2) 電子顕微鏡病理組織標本作製、区分番号「N000」病理組織標本作製、区分番号「N002」免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製のうち、いずれを算定した場合であっても、他の2つの項目を合わせて算定することができる。

N002 免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製

(1) 免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製は、病理組織標本を作製するにあたり免疫染色を行った場合に、方法(蛍光抗体法又は酵素抗体法)又は試薬の種類にかかわらず、1臓器につき1回のみ算定する。

(2) 免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製、区分番号「N000」病理組織標本作製又は区分番号「N001」電子顕微鏡病理組織標本作製のうち、いずれを算定した場合であっても、他の2つの項目を合わせて算定することができる。

(3) 「1」のエストロジェンレセプターの免疫染色と「2」のプロジェステロンレセプターの免疫染色を同一月に実施した場合は、いずれかの主たる病理組織標本作製の所定点数及び注に規定する加算のみを算定する。

(4) 「3」のHER2タンパクは、半定量法又はEIA法(酵素免疫測定法)による病理標本作製を行った場合に限り算定する。

(5) 「5」CCR4タンパク及び区分番号「D006―10」CCR4タンパク(フローサイトメトリー法)を同一の目的で実施した場合は、原則として主たるもののみ算定する。ただし、医学的な必要性がある場合には、併せて実施した場合であっても、いずれの点数も算定できる。なお、この場合においては、診療報酬明細書の摘要欄にその理由及び医学的必要性を記載すること。

(6) 「6」のALK融合タンパクは、以下に掲げる場合において算定できる。

ア 非小細胞肺癌患者に対して、ALK阻害剤の投与の適応を判断することを目的として、ブリッジ試薬を用いた免疫組織染色法により病理標本作製を行った場合(当該薬剤の投与方針の決定までの間の1回に限る。)

イ 悪性リンパ腫患者に対して、悪性リンパ腫の診断補助を目的として免疫組織染色法により病理標本作製を行った場合(悪性リンパ腫の病型分類までの間の1回に限る。)

(7) 「7」のCD30は、HQリンカーを用いた免疫組織化学染色法により、悪性リンパ腫の診断補助を目的に実施した場合に算定する。

(8) 「注2」に規定する「確定診断のために4種類以上の抗体を用いた免疫染色が必要な患者」とは、原発不明癌、原発性脳腫瘍、悪性リンパ腫、悪性中皮腫、肺悪性腫瘍(腺癌、扁平上皮癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、慢性腎炎、内分泌腫瘍、軟部腫瘍、皮膚の血管炎、水疱症(天疱瘡、類天疱瘡等)、悪性黒色腫、筋ジストロフィー又は筋炎が疑われる患者を指す。これらの疾患が疑われる患者であっても3種類以下の抗体で免疫染色を行った場合は、当該加算は算定できない。

(9) 肺悪性腫瘍(腺癌、扁平上皮癌)が疑われる患者に対して「注2」の加算を算定する場合は、腫瘍が未分化であった場合等HE染色では腺癌又は扁平上皮癌の診断が困難な患者に限り算定することとし、その医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載すること。なお、次に掲げるいずれかの項目を既に算定している場合には、当該加算は算定できない。

ア 「D004―2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査の「イ」処理が容易なものの「(1)」医薬品の適応判定の補助等に用いるもの(肺癌におけるEGFR遺伝子検査、ROS1融合遺伝子検査又はALK融合遺伝子検査に限る。)

イ 「D004―2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査の「ロ」処理が複雑なもの(肺癌におけるBRAF遺伝子検査に限る。)

ウ 区分番号「N005―2」ALK融合遺伝子標本作製

(10) セルブロック法による病理組織標本に対する免疫染色については、悪性中皮腫を疑う患者又は組織切片を検体とした病理組織標本作製が実施困難な肺悪性腫瘍、胃癌、大腸癌、卵巣癌若しくは悪性リンパ腫を疑う患者に対して実施した場合に算定する。なお、肺悪性腫瘍、胃癌、大腸癌、卵巣癌又は悪性リンパ腫を疑う患者に対して実施した場合には、組織切片を検体とした病理組織標本作製が実施困難である医学的な理由を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

N003 術中迅速病理組織標本作製

術中迅速病理組織標本作製は、手術の途中において迅速凍結切片等による標本作製及び鏡検を完了した場合において、1手術につき1回算定する。

なお、摘出した臓器について、術後に再確認のため精密な病理組織標本作製を行った場合は、区分番号「N000」病理組織標本作製の所定点数を別に算定する。

N003―2 迅速細胞診

迅速細胞診は、手術、気管支鏡検査(超音波気管支鏡下穿刺吸引生検法の実施時に限る。)又は内視鏡検査(膵癌又は胃粘膜下腫瘍が疑われる患者に対して超音波内視鏡下穿刺吸引生検法の実施時に限る。)の途中において腹水及び胸水等の体腔液又はリンパ節穿刺液を検体として標本作製及び鏡検を完了した場合において、1手術又は1検査につき1回算定する。

N004 細胞診

(1) 腟脂膏顕微鏡標本作製、胃液、腹腔穿刺液等の癌細胞標本作製及び眼科プロヴァツェク小体標本作製並びに天疱瘡又はヘルペスウイルス感染症におけるTzanck細胞の標本作製は、細胞診により算定する。

(2) 同一又は近接した部位より同時に数検体を採取して標本作製を行った場合であっても、1回として算定する。

(3) 「2」の「穿刺吸引細胞診、体腔洗浄等」とは、喀痰細胞診、気管支洗浄細胞診、体腔液細胞診、体腔洗浄細胞診、体腔臓器擦過細胞診及び髄液細胞診等を指す。

(4) 「注1」の婦人科材料等液状化検体細胞診加算は、採取と同時に行った場合に算定できる。なお、過去に穿刺し又は採取し、固定保存液に回収した検体から標本を作製し診断を行った場合には算定できない。

(5) 「注2」の液状化検体細胞診加算は、採取と同時に作製された標本に基づいた診断の結果、再検が必要と判断され、固定保存液に回収した検体から再度標本を作製し、診断を行った場合に限り算定できる。採取と同時に行った場合は算定できない。

N005 HER2遺伝子標本作製

(1) HER2遺伝子標本作製は、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体抗悪性腫瘍剤の投与の適応を判断することを目的として、FISH法、SISH法又はCISH法により遺伝子増幅標本作製を行った場合に、当該抗悪性腫瘍剤の投与方針の決定までの間に1回を限度として算定する。

(2) 本標本作製と区分番号「N002」免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製の「3」を同一の目的で実施した場合は、本区分の「2」により算定する。

N005―2 ALK融合遺伝子標本作製

(1) ALK融合遺伝子標本作製は、ALK阻害剤の投与の適応を判断することを目的として、FISH法により遺伝子標本作製を行った場合に、当該薬剤の投与方針の決定までの間に1回を限度として算定する。

N005―3 PD―L1タンパク免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製

PD―L1タンパク免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製は、抗PD―1抗体抗悪性腫瘍剤又は抗PD―L1抗体抗悪性腫瘍剤の投与の適応を判断することを目的として、免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製を行った場合に、当該抗悪性腫瘍剤の投与方針の決定までの間に1回を限度として算定する。

第2節 病理診断・判断料

N006 病理診断料

(1) 当該保険医療機関以外に勤務する病理診断を行う医師が、当該保険医療機関に出向いて病理診断を行った場合等、当該保険医療機関における勤務の実態がない場合においては、病理診断料は算定できない。

(2) 当該保険医療機関において、当該保険医療機関以外の医療機関(衛生検査所等を含む。)で作製した病理標本につき診断を行った場合には、月1回に限り所定点数を算定する。

なお、患者が当該傷病につき当該保険医療機関を受診していない場合においては、療養の給付の対象とならない。

(3) 病理診断料が含まれない入院料を算定する病棟に入院中の患者に対して、病理診断料を算定する場合は、同一月内に当該患者が病理診断料の含まれる入院料を算定する病棟に転棟した場合であっても、当該病理診断料を算定することができる。

(4) 病理診断管理加算1又は2の届出を行った保険医療機関において、病理診断を専ら担当する常勤の医師のうち当該保険医療機関において勤務する1名(病理診断管理加算2を算定する場合にあっては2名)を除いた病理診断を専ら担当する常勤の医師については、当該保険医療機関において常態として週3日以上、かつ、週24時間以上の勤務を行っている場合、当該勤務時間以外の所定労働時間については、自宅等の当該保険医療機関以外の場所で、デジタル病理画像の観察及び送受信を行うにつき十分な装置・機器を用いた上で観察を行い、その結果を文書により当該患者の診療を担当する医師に報告した場合も病理診断料及び病理診断管理加算1又は2を算定できる。なお、デジタル画像に基づく病理診断を行うに当たっては、関係学会による指針を参考とすること。また、病院の管理者が当該医師の勤務状況を適切に把握していること。

(5) 「注5」の悪性腫瘍病理組織標本加算については、原発性悪性腫瘍に対して「K007の1」、「K031」、「K053」、「K162」、「K394」、「K394―2」、「K439」、「K442」、「K476」、「K484―2」、「K514」、「K514―2」、「K529」、「K529―2」、「K529―3」、「K653の2」、「K653の3」、「K655の2」、「K655―2の2」、「K655―4の2」、「K655―5の2」、「K657の2」、「K657―2の2」、「K675」、「K677」、「K677―2」、「K695」、「K695―2」、「K700―2」、「K700―3」、「K702」、「K702―2」、「K703」、「K703―2」、「K704」、「K721―4」、「K740」、「K740―2」、「K773」から「K773―3」まで、「K773―5」、「K803」から「K803―3」まで、「K833」、「K843」から「K843―4」まで、「K879」、「K879―2」又は「K889」に掲げる手術を実施し、当該手術の検体から作製された病理組織標本に基づき病理診断を行った場合に算定する。

N007 病理判断料

病理判断料が含まれない入院料を算定する病棟に入院中の患者に対して、病理判断料を算定した場合は、同一月内に当該患者が病理判断料の含まれる入院料を算定する病棟に転棟した場合であっても、当該病理判断料を算定することができる。

第3章 介護老人保健施設入所者に係る診療料

<通則>

介護老人保健施設には常勤医師が配置されているので、比較的病状が安定している者に対する療養については、介護老人保健施設の医師が対応できることから、介護老人保健施設の入所者である患者(以下「施設入所者」という。)が、往診又は通院により受ける医療に係る診療料については、施設入所者以外の患者に対する算定方法とは別の算定方法を設けたものであり、施設入所者に対しては、第1章基本診療料又は第2章特掲診療料は適用せず、第3章介護老人保健施設入所者に係る診療料に規定するところによるものであること。

第1部 併設保険医療機関の療養又は医療に関する事項

併設保険医療機関とは、「併設保険医療機関の取扱いについて」(平成14年3月8日保医発第0308008号)に規定する保険医療機関をいう。

1 緊急時施設治療管理料

(1) 平成18年7月1日から令和4年3月31日までの間に介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)附則第13条に規定する転換を行って開設した介護老人保健施設(以下「介護療養型老健施設」という。)においては、従来の介護老人保健施設の入所者より必要な医療処置等の頻度が多い患者の割合が高いことから、緊急に医療処置等が必要となった場合にその費用について医療保険から給付をするものである。

(2) 介護療養型老健施設の併設保険医療機関の医師が、当該介護療養型老健施設に入所中の患者の緊急時に、当該介護療養型老健施設の医師の電話等による求めに応じ、夜間又は休日に緊急に往診を行った場合に算定する。ただし、患者1人につき1日1回、1月につき4回に限る。

(3) 患者の緊急時とは、次のいずれかの状態の患者に対して、当該介護療養型老健施設の医師が、医師による直接の処置等が必要と判断し、かつ、やむを得ない理由で対応できない場合のことをいう。

ア 意識障害又は昏睡

イ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪

ウ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)

エ ショック

オ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)

カ その他薬物中毒等で重篤なもの

(4) 併設保険医療機関の保険医が往診を行った場合には、往診を行った患者の状態、当該介護療養型老健施設の医師の氏名及び往診を行った日時について診療録に記載するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に次の事項を記載すること。

ア 併設保険医療機関の保険医が往診を行った月に介護保険の緊急時施設療養費を算定した場合はその日時

イ 対象患者が当該介護療養型老健施設の入所者である旨の記載

2 施設入所者自己腹膜灌流薬剤料

(1) 施設入所者自己腹膜灌流薬剤料は、施設入所者が、自己連続携行式腹膜灌流を行っている場合に、その薬剤の費用を算定するものであること。

(2) 区分番号「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料の算定はできないものであること。

3 施設入所者材料料

(1) 施設入所者材料料は、第2章第2部第2節第1款の在宅療養指導管理料(以下単に「在宅療養指導管理料」という。)において算定することができるとされている特定保険医療材料及び同節第2款の各区分に規定する加算の費用を算定するものであること。

(2) 在宅療養指導管理料の各区分に規定する指導管理料は算定できないものであること。

(3) 施設入所者材料料の算定方法は、在宅療養指導管理料の算定方法の例によるものであること。

4 その他の診療料

(1) 施設入所者に対する診療料として併設保険医療機関が算定できるのは別紙のとおりであること。

(2) 特掲診療料の施設基準等第十六及び別表第十二に規定する検査等の取扱いによること。

(3) 算定できないものとされた診療料については、その診療に伴い使用した薬剤、保険医療材料の費用についても算定できないものであること(ただし、特掲診療料の施設基準等第十六の二及び三に掲げる内服薬、外用薬及び注射薬の費用は別に算定できる。)。また、算定できるものとされた診療料に伴い使用した薬剤、保険医療材料の費用については、第1章及び第2章の例により算定できるものであること。

第2部 併設保険医療機関以外の保険医療機関の療養に関する事項

1 施設入所者共同指導料

(1) 施設入所者共同指導料は、介護老人保健施設に入所中の患者の退所後の療養を担当する病院である保険医療機関の医師(以下「担当医」という。)が、介護老人保健施設に赴き、介護老人保健施設の医師と共同して、退所後の療養上必要な指導を行った場合に、1入所につき1回に限り算定できるものであること。

(2) 施設入所者共同指導料は、退所して家庭に復帰する予定の患者が算定の対象となるものであること。

(3) 施設入所者共同指導料は、特別養護老人ホーム等医師又は看護師等が配置されている施設に入所予定の患者は算定の対象としないものであること。

(4) 施設入所者共同指導料を算定した場合は、初診料、再診料、外来診療料、退院時共同指導料、往診料及び在宅患者訪問診療料は算定できないものであること。

(5) 施設入所者共同指導料を算定する場合においては、担当医は診療録に介護老人保健施設において行った指導の要点を記入すること。

2 施設入所者自己腹膜灌流薬剤料

(1) 施設入所者自己腹膜灌流薬剤料は、施設入所者が、自己連続携行式腹膜灌流を行っている場合に、その薬剤の費用を算定するものであること。

(2) 区分番号「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料の算定はできないものであること。

3 施設入所者材料料

(1) 施設入所者材料料は、在宅療養指導管理料において算定することができるとされている特定保険医療材料及び第2章第2部第2節第2款の各区分に規定する加算の費用を算定するものであること。

(2) 在宅療養指導管理料の各区分に規定する指導管理料は算定できないものであること。

(3) 施設入所者材料料の算定方法は、在宅療養指導管理料の算定方法の例によるものであること。

4 その他の診療料

(1) 施設入所者に対する診療料として併設保険医療機関以外の保険医療機関が算定できるのは別紙のとおりであること。

(2) 特掲診療料の施設基準等第十六及び別表第十二に規定する検査等の取扱いによること。

(3) 算定できないものとされた診療料については、その診療に伴い使用した薬剤、保険医療材料の費用についても算定できないものであること(ただし、特掲診療料の施設基準等第十六の二及び三に掲げる内服薬、外用薬及び注射薬の費用は別に算定できる。)。また、算定できるものとされた診療料に伴い使用した薬剤、保険医療材料の費用については、第1章及び第2章の例により算定できるものであること。

(別紙)

(算定できるものについては「○」、算定できないものについては「×」)

項目

小項目

併設保険医療機関

その他

基本診療料

初診料

×

再診料

×

外来診療料

×

特掲診療料




医学管理等

退院時共同指導料1

×

診療情報提供料(Ⅰ)(注4及び注17に限る。)

×

診療情報提供料(Ⅱ)

×

その他のもの

×

×

在宅医療

往診料

×

その他のもの

×

×

検査

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

その他のもの

画像診断


投薬

厚生労働大臣が定めるもの

その他のもの

×

×

注射

厚生労働大臣が定めるもの

その他のもの

×

×

リハビリテーション

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

その他のもの

精神科専門療法


×

×

処置

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

その他のもの

手術

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

その他のもの

麻酔

厚生労働大臣が定めるもの

×

×

その他のもの

放射線治療


病理診断


(注) 厚生労働大臣が定めるものは、「特掲診療料の施設基準等」(平成20年厚生労働省告示第63号)の第十六及び別表第十二により規定されているものである。

別添1の2

<通則>

医科診療報酬点数表に記載する診療等に要する書面等は別紙様式のとおりである。

なお、当該様式は、参考として示しているものであり、示している事項が全て記載されている様式であれば、当該別紙様式と同じでなくても差し支えないものであること。

また、当該別紙様式の作成や保存等に当たっては、医師事務作業の負担軽減等の観点から各保険医療機関において工夫されたいこと。

自筆の署名がある場合には印は不要であること。

署名又は記名・押印を要する文書については、電子的な署名を含む。

様式11、12、12の2、12の3、12の4、13、16、17、17の2、18について、電子的方法によって、個々の患者の診療に関する情報等を他の保険医療機関、保険薬局等に提供する場合は、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(平成25年10月)を遵守し、安全な通信環境を確保するとともに、書面における署名又は記名・押印に代わり、厚生労働省の定める準拠性監査基準を満たす保健医療福祉分野の公開鍵基盤(HPKI:Healthcare Public Key Infrastructure)による電子署名を施すこと。

※別紙様式15及び別紙様式35は欠番である。

(別紙様式1)

(別紙様式2)

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(別紙様式3)

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(別紙様式4)

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(別紙様式4の2)

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(別紙様式5)

(別紙様式6)

別紙様式6の2

別紙様式6の3

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(別紙様式7)

別紙様式7の2

別紙様式7の3

(別紙様式8)

(別紙様式9)

(別紙様式9の2)

(別紙様式10)

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(別紙様式11)

(別紙様式11の2)

(別紙様式12)

(別紙様式12の2)

(別紙様式12の3)

(別紙様式12の4)

(別紙様式13)

(別紙様式14)

(別紙様式16)

(別紙様式17)

(別紙様式17の2)

(別紙様式18)

(別紙様式19)

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(別紙様式19の2)

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(別紙様式20)

(別紙様式21)

(別紙様式21の6)

(別紙様式22)

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(別紙様式23)

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別紙様式23の5

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(別紙様式24)

(別紙様式25)

(別紙様式26)

(別紙様式27)

(別紙様式28)

(別紙様式29)

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(別紙様式29の2)

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(別紙様式30)

別紙様式31

(別紙様式32)

(別紙様式32の2)

(別紙様式33)

(別紙様式34)

別紙36

抗不安薬

オキサゾラム

クロキサゾラム

クロラゼプ酸二カリウム

ジアゼパム

フルジアゼパム

ブロマゼパム

メダゼパム

ロラゼパム

アルプラゾラム

フルタゾラム

メキサゾラム

トフィソパム

フルトプラゼパム

クロルジアゼポキシド

ロフラゼプ酸エチル

タンドスピロンクエン酸塩

ヒドロキシジン塩酸塩

クロチアゼパム

ヒドロキシジンパモ酸塩

エチゾラム

ガンマオリザノール

睡眠薬

ブロモバレリル尿素

抱水クロラール

エスタゾラム

フルラゼパム塩酸塩

ニトラゼパム

ニメタゼパム

ハロキサゾラム

トリアゾラム

フルニトラゼパム

ブロチゾラム

ロルメタゼパム

クアゼパム

アモバルビタール

バルビタール

フェノバルビタール

フェノバルビタールナトリウム

ペントバルビタールカルシウム

トリクロホスナトリウム

リルマザホン塩酸塩水和物

ゾピクロン

ゾルピデム酒石酸塩

エスゾピクロン

ラメルテオン

スボレキサント

抗うつ薬

クロミプラミン塩酸塩

ロフェプラミン塩酸塩

トリミプラミンマレイン酸塩

イミプラミン塩酸塩

アモキサピン

アミトリプチリン塩酸塩

ノルトリプチリン塩酸塩

マプロチリン塩酸塩

ペモリン

ドスレピン塩酸塩

ミアンセリン塩酸塩

セチプチリンマレイン酸塩

トラゾドン塩酸塩

フルボキサミンマレイン酸塩

ミルナシプラン塩酸塩

パロキセチン塩酸塩水和物

塩酸セルトラリン

ミルタザピン

デュロキセチン塩酸塩

エスシタロプラムシュウ酸塩

ベンラファキシン塩酸塩

ボルチオキセチン臭化水素酸塩

抗精神病薬(○印は非定型抗精神病薬、△は持続性抗精神病注射薬剤)

<定型薬>

クロルプロマジン塩酸塩

クロルプロマジンフェノールフタリン酸塩

ペルフェナジンフェンジゾ酸塩

ペルフェナジン

ペルフェナジンマレイン酸塩

プロペリシアジン

フルフェナジンマレイン酸塩

プロクロルペラジンマレイン酸塩

レボメプロマジンマレイン酸塩

ピパンペロン塩酸塩

オキシペルチン

スピペロン

スルピリド

ハロペリドール

ピモジド

ゾテピン

チミペロン

ブロムペリドール

クロカプラミン塩酸塩水和物

スルトプリド塩酸塩

モサプラミン塩酸塩

ネモナプリド

レセルピン

△ ハロペリドールデカン酸エステル

△ フルフェナジンデカン酸エステル

<非定型薬>

○△リスペリドン

○ クエチアピンフマル酸塩

○ ペロスピロン塩酸塩水和物(ペロスピロン塩酸塩)

○ オランザピン

○△アリピプラゾール(アリピプラゾール水和物)

○ ブロナンセリン

○ クロザピン

○ パリペリドン

○△パリペリドンパルミチン酸エステル

○ アセナピンマレイン酸塩

○ ブレクスピプラゾール

別紙36の2

抗精神病薬一般名

クロルプロマジン100mg相当量

クロルプロマジン塩酸塩

100mg

クロルプロマジンフェノールフタリン酸塩

100mg

ペルフェナジンフェンジゾ酸塩

10mg

ペルフェナジン

10mg

ペルフェナジンマレイン酸塩

10mg

プロペリシアジン

20mg

フルフェナジンマレイン酸塩

2mg

プロクロルペラジンマレイン酸塩

15mg

レボメプロマジンマレイン酸塩

100mg

ピパンペロン塩酸塩

200mg

オキシペルチン

80mg

スピペロン

1mg

スルピリド

200mg

ハロペリドール

2mg

ピモジド

4mg

ゾテピン

66mg

チミペロン

1.3mg

ブロムペリドール

2mg

クロカプラミン塩酸塩水和物

40mg

スルトプリド塩酸塩

200mg

モサプラミン塩酸塩

33mg

ネモナプリド

4.5mg

レセルピン

0.15mg

リスペリドン

1mg

クエチアピンフマル酸塩

66mg

ペロスピロン塩酸塩水和物(ペロスピロン塩酸塩)

8mg

オランザピン

2.5mg

アリピプラゾール

4mg

ブロナンセリン

4mg

クロザピン

50mg

パリペリドン

1.5mg

パリペリドンパルミチン酸エステル

1.5mg

別紙様式37

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別紙様式37の2

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別紙様式38

別紙様式39

別紙様式40

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別紙様式41

別紙様式42

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別紙様式43

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別紙様式44

別紙様式45

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(別紙様式46)

(別紙様式47)

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(別紙様式48)

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(別紙様式49)

(別紙様式49の2)

(別紙様式50)

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別紙様式51

(別紙様式51の2)

別添2

歯科診療報酬点数表に関する事項

通則

1 1人の患者について療養の給付に要する費用は、第1章基本診療料及び第2章特掲診療料の規定に基づき算定された点数の総計に10円を乗じて得た額とする。

2 基本診療料には、簡単な診療行為が包括されており、消炎、鎮痛を目的とする理学療法、口腔軟組織の処置、単純な外科後処置、口角びらんの処置は、再診料にも包括されている。

3 特掲診療料には、特に規定する場合を除き、当該医療技術に伴い必要不可欠な衛生材料等の費用を含んでいる。

4 基本診療料に係る施設基準、届出等の取扱いは、「基本診療料の施設基準等の一部を改正する件」(令和2年厚生労働省告示第58号)による改正後の「基本診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第62号)」に基づくものとし、その具体的な取扱いは別途通知する。

5 特掲診療料に係る施設基準、届出等の取扱いは、「特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件」(令和2年厚生労働省告示第59号)による改正後の「特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)」に基づくものとし、その具体的な取扱いは別途通知する。

6 基本診療料及び特掲診療料の算定に当たっては、「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和51年8月7日保険発第82号)を踏まえて、必要な事項を診療報酬明細書に記載する。

第1章 基本診療料

第1部 初・再診料

通則

1 「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和2年厚生労働省告示第57号)による改正後の「診療報酬の算定方法」(平成20年厚生労働省告示第59号)の別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)の次の処置は、別表第二歯科診療報酬点数表においては基本診療料に含まれる。

イ 鼻処置

ロ 口腔、咽頭処置

ハ 喉頭処置

ニ ネブライザー

ホ 熱傷処置

ヘ 皮膚科軟膏処置

ト 消炎鎮痛等処置

2 同一の保険医療機関(医科歯科併設の保険医療機関(歯科診療及び歯科診療以外の診療を併せて行う保険医療機関をいう。以下同じ。)を除く。)において、2以上の傷病に罹っている患者について、それぞれの傷病につき同時に初診又は再診を行った場合においても、初診料又は再診料は1回に限り算定する。

同一の保険医療機関において、2人以上の保険医(2以上の診療科にわたる場合も含む。)が初診又は再診を行った場合においても同様とする。

したがって、歯科診療においては、1口腔1初診として取り扱う。

3 歯科診療における診療科は、歯科、小児歯科、矯正歯科及び歯科口腔外科を同一とみなす。

4 医科歯科併設の保険医療機関において、医科診療により入院中の患者が歯又は口腔の疾患のため歯科診療により初診若しくは再診を受けたとき、又は歯科診療に係る傷病により入院中の患者が医科診療により初診若しくは再診を受けたとき等、医科診療と歯科診療の両者にまたがる場合は、それぞれの診療科において初診料又は再診料を算定する。

ただし、同一の傷病又は互いに関連のある傷病により、医科と歯科を併せて受診した場合は、主たる診療科においてのみ初診料又は再診料を算定する。

5 医療法(昭和23年法律第205号)に規定する病床に入院(当該入院についてその理由等は問わない。)している期間中は、再診料(ただし、再診料の注5及び注6に規定する加算を除く。)は算定できない。また、入院中の患者が当該入院の原因となった傷病につき、診療を受けた診療科以外の診療科で、入院の原因となった傷病以外の傷病につき再診を受けた場合も、再診料は算定できない。この場合において、再診料(ただし、再診料の注5及び注6に規定する加算を除く。)以外の検査、治療等の請求は、診療報酬明細書は入院用を用いる。

ただし、歯科診療以外により入院中の患者が歯科診療により外来を受診した場合は、再診料を算定する。

6 算定回数が「週」単位又は「月」単位とされているものについては、特に定めのない限り、それぞれ日曜日から土曜日までの1週間又は月の初日から月の末日までの1か月を単位として算定する。

第1節 初診料

A000 初診料

(1) 初診料は、歯科外来診療における院内感染防止対策に係る体制等を整備しているものとして、地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、特に初診料が算定できない旨の規定がある場合を除き、患者の傷病について歯科医学的に初診といわれる診療行為があった場合に算定する。また、当該届出を行っていない保険医療機関においては、「注1」の後段に規定する初診料を算定する。なお、同一の保険医が別の保険医療機関において、同一の患者について診療を行った場合は、最初に診療を行った保険医療機関において初診料を算定する。

(2) 患者が違和を訴え診療を求めた場合は、診断の結果、疾病と認むべき徴候のない場合であっても初診料を算定する。

(3) 自他覚的症状がなく健康診断を目的とする受診により疾患が発見された患者について、当該保険医が特に治療の必要性を認め治療を開始した場合は、初診料は算定できない。ただし、当該治療(初診を除く。)は、医療保険給付対象として診療報酬を算定する。

(4) (3)にかかわらず、健康診断で疾患が発見された患者について、疾患を発見した保険医以外の保険医(当該疾患を発見した保険医の属する保険医療機関の保険医を除く。)において治療を開始した場合は、初診料を算定する。

(5) 労災保険、健康診断、自費等(医療保険給付対象外)により入院外で傷病の治療中又は医療法に規定する病床に入院(当該入院についてその理由等は問わない。)中は、当該保険医療機関において医療保険給付の対象となる診療を受けた場合も、初診料は算定できない。

(6) 現に傷病について診療継続中の患者につき、新たに発生した他の傷病で初診を行った場合は、当該新たに発生した傷病について初診料は算定できない。

(7) 患者が任意に診療を中止し1月以上経過した後、再び同一の保険医療機関において診療を受ける場合は、その診療が同一病名又は同一症状によるものであっても、その際の診療は初診として取り扱う。この場合において、1月の期間の計算は、例えば、2月10日~3月9日、9月15日~10月14日等と計算する。

(8) 区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料又は区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料を算定した場合は、管理計画に基づく一連の治療が終了した日(患者が任意に診療を中止した場合も含む。)から起算して2月以内は再診として取り扱い、2月を超えた場合は初診として取り扱う。

(9) (7)及び(8)にかかわらず、次に掲げる場合は、初診として取り扱わない。

イ 欠損補綴を前提とした抜歯で抜歯後印象採得まで1月以上経過した場合

ロ 歯周病等の慢性疾患である場合等であって、明らかに同一の疾病又は負傷に係る診療が継続している場合

(10) 病院である保険医療機関において歯科、小児歯科、矯正歯科又は歯科口腔外科を標榜する診療科の初診患者のうち、別の保険医療機関等(特別の関係を除く。)からの文書による紹介により当該診療科に来院した患者の数等に関する施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出たものは、地域歯科診療支援病院歯科初診料を算定する。

(11) 乳幼児加算及び歯科診療特別対応加算

初診料を算定できない場合は、初診時における乳幼児加算又は歯科診療特別対応加算は算定できない。

(12) 乳幼児加算と乳幼児時間外加算、乳幼児休日加算及び乳幼児深夜加算は併せて算定できない。

(13) 歯科診療特別対応加算を算定した患者が6歳未満の乳幼児である場合は、乳幼児加算、乳幼児時間外加算、乳幼児休日加算又は乳幼児深夜加算を併せて算定する。

(14) 歯科診療特別対応加算

「注6」の「著しく歯科診療が困難な者」とは、次に掲げる状態又はこれらに準ずる状態をいう。なお、歯科診療特別対応加算を算定した場合は、当該加算を算定した日の患者の状態を診療録に記載する。

イ 脳性麻痺等で身体の不随意運動や緊張が強く体幹の安定が得られない状態

ロ 知的発達障害等により開口保持ができない状態や治療の目的が理解できず治療に協力が得られない状態

ハ 重症の喘息患者等で頻繁に治療の中断が必要な状態

ニ 日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ歯科診療に際して家族等の援助を必要とする状態

(15) 初診時歯科診療導入加算

「注6」の「歯科治療環境に円滑に適応できるような技法」とは、歯科診療の開始に当たり、患者が歯科治療の環境に円滑に適応できるための方法として、Tell―Show―Do法などの系統的脱感作法並びにそれに準拠した方法、オペラント法、モデリング法、TEACCH法、遊戯療法、ボイスコントロール法等の患者の行動を調整する専門的技法をいう。なお、初診時歯科診療導入加算を算定した日は、患者の状態及び用いた専門的技法の名称を診療録に記載する。

(16) 「注7」及び「注8」の医科と共通の項目は、医科点数表の第1章第1部第1節区分番号A000に掲げる初診料の例により算定する。

(17) 「注9」に規定する歯科外来診療環境体制加算1及び歯科外来診療環境体制加算2は、歯科診療の特性を踏まえ、患者にとってより安全で安心できる歯科外来診療の環境の整備を図る取組を評価したものであり、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、外来診療に係る初診を行った場合に加算する。

(18) 「注10」に規定する歯科診療特別対応連携加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関の外来部門において、歯科診療所である保険医療機関(別に厚生労働大臣が定める歯科診療特別対応連携加算に係る施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関は除く。)で「注6」又は区分番号A002に掲げる再診料の「注4」に規定する加算(以下「基本診療料に係る歯科診療特別対応加算」という。)を算定した患者について、当該保険医療機関から診療情報提供料に定める様式に基づいた診療情報提供を受けた上で初診を行い、基本診療料に係る歯科診療特別対応加算を算定した場合に算定する。

(19) 「注11」に規定する歯科診療特別対応地域支援加算は、歯科診療所である保険医療機関(別に厚生労働大臣が定める歯科診療特別対応連携加算に係る施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関は除く。)において、別に厚生労働大臣が定める歯科診療特別対応連携加算に係る施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において基本診療料に係る歯科診療特別対応加算を算定した患者について、当該保険医療機関から診療情報提供料に定める様式に基づいた診療情報提供を受けた上で初診を行い、基本診療料に係る歯科診療特別対応加算を算定した場合に算定する。

第2節 再診料

A002再診料

(1) 再診料は、歯科外来診療における院内感染防止対策に係る体制等を整備しているものとして、地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、再診の都度(同日において2以上の再診があってもその都度)算定する。また、当該届出を行っていない保険医療機関においては、「注1」の後段に規定する再診料を算定する。ただし、2以上の傷病について同時に再診を行った場合は、1日につき1回に限り算定する。

(2) A傷病について診療継続中の患者が、B傷病に罹り、B傷病について初診があった場合は、再診料を算定する。

(3) 歯冠修復又は欠損補綴において、一連の行為のために同日に2以上の再診を行った場合の再診料は、1回の算定とする。

(4) 電話等による再診

イ 当該保険医療機関で初診を受けた患者について、再診以後、当該患者又はその看護に当たっている者から直接又は間接(電話、テレビ画像等によるものを含む。ただし、ファクシミリ又は電子メール等によるものは含まない。)に、治療上の意見を求められ必要な指示をした場合は、再診料を算定する。

ロ 電話、テレビ画像等による再診(聴覚障害者以外の患者に係る再診は、ファクシミリ又は電子メール等によるものは含まない。)は、患者の病状の変化に応じ療養について歯科医師の指示を受ける必要がある場合であって、当該患者又はその看護に当たっている者からの歯科医学的な意見の求めに対し治療上必要な適切な指示をした場合に限り算定する。ただし、電話、テレビ画像等による指示等が、同日における初診又は再診に附随する一連の行為とみなされる場合、時間おきに病状の報告を受ける内容の場合等は、再診料を算定できない。また、ファクシミリ又は電子メール等による再診は、再診の求めに速やかに応じた場合に限り算定するものとし、この場合において、診療録に当該ファクシミリ等の送受信の時刻を記載するとともに、当該ファクシミリ等の写しを添付する。

ハ 乳幼児の看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められ指示した場合は、乳幼児加算を算定する。

ニ 時間外加算を算定すべき時間、休日又は深夜に患者又はその看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められ指示した場合は、時間外加算、休日加算又は深夜加算を算定する。

(5) その他初診料と共通の項目は、区分番号A000に掲げる初診料と同様であり、医科と共通の項目は、医科点数表の第1章第1部第2節区分番号A001に掲げる再診料の例により算定する。

(6) 「注4」の「著しく歯科診療が困難な者」とは、次に掲げる状態又はこれらに準ずる状態をいう。なお、歯科診療特別対応加算を算定した場合は、当該加算を算定した日の患者の状態を診療録に記載する。

イ 脳性麻痺等で身体の不随意運動や緊張が強く体幹の安定が得られない状態

ロ 知的発達障害等により開口保持ができない状態や治療の目的が理解できず治療に協力が得られない状態

ハ 重症の喘息患者等で頻繁に治療の中断が必要な状態

ニ 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ歯科診療に際して家族等の援助を必要とする状態

(7) 「注8」に規定する再診時歯科外来診療環境体制加算1及び再診時歯科外来診療環境体制加算2は、再診時の歯科外来診療の環境の整備を図る取組を評価したものであり、区分番号A000の「注9」に規定する別に厚生労働大臣が定める歯科外来診療環境体制加算に係る施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、外来診療に係る再診を行った場合に加算する。

第2部 入院料等

第1節 入院基本料

医科と共通の項目について、医科点数表の第1章第2部第1節に掲げる入院基本料の例により算定する。

第2節 入院基本料等加算

1 医科と共通の項目について、医科点数表の第1章第2部第2節に掲げる入院基本料等加算の例により算定する。(区分番号A204―2に掲げる臨床研修病院入院診療加算を除く。)

ただし、総合入院体制加算は、医科歯科併設の病院にあって医科について算定する場合に限り、歯科疾患について入院する患者についても同様とする。

2 地域歯科診療支援病院入院加算は、在宅歯科医療又は障害者歯科医療を後方支援する地域歯科診療支援病院の機能を評価したものであり、別の保険医療機関において区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料又は基本診療料に係る歯科診療特別対応加算を算定した患者であって、当該別の保険医療機関による歯科診療が困難であると判断されたものについて、当該別の保険医療機関からの診療情報提供料に定める様式に基づいた診療情報提供を受け、入院させた場合に入院初日1回に限り算定する。ただし、入院の月又はその前月に当該別の保険医療機関において、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料、区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料、区分番号C001―5に掲げる在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料又は区分番号C001―6に掲げる小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料を算定した場合に限る。

A204―2 臨床研修病院入院診療加算

(1) 研修歯科医が、当該保険医療機関の研修プログラムに位置づけられた臨床研修施設及び研修協力施設において、実際に臨床研修を実施している場合に、入院初日に限り算定する。なお、ここでいう入院初日とは、医科点数表第1章第2部通則5に規定する起算日のことをいい、入院期間が通算される再入院の初日は算定できない。

(2) (1)において研修を実施している場合とは、単独型臨床研修施設においては実際に研修歯科医が研修を実施している期間、管理型臨床研修施設においては実際に研修歯科医が実施している期間及び研修歯科医が協力型臨床研修施設又は研修協力施設において研修を実施している期間、協力型臨床研修施設においては実際に研修歯科医が研修を実施している期間をいう。

(3) 研修歯科医の診療録の記載に係る指導及び確認は、速やかに行うこととし、診療録は指導の内容が分かるように指導歯科医自らが記載を行い、署名する。

第3節 特定入院料

1 医科と共通の項目について、医科点数表の第1章第2部第3節に掲げる特定入院料の例により算定する。

2 「通則5」の特定入院料に含まれる費用の範囲に、歯科点数表の第2章第8部第1節区分番号I017に掲げる口腔内装置、区分番号I017―1―2に掲げる睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置及び区分番号I017―1―3に掲げる舌接触補助床、第2章第12部に掲げる歯冠修復及び欠損補綴及び第13部に掲げる歯科矯正は含まれない。

第4節 短期滞在手術等基本料

A400 短期滞在手術等基本料

(1) 短期滞在手術等基本料は、短期滞在手術に係る区分番号J055に掲げる顎下腺摘出術及び区分番号J056に掲げる顎下腺腫瘍摘出術を実施した場合に限り算定する。

(2) (1)のほかは、医科点数表の区分番号A400に掲げる短期滞在手術等基本料の例により算定する。この場合において、DPC対象病院においても短期滞在手術等基本料2を算定できる。

第2章 特掲診療料

通則

算定回数が「週」単位又は「月」単位とされているものについては、特に定めのない限り、それぞれ日曜日から土曜日までの1週間又は月の初日から月の末日までの1か月を単位として算定する。

第1部 医学管理等

B000―4 歯科疾患管理料

(1) 歯科疾患管理料とは、継続的管理を必要とする歯科疾患を有する患者(有床義歯に係る治療のみを行う患者を除く。)に対して、口腔を一単位(以下「1口腔単位」という。)としてとらえ、患者との協働により行う口腔管理に加えて、病状が改善した歯科疾患等の再発防止及び重症化予防を評価したものをいう。

(2) 1回目の歯科疾患管理料は、患者等の同意を得た上で管理計画を作成し、その内容について説明した場合に算定する。また、診療録には説明した内容の要点を記載する。

なお、「注1」に規定する管理計画は、患者の歯科治療及び口腔管理を行う上で必要な基本状況(全身の状態、基礎疾患の有無、服薬状況、喫煙状況を含む生活習慣の状況等)、口腔の状態(歯科疾患、口腔衛生状態、口腔機能の状態等)、必要に応じて実施した検査結果等の要点、治療方針の概要等、歯科疾患の継続的管理を行う上で必要となる情報をいい、当該患者の状態に応じた口腔管理を行うに当たって、必要な事項等を診療録に記載する。なお、100分の80に相当する点数により算定する場合において、注8から注11までに規定する加算は、100分の80に相当する点数にそれぞれの点数を加算する。

(3) 2回目以降の歯科疾患管理料は、管理計画に基づく継続的な口腔管理等を行った場合に算定し、診療録にその要点を記載する。なお、当該管理に当たって、管理計画に変更があった場合(「注8」、「注10」及び「注11」に規定する加算に係る管理計画も含む。)は、変更の内容を診療録に記載する。また、1回目に患者の主訴に関する管理を開始し、2回目以降にその他の疾患も含めた管理を行う場合や新たな検査を実施する場合は、検査結果も含め管理計画の変更点を患者等に対して説明する。この場合において、当該月より改めて1口腔単位での管理を開始する。

(4) 歯周病に罹患している患者の管理を行う場合は、歯周病検査の結果を踏まえた治療方針等を含んだ管理計画を作成する。ただし、初診時に歯周病の急性症状を呈する患者であって、歯周病検査の実施が困難である場合は、急性症状寛解後の歯科疾患管理料算定時までに実施する。なお、急性症状が寛解せず歯周病検査が実施できない場合は、症状の要点を診療録に記載する。

(5) 「注5」は、「注3」に規定する患者を除き、初診日から入院している患者(歯科診療に限る。)について、退院後に歯科疾患の継続的管理が必要な場合の取り扱いを定めたものをいい、入院前に外来において歯科診療を行った場合(外来の歯科診療を行った日と入院日が同日である場合に限る。)も歯科疾患管理料を算定する。

(6) 区分番号B000―6に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)、区分番号B000―7に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)、区分番号B000―8に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅲ)、区分番号B002に掲げる歯科特定疾患療養管理料、区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料、区分番号C001―5に掲げる在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、区分番号C001―6に掲げる小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料又は区分番号N002に掲げる歯科矯正管理料を算定した患者は、周術期等口腔機能管理料等を算定した日の属する月の翌月以降から歯科疾患管理料を算定できる。この場合において、管理計画を作成して患者等に説明する。

(7) 歯科疾患管理料は、区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料若しくは区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1(「1有床義歯の場合」に限る。)を算定している患者(有床義歯に係る治療のみを行う患者を除く。)に対して当該歯科疾患管理を行った場合又は口腔機能低下症若しくは口腔機能発達不全症の患者に対して口腔機能の回復又は維持・向上を目的として医学管理を行う場合若しくは正常な口腔機能の獲得を目的として医学管理を行う場合は当該管理料を算定できる。

なお、口腔粘膜疾患等(「特掲診療料の施設基準等」の別表第四歯科特定疾患療養管理料に規定する疾患に掲げる疾患を除く。)を有している患者であって、現に当該歯科疾患に係る治療(有床義歯を原因とする疾患に係る治療を除く。)又は管理を行っている場合は算定できる。

(8) 再診が電話等により行われた場合は、歯科疾患管理料は算定できない。

(9) 「注8」に規定するう蝕多発傾向者とは、継続的な指導管理が必要な者であって、う蝕多発傾向者の判定基準の左欄の年齢に応じて右欄の歯冠修復終了歯を有するものをいう。

(う蝕多発傾向者の判定基準)

年齢

歯冠修復終了歯

乳歯

永久歯

0~4歳

1歯以上

5~7歳

3歯以上又は1歯以上

8~10歳

2歯以上

11~12歳

3歯以上

(10) う蝕多発傾向者の判定基準において、(9)にかかわらず次の場合はそれぞれに規定するところにより取り扱う。

イ フッ化ジアンミン銀塗布歯は歯冠修復終了歯には含まないが、5歳未満の患者の初期う蝕で、歯冠修復の実施が患者の非協力等により物理的に困難と判断される場合に限り、当該未処置う蝕歯にフッ化ジアンミン銀を塗布した場合、歯冠修復終了乳歯として取り扱う。

ロ 区分番号I003に掲げる初期う蝕早期充填処置を行った場合は、歯冠修復終了歯として取り扱う。

(11) 「注8」のフッ化物洗口指導による指導管理に係る加算は、次の取扱いとする。

イ 主治の歯科医師又はその指示を受けた歯科衛生士が、家族等に対しフッ化物洗口に係る指導を行い文書により提供を行った場合に算定する。

ロ フッ化物洗口に用いる薬液とは、毎日法又は週1回法に用いられる洗口用のフッ化ナトリウム溶液をいう。

ハ フッ化物洗口に係る指導に当たっては、歯科医師が行った場合は次の(イ)から(ハ)までの内容を含め患者に対し説明を行い、指導内容等を文書により提供した場合に算定する。

(イ) 洗口の方法(薬液の量やうがいの方法)及び頻度

(ロ) 洗口に関する注意事項

(ハ) 薬液の取扱い及びその保管方法

ニ 歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が指導を行った場合は、歯科医師は診療録に指示内容を記載し、歯科衛生士はハに規定する(イ)から(ハ)までの内容を含め患者に対し説明を行い、その内容を文書により提供した場合に算定する。なお、当該指導を行った歯科衛生士は業務に関する記録を作成する。

(12) 「注1」の規定による管理計画に基づき、当該患者等に対し、その内容を文書により提供した場合は「注9」の文書提供加算を算定する。その場合においては、患者等に提供した文書の写しを診療録に添付し、その文書の内容以外に療養上必要な管理事項がある場合は、その要点を診療録に記載する。ただし、患者等に提供する文書の様式は、初回は「別紙様式1」又はこれに準じた様式とし、2回目以降は、「別紙様式2」又はこれに準じた様式とする。

(13) 「注10」のエナメル質初期う蝕管理加算は、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の歯科医師が行う、エナメル質に限局した表面が粗造な白濁等の脱灰病変(以下「エナメル質初期う蝕」という。)の治癒又は重症化予防を目的として実施する指導管理等を評価するものをいう。当該加算は、患者の同意を得て管理等の内容について説明を行った上で、エナメル質初期う蝕に対して、フッ化物歯面塗布及び口腔内カラー写真の撮影を行った場合に算定する。また、必要に応じて、プラークコントロール、機械的歯面清掃又はフッ化物洗口の指導を行う。撮影した口腔内カラー写真は、診療録に添付又はデジタル撮影した画像を電子媒体に保存して管理する。この場合において、写真撮影に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できない。なお、エナメル質初期う蝕管理加算の2回目以降の算定にあっては、口腔内カラー写真撮影に代えて光学式う蝕検出装置を用いてエナメル質初期う蝕の部位の測定を行った上で算定して差し支えない。この場合において、光学式う蝕検出装置を用いた測定に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できない。また、使用した光学式う蝕検出装置の名称と当該部位の測定値を診療録に記載する。なお、当該管理を行った場合は、患者等に対し、説明した内容の要点を診療録に記載する。

(14) 「注10」のエナメル質初期う蝕管理加算を算定した月は、「注8」に規定する加算、区分番号I029―2に掲げる在宅等療養患者専門的口腔衛生処置、区分番号I030に掲げる機械的歯面清掃処置、区分番号I030―2に掲げる非経口摂取患者口腔粘膜処置及び区分番号I031に掲げるフッ化物歯面塗布処置は算定できない。

(15) 歯科疾患管理料を算定する保険医療機関は、歯科疾患管理料の趣旨及び内容について、院内掲示により患者に対して情報提供を行うよう努める。

(16) 「注11」の総合医療管理加算は、糖尿病の患者、骨吸収抑制薬投与中の患者、感染性心内膜炎のハイリスク患者、関節リウマチの患者又は血液凝固阻止剤投与中の患者であって、別の医科の保険医療機関の当該疾患の担当医から歯科治療を行うに当たり、診療情報提供料に定める様式に基づいた文書により患者の全身状態や服薬状況等についての必要な診療情報の提供を受け、適切な総合医療管理を実施した場合に算定する。なお、算定に当たっては当該疾患の担当医からの情報提供に関する内容及び担当医の保険医療機関名等について診療録に記載又は提供文書の写しを添付する。

(17) 「注12」の長期管理加算は、歯科疾患の重症化予防に資する長期にわたる継続的な口腔管理等を評価したものをいう。当該加算を初めて算定する場合にあっては、当該患者の治療経過及び口腔の状態を踏まえ、今後の口腔管理に当たって特に留意すべき事項を患者等に説明し、診療録には、説明した内容の要点を記載する。

B000―4―2 小児口腔機能管理料

(1) 小児口腔機能管理料とは、15歳未満の口腔機能の発達不全を認める患者に対して、正常な口腔機能の獲得を目的として行う医学管理を評価したものをいい、関係学会の診断基準により口腔機能発達不全症と診断されている患者のうち、評価項目において3項目以上に該当する小児に対して、継続的な指導及び管理を実施する場合に当該管理料を算定する。当該管理を行うに当たっては、関係学会より示されている「「口腔機能発達不全症」に関する基本的な考え方」(令和2年3月日本歯科医学会)を参考とすること。

(2) 当該管理料を算定するに当たっては、口腔機能の評価及び一連の口腔機能の管理計画を策定し、患者等に対して説明するとともに、当該管理計画に係る情報を文書により提供し、提供した文書の写しを診療録に添付する。また、当該管理を行った場合においては、指導・管理内容を診療録に記載し、又は指導・管理に係る記録を文書により作成している場合においては、当該記録若しくはその写しを診療録に添付すること。

(3) 患者の成長発達に伴う口腔内等の状況変化の確認を目的として、患者の状態に応じて口腔外又は口腔内カラー写真撮影を行うこと。写真撮影は、当該管理料の初回算定日には必ず実施し、その後は少なくとも当該管理料を3回算定するに当たり1回以上行うものとし、診療録に添付又はデジタル撮影した画像を電子媒体に保存・管理する。

B000―4―3 口腔機能管理料

(1) 口腔機能管理料とは、65歳以上の歯の喪失や加齢、これら以外の全身的な疾患等により口腔機能の低下を認める患者に対して、口腔機能の回復又は維持・向上を目的として行う医学管理を評価したものをいい、関係学会の診断基準により口腔機能低下症と診断されている患者のうち、咀嚼機能低下(区分番号D011―2に掲げる咀嚼能力検査を算定した患者に限る。)、咬合力低下(区分番号D011―3に掲げる咬合圧検査を算定した患者に限る。)又は低舌圧(区分番号D012に掲げる舌圧検査を算定した患者に限る。)のいずれかに該当するものに対して、継続的な指導及び管理を実施する場合に当該管理料を算定する。当該管理を行うに当たっては、関係学会より示されている「「口腔機能低下症」に関する基本的な考え方」(令和2年3月日本歯科医学会)を参考とすること。

(2) 当該管理料を算定するに当たっては、口腔機能の評価及び一連の口腔機能の管理計画を策定し、当該管理計画に係る情報を文書により提供し、提供した文書の写しを診療録に添付する。また、当該管理を行った場合においては、指導・管理内容を診療録に記載し、又は指導・管理に係る記録を文書により作成している場合においては、当該記録若しくはその写しを診療録に添付すること。

B000―5 周術期等口腔機能管理計画策定料

(1) 周術期等口腔機能管理計画策定料は、がん等に係る手術、放射線治療、化学療法又は緩和ケアにおける一連の治療(以下「周術期等」という。)において、患者の口腔機能を管理するため、歯科診療を実施している保険医療機関において、手術等を実施する保険医療機関からの文書(以下「依頼文書」という。)による依頼に基づき、患者の同意を得た上で、周術期等の口腔機能の評価及び一連の口腔機能の管理計画を策定し、当該管理計画に係る情報を文書(以下「管理計画書」という。)により提供するとともに、周術期等の口腔機能の管理を行う保険医療機関に当該患者に係る管理計画書を提供した場合に当該手術等に係る一連の治療を通じて1回に限り算定する。なお、当該管理計画書の内容又はその写しを診療録に記載又は添付する。

(2) (1)の規定にかかわらず、歯科診療を実施している保険医療機関において手術等を実施する場合であって、当該同一の保険医療機関で管理計画書を策定する場合は、依頼文書は要しない。また、管理計画書を策定する保険医療機関と管理を行う保険医療機関が同一の場合は、当該保険医療機関内での管理計画書の提供は要しない。

(3) 「注1」に規定する管理計画書とは、①基礎疾患の状態・生活習慣、②主病の手術等の予定(又は実績)、③口腔内の状態等(現症及び手術等によって予測される(又は生じた)変化等)、④周術期等の口腔機能の管理において実施する内容、⑤主病の手術等に係る患者の日常的なセルフケアに関する指導方針、⑥その他必要な内容、⑦保険医療機関名及び当該管理を行う歯科医師の氏名等の情報を記載したものをいう。

(4) 周術期等の口腔機能の管理計画の策定を適切に行うため、定期的に周術期等の口腔機能の管理等に関する講習会や研修会等に参加し、必要な知識の習得に努める。

B000―6 周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)、B000―7 周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)

(1) 周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)及び周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)における口腔機能管理は、患者の口腔衛生状態や口腔内の状態等の把握、手術に係る主病及びその治療に関連する口腔機能の変化に伴う日常的な指導等を評価し、歯科疾患を有する患者や口腔衛生状態不良の患者における口腔内細菌による合併症(手術部位感染や病巣感染)、手術の外科的侵襲や薬剤投与等による免疫力低下により生じる病巣感染、人工呼吸管理時の気管内挿管による誤嚥性肺炎等の術後合併症や脳卒中により生じた摂食機能障害による誤嚥性肺炎や術後の栄養障害の予防等を目的に、次に掲げるような手術において実施する。

例えば次に掲げる手術の際に実施する。

イ 頭頸部領域、呼吸器領域、消化器領域等の悪性腫瘍の手術

ロ 心臓血管外科手術

ハ 人工股関節置換術等の整形外科手術

ニ 臓器移植手術

ホ 造血幹細胞移植

ヘ 脳卒中に対する手術

(2) 脳卒中等による緊急手術において、手術後早期に口腔機能管理の依頼を受けた場合においても周術期等口腔機能管理計画策定料及び周術期等口腔機能管理料を算定できる。この場合においては、周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)又は周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)の「1 手術前」は算定できない。

(3) 周術期等の口腔機能の管理を実施した場合は、①口腔内の状態の評価、②具体的な実施内容や指導内容、③その他必要な内容を記載した管理報告書を作成し、患者に提供する。ただし、次の場合は、それぞれの管理内容がまとめて記載された管理報告書(追記する形式等をいう。)により作成しても差し支えない。

イ 同月に同一の保険医療機関において、手術前に周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)又は周術期等口腔機能管理料(Ⅲ)を算定した患者に対して、手術前の周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)を算定する場合。この場合において、周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)に係る管理を実施した際に管理報告書を提供する。

ロ 同月に同一の保険医療機関において、手術後に周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)又は周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)を合計して3回以上算定する場合。この場合において、手術後の1回目の周術期等口腔機能管理料に係る管理を実施した際及び当該月に予定する最後の周術期等口腔機能管理料に係る管理を実施した際に管理報告書を提供する。

(4) 患者の状態等に変化が生じた場合は、必要な管理計画の修正を行い、管理報告書にその内容を記載の上、患者に提供する。

(5) 周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)及び周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)は、区分番号B000―5に掲げる周術期等口腔機能管理計画策定料に規定する管理計画書に基づき、次の区分に応じて、歯科医師による周術期等における口腔機能の管理を行った場合に算定する。なお、当該管理報告書の内容又はその写しを診療録に記載又は添付する。


手術を行った(又は予定する)保険医療機関

同一の保険医療機関(病院)

他の保険医療機関(病院)

患者の状況

入院外

周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)

周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)

※同一の医科歯科併設病院で外来又は在宅で治療中の患者

※同一の歯科病院で外来又は在宅で治療中の患者

※他の病院で外来又は在宅で治療中の患者

(備考欄ロ)

(備考欄イ)

入院中

周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)

周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)

※同一の医科歯科併設の病院に入院中の患者

※同一の歯科病院に入院中の患者

※他の医科病院に入院中の患者に対して、歯科訪問診療に併せて管理を行う場合

(備考欄ニ)

(備考欄ハ)

[備考]

イ 歯科病院(歯科診療のみの診療を行う病院をいう。以下同じ。)、医科歯科併設の病院(歯科診療科に限る。)又は歯科診療所に属する歯科医師が、他の保険医療機関(病院に限る。)において口腔機能管理を必要とする手術(以下この区分番号において「管理を要する手術」という。)を行った(手術を予定する場合を含む。以下同じ。)入院中の患者以外の患者の口腔機能の管理を行う場合

ロ 歯科病院又は医科歯科併設の病院(歯科診療科に限る。)に属する歯科医師が、同一の保険医療機関において、管理を要する手術を行った入院中の患者以外の患者の口腔機能の管理を行う場合

ハ 歯科病院、医科歯科併設の病院(歯科診療科に限る。)又は歯科診療所に属する歯科医師が、他の医科病院(歯科診療を行う保険医療機関を除く。)において、管理を要する手術を行った入院中の患者の口腔機能の管理を行う場合

ニ 歯科病院又は医科歯科併設の病院(歯科診療科に限る。)に属する歯科医師が、同一の保険医療機関において、管理を要する手術を行った入院中の患者の口腔機能の管理を行う場合

(6) (5)の規定に関わらず、歯科診療所の歯科医師が医科歯科併設の病院に入院中の患者に対して、歯科訪問診療を行い当該管理を行う場合は、周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)により算定する。ただし、入院中の保険医療機関において周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)を算定する月は算定できない。

(7) 管理計画書を策定した保険医療機関と周術期等に関する口腔機能管理を実施する保険医療機関が異なる場合は、周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)及び周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)を算定する際、管理計画書又はその写しを診療録に添付するとともに、当該管理計画書の内容以外に必要な管理事項がある場合は、その要点を診療録に記載する。

(8) 区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料、区分番号B000―4―2に掲げる小児口腔機能管理料、区分番号B000―4―3に掲げる口腔機能管理料、区分番号B002に掲げる歯科特定疾患療養管理料、区分番号B004―6―2に掲げる歯科治療時医療管理料、区分番号B006―3―2に掲げるがん治療連携指導料、区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料、区分番号C001―4―2に掲げる在宅患者歯科治療時医療管理料、区分番号C001―5に掲げる在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、区分番号C001―6に掲げる小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料及び区分番号N002に掲げる歯科矯正管理料を算定している同月において、周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)及び周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)は、別に算定できない。ただし、同月であっても、手術前に上記管理料を算定し、手術後において口腔機能管理を行う場合は、周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)及び周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)を算定できる。

(9) 周術期等の口腔機能の管理を行うに当たっては、一連の管理中においては患者の主治の医師と連携し、また、入院中においては主治の医師や日常の療養上の世話を行う看護師等との間で実施内容や注意事項等の情報の共有に努める。

(10) 周術期等の口腔機能の管理を行うに当たっては、手術前後や放射線治療等の患者の口腔機能の管理を適切に行うため、定期的に周術期等の口腔機能の管理に関する講習会や研修会等に参加し、必要な知識の習得に努める。

B000―8 周術期等口腔機能管理料(Ⅲ)

(1) 周術期等口腔機能管理料(Ⅲ)は、がん等に係る放射線治療若しくは化学療法を実施している患者(予定している患者を含む。)又は緩和ケアの対象となる患者であって、区分番号B000―5に掲げる周術期等口腔機能管理計画策定料に規定する管理計画書に基づき、歯科医師による必要な口腔機能の管理を行った場合に算定する。なお、当該管理報告書の内容又はその写しを診療録に記載又は添付する。

(2) 口腔機能の管理を実施した場合は、①口腔内の状態の評価、②具体的な実施内容や指導内容、③その他必要な内容を記載した管理報告書を作成し、患者に提供する。ただし、患者の状態に大きな変化がない場合は、少なくとも前回の管理報告書の提供日から起算して3月を超える日までに1回以上提供する。

(3) がん等に係る手術を実施する患者について、一連の治療において手術前に放射線治療又は化学療法を実施する場合は、周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)又は周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)の「1 手術前」と周術期等口腔機能管理料(Ⅲ)を同一月に算定して差し支えない。

(4) その他周術期等口腔機能管理料(Ⅲ)に係る周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)及び周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)と共通の項目は、区分番号B000―6に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)及び区分番号B000―7に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)の例により算定する。

B001―2 歯科衛生実地指導料

(1) 「1 歯科衛生実地指導料1」は、歯科疾患に罹患している患者であって、歯科衛生士による実地指導が必要なものに対して、主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、歯及び歯肉等口腔状況の説明及び次のイ又はロの必要な事項について15分以上実施した場合に算定する。なお、う蝕又は歯周病に罹患している患者については必ずイを実施するものであること。

イ プラークチャート等を用いたプラークの付着状況の指摘及び患者自身によるブラッシングを観察した上でのプラーク除去方法の指導

ロ その他、患者の状態に応じて必要な事項

(2) 「2 歯科衛生実地指導料2」は、歯科疾患に罹患している患者のうち、基本診療料に係る歯科診療特別対応加算を算定している患者であって、歯科衛生士による実地指導が必要なものに対して、主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、歯及び歯肉等口腔状況の説明及び次のイ又はロの必要な事項について15分以上実施した場合又は15分以上の実地指導を行うことが困難な場合にあっては月2回の実地指導を合わせて15分以上行った場合に算定する。なお、う蝕又は歯周病に罹患している患者については必ずイを実施するものであること。

イ プラークチャート等を用いたプラークの付着状況の指摘及び患者自身によるブラッシングを観察した上でのプラーク除去方法の指導

ロ その他、患者の状態に応じて必要な事項

(3) 「注1」及び「注2」に規定する文書とは、(1)及び(2)に掲げる指導等の内容、口腔衛生状態(う蝕又は歯周病に罹患している患者はプラークの付着状況を含む。)、指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、保険医療機関名、主治の歯科医師の氏名及び当該指導を行った歯科衛生士の氏名が記載されたものをいう。

(4) 患者に対する当該指導の内容の情報提供は、「1 歯科衛生実地指導料1」を算定する場合は当該指導の初回時に行い、「2 歯科衛生実地指導料2」を算定する場合は実地指導の合計が15分以上となったとき(当該指導回数が1回又は2回に限る。)に行う。このほか、患者自身によるプラークコントロールの状況、指導の内容に変化があったとき等に行うこととするが、当該指導の内容に変化がない場合はこの限りでない。ただし、その場合においても3月に1回以上は当該指導の内容を文書により提供する。

(5) 主治の歯科医師は、歯科衛生士に患者の療養上必要な指示を十分に行うとともに、歯科衛生士に行った指示内容等の要点を診療録に記載する。

(6) 当該指導を行った歯科衛生士は、主治の歯科医師に報告するとともに患者に提供した文書の写しを提出し、業務に関する記録を作成する。

(7) 主治の歯科医師は、歯科衛生士から提出を受けた患者に提供した文書の写しを診療録に添付する。

(8) 歯科衛生実地指導料を算定した保険医療機関は、毎年7月1日現在で名称、常勤非常勤ごとの歯科衛生士数等を地方厚生(支)局長に報告する。

B001―3 歯周病患者画像活用指導料

(1) 区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料、区分番号B000―6に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)、区分番号B000―7に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)、区分番号B000―8に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅲ)、区分番号B002に掲げる歯科特定疾患療養管理料、区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料、区分番号C001―5に掲げる在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料又は区分番号C001―6に掲げる小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料のいずれかの管理料を算定した患者であって歯周病に罹患しているものに対し、プラークコントロールの動機付けを目的として、口腔内カラー写真を用いて療養上必要な指導及び説明を行った場合に算定する。

(2) 写真撮影に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) 撮影した口腔内カラー写真は、診療録に添付又はデジタル撮影した画像を電子媒体に保存して管理する。

B002 歯科特定疾患療養管理料

(1) 歯科特定疾患療養管理料は、別に厚生労働大臣が定める疾患に掲げる疾患を主病とする患者に対して、治療計画に基づき、服薬、栄養等の療養上の指導を行った場合に月2回に限り算定する。なお、当該管理を行った場合は、症状及び管理内容の要点を診療録に記載する。

(2) 別に厚生労働大臣が定める疾患に掲げる疾患のうち、顎・口腔の先天異常、舌痛症(心因性によるものを含む。)、口腔軟組織の疾患(難治性のものに限る。)、口腔乾燥症(放射線治療又は化学療法を原因とするものに限る。)、睡眠時無呼吸症候群(口腔内装置治療を要するものに限る。)、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(骨露出を伴うものに限る。)又は放射線性顎骨壊死若しくは三叉神経ニューロパチーとはそれぞれ次の疾患をいう。

イ 顎・口腔の先天異常とは、後継永久歯がなく、かつ、著しい言語障害及び咀嚼障害を伴う先天性無歯症又は唇顎口蓋裂(単独又は複合的に発症している症例を含む。以下この表において同じ。)をいう。

ロ 舌痛症とは、ハンター舌炎、メラー舌炎、プランマー・ヴィンソン症候群又はペラグラであって舌の疼痛を伴うもの及び心因性によるものをいう。

ハ 口腔軟組織の疾患(難治性のものに限る。)とは、口腔の帯状疱疹、再生不良性貧血による歯肉出血、原発性血小板減少性紫斑病による歯肉出血、血友病における歯肉出血、口腔のダリェー病、口腔のベーチェット病、口腔の結核、口腔の後天性免疫不全症候群、口腔の扁平苔癬又は口腔の白板症をいう。

ニ 口腔乾燥症(放射線治療又は化学療法を原因とするものに限る。)とは、口腔領域以外の悪性腫瘍等の治療のため行われた放射線治療又は化学療法を原因とするものをいう。

ホ 睡眠時無呼吸症候群(口腔内装置治療を要するものに限る。)とは、口腔内装置治療が有効であると診断され、医科保険医療機関又は医科歯科併設の医療機関の担当科の医師からの診療情報提供(診療情報提供料の様式に準じるもの)に基づき、口腔内装置治療を必要とするものをいう。

ヘ 骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(骨露出を伴うものに限る。)又は放射線性顎骨壊死とはビスフォスホネート製剤若しくは抗RANKL抗体製剤等の骨吸収抑制薬の投与又はがん等に係る放射線治療を原因とする顎骨壊死をいう。

ト 三叉神経ニューロパチーとは、三叉神経に何らかの原因で機能障害が生じる神経症状(三叉神経痛を含む。)をいう。

(3) 「注2」の共同療養指導計画加算は、患者の主治医(「注1」に規定する別に厚生労働大臣が定める疾患に係るものに限る。)と共同で、歯科診療に関する総合的な口腔の療養指導計画を策定し、当該患者にその内容を文書により提供した場合に、患者1人につき1回に限り算定する。なお、患者の症状に変化が生じる等の理由により当該計画の見直しが必要となり、改めてその内容を文書により提供した場合は再度算定する。

また、共同療養指導計画加算を算定した場合は、患者に提供した療養指導計画に係る文書の写しを診療録に添付するとともに、共同療養指導計画の策定に関わった患者の主治医(「注1」に規定する別に厚生労働大臣が定める疾患に係るものに限る。)の保険医療機関名及び氏名を診療録に記載する。

(4) 診察に基づき計画的な診療計画を立てている場合であって、必要やむを得ない場合に限り、看護に当たっている患者の家族等を通して療養上の指導を行ったときは、歯科特定疾患療養管理料を算定する。

(5) 歯科特定疾患療養管理料は、別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とする者に対し、実際に主病を中心とした療養上必要な指導が行われていない場合又は実態的に主病の口腔領域における症状に対する治療が当該保険医療機関では行われていない場合は算定できない。

(6) 主病とは、当該患者の全身的な医学管理が必要となる主たる特定疾患をいい、対診又は依頼により検査のみを行っている保険医療機関は算定できない。

(7) 再診が電話等により行われた場合は、歯科特定疾患療養管理料は算定できない。

B003 特定薬剤治療管理料

(1) アミノ配糖体抗生物質、グリコペプチド系抗生物質等を数日間以上投与している入院中の患者について、投与薬剤の血中濃度を測定し、その測定結果をもとに投与量を精密に管理した場合、月1回に限り算定する。

(2) 特定薬剤治療管理料を算定するグリコペプチド系抗生物質とは、バンコマイシン及びテイコプラニンをいう。

(3) 薬剤の血中濃度、治療計画の要点を診療録に記載又は添付する。

(4) 「注4」に規定する加算は、入院中の患者であって、バンコマイシンを数日間以上投与しているものに対して、バンコマイシンの安定した血中至適濃度を得るため頻回の測定が行われる初回月に限り、初回月加算(バンコマイシンを投与した場合)として「注4」に規定する加算を算定し、「注5」に規定する加算は別に算定できない。

(5) 「注5」に規定する初回月加算とは、投与中の薬剤の安定した血中至適濃度を得るため頻回の測定が行われる初回月に限り算定できるものであり、薬剤を変更した場合は算定できない。

(6) 特殊な薬物血中濃度の測定及び計画的な治療管理のうち、特に本項を準用する必要のあるものは、その都度当局に内議し、最も近似する測定及び治療管理として準用が通知された算定方法により算定する。

B004 悪性腫瘍特異物質治療管理料

悪性腫瘍特異物質治療管理は、悪性腫瘍と既に確定診断がされた患者に対し行った腫瘍マーカー検査に基づき実施するが、腫瘍マーカー及び悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定する場合は、医科点数表の区分番号B001の3に掲げる悪性腫瘍特異物質治療管理料及び医科点数表の区分番号D009に掲げる腫瘍マーカーの例により算定する。

B004―1―2 がん性疼痛緩和指導管理料

(1) がん性疼痛緩和指導管理料は、歯科医師ががん性疼痛の症状緩和を目的として麻薬を投与しているがん患者に対して、WHO方式のがん性疼痛の治療法(がんの痛みからの解放―WHO方式がんの疼痛治療法―第2版)に従って副作用対策等を含めた計画的な治療管理を継続して行い、療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り、当該薬剤に関する指導を行い、当該薬剤を処方した日に算定する。なお、当該指導は、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明、疼痛時に追加する臨時の薬剤の使用方法に関する説明を含める。

(2) がん性疼痛緩和指導管理料は、緩和ケアの経験を有する歯科医師(緩和ケアに係る研修を受けた者に限る。)が当該指導管理を行った場合に算定する。

(3) がん性疼痛緩和指導管理料を算定する場合は、麻薬の処方前の疼痛の程度(疼痛の強さ、部位、性状、頻度等)、麻薬の処方後の効果判定、副作用の有無、治療計画及び指導内容の要点を診療録に記載する。

B004―1―3 がん患者指導管理料

医科点数表の区分番号B001の23に掲げるがん患者指導管理料の例により算定するとともに、当該区分中「医師」又は「医科点数表」とあるのはそれぞれ「歯科医師」又は「歯科点数表」の区分番号に読み替えて適用する。

B004―1―4 入院栄養食事指導料

(1) 入院栄養食事指導料は、入院中の患者であって、別に厚生労働大臣が定める特別食が必要と認めた者又は次のいずれかに該当する者に対し、歯科医師と医師との連携により、管理栄養士が初回にあっては概ね30分以上、2回目にあっては概ね20分以上、療養のため必要な栄養の指導を行った場合に入院中2回に限り算定する。ただし、1週間に1回に限る。

イ がん患者

ロ 摂食機能又は嚥下機能が低下した患者

ハ 低栄養状態にある患者

(2) 入院栄養食事指導料1は、当該保険医療機関の管理栄養士が当該保険医療機関の歯科医師と医師との連携により、指導を行った場合に算定する。

また、入院栄養食事指導料2は、有床診療所において、当該診療所以外(公益社団法人日本栄養士会若しくは都道府県栄養士会が設置し、運営する「栄養ケア・ステーション」又は他の保険医療機関に限る。)の管理栄養士が当該診療所の歯科医師と医師との連携により、対面による指導を行った場合に算定する。

(3) 「注3」に規定する栄養情報提供加算は、栄養食事指導に加え、退院後の栄養及び食事管理に関する指導とともに、医療機関間の有機的連携の強化及び保健又は福祉関係機関等へ栄養情報提供機能の評価を目的として設定されたものであり、両者の患者の栄養に関する情報(必要栄養量、摂取栄養量、食事形態(嚥下食コードを含む。)、禁止食品、栄養管理に係る経過等)を相互に提供することにより、継続的な栄養管理の確保等を図るものである。

(4) 「注3」に規定する栄養情報提供加算は、栄養指導に加え、当該指導内容及び入院中の栄養管理の状況等を含む栄養に関する情報を示す文書を患者に退院の見通しが立った際に説明するとともにこれを他の保険医療機関、介護老人保健施設等、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律第34条第1項に規定する指定障害者支援施設等若しくは児童福祉法第42条第1号に規定する福祉型障害児入所施設の医師又は管理栄養士に対して提供した場合に、入院中1回に限り、所定の点数に加算する。

(5) 摂食機能又は嚥下機能が低下した患者とは、歯科医師及び連携した医師が、硬さ、付着性、凝集性などに配慮した嚥下調整食(日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類に基づく。)に相当する食事を要すると判断した患者をいう。

(6) 低栄養状態にある患者とは、次のいずれかを満たす患者をいう。

イ 血中アルブミンが3.0g/dL以下である患者

ロ 歯科医師及び連携した医師が栄養管理により低栄養状態の改善を要すると判断した患者

(7) 歯科医師は、診療録に連携した医師の氏名及び連携内容の要点を記載する。また、管理栄養士は、患者ごとに栄養指導記録を作成するとともに、当該栄養指導記録に指導を行った献立又は食事計画の例についての総カロリー、栄養素別の計算及び指導内容の要点を記載する。

(8) その他入院栄養食事指導料の医科と共通の項目は、医科点数表の区分番号B001の10に掲げる入院栄養食事指導料の例により算定する。

B004―1―5 外来緩和ケア管理料

医科点数表の区分番号B001の24に掲げる外来緩和ケア管理料の例により算定する。

B004―1―6 外来リハビリテーション診療料

医科点数表の区分番号B001―2―7に掲げる外来リハビリテーション診療料の例により算定する。

B004―1―7 外来放射線照射診療料

医科点数表の区分番号B001―2―8に掲げる外来放射線照射診療料の例により算定する。

B004―2 手術前医学管理料

医科点数表の区分番号B001―4に掲げる手術前医学管理料の例により算定する。

B004―3 手術後医学管理料

医科点数表の区分番号B001―5に掲げる手術後医学管理料の例により算定する。

B004―6―2 歯科治療時医療管理料

(1) 歯科治療時医療管理料は、高血圧性疾患、虚血性心疾患、不整脈、心不全、脳血管障害、喘息、慢性気管支炎、糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能不全、てんかん、慢性腎臓病(腎代替療法を行う患者に限る。)の患者、人工呼吸器を装着している患者又は在宅酸素療法を行っている患者に対して、歯科治療時における患者の全身状態の変化等を把握するため、患者の血圧、脈拍、経皮的動脈血酸素飽和度を経時的に監視し、必要な医療管理を行った場合に算定する。

(2) 歯科治療時医療管理料を算定する保険医療機関は、全身状態の把握、管理等に必要な機器、機材等が整備されていること。

(3) 管理内容及び患者の全身状態の要点を診療録に記載する。

B004―9 介護支援等連携指導料

(1) 介護支援等連携指導料とは、入院の原因となった疾患・障害や入院時に行った患者の心身の状況等の総合的な評価の結果を踏まえ、退院後に介護サービス又は障害福祉サービス、地域相談支援若しくは障害児通所支援(以下この区分において「介護等サービス」という。)を導入することが適当であると考えられ、また、本人も導入を望んでいる患者が、退院後により適切な介護等サービスを受けられるよう、入院中から居宅介護支援事業者等の介護支援専門員(ケアマネジャー)又は指定特定相談支援事業者若しくは指定障害児相談支援事業者(以下この区分において「指定特定相談支援事業者等」という。)の相談支援専門員と連携し退院後のケアプラン又はサービス等利用計画若しくは障害児支援利用計画(以下この区分において「ケアプラン等」という。)の作成につなげることを評価するものである。

(2) 介護支援等連携指導料は、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた看護師、歯科衛生士、社会福祉士、薬剤師、言語聴覚士、その他、退院後に導入が望ましい介護等サービスから考え適切な医療関係職種が、患者が入院前にケアプラン作成を担当していた介護支援専門員若しくは相談支援専門員又は退院後のケアプラン等の作成を行うため患者が選択した居宅介護支援事業者、介護予防支援事業者、介護保険施設等の介護支援専門員若しくは指定特定相談支援事業者等の相談支援専門員と共同して、患者に対し、患者の心身の状況等を踏まえ導入が望ましいと考えられる介護等サービスや、当該地域において提供可能な介護等サービス等の情報を提供した場合に入院中2回に限り算定する。

(3) ここでいう介護保険施設等とは、介護保険の給付が行われる保健医療サービス又は福祉サービスを提供する施設であって、次の施設をいうものとする。

イ 介護老人福祉施設(介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第22項に規定する地域密着型介護老人福祉施設及び同条第27項に規定する介護老人福祉施設のことをいう。)

ロ 介護保険法第8条第28項に規定する介護老人保健施設

ハ 健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)附則第130条の2第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第26条の規定による改正前の介護保険法第8条第26項に規定する介護療養型医療施設

ニ 介護保険法第8条第29項に規定する介護医療院

ホ 特定施設(介護保険法第8条第11項に規定する特定施設、同条第21項に規定する地域密着型特定施設及び第8条の2第9項に規定する介護予防特定施設入居者生活介護を提供する施設のことをいい、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第192条の2に規定する外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護を受けている患者が入居する施設を含む。)

ヘ 認知症対応型グループホーム(介護保険法第8条第20項に規定する認知症対応型共同生活介護及び同法第8条の2第15項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護を提供する施設のことをいう。)

ト 小規模多機能居宅介護事業所(介護保険法第8条第19項に規定する小規模多機能型居宅介護及び同法第8条の2第14項に規定する介護予防小規模多機能型居宅介護を提供する施設のことをいう。)

チ 複合型サービス事業所(介護保険法第8条第23項に規定する複合型サービスを提供する施設のことをいう。)

(4) 初回の指導とは、入院の原因となった疾患が比較的落ち着いた段階で、退院後の生活を見越し、当該地域で導入可能な介護等サービス等の情報について、患者や医療関係者と情報共有することで、患者がより適切な療養場所を選択することに資するものをいい、2回目の指導とは、実際の退院を前に、最終的なケアプラン等作成のための指導を行う等の指導を想定したものをいう。

(5) 介護支援等連携指導料の算定に当たっては、行った指導の内容等について、要点を診療録等に記載する。

(6) 介護支援等連携指導料を算定するに当たり共同指導を行う介護支援専門員又は相談支援専門員は、介護等サービスの導入を希望する患者の選択によるものであり、患者が選択した場合は、当該保険医療機関に併設する居宅介護事業所等の介護支援専門員又は指定特定相談支援事業者等の相談支援専門員であっても介護支援等連携指導料の算定を妨げるものではない。

(7) 同日に区分番号B015に掲げる退院時共同指導料2の「注3」に規定する加算を算定すべき介護支援専門員又は相談支援専門員を含めた共同指導を行った場合は、介護支援等連携指導料あるいは退院時共同指導料2の「注3」に規定する加算の両方を算定することはできない。

(8) 当該共同指導は、当該患者が入院している保険医療機関の医療関係職種と介護支援専門員又は相談支援専門員が、患者が入院している保険医療機関において実施することが原則であるが、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーション(以下「ビデオ通話」という。)が可能な機器を用いて共同指導した場合でも算定可能である。

B005 開放型病院共同指導料(Ⅰ)

医科点数表の区分番号B002に掲げる開放型病院共同指導料(Ⅰ)の例により算定する。

B006 開放型病院共同指導料(Ⅱ)

医科点数表の区分番号B003に掲げる開放型病院共同指導料(Ⅱ)の例により算定する。

B006―3 がん治療連携計画策定料、B006―3―2 がん治療連携指導料

医科点数表の区分番号B005―6に掲げるがん治療連携計画策定料及び医科点数表の区分番号B005―6―2に掲げるがん治療連携指導料の例により算定する。

B006―3―3 がん治療連携管理料

医科点数表の区分番号B005―6―3に掲げるがん治療連携管理料の例により算定する。

B006―3―4 療養・就労両立支援指導料

医科点数表の区分番号B001―9に掲げる療養・就労両立支援指導料の例により算定する。

B007 退院前訪問指導料

医科点数表の区分番号B007に掲げる退院前訪問指導料の例により算定する。

B008 薬剤管理指導料

医科点数表の区分番号B008に掲げる薬剤管理指導料の例により算定する。

B008―2 薬剤総合評価調整管理料

医科点数表の区分番号B008―2に掲げる薬剤総合評価調整管理料の例により算定する。

B009 診療情報提供料(Ⅰ)

医科点数表の区分番号B009に掲げる診療情報提供料(Ⅰ)の例により算定する。

B009―2 電子的診療情報評価料

医科点数表の区分番号B009―2に掲げる電子的診療情報評価料の例により算定する。

B010 診療情報提供料(Ⅱ)

医科点数表の区分番号B010に掲げる診療情報提供料(Ⅱ)の例により算定する。

B011 診療情報連携共有料

(1) 診療情報連携共有料は、医科の保険医療機関と歯科の保険医療機関の間で診療情報を共有することにより、質の高い診療が効率的に行われることを評価するものである。

(2) 慢性疾患を有する患者又は歯科診療を行う上で特に全身的な管理の必要性を認め検査結果や診療情報を確認する必要がある患者において、当該患者の同意を得て、別の保険医療機関に当該患者の診療情報の提供を文書により求めた場合に算定する。

(3) 当該別の保険医療機関に対して、診療情報の提供を求めるに当たっては、次の事項を記載した文書を患者又は当該別の保険医療機関に交付する。また、交付した文書の写しを診療録に添付すること。

イ 患者の氏名、生年月日、連絡先

ロ 診療情報の提供依頼目的(必要に応じて、傷病名、治療方針等を記載すること)

ハ 診療情報の提供を求める医療機関名

ニ 診療情報の提供を求める内容(検査結果、投薬内容等)

ホ 診療情報の提供を依頼する保険医療機関名及び担当医名

(4) 診療情報連携共有料を算定するに当たっては、保険医療機関と連携を図り、必要に応じて問い合わせに対応できる体制(窓口の設置など)を確保していること。

(5) 保険医療機関ごとに患者1人につき、診療情報の提供を求めた日の属する月から起算して3月に1回に限り算定する。

(6) 区分番号B009に掲げる診療情報提供料(Ⅰ)により紹介した月から起算して3月以内に、同一の保険医療機関に対して当該患者の診療情報の提供を求めた場合において、診療情報連携共有料は別に算定できない。

B011―2 診療情報提供料(Ⅲ)

医科点数表の区分番号B011に掲げる診療情報提供料(Ⅲ)の例により算定する。

B011―3 薬剤情報提供料

医科点数表の区分番号B011―3に掲げる薬剤情報提供料の例により算定する。

B011―4 退院時薬剤情報管理指導料

医科点数表の区分番号B014に掲げる退院時薬剤情報管理指導料の例により算定する。

B012 傷病手当金意見書交付料

医科点数表の区分番号B012に掲げる傷病手当金意見書交付料の例により算定する。

B013 新製有床義歯管理料

(1) 新製有床義歯管理とは、新製有床義歯の生体との調和を主眼とした義歯の管理をいい、具体的には、当該有床義歯の形態、適合性、咬合関係等の調整及び患者に必要な義歯の取扱い等に係る指導をいう。

(2) 新製有床義歯管理料は、当該有床義歯を製作した保険医療機関において、新製した有床義歯の適合性等について検査を行い、併せて患者に対して、新製した有床義歯の取扱い等について必要な指導を行い、患者に対して当該有床義歯の管理に係る情報を文書により提供した場合に算定する。この場合において、当該文書の写しを診療録に添付し、当該文書の内容以外に療養上必要な管理事項がある場合は、診療録にその要点を記載する。

(3) 「2 困難な場合」とは、特に咬合の回復が困難な患者に対する義歯管理を評価したものをいい、総義歯又は9歯以上の局部義歯を装着した場合をいう。

(4) 「注1」に規定する文書とは、欠損の状態、指導内容等の要点、保険医療機関名及び担当歯科医師の氏名を記載したものをいう。

(5) 新製有床義歯管理料を算定した患者について、当該有床義歯の装着日の属する月から起算して1年以内の期間において、当該有床義歯の装着部位とは異なる部位に別の有床義歯の新製又は有床義歯の裏装を行った場合は、区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」を算定し、新製有床義歯管理料は算定できない。

(6) 有床義歯の新製が予定されている月に旧義歯の修理を行い、区分番号M029に掲げる有床義歯修理を算定した場合は、「注2」の規定に関わらず、区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」を算定し、新製した有床義歯の装着時に新製有床義歯管理料を算定して差し支えない。

(7) 有床義歯の新製が予定されている月に、やむを得ず旧義歯の調整が必要となり有床義歯の調整を行った場合は区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」を算定し、新製した有床義歯の装着時は「注2」の規定に関わらず、新製有床義歯管理料を算定する。

(8) 有床義歯を新製した月と同月に、当該有床義歯とは別の欠損部位の有床義歯の修理又は床裏装を行った場合は、区分番号M029に掲げる有床義歯修理又は区分番号M030に掲げる有床義歯内面適合法(有床義歯床裏装)は別に算定する。この場合において、新製有床義歯管理料又は区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」のいずれかにより算定する。

(9) 区分番号I022に掲げる有床義歯床下粘膜調整処置を行い、有床義歯の新製又は床裏装を予定している場合は、同月内であっても当該処置に併せて区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」を算定して差し支えない。この場合において、区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」を算定したときは、同月内に新製有床義歯管理料は算定できない。

(10) 新製有床義歯管理料を算定した患者について、当該管理料を算定した日の属する月から起算して1年を超えた期間において調整又は指導を行った場合は、区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」を算定する。この場合において、必要があって新たに製作した有床義歯を装着し調整又は指導を行った場合は、新製有床義歯管理料を算定する。

(11) 別の保険医療機関で製作した有床義歯の管理は、装着する日の属する月であっても区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」により算定する。

(12) 再診が電話等により行われた場合は、新製有床義歯管理料は算定できない。

(13) 有床義歯に係る管理を行うに当たっては、「有床義歯の管理について」(平成19年11月日本歯科医学会)を参考とする。

B013―3 広範囲顎骨支持型補綴物管理料

(1) 広範囲顎骨支持型補綴物管理料とは、当該補綴物の調整に係る管理を評価したものをいい、区分番号M025―2に掲げる広範囲顎骨支持型補綴に係る補綴物の装着を行った日の属する月の翌月以降月1回に限り算定する。

(2) 広範囲顎骨支持型補綴物管理料を算定する場合は、当該補綴物の調整方法及び調整部位を診療録に記載する。

(3) 別の保険医療機関で装着された当該補綴物の調整を行った場合は、装着を実施した保険医療機関名及び装着時期について、患者からの情報等を踏まえ診療録に記載する。

B014 退院時共同指導料1、B015 退院時共同指導料2

(1) 退院時共同指導料1又は退院時共同指導料2は、保険医療機関に入院中の患者について、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関(以下この区分において「在宅療養担当医療機関」という。)と連携する別の保険医療機関の歯科医師又はその指示を受けた歯科衛生士が、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養を行う患者に対して、療養上必要な説明及び指導を、入院中の保険医療機関の歯科医師若しくは医師又は保健師、助産師、看護師、准看護師(以下この区分において、「看護師等」という。)、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士若しくは社会福祉士と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回に限り、それぞれの保険医療機関において算定する。ただし、特掲診療料の施設基準等別表第三の一の二に掲げる「退院時共同指導料1及び退院時共同指導料2を二回算定できる疾病等の患者」であって、当該入院中に2回算定する場合は、当該2回中1回はそれぞれの保険医療機関の歯科医師、医師、看護師又は准看護師が共同して指導すること。なお、当該患者の退院後の在宅療養において歯科医療を行う保険医療機関の歯科衛生士と当該患者が、入院中の保険医療機関の准看護師と共同して在宅での療養上必要な説明及び指導を行う場合は、歯科医療を担当する保険医療機関の歯科医師及び入院中の保険医療機関の医師又は看護師の指示を受けて行う。また、ここでいう入院とは、第1章第2部通則4に定める入院期間が通算される入院をいう。

(2) 退院時共同指導料は、患者の家族等退院後患者の看護を担当する者に対して指導を行った場合も算定できる。

(3) 行った指導の内容等について、要点を診療録等に記載し、又は患者若しくはその家族等に提供した文書の写しを診療録に添付する。

(4) 退院時共同指導料1の「1」は、在宅療養支援歯科診療所1又は在宅療養支援歯科診療所2の歯科医師が当該患者に対して、在宅療養担当医療機関との連携により、患者又はその家族等の求めに対して迅速な歯科訪問診療が可能な体制を確保し、当該担当者及び当該担当者と直接連絡がとれる連絡先電話番号、診療可能日等並びに緊急時の注意事項等について、事前に患者又はその家族等に対して説明の上、文書により提供した場合に算定する。

(5) 退院時共同指導料1を算定した場合は、区分番号A000に掲げる初診料、区分番号A002に掲げる再診料及び区分番号B005に掲げる開放型病院共同指導料(Ⅰ)は別に算定できない。ただし、当該指導を行った日に歯科訪問診療を行った場合は、この限りでない。

(6) 退院時共同指導料は、退院後に在宅での療養を行う患者が算定の対象となり、他の保険医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設に入院若しくは入所する患者又は死亡退院した患者は、対象とはならない。ただし、退院時共同指導料2の「注4」は、本文の規定にかかわらず、退院後在宅で療養を行う患者に加え、退院後に介護老人保健施設、介護医療院、介護老人福祉施設(地域密着型介護老人福祉施設を含む。)、特定施設(地域密着型特定施設を含む。)又は障害者支援施設(生活介護を行う施設又は自立訓練(機能訓練)を行う施設に限る。)、福祉型障害児入所施設若しくは医療型障害児入所施設(以下この区分において「介護施設等」という。)に入所する患者も対象となる。なお、当該患者が当該保険医療機関に併設する介護施設等に入所する場合は算定することはできない。

(7) 退院時共同指導料1の「注2」に規定する加算は、当該患者が厚生労働大臣の定める特別な管理を必要とする者であった場合、1人の患者に対して入院中1回に限り算定する。ただし、厚生労働大臣が定める疾病等の患者は当該入院中2回に限り算定する。

(8) 退院時共同指導料2の「注1」は、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、当該患者が入院している保険医療機関の歯科医師又は看護師等、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士若しくは社会福祉士と在宅療養担当医療機関の歯科医師又は医師若しくは当該歯科医師又は医師の指示を受けた看護師等、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士若しくは社会福祉士又は在宅療養担当医療機関の医師の指示を受けた訪問看護ステーションの保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士が共同して行った場合に算定する。

(9) 退院時共同指導料1の「注1」及び退院時共同指導料2の「注1」の共同指導は対面で行うことが原則であるが、ビデオ通話が可能な機器を用いて共同指導した場合でも算定可能である。

(10) 退院時共同指導料2の「注3」に規定する加算は、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、当該患者が入院している保険医療機関の歯科医師又は看護師等が、在宅療養担当医療機関の医師、看護師等、歯科医師又はその指示を受けた歯科衛生士、保険薬局の薬剤師、訪問看護ステーションの看護師、理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士、介護支援専門員又は相談支援専門員のいずれかのうち3者以上と共同して行った場合に算定する。

(11) (10)における共同指導は、当該患者が入院している保険医療機関と在宅療養担当医療機関等の関係者全員が、患者が入院している保険医療機関において実施することが原則であるが、ビデオ通話が可能な機器を用いて共同指導した場合でも算定可能である。ただし、この場合であっても、在宅療養担当医療機関等のうち2者以上は、患者が入院している保険医療機関に赴き共同指導していること。

(12) 退院時共同指導料2の「注3」に規定する指導と同日に行う「注2」に規定する指導に係る費用及び区分番号B004―9に掲げる介護支援等連携指導料は、「注3」に規定する加算に含まれ別に算定できない。

(13) 退院時共同指導料2の「注4」は、当該保険医療機関の退院基準、退院後に必要とされる診療に加えて退院後の在宅又は介護施設等での療養上必要な指導を行うために必要な看護及び栄養管理の状況等の情報を当該患者及び家族に医科点数表の別紙様式50を参考に文書により説明し、これを当該患者の退院後の治療等を担う他の保険医療機関のほか訪問看護ステーション、介護施設等と共有する。

(14) (2)及び(11)において、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末において共同指導を実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

(15) 退院時共同指導料2については、入院中の保険医療機関の薬剤師が指導等を行った場合は、同一日に区分番号B011―4に掲げる退院時薬剤情報管理指導料は別に算定できない。

(16) 同一日に退院時共同指導料2と区分番号B011―4に掲げる退院時薬剤情報管理指導料を算定した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、共同指導を行った者の職種及び年月日を記載すること。

B017 肺血栓塞栓症予防管理料

(1) 肺血栓塞栓症予防管理料とは、肺血栓塞栓症を発症する危険性が高い患者に対して、肺血栓塞栓症の予防を目的とし、必要な医学管理を行った場合を評価するものをいう。

(2) 肺血栓塞栓症予防管理料は、病院(療養病棟を除く。)又は診療所(療養病床に係るものを除く。)に入院中の患者であって、肺血栓塞栓症を発症する危険性の高いものに対して、肺血栓塞栓症の予防を目的として、弾性ストッキング(患者の症状により弾性ストッキングが使用できないなどやむを得ない理由により使用する弾性包帯を含む。)又は間歇的空気圧迫装置を用いて計画的な医学管理を行った場合に、入院中1回に限り算定する。なお、当該管理料は、肺血栓塞栓症の予防を目的として弾性ストッキング又は間歇的空気圧迫装置を用いた場合に算定し、薬剤のみで予防管理を行った場合は算定できない。また、医科点数表の第1章第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院の場合も、それぞれの入院において入院中1回に限り算定する。

(3) 肺血栓塞栓症の予防を目的として使用される弾性ストッキング及び間歇的空気圧迫装置を用いた処置に要する費用は所定点数に含まれる。なお、肺血栓塞栓症の予防を目的として弾性ストッキングが複数使用される場合も、当該費用は所定点数に含まれる。また、同一の弾性ストッキングを複数の患者に使用してはならない。

(4) 肺血栓塞栓症の予防に係る計画的な医学管理を行うに当たっては、関係学会より示されている標準的な管理方法を踏まえ、医師との緊密な連携の下で行い、患者管理が適切になされるよう十分留意する。

B018 医療機器安全管理料

(1) 医療機器安全管理料とは、歯科医師の指示の下に、放射線治療機器の安全管理、保守点検及び安全使用のための精度管理を行う体制を評価したものをいい、当該保険医療機関において、患者に対して照射計画に基づく放射線治療が行われた場合は、一連の照射につき当該照射の初日に1回に限り算定する。

(2) 放射線治療機器とは、高エネルギー放射線治療装置(直線加速器)をいう。

(3) 医療機器安全管理料を算定する当該保険医療機関は、医療機器の安全使用のための職員研修を計画的に実施するとともに、医療機器の保守点検に関する計画の策定、保守点検の適切な実施及び医療機器の安全使用のための情報収集等を適切に行う。

第2部 在宅医療

C000 歯科訪問診療料

(1) 歯科訪問診療料は、在宅等において療養を行っており、疾病、傷病のため通院による歯科治療が困難な患者を対象としていることから、通院が容易な者に対して安易に算定できない。この場合において、療養中の当該患者の在宅等から屋外等への移動を伴わない屋内で診療を行った場合に限り算定する。なお、歯科訪問診療を実施するに当たっては、急性症状の発症時等に即応できる環境の整備が必要なことから、歯科訪問診療料は切削器具を常時携行した場合に算定する。また、この区分番号において、診療時間については、同一日に当該患者に対して複数回の歯科訪問診療を行った場合は、その合計した時間を診療に要した時間とし、診療時間が20分未満の場合については、所定点数の100分の70に相当する点数により算定する。なお、100分の70に相当する点数により算定する場合において、注6から注8まで及び注11に規定する加算又は注14に規定する減算は、100分の70に相当する点数にそれぞれの点数を加算又は減算し、注12及び注15に規定する加算は算定できない。


同一の建物に居住する患者数

1人のみ

(歯科訪問診療1)

2人以上9人以下

(歯科訪問診療2)

10人以上

(歯科訪問診療3)

患者1人につき診療に要した時間

20分以上

1,100点

361点

185点

20分未満

770点

253点

130点

(2) 歯科訪問診療を実施する保険医療機関は、歯科訪問診療を開始する月の前月までに別に厚生労働大臣が定める基準(歯科訪問診療料の「注13」に規定する基準)を満たす旨を地方厚生(支)局長に届け出る。ただし、在宅療養支援歯科診療所1又は在宅療養支援歯科診療所2の届出を行っている場合は、この限りではない。

(3) 歯科訪問診療を行った後に、患者又はその家族等(以下この部において「患者等」という。)が単に薬剤を受け取りに保険医療機関に来た場合は、再診料は算定できない。

(4) 「注1」から「注3」までに規定する「在宅等」は、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム等のほか、歯科、小児歯科、矯正歯科又は歯科口腔外科を標榜する保険医療機関以外の保険医療機関も含まれ、これらに入院する患者についても算定する。ただし、歯科、小児歯科、矯正歯科又は歯科口腔外科を標榜する保険医療機関に入院する患者について、当該保険医療機関の歯科医師が当該患者の入院する病院の歯科医師と連携のもとに周術期等口腔機能管理及び周術期等口腔機能管理に伴う治療行為を行う場合については歯科訪問診療料及びその他の特掲診療料を算定できる。

(5) 保険医療機関の歯科医師が、同一建物に居住する通院困難な患者1人のみに対し歯科訪問診療を行う場合は、「1 歯科訪問診療1」を算定する。この場合において、診療時間が20分未満の場合については所定点数の100分の70に相当する点数により算定する。ただし、次の場合においては、診療時間が20分未満であっても「1 歯科訪問診療1」の所定点数を算定して差し支えない。

イ 治療中に患者の容体が急変し、医師の診察を要する場合等、やむを得ず治療を中止した場合(必要があって救急搬送を行った場合は、区分番号C002に掲げる救急搬送診療料を算定して差し支えない。)

ロ 当該患者が「注6」の「著しく歯科診療が困難な者」に準じる状態又は要介護3以上に準じる状態等により、20分以上の診療が困難である場合(「注6」に掲げる加算は算定できない。)

(6) 「2 歯科訪問診療2」は、「同一建物居住者」に対して保険医療機関の歯科医師が同日に9人以下の歯科訪問診療を行う場合に算定する。この場合において、診療時間が20分未満の場合については所定点数の100分の70に相当する点数により算定する。同一建物居住者とは、基本的には、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に掲げる建築物に居住する複数の者をいい、例えば次のような患者をいう。

イ 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の4に規定する養護老人ホーム、同法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム、同法第20条の6に規定する軽費老人ホーム、同法第29条第1項に規定する有料老人ホーム、介護保険法第8条第29項に規定する介護医療院、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年4月6日法律第26号)第5条第1項に規定するサービス付き高齢者向け住宅、マンションなどの集合住宅等に入居又は入所している複数の患者

ロ 介護保険法第8条第9項に規定する短期入所生活介護、同条第19項に規定する小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第63条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、同条第20項に規定する認知症対応型共同生活介護、同条第23項に規定する複合型サービス、同法第8条の2第7項に規定する介護予防短期入所生活介護、同条第14項に規定する介護予防小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第36号)第44条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、同法第8条の2第15項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護などのサービスを受けている複数の患者

(7) 「2 歯科訪問診療2」による歯科訪問診療を行う場合において、歯科訪問診療の治療中に患者の容体が急変し、医師の診察を要する場合等やむを得ず治療を中止した場合は、診療した時間が20分未満であっても「2 歯科訪問診療2」の所定点数を算定する。(必要があって救急搬送を行った場合は、区分番号C002に掲げる救急搬送診療料を算定しても差し支えない。)

(8) 同居する同一世帯の複数の患者に対して診療を行った場合など、同一の患家において2人以上9人以下の患者の診療を行った場合には、(6)の規定に関わらず、1人は「1 歯科訪問診療1」を算定し、「1 歯科訪問診療1」を算定した患者以外の患者については「2 歯科訪問診療2」を算定する。なお、「注11」に規定する歯科訪問診療補助加算の要件を満たす場合においては、「1 歯科訪問診療1」を算定した患者についても施設基準に応じて「イの(2)同一建物居住者の場合」又は「ロの(2)同一建物居住者の場合」により算定する。

(9) 保険医療機関が、当該保険医療機関と別添1の第1章第2部通則7(3)に規定する特別の関係にある保険医療機関等に訪問して歯科診療を行った場合は、歯科訪問診療料は算定できない。なお、この場合において、区分番号A000に掲げる初診料若しくは区分番号A002に掲げる再診料及び第2章特掲診療料を算定した場合においては、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載し、区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料を算定したものとみなすことができる。

(10) (9)に規定する「特別の関係にある保険医療機関等」には、(6)のイに規定する患者が入居又は入所している施設及びロに規定する患者が受けるサービスを提供する施設が含まれる。

(11) 「3 歯科訪問診療3」は、「同一建物居住者」に対して保険医療機関の歯科医師が同日に10人以上に対して歯科訪問診療を行う場合に算定する。この場合において、診療時間が20分未満のものについては所定点数の100分の70に相当する点数により算定する。

(12) 地域医療連携体制加算とは、歯科訪問診療が必要な通院困難な患者等が安心して在宅療養等が行えるよう、複数の保険医療機関により夜間、休日及び診療を自ら行わない時間等における緊急時の歯科診療ができる連携体制が整備されているとともに歯科訪問診療料を算定する患者の同意を得て当該患者の診療に必要な情報を他の保険医療機関の保険医等に提供及び共有すること等により、緊急時の迅速、適切な連携体制が整備されていること等を評価するものをいう。

この場合において、緊急時は連携保険医療機関の歯科医師が対応に当たることがあり得る旨を患者等に説明するとともに、当該患者の病状、直近の診療内容等、緊急時の対応に必要な診療情報を連携保険医療機関に対し文書(電子メール、ファクシミリを含む。)により適宜提供する。

なお、この連携に係る診療情報提供に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(13) 地域医療連携体制加算の算定による複数の保険医療機関により休日夜間等における緊急時の歯科診療ができる連携体制の確保が必要な場合とは、歯科訪問診療において処置、手術等が必要で治療期間中に病状が急変する可能性がある場合等をいい、病状が急変する可能性がなくなった場合は、当該加算の算定を中止する。

(14) 地域医療連携体制加算を算定する保険医療機関は、患者等に「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の様式21の3又はこれに準じた様式の文書を必ず提供する。なお、患者に提供した文書の写しを診療録に添付する。

(15) 地域医療連携体制加算を算定する保険医療機関は、患者等の同意を得て、歯科訪問診療料の算定対象となる療養に必要な情報を連携保険医療機関に対してあらかじめ文書(「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の様式21の2又はこれに準じた様式の文書に限る。)をもって提供し、その写しを診療録に添付する。また、引き続き地域医療連携体制加算の算定による緊急時等の対応が必要であり、病態の変化が生じた場合は、改めて連携保険医療機関に対し情報提供を行う。なお、連携保険医療機関等の変更にともない患者に対し再度の情報提供を行った場合は、第1回目に含まれ別に算定できない。

(16) 当該患者の病状急変時等に、連携保険医療機関の歯科医師が緊急に診療又は歯科訪問診療等を行った場合は、歯科初診料、歯科再診料、歯科訪問診療料等は診療又は歯科訪問診療等を行った歯科医師の保険医療機関が算定する。

この場合、当該患者の病状急変等に対応して、診療又は歯科訪問診療等を行ったこと及びその際の診療内容等を、地域医療連携体制加算を算定する保険医療機関の主治医に速やかに報告し、当該主治医は治療の要点を当該患者の診療録に記載する。

(17) 地域医療連携体制加算を算定する場合は、休日、夜間等における緊急時に対応し得るよう、できる限り患家に近隣の保険医療機関を連携保険医療機関とする。

(18) 地域医療連携体制加算に係る連携保険医療機関においては、主治医から提供された患者の療養に必要な情報が記載された文書を緊急時に十分に活用できる状態で保管し、自ら当該患者を診療し診療録を作成した場合は、当該文書を診療録に添付する。

(19) 地域医療連携体制加算は、1人の患者につき同一の初診で1回に限り算定する。

(20) 特定の被保険者の求めに応ずるのではなく、保険診療を行う目的をもって定期又は不定期に在宅等へ赴き、被保険者(患者)を診療する場合は、歯科訪問診療として取り扱うことは認められず、歯科訪問診療料及びその他の特掲診療料は算定できない。

(21) 歯科訪問診療料を算定する場合は、当該初診期間における第1回目の歯科訪問診療の際に、当該患者の病状に基づいた訪問診療の計画を定めるとともに、その計画の要点を診療録に記載すること。2回目以降に計画の変更を行う場合は、変更の要点を診療録に記載する。なお、2回以上の継続的な歯科訪問診療が予定される場合においては、次回の診療日までの間に計画書を作成し、当該計画書の写しを診療録に添付しても差し支えない。

(22) 「注6」の「著しく歯科診療が困難な者」とは、次に掲げる状態又はこれらに準じる状態をいう。なお、歯科診療特別対応加算を算定した場合は、当該加算を算定した日の患者の状態を診療録に記載する。

イ 脳性麻痺等で身体の不随意運動や緊張が強く体幹の安定が得られない状態

ロ 知的発達障害等により開口保持ができない状態や治療の目的が理解できず治療に協力が得られない状態

ハ 重症の喘息患者等で頻繁に治療の中断が必要な状態

ニ 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ歯科診療に際して家族等の援助を必要とする状態

(23) 「注6」の「歯科治療環境に円滑に適応できるような技法」とは、歯科診療の開始に当たり、患者が歯科治療の環境に円滑に適応できるための方法として、Tell―Show―Do法などの系統的脱感作法並びにそれに準拠した方法、オペラント法、モデリング法、TEACCH法、遊戯療法、ボイスコントロール法等の患者の行動を調整する専門的技法をいう。なお、初診時歯科診療導入加算を算定した日は、患者の状態及び用いた専門的技法の名称を診療録に記載する。

(24) 歯科訪問診療料を算定した場合において、それぞれの患者の診療に要した時間が1時間を超えた場合は、「注5」の加算を算定する。

(25) 「注4」及び「注5」に規定する診療時間は、診療前の準備、診療後の片付けや患者の移動に要した時間及び併せて実施した区分番号C001に掲げる訪問歯科衛生指導料又は区分番号B001―2に掲げる歯科衛生実施指導料の算定の対象となる指導の時間を含まない。また、交通機関の都合その他診療の必要以外の事由によって患家に滞在又は宿泊した場合は、その患家滞在の時間は診療時間に算入しない。

(26) 歯科訪問診療を行った場合は、診療録に次の事項を記載する。ただし、ロに関しては、歯科訪問診療を開始した日に限り記載することとするが、変更が生じた場合は、その都度記載する。また、ハに関して、(5)のイ又は(7)の場合においては急変時の対応の要点を記載し、(5)のロの場合においては20分以上の診療が困難である理由を含め、患者の状態等を具体的に記載する。

イ 実施時刻(開始時刻と終了時刻)

ロ 訪問先名(記載例:自宅、○○マンション、介護老人保健施設××苑)

ハ 歯科訪問診療の際の患者の状態等(急変時の対応の要点を含む。)

(27) 疾病等のため通院による歯科治療が困難な場合以外の歯科訪問診療の必要性を認めない患者は、歯科訪問診療料及び歯科診療に係る費用は算定できない。

(28) 「注5」の加算は、患者それぞれについて算定し、複数の患者に対し訪問して歯科診療を行った場合の診療時間の合算はできない。

(29) 「注7」に規定する加算は、保険医療機関において、標榜時間内であって、入院中の患者以外の患者に対して診療に従事しているときに、患者又は現にその看護に当たっている者から緊急に求められて歯科訪問診療を行った場合に算定する。

(30) 「注7」に規定する「別に厚生労働大臣が定める時間」とは、保険医療機関において専ら診療に従事している時間であって、概ね午前9時から午後6時までの間とする。

(31) 「注7」に規定する加算の対象となる緊急な場合とは、患者又は現にその看護に当たっている者からの訴えにより、速やかに歯科訪問診療をしなければならないと判断した場合をいい、手術後の急変等が予想される場合をいう。

(32) 夜間(深夜の時間帯を除く。)とは概ね午後6時から翌日の午前6時まで、又は午後7時から翌日の午前7時までのように、12時間を標準として各都道府県において統一的取扱いをすることとし、深夜の取扱いは、午後10時から午前6時までとする。ただし、これらの時間帯が標榜時間に含まれる場合、夜間・休日加算及び深夜加算は算定できない。

(33) 保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える歯科訪問診療は、当該保険医療機関からの歯科訪問診療を必要とする絶対的な理由がある場合に認められるものであって、この場合において、歯科訪問診療料の算定は、16キロメートル以内の場合と同様に取り扱う。この絶対的に必要であるという根拠がなく、特に患家の希望により16キロメートルを超える歯科訪問診療をした場合の歯科訪問診療は保険診療としては算定できないことから、患者負担とする。この場合において、「保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、当該保険医療機関を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に患家が所在する場合をいう。

(34) 保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートル以上の地域に居住する歯科医師に対して主治医が歯科訪問診療による対診を求めることができるのは、患家付近に他の歯科医師がいない、いても専門外である、旅行中で不在である等やむを得ない絶対的理由のある場合に限り認められる。

(35) 「注10」に規定する交通費は実費とする。

(36) その他、歯科訪問診療料の取扱いは、平成6年厚生省告示第235号による改正前の往診料に関する既往の通知が引き続き有効であるが、この場合において、当該通知中「往診」とあるのは「歯科訪問診療」と読み替えてこれを適用する。

(37) 「注11」に規定する歯科訪問診療補助加算は、歯科訪問診療料を算定した日において、当該診療が必要な患者に対して、歯科訪問診療を実施する保険医療機関に属する歯科医師と当該保険医療機関に属する歯科衛生士が同行し、当該歯科医師の行う歯科訪問診療中は、歯科訪問診療の補助が適切に行える体制の上で、実際に当該歯科衛生士が区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料の算定の対象となる歯科訪問診療の時間を通じて、歯科訪問診療の補助を行った場合に算定する。また、施設基準に応じて、同一建物居住者以外の歯科訪問診療時は本区分の「イの(1) 同一建物居住者以外の場合」又は「ロの(1) 同一建物居住者以外の場合」により算定し、同一建物居住者の歯科訪問診療時は本区分の「イの(2) 同一建物居住者の場合」又は「ロの(2) 同一建物居住者の場合」により算定する。なお、当該加算を算定した場合は、診療録に診療の補助を行った歯科衛生士の氏名を記載する。

(38) 「注12」に規定する在宅歯科医療推進加算は、在宅療養患者((6)のイ(集合住宅にあっては、高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条に該当する住宅に限る。)に入居若しくは入所している患者又はロのサービスを受けている患者以外の患者をいう。以下同じ。)に対して「1 歯科訪問診療1」を算定した場合に所定点数に加算する。

(39) 在宅療養支援歯科診療所1又は在宅療養支援歯科診療所2以外の診療所であって、別に厚生労働大臣が定める基準を満たさないもの(主として歯科訪問診療を実施する診療所)が歯科訪問診療を実施した場合又は別に厚生労働大臣が定める基準を満たす旨を地方厚生(支)局長に届け出ていないものが歯科訪問診療を実施した場合は、「注13」に規定する歯科訪問診療料により算定する。

(40) 「2 歯科訪問診療2」、「3 歯科訪問診療3」又は「注13」に規定する歯科訪問診療料を算定した場合であって、在宅療養患者以外の患者に対して歯科訪問診療を実施した場合は、歯科訪問診療を実施した日の属する月に、歯科訪問診療を行った日時及び訪問診療を行った歯科医師の氏名が記載された文書を患者若しくはその家族又は介護施設職員等の関係者のいずれかに提供するとともに、提供文書の写しを保険医療機関に保管する。なお、同一施設において、歯科訪問診療を実施した日の属する月に「2 歯科訪問診療2」、「3 歯科訪問診療3」又は「注13」に規定する歯科訪問診療料を複数回算定した場合であって、患者又はその家族以外の介護施設職員等に当該文書を提供するときは、その提供先を明確にした上で、施設を単位として一覧表で作成しても差し支えない。

(41) 「注14」について、「1 歯科訪問診療1」、「2 歯科訪問診療2」又は「3 歯科訪問診療3」を算定する場合において診療時間が20分未満の場合は、「注4」に規定する方法により算定した点数を所定点数とし、(1)の表に示す各区分の点数から10点を減算するものとする。

(42) 「注15」に規定する歯科訪問診療移行加算は、在宅等療養患者であって、当該保険医療機関の外来(歯科診療を行うものに限る。)を継続的に受診していたものに対して「1 歯科訪問診療1」を算定した場合に所定点数に加算する。ただし、当該保険医療機関の外来を最後に受診した日(初診料又は再診料を算定した日)から起算して3年以内に歯科訪問診療を実施した場合に限る。

(43) 歯科訪問診療料を算定する保険医療機関においては、歯科訪問診療を行っている保険医療機関である旨を院内掲示により患者に対して情報提供を行うよう努める。

C001 訪問歯科衛生指導料

(1) 訪問歯科衛生指導料は、同一初診期間中に区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料を算定した患者等に対して、歯科訪問診療料を算定した日から起算して1月以内(ただし、歯科訪問診療を行う歯科医師により、状態が安定していると判断される場合は2月以内でも差し支えない。)において、当該患者に係る歯科訪問診療を行った歯科医師の指示を受けた当該保険医療機関に勤務(常勤又は非常勤)する歯科衛生士等が、療養上必要な実地指導を行った場合に算定し、単なる日常的口腔清掃等のみを行った場合は算定できない。

(2) 訪問歯科衛生指導料は、単一建物診療患者の人数に従い算定する。ここでいう単一建物診療患者の人数とは当該患者が居住する建築物に居住する者のうち、当該保険医療機関の定める歯科訪問診療の計画に基づいて訪問歯科衛生指導を行い、同一月に訪問歯科衛生指導料を算定する者(当該保険医療機関と特別の関係にある保険医療機関において算定するものを含む。)の人数をいう。なお、ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所については、それぞれのユニットにおいて、病院については、それぞれの病棟において、訪問歯科衛生指導料を算定する人数を、単一建物診療患者の人数とみなすことができる。また、1つの患家に訪問歯科衛生指導料の対象となる同居する同一世帯の患者が2人以上いる場合は、患者ごとに「単一建物診療患者が1人の場合」を算定する。また、当該建築物において訪問歯科衛生指導を行う患者数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合又は当該建築物の戸数が20戸未満であって、訪問歯科衛生指導を行う患者が2人以下の場合には、それぞれ「単一建物診療患者が1人の場合」を算定すること。

(3) 訪問歯科衛生指導を行った時間とは、実際に指導を行った時間をいい、指導のための準備や患者の移動に要した時間等は含まない。

(4) 訪問歯科衛生指導料の算定を行った場合は、当該訪問指導で実施した指導内容、指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、及びその他療養上必要な事項に関する情報を患者等に実地指導を行った歯科衛生士等の氏名が記載された文書を提供するとともに、その文書の写しを診療録に添付する。

(5) 訪問歯科衛生指導を行った場合は、歯科医師は診療録に次の事項を記載する。ただし、ハに関しては、訪問歯科衛生指導を開始した日に限り記載することとするが、変更が生じた場合は、その都度記載する。また、当該訪問歯科衛生指導が歯科訪問診療と併せて行われた場合は、ハ及びニについて省略して差し支えない。

イ 歯科衛生士等に指示した内容

ロ 指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)

ハ 訪問先名(記載例:自宅、○○マンション、介護老人保健施設××苑)

ニ 訪問した日の患者の状態の要点等

(6) 訪問歯科衛生指導を行った歯科衛生士等は、主治の歯科医師に報告するとともに患者に提供した文書の写しを提出し、業務に関する記録を作成する。

(7) 訪問歯科衛生指導料を算定する月においては、区分番号B001―2に掲げる歯科衛生実地指導料は算定できない。

(8) 「注2」に規定する交通費は実費とする。

(9) 訪問歯科衛生指導料を算定した保険医療機関は、毎年7月1日現在で名称、開設者及び常勤、非常勤ごとの歯科衛生士数等を地方厚生(支)局長に報告する。

C001―3 歯科疾患在宅療養管理料

(1) 歯科疾患在宅療養管理料とは、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関である在宅療養支援歯科診療所1、在宅療養支援歯科診療所2又は歯科診療を行うその他の保険医療機関において、在宅等において療養を行っている通院困難な患者の歯科疾患の継続的な管理を行うことを評価するものをいい、患者等の同意を得た上で、患者等に対して、歯科疾患の状況及び当該患者の口腔機能の評価結果等を踏まえた管理計画の内容について説明した場合に算定する。なお、当該管理料を算定する場合は、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料、区分番号B000―4―2に掲げる小児口腔機能管理料、区分番号B000―4―3に掲げる口腔機能管理料、区分番号B000―6に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)、区分番号B000―7に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)、区分番号B000―8に掲げる周術期等口腔機能管理料(Ⅲ)、区分番号B002に掲げる歯科特定疾患療養管理料、区分番号C001―5に掲げる在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、区分番号C001―6に掲げる小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料及びN002に掲げる歯科矯正管理料は別に算定できない。

(2) 「注1」に規定する管理計画は、患者の歯科治療及び口腔管理を行う上で必要な全身の状態(基礎疾患の有無、服薬状況等)、口腔の状態(口腔衛生状態、口腔粘膜の状態、口腔乾燥の有無、歯科疾患、有床義歯の状況、咬合状態等)、口腔機能の状態(咀嚼の状態、摂食・嚥下の状況及び構音の状況、食形態等)管理方法の概要及び必要に応じて実施した検査結果の要点等を含むものであり、当該患者の継続的な管理に当たって必要な事項等を診療録に記載又は管理計画書の写しを添付する。

(3) 歯の喪失や加齢、これら以外の全身的な疾患等により口腔機能の低下を認める在宅等療養患者(口腔衛生状態不良、口腔乾燥、咀嚼機能低下、舌口唇運動機能低下、咬合力低下、低舌圧又は嚥下機能低下の7項目のうち3項目以上が該当する患者)に対して、口腔機能の回復又は維持・向上を目的として医学管理を行う場合は当該管理料を算定する。なお、この場合において、区分番号D011―2に掲げる咀嚼能力検査若しくは区分番号D011―3に掲げる咬合圧検査又は区分番号D012に掲げる舌圧検査を別に算定できる。

(4) 「注1」に規定する管理計画は、当該管理を開始する時期、管理計画の内容に変更があったとき及びその他療養上必要な時期に策定することとするが、当該管理計画に変更がない場合はこの限りでない。

(5) 「注1」の規定による管理計画に基づき、当該患者等に対し、その内容を文書により提供した場合は「注3」の文書提供加算を算定する。その場合においては、患者等に提供した文書の写しを診療録に添付し、その文書の内容以外に療養上必要な管理事項がある場合は、その要点を診療録に記載する。ただし、患者等に提供する文書の様式は、「別紙様式3」又はこれに準じた様式とする。なお、診療日当日に患家において計画書を作成することが困難な場合においては、次回の診療日までの間に計画書を作成し、当該計画書の写しを診療録に添付しても差し支えない。

(6) 歯科疾患在宅療養管理料を算定した月は、患者等に対して、少なくとも1回以上の管理計画に基づく管理を行う。なお、当該管理を行った場合は、診療録にその要点を記載する。

(7) 「注4」の在宅総合医療管理加算は、糖尿病の患者、骨吸収抑制薬投与中の患者、感染性心内膜炎のハイリスク患者、関節リウマチの患者又は血液凝固阻止剤投与中の患者であって、別の医科の保険医療機関の当該疾患の担当医から歯科治療を行うに当たり、診療情報提供料に定める様式に基づいた文書により患者の全身状態や服薬状況等についての必要な診療情報の提供を受け、適切な総合医療管理を実施した場合に算定する。なお、算定に当たっては当該疾患の担当医からの情報提供に関する内容及び担当医の保険医療機関名等について診療録に記載又は提供文書の写しを添付する。

(8) 「注5」に規定する栄養サポートチーム等連携加算1は、当該保険医療機関の歯科医師が、当該患者の入院している他の保険医療機関の栄養サポートチーム、口腔ケアチーム又は摂食嚥下チーム等の多職種からなるチームの構成員としてカンファレンス及び回診等に参加し、それらの結果に基づいてカンファレンス等に参加した日から起算して2月以内に「注1」に規定する管理計画を策定した場合に、月に1回に限り算定する。

(9) 「注6」に規定する栄養サポートチーム等連携加算2は、当該患者が介護福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養施設、介護保険法第8条第11項に規定する特定施設若しくは同条第21項に規定する地域密着型特定施設に入所している場合又は同条第20項に規定する認知症対応型共同生活介護を受けている場合において、当該保険医療機関の歯科医師が、当該患者の入所施設で行われた、経口による継続的な食事摂取を支援するための食事観察又は介護施設職員等への口腔管理に関する技術的助言・協力及び会議等に参加し、それらの結果に基づいて食事観察等に参加した日から起算して2月以内に「注1」に規定する管理計画を策定した場合に、月に1回に限り算定する。

(10) 「注5」又は「注6」に掲げる加算を算定した場合には、(5)に示す管理計画の要点に加え、(8)のカンファレンス及び回診又は(9)の食事観察及び会議等の開催日及びこれらのカンファレンス等の内容の要点を診療録に記載又はこれらの内容がわかる文書の控えを添付する。なお、2回目以降については当該月にカンファレンス等に参加していない場合も算定できるが、少なくとも前回のカンファレンス等の参加日から起算して6月を超える日までに1回以上参加すること。

(11) 歯科疾患在宅療養管理料は、区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料又は区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1(「1 有床義歯の場合」に限る。)を算定している患者に対しても、歯科疾患の状況、口腔機能の評価を踏まえた口腔機能管理を行った場合は算定できる。

(12) 再診が電話等により行われた場合は、歯科疾患在宅療養管理料は算定できない。

(13) 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準別表の5のロ「歯科医師が行う場合」又は指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示127号)別表5のロ「歯科医師が行う場合」を算定し、「注1」に規定する管理計画の内容を含む管理計画を策定している場合においては、当該管理料を算定したものとみなすことができる。なお、その場合においては、当該患者の継続的な管理に当たって必要な事項等を診療録に記載又は管理計画書の写しを診療録に添付するとともに、居宅療養管理指導費を算定した旨及び直近の算定日を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

C001―4―2 在宅患者歯科治療時医療管理料

(1) 在宅患者歯科治療時医療管理料は、区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料を算定した日において、高血圧性疾患、虚血性心疾患、不整脈、心不全、脳血管障害、喘息、慢性気管支炎、糖尿病、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能不全、てんかん若しくは慢性腎臓病(腎代替療法を行う患者に限る。)の患者、人工呼吸器を装着している患者又は在宅酸素療法を行っている患者に対して、歯科治療時における患者の全身状態の変化等を把握するため、患者の血圧、脈拍、経皮的動脈血酸素飽和度を経時的に監視し、必要な医療管理を行った場合に算定する。

(2) 在宅患者歯科治療時医療管理料を算定する保険医療機関は、全身状態の把握、管理等に必要な機器、機材等を整備する。

(3) 管理内容及び患者の全身状態の要点を診療録に記載する。

C001―5 在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料

(1) 在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料は、在宅等において療養を行っている通院困難な患者であって、口腔疾患及び摂食機能障害を有するものに対して、口腔機能の回復及び口腔疾患の重症化予防を目的として、当該患者の全身の状態、口腔内の状態及び口腔機能の状態等の評価をもとに作成した管理計画に基づき、プラークコントロール、機械的歯面清掃、スケーリング等を主体とした歯周基本治療又は摂食機能障害に対する訓練を含む指導管理等を歯科医師が1回につき20分以上実施した場合に月4回に限り算定する。当該指導管理料は、患者等の同意を得た上で、患者等に対して、歯科疾患の状況及び当該患者の口腔機能の評価結果等を踏まえた管理計画の内容について説明した場合に算定する。

(2) 摂食機能障害を有する患者とは、区分番号H001の掲げる摂食機能療法の対象となる患者であり、以下のいずれかに該当するものをいう。

イ 発達遅滞、顎切除及び舌切除の手術又は脳血管疾患等による後遺症により摂食機能に障害があるもの

ロ 内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影によって他覚的に嚥下機能の低下が確認できるものであって、医学的に摂食機能療法の有効性が期待できるもの

(3) 当該指導管理は、その開始に当たって、全身の状態(基礎疾患の有無、服薬状況、肺炎の既往等)、口腔の状態(口腔衛生状態、口腔粘膜の状態、口腔乾燥の有無、歯科疾患、有床義歯の状況、咬合状態等)、口腔機能(咀嚼の状態、摂食・嚥下の状況及び構音の状況、食形態等)等のうち患者の状態に応じた口腔管理に当たって必要な評価及び歯周病検査(無歯顎者を除く。)を行い、当該計画の要点を診療録に記載又は当該管理計画書の写しを診療録に添付する。2回目以降の管理計画については、変更があった場合にその要点を記載する。

(4) 歯の喪失や加齢、これら以外の全身的な疾患等により口腔機能の低下を認める在宅等療養患者(口腔衛生状態不良、口腔乾燥、咀嚼機能低下、舌口唇運動機能低下、咬合力低下、低舌圧又は嚥下機能低下の7項目のうち3項目以上が該当する患者)に対して、口腔機能の回復又は維持・向上を目的として医学管理を行う場合は当該管理料を算定する。なお、この場合において、区分番号D011―2に掲げる咀嚼能力検査、区分番号D011―3に掲げる咬合圧検査又は区分番号D012に掲げる舌圧検査を別に算定できる。

(5) 「注6」に規定する栄養サポートチーム等連携加算1は、当該保険医療機関の歯科医師が、当該患者の入院している他の保険医療機関の栄養サポートチーム、口腔ケアチーム又は摂食嚥下チームの構成員としてカンファレンス及び回診等に参加し、それらの結果に基づいてカンファレンス等に参加した日から起算して2月以内に「注1」に規定する管理計画を策定した場合に、月に1回に限り算定する。

(6) 「注7」に規定する栄養サポートチーム等連携加算2は、当該患者が介護福祉施設、介護保険施設又は介護療養施設、老人福祉法第20条の4に規定する養護老人ホーム、同法第20条の6に規定する軽費老人ホーム、同法第29条第1項に規定する有料老人ホーム、介護保険法第8条第20項に規定する認知症対応型共同生活介護、高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項に規定するサービス付き高齢者向け住宅に入所している場合において、当該保険医療機関の歯科医師が、当該患者の入所施設で行われた、経口による継続的な食事摂取を支援するための食事観察若しくは介護施設職員等への口腔管理に関する技術的助言・協力及び会議等に参加し、それらの結果に基づいて食事観察等に参加した日から起算して2月以内に「注1」に規定する管理計画を策定した場合に、月に1回に限り算定する。

(7) 「注6」又は「注7」に掲げる加算を算定した場合には、(3)に示す管理計画の要点に加え、(5)のカンファレンス及び回診又は(6)の食事観察及び会議等の開催日、時間及びこれらのカンファレンス等の内容の要点を診療録に記載又はこれらの内容がわかる文書の控えを添付する。なお、2回目以降については当該月にカンファレンス等に参加していない場合も算定できるが、少なくとも前回のカンファレンス等の参加日から起算して6月を超える日までに1回以上参加すること。

(8) 当該指導管理の実施に当たっては、必要に応じて当該患者の主治の医師又は介護・福祉関係者等と連携を図りながら実施すること。

(9) 当該指導管理の実施に当たっては、管理計画に基づいて、定期的な口腔機能評価(摂食機能評価を含む)をもとに、その効果判定を行う必要がある。なお、診療録に当該指導管理の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、指導管理の内容の要点等を記載する。

(10) 当該指導管理を行う場合においては、歯周病検査を1回以上実施すること。この場合において、歯周病検査は、歯周基本検査又は歯周精密検査に準じて実施するが、やむを得ず患者の状態等により歯周ポケット測定が困難な場合は歯肉の発赤・腫脹の状態及び歯石の沈着の有無等により歯周組織の状態の評価を行う。なお、無歯顎患者に対しては、口腔粘膜の発赤・腫脹の状態等の評価を行う。

(11) 当該指導管理は、「注1」に規定する管理計画に基づき、必要に応じて摂食機能障害に対する訓練を含む指導管理等又はプラークコントロール、機械的歯面清掃、スケーリング等を主体とした歯周基本治療を実施する。ただし、1月に1回以上摂食機能障害に対する訓練を含む指導管理を実施すること。

(12) 当該指導管理における摂食機能障害に対する訓練等は、摂食機能評価の結果に基づいて、区分番号H001に掲げる摂食機能療法に準じて実施する。また、摂食機能障害に対する指導管理の一部として、食事形態についての指導等を実施した場合は、当該指導管理料を算定する。

(13) 当該指導管理を開始後、必要があって歯周ポケットに特定薬剤を注入した場合は区分番号I010に掲げる歯周疾患処置及び特定薬剤料を算定する。

(14) 当該指導管理料を算定した日以降に実施した区分番号D002に掲げる歯周病検査、区分番号D002―5に掲げる歯周病部分的再評価検査、区分番号H001に掲げる摂食機能療法(歯科訪問診療以外で実施されるものを除く)、区分番号I011に掲げる歯周基本治療、区分番号I011―2に掲げる歯周病安定期治療(Ⅰ)、区分番号I011―2―2に掲げる歯周病安定期治療(Ⅱ)、区分番号I011―2―3に掲げる歯周病重症化予防治療、区分番号I011―3に掲げる歯周基本治療処置、区分番号I029―2に掲げる在宅等療養患者専門的口腔衛生処置及び区分番号I030に掲げる機械的歯面清掃処置は、当該指導管理料に含まれ別に算定できない。

(15) 当該指導管理を開始する以前に、区分番号D002に掲げる歯周病検査を含む歯周病の治療を実施している場合においては、当該指導管理料は算定できない。ただし、歯周病の治療を開始後に摂食機能障害に対する訓練等が必要となった場合においては、当該指導管理料を算定できる。

C001―6 小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料

(1) 小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション管理料は、15歳未満の在宅等において療養を行っている通院困難な患者であって、口腔機能の発達不全を認めるもの、口腔疾患又は摂食機能障害を有するものに対して、口腔衛生状態の改善、口腔機能の向上及び口腔疾患の重症化予防を目的として、当該患者の全身の状態、口腔内の状態及び口腔機能の状態等の評価をもとに作成した管理計画に基づき、口腔内清掃及び患者等に対する実地指導等を主体とした口腔管理又は摂食機能障害に対する訓練を含む指導管理等を歯科医師が1回につき20分以上実施した場合に月4回に限り算定する。当該指導管理料は、患者又はその家族等の同意を得た上で、これらの者に対して、歯科疾患の状況及び当該患者の口腔機能の評価結果等を踏まえた管理計画の内容について説明した場合に算定する。

(2) 当該指導管理は、その開始に当たって、全身の状態(基礎疾患の状況、食事摂取の状況、呼吸管理の方法等)、口腔の状態(口腔衛生状態、歯科疾患等)、口腔機能(口腔周囲筋の状態、摂食・嚥下の状況等)等のうち患者の状態に応じた口腔管理に当たって必要な評価を行い、当該計画の要点を診療録に記載又は当該管理計画書の写しを診療録に添付する。2回目以降の管理計画については、変更があった場合にその要点を記載する。

(3) 当該指導管理の実施に当たっては、必要に応じて当該患者の主治の医師又は介護・福祉関係者等と連携を図りながら実施すること。

(4) 当該指導管理の実施に当たっては、管理計画に基づいて、定期的な口腔機能評価(口腔衛生状態の評価及び摂食機能評価を含む)をもとに、その効果判定を行う必要がある。なお、診療録に当該指導管理の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、指導管理の内容の要点等を記載する。

(5) 「注6」に規定する小児栄養サポートチーム等連携加算1は、当該保険医療機関の歯科医師が、当該患者の入院している他の保険医療機関の栄養サポートチーム、口腔ケアチーム又は摂食嚥下チームの構成員としてカンファレンス及び回診等に参加し、それらの結果に基づいてカンファレンス等に参加した日から起算して2月以内に「注1」に規定する管理計画を策定した場合に、月に1回に限り算定する。

(6) 「注7」に規定する小児栄養サポートチーム等連携加算2は、当該患者が児童福祉法第42条に規定する障害児入所施設等に入所している場合において、当該保険医療機関の歯科医師が、当該患者の入所施設で行われた、経口による継続的な食事摂取を支援するための食事観察若しくは施設職員等への口腔管理に関する技術的助言・協力及び会議等に参加し、それらの結果に基づいて食事観察等に参加した日から起算して2月以内に「注1」に規定する管理計画を策定した場合に、月に1回に限り算定する。

(7) 「注6」又は「注7」に掲げる加算を算定した場合には、(2)に示す管理計画の要点に加え、(5)のカンファレンス及び回診又は(6)の食事観察及び会議等の開催日、時間及びこれらのカンファレンス等の内容の要点を診療録に記載又はこれらの内容がわかる文書の控えを添付する。なお、2回目以降については当該月にカンファレンス等に参加していない場合も算定できるが、少なくとも前回のカンファレンス等の参加日から起算して6月を超える日までに1回以上参加すること。

(8) 当該指導管理における摂食機能障害に対する訓練等は、摂食機能評価の結果に基づいて、区分番号H001に掲げる摂食機能療法に準じて実施する。また、摂食機能障害に対する指導管理の一部として、食事形態についての指導等を実施した場合は、当該指導管理料を算定する。

(9) 当該指導管理料を算定した日以降に実施した区分番号D002に掲げる歯周病検査、区分番号H001に掲げる摂食機能療法(歯科訪問診療以外で実施されるものを除く。)、区分番号I011に掲げる歯周基本治療、区分番号I011―3に掲げる歯周基本治療処置、区分番号I029―2に掲げる在宅等療養患者専門的口腔衛生処置及び区分番号I030に掲げる機械的歯面清掃処置は、当該指導管理料に含まれ別に算定できない。

C002 救急搬送診療料

医科点数表の区分番号C004に掲げる救急搬送診療料の例により算定する。

C003 在宅患者訪問薬剤管理指導料

医科点数表の区分番号C008に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料の例により算定する。

C004 退院前在宅療養指導管理料

医科点数表の区分番号C100に掲げる退院前在宅療養指導管理料の例により算定する。

C005 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料、C005―2在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料

医科点数表の区分番号C108に掲げる在宅悪性腫瘍等患者指導管理料及び医科点数表の区分番号C108―2に掲げる在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料の例により算定する。

C007 在宅患者連携指導料

(1) 在宅患者連携指導料とは、在宅での療養を行っている患者の診療情報等を、当該患者の診療等を担う保険医療機関等の医療関係職種間で文書等により共有し、それぞれの職種が当該診療情報等を踏まえ診療等を行う取組を評価するものをいう。

例えば、在宅での療養を行っている一人の患者に対して、医科の保険医療機関の医師と歯科医師がそれぞれ訪問診療により当該患者の診療を担っている場合において、医師が訪問診療を行った際に得た当該患者の全身の状態に関する診療情報を歯科医師に対して文書等で提供し、歯科医師が当該患者の歯科訪問診療時に、その情報を踏まえた指導を行った場合に算定する。

(2) 在宅での療養を行っている患者であって通院が困難な者に対して、患者の同意を得て、月2回以上医療関係職種間で文書等(電子メール、ファクシミリでも可)により共有された情報を基に、指導等を行った場合に、月1回に限り算定する。なお、当該指導等を患者の家族に対して行った場合でも算定する。

(3) 単に医療関係職種間で当該患者に関する診療情報を交換したのみの場合や訪問看護や訪問薬剤指導を行うよう指示を行ったのみでは算定できない。

(4) 他職種から情報提供を受けた場合は、できる限り速やかに患者への指導等に反映させるよう留意する。また、当該患者の療養上の指導に関する留意点がある場合は、速やかに他職種に情報提供するよう努める。

(5) 他職種から受けた診療情報の内容及びその情報提供日並びにその診療情報を基に行った診療の内容又は指導等の内容の要点及び診療日を診療録に記載する。

C008 在宅患者緊急時等カンファレンス料

(1) 在宅患者緊急時等カンファレンス料とは、在宅での療養を行っている患者の状態の急変や診療方針の変更等の際、当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等が一堂に会す等、カンファレンスを行うことにより、より適切な治療方針を立てること及び当該カンファレンスの参加者の間で診療方針の変更等の的確な情報共有を可能とすることは、患者及びその家族が安心して療養生活を行う上で重要であることから、そのような取組を評価するものをいう。

(2) 在宅患者緊急時等カンファレンス料は、在宅での療養を行っている患者の病状が急変した場合や、診療方針の大幅な変更等の必要が生じた場合に、患家を訪問し、関係する医療関係職種等が共同でカンファレンスを行い、当該カンファレンスで共有した当該患者の診療情報を踏まえ、それぞれの職種が患者に対し療養上必要な指導を行った場合に月2回に限り算定する。なお、当該カンファレンスを行った日と異なる日に当該指導を行った場合でも算定するが、当該カンファレンスを行った日以降速やかに指導を行う。

(3) 当該カンファレンスは、関係者全員が患家に赴き実施することが原則であるが、以下のイ及びロを満たす場合は、関係者のうちいずれかがビデオ通話が可能な機器を用いて参加する場合ことができる。

イ 当該カンファレンスに3者以上が参加すること

ロ 当該3者のうち2者以上は、患家に赴きカンファレンスを行っていること

なお、当該保険医療機関がビデオ通話が可能な機器を用いて当該カンファレンスに参加しても差し支えない。

(4) また、関係者のうちいずれかが、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和2年3月5日保医発0305第2号)」の「別添3」の「別紙2」に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域に属する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が400床以上の病院、DPC対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期一般入院料1のみを届け出ている病院を除く。)等に所属する場合においては、以下のイからハまでを満たすときは、関係者のうちいずれかがビデオ通話が可能な機器を用いて参加した場合でも算定可能である。

イ 当該カンファレンスを当該月に2回実施する場合の2回目のカンファレンスであること

ロ 当該2回目のカンファレンスに3者以上が参加すること

ハ ロにおいて、当該3者のうち1者以上は、患家に赴きカンファレンスを行っていること

(5) (3)及び(4)において、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

(6) 在宅患者緊急時等カンファレンス料は、カンファレンスを行い、当該カンファレンスで共有した当該患者の診療情報を踏まえた療養上必要な指導を行った場合に、当該指導を行った日に算定することとし、区分番号A000に掲げる初診料、区分番号A002に掲げる再診料、区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料は併せて算定できない。

また、必要に応じ、カンファレンスを行った日以降に当該指導を行う必要がある場合は、カンファレンスを行った日以降できる限り速やかに指導を行う。なお、当該指導とは、区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料を算定する訪問診療とは異なるが、例えば、当該指導とは別に継続的に実施している訪問診療を当該指導を行った日と同日に行う場合は、当該指導を行った日において歯科訪問診療料を併せて算定することは可能である。

(7) 当該カンファレンスは、原則として患家で行うこととするが、患者又はその家族が患家以外の場所でのカンファレンスを希望する場合はこの限りでない。

(8) 在宅での療養を行っている患者の診療を担う歯科医師は、当該カンファレンスに参加した医療関係職種等の氏名、カンファレンスの要点、患者に行った指導の要点及びカンファレンスを行った日を診療録に記載する。

第3部 検査

通則

1 検査に用いた薬剤料は別に算定するが、投薬及び注射の手技料は別に算定できない。

2 検査料の項に掲げられていない検査のうち、スタディモデル及び簡単な検査の費用は基本診療料に含まれ、算定できないが、特殊なものの費用はその都度当局に内議し、最も近似する検査として準用が通知された算定方法により算定する。なお、準用した場合は、特に定める場合を除き、準用された項目に係る注についても同時に準用される。また、腫瘍マーカーは、医科点数表の区分番号D009に掲げる腫瘍マーカーの例により算定する。

3 各区分における検査の実施に当たっては、その検査結果を診療録へ記載又は検査結果が分かる記録を診療録に添付する。

4 第3部に規定する検査料以外の検査料の算定は、医科点数表の例により算定する。この場合において、薬剤及び特定保険医療材料の使用に当たっては、医科点数表の第2章第3部第5節に掲げる薬剤料及び第6節に掲げる特定保険医療材料料の例により算定する。

第1節 検査料

D000 電気的根管長測定検査

電気的根管長測定検査とは、電気的抵抗を応用して根管長を測定するものをいい、1歯につき1回に限り所定点数を算定する。ただし、2以上の根管を有する歯にあっては、2根管目以上は1根管を増すごとに所定点数に15点を加算する。

D001 細菌簡易培養検査

細菌簡易培養検査は、感染根管処置後の根管貼薬処置期間中に行った場合に、1歯1回につき算定する。なお、微生物学的検査判断料は、所定点数に含まれ別に算定できない。

D002 歯周病検査

(1) 歯周病検査とは、歯周病の診断に必要な歯周ポケット測定、プロービング時の出血の有無、歯の動揺度の検査、プラークの付着状況の検査及び歯肉の炎症状態の検査をいい、当該検査は、1口腔単位で実施する。また、2回目以降の歯周病検査は、歯周基本治療等の効果、治療の成否、治療に対する反応等を把握し、治癒の判断又は治療計画の修正及び歯周外科手術を実施した後に歯周組織の変化の比較検討等を目的として実施する。歯周病検査の実施は、「歯周病の治療に関する基本的な考え方」(令和2年3月日本歯科医学会)を参考とする。

(2) 歯周基本検査及び歯周精密検査は、当該検査を実施した歯数により算定する。ただし、残根歯(歯内療法、根面被覆処置を行って積極的に保存した残根を除く。)は歯数に数えない。

(3) 歯周基本検査は、1点以上の歯周ポケット測定及び歯の動揺度検査を行った場合に算定する。

(4) 歯周精密検査は、4点以上の歯周ポケット測定、プロービング時の出血の有無、歯の動揺度及びプラークチャートを用いてプラークの付着状況を検査した場合に算定する。

(5) 混合歯列期歯周病検査は、混合歯列期の患者に対して、歯肉の発赤・腫脹の状態及び歯石沈着の有無を確認し、プラークチャートを用いたプラークの付着状況及びプロービング時の出血の有無の検査を行った場合に算定する。なお、混合歯列期歯周病検査に基づく歯周基本治療は、区分番号I011の1に掲げるスケーリングにより算定する。

(6) 混合歯列期の患者の歯周組織の状態及び歯年齢等により混合歯列期歯周病検査以外の歯周病検査を行う場合は、十分に必要性を考慮した上で行い、その算定に当たっては、永久歯の歯数に応じた歯周基本検査の各区分により算定する。なお、この場合において後継永久歯が先天性に欠如している乳歯については、永久歯の歯数に含めて差し支えない。

(7) 乳歯列期の患者の歯周病検査は、「3 混合歯列期歯周病検査」により算定する。

(8) 「注」に規定する第2回目以降の検査については、前回検査を実施した日から起算して1月以内に実施した場合に、所定点数の100分の50に相当する点数により算定する。

(9) 次の場合において、やむを得ず患者の状態等により歯周ポケット測定等が困難な場合は、歯肉の発赤・腫脹の状態及び歯石の沈着の有無等により歯周組織の状態の評価を行い、歯周基本治療を開始して差し支えない。

イ 在宅等において療養を行っている患者

ロ 歯科診療特別対応加算又は初診時歯科診療導入加算を算定している患者

この場合において、患者及び歯周組織の状態を診療録に記載すること。

D002―5 歯周病部分的再評価検査

(1) 歯周病部分的再評価検査(以下「部分的再評価」という。)とは、区分番号J063に掲げる歯周外科手術を行った部位に対して、歯周病の治癒の状態の評価を目的として実施する検査であり、4点以上の歯周ポケット測定、プロービング時の出血の有無並びに必要に応じて歯の動揺度及びプラークチャートを用いてプラークの付着状況を検査した場合に算定する。

(2) 部分的再評価は、手術後1回に限り算定する。

(3) 区分番号C001―5に掲げる在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、区分番号I011―2に掲げる歯周病安定期治療(Ⅰ)及び区分番号I011―2―2に掲げる歯周病安定期治療(Ⅱ)の算定期間中は算定できない。

(4) 区分番号D002に掲げる歯周病検査と同日に行う部分的再評価は、歯周病検査に含まれ別に算定できない。

D009 顎運動関連検査

(1) 顎運動関連検査とは、顎運動に関する一連の検査を評価したものをいい、下顎運動路描記法(MMG)、ゴシックアーチ描記法、パントグラフ描記法及びチェックバイト検査をいい、検査の種類及び回数にかかわらず、欠損補綴物1装置につき1回のみの算定とする。ただし、検査の種類・方法にかかわらず、1回の算定とすべき一連の顎運動関連検査の結果と同一の検査結果を活用して、複数の欠損補綴物を製作した場合も、1回の算定とする。なお、計画的に欠損補綴物を製作する場合は、必要性を十分考慮した上で実施する。

(2) 顎運動関連検査とは、当該検査を実施することにより支台歯とポンティックの数の合計が6歯以上のブリッジ、多数歯欠損に対する有床義歯の適切な製作が可能となる場合又は少数歯欠損において顎運動に係る検査を実施することにより適切な欠損補綴が可能となる場合に行うものをいう。

(3) 下顎運動路描記法とは、歯の欠損を有する患者に対して、三次元的に下顎の運動路を描記可能な歯科用下顎運動路測定器を用いて、有床義歯製作時の下顎位を決定するために行うものをいう。

(4) ゴシックアーチ描記法とは、上顎に対する下顎の位置が不明確な患者に対して、咬合採得時の水平的顎位を決めるためにゴシックアーチトレーサーを用いて、口外法又は口内法で描記するものをいう。

(5) パントグラフ描記法とは、全調節性咬合器を使用する場合に下顎の前方運動と側方運動を水平面と矢状面において、それぞれ連続的な運動路として描記するものをいう。

(6) チェックバイト検査とは、下顎の偏心運動時の歯による下顎の誘導状態が不明確な患者に対して、顔弓(フェイスボウ)を使用して顎関節に対する上顎の位置関係を記録し、ワックス等の記録材を用いて咬頭嵌合位又は中心位の他に前方位及び側方位での上下顎関係を採得した上で、上下顎模型を付着した半調節性咬合器を使用して顆路傾斜度を測定するものをいう。

D010 歯冠補綴時色調採得検査

(1) 「歯冠補綴時色調採得検査(1枚につき)」は、「注」に規定するレジン前装金属冠又は硬質レジンジャケット冠の製作に当たって、当該補綴物の色調を決定するための方法として、隣在歯等と色調見本を同時にカラー写真で撮影する方法で行う。なお、両側の隣在歯等にレジン前装金属冠等の歯冠補綴物が装着されている場合等、隣在歯等が色調比較可能な天然歯ではない場合においては算定できない。

(2) 口腔内カラー写真撮影は、色調の確認が可能である適切な倍率で撮影した場合において、歯冠補綴歯1歯につき、1枚に限り算定できる。

(3) 複数歯を同時に製作する場合において、同一画像内に当該歯、色調見本及び隣在歯等が入る場合は、歯冠補綴を行う歯数に関わらず、1枚として算定する。

(4) 歯冠補綴時色調採得検査は、区分番号M003に掲げる印象採得又は区分番号M008に掲げるブリッジの試適を行ったいずれかの日に算定する。

(5) 写真撮影に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(6) 撮影した口腔内カラー写真は、歯科技工指示書及び診療録に添付する。なお、デジタル撮影した場合においては、当該画像を電子媒体に保存して管理しても差し支えない。また、この場合において、歯科技工指示書については、当該画像を保存した電子媒体を添付しても差し支えない。

D011 有床義歯咀嚼機能検査

(1) 有床義歯咀嚼機能検査とは、区分番号I017―1―3に掲げる舌接触補助床、区分番号M018に掲げる有床義歯、区分番号M019に掲げる熱可塑性樹脂有床義歯、区分番号M025に掲げる口蓋補綴、顎補綴又は区分番号M025―2に掲げる広範囲顎骨支持型補綴(以下この区分番号、区分番号D011―2及びD011―3において「有床義歯等」という。)の装着時の下顎運動、咀嚼能力又は咬合圧を測定することにより、有床義歯等の装着による咀嚼機能の回復の程度等を客観的かつ総合的に評価し、有床義歯等の調整、指導及び管理を効果的に行うことを目的として行うものであり、有床義歯等を新製する場合において、新製有床義歯等の装着前及び装着後のそれぞれについて実施する。

(2) 「1のイ 下顎運動測定と咀嚼能力測定を併せて行う場合」とは、下顎運動測定と咀嚼能力測定を同日に実施するものをいい、「2のイ 下顎運動測定と咬合圧測定を併せて行う場合」とは、下顎運動測定と咬合圧測定を同日に実施するものをいう。

(3) 下顎運動測定とは、三次元的に下顎の運動路を描記可能な歯科用下顎運動測定器(非接触型)を用いて、咀嚼運動経路を測定する検査をいう。

(4) 咀嚼能力測定とは、グルコース分析装置(グルコース含有グミゼリー咀嚼時のグルコース溶出量を測定するもの)を用いて、咀嚼能率を測定する検査をいう。

(5) 咬合圧測定とは、歯科用咬合力計を用いて、咬合力及び咬合圧分布等を測定する検査をいう。

(6) 新製有床義歯等の装着前及び装着後のそれぞれにおいて当該検査を実施する場合は、装着前に「1 有床義歯咀嚼機能検査1」を算定した場合は装着後も「1 有床義歯咀嚼機能検査1」を、装着前に「2 有床義歯咀嚼機能検査2」を算定した場合は装着後も「2 有床義歯咀嚼機能検査2」を算定する。

(7) 新製有床義歯等の装着前の有床義歯咀嚼機能検査を2回以上実施した場合は、1回目の検査を行ったときに限り算定する。

(8) 新製有床義歯等の装着後の有床義歯咀嚼機能検査は、新製有床義歯等の装着日の属する月から起算して6月以内を限度として、月1回に限り算定する。なお、新製有床義歯等の装着前に「1のイ 下顎運動測定と咀嚼能力測定を併せて行う場合」又は「2のイ 下顎運動測定と咬合力測定を併せて行う場合」を実施した場合は、装着後必要に応じて「1のロ 咀嚼能力測定のみを行う場合」又は「2のロ 咬合圧測定のみを行う場合」を実施した後、「1のイ 下顎運動測定と咀嚼能力測定を併せて行う場合」又は「2のイ 下顎運動測定と咬合力測定を併せて行う場合」によって総合的な咀嚼機能の評価を行うことが望ましい。

(9) 有床義歯咀嚼機能検査は、当該患者が次のいずれかに該当する場合に限り算定する。

イ 区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料の「2 困難な場合」に準じる場合

ロ 区分番号I017―1―3に掲げる舌接触補助床を装着する場合

ハ 区分番号J109に掲げる広範囲顎骨支持型装置埋入手術の(5)に準じる場合

ニ 区分番号M018に掲げる有床義歯又は区分番号M019に掲げる熱可塑性樹脂有床義歯を装着する患者であって、左右第二大臼歯を含む臼歯が4歯以上欠損している場合(第三大臼歯は歯数に含めない。)

ホ 区分番号M025に掲げる口蓋補綴、顎補綴を装着する場合

(10) 新製有床義歯等の装着時又は有床義歯等の調整時に当該検査を行う場合は、区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料、B013―3に掲げる広範囲顎骨支持型補綴物管理料又は区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1と同日に算定できる。

(11) 区分番号I017―1―3に掲げる舌接触補助床若しくは区分番号M025に掲げる口蓋補綴、顎補綴を装着する場合であって、区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1の「2 舌接触補助床の場合」若しくは「3 その他の場合」を算定している患者又は区分番号J109に掲げる広範囲顎骨支持型装置埋入手術の(5)に準じる場合であって、B013―3に掲げる広範囲顎骨支持型補綴物管理料を算定している患者について、咀嚼機能検査を行う必要がある場合については、当該患者の装着する装置を新製しない場合においても当該検査を算定できる。

(12) 検査に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

D011―2 咀嚼能力検査

(1) 咀嚼能力検査とは、グルコース分析装置(グルコース含有グミゼリー咀嚼時のグルコース溶出量を測定するもの)を用いて咀嚼能率を測定する検査をいう。

(2) 当該検査は、問診、口腔内所見又は他の検査所見から加齢等による口腔機能の低下が疑われる患者に対し、口腔機能低下症の診断を目的として実施した場合に算定する。なお、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料、区分番号B000―4―3に掲げる口腔機能管理料、区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料又は区分番号C001―5に掲げる在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料を算定し、継続的な口腔機能の管理を行っている患者について、6月に1回に限り算定する。

(3) 有床義歯等の調整を同日に行った場合は、区分番号B013―3に掲げる広範囲顎骨支持型補綴物管理料又は区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1を別に算定する。

(4) 検査に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

D011―3 咬合圧検査

(1) 咬合圧検査とは、歯科用咬合力計を用いて、咬合力及び咬合圧の分布等を測定する検査をいう。

(2) 当該検査は、問診、口腔内所見又は他の検査所見から加齢等による口腔機能の低下が疑われる患者に対し、口腔機能低下症の診断を目的として実施した場合に算定する。なお、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料、区分番号B000―4―3に掲げる口腔機能管理料、C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料又は区分番号C001―5に掲げる在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料を算定し、継続的な口腔機能の管理を行っている患者について、6月に1回に限り算定する。

(3) 有床義歯等の調整を同日に行った場合は、区分番号B013―3に掲げる広範囲顎骨支持型補綴物管理料又は区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1を別に算定する。

(4) 検査に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

D011―4 小児口唇閉鎖力検査

(1) 小児口唇閉鎖力検査とは、口唇閉鎖力測定器を用いて、口唇閉鎖力を測定する検査をいう。

(2) 当該検査は、問診、口腔内所見又は他の検査所見から口腔機能の発達不全が疑われる患者に対し、口腔機能発達不全症の診断を目的として実施した場合に算定する。なお、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料、区分番号B000―4―2に掲げる小児口腔機能管理料、C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料又は区分番号C001―6に掲げる小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料を算定し、継続的な口腔機能の管理を行っている患者について、3月に1回に限り算定する。

(3) 検査に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

D012 舌圧検査

(1) 舌圧検査とは、舌の運動機能を評価する目的で、舌を口蓋部に押し上げるときの圧力を舌圧計を用いて測定するものをいう。

(2) 当該検査は、問診、口腔内所見又は他の検査所見から加齢等による口腔機能の低下が疑われる患者に対し、口腔機能低下症の診断を目的として実施した場合に算定する。なお、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料、区分番号B000―4―3に掲げる口腔機能管理料、区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料又は区分番号C001―5に掲げる在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料を算定し、継続的な口腔機能の管理を行っている患者について、3月に1回に限り算定する。

(3) (2)以外に、「注2」に規定する患者に対して舌の運動機能を評価する目的で当該検査を行った場合は、月2回に限り算定する。なお、この場合において、区分番号B013―3に掲げる広範囲顎骨支持型補綴物管理料、区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1の「2 舌接触補助床の場合」若しくは「3 その他の場合」、区分番号I017―1―3に掲げる舌接触補助床、区分番号M025に掲げる口蓋補綴、顎補綴又は区分番号M025―2に掲げる広範囲顎骨支持型補綴と同日に算定して差し支えない。

(4) 有床義歯等の調整と同日に行った場合は区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1を別に算定する。

(5) 「注2」に規定する患者に対して、摂食機能療法と同日に当該検査を実施した場合は、区分番号H001に掲げる摂食機能療法と別に当該検査を算定できる。

(6) 検査に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

D013 精密触覚機能検査

(1) 精密触覚機能検査は、口腔・顎・顔面領域の手術等に伴う神経障害や帯状疱疹や骨髄炎等に起因する神経障害によって生じる神経症状(感覚の異常)を呈する患者に対して、当該検査に関する研修を受講したものが、Semmes-Weinstein monofilament setを用いて知覚機能(触覚)を定量的に測定した場合に1月に1回に限り算定する。なお、検査の実施に当たっては、「精密触覚機能検査の基本的な考え方」(平成30年3月日本歯科医学会)を遵守するとともに、検査結果は関係学会の定める様式又はこれに準ずる様式に記録し、診療録に添付すること。

(2) 当該検査に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。

D014 睡眠時歯科筋電図検査

睡眠時歯科筋電図検査は、問診又は口腔内所見等から歯ぎしりが強く疑われる患者に対し、診断を目的として、夜間睡眠時の筋活動を定量的に測定した場合に、一連につき1回に限り算定する。なお、検査の実施に当たっては、「筋電計による歯ぎしり検査の基本的な考え方」(令和2年3月日本歯科医学会)を遵守すること。

第4部 画像診断

通則

1 片側性の顎関節症で健側を対照として撮影する場合は、医科における耳・肘・膝等の対称器官と同様に、診断料、撮影料とも健側の撮影についても患側と同一部位の同時撮影を行った場合と同じ取扱いとする。

2 歯科用エックス線フィルムを使用した歯科エックス線撮影で「通則2」及び「通則3」に該当する場合は二等分法撮影に加え、必要があって埋伏歯に対し偏心投影を行った場合やう蝕歯に対し咬翼法撮影を行った場合等である。

3 全顎撮影の場合とは、歯科用エックス線フィルム10枚から14枚を用いて、全顎にわたり歯、歯槽骨等のエックス線撮影を行うものをいい、診断料及び撮影料は撮影枚数にかかわらず所定点数により算定する。この場合において、使用したフィルムは撮影枚数に応じ14枚を限度とする。なお、デジタル撮影の場合であっても全顎撮影は10回から14回行うものとし、撮影回数にかかわらず所定点数により算定するが、フィルム料は別に算定できない。

4 全顎撮影に複数日を要した場合であっても、一連の全顎撮影として3と同様の方法により算定する。

5 デジタル撮影とは、CCDセンサー、cMOSセンサー又はイメージングプレートを用いたデジタルラジオグラフによるものをいう。

6 歯科用3次元エックス線断層撮影とは、部位限定エックス線CT診断装置又はアーム型エックス線CT診断装置を用いて局所的な撮影を行い、歯科疾患を3次元的に確認する撮影をいう。

7 「通則4」に規定する時間外緊急院内画像診断加算

(1) 保険医療機関において、当該保険医療機関が表示する診療時間以外の時間、休日又は深夜に入院中の患者以外の患者に対して診療を行った際、歯科医師が緊急に画像診断を行う必要性を認め、当該保険医療機関において、当該保険医療機関に具備されている画像診断機器を用いて当該画像撮影及び診断を実施した場合に限り算定する。

(2) 画像診断の開始時間が診療時間以外の時間、休日又は深夜に該当する場合に当該加算を算定する。なお、時間外等の定義は、区分番号A000に掲げる初診料の時間外加算等における定義と同様である。

(3) 同一患者に同日に2回以上、時間外、休日又は深夜の診療を行い、その都度緊急の画像診断を行った場合(複数の区分にまたがる場合を含む。)においても1回に限り算定する。

(4) 入院中の患者に当該加算は算定できない。ただし、時間外、休日又は深夜に外来を受診した患者に対し、画像診断の結果入院の必要性を認めて、引き続き入院となった場合はこの限りではない。

(5) 時間外緊急院内画像診断加算は他の保険医療機関で撮影されたフィルム等を診断した場合は算定できない。

(6) 緊急に画像診断を要する場合とは、直ちに何らかの処置・手術等が必要な患者であって、通常の診察のみでは的確な診断が下せず、なおかつ通常の画像診断が整う時間まで画像診断の実施を見合わせることができないような重篤な場合をいう。

8 「通則5」に規定する電子画像管理加算

(1) 「通則5」に規定する画像を電子化して管理及び保存した場合とは、デジタル撮影した画像を電子媒体に保存して管理した場合をいい、フィルムへのプリントアウトを行った場合にも当該加算を算定するが、本加算を算定した場合は当該フィルムは算定できない。なお、フィルムを用いた通常のエックス線撮影を行い、当該フィルムをエックス線フィルムスキャナー等で電子媒体に保存して管理した場合は、電子画像管理加算は算定できない。

(2) 電子画像管理加算は、同一の部位につき、同時に2種類以上の撮影方法を使用した場合は一連の撮影とみなし、主たる撮影の所定点数のみ算定する。

(3) 電子画像管理加算は、他の保険医療機関で撮影したフィルム等についての診断のみを行った場合は算定できない。

9 歯科画像診断管理加算1は、病院である保険医療機関に勤務し専ら画像診断を担当する歯科医師が、歯科パノラマ断層撮影等の読影及び診断を行い、その結果を文書により当該病院の主治の歯科医師に提供した場合に月の最初の診断日に算定する。この場合において、提供された文書又はその写しを診療録に添付する。歯科画像診断管理加算2は、コンピューター断層撮影(CT撮影)、磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)又は歯科用3次元エックス線断層撮影について、病院である保険医療機関に勤務し専ら画像診断を担当する歯科医師が読影及び診断を行い、その結果を文書により当該病院の主治の歯科医師に提供した場合に月の最初の診断日に算定する。なお、夜間又は休日に撮影された画像については、当該専ら画像診断を担当する歯科医師が、自宅等の当該保険医療機関以外の場所で、画像の読影及び送受信を行うにつき十分な装置・機器を用いた上で読影及び診断を行い、その結果を文書により当該患者の診療を担当する歯科医師に報告した場合も算定できる。その際には、患者の個人情報を含む医療情報の送受信に当たり、安全管理を確実に行った上で実施すること。また、当該保険医療機関以外の施設に読影又は診断を委託した場合は、これらの加算は算定できない(「通則8」又は「通則9」により算定する場合は除く。)。この場合において、提供された文書又はその写しを診療録に添付する。

10 歯科画像診断管理加算を算定した月にあっては、医科点数表の第2章第4部通則に規定する画像診断管理加算は算定できない。

11 遠隔画像診断を行った場合は、送信側の保険医療機関において撮影料、診断料及び歯科画像診断管理加算1又は歯科画像診断管理加算2(当該加算の算定要件を満たす場合に限る。)を算定する。受信側の保険医療機関における診断等に係る費用は受信側、送信側の保険医療機関間における相互の合議に委ねる。

12 遠隔画像診断を行った場合、歯科画像診断管理加算1は、受信側の病院である保険医療機関に勤務し専ら画像診断を担当する歯科医師が読影及び診断を行い、その結果を文書により送信側の保険医療機関において当該患者の診療を担当する歯科医師に提供した場合に、月の最初の診断日に算定する。遠隔画像診断を行った場合、歯科画像診断管理加算2は、送信側の保険医療機関において実施されコンピューター断層撮影(CT撮影)、磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)又は歯科用3次元エックス線断層撮影について、受信側の病院である保険医療機関に勤務し専ら画像診断を担当する歯科医師が読影及び診断を行い、その結果を文書により送信側の保険医療機関において当該患者の診療を担当する歯科医師に提供した場合に、月の最初の診断日に算定する。なお、夜間又は休日に撮影された画像については、受信側の保険医療機関において専ら画像診断を担当する歯科医師が、自宅等の当該保険医療機関以外の場所で、画像の読影及び送受信を行うにつき十分な装置・機器を用いた上で読影及び診断を行い、その結果を文書により当該患者の診療を担当する歯科医師に報告した場合も算定できる。その際には、患者の個人情報を含む医療情報の送受信に当たり、安全管理を確実に行った上で実施すること。また、受信側又は送信側の保険医療機関が受信側及び送信側の保険医療機関以外の施設に読影又は診断を委託した場合は、当該加算は算定できない。また、これらの加算を算定する場合は、提供された文書又はその写しを診療録に添付する。

13 画像診断のために使用した造影剤は、区分番号E301に掲げる造影剤により算定する。

14 エックス線写真撮影の際に失敗等により、再撮影をした場合は再撮影に要した費用は算定できない。再撮影に要した費用は、その理由が患者の故意又は重大な過失による場合を除き、当該保険医療機関の負担とする。

第1節 診断料

E000 写真診断

(1) 歯科エックス線撮影とは、歯科用エックス線フィルムを用いて撮影した場合及び専用の装置を用いてデジタル映像化処理を行った場合をいう。

(2) 歯科用エックス線フィルムとは、標準型、小児型、咬合型及び咬翼型等であって、歯、歯槽骨等の撮影に用いるフィルムをいう。

(3) 単純撮影の「その他の場合」とはカビネ、オルソパントモ型等のフィルムを顎関節全体、顎全体等に用いて撮影した場合をいう。

(4) パナグラフィー、スタタスエックス2による場合は、診断料は「1のロ その他の場合」により、撮影料は区分番号E100に掲げる歯、歯周組織、顎骨、口腔軟組織の「1のロ その他の場合」により算定する。

(5) 単純撮影の「1のロ その他の場合」により上下顎の全顎撮影を行った場合は、2枚目までは所定点数により算定し、3枚目及び4枚目は「通則2」及び「通則3」により算定する。

(6) 顎関節に対して選択的なパノラマ断層撮影ができる特殊装置により、顎関節疾患(発育異常、外傷、炎症、腫瘍、顎関節強直症、代謝異常、顎関節症)について、パノラマエックス線フィルム(オルソパントモ型フィルム)を使用して、咬頭嵌合位、最大開口位、安静位等の異なった下顎位で分割撮影を行った場合は、分割数にかかわらず、一連につき、診断料は「2のイ 歯科パノラマ断層撮影」により、撮影料は区分番号E100に掲げる歯、歯周組織、顎骨、口腔軟組織の「2のイ 歯科パノラマ断層撮影」により算定する。

(7) 顎関節の機能診断(下顎頭の運動量とその経過を計量的に比較観察する方法)を目的とする一連の規格エックス線撮影の診断料は、「2のロ 歯科パノラマ断層撮影以外の場合」により、撮影料は区分番号E100に掲げる歯、歯周組織、顎骨、口腔軟組織の「2のロ 歯科パノラマ断層撮影以外の場合」により算定する。

(8) (7)の「規格エックス線撮影」は、特殊な顎関節規格撮影装置を用いて、主として各顎位(中心咬合位、安静咬合位、開口経過中の異音発生位、開口経過中の発痛位、最大開口位、後退位等)における顎関節を撮影し、異位相における関節窩と下顎頭との対応状況の変化をトレーシングペーパー上に描記したものを座標上に重ねて、下顎頭の運動量とその経過を計量的に比較し経過の観察を行うものをいう。症状の変化を描記したトレーシングペーパーは診療録に添付する。

(9) 顎関節疾患について、パノラマエックス線フィルムを使用し、パノラマ断層による分割撮影を行った場合は、顎関節を構成する骨の形態及び解剖学的な相対位置、下顎窩に対する下顎頭の位置、下顎頭の移動量等の所見を診療録に記載する。

(10) 他の保険医療機関において撮影したフィルムについての診断料は、撮影方法別及び撮影部位別に1回に限り算定する。したがって、同一方法により同一部位に対して撮影したエックス線フィルムの診断は、撮影した枚数にかかわらず1回に限り算定する。

(11) 区分番号E000に掲げる写真診断の「1 単純撮影」及び「4 造影剤使用撮影」について、一連の症状を確認するため、同一部位に対して撮影を行った場合における、2枚目以降の撮影に係る写真診断は、各区分の所定点数の100分の50により算定する。なお、同一部位であっても一連の症状確認ではなく、前回撮影時の画像では診断困難な異なる疾患に対する診断を目的に撮影した場合においては、各区分の所定点数により算定する。

(12) 歯科用3次元エックス線断層撮影は、歯科用エックス線撮影又は歯科パノラマ断層撮影で診断が困難な場合であって、当該画像撮影の必要性が十分認められる次のいずれかを3次元的に確認する場合に算定する。

イ 埋伏智歯等、下顎管との位置関係

ロ 顎関節症等、顎関節の形態

ハ 顎裂等、顎骨の欠損形態

ニ 腫瘍等、病巣の広がり

ホ その他、歯科用エックス線撮影又は歯科パノラマ断層撮影で確認できない位置関係や病巣の広がり等を確認する特段の必要性が認められる場合

(13) 歯科用3次元エックス線断層撮影に係る診断料は、実施した撮影の回数にかかわらず、月1回の算定とし、初回の撮影を実施する日に算定する。

(14) 同月内において、入院及び外来の両方で、歯科用3次元エックス線断層撮影を実施した場合においては、入院又は外来の別にかかわらず、月1回に限り算定する。

(15) 当該医療機関以外の医療機関で撮影したフィルムについて診断を行った場合は、初診料を算定した日に限り、歯科用3次元エックス線断層撮影に係る診断料を算定する。

(16) 写真診断を行った場合は、診断に係る必要な所見を診療録に記載する。

(17) その他は、医科点数表の第2章第4部第1節に掲げるエックス線診断料の例により算定する。

第2節 撮影料

E100 歯、歯周組織、顎骨、口腔軟組織

(1) 第1節診断料の区分番号E000に掲げる写真診断の(1)から(8)までは、本区分についても同様である。

(2) 歯科用3次元エックス線断層撮影は、疾患の種類等にかかわらず、所定点数のみにより算定する。

(3) 「注4」に規定する「3 歯科用3次元エックス線断層撮影」における「造影剤を使用した場合」とは、腔内注射等により造影剤使用撮影を行った場合をいう。

(4) 造影剤を使用しない歯科用3次元エックス線断層撮影を行い、引き続き造影剤を使用して撮影を行った場合は、所定点数及び造影剤の使用による加算点数のみにより算定する。

(5) 造影剤使用撮影とは、顎関節腔、上顎洞又は唾液腺に造影剤を注入して行った場合をいう。

E101 造影剤注入手技

造影剤注入手技は、顎関節腔、上顎洞又は唾液腺に造影剤の注入を行った場合に算定する。

第3節 基本的エックス線診断料

E200 基本的エックス線診断料

医科点数表の区分番号E004に掲げる基本的エックス線診断料の例により算定する。

第4節 フィルム及び造影剤料

E300 フィルム

6歳未満の乳幼児に対して撮影を行う場合は、損耗量を考慮して材料価格に1.1を乗じて算定する。

<画像診断の端数処理方法>

(1) 小数点以下の端数がある場合は、第1節診断料と第2節撮影料及び第4節フィルム料のそれぞれについて端数処理を行い、合算した点数が請求点数となる。

(例) 同一部位に対し、同時にカビネ型2枚を使用して単純撮影(アナログ撮影)を行った場合

診断料 85点+85/2点=127.5点→128点

撮影料 65点+65/2点=97.5点→98点

カビネ2枚分のフィルム代 37円×2/10=7.4点→7点

請求点数 128点+98点+7点=233点

(2) 全顎撮影以外の歯科エックス線撮影(アナログ撮影)に限り、歯科用エックス線フィルム1枚を単位として第1節診断料、第2節撮影料及び第4節フィルム料を合算し、端数処理を行う。

(例) 1枚の場合

20点(診断料)+25点(撮影料)+(28円/10)点(フィルム料)=47.8点→48点

(例) 5枚の場合

48点(1枚当たりの請求点数)×5枚=240点

第5部 投薬

通則

1 「通則4」については、うがい薬のみの投薬が治療を目的としないものである場合には算定しないことを明らかにしたものであり、治療を目的とする場合にあっては、この限りでない。なお、うがい薬とは、薬効分類上の含嗽剤をいう。

2 医科点数表の第2章第5部に掲げる投薬(区分番号F400に掲げる処方箋料を除く。)の例により算定する。

第5節 処方箋料

F400 処方箋料

(1) 同一の患者に対して、同一診療日に、一部の薬剤を院内において投薬し、他の薬剤を院外処方箋により投薬することは、原則として認められない。

万一緊急やむを得ない事態が生じこのような方法による投薬を行った場合は、当該診療報酬明細書の「摘要欄」に、その日付及び理由を記載する。なお、注射器、注射針又はその両者のみを処方箋により投与することは認められない。

(2) (1)にいう「緊急やむを得ない事態」とは、常時院外処方箋による投薬を行っている患者に対して、患者の症状等から緊急に投薬の必要性を認めて臨時的に院内投薬を行った場合又は常時院内投薬を行っている患者に対して当該保険医療機関で常用していない薬剤を緊急かつ臨時的に院外処方箋により投薬した場合をいう。

(3) 同一患者に対し処方箋を交付した同日に抜歯直後等の必要から屯服薬を投与する場合、当該処方料は処方箋料に含まれる。

(4) その他は、医科点数表の区分番号F400に掲げる処方箋料((8)から(10)までを除く。)の例により算定する。

第6部 注射

通則

1 第1節に掲げられていない注射であって簡単な注射は、基本診療料に包括されているため、第2節の薬剤料のみにより算定する。

2 第6部に掲げる注射以外の注射は、医科点数表の第2章第6部に掲げる通則の例により算定する。

第1節 注射料

医科点数表の第2章第6部第1節に掲げる注射料(医科点数表の区分番号G003―3に掲げる肝動脈塞栓を伴う抗悪性腫瘍剤肝動脈内注入、医科点数表の区分番号G005―4に掲げるカフ型緊急時ブラッドアクセス用留置カテーテル挿入、医科点数表の区分番号G007に掲げる腱鞘内注射、医科点数表の区分番号G008に掲げる骨髄内注射、医科点数表の区分番号G009に掲げる脳脊髄腔注射、医科点数表の区分番号G011に掲げる気管内注入、医科点数表の区分番号G012に掲げる結膜下注射、医科点数表の区分番号G012―2に掲げる自家血清の眼球注射、医科点数表の区分番号G013に掲げる角膜内注射、医科点数表の区分番号G014に掲げる球後注射、医科点数表の区分番号G015に掲げるテノン氏嚢内注射、医科点数表の区分番号G016に掲げる硝子体内注射、医科点数表の区分番号G017に掲げる腋窩多汗症注射及び医科点数表の区分番号G018に掲げる外眼筋注射(ボツリヌス毒素によるもの)を除く。)の例により算定する。

第7部 リハビリテーション

通則

1 第1節リハビリテーション料に掲げられていないリハビリテーションのうち、簡単なものの費用は、算定できないが、特殊なものの費用は、その都度当局に内議し、最も近似するリハビリテーションとして準用が通知された算定方法により算定する。

2 各区分におけるリハビリテーションの実施に当たっては、特に定める場合を除き、全ての患者の機能訓練の内容の要点及び実施時刻(開始時刻と終了時刻)を診療録等へ記載する。

3 顎関節疾患の治療にマイオモニターを使用した場合は、1回につき医科点数表の区分番号H002に掲げる運動器リハビリテーション料の「3 運動器リハビリテーション料(Ⅲ)」の所定点数により算定する。なお、診療録にマイオモニターを用いた顎関節疾患の治療の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、治療内容等を記載する。

4 開口障害の治療に際して整形手術後に開口器等を使用して開口訓練を行った場合は、医科点数表の区分番号H002に掲げる運動器リハビリテーション料の「2 運動器リハビリテーション料(Ⅱ)」の所定点数により1日につき1回に限り算定する。なお、診療録に開口障害の訓練の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、訓練内容、使用器具名等を記載する。また、顎骨骨折に対する観血的手術後又は悪性腫瘍に対する放射線治療後に生じた開口障害について、開口器等を使用して開口訓練を行ったときも同様の取扱いとする。

5 第7部に掲げるリハビリテーション以外のリハビリテーションは、医科点数表の第2章第7部リハビリテーションに掲げる通則2及び通則3の例により算定する。

第1節 リハビリテーション料

H000 脳血管疾患等リハビリテーション料

脳血管疾患等リハビリテーション料は、医科点数表の区分番号H001に掲げる脳血管疾患等リハビリテーション料の例により算定する。ただし、音声・構音障害を持つ患者に対して言語機能に係る訓練を行った場合に算定する。

H000―3 廃用症候群リハビリテーション料

廃用症候群リハビリテーション料は、医科点数表の区分番号H001―2に掲げる廃用症候群リハビリテーション料の例により算定する。ただし、音声・構音障害を持つ患者に対して言語機能に係る訓練を行った場合に算定する。

H001 摂食機能療法

(1) 摂食機能療法は、摂食機能障害を有する患者に対して、個々の患者の症状に対応した診療計画書に基づき、医師又は歯科医師若しくは医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士、看護師、准看護師、歯科衛生士、理学療法士又は作業療法士が1回につき30分以上訓練指導を行った場合に月4回に限り算定する。ただし、治療開始日から起算して3月以内の患者に限っては、1日につき算定する。なお、摂食機能障害者とは、次のいずれかに該当する患者をいう。

イ 発達遅滞、顎切除及び舌切除の手術又は脳卒中等による後遺症により摂食機能に障害があるもの

ロ 内視鏡下嚥下機能検査又は嚥下造影によって他覚的に嚥下機能の低下が確認できるものであって、医学的に摂食機能療法の有効性が期待できるもの

(2) 摂食機能療法の実施に当たっては、診療録に当該療法の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、療法の内容の要点等を記載する。

(3) 医師又は歯科医師の指示の下に言語聴覚士、看護師、准看護師又は歯科衛生士が行う嚥下訓練は、摂食機能療法として算定する。

(4) 「2 30分未満の場合」については、脳卒中の発症後14日以内の患者に対し、15分以上の摂食機能療法を行った場合に算定できる。なお、脳卒中の発症後14日以内の患者であっても、30分以上の摂食機能療法を行った場合には「1 30分以上の場合」を算定できる。

(5) 「注3」に掲げる摂食嚥下支援加算は、摂食機能及び嚥下機能の回復の支援に係る専門知識を有した多職種により構成されたチーム(以下「摂食嚥下支援チーム」という。)の対応によって摂食機能又は嚥下機能の回復が見込まれる患者に対して、多職種が共同して必要な指導管理を行った場合に算定できる。

(6) 「注3」に掲げる摂食嚥下支援加算を算定する摂食機能療法を行うに当たっては、医師との緊密な連携の下で行い、患者管理が適切になされるよう十分留意する。

(7) その他摂食機能療法の医科と共通の項目は、医科点数表の区分番号H004に掲げる摂食機能療法の例により算定する。

H001―2 歯科口腔リハビリテーション料1

(1) 「1 有床義歯の場合」とは、有床義歯による口腔機能の回復又は維持を主眼とした調整又は指導をいい、具体的には、有床義歯を装着している患者に対して、有床義歯の適合性や咬合関係等の検査を行い、患者に対して義歯の状態を説明した上で、義歯に係る調整又は指導を行った場合に、月1回に限り算定する。この場合において、調整方法及び調整部位又は指導内容の要点を診療録に記載する。

(2) 「1のロ 困難な場合」とは、区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料の(3)に掲げる場合をいう。

(3) 区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料を算定した患者について、当該有床義歯の装着日の属する月の翌月以降の期間において、当該義歯を含めた有床義歯の調整又は指導は、「1 有床義歯の場合」により算定する。

(4) 区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料を算定した患者について、当該有床義歯の装着日の属する月から起算して1年以内の期間において、当該有床義歯の装着部位とは異なる部位に別の有床義歯の新製を行った場合は、「1 有床義歯の場合」を算定し、区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料は算定できない。

(5) 有床義歯の新製が予定されている月に旧義歯の修理を行い、区分番号M029に掲げる有床義歯修理を算定した場合は、区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料の「注2」の規定に関わらず、「1 有床義歯の場合」を算定し、新製した有床義歯の装着時に区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料を算定して差し支えない。

(6) 有床義歯の新製が予定されている月に、やむを得ず旧義歯の調整が必要となり有床義歯の調整を行った場合は「1 有床義歯の場合」を算定し、新製した有床義歯の装着時は区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料の「注2」の規定に関わらず、区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料を算定する。

(7) 有床義歯を新製した月と同月に、当該有床義歯とは別の欠損部位の有床義歯の修理又は床裏装を行った場合は、区分番号M029に掲げる有床義歯修理又は区分番号M030に掲げる有床義歯内面適合法(有床義歯床裏装)は別に算定する。この場合において、区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料又は「1 有床義歯の場合」のいずれかにより算定する。

(8) 区分番号I022に掲げる有床義歯床下粘膜調整処置を行い、有床義歯の新製又は床裏装を予定している場合は、同月内であっても当該処置に併せて「1 有床義歯の場合」を算定して差し支えない。この場合において、「1 有床義歯の場合」を算定したときは、同月内に区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料は算定できない。

(9) 別の保険医療機関で製作した有床義歯の調整又は指導は、装着する日の属する月であっても「1 有床義歯の場合」により算定する。

(10) 「2 舌接触補助床の場合」は、区分番号I017―1―3に掲げる舌接触補助床を装着した患者であって、舌接触状態等を変化させて摂食・嚥下機能の改善を目的とするために床を装着した場合又は有床義歯形態の補助床を装着した場合に、当該装置の調整又は指導を行い、口腔機能の回復又は維持・向上を図った際に算定する。なお、同一初診期間中に「2 舌接触補助床の場合」の算定以降は「1 有床義歯の場合」を算定できない。この場合において、調整方法及び調整部位又は指導内容の要点を診療録に記載する。

(11) 「3 その他の場合」は、区分番号M025に掲げる口蓋補綴、顎補綴により算定した、口蓋補綴装置、顎補綴装置、発音補助装置、発音補整装置、ホッツ床(哺乳床)又はオクルーザルランプを付与した口腔内装置を装着している場合に、当該装置の調整、患者又は患者の保護者に対する当該装置の使用方法等の指導、訓練又は修理を行い、口腔機能の回復又は向上を図った際に算定する。この場合において、調整方法及び調整部位又は指導内容の要点を診療録に記載する。

(12) 有床義歯に係る調整又は指導を行うに当たっては、「有床義歯の管理について」(平成19年11月日本歯科医学会)を参考とする。

H001―3 歯科口腔リハビリテーション料2

(1) 顎関節症を有する患者であって、区分番号I017に掲げる口腔内装置の「注」に規定する顎関節治療用装置を装着している患者に対して、療養上の指導又は訓練を行い、口腔機能の回復又は維持・向上を図った場合に算定する。なお、別の保険医療機関で製作した口腔内装置を装着している場合においても、当該リハビリテーション料により算定する。

(2) 当該装置の調整・修理を行う場合にあっては、区分番号I017―2に掲げる口腔内装置調整・修理により算定する。

(3) 実施内容等の要点を診療録に記載する。

H002 障害児(者)リハビリテーション料

障害児(者)リハビリテーション料は、医科点数表の区分番号H007に掲げる障害児(者)リハビリテーション料の例により算定する。ただし、音声・構音障害を持つ患者に対して言語機能に係る訓練を行った場合に限り算定する。

H003 がん患者リハビリテーション料

(1) がん患者リハビリテーション料とは、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において算定するものをいい、がんの種類や進行、がんに対して行う治療及びそれに伴って発生する副作用又は障害等について十分な配慮を行った上で、がんやがんの治療により生じた疼痛、筋力低下、障害等に対して、二次的障害を予防し、運動器の低下や生活機能の低下予防・改善することを目的として種々の運動療法、日常生活活動訓練、物理療法、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合について算定する。

(2) がん患者リハビリテーションは、対象となる患者に対して、歯科医師の指導監督の下、がん患者リハビリテーションに関する適切な研修を修了した言語聴覚士が個別に20分以上のリハビリテーションを行った場合を1単位として、1日につき6単位に限り算定する。また、専任の歯科医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、言語聴覚士が実施した場合と同様に算定する。

(3) がん患者リハビリテーション料の対象となる患者は、入院中のがん患者であって、次のいずれかに該当する者をいい、当該患者の主治医である歯科医師と連携する医師が個別にがん患者リハビリテーションが必要であると認める者である。

イ 当該入院中にがんの治療のための手術、骨髄抑制を来しうる化学療法、放射線治療若しくは造血幹細胞移植が行われる予定の患者又は行われた患者

ロ 在宅において緩和ケア主体で治療を行っている進行がん又は末期がんの患者であって、症状増悪のため一時的に入院加療を行っており、在宅復帰を目的としたリハビリテーションが必要な患者

(4) がん患者リハビリテーションを行う際は、歯科医師及び当該歯科医師と連携する医師の定期的な診察結果に基づき、歯科医師、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士等の多職種が共同して医科点数表の区分番号H003―2に掲げるリハビリテーション総合計画評価料の注に規定するリハビリテーション計画を作成していること。なお、がん患者リハビリテーションの開始時及びその後3か月に1回以上、患者又はその家族等に対して当該がん患者リハビリテーションの実施計画の内容を説明し、その要点を診療録に記載する。なお、がんのリハビリテーションに従事する者は、積極的にキャンサーボードに参加することが望ましい。

(5) がん患者リハビリテーション料を算定している患者に対して、区分番号H000に掲げる脳血管疾患等リハビリテーション料、区分番号H000―3に掲げる廃用症候群リハビリテーション料又は区分番号H002に掲げる障害児(者)リハビリテーション料は別に算定できない。

H008 集団コミュニケーション療法料

集団コミュニケーション療法料は、医科点数表の区分番号H008に掲げる集団コミュニケーション療法料の例により算定する。ただし、音声・構音障害を持つ患者に対して言語機能に係る訓練を行った場合に算定する。

第8部 処置

通則

1 処置の所定点数とは処置料の項に掲げられた点数及び注による加算の合計をいい、通則の加算点数は含まない。

2 通則の加算方法は処置料の所定点数に通則中の各加算を足し合わせたものの合計により算定する。

3 処置の費用としては、第1節に規定してある所定点数によるほか、所定点数が120点以上の処置又は各区分の「注」に「特定薬剤料を含む。」と記載されている場合を除いて処置に使用した特定薬剤の費用についても算定する。したがって、特定薬剤を使用して処置を行った場合は、120点以上の処置又は特に規定する処置を除いて第1節の処置料と第3節の特定薬剤料とを合算して算定する。この場合において、当該薬剤は別に厚生労働大臣が定めるものに限られる。

4 特定薬剤料又は特定保険医療材料料の算定の単位は1回に使用した総量の価格であって、注射液の1筒ごと等の特定単位はこだわらない。

5 第1節に掲げられていない処置のうちラバーダム防湿法及び簡単な処置の費用は基本診療料に含まれ算定できないが、特殊な処置の費用は、その都度当局に内議し、最も近似する処置として準用が通知された算定方法により算定する。

6 「通則5」による6歳未満の乳幼児又は著しく歯科診療が困難な者に対する加算は、第1節の所定点数の100分の50又は100分の30を加算する。

7 「通則5」又は「通則9」による著しく歯科診療が困難な者に対する100分の50又は100分の30加算とは、開口の保持又は体位、姿勢の保持が必要な患者や頻繁な治療の中断を伴う患者等に対して、患者の状態に留意しながら治療を行った場合等に算定するものをいい、当該加算を算定した日の患者の治療時の状況を診療録に記載する。

8 6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な者である場合の100分の50又は100分の30加算は、乳幼児加算のみを算定する。

9 「通則6」の入院中の患者以外に対する処置の休日加算、時間外加算又は深夜加算は、医科点数表の例により算定する。

10 「通則6」の入院中の患者に対する処置の休日加算、時間外加算又は深夜加算は、医科点数表の例により算定する。

11 「通則6」の所定点数が1,000点又は150点とは、各区分に規定してある所定点数が1,000点又は150点という趣旨である。ただし、その処置・手術が全体として一体と考えられる場合は、個々の所定点数が1,000点又は150点に達しなくとも、それらの合算点数が1,000点又は150点以上のときは加算が認められる。

12 120点以上の処置又は各区分の「注」に「麻酔料を含む。」と記載されている場合の処置の所定点数中に含まれる簡単な伝達麻酔とは、麻酔の部(第10部)に規定してある伝達麻酔以外の簡単な伝達麻酔(頤孔、後臼歯結節、大口蓋孔等)をいう。

なお、麻酔の部に規定してある区分番号K001に掲げる浸潤麻酔は、120点以上の処置又は各区分の「注」に「麻酔料を含む。」と記載されている場合の処置の所定点数に含まれ別に算定できない。

13 歯科訪問診療は通院困難な療養中の患者について実施されるが、消炎鎮痛、有床義歯の調整等の訪問診療で求められる診療の重要性及び困難性を考慮し、区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料を算定する患者であって、同注6に規定する加算を算定しないものに対して行った第8部に掲げる処置、第9部に掲げる手術及び第12部に掲げる歯冠修復及び欠損補綴を行った場合は、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。

イ 区分番号M003(2のロ及びハに限る。)に掲げる印象採得、区分番号M003―3咬合印象、区分番号M006(2のロに限る。)に掲げる咬合採得又は区分番号M030に掲げる有床義歯内面適合法 所定点数の100分の70に相当する点数

ロ 区分番号I005(3に限る。)に掲げる抜髄、区分番号I006(3に限る。)に掲げる感染根管処置、区分番号J000(1、2及び3に限る。)に掲げる抜歯手術(注1による加算を算定した場合を除く。)又は区分番号M029に掲げる有床義歯修理 所定点数の100分の50に相当する点数

ハ 区分番号I005(1及び2に限る。)に掲げる抜髄、区分番号I006(1及び2に限る。)に掲げる感染根管処置、区分番号J013(2に限る。)に掲げる口腔内消炎手術 所定点数の100分の30に相当する点数

14 区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号I007に掲げる根管貼薬処置、区分番号I008に掲げる根管充填及びI008―2に掲げる加圧根管充填処置の一連の歯内療法において、高周波療法、イオン導入法、根管拡大、根管形成、歯肉圧排、根管充填剤(材)の除去、隔壁、歯髄結石除去、根管開拡及び特定薬剤等はそれぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。

第1節 処置料

第1節の処置において、区分番号I000に掲げるう蝕処置から区分番号I021に掲げる根管内異物除去の処置のために行った区分番号K001に掲げる浸潤麻酔等は、「通則7」に該当しない場合に限り、術野又は病巣単位ごとに算定する。

I000 う蝕処置

(1) う蝕処置は、1歯1回を単位として算定し、1回の処置歯数が2歯以上にわたる場合は、所定点数を歯数倍した点数により算定する。以下「1歯1回につき」等の規定のある場合の算定は、処置を行った歯数を乗じて算定する。

(2) 「う蝕処置」は、次の処置をいう。

イ う蝕歯に行った軟化象牙質の除去又は暫間充填

ロ 歯根未完成の永久歯の歯内療法実施中に、根尖部の閉鎖状態の予後観察のために行った水酸化カルシウム系糊剤等による暫間根管充填に併せて行った暫間充填

ハ 歯髄保護処置又は歯冠修復物の脱落時の再装着等を行うに当たって軟化象牙質等の除去又は燐酸セメント若しくはカルボキシレートセメント等を用いた暫間充填

(3) う蝕処置、区分番号M001に掲げる歯冠形成、区分番号M001―2に掲げるう蝕歯即時充填形成及び区分番号M001―3に掲げるう蝕歯インレー修復形成等において、軟化象牙質の検査を行った場合は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 区分番号M002に掲げる支台築造又は区分番号M002―2に掲げる支台築造印象と同日に行ったう蝕処置の費用は、それぞれの所定点数に含まれ、別に算定できない。

(5) う蝕処置を算定する場合は、算定部位ごとに処置内容等を診療録に記載する。

I000―2 咬合調整

(1) 次に掲げる処置を行った場合に算定する。

イ 歯周炎に対する歯の削合

ロ 歯ぎしりに対する歯の削合

ハ 過重圧を受ける歯の切縁、咬頭の過高部又は歯科医療を担当する別の保険医療機において製作された金属歯冠修復物等の過高部の削合

ニ 新たな義歯の製作又は義歯修理時の鉤歯と鉤歯の対合歯に係るレスト製作のための削合

ホ 咬合性外傷を起こしているときの過高部の削合及び歯冠の形態修正又は咬傷を起こす場合の形態修正

(2) イ又はロについては、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のうち、いずれかを1回算定する。ただし、前回算定した日から起算して6月以内は算定できない。

(3) ハについては、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のうち、いずれかを1回算定する。ただし、前回算定した日から起算して6月以内は算定できない。

(4) ニについて、新たな義歯の製作又は義歯修理(鉤等の追加)を行うに当たり、鉤歯と鉤歯の対合歯をレスト製作のために削除した場合は、新たな義歯の製作又は義歯修理の実施1回につき、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のうち、いずれか1回に限り算定する。ただし、修理を行った有床義歯に対して、再度、義歯修理を行う場合については、前回算定した日から起算して3月以内は算定できない。

(5) ホについて、歯周組織に咬合性外傷を起こしているとき、過高部の削除に止まらず、食物の流れを改善し歯周組織への為害作用を極力阻止するため歯冠形態の修正を行った場合、又は舌、頬粘膜の咬傷を起こすような場合に、歯冠形態修正(単なる歯削合を除く。)を行ったときは、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のうち、いずれかを1回算定する。ただし、前回算定した日から起算して6月以内は算定できない。また、歯冠形態の修正を行った場合は、診療録に歯冠形態の修正理由、歯冠形態の修正箇所等を記載する。

(6) 歯髄切断、抜髄、感染根管処置等の一連の歯内治療又は抜歯手術に伴って、患歯の安静を目的として行う歯の削合に係る費用は、区分番号I004に掲げる歯髄切断、区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号J000に掲げる抜歯手術等に含まれ別に算定できない。

(7) 咬合調整を算定する場合は、(1)のイからホまでのいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

I000―3 残根削合

治療の必要上、残根歯の削合を行う場合は、歯数に応じて算定する。ただし、根管治療により根の保存可能な歯は適切に保存処置を行い、金属歯冠修復により根面を被覆した場合及び歯科充填用材料Ⅰにより根面を被覆した場合は、区分番号M010に掲げる金属歯冠修復の(12)の例によりそれぞれ算定する。

I001 歯髄保護処置

(1) 歯髄保護処置とは、歯髄温存療法、直接歯髄保護処置及び間接歯髄保護処置をいう。

(2) う窩の処置としての象牙質の削除を行うとともに、歯髄保護処置を行い暫間充填を行った場合は、う蝕処置と歯髄保護処置の所定点数をそれぞれ算定する。

ただし、区分番号M001―2に掲げるう蝕歯即時充填形成、区分番号M001―3に掲げるう蝕歯インレー修復形成又は区分番号I004に掲げる歯髄切断を行った場合は、歯髄保護処置の点数は算定できない。

(3) 同一歯に2箇所以上、例えば近心と遠心とにう窩が存在する場合に、それぞれの窩洞に歯髄保護処置を行った場合は、同日又は日を異にして行った場合であっても、1歯につき1回に限り所定点数を算定する。

(4) 歯髄温存療法とは、臨床的に健康な歯髄又は可逆性歯髄炎であって、感染象牙質を全て除去すれば、露髄を招き抜髄に至る可能性のある深在性のう蝕を対象とし、感染象牙質を残し、そこに水酸化カルシウム製剤などを貼付し、感染部の治癒を図り、3月以上の期間を要するものをいう。本区分は、当該処置を行った最初の日から起算して3月以上の期間内に2回程度の薬剤の貼付を行うことを含め、当該処置に係る一連の行為を包括的に評価し、当該処置を行った最初の日に算定する。

(5) 歯髄温存療法を行った場合は、当該処置を行った最初の日から起算して3月以上の経過観察を行った後に、歯冠修復等を実施する。なお、当該処置を行った場合は、処置内容及び経過観察期間等に係る事項について患者に対して説明するとともに、その要点を診療録に記載する。

(6) 直接歯髄保護処置を行った場合は、当該処置を行った最初の日から起算して1月以上の経過観察を行った後に歯冠修復等を実施する。なお、当該処置を行った場合は、処置内容及び経過観察期間等に係る事項について患者に対して説明するとともに、その要点について診療録に記載する。

I001―2 象牙質レジンコーティング

象牙質レジンコーティングは、区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1 生活歯歯冠形成」を行った歯に対して、象牙細管の封鎖を目的として、歯科用シーリング・コーティング材を用いてコーティング処置を行った場合に、1歯につき1回に限り算定する。

I002 知覚過敏処置

(1) イオン導入法は、知覚過敏処置に含まれ別に算定できない。

(2) 歯冠形成後、知覚過敏が生じた有髄歯に対する知覚鈍麻剤の塗布は、歯冠形成、印象採得、咬合採得、仮着及び装着と同時に行う場合を除き「1 3歯まで」又は「2 4歯以上」の所定点数により算定する。ただし、補綴物の歯冠形成から装着までの治療期間中に、区分番号I001―2に掲げる象牙質レジンコーティングを算定した場合は、当該期間中に知覚過敏処置は算定できない。

I002―2 う蝕薬物塗布処置

う蝕に対して、軟化象牙質等を除去して充填等を行わず、フッ化ジアンミン銀の塗布を行った場合は、1口腔1回につき歯数に応じて「1 3歯まで」又は「2 4歯以上」により算定する。

I003 初期う蝕早期充填処置

(1) 初期う蝕早期充填処置は、原則として幼若永久歯又は乳歯の小窩裂溝の初期う蝕に対して行った場合に算定する。この場合において、初期う蝕に罹患している小窩裂溝に対する清掃等を行った場合は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 初期う蝕早期充填処置に要する特定保険医療材料料は、区分番号M009に掲げる充填の「イ 単純なもの」の場合と同様とする。

I004 歯髄切断

(1) 生活歯髄切断のために用いた表面麻酔、浸潤麻酔、簡単な伝達麻酔、特定薬剤、歯髄保護処置は、生活歯髄切断の所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 生活歯髄切断後に歯冠形成を行った場合は、区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1 生活歯歯冠形成」又は「3 窩洞形成」の各号により算定する。

(3) 同一歯について、区分番号I005に掲げる抜髄を併せて行った場合は、区分番号I005に掲げる抜髄の所定点数に当該歯髄切断は含まれ別に算定できない。

(4) 歯髄切断の後に抜髄となった場合は、区分番号I005に掲げる抜髄の所定点数のみにより算定する。

I005 抜髄

(1) 抜髄は1歯につき1回に限り算定する。なお、麻酔、薬剤は所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 抜髄は、抜髄を行った歯について、抜髄が完了した日において算定する。この場合において、失活抜髄の貼薬及び薬剤は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 区分番号I001に掲げる歯髄保護処置の「1 歯髄温存療法」を行った場合は、当該処置を行った最初の日から起算して3月以上の経過観察を行うが、やむを得ず経過観察中に抜髄を実施した場合は、「注1」に掲げる所定点数により算定する。

(4) 区分番号I001に掲げる歯髄保護処置の「2 直接歯髄保護処置」を行った場合は、1月以上の経過観察を行うが、やむを得ず早期に抜髄を実施した場合は、「注2」に掲げる所定点数により算定する。

I006 感染根管処置

(1) 抜歯を前提として急性症状の消退を図ることを目的とした根管拡大等は、根管数にかかわらず1歯につき1回に限り、「1 単根管」により算定する。なお、抜歯を前提とした根管拡大等に併せて行った消炎のための根管貼薬は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 感染根管処置は1歯につき1回に限り算定する。ただし、再度感染根管処置が必要になった場合において、区分番号I008―2に掲げる加圧根管充填処置を行った患者に限り、前回の感染根管処置に係る歯冠修復が完了した日から起算して6月を経過した日以降については、この限りではない。

(3) (2)の場合、再度当該処置を行うに当たり、区分番号D000に掲げる電気的根管長測定検査、区分番号I008に掲げる根管充填処置及び区分番号I008―2に掲げる加圧根管充填処置はそれぞれ必要に応じ算定する。

I007 根管貼薬処置

(1) 区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号I008に掲げる根管充填と同時に行った根管貼薬は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 抜歯を前提とした消炎のための根管拡大後の根管貼薬は、根管数にかかわらず1歯につき1回に限り、「1 単根管」により算定する。

I008 根管充填

(1) 根管充填は1歯につき1回に限り算定する。

(2) 歯根未完成の永久歯の歯内療法実施中に、数月間根尖部の閉鎖状態の予後観察を行うために水酸化カルシウム系糊剤等により暫間的根管充填を行う場合は、1回に限り「1 単根管」、「2 2根管」又は「3 3根管以上」により算定する。ただし、区分番号I008―2に掲げる加圧根管充填処置は算定できない。なお、併せて当該歯に暫間充填を行った場合は、区分番号I000に掲げるう蝕処置により算定する。

I008―2 加圧根管充填処置(1歯につき)

(1) 区分番号I008に掲げる根管充填に併せて加圧根管充填処置を行った場合は、1歯につき1回に限り、区分番号I008に掲げる根管充填と本区分をそれぞれ算定する。

(2) 加圧根管充填処置とは、根管拡大及び根管形成が行われた根管に対して、ガッタパーチャポイント等を主体として根管充填材を加圧しながら緊密に根管充填を行うことをいう。なお、根管充填後に歯科エックス線撮影で緊密な根管充填が行われていることを確認する。

(3) 加圧根管充填処置を行った場合は、歯科エックス線撮影を行い、緊密な根管充填が行われていることを確認するが、妊娠中で同意が得られない場合においてはこの限りでない。ただし、この場合においては、その理由を診療録に記載すること。

(4) 「注3」の手術用顕微鏡加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、複雑な解剖学的根管形態を有する歯に対する歯科用3次元エックス線断層撮影装置を用いて得られた画像診断の結果を踏まえ、手術用顕微鏡を用いて根管治療を行い、加圧根管充填処置を行った場合に算定する。

(5) 区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の「注1」により当該管理料を算定する旨を地方厚生(支)局長に届け出ていない保険医療機関は、本処置は算定できない。

I009 外科後処置

(1) 口腔内より口腔外に通ずる手術創に対する外科後処置として「1 口腔内外科後処置」及び「2 口腔外外科後処置」を行った場合も、いずれかを算定する。

(2) 外科後処置とは、蜂窩織炎や膿瘍形成等の術後に滲出液、血液等の貯留が予想される患者に対して、歯科治療上必要があってドレーン(区分番号I009―3に掲げる歯科ドレーン法における持続的な吸引を行うものは除く。)を使用した処置をいう。なお、単純な外科後処置は、基本診療料に含まれる。

(3) 抜歯又は智歯歯肉弁切除等の術後、後出血を起こし簡単に止血(圧迫等により止血)できない場合の後出血処置は、創傷の大小に関係なく、6歳以上の場合は区分番号J084に掲げる創傷処理の「4 筋肉、臓器に達しないもの(長径5センチメートル未満)」により、6歳未満の場合は区分番号J084―2に掲げる小児創傷処理(6歳未満)の「6 筋肉、臓器に達しないもの(長径2.5センチメートル以上5センチメートル未満)」により、それぞれ算定する。なお、区分番号J084に掲げる創傷処理又は区分番号J084―2に掲げる小児創傷処理を算定した場合は、外科後処置はそれぞれの所定点数に含まれる。

(4) 手術当日に実施した外科後処置は、手術の所定点数に含まれる。ただし、後出血により手術当日に再度来院した場合であって、簡単に止血できない場合においては、(3)により算定する。

I009―2 創傷処置

医科点数表の区分番号J000に掲げる創傷処置の例により算定する。

I009―3 歯科ドレーン法(ドレナージ)

(1) 蜂窩織炎や膿瘍形成等、術後に滲出液、血液等の貯留が予想される患者に対して、部位数、交換の有無にかかわらず、歯科治療上必要があって持続的(能動的)な吸引を行った場合は、1日につき算定し、その他の場合は、区分番号I009に掲げる外科後処置により算定する。

(2) ドレナージの部位の消毒等の処置料は所定点数に含まれ、区分番号I009―2に掲げる創傷処置は別に算定できない。ただし、ドレーン抜去後に抜去部位の処置が必要な場合は、区分番号I009―2に掲げる創傷処置の「1 100平方センチメートル未満」により手術後の患者に対するものとして算定する。

(3) 手術当日に実施した歯科ドレーン法は、手術の所定点数に含まれる。

I009―4 上顎洞洗浄

上顎洞洗浄は、歯科疾患を原因とした上顎洞の炎症等であって、急性症状が軽減した慢性期において洞内に膿汁貯留がみられる疾患等に対し、歯科治療上必要があって洗浄を行った場合に算定する。

I009―5 口腔内分泌物吸引

口腔内分泌物吸引は、歯科診療に係る全身麻酔後や気管切開後の呼吸困難な患者に対し、ネラトンカテーテル及び吸引器を使用して、口腔内及びその周辺部位の唾液等の分泌物の吸引を行った場合に月2回に限り算定する。

I010 歯周疾患処置

(1) 歯周疾患処置は、歯周疾患の症状の改善を目的として、歯周ポケット内へ特定薬剤を注入した場合に、1口腔を単位として算定する。なお、歯周疾患処置を算定する場合は、使用薬剤名を診療録に記載すること。

(2) 歯周疾患処置を算定する歯周ポケット内に特定薬剤を注入する場合は、用法用量に従い使用した場合に限り特定薬剤料として別に算定する。

(3) 歯周基本治療の後の歯周病検査の結果、期待された臨床症状の改善がみられず、かつ歯周ポケットが4ミリメートル以上の部位に対して、十分な薬効が期待できる場合において、計画的に1月間特定薬剤を注入した場合は、本区分により算定する。なお、当該処置後、再度の歯周病検査の結果、臨床症状の改善はあるが、歯周ポケットが4ミリメートル未満に改善されない場合であって、更に1月間継続して薬剤注入を行った場合は同様に算定する。

(4) 歯周疾患による急性症状時に症状の緩解を目的として、歯周ポケット内へ薬剤注入を行った場合は、本区分により算定する。

(5) 糖尿病を有する患者であって、歯周ポケットが4ミリメートル以上の歯周病を有するものに対して、歯周基本治療と並行して計画的に1月間特定薬剤(歯科用抗生物質製剤に限る。)の注入を行った場合は、本区分により算定する。ただし、医科の保険医療機関又は医科歯科併設の保険医療機関の医師からの診療情報提供(診療情報提供料の様式に準じるもの)に基づく場合に限る。

(6) 歯周疾患処置を算定した月は、区分番号I011―3に掲げる歯周基本治療処置を別に算定できない。

I011 歯周基本治療

(1) 歯周基本治療は、歯周病の炎症性因子の減少又は除去を目的とする処置をいい、歯周病検査等の結果に基づき必要があると認められる場合に実施する。歯周病検査が実施されていない場合は、算定できない。なお、歯周基本治療は、「歯周病の治療に関する基本的考え方」(令和2年3月日本歯科医学会)を参考とする。

(2) スケーリングとは、歯面に付着しているプラーク、歯石、その他の沈着物をスケーラー等で機械的に除去することをいう。

(3) スケーリング・ルートプレーニング及び歯周ポケット掻爬を同一歯に対して同時に実施した場合も、いずれかの所定点数により算定する。

(4) 2回目以降のスケーリング、スケーリング・ルートプレーニング及び歯周ポケット掻爬は、歯周病検査の結果を踏まえ、その必要性、効果等を考慮した上で実施する。

(5) 「1 スケーリング」を実施した後、同一部位に対し、再度「1 スケーリング」を実施した場合は、所定点数(注1に規定する加算を含む。)の100分の50により算定する。また、「2 スケーリング・ルートプレーニング」又は「3 歯周ポケット掻爬」を実施した後、同一部位に対し、再度「2 スケーリング・ルートプレーニング」又は「3 歯周ポケット掻爬」を実施した場合は所定点数の100分の50により算定する。

(6) 区分番号J063に掲げる歯周外科手術と同時に行われた歯周基本治療は、歯周外科手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(7) 混合歯列期歯周病検査に基づく歯周基本治療は、「1 スケーリング」により算定する。また、混合歯列期の患者の混合歯列期歯周病検査以外の歯周病検査に基づく「2 スケーリング・ルートプレーニング」又は「3 歯周ポケット掻爬」を行う場合は、十分に必要性を考慮した上で行うこと。

I011―2 歯周病安定期治療(Ⅰ)、I011―2―2歯周病安定期治療(Ⅱ)

(1) 歯周病安定期治療(Ⅰ)及び歯周病安定期治療(Ⅱ)は、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料又は区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料を算定している患者であって、4ミリメートル以上の歯周ポケットを有するものに対して、一連の歯周基本治療等の終了後に、一時的に症状が安定した状態にある患者に対する処置等を評価したものをいう。なお、一時的に症状が安定した状態とは、歯周基本治療等の終了後の再評価のための検査結果において、歯周組織の多くの部分は健康であるが、一部分に病変の進行が停止し症状が安定していると考えられる4ミリメートル以上の歯周ポケットが認められる状態をいう。

(2) 区分番号B002に掲げる歯科特定疾患療養管理料を算定している患者であって、当該管理料の「注1」に規定する治療計画に歯周病に関する管理計画が含まれ、(1)と同様の状態にある患者については、歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)を算定できる。

(3) 歯周病安定期治療(Ⅰ)は、歯周組織の状態を維持し、治癒させることを目的としてプラークコントロール、スケーリング、スケーリング・ルートプレーニング、咬合調整、機械的歯面清掃等を主体とした治療を実施した場合に1口腔につき月1回に限り算定する。なお、2回目以降の歯周病安定期治療(Ⅰ)の算定は、前回実施した月の翌月から起算して2月を経過した日以降に行う。ただし、歯周病安定期治療(Ⅰ)の治療間隔の短縮が必要とされる次の場合は、3月以内の間隔で実施した歯周病安定期治療(Ⅰ)は月1回に限り算定する。この場合において、実施する理由(「イ 歯周外科手術を実施した場合」は除く。)及び全身状態等を診療録に記載する。また、ロ及びハは、主治の医師からの文書を添付する。

イ 歯周外科手術を実施した場合

ロ 全身的な疾患の状態により歯周病の病状に大きく影響を与える場合

ハ 全身的な疾患の状態により歯周外科手術が実施できない場合

ニ 侵襲性歯周炎の場合(侵襲性歯周炎とは、若年性歯周炎、急速進行性歯周炎又は特殊性歯周炎をいう。)

(4) 歯周病安定期治療(Ⅱ)は、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所において、(3)に規定される治療に加え、口腔内カラー写真撮影及び歯周病検査を行う場合の治療を包括的に評価したものであり、1口腔につき月1回に限り算定する。

(5) 歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)は、その開始に当たって、歯周病検査を行い、症状が一時的に安定していることを確認した上で行い、歯周病検査の結果の要点や歯周病安定期治療の治療方針等について管理計画書を作成し、文書により患者又はその家族等に対して提供し、当該文書の写しを診療録に添付した場合に算定する。その他療養上必要な管理事項がある場合は、患者に説明し、その要点を診療録に記載する。

(6) 1回目の歯周病安定期治療(Ⅱ)を開始する際に行う歯周病検査は、歯周精密検査により実施する。この場合において、同月に歯周精密検査は別に算定できない。

(7) 2回目以降の歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)において、継続的な管理を行うに当たっては、必要に応じて歯周病検査を行い症状が安定していることを確認する。また、必要に応じて文書を患者又はその家族に提供する。

(8) 歯周病安定期治療(Ⅱ)は、口腔内カラー写真の撮影を行った場合に算定する。なお、撮影した口腔内カラー写真は、診療録に添付又はデジタル撮影した画像を電子媒体に保存して管理する。

(9) 歯周病安定期治療(Ⅰ)を開始した日以降に実施した歯周炎の治療において行った区分番号I000―2に掲げる咬合調整、区分番号I010に掲げる歯周疾患処置、区分番号I011に掲げる歯周基本治療、区分番号I011―3に掲げる歯周基本治療処置、区分番号I029―2に掲げる在宅等療養患者専門的口腔衛生処置及び区分番号I030に掲げる機械的歯面清掃処置は、別に算定できない。

(10) 歯周病安定期治療(Ⅱ)を開始した日以降に実施した区分番号B001―3に掲げる歯周病患者画像活用指導料、区分番号D002に掲げる歯周病検査、区分番号D002―5に掲げる歯周病部分的再評価検査、歯周炎の治療において行った区分番号I000―2に掲げる咬合調整、区分番号I010に掲げる歯周疾患処置、区分番号I011に掲げる歯周基本治療、区分番号I011―3に掲げる歯周基本治療処置、区分番号I029―2に掲げる在宅等療養患者専門的口腔衛生処置及び区分番号I030に掲げる機械的歯面清掃処置は、別に算定できない。

(11) 歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)を開始後、病状の変化により歯周外科手術を実施した場合は、当該手術を実施した日以降は、歯周精密検査により再び病状が安定し継続的な管理が必要であると判断されるまでの間は歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)は算定できない。なお、歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)を実施後に行う歯周外科手術は、所定点数の100分の50により算定する。

(12) 歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)から歯周病重症化予防治療に移行する場合、前回歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)を実施した月の翌月から起算して2月を経過した日以降に歯周病重症化予防治療を算定できる。なお、歯周病重症化予防治療から歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)に移行する場合も同様の取扱いとする。

(13) 歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)を開始後、病状の変化により必要があって歯周ポケットに特定薬剤を注入した場合及び暫間固定を実施した場合は、それぞれ算定する。

I011―2―3 歯周病重症化予防治療

(1) 歯周病重症化予防治療は、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料又は区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料を算定している患者であって、2回目以降の歯周病検査の結果、歯周ポケットが4ミリメートル未満の患者に対する処置等を評価したものをいう。歯周病重症化予防治療の対象となる患者とは、部分的な歯肉の炎症又はプロービング時の出血が認められる状態のものをいう。

(2) 区分番号B002に掲げる歯科特定疾患療養管理料を算定している患者であって、当該管理料の「注1」に規定する治療計画に歯周病に関する管理計画が含まれ、(1)と同様の状態にある患者については、歯周病重症化予防治療を算定できる。

(3) 歯周病重症化予防治療は、歯周病の重症化予防を目的としてスケーリング、機械的歯面清掃処置等の継続的な治療を実施した場合に1口腔につき月1回に限り算定する。なお、2回目以降の歯周病重症化予防治療の算定は、前回実施した月の翌月から起算して2月を経過した日以降に行う。

(4) 歯周病重症化予防治療は、その開始に当たって、当該検査結果の要点や歯周病重症化予防治療の治療方針等について管理計画書を作成し、文書により患者又はその家族等に対して提供し、当該文書の写しを診療録に添付した場合に算定する。その他療養上必要な管理事項がある場合は、患者に説明し、その要点を診療録に記載する。

(5) 2回目以降の歯周病重症化予防治療において、継続的な管理を行うに当たっては、必要に応じて歯周病検査を行い症状が安定していることを確認する。また、必要に応じて文書を患者又はその家族等に提供する。

(6) 2回目の歯周病検査の結果、歯周病重症化予防治療を開始した後、再評価のための歯周病検査により4ミリメートル以上の歯周ポケットを認めた場合、必要に応じ区分番号I011に掲げる歯周基本治療を行う。なお、歯周基本治療は、「歯周病の治療に関する基本的な考え方」(令和2年3月日本歯科医学会)を参考とする。

(7) 区分番号I011に掲げる歯周基本治療(「2 スケーリング・ルートプレーニング」又は「3 歯周ポケット掻爬」を含む。)終了後、歯周病重症化予防治療を開始したのち、4ミリメートル以上の歯周ポケットを認めた場合、歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)を開始する。

(8) 歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)を開始した後、病状が改善し歯周病重症化予防治療を開始した場合であって、再評価のための歯周病検査により4ミリメートル以上の歯周ポケットを認めた場合、歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)を開始する。

(9) 歯周病重症化予防治療から歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)に移行する場合、前回歯周病重症化予防治療を実施した月の翌月から起算して2月を経過した日以降に歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)を実施できる。なお、歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)から歯周病重症化予防治療に移行する場合も同様の取扱いとする。

(10) 歯周病重症化予防治療を開始した日以降に実施した区分番号C001―5に掲げる在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、区分番号C001―6に掲げる小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、歯周炎の治療において行った区分番号I000―2に掲げる咬合調整、区分番号I010に掲げる歯周疾患処置、区分番号I011に掲げる歯周基本治療、区分番号I011―3に掲げる歯周基本治療処置、区分番号I029―2に掲げる在宅等療養患者専門的口腔衛生処置、区分番号I030に掲げる機械的歯面清掃処置及び区分番号I030―2に掲げる非経口摂取患者口腔粘膜処置は、別に算定できない。ただし、(6)の場合は、この限りではない。

I011―3 歯周基本治療処置

歯周基本治療処置とは、歯周疾患において、歯周基本治療を行った部位に対して、歯周疾患の症状の改善を目的として、薬剤による歯周ポケット内洗浄等の処置(区分番号I010に掲げる歯周疾患処置を除く。)をいう。この場合において、1口腔につき月1回に限り算定し、使用した薬剤名を診療録に記載する。

I014 暫間固定

(1) 暫間固定とは、歯の支持組織の負担を軽減し、歯槽骨の吸収を防止して、その再生治癒を促進させるため、暫間的に歯冠をレジン連続冠固定法、線結紮法(帯冠使用を含む。)又はエナメルボンドシステムにより連結固定することをいう。

(2) 「1 簡単なもの」とは、暫間固定を行う部位において、歯周外科手術を行った歯数が4歯未満の場合であって、固定源となる歯を歯数に含めない4歯未満の暫間固定をいう。

(3) 「1 簡単なもの」を算定する場合は、同日又は他日にかかわらず1顎に2箇所以上行っても1顎単位で算定する。

(4) 「2 困難なもの」とは、暫間固定を行う部位において、歯周外科手術を行った歯数が4歯以上の場合であって、固定源となる歯を歯数に含めない4歯以上の暫間固定をいう。なお、「2 困難なもの」を算定する場合は、暫間固定を行う部位ごとに算定する。

(5) 歯周外科手術の術前に暫間固定を行った場合は、暫間固定を行う歯数にかかわらず「1 簡単なもの」により算定する。なお、術前の期間中において、1顎につき1回に限り算定する。

(6) 歯周外科手術後に必要があって暫間固定を行う場合において、歯周外科手術を行った歯数が4歯未満の場合は「1 簡単なもの」により算定する。ただし、術後に暫間固定を行った後、再度当該処置を行う場合は、術後に暫間固定を行った日から起算して6月経過後、1顎につき、6月に1回に限り算定できる。

(7) 歯周外科手術後に必要があって暫間固定を行う場合において、歯周外科手術を行った歯数が4歯以上の場合は「2 困難なもの」により算定する。ただし、術後に暫間固定を行った後、再度当該処置を行う場合は、術後に暫間固定を行った日から起算して6月経過後、1箇所につき、6月に1回に限り算定できる。

(8) 歯周外科手術と同時に行った暫間固定の「2 困難なもの」は、所定点数により算定する。なお、歯周外科手術と同時に行った暫間固定の「1 簡単なもの」は、歯周外科手術の所定点数に含まれ別に算定できない。


術前の暫間固定

術中の暫間固定

術後の暫間固定1回目

術後の暫間固定2回目以降

歯周外科手術歯数4歯未満

①簡単なもの

※術前の期間中、1顎につき1回に限る。

手術に含まれる

②簡単なもの

③簡単なもの

※②の算定から6月経過後、1顎につき6月に1回に限り算定できる。


(備考欄ロ)

(備考欄ハ)

歯周外科手術歯数4歯以上

困難なもの

④困難なもの

⑤困難なもの

※④の算定から6月経過後、6月に1回に限り算定できる。

(備考欄イ)


(備考欄ロ)

(備考欄ニ)

[備考]

イ 歯周外科手術前の暫間固定(①)

固定した歯数にかかわらず「1 簡単なもの」により算定する。なお、術前の期間中において、1顎につき1回に限り算定する。

ロ 歯周外科手術後の暫間固定(術後の暫間固定1回目)(②、④)

歯周外科手術を行った歯数が4歯未満である場合は「1 簡単なもの」により算定し、歯周外科手術を行った歯数が4歯以上である場合は「2 困難なもの」により算定する。なお、当該暫間固定(術後の暫間固定1回目)は、術前の暫間固定の有無及び手術日から経過期間にかかわらず算定できる。

ハ 術後の暫間固定1回目から6月経過後の暫間固定(③)

歯周外科手術を行った歯数が4歯未満である場合は「1 簡単なもの」により算定し、1顎につき、前回暫間固定を算定した日から起算して6月に1回に限り算定できる。

ニ 術後の暫間固定1回目から6月経過後の暫間固定(⑤)

歯周外科手術を行った歯数が4歯以上である場合は「2 困難なもの」により算定し、1箇所につき、前回暫間固定を算定した日から起算して6月に1回に限り算定できる。

(9) 歯周外科手術を行わない場合は、暫間固定を行う歯数に関わらず「1 簡単なもの」により算定する。なお、再度当該処置を行う場合は、前回暫間固定を行った日から起算して6月経過後、1顎につき6月に1回に限り算定できる。

(10) 暫間固定に際して印象採得、咬合採得、装着を行った場合は、口腔内装置等と同様に算定する。

(11) 次の場合においては、「2 困難なもの」により算定する。

イ 外傷性による歯の脱臼を暫間固定した場合

ロ 区分番号J004―2に掲げる歯の再植術を行い、脱臼歯を暫間固定した場合

ハ 両側下顎乳中切歯のみ萌出している患者であって、外傷により1歯のみ脱臼し、元の位置に整復固定した場合(双方の歯が脱臼している場合の整復固定は、歯科医学上認められない。)

ニ 区分番号J004―3に掲げる歯の移植手術に際して暫間固定を行った場合

この場合においては、移植した歯1歯につき「2 困難なもの」により算定する。

(12) 暫間固定装置を装着するに当たり、印象採得を行った場合は1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「3 口腔内装置等」を、咬合採得を行った場合は、1装置につき装置の範囲に相当する歯数が8歯以下のときは区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(1) 少数歯欠損」を、装置の範囲に相当する歯数が9歯以上のときは区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」又は装置の範囲に相当する歯数が全歯にわたる場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(3) 総義歯」の所定点数を、装着を行った場合は1装置につき区分番号M005に掲げる装着の「3 口腔内装置等の装着の場合」の所定点数及び装着材料料を算定する。ただし、エナメルボンドシステムにより連結固定を行った場合は、M005に掲げる装着及び装着材料料は別に算定できない。

(13) (11)の「イ 外傷性による歯の脱臼を暫間固定した場合」を除き、エナメルボンドシステムにより暫間固定を行った場合の除去料は別に算定できない。

I014―2 暫間固定装置修理

(1) 暫間固定装置修理は、レジン連続冠固定法による暫間固定装置の修理を行った場合に算定する。

(2) レジン連続冠固定法による暫間固定装置において、当該装置が破損し、修理を行った場合は、1装置につき算定する。

I016 線副子

線副子とは、三内式線副子程度以上のものをいう。なお、三内式線副子程度に至らないものは、それぞれの手術の所定点数に含まれる。

I017 口腔内装置

(1) 「注」に規定する口腔内装置は、次に掲げるいずれかの装置をいう。

イ 顎関節治療用装置

ロ 歯ぎしりに対する口腔内装置

ハ 顎間固定用に歯科用ベースプレートを用いた床

ニ 出血創の保護と圧迫止血を目的としてレジン等で製作した床

ホ 手術に当たり製作したサージカルガイドプレート

ヘ 腫瘍等による顎骨切除後、手術創(開放創)の保護等を目的として製作するオブチュレーター

ト 気管内挿管時の歯の保護等を目的として製作した口腔内装置

チ 不随意運動等による咬傷を繰り返す患者に対して、口腔粘膜等の保護を目的として製作する口腔内装置

リ 放射線治療に用いる口腔内装置

(2) 「1 口腔内装置1」とは、義歯床用アクリリック樹脂により製作された口腔内装置をいう。

(3) 「2 口腔内装置2」とは、熱可塑性樹脂シート等を歯科技工用成型器により吸引・加圧して製作又は作業模型に常温重合レジン等を圧接して製作された口腔内装置であり、咬合関係が付与されたものをいう。

(4) 「3 口腔内装置3」とは、熱可塑性樹脂シート等を歯科技工用成型器により吸引・加圧して製作又は作業模型に常温重合レジン等を圧接して製作された口腔内装置であり、咬合関係が付与されていないものをいう。

(5) 特に規定する場合を除き、印象採得を行った場合は区分番号M003に掲げる印象採得の「3 口腔内装置等(1装置につき)」、装着を行う場合は区分番号M005に掲げる装着の「3 口腔内装置等の装着の場合(1装置につき)」により算定する。また、「2 口腔内装置2」及び「3 口腔内装置3」を製作するに当たり、咬合採得は所定点数に含まれ算定できない。

(6) (1)の「イ 顎関節治療用装置」を製作した場合は、「1 口腔内装置1」又は「2 口腔内装置2」のいずれか該当する項目により算定する。当該装置の装着後、咬合関係等を検査し、調整した場合は1口腔1回につき区分番号I017―2に掲げる口腔内装置調整・修理の「1のハ イ及びロ以外の場合」により算定する。なお、咬合採得を行う場合は、区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」により算定する。

(7) (1)の「ロ 歯ぎしりに対する口腔内装置」を製作した場合は、「1 口腔内装置1」、「2 口腔内装置2」又は「3 口腔内装置3」のいずれか該当する項目により算定する。当該装置の製作に際し印象採得を行った場合は区分番号M003に掲げる印象採得の「3 口腔内装置等」を、咬合採得を行った場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」(「1 口腔内装置1」の場合に限る。)を、装着を行った場合は区分番号M005に掲げる装着の「2のニの (1) 印象採得が困難なもの」により算定する。

(8) (1)の「ロ 歯ぎしりに対する口腔内装置」を「1 口腔内装置1」又は「2 口腔内装置2」により製作した場合において、装着後、咬合関係等を検査し、調整した場合は1口腔1回につき区分番号I017―2に掲げる口腔内装置調整・修理の「1のロ 歯ぎしりに対する口腔内装置の場合」により算定する。

(9) (2)から(4)までにかかわらず、(1)の「ホ 手術に当たり製作したサージカルガイドプレート」について、顎変形症等の患者に対する手術を行うに当たり、顎位の決定を目的に製作したものについては1装置に限り、「1 口腔内装置1」の所定点数を算定する。この場合において、必要があって咬合採得を行った場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」により算定する。また、同一手術において複数の装置を使用する場合については、2装置目からは、1装置につき「3 口腔内装置3」の所定点数により算定する。なお、顎変形症等の患者に対する手術における顎位の決定を目的とする場合以外については、(2)から(4)にかかわらず、「3 口腔内装置3」により算定する。

(10) (1)の「リ 放射線治療に用いる口腔内装置」とは頭頸部領域における悪性腫瘍に対して、第11部に掲げる放射線治療(区分番号L002に掲げる電磁波温熱療法を単独で行う場合及びL004に掲げる血液照射を除く。)を行う際に、密封小線源の保持又は周囲の正常組織の防御を目的とする特別な装置をいう。当該装置を製作し装着した場合は、(2)から(4)までにかかわらず、「1 口腔内装置1」の所定点数を算定する。当該装置の製作に際し印象採得を行った場合は区分番号M003に掲げる印象採得の「2 ホ(1)印象採得が困難なもの」、装着を行った場合は区分番号M005に掲げる装着の「2のニの(1) 印象採得が困難なもの」により算定する。区分番号M006に掲げる咬合採得は所定点数に含まれ別に算定できない。

(11) 区分番号I017に掲げる口腔内装置の製作後に患者の都合等により診療を中止した場合の請求は、第12部歯冠修復及び欠損補綴の歯冠修復物又は欠損補綴物の製作後診療を中止した場合の請求と同様とする。

(12) (1)の「ヘ 腫瘍等による顎骨切除後、手術創(開放創)の保護等を目的として製作するオブチュレーター」とは、腫瘍等の切除手術により上顎骨が大きく欠損し、口腔と上顎洞及び鼻腔が交通している場合において、手術創粘膜の保護、開放創の維持及び上顎洞等への食片流入防止等を目的として製作した装置のことをいう。当該装置を(4)に規定する製作材料及び製作方法により製作した場合は、(4)の規定に関わらず「2 口腔内装置2」により算定する。また、当該装置の製作に当たり印象採得を行った場合は、1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のロ 連合印象」、咬合採得を行った場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」、装着を行った場合は区分番号M005に掲げる装着の「2のニの(2) 印象採得が著しく困難なもの」により算定する。

(13) (2)から(4)までにかかわらず、(1)の「ハ 顎間固定用に歯科用ベースプレートを用いた床」、「ニ 出血創の保護と圧迫止血を目的としてレジン等で製作した床」、「ト 気管挿管時の歯の保護等を目的として製作した口腔内装置」又は「チ 不随意運動等による咬傷を繰り返す患者に対して、口腔粘膜等の保護を目的として製作する口腔内装置」を装着した場合はいずれも「3 口腔内装置3」の所定点数により算定する。

(14) 口腔内装置を算定する場合は、(1)のイからリまでのいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

I017―1―2 睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置

(1) 睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置とは、上顎及び下顎に装着し1装置として使用するものであって、医科の保険医療機関又は医科歯科併設の医療機関の担当科医師からの診療情報提供(診療情報提供料の様式に準じるもの)に基づく口腔内装置治療の依頼を受けた場合に限り算定する。確定診断が可能な医科歯科併設の病院である保険医療機関にあっては、院内での担当科医師からの情報提供に基づく院内紹介を受けた場合に限り算定する。

(2) 「1 睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置1」とは、義歯床用アクリリック樹脂により製作された口腔内装置をいう。

(3) 「2 睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置2」とは、熱可塑性樹脂シート等を歯科技工用成型器により吸引・加圧して製作又は作業模型に直接常温重合レジン等を圧接して製作されたベースプレートを用いた口腔内装置をいう。

(4) 睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置の製作に当たり印象採得を行った場合は1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のロ 連合印象」、咬合採得を行った場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(3) 総義歯」(「1 睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置1」の場合に限る。)、装着を行った場合は区分番号M005に掲げる装着の「2のニの(2) 印象採得が著しく困難なもの」により算定する。

(5) 口腔内装置の装着時又は装着日から起算して1月以内に、適合を図るための調整等が必要となり、口腔内装置の調整を行った場合は、1口腔につき区分番号I017―2に掲げる口腔内装置等調整・修理の「1のイ 睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置の場合」により算定する。

(6) 製作後に患者の都合等により診療を中止した場合の請求は、第12部歯冠修復及び欠損補綴の歯冠修復物又は欠損補綴物の製作後診療を中止した場合の請求と同様とする。

I017―1―3 舌接触補助床

(1) 舌接触補助床とは、脳血管疾患や口腔腫瘍等による摂食機能障害を有する患者に対して、舌接触状態等を変化させて摂食・嚥下機能の改善を目的とするために装着する床又は有床義歯形態の補助床をいう。なお、「ロ 旧義歯を用いた場合」とは、既に製作している有床義歯の形態修正等を行った場合をいう。

(2) 舌接触補助床の製作に当たり印象採得を行った場合は1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のロ 連合印象」、咬合採得を行った場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」、装着を行った場合は区分番号M005に掲げる装着の「2のロの(2) 多数歯欠損」により算定する。なお、当該補助床は、人工歯、鉤及びバー等が含まれ、別に算定できない。

(3) 製作後に患者の都合等により診療を中止した場合の請求は、第12部歯冠修復及び欠損補綴の歯冠修復物又は欠損補綴物の製作後診療を中止した場合の請求と同様とする。

I017―1―4 術後即時顎補綴装置

(1) 術後即時顎補綴装置とは、腫瘍、顎骨嚢胞等による顎骨切除が予定されている患者に対して、術後早期の構音、咀嚼及び嚥下機能の回復を目的に、術前に印象採得等を行い、予定される切除範囲を削合した模型上で製作する装置のことをいう。当該装置の製作に当たり印象採得を行った場合は、1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のロ 連合印象」、咬合採得を行った場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」、装着を行った場合は区分番号M005に掲げる装着の「2のニの(2) 印象採得が著しく困難なもの」により算定する。なお、当該装置は、人工歯、鉤及びバー等が含まれ、別に算定できない。

(2) 術後即時顎補綴装置の装着後、適合を図るための調整等が必要となり、当該装置の調整を行った場合は、1装置1回につき区分番号I017―2に掲げる口腔内装置調整・修理の「1のハ イ及びロ以外の場合」により算定する。なお、調整の際に用いる保険医療材料等の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 製作後に患者の都合等により診療を中止した場合の請求は、第12部歯冠修復及び欠損補綴の歯冠修復物又は欠損補綴物の製作後診療を中止した場合の請求と同様とする。

I017―2 口腔内装置調整・修理

(1) 区分番号I017―1―2に掲げる睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置の装着を行った後、適合を図るための調整等が必要となり、口腔内装置の調整(装着時又は装着日から起算して1月以内に限る。)を行った場合は、1口腔につき1回に限り「1のイ 睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置の場合」により算定する。

(2) 区分番号I017に掲げる口腔内装置の「注」に規定する歯ぎしりに対する口腔内装置(「1 口腔内装置1」又は「2 口腔内装置2」により製作した場合に限る。)を装着後、咬合関係等の検査を行い、咬合面にレジンを添加又は削合により調整した場合は1口腔1回につき「1のロ 歯ぎしりに対する口腔内装置の場合」により算定する。なお、当該装置の調整は、月1回に限り算定する。

(3) 区分番号I017に掲げる口腔内装置の「注」に規定する顎関節治療用装置を装着後、咬合関係等の検査を行い、咬合面にレジンを添加又は削合により調整した場合は1口腔1回につき「1のハ イ及びロ以外の場合」により算定する。なお、当該装置の調整は、月1回に限り算定する。

(4) 区分番号I017―1―4に掲げる術後即時顎補綴装置の装着後、レジンの添加又は削合により調整した場合は1口腔1回につき「1のハ イ及びロ以外の場合」により算定する。なお、当該装置の調整は、月1回に限り算定する。

(5) 区分番号I017に掲げる口腔内装置の「注」に規定する顎関節治療用装置、区分番号I017に掲げる口腔内装置の「注」に規定する歯ぎしりに対する口腔内装置(「1 口腔内装置1」により製作した場合に限る。)、区分番号I017―1―2に掲げる睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置及び区分番号I017―1―4に掲げる術後即時顎補綴装置の修理を行った場合は、「2 口腔内装置修理」により算定する。なお、口腔内装置の調整と修理を同日に行った場合において、調整に係る費用は修理に係る費用に含まれ別に算定できない。また、装着と同月に行った修理に係る費用は算定できない。

(6) 区分番号I017―1―3に掲げる舌接触補助床の修理を行った場合は、「2 口腔内装置修理」により算定する。なお、口腔内装置の調整と修理を同日に行った場合において、調整に係る費用は修理に係る費用に含まれ、区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1は別に算定できない。

(7) 「1 口腔内装置調整」及び「2 口腔内装置修理」において調整又は修理を行った場合は、診療録に調整又は修理の部位、方法等を記載する。

I017―3 顎外固定

(1) 「1 簡単なもの」とは、おとがい帽を用いて顎外固定を行った場合をいう。

(2) 「2 困難なもの」とは、顎骨骨折の際に即時重合レジン、ギプス包帯等で顎外固定を行った場合又は歯科領域における習慣性顎関節脱臼の処置に際して顎帯による牽引又は固定を行った場合をいう。

I018 歯周治療用装置

(1) 歯周治療用装置とは、重度の歯周病で長期の治療期間が予測される歯周病の患者に対して、治療中の咀嚼機能の回復及び残存歯への咬合の負担の軽減等を目的とするために装着する冠形態又は床義歯形態の装置をいう。

(2) 冠形態のものを連結してブリッジタイプの装置を製作した場合は、ポンティック部分は1歯につき「1 冠形態のもの」の所定点数により算定する。

(3) 歯周治療用装置は、印象採得、咬合採得、装着、調整指導、修理等の基本的な技術料及び床義歯型の床材料料等の基本的な保険医療材料料は所定点数に含まれ別に算定できない。なお、設計によって歯周治療用装置に付加される部分、すなわち人工歯、鉤及びバー等は別途算定する

(4) 区分番号I018に掲げる歯周治療用装置の製作後に患者の都合等により診療を中止した場合の請求は、第12部歯冠修復及び欠損補綴の歯冠修復物又は欠損補綴物の製作後診療を中止した場合の請求と同様とする。

I019 歯冠修復物又は補綴物の除去

(1) 歯冠修復物又は補綴物の除去において、除去を算定する歯冠修復物又は補綴物は、区分番号M002に掲げる支台築造、区分番号M009に掲げる充填、区分番号M010に掲げる金属歯冠修復、区分番号M011に掲げるレジン前装金属冠、区分番号M015に掲げる非金属歯冠修復、区分番号M015―2に掲げるCAD/CAM冠、区分番号M016に掲げる乳歯金属冠、区分番号M016―2に掲げる小児保隙装置、区分番号M016―3に掲げる既製金属冠及び区分番号M017―2に掲げる高強度硬質レジンブリッジであり、仮封セメント、ストッピング、テンポラリークラウン、リテイナー等は含まれない。なお、同一歯について2個以上の歯冠修復物(支台築造を含む。)又は欠損補綴物の除去を一連に行った場合においては、主たる歯冠修復物(支台築造を含む。)又は欠損補綴物の除去に対する所定点数のみを算定する。

(2) 区分番号M016―2に掲げる小児保隙装置のループ部分を切断した場合は、ループ部分切断後の乳歯金属冠を継続して使用する場合に限り、「1 簡単なもの」により算定する。

(3) 燐酸セメントの除去料は算定できない。

(4) 鉤歯の抜歯又は鉤の破損等のため不適合となった鉤を連結部から切断又は除去した場合は、再製、修理又は床裏装を前提とした場合に、除去料を算定する。なお、鉤を切断又は除去した部位の状況によって、義歯調整を行うことにより当該義歯をそのまま使用できる場合においては所定点数を算定して差し支えない。

(5) 「2 困難なもの」の「困難なもの」とは、全部金属冠、5分の4冠、4分の3冠、レジン前装金属冠又は当該歯が急性の歯髄炎又は根尖性歯周炎に罹患している場合であって、患者が苦痛を訴えるため除去が困難な金属歯冠修復物の除去をいう。

(6) 「2 困難なもの」により算定するものは、(5)の他、次のものをいう。

イ 滑面板の撤去

ロ 整復装置の撤去(3分の1顎につき)

ハ ポンティックの除去

ニ 歯冠修復物が連結して装着されている場合において、破損等のため連結部分を切断しなければ、一部の歯冠修復物を除去できないときの切断

ホ 歯間に嵌入した有床義歯の除去に際し、除去が著しく困難なため当該義歯を切断して除去を行った場合

ヘ 支台築造用のスクリューポスト又は金属小釘の除去

ト 高強度硬質レジンブリッジの支台装置及びポンティック(1歯につき)

(7) 「3 著しく困難なもの」の「著しく困難なもの」とは、メタルコア又は支台築造用レジンを含むファイバーポストであって歯根の長さの3分の1以上のポストを有するものをいう。

(8) 根管内ポストを有する鋳造体の歯冠部が破折し、ポストのみを根管内に残留する状態にある鋳造体の除去についても、「3 著しく困難なもの」により算定する。

(9) (5)に関わらず、純チタン2種の全部金属冠の除去については、「3 著しく困難なもの」により算定する。

I021 根管内異物除去

(1) 当該費用を算定する異物とは、根管内で破折しているため除去が著しく困難なもの(リーマー等)をいう。

(2) 根管内異物除去は1歯につき1回に限り算定する。

(3) 当該保険医療機関における治療に基づく異物について除去を行った場合は、当該点数を算定できない。

(4) 手術用顕微鏡加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、歯の根管内に残留する異物を歯科用3次元エックス線断層撮影装置を用いて得られた画像診断の結果を踏まえ、手術用顕微鏡を用いて除去を行った場合に算定する。なお,歯根の長さの根尖側2分の1以内に達しない残留異物を除去した場合は算定できない。

I022 有床義歯床下粘膜調整処置(1顎1回につき)

旧義歯が不適合で床裏装や再製が必要とされる場合に、床裏装や再製に着手した日より前において、有床義歯床下粘膜異常に対してそれを調整するために、旧義歯を調整しながら、粘膜調整材を用い有床義歯床下粘膜調整を行った場合は、当該義歯の調整を含めて、1顎1回につき算定する。なお、有床義歯床下粘膜調整処置を行い、有床義歯の新製又は床裏装を予定している場合は、同月内であっても当該処置に併せて区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」を算定して差し支えない。この場合において、区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1の「1 有床義歯の場合」を算定したときは、同月内に区分番号B013に掲げる新製有床義歯管理料は算定できない。

I023 心身医学療法

(1) 「心身医学療法」とは、心因性疾患を有する歯科領域の患者について、確定診断が可能な医科の保険医療機関からの診療情報提供料の様式に基づく歯科口腔領域に係る心因性疾患の治療の依頼(医科歯科併設の保険医療機関であって心因性疾患を有する歯科領域の患者について、確定診断が可能な医科診療科が設置されている場合は、院内紹介に係る文書に基づく紹介)を受けて、確定診断が可能な医科保険医療機関と連携して治療計画を策定し、当該治療計画に基づき身体的傷病と心理・社会的要因との関連を明らかにするとともに、当該患者に対して心理的影響を与えることにより、症状の改善又は傷病からの回復を図る自律訓練法等をいう。

(2) 心身医学療法は、当該療法に習熟した歯科医師によって確定診断が可能な医科の保険医療機関と連携して行われた場合に算定する。

(3) 初診時は診療時間が30分を超えた場合に限り算定する。この場合において、診療時間とは、歯科医師自らが患者に対して行う問診、理学的所見(視診、聴診、打診及び触診)及び当該心身医学療法に要する時間をいい、これら以外の診療に要する時間は含まない。

(4) 心身医学療法を行った場合は、確定診断が可能な医科の保険医療機関からの診療情報提供料の様式に基づく文書(医科歯科併設の保険医療機関であって心因性疾患を有する歯科領域の患者について、確定診断が可能な医科診療科が設置されている場合は、院内紹介に係る文書)を添付するとともに、治療の方法、内容、実施時刻(開始時刻と終了時刻)を診療録に記載する。

(5) 入院の日及び入院の期間の取扱いは、入院基本料の取扱いの例による。

(6) 入院精神療法、通院・在宅精神療法又は標準型精神分析療法を算定している患者について、心身医学療法は算定できない。

(7) 「注4」に規定する加算は、必要に応じて児童相談所等と連携し、保護者等へ適切な指導を行った上で、20歳未満の患者に対して、心身医学療法を行った場合に、所定点数を加算する。

I024 鼻腔栄養(1日につき)

医科点数表の区分番号J120に掲げる鼻腔栄養の例により算定する。

I025 酸素吸入(1日につき)

医科点数表の区分番号J024に掲げる酸素吸入の例により算定する。

I026 高気圧酸素治療(1日につき)

(1) 高気圧酸素治療は、口腔・顎・顔面領域の慢性難治性骨髄炎に対して行う場合に、一連につき30回に限り算定する。

(2) 2絶対気圧以上の治療圧力が1時間に満たないものは、1日につき区分番号I025に掲げる酸素吸入により算定する。

(3) 高気圧酸素治療を行うに当たっては、関係学会より留意事項が示されているので、これらの留意事項を十分参考とする。

(4) 高気圧酸素療法と人工呼吸を同日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。

(5) 高気圧酸素治療に使用した酸素及び窒素は、区分番号I082に掲げる酸素加算により算定する。

I027 人工呼吸

(1) 高気圧酸素療法と人工呼吸を同日に行った場合は、主たるものの所定点数のみにより算定する。

(2) 人工呼吸と医科点数表の区分番号D220に掲げる呼吸心拍監視、医科点数表の区分番号D223に掲げる経皮的動脈血酸素飽和度測定又は医科点数表の区分番号D225―2に掲げる非観血的連続血圧測定を同日に行った場合は、これらに係る費用は人工呼吸の所定点数に含まれる。

(3) 人工呼吸と酸素吸入を併せて行った場合に使用した酸素及び窒素は、区分番号I082に掲げる酸素加算により算定する。

I029 周術期等専門的口腔衛生処置

(1) 「1 周術期等専門的口腔衛生処置1」とは、「注1」又は「注2」に規定する患者に対して、周術期等における口腔機能の管理を行う歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該患者の口腔の衛生状態にあわせて、口腔清掃用具等を用いて歯面、舌、口腔粘膜等の専門的な口腔清掃又は機械的歯面清掃を行った場合をいう。

(2) 周術期等における口腔機能の管理を行う歯科医師は、「1 周術期等専門的口腔衛生処置1」に関し、歯科衛生士の氏名を診療録に記載する。なお、当該処置を行った歯科衛生士は、業務に関する記録を作成する。

(3) 「2 周術期等専門的口腔衛生処置2」は、「注3」に規定する患者に対して、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が放射線治療又は化学療法の副作用として生じた口腔粘膜炎に対して、専門的な口腔清掃及び口腔粘膜保護材を使用して疼痛緩和を行った場合に算定する。なお、口腔粘膜保護材に係る特定保険医療材料料は別に算定し、使用した特定保険医療材料名を診療録に記載する。

(4) 周術期等における口腔機能の管理を行う歯科医師は、「2 周術期等専門的口腔衛生処置2」に関し、診療録に口腔内の状態(口腔衛生の状況、口腔粘膜の状態等)及び治療内容等(歯科衛生士が行う場合は、歯科衛生士に指示した内容及び歯科衛生士の氏名)を記載する。なお、当該処置を行った歯科衛生士は、業務に関する記録を作成する。

(5) 区分番号I029―2に掲げる在宅等療養患者専門的口腔衛生処置又は区分番号I030に掲げる機械的歯面清掃処置を算定した日の属する月においては、周術期等専門的口腔衛生処置は別に算定できない。ただし、機械的歯面清掃処置を算定した日の属する月において、周術期等口腔機能管理を必要とする手術を実施した日以降に周術期等専門的口腔衛生処置を実施した場合は算定する。

I029―2 在宅等療養患者専門的口腔衛生処置

(1) 在宅等療養患者専門的口腔衛生処置とは、区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料を算定している患者に対して、歯科訪問診療を行っている主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該患者の口腔の衛生状態にあわせて、口腔清掃用具等を用いて歯面、舌、口腔粘膜等の専門的な口腔清掃、義歯清掃又は機械的歯面清掃を行った場合をいう。

(2) 主治の歯科医師は、在宅等療養患者専門的口腔衛生処置に関し、歯科衛生士の氏名を診療録に記載する。なお、当該処置を行った歯科衛生士は、業務に関する記録を作成する。

I029―3 口腔粘膜処置

(1) 口腔粘膜処置は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、再発性アフタ性口内炎の小アフタ型病変に対してレーザー照射を行った場合に1月につき1回に限り算定する。なお、当該処置の実施にあたっては「レーザー応用による再発性アフタ性口内炎治療における基本的考え方」(平成30年3月日本歯科医学会)を参考にすること。

(2) 前回算定した日の属する月に前回照射した部位と異なる部位に生じた再発性アフタ性口内炎に対して当該処置を実施した場合の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。

(3) レーザー照射を行った場合は、病変の部位及び大きさ等を診療録に記載すること。

I030 機械的歯面清掃処置

(1) 機械的歯面清掃処置とは、歯科疾患に罹患している患者に対し、歯科医師又はその指示を受けた歯科衛生士が、歯科用の切削回転器具及び研磨用ペーストを用いて行う歯垢除去等をいい、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料、区分番号B002に掲げる歯科特定疾患療養管理料(当該管理料の「注1」に規定する治療計画に機械的歯面清掃処置を行うに当たって必要な管理計画が含まれている場合に限る。)又は区分番号C001―3に掲げる歯科疾患在宅療養管理料を算定した患者に対して2月に1回に限り算定する。また、区分番号I011―2に掲げる歯周病安定期治療(Ⅰ)、区分番号I011―2―2に掲げる歯周病安定期治療(Ⅱ)、区分番号I011―2―3に掲げる歯周病重症化予防治療又は区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料の「注10」に規定するエナメル質初期う蝕管理加算を算定した月は算定できない。

(2) 歯科診療特別対応加算又は初診時歯科診療導入加算を算定した患者、妊娠中の患者又は糖尿病の患者については、月1回に限り算定する。

(3) 妊娠中の患者に対して当該処置を行った場合は、診療録及び診療報酬明細書にその旨を記載する。

(4) 糖尿病の患者に対して別の医科の保険医療機関の担当医からの情報提供に基づき当該処置を行った場合は、情報提供の内容及び担当医の保険医療機関名等について診療録に記載又は提供文書の写しを添付する。また、診療報酬明細書にその旨を記載する。

(5) 主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、患者に対して当該処置を行った場合は、主治の歯科医師は当該歯科衛生士の氏名を診療録に記載する。

I030―2 非経口摂取患者口腔粘膜処置

(1) 非経口摂取患者口腔粘膜処置は、歯科医師又はその指示を受けた歯科衛生士が、口腔衛生状態の改善を目的として、口腔清掃用具等を用いて、口腔の剥離上皮膜の除去を行った場合に算定する。

(2) 当該処置の対象患者は、経管栄養等を必要とする、経口摂取及び患者自身による口腔清掃が困難な療養中の患者であって、口腔内に剥離上皮膜の形成を伴うものをいう。

(3) 主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、患者に対して当該処置を行った場合は、主治の歯科医師は当該歯科衛生士の氏名を診療録に記載する。

I031 フッ化物歯面塗布処置(1口腔につき)

(1) 「注1」に規定するう蝕多発傾向者とは、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料の(11)に掲げる判定基準を満たすものをいい、区分番号B000―4に掲げる歯科疾患管理料、区分番号B002に掲げる歯科特定疾患療養管理料(当該管理料の「注1」に規定する治療計画にフッ化物歯面塗布処置を行うに当たって必要な管理計画が含まれている場合に限る。)を算定した患者に対して算定する。なお、同区分の(12)についても準用する。

(2) 3に規定するエナメル質初期う蝕に罹患している患者とは、エナメル質に限局した表面が粗造な白濁等の脱灰病変を有するものをいう。エナメル質初期う蝕に罹患している患者に対するフッ化物歯面塗布処置は、当該病変部位の口腔内カラー写真の撮影を行った場合に算定し、撮影した口腔内カラー写真は、診療録に添付又はデジタル撮影した画像を電子媒体に保存して管理する。なお、写真撮影に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できない。また、2回目以降に「3 エナメル質初期う蝕に罹患している患者の場合」を算定する場合において、光学式う蝕検出装置を用いてエナメル質初期う蝕の部位の測定を行った場合は、口腔内カラー写真撮影に代えて差し支えない。この場合において、使用した光学式う蝕検出装置の名称と当該部位の検査結果を診療録に記載又は添付する。

(3) フッ化物歯面塗布処置は、次の取扱いとする。

イ フッ化物局所応用による指導管理に用いる局所応用フッ化物製剤とは、2%フッ化ナトリウム溶液、酸性フッ化リン酸溶液をいう。

ロ フッ化物歯面塗布とは、綿球による歯面塗布法、トレー法及びイオン導入法等の通法に従い、主治の歯科医師又は歯科衛生士が行う局所応用をいう。

ハ 薬剤料は、当該加算の所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 主治の歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、患者に対してフッ化物歯面塗布処置を行った場合は、主治の歯科医師は当該歯科衛生士の氏名を診療録に記載する。なお、当該処置を行った歯科衛生士は、業務に関する記録を作成する。

第2節 処置医療機器等加算

I082 酸素加算

医科点数表の区分番号J201に掲げる酸素加算の例により算定する。

第3節 特定薬剤料

I100 特定薬剤

(1) 1回の処置に特定薬剤を2種以上使用した場合であっても、使用した特定薬剤の合計価格から15円を控除した残りの額を10円で除して得た点数について1点未満の端数を切り上げて得た点数に1点を加算して特定薬剤料を算定する。

(2) 特定薬剤を使用した場合であっても、1回の処置又は手術に使用した特定薬剤の合計価格が15円以下の場合は、特定薬剤料は算定できない。

(3) (1)及び(2)でいう1回の処置とは、処置の部に掲げられている各区分の所定点数を算定する単位を1回とする。

(4) テトラサイクリン・プレステロン軟膏及びテラ・コートリル軟膏を抜歯窩に使用することは、軟膏の基剤が吸収されずに異物として残り治癒機転を妨げるので、歯科医学的に妥当ではない。

(5) 薬価基準第4部歯科用薬剤、外用薬(1)に収載されている薬剤のうち、軟組織疾患に使用する薬剤を外用薬として投与することは、歯科医師が自ら貼薬しなければ薬効が期待できない場合を除き認められる。

第4節 特定保険医療材料料

I200 特定保険医療材料料

特定保険医療材料は、「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)の一部を改正する件」(令和2年厚生労働省告示第61号)の別表Ⅴ及びⅥに規定する特定保険医療材料により算定する。

第9部 手術

通則

1 「通則1」、「通則2」及び「通則3」は、手術料算定の内容は次の3通りあることを示しており、輸血料は手術料の算定がなくとも単独で算定する。

(1) 手術料(+薬剤料又は特定保険医療材料料等)

(2) 手術料+輸血料(+薬剤料又は特定保険医療材料料等)

(3) 輸血料(+薬剤料又は特定保険医療材料料等)

2 手術料の所定点数とは手術料の項に掲げられた点数及び注加算の合計点数をいい、通則の加算点数は含まない。

3 通則の加算方法は手術料の所定点数に通則中の各加算を足し合わせたものの合計により算定する。

4 手術当日に行われる手術(自己血貯血を除く。)に伴う処置(区分番号I017に掲げる口腔内装置、区分番号I017―1―4に掲げる術後即時顎補綴装置及び区分番号I017―3に掲げる顎外固定を除く。)、検査における診断穿刺・検体採取及び注射の手技料は、特に規定する場合を除き、術前、術後を問わず算定できない。また、内視鏡を用いた手術を行う場合、同時に行う内視鏡検査料は別に算定できない。ここでいう「診断穿刺・検体採取」とは、医科点数表の第3部第4節に掲げる診断穿刺・検体採取料に係るものをいう。

5 手術に当たって通常使用される保険医療材料(包帯、縫合糸(特殊縫合糸を含む。)等)、衛生材料(ガーゼ、脱脂綿及び絆創膏)、外皮用殺菌剤、患者の衣類及び1回の手術に使用される総量価格が15円以下の薬剤は手術の所定点数に含まれる。

ただし、別に厚生労働大臣が定める特定保険医療材料及び1回の手術に使用される特定薬剤の総量価格が15円を超える場合(特定薬剤(区分番号J300に掲げる特定薬剤の(4)に掲げる場合は除く。)にあっては、120点以上の手術又は特に規定する手術に使用した場合を除く。)は、当該手術の所定点数の他に当該特定保険医療材料及び特定薬剤を算定する。

6 「通則3」は、第1節に掲げられていない特殊な手術であって、同節に掲げられている手術のうち、最も近似する手術の所定点数により算定することが妥当であるものは、その都度当局に内議の上、それらの所定点数を準用することができる趣旨の規定である。なお、歯肉息肉除去手術及び簡単な手術は基本診療料に含まれ算定できない。

7 「通則5」による6歳未満の乳幼児又は著しく歯科診療が困難な者に対する加算及び「通則6」による極低出生体重児、新生児又は3歳未満の乳幼児に対する加算は、第1節の手術料の所定点数のみに対する加算である。

8 「通則5」又は「通則15」における著しく歯科診療が困難な者に対する100分の50加算又は100分の30加算とは、開口の保持又は体位、姿勢の保持が必要な患者や頻繁な治療の中断を伴う患者等に対して、患者の状態に留意しながら治療を行った場合等に算定するものをいい、当該加算を算定した日の患者の治療時の状況を診療録に記載する。

9 「通則5」の加算において6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な者である場合の100分の50加算又は100分の30加算は、乳幼児加算のみを算定する。

10 「通則5」、「通則6」及び「通則9」の適用範囲は、第1節の手術料に定める手術のみであって、輸血料、手術医療機器等加算、薬剤料、特定薬剤料及び特定保険医療材料料に対しては適用されない。

11 この部における「主たる手術」とは、所定点数及び注による加算点数を合算した点数の高い手術をいう。

12 「通則8」の加算は、HIV―1抗体価(ウエスタンブロット法)若しくはHIV―2抗体価(ウエスタンブロット法)によってHIV抗体が陽性と認められた患者又はHIV―1核酸同定検査によってHIV―1核酸が確認された患者に対して観血的手術を行った場合に1回に限り算定する。ただし、同日に複数の手術を行った場合は、主たる手術についてのみ加算する。

13 「通則9」の入院中の患者以外に対する手術の休日加算、時間外加算又は深夜加算は、医科点数表の例により算定する。

14 「通則9」の入院中の患者に対する手術の休日加算、時間外加算又は深夜加算は、医科点数表の例により算定する。

15 「通則9」の休日加算、時間外加算又は深夜加算の対象となる時間の取扱いは初診料と同様である。また、「通則9」の加算に係る適用の範囲及び「所定点数」は、「通則5」の加算の取扱いと同様である。

16 緊急のため保険医療機関の表示する診療時間以外の時間に手術を行った場合の時間外加算又は深夜加算は、既に1日の診療の後片付け等が終わった後で、特に手術する必要がある急患のため再度準備を開始する等相当の不測の労力に対する費用として時間外加算等を行う趣旨であるから、時間外であっても予定された手術の場合は時間外等の加算は算定できない。

17 「通則9」の「所定点数が150点」とは、各区分に規定してある所定点数が150点のものをいう。ただし、その処置・手術が全体として一体と考えられる場合は、個々の所定点数の合計が150点以上のときは加算する。

18 歯科領域における緊急疾病の場合(時間外)、例えば外傷時における手術で2本以上の歯を抜歯する場合であって、全体として一体と考えられる手術を行う場合は、個々の抜歯の所定点数の合計が150点以上のときは、「通則9」の加算が認められる。

19 手術開始後、患者の急変等やむを得ない事情により手術を中止せざるを得なかった場合は、当該中止までに施行した実態に最も近似する手術項目により算定する。

20 「通則10」の加算は、次のいずれかに該当する患者に対して全身麻酔、硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を伴う観血的手術を行った場合に1回に限り算定する。ただし、同日に複数の手術を行った場合は、主たる手術についてのみ加算する。

イ 感染症法に基づく医師から都道府県知事等への届出のための基準において、医師による届出が義務付けられているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症の患者(診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断がなされたもの。)

ロ HBs又はHBe抗原によって抗原が陽性と認められたB型肝炎患者

ハ HCV抗体価(定性、定量)によってHCV抗体が陽性と認められたC型肝炎患者

ニ 微生物学的検査により結核菌を排菌していることが術前に確認された結核患者

21 「通則12」でいう「特に規定する場合」とは、各区分における手術名の末尾に両側と記入したものを指す。この場合において、両側にわたり手術を行う医療上の必要性がなく片側の手術のみを行った場合であっても、両側に係る所定点数を算定する。

22 歯科訪問診療は通院困難な療養中の患者について実施するが、消炎鎮痛、有床義歯の調整等の訪問診療で求められる診療の重要性及び困難性を考慮し、区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料を算定する患者であって、同注6に規定する加算を算定しないものに対して行った第8部に掲げる処置、第9部に掲げる手術及び第12部に掲げる歯冠修復及び欠損補綴を行った場合は、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。

イ 区分番号M003(2のロ及びハに限る。)に掲げる印象採得、区分番号M003―3に掲げる咬合印象、区分番号M006(2のロに限る。)に掲げる咬合採得又は区分番号M030に掲げる有床義歯内面適合法 所定点数の100分の70に相当する点数

ロ 区分番号I005(3に限る。)に掲げる抜髄、区分番号I006(3に限る。)に掲げる感染根管処置、区分番号J000(1、2及び3に限る。)に掲げる抜歯手術(注1による加算を算定した場合を除く。)又は区分番号M029に掲げる有床義歯修理 所定点数の100分の50に相当する点数

ハ 区分番号I005(1及び2に限る。)に掲げる抜髄、区分番号I006(1及び2に限る。)に掲げる感染根管処置、区分番号J013(2に限る。)に掲げる口腔内消炎手術 所定点数の100分の30に相当する点数

23 「通則13」の神経移植術とは、区分番号J101に掲げる神経移植術をいう。

24 「通則13」の植皮術とは、区分番号J089分層植皮術及びJ089―2全層植皮術をいう。

25 「通則13」の同一手術野又は同一病巣の算定は、医科点数表の例により算定する。ただし、区分番号J000に掲げる抜歯手術から区分番号J004―3に掲げる歯の移植手術までを複数歯に対して単独で行う場合は、個々の区分により規定する算定単位に応じて算定する。

26 「通則16」の加算は、病理診断により悪性腫瘍であることが確認された場合に限り算定する。

27 同一手術野又は同一病巣に対して複数の手術を行った場合は、主たる手術の所定点数により算定する。

28 区分番号J084からJ087まで、J088、J098、J099及びJ100に掲げる手術について、同一手術野又は同一病巣につき、他の手術と同時に行った場合は、主たる手術により算定する。ただし、神経移植術、骨移植術、植皮術、動脈(皮)弁術、筋(皮)弁術、遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)、複合組織移植術、自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)又は粘膜移植術と他の手術とを同時に行った場合はこの限りでない。

29 第9部に規定する以外の項目は、医科点数表の第2章第10部に掲げる手術の例により算定する。この場合において、特定保険医療材料を使用した場合は、医科点数表第2章第10部第5節特定保険医療材料料の例により算定する。

第1節 手術料

J000 抜歯手術

(1) 抜歯は、歯又は残根の全部を抜去した場合に算定する。

(2) 歯の破折片の除去に要する費用は、区分番号J073に掲げる口腔内軟組織異物(人工物)除去術「1 簡単なもの」の所定点数により算定する。この場合において、浸潤麻酔のもとに破折片を除去した場合は、区分番号K001に掲げる浸潤麻酔料及び使用麻酔薬剤料のそれぞれを算定する。

(3) 抜歯と同時に歯肉を剥離して歯槽骨整形手術等を行った場合は、当該抜歯手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 「注1」に掲げる難抜歯加算とは、歯根肥大、骨の癒着歯又は歯根彎曲等に対して骨の開さく又は歯根分離術等を行った場合に算定する。ただし、高血圧等の全身状態との関連から、単に抜歯に当たり注意を要する場合は、当該加算は算定できない。なお、当該加算の対象となる抜歯において、完全抜歯が困難となりやむを得ず抜歯を中止した場合は、抜歯手術の所定点数及び当該加算を算定する。

(5) 「4 埋伏歯」において、完全抜歯が困難となりやむを得ず抜歯を中止した場合は、所定点数により算定する。

(6) 「4 埋伏歯」とは、骨性の完全埋伏歯又は歯冠部が3分の2以上の骨性埋伏である水平埋伏智歯をいう。

(7) 埋伏智歯の隣接歯を抜去し、同時に埋伏(水平)智歯を抜去した場合は、抜去すべき隣接歯が「注1」に掲げる難抜歯加算の対象であるときは、当該隣接歯について難抜歯加算を算定する。

(8) 抜歯の際、浸潤麻酔は、当該抜歯手術の所定点数に含まれ別に算定できない。ただし、抜歯のための術前処置として手術野の消毒・麻酔等を行い、抜歯の態勢に入ったが、患者の急変によりやむを得ず抜歯を中止した場合は、抜歯手術は算定できないが、麻酔料は別に算定できる。

(9) ブリッジの支台歯の抜歯に当たり、当該ブリッジの支台歯の一部(抜歯を行う部位とは別の支台歯)を保存し得る場合において、抜歯と同日に次の処置を行った場合においては当該処置に係る費用を別に算定して差し支えない。

イ 保存する支台歯に対して根管治療が必要な場合であって、区分番号I005に掲げる抜髄又は区分番号I006に掲げる感染根管処置を行った場合

ロ ポンティックの除去が必要な場合であって、区分番号I019に掲げる歯冠修復物又は補綴物の除去を行った場合

ハ 保存する支台歯の歯冠修復物又は補綴物の除去が必要な場合であって、区分番号I019に掲げる歯冠修復物又は補綴物の除去を行った場合

J000―2 歯根分割掻爬術

歯根分割を行い分岐部病変の掻爬を行って歯の保存を図った場合に、1歯単位で所定点数を算定する。

J000―3 上顎洞陥入歯等除去術

(1) 「1 抜歯窩から行う場合」は、当該保険医療機関において行った治療に基づかない上顎洞へ陥入した歯の除去を、抜歯窩より行った場合に算定する。

(2) 「2 犬歯窩開さくにより行う場合」は、当該保険医療機関において行った治療に基づかない上顎洞へ陥入した歯の除去を、犬歯窩を開さくして行った場合に算定する。

(3) 当該保険医療機関において行った治療に基づき上顎洞へ陥入した歯の除去に要する費用は、区分番号J000に掲げる抜歯手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 他の医療機関において行った治療により上顎洞へ陥入した歯科インプラントの除去を犬歯窩を開さくして行った場合は、「2 犬歯窩開さくにより行う場合」により算定する。この場合において、区分番号J082に掲げる歯科インプラント摘出術は別に算定できない。

J001 ヘミセクション(分割抜歯)

(1) 複根歯において必要があって保存し得る歯根を残して分割抜歯を行った場合は、所定点数により算定する。

(2) ヘミセクション(分割抜歯)と同時に歯肉を剥離して歯槽骨整形手術等を行った場合は、ヘミセクション(分割抜歯)の所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) ヘミセクション(分割抜歯)に当たり、歯冠修復物又は補綴物の除去を行った場合は区分番号I019に掲げる歯冠修復物又は補綴物の除去を別に算定して差し支えない。

J002 抜歯窩再掻爬手術

抜歯窩に対して再掻爬手術を行った場合は、1歯に相当する抜歯窩を単位として所定点数を算定する。

J003 歯根嚢胞摘出手術

(1) 歯根嚢胞摘出手術において歯冠大とは、当該歯根嚢胞の原因歯となった歯の歯冠大をいう。

(2) 歯根嚢胞摘出手術と歯槽骨整形手術を同時に行った場合は、当該歯槽骨整形手術は歯根嚢胞摘出手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

J004 歯根端切除手術(1歯につき)

(1) 歯根端切除手術と同時に行った根管充填は別に算定する。

(2) 歯根端切除手術を行うに際して、歯根端切除部の根管の閉鎖を行った場合は、歯根端切除手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 次の手術は算定できない。

イ 乳歯に対する歯根端切除手術

ロ 歯根端掻爬手術

(4) 当該保険医療機関の治療に基づかない、根管外に突出した異物又は顎骨内に存在する異物等を、骨の開さくを行って除去した場合は、1回につき本区分により算定する。なお、歯根端切除手術と同時に行った顎骨内異物除去は、歯根端切除手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(5) 2は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、歯科用3次元エックス線断層撮影装置を用いて得られた画像診断の結果を踏まえ、手術用顕微鏡を用いて行った場合に算定する。

J004―2 歯の再植術

(1) 外傷性の歯の脱臼に対して歯の再植術を行った場合に算定する。

(2) 歯の再植術と併せて、同時に行った根管治療に係る費用は、区分番号I005に掲げる抜髄及び区分番号I008に掲げる根管充填及び区分番号I008―2に掲げる加圧根管充填処置に限り別に算定する。なお、歯髄処置が行われていた失活歯が外傷により脱臼した場合において、歯根膜の状態が良好な場合等においては当該手術を算定して差し支えない。この場合において、感染根管処置を同時に行った場合においては、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号I008に掲げる根管充填及び区分番号I008―2に掲げる加圧根管充填処置に限り別に算定する。

(3) 外傷による幼若永久前歯の脱臼時に歯の再植術を行い、歯内療法を後日実施した場合は、歯内療法に係る費用は別に算定する。

(4) 歯内治療が困難な根尖病巣を有する保存が可能な小臼歯又は大臼歯であって、解剖学的な理由から歯根端切除手術が困難な症例に対して、歯の再植による根尖病巣の治療を行った場合は、本区分により算定する。この場合において、当該手術と同時に行った根管治療に係る費用は、区分番号I008に掲げる根管充填及び区分番号I008―2に掲げる加圧根管充填処置に限り別に算定する。なお、歯の移動を目的に含む場合は算定できない。

(5) 診療録に手術内容の要点を記載する。

J004―3 歯の移植手術

(1) 保存不適で抜歯した歯の抜歯窩に、同一患者から抜去した埋伏歯又は智歯を移植した場合に限り算定する。

(2) 歯の移植手術と一連で行った根管治療に係る費用は、別に算定する。

(3) 診療録に手術内容の要点を記載する。

J006 歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術

(1) 歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術は、1歯に相当する範囲を単位として算定する。

(2) 上顎臼後結節の頬側が隆起し、義歯装着に際して障害になる場合において、上顎臼後結節部の頬側隆起部を削除及び整形した場合は本区分の所定点数により算定する。

(3) 区分番号I005に掲げる抜髄又は区分番号I006に掲げる感染根管処置を行うに当たり、根管側壁、髄室側壁又は髄床底に穿孔がある場合に、当該穿孔の封鎖を歯肉の剥離により実施したときは、本区分及び保険医療材料料を算定する。

J007 顎骨切断端形成術

顎骨腫瘍の摘出等を行い、治癒後に口蓋補綴、顎補綴を行うに当たり顎骨断端の鋭縁等の整形手術を行った場合に算定する。

J008 歯肉、歯槽部腫瘍手術(エプーリスを含む)

歯肉、歯槽部腫瘍手術とは、歯肉若しくは歯槽部に生じた良性腫瘍又は嚢胞(歯根嚢胞を除く。)を摘出する手術をいう。

J009 浮動歯肉切除術

浮動歯肉切除術は、有床義歯を製作するに当たり義歯床の安定を阻害する浮動歯肉(義歯性線維腫(症)を含む。)の切除を行った場合に算定する。

J010 顎堤形成術

(1) 「1 簡単なもの」とは、義歯の製作に当たり口腔前庭を拡張することにより顎堤の形成を行ったもの又は口腔前庭形成手術をいう。

(2) 「2 困難なもの(2分の1顎未満)」及び「3 困難なもの(2分の1顎以上)」とは、腫瘍摘出等による顎欠損に対して当該摘出術とは別の日に、骨移植及び人工骨の挿入等により顎堤の形成を行ったものをいう。

(3) (2)について、人工骨の挿入に要する費用は、「2 困難なもの」の所定点数に含まれる。

(4) 口腔外から骨片を採取して骨移植術を行った場合は、区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)の所定点数を併せて算定する。なお、骨片切採術の手技料は区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)の所定点数に含まれ、骨移植に用いる骨片をその必要があって2箇所(例えば脛骨と骨盤)から切除した場合であっても当該骨の採取術に係る手技料は算定できない。

(5) 顎堤形成術は、手術のために使用する床の製作を含むが、義歯を製作して手術のために使用した場合は別に区分番号M018に掲げる有床義歯を算定する。

J011 上顎結節形成術

(1) 上顎結節形成術は、上顎臼後結節を広範囲に切除及び整形した場合又は上顎結節部を形成した場合に算定する。

(2) 「1 簡単なもの」とは、義歯製作に際して上顎臼後結節が著しい障害となる症例に対して、義歯の安定を図るために上顎臼後結節を広範囲に切除及び整形したものをいい、次のいずれかの場合に算定する。

イ 上顎臼後結節が障害となり、適切な人工歯排列が困難な場合

ロ 上顎臼後結節が下顎の有床義歯等と干渉し、適切な床後縁設定が困難な場合

(3) 「2 困難なもの」とは、上顎臼後結節が偏平となっている症例に対して、義歯の安定を図るために上顎結節部を形成した場合に算定する。

J012 おとがい神経移動術

おとがい神経移動術は、おとがい孔部まで歯槽骨吸収が及び、義歯装着時に神経圧迫痛があるため、義歯の装着ができないと判断される患者に対し、行った場合に算定する。

J013 口腔内消炎手術

(1) 口腔内消炎手術とは、炎症病巣に対して口腔内より消炎手術を行うものをいい、同一病巣に対する消炎手術を同時に2以上実施しても、主たる手術のみにより算定する。

(2) 辺縁性歯周炎の急性発作に対する消炎手術は、「2 歯肉膿瘍等」により算定する。

(3) 顎炎及び顎骨骨髄炎に対して骨の開さく等を行い、消炎を図った場合は、「4 顎炎又は顎骨骨髄炎等」の該当項目により算定する。なお、顎炎とは顎骨内の感染を初発とする広範囲にわたる炎症をいう。

(4) 本区分の算定に当たっては、手術部位、症状及び手術内容の要点を診療録に記載する。

(5) 萌出困難な歯について、被覆粘膜の切開により開窓術を行った場合(歯槽骨の切除を行う場合を除く。)は、「1 智歯周囲炎の歯肉弁切除等」により算定する。

(6) 歯周病以外の原因により当該手術を実施した場合において、当該手術と同日に歯周疾患処置を行った場合は区分番号I010に掲げる歯周疾患処置及び特定薬剤料を別に算定して差し支えない。

J015 口腔底腫瘍摘出術

口腔底腫瘍摘出術とは、口腔底に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。

J015―2 口腔底迷入下顎智歯除去術

(1) 口腔底迷入下顎智歯除去術は、当該保険医療機関の治療に基づかない口腔底に迷入した下顎智歯の摘出手術を行った場合に算定する。

(2) 当該保険医療機関の治療に基づく場合は、J000に掲げる抜歯手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

J016 口腔底悪性腫瘍手術

(1) 口腔底悪性腫瘍手術その他の悪性腫瘍手術の加算の対象となる頚部郭清術(ネックディセクション)とは、単なる病変部のリンパ節の清掃ではなく、片側又は両側の頚部領域組織の徹底的な清掃を行う場合をいう。

(2) 他の手術に併せて行った頚部リンパ節の単なる郭清の加算は所定点数に含まれ別に算定できない。なお、単独に行った場合は、医科点数表の区分番号K627に掲げるリンパ節群郭清術の「2 頸部(深在性)」により算定する。

J017 舌腫瘍摘出術

舌腫瘍摘出術とは、舌に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。

J019 口蓋腫瘍摘出術

口蓋腫瘍摘出術とは、口蓋に生じた良性腫瘍又は嚢胞(歯根嚢胞を除く)を摘出する手術をいう。

J022 顎・口蓋裂形成手術

顎・口蓋裂形成手術の2次手術において、腸骨海綿骨移植を行った場合は、「3 顎裂を伴うもの」に併せて、区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)により算定する。

J024―3 軟口蓋形成手術

いびきに対する軟口蓋形成手術を行った場合に算定する。

J027 頬、口唇、舌小帯形成術

(1) 頬、口唇、舌小帯形成術は、次の場合に算定する。

イ 頬、口唇、舌小帯に対する形成手術を行った場合

ロ 頬、口唇、舌小帯に対する切離移動術を行った場合

ハ 小帯等を切除して開窓術を行った場合

ニ ピエール・ロバン症候群の患者に対し、舌の前方牽引を行った場合

(2) (1)に掲げる手術を、2分の1顎の範囲内における複数の頬小帯に対して行った場合は、2箇所以上であっても1箇所として算定する。

J030 口唇腫瘍摘出術

口唇腫瘍摘出術とは、口唇に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。

J033 頬腫瘍摘出術

(1) 頬腫瘍摘出術とは、頬部に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。

(2) 下顎角部又は下顎枝に埋伏している下顎智歯を、口腔外より摘出を行った場合は、本区分により算定する。

J034 頬粘膜腫瘍摘出術

頬粘膜腫瘍摘出術とは、頬粘膜に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。

J035―2 口腔粘膜血管腫凝固術

(1) 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、口腔・顎・顔面領域に生じた血管腫・血管奇形に対して、レーザー照射した場合に一連につき1回に限り算定する。

(2) 「一連」とは、治療の対象となる疾患に対して所期の目的を達するまでに行う一連の治療過程をいう。例えば、対象病変部位の一部ずつに照射する場合や、全体に照射することを数回繰り返して一連の治療とする場合は、1回のみ所定点数を算定する。

(3) レーザー照射を行った場合は、病変の部位及び大きさ等の病変の状態について診療録に記載すること。

J037 上顎洞口腔瘻閉鎖術

(1) 「2 困難なもの」とは、陳旧性のもの又は減張切開等を必要とするものをいう。

(2) 上顎洞へ抜歯窩より穿孔がある場合の閉鎖手術は、新鮮創であっても減張切開等を必要とする場合は、上顎洞口腔瘻閉鎖術の「2 困難なもの」の所定点数により算定する。

(3) 「3 著しく困難なもの」とは、腫瘍摘出後等による比較的大きな穿孔に対して、粘膜弁移動術、粘膜移植術等により閉鎖を行うものをいう。なお、口腔粘膜弁の製作・移動術及び口腔粘膜移植術は「3 著しく困難なもの」の所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 「3 著しく困難なもの」について植皮術を併せて行った場合は区分番号J089に掲げる分層植皮術、区分番号J089―2に掲げる全層植皮術又は区分番号J090に掲げる皮膚移植術(生体・培養)の所定点数を合算して算定する。

(5) 「3 著しく困難なもの」について、口腔粘膜弁及び口腔粘膜移植以外の区分番号J091に掲げる皮弁作成術、移動術、切断術、遷延皮弁術から区分番号J097に掲げる粘膜移植術までの手術を併せて行った場合は主たる手術の所定点数に従たる手術の所定点数の100分の50を加算して算定する。

(6) 腫瘍摘出等により上顎洞又は鼻腔に比較的大きな穿孔を生じた場合の閉鎖術は「3 著しく困難なもの」により算定する。

(7) 埋伏歯の抜去や顎骨骨内病巣を除去し、後日二次的に創腔の閉鎖を行った場合は、「1 簡単なもの」により算定する。

J039 上顎骨悪性腫瘍手術

上顎骨に生ずるエナメル上皮腫に対する手術について、悪性腫瘍手術に準じて行った場合は、「2 切除」又は「3 全摘」の各区分により算定して差し支えない。

J041 下顎骨離断術

(1) 下顎骨骨折により、顎偏位のままで異常癒着を起し、咬合不全を伴っている場合に異常癒着部を離断し整復を行った場合は、本区分により算定する。

(2) 骨吸収抑制薬関連顎骨壊死又は放射線性顎骨壊死による腐骨除去術であって、下顎骨離断を行う場合は本区分により算定する。

J042 下顎骨悪性腫瘍手術

下顎骨に生ずるエナメル上皮腫に対する手術について、悪性腫瘍手術に準じて行った場合は、「1 切除」から「3 切断(その他のもの)」までの各区分により算定して差し支えない。また、単胞性エナメル上皮腫の手術の場合も同様に「1 切除」から「3 切断(その他のもの)」までの各区分により算定して差し支えない。

J043 顎骨腫瘍摘出術(歯根嚢胞を除く。)

(1) 顎骨腫瘍摘出術とは、顎骨内に生じた良性腫瘍又は嚢胞(歯根嚢胞を除く。)を摘出する手術をいう。

(2) 下顎角部又は下顎枝に埋伏している下顎智歯を、口腔内より摘出を行った場合は、本区分により算定する。

J044―2 埋伏歯開窓術

萌出困難な歯に対して開窓術(歯槽骨及び被覆粘膜を切除する手術)を行った場合に算定する。

J045 口蓋隆起形成術

次のいずれかの場合において、口蓋隆起を切除及び整形した場合に算定する。なお、診療録に理由及び要点を記載すること。

イ 義歯の装着に際して、口蓋隆起が著しい障害となるような場合

ロ 咀嚼又は発音に際して、口蓋隆起が著しい障害となるような場合

J046 下顎隆起形成術

次のいずれかの場合において、下顎隆起を切除及び整形した場合に算定する。なお、診療録に理由及び手術内容の要点を記載すること。

イ 義歯の装着に際して、下顎隆起が著しい障害となるような場合

ロ 咀嚼又は発音に際して、下顎隆起が著しい障害となるような場合

J047 腐骨除去手術

(1) 骨吸収抑制薬関連顎骨壊死又は放射線性顎骨壊死以外の原因により当該手術を行う場合において、2歯までの範囲であれば顎骨に及ぶものであっても「1 歯槽部に限局するもの」により算定する。

(2) 骨吸収抑制薬関連顎骨壊死若しくは放射線性顎骨壊死により分離した腐骨の除去又は必要性があって周囲骨拡大除去を行う場合は、歯槽部に限局するものであっても、その範囲に応じて「2 顎骨に及ぶもの」の該当するいずれかの項目により算定する。

なお、顎骨壊死の範囲が深部に及び、やむを得ず顎骨の切除が必要な場合は、区分番号J038に掲げる上顎骨切除術、区分番号J040に掲げる下顎骨部分切除術又は区分番号J041に掲げる下顎骨離断術のいずれか該当する区分により算定する。

J048 口腔外消炎手術

(1) 口腔外消炎手術における長さ(2センチメートル未満等)とは、膿瘍、蜂窩織炎等の大きさをいい、切開を加えた長さではない。

(2) 重症な顎炎等に対して複数の切開により、口腔外からの消炎手術を行った場合は、「2のイ 3分の1顎以上の範囲のもの」により算定する。

(3) 広範囲で極めて重症な顎炎等に対して、中・下頸部又は鎖骨上窩等を切開し、口腔外から消炎手術を行った場合は、「2のロ 全顎にわたるもの」により算定する。

J053 唾石摘出術

(1) 「1」表在性のものとは、導管開口部分付近に位置する唾石をいう。

(2) 「2」深在性のものとは、腺体付近の導管等に位置する唾石をいう。

(3) 所期の目的を達成するために複数回実施した場合も一連として算定する。

J059 耳下腺腫瘍摘出術

耳下腺腫瘍摘出術とは、耳下腺に生じた良性腫瘍又は嚢胞を摘出する手術をいう。

J063 歯周外科手術

(1) 歯周外科手術とは、区分番号D002に掲げる歯周病検査の「2 歯周精密検査」に規定する歯周精密検査の結果に基づき行われる歯周ポケット掻爬術、新付着手術、歯肉切除手術、歯肉剥離掻爬手術、歯周組織再生誘導手術及び歯肉歯槽粘膜形成手術をいう。

なお、歯周外科手術の実施に当たっては、「歯周病の治療に関する基本的な考え方」(令和2年3月日本歯科医学会)を参考とする。

(2) 歯周外科手術と同時に行われる区分番号I011に掲げる歯周基本治療は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 歯周外科手術における縫合又はパックはそれぞれの所定点数に含まれる。

(4) 「注4」の「簡単な暫間固定」とは、暫間固定を行う部位において、歯周外科手術を行う歯数が4歯未満の場合であって、固定源となる歯を歯数に含めない4歯未満の暫間固定をいう。

(5) 暫間固定を行う部位において、歯周外科手術を行う歯数が4歯以上の場合であって、固定源となる歯を歯数に含めない4歯以上の暫間固定は、歯周外科手術とは別に区分番号I014に掲げる暫間固定の「2 困難なもの」の所定点数により算定する。

(6) 暫間固定に当たって印象採得を行った場合は1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「3 口腔内装置」を、咬合採得を行った場合は、1装置につき、装置の範囲に相当する歯数が8歯以下の場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(1) 少数歯欠損」、装置の範囲に相当する歯数が9歯以上は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(2) 多数歯欠損」又は装置の範囲に相当する歯数が全歯にわたる場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のロの(3) 総義歯」の所定点数を、装着を行った場合は1装置につき区分番号M005に掲げる装着の「3 口腔内装置の装着の場合」の所定点数及び装着材料料を算定する。ただし、エナメルボンドシステムにより連結固定を行った場合は、装着料及び装着材料料は別に算定できない。

(7) 歯肉剥離掻爬手術と併せて、区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)を行った場合は、歯肉剥離掻爬手術及び区分番号J063―2に掲げる骨移植術(軟骨移植術を含む。)のそれぞれを併せて算定する。

(8) 「5 歯周組織再生誘導手術」は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、区分番号D002に掲げる歯周病検査の「2 歯周精密検査」に規定する歯周精密検査の結果に基づき、根分岐部病変又は垂直性骨欠損を有する歯に対して、吸収性膜又は非吸収性膜の固定を行った場合に、「イ 1次手術」の所定点数により算定する。また、「イ 1次手術」において、非吸収性膜を使用した場合であって、一定期間の経過観察後、非吸収性膜を除去した場合においては、「ロ 2次手術」の所定点数により算定する。なお、歯周組織再生材料料は別に算定する。

(9) 「5 歯周組織再生誘導手術」を実施した場合は、エックス線撮影等により得られた術前の対象歯の根分岐部病変又は垂直性骨欠損の状態、手術部位及び手術内容の要点を診療録に記載する。

(10) 「5 歯周組織再生誘導手術」を算定した場合は、「4 歯肉剥離掻爬手術」は別に算定できない。

(11) 歯肉歯槽粘膜形成手術は、歯周疾患の治療において、必要があって「6のイ 歯肉弁根尖側移動術」から「6のホ 口腔前庭拡張術」までに掲げる手術を行った場合に算定する。なお、「6のイ 歯肉弁根尖側移動術」から「6のハ 歯肉弁側方移動術」までは1歯単位により算定し、「6のニ 遊離歯肉移植術」及び「6のホ 口腔前庭拡張術」は手術単位により算定する。

(12) 「6のイ 歯肉弁根尖側移動術」は、付着歯肉の幅が狭く付着歯肉の幅の増加を目的として行った場合又は歯周病で深いポケットが歯肉歯槽粘膜境を超えて存在しその歯周ポケットの除去を目的として行った場合に算定する。

(13) 「6のロ 歯肉弁歯冠側移動術」は、歯冠側へ歯肉弁を移動させ露出した歯根面の被覆を目的として行った場合に限り算定する。

(14) 「6のハ 歯肉弁側方移動術」は、歯肉退縮による歯根面露出が認められる少数歯において、歯根面露出部位に隣接歯の辺縁歯肉から側方に歯肉弁を移動させ露出した歯根面を被覆することを目的として行った場合に算定する。

(15) 「6のニ 遊離歯肉移植術」とは、歯肉の供給側より採取した移植片の歯肉を、付着させる移植側へ移植を行うものをいい、付着歯肉幅の拡大、露出歯根面の被覆又は歯槽堤形成等を目的に手術を行った場合に算定する。

(16) 「6のホ 口腔前庭拡張術」は、次により口腔前庭の拡張を行った場合に限り算定する。

イ 頬唇側の口腔前庭が浅いために十分なプラークコントロールが行えない場合

ロ 歯冠修復物を装着するに際して付着歯肉の幅が著しく狭い場合

(17) 「6のホ 口腔前庭拡張術」と同時に行った小帯(頬、口唇、舌小帯等)の切離移動又は形成は、口腔前庭拡張術に含まれ別に算定できない。

(18) 実施に当たっては、診療録に手術部位及び手術内容の要点を記載する。

(19) 区分番号I011―2に掲げる歯周病安定期治療(Ⅰ)又は区分番号I011―2―2に掲げる歯周病安定期治療(Ⅱ)を開始した日以降に行った場合は、所定点数(注1の加算を含む。)の100分の50により算定する。

(20) 「注5」に規定する加算におけるレーザー照射とは、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、歯肉剥離掻爬手術又は歯周組織再生誘導手術において、明視下で蒸散により歯根面の歯石除去を行うことが可能なものとして保険適用となっているレーザーによる照射をいう。

J063―2 骨移植術(軟骨移植術を含む)

(1) 「1のイ 簡単なもの」とは、当該患者の口腔内から採取した骨片等の移植を行った場合をいう。

(2) 「1のロ 困難なもの」とは、当該患者の口腔外から採取した骨片等の移植を行った場合をいう。

(3) 「2 同種骨移植(生体)」は、特定保険医療材料である人工骨等を用いた場合は算定できない。

(4) 骨移植術を行った場合は、他の手術と骨移植術を併せて算定する。なお、骨移植術は、骨片切採術の手技料が含まれ、骨移植術において骨移植に用いる骨片をその必要があって2箇所(例えば脛骨と骨盤)から切除した場合であっても当該採取に係る手技料は別に算定できない。

(5) 移植術は、採取した骨片を複数箇所に移植した場合も1回の算定とする。

(6) 「1 自家骨移植」の「ロ 困難なもの」において、骨片採取のみに終わり骨移植に至らない場合は、本区分を算定せず、区分番号J063―3に掲げる骨(軟骨)組織採取術を算定する。

(7) 自家骨軟骨移植術を行った場合は、本区分の「1のロ 困難なもの」により算定する。

(8) 同種骨(凍結保存された死体骨を含む。)を移植する場合においては、日本組織移植学会が作成した「ヒト組織を利用する医療行為の安全性確保・保存・使用に関するガイドライン」を遵守した場合に限り算定する。

(9) 「3 同種骨移植(非生体)」の「イ 同種骨移植(特殊なもの)」は、腫瘍、感染、人工関節置換等に係る広範囲の骨及び靱帯組織の欠損に対して、日本組織移植学会が認定した組織バンクにおいて適切に採取、加工及び保存された非生体の同種骨及び靱帯組織を使用した場合に限り算定できる。なお、この場合、骨移植等を行った保険医療機関と骨移植等に用いた同種骨等を採取した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求については、同種骨移植等を行った保険医療機関で行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

(10) その他骨移植術の医科と共通の項目は、医科点数表の区分番号K059に掲げる骨移植術の例により算定する。

J063―3 骨(軟骨)組織採取術

区分番号J063―2に掲げる骨移植術の「1のロ 困難なもの」の実施に当たり、骨片採取のみに終わり骨移植に至らなかった場合に限り算定する。

J066 歯槽骨骨折観血的整復術

歯槽骨骨折に対し、歯肉粘膜を剥離して観血的に歯槽骨の整復を行った場合に算定する。

J069 上顎骨形成術

(1) 「単純な場合」とは、上顎骨発育不全症、外傷後の上顎骨後位癒着、上顎前突症、開咬症又は過蓋咬合症等に対し、Le Fort Ⅰ型切離又は上顎骨部分切離により移動を図る場合をいう。

(2) 「注1」に規定する加算は、上顎骨発育不全症、外傷後の上顎骨後位癒着、上顎前突症、開咬症又は過蓋咬合症等に対し、Le Fort Ⅰ型切離を行い、上顎骨を複数に分割して移動させた場合に算定する。

(3) 「複雑な場合及び2次的再建の場合」とは、同様の症例に対し、Le Fort Ⅱ型若しくはLe Fort Ⅲ型切離により移動する場合又は悪性腫瘍手術等による上顎欠損症に対し2次的骨性再建を行う場合をいう。

J070 頬骨骨折観血的整復術

頬骨骨折観血的整復術とは、頬骨又は頬骨弓の骨折を観血的に整復する手術をいう。

J071 下顎骨折非観血的整復術

下顎骨折非観血的整復術の「注」の加算は、連続した歯に対して、三内式線副子以上を使用した結紮法を行った場合に算定し、これに至らない場合は、所定点数に含まれ別に算定できない。

J072―2 下顎関節突起骨折観血的手術

「2 両側」は、両側の下顎関節突起骨折について観血的に手術を行った場合に算定する。

J073 口腔内軟組織異物(人工物)除去術

(1) 「簡単なもの」とは、異物(人工物)が比較的浅い組織内にあり、非観血的あるいは簡単な切開で除去できるものをいう。なお、歯の破折片の除去(う蝕除去に伴うものを除く。)に係る費用は、「1 簡単なもの」により算定する。この場合において、浸潤麻酔の下に破折片を除去した場合は、区分番号K001に掲げる浸潤麻酔料及び使用麻酔薬剤料のそれぞれを算定する。

(2) 「困難なもの」とは、除去に当たって組織の剥離を必要とするものをいう。

(3) 「著しく困難なもの」とは異物の位置が確定できず、なおかつ深部に存在するため大きく深い切開等を必要とするものをいう。

(4) 口腔内軟組織異物(人工物)除去術は、異物の数にかかわらず所定点数を1回に限り算定する。ただし、当該除去物は同一術野で除去できるものに限る。

(5) 「1 簡単なもの」、「2 困難なもの」及び「3 著しく困難なもの」のうち、2以上を同時に行った場合は、主たる手術のみにより算定する。

(6) 口腔組織にささっている魚骨を除去した場合は、基本診療料に含まれ別に算定できない。

J074 顎骨内異物(挿入物を含む。)除去術

(1) 「1 簡単なもの」は、顎骨骨折における観血的整復、上顎骨形成術又は下顎骨形成術における顎骨の固定等に用いた金属線又はスクリューの除去を行った場合に算定する。

(2) 「2 困難なもの」は、顎骨骨折における観血的整復、上顎骨形成術又は下顎骨形成術における顎骨の固定等に用いた骨体固定金属板の撤去を行った場合に算定する。

J075 下顎骨形成術

下顎前突のとき下顎両側第一小臼歯を抜歯し、この部位で下顎骨を切断して後退させる下顎前突症手術は、「1 おとがい形成の場合」により算定する。

J075―2 下顎骨延長術

医科点数表の区分番号K444―2に掲げる下顎骨延長術の例により算定する。

J076 顔面多発骨折観血的手術

顔面多発骨折観血的手術は、上下顎が同時に骨折した場合等、複数の骨に対して観血的手術を行った場合に算定する。

J077 顎関節脱臼非観血的整復術

顎関節脱臼非観血的整復術は、片側につき算定する。

J080 顎関節授動術

(1) 「1のイ 単独の場合」とは、顎関節症による急性クローズドロックの解除又は慢性クローズドロックによる開口制限の改善を目的として、徒手的授動術を行うものをいう。なお、所期の目的を達成するために複数回実施した場合も一連として算定する。

(2) 「1のロ パンピングを併用した場合」とは、パンピング(顎関節腔に対する薬剤の注入、洗浄)を併用して、徒手的に下顎を授動することにより顎関節可動域の増加を目的とするものをいう。この場合において、関節腔に対する薬剤の注入を行った場合は、区分番号G007に掲げる関節腔内注射又は区分番号G008に掲げる滑液嚢穿刺後の注入を併せて算定する。

(3) 「1のハ 関節腔洗浄療法を併用した場合」とは、局所麻酔下で上関節腔に注射針を2本刺入し、上関節腔を薬剤にて自然潅流することにより顎関節可動域の増加又は除痛を目的とするものをいう。この場合において、関節腔に対する薬剤の注入を行った場合は、区分番号G007に掲げる関節腔内注射又は区分番号G008に掲げる滑液嚢穿刺後の注入を併せて算定する。

(4) 顎関節鏡下授動術とは、主に繊維性癒着を適応とし、関節の可動域を制限している関節内癒着部を内視鏡下にメス、シェイバー、レーザー等を用いて切離し、可動域の増加を目的とするものをいう。

(5) 開放授動術とは、主に強直症を適応とし、顎関節を切開開放して直視下に癒着部の切離又は切除を行うことで可動域の増加を目的とするものをいう。

(6) 瘢痕性顎関節強直症に対する手術は、「3 開放授動術」により算定する。

(7) 筋突起過長又は咀嚼筋腱・腱膜過形成症による顎運動障害等のため、筋突起形成術を行った場合は、「3 開放授動術」により算定する。

J081 顎関節円板整位術

(1) 顎関節鏡下円板整位術とは、関節鏡視下に転位円板を牽引し、縫合固定することにより整位するものをいう。

(2) 開放円板整位術とは、顎関節を切開開放して直視下に転位円板を牽引し、縫合固定することにより整位するものをいう。

J082 歯科インプラント摘出術

(1) 他の医療機関で埋植した歯科インプラントを撤去した場合に、当該摘出物の種別に応じて算定する。

(2) 同一又は他の保険医療機関で埋入した区分番号J109に規定する広範囲顎骨支持型装置を撤去した場合は、本区分により算定する。

J083 顎骨インプラント摘出術

(1) 「顎骨インプラント」とは、腫瘍摘出後等による顎骨欠損に対して埋植した人工骨及び人工骨頭等の欠損補綴用人工材料(体内)をいう。

(2) 埋植した顎骨インプラントを感染による化膿や破折等の理由でやむを得ず摘出した場合は、顎骨インプラント摘出術を算定する。ただし、当該保険医療機関の治療に基づく異物(骨折手術に用いられた金属内副子等を除く。)について除去を行っても、区分番号J073に掲げる口腔内軟組織異物(人工物)除去術、区分番号J074に掲げる顎骨内異物(挿入物を含む。)除去術及び区分番号J082に掲げる歯科インプラント摘出術は、算定できない。

J084 創傷処理

(1) 創傷処理とは、切・刺・割創又は挫創に対して切除、結紮又は縫合を行う場合の第1回治療のことをいう。ここで筋肉又は臓器に達するものとは、単に創傷の深さを指すものではなく、筋肉又は臓器に何らかの処理を行った場合をいう。

(2) 創傷が数箇所あり、これを個々に縫合する場合は、近接した創傷についてはそれらの長さを合計して1つの創傷として取り扱い、他の手術の場合に比し著しい不均衡を生じないようにする。

(3) 「3」の「イ 頭頸部のもの(長径20センチメートル以上のものに限る。)」は、長径20センチメートル以上の重度軟部組織損傷に対し、全身麻酔下で実施した場合に限り算定できる。

(4) 「注2」の「露出部」とは、頭部、頸部、上肢にあっては肘関節以下及び下肢にあっては膝関節以下をいう。

(5) 「注3」のデブリードマンの加算は、汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに限り算定する。

(6) 抜歯又は智歯歯肉弁切除等の術後、後出血を起こし簡単に止血(圧迫等により止血)できない場合における後出血処置は「4 筋肉、臓器に達しないもの(長径5センチメートル未満)」により算定する。なお、手術当日の後出血に対する処置は算定できないが、後出血により再度来院した場合であって、簡単に止血できない場合においては「4 筋肉、臓器に達しないもの(長径5センチメートル未満)」により算定して差し支えない。

(7) 口腔内における縫合術及び口腔外における縫合術(顔面創傷等の場合)は、大きさ及び深さに応じ、各号の所定点数により算定する。

J084―2 小児創傷処理(6歳未満)

(1) 創傷処理とは、切・刺・割創又は挫創に対して切除、結紮又は縫合を行う場合の第1回治療をいう。なお、ここで筋肉又は臓器に達するものとは、単に創傷の深さを指すものではなく、筋肉又は臓器に何らかの処理を行った場合をいう。

(2) 創傷が数箇所あり、これを個々に縫合する場合は、近接した創傷はそれらの長さを合計して1つの創傷として取り扱い、他の手術の場合に比し著しい不均衡を生じないようにする。

(3) 「注2」の「露出部」とは、顔面、頸部、上肢にあっては肘関節以下及び下肢にあっては膝関節以下(足底部を除く。)をいう。

(4) 「注3」のデブリードマンの加算は、汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに限り算定する。

(5) 抜歯又は智歯歯肉弁切除等の術後、後出血を起こし簡単に止血(圧迫等により止血)できない場合における後出血処置は、「6 筋肉、臓器に達しないもの(長径2.5センチメートル以上5センチメートル未満)」により算定する。なお、手術当日の後出血に対する処置は算定できないが、後出血により再度来院した場合であって、簡単に止血できない場合においては「6 筋肉、臓器に達しないもの(長径2.5センチメートル以上5センチメートル未満)」により算定して差し支えない。

(6) 口腔内における縫合術及び口腔外における縫合術(顔面創傷等の場合)は、大きさ及び深さに応じ、各号の所定点数により算定する。

J085 デブリードマン

(1) 区分番号J089に掲げる全層、分層植皮術から区分番号J097に掲げる粘膜移植術までの手術を前提に行う場合にのみ算定する。

(2) 汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに算定する。

J089 分層植皮術及びJ089―2 全層植皮術

デルマトームを使用した場合は、所定点数に含まれ別に算定できない。

J090 皮膚移植術(生体・培養)、J090―2 皮膚移植術(死体)

医科点数表の区分番号K014に掲げる皮膚移植術(生体・培養)及び医科点数表の区分番号K014―2に掲げる皮膚移植術(死体)の例により算定する。

J093 遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)

遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)を行うに当たり、微小血管自動縫合器を使用した場合は、医科点数表の区分番号K936―3に掲げる微小血管自動縫合器加算の例により算定する。

J096 自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)

区分番号J096に掲げる自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)を行うに当たり、微小血管自動縫合器を使用した場合は、医科点数表の区分番号K936―3に掲げる微小血管自動縫合器加算の例により算定する。

J099―2 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置

医科点数表の区分番号K611に掲げる抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置の例により算定する。

J100―2 中心静脈注射用植込型カテーテル設置

医科点数表の区分番号K618に掲げる中心静脈注射用植込型カテーテル設置の例により算定する。

J101―2 神経再生誘導術

神経再生誘導術は、神経再生誘導材を用いて神経再建を実施した場合に算定する。

J102 交感神経節切除術

(1) 疼痛等に対して、眼窩下孔部又はおとがい孔部で末梢神経遮断(挫滅又は切断)術を行った場合に算定する。

(2) おとがい孔部における末梢神経遮断(挫滅又は切断)術と同時に行ったおとがい孔閉鎖に係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

J104 皮膚腫瘍冷凍凝固摘出術

口腔領域の皮膚(粘膜)腫瘍又は皮下(粘膜下)腫瘍に対して冷凍凝固摘出術を行った場合に算定する。

J104―2 皮膚悪性腫瘍切除術

医科点数表の区分番号K007に掲げる皮膚悪性腫瘍切除術の例により算定する。

J105 瘢痕拘縮形成手術

単なる拘縮に止まらず運動制限を伴うような外傷又は腫瘍摘出術等による瘢痕性拘縮の症例に対して、瘢痕拘縮形成手術を行った場合に算定する。

J106 気管切開術

(1) 口腔領域における腫瘍等による気管閉鎖で、気道確保のため救急的に気管切開を行った場合に算定する。ただし、手術に伴う一連の行為として気管切開を同時に行った場合は、主たる手術の所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 気管切開術後カニューレを入れた数日間の処置(単なるカニューレの清拭ではないものに限る。)は、区分番号I009―2に掲げる創傷処置の「1 100平方センチメートル未満」により算定する。

(3) この際用いた気管切開後のテフロンチューブ等は医科点数表の例により算定する。

J107 気管切開孔閉鎖術

手術に伴い行われた気管切開又は救急的な気道確保のため行われた気管切開による切開孔を、当該気管切開を行った日とは別の日に閉鎖した場合に算定する。

J108 顔面神経麻痺形成手術

耳下腺悪性腫瘍摘出後の顔面神経麻痺に対して動的形成手術又は静的形成手術を行った場合に算定する。

J109 広範囲顎骨支持型装置埋入手術

(1) 広範囲顎骨支持型装置埋入手術とは、広範囲な顎骨欠損等の特殊な症例に対して応用する人工的構造物(以下「広範囲顎骨支持型装置」という。)のインプラント体(以下「インプラント体」という。)及びアバットメント(以下「アバットメント」という。)について、顎骨内へインプラント体を埋入する手術又はアバットメントを連結するインプラント体上部を露出させるために軟組織(口腔粘膜)の切除等を行う手術をいう。

(2) 「1 1回法によるもの」とは、顎骨内に骨窩を形成してインプラント体を埋入して、アバットメントを軟組織(口腔粘膜)上に露出させることまでを1回で行う手術をいう。

(3) 「2 2回法によるもの」の「イ 1次手術」とは、顎骨内に骨窩を形成してインプラント体を埋入して、アバットメントを連結せずに軟組織(口腔粘膜)を一次閉鎖する手術で、2回に分けて行われる手術の1回目に行われる手術をいう。

(4) 「2 2回法によるもの」の「ロ 2次手術」とは、埋入したインプラント体周囲の骨組織の治癒を一定期間待った後、アバットメントを連結するインプラント体上部を露出させるために軟組織(口腔粘膜)の切除を行う手術で、2回に分けて行われる手術の2回目に行われる手術をいう。

(5) 当該手術は、次のいずれかに該当し、従来のブリッジや有床義歯(顎堤形成後の有床義歯を含む。)では咀嚼機能の回復が困難な患者に対して実施した場合に算定する。

イ 腫瘍、顎骨骨髄炎、外傷等により、広範囲な顎骨欠損若しくは歯槽骨欠損症例(歯周疾患及び加齢による骨吸収は除く。)又はこれらが骨移植等により再建された症例であること。なお、欠損範囲について、上顎にあっては連続した3分の1顎程度以上の顎骨欠損症例又は上顎洞若しくは鼻腔への交通が認められる顎骨欠損症例であり、下顎にあっては連続した3分の1顎程度以上の歯槽骨欠損又は下顎区域切除以上の顎骨欠損であること。

ロ 医科の保険医療機関(医科歯科併設の保険医療機関にあっては医科診療科)の主治の医師の診断に基づく外胚葉異形成症等又は唇顎口蓋裂等の先天性疾患であり、顎堤形成不全であること。

ハ 医科の保険医療機関(医科歯科併設の保険医療機関にあっては医科診療科)の主治の医師の診断に基づく外胚葉異形成症等の先天性疾患であり、連続した3分の1顎程度以上の多数歯欠損であること。

ニ 6歯以上の先天性部分無歯症又は3歯以上の前歯永久歯萌出不全(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)であり、連続した3分の1顎程度以上の多数歯欠損(歯科矯正後の状態を含む。)であること。

(6) 当該手術の保険医療材料料は別に算定する。

(7) 当該手術を実施した場合は、診療録に症状、手術部位、手術内容及び埋入した材料等を記載する。

J110 広範囲顎骨支持型装置掻爬術

広範囲顎骨支持型装置掻爬術とは、区分番号M025―2に掲げる広範囲顎骨支持型補綴に係る補綴物を装着した患者であって、インプラント体周囲の粘膜組織や骨組織に炎症が認められ、機械的清掃や抗菌薬投与等を行ったにもかかわらず炎症が治まらない場合に、消炎処置として粘膜骨膜弁を剥離し、インプラント体表面の汚染物質や不良肉芽の除去等を行う手術をいう。

第2節 輸血料

J200 輸血

医科点数表の区分番号K920に掲げる輸血の例により算定する。

J200―2 輸血管理料

医科点数表の区分番号K920―2に掲げる輸血管理料の例により算定する。

第3節 手術医療機器等加算

J200―4―2 レーザー機器加算

レーザー機器加算は、口腔内の軟組織の切開、止血、凝固及び蒸散が可能なものとして保険適用されている機器を使用して「注2」から「注4」までに掲げる手術を行った場合に算定する。なお、通則13に規定する「同一手術野又は同一病巣につき、2以上の手術を同時に行った場合」に該当しない2以上の手術を算定した場合はそれぞれの手術において算定する。

J200―4―4 口腔粘膜蛍光観察評価加算

口腔粘膜蛍光観察評価加算は、画像等による口腔粘膜の評価を複数回実施するとともに、当該技術の補助により手術が行われた場合に算定する。なお、撮影した対象病変部位の画像を診療録に添付又は電子媒体に保存・管理するとともに所見を診療録に記載すること。

J200―5 画像等手術支援加算

(1) 画像等手術支援加算は、当該技術の補助により手術が行われた場合に算定し、当該技術が用いられた場合であっても、手術が行われなかった場合は算定できない。

(2) ナビゲーションによるものとは、手術前又は手術中に得た画像を3次元に構築し、手術の過程において、3次元画像と術野の位置関係をリアルタイムにコンピュータ上で処理することで手術を補助する目的で用いることをいう。

(3) 実物大臓器立体モデルによる支援とは、手術前又は手術中に得た画像等により作成された実物大臓器立体モデルを、手術を補助する目的で用いることをいう。

(4) 区分番号「J040」に掲げる下顎骨部分切除術、区分番号「J041」に掲げる下顎骨離断術、区分番号「J042」に掲げる下顎骨悪性腫瘍手術又は区分番号「J075」に掲げる下顎骨形成術に当たって、手術前に得た画像等により作成された患者適合型単回使用骨手術用器械を使用した場合は、本区分の「2 実物大臓器立体モデルによるもの」の所定点数を準用して、一連の手術について1回に限り算定する。なお、この場合にあっては、本区分の「注2」に定める規定は適用しない。

第5節 特定薬剤料

J300 特定薬剤

(1) 1回の手術に特定薬剤を2種以上使用した場合であっても、使用した特定薬剤の合計価格から15円を控除した残りの額を10円で除して得た点数について1点未満の端数を切り上げて得た点数に1点を加算して得た点数を特定薬剤料として算定する。

(2) 特定薬剤を使用した場合であっても、1回の手術に使用した特定薬剤の合計価格が15円以下の場合は、特定薬剤料は算定できない。

(3) (1)でいう1回の手術とは、手術の部に掲げられている各区分の所定点数を算定する単位を1回とする。

(4) 特定薬剤における生理食塩水及びアクリノールは、当該手術を行うに当たり入院を必要とする手術を行った際に、当該手術に使用される特定薬剤の総量価格が15円を超える場合に限り、当該手術の所定点数の他、その費用を算定する。

(5) その他は、区分番号I100に掲げる特定薬剤の(4)又は(5)の例により算定する。

(6) 智歯周囲炎の歯肉弁切除を行った場合に使用した歯科用包帯剤(パック)は、算定できない。なお、歯科用包帯剤をドライソケット又は歯の再植術における創面の保護の目的で使用した場合は、特定薬剤として算定する。

第6節 特定保険医療材料料

J400 特定保険医療材料

当該手術の実施のために使用される特定保険医療材料は、材料価格を10円で除して得られた点数により算定する。

第10部 麻酔

通則

1 「通則2」、「通則3」及び「通則4」の規定は、第1節の所定点数(ただし、酸素及び窒素を使用した場合の加算を除く。)のみに適用され、第2節薬剤料は適用されない。

2 「通則2」における著しく歯科診療が困難な者の100分の50加算は、行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢の保持が必要な患者や頻繁な治療の中断を伴う患者等に対して、患者の状態に留意しながら治療を行った場合等に限り算定し、当該加算を算定した日における患者の治療時の状況を診療録に記載する。

3 「通則2」における加算において6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な者である場合の100分の50加算は、乳幼児加算のみを算定する。

4 「通則4」における加算は、時間外加算等の適用される処置及び手術に伴って行われた麻酔に対して、第9部手術の時間外加算等と同様の取扱いにより算定するもので、当該処置及び手術の所定点数が150点に満たない場合の加算は算定できない。

5 「通則4」における時間外加算等の取扱いは、初診料における場合と同様とする。

6 麻酔の休日加算、時間外加算及び深夜加算は、これらの加算を算定する緊急手術に伴い行われた麻酔についてのみ算定する。

7 その他の麻酔法の選択について、従前から具体的な規定のないものは、保険診療の原則に従い必要に応じ妥当適切な方法を選択する。

8 第10部に規定する麻酔料以外の麻酔料の算定は医科点数表の例により算定する。この場合において、薬剤又は特定保険医療材料の使用に当たっては、医科点数表第2章11部第3節に掲げる薬剤料及び第4節に掲げる特定保険医療材料料の例より算定する。

第1節 麻酔料

K001 浸潤麻酔

(1) 第9部手術、所定点数が120点以上の処置、特に規定する処置、区分番号M001に掲げる歯冠形成、区分番号M001―2に掲げるう蝕歯即時充填形成及び区分番号M001―3に掲げるう蝕歯インレー修復形成は、浸潤麻酔が含まれ別に算定できない。

(2) う蝕症又は象牙質知覚過敏症等の歯に対する所定点数が120点未満の処置に浸潤麻酔を行った場合は、術野又は病巣を単位として算定する。

K002 吸入鎮静法

(1) 吸入鎮静法は、亜酸化窒素等を用いてゲーデルの分類の麻酔深度の第1期において歯科手術等を行う場合に算定する。

(2) 吸入鎮静法において使用した麻酔薬剤(亜酸化窒素等)に係る費用は、別に定める「酸素及び窒素の価格」(平成2年厚生省告示第41号)に基づき算定する。

(3) 酸素又は窒素の価格は、区分番号I025に掲げる酸素吸入及び医科点数表の区分番号L008に掲げるマスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔の注3の例により算定する。

K003 静脈内鎮静法

(1) 静脈内鎮静法は、歯科治療に対して非協力的な小児患者、歯科治療恐怖症の患者、歯科治療時に配慮すべき基礎疾患を有する患者等を対象として、薬剤を静脈内投与することにより鎮静状態を得る方法であり、歯科手術等を行う場合に算定する。

(2) 静脈内鎮静法を実施するに当たっては、「歯科診療における静脈内鎮静法ガイドライン」(平成21年9月日本歯科医学会)を参考とし、術前、術中及び術後の管理を十分に行い、当該管理記録を診療録に添付する。

(3) 静脈内鎮静法を算定した場合は、区分番号K002に掲げる吸入鎮静法は別に算定できない。

(4) 静脈内鎮静法において用いた薬剤に係る費用は、別に算定する。

(5) 静脈内鎮静法を実施するに当たっては、緊急時に適切な対応ができるよう、あらかじめ医科の保険医療機関と連携する。

K004 歯科麻酔管理料

(1) 歯科麻酔管理料は、歯科麻酔を担当する歯科医師により、質の高い麻酔が提供されることを評価するものである。

(2) 歯科麻酔管理料は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合している保険医療機関において、当該保険医療機関の常勤の専ら歯科麻酔を担当する歯科医師(地方厚生(支)局長に届け出ている歯科医師に限る。)が麻酔前後の診察を行い、かつ、医科点数表の区分番号L008に掲げるマスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行った場合に算定する。なお、この場合において、緊急の場合を除き、麻酔前後の診察は、当該麻酔を実施した日以外に行われなければならない。

(3) 歯科麻酔を担当する歯科医師が、当該歯科医師以外の歯科医師と共同して麻酔を実施する場合においては、歯科麻酔を担当する歯科医師が、当該麻酔を通じ、麻酔中の患者と同室内で麻酔管理に当たり、主要な麻酔手技を自ら実施した場合に算定する。

(4) 歯科麻酔管理料を算定する場合には、麻酔前後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載する。なお、麻酔前後の診察について記載された麻酔記録又は麻酔中の麻酔記録の診療録への添付により診療録への記載に代えることができる。

(5) 歯科麻酔管理料について、「通則3」及び「通則4」の加算は適用しない。

第2節 薬剤料

K100 薬剤

1回の麻酔に麻酔薬剤を2種以上使用した場合であっても使用麻酔薬剤の合計薬価から15円を控除した残りの額を10円で除して得た点数につき1点未満の端数を切り上げて得た点数に1点を加算して得た点数を麻酔薬剤料として算定する。

第11部 放射線治療

医科点数表の第2章第12部に掲げる放射線治療(区分番号M000―2に掲げる放射性同位元素内用療法管理料、区分番号M001―2に掲げるガンマナイフによる定位放射線治療、区分番号M001―4に掲げる粒子線治療及び区分番号M002に掲げる全身照射を除く。)の例により算定する。

第12部 歯冠修復及び欠損補綴

通則

1 歯冠修復及び欠損補綴は、第1節中の各区分の注に「保険医療材料料は、所定点数に含まれる。」等と規定されているものを除き、第1節の各区分の所定点数に第3節の特定保険医療材料料を合算して算定する。

2 歯冠修復及び欠損補綴を行った場合の算定は、一連の歯冠修復及び欠損補綴の所定点数を併せて算定する。

3 印象採得、咬合採得、仮床試適及び装着は、それぞれの診療行為を行った際に算定する。

4 歯冠修復の当日に行うう蝕処置は、歯冠修復の所定点数に含まれ別に算定できない。

5 有床義歯等において人工歯を使用した場合の当該人工歯は、人工歯を必要とする部位が両側にわたる場合は1組として、片側の場合は2分の1組として、それぞれ人工歯材料料として算定する。

6 「通則3」は、この部に規定していない歯冠修復及び欠損補綴について、この部に規定している歯冠修復及び欠損補綴のうち、最も近似する歯冠修復及び欠損補綴の所定点数による算定が妥当であるものは、その都度当局に内議の上、所定点数の準用を可能とする旨を規定している。

7 「通則4」による乳幼児又は著しく歯科診療が困難な者に対する加算は、区分番号M003に掲げる印象採得の「2 欠損補綴のロ」、「2 欠損補綴のハ」、区分番号M003―3に掲げる咬合印象、区分番号M006に掲げる咬合採得の「2 欠損補綴のロ」又は区分番号M030に掲げる有床義歯内面適合法については所定点数の100分の70を加算し、その他の第12部に掲げる歯冠修復及び欠損補綴(区分番号M000からM000―3まで、M003の「2 欠損補綴のロ」、「2 欠損補綴のハ」、区分番号M003―3に掲げる咬合印象、M006に掲げる咬合採得の「2 欠損補綴のロ」、M010、M011、M015、M015―2、M017からM026まで及びM030を除く。)については所定点数の100分の50を加算する。

8 「通則4」又は「通則7」の著しく歯科診療が困難な者に対する100分の70加算又は100分の50加算は、開口の保持又は体位、姿勢の保持が必要な患者や頻繁な治療の中断を伴う患者等に対して、患者の状態に留意しながら治療を行った場合等に算定する。この場合において、当該加算を算定した日の患者の治療時の状況を診療録に記載する。

9 6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な者である場合(100分の70加算又は100分の50加算)は、乳幼児加算のみを算定する。

10 歯冠修復及び欠損補綴物の製作に係る一連の診療行為における歯肉圧排、歯肉整形、暫間被覆冠(区分番号M003―2に掲げるテンポラリークラウン及び区分番号M004に掲げるリテイナーを除く。)、特定薬剤等は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。

11 歯科訪問診療は通院困難な療養中の患者について実施するが、消炎鎮痛、有床義歯の調整等の訪問診療で求められる診療の重要性及び困難性を考慮し、区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料を算定する患者であって、同注6に規定する加算を算定しないものに対して行った第8部に掲げる処置、第9部に掲げる手術及び第12部に掲げる歯冠修復及び欠損補綴を行った場合は、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。

イ 区分番号M003(2のロ及びハに限る。)に掲げる印象採得、区分番号M003―3に掲げる咬合印象、区分番号M006(2のロに限る。)に掲げる咬合採得又は区分番号M030に掲げる有床義歯内面適合法 所定点数の100分の70に相当する点数

ロ 区分番号I005(3に限る。)に掲げる抜髄、区分番号I006(3に限る。)に掲げる感染根管処置、区分番号J000(1、2及び3に限る。)に掲げる抜歯手術(注1による加算を算定した場合を除く。)又は区分番号M029に掲げる有床義歯修理 所定点数の100分の50に相当する点数

ハ 区分番号I005(1及び2に限る。)に掲げる抜髄、区分番号I006(1及び2に限る。)に掲げる感染根管処置、区分番号J013(2に限る。)に掲げる口腔内消炎手術 所定点数の100分の30に相当する点数

12 「通則8」でいう検査とは、区分番号D009に掲げる顎運動関連検査及びD010に掲げる歯冠補綴時色調採得検査をいう。

13 区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料(補綴物維持管理料)の「注1」に係る地方厚生(支)局長への届出を行っていない保険医療機関において、歯冠補綴物及びブリッジ(接着ブリッジを含む。以下同じ。)の製作を行い装着した場合は、当該歯冠補綴物及びブリッジに係る補綴関連検査、歯冠修復及び欠損補綴に係る一連の費用の所定点数の100分の70に相当する点数により算定する。また、当該歯冠補綴物等の製作に先立ち区分番号I008―2に掲げる加圧根管充填処置を行った場合も、当該処置は算定できない。

14 保険給付外診療で製作された歯冠修復物及び欠損補綴物であって、後日、脱落した際の再装着及び破損した場合の修理は、保険給付の再装着、修理と同一の場合であっても保険給付の対象とはならない。なお、他院で製作された歯冠修復物及びブリッジであって、装着後、区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の「注2」に規定する期間に相当する期間を経過したものはこの限りではない。

15 有床義歯製作中であって咬合採得後、試適を行う前に患者が理由なく来院しなくなった場合、患者の意思により治療を中止した場合又は患者が死亡した場合は、診療録に装着物の種類、試適予定日及び試適できなくなった理由等を記載する。この場合において、製作された区分番号M020に掲げる鋳造鉤、区分番号M021に掲げる線鉤、区分番号M021―2に掲げるコンビネーション鉤、区分番号M022に掲げる間接支台装置及び区分番号M023に掲げるバーにあっては、各区分の所定点数及び特定保険医療材料並びに特定保険医療材料である人工歯を請求する。また、区分番号M007に掲げる仮床試適、区分番号M005に掲げる装着は算定できない。なお、請求に当たっては、試適の予定日から起算して1月以上経過した上で行う。ただし、患者が死亡した場合であって死亡が明らかな場合は、この限りでない。

16 患者が理由なく来院しなくなった場合、患者の意思により治療を中止した場合又は患者が死亡した場合であって、区分番号M002に掲げる支台築造(「1 間接法」に限る。)、区分番号M010に掲げる金属歯冠修復、区分番号M011に掲げるレジン前装金属冠、区分番号M015に掲げる非金属歯冠修復、区分番号M015―2に掲げるCAD/CAM冠、区分番号M016に掲げる乳歯冠(間接法により製作した場合に限る。)、区分番号M016―2に掲げる小児保隙装置、区分番号M016―3に掲げる既製金属冠(間接法により製作した場合に限る。)、区分番号M017に掲げるポンティック、区分番号M017―2に掲げる高強度硬質レジンブリッジ、区分番号M018に掲げる有床義歯、区分番号M019に掲げる熱可塑性樹脂有床義歯、区分番号M020に掲げる鋳造鉤、区分番号M021に掲げる線鉤、区分番号M021―2に掲げるコンビネーション鉤、区分番号M022に掲げる間接支台装置又は区分番号M023に掲げるバーの製作がすでに行われているにもかかわらず装着できない場合は、診療録に装着物の種類、装着予定日及び装着できなくなった理由等を記載した場合に、当該各区分及び特定保険医療材料料を請求する。この場合において、通則第4号及び第7号に掲げる加算並びに区分番号M005に掲げる装着及び装着材料料は算定できない。なお、請求に当たっては、装着の予定日から起算して1月以上経過した上で行う。ただし、患者が死亡した場合であって死亡が明らかな場合は、この限りでない。

17 歯冠修復及び欠損補綴の場合、歯冠形成及び印象採得後、偶発的な事故等を原因とする外傷による歯冠形成歯の喪失等のやむを得ない場合は、当該歯に装着予定の完成している歯冠修復物及び欠損補綴物について診療録に歯冠修復物又は欠損補綴物の種類、装着予定日及び装着できなくなった理由等を記載する。この場合において、区分番号M002に掲げる支台築造(「1 間接法」に限る。)、区分番号M010に掲げる金属歯冠修復、区分番号M011に掲げるレジン前装金属冠、区分番号M015に掲げる非金属歯冠修復、区分番号M015―2に掲げるCAD/CAM冠、区分番号M016に掲げる乳歯冠(間接法により製作した場合に限る。)、区分番号M016―2に掲げる小児保隙装置、区分番号M016―3に掲げる既製金属冠(間接法により製作した場合に限る。)、区分番号M017に掲げるポンティック、区分番号M017―2に掲げる高強度硬質レジンブリッジ、区分番号M020に掲げる鋳造鉤、区分番号M021に掲げる線鉤、区分番号M021―2に掲げるコンビネーション鉤、区分番号M022に掲げる間接支台装置又は区分番号M023に掲げるバー(区分番号M020からM023までについては鉤歯の喪失等によりやむを得ず使用できなくなったものに限る。)の各区分並びに特定保険医療材料料を請求する。なお、区分番号M005に掲げる装着及び装着材料料は算定できない。

18 未来院請求後に患者が再び来院し、すでに未来院請求を行った区分番号M002に掲げる支台築造(「1 間接法」に限る。)、区分番号M010に掲げる金属歯冠修復、区分番号M011に掲げるレジン前装金属冠、区分番号M015に掲げる非金属歯冠修復、区分番号M015―2に掲げるCAD/CAM冠、区分番号M016に掲げる乳歯冠(間接法により製作した場合に限る。)、区分番号M016―2に掲げる小児保隙装置、区分番号M016―3に掲げる既製金属冠(間接法により製作した場合に限る。)、区分番号M017に掲げるポンティック、区分番号M017―2に掲げる高強度硬質レジンブリッジ、区分番号M018に掲げる有床義歯、区分番号M019に掲げる熱可塑性樹脂有床義歯、区分番号M020に掲げる鋳造鉤、区分番号M021に掲げる線鉤、区分番号M021―2に掲げるコンビネーション鉤、区分番号M022に掲げる間接支台装置及び区分番号M023に掲げるバーの装着を行う場合は、前記に掲げる各区分は別に算定できない。なお、算定に当たっては、診療報酬明細書の摘要欄にその旨を記載する。

19 火災等のために試適又は装着する前に消失した歯冠修復物及び欠損補綴物は、算定できない。

20 次の場合において、ブリッジ又は小児義歯を適応する場合は、予め理由書、模型、エックス線フィルム又はその複製を地方厚生(支)局長に提出し、保険適応の有無について判断を求める。なお、それぞれの取り扱いは、各区分の規定に従う。ただし、イからホまで以外の場合であって、実際の欠損歯を反映した歯式では保険給付外となるブリッジであって、欠損歯の間隙が1歯分少ないようなブリッジを算定する場合は同様の取り扱いとする。

イ 区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の(10)により、「歯冠補綴物又はブリッジ」を保険医療機関において装着した場合において、外傷、腫瘍等(歯周疾患が原因である場合を除く。)によりやむを得ず当該「歯冠補綴物又はブリッジ」の支台歯、隣在歯又は隣在歯及び当該「歯冠補綴物又はブリッジ」の支台歯を抜歯しブリッジを装着する場合

ロ 区分番号M017に掲げるポンティックの(15)により、有床義歯では目的が達せられないか又は誤嚥等の事故を起こす恐れが極めて大きい場合であってブリッジを行う以外に方法がない場合

ハ 区分番号M017に掲げるポンティックの(19)により、矯正・先天性欠如等により第一小臼歯、第二小臼歯、第一大臼歯欠損のブリッジにおいて、欠損歯数は3歯であるが、間隙のほうが1歯分程度小さく2歯分となる場合

ニ 区分番号M017に掲げるポンティックの(19)により、移植歯を支台歯とするブリッジを製作する場合

ホ 区分番号M018に掲げる有床義歯の(10)により、先天性疾患以外の疾患により後継永久歯がない場合に準ずる状態であって、小児義歯以外は咀嚼機能の改善・回復が困難な小児に対して小児義歯を適用する場合

21 保険給付外の材料等による歯冠修復及び欠損補綴は保険給付外の治療となるが、この取扱いは、歯及び口腔に対する治療体系が細分化されている歯科治療の特殊性に鑑み、当該治療を患者が希望した場合に限り、歯冠修復にあっては歯冠形成(支台築造を含む。)以降、欠損補綴にあっては補綴時診断以降を、保険給付外の扱いとする。その際に、当該治療を行った場合は、診療録に自費診療への移行等や当該部位に係る保険診療が完結している旨が判るように明確に記載する。なお、「歯科領域における保険給付外等の範囲について」(昭和51年7月29日保文発第352号)は、平成26年3月31日をもって廃止する。

第1節 歯冠修復及び欠損補綴診療料

M000 補綴時診断料

(1) 補綴時診断料は、新たな欠損補綴及び有床義歯の床裏装等を行う際に、当該治療を開始した日に患者に対して治療等に関する説明を行った場合に算定する。

(2) 「1 補綴時診断(新製の場合)」については、ブリッジ又は有床義歯を新たに製作する際に、補綴時診断を行った場合に算定する。

(3) 「2 補綴時診断(1以外の場合)」は、新たに生じた欠損部の補綴に際し、既製の有床義歯に人工歯及び義歯床を追加する際又は有床義歯の床裏装を行う際に、補綴時診断を行った場合に算定する。

(4) 「1 補綴時診断(新製の場合)」を算定後、当該有床義歯に対して、新たに人工歯及び義歯床を追加した場合においては、前回補綴時診断料を算定した日から起算して3月以内は補綴時診断料を算定できない。

(5) 新たに生じた欠損部の補綴に際して、「2 補綴時診断(1以外の場合)」を算定後、同一の有床義歯に対して、再度、人工歯及び義歯床を追加する場合においては、前回補綴時診断料を算定した日から起算して3月以内は補綴時診断料を算定できない。

(6) 補綴時診断料の算定に当たっては、製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等についての要点を診療録に記載する。

(7) 補綴時診断料を算定した場合は、補綴物の診断設計に基づき、患者に装着する予定の補綴物について、義歯、ブリッジ等の概要図、写真等を用いて患者に効果的に情報提供を行う。

M000―2 クラウン・ブリッジ維持管理料

(1) クラウン・ブリッジの維持管理を実施する保険医療機関は、クラウン・ブリッジの維持管理を開始する前月までに地方厚生(支)局長に届け出る。なお、届出を行う場合は、「特掲診療料の施設基準及びその届出に関する手続きの取扱いについて」の様式81を用いる。

(2) 「注1」の「歯冠補綴物」とは、区分番号M010に掲げる金属歯冠修復(「1 インレー」を除く。)、区分番号M011に掲げるレジン前装金属冠、区分番号M015に掲げる非金属歯冠修復(「1 レジンインレー」を除く。)及び区分番号M015―2に掲げるCAD/CAM冠をいう。

(3) 「2 支台歯とポンティックの数の合計が5歯以下の場合」には、区分番号M017―2に掲げる高強度硬質レジンブリッジが含まれる。

(4) 次に掲げるものはクラウン・ブリッジ維持管理の対象としない。

イ 乳歯(後継永久歯が先天性に欠如している乳歯を除く。)に対する歯冠修復

ロ 歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者に対する区分番号M015に掲げる非金属歯冠修復((6)のイに規定する場合を含む。)、区分番号M015―2に掲げるCAD/CAM冠((2)のイ及びロに規定する場合を含む。)及び区分番号M017―2に掲げる高強度硬質レジンブリッジ((2)のイに規定する場合を含む。)

ハ 全ての支台をインレーとするブリッジ

ニ 永久歯に対する既製の金属冠による歯冠修復

(5) 「注1」に規定する文書とは、当該維持管理の対象となる補綴物ごとに、クラウン・ブリッジ維持管理料の趣旨、補綴部位、装着日、保険医療機関名等を記載したものをいい、患者に対し、クラウン・ブリッジ維持管理に係る説明を行い、その内容を文書により提供した場合に限り当該管理料を算定する。ただし、同日に複数の補綴物を装着した場合は、主たる補綴物の維持管理料に係る文書に集約して記載し、提供して差し支えない。また、患者に提供した文書の写しを診療録に添付する。なお、クラウン・ブリッジの維持・管理を実施する旨を届け出た保険医療機関で製作された補綴物は、「注1」に規定する文書を提供していない場合であってもクラウン・ブリッジ維持管理の対象となる。

(6) 「注2」の「補綴関連検査」とは、区分番号D009に掲げる顎運動関連検査及び区分番号D010に掲げる歯冠補綴時色調採得検査に定める各検査をいう。

(7) クラウン・ブリッジ維持管理を行っている歯冠補綴物やブリッジを装着した歯に対して充填を行った場合の一連の費用は、当該維持管理料に含まれ別に算定できない。

(8) クラウン・ブリッジ維持管理を行っている歯冠補綴物やブリッジを装着した歯に対して、当該補綴部位に係る新たな歯冠補綴物又はブリッジを製作し、当該補綴物を装着した場合の装着に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できないが、装着に使用した装着材料料は別に算定する。

(9) クラウン・ブリッジ維持管理を行っている歯冠補綴物やブリッジが離脱した場合の再装着に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できないが、再度の装着に使用した装着材料料は別に算定する。

(10) 「注1」の「歯冠補綴物又はブリッジ」を保険医療機関において装着した日から起算して2年を経過するまでの間に、外傷、腫瘍等(歯周病が原因である場合を除く。)によりやむを得ず当該「歯冠補綴物又はブリッジ」の支台歯、隣在歯又は隣在歯及び当該「歯冠補綴物又はブリッジ」の支台歯を抜歯し、ブリッジを製作する場合は、着手するまでの間に予めその理由書、模型、エックス線フィルム又はその複製を地方厚生(支)局長に提出しその判断を求める。また、添付模型の製作は基本診療料に含まれ算定できないが、添付フィルム又はその複製は区分番号E100に掲げる歯、歯周組織、顎骨、口腔軟組織及び区分番号E300に掲げるフィルムに準じて算定する。ただし、算定に当たっては診療報酬明細書の摘要欄に算定の理由を記載する。

M000―3 広範囲顎骨支持型補綴診断料

(1) 広範囲顎骨支持型補綴診断料は、区分番号J109に掲げる広範囲顎骨支持型装置埋入手術を行う前に、患者に対して説明を行った場合に、手術前1回に限り算定する。

(2) 当該診断料の算定に当たっては、欠損部の状態、当該補綴に係る補綴物の設計及び材料等を診療録に記載する。

M001 歯冠形成

(1) 歯冠形成は、同一歯について、1回に限り歯冠形成が完了した日において算定する。なお、簡単な支台築造、歯冠形成に付随して行われる麻酔等は所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 歯冠形成完了後、完了した日とは別の日に当該歯に行われる麻酔は別に算定する。

(3) 「1 生活歯歯冠形成」は歯冠形成に付随して行われる処置等の一連の費用は含まれるが、歯冠修復物の除去は別に算定する。

(4) 「1のイ 金属冠」及び「2のイ 金属冠」の金属冠とは、全部金属冠、レジン前装金属冠、前歯の4分の3冠及び臼歯の5分の4冠をいう。

(5) 「金属冠」とは、全部金属冠、レジン前装金属冠、前歯の4分の3冠、臼歯の5分の4冠等、全部金属冠方式又は全部金属冠に準ずる方式で製作する金属歯冠修復(例えば前歯において審美性の観点から唇側の歯質を一部露出させる場合)をいい、4面又は5面の金属歯冠修復の全てが該当するものではない。

(6) 「1のロ 非金属冠」及び「2のロ 非金属冠」の非金属冠とは、硬質レジンジャケット冠、CAD/CAM冠及び高強度硬質レジンブリッジの支台歯に対する冠をいう。

(7) 「1のハ 既製冠」及び「2のハ 既製冠」の既製冠とは、乳歯金属冠及び既製金属冠をいう。

(8) 「注1」に規定するブリッジ支台歯形成加算は、ブリッジの支台歯形成に際して、支台歯間の平行関係を確認した上で支台歯形成を行った場合に算定する。

(9) 「注2」に規定する接着ブリッジとは、いわゆる従来型ブリッジと同様に支台装置、ポンティック、連結部より構成されるが、支台歯のうち少なくとも1歯(以下「接着ブリッジ支台歯」という。)の切削をエナメル質にとどめ、咬合力に対する抵抗形態、脱離力に対する維持形態を付与し、接着性レジンを用いて支台歯に支台装置を装着するものをいう。

(10) 接着ブリッジ支台歯に対する冠(以下「接着冠」という。)に係る歯冠形成は、「1のイ 金属冠」に準じて算定するとともに「注2」に規定する加算を算定する。

(11) 「注3」及び「注6」に規定する加算は、ブリッジの支台歯として第一小臼歯の歯冠形成を実施した場合に限り算定できる。

(12) メタルコアで支台築造を行った金属冠及び非金属冠に係る失活歯歯冠形成に限り「注7」又は「注8」の加算を所定点数に加算する。

(13) 「3 窩洞形成」は1歯単位に算定する。また、同一歯に2箇所以上の窩洞形成を行った場合も、窩洞数にかかわらず1回に限り算定する。

(14) 「注10」の加算におけるレーザー照射とは、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、充填処置のためのう蝕除去及び窩洞形成が可能な「う蝕除去・窩洞形成レーザー」による照射をいう。

(15) 「注10」の加算とは、エアータービン等歯科用切削器具を用いることなく、レーザーを応用して疼痛の発現を抑制しながら、う蝕歯の充填処置のためのう蝕除去及び窩洞形成を行うことを評価したものをいい、エアータービン等切削器具を用いた場合は算定できない。なお、窩洞形成を行うに当たり区分番号K000に掲げる伝達麻酔を行った場合は本加算は算定できない。

(16) 「3のイ 単純なもの」とは、隣接歯との接触面を含まない窩洞をいう。

(17) 「3のロ 複雑なもの」とは、隣接歯との接触面を含む窩洞をいう。

(18) 燐酸セメント又はカルボキシレートセメント等のセメントにより充填を行うための窩洞形成は、「3のイ 単純なもの」により算定する。

(19) 可動性固定ブリッジ(半固定性ブリッジ)の可動性連結装置は、「3のロ 複雑なもの」により算定する。

(20) 歯冠修復物の脱落時において、軟化象牙質を除去して再形成を行った場合の軟化象牙質の除去は、区分番号I000に掲げるう蝕処置により算定する。

(21) 区分番号I003に掲げる初期う蝕早期充填処置を実施した歯について、やむを得ず充填形成又はインレー形成を行う場合は、「3 窩洞形成」により算定する。

(22) 歯内療法により適切に保存処置された歯に対し、金属歯冠修復又は充填によって根面を被覆する場合は、歯冠形成は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」により算定する。

M001―2 う蝕歯即時充填形成

(1) う蝕歯即時充填形成は、う蝕歯に対して1日で当該歯の硬組織処置及び窩洞形成を完了し充填を行った場合に限り算定し、次回来院の際、充填を行う場合は算定できない。

(2) 2次う蝕のため充填物を除去し、即時充填のための窩洞形成を行った場合は、う蝕歯即時充填形成により算定する。この場合において、充填物の除去は算定できない。

(3) 当該歯の歯冠修復物の除去に係る費用は別に算定できない。

(4) 「注1」の加算におけるレーザー照射とは、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、充填処置のためのう蝕除去及び窩洞形成が可能な「う蝕除去・窩洞形成レーザー」による照射をいう。

(5) 「注1」の加算とは、エアータービン等歯科用切削器具を用いることなく、レーザーを応用して疼痛の発現を抑制しながら、う蝕歯のう蝕歯即時充填形成のためのう蝕除去及び窩洞形成を行うことを評価したものをいい、エアータービン等切削器具を用いた場合は算定できない。なお、う蝕歯即時充填形成を行うに当たり区分番号K000に掲げる伝達麻酔を行った場合は本加算は算定できない。

(6) 区分番号I002に掲げる知覚過敏処置を実施した歯に対して、やむを得ず充填処置が必要となった場合は、う蝕歯即時充填形成により算定する。

(7) 非う蝕性の実質欠損に対して、1日で当該歯の硬組織処置及び窩洞形成を完了し充填を行った場合は本区分により算定する。

M001―3 う蝕歯インレー修復形成

(1) う蝕歯インレー修復形成は、う蝕歯に対して1日で当該歯の硬組織処置及び窩洞形成を完了し、印象採得及び咬合採得までを行った場合に算定する。

(2) 2次う蝕のため充填物を除去し、インレー修復のための窩洞形成を行った場合は、う蝕歯インレー修復形成により算定する。この場合において、充填物の除去は算定できない。

(3) 当該歯の歯冠修復物の除去に係る費用は算定できない。

(4) 非う蝕性の実質欠損に対して、1日で当該歯の硬組織処置及び窩洞形成を完了し、印象採得及び咬合採得までを行った場合は本区分により算定する。

M002 支台築造

(1) 「支台築造」とは、実質欠損の大きい失活歯(全部被覆冠、5分の4冠又は4分の3冠による歯冠修復が予定されるもの)に対して根管等により築造物を維持し、填塞又は被覆して支台歯形態に修復することをいう。

(2) 「1のイ メタルコア」とは、鋳造物により築造するものをいう。

(3) 「1のロ ファイバーポストを用いた場合」とは、作業模型上で複合レジン(築造用)及びファイバーポスト(支台築造用)により築造を行うものをいう。

(4) 「2 直接法」とは、口腔内の窩洞に直接、複合レジン(築造用)等を用いて築造を行うものをいい、セメント等による簡単な支台築造は含まない。直接法による支台築造の際に、複合レジン(築造用)と併せてファイバーポスト(支台築造用)を用いた場合は「2のイ (1)大臼歯」又は「2のイ (2)小臼歯及び前歯」により算定し、スクリューポスト(支台築造用)等を用いた場合は「2のロ その他の場合」により算定する。ただし、根管治療を実施した歯の歯冠部の近遠心及び唇頬舌側歯質のうち3壁以上が残存しており、複合レジン(築造用)のみで築造できる場合は、スクリューポスト(支台築造用)等を使用しなくても「2のロ その他の場合」により算定できる。

(5) ファイバーポストは1根管当たり1本に限り算定する。

(6) ファイバーポストを大臼歯及び小臼歯に使用する場合は、1歯当たり2本に限り算定できる。

(7) 乳歯について、支台築造は算定できない。ただし、後継永久歯が先天性に欠如している乳歯に対する全部金属冠、レジン前装金属冠及び硬質レジンジャケット冠の歯冠形成については、支台築造を算定して差し支えない。

(8) 「1 間接法」により製作された支台築造物を再装着した場合は、装着として区分番号M005に掲げる装着の「1 歯冠修復」及び装着に係る保険医療材料料を算定する。

(9) 歯冠修復に当たり、メタルコア、複合レジン及びファイバーポストによる支台築造及び全部金属冠等を同一模型上で製作し、同日の患者への装着は、歯科医学的に適切であると認められる場合を除き、常態として認められない。この場合において、印象採得は全部金属冠等により算定し、支台築造印象は算定できない。

M002―2 支台築造印象

(1) 「支台築造印象」とは、区分番号M002に掲げる支台築造の「1 間接法」の製作に当たって行う印象採得をいう。

(2) 支台築造印象料は、製作物ごとに算定する。

M003 印象採得

(1) 印象採得は、歯冠修復物、歯冠補綴物、欠損補綴物及び義歯修理に当たって製作物ごとに算定する。

(2) ブリッジの印象採得の算定の時期は、間接法の場合は最初に印象採得を行った日とし、直接法の場合は支台装置を試適して印象採得を行った日とする。

(3) 印象採得は、原則として歯冠修復及び欠損補綴の製作に当たって印象採得又はろう型採得を行った際に製作物単位に算定する。

(4) その他の印象採得は、次により算定する。

イ 「1のロ 連合印象」は、金属歯冠修復、レジン前装金属冠、非金属歯冠修復及びCAD/CAM冠において連合印象又は各個トレーを用いて行ったものが該当する。

ロ 「2のイの(1) 簡単なもの」は、1歯から8歯欠損までの欠損補綴(ブリッジを除く。)、有床義歯修理等が該当する。

ハ 9歯以上の欠損補綴又はケロイドにより口唇狭小で印象採得が困難な場合若しくは分割印象等を行わなければ所期の目的を達し得ない場合は、「2のイの(2) 困難なもの」により算定する。

ニ 欠損補綴で連合印象又は各個トレーを用いて行った場合(ホに規定する場合を除く。)又は有床義歯床裏装の印象採得料は「2のロ 連合印象」により算定する。

ホ 「2のハ 特殊印象」とは、欠損補綴でレジン系印象材又はラバー系印象材等を用いて咬合圧印象を行った場合をいう。また、フレンジテクニック、マイオモニターによる印象又は各個トレー及び歯科用インプレッションコンパウンドを用いて筋圧形成を行いラバー系印象材等を用いて機能印象を行った場合も本区分により算定する。

ヘ ケロイドにより口唇狭小の際に、連合印象又は特殊印象を行った場合は、「2のロ連合印象」又は「2のハ 特殊印象」によりそれぞれの所定点数を算定する。

ト 「2のホ(2) 印象採得が著しく困難なもの」とは、次の場合をいう。

① 硬口蓋歯槽部の欠損範囲が半側を超える場合

② 軟口蓋部の欠損が認められる場合

③ 歯槽骨を超える下顎骨の辺縁切除を伴う場合であって、口腔粘膜のみでは創を閉鎖できないため皮弁されている場合又は下顎骨区域切除以上の下顎骨欠損が認められる場合

④ 口蓋補綴、顎補綴を行う場合であって、上下の切歯を有する場合の正中部における切歯間距離又は切歯を有しない場合の正中部における顎堤間距離が30mm未満の開口量である場合

(5) ブリッジの印象採得は、1装置における支台歯とポンティックの数の合計により算定する。

(6) ブリッジ1装置の製作に当たり、やむを得ず複数個に分けて鋳造し連結の上、患者に装着した場合の印象採得は、「2のニ ブリッジ」により算定する。

(7) 欠損補綴に係る連合印象及び特殊印象は、顎堤の状況や欠損形態にかかわらず所定点数により算定する。

M003―2 テンポラリークラウン

テンポラリークラウンの修理又は除去は、別に算定できない。

M003―3 咬合印象

咬合印象とは、在宅等において療養を行っている通院困難な患者に対し、臼歯部における垂直的咬合関係を有する臼歯の歯冠修復(単独冠に限る。)に対して、歯科用シリコーン印象材を用いて咬合印象を行った場合をいう。なお、当該処置を行った場合、区分番号M006に掲げる咬合採得は所定点数に含まれ別に算定できない。

M004 リテイナー

(1) リテイナーとは、ブリッジ(接着ブリッジを含む。)の製作過程において、支台歯の保護、支台歯及び隣在歯及び対合歯の移動防止並びに歯周組織の保護等のために、ブリッジの支台歯として歯冠形成を予定している歯又は歯冠形成を完了した歯について、ブリッジ装着までの間暫間的に装着されるものをいう。

(2) リテイナーは、ブリッジの支台歯として歯冠形成を予定している歯又は歯冠形成を完了した歯について、当該歯を支台とするリテイナーを製作した場合に、当該歯に係る処置等を開始した日からブリッジを装着するまでの期間において、1装置につき1回に限り算定する。なお、分割して製作した場合にあっても、ブリッジ1装置につき1回の算定とする。また、ブリッジ装着までの修理等は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) リテイナーの製作に当たり使用される保険医療材料料(人工歯を使用した場合の人工歯料を含む。)は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) リテイナーの装着に用いた仮着セメント料は、リテイナー装着に係る算定と同時点のものに限る。また、必要があってブリッジの試適を行った場合のリテイナーの再装着についても同様とする。

M005 装着

(1) 少数歯欠損及び多数歯欠損は次による。

イ 「2のロの(1) 少数歯欠損」及び「2のハの(1) 少数歯欠損」とは、1歯から8歯欠損までの欠損補綴をいう。

ロ 「2のロの(2) 多数歯欠損」及び「2のハの(2) 多数歯欠損」とは、9歯から14歯欠損までの欠損補綴をいう。

(2) 有床義歯修理を行った場合の装着は、「2のハ 有床義歯修理」の各区分により算定する。

(3) 装着は、原則として歯冠修復物又は欠損補綴物を装着する製作物ごとに算定する。

ただし、ブリッジにあっては、装着に係る保険医療材料料についてのみ支台装置ごとに算定する。

(4) 歯間離開度検査、装着後の歯冠修復の調整等は、装着の所定点数に含まれ別に算定できない。

(5) ブリッジ1装置の製作に当たり、やむを得ず複数個に分けて鋳造し連結の上、装着した場合の装着料は、「2のイの(1) 支台歯とポンティックの数の合計が5歯以下の場合」又は「2のイの(2) 支台歯とポンティックの数の合計が6歯以上の場合」により算定する。

(6) 「注1」の内面処理加算1とは、CAD/CAM冠又は高強度硬質レジンブリッジを装着する際に、歯質に対する接着力を向上させるために行うアルミナ・サンドブラスト処理及びシランカップリング処理等をいう。なお、当該処理に係る保険医療材料等の費用は、所定点数に含まれる。

(7) 「注2」の内面処理加算2とは、接着ブリッジを装着する際に、歯質に対する接着力を向上させるために行うアルミナ・サンドブラスト処理及び金属接着性プライマー処理等をいう。なお、当該処理に係る保険医療材料等の費用は、所定点数に含まれる。

M005―2 仮着

(1) 仮着は、ブリッジ1装置につき、装着前に1回に限り算定する。なお、仮着物の除去は、算定できない。

(2) 仮着を算定した日は、区分番号M005に掲げる装着は算定できない。

M006 咬合採得

(1) 歯冠修復及び欠損補綴における咬合採得は、製作物ごとに算定する。

イ 「1 歯冠修復」とは、ブリッジの支台装置を除く歯冠修復をいう。

ロ 「2のロの(1) 少数歯欠損」とは、1歯から8歯欠損までの欠損補綴をいう。

ハ 「2のロの(2) 多数歯欠損」とは、9歯から14歯欠損までの欠損補綴をいう。

(2) 口蓋補綴及び顎補綴の咬合採得は、本区分の「2のロの(3) 総義歯」の所定点数により算定する。

(3) 欠損補綴に係る咬合採得は、2回以上行っても顎堤の状況や欠損形態にかかわらず1回に限り算定する。

M007 仮床試適

(1) 仮床試適は、仮床試適を行った際に製作物ごとに算定する。

(2) 少数歯欠損及び多数歯欠損は次による。

イ 「1 少数歯欠損」とは、1歯から8歯欠損までの欠損補綴をいう。

ロ 「2 多数歯欠損」とは、9歯から14歯欠損までの欠損補綴をいう。

(3) 有床義歯を装着しない口蓋補綴及び顎補綴の仮床試適は、本区分の「3 総義歯」の所定点数により算定する。

M008 ブリッジの試適

前歯部に係るブリッジの製作に当たり、鋳造物の適否等を診断するために試適を行った場合に算定する。

<歯冠修復>

M009 充填

(1) 「イ 単純なもの」とは、隣接面を含まない窩洞に対して行う充填をいう。

(2) 「ロ 複雑なもの」とは、隣接面を含む窩洞に対して行う充填をいう。

(3) 充填は窩洞数にかかわらず1歯単位により算定する。このため、「イ 単純なもの」を同一歯の複数窩洞に行った場合も、「イ 単純なもの」の所定点数により算定する。

(4) 充填は窩洞形態に応じ算定するが、同一歯に 「イ 単純なもの」及び「ロ 複雑なもの」の窩洞が混在する場合は、「ロ 複雑なもの」の所定点数のみを算定する。

(5) 前歯部切端又は切端隅角のみのものは、「イ 単純なもの」により算定する。

(6) 歯頸部又は歯の根面部のう蝕又は非う蝕性の実質欠損において、隣接面を含む窩洞に対する充填は「ロ 複雑なもの」により算定し、それ以外は「イ 単純なもの」により算定する。

(7) 充填を行うに当たり窩洞形成を行った場合は、区分番号M001―2に掲げるう蝕歯即時充填形成の場合を除き、1歯につき区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」又は「3のロ 複雑なもの」を算定する。

(8) 歯冠部の唇側歯質が十分に残存している前歯部の失活歯に対して充填を行うに当たり、歯冠部の破折の防止を目的として、複合レジン(築造用)及びファイバーポスト(支台築造用)又は複合レジン(築造用)及びスクリューポスト(支台築造用)を併用した場合は、区分番号M002に掲げる支台築造の「2 直接法」のそれぞれの区分に従い算定する。またこの場合、区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3 窩洞形成」及び充填をそれぞれの区分に従い算定する。

(9) 充填に使用した保険医療材料料は窩洞を単位として算定するが、同一歯面に複数の窩洞が存在する場合は1窩洞として取り扱う。

(10) 区分番号I005に掲げる抜髄又は区分番号I006に掲げる感染根管処置を行うに当たり、根管側壁、髄室側壁又は髄床底に穿孔があり封鎖を行った場合は、区分番号M009に掲げる充填の「イ 単純なもの」と保険医療材料料により算定する。なお、形成を行った場合は、区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」の所定点数により算定する。ただし、歯内療法を行うに当たって製作した隔壁については別に算定できない。

また、歯肉を剥離して行った場合は、区分番号J006に掲げる歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術により算定する。

(11) 充填を行った場合の研磨は、所定点数に含まれ別に算定できない。

M010 金属歯冠修復

(1) 「1のイ 単純なもの」とは、隣接歯との接触面を含まない窩洞に行うインレーをいう。

(2) 「1のロ 複雑なもの」とは、隣接歯との接触面を含む窩洞に行うインレーをいう。

(3) 全部金属冠、レジン前装金属冠、前歯の4分の3冠、臼歯の5分の4冠とは、全部金属冠方式又は全部金属冠に準ずる方式で製作する金属歯冠修復をいい、4面又は5面の金属歯冠修復の全ての場合が該当するものではない。なお、全部金属冠とは、全部鋳造方式で製作されたものをいう。

(4) 接着冠に係る金属歯冠修復及び保険医療材料料は、前歯部は「2 4分の3冠」に準じて算定し、臼歯部は「3 5分の4冠」に準じて算定する。

(5) 5分の4冠としての金属歯冠修復は小臼歯への適用を原則とするが、ブリッジの製作に当たり、必要があって生活歯である大臼歯を支台として使用する場合はこの限りでない。

(6) 乳歯の歯冠修復は銀合金により行う。また、乳歯に対する金属歯冠修復は、交換期を考慮して金属歯冠修復を行うことは認められるが、乳歯の解剖学的特殊性を考慮して窩洞形成を行う。ただし、後継永久歯が先天性に欠如している乳歯については、歯科用金銀パラジウム合金を使用しても差し支えない。

(7) 可動性ブリッジ(半固定性ブリッジ)の可動性連結装置は、1装置につき「1のロ 複雑なもの」に準じて算定する。

(8) 金属歯冠修復の金属部分が欠損した場合は、金属歯冠修復による修復は認められない。ただし、全部金属冠による金属歯冠修復を行った歯が、後日、歯髄炎等により歯内療法が必要となり、全部金属冠の咬合面より穿孔して処理を行った後、金属歯冠修復等適切な方法で咬合面を封鎖する場合はこの限りでない。

(9) 智歯に対し必要がある場合は、金属歯冠修復を行って差し支えない。

(10) 歯槽中隔部に骨吸収及び肉芽を形成している下顎大臼歯を保存可能と診断した場合において、当該歯を近遠心根の中隔部において分離切断し、中隔部を掻爬するとともに、各根管に対し歯内療法を行った上で、近心根、遠心根にそれぞれ金属冠を製作し連結して装着する場合は、歯内療法は当該歯を単位として算定し、歯冠修復は製作物ごとに算定する。

なお、歯冠修復における保険医療材料料は、それぞれ小臼歯の材料料として算定する。

(11) 同一歯の複数の窩洞に対して、区分番号M009に掲げる充填及び本区分の「1 インレー」又は区分番号M015に掲げる非金属歯冠修復の「1 レジンインレー」により歯冠修復を行った場合は、それぞれの所定点数により算定する。この場合において、歯冠形成は、区分番号M001に掲げる歯冠形成「3 窩洞形成」、区分番号M001―2に掲げるう蝕歯即時充填形成又は区分番号M001―3に掲げるう蝕歯インレー修復形成のいずれか主たるものの所定点数により算定する。

(12) 区分番号I000―3に掲げる残根削合により算定する場合において、歯内療法により根の保存可能なものに適切な保存処置の上、金属歯冠修復で根面を被覆した場合は、歯冠形成は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」を、金属歯冠修復は本区分の「1のイ 単純なもの」及び保険医療材料料をそれぞれ算定する。また、歯科充填用材料Ⅰにより根面を被覆した場合は、歯冠形成は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」を、充填は区分番号M009に掲げる充填の「イ 単純なもの」及び保険医療材料料をそれぞれ算定する。

(13) 抜歯禁忌症以外であっても、必要があって根管処置及び根面被覆処置が完了した残根上に義歯の装着は認められる。

(14) 純チタン2種の全部金属冠により大臼歯の歯冠修復を行った場合は、区分番号「M015―2」に掲げるCAD/CAM冠に準じて算定する。

(15) 歯内療法により根の保存可能なものに適切な保存処置の上、有床義歯(区分番号M030に掲げられる有床義歯内面適合法の「2 軟質材料を用いる場合」で義歯床用軟質裏装材を使用して間接法により床裏装を行った場合は除く。)に磁性アタッチメントを使用することを目的とし、キーパーを装着した金属歯冠修復で根面を被覆した場合は、1歯につき、区分番号M005に掲げる装着の「1 歯冠修復」及び「注2 内面処理加算2」並びに区分番号M010に掲げる金属歯冠修復の「1のイ 単純なもの」を準用して算定する。また、保険医療材料料は、区分番号M005に掲げる装着の「1 歯冠修復」及び区分番号M010に掲げる金属歯冠修復の「1のロ 複雑なもの」に準じて算定するとともに、キーパーの材料料を算定する。この場合において、歯冠形成は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」を算定し、装着は区分番号M005に掲げる装着の「1 歯冠修復」を算定する。なお、実施に当たっては、関連学会の定める基本的な考え方を参考とする。また、キーパーを使用した場合は、製品に付属している使用した材料の名称及びロット番号等を記載した文書(シール等)を保存して管理すること(診療録に貼付する等)。

M011 レジン前装金属冠

(1) レジン前装金属冠とは、全部鋳造方式で製作された歯冠修復物の唇面又は頬面を硬質レジンで前装したものをいい、前歯又はブリッジの支台歯となる第一小臼歯に限り認められる。

(2) レジン前装金属冠及びレジン前装金属ポンティックの前装部分の破損部分に対して、口腔内にて充填により補修を行った場合は、形成は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」を、充填は区分番号M009に掲げる充填の「1のイ 単純なもの」及び保険医療材料料により算定する。ただし、区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料を算定しているレジン前装金属冠及びレジン前装金属ポンティックの前装部分に行った修理は、区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料に含まれ別に算定できない。

(3) レジン前装金属冠を装着するに当たっては、次により算定する。

イ 前歯の歯冠形成を行った場合は、1歯につき生活歯は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のイ 金属冠」及び区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注2」の加算点数を、失活歯は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のイ 金属冠」、区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注5」及び「注7」の加算点数を算定する。なお、支台築造を行った場合は、区分番号M002に掲げる支台築造の「1 間接法」又は「2 直接法」及び保険医療材料料を算定する。

ロ ブリッジの支台歯として第一小臼歯の歯冠形成を行った場合は、1歯につき生活歯は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のイ 金属冠」、区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注1」及び「注3」の加算点数を、失活歯は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のイ 金属冠」、区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注1」、「注6」及び「注7」の加算点数を算定する。なお、支台築造を行った場合は、区分番号M002に掲げる支台築造の「1 間接法」又は「2 直接法」及び保険医療材料料を算定する。

ハ 印象採得を行った場合は、1歯につき区分番号M003に掲げる印象採得の「1のロ 連合印象」を算定する。

ニ 装着した場合は、1個につき区分番号M005に掲げる装着の「1 歯冠修復」を算定する。

M015 非金属歯冠修復

(1) 「1 レジンインレー」を装着する場合は、次により算定する。

イ 窩洞形成を行った場合は、区分番号M001―3に掲げるう蝕歯インレー修復形成の場合を除き、1歯につき区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」又は「3のロ 複雑なもの」を算定する。

ロ 印象採得又は咬合採得を行った場合は、1個につき区分番号M003に掲げる印象採得の「1 歯冠修復」又は区分番号M006に掲げる咬合採得の「1 歯冠修復」を、装着した場合は1個につき区分番号M005に掲げる装着の「1 歯冠修復」及び合着・接着材料料をそれぞれ算定する。

(2) 「1のイ 単純なもの」とは、隣接歯との接触面を含まない窩洞に行うレジンインレーをいう。

(3) 「1のロ 複雑なもの」とは、隣接歯との接触面を含む窩洞に行うレジンインレーをいう。

(4) 同一歯の複数の窩洞に対して、区分番号M009に掲げる充填及び本区分の「1 レジンインレー」又は区分番号M010に掲げる金属歯冠修復の「1 インレー」により歯冠修復を行った場合は、それぞれの所定点数により算定する。この場合において、歯冠形成は、区分番号M001に掲げる歯冠形成「3 窩洞形成」、区分番号M001―2に掲げるう蝕歯即時充填形成又は区分番号M001―3に掲げるう蝕歯インレー修復形成のいずれか主たるものの所定点数により算定する。

(5) 「2 硬質レジンジャケット冠」を装着する場合は、次により算定する。

イ 歯冠形成を行った場合は、1歯につき、生活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のロ 非金属冠」を、失活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のロ 非金属冠」及び区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注8」の加算を算定する。

ロ 印象採得を行った場合は、1歯につき、区分番号M003に掲げる印象採得の「1のイ 単純印象」又は区分番号M003に掲げる印象採得の「1のロ 連合印象」を算定する。

ハ 装着した場合は、1歯につき、区分番号M005に掲げる装着の「1 歯冠修復」及び保険医療材料料を算定する。

(6) 「2 硬質レジンジャケット冠」は以下のいずれかに該当する場合に算定する。

イ 前歯及び小臼歯に対して使用する場合

ロ 歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者において、大臼歯に対して硬質レジンジャケット冠により歯冠修復を行った場合(医科の保険医療機関又は医科歯科併設の医療機関の医師との連携のうえで、診療情報提供(診療情報提供料の様式に準じるもの)に基づく場合に限る。)

(7) 歯冠用強化ポリサルホン樹脂を用いて歯科射出成形樹脂(歯冠用)とともに二層成形を行った場合は、硬質レジンジャケット冠により算定する。

(8) (6)にかかわらず、後継永久歯が先天的に欠如している乳歯に対して硬質レジンジャケット冠により歯冠修復を行った場合は所定点数により算定する。

M015―2 CAD/CAM冠

(1) CAD/CAM冠とは、CAD/CAM冠用材料との互換性が制限されない歯科用CAD/CAM装置を用いて、作業模型で間接法により製作された歯冠補綴物をいう。

(2) CAD/CAM冠は以下のいずれかに該当する場合に算定する。

イ 前歯又は小臼歯に使用する場合

ロ 上下顎両側の第二大臼歯が全て残存し、左右の咬合支持がある患者に対し、過度な咬合圧が加わらない場合等において第一大臼歯に使用する場合

ハ 歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者において、大臼歯に使用する場合(医科の保険医療機関又は医科歯科併設の医療機関の医師との連携のうえで、診療情報提供(診療情報提供料の様式に準じるもの)に基づく場合に限る。)

(3) CAD/CAM冠を装着する場合は、次により算定する。

イ 歯冠形成を行った場合は、1歯につき、生活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のロ 非金属冠」及び区分番号M001に掲げる「注4」の加算を、失活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のロ 非金属冠」及び区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注9」の加算を算定する。

ロ 印象採得を行った場合は、1歯につき、区分番号M003に掲げる印象採得の「1のロ 連合印象」を算定する。

ハ 装着した場合は、1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1 歯冠修復」、区分番号M005に掲げる装着の「注1」の加算及び特定保険医療材料料を算定する。

(4) 特定保険医療材料料は別に算定する。

(5) 前歯に対し、CAD/CAM冠を製作する場合において、CAD/CAM冠用材料(Ⅳ)の色調を決定することを目的として、色調見本とともに当該歯冠補綴を行う部位の口腔内写真を撮影した場合は、区分番号D010に掲げる歯冠補綴時色調採得検査に準じて算定する。

(6) 前歯に対し、区分番号M001に掲げる歯冠形成のうち、CAD/CAM冠に係る費用を算定した歯又はCAD/CAM冠の歯冠形成を行うことを予定している歯で、テンポラリークラウンを用いた場合は、区分番号M003―2に掲げるテンポラリークラウンに準じ、当該歯に係る処置等を開始した日から当該補綴物を装着するまでの期間において、1歯につき1回に限り算定する。

M016 乳歯冠

(1) 「1 乳歯金属冠」とは、乳歯に対する既製の金属冠をいう。

(2) 乳歯金属冠を装着するに当たっては、次により算定する。

イ 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のハ 既製冠」を、失活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のハ 既製冠」を算定する。

ロ 印象採得を行った場合は1歯につき、区分番号M003に掲げる印象採得の「1のイ 単純印象」を算定し、咬合採得を行った場合は、区分番号M006に掲げる咬合採得の「1 歯冠修復」を算定する。

ハ 装着した場合は、1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1 歯冠修復」を算定する。

(3) 「2 1以外の場合」は、次の場合に算定する。

イ 乳歯に対してジャケット冠を装着する場合

① 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のロ 非金属冠」を、失活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のロ 非金属冠」を算定する。

② 印象採得を行った場合は1歯につき、区分番号M003に掲げる印象採得の「1のイ 単純印象」を算定し、咬合採得を行った場合は区分番号M006に掲げる咬合採得の「1 歯冠修復」を算定する。

③ 装着した場合は、1歯につき、区分番号M005に掲げる装着の「1 歯冠修復」及び保険医療材料料を算定する。

ロ 乳歯の前歯の歯冠部全体のエナメル質の一層を削除し、エナメルエッチング法を実施した後、クラウンフォームのビニールキャップに複合レジンを填入し、支台歯に圧接を行い、硬化後キャップを除去した上で、調整して歯冠修復を完成した場合

この場合において、生活歯に歯冠形成を行った場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のロ 非金属冠」により算定し、失活歯に歯冠形成を行った場合は区分番号M001に掲げる「2のロ 非金属冠」により算定し、使用した保険医療材料料は、歯科充填用材料Ⅰ又はⅡの「(1) 単純なもの」と「(2) 複雑なもの」を合算して算定する。なお、永久歯の前歯に対して行う場合についても、区分番号M016に掲げる乳歯冠の「2 1以外の場合」により算定して差し支えない。

M016―2 小児保隙装置

(1) 小児保隙装置は、う蝕等によって乳臼歯1歯が早期に喪失した症例に対して乳臼歯に装着されるループが付与されたクラウン(又はバンド状の装置)を装着した場合に算定する。

(2) 小児保隙装置を装着するに当たっては、次により算定する。

イ 歯冠形成(バンドループを除く。)を行った場合は1歯につき、生活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のハ 既製冠」を、失活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のハ 既製冠」を準用する。

ロ 印象採得を行った場合は、1歯につき、区分番号M003に掲げる印象採得の「1のイ 単純印象」を算定する。

ハ 装着した場合は、1歯につき、区分番号M005に掲げる装着の「1 歯冠修復」及び装着に係る特定保険医療材料料を算定する。

ニ 当該装置を撤去した場合は、区分番号I019に掲げる歯冠修復物又は補綴物の除去の「1 簡単なもの」に準じて算定する。

(3) 当該装置の装着の算定は、ヘルマンの咬合発育段階の歯年齢ⅡAからⅢA期までに行う。

M016―3 既製金属冠

(1) 既製金属冠とは、永久歯に対する既製の金属冠をいう。

(2) 既製金属冠を装着するに当たっては、次により算定する。

イ 歯冠形成を行った場合は1歯につき、生活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のハ 既製冠」を、失活歯の場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のハ 既製冠」を算定する。

ロ 印象採得を行った場合は1歯につき、区分番号M003に掲げる印象採得の「1のイ 単純印象」を算定し、咬合採得を行った場合は、区分番号M006に掲げる咬合採得の「1 歯冠修復」を算定する。

ハ 装着した場合は、1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1 歯冠修復」を算定する。

<欠損補綴>

M017 ポンティック

(1) レジン前装金属ポンティックとは、鋳造方式により製作されたポンティックの唇面又は頬面を硬質レジンにより前装したものをいう。

(2) レジン前装金属ポンティックを、大臼歯に使用する場合は、咬合面を金属で製作し、頬面にレジン前装を施した場合に限り認められる。

(3) 延長ブリッジの場合の7番ポンティックは、小臼歯部として扱い、レジン前装金属ポンティックを製作した場合は「ロ 小臼歯部の場合」により算定し、この場合の保険医療材料料については製作したポンティックの種類に応じて、該当する小臼歯の保険医療材料料を算定する。

(4) 可動性固定ブリッジ(半固定性ブリッジ)の可動性連結装置を使用した場合は、区分番号M010に掲げる金属歯冠修復の「1のロ 複雑なもの」及び区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のロ 複雑なもの」を算定する。

(5) ブリッジの製作に当たり、支台歯の植立方向によりポンティックを分割して製作することは認められない。

(6) ブリッジは、次の適用による。

イ ブリッジの給付について

(イ) ブリッジは歯の欠損状況から「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)に示す方法で支台歯数等を定め製作する。

(ロ) 連続欠損の場合は2歯までとする。ただし、中側切歯は連続4歯欠損まで認められる。

(ハ) 延長ブリッジは原則として認められないが、第二大臼歯欠損であって咬合状態及び支台歯の骨植状態を考慮し半歯程度のポンティックを行う場合はこの限りでない。

(ニ) 隣接歯の状況等からやむをえず延長ブリッジを行う場合は、側切歯及び小臼歯1歯のみ認められる。

(ホ) 第三大臼歯をブリッジの支台歯とする場合は、歯冠、歯根の大きさや形態、傾斜、転位等を総合的に勘案した上で行う。

(ヘ) 接着ブリッジは、1歯欠損症例において、接着ブリッジ支台歯を生活歯に求める場合に認められる。

(ト) 残根上のブリッジは認められない。

ロ ブリッジ設計の考え方

ブリッジの設計は、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)による。

(7) 分割抜歯後のブリッジの製作

イ 第1、第2大臼歯を分割抜歯してブリッジの支台歯とすることは、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)の「5 咬合力の負担からみたブリッジの適応症と設計、4)その他(歯根を分割抜去した大臼歯に対するブリッジの適用について)」の項を参照し、残った歯冠、歯根の状態が歯科医学的に適切な場合に限り認められる。

なお、上顎第2大臼歯の遠心頬側根抜歯、下顎第2大臼歯の遠心根抜歯の場合の延長ポンティックは認められない。

ロ 分割抜歯を行った場合の指数は、次のとおりとする。

(イ) 下顎の場合、残った歯根はR=2、欠損部をポンティックとしたときはF=4とする。

(ロ) 上顎の場合、残った歯根は1根につきRを1とするが、1根のみの支台歯は歯科医学的に適切ではないので認められない。ブリッジの支台歯となるのは、口蓋根と頬側の1根が残った場合、残った歯根はR=2、欠損部をポンティックとしたときはF=4とする。また、頬側の2根のみが残った場合は口蓋根部のポンティックは必要とされないことから残った歯根はR=2のみとする。

例①(第1大臼歯の遠心根を抜歯した場合)

例②(第1大臼歯の遠心根と第2大臼歯を抜歯した場合)

ハ 上顎の第1又は第2大臼歯を3根のうち2根残して分割抜歯してブリッジの支台歯とする場合は、頬側2根を残した場合は大臼歯として、又頬側いずれか1根と口蓋根を残した場合は支台歯としての小臼歯歯冠修復と小臼歯のポンティックとして算定して差し支えない。単独冠として行う場合は、大臼歯の歯冠修復として算定して差し支えない。

ニ 下顎の第1又は第2大臼歯を近遠心2根のうち1根を残して分割抜歯してブリッジの支台とする場合は、1根を支台歯としての小臼歯歯冠修復と小臼歯ポンティックとして算定して差し支えない。単独冠として行う場合は、小臼歯の歯冠修復として算定して差し支えない。

(8) ブリッジを装着するに当たり、印象採得を行った場合は、1装置につき区分番号M003に掲げる印象採得の「2のニの(1) 支台歯とポンティックの数の合計が5歯以下の場合」又は区分「2のニの(2) 支台歯とポンティックの数の合計が6歯以上の場合」を、咬合採得を行った場合は1装置につき区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のイの(1) 支台歯とポンティックの数の合計が5歯以下の場合」又は区分番号M006に掲げる咬合採得の「2のイの(2) 支台歯とポンティックの数の合計が6歯以上の場合」を、装着した場合は支台装置の装着は1歯につき区分番号M005に掲げる装着の「1 歯冠修復」及び保険医療材料料を、ブリッジの装着は1装置につき区分番号M005に掲げる装着の「2のイ ブリッジ」の各区分の所定点数を算定する。

(9) 必要があって根を分離切断した下顎大臼歯を支台歯として使う場合の指数は「6」として大臼歯1歯の取扱いとする。ただし、分離切断したのであるから、実態に合わせて指数を減ずることを考慮すべきである。

(10) インレーを支台装置とするブリッジは、窩洞形成を行った場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のロ 複雑なもの」により算定する。なお、全ての支台をインレーとするブリッジは区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の対象としないことから、区分番号M000―2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料は算定できない。

(11) 「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)の判定条件におけるブリッジの1側の支台歯のRの総計が、隣接するポンティックのF及びF・Sの総計の3分の1以上であるという判定条件bは延長ブリッジは適用しない旨のただし書は、延長したポンティックについては片側に支台歯が存在しないのでそのポンティックのバランスは考慮しないとの意である。したがって、画像109 (22KB)別ウィンドウが開きます

の場合画像110 (20KB)別ウィンドウが開きます

部は判定条件bにかかわっていないので、基本となるブリッジ画像111 (21KB)別ウィンドウが開きます
において条件bを判定することになる。

この場合は判定条件bを満たしていないので、画像112 (22KB)別ウィンドウが開きます
もブリッジの設計としては不適である。

(12) 「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)によると延長ブリッジの支台歯は2歯以上となっているが、これは回転力を軽減させるためであるから、支台歯が2歯以上であって条件が整っていれば、必ずしも支台歯は連続している必要はない。

(13) 可動性ブリッジ又はインレーを支台とするブリッジの指数は、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)に示した当該支台歯の歯種による指数を用いる。

(14) 欠損ではなく、1歯相当分の間隙のある場合のブリッジの設計において、ポンティックは両隣接支台歯の何れかの形態を模して決定するが、その指数は実態に応じ近似の歯種の指数とする。なお、半歯程度の間隙の場合は隙とする。

(15) 有床義歯では目的が達せられないか又は誤嚥等の事故を起こす恐れが極めて大きい場合であってブリッジを行う以外に方法がないときは、予め理由書、模型及びエックス線フィルム又はその複製を地方厚生(支)局長に提出しその判断を求める。

(16) 低位唇側転位の犬歯の抜歯後に生じた欠損部の間隙が側切歯、あるいはそれ以下しかない場合であっても、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)にあるポンティックの抵抗値(F値)を減じることは適切でない。

欠損部の間隙が側切歯半歯以下の極めて小さい場合は、側切歯又は第一小臼歯、あるいは双方の歯冠幅を僅かずつ拡大して歯冠修復を行い、場合によっては補綴隙等を行うことにより対応する。

犬歯のポンティックが必要な場合で、中切歯が既にブリッジの支台として使用されている等の理由で新たに支台として使用できない場合に限って、ブリッジの設計を「②3④⑤」に変更することは差し支えない。この場合において、診療報酬明細書の摘要欄に中切歯の状況等を記載する。

(17) 側切歯及び犬歯又は犬歯及び第一小臼歯の2歯欠損であって、犬歯が低位唇側転位していたため間隙が1歯分しかない場合に限ってポンティック1歯のブリッジとして差し支えない。

ただし、製作するブリッジのポンティックの形を側切歯とするか犬歯とするかはそれぞれの症例によって異なるものと思われるが、形の如何によらずポンティックの抵抗値(F値)は犬歯の「5」として設計する。

この場合において、診療報酬明細書の摘要欄に低位唇側転位の犬歯を含む欠損歯数と補綴歯数の不一致の旨記載すること。

(18) 矯正・先天性欠如等により、第一小臼歯が既に欠損している患者の第二小臼歯を抜歯した場合あるいは第二小臼歯が舌側に転位しているとき、第一小臼歯及び第二小臼歯を抜歯した場合で、間隙は1歯分しかないような小臼歯2歯の欠損であって間隙が狭い場合のブリッジは、「ブリッジについての考え方2007」(平成19年11月日本歯科医学会)に従って実際の歯式どおり対応する。

(19) 次に掲げるブリッジの設計は原則として認められないが、歯科医学的に妥当であると考えられる場合には、保険適用の可否を確認することになるので、予め理由書、模型及びエックス線フィルム又はその複製を地方厚生(支)局長に提出してその判断を求める。また、添付模型の製作は、基本診療料に含まれ、算定できないが、添付フィルム又はその複製は、区分番号E100に掲げる歯、歯周組織、顎骨、口腔軟組織及び区分番号E300に掲げるフィルムにより算定して差し支えない。ただし、算定に当たっては、診療報酬明細書の摘要欄に算定の理由を記載する。

イ (18)と同様の理由で第一小臼歯、第二小臼歯、第一大臼歯欠損のブリッジにおいて、欠損歯数は3歯であるが、間隙のほうが1歯分程度小さく2歯分となる場合

ロ 移植後一定期間経過した移植歯を支台歯とする1歯欠損症例のブリッジであって、骨植状態が良好であり、咬合力の負担能力が十分にあると考えられる場合

(20) 6⑥⑦及び⑤⑥6のような分割延長ブリッジは原則として認められないが、前者は隣接する第二小臼歯が前方ブリッジの支台歯となっているか又は同歯にメタルボンド冠が装着されている症例、後者は隣接する第二大臼歯に金合金又は白金加金の全部金属冠が装着されている症例であって、補綴物を除去し、当該歯をブリッジの支台歯として使用することが困難であるため、当該歯の補綴物にレストを設定することによりブリッジの維持を求める構造となる場合はこの限りでない。

ただし、レストの設定に係る費用は算定できない。

M017―2 高強度硬質レジンブリッジ

(1) 高強度硬質レジンブリッジとは、歯冠用グラスファイバーによるフレームに高強度の硬質レジンを用いて製作する、臼歯部1歯中間欠損部に対するポンティックを含む、臼歯3歯ブリッジをいう。

(2) 高強度硬質レジンブリッジは以下のいずれかに該当する場合に算定する。

イ 上下顎両側の第二大臼歯が全て残存し、左右の咬合支持がある患者に対し、過度な咬合圧が加わらない場合等において、第二小臼歯の欠損に対して第一小臼歯及び第一大臼歯を支台歯とするブリッジに使用する場合

ロ 歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者において、臼歯部1歯中間欠損に使用する場合(ただし、医科の保険医療機関又は医科歯科併設の医療機関の医師との連携のうえで、診療情報提供(診療情報提供料の様式に準じるもの)に基づく場合に限る。)

(3) 高強度硬質レジンブリッジを装着する場合は、次により算定する。

イ 歯冠形成は原則として、失活歯に対して行い、この場合においては、区分番号M001に掲げる歯冠形成の「2のロ 非金属冠」及び区分番号M001に掲げる歯冠形成の「注1」及び「注9」の加算を算定する。

やむを得ず生活歯の歯冠形成を行う場合は、区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1のロ 非金属冠」及び区分番号M001に掲げる「注1」及び「注4」の加算を算定する。

ロ 印象採得を行った場合は、1装置につき、区分番号M003に掲げる印象採得の「2のニの(1) 支台歯とポンティックの数の合計が5歯以下の場合」を算定する。

ハ 装着した場合は、1装置につき区分番号M005に掲げる装着の「2のイの(1)支台歯とポンティックの数の合計が5歯以下の場合」、区分番号M005に掲げる装着の「注1」の加算及び特定保険医療材料料を算定する。

(4) 特定保険医療材料料は別に算定する。

M018 有床義歯

(1) 有床義歯は、歯の欠損状況や製作する義歯の形態にかかわらず、人工歯数に応じて算定する。

(2) 欠損補綴に当たっての歯数の数え方は、欠損歯数によるものではなく、人工歯の数による。欠損歯が4歯であっても、人工歯の排列上5歯となる場合は、その歯数は5歯とする。

(3) 局部義歯のうち12歯から14歯までは、あくまで残存歯があり、局部義歯として補綴を行った場合に限り算定する。なお、1床14歯の局部義歯の場合もあり得る。

(4) 左側第二大臼歯から右側第二大臼歯までが欠損している(欠損歯数14歯)症例において、歯冠の一部が露出した状態の埋伏智歯が残存している場合又は当然抜歯すべき症例のうち何らかの理由で抜歯不可能な場合は、智歯と無関係に総義歯同様の義歯を製作したときは、総義歯として算定する。

(5) 抜歯後1月を経過していなくても歯科医学的にみて適当であると認められる場合に限り、義歯の製作は所定点数により算定する。

(6) 根管処置及び根面被覆処置が完了した残根上に必要があって義歯の装着を行うことは認められる。ただし、高齢者で根管が閉鎖して歯内療法が困難な場合等、やむを得ず残根歯に対して、歯内療法及び根面被覆処置が完了出来なかった場合に義歯を製作した場合は、その理由を診療録に記載する。

(7) 残根上の義歯をやむを得ず製作するに際し、残根歯の歯内療法後に行う根面被覆処置として、複合レジンを使用することは差し支えない。この場合において、歯冠形成は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のイ 単純なもの」、充填は区分番号M009に掲げる充填の「イ 単純なもの」及び保険医療材料料を算定する。

(8) 残根歯を利用したアタッチメントを使用した有床義歯は算定できない。

(9) 前歯部の間隙のみがある場合、これを有床義歯の隙により補綴することは歯科医学的に適切でない。

(10) 小児義歯は原則として認められないが、後継永久歯が無く著しい言語障害及び咀嚼障害を伴う先天性無歯症、象牙質形成不全症、象牙質異形成症又はエナメル質形成不全症であって脆弱な乳歯の早期崩壊又は後継永久歯の先天欠損を伴う場合、外胚葉性異形成症、低ホスファターゼ症、パピヨン=ルフェブル症候群及び先天性好中球機能不全症、その他の先天性疾患により後継永久歯が無い場合、外傷や腫瘍等により歯が喪失した場合若しくはこれに準ずる状態であって、小児義歯以外は咀嚼機能の改善・回復が困難な小児に対する小児義歯の場合はこの限りでない。この場合において、小児義歯を算定する場合は、診療録に義歯の装着年月日、装着部位及び小児義歯が必要となった疾患名を記載する。なお、先天性疾患以外の疾患により後継永久歯がない場合に準ずる状態であって、小児義歯以外に咀嚼機能の改善・回復が困難な小児に対して小児義歯を適用する場合は、予め理由書、模型及びエックス線フィルム又はその複製を地方厚生(支)局長に提出し、保険適用の判断を求める。なお、模型の製作は基本診療料に含まれ算定できないが、エックス線フィルム又はその複製は、区分番号E100に掲げる歯、歯周組織、顎骨、口腔軟組織及び区分番号E300に掲げるフィルムにより算定する。ただし、算定に当たっては、診療報酬明細書の摘要欄に算定の理由を記載する。

(11) 模型上で抜歯後を推定して製作する即時義歯は認められるが、即時義歯の仮床試適に係る費用は算定できない。ただし、即時義歯とは長期的に使用できるものをいい、暫間義歯は算定できない。

(12) 有床義歯を1日で製作し装着することは、特殊な症例で歯科医学的に適切な場合に限り算定する。ただし、常態として1~2日で製作し装着を行うものの、装着後の調整指導を実施しない保険医療機関は算定できない。

(13) 新たに有床義歯を製作する場合は、原則として前回有床義歯を製作した際の印象採得を算定した日から起算して6カ月を経過した以降に、新たに製作する有床義歯の印象採得を行うものとする。ただし、次に掲げる場合であって、新たに有床義歯を製作する場合はその限りではない。

イ 他の保険医療機関において、6月以内に有床義歯を製作していないことを患者に確認した場合

ロ 遠隔地への転居のため通院が不能になった場合

ハ 急性の歯科疾患のため喪失歯数が異なった場合

ニ 認知症を有する患者や要介護状態の患者であって、義歯管理が困難なために有床義歯が使用できない状況(修理が困難な程度に破折した場合を含む。)となった場合

ホ その他特別な場合(災害又は事故等)

この場合において、新たに有床義歯を製作する理由を診療録に記載すること。なお、ニ又はホの理由による場合は、該当する記号及び具体的な内容を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

なお、「有床義歯の取扱いについて」(昭和56年5月29日保険発第44号)は、平成28年3月31日をもって廃止する。

M019 熱可塑性樹脂有床義歯

(1) 熱可塑性樹脂有床義歯は、区分番号M018に掲げる有床義歯の例により算定する。

(2) 熱可塑性樹脂有床義歯は、歯の欠損状況や製作する義歯の形態にかかわらず、人工歯数に応じて所定点数を算定する。

M020 鋳造鉤

(1) 14カラット金合金による鋳造鉤は2歯欠損までの有床義歯の場合に限り算定する。

(2) 保険医療材料料は、別に定める鋳造鉤の使用材料料により算定する。

(3) ローチのバークラスプ及び鋳造によるバックアクション鉤は二腕鉤として算定し、2歯以上にわたるバークラスプは、双子鉤として算定する。

なお、保険医療材料料は、別に定める鋳造鉤の使用材料料の双子鉤の大・小臼歯により算定する。

M021 線鉤

(1) バックアクション鉤等に要する費用は、本区分の「1 双子鉤」により算定する。

(2) 14カラット金合金による線鉤は2歯欠損までの有床義歯の場合に限り算定する。

(3) レストつきの単純鉤(線鉤)を製作した場合において、当該装置に要する費用は、本区分の「2 二腕鉤(レストつき)」により算定する。

(4) レストのない単純鉤(線鉤)を製作した場合は、「3 レストのないもの」により算定する。

M021―2 コンビネーション鉤

(1) コンビネーション鉤とは、二腕鉤にそれぞれ鋳造鉤と線鉤を組み合わせて製作したものをいう。

(2) (1)の規定にかかわらず、線鉤と鋳造レストを組み合わせて製作した場合、本区分により算定して差し支えない。

M022 間接支台装置

(1) 本区分は、間接支台装置としてフック又はスパーを製作した場合に算定する。

(2) レストのみを製作した場合は、本区分により算定して差し支えない。

(3) 欠損部から離れた歯に対して、M020に掲げる鋳造鉤、M021に掲げる線鉤又はM021―2に掲げるコンビネーション鉤を製作した場合は、それぞれの該当する区分により算定する。

(4) 支台歯(鉤歯)1歯につき、支台装置(区分番号M020に掲げる鋳造鉤、区分番号M021に掲げる線鉤、M021―2に掲げるコンビネーション鉤又は本区分)は1個に限り算定し、複数の支台装置を用いた場合は主たるものにより算定する。

M023 バー

(1) 保持装置とは、1歯欠損に相当する孤立した中間欠損部位を含む有床義歯において、鋳造バー又は屈曲バーと当該欠損部に用いる人工歯を連結するために使用される小連結子をいう。

(2) 鋳造バー、屈曲バーに保持装置を装着した場合は、その使用個数に応じて算定する。

(3) 緩圧式バーは「1 鋳造バー」又は「2 屈曲バー」により算定する。

(4) ケネディバーは「1 鋳造バー」により算定し、「1 鋳造バー」によるリンガルバーと併用した場合については、それぞれについて「1 鋳造バー」により算定する。

(5) バー義歯が破損し、バーの取替えが必要な症例に限り新たなバーに要する費用は算定する。

また、有床義歯修理の際に、新たにバーを付与した場合も歯科医学上適切な場合に限り算定する。

(6) 有床義歯及び熱可塑性樹脂有床義歯の製作や床修理に際し、補強線を使用した場合の当該補強線に係る費用は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。

なお、補強線は、歯の欠損部、残存歯の植立状態、対咬関係、顎堤の形態及び粘膜の性状等を勘案し、義歯の破損防止のために使用するものをいう。

M025 口蓋補綴、顎補綴

(1) 本区分は次に掲げる装置を製作した場合に算定する。

イ 腫瘍、顎骨嚢胞等による顎骨切除に対する口蓋補綴装置又は顎補綴装置

ロ オクルーザルランプを付与した口腔内装置

ハ 発音補整装置

ニ 発音補助装置

ホ ホッツ床

(2) 「2 印象採得が著しく困難なもの」とは、次の場合をいう。

イ 硬口蓋歯槽部の欠損範囲が半側を超える場合

ロ 軟口蓋部の欠損が認められる場合

ハ 歯槽骨を超える下顎骨の辺縁切除を伴う場合であって、口腔粘膜のみでは創を閉鎖できないため皮弁されている場合又は下顎骨区域切除以上の下顎骨欠損が認められる場合

ニ 口蓋補綴、顎補綴を行う場合であって、上下の切歯を有する場合の正中部における切歯間距離又は切歯を有しない場合の正中部における顎堤間距離が30mm未満の開口量である場合

(3) 区分番号M018に掲げる有床義歯又は区分番号M019に掲げる熱可塑性樹脂有床義歯と(1)に示す装置を一体として新製した場合は、それぞれの所定点数を合算した点数により算定する。なお、この場合において、印象採得は本区分及び有床義歯に係る区分のそれぞれの所定点数を合算した点数により算定する。また、咬合採得は有床義歯に係る区分により、装着は本区分により算定する。ただし、本区分の「1 印象採得が困難なもの」に該当する装置と総義歯を一体として製作した場合の装着料は、区分番号M005に掲げる装着の「2のロの(3)総義歯」により算定して差し支えない。旧義歯を修理、調整し製作した場合又は義歯を伴わない場合に、(1)に示す装置を製作した場合は本区分の製作に係る所定点数のみを算定する。

(4) 「(1)のイ 腫瘍、顎骨嚢胞等による顎骨切除に対する口蓋補綴装置又は顎補綴装置」とは、腫瘍、顎骨嚢胞等による顎骨切除を行った患者に対して構音、咀嚼及び嚥下機能の回復を目的に製作する装置をいう。なお、新製時に必要に応じて区分番号M030に掲げる有床義歯内面適合法に用いる義歯床用軟質裏装材を用いて口蓋補綴又は顎補綴(義歯を伴う場合を含む。)を製作して差し支えない。この場合は、新製した口蓋補綴又は顎補綴の装着時に、区分番号M030に掲げる有床義歯内面適合法の「2 軟質材料を用いる場合」を「注2」の規定により別に算定して差し支えない。また、口蓋補綴又は顎補綴の保険医療材料料とは別に区分番号M030に掲げる有床義歯内面適合法の特定保険医療材料料を算定する。

(5) 「(1)のロ オクルーザルランプを付与した口腔内装置」とは広範な顎骨切除に伴う顎間関係の変化によって生じた咬合不全に対して、新たな咬合関係を付与する目的で、顎骨切除を行った対顎に装着する装置(義歯に付与したものを含む。)をいう。当該装置は「1 印象採得が困難なもの」により算定する。

(6) 「(1)のハ 発音補整装置」とは口蓋裂等に起因する鼻咽腔閉鎖機能不全による言語療法のため鼻咽腔閉鎖機能改善を目的に製作する、いわゆるスピーチエイド等の装置(義歯に付与したものを含む。)をいう。

(7) 「(1)のニ 発音補助装置」とは、舌の切除等の外科的療法を行った後の発音障害に対して、発音の補助を目的として製作する装置(義歯に付与したものを含む。)をいう。当該発音補助装置は「1 印象採得が困難なもの」により算定する。

(8) 「(1)のホ ホッツ床」とは区分番号J022に掲げる顎・口蓋裂形成術を実施する患者に対して必要があって製作する哺乳床をいう。当該装置を装着した場合は、「1 印象採得が困難なもの」により、同一の患者に対して3回に限り算定する。ただし、印象採得、材料、装着等は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(9) 区分番号M025―2に掲げる広範囲顎骨支持型補綴は、別に算定できない。

(10) 本区分により算定する装置の修理は1回につき区分番号M029に掲げる有床義歯修理により算定する。

(11) 本区分により算定する装置の調整は1回につき区分番号H001―2に掲げる歯科口腔リハビリテーション料1「3 その他の場合」により算定する。

(12) 本区分を算定する場合は、(1)のイからホまでのいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

M025―2 広範囲顎骨支持型補綴

(1) 広範囲顎骨支持型補綴とは、区分番号J109に掲げる広範囲顎骨支持型装置埋入手術後から当該装置の上部に装着されるブリッジ形態又は床義歯形態の補綴物が装着されるまでの一連の治療をいう。

(2) 「1 ブリッジ形態のもの」は、広範囲顎骨支持型補綴の補綴物の範囲に応じて算定する。

(3) 当該補綴物がブリッジ形態及び床義歯形態の両方の形態を持ち合わせた補綴物である場合は、主たる形態のものに応じて「1 ブリッジ形態のもの」又は「2 床義歯形態のもの」により算定する。

(4) 「注2」について、唇顎口蓋裂又は外胚葉異形成症等の先天性疾患等による顎堤形成不全の場合であって、骨移植等による顎骨の再建範囲が3分の1顎程度より狭い場合(1~2歯程度の場合)においては、「1 ブリッジ形態のもの」の所定点数の100分の50に相当する点数により算定する。

(5) 広範囲顎骨支持型装置埋入手術後、当該補綴に係る補綴物の印象採得から装着までの一連の行為は、当該技術料に含まれ、別に算定できない。

(6) 広範囲顎骨支持型補綴に係る補綴物の装着を行った日においては、患者に対して、当該補綴物の装着日、主治の歯科医師の氏名、保険医療機関名及び療養上必要な事項等を記載した文書を提供すること。

(7) 区分番号M025に掲げる口蓋補綴、顎補綴は、別に算定できない。

(8) 特定保険医療材料料は、スクリュー、アバットメント、アタッチメント及びシリンダーに限り、別に算定する。

<その他の技術>

(ろう着)

歯冠修復物及び欠損補綴物をろう着した場合は、当該歯冠修復物及び欠損補綴物の製作等に係る所定点数に含まれ別に算定できない。

M026 補綴隙

補綴隙は、レジン隙又は金属隙の使用が認められるが、いずれも補綴隙により算定する。なお、総義歯は算定できない。

<修理>

M029 有床義歯修理

(1) 有床義歯の修理は、人工歯数に関係なく所定点数により算定する。この場合において、修理に伴って鉤を新たに製作したときは、その鉤は、鉤の所定点数により算定する。

(2) 人工歯が脱落した際又は抜歯後に旧義歯の増歯を行う際に、新たに人工歯を用いて有床義歯の修理を行った場合には、人工歯料を別に算定して差し支えない。

(3) 破損した有床義歯を修理した後、新たに有床義歯を製作した場合は、それぞれ所定点数により算定する。

(4) 総義歯又は9歯以上の局部義歯において、咬合高径を調整する目的で人工歯の咬合面にレジンを添加し咬合の再形成を行った場合又は当該義歯の床縁形態を修正する目的で当該義歯の床縁全周にわたりレジンを追加し床延長する場合は、1回に限り所定点数により算定する。

(5) 鉤歯の抜歯又は鉤の破損等のため不適合となった鉤を連結部から切断又は除去した場合は、再製、修理又は床裏装を前提とした場合に、除去料を算定する。なお、鉤を切断又は除去した部位の状況によって、義歯調整を行うことにより当該義歯をそのまま使用できる場合においては所定点数を算定して差し支えない。

(6) 有床義歯修理算定に当たっては、修理内容の要点を診療録に記載する。

(7) 「注3」及び「注4」に規定する加算は、当該加算に係る施設基準に適合するものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、破損した有床義歯に係る診療を行い、修理のために患者から当該有床義歯を預かった場合であって、当該患者の求めに応じて、当該有床義歯を預かった日(以下「預かり日」という。)から起算して2日以内において、当該保険医療機関内に配置されている歯科技工士を活用して修理(新たに生じた欠損部位に対する有床義歯の増歯を含む。)を行い、装着した場合に所定点数に加算する。なお、当該加算の算定に当たっては、預かり日、修理を担当する歯科技工士の氏名及び修理の内容を診療録に記載する。

(8) 有床義歯(区分番号M030に掲げられる有床義歯内面適合法の「2 軟質材料を用いる場合」で義歯床用軟質裏装材を使用して間接法により床裏装を行った場合は除く。)に磁性アタッチメントを使用することを目的とし、根面を被覆するキーパーを装着した金属歯冠修復と密接するように、磁石構造体を装着した場合は、1個につき、区分番号M029に掲げられる有床義歯修理を準用して算定する。なお、実施に当たっては、関連学会の定める基本的な考え方を参考とする。また、磁石構造体を使用した場合は、製品に付属している使用した材料の名称及びロット番号等を記載した文書(シール等)を保存して管理すること(診療録に貼付する等)。なお、義歯の破損、増歯等に対する有床義歯修理と同時に有床義歯に磁石構造体を装着した場合の有床義歯修理は、所定点数により別途算定する。

M030 有床義歯内面適合法

(1) 有床義歯内面適合法(有床義歯床裏装)は、アクリリック樹脂又は熱可塑性樹脂で製作された義歯床の粘膜面を一層削除し、新たに義歯床の床裏装を行った場合に当該義歯の人工歯数に応じ所定点数を算定する。

(2) 「2 軟質材料を用いる場合」は、顎堤の吸収が著しい又は顎堤粘膜が菲薄である等、硬質材料による床裏装では症状の改善が困難である下顎総義歯患者又は区分番号M025に掲げる口蓋補綴、顎補綴の(1)のイに規定する装置(義歯を伴う場合を含む。)による補綴を行い、有床義歯装着後、当該義歯不適合の患者に対して、義歯床用軟質裏装材を使用して間接法により床裏装を行った場合に算定する。

なお、「2 軟質材料を用いる場合」の算定に当たっては、顎堤吸収の状態、顎堤粘膜の状態等、症状の要点及び使用した材料名を診療録に記載する。

(3) 「2 軟質材料を用いる場合」を算定した日の属する月から起算して6月以内は、区分番号I022に掲げる有床義歯床下粘膜調整処置の算定はできない。

(4) 旧義歯において顎堤の吸収が著しい又は顎堤粘膜が菲薄である等により、「2 軟質材料を用いる場合」を算定した患者に対して新たな有床義歯、口蓋補綴又は顎補綴を製作する場合において、引き続き軟質材料を用いることが必要な場合は、新製時に義歯床用軟質裏装材を用いて総義歯、口蓋補綴又は顎補綴を製作して差し支えない。ただし、同じ特定保険医療材料を使用する場合に限る。この場合において、新製有床義歯装着時に、当該区分を「注2」の規定により別に算定して差し支えない。また、有床義歯の特定保険医療材料料とは別に当該区分の特定保険医療材料料を算定する。

(5) 義歯が不適合で有床義歯を新たに製作することを前提に行った床裏装は、有床義歯修理の所定点数により算定する。

(6) 義歯破損に際し義歯修理のみにより当初の目的を達せられない場合、歯科医学的判断により、床裏装を行ったときは、有床義歯修理及び有床義歯内面適合法(有床義歯床裏装)の点数をそれぞれ算定する。ただし、同日に直接法により床裏装を行った場合の修理は、有床義歯内面適合法の所定点数に含まれる。

(7) 床裏装に際しての印象採得料は、区分番号M003に掲げる印象採得の「2のロ 連合印象」により算定する。

(8) 区分番号M025に掲げる口蓋補綴、顎補綴の(1)のイに規定する装置(義歯を伴う場合を含む。)による補綴を行い、有床義歯装着後、当該義歯不適合のため硬質材料を用いて床裏装を行った場合は、「1のロ 総義歯」により算定する。

(9) 有床義歯の換床を行った場合は、本区分により算定する。

(10) 「注4」及び「注5」に規定する加算は、当該加算に係る施設基準に適合するものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、不適合になった有床義歯に係る診療を行い、床裏装のために患者から当該有床義歯を預かった場合であって、当該患者の求めに応じて、預かり日から起算して2日以内において、当該保険医療機関内に配置されている歯科技工士を活用して床裏装を行い、装着した場合に所定点数に加算する。なお、当該加算の算定に当たっては、預かり日、床裏装を担当する歯科技工士の氏名を診療録に記載する。

M034 歯冠補綴物修理

(1) 前歯部のポンティックの修理は、本区分により算定する。

(2) 咬合面が金属であるレジン裏装を行った臼歯部ブリッジのポンティックにおいてレジン裏装が脱落し、これを即時重合レジンで修理した場合は本区分により算定する。

(3) レジンジャケット冠の一部破損に対して、口腔内において即時硬化レジンで修理した場合は、本区分により算定する。

(4) 歯冠継続歯の修理は、本区分により算定する。

(5) 高強度硬質レジンブリッジの修理は、本区分により算定する。なお、この場合において、修理内容及び部位にかかわらず、3歯として算定する。

M041 広範囲顎骨支持型補綴物修理

(1) 当該補綴物の修理は、区分番号M025―2に掲げる広範囲顎骨支持型補綴に係る補綴物の装着を行った日の属する月の翌月以降に月1回に限り算定する。

(2) 広範囲顎骨支持型補綴物修理の算定に当たっては、修理内容の要点を診療録に記載すること。なお、別の保険医療機関で装着された当該補綴物の修理を行った場合は、装着を実施した保険医療機関名及び装着時期について、患者からの情報等を踏まえ診療録に記載する。

(3) 特定保険医療材料料は、スクリュー、アバットメント、アタッチメント及びシリンダーに限り、別に算定する。

第13部 歯科矯正

通則

1 歯科矯正は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において行う別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常、3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)又は別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において行う顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る。)の手術の前後における療養に限り保険診療の対象とする。

2 歯科矯正は、第1節の各区分の注に「保険医療材料料は、所定点数に含まれる。」等と規定されている場合を除き、第1節の各区分の所定点数に第2節の特定保険医療材料料を合算して算定する。

3 区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料又は区分番号N001に掲げる顎口腔機能診断料の算定に基づく診断を行った患者に限り、別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常又は別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において行う顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る。)の手術の前後における療養として歯科矯正を行うことができる。

4 印象採得、咬合採得及び装着は、それぞれの診療行為を行った日に算定する。

5 第13部に掲げられていない特殊な歯科矯正は、その都度当局に内議し、最も近似する歯科矯正として準用が通知された算定方法により算定する。

6 歯科矯正においては、患者が任意に診療を中止し、1月を経過した後、再び同一症状又は同一病名で当該保険医療機関に受診した場合は、初診料は算定できない。

7 別に厚生労働大臣が定める疾患とは、次のものをいう。

(1) 唇顎口蓋裂

(2) ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)

(3) 鎖骨頭蓋骨異形成

(4) トリーチャ・コリンズ症候群

(5) ピエール・ロバン症候群

(6) ダウン症候群

(7) ラッセル・シルバー症候群

(8) ターナー症候群

(9) ベックウィズ・ウイーデマン症候群

(10) 顔面半側萎縮症

(11) 先天性ミオパチー

(12) 筋ジストロフィー

(13) 脊髄性筋萎縮症

(14) 顔面半側肥大症

(15) エリス・ヴァンクレベルド症候群

(16) 軟骨形成不全症

(17) 外胚葉異形成症

(18) 神経線維腫症

(19) 基底細胞母斑症候群

(20) ヌーナン症候群

(21) マルファン症候群

(22) プラダー・ウィリー症候群

(23) 顔面裂(横顔裂、斜顔裂及び正中顔裂を含む。)

(24) 大理石骨病

(25) 色素失調症

(26) 口腔・顔面・指趾症候群

(27) メビウス症候群

(28) 歌舞伎症候群

(29) クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群

(30) ウイリアムズ症候群

(31) ビンダー症候群

(32) スティックラー症候群

(33) 小舌症

(34) 頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群及び尖頭合指症を含む。)

(35) 骨形成不全症

(36) フリーマン・シェルドン症候群

(37) ルビンスタイン・ティビ症候群

(38) 染色体欠失症候群

(39) ラーセン症候群

(40) 濃化異骨症

(41) 6歯以上の先天性部分無歯症

(42) CHARGE症候群

(43) マーシャル症候群

(44) 成長ホルモン分泌不全性低身長症

(45) ポリエックス症候群(XXX症候群、XXXX症候群及びXXXXX症候群を含む。)

(46) リング18症候群

(47) リンパ管腫

(48) 全前脳胞症

(49) クラインフェルター症候群

(50) 偽性低アルドステロン症

(51) ソトス症候群

(52) グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)

(53) 線維性骨異形成症

(54) スタージ・ウェーバ症候群

(55) ケルビズム

(56) 偽性副甲状腺機能低下症

(57) Ekman―Westborg―Julin症候群

(58) 常染色体重複症候群

(59) その他顎・口腔の先天異常

8 7の(59)のその他顎・口腔の先天異常とは、顎・口腔の奇形、変形を伴う先天性疾患であり、当該疾患に起因する咬合異常について、歯科矯正の必要性が認められる場合に、その都度当局に内議の上、歯科矯正の対象とすることができる。

9 別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常に対する歯科矯正の療養は、当該疾患に係る育成医療及び更生医療を担当する保険医療機関からの情報提供等に基づき連携して行われる。

第1節 歯科矯正料

N000 歯科矯正診断料

(1) 歯科矯正診断料は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、歯科矯正を担当する専任の歯科医師(地方厚生(支)局長に届け出ている歯科医師に限る。以下同じ。)が歯科矯正診断を行った場合であって、次のいずれかに該当する場合に限り算定する。

イ 別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常が認められる場合であって、当該疾患の治療を行った医科の保険医療機関又は患者若しくはその家族からの情報及び資料により、当該患者が当該疾患を現に有することが確認された場合

ロ 3歯以上の永久歯萌出不全(前歯永久歯が3歯以上の萌出不全である場合に限る。)に起因した咬合異常が認められる場合であって、歯科矯正を行う保険医療機関において、上下顎前歯3歯以上の骨性の埋伏永久歯(経時的な歯科パノラマエックス線等の撮影を含む経過観察で明らかに歯の移動が認められない永久歯)を有することが確認された場合

なお、「ロ」に該当する場合においては、骨性の埋伏永久歯が隣接する永久歯の歯根吸収の原因になっている場合、歯軸等の異常により萌出困難な場合又は当該歯の歯根彎曲が生じる等の二次的障害を生じる場合に限り算定できる。

(2) 歯科矯正診断料は、別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常が認められる患者又は3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常が認められる患者の口腔状態、顎骨の形態、成長及び発育等を分析するとともに、歯科矯正セファログラム、口腔内写真、顔面写真等の撮影を行い、これらの分析結果や評価等と過去に行った治療内容の評価と併せて可及的に長期的な予測を行った上で、治療計画書を作成し、患者又はその家族に対して、その内容について説明し、文書により提供した場合に算定する。なお、区分番号N003に掲げる歯科矯正セファログラム及び区分番号N004に掲げる模型調製は別に算定する。

(3) 別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常が認められる患者又は3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常が認められる患者であって、顎切除等の手術を必要とする場合は、歯科矯正診断料に規定する別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関で実施される歯科矯正を担当する歯科医師及び顎離断等の手術を担当する保険医療機関の歯科医師又は医師の十分な連携の下に行う。

(4) 「注1」に規定する文書とは、次の内容を含むものをいう。

イ 全身性疾患の診断名、症状及び所見

ロ 口腔領域の症状及び所見(咬合異常の分類、唇顎口蓋裂がある場合は裂型、口腔の生理的機能の状態等)・ヘルマンの咬合発育段階等の歯年齢等

ハ 歯科矯正の治療として採用すべき療法、開始時期及び療養上の指導内容等

ニ 歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関名、担当歯科医師

ホ 顎離断等の手術を担当する保険医療機関名及び担当歯科医師又は担当医師の氏名(顎離断等の手術を行う場合に限る。)

(5) 患者又はその家族に提供した文書の写しを診療録に添付する。

(6) 歯科矯正診断料を算定する場合は、診療録に、患者又はその家族に提供した治療計画書の要点を記載する。

(7) 歯科矯正診断料を算定した後、「注2」に掲げる歯科矯正診断料を算定した日から起算して6月以内の場合並びに区分番号N003に掲げる歯科矯正セファログラムに基づく分析及び歯列弓の分析を行わなかった場合は、歯科矯正診断料は、算定できない。

(8) 歯科矯正診断料の算定に係る歯列矯正は、歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関及び別に厚生労働大臣が定める疾患に係る育成医療及び更生医療等当該疾患に係る手術等を担当する保険医療機関の歯科医師又は医師との十分な連携を図り行う。

(9) 6歯以上の先天性部分無歯症は、欠損している歯数に第三大臼歯は含めない。なお、当該疾患に伴う咬合異常の治療を開始する場合は、診療録に欠損している部位を記載する。

N001 顎口腔機能診断料

(1) 顎口腔機能診断料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関において、歯科矯正を担当する専任の歯科医師が顎口腔機能診断を行った場合に限り算定する。

(2) 顎口腔機能診断料は、顎離断等の手術を必要とする顎変形症の患者(別に厚生労働大臣が定める疾患に起因して顎変形症を発症している場合及び3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常が認められる患者を除く。)の口腔状態、顎骨の形態、成長及び発育等について、咀嚼筋筋電図、下顎運動等の検査、歯科矯正セファログラム、口腔内写真、顔面写真及び予測模型等による評価又は分析を行い、これらの結果と既に行った治療内容の評価を併せて可及的に長期的な予測を行った上で、治療計画書を作成し、患者又はその家族に対して、その内容について説明し、文書により提供した場合に算定する。なお、区分番号N003に掲げる歯科矯正セファログラム及び区分番号N004に掲げる模型調製は別に算定する。

(3) 「注1」に規定する文書とは、次の内容を含むものをいう。

イ 全身性疾患の診断名、症状及び所見

ロ 口腔領域の症状及び所見(咬合異常の分類、唇顎口蓋裂がある場合は裂型、口腔の生理的機能の状態、頭蓋に対する上下顎骨の相対的位置関係の分類等)・ヘルマンの咬合発育段階等の歯年齢等

ハ 歯科矯正の治療として採用すべき療法、開始時期及び療養上の指導内容等

ニ 歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関及び顎離断等の手術を担当する保険医療機関が共同して作成した手術予定等年月日を含む治療計画書、計画策定及び変更年月日等

ホ 顎離断等の手術を担当する保険医療機関名及び担当歯科医師又は担当医師の氏名

ヘ 歯科矯正に関する医療を担当する保険医療機関名、担当歯科医師の氏名等

(4) 患者又はその家族に提供した文書の写しを診療録に添付する。

(5) 顎口腔機能診断料を算定する場合は、診療録に、患者又はその家族に提供した治療計画書の要点を記載する。

(6) 顎口腔機能診断料を算定した後、「注2」に掲げる顎口腔機能診断料を算定した日から起算して6月以内の場合並びに区分番号N003に掲げる歯科矯正セファログラムに基づく分析及び歯列弓の分析を行わなかった場合は、顎口腔機能診断料は算定できない。

(7) 顎口腔機能診断料の算定に係る歯科矯正及び顎離断等の手術は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関で実施される歯科矯正を担当する歯科医師及び顎離断等の手術を担当する保険医療機関の歯科医師又は医師の十分な連携の下に行い、これら一連の治療に関する記録は、当該療養を担当するそれぞれの歯科医師又は医師において保管する。

N002 歯科矯正管理料

(1) 「注1」に規定する「計画的な歯科矯正管理」とは、歯と顎の変化及び移動の把握並びにそれに基づく治療計画の点検及び修正をいう。

また、「注1」に規定する「経過模型による歯の移動等の管理」とは、経過模型を製作し、過去に製作した経過模型と対比し、歯の移動等を把握することをいう。

(2) 「注1」に規定する「療養上必要な指導」とは、区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料の「注1」又は区分番号N001に掲げる顎口腔機能診断料の「注1」に規定する治療計画書に基づいた矯正装置の取扱い、口腔衛生、栄養、日常生活その他療養上必要な指導等をいう。

なお、療養上必要な指導を行った場合は、患者の症状の経過に応じて、既に行われた指導等の評価及びそれに基づいて行った指導の詳細な内容を診療録に記載する。

(3) 区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料の「注1」若しくは区分番号N001に掲げる顎口腔機能診断料の「注1」に規定する治療計画書が作成されていない場合又は当該保険医療機関において歯科矯正の動的治療が行われていない場合は、歯科矯正管理料は算定できない。

(4) 「注1」の「文書」とは、病名、症状、療養上必要な指導及び計画的な歯科矯正管理の状況(治療計画の策定及び変更年月日を含む。)、保険医療機関名、当該管理を行った主治の歯科医師の氏名、顎切除、顎離断等の手術を必要とする療養を行う場合においては、当該手術を担当する保険医療機関名及び担当歯科医師又は担当医師の氏名等を記載したものをいう。

(5) 患者又はその家族に提供した文書の写しを診療録に添付する。

(6) 歯科矯正管理料を算定する場合は、診療録に、患者又はその家族に提供した文書の要点を記載する。

(7) 再診が電話等により行われた場合にあっては、歯科矯正管理料は算定できない。

(8) 歯科矯正管理を行った場合の説明等に使用した経過模型、口腔内写真、顔面写真等は、歯科矯正管理料に含まれ別に算定できない。

(9) 保定における保定装置の調整は、歯科矯正管理料に含まれる。

N003 歯科矯正セファログラム

(1) 歯科矯正セファログラムとは、焦点と被写体の中心及びフィルム面が常に一定の距離を保持し、かつ、エックス線の主線が両耳桿の延長線に対して、0度、90度又は45度に保てる規格の機器を用いて撮影したものをいう。

なお、常に一定の距離とは、個々の患者につき、焦点と被写体の中心及びフィルム面の距離が経年的に一定であることをいう。

(2) 一連とは、側貌、前後像、斜位像等の撮影を全て含むものをいう。

(3) 歯科矯正セファログラムに用いたフィルムに係る費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

N004 模型調製

(1) 平行模型は、咬合平面が水平になるよう製作したときに、顎態模型は、眼耳平面を基準として顎顔面頭蓋との関係を明らかにした模型を製作したときに算定する。

(2) プラスターベースは、平行模型及び顎態模型を一定の規格に維持した状態で長期にわたって保管する必要があるために用いる。プラスターベースの使用に係る費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(3) 平行模型は、歯科矯正を開始するとき、動的処置を開始するとき、マルチブラケット法を開始するとき、顎離断等の手術を開始するとき及び保定を開始するとき、それぞれ1回に限り算定する。

(4) 予測模型とは、歯及び顎の移動後の咬合状態の予測を模型上にあらわしたものをいう。

(5) 予測模型は、歯科矯正の治療においてダイナミックポジショナー及びスプリングリテーナーを製作した場合はそれぞれ1回算定する。なお、歯科矯正を開始するとき又は動的処置を開始するときは、いずれかについて1回に限り算定するものとし、顎離断等の手術を開始するときも1回に限り算定する。

(6) 製作した模型は、保定期間を含む一連の治療が終了した日の属する月の翌月の初日から起算して3年を保存期間とする。

N005 動的処置

(1) 動的処置とは、区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料の「注1」又は区分番号N001に掲げる顎口腔機能診断料の「注1」に規定する治療計画書に基づき策定された区分番号N008に掲げる装着の「注1」又は「注3」に規定する力系に関するチャートに基づき、矯正装置に用いた主線、弾線、スクリュー等の調整並びに床の削除及び添加により、歯及び顎の移動・拡大等を計画的に行うものをいう。

(2) 動的処置は、区分番号N008に掲げる装着の「1 装置」を算定した場合においては、当該費用に含まれ別に算定できない。なお、保定装置の使用期間中においても算定できない。

(3) 同月内における装置の装着と日を異にして行った動的処置は、同月内の第1回目として取り扱う。

(4) 動的処置は、動的処置又はマルチブラケット法のそれぞれの開始の日から起算して、2年以内に行った場合は「1 動的処置の開始の日又はマルチブラケット法の開始の日から起算して2年以内に行った場合」により、2年を超えた後に行った場合は「2 動的処置の開始の日又はマルチブラケット法の開始の日から起算して2年を超えた後に行った場合」により算定する。

N006 印象採得

(1) 歯科矯正における印象採得は、床装置、アクチバトール(FKO)等装置ごとに算定する。

(2) マルチブラケット装置の印象採得をステップⅠ、ステップⅡ、ステップⅢ及びステップⅣの各ステップにおいて行った場合は、各ステップにつき1回に限り算定する。

(3) 「2のイ 印象採得が簡単なもの」に該当するものは、先天性異常が軟組織に限局している場合をいう。

(4) 「2のロ 印象採得が困難なもの」に該当するものは、先天性異常が硬組織に及ぶ場合若しくは顎変形症の場合をいう。なお、硬組織に及ぶ場合とは、先天性異常として骨の欠損及び癒合不全、著しい顎の過成長及び劣成長を伴うものをいう。

(5) 「2のハ 印象採得が著しく困難なもの」に該当するものは、(4)に該当する場合であって前後又は側方の顎の狭窄を伴うため顎の拡大の必要がある場合又は残孔の状態にある場合をいう。

(6) リトラクター又はプロトラクターを製作するために顎顔面の採型を行った場合は、「2のハ 印象採得が著しく困難なもの」により算定する。

(7) 双線弧線装置を使用して歯科矯正を行う場合の第1回目の装置の印象採得は本区分の「1 マルチブラケット装置」を、装着は区分番号N008に掲げる装着の「1のロ固定式装置」及び装置は区分番号N018に掲げるマルチブラケット装置の「1のロ4装置目以降の場合」により算定するものとし、第2回目以降の装置は区分番号N018に掲げるマルチブラケット装置の「1のロ 4装置目以降の場合」のみを算定する。なお、区分番号N008に掲げる装着の「注1」又は「注3」の加算は、各区分の算定要件を満たしている場合に算定する。

(8) 区分番号N019に掲げる保定装置の「7 フィクスドリテーナー」を製作するに当たり、必要があって印象採得を行った場合は、区分番号N006に掲げる印象採得の「1 マルチブラケット装置」により算定する。

N007 咬合採得

(1) 歯科矯正における咬合採得は、床装置、アクチバトール(FKO)等装置ごとに算定する。

(2) マルチブラケット装置又は区分番号N019に掲げる保定装置の「7 フィクスドリテーナー」を製作する場合は、算定できない。

(3) 「2 困難なもの」に該当するものは、先天性異常が硬組織に及ぶ場合若しくは顎変形症の場合であって前後又は側方の顎の狭窄を伴うため顎の拡大の必要がある場合をいう。

(4) 「3 構成咬合」とは、アクチバトール、ダイナミックポジショナーの製作のために筋の機能を賦活し、その装置が有効に働き得る咬合状態を採得するものをいう。

N008 装着

(1) 「1のイ 可撤式装置」に該当するものは、患者が自由に着脱できる床装置、アクチバトール、リトラクター等である。

(2) 「1のロ 固定式装置」に該当するものは、患者が自由に着脱できないリンガルアーチ、マルチブラケット装置、ポータータイプの拡大装置等である。

(3) 装置の装着料は、マルチブラケット装置を除き第1回目の装着時にのみ算定する。

(4) マルチブラケット装置の装着料は、各ステップにつき1回に限り算定する。

(5) ポータータイプ又はスケレトンタイプの拡大装置に使用する帯環の装着に係る費用は、装置の装着に係る費用に含まれ別に算定できない。

(6) マルチブラケット装置の装着時の結紮に係る費用は、所定点数に含まれる。

(7) フォースシステムとは、歯及び顎の移動に関して負荷する矯正力の計画を立てることをいい、力系に関するチャートとは、フォースシステムを基にした矯正装置の選択及び設計のチャートをいう。

(8) メタルリテーナーを除いた保定装置の製作に当たって、フォースシステムを行った場合であっても、フォースシステムは算定できない。

(9) 「注1」又は「注3」の加算を算定する場合は、診療録に、口腔内の状況、力系に関するチャート、治療装置の名称及び設計等を記載する。

(10) 歯科矯正用アンカースクリューの装着料は、区分番号N008―2に掲げる植立に含まれる。

(11) 区分番号N019に掲げる保定装置の「7 フィクスドリテーナー」の装着料は所定点数に含まれる。

(12) 埋伏歯開窓術に伴う牽引装置の装着料は、区分番号N014―2に掲げる牽引装置に含まれる。

N008―2 植立

植立は、区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料又は区分番号N001に掲げる顎口腔機能診断料を算定した患者であって、歯科矯正用アンカースクリューを歯槽部又は口蓋に植立し、当該装置を固定源として、歯科矯正治療を実施した場合に算定する。なお、本規定に関わらず、当該診断料を算定する保険医療機関から診療情報提供料に定める様式に基づく依頼があった場合に限り、当該診断料を算定していなくても、依頼を受けた保険医療機関において実施した場合は、本区分を算定しても差し支えない。この場合において、当該診断料を算定し、診療情報提供を行った保険医療機関名を診療録に記載する。

N009 撤去

(1) ポータータイプの拡大装置の撤去は、同装置を最終的に撤去する場合に1回に限り帯環の数に応じて算定する。

(2) 3について、区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料又は区分番号N001に掲げる顎口腔機能診断料を算定する保険医療機関から診療情報提供料に定める様式に基づく依頼があった場合に限り、当該診断料を算定していなくても依頼を受けた保険医療機関において実施した場合は、本区分を算定して差し支えない。

N010 セパレイティング

(1) セパレイティングとは、帯環を調製装着するため、歯間を離開させることをいい、相隣接する2歯間の接触面を1箇所として算定する。なお、これに使用した真鍮線等の撤去に要する費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。

(2) 叢生(クラウディング)について、本通知の第13部通則3に規定する顎変形症及び通則7に規定する別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常の歯科矯正を行う際に歯の隣接面の削除を行った場合は、区分番号I000―2に掲げる咬合調整の各区分により算定する。

N011 結紮

マルチブラケット装置において結紮を行った場合にのみ算定する。

N012 床装置

床装置は、次により算定する。

イ 「1 簡単なもの」は、顎の狭窄を伴わない場合に装着する装置について算定する。

ロ 「2 複雑なもの」は、前後又は側方の顎の狭窄を伴う場合又は残孔の状態にある場合に装着する装置について算定する。

N012―2 スライディングプレート

(1) スライディングプレートとは、動的処置時における、外傷性咬合の予防、下顎歯列の保隙、永久歯の萌出量の調整又は咬合挙上を目的として装着する装置である。

(2) 印象採得、咬合採得、保険医療材料料は、所定点数に含まれ別に算定できない。

N013 リトラクター

(1) 本区分に該当するものは、マンディブラリトラクター及びマキシラリリトラクターである。

(2) 「注」のスライディングプレートの製作のために行う印象採得、咬合採得、保険医療材料料は、所定点数に含まれ別に算定できない。

N014 プロトラクター

本区分に該当するものは、ホーンタイプ、フレームタイプ及びフェイスボウタイプの装置である。

N014―2 牽引装置

牽引装置は、区分番号N000に掲げる歯科矯正診断料を算定した患者であって、3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常を認めるものにおいて、区分番号J044―2に掲げる埋伏歯開窓術を行った歯に対して、当該装置を装着して埋伏永久歯を牽引して歯科矯正治療を実施する場合に算定する。なお、本規定にかかわらず、当該診断料を算定する保険医療機関と連携し、埋伏歯開窓術を担当する保険医療機関に限り、当該診断料を算定していなくても、本区分を算定して差し支えない。

N015 拡大装置

本区分に該当するものは、プレートタイプ、ポータータイプ、インナーボウタイプ及びスケレトンタイプの拡大装置である。

N016 アクチバトール(FKO)

本区分に該当するものは、アクチバトール及びダイナミックポジショナーである。

N017 リンガルアーチ

(1) 本区分に該当するものは、リンガルアーチ(舌側弧線装置)及びレビアルアーチ(唇側弧線装置)である。

(2) リンガルアーチは、次により算定する。

イ 「1 簡単なもの」は、顎の狭窄を伴わない場合に装着する装置について算定する。

ロ 「2 複雑なもの」は、前後又は側方の顎の狭窄を伴う場合又は残孔の状態にある場合に装着する装置について算定する。

(3) リンガルアーチにおいて、主線の前歯部分のみを再製作し、ろう着した場合は、区分番号N028に掲げる床装置修理により算定する。

N018 マルチブラケット装置

マルチブラケット装置は、次により算定する。

イ マルチブラケット装置とは、帯環及びダイレクトボンドブラケットを除いたアーチワイヤーをいう。

ロ ステップが進んだ場合は、前のステップに戻って算定できない。

ハ ステップⅠとは、レベリングを行うことをいう。

ニ ステップⅡとは、主として直径0.014~0.016インチのワイヤーを用いた前歯部の歯科矯正又は犬歯のリトラクションを行うことをいう。

ホ ステップⅢとは、主として直径0.016~0.018インチのワイヤー又は角ワイヤーを用いた側方歯部の歯科矯正を行うことをいう。

ヘ ステップⅣとは、主として直径0.016~0.018インチあるいはそれ以上のワイヤー又は角ワイヤーを用いた臼歯部の歯科矯正及び歯列弓全体の最終的な歯科矯正を行うことをいう。

ト セクショナルアーチを行う場合の第1回目の装置の印象採得は区分番号N006に掲げる印象採得の「1 マルチブラケット装置」、装着は区分番号N008に掲げる装着の「1のロ 固定式装置」及び装置は本区分の「1のロ 4装置目以降の場合」に掲げる所定点数により算定するものとし、第2回目以降の装置は、本区分の「1のロ 4装置目以降の場合」のみの算定とする。

なお、区分番号N008に掲げる装着の「注1」及び「注3」の加算は、各区分の算定要件を満たしている場合に算定する。

N019 保定装置

(1) 保定装置とは、動的処置の終了後、移動させた歯及び顎を一定期間同位置に保持する装置をいう。

(2) 動的処置に使用した矯正装置をそのまま保定装置として使用した場合は、保定装置は算定できない。

(3) メタルリテーナーは、前後又は側方の顎の狭窄を伴うため顎の拡大を行った後の保定を維持する場合であって、メタルリテーナーを使用する必要性がある場合に限って算定する。

(4) 「5 リンガルバー」に該当するものは、リンガルバー及びパラタルバーを使用する装置である。

(5) インビジブルリテーナーは、プレートタイプリテーナーにより算定する。

(6) フィクスドリテーナーは、歯をワイヤー及びエナメルボンドシステムにより固定結紮することをいう。なお、装着及び除去に係る費用は所定点数に含まれる。

(7) 1及び2の人工歯料は製作費用に含まれ別に算定できない。

N020 鉤

「2 複雑なもの」に該当するものは、アダムス鉤である。

N021 帯環

帯環製作の場合のろう着は、当該各区分の所定点数に含まれるが、帯環にチューブ、ブラケット等をろう着する場合は、区分番号N027に掲げる矯正用ろう着により算定する。

N023 フック

本区分に該当するものは、リンガルボタン、クリーク、フック等であるが、チューブに付随していて新たなろう着の必要のないものは算定できない。

N024 弾線

弾線をリンガルアーチ等に用いるためにろう着を行った場合は、区分番号N027に掲げる矯正用ろう着により算定する。

N025 トルキングアーチ

トルキングアーチは、装着、結紮等は別に算定できない。

N026 附加装置

附加装置は、保険医療材料等(交換用のエラスティクスを含む。)を含む。

N027 矯正用ろう着

本区分に該当するものは、通常のろう着、自在ろう着、電気熔接である。

なお、チューブ、ブラケット等を電気熔接する場合は、1個につき1箇所として算定する。

N028 床装置修理

本区分に該当するものは、床装置の破損等であるが、床装置において動的処置の段階で床の添加を行う場合の床の添加に要する費用は、区分番号N005に掲げる動的処置に含まれ別に算定できない。なお、印象採得、咬合採得は所定点数に含まれる。

第14部 病理診断

通則

1 第14部に規定する病理診断以外の病理診断の算定は、医科点数表の例による。

2 保険医療機関間の連携により病理診断を行った場合は、標本若しくは検体(以下「標本等」という。)の送付側又はデジタル病理画像の送信側の保険医療機関において区分番号O000に掲げる口腔病理診断料を算定できる。なお、その際には、送付又は送信側の保険医療機関において、別紙様式4又はこれに準じた様式に診療情報等の必要事項を記載し、受取又は受信側の保険医療機関に交付するものであること。更に、病理標本の作製を衛生検査所に委託する場合には、衛生検査所にも当該事項を同様に交付すること。

また、区分番号O000の「注4」に規定する口腔病理診断管理加算1又は2については、標本等の受取側又はデジタル病理画像の受信側の保険医療機関において、口腔病理診断を専ら担当する常勤の歯科医師又は医師が病理診断を行い、標本等の送付側又は送信側の保険医療機関にその結果を文書により報告した場合に当該基準に係る区分に従い、送付側又は送信側の保険医療機関において所定点数に加算する。標本等の受取側又は受信側の保険医療機関における診断等に係る費用は、標本等の送付側又は送信側、標本等の受取側又は受信側の保険医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。

3 保険医療機関間のデジタル病理画像の送受信及び受信側の保険医療機関における当該デジタル病理画像の観察による術中迅速病理組織標本作製を行った場合は、送信側の保険医療機関において医科点数表の区分番号N003に掲げる術中迅速病理組織標本作製及び区分番号O000に掲げる口腔病理診断料の「1」を算定できる。また、区分番号O000の「注4」に規定する口腔病理診断管理加算1又は2については、受信側の保険医療機関が、当該加算の施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関であり、病理診断を専ら担当する常勤の歯科医師又は医師が病理診断を行い、送信側の保険医療機関にその結果を報告した場合に当該基準に係る区分に従い、所定点数に加算する受信側の保険医療機関における診断等に係る費用は、受信側、送信側の保険医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。

4 保険医療機関間のデジタル病理画像の送受信及び受信側の保険医療機関における当該デジタル病理画像の観察による迅速細胞診を行った場合は、送信側の保険医療機関において医科点数表の区分番号N003―2に掲げる迅速細胞診及び区分番号O000に掲げる病理診断料の「2」を算定できる。また、区分番号O000の「注4」に規定する口腔病理診断管理加算1又は2については、受信側の保険医療機関が、当該加算の施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関であり、病理診断を専ら担当する常勤の歯科医師又は医師が病理診断を行い、送信側の保険医療機関にその結果を報告した場合に当該基準に係る区分に従い、所定点数に加算する受信側の保険医療機関における診断等に係る費用は、受信側、送信側の保険医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。

5 デジタル病理画像に基づく病理診断については、デジタル病理画像の作成、観察及び送受信を行うにつき十分な装置・機器を用いた上で観察及び診断を行った場合に算定できる。なお、デジタル病理画像に基づく病理診断を行うに当たっては、関係学会による指針を参考とすること。

病理診断・判断料

O000 口腔病理診断料

(1) 口腔病理診断料を算定する保険医療機関は、病理診断を専ら担当する歯科医師又は医師が勤務する病院又は病理診断を専ら担当する常勤の歯科医師若しくは医師が勤務する診療所である。

(2) 当該保険医療機関以外に勤務する病理診断を行う歯科医師又は医師が、当該保険医療機関に出向いて病理診断を行った場合等、当該保険医療機関における勤務の実態がない場合においては、口腔病理診断料は算定できない。

(3) 当該保険医療機関において、当該保険医療機関以外の保険医療機関(衛生検査所等を含む。)で作製した病理標本につき診断を行った場合は、月1回に限り算定する。なお、患者が当該傷病につき当該保険医療機関を受診していない場は、療養の給付の対象とならない。

(4) 「注5」の悪性腫瘍病理組織標本加算については、原発性悪性腫瘍に対して区分番号J039に掲げる上顎骨悪性腫瘍手術の「1 掻爬」から「3 全摘」まで、区分番号J042に掲げる下顎骨悪性腫瘍手術の「1 切除」から「3 切断(その他のもの)」及び区分番号J104―2に掲げる皮膚悪性腫瘍切除術の「1 広汎切除」に掲げる手術を実施し、当該手術の検体から作製された病理組織標本に基づき病理診断を行った場合に算定する。

別紙様式1

別紙様式2

別紙様式3

別紙様式4

別添3

調剤報酬点数表に関する事項

<通則>

1 保険薬局は、当該保険薬局において調剤される医薬品の品質確保について万全を期さなければならない。

2 保険薬剤師は、医師の分割指示に係る処方箋又は投与日数が長期間にわたる処方箋によって調剤を行う場合であって、処方薬の長期保存の困難その他の理由によって分割して調剤する必要がある場合には、分割調剤を行うこと。

また、分割調剤を行う場合(上記の場合のほか、後発医薬品(ジェネリック医薬品)への変更が不可の場合の署名欄に処方医の署名又は記名・押印がない、又は署名欄に処方医の署名又は記名・押印があるものの「変更不可」欄に「レ」又は「×」が記載されていない先発医薬品がある処方箋(以下「後発医薬品への変更が可能な処方箋」という。)を提出した患者の同意に基づき、処方箋に記載された先発医薬品を初めて後発医薬品に変更して調剤を行う場合であって、当該患者の希望により、分割調剤を行う場合を含む。)は、その総量は、当然処方箋に記載された用量を超えてはならず、また、第2回以後の調剤においては使用期間の日数(ただし、処方箋交付の日を含めて4日を超える場合は4日とする。)と用量(日分)に示された日数との和から第1回調剤日から起算して当該調剤日までの日数を差し引いた日分を超えては交付できない。例えば、4月3日交付、使用期間4日間、用量10日分の処方箋で4月4日に5日分の調剤を受け、次に10日に調剤を受けに来た場合は(10+4)-7=7であるから、残りの5日分を全部交付して差し支えないが、もし第2回の調剤を4月13日に受けに来た場合、(10+4)-10=4となるので4日分しか交付できない。

3 保険薬局において分割調剤を行い、当該薬局において調剤済みとならない場合は、処方箋に薬剤師法第26条に規定する事項及び分割理由等の必要な事項を記入し、調剤録等を作成した後、処方箋を患者に返却すること。

4 処方箋において、残薬分を差し引いた減数調剤(薬剤服用歴の記録又は調剤録及び残薬の外形状態・保管状況その他の残薬の状況を確認した上で、処方箋に記載された医薬品の数量を減らして調剤する業務をいう。)を行った後に、残薬に係る状況を情報提供することで差し支えない旨の指示があり、当該指示に基づき調剤を行った場合は、保険薬剤師は、患者に対して次回受診時に処方医へ残薬の状況を報告することを促すとともに、患者の残薬の状況、その理由及び実際に患者へ交付した薬剤の数量、患者への説明内容等について、遅滞なく当該調剤に係る処方箋を発行した保険医療機関に情報提供すること。

5 調剤基本料の「注6」の後発医薬品調剤体制加算及び「注7」に係る後発医薬品については、「「診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品」等について」(令和2年3月5日保医発0305第7号)を参照すること。

6 保険薬局は、患者が薬局における業務内容及びその費用を理解できるよう、調剤報酬点数表の一覧等について、薬剤を交付する窓口等、患者が指導等を受ける際に分かりやすい場所に掲示するとともに、患者の求めに応じて、その内容を説明すること。

7 算定回数が「週」単位又は「月」単位とされているものについては、特に定めのない限り、それぞれ日曜日から土曜日までの1週間又は月の初日から月の末日までの1か月を単位として算定する。

<調剤技術料>

区分00 調剤基本料

1 受付回数等

(1) 調剤基本料は、患者等が提出する処方箋の枚数に関係なく処方箋の受付1回につき算定する。なお、分割調剤を行う場合は、5により算定する。

(2) 同一患者から同一日に複数の処方箋を受け付けた場合、同一保険医療機関の同一医師によって交付された処方箋又は同一の保険医療機関で一連の診療行為に基づいて交付された処方箋については一括して受付1回と数える。

ただし、同一の保険医療機関から交付された場合であっても、歯科の処方箋については歯科以外の処方箋と歯科の処方箋を別受付として算定できる。

(3) 複数の保険医療機関が交付した処方箋を同時にまとめて受け付けた場合においては、受付回数はそれぞれ数え2回以上とする。また、この場合において、当該受付のうち、1回目は調剤基本料の所定点数を算定し、2回目以降は「注3」により調剤基本料の所定点数を100分の80にし、小数点以下第一位を四捨五入した点数を算定する。

2 調剤基本料の注4に規定する保険薬局

(1) 以下のいずれかに該当する保険薬局である場合、調剤基本料を100分の50に減算する。なお、詳細な施設基準については、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)」(令和2年3月5日保医発0305第3号)を参照すること。

ア 医療用医薬品の取引価格の妥結率が5割以下であること。

イ 医療用医薬品の取引価格の妥結率、単品単価契約率及び一律値引き契約に係る状況を地方厚生(支)局長に報告していない保険薬局

ウ 薬剤師のかかりつけ機能に係る基本的業務を1年間実施していない保険薬局

(2) 当該調剤基本料の減算については、調剤基本料の所定点数に100分の50にし、小数点以下第一位を四捨五入して計算する。

3 地域支援体制加算

地域支援体制加算は、かかりつけ薬剤師が機能を発揮し、地域医療に貢献する薬局の体制等を評価するものであり、調剤基本料の区分によらない共通の施設要件(一定の開局時間、在宅体制整備等)及び調剤基本料の区分により一定の差がある実績等を満たした上で必要な届出を行った場合に算定できる。

4 調剤基本料の注7に規定する保険薬局

(1) 後発医薬品の調剤数量割合が4割未満の保険薬局(処方箋受付回数が1月に600回以下の場合を除く。)である場合は、調剤基本料を2点減算する。なお、詳細な施設基準については、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)」(令和2年3月5日保医発0305第3号)を参照すること。

(2) 処方箋の受付回数が1月に600回以下に該当するか否かの取扱いについては、調剤基本料の施設基準に定める処方箋受付回数に準じて取り扱う。

5 分割調剤

(1) 通則

ア 「注8」又は「注9」に係る分割調剤を行う場合は、調剤基本料は初回のみ算定し、2回目以降については「注8」又は「注9」のとおり算定するが、異なる保険薬局で分割調剤を行う場合は、各保険薬局においてそれぞれ調剤基本料を算定できる。

イ 「注8」、「注9」又は「注10」に係る分割調剤のうち、複数の分割調剤を同一の保険薬局において同一日に行う場合にあっては、「注10」の分割調剤に係る点数により算定する。

(2) 長期保存の困難性等の理由による分割調剤

ア 「注8」の分割調剤については、長期投薬(14日分を超える投薬をいう。以下同じ。)に係る処方箋によって調剤を行う場合であって、処方薬の長期保存の困難その他の理由によって分割して調剤する必要があり、分割調剤を行った場合で、1処方箋の2回目以降の調剤を同一の保険薬局において2回目以降行った場合に算定する。

イ 「注8」に係る分割調剤を行う場合は、処方箋の受付時に、当該処方箋を発行した医療機関等に対し照会を行うとともに、分割理由等の必要な事項を調剤録等に記入すること。

(3) 後発医薬品の試用のための分割調剤

ア 「注9」の分割調剤については、後発医薬品への変更が可能な処方箋を提出した患者の同意に基づき、処方箋に記載された先発医薬品を初めて後発医薬品に変更して調剤を行う場合であって、当該患者の希望により分割調剤を行った場合で、同一の保険薬局において1処方箋の2回目の調剤を行った場合に限り算定する。この場合において、2回目の調剤を行う際には、先発医薬品から後発医薬品への変更による患者の体調の変化、副作用が疑われる症状の有無等を確認するとともに、患者の意向を踏まえ、後発医薬品又は変更前の先発医薬品の調剤を行うこととする。なお、その際に、所定の要件を満たせば、薬剤服用歴管理指導料を算定できる。

イ 「注9」に係る分割調剤を行った場合は、処方箋を発行した医療機関等にその旨を連絡するとともに、分割理由等の必要な事項を調剤録等に記入すること。また、2回目の調剤の際に、患者の意向により変更前の先発医薬品の調剤を行った場合も、処方箋を発行した医療機関等にその旨を連絡するとともに、先発医薬品に再変更した理由等の必要な事項を調剤録等に記入すること。

ウ 1処方箋について、「注8」の長期保存の困難性等の理由による分割調剤の2回目以降の調剤と「注9」の後発医薬品の試用のための分割調剤の2回目の調剤を同一の保険薬局において同一日に行う場合にあっては、いずれか一方の分割調剤に係る点数のみを算定する。

(4) 医師の指示による分割調剤

ア 「注10」については、医師の分割指示に係る処方箋(「注8」の長期保存の困難性等の理由による分割調剤及び「注9」の後発医薬品の試用のための分割調剤に該当する場合を除く。)により、患者の同意の下、分割調剤を行った場合に算定する。

イ 調剤基本料及びその加算、調剤料及びその加算並びに薬学管理料については、当該分割調剤を行う保険薬局が当該処方箋において分割調剤を実施しない場合に算定する点数をそれぞれ合算し、分割回数で除した点数を当該調剤時に算定する。当該点数は、小数点以下第一位を四捨五入して計算する。ただし、所定の要件を満たせば服薬情報等提供料1については、分割回数で除していない点数を算定できる。

ウ 「注10」の医師の指示による分割調剤の場合、保険薬局の保険薬剤師は、以下を実施する。

(イ) 分割指示に係る処方箋の交付を受けた患者に対して、処方箋受付前に、継続的な薬学的管理及び指導のため、当該処方箋の1回目の調剤から全ての調剤が完了するまで、同一の保険薬局に処方箋を持参するべきである旨を説明する。

(ロ) 患者に対し、次回の自局への処方箋持参の意向の有無及び予定時期を確認するとともに、予定時期に患者が来局しない場合は、必要に応じ、電話等で服薬状況を確認し来局を促す。

(ハ) また、患者から次回は別の保険薬局に処方箋を持参する旨の申し出があった場合は、患者の了解を得た上で、次回の円滑な薬剤交付に資するよう、調剤後遅滞なく、患者が次回処方箋を持参しようとする保険薬局に対し、調剤の状況とともに必要な情報をあらかじめ提供する。

(ニ) 2回目以降の調剤において患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化等について確認し、その結果を処方医に情報提供する。この場合において、次に掲げる事項を含めるものとする。

・残薬の有無

・残薬が生じている場合はその量及び理由

・副作用の有無

・副作用が生じている場合はその原因の可能性がある薬剤の推定

エ 次に掲げる調剤基本料に規定する加算及び減算について、これらのうち複数に該当する場合は、最初に所定点数に「注3」(100分の80)及び「注4」(100分の50)のうち該当するものを乗じ、次に「注5」(地域支援体制加算)、「注6」(後発医薬品調剤体制加算)及び「注7」(後発医薬品減算)のうち該当するものの加算等を行い、最後に小数点以下第一位を四捨五入した点数を算定する。

(イ) 「注3」 100分の80

(ロ) 「注4」 100分の50

(ハ) 「注5」 地域支援体制加算

(ニ) 「注6」 後発医薬品調剤体制加算

(ホ) 「注7」 後発医薬品減算

区分01 調剤料

(1) 内服薬

ア 内服薬(浸煎薬及び湯薬を除く。以下同じ。)の調剤料については、内服用滴剤とそれ以外の内服薬とは所定単位及び所定点数が異なる。(内服用滴剤は調剤料の「注1」による。)

イ 内服薬(内服用滴剤以外のもの)についての調剤料及び薬剤料の算定はそれぞれ「1剤」及び「1剤1日分」を所定単位とし、内服用滴剤についての調剤料及び薬剤料は「1調剤」を所定単位として算定するが、この場合の「1剤」とは、調剤料の算定の上で適切なものとして認められる単位をいうものであり、次の点に留意する。

(イ) 1回の処方において、2種類以上の薬剤を調剤する場合には、それぞれの内服薬を個別の薬包等に調剤しても、服用時点が同一であるものについては、1剤として算定する。

(ロ) 服用時点が同一である薬剤については、投与日数にかかわらず1剤として算定する。

(ハ) (イ)及び(ロ)における「服用時点が同一である」とは、2種類以上の薬剤について服用日1日を通じて服用時点(例えば「朝食後、夕食後服用」、「1日3回食後服用」、「就寝前服用」、「6時間毎服用」等)が同一であることをいう。また、食事を目安とする服用時点については、食前、食後及び食間の3区分とすることとし、服用時点が「食直前」、「食前30分」等であっても、調剤料の算定にあっては、「食前」とみなし、1剤として扱う。

(ニ) (イ)及び(ロ)にかかわらず、次の場合は、それぞれを別剤として算定できる。

① 配合不適等調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合

② 内服用固形剤(錠剤、カプセル剤、散剤等)と内服用液剤の場合

③ 内服錠とチュアブル錠又は舌下錠等のように服用方法が異なる場合

(ホ) 同一有効成分であって同一剤形の薬剤が複数ある場合は、その数にかかわらず1剤として算定する。

ウ 内服薬の調剤料は、1回の処方箋受付について、4剤以上ある場合についても、3剤として算定する。ただし、この場合、内服用滴剤は剤数に含めないが、浸煎薬又は湯薬を同時に調剤した場合には、当該浸煎薬又は湯薬の調剤数を内服薬の剤数に含めることとする。

エ 同一薬局で同一処方箋を分割調剤(調剤基本料の「注8」の長期保存の困難性等の理由による分割調剤又は「注9」の後発医薬品の試用のための分割調剤に限る。)した場合は、1回目の調剤から通算した日数に対応する点数から前回までに請求した点数を減じて得た点数により算定する。

オ 隔日投与等投与しない日がある処方に係る内服薬の調剤料は、実際の投与日数により算定する。

カ ドライシロップ剤を投与する場合において、調剤の際に溶解し、液剤(シロップ剤)にして患者に投与するときは内服用液剤として算定し、散剤としてそのまま投与するときは内服用固形剤として算定する。また、ドライシロップ剤を水に溶かして同時服用の他の液剤と一緒に投与する場合は1剤として算定し、ドライシロップ剤を散剤として、同時服用の他の固形剤(錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等)と一緒に投与する場合も1剤として算定する。

なお、「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」(平成24年3月5日保医発0305第12号)に基づき、ドライシロップ剤の医薬品から類似する別剤形の後発医薬品に変更して調剤する場合又は類似する別剤形の医薬品からドライシロップ剤の後発医薬品に変更して調剤する場合は、同通知の第3の5を参照すること。

キ 嚥下困難者用製剤加算の取扱いは、以下のとおりとすること。

(イ) 嚥下困難者用製剤加算は、嚥下障害等があって、市販されている剤形では薬剤の服用が困難な患者に対し、医師の了解を得た上で錠剤を砕く等剤形を加工した後調剤を行うことを評価するものである。

(ロ) 剤形の加工は、薬剤の性質、製剤の特徴等についての薬学的な知識に基づいて行わなければならない。

(ハ) 嚥下困難者用製剤加算は、処方箋受付1回につき1回算定できる。

(ニ) 1剤として取り扱われる薬剤について、自家製剤加算は併算定できず、また、剤形を加工したものを用いて他の薬剤と計量混合した場合には、計量混合調剤加算を併算定することはできない。

(ホ) 嚥下困難者用製剤加算を算定した場合においては、一包化加算は算定できない。

(ヘ) 薬剤師が剤形の加工の必要を認め、医師の了解を得た後剤形の加工を行った場合は、その旨調剤録等に記載する。

ク 一包化加算の取扱いは、以下のとおりとすること。

(イ) 一包化加算は、処方箋の受付1回につき1回算定できるものであり、投与日数が42日分以下の場合には、一包化を行った投与日数が7又はその端数を増すごとに34点を加算した点数を、投与日数が43日分以上の場合には、投与日数にかかわらず240点を所定点数に加算する。

(ロ) 一包化とは、服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤又は1剤であっても3種類以上の内服用固形剤が処方されているとき、その種類にかかわらず服用時点ごとに一包として患者に投与することをいう。なお、一包化に当たっては、錠剤等は直接の被包から取り出した後行うものである。

(ハ) 一包化は、多種類の薬剤が投与されている患者においてしばしばみられる薬剤の飲み忘れ、飲み誤りを防止すること又は心身の特性により錠剤等を直接の被包から取り出して服用することが困難な患者に配慮することを目的とし、治療上の必要性が認められる場合に、医師の了解を得た上で行うものである。

(ニ) 薬剤師が一包化の必要を認め、医師の了解を得た後に一包化を行った場合は、その旨及び一包化の理由を調剤録等に記載する。

(ホ) 患者の服薬及び服用する薬剤の識別を容易にすること等の観点から、錠剤と散剤を別々に一包化した場合、臨時の投薬に係る内服用固形剤とそれ以外の内服用固形剤を別々に一包化した場合等も算定できるが、処方箋の受付1回につき1回に限り算定する。

(ヘ) 同一薬局で同一処方箋に係る分割調剤(調剤基本料の「注8」の長期保存の困難性等の理由による分割調剤又は「注9」の後発医薬品の試用のための分割調剤に限る。)をした上で、2回目以降の調剤について一包化を行った場合は、1回目の調剤から通算した日数に対応する点数から前回までに請求した点数を減じて得た点数を所定点数に加算する。

(ト) 一包化加算を算定した範囲の薬剤については、自家製剤加算及び計量混合調剤加算は算定できない。

ケ 内服用滴剤を調剤した場合の調剤料は、投薬日数にかかわらず、1調剤につき「注1」の所定点数を算定する。この場合の内服用滴剤とは、内服用の液剤であって、1回の使用量が極めて少量(1滴ないし数滴)であり、スポイト、滴瓶等により分割使用するものをいう。なお、当該薬剤の薬剤料は、1調剤分全量を1単位として薬剤料の項により算定するものであり、1剤1日分を所定単位とするものではない。

(2) 屯服薬

屯服薬の調剤料は、調剤した剤数、回数にかかわらず、1回の処方箋受付につき所定点数を算定する。

(3) 浸煎薬

ア 浸煎薬とは、生薬を薬局において浸煎し、液剤として製したものをいう。

イ 浸煎薬の調剤料は、日数にかかわらず、1調剤につき算定する。

ウ 浸煎薬の調剤料は、1回の処方箋受付について4調剤以上ある場合において、3調剤まで算定できる。ただし、内服薬又は湯薬を同時に調剤した場合には、内服薬については剤数を、湯薬については調剤数を浸煎薬の調剤数に含めることとする。

(4) 湯薬

ア 湯薬とは、薬局において2種以上の生薬(粗切、中切又は細切したもの)を混合調剤し、患者が服用するために煎じる量ごとに分包したものをいう。

イ 湯薬の調剤料は、1調剤につき投薬日数に応じて所定点数を算定する。

ウ 湯薬の調剤料は、1回の処方箋受付について4調剤以上ある場合において、3調剤まで算定できる。ただし、内服薬又は浸煎薬を同時に調剤した場合には、内服薬については剤数を、浸煎薬については調剤数を湯薬の調剤数に含めることとする。

(5) 注射薬

ア 注射薬の調剤料は、調剤した調剤数、日数にかかわらず、1回の処方箋受付につき所定点数を算定する。

イ 注射薬のうち支給できるものは、在宅医療における自己注射等のために投与される薬剤(インスリン製剤、ヒト成長ホルモン剤、遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤、乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤、活性化プロトロンビン複合体、乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体、自己連続携行式腹膜灌流用灌流液、在宅中心静脈栄養法用輸液、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤、性腺刺激ホルモン製剤、ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体、ソマトスタチンアナログ、顆粒球コロニー形成刺激因子製剤、インターフェロンアルファ製剤、インターフェロンベータ製剤、ブプレノルフィン製剤、抗悪性腫瘍剤、グルカゴン製剤、グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト、ヒトソマトメジンC製剤、人工腎臓用透析液、血液凝固阻止剤、生理食塩水、プロスタグランジンI2製剤、モルヒネ塩酸塩製剤、エタネルセプト製剤、注射用水、ペグビソマント製剤、スマトリプタン製剤、フェンタニルクエン酸塩製剤、複方オキシコドン製剤、オキシコドン塩酸塩製剤、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム製剤、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム製剤、デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム製剤、プロトンポンプ阻害剤、H2遮断剤、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム製剤、トラネキサム酸製剤、フルルビプロフェンアキセチル製剤、メトクロプラミド製剤、プロクロルペラジン製剤、ブチルスコポラミン臭化物製剤、グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L―システイン塩酸塩配合剤、アダリムマブ製剤、エリスロポエチン、ダルベポエチン、テリパラチド製剤、アドレナリン製剤、ヘパリンカルシウム製剤、アポモルヒネ塩酸塩製剤及びセルトリズマブペゴル製剤、トシリズマブ製剤、メトレレプチン製剤、アバタセプト製剤、pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)製剤、電解質製剤、注射用抗菌薬、エダラボン製剤、アスホターゼ アルファ製剤、グラチラマー酢酸塩製剤、脂肪乳剤、セクキヌマブ製剤、エボロクマブ製剤、ブロダルマブ製剤、アリロクマブ製剤、ベリムマブ製剤、イキセキズマブ製剤、ゴリムマブ製剤、エミシズマブ製剤、イカチバント製剤、サリルマブ製剤、デュピルマブ製剤、ヒドロモルフォン塩酸塩製剤、インスリン・グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト配合剤、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム製剤、遺伝子組換えヒトvon Willebrand因子製剤、ブロスマブ製剤、アガルシダーゼ アルファ製剤、アガルシダーゼ ベータ製剤、アルグルコシダーゼ アルファ製剤、イデュルスルファーゼ製剤、イミグルセラーゼ製剤、エロスルファーゼ アルファ製剤、ガルスルファーゼ製剤、セベリパーゼ アルファ製剤、ベラグルセラーゼ アルファ製剤、ラロニダーゼ製剤、メポリズマブ製剤、オマリズマブ製剤、テデュグルチド製剤、サトラリズマブ製剤及びビルトラルセン製剤)に限る。

なお、「モルヒネ塩酸塩製剤」、「フェンタニルクエン酸塩製剤」、「複方オキシコドン製剤」、「オキシコドン塩酸塩製剤」及び「ヒドロモルフォン塩酸塩製剤」は、薬液が取り出せない構造で、かつ患者等が注入速度を変えることができない注入ポンプ等に、必要に応じて生理食塩水等で希釈の上充填して交付した場合に限る。ただし、患者又はその家族等の意を受け、かつ、これらの麻薬である注射薬の処方医の指示を受けた看護師が、患家に当該注射薬を持参し、患者の施用を補助する場合又は保険薬局の保険薬剤師が、患家に麻薬である注射薬を持参し、当該注射薬の処方医の指示を受けた看護師に手渡す場合は、この限りでない。

ウ イの「在宅中心静脈栄養法用輸液」とは、高カロリー輸液をいい、高カロリー輸液以外にビタミン剤、高カロリー輸液用微量元素製剤及び血液凝固阻止剤を投与することができる。

なお、上記イに掲げる薬剤のうち、処方医及び保険薬剤師の医学薬学的な判断に基づき適当と認められるものについて、在宅中心静脈栄養法用輸液に添加して投与することは差し支えない。

エ イの「電解質製剤」とは、経口摂取不能又は不十分な場合の水分・電解質の補給・維持を目的とした注射薬(高カロリー輸液を除く。)をいい、電解質製剤以外に電解質補正製剤(電解質製剤に添加して投与する注射薬に限る。)、ビタミン剤、高カロリー輸液用微量元素製剤及び血液凝固阻止剤を投与することができる。

オ イの「注射用抗菌薬」とは、病原体に殺菌的又は静菌的に作用する注射薬をいう。

(6) 外用薬

ア 外用薬の調剤料は、投与日数にかかわらず、1調剤につき算定する。

イ 外用薬の調剤料は、1回の処方箋受付について4調剤以上ある場合において、3調剤まで算定できる。

ウ トローチについては、外用薬として算定する。

エ 同一有効成分で同一剤形の外用薬が複数ある場合には、その数にかかわらず、1調剤として取り扱う。

(7) 注射薬の無菌製剤処理

ア 「注2」の「無菌製剤処理」とは、無菌室・クリーンベンチ・安全キャビネット等の無菌環境の中で、無菌化した器具を使用し、無菌的な製剤を行うことをいう。

イ 注射薬調剤料の無菌製剤処理加算は、2以上の注射薬を無菌的に混合して(麻薬の場合は希釈を含む。)、中心静脈栄養法用輸液、抗悪性腫瘍剤又は麻薬を製剤した場合に算定し、中心静脈栄養法用輸液又は抗悪性腫瘍剤又は麻薬を1日分製剤する毎にそれぞれ69点、79点又は69点(6歳未満の乳幼児の場合においては、1日分製剤する毎にそれぞれ137点、147点又は137点)を加算する。

ウ 抗悪性腫瘍剤として無菌製剤処理加算の対象になる薬剤は、悪性腫瘍等に対して用いる細胞毒性を有する注射剤として独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律第192号)第4条第5項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が指定した医薬品(平成16年厚生労働省告示第185号)において指定されたものをいう。

エ 無菌製剤処理加算は、同一日の使用のために製剤した場合又は組み合わせて1つの注射剤として製剤した場合においても、1日につき1回に限り、主たるものの所定点数のみ算定するものとする。

オ 無菌製剤処理を伴わない調剤であって、患者が施用時に混合するものについては、無菌製剤処理加算は算定できない。

カ 無菌調剤室を共同利用する場合に当たっては、「薬事法施行規則の一部を改正する省令の施行等について」(平成24年8月22日薬食発0822第2号)を遵守し適正に実施すること。なお、この場合の費用については両者の合議とする。

(8) 麻薬、向精神薬、覚醒剤原料又は毒薬加算

ア 「向精神薬」とは、麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第2条第6号の規定に基づく同法別表第3に掲げる向精神薬をいう。

イ 当該加算は、麻薬、向精神薬、覚醒剤原料又は毒薬を調剤する場合において、処方中に麻薬が含まれているときに1調剤行為につき70点、それ以外のときに1調剤行為につき8点を加算するものであり、処方中の麻薬、向精神薬、覚醒剤原料又は毒薬の品目数、投薬日数に関係なく当該所定点数を算定する。

ウ 使用した薬剤の成分が麻薬、覚醒剤原料又は毒薬であっても、その倍散の製剤若しくは予製剤等で規制含有量以下のため麻薬、覚醒剤原料又は毒薬の取扱いを受けていない場合は、当該加算は算定できない。

エ 重複した規制を受けている薬剤については、当該薬剤が麻薬である場合は1調剤につき70点を算定し、それ以外の場合は1調剤につき8点を算定する。

オ 当該加算は、内服薬のほか、屯服薬、注射薬、外用薬についても算定できる。

(9) 調剤技術料の時間外加算等

ア 時間外加算は調剤基本料を含めた調剤技術料(基礎額)の100分の100、休日加算は100分の140、深夜加算は100分の200であり、これらの加算は重複して算定できない。

イ 時間外加算等を算定する場合の基礎額は、調剤基本料(調剤基本料における「注1」から「注10」までを適用して算出した点数)と調剤料のほか、無菌製剤処理加算及び在宅患者調剤加算の合計額とする。嚥下困難者用製剤加算、一包化加算、麻薬・向精神薬・覚醒剤原料・毒薬加算、自家製剤加算及び計量混合調剤加算は基礎額に含まない。

ウ かかりつけ薬剤師包括管理料を算定する場合の時間外加算等については、かかりつけ薬剤師包括管理料の所定点数を基礎額として取り扱う。

エ 時間外加算等を算定する保険薬局は開局時間を当該保険薬局の内側及び外側の分かりやすい場所に表示する。

オ 時間外加算

(イ) 各都道府県における保険薬局の開局時間の実態、患者の来局上の便宜等を考慮して、一定の時間以外の時間をもって時間外として取り扱うこととし、その標準は、概ね午前8時前と午後6時以降及び休日加算の対象となる休日以外の日を終日休業日とする保険薬局における当該休業日とする。

(ロ) (イ)により時間外とされる場合においても、当該保険薬局が常態として調剤応需の態勢をとり、開局時間内と同様な取扱いで調剤を行っているときは、時間外の取扱いとはしない。

(ハ) 時間外加算を算定する患者については、処方箋の受付時間を当該患者の薬剤服用歴の記録又は調剤録に記載する。

(ニ) 「注4」のただし書に規定する時間外加算の特例の適用を受ける保険薬局とは、一般の保険薬局の開局時間以外の時間における救急医療の確保のため、国又は地方公共団体等の開設に係る専ら夜間における救急医療の確保のため設けられている保険薬局に限られる。

(ホ) 「注4」のただし書に規定する「別に厚生労働大臣が定める時間」とは、当該地域において一般の保険薬局が概ね調剤応需の態勢を解除し、翌日調剤応需の態勢を再開するまでの時間であって、深夜時間を除いた時間をいう。

カ 休日加算

(イ) 休日加算の対象となる休日とは、日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日をいう。なお、1月2日、3日、12月29日、30日及び31日は休日として取り扱う。

(ロ) 休日加算は次の患者について算定できるものとする。なお、①以外の理由により常態として又は臨時に当該休日に開局している保険薬局の開局時間内に調剤を受けた患者については算定できない。

① 地域医療の確保の観点から、救急医療対策の一環として設けられている施設、又は輪番制による休日当番保険薬局等、客観的に休日における救急医療の確保のために調剤を行っていると認められる保険薬局で調剤を受けた患者

② 当該休日を開局しないこととしている保険薬局で、又は当該休日に調剤を行っている保険薬局の開局時間以外の時間(深夜を除く。)に、急病等やむを得ない理由により調剤を受けた患者

キ 深夜加算

(イ) 深夜加算は、次の患者について算定できるものとする。なお、①以外の理由により常態として又は臨時に当該深夜時間帯を開局時間としている保険薬局において調剤を受けた患者については算定できない。

① 地域医療の確保の観点から、救急医療対策の一環として設けられている施設、又は輪番制による深夜当番保険薬局等、客観的に深夜における救急医療の確保のために調剤を行っていると認められる保険薬局で調剤を受けた患者

② 深夜時間帯(午後10時から午前6時までの間)を開局時間としていない保険薬局、及び当該保険薬局の開局時間が深夜時間帯にまで及んでいる場合にあっては、当該開局時間と深夜時間帯とが重複していない時間に、急病等やむを得ない理由により調剤を受けた患者

(ロ) 深夜加算を算定する患者については、処方箋の受付時間を当該患者の薬剤服用歴の記録又は調剤録に記載する。

(10) 調剤料の夜間・休日等加算

ア 夜間・休日等加算は、午後7時(土曜日にあっては午後1時)から午前8時までの間(休日加算の対象となる休日を除く。)又は休日加算の対象となる休日であって、保険薬局が表示する開局時間内の時間において調剤を行った場合に、処方箋の受付1回につき、調剤料の加算として算定する。ただし、時間外加算等の要件を満たす場合には、夜間・休日等加算ではなく、時間外加算等を算定する。

イ 夜間・休日等加算を算定する保険薬局は開局時間を当該保険薬局の内側及び外側の分かりやすい場所に表示するとともに、夜間・休日等加算の対象となる日及び受付時間帯を薬局内の分かりやすい場所に掲示する。また、平日又は土曜日に夜間・休日等加算を算定する患者については、処方箋の受付時間を当該患者の薬剤服用歴の記録又は調剤録に記載する。

(11) 自家製剤加算

ア 自家製剤加算は、イの(1)に掲げる場合以外の場合においては、投薬量、投薬日数等に関係なく、自家製剤による1調剤行為に対し算定し、イの(1)に掲げる錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤又はエキス剤の内服薬を自家製剤の上調剤した場合においては、自家製剤を行った投与日数が7又はその端数を増すごとに所定点数を算定する。

イ 当該加算に係る自家製剤とは、個々の患者に対し市販されている医薬品の剤形では対応できない場合に、医師の指示に基づき、容易に服用できるよう調剤上の特殊な技術工夫(安定剤、溶解補助剤、懸濁剤等必要と認められる添加剤の使用、ろ過、加温、滅菌等)を行った次のような場合であり、既製剤を単に小分けする場合は該当しない。

(イ) 錠剤を粉砕して散剤とすること。

(ロ) 主薬を溶解して点眼剤を無菌に製すること。

(ハ) 主薬に基剤を加えて坐剤とすること。

ウ 「注6」のただし書に規定する「別に厚生労働大臣が定める薬剤」とは、薬価基準に収載されている薬剤と同一剤形及び同一規格を有する薬剤をいう。

エ 薬価基準に収載されている医薬品に溶媒、基剤等の賦形剤を加え、当該医薬品と異なる剤形の医薬品を自家製剤の上調剤した場合に、次の場合を除き自家製剤加算を算定できる。

(イ) 調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合

(ロ) 液剤を調剤する場合であって、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」という。)上の承認事項において用時溶解して使用することとされている医薬品を交付時に溶解した場合

オ 割線のある錠剤を医師の指示に基づき分割した場合は、錠剤として算定する。ただし、分割した医薬品と同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合は算定できない。

カ 自家製剤加算を算定した場合には、計量混合調剤加算は算定できない。

キ 「予製剤」とは、あらかじめ想定される調剤のために、複数回分を製剤し、処方箋受付時に当該製剤を投与することをいう。

ク 通常、成人又は6歳以上の小児に対して矯味剤等を加える必要がない薬剤を6歳未満の乳幼児(以下「乳幼児」という。)に対して調剤する場合において、薬剤師が必要性を認めて、処方医の了解を得た後で、単に矯味剤等を加えて製剤した場合であっても、「注6」の「イ」を算定できる。

ケ 自家製剤を行った場合には、賦形剤の名称、分量等を含め製剤工程を調剤録等に記載すること。

コ 自家製剤は、医薬品の特性を十分理解し、薬学的に問題ないと判断される場合に限り行うこと。

(12) 計量混合調剤加算

ア 計量混合調剤加算は、薬価基準に収載されている2種類以上の医薬品(液剤、散剤若しくは顆粒剤又は軟・硬膏剤に限る。)を計量し、かつ、混合して、液剤、散剤若しくは顆粒剤として内服薬又は屯服薬を調剤した場合及び軟・硬膏剤等として外用薬を調剤した場合に、投薬量、投薬日数に関係なく、計量して混合するという1調剤行為に対し算定できる。なお、同注のただし書に規定する場合とは、次の場合をいう。

(イ) 液剤、散剤、顆粒剤、軟・硬膏剤について「注6」の自家製剤加算を算定した場合

(ロ) 薬価基準に収載されている薬剤と同一剤形及び同一規格を有する薬剤を調剤した場合

イ ドライシロップ剤を液剤と混合した場合は、計量混合調剤加算を算定するものとする。

ウ 処方された医薬品が微量のため、乳幼児に対してそのままでは調剤又は服用が困難である場合において、医師の了解を得た上で賦形剤、矯味矯臭剤等を混合し、乳幼児が正確に、又は容易に服用できるようにした場合は、「注7」を算定できる。ただし、調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合は、この限りでない。

エ 計量混合調剤は、医薬品の特性を十分理解し、薬学的に問題ないと判断される場合に限り行うこと。

(13) 在宅患者調剤加算

在宅患者調剤加算は、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料若しくは在宅患者緊急時等共同指導料又は介護保険における居宅療養管理指導費若しくは介護予防居宅療養管理指導費が算定されていない場合は、算定できない。ただし、「区分15 在宅患者訪問薬剤管理指導料」の(4)において規定する在宅協力薬局が処方箋を受け付けて調剤を行った場合は、この限りでない。

<薬学管理料>

(1) 薬学管理等は、患者等のプライバシーに十分配慮した上で実施しなければならないものとする。

(2) 患者に対する服薬指導、服薬支援等を行う際に、日付、曜日、服用時点等の別に薬剤を整理することができる資材(以下「服薬カレンダー等」という。)を提供する場合にあっては、患者から実費を徴収しても差し支えない。

(3) 別紙様式1及び別紙様式3について、電子的方法によって、個々の患者の服薬に関する情報等を保険医療機関に提供する場合は、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を遵守し、安全な通信環境を確保するとともに、書面における署名又は記名・押印に代わり、厚生労働省の定める準拠性監査基準を満たす保健医療福祉分野の公開鍵基盤(HPKI:Healthcare Public Key Infrastructure)による電子署名を施すこと。

(4) ①薬剤服用歴管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料及び在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する場合における他の薬学管理料の算定の可否、②同一月内における服薬情報等提供料及び在宅患者訪問薬剤管理指導料と他の薬学管理料の算定の可否は別表1のとおりであるため、参考とされたい。

区分10 薬剤服用歴管理指導料

1 通則

(1) 薬剤服用歴管理指導料は、同一患者の1回目の処方箋受付時から算定できる。

(2) 調剤基本料の「注10」の医師の指示による分割調剤における2回目以降の調剤を行う場合には、患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化等について確認し、その結果を処方医に情報提供する。この場合において、次に掲げる事項を含めるものとする。また、処方医に対して情報提供した内容を薬剤服用歴の記録に記載する。

・残薬の有無

・残薬が生じている場合はその量及び理由

・副作用の有無

・副作用が生じている場合はその原因の可能性がある薬剤の推定

(3) 薬剤服用歴管理指導料は、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者の場合、当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の処方箋によって調剤を行った場合に限り算定できる。

2 薬剤服用歴管理指導料「1」及び「2」

(1) 薬剤服用歴管理指導料「1」及び「2」は、保険薬剤師が、患者の薬剤服用歴及び服用中の医薬品等について確認した上で、(2)の「薬剤の服用に関する基本的な説明」及び(3)の「患者への薬剤の服用等に関する必要な指導」の全てを対面により行い、さらに(4)の「薬剤服用歴の記録」を実施した場合に、以下の区分により算定する。

ア 薬剤服用歴管理指導料「1」

3月以内に再度処方箋を持参した患者であって、手帳を持参したもの

イ 薬剤服用歴管理指導料「2」

以下のいずれかに該当する患者

(イ) 初めて処方箋を持参した患者

(ロ) 3月を超えて再度処方箋を持参した患者

(ハ) 3月以内に再度処方箋を持参した患者であって、手帳を持参していないもの

(2) 薬剤の服用に関する基本的な説明

患者ごとに作成した薬剤服用歴の記録に基づいて、処方された薬剤の重複投薬、相互作用、薬物アレルギー等を確認した上で、次に掲げる事項その他の事項を文書又はこれに準ずるもの(以下「薬剤情報提供文書」という。)により情報提供し、薬剤の服用に関し、基本的な説明を患者又はその家族等に行うこと。また、必要に応じて、製造販売業者が作成する医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)に基づく患者向け資材を活用すること。

(イ) 当該薬剤の名称(一般名処方による処方箋又は後発医薬品への変更が可能な処方箋の場合においては、現に調剤した薬剤の名称)、形状(色、剤形等)

(ロ) 用法、用量、効能、効果

(ハ) 副作用及び相互作用

(ニ) 服用及び保管取扱い上の注意事項

(ホ) 調剤した薬剤に対する後発医薬品に関する情報

(ヘ) 保険薬局の名称、情報提供を行った保険薬剤師の氏名

(ト) 保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等

(3) 患者への薬剤の服用等に関する必要な指導

ア 患者又はその家族等と対話することにより、当該患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化、残薬の状況等の情報を収集し、その要点を薬剤服用歴の記録に記載するとともに、これに基づき、投与される薬剤の適正使用のために必要な服薬指導を行うこと。

イ (4)のウからキまでの事項については、処方箋の受付後、薬を取りそろえる前に、保険薬剤師が患者等に確認すること。

ウ 手帳を用いる場合は、調剤を行った薬剤について、調剤日、当該薬剤の名称(一般名処方による処方箋又は後発医薬品への変更が可能な処方箋の場合においては、現に調剤した薬剤の名称)、用法、用量その他必要に応じて服用に際して注意すべき事項等を患者の手帳に経時的に記載すること。

エ 残薬の状況について、薬剤服用歴の記録を踏まえつつ、患者又はその家族等に残薬の有無を確認し、残薬が確認された場合はその理由も把握すること。患者に残薬が一定程度認められると判断される場合には、患者の残薬の状況及びその理由を患者の手帳に簡潔に記載し、処方医に対して情報提供するよう努めること。また、残薬が相当程度認められると判断される場合には、処方医に対して連絡し、投与日数等の確認を行うよう努めること。

オ 当該保険薬局と他の保険薬局又は保険医療機関等の間で円滑に連携が行えるよう、患者が日常的に利用する薬局があれば、その名称及び保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等を手帳に記載するよう患者に促すこと。

カ 一般名処方が行われた医薬品については、原則として後発医薬品を調剤することとするが、患者に対し後発医薬品の有効性、安全性や品質について適切に説明した上で、後発医薬品を調剤しなかった場合は、その理由を調剤報酬明細書の摘要欄に記載する。

(4) 薬剤服用歴の記録

薬剤服用歴は同一患者についての全ての記録が必要に応じ直ちに参照できるよう患者ごとに保存及び管理するものであり、次の事項等を記載し、最終記入日から起算して3年間保存すること。なお、薬剤服用歴への記載は指導後速やかに完了させること。

ア 患者の基礎情報(氏名、生年月日、性別、被保険者証の記号番号、住所、必要に応じて緊急連絡先)

イ 処方及び調剤内容等(処方した保険医療機関名、処方医氏名、処方日、調剤日、調剤した薬剤、処方内容に関する照会の要点等)

ウ 患者の体質(アレルギー歴、副作用歴等を含む)、薬学的管理に必要な患者の生活像及び後発医薬品の使用に関する患者の意向

エ 疾患に関する情報(既往歴、合併症及び他科受診において加療中の疾患に関するものを含む。)

オ 併用薬(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品及び健康食品を含む。)等の状況及び服用薬と相互作用が認められる飲食物の摂取状況

カ 服薬状況(残薬の状況を含む。)

キ 患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)及び患者又はその家族等からの相談事項の要点

ク 服薬指導の要点

ケ 手帳活用の有無(手帳を活用しなかった場合はその理由と患者への指導の有無)

コ 今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点

サ 指導した保険薬剤師の氏名

(5) 指導等に係る留意点

(2)から(4)までの業務を行うに当たっては、以下の点に留意すること。

ア 情報提供等

(イ) 2の(2)の薬剤情報提供文書により行う薬剤に関する情報提供は、調剤を行った全ての薬剤の情報が一覧できるようなものとする。ただし、調剤した薬剤を複数の薬袋に入れ交付する場合は、薬袋ごとに一覧できる文書とすることができる。なお、薬剤情報提供文書については、処方内容が前回と同様の場合等においては、必ずしも指導の都度、患者に交付する必要はないが、患者の意向等を踏まえた上で交付の必要性を判断し、交付しない患者にあってはその理由を薬剤服用歴の記録に記載する。

(ロ) 薬剤情報提供文書における「これに準ずるもの」とは、視覚障害者に対する点字、ボイスレコーダー等への録音その他のものをいう。

(ハ) 効能、効果、副作用及び相互作用に関する記載は、患者等が理解しやすい表現によるものとする。また、提供する情報の内容については正確を期すこととし、文書において薬剤の効能・効果等について誤解を招く表現を用いることや、調剤した薬剤と無関係の事項を記載しないこと。

(ニ) 情報提供に当たって、抗悪性腫瘍剤や複数の異なる薬効を有する薬剤等であって特に配慮が必要と考えられるものについては、情報提供の前に処方箋発行医に確認する等慎重に対応すること。

(ホ) (2)の(ホ)の「後発医薬品に関する情報」とは、次に掲げる事項とし、薬剤情報提供文書により提供するとともに、必要な説明を行うこと。また、後発医薬品の情報に関しては、可能であれば一般的名称も併せて記載することが望ましい。なお、ここでいう後発医薬品とは、「「診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品」等について」(令和2年3月5日保医発0305第7号)の別紙1に掲げられたものに加え、別紙2に掲げられたものも含むものであること。

① 該当する後発医薬品の薬価基準への収載の有無

② 該当する後発医薬品のうち、自局において支給可能又は備蓄している後発医薬品の名称及びその価格(当該薬局において備蓄しておらず、かつ、支給もできない場合はその旨)

イ 服薬指導

(イ) 服薬指導は、処方箋の受付の都度、患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化(特に重大な副作用が発現するおそれがある医薬品については、当該副作用に係る自覚症状の有無及び当該症状の状況)を確認し、新たに収集した患者の情報を踏まえた上で行うものであり、その都度過去の薬剤服用歴の記録を参照した上で、必要に応じて確認・指導内容を見直す。また、確認した内容及び行った指導の要点を、薬剤服用歴の記録に記載する。なお、副作用に係る自覚症状の有無の確認に当たっては、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」(厚生労働省)等を参考とする。

(ロ) 服薬指導に当たっては、抗微生物薬の適正使用の観点から、「抗微生物薬適正使用の手引き」(厚生労働省)を参考とすること。また、服薬指導を円滑に実施するため、抗菌薬の適正使用が重要であることの普及啓発に資する取組を行っていることが望ましい。

(ハ) ポリファーマシーへの対策の観点から、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(厚生労働省)、「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」(厚生労働省)及び日本老年医学会の関連ガイドライン(高齢者の安全な薬物療法ガイドライン)等を参考とすること。また、必要に応じて、患者に対してポリファーマシーに関する一般的な注意の啓発を行うこと。その際、日本老年医学会及び日本老年薬学会が作成する「高齢者が気を付けたい多すぎる薬と副作用」等を参考にすること。なお、ここでいうポリファーマシーとは、「単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態」をいう。

ウ 手帳

(イ) 「手帳」とは、経時的に薬剤の記録が記入でき、かつ次の①から④までに掲げる事項を記録する欄がある薬剤の記録用の手帳をいう。

① 患者の氏名、生年月日、連絡先等患者に関する記録

② 患者のアレルギー歴、副作用歴等薬物療法の基礎となる記録

③ 患者の主な既往歴等疾患に関する記録

④ 患者が日常的に利用する保険薬局の名称、保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等

手帳の当該欄については、保険薬局において適切に記載されていることを確認するとともに、記載されていない場合には、患者に聴取の上記入するか、患者本人による記入を指導するなどして、手帳が有効に活用されるよう努める。なお、④の患者が日常的に利用する保険薬局の名称等については、令和3年3月31日までの間は適用しない。

(ロ) 手帳については、患者に対して、手帳を活用することの意義、役割及び利用方法等について十分な説明を行い、患者の理解を得た上で提供することとし、患者の意向等を確認した上で手帳を用いないこととした場合にあっては、その理由を薬剤服用歴の記録に記載する。なお、手帳を活用しているが、持参を忘れた患者に対しては、「注1」のただし書の点数を算定することになる旨説明するとともに、次回以降は手帳を持参するよう指導すること。

(ハ) (3)のウの手帳への記載による情報提供は、調剤を行った全ての薬剤について行うこととする。この場合において、「服用に際して注意すべき事項」とは、重大な副作用又は有害事象等を防止するために特に患者が服用時や日常生活上注意すべき事項、あるいは投薬された薬剤により発生すると考えられる症状(相互作用を含む。)等であり、投薬された薬剤や患者の病態に応じるものである。

(ニ) 手帳による情報提供に当たっては、患者に対して、保険医療機関を受診する際には医師又は歯科医師に手帳を提示するよう指導を行う。また、患者が、保険医療機関や他の保険薬局から交付されたものを含め、複数の手帳を所有していないか確認するとともに、所有している場合は患者の意向を確認した上で、同一の手帳で管理できると判断した場合は1冊にまとめる。なお、1冊にまとめなかった場合については、その理由を薬剤服用歴の記録に記載する。

(ホ) 患者が手帳を持参し忘れた場合は、手帳に追加すべき事項が記載されている文書(シール等)を交付し、患者が現に利用している手帳に貼付するよう患者に対して説明することで、既に患者が保有している手帳が有効に活用されるよう努めるとともに、当該患者が次回以降に手帳を持参した場合は、当該文書が貼付されていることを確認する。

(ヘ) 電子版の手帳については、「お薬手帳(電子版)の運用上の留意事項について」(平成27年11月27日薬生総発第1127第4号)の「第三 運営事業者等が留意すべき事項」を満たした手帳であれば、紙媒体の手帳と同様の取扱いとする。その際、保険薬局においては、同通知の「第二 提供薬局等が留意すべき事項」を満たす必要がある。

(ト) 手帳の媒体(紙媒体又は電子媒体)は患者が選択するものであり、手帳の提供に当たっては、患者に対して個人情報の取扱い等の必要事項を説明した上で、患者の意向を踏まえて提供する媒体を判断すること。

(チ) 紙媒体の手帳を利用している患者に対して、患者の希望により電子版の手帳を提供する場合には、電子版の手帳にこれまでの紙媒体の情報を利用できるようにするなど、提供する保険薬局が紙媒体から電子媒体への切り替えを適切に実施できるよう対応すること。

エ その他

(3)のエ残薬の状況の確認に当たり、患者又はその家族等から確認できなかった場合には、次回の来局時には確認できるよう指導し、その旨を薬剤服用歴の記録に記載する。

3 薬剤服用歴管理指導料「3」

(1) 薬剤服用歴管理指導料「3」は、保険薬剤師が患者の入所している特別養護老人ホームを訪問し、当該患者等(当該患者の薬剤を管理している当該施設の職員を含む。)に対して対面により必要な指導等を行った場合に算定する。

(2) 薬剤服用歴管理指導料「3」についても、「区分10 薬剤服用歴管理指導料」の2の(2)から(4)に関する業務を実施すること。ただし、(3)のイについては、必要に応じて実施すること。

(3) 「注12」に規定する交通費は実費とする。

4 薬剤服用歴管理指導料「4」

(1) 薬剤服用歴管理指導料「4」は、医科点数表の区分番号A003に掲げるオンライン診療料に規定する情報通信機器を用いた診療により処方箋が交付された患者であって、3月以内に対面により薬剤服用歴管理指導料「1」又は「2」が算定されているものに対して、オンライン服薬指導を行った場合に、月に1回に限り算定する。この場合において、薬剤服用歴管理指導料の加算は算定できない。

(2) オンライン服薬指導により、薬剤服用歴管理指導料に係る業務を実施すること。

(3) 医薬品医療機器等法施行規則及び関連通知に沿って実施すること。

(4) オンライン服薬指導は、当該保険薬局内において行うこと。

(5) 対面による服薬指導とオンライン服薬指導を組み合わせた服薬指導計画を作成し、当該計画に基づきオンライン服薬指導を実施すること。

(6) オンライン服薬指導を行う保険薬剤師は、原則として同一の者であること。ただし、次のア及びイをいずれも満たしている場合に限り、やむを得ない事由により同一の保険薬剤師が対応できないときに当該薬局に勤務する他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行っても差し支えない。

ア 当該薬局に勤務する他の保険薬剤師(あらかじめ対面による服薬指導を実施したことがある2名までの保険薬剤師に限る。)の氏名を服薬指導計画に記載していること。

イ 当該他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行うことについてあらかじめ患者の同意を得ていること。

(7) 患者の薬剤服用歴を経時的に把握するため、原則として、手帳により薬剤服用歴及び服用中の医薬品等について確認すること。また、患者が服用中の医薬品等について、患者を含めた関係者が一元的、継続的に確認できるよう必要な情報を手帳に添付又は記載すること。

(8) 当該服薬指導を行う際の情報通信機器の運用に要する費用及び医薬品等を患者に配送する際に要する費用は、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として、社会通念上妥当な額の実費を別途徴収できる。

(9) 薬剤を患者に配送する場合は、その受領の確認を行うこと。

(10) なお、厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則(平成26年厚生労働省令第33号)第31条第1号による特区における離島・へき地でのオンライン服薬指導の場合は、(1)から(9)までの規定を準用する。ただし、(1)、(3)、(5)、(6)及び(9)についてそれぞれ以下のとおり取り扱う。

ア (1)について、3月以内に対面により薬剤服用歴管理指導料「1」又は「2」が算定されていることを要しない。

イ (3)について、厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則及び関連通知に沿って実施すること。

ウ (5)について、服薬指導計画を作成することを要しない。

エ (6)について、当該薬局に勤務する他の保険薬剤師(あらかじめ対面による服薬指導を実施したことがある2名までの保険薬剤師に限る。)が対応しようとする場合には、服薬指導計画又はそれ以外の文書に当該他の保険薬剤師の氏名を記載し、当該他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行うことについてあらかじめ患者の同意を得ること。

オ (9)について、患者の手元に薬剤が届いた後にも、改めて必要な確認を行うこと。

4 麻薬管理指導加算

(1) 麻薬管理指導加算は、当該患者又はその家族等に対して、電話等により定期的に、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の効果や副作用の有無の確認を行い、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。

(2) 指導の要点は、薬剤服用歴の記録に記載する。

5 重複投薬・相互作用等防止加算

(1) 重複投薬・相互作用等防止加算は、薬剤服用歴の記録又は患者及びその家族等からの情報等に基づき、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。ただし、複数の項目に該当した場合であっても、重複して算定することはできない。なお、薬剤服用歴管理指導料を算定していない場合は、当該加算は算定できない。

(2) 「イ 残薬調整に係るもの以外の場合」は、次に掲げる内容について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。

ア 併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)

イ 併用薬、飲食物等との相互作用

ウ そのほか薬学的観点から必要と認める事項

(3) 「ロ 残薬調整に係るものの場合」は、残薬について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。

(4) 重複投薬・相互作用等防止加算の対象となる事項について、処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴の記録に記載する。

(5) 同時に複数の処方箋を受け付け、複数の処方箋について薬剤を変更した場合であっても、1回に限り算定する。

6 特定薬剤管理指導加算1

(1) 特定薬剤管理指導加算1は、薬剤服用歴管理指導料を算定するに当たって行った薬剤の管理及び指導等に加えて、患者又はその家族等に当該薬剤が特に安全管理が必要な医薬品である旨を伝え、当該薬剤についてこれまでの指導内容等も踏まえ適切な指導を行った場合に算定する。なお、「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」(日本薬剤師会)等を参照し、特に安全管理が必要な医薬品に関して薬学的管理及び指導等を行う上で必要な情報については事前に情報を収集することが望ましいが、薬局では得ることが困難な診療上の情報の収集については必ずしも必要とはしない。

(2) 特に安全管理が必要な医薬品とは、抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤、不整脈用剤、抗てんかん剤、血液凝固阻止剤(内服薬に限る。)、ジギタリス製剤、テオフィリン製剤、カリウム製剤(注射薬に限る。)、精神神経用剤、糖尿病用剤、膵臓ホルモン剤及び抗HIV薬をいう。なお、具体的な対象薬剤については、その一覧を厚生労働省のホームページに掲載している。

(3) 特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合には、その全てについて必要な薬学的管理及び指導を行うこと。ただし、処方箋の受付1回につき1回に限り算定するものであること。

(4) 対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点について、薬剤服用歴の記録に記載すること。なお、従来と同一の処方内容にもかかわらず当該加算を継続して算定する場合には、特に指導が必要な内容を重点的に行い、その内容を薬剤服用歴の記録に記載すること。

7 特定薬剤管理指導加算2

(1) 特定薬剤管理指導加算2は、診療報酬点数表の第2章第6部注射通則第7号の連携充実加算を届け出ている保険医療機関において、抗悪性腫瘍剤を注射された悪性腫瘍の患者に対して、抗悪性腫瘍剤等を調剤する保険薬局の保険薬剤師が以下のアからウまでの全てを実施した場合に算定する。

ア 当該患者のレジメン(治療内容)等を確認し、必要な薬学的管理及び指導を行うこと。

イ 当該患者が注射又は投薬されている抗悪性腫瘍剤及び制吐剤等の支持療法に係る薬剤に関し、電話等により服用状況、副作用の有無等について患者又はその家族等に確認すること。

ウ イの確認結果を踏まえ、当該保険医療機関に必要な情報を文書により提供すること。

(2) 「抗悪性腫瘍剤等を調剤する保険薬局」とは、患者にレジメン(治療内容)を交付した保険医療機関の処方箋に基づき、保険薬剤師が抗悪性腫瘍剤又は制吐剤等の支持療法に係る薬剤を調剤する保険薬局をいう。

(3) 特定薬剤管理指導加算2における薬学的管理及び指導を行おうとする保険薬剤師は、原則として、保険医療機関のホームページ等でレジメン(治療内容)を閲覧し、あらかじめ薬学的管理等に必要な情報を把握すること。

(4) 電話等による患者の服薬状況及び副作用の有無等の確認は、電話の他、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーション(以下「ビデオ通話」という。)による連絡及び患者が他の保険医療機関の処方箋を持参した際の確認が含まれる。電話又はビデオ通話により患者に確認を行う場合は、あらかじめ患者に対し、電話又はビデオ通話を用いて確認することについて了承を得ること。

(5) 患者の緊急時に対応できるよう、あらかじめ保険医療機関との間で緊急時の対応方法や連絡先等について共有することが望ましい。また、患者の服薬状況の確認において、重大な副作用の発現のおそれがある場合には、患者に対して速やかに保険医療機関に連絡するよう指導することや受診勧奨を行うことなどにより、必要な対応を行うこと。

(6) 保険医療機関に対して情報提供した文書の写し又はその内容の要点等を薬剤服用歴の記録に添付又は記載する。

(7) 当該加算の算定時に行う保険医療機関への文書による情報提供については、服薬情報等提供料は算定できない。

(8) 患者1人につき同一月に2回以上の情報提供を行った場合においても、当該加算の算定は月1回のみとする。

(9) 抗悪性腫瘍剤等に関する患者の服用状況及び副作用の有無等の確認を行う際に、他の保険医療機関又は他の診療科で処方された薬剤に係る情報を得た場合には、必要に応じて、患者の同意を得た上で、当該他の保険医療機関等に情報提供を行うこと。この場合において、所定の要件を満たせば服薬情報等提供料を算定できる。

8 乳幼児服薬指導加算

(1) 乳幼児服薬指導加算は、乳幼児に係る処方箋の受付の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。

(2) 乳幼児服薬指導加算を算定した処方箋中の薬剤の服用期間中に、患者の家族等から電話等により当該処方薬剤に係る問い合わせがあった場合には、適切な対応及び指導等を行うこと。

(3) (1)における確認内容及び指導の要点について、薬剤服用歴の記録及び手帳に記載する。

9 吸入薬指導加算

(1) 吸入薬指導加算は、喘息又は慢性閉塞性肺疾患の患者が吸入薬を適切に使用し、治療効果の向上や副作用の回避に繋がるよう、以下のア及びイを行った場合に3月に1回に限り算定する。ただし、当該患者に対し他の吸入薬が処方された場合であって、必要な吸入指導等を別に行ったときには、前回の吸入薬指導加算の算定から3月以内であっても算定できる。

ア 文書及び練習用吸入器等を用いて、吸入手技の指導を行い、患者が正しい手順で吸入薬が使用されているか否かなどの確認等を行うこと。

イ 保険医療機関に対し、文書による吸入指導の結果等に関する情報提供を行うこと。

(2) 当該加算に係る指導は以下のア又はイの場合に、患者の同意を得て行うものであること。

ア 保険医療機関からの求めがあった場合

イ 患者若しくはその家族等の求めがあった場合等、吸入指導の必要性が認められる場合であって、医師の了解を得たとき

(3) 当該加算に係る吸入指導を行うにあたっては、日本アレルギー学会が作成する「アレルギー総合ガイドライン2019」等を参照して行うこと。

(4) (1)の「文書による吸入指導の結果等に関する情報提供」とは、吸入指導の内容や患者の吸入手技の理解度等について、保険医療機関に情報提供することであり、文書の他、手帳により情報提供することでも差し支えない。ただし、患者への吸入指導等を行った結果、患者の当該吸入薬の使用について疑義等がある場合には、処方医に対して必要な照会を行うこと。なお、保険医療機関に情報提供した文書等の写し又はその内容の要点等を薬剤服用歴の記録に添付又は記載すること。

(5) 当該加算は、かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者については算定できない。また、当該加算の算定に関する保険医療機関への情報提供については、服薬情報等提供料は算定できない。

10 調剤後薬剤管理指導加算

(1) 調剤後薬剤管理指導加算は、低血糖の予防等の観点から、糖尿病患者に新たにインスリン製剤又はスルフォニル尿素系製剤(以下「インスリン製剤等」という。)が処方等された患者に対し、地域支援体制加算を届け出ている保険薬局の保険薬剤師が、調剤後に電話等により、その使用状況、副作用の有無等について患者に確認する等、必要な薬学的管理指導を行うとともに、その結果等を保険医療機関に文書により情報提供した場合に算定する。なお、インスリン製剤等の調剤と同日に電話等により使用状況の確認等を行った場合には算定できない。

(2) (1)の「新たにインスリン製剤が処方等された患者」とは次のいずれかに該当する患者をいう。

ア 新たにインスリン製剤等が処方された患者

イ 既にインスリン製剤等を使用している患者であって、新たに他のインスリン製剤等が処方された患者

ウ インスリン製剤の注射単位の変更又はスルフォニル尿素系製剤の用法・用量の変更があった患者

(3) 当該加算に係る電話又はビデオ通話によるインスリン製剤等の使用状況の確認等は、以下のア又はイの場合に患者の同意を得て行うものであること。

ア 保険医療機関からの求めがあった場合

イ 患者若しくはその家族等の求めがあった場合等、調剤後の薬剤管理指導の必要性が認められる場合であって、医師の了解を得たとき

(4) 本加算の調剤後のインスリン製剤等の使用状況等の確認は、処方医等の求めに応じて実施するものであり、計画的な電話又はビデオ通話による確認を原則とすること。この場合において、あらかじめ患者に対し、電話等を用いて確認することについて了承を得ること。

(5) 保険医療機関に対して情報提供した文書の写し又はその内容の要点等を薬剤服用歴の記録に添付又は記載する。

(6) 電話等による患者のインスリン製剤等の使用状況等の確認を行った結果、速やかに保険医療機関に伝達すべき副作用等の情報を入手した場合(インスリン製剤等以外の薬剤による副作用が疑われる場合を含む。)は、遅滞なく当該情報を患者が受診中の保険医療機関に提供するとともに、必要に応じて保険医療機関への受診勧奨を行うこと。

(7) 当該加算の算定時に行う保険医療機関への文書による情報提供については、服薬情報等提供料は算定できない。

(8) 当該加算は、かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者については算定できない。

11 薬剤服用歴管理指導料の特例(手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局が算定する薬剤服用歴管理指導料)

(1) 「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」とは、3月以内に再度処方箋を持参した患者への薬剤服用歴管理指導料の算定回数うち、手帳を持参した患者への薬剤服用歴管理指導料の算定回数の割合が50%以下である保険薬局であること。算定回数の割合は小数点以下を四捨五入して算出する。

(2) 当該特例への該当性は、調剤基本料の施設基準に定める処方箋受付回数の取扱いと同様に、前年3月1日から当年2月末日までの薬剤服用歴管理指導料の実績をもって判断し、当年4月1日から翌年3月31日まで適用する。その他、新規に保険薬局に指定された薬局、開設者の変更等の取扱いについても、調剤基本料の施設基準に定める処方箋受付回数の取扱いと同様とする。

(3) 当該特例に該当した場合であっても、直近3月間における(1)の割合が50%を上回った場合には、(2)にかかわらず、当該割合を満たした翌月より「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」に該当しないものとする。

(4) 薬剤服用歴管理指導料の特例を算定する場合は、薬剤服用歴管理指導料の加算は算定できない。

(5) (1)及び(2)の手帳の活用実績については、令和元年度分の実績の計算は、(1)にかかわらず、6月以内に再度処方箋を持参した患者への薬剤服用歴管理指導料の算定回数を用いること。

区分13の2 かかりつけ薬剤師指導料

(1) かかりつけ薬剤師指導料は、患者が選択した保険薬剤師(以下「かかりつけ薬剤師」という。)が、保険医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行った場合に算定できる。

(2) 算定に当たっては、当該指導料を算定しようとする薬剤師本人が次に掲げる全ての事項を説明した上で、患者に対し、別紙様式2を参考に作成した同意書に、かかりつけ薬剤師に希望する事項及び署名の記載を求め、同意を得る。また、かかりつけ薬剤師に関する情報を文書により提供する。必要な記入を行った同意書は、当該保険薬局において保管し、当該患者の薬剤服用歴の記録にその旨を記載する。

ア かかりつけ薬剤師の業務内容

イ かかりつけ薬剤師を持つことの意義、役割等

ウ かかりつけ薬剤師指導料の費用

エ 当該指導料を算定しようとする薬剤師が、当該患者がかかりつけ薬剤師を必要とすると判断した理由

(3) 同意取得は、当該薬局に複数回来局している患者に行うこととし、患者の同意を得た後、次回の処方箋受付時以降に算定できる。なお、1人の患者に対して、1か所の保険薬局における1人の保険薬剤師のみについてかかりつけ薬剤師指導料を算定できるものであり、同一月内は同一の保険薬剤師について算定すること。

(4) 他の保険薬局及び保険医療機関おいても、かかりつけ薬剤師・薬局の情報を確認できるよう、患者が保有する手帳等にかかりつけ薬剤師の氏名、勤務先の保険薬局の名称及び連絡先を記載する。

(5) 患者に対する服薬指導等の業務はかかりつけ薬剤師が行うことを原則とする。ただし、やむを得ない事由により、かかりつけ薬剤師が業務を行えない場合は、当該保険薬局に勤務する他の保険薬剤師が服薬指導等を行っても差し支えないが、かかりつけ薬剤師指導料は算定できない(要件を満たす場合は、薬剤服用歴管理指導料を算定できる。)。この場合、他の保険薬剤師が服薬指導等で得た情報については、薬剤服用歴の記録に記載するとともに、かかりつけ薬剤師と情報を共有すること。

(6) かかりつけ薬剤師は、担当患者に対して、以下の服薬指導等を行う。

ア 薬剤服用歴管理指導料に係る業務を実施した上で患者の理解に応じた適切な服薬指導等を行うこと。

イ 患者が服用中の薬剤等について、患者を含めた関係者が一元的、継続的に確認できるよう、患者の意向を確認した上で、服薬指導等の内容を手帳等に記載すること。

ウ 患者が受診している全ての保険医療機関の情報を把握し、服用している処方薬をはじめ、要指導医薬品及び一般用医薬品(以下「要指導医薬品等」という。)並びに健康食品等について全て把握するとともに、その内容を薬剤服用歴の記録に記載すること。また、当該患者に対して、保険医療機関を受診する場合や他の保険薬局で調剤を受ける場合には、かかりつけ薬剤師を有している旨を明示するよう説明すること。

エ 患者から24時間相談に応じる体制をとり、開局時間外の連絡先を伝えるとともに、勤務表を作成して患者に渡すこと。この場合において、当該薬局のかかりつけ薬剤師以外の別の保険薬剤師が相談等に対応する場合があるときは、その旨を患者にあらかじめ説明するとともに、当該保険薬剤師の連絡先を患者に伝えることにより、当該薬局の別の保険薬剤師が対応しても差し支えない。

オ 患者が他の保険薬局等で調剤を受けた場合は、その服用薬等の情報を入手し、薬剤服用歴の記録に記載すること。

カ 調剤後も患者の服薬状況の把握、指導等を行い、その内容を薬剤を処方した保険医に情報提供し、必要に応じて処方提案すること。服薬状況の把握は、患者の容態や希望に応じて、定期的にすること(電話による連絡、患家への訪問、患者の来局時など)。また、服用中の薬剤に係る重要な情報を知ったときは、患者に対し当該情報を提供し、患者への指導等の内容及び情報提供した内容については薬剤服用歴の記録に記載すること。

キ 継続的な薬学的管理のため、患者に対して、服用中の薬剤等を保険薬局に持参する動機付けのために薬剤等を入れる袋等を必要に応じて提供し、その取組(いわゆるブラウンバッグ運動)の意義等を説明すること。また、患者が薬剤等を持参した場合は服用薬の整理等の薬学的管理を行うこととするが、必要に応じて患家を訪問して服用薬の整理等を行うこと。なお、訪問に要した交通費(実費)は、患家の負担とする。

ク 必要に応じ、患者が入手している調剤及び服薬指導に必要な血液・生化学検査結果の提示について、患者の同意が得られた場合は当該情報を参考として、薬学的管理及び指導を行う。

(7) かかりつけ薬剤師指導料を算定する患者以外の患者への服薬指導等又は地域住民からの要指導医薬品等の使用に関する相談及び健康の維持増進に関する相談に対しても、丁寧に対応した上で、必要に応じて保険医療機関へ受診勧奨を行うよう努める。

(8) 麻薬管理指導加算、重複投薬・相互作用等防止加算、特定薬剤管理指導加算1、特定薬剤管理指導加算2及び乳幼児服薬指導加算の取扱いについては、薬剤服用歴管理指導料の麻薬管理指導加算、重複投薬・相互作用等防止加算、特定薬剤管理指導加算1、特定薬剤管理指導加算2及び乳幼児服薬指導加算に準じるものとする。

(9) 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)第16条の8で定める期間に、当該保険薬局の勤務時間が週32時間に満たない薬剤師が算定する場合には、次に掲げる対応を行う。

ア 同意取得に当たり、勤務時間が通常より短いことを説明する。

イ 患者に渡す勤務表には、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律で定める期間であるため短時間勤務となっている旨を記載する。

ウ 当該保険薬局に勤務する他の保険薬剤師と当該患者についての情報を共有し、同意している保険薬剤師の不在時に患者から問い合わせがあった場合等に、他の保険薬剤師が同意している保険薬剤師と連絡を取るなどして円滑に対応できる体制を整えておく。

(10) かかりつけ薬剤師指導料は、薬剤服用歴管理指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料と同時に算定することはできない。

(11) 平成30年4月1日前に取得した同意は、(2)の規定によらずその効力を有する。ただし、患者が同意の取消しを申し出た場合は、この限りでない。

区分13の3 かかりつけ薬剤師包括管理料

(1) かかりつけ薬剤師包括管理料は、(2)に該当する患者のかかりつけ薬剤師が、保険医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対して服薬指導等を行った場合に算定できる。

(2) かかりつけ薬剤師包括管理料の対象患者は、診療報酬点数表の「区分番号A001」の地域包括診療加算若しくは認知症地域包括診療加算又は区分番号「B001―2―9」の地域包括診療料若しくは「区分番号B001―2―10」の認知症地域包括診療料を算定している患者とする。なお、これらの患者のかかりつけ薬剤師として「かかりつけ薬剤師指導料」又は「かかりつけ薬剤師包括管理料」を算定する場合には、患者の同意の下で保険薬局においていずれかを算定できる。

(3) 患者の服薬状況等については、薬学的知見に基づき随時把握して、保険医に対して、その都度情報提供するとともに、必要に応じて処方提案する。なお、情報提供の要否、方法、頻度等については、あらかじめ保険医と相談して合意が得られている場合は、当該合意に基づいた方法等によることで差し支えない。

(4) かかりつけ薬剤師包括管理料の算定に当たっては、「区分13の2 かかりつけ薬剤師指導料」の(2)から(7)まで、(9)及び(11)を準用する。この場合において、「かかりつけ薬剤師指導料」は「かかりつけ薬剤師包括管理料」と読み替える。

(5) かかりつけ薬剤師包括管理料は、薬剤服用歴管理指導料又はかかりつけ薬剤師指導料と同時に算定できない。

区分14の2 外来服薬支援料

(1) 外来服薬支援料は、保険薬局の保険薬剤師が、自己による服薬管理が困難な外来の患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じ、当該患者又はその家族等が持参した服薬中の薬剤について、治療上の必要性及び服薬管理に係る支援の必要性を判断し、当該薬剤を処方した保険医にその必要性につき了解を得た上で、一包化や服薬カレンダー等の活用により薬剤を整理し、日々の服薬管理が容易になるよう支援した場合に、「注1」及び「注2」合わせて服薬支援1回につき、月1回に限り算定する。また、患者の来局時のほか、患者の求めに応じて保険薬剤師が患者を訪問して服用薬の整理等を行った場合でも算定できる。この場合、訪問に要した交通費(実費)は患家の負担とする。なお、服薬管理を容易にするような整理を行わずに単に服薬指導を行っただけでは算定できない。

(2) 「注1」については、外来服薬支援を行うに当たり、患者が、当該保険薬局で調剤した薬剤以外に他の保険薬局で調剤された薬剤や保険医療機関で院内投薬された薬剤を服用していないか確認し、極力これらの薬剤も含めて一包化や服薬カレンダー等の活用により整理するよう努める。また、実際にこれらの薬剤も含めて服薬支援を行う場合には、重複投薬、相互作用等の有無を確認し、処方医に必要な照会を行い、適切な措置を講じる。なお、患者に対する服薬中の薬剤の確認や処方医への照会等を行った上で、結果として、他の保険薬局で調剤された薬剤又は保険医療機関で院内投薬された薬剤のみについて服薬支援を行うこととなった場合(当該保険薬局で調剤を受けていない患者が持参した、他の保険薬局で調剤された薬剤や保険医療機関で院内投薬された薬剤について服薬支援を行う場合を含む。)でも算定できる。

(3) 「注2」については、患者が保険薬局に持参した服用中の薬剤等の服薬管理を行い、その結果を関係する保険医療機関へ情報提供した場合に算定できる。算定に当たっては、あらかじめ、患者又はその家族等に対して、保険薬局へ服用中の薬剤等を持参する動機付けのために薬剤等を入れる袋等を提供し、患者等が薬剤等を持参することで服薬管理を行う取組(いわゆるブラウンバッグ運動)を周知しておく。

(4) 外来服薬支援は、処方箋によらず、調剤済みの薬剤について服薬管理の支援を目的として行うものであるため、薬剤の一包化を行った場合でも、調剤技術料は算定できない。

(5) 薬剤の一包化による服薬支援は、多種類の薬剤が投与されている患者においてしばしばみられる薬剤の飲み忘れ、飲み誤りを防止すること又は心身の特性により錠剤等を直接の被包から取り出して服用することが困難な患者に配慮することを目的とし、治療上の必要性が認められる場合に行うものである点に留意する。

(6) 外来服薬支援料を算定する場合は、服薬支援に係る薬剤の処方医の了解を得た旨又は情報提供した内容並びに当該薬剤の名称、服薬支援の内容及び理由を薬剤服用歴の記録に記載する。

(7) 外来服薬支援料は、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については算定できない。また、現に他の保険医療機関又は保険薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行っている患者についても算定できない。

区分14の3 服用薬剤調整支援料

(1) 服用薬剤調整支援料1

ア 服用薬剤調整支援料1は、内服を開始して4週間以上経過した内服薬6種類以上を保険薬局で調剤している患者に対して、当該保険薬局の保険薬剤師が、当該患者の意向を踏まえ、当該患者の服薬アドヒアランス及び副作用の可能性等を検討した上で、処方医に減薬の提案を行い、その結果、処方される内服薬が減少した場合について評価したものである。

イ 服用薬剤調整支援料1は、当該保険薬局で調剤している当該内服薬の種類数が2種類以上(うち少なくとも1種類は当該保険薬局の保険薬剤師が提案したものとする。)減少し、その状態が4週間以上継続した場合に算定する。

ウ 保険医療機関名及び保険医療機関における調整前後の薬剤の種類数を調剤報酬明細書の摘要欄に記載すること。

エ 調剤している内服薬の種類数に屯服薬は含めない。また、当該内服薬の服用を開始して4週間以内の薬剤については、調整前の内服薬の種類数から除外する。また、調剤している内服薬と同一薬効分類の有効成分を含む配合剤及び内服薬以外の薬剤への変更を保険薬剤師が提案したことで減少した場合は、減少した種類数に含めない。

オ 内服薬の種類数の計算に当たっては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤及び液剤については、1銘柄ごとに1種類として計算する。

カ 患者の服用する薬剤の副作用の可能性の検討等を行うにあたっては、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(厚生労働省)、「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」(厚生労働省)、日本老年医学会の関連ガイドライン(高齢者の安全な薬物療法ガイドライン)等を参考にすること。

キ 保険薬剤師は処方医へ提案を行う際に、減薬に係る患者の意向や提案に至るまでに検討した薬学的内容を薬剤服用歴の記録に記載する。また、保険医療機関から提供された処方内容の調整結果に係る情報は、薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により記録・保持する。

ク 当該保険薬局で服用薬剤調整支援料1を1年以内に算定した場合においては、前回の算定に当たって減少した後の内服薬の種類数から更に2種類以上減少したときに限り、新たに算定することができる。

(2) 服用薬剤調整支援料2

ア 服用薬調整支援料2は、複数の保険医療機関から内服薬が合計で6種類以上処方されている患者に対して、患者若しくはその家族等の求めに応じて、保険薬局の保険薬剤師が、重複投薬等の解消のために以下の取組をすべて行った場合に算定する。

(イ) 患者の服用薬について、手帳の確認、患者への聞き取り又は他の保険薬局若しくは保険医療機関への聞き取り等により、一元的に把握すること。なお、同種・同効薬が処方されている場合は、必要に応じて処方の背景を処方医又は患者若しくはその家族等に確認すること。

(ロ) 重複投薬等のおそれがある場合には、重複投薬等の解消に係る提案を検討し、当該提案及び(イ)の内容を記載した報告書を作成し、処方医に対して送付すること。

イ 内服薬の種類数の考え方は、服用薬剤調整支援料1に準ずる。また、6種類以上の内服薬について、少なくとも1種類は当該保険薬局で調剤されている必要がある。

ウ アの(ロ)の報告書は以下の内容を含む別紙様式3又はこれに準ずるものをいう。

(イ) 受診中の医療機関、診療科等に関する情報

(ロ) 服用中の薬剤の一覧

(ハ) 重複投薬等に関する状況

(ニ) 副作用のおそれがある患者の症状及び関連する薬剤

(ホ) その他(残薬、その他患者への聞き取り状況等)

エ 「重複投薬等の解消に係る提案」とは、重複投薬の状況や副作用の可能性等を踏まえ、患者に処方される薬剤の種類数の減少に係る提案をいう。この場合において、当該文書の写しを薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存しておくこと。

オ 重複投薬等の解消に係る提案を行う場合、患者の希望、かかりつけ医の有無及び処方開始日等について十分な聞き取りを行った上で、処方内容の見直しを依頼する処方医に対して報告書を送付すること。

カ 処方内容の見直し状況について患者の次回以降の来局時に確認すること。

キ 当該加算の算定に係る保険医療機関、患者又はその家族等への情報提供については、服薬情報等提供料を別途算定できない。

区分15 在宅患者訪問薬剤管理指導料

1 在宅患者訪問薬剤管理指導料

(1) 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものに対して、あらかじめ名称、所在地、開設者の氏名及び在宅患者訪問薬剤管理指導(以下「訪問薬剤管理指導」という。)を行う旨を地方厚生(支)局長に届け出た保険薬局の薬剤師が、医師の指示に基づき、薬学的管理指導計画を策定し、患家を訪問して、薬歴管理、服薬指導、服薬支援、薬剤服用状況、薬剤保管状況及び残薬の有無の確認等の薬学的管理指導を行い、当該指示を行った医師に対して訪問結果について必要な情報提供を文書で行った場合に算定する。在宅患者訪問薬剤管理指導料は、定期的に訪問して訪問薬剤管理指導を行った場合の評価であり、継続的な訪問薬剤管理指導の必要のない者や通院が可能な者に対して安易に算定してはならない。例えば、少なくとも独歩で家族又は介助者等の助けを借りずに来局ができる者等は、来局が容易であると考えられるため、在宅患者訪問薬剤管理指導料は算定できない。

(2) 在宅患者訪問薬剤管理指導料は、単一建物診療患者の人数に従い算定する。ここでいう単一建物診療患者の人数とは、当該患者が居住する建築物に居住する者のうち、当該保険薬局が訪問薬剤管理指導料を算定する者の人数をいう。なお、ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所については、それぞれのユニットにおいて、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する人数を、単一建物診療患者の人数とみなすことができる。

(3) 在宅での療養を行っている患者とは、保険医療機関又は介護老人保健施設で療養を行っている患者以外の患者をいう。ただし、「要介護被保険者等である患者について療養に要する費用の額を算定できる場合」(平成20年厚生労働省告示第128号)、「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」(平成18年3月31日保医発第0331002号)等に規定する場合を除き、患者が医師若しくは薬剤師の配置が義務付けられている病院、診療所、施設等に入院若しくは入所している場合又は現に他の保険医療機関若しくは保険薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行っている場合には、在宅患者訪問薬剤管理指導料は算定できない。

(4) 在宅協力薬局

ア (3)にかかわらず、訪問薬剤管理指導を主に行っている保険薬局(以下「在宅基幹薬局」という。)が、連携する他の保険薬局(以下「在宅協力薬局」という。)と薬学的管理指導計画の内容を共有していること及び緊急その他やむを得ない事由がある場合には在宅基幹薬局の薬剤師に代わって当該患者又はその家族等に訪問薬剤管理指導を行うことについて、あらかじめ当該患者又はその家族等の同意を得ている場合には、在宅基幹薬局に代わって在宅協力薬局が訪問薬剤管理指導を行った場合は在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定できる。なお、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定は、在宅基幹薬局が行うこととするが、費用については両者の合議とする。

イ 在宅協力薬局の薬剤師が在宅基幹薬局の薬剤師に代わって訪問薬剤管理指導を行った場合には、薬剤服用歴の記録を記載し、在宅基幹薬局と当該記録の内容を共有することとするが、訪問薬剤管理指導の指示を行った医師又は歯科医師に対する訪問結果についての報告等は在宅基幹薬局が行う。なお、調剤報酬明細書に当該訪問薬剤管理指導を行った在宅協力薬局名、当該訪問薬剤管理指導を行った日付及びやむを得ない事由等を記載する。また、在宅協力薬局が処方箋を受け付け、調剤を行った在宅協力薬局が訪問薬剤管理指導を行った場合には、算定については、調剤技術料及び薬剤料等は在宅協力薬局、また、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定は在宅基幹薬局が行うこととし、調剤報酬明細書の摘要欄には在宅協力薬局が処方箋を受け付けた旨を記載する。

ウ 1つの患家に当該指導料の対象となる同居する同一世帯の患者が2人以上いる場合は、患者ごとに「単一建物診療患者が1人の場合」を算定する。また、当該建築物において、当該保険薬局が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合又は当該建築物の戸数が20戸未満であって、当該保険薬局が在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する者の数が2人以下の場合には、それぞれ「単一建物診療患者が1人の場合」を算定する。

(5) 薬学的管理指導計画

ア 「薬学的管理指導計画」は、処方医から提供された診療状況を示す文書等に基づき、又は必要に応じ、処方医と相談するとともに、他の医療関係職種(歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等及び訪問看護ステーションの看護師等)との間で情報を共有しながら、患者の心身の特性及び処方薬剤を踏まえ策定されるものであり、薬剤の管理方法、処方薬剤の副作用、相互作用等を確認した上、実施すべき指導の内容、患家への訪問回数、訪問間隔等を記載する。

イ 策定した薬学的管理指導計画書は、薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存する。

ウ 薬学的管理指導計画は、原則として、患家を訪問する前に策定する。

エ 訪問後、必要に応じ新たに得られた患者の情報を踏まえ計画の見直しを行う。

オ 薬学的管理指導計画は少なくとも1月に1回は見直しを行うほか、処方薬剤の変更があった場合及び他職種から情報提供を受けた場合にも適宜見直しを行う。

(6) 必要に応じて、処方医以外の医療関係職種に対しても、訪問薬剤管理指導の結果及び当該医療関係職種による当該患者に対する療養上の指導に関する留意点について情報提供する。

(7) 訪問薬剤管理指導は、当該保険薬局の調剤した薬剤の服用期間内に、患者の同意を得て実施する。なお、調剤を行っていない月に訪問薬剤管理指導を実施した場合は、当該調剤年月日及び投薬日数を調剤報酬明細書の摘要欄に記入する。

(8) 在宅患者訪問薬剤管理指導料を月2回以上算定する場合(末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者に対するものを除く。)は、算定する日の間隔は6日以上とする。末期の悪性腫瘍の患者及び中心静脈栄養法の対象患者については、週2回かつ月8回に限り算定できる。

(9) 保険薬剤師1人につき在宅患者訪問薬剤管理指導料1、2及び3並びに在宅患者オンライン服薬指導料を合わせて週40回に限り算定できる。

(10) 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分10 薬剤服用歴管理指導料」の(4)の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。

ア 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名

イ 処方医から提供された情報の要点

ウ 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容(薬剤の保管状況、服薬状況、残薬の状況、投薬後の併用薬剤、投薬後の併診、副作用、重複服用、相互作用等に関する確認、実施した服薬支援措置等)

エ 処方医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点

オ 処方医以外の医療関係職種との間で情報を共有している場合にあっては、当該医療関係職種から提供された情報の要点及び当該医療関係職種に提供した訪問結果に関する情報の要点

カ 在宅協力薬局の薬剤師が訪問薬剤管理指導を行った場合には、(4)のイで規定する事項

(11) 在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定した月においては、薬剤服用歴管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料は、当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の処方箋によって調剤を行った場合を除いて算定できない。また、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定した月においては、外来服薬支援料又は服薬情報等提供料は算定できない。

2 在宅患者オンライン服薬指導料

(1) 在宅患者オンライン服薬指導料は、在宅時医学総合管理料に規定する訪問診療の実施により処方箋が交付された患者であって、在宅患者訪問薬剤管理指導料が月1回算定されているものに対して、オンライン服薬指導(訪問薬剤管理指導と同日に行う場合を除く。)を行った場合に、月1回に限り算定する。この場合において、在宅患者訪問薬剤管理指導料の加算及び在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は算定できない。

(2) 当該指導料は、保険薬剤師1人につき、在宅患者訪問薬剤管理指導料1から3までと合わせて週40回に限り、週10回を限度として算定できる。

(3) オンライン服薬指導により、薬剤服用歴管理指導料に係る業務を実施すること。

(4) 医薬品医療機器等法施行規則及び関連通知に沿って実施すること。

(5) オンライン服薬指導は、当該保険薬局内において行うこと。

(6) 患者の同意を得た上で、対面による服薬指導とオンライン服薬指導を組み合わせた服薬指導計画を作成し、当該計画に基づきオンライン服薬指導を実施すること。

(7) オンライン服薬指導を行う保険薬剤師は、原則として同一の者であること。ただし、次のア及びイをいずれも満たしている場合に限り、やむを得ない事由により同一の保険薬剤師が対応できないときに当該薬局に勤務する他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行っても差し支えない。

ア 当該薬局に勤務する他の保険薬剤師(あらかじめ対面による服薬指導を実施したことがある2名までの保険薬剤師に限る。)の氏名を服薬指導計画に記載していること。

イ 当該他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行うことについてあらかじめ患者の同意を得ていること。

(8) 訪問診療を行った医師に対して、在宅患者オンライン服薬指導の結果について必要な情報提供を文書で行うこと。

(9) 患者の薬剤服用歴を経時的に把握するため、原則として、手帳により薬剤服用歴及び服用中の医薬品等について確認すること。また、患者が服用中の医薬品等について、患者を含めた関係者が一元的、継続的に確認できるよう必要な情報を手帳に添付又は記載すること。

(10) 薬剤を患家に配送する場合は、その受領の確認を行うこと。

(11) 当該服薬指導を行う際の情報通信機器の運用に要する費用及び医薬品等を患者に配送する際に要する費用は、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として、社会通念上妥当な額の実費を別途徴収できる。

3 麻薬管理指導加算

ア 麻薬管理指導加算は、麻薬の投薬が行われている患者に対して、定期的に、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の効果や副作用の有無の確認を行い、処方箋発行医に対して必要な情報提供を行った場合に算定する。

イ 麻薬管理指導加算は、在宅患者訪問薬剤管理指導料が算定されていない場合は算定できない。

ウ 麻薬管理指導加算を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分10 薬剤服用歴管理指導料」の(4)及び「区分15 在宅患者訪問薬剤管理指導料」の(10)の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。

(イ) 訪問に際して実施した麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、麻薬注射剤等の併用薬剤、疼痛緩和等の状況、麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無などの確認等)

(ロ) 訪問に際して行った患者・家族への指導の要点(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)

(ハ) 処方医に対して提供した訪問結果に関する情報(麻薬の服薬状況、疼痛緩和及び副作用等の状況、服薬指導の要点等に関する事項を含む。)の要点

(ニ) 患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項(都道府県知事に届け出た麻薬廃棄届の写しを薬剤服用歴の記録に添付することで差し支えない。)

4 乳幼児加算

乳幼児加算は、乳幼児に係る薬学的管理指導の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。

5 その他留意点

(1) 保険薬局(在宅協力薬局を含む。)の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える訪問薬剤管理指導については、患家の所在地から16キロメートルの圏域の内側に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届け出ている薬局が存在しないなど、当該保険薬局からの訪問薬剤管理指導を必要とする特殊な事情がある場合に認められるものであって、この場合の在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定については16キロメートル以内の場合と同様に算定する。特殊な事情もなく、特に患家の希望により16キロメートルを超えて訪問薬剤管理指導を行った場合の在宅患者訪問薬剤管理指導料は保険診療としては認められないことから、患者負担とする。この場合において、「保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、患家を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に当該保険薬局が所在する場合をいう。

ただし、平成24年3月31日以前に「注1」に規定する医師の指示があった患者については、当該規定は適用しないものであること。

(2) 「注5」に規定する交通費は実費とする。

区分15の2 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料

(1) 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの状態の急変等に伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導とは別に、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理指導を行い、当該保険医に対して訪問結果について必要な情報提供を文書で行った場合に、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1及び2を合わせて月4回に限り算定する。

(2) 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料1は、当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導の対象疾患の急変等に関して、保険医の求めにより、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理指導を行い、訪問結果について当該保険医に必要な情報提供を文書で行った場合に算定する。

(3) 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料2は、当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導の対象となっていない疾患の急変等に関して、保険医の求めにより、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理指導を行い、訪問結果について当該保険医に必要な情報提供を文書で行った場合に算定する。

(4) 「区分15 在宅患者訪問薬剤管理指導料」の(4)に規定する同意を得ている場合において、在宅基幹薬局に代わって在宅協力薬局が緊急訪問薬剤管理指導を行った場合は、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定できる。なお、その場合においては、「区分15 在宅患者訪問薬剤管理指導料」の(4)の取扱いに準ずること。

(5) 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分10 薬剤服用歴管理指導料」の(4)の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。

ア 訪問の実施日、訪問した薬剤師の氏名

イ 当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医から緊急の要請があった日付及び当該要請の内容並びに当該要請に基づき訪問薬剤管理指導を実施した旨

ウ 訪問に際して実施した薬学的管理指導の内容(服薬状況、副作用、相互作用等に関する確認等を含む。)

エ 当該保険医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点

(6) 麻薬管理指導加算

ア 麻薬管理指導加算は、麻薬の投薬が行われている患者に対して、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の効果や副作用の有無の確認を行い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医に対して必要な情報提供を行った場合に算定する。

イ 麻薬管理指導加算は、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料が算定されていない場合は算定できない。

ウ 麻薬管理指導加算を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分10 在宅患者訪問薬剤管理指導料」の(4)及び「区分15の2 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料」の(5)の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。

(イ) 訪問に際して実施した麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、麻薬注射剤等の併用薬剤、疼痛緩和等の状況、麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無などの確認等)

(ロ) 訪問に際して行った患者・家族への指導の要点(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)

(ハ) 当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医に対して提供した訪問結果に関する情報(麻薬の服薬状況、疼痛緩和及び副作用等の状況、服薬指導の要点等に関する事項を含む。)の要点

(ニ) 患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項(都道府県知事に届け出た麻薬廃棄届の写しを薬剤服用歴の記録に添付することで差し支えない。)

(7) 乳幼児加算は、乳幼児に係る薬学的管理指導の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。

(8) 保険薬局(在宅協力薬局を含む。)の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える訪問薬剤管理指導については、患家の所在地から16キロメートルの圏域の内側に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届け出ている薬局が存在しないなど、当該保険薬局からの訪問薬剤管理指導を必要とする特殊な事情がある場合に認められるものであって、この場合の在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の算定については16キロメートル以内の場合と同様に算定する。特殊な事情もなく、特に患家の希望により16キロメートルを超えて訪問薬剤管理指導を行った場合の在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は保険診療としては認められないことから、患者負担とする。この場合において、「保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、患家を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に当該保険薬局が所在する場合をいう。

ただし、平成24年3月31日以前に在宅患者訪問薬剤管理指導料の「注1」に規定する医師の指示があった患者については、当該規定は適用しないものであること。

(9) 「注4」に規定する交通費は実費とする。

区分15の3 在宅患者緊急時等共同指導料

(1) 在宅患者緊急時等共同指導料は、在宅での療養を行っている患者の状態の急変や診療方針の変更等の際、当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等(居宅介護支援事業者の介護支援専門員を含む。以下同じ。)が一堂に会す等によりカンファレンスを行うことで、より適切な治療方針を立てることが可能となるとともに、カンファレンスの参加者の間で診療方針の変更等の情報を的確に共有することができ、患者及び家族が安心して療養生活を送ることに資することから、そのような取組を評価するものである。

(2) 在宅患者緊急時等共同指導料は、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの病状の急変や、診療方針の大幅な変更等の必要が生じたことに伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、原則として患家を訪問し、関係する医療関係職種等と共同でカンファレンスを行うとともに、共有した当該患者の診療情報及び当該カンファレンスの結果を踏まえ、計画的な訪問薬剤管理指導の内容に加えて患者に対し療養上必要な薬学的管理指導を行った場合に、月2回に限り算定する。なお、当該カンファレンスを行った日と異なる日に当該薬学的管理指導を行った場合でも算定できるが、当該カンファレンスを行った日以降速やかに薬学的管理指導を行うものであること。また、カンファレンス及びそれに基づく薬学的管理指導1回につき1回に限り算定する。

(3) 当該カンファレンスは、原則として、患家で行うこととするが、患者又は家族が患家以外の場所でのカンファレンスを希望する場合はこの限りでない。また、以下のア及びイを満たす場合は、保険薬局の保険薬剤師が、ビデオ通話が可能な機器を用いて参加することができる。

ア 当該カンファレンスに当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等の3者以上が参加すること

イ 当該3者のうち2者以上は、患家に赴きカンファレンスを行っていること

(4) 更に、保険薬局が、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和2年3月5日保医発0305第2号)の別添3の別紙2に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域に属する場合には、以下のアからウまでを満たすときに限り、ビデオ通話を用いて参加した場合でも算定可能である。

ア 当該カンファレンスを当該月に2回実施する場合の2回目のカンファレンスであること

イ 当該2回目のカンファレンスに当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等の3者以上が参加すること

ウ 1者以上は、患家に赴きカンファレンスを行っていること

(5) (4)において、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

(6) 在宅患者緊急時等共同指導料を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分10 薬剤服用歴管理指導料」の(4)の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。

ア カンファレンス及び薬学的管理指導の実施日、薬学的管理指導を行った薬剤師の氏名並びにカンファレンスに参加した医療関係職種等の氏名

イ 当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医から要請があって患家を訪問し、他の医療関係職種等と共同してカンファレンスを行い、その結果を踏まえて薬学的管理指導を実施した旨及びその理由

ウ カンファレンスの要点及びカンファレンスの結果を踏まえて実施した薬学的管理指導の内容(服薬状況、副作用、相互作用等に関する確認等を含む。)

エ 当該保険医に対して提供した訪問結果に関する情報の要点

(7) 在宅患者緊急時等共同指導料を算定する場合は、在宅患者訪問薬剤管理指導料は別に算定できない。

(8) 麻薬管理指導加算

ア 麻薬管理指導加算は、麻薬の投薬が行われている患者に対して、投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱い上の注意等に関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛等の効果や副作用の有無の確認を行い、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。

イ 麻薬管理指導加算は、在宅患者緊急時等共同指導料が算定されていない場合は算定できない。

ウ 麻薬管理指導加算を算定するためには、薬剤服用歴の記録に「区分10 薬剤服用歴管理指導料」の(4)及び「区分15の3 在宅患者緊急時等共同指導料」の(6)の記載事項に加えて、少なくとも次の事項について記載されていなければならない。

(イ) 訪問に際して実施した麻薬に係る薬学的管理指導の内容(麻薬の保管管理状況、服薬状況、残薬の状況、麻薬注射剤等の併用薬剤、疼痛緩和等の状況、麻薬の継続又は増量投与による副作用の有無などの確認等)

(ロ) 訪問に際して行った患者・家族への指導の要点(麻薬に係る服薬指導、残薬の適切な取扱方法も含めた保管管理の指導等)

(ハ) 当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医に対して提供した訪問結果に関する情報(麻薬の服薬状況、疼痛緩和及び副作用等の状況、服薬指導の要点等に関する事項を含む。)の要点

(ニ) 患者又は家族から返納された麻薬の廃棄に関する事項(都道府県知事に届け出た麻薬廃棄届の写しを薬剤服用歴の記録に添付することで差し支えない。)

(9) 乳幼児加算は、乳幼児に係る薬学的管理指導の際に、体重、適切な剤形その他必要な事項等の確認を行った上で、患者の家族等に対して適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導を行った場合に算定する。

(10) 保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える訪問薬剤管理指導については、患家の所在地から16キロメートルの圏域の内側に、在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届け出ている薬局が存在しないなど、当該保険薬局からの訪問薬剤管理指導を必要とする特殊な事情がある場合に認められるものであって、この場合の在宅患者緊急時等共同指導料の算定については16キロメートル以内の場合と同様に算定する。特殊な事情もなく、特に患家の希望により16キロメートルを超えて療養上必要な指導を行った場合の在宅患者緊急時等共同指導料は保険診療としては認められないことから、患者負担とする。この場合において、「保険薬局の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超えた場合」とは、患家を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に当該保険薬局が所在する場合をいう。

ただし、平成24年3月31日以前に在宅患者訪問薬剤管理指導料の「注1」に規定する医師の指示があった患者については、当該規定は適用しないものであること。

区分15の4 退院時共同指導料

(1) 退院時共同指導料は、保険医療機関に入院中の患者について、当該患者の退院後の訪問薬剤管理指導を担う保険薬局として当該患者が指定する保険薬局の保険薬剤師が、原則として当該患者が入院している保険医療機関(以下「入院保険医療機関」という。)に赴いて、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な薬剤に関する説明及び指導を、入院保険医療機関の保険医又は看護師等と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回(別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については2回)に限り算定できる。なお、ここでいう入院とは、第1章第2部通則5に定める入院期間が通算される入院のことをいう。

(2) 退院時共同指導料の共同指導は対面で行うことが原則であるが、保険薬局又は入院保険医療機関のいずれかが「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和2年3月5日保医発0305第2号)の別添3の別紙2に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域に属する場合は、保険薬局の薬剤師が、ビデオ通話が可能な機器を用いて共同指導した場合でも算定可能である。

(3) 退院時共同指導料の共同指導は対面で行うことが原則であるが、当該患者に対する診療等を行う医療関係職種等の3者(当該保険薬局の薬剤師を含む。)以上が参加しており、そのうち2者以上が入院保険医療機関に赴き共同指導を行っている場合に、保険薬局の薬剤師が、ビデオ通話が可能な機器を用いて共同指導した場合でも算定可能である。

(4) (2)及び(3)において、患者の個人情報を当該ビデオ通話の画面上で共有する際は、患者の同意を得ていること。また、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

(5) 退院時共同指導料は、患者の家族等、退院後に患者の看護を担当する者に対して指導を行った場合にも算定できる。

(6) 退院時共同指導料を算定する場合は、当該患者の薬剤服用歴の記録に、入院保険医療機関において当該患者に対して行った服薬指導等の要点を記載する。また、患者又はその家族等に提供した文書の写しを薬剤服用歴の記録に添付する。

(7) 退院時共同指導料は、退院後在宅での療養を行う患者が算定の対象となり、他の保険医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設、介護老人福祉施設に入院若しくは入所する患者又は死亡退院した患者については、対象とはならない。

区分15の5 服薬情報等提供料

(1) 服薬情報等提供料は、保険薬局において調剤後も患者の服用薬や服薬状況に関する情報等を把握し、患者若しくはその家族等又は保険医療機関に当該情報を提供することにより、医師の処方設計及び患者の服薬の継続又は中断の判断の参考とする等、保険医療機関と保険薬局の連携の下で医薬品の適正使用を推進することを目的とするものである。

(2) 服薬情報等提供料1は、保険医療機関から(4)のア又はイに掲げる情報提供の求めがあった場合にその理由とともに、患者の同意を得て、現に患者が受診している保険医療機関に対して、当該患者の服薬状況等について文書等により提供した場合に算定できる。これには、次に掲げる場合が含まれる。

ア 処方箋を発行した保険医療機関が患者の服用薬の残薬の報告を求めており、保険薬局において患者の服用薬の残薬を確認し、当該保険医療機関に対して情報提供を行った場合

イ 調剤基本料の「注10」に掲げる医師の指示による分割調剤において、2回目以降の調剤時に患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化等について確認し、処方医に対して情報提供を行った場合。この場合において、次に掲げる事項を含めるものとする。

・残薬の有無

・残薬が生じている場合はその量及び理由

・副作用の有無

・副作用が生じている場合はその原因の可能性がある薬剤の推定

ウ 保険医療機関からの求めに応じ、入院前の患者の服用薬について確認し、依頼元の医療機関に情報提供した場合

(3) 服薬情報等提供料2は、以下の場合に算定できる。

ア 患者又はその家族等の求めがあった場合、患者の同意を得て、次に掲げる情報等の内容について、患者又はその家族等に対して速やかに提供等し、当該情報に関する患者の状態等の確認及び必要な指導を次回以降の来局時に行った場合。

(イ) 緊急安全性情報、安全性速報や医薬品・医療機器等安全性情報など、処方箋受付時に提供した薬剤情報以外の情報で患者の服薬期間中に新たに知り得た情報

(ロ) 患者の服薬期間中に服薬状況の確認及び必要な指導

イ 保険薬局の薬剤師が薬剤服用歴に基づき患者の服薬に関する(4)のアからウまでに掲げる情報提供の必要性を認めた場合にその理由とともに、患者の同意を得て、現に患者が受診している保険医療機関に対して、当該患者の服薬状況等について文書等により提供した場合。これには、保険薬局において患者の服用薬の残薬を確認し、処方箋を発行した保険医療機関に対して情報提供を行った場合が含まれる。

(4) 保険医療機関に対する情報提供の内容は次のとおりとする。

ア 当該患者の服用薬及び服薬状況

イ 当該患者に対する服薬指導の要点、患者の状態等

ウ 当該患者が容易に又は継続的に服用できるための技術工夫等の調剤情報

(5) 服薬期間中の体調の変化等の患者の訴えや自覚症状がある場合には、患者の自覚症状が薬剤の副作用によるものか否かに関する分析結果も含めて情報提供することとし、また、患者に対する服薬指導は、当該分析結果を踏まえたものとする。なお、患者の自覚症状の分析に当たっては、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」(厚生労働省)等を参考とすることが望ましい。

(6) (4)のウについては、処方箋の記入上の疑義照会等では算定できない。

(7) 保険医療機関への情報提供については、患者1人につき同一月に2回以上服薬情報等の提供を行った場合においても、月1回のみの算定とする。ただし、複数の保険医療機関又は診療科に対して服薬情報等の提供を行った場合は、当該保険医療機関又は診療科ごとに月1回に限り算定できる。

(8) 保険医療機関への情報提供に当たっては、別紙様式1又はこれに準ずる様式の文書等に必要事項を記載し、患者が現に診療を受けている保険医療機関に交付し、当該文書等の写しを薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存しておく。

(9) (3)のアについて、患者の服薬期間中に情報提供した事項、服薬期間中及び処方箋受付時に確認した患者の服薬状況等及び指導等については、情報提供の都度、薬剤服用歴の記録に記載する。

(10) 服薬情報等提供料は、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料又は在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については算定できない。

区分15の6 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料

(1) 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は、薬剤服用歴の記録又は患者及びその家族等からの情報等に基づき、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。ただし、複数項目に該当した場合であっても、重複して算定することはできない。

(2) 「イ 残薬調整に係るもの以外の場合」は、次に掲げる内容について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。

ア 併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)

イ 併用薬、飲食物等との相互作用

ウ そのほか薬学的観点から必要と認める事項

(3) 「ロ 残薬調整に係るものの場合」は、残薬について、処方医に対して連絡・確認を行い、処方の変更が行われた場合に算定する。

(4) 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の対象となる事項について、処方医に連絡・確認を行った内容の要点、変更内容を薬剤服用歴の記録に記載する。

(5) 同時に複数の処方箋を受け付け、複数の処方箋について薬剤を変更した場合であっても、1回に限り算定する。

区分15の7 経管投薬支援料

(1) 経管投薬支援料は、胃瘻若しくは腸瘻による経管投薬又は経鼻経管投薬を行っている患者に対して、簡易懸濁法による薬剤の服用に関して必要な支援を行った場合に算定する。

(2) 当該加算に係る服薬支援は、以下の場合に患者の同意を得て行うものであること。

ア 保険医療機関からの求めがあった場合

イ 家族等の求めがあった場合等、服薬支援の必要性が認められる場合であって、医師の了解を得たとき

(3) 「簡易懸濁法」とは、錠剤の粉砕やカプセルの開封等を行わず、経管投薬の前に薬剤を崩壊及び懸濁させ、投薬する方法のことをいう。

(4) 必要な支援とは主に次に掲げる内容をいう。

ア 簡易懸濁法に適した薬剤の選択の支援

イ 患者の家族又は介助者が簡易懸濁法により経管投薬を行うために必要な指導

ウ 必要に応じて保険医療機関への患者の服薬状況及びその患者の家族等の理解度に係る情報提供

(5) 患者1人につき複数回の支援を行った場合においても、1回のみの算定とする。

(6) 患者の服薬状況等を保険医療機関に情報提供を行った場合であって所定の要件を満たす場合は、服薬情報等提供料1又は2を算定できる。

<薬剤料>

区分20 使用薬剤料

(1) 投薬時における薬剤の容器は、原則として保険薬局から患者へ貸与する。

ただし、患者が希望する場合には、患者から実費を徴収して容器を交付しても差し支えないが、患者が当該容器を返還した場合は、当該容器本体部が再使用できるものについては当該実費を返還する。

なお、患者に直接投薬する目的で製品化されている薬剤入りチューブ及び薬剤入り使い捨て容器のように再使用できない薬剤の容器については、患者に容器代金を負担させることはできない。

(2) 保険薬局が患者に喘息治療剤の施用のため小型吸入器及び鼻腔・口腔内治療剤の施用のため噴霧・吸入用器具(散粉器)を交付した場合は、患者にその実費を負担させて差し支えないが、患者が当該吸入器を返還した場合は当該実費を返還する。

(3) 被保険者が保険薬局より薬剤の交付を受け、持ち帰りの途中又は自宅において薬品を紛失したため(天災地変その他やむを得ない場合を除く。)再交付された処方箋に基づいて、保険薬局が調剤した場合は、当該薬剤の費用は、被保険者の負担とする。

(4) 内服用液剤を投与する際には常水(水道水、自然水)を使用するが、特に蒸留水を使用しなければならない理由があれば使用して差し支えない。

(5) 薬包紙、薬袋の費用は、別に徴収又は請求することはできない。

<特定保険医療材料料>

区分30 特定保険医療材料

(1) 保険薬局で交付できる特定保険医療材料とは、別表2に掲げるものとし、次に該当する器材については算定できない。

ア 別表3に掲げる薬剤の自己注射以外の目的で患者が使用する注射器

イ 在宅医療以外の目的で患者が使用する「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)」(平成20年3月厚生労働省告示第61号)の別表のⅠに規定されている特定保険医療材料

(2) 特定保険医療材料の定義については、「特定保険医療材料の定義について」(令和2年3月5日保医発0305第12号)を参照すること。

別表1

(1) 薬剤服用歴管理指導料及びかかりつけ薬剤師指導料等を算定する場合における他の薬学管理料の算定の可否


薬剤服用歴管理指導料1、2、3

薬剤服用歴管理指導料4


かかりつけ薬剤師指導料

かかりつけ薬剤師包括管理料

在宅患者訪問薬剤管理指導料

手帳減算に該当する場合

項目

算定回数

薬剤服用歴管理指導料等の加算

麻薬管理指導加算

処方箋受付ごと

×

×

×

重複投薬・相互作用等防止加算※1

処方箋受付ごと

×

×

×

特定薬剤管理指導加算1

処方箋受付ごと

×

×

×

×

特定薬剤管理指導加算2

月1回まで

×

×

×

×

乳幼児服薬指導加算

処方箋受付ごと

×

×

×

吸入薬指導加算

3月に1回まで

×

×

×

×

×

調剤後薬剤管理指導加算

月1回まで

×

×

×

×

×

外来服薬支援料

月1回まで

×

×

服用薬剤調整支援料1

月1回まで

×

服用薬剤調整支援料2

3月に1回まで

×

服薬情報等提供料2

月1回まで※2

×

×

×

経管投薬支援料

1回まで

※1 在宅患者訪問薬剤管理指導料の場合は、当該指導料に規定される加算及び「在宅重複投薬・相互作用等防止管理料」を指す。

※2 患者又はその家族等への情報提供の場合を除く。

(2) 同一月内における服薬情報等提供料及び在宅患者訪問薬剤管理指導料と他の薬学管理料の算定の可否


服薬情報等提供1、2

在宅患者訪問薬剤管理指導料

項目

算定回数

薬剤服用歴管理指導料1、2、3、4

処方箋受付ごと

×※2

かかりつけ薬剤師指導料

処方箋受付ごと

×

かかりつけ薬剤師包括管理料

処方箋受付ごと

×

薬剤服用歴管理指導料等の加算

麻薬管理指導加算

処方箋受付ごと

重複投薬・相互作用等防止加算

処方箋受付ごと

特定薬剤管理指導加算1

処方箋受付ごと

特定薬剤管理指導加算2

月1回まで

※1

乳幼児服薬指導加算

処方箋受付ごと

吸入薬指導加算

3月に1回まで

※1

調剤後薬剤管理指導加算

月1回まで

※1

外来服薬支援料

月1回まで

×

服用薬剤調整支援料1

月1回まで

服用薬剤調整支援料2

3月に1回まで

※1

経管投薬支援料

患者ごとに1回のみ

※1 当該薬学管理料の算定に係る保険医療機関への情報提供については、服薬情報等提供料は算定できない。

※2 訪問薬剤管理指導の薬学的管理指導計画に係る別の疾病又は負傷に係る臨時の処方を行った場合を除く。

別表2

○ インスリン製剤、ヒト成長ホルモン剤、遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤、乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤、遺伝子組換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤、乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤(活性化プロトロンビン複合体及び乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体を含む。)、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤、性腺刺激ホルモン製剤、ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体、ソマトスタチンアナログ、顆粒球コロニー形成刺激因子製剤、インターフェロンアルファ製剤、インターフェロンベータ製剤、ブプレノルフィン製剤、抗悪性腫瘍剤、グルカゴン製剤、グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト、エタネルセプト製剤、ヒトソマトメジンC製剤、ペグビソマント製剤、スマトリプタン製剤、グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L―システイン塩酸塩配合剤、アダリムマブ製剤、テリパラチド製剤、アドレナリン製剤、ヘパリンカルシウム製剤、アポモルヒネ塩酸塩製剤、セルトリズマブペゴル製剤、トシリズマブ製剤、メトレレプチン製剤、アバタセプト製剤、pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)製剤、アスホターゼ アルファ製剤、グラチラマー酢酸塩製剤、セクキヌマブ製剤、エボロクマブ製剤、ブロダルマブ製剤、アリロクマブ製剤、ベリムマブ製剤、イキセキズマブ製剤、ゴリムマブ製剤、エミシズマブ製剤、イカチバント製剤、サリルマブ製剤、デュピルマブ製剤、インスリン・グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト配合剤、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム製剤、遺伝子組換えヒトvon Willebrand因子製剤、ブロスマブ製剤、メポリズマブ製剤、オマリズマブ製剤、テデュグルチド製剤及びサトラリズマブ製剤の自己注射のために用いるディスポーザブル注射器(針を含む。)

○ 万年筆型注入器用注射針

○ 「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)」(平成20年3月厚生労働省告示第61号)の別表のⅠに規定されている特定保険医療材料

別表3

インスリン製剤

ヒト成長ホルモン剤

遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤

乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子製剤

遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤

乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤

遺伝子組換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤

乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤(活性化プロトロンビン複合体及び乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体を含む。)

性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤

性腺刺激ホルモン製剤

ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体

ソマトスタチンアナログ

顆粒球コロニー形成刺激因子製剤

インターフェロンアルファ製剤

インターフェロンベータ製剤

ブプレノルフィン製剤

抗悪性腫瘍剤

グルカゴン製剤

グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト

ヒトソマトメジンC製剤

エタネルセプト製剤

ペグビソマント製剤

スマトリプタン製剤

グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L―システイン塩酸塩配合剤

アダリムマブ製剤

テリパラチド製剤

アドレナリン製剤

ヘパリンカルシウム製剤

アポモルヒネ塩酸塩製剤

セルトリズマブペゴル製剤

トシリズマブ製剤

メトレレプチン製剤

アバタセプト製剤

pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)製剤

アスホターゼ アルファ製剤

グラチラマー酢酸塩製剤

セクキヌマブ製剤

エボロクマブ製剤

ブロダルマブ製剤

アリロクマブ製剤

ベリムマブ製剤

イキセキズマブ製剤

ゴリムマブ製剤

エミシズマブ製剤

イカチバント製剤

サリルマブ製剤

デュピルマブ製剤

インスリン・グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト配合剤

ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム製剤

遺伝子組換えヒトvon Willebrand因子製剤

ブロスマブ製剤

メポリズマブ製剤

オマリズマブ製剤

テデュグルチド製剤

サトラリズマブ製剤

(別紙様式1)

(別紙様式2)

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(別添様式3)

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