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○医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行について(覚醒剤取締法関係)

(令和2年3月3日)

(薬生発0303第1号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)

(公印省略)

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第63号。以下「改正法」という。)については、令和元年12月4日に公布されるとともに、改正法のうち、第4条の規定による覚せい❜❜剤取締法(昭和26年法律第252号。以下「覚取法」という。)の一部改正に関連した「覚せい❜❜剤取締法施行規則等の一部を改正する省令」(令和2年厚生労働省令第15号。以下「改正省令」という。)が本年2月13日に別添のとおり公布されたところです。

これらの改正の趣旨及び主な内容は下記のとおりですので、御了知の上、貴管下関係団体、関係機関等に周知徹底を図るとともに、その実施に遺漏なきようお願いします。

第1 改正の趣旨

覚醒剤原料は、覚取法に基づく覚醒剤原料輸入業者又は覚醒剤原料輸出業者の指定を受けた者が、厚生労働大臣の許可を受け、その業務のために輸出入する場合のほかは、何人も輸出入してはならないこととされてきたが、一部の覚醒剤原料が医薬品として疾病の治療の目的で用いられていることに鑑み、改正法第4条の規定による改正後の覚取法(以下「改正覚取法」という。)において、厚生労働大臣の許可を受けた場合には、医薬品である覚醒剤原料(以下「医薬品覚醒剤原料」という。)を自己の疾病の治療の目的で携帯して輸出入することを可能とした。

加えて、医薬品覚醒剤原料の取扱いに関して、病院、診療所及び飼育動物診療施設(以下「病院等」という。)、薬局(以下「病院等」と併せて「病院・薬局等」という。)並びに患者等における医薬品覚醒剤原料の適切な取扱いを確保するため、医薬品覚醒剤原料に係る譲渡、譲受、廃棄、帳簿作成義務等についても、改正覚取法において所要の規定を設けた。

さらに、改正省令第1条の規定による改正後の覚醒剤取締法施行規則(昭和26年厚生省令第30号。以下「改正覚取則」という。)において、改正法の施行に伴う所要の手続規定及び届出様式を整備した。

第2 改正の内容

1 携帯輸出入

(1) 医薬品覚醒剤原料の携帯輸出入(改正覚取法第30条の6関係)

ア 改正覚取法第30条の6の規定により、本邦に入国する者又は本邦から出国する者があらかじめ厚生労働大臣の許可を受けた場合には、自己の疾病の治療の目的で医薬品覚醒剤原料を携帯して輸出入すること(以下「携帯輸出入」という。)が可能となったこと。

イ 携帯輸出入に係る許可申請は、出入国しようとする者が、「医薬品である覚醒剤原料携帯輸入(輸出)許可申請書(改正覚取則別記第10号様式)」に、医師の診断書(疾病名、治療経過及び医薬品覚醒剤原料の施用を必要とする旨を記載したもの)を添え、地方厚生(支)局麻薬取締部に提出して行うものであること。また、この許可申請は手数料を要しないものであること(改正覚取則第12条)。

ウ 出国しようとする者が渡航期間中に施用した残余の医薬品覚醒剤原料を携帯して入国することが予想される場合、入国しようとする者が渡航期間中に施用した残余の医薬品覚醒剤原料を携帯して出国することが予想される場合は、覚醒剤原料携帯輸出許可と覚醒剤原料携帯輸入許可を同時に申請して差し支えないこと。

エ 地方厚生(支)局麻薬取締部から交付された許可書は、医薬品覚醒剤原料を携帯して本邦に入国する際又は本邦から出国する際に、それぞれ税関において提示するよう指導されたいこと。

2 譲渡、譲受、所持等

(1) 患者又はその相続人等から病院・薬局等への医薬品覚醒剤原料の譲渡等(改正覚取法第30条の7第13号、第30条の9第1項第6号、第30条の9第2項、第30条の14関係)

ア 改正覚取法第30条の7第13号の規定により、医師等が交付し、又は薬剤師が調剤した医薬品覚醒剤原料(以下「調剤済医薬品覚醒剤原料」という。)を譲り受けた患者が死亡した場合において、その相続人又は相続人に代わって相続財産を管理する者(以下「相続人等」という。)による当該調剤済医薬品覚醒剤原料の所持が可能となったこと。

イ 患者及びその相続人等は、調剤済医薬品覚醒剤原料が施用する必要がなくなった場合に、病院・薬局等(返却が可能な病院・薬局等については下記ウを参照。)の開設者へ返却することが可能となったこと(改正覚取法第30条の9第1項第6号)。

ウ 患者及び相続人等は、病院等に調剤済医薬品覚醒剤原料を返却する場合、当該調剤済医薬品覚醒剤原料を患者に譲り渡した病院等以外の病院等への返却ができないこと(改正覚取法第30条の9第1項第6号。病院・薬局等における医薬品覚醒剤原料の取扱いについては免許制を取っていないところ、薬局と異なり、覚醒剤原料を取り扱わない病院等には鍵のかかる保管庫を設置する義務がなく、適切に保管することができない場合があるため。)。一方、薬局に返却を行う場合においては、返却先の薬局に制限が設けられていないこと。

エ 病院・薬局等の開設者は、調剤済医薬品覚醒剤原料を患者又は相続人等から譲り受けた場合、改正覚取法第30条の14第3項及び改正覚取則第19条第3項の規定に基づき、病院・薬局等の所在地を管轄する都道府県知事に対し、速やかに「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料譲受届出書(改正覚取則別記第18号様式)」を提出する必要があること。

オ 病院・薬局等の開設者は、「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料譲受届出書」を提出した後は、改正覚取法第30条の9第2項の規定に基づき、改正覚取則で定める方法で、速やかに調剤済医薬品覚醒剤原料を廃棄しなければならないこと(廃棄方法等の詳細は、下記3(1)を参照。)。

カ 病院・薬局等の開設者は、譲り受けた調剤済医薬品覚醒剤原料を廃棄した後は、改正覚取法第30条の14第2項及び改正覚取則第19条第2項の規定に基づき、廃棄した日から起算して30日以内に、病院・薬局等の所在地を管轄する都道府県知事に対して「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料廃棄届出書(改正覚取則別記第17号様式)」を提出する必要があること(下記3(1)エも参照。)。

キ 改正覚取法第30条の9第1項第6号の規定は、患者及び相続人等に対して、施用する必要がなくなった調剤済医薬品覚醒剤原料の譲渡を義務付けるものではないが、施用する必要がなくなった調剤済医薬品覚醒剤原料の適切かつ確実な廃棄を確保するためには、病院・薬局等がそれらを譲り受けた上で適切に廃棄することが望ましいため、医薬品覚醒剤原料を病院等が交付又は薬局が調剤する際に、その旨を病院・薬局等から患者に対して周知されたいこと。

(2) 病院・薬局等の開設者又は往診医師から覚醒剤原料製造業者等への覚醒剤原料の譲渡(改正覚取法第30条の9第1項第7号関係)

ア 改正覚取法第30条の9第1項第7号の規定により、病院・薬局等の開設者又は往診医師は、厚生労働大臣の許可を受けて、以下①及び②の場合は、覚醒剤原料輸入業者、覚醒剤原料製造業者、覚醒剤原料取扱者、覚醒剤研究者等(以下「覚醒剤原料製造業者等」という。)へ覚醒剤原料を譲渡することが可能となったこと。

① 改正覚取則第14条第2項第1号から第5号までに規定する覚醒剤原料を覚醒剤原料製造業者等に譲渡する場合(改正覚取法第30条の9第1項第7号及び改正覚取則第14条第2項)

② 患者の試験検査に使う医薬品覚醒剤原料を、覚醒剤原料研究者又は覚醒剤研究者に譲渡する場合(改正覚取則第14条第2項)

イ 上記の譲渡に係る許可の申請は、「覚醒剤原料譲渡許可申請書(改正覚取則別記第12号様式)」を地方厚生(支)局麻薬取締部に提出することによって行うものであること。また、この許可申請は手数料を要しないものであること(改正覚取則第14条第1項)。

3 医薬品覚醒剤原料の取扱い(改正覚取法第30条の13、第30条の14、第30条の17関係)

(1) 調剤済医薬品覚醒剤原料の廃棄方法(改正覚取法第30条の13及び第30条の14第2項関係)

ア 覚醒剤原料の廃棄については、その覚醒剤原料の保管場所の所在地の都道府県知事に届け出た上で、当該都道府県の職員の立会いの下で行うことが原則である(改正覚取法第30条の13前段)ところ、病院・薬局等の開設者が、改正覚取則に定める方法で調剤済医薬品覚醒剤原料を廃棄する場合については、その立会いを不要とした上で(改正覚取法第30条の13後段)、事後に都道府県知事への届出を求める(改正覚取法第30条の14第2項)こととしたこと。

イ 調剤済医薬品覚醒剤原料には、院内処方箋又は院外処方箋により調剤された医薬品覚醒剤原料のほか、医師等が自ら調剤・交付した医薬品覚醒剤原料も含まれること。

ウ 調剤済医薬品覚醒剤原料の廃棄は、改正覚取則第15条の規定により、焼却その他の覚醒剤原料を回収することが困難な方法により行わなければならないこと。このうち「その他の方法」については、希釈、他の薬剤との混合等が考えられること。また、廃棄には、病院・薬局等の他の職員(管理薬剤師等)が立ち会うことが適当であること。

エ 廃棄の届出については、調剤済医薬品覚醒剤原料の廃棄後30日以内に、「交付又は調剤済みの医薬品である覚醒剤原料廃棄届出書(改正覚取則別記第17号様式)」を病院・薬局等の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならないこと。なお、患者又はその相続人等から返却された調剤済医薬品覚醒剤原料を廃棄する場合(改正覚取法第30条の9第2項)も届出の対象となること。

オ 廃棄届出書の氏名欄への記入については、病院・薬局等の開設者が法人の場合には、法人の名称並びに施設の長の職名、氏名及び押印として差し支えないこと。また、届出日から30日以内に複数の廃棄を行った場合、同一の届出書にまとめて記入して差し支えないこと。

カ 調剤済医薬品覚醒剤原料以外の覚醒剤原料を廃棄する場合(使用期限切れや汚染によって施用できなくなった医薬品覚醒剤原料を廃棄する場合等)は、従前のとおり都道府県知事への事前届出及び都道府県職員の立会いが必要であること(改正覚取法第30条の13前段)。

(2) 帳簿(改正覚取法第30条の17第3項関係)

ア 改正覚取法第30条の17第3項の規定により、病院・薬局等の開設者及び往診医師に対して、帳簿の作成が義務付けられたこと。当該帳簿への記載事項については、通知(平成12年9月29日付け医薬麻第1793号厚生省医薬安全局麻薬課長通知の別添「病院・診療所・飼育動物診療施設・薬局における覚せい剤原料取扱いの手引き」において「記録することが望ましい」とされている帳簿)と同様であること。

イ 帳簿には、譲り渡し、譲り受け、施用し、施用のため交付し、又は廃棄した医薬品覚醒剤原料の品名、数量、年月日を記載しなければならないこと。また、患者又はその相続人等から調剤済医薬品覚醒剤原料を譲り受けた場合には、患者又はその相続人等の氏名も併せて記載するよう指導されたいこと。

ウ 改正覚取法第30条の14各項に基づく届出を行ったときは、帳簿に当該医薬品覚醒剤原料の品目及び数量を記載しなければならないこと。

エ 患者又はその相続人等から調剤済医薬品覚醒剤原料を譲り受けた場合やその調剤済医薬品覚醒剤原料を廃棄した場合については、帳簿と別に廃棄簿を備え、これに記入して差し支えないこと。

4 「覚せい剤」の表記に関する改正

改正法第4条により、覚取法の題名を「覚醒剤取締法」に改めるとともに、覚取法中の「覚せい剤」等の表記についても「覚醒剤」等に改めたこと。

また、改正省令により、覚取則についてもその題名を「覚醒剤取締法施行規則」に改めるとともに、覚取則中の「覚せい剤」等の表記を「覚醒剤」等に改めたこと。

第3 経過措置及び施行期日

1 改正前の様式による書類(改正省令附則第2条関係)

ア 改正省令の施行の際、改正前の様式により使用されている書類(各種指定証等)は改正後の様式とみなされるため、施行に伴って書換え等を行う必要はないこと。

イ 改正省令の施行の際現にある改正前の様式による用紙については、当分の間これを取り繕って使用することができること。

2 施行期日(改正法附則第1条及び改正省令附則第1条関係)

改正法附則第1条において、改正法の施行期日は公布の日から起算して1年を超えない範囲において政令で定めることとされているところ、改正法の施行期日を定める政令については、近日中の公布を予定していること。

以上