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○風水害発生時における毒物及び劇物の保管管理等について(依頼)

(令和2年1月17日)

(薬生薬審発0117第2号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)

(公印省略)

毒物及び劇物による事故の未然防止等については、かねてより種々御配慮いただき、厚く御礼申し上げます。

令和元年の台風15号及び台風19号の暴風、浸水等による被害を受けた毒物又は劇物(以下「毒劇物」という。)を取り扱う事業所において、貯蔵タンク、貯蔵槽などから毒劇物が流出、漏洩する事故が複数発生しました。

このため、風水害発生時における毒劇物の流出、漏洩防止の観点から、貴職におかれましては、下記について、十分に御了知いただくとともに、風水害発生時に貴管下関係者が適切な対応を行えるよう周知願います。また、風水害発生時における毒劇物の漏洩等防止策として有効と考えられる対策の例を、別添のとおりまとめましたので、併せて、御了知願います。

なお、本通知については、警察庁生活安全局保安課長、消防庁危険物保安室長、文部科学省大臣官房総務課長、農林水産省消費・安全局農産安全管理課長、経済産業省製造産業局総務課長、一般社団法人日本化学工業協会会長、全国化学工業薬品団体連合会会長、日本製薬団体連合会会長、公益社団法人日本薬剤師会会長、一般社団法人日本化学品輸出入協会会長並びに公益社団法人全日本トラック協会会長宛に併せて周知していることを申し添えます。

以下の事項について、平時より確認、整備等を行うとともに、管下の毒物劇物営業者、特定毒物研究者又は業務上取扱者(以下「毒物劇物営業者等」という。)に対して、必要な措置を講ずるよう促すこと。

1 平時における事前の対応

(1) 管下の毒物劇物営業者等に対し、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)第16条の2の規定に基づき、毒劇物の流出又は漏洩等(以下、「漏洩等」という。)の場合において、保健衛生上の危害が生ずるおそれがあるときは、直ちに保健所、警察署又は消防機関(以下「関係行政機関」という。)に届け出るとともに必要な措置を講ずる必要があることを周知・徹底すること。また、毒劇物の貯蔵設備等が浸水するなど、漏洩等のおそれがある場合においても、関係行政機関への情報提供に努めるよう、依頼すること。

(2) 管轄内のハザードマップ等を参照し、管下の毒物劇物営業者等が所有する毒劇物を保管する施設等が浸水想定区域や土砂災害警戒区域内に存在するかを確認し、併せて降雨や高潮に伴う浸水高さ等についても確認すること。

(3) 特に、上記(2)の確認の結果、浸水等の警戒区域内に存在する毒劇物を保管する施設等において、事業者の実態に応じ、可能な範囲で、以下の措置が講じられるよう管理する毒物劇物営業者等に促すこと。

・ ハザードマップ等を参照し、毒劇物を保管する施設等が浸水想定区域や土砂災害警戒区域内に存在するかを確認し、併せて降雨や高潮に伴う浸水高さ等についても確認すること。

・ 長雨や台風の接近に伴い、浸水等の発生を想定した、被害発生の危険性を回避・低減するための必要な措置及び漏洩等の際の応急措置を検討し、計画策定や教育訓練等の準備を行うこと。

・ 風水害の危険性が高まってきた場合の対応に必要となるビニールシート、土のうなどを整備しておくこと。

・ 日常点検、定期検査等を含めた自己点検を実施すること。

・ 漏洩等の際に備え、関係行政機関との連絡体制を整備すること。

2 風水害の危険性が高まってきた場合の対応

別添「風水害発生時における毒劇物の漏洩等防止策として有効と考えられる対策の例」を参考に、特に、浸水等の警戒区域内に存在する毒劇物を保管する施設等において、事業者の実態に応じ、避難に差し支えない可能な範囲で、浸水・土砂流入対策などの適切な措置が講じられるよう管理する毒物劇物営業者等に促すこと。

3 漏洩時及び漏洩疑い時の対応

(1) 管下の毒物劇物営業者等から漏洩等の報告を受けた場合は、当該事業者に対し、従業員等の避難安全を確保することを最優先としつつ、事業所周辺への漏洩等を防止するための措置を講ずるよう指示すること。また、速やかに厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課化学物質安全対策室に情報提供をすること。

(2) 管轄内において浸水・土砂災害等が発生している場合は、当該被害発生地域の毒物劇物営業者等と連絡をとる等の手段により、まずは、毒劇物の貯蔵設備等の浸水・土砂災害等を確認し、貯蔵設備等に浸水等が確認された場合は、漏洩等の有無にかかわらず、その旨速やかに同室に情報提供を行うこと。

また、当該設備等への調査が可能になった時点で、速やかに漏洩等の有無について可能な範囲で確認を行い、漏洩等が確認された場合、速やかに同室に情報提供を行うこと。

(3) 必要に応じ、関係部局と連携して、施設周辺の近隣住民への避難勧告及び健康状況調査を行うこと。

(4) 関係部局と連携して、漏洩等が発生した施設周辺における毒劇物のモニタリング調査を行うこと。

(別添)

風水害発生時における毒劇物の漏洩等防止策として有効と考えられる対策の例

1.浸水・土砂流入対策

○ 毒劇物を保管する施設等への浸水や土砂流入を防ぐ、土のうや止水板等を使用する。

○ 毒劇物の流出を防止するとともに、タンクや配管への水や土砂の混入を防止するため、配管の弁等を閉鎖する。

○ 容器に入った毒劇物は浸水等により漏れることがないよう封をする。容器の破損を防止するため、可能であれば保管庫内で固定する。

○ 敷地外への流出を防止するため、毒劇物を入れた容器のうち封が困難なものについては、内容物を封のできる容器に詰め、又は容器をふたやビニールシートで覆う。

など

2.強風対策

○ 飛来物により毒劇物の製造設備、貯蔵設備等が損傷を受けることを防止するため、屋外にある飛びやすいものは屋内に移動する。

○ 飛来物により配管等が破損した場合における毒劇物の流出を最小限に抑えるために、配管の弁等を閉鎖する。

など