○エクリズマブ(遺伝子組換え)製剤の使用に当たっての留意事項について
(令和元年11月22日)
(薬生薬審発1122第5号)
(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)
(公印省略)
エクリズマブ(遺伝子組換え)製剤(販売名:ソリリス点滴静注300mg)(以下「本剤」という。)については、本日、「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」を効能又は効果として追加する、製造販売承認事項一部変更承認(以下「本承認」という。)したところですが、本剤については、髄膜炎菌感染症の発症のリスクが高まることが懸念されること等から、その使用に当たっては、特に下記の点につきご留意いただくよう貴管下の医療機関へのご周知方よろしくお願いします。
記
1.本剤については、本承認に際し、製造販売業者による全症例を対象とした製造販売後調査等の実施、適正な流通管理の実施等を承認条件として付しましたので、その実施にご協力をお願いします。
【承認条件】
<視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防>
1.医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
2.国内の臨床試験成績は限られていることから、製造販売後一定期間は本剤を投与された全症例を対象に特定使用成績調査を実施し、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
3.本剤の投与が、視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の診断、治療に精通し、本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関のもとで、髄膜炎菌感染症の診断、治療に精通した医師との連携を取った上でのみ行われるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。
2.本剤の使用上の注意における、警告欄の記載は以下のとおりであり、髄膜炎菌感染症の発症のリスクには特段の留意をお願いします。本剤の投与に伴う髄膜炎菌感染症の発症のリスクを低減させるための方策の一つとして、髄膜炎菌ワクチンの接種が有用であると考えられます。特に視神経脊髄炎スペクトラム障害患者には、本剤投与前の治療により免疫抑制状態となっている懸念のある患者が存在すると考えられますので、このような懸念のある患者へ本剤を投与する場合は、必要に応じて髄膜炎菌に対するワクチンの追加接種を考慮してください。その他の使用上の注意についても別添の添付文書を参照いただき、本剤を適正に使用していただくようお願いします。
【警告】(下線部は本承認に伴う追記箇所)
1.本剤の投与により、髄膜炎菌感染症を発症することがあり、死亡例も認められているため、以下の点に十分注意すること(<効能・効果に関連する使用上の注意>及び「重大な副作用」の項参照)。
(1) 本剤の投与に際しては、髄膜炎菌感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直等)に注意して観察を十分に行い、髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。
(2) 緊急な治療を要する場合等を除いて、原則、本剤投与前に髄膜炎菌に対するワクチンを接種すること。必要に応じてワクチンの追加接種を考慮すること。
(3) 髄膜炎菌感染症は致命的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設及び医師のもとで、あるいは髄膜炎菌感染症の診断及び治療が可能な医療施設との連携下で投与すること。
(4) 髄膜炎菌感染症のリスクについて患者に説明し、当該感染症の初期徴候を確実に理解させ、髄膜炎菌感染症に関連する副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。
2.本剤は、発作性夜間ヘモグロビン尿症、非典型溶血性尿毒症症候群、全身型重症筋無力症あるいは視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)に十分な知識を持つ医師のもとで、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与開始に先立ち、本剤は疾病を完治させる薬剤ではないことを含め、本剤の有効性及び危険性を患者又はその家族に十分説明し、同意を得てから投与すること。
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