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○公認心理師法の施行について

(平成29年9月15日)

(/29文科初第875号/障発0915第7号/)

(各都道府県知事・各国公私立大学長あて文部科学省初等中等教育局長、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

(印影印刷)

公認心理師法(平成27年法律第68号。以下「法」という。)は、平成27年9月16日に公布され、平成28年3月15日に指定試験機関に係る規定が施行されたところであるが、平成29年9月15日をもって全面施行となった。これに伴い、公認心理師法施行令(平成29年政令第243号)及び公認心理師法施行規則(平成29年文部科学省・厚生労働省令第3号。以下「施行規則」という。)が制定され、同日より施行されたので、下記事項に留意の上、適正な実施に遺憾なきを期されるとともに、各都道府県知事におかれては、都道府県教育委員会、管内市区町村、関係機関等に対する周知につき配慮されたい。

第1 法制定の趣旨について

今日、心の健康の問題は、国民の生活に関わる重要な問題となっており、学校、医療機関、その他企業をはじめとする様々な職場における心理職の活用の促進は、喫緊の課題となっている。しかしながら、我が国においては、心理職の国家資格がないことから、国民が安心して心理に関する支援を受けられるようにするため、国家資格によって裏付けられた一定の資質を備えた心理職が必要とされてきた。

法は、このような現状を踏まえ、公認心理師の国家資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とするものである。

第2 公認心理師の定義について

公認心理師は、登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいうこと。(法第2条)

1 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。

2 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

3 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

4 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

第3 試験の実施について

1 公認心理師試験(以下「試験」という。)に合格した者は、公認心理師となる資格を有すること。(法第4条)

2 試験は、毎年1回以上、文部科学大臣及び厚生労働大臣が行うこと。(法第6条)

第4 受験資格について

1 試験の受験資格は、次の者に与えられるものであること。(法第7条)

(1) 大学(短期大学を除く。以下同じ。)において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として施行規則で定めるもの(以下「必要な科目」という。)を修めて卒業し、かつ、大学院において必要な科目を修めてその課程を修了した者その他その者に準ずるものとして施行規則で定める者

(2) 大学において必要な科目を修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして施行規則で定める者であって、施行規則で定める施設において施行規則で定める期間以上第2の1から3までに掲げる行為の業務に従事したもの

(3) 文部科学大臣及び厚生労働大臣が(1)及び(2)に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者

2 必要な科目は、別紙1の科目とすること。(施行規則第1条及び第2条)

3 1の(1)の「施行規則で定める者」は、次の者であること。(施行規則第4条第1項)

(1) 大学において必要な科目を修めて学校教育法(昭和22年法律第26号)第102条第2項の規定により大学院への入学を認められた者であって、大学院において必要な科目を修めてその課程を修了したもの

(2) 専修学校の専門課程(学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第155条第1項第5号に規定する文部科学大臣が指定するものに限る。以下同じ。)において必要な科目を修めて卒業した者であって、大学院において必要な科目を修めてその課程を修了したもの

4 1の(2)の「施行規則で定める者」は、次の者であること。(施行規則第4条第2項)

(1) 大学において必要な科目を修めて、学校教育法第102条第2項の規定により大学院への入学を認められた者

(2) 専修学校の専門課程において必要な科目を修めて卒業した者

5 1の(2)の「施行規則で定める施設」は、別紙2の施設であること。(施行規則第5条)

6 1の(3)については、外国の大学の卒業及び外国の大学院の課程修了相当の資格を有している者等を想定していること。

7 1以外に、特例として、次の者にも受験資格が与えられること。(法附則第2条第1項)

(1) 平成29年9月15日より前に大学院の課程を修了した者であって、当該大学院において必要な科目を修めたもの

(2) 平成29年9月15日より前に大学院に入学した者であって、同日以後に必要な科目を修めて当該大学院の課程を修了したもの

(3) 平成29年9月15日より前に大学に入学し、かつ、必要な科目を修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして施行規則で定める者であって、同日以後に大学院において必要な科目を修めてその課程を修了したもの

(4) 平成29年9月15日より前に大学に入学し、かつ、必要な科目を修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして施行規則で定める者であって、施行規則で定める施設において施行規則で定める期間以上第2の1から3までに掲げる行為の業務に従事したもの

8 7の(3)及び(4)の「施行規則で定める者」は、次の者であること。(施行規則附則第4条)

(1) 平成29年9月15日より前に大学に入学した者であって、大学において必要な科目を修めて学校教育法第102条第2項の規定により大学院への入学を認められたもの

(2) 平成29年9月15日より前に専修学校の専門課程に入学し、必要な科目を修めて卒業した者

9 1の(2)及び7(4)の「施行規則で定める期間」は、2年であること。(施行規則第6条)

10 1及び7以外に、現在、第2の1から3までに掲げる行為を業として行っている者(以下「現任者」という。)その他その者に準ずるものとして施行規則で定める者については、次のいずれにも該当することを条件として、平成34年9月14日までは試験の受験資格が与えられること。(法附則第2条第2項)

(1) 文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定した講習会の課程を修了したこと。

(2) 施行規則で定める施設において、第2の1から3までに掲げる行為を5年以上業として行ったこと。

なお、現任者としての勤務期間は、雇用契約に基づく契約期間を業務に従事した期間として計上することとすることが望ましい。その際には、常態として週1日以上の勤務であった期間について認めるものとすること。

11 10の「施行規則で定める者」については、現任者であって、平成29年9月15日において、第2の1から3までに掲げる業務を休止又は廃止した日から起算して5年を経過しないものであること。(施行規則附則第5条)

12 10の(2)の「施行規則で定める施設」については、次の施設であること。(施行規則附則第6条)

(1) 別紙2の(1)から(25)までに掲げる施設

(2) (1)の施設に準ずる施設として文部科学大臣及び厚生労働大臣が認める施設

第5 登録について

1 公認心理師となる資格を有する者が公認心理師となるには、公認心理師登録簿に登録を受けなければならないこと。(法第28条)

2 公認心理師の登録の申請手続は、申請者が公認心理師登録申請書に必要書類を添付して、文部科学大臣及び厚生労働大臣に提出すること。(施行規則第13条)

3 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師登録申請書の記載事項を審査し、当該申請者が公認心理師となる資格を有すると認めたときは、公認心理師登録簿に登録し、かつ、当該申請者に公認心理師登録証を交付すること。(施行規則第14条)

4 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師の登録の実施に関する事務を行う者(以下「指定登録機関」という。)を指定することができること。(法第36条)

5 なお、指定登録機関の指定は、今後行う予定であること。

第6 義務等について

1 公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならないこと。(法第40条)

2 公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならず、公認心理師でなくなった後においても同様とすること。(法第41条)

3 公認心理師は、業務を行うに当たって、心理に関する支援を要する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、関係者等との連携を保つとともに、心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならないこと。(法第42条)

4 公認心理師は、国民の心の健康を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、第2に掲げる行為に関する知識及び技能の向上に努めなければならないこと。(法第43条)

5 公認心理師でない者は、次の行為が禁止されること。(法第44条)

(1) 公認心理師という名称を用いること。

(2) その名称中に心理師という文字を用いること。

第7 罰則について

第6の2等に違反したものは、懲役又は罰金に処すること。

【別紙1】

1 大学(※)における必要な科目

(1) 公認心理師の職責

(2) 心理学概論

(3) 臨床心理学概論

(4) 心理学研究法

(5) 心理学統計法

(6) 心理学実験

(7) 知覚・認知心理学

(8) 学習・言語心理学

(9) 感情・人格心理学

(10) 神経・生理心理学

(11) 社会・集団・家族心理学

(12) 発達心理学

(13) 障害者・障害児心理学

(14) 心理的アセスメント

(15) 心理学的支援法

(16) 健康・医療心理学

(17) 福祉心理学

(18) 教育・学校心理学

(19) 司法・犯罪心理学

(20) 産業・組織心理学

(21) 人体の構造と機能及び疾病

(22) 精神疾患とその治療

(23) 関係行政論

(24) 心理演習

(25) 心理実習

2 大学院における必要な科目

(1) 保健医療分野に関する理論と支援の展開

(2) 福祉分野に関する理論と支援の展開

(3) 教育分野に関する理論と支援の展開

(4) 司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開

(5) 産業・労働分野に関する理論と支援の展開

(6) 心理的アセスメントに関する理論と実践

(7) 心理支援に関する理論と実践

(8) 家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践

(9) 心の健康教育に関する理論と実践

(10) 心理実践実習

(※) 専修学校の専門課程(学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第155条第1項第5号に規定する文部科学大臣が指定するものに限る。)も対象とする。

【別紙2】

(1) 学校教育法に規定する学校

(2) 裁判所法(昭和22年法律第59号)に規定する裁判所

(3) 地域保健法(昭和22年法律第101号)に規定する保健所又は市町村保健センター

(4) 児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する障害児通所支援事業若しくは障害児相談支援事業を行う施設、児童福祉施設又は児童相談所

(5) 医療法(昭和23年法律第205号)に規定する病院又は診療所

(6) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)に規定する精神保健福祉センター

(7) 生活保護法(昭和25年法律第144号)に規定する救護施設又は更生施設

(8) 社会福祉法(昭和26年法律第45号)に規定する福祉に関する事務所又は市町村社会福祉協議会

(9) 売春防止法(昭和31年法律第118号)に規定する婦人相談所又は婦人保護施設

(10) 知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)に規定する知的障害者更生相談所

(11) 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)に規定する広域障害者職業センター、地域障害者職業センター又は障害者就業・生活支援センター

(12) 老人福祉法(昭和38年法律第133号)に規定する老人福祉施設

(13) 青少年の雇用の促進等に関する法律(昭和45年法律第98号)に規定する無業青少年の職業生活における自立を支援するための施設

(14) 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に規定する労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を講ずる施設

(15) 更生保護事業法(平成7年法律第86号)に規定する更生保護施設

(16) 健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)附則第130条の2第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第26条の規定による改正前の介護保険法(平成9年法律第123号)に規定する介護療養型医療施設又は介護保険法に規定する介護老人保健施設若しくは地域包括支援センター

(17) 法務省設置法(平成11年法律第93号)に規定する刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所、婦人補導院若しくは入国者収容所又は地方更生保護委員会若しくは保護観察所

(18) 厚生労働省組織令(平成12年政令第252号)に規定する国立児童自立支援施設

(19) ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(平成14年法律第105号)に規定するホームレス自立支援事業を行う施設

(20) 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法(平成14年法律第167号)に規定する独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園

(21) 発達障害者支援法(平成16年法律第167号)に規定する発達障害者支援センター

(22) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)に規定する障害福祉サービス事業、一般相談支援事業若しくは特定相談支援事業を行う施設、基幹相談支援センター、障害者支援施設、地域活動支援センター又は福祉ホーム

(23) 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)に規定する認定こども園

(24) 子ども・若者育成支援推進法(平成21年法律第71号)に規定する子ども・若者総合相談センター

(25) 子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)に規定する地域型保育事業を行う施設

(26) (1)から(25)までに掲げる施設に準ずる施設として文部科学大臣及び厚生労働大臣が認める施設