添付一覧
○公認心理師法附則第2条第1項第1号から第4号までに規定する公認心理師になるために必要な科目の取扱いについて
(平成29年9月15日)
(/29文科初第881号/障発0915第9号/)
(各都道府県知事・各国公私立大学長あて文部科学省初等中等教育局長、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)
(印影印刷)
公認心理師法(平成27年法律第68号)附則第2条第1項第1号から第4号までに規定する公認心理師になるために必要な科目については、公認心理師法施行規則(平成29年文部科学省・厚生労働省令第3号)附則第2条及び第3条に規定しているところであるが、大学、大学院及び専修学校の専門課程(学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第155条第1項第5号に規定する文部科学大臣が指定するものに限る。)におけるその取扱いに関する事項については、別添のとおりとしたので通知する。
ついては、適正な実施に遺憾なきを期されるとともに、各都道府県知事におかれては、都道府県教育委員会、管内市区町村、関係機関等に対する周知につき配慮されたい。
[本件担当]
文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課
電話:03―5253―4111(内線4950)
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
精神・障害保健課公認心理師制度推進室
電話:03―5253―1111(内線3113、3112)
別添
公認心理師法附則第2条第1項第1号から第4号までに規定する公認心理師になるために必要な科目の取扱いについて
1 大学、大学院及び専修学校の専門課程(学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第155条第1項第5号に規定する文部科学大臣が指定するものに限る。)(以下「大学等」という。)において、公認心理師試験の受験申込みに必要となる公認心理師法(平成27年法律第68号。以下「法」という。)附則第2条第1項第1号から第4号までに規定する公認心理師となるために必要な科目(以下「必要な科目」という。)の履修証明書を発行するに当たっては、履修科目が別表1又は別表2における「含まれる事項」を含むと各大学等で判断した場合、当該履修科目については、科目名に関わらず必要な科目に該当することとして差し支えないこと。
2 なお、法附則第2条第1項第1号及び第2号に規定する大学院における必要な科目に該当するかどうかについては、別表3を参考とされたいこと。ただし、別表3に示した科目名は例示であって、この科目名以外の開講科目が必要な科目に該当すると各大学院において判断することは可能であること。
3 この取扱いを適用する科目については、平成29年9月14日までに大学又は専修学校の専門課程を卒業又は大学院の課程を修了した者が修めた科目並びに同日までに大学又は専修学校の専門課程及び大学院に入学した学生が当該大学又は当該専修学校の専門課程を卒業又は当該大学院の課程を修了するまでに修める科目であること。
(別表1)
大学における必要な科目 |
|||
大学(※)における必要な科目名 |
含まれる事項 |
||
Ⅰ |
1 |
心理学概論 |
① 心理学の成り立ち ② 人の心の基本的な仕組み及び働き |
2 |
臨床心理学概論 |
① 臨床心理学の成り立ち ② 臨床心理学の代表的な理論 |
|
3 |
心理学研究法 |
① 心理学における実証的研究法(量的研究及び質的研究) ② データを用いた実証的な思考方法 ③ 研究における倫理 |
|
4 |
心理学統計法 |
① 心理学で用いられる統計手法 ② 統計に関する基礎的な知識 |
|
5 |
心理学実験 |
① 実験の計画立案 ② 統計に関する基礎的な知識 |
|
Ⅱ |
6 |
知覚・認知心理学 |
① 人の感覚・知覚等の機序及びその障害 ② 人の認知・思考等の機序及びその障害 |
7 |
学習・言語心理学 |
① 人の行動が変化する過程 ② 言語の習得における機序 |
|
8 |
感情・人格心理学 |
① 感情に関する理論及び感情喚起の機序 ② 感情が行動に及ぼす影響 ③ 人格の概念及び形成過程 ④ 人格の類型、特性等 |
|
9 |
神経・生理心理学 |
① 脳神経系の構造及び機能 ② 記憶、感情等の生理学的反応の機序 ③ 高次脳機能障害の概要 |
|
10 |
社会・集団・家族心理学 |
① 対人関係並びに集団における人の意識及び行動についての心の過程 ② 人の態度及び行動 ③ 家族、集団及び文化が個人に及ぼす影響 |
|
11 |
発達心理学 |
① 認知機能の発達及び感情・社会性の発達 ② 自己と他者の関係の在り方と心理的発達 ③ 誕生から死に至るまでの生涯における心身の発達 ④ 発達障害等非定型発達についての基礎的な知識及び考え方 ⑤ 高齢者の心理 |
|
12 |
障害者・障害児心理学 |
① 身体障害、知的障害及び精神障害の概要 ② 障害者・障害児の心理社会的課題及び必要な支援 |
|
Ⅲ |
13 |
心理的アセスメント |
① 心理的アセスメントの目的及び倫理 ② 心理的アセスメントの観点及び展開 ③ 心理的アセスメントの方法(観察、面接及び心理検査) ④ 適切な記録及び報告 |
14 |
心理学的支援法 |
① 代表的な心理療法並びにカウンセリングの歴史、概念、意義、適応及び限界 ② 訪問による支援や地域支援の意義 ③ 良好な人間関係を築くためのコミュニケーションの方法 ④ プライバシーへの配慮 ⑤ 心理に関する支援を要する者の関係者に対する支援 ⑥ 心の健康教育 |
|
Ⅳ |
15 |
健康・医療心理学 |
① ストレスと心身の疾病との関係 ② 医療現場における心理社会的課題及び必要な支援 ③ 保健活動が行われている現場における心理社会的課題及び必要な支援 ④ 災害時等に必要な心理に関する支援 |
16 |
福祉心理学 |
① 福祉現場において生じる問題及びその背景 ② 福祉現場における心理社会的課題及び必要な支援 ③ 虐待についての基本的知識 |
|
17 |
教育・学校心理学 |
① 教育現場において生じる問題及びその背景 ② 教育現場における心理社会的課題及び必要な支援 |
|
18 |
司法・犯罪心理学 |
① 犯罪・非行、犯罪被害及び家事事件についての基本的知識 ② 司法・犯罪分野における問題に対して必要な心理に関する支援 |
|
19 |
産業・組織心理学 |
① 職場における問題(キャリア形成に関することを含む。)に対して必要な心理に関する支援 ② 組織における人の行動 |
|
Ⅴ |
20 |
人体の構造と機能及び疾病 |
① 心身機能と身体構造及び様々な疾病や障害 ② がん、難病等の心理に関する支援が必要な主な疾病 |
21 |
精神疾患とその治療 |
① 精神疾患総論(代表的な精神疾患についての成因、症状、診断法、治療法、経過、本人や家族への支援を含む。) ② 向精神薬をはじめとする薬剤による心身の変化 ③ 医療機関との連携 |
|
22 |
関係行政論 |
① 保健医療分野に関係する制度 ② 福祉分野に関係する制度 ③ 教育分野に関係する制度 ④ 司法・犯罪分野に関係する制度 ⑤ 産業・労働分野に関係する制度 |
|
Ⅲ |
23 |
心理演習 |
知識及び技能の基本的な水準の修得を目的とし、次に掲げる事項について、具体的な場面を想定した役割演技(ロールプレイング)を行い、かつ、事例検討で取り上げること。 (ア) 心理に関する支援を要する者等に関する以下の知識及び技能の修得 (1) コミュニケーション (2) 心理検査 (3) 心理面接 (4) 地域支援 等 (イ) 心理に関する支援を要する者等の理解とニーズの把握及び支援計画の作成 (ウ) 心理に関する支援を要する者の現実生活を視野に入れたチームアプローチ (エ) 多職種連携及び地域連携 |
24 |
心理実習(80時間以上) |
知識及び技能の基本的な水準の修得を目的とし、次に掲げる事項について、保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働等の分野の施設において見学等による実習を行うこと。 (ア) 心理に関する支援を要する者へのチームアプローチ (イ) 多職種連携及び地域連携 |
(注1) Ⅰ(1~5)については、3科目以上を履修する。
(注2) Ⅱ(6~12)については、4科目以上を履修する。
(注3) Ⅲ(13、14、23及び24)については、2科目以上を履修する。ただし、24については、施設の分野及び時間数を問わない。
(注4) Ⅳ(15~19)については、2科目以上を履修する。ただし、15をⅤ(20又は21)として履修した場合は、16から19までのうち2科目以上を履修する。
(注5) Ⅴ(20又は21)については、1科目以上を履修する。なお、15を履修した場合は、20又は21を履修したこととみなす。
(注6) 一つの必要な科目に対応しているとした開講科目を、他の必要な科目に対応する科目として記入することはできない。
(※) 専修学校の専門課程(学校教育法施行規則第155条第1項第5号に規定する文部科学大臣が指定するものに限る。)も対象とする。
(別表2)
大学院における必要な科目 |
|||
大学院における必要な科目名 |
含まれる事項 |
||
Ⅰ |
1 |
保健医療分野に関する理論と支援の展開 |
① 保健医療分野に関わる公認心理師の実践 |
2 |
福祉分野に関する理論と支援の展開 |
① 福祉分野に関わる公認心理師の実践 |
|
3 |
教育分野に関する理論と支援の展開 |
① 教育分野に関わる公認心理師の実践 |
|
4 |
司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開 |
① 司法・犯罪分野に関わる公認心理師の実践 |
|
5 |
産業・労働分野に関する理論と支援の展開 |
① 産業・労働分野に関わる公認心理師の実践 |
|
Ⅱ |
6 |
心理的アセスメントに関する理論と実践 |
① 公認心理師の実践における心理的アセスメントの意義 ② 心理的アセスメントに関する理論と方法 ③ 心理に関する相談、助言、指導等への上記①及び②の応用 |
7 |
心理支援に関する理論と実践 |
① 力動論に基づく心理療法の理論と方法 ② 行動論・認知論に基づく心理療法の理論と方法 ③ その他の心理療法の理論と方法 ④ 心理に関する相談、助言、指導等への上記①から③までの応用 ⑤ 心理に関する支援を要する者の特性や状況に応じた適切な支援方法の選択・調整 |
|
8 |
家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践 |
① 家族関係等集団の関係性に焦点を当てた心理支援の理論と方法 ② 地域社会や集団・組織に働きかける心理学的援助に関する理論と方法 ③ 心理に関する相談、助言、指導等への上記①及び②の応用 |
|
9 |
心の健康教育に関する理論と実践 |
① 心の健康教育に関する理論 ② 心の健康教育に関する実践 |
|
Ⅲ |
10 |
心理実践実習(450時間以上) |
知識及び技能の基本的な水準の修得を目的とし、次に掲げる事項について、保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働等の分野の施設において実習を行うこと。 (ア) 心理に関する支援を要する者等に関する以下の知識及び技能の修得 (1) コミュニケーション (2) 心理検査 (3) 心理面接 (4) 地域支援 等 (イ) 心理に関する支援を要する者等の理解とニーズの把握及び支援計画の作成 (ウ) 心理に関する支援を要する者へのチームアプローチ (エ) 多職種連携及び地域連携 |
(注1) Ⅰ(1~5)については、1を含む3科目以上を履修する。
(注2) Ⅱ(6~9)については、2科目以上を履修する。
(注3) Ⅲ(10)については、必ず履修する。ただし、施設の分野及び時間数を問わない。
(注4) 一つの必要な科目に対応している開講科目を、他の必要な科目に対応する科目として記入することはできない。
(別表3)
大学院における必要な科目 |
|
大学院における必要な科目名 |
具体的な科目名の例 |
保健医療分野に関する理論と支援の展開 |
精神医学特論 心身医学特論 神経生理学特論 精神薬理学特論 臨床心理学 |
福祉分野に関する理論と支援の展開 |
発達心理学 特別支援教育 障害者(児)心理学 障害児の教育と心理 |
教育分野に関する理論と支援の展開 |
学校臨床心理学特論 発達心理学 特別支援教育 学校心理学 教授・学習心理学 障害児の教育と心理 |
司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開 |
社会病理学特論 犯罪心理学特論 |
産業・労働分野に関する理論と支援の展開 |
産業心理学特論 |
心理的アセスメントに関する理論と実践 |
心理臨床査定実習 心理教育的アセスメント 教育評価・心理検査(実習を含む) |
心理支援に関する理論と実践 |
心理療法特論 臨床心理面接特論 学校カウンセリング・コンサルテーション 学校カウンセリング(実習を含む) |
家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践 |
臨床心理地域援助特論 家族心理学特論 グループ・アプローチ特論 学校カウンセリング(実習を含む) 学校カウンセリング・コンサルテーション |
心の健康教育に関する理論と実践 |
生徒指導・教育相談・キャリア教育 生徒指導・心理相談 |
心理実践実習(450時間以上) |
臨床心理実習 心理教育的アセスメント基礎実習 学校カウンセリング・コンサルテーション基礎実習 教育評価・心理検査(実習を含む) 学校カウンセリング(実習を含む) |