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○公認心理師法第7条第2号に規定する施設の文部科学大臣及び厚生労働大臣による認定等について

(平成29年12月8日)

(/29文科初第1166号/障発1204第3号/)

(各都道府県知事あて文部科学省初等中等教育局長、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

(印影印刷)

文部科学大臣及び厚生労働大臣による公認心理師法(平成27年法律第68号)第7条第2号に規定する施設の認定等については別添のとおり行うこととしたので、通知する。

ついては、適正な実施に遺憾なきを期されるとともに、都道府県教育委員会、管内市区町村、関係機関等に対する周知につき配慮されたい。

〔本件担当〕

文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課

電話:03―5253―4111(内線4950)

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部

精神・障害保健課公認心理師制度推進室

電話:03―5253―1111(内線3113、3112)

別添

公認心理師法第7条第2号に規定する施設の文部科学大臣及び厚生労働大臣による認定等について

第1 公認心理師法第7条第2号に規定する施設の認定についての基本的な考え方

公認心理師法施行規則(平成29年文部科学省・厚生労働省令第3号。以下「施行規則」という。)第5条においては、公認心理師法(平成27年法律第68号。以下「法」という。)第7条第2号に規定する文部科学省令・厚生労働省令で定める施設について、施行規則第5条各号に掲げる施設であって、法第7条第1号に掲げる者と同等以上の施行規則第2条各号に掲げる科目に関する専門的な知識及び技能を修得させる施設を、文部科学大臣及び厚生労働大臣が認めることとされている。

法第7条第2号に規定する文部科学省令・厚生労働省令で定める施設の認定は、当該施設が作成した実務経験の実施に関する計画(以下「プログラム」という。)のうち、第3に掲げる基準を満たすものを文部科学大臣及び厚生労働大臣が認定することにより行うものとし、その認定に係る手続等は、以下に示すとおりとする。

第2 プログラムの認定の申請手続

1 プログラムの認定の申請をしようとする施設(複数の施設と共同してプログラムを策定する場合は、取りまとめの施設)の設置者(以下「設置者」という。)は、当該プログラムについて、プログラムを行おうとする日の6か月前までに、次に掲げる事項を記載した申請書を文部科学大臣及び厚生労働大臣に提出すること。

(1) 設置者の名称及び主たる事務所の所在地

(2) プログラムにのっとり業務を行う施設の名称及び所在地

(3) プログラムにのっとり業務を行う施設の長の氏名

(4) プログラムの企画立案及び実施の管理を行う者(以下「プログラム責任者」という。)の氏名及び略歴

(5) プログラムを開始しようとする年月日

(6) プログラムの内容及び期間

(7) プログラムにのっとった業務を行う者(以下「実務従事者」という。)に対する助言、指導その他の援助を行う者(以下「指導者」という。)の氏名及び略歴

(8) 実務従事者の募集定員並びに募集及び採用の方法

(9) 次に掲げる実務従事者の処遇に関する事項

① 常勤又は非常勤の別

② 給与等、勤務時間及び休暇に関する事項

③ 健康管理に関する事項

④ 外部の研修活動に関する事項(学会、研究会等への参加の可否及び費用負担の有無)

(10) その他参考となる事項

2 申請書の提出に当たっては、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課公認心理師制度推進室に、事前にその内容を相談すること。

第3 プログラムの認定基準

プログラムの認定基準は、以下に掲げるものとすること。

1 プログラムの内容が、別紙に掲げるプログラムの到達目標を大学において修得した内容と合わせて達成するものとなっていること。

2 実務従事者の募集定員は、二人以上とし、その募集は、原則として公募により行われること。

3 指導者が一人以上勤務(常勤、非常勤は問わない。)しており、適切な指導体制を有していること。

指導者は、施行規則第3条第1項に規定する、公認心理師の資格を取得した後、公認心理師としての業務に5年以上従事した経験を有する者であって、かつ、指導者を養成するために行う講習会であって、文部科学大臣及び厚生労働大臣が別に定める基準を満たすものとしてあらかじめ文部科学大臣及び厚生労働大臣に届け出られたものを修了した者であることが望ましい。ただし、当分の間は、心理に関する支援の業務に5年以上従事した経験を有する者であっても差し支えない。

4 実務従事者への指導に当たっては、指導者一人につき、実務従事者は5人までとすること。

5 実務従事者が行う心理に関する支援を要する個人又は集団を対象とした心理に関する支援の実施時間(その前後に指導者から指導を受ける時間も含む。)及び回数については、720時間以上かつ240回以上を実施するものであり、その実施に関し必要な体制が確保されていること。

なお、720時間のうち270時間以内については、心理学等に関する専門的な知識の修得を目的として、施行規則第2条に規定する大学院の科目に相当する講義の受講等により代替することとしても差し支えない。

6 実務従事者は、心理に関する支援を要する個人又は集団を対象とした心理に関する支援のケースを3例以上担当するとともに、多職種と連携した業務を経験すること。

7 保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働の各分野のうち、実務従事者が従事するプログラムを行う施設の分野以外の二つ以上の分野の施設において、合計60時間以上の見学や研修を行うことが望ましいこと。

8 プログラムの期間については、心理に関する支援を要する個人又は集団を対象とした心理に関する支援等の実施時間及び回数を踏まえると、標準的には3年間でプログラムを終えることが想定されること。

9 公認心理師となるために必要な到達目標の達成状況を評価できる体制が確保されていること。

第4 変更の届出

1 プログラムにのっとり業務を行う施設の変更の届出

設置者は、プログラムにのっとり業務を行う施設において、第2の1の(1)から(10)まで((6)を除く。)のいずれかに関する事項について、申請した内容から変更が生じたときは、その日から起算して1か月以内に、その旨を文部科学大臣及び厚生労働大臣に届け出ること。

2 プログラムの変更の届出

設置者は、第2の1の(6)の事項について申請した内容から変更しようとするときは、当該変更をしようとする日の6か月前までに、文部科学大臣及び厚生労働大臣に届け出て、変更の認定を受けること。

第5 実務従事者の募集

設置者は、実務従事者を募集しようとするときは、あらかじめ次に掲げる事項を公表することが望ましい。

1 プログラムの概要

2 実務従事者の募集定員並びに募集及び採用の方法

3 実務従事者の処遇に関する事項

4 プログラムの認定について申請中である場合には、その旨

5 プログラムの変更を行おうとしている場合は、その旨

6 その他プログラムの実施に関し必要な事項

第6 報告の徴収及び指示

文部科学大臣及び厚生労働大臣は、プログラムの実施に関し必要があると認めるときは、設置者に対して報告を求めることができる。

文部科学大臣及び厚生労働大臣は、第3に掲げる基準に照らし、プログラムが適当でないと認めるときは、設置者に対して必要な指示をすることができる。

第7 認定の取消し

文部科学大臣及び厚生労働大臣は、プログラムが第3に掲げる基準に該当しなくなったと認めたときは、プログラムの認定を取り消すことができる。

第8 認定の取下げの申請

設置者は、プログラムの認定の取下げをするときは、あらかじめ次に掲げる事項を記載した申請書を文部科学大臣及び厚生労働大臣に提出すること。

1 プログラムの認定の取下げをする理由

2 プログラムの認定の取下げをする期日

3 現に実務従事者がいるときは、その者に対する措置

4 実務従事者となる予定の者があるときは、その者に対する措置

第9 プログラムの修了等

1 プログラムの修了時の評価

プログラム責任者は、実務従事者のプログラムの修了に際し、プログラムに関する当該実務従事者の評価を行い、設置者に対し、当該実務従事者の評価を報告すること。

2 プログラム修了証の交付

設置者は、1の評価に基づき、実務従事者がプログラムを修了したと認めるときは、速やかに、当該実務従事者に対して、当該実務従事者に関する次に掲げる事項を記載したプログラム修了証を交付すること。

(1) 氏名及び生年月日

(2) プログラムを開始し、及び修了した年月日

(3) プログラムの休止をしていた場合は、休止期間とその理由

(4) プログラムを行った施設の名称

3 設置者は、1の評価に基づき、実務従事者がプログラムを修了していないと認めるときは、速やかに、当該実務従事者に対して、理由を付して、その旨を文書で通知すること。

4 プログラムの休止

(1) 休止の理由

プログラム休止の理由として認められるものは、実務従事者の傷病、妊娠、出産、育児その他正当な理由であること。

(2) 休止期間がある場合の取扱い

実務従事者にプログラム休止期間がある場合には、当該実務従事者は、原則として引き続き同一のプログラムで休止期間の日数分以上の日数の業務を行い、到達目標を達成するようにすること。

(3) プログラム責任者の役割

プログラム責任者は、プログラム休止の理由の正当性を判定し、プログラム休止期間の把握を行うこと。

第10 記録の保存

1 記録の保存

設置者は、帳簿を備え、実務従事者に関する次の事項を記載し、当該実務従事者がプログラムを修了した日から5年間保存すること。

(1) 氏名及び生年月日

(2) プログラムを開始し、及び修了した年月日

(3) プログラムを行った施設の名称

(4) 修了したプログラムの内容及び実務従事者の評価

2 1に規定する保存は、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によっては認識することができない方法をいう。)による記録に係る記録媒体により行うことができる。

第11 その他

1 申請書の提出に係る経過措置

平成30年6月1日までにプログラムを行おうとする場合は、第2の規定にかかわらず、平成30年1月31日までに申請書を提出することとする。

2 申請書の提出先

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課公認心理師制度推進室に、文部科学省提出分を含め、2部提出すること。

別紙

プログラムの到達目標

1.公認心理師としての職責の自覚

1―1.公認心理師の役割について理解する。

1―2.公認心理師の法的義務を理解し、必要な倫理を身につける。

1―3.心理に関する支援を要する者等の安全を最優先し、常にその者中心の立場に立つことができる。

1―4.守秘義務及び情報共有の重要性を理解し、情報を適切に取り扱うことができる。

1―5.保健医療、福祉、教育その他の分野における公認心理師の具体的な業務の内容について説明できる。

2.問題解決能力と生涯学習

2―1.自分の力で課題を発見し、自己学習によってそれを解決するための能力を身につける。

2―2.社会の変化を捉えながら、生涯にわたり自己研鑽を続ける意欲及び態度を身につける。

3.多職種連携・地域連携

3―1.多職種連携・地域連携による支援の意義について理解し、チームにおける公認心理師の役割について説明できる。

3―2.実習において、支援を行う関係者の役割分担について理解し、チームの一員として参加できる。

3―3.医療機関において「チーム医療」を体験する。

4.心理学・臨床心理学の全体像

4―1.心理学・臨床心理学の成り立ちについて概説できる。

4―2.人の心の基本的な仕組み及び働きについて概説できる。

5.心理学における研究

5―1.心理学における実証的研究法について概説できる。

5―2.心理学で用いられる統計手法について概説できる。

5―3.統計に関する基礎的な内容について理解し、データを用いて実証的に考えることができる。

6.心理学に関する実験

6―1.実験の計画を立てることができる。

6―2.実験データの収集及び処理を適切に行うことができる。

6―3.実験の結果について適切な解釈ができ、報告書を作成することができる。

7.知覚及び認知

7―1.人の感覚・知覚等の機序及びその障害について概説できる。

7―2.人の認知・思考等の機序及びその障害について概説できる。

8.学習及び言語

8―1.経験を通して人の行動が変化する過程を説明できる。

8―2.言語の習得における機序について概説できる。

9.感情及び人格

9―1.感情に関する理論及び感情喚起の機序について概説できる。

9―2.感情が行動に及ぼす影響について概説できる。

9―3.人格の概念及び形成過程について概説できる。

9―4.人格の類型、特性等について概説できる。

10.脳・神経の働き

10―1.脳神経系の構造及び機能について概説できる。

10―2.記憶、感情等の生理学的反応の機序について概説できる。

10―3.高次脳機能の障害及び必要な支援について説明できる。

11.社会及び集団に関する心理学

11―1.対人関係並びに集団における人の意識及び行動についての心の過程を説明できる。

11―2.人の態度及び行動について様々な理論を用いて説明できる。

11―3.家族、集団及び文化が個人に及ぼす影響について概説できる。

12.発達

12―1.認知機能の発達及び感情・社会性の発達について概説できる。

12―2.自己と他者の関係の在り方と心理に関する発達について説明できる。

12―3.誕生から死に至るまで生涯における心身の発達及び各発達段階での特徴について説明できる。

12―4.発達障害等非定型発達について基礎的な事項や考え方を概説できる。

12―5.高齢者の心理社会的課題及び必要な支援について説明できる。

13.障害者・障害児の心理学

13―1.身体障害、知的障害及び精神障害について概説できる。

13―2.障害者・障害児の心理社会的課題及び必要な支援について説明できる。

14.心理状態の観察及び結果の分析

14―1.心理的アセスメントに有用な情報(生育歴や家族の状況等)及びその把握の手法等について概説できる。

14―2.心理に関する支援を要する者等に対して、関与しながらの観察について、その内容を概説することができ、行うことができる。

14―3.心理検査の種類、成り立ち、特徴、意義及び限界について概説できる。

14―4.心理検査の適応及び実施方法について説明でき、正しく実施し、検査結果を解釈することができる。

14―5.生育歴等の情報、行動観察及び心理検査の結果等を統合させ、包括的に解釈を行うことができる。

14―6.適切に記録、報告、振り返り等を行うことができる。

15.心理に関する支援(相談、助言、指導その他の援助)

15―1.代表的な心理療法並びにカウンセリングの歴史、概念、意義及び適応について概説できる。

15―2.訪問による支援や地域支援の意義について概説できる。

15―3.心理に関する支援を要する者の特性や状況に応じて適切な支援方法を選択・調整することができる。

15―4.良好な人間関係を築くためのコミュニケーション能力を身につける。

15―5.心理療法やカウンセリングの適用には限界があることを説明できる。

15―6.心理に関する支援を要する者等のプライバシーに配慮できる。

16.健康・医療に関する心理学

16―1.ストレスと心身の疾病の関係について概説できる。

16―2.医療現場における心理社会的課題及び必要な支援方法について説明できる。

16―3.様々な保健活動において必要な心理に関する支援について説明できる。

16―4.災害時等に必要な心理に関する支援について説明できる。

17.福祉に関する心理学

17―1.福祉現場において生じる問題及びその背景について説明できる。

17―2.福祉現場における心理社会的課題及び必要な支援方法について説明できる。

17―3.虐待、認知症に関する必要な支援方法について説明できる。

18.教育に関する心理学

18―1.教育現場において生じる問題及びその背景について説明できる。

18―2.教育現場における心理社会的課題及び必要な支援方法について説明できる。

19.司法・犯罪に関する心理学

19―1.犯罪、非行、犯罪被害及び家事事件についての基本的事項を概説できる。

19―2.司法・犯罪分野における問題に対して必要な心理に関する支援について説明できる。

20.産業・組織に関する心理学

20―1.職場における問題に対して必要な心理に関する支援及びその方法について説明できる。

20―2.組織における人の行動について概説できる。

21.人体の構造と機能及び疾病

21―1.心身機能と身体構造及び様々な疾病や障害について概説できる。

21―2.心理に関する支援が必要な主な疾病について概説できる。

22.精神疾患とその治療

22―1.代表的な精神疾患について成因、症状、診断法、治療法、経過、本人や家族への支援の観点から説明できる。

22―2.向精神薬をはじめとする薬剤による心身の変化について概説できる。

22―3.どのような場合に医療機関への紹介が必要か説明できる。

23.各分野の関係法規

23―1.保健医療分野に関係のある法律、制度について概説できる。

23―2.福祉分野に関係のある法律、制度について概説できる。

23―3.教育分野に関係のある法律、制度について概説できる。

23―4.司法・犯罪分野に関係のある法律、制度について概説できる。

23―5.産業・労働分野に関係のある法律、制度について概説できる。

24.その他

24―1.具体的な体験や支援活動を、心理に関する専門的知識及び技術として概念化・理論化し、体系立てることができる。

24―2.実習を通して心理に関する支援を要する者等についての情報を収集し、課題を抽出・整理できる。

24―3.心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供ができる。