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○麻薬研究施設の設置者間における麻薬譲渡に係る許可発出手続の迅速化について

(令和元年9月27日)

(薬生監麻発0927第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)

(公印省略)

麻薬研究施設の設置者間における麻薬譲渡については、麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第24条第10項の規定に基づき行われているところです。

今般、国家戦略特別区域諮問会議において、地方における研究開発の加速化のために新たに講ずべき具体的施策の一つとして、「新薬の共同研究開発における麻薬譲渡に関する許可発出手続の迅速化」が位置づけられたことを踏まえ、麻薬研究施設の設置者間における麻薬譲渡に係る許可発出手続の迅速化のための手続等を下記のとおり取りまとめたので、内容について御了知の上、貴管下麻薬研究者等に対する周知について、特段の配慮をお願いいたします。

1 対象となる麻薬譲渡

本通知の対象となる麻薬譲渡は、以下のア)からウ)までの要件を全て満たすものとする。

ア) 異なる麻薬業務所(注1)である麻薬研究施設(注2)において研究に従事する複数の麻薬研究者(注3)が参画して行われる共同研究(以下単に「共同研究」という。)であること。

(注1) 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号。以下「法」という。)第2条第21号に規定する「麻薬業務所」をいう。以下同じ。

(注2) 法第2条第23号に規定する「麻薬研究施設」をいう。以下同じ。

(注3) 法第2条第20号に規定する「麻薬研究者」をいう。以下同じ。

イ) 共同研究が実施される麻薬業務所である麻薬研究施設の設置者間において、共同研究に用いられる麻薬(注4)の複数回の譲渡が予定されていること。

(注4) 法第2条第1号に規定する「麻薬」をいう。以下同じ。

ウ) イ)のそれぞれの麻薬譲渡に関して、あらかじめ以下のことが譲渡人と譲受人で合意されていること。

・譲渡人と譲受人

・譲り渡そうとする麻薬の品名、容量、箇数及び数量(以下「数量等」という。)

ただし、共同研究開始後の譲渡許可申請時において、残余麻薬(注5)を譲り渡そうとする場合には、残余麻薬を譲渡することで合意されていることでも差し支えない。

・譲渡しの理由

(注5) 共同研究のためにあらかじめ準備された全ての麻薬の数量等が明らかにされた上で、共同研究開始後の譲渡許可申請時において、その時点において共同研究の実施により消費又は廃棄されずに存在している麻薬の全てを指す。以下同じ。

2 迅速化のための手続

(1) 初回の譲渡許可申請手続

・法第24条第10項の規定に基づき共同研究に用いる麻薬の初回の譲渡許可申請を行う際に、申請書(注6)と併せて、省令第9条第7号の「譲渡しの理由」の詳細を説明する資料として、共同研究に係る計画書(注7)を、譲り渡そうとする麻薬の所在場所を管轄する地方厚生(支)局麻薬取締部(以下、単に「麻薬取締部」という。)に提出すること。

(注6) 麻薬及び向精神薬取締法施行規則(昭和28年厚生省令第14号。以下「省令」という。)別記第十号様式の申請書を指す。以下同じ。

(注7) 共同研究において予定している麻薬譲渡のそれぞれについて、申請書に記載する内容の他、麻薬を使用する目的、麻薬の譲渡を要する理由及び譲渡しようとする麻薬の数量等の設定根拠を分かりやすく具体的に記載したものを指す。以下同じ。

・計画書には、共同研究に用いられる麻薬の譲渡元となる予定の麻薬業務所のそれぞれについて、当該麻薬業務所において共同研究に従事する麻薬研究者の氏名及び押印又は署名を付すこと。

・上記の初回の譲渡許可のための申請書の「譲渡しの理由」の欄に、以下のことを付記すること。

「なお、本申請は、複数回の麻薬の譲渡が予定されている共同研究における初回の麻薬譲渡許可申請であり、初回の申請時に2回目以降の麻薬譲渡許可申請で予定されている内容に係る事前の検討を希望する。」

・上記の申請を受け付けた麻薬取締部においては、申請書及び計画書等に基づき、初回の麻薬の譲渡許可に係る判断の検討を行うとともに、2回目以降の麻薬の譲渡許可申請で予定されている内容に係る事前の検討を行うこと。なお、共同研究において予定されている2回目以降の麻薬の譲渡許可申請に関して、関係麻薬取締部(注8)がある場合には、2回目の申請を受け付けた麻薬取締部は、関係麻薬取締部に連絡し、関係麻薬取締部においても事前の検討を行うこと。

(注8) 共同研究で予定されている2回目以降の麻薬の譲渡のそれぞれについて、譲り渡そうとする麻薬の所在場所を初回の譲渡許可申請を受け付けた麻薬取締部以外の麻薬取締部が所管している場合に、その麻薬取締部を指す。以下同じ。

・麻薬取締部及び関係麻薬取締部における検討において、初回又は2回目以降の麻薬の譲渡の内容に疑義がある場合には、麻薬取締部及び関係麻薬取締部は計画書等の補正を求める場合があること。

・共同研究において予定されている麻薬の譲渡の回数が多数である場合や、共同研究における麻薬譲渡に関して関係麻薬取締部がある場合には、初回の譲渡許可申請に関する許可又は不許可の処分がなされるまでに相応の期間を要する可能性があるため、初回の麻薬譲渡を予定している日までに予め相当な時間的な余裕をもって申請を行うこと。

(2) 2回目以降の譲渡許可申請手続

・(1)の手続により、申請書及び計画書等を提出して初回の譲渡許可を受けた後、計画書に記載された内容に基づき、共同研究に用いる麻薬の2回目以降の譲渡に係る許可申請を行う場合には、申請者は、申請書の「譲渡しの理由」の欄に、以下のように付記して申請を行うこと。また、申請に当たり、初回の譲渡に係る麻薬譲渡許可書及び計画書の写しも添付すること。

「○○年○月○日付け○○発○○○○第○号により初回の麻薬譲渡許可を受けた、複数回の麻薬譲渡が予定されている共同研究に係る麻薬譲渡許可申請である。」

・計画書において、残余麻薬を譲り渡す予定としていた場合には、申請書の「譲り渡そうとする麻薬」の欄に、申請時点における残余麻薬の数量等を記載するとともに、残余麻薬の数量等が記載された帳簿(法第40条第1項に基づく帳簿を指す。)の写し(注9)を添付すること。

(注9) 共同研究で用いる当該麻薬の受け入れから譲渡許可の申請時点までの部分の写しで差し支えない。

・上記の申請を受け付けた麻薬取締部においては、申請書及び初回の譲渡に係る麻薬譲渡許可書の写し等に基づき、申請された麻薬の譲渡許可に係る手続を迅速に行うこと。

3 麻薬譲渡許可申請等に係る留意事項

2に示した迅速化のための手続を活用する場合を含めて、研究用途の麻薬の譲渡に係る許可手続を迅速に行うために、申請書の作成等に当たっては、以下の点について留意されたい。

(1) 麻薬研究者の免許について

・麻薬を用いて研究しようとする者は、予め、その者が麻薬を用いて研究しようとする施設が所在する都道府県の知事から、麻薬研究者の免許を受ける必要があること。

・麻薬研究者の免許には有効期間があるので、麻薬の譲渡先の麻薬研究施設の研究者が、麻薬の譲渡を予定している時点において有効な麻薬研究者の免許を取得していることを確認すること。

(2) 申請書等の作成について

・申請書の「免許年月日」の欄には、麻薬研究者免許証の発行年月日ではなく、麻薬研究者免許証の有効期間の始期を記載すること。

・申請書の「免許の種類」の欄には、「麻薬研究者(○○○○)」(括弧内には麻薬研究者の氏名を記載する。)のように記載すること。

・申請書の「譲渡人」及び「譲渡先」の「麻薬業務所」の「所在地」及び「名称」の欄は、譲受元と譲受先の麻薬研究施設にそれぞれ所属する麻薬研究者の免許証の「麻薬業務所」の「所在地」と「名称」の箇所に記載されたとおりに記載すること。

・申請書の「譲り渡そうとする麻薬」の欄には、譲り渡そうとする麻薬について、その品名ごとに数量等を明らかにし、記載する必要があること。譲渡を予定している麻薬の記載漏れがないように確認すること。

・申請書の「譲渡先」の「免許証の番号」や「免許年月日」の欄には、譲渡先の麻薬業務所に所属する麻薬研究者の免許証の番号や免許年月日等を記載すること。譲渡先の麻薬業務所に所属する麻薬研究者の免許の有効期間が満了して、新しい免許証の番号や免許年月日に更新されていないか確認すること。譲渡先の麻薬業務所の名称が変更されていないか確認すること。

・申請書の「譲渡先」の「氏名」の欄には、譲渡先の麻薬業務所の名称及びその設置者の氏名を記載すること。

・申請書の「譲渡しの理由」の欄には、麻薬を譲渡する理由、譲渡する麻薬の数量等の根拠を記載すること。欄内に収まらない場合には、別紙に記載して添付することでも差し支えないこと。もし、譲り渡そうとする麻薬が、通常、譲渡先の麻薬業務所が所在する都道府県に所在する麻薬卸売業者から購入できるものである場合には、麻薬卸売業者からの購入ではなく、譲渡元からの譲渡を行う理由も記載すること。

・麻薬を譲渡する理由を説明する参考資料として、譲渡先の麻薬業務所に所属する麻薬研究者の研究計画書も添付すること。研究計画書には、その研究を実施する麻薬研究者の氏名及び押印又は署名を付すこと。

・申請書の申請者の氏名の記載箇所には、譲渡元の麻薬業務所の名称及びその設置者の氏名を記載すること。

・申請書等には、軽微な誤記があった場合に速やかに訂正できるように、捨印を押印することが望ましいこと。

(3) 申請書等の提出及び許可書の受領について

・申請書の提出は、麻薬の譲渡元の麻薬業務所が所在する麻薬取締部で直接又は郵送により受け付けていること。都道府県等を介して提出する必要はないこと。

・申請書を郵送で提出し、又は、麻薬譲渡許可書(以下、単に「許可書」という。)を郵送で受領しようとする場合には、それぞれ郵送に日数を要することに留意すること。

・申請書の送付先は、麻薬の譲渡元の麻薬業務所が所在する都道府県を所管する麻薬取締部であることを確認すること。

・特に、申請書の提出や許可書の受領に書留郵便や配達記録郵便による郵送を利用する場合には、郵送用の封筒に貼付する切手の額面が不足しないように留意すること。なお、許可書の受領に郵送を利用する際に、着払い郵便を利用することは差し支えないこと。

・申請書の郵送に当たっては、以下の書類を漏れなく封筒に納めているか確認すること。

1) 申請書

2) 研究計画書

3) 譲渡元及び譲渡先の麻薬業務所に所属する麻薬研究者の免許証の写し

4) 返信用の封筒(許可書の郵送を希望する場合。返送に要する切手を貼付するか、着払い郵便の利用であること明記すること。)

(4) その他

・以下のような場合には、麻薬の譲渡元の麻薬業務所が所在する都道府県を所管する麻薬取締部で事前に相談を受け付けるので、予め十分な時間の余裕をもって相談されたいこと。

1) 研究実施の都合上、譲渡しようとする麻薬の数量等が確定する日が譲渡予定日の直前であり、かつ、数量等が確定した後、速やかに麻薬を譲渡する必要がある場合

2) 研究実施の都合上、年始に麻薬を譲渡する必要があるが、同じ年始に譲渡元又は譲渡先の麻薬業務所に所属する麻薬研究者の免許が更新される予定であり、譲渡元又は譲渡先の麻薬研究者の免許の番号及び免許年月日が確定しておらず、譲渡予定日から十分な時間の余裕をもって申請書等を提出することができない場合

4 その他

「2 迅速化のための手続」について、本通知を参照してなお不明な点がある場合には、共同研究に用いる麻薬の初回の譲渡許可申請における譲渡元の麻薬業務所を所管する麻薬取締部において事前相談を受け付けるので、活用されたい。