○使用薬剤の薬価(薬価基準)の一部改正等について
(令和元年9月3日)
(保医発0903第1号)
(地方厚生(支)局医療課長・都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長・都道府県後期高齢者医療主管部(局)後期高齢者医療主管課(部)長あて厚生労働省保険局医療課長通知)
(公印省略)
使用薬剤の薬価(薬価基準)(平成20年厚生労働省告示第60号。以下「薬価基準」という。)等が令和元年厚生労働省告示第102号をもって改正され、令和元年9月4日(一部については10月1日)から適用すること、また、薬価基準が令和元年厚生労働省告示第103号をもって改正され、令和元年11月1日から適用することとされたところですが、その概要は下記のとおりです。
また、薬価基準等の改正に伴い、関係通知を下記のとおり改正しますので、併せて貴管下の保険医療機関、審査支払機関等に対して周知徹底をお願いします。
記
1 薬価基準の一部改正について
(1) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)の規定に基づき製造販売承認され、薬価基準への収載希望があった医薬品等(内用薬6品目、注射薬5品目(再生医療等製品1品目を含む。)及び外用薬7品目)について、薬価基準の別表に収載したものであること。
(2) (1)により、令和元年9月4日時点における薬価基準の別表に収載されている全医薬品等の品目数は、次のとおりであること。
区分 |
内用薬 |
注射薬 |
外用薬 |
歯科用薬剤 |
計 |
品目数 |
10,941 |
4,032 |
2,466 |
28 |
17,467 |
(3) (1)により収載された医薬品等(内用薬6品目、注射薬5品目(再生医療等製品1品目を含む。)及び外用薬7品目)について、令和元年度の消費税引上げに伴う薬価改定による、改定後の薬価を薬価基準の別表に収載したものであること。
(4) (3)により、令和元年10月1日時点における薬価基準の別表に収載されている全医薬品等の品目数は、次のとおりであること。
区分 |
内用薬 |
注射薬 |
外用薬 |
歯科用薬剤 |
計 |
品目数 |
10,207 |
3,879 |
2,414 |
28 |
16,528 |
(5) (3)による改定後の薬価は、令和元年10月1日から適用されること。
(6) 効能変更等が承認された既収載品であって、「薬価算定の基準について」(令和元年8月19日付け保発0819第2号)第3章第4節4に規定する要件に該当する既収載品(内用薬2品目)について、市場拡大再算定を適用し、薬価の改定を行ったものであること。
(7) (6)による改定後の薬価は、令和元年11月1日から適用されること。
2 療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等(平成18年厚生労働省告示第107号。以下「掲示事項等告示」という。)の一部改正について
インスリン・グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト配合剤について、掲示事項等告示第10第1号の「療担規則第20条第2号ト及び療担基準第20条第3号トの厚生労働大臣が定める保険医が投与することができる注射薬」として定めたものであること。
3 特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)の一部改正について
インスリン・グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト配合剤について、特掲診療料の施設基準等別表第9「在宅自己注射指導管理料、注入器加算、間歇注入シリンジポンプ加算、持続血糖測定器加算及び注入器用注射針加算に規定する注射薬」として定めたものであること。
4 薬価基準の一部改正に伴う留意事項について
(1) ミニリンメルトOD錠25μg及び同OD錠50μg
本製剤の効能又は効果は「男性における夜間多尿による夜間頻尿」であり、効能又は効果に関連する使用上の注意において、「夜間多尿指数が33%以上、且つ夜間排尿回数が2回以上の場合にのみ考慮すること」とされているので、使用にあたっては十分留意すること。
(2) ヴァンフリタ錠17.7mg及び同錠26.5mg
本製剤の効能又は効果に関連する使用上の注意において、「十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、FLT3―ITD変異陽性が確認された患者に投与すること。」とされているので、FLT3―ITD変異陽性を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書に記載すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。
(3) ロズリートレクカプセル100mg及び同カプセル200mg
① NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌
本製剤の効能又は効果に関連する注意において、「十分な経験を有する病理医又は検査施設により、NTRK融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。」とされているので、NTRK融合遺伝子陽性を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書に記載すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。
② ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
本製剤の効能又は効果に関連する注意において、「十分な経験を有する病理医又は検査施設により、ROS1融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。」とされているので、ROS1融合遺伝子陽性を確認した検査の実施年月日を診療報酬明細書に記載すること。
なお、当該検査を実施した月のみ実施年月日を記載すること。ただし、本剤の初回投与に当たっては、必ず実施年月日を記載すること。
(4) オンパットロ点滴静注2mg/mL
本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において「本剤の適用にあたっては、最新のガイドラインを参照し、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの診断が確定していることを確認すること。」とされていることから、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの診断及び治療に精通した医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例に使用すること。
(5) ゾルトファイ配合注フレックスタッチ
① 本製剤はインスリン及びグルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニストの配合製剤であり、本製剤の自己注射を行っている患者に対して指導管理を行った場合は、「診療報酬の算定方法」(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科点数表」という。)区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定できるものであること。
② 本製剤は注入器一体型のキットであるため、医科点数表区分番号「C101」在宅自己注射指導管理料を算定する患者に対して処方した場合には、医科点数表区分番号「C151」注入器加算は算定できないものであること。
③ 本製剤の自己注射を行っている者に対して、血糖自己測定値に基づく指導を行うために血糖自己測定器を使用した場合には、インスリン製剤の自己注射を行っている者に準じて、医科点数表区分番号「C150」血糖自己測定器加算を算定すること。
(6) ユルトミリス点滴静注300mg、同HI点滴静注300mg/3mL及び同HI点滴静注1100mg/11mL
① 発作性夜間ヘモグロビン尿症
本製剤の効能又は効果に関連する注意において「本剤は、フローサイトメトリー法等により、発作性夜間ヘモグロビン尿症と確定診断された患者に使用すること。」とされているので、発作性夜間ヘモグロビン尿症の確定診断が行われた場合にのみ投与すること。
② 非典型溶血性尿毒症症候群
本製剤の効能又は効果に関連する注意において「補体制御異常による非典型溶血性尿毒症症候群の患者に使用すること。」とされているので、補体制御異常による非典型溶血性尿毒症症候群以外の患者に投与しないこと。
③ 全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)
本製剤の効能又は効果に関連する注意に次のように記載があるので、使用にあたっては十分留意すること。
ア 本剤は、抗アセチルコリン受容体抗体陽性の患者に投与すること。
イ 本剤は、ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に、以下に示す患者への投与を考慮すること。
・免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法を施行しても症状の管理が困難な患者
・合併症や副作用等により、免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法の施行が困難な患者
④ 視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防
本製剤の効能又は効果に関連する注意において、「本剤は、視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の患者に使用すること。」及び「抗アクアポリン4抗体陽性の患者に投与すること。」とされているので、抗アクアポリン4抗体陽性で、視神経脊髄炎スペクトラム障害の確定診断が行われた場合にのみ投与すること。
(7) イナビル吸入懸濁用160mgセット
① 本製剤については、抗ウイルス薬の投与が全てのA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療に必須ではないことを踏まえ、本剤の使用の必要性を慎重に検討した上で、A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の発症後の治療を目的として使用した場合に限り算定できるものであること。
② 本製剤の使用上の注意に、「本剤はC型インフルエンザウイルス感染症には効果がない。」及び「症状発現後、可能な限り速やかに投与を開始することが望ましい。症状発現から48時間を経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。」と記載されているので、使用に当たっては十分留意すること。
5 関係通知の一部改正について
(1) 「使用薬剤の薬価(薬価基準)等の一部改正について」(平成27年2月23日付け保医発0223第2号)の記の2の(4)を次のように改める。
(4) メナクトラ筋注
本製剤は、エクリズマブ(遺伝子組換え)又はラブリズマブ(遺伝子組換え)投与患者に使用した場合に限り算定できるものであるので、エクリズマブ(遺伝子組換え)又はラブリズマブ(遺伝子組換え)の投与を行った又は行う予定の年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記入すること(同一の診療報酬明細書においてエクリズマブ(遺伝子組換え)又はラブリズマブ(遺伝子組換え)の投与が確認できる場合を除く。)。
(2) 「使用薬剤の薬価(薬価基準)等の一部改正について」(平成22年6月11日付け保医発0611第1号)の記の3に次のように加える。
(4) ソリリス点滴静注300mg
① 発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制
本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において「フローサイトメトリー法等により検査を行い、発作性夜間ヘモグロビン尿症と確定診断された患者に投与を開始すること。」とされているので、発作性夜間ヘモグロビン尿症の確定診断が行われた場合にのみ投与すること。
② 非典型溶血性尿毒症症候群における血栓性微小血管障害の抑制
本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において「補体制御異常による非典型溶血性尿毒症症候群の患者に使用すること。」とされているので、補体制御異常による非典型溶血性尿毒症症候群以外の患者に投与しないこと。
(3) 「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(平成30年3月5日付け保医発0305第1号)を次のように改正する。
① 別添1第2章第2部第3節C200(1)中「及びヒドロモルフォン塩酸塩製剤」を「、ヒドロモルフォン塩酸塩製剤及びインスリン・グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト配合剤」に改める。
② 別添3区分01(5)イ中「及びヒドロモルフォン塩酸塩製剤」を「、ヒドロモルフォン塩酸塩製剤及びインスリン・グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト配合剤」に改める。
③ 別添3別表1中「及びデュピルマブ製剤」を「、デュピルマブ製剤及びインスリン・グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト配合剤」に改める。
④ 別添3別表2中「デュピルマブ製剤」の次に「インスリン・グルカゴン様ペプチド―1受容体アゴニスト配合剤」を加える。
(参考:新旧対照表)
(参考:新旧対照表)
(参考1―1)
薬価基準告示(令和元年9月4日適用)
No |
薬価基準名 |
成分名 |
規格単位 |
薬価(円) |
|
1 |
内用薬 |
ヴァンフリタ錠17.7mg |
キザルチニブ塩酸塩 |
17.7mg1錠 |
19,694.90 |
2 |
内用薬 |
ヴァンフリタ錠26.5mg |
キザルチニブ塩酸塩 |
26.5mg1錠 |
26,582.10 |
3 |
内用薬 |
ミニリンメルトOD錠25μg |
デスモプレシン酢酸塩水和物 |
25μg1錠 |
59.50 |
4 |
内用薬 |
ミニリンメルトOD錠50μg |
デスモプレシン酢酸塩水和物 |
50μg1錠 |
100.00 |
5 |
内用薬 |
ロズリートレクカプセル100mg |
エヌトレクチニブ |
100mg1カプセル |
5,214.20 |
6 |
内用薬 |
ロズリートレクカプセル200mg |
エヌトレクチニブ |
200mg1カプセル |
9,889.90 |
7 |
注射薬 |
オンパットロ点滴静注2mg/mL |
パチシランナトリウム |
8.8mg4.4mL1瓶 |
986,097 |
8 |
注射薬 |
コラテジェン筋注用4mg |
ベペルミノゲン ペルプラスミド |
4mg1.6mL1瓶 |
600,360 |
9 |
注射薬 |
ゾルトファイ配合注フレックスタッチ |
インスリン デグルデク(遺伝子組換え)/リラグルチド(遺伝子組換え) |
1キット |
5,293 |
10 |
注射薬 |
デファイテリオ静注200mg |
デフィブロチドナトリウム |
200mg2.5mL1瓶 |
53,108 |
11 |
注射薬 |
ユルトミリス点滴静注300mg |
ラブリズマブ(遺伝子組換え) |
300mg30mL1瓶 |
717,605 |
12 |
外用薬 |
アジマイシン点眼液1% |
アジスロマイシン水和物 |
1%1mL |
302.20 |
13 |
外用薬 |
イナビル吸入懸濁用160mgセット |
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物 |
160mg1瓶 |
4,164.40 |
14 |
外用薬 |
ビベスピエアロスフィア28吸入 |
グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物 |
28吸入1キット |
1,780.30 |
15 |
外用薬 |
ビレーズトリエアロスフィア56吸入 |
ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物 |
56吸入1キット |
4,074.80 |
16 |
外用薬 |
ロナセンテープ20mg |
ブロナンセリン |
20mg1枚 |
278.40 |
17 |
外用薬 |
ロナセンテープ30mg |
ブロナンセリン |
30mg1枚 |
401.30 |
18 |
外用薬 |
ロナセンテープ40mg |
ブロナンセリン |
40mg1枚 |
520.20 |
(参考1―2)
薬価基準告示(令和元年10月1日適用)
No |
薬価基準名 |
成分名 |
規格単位 |
薬価(円) |
|
1 |
内用薬 |
ヴァンフリタ錠17.7mg |
キザルチニブ塩酸塩 |
17.7mg1錠 |
20,059.60 |
2 |
内用薬 |
ヴァンフリタ錠26.5mg |
キザルチニブ塩酸塩 |
26.5mg1錠 |
27,074.40 |
3 |
内用薬 |
ミニリンメルトOD錠25μg |
デスモプレシン酢酸塩水和物 |
25μg1錠 |
57.50 |
4 |
内用薬 |
ミニリンメルトOD錠50μg |
デスモプレシン酢酸塩水和物 |
50μg1錠 |
96.60 |
5 |
内用薬 |
ロズリートレクカプセル100mg |
エヌトレクチニブ |
100mg1カプセル |
5,310.80 |
6 |
内用薬 |
ロズリートレクカプセル200mg |
エヌトレクチニブ |
200mg1カプセル |
10,073.00 |
7 |
注射薬 |
オンパットロ点滴静注2mg/mL |
パチシランナトリウム |
8.8mg4.4mL1瓶 |
1,004,358 |
8 |
注射薬 |
コラテジェン筋注用4mg |
ベペルミノゲン ペルプラスミド |
4mg1.6mL1瓶 |
611,478 |
9 |
注射薬 |
ゾルトファイ配合注フレックスタッチ |
インスリン デグルデク(遺伝子組換え)/リラグルチド(遺伝子組換え) |
1キット |
5,359 |
10 |
注射薬 |
デファイテリオ静注200mg |
デフィブロチドナトリウム |
200mg2.5mL1瓶 |
54,091 |
11 |
注射薬 |
ユルトミリス点滴静注300mg |
ラブリズマブ(遺伝子組換え) |
300mg30mL1瓶 |
730,894 |
12 |
外用薬 |
アジマイシン点眼液1% |
アジスロマイシン水和物 |
1%1mL |
307.80 |
13 |
外用薬 |
イナビル吸入懸濁用160mgセット |
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物 |
160mg1瓶 |
4,241.50 |
14 |
外用薬 |
ビベスピエアロスフィア28吸入 |
グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物 |
28吸入1キット |
1,787.00 |
15 |
外用薬 |
ビレーズトリエアロスフィア56吸入 |
ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物 |
56吸入1キット |
4,150.30 |
16 |
外用薬 |
ロナセンテープ20mg |
ブロナンセリン |
20mg1枚 |
273.60 |
17 |
外用薬 |
ロナセンテープ30mg |
ブロナンセリン |
30mg1枚 |
394.30 |
18 |
外用薬 |
ロナセンテープ40mg |
ブロナンセリン |
40mg1枚 |
511.20 |
(参考2)
使用薬剤の薬価(薬価基準)(平成20年厚生労働省告示第60号)の一部改正
(令和元年11月1日より適用)
(単位:円)
医薬品コード |
品名 |
規格単位 |
改定前薬価 |
改定後薬価 |
4291045F1027 |
タグリッソ錠40mg |
40mg1錠 |
12,713.70 |
10,806.60 |
4291045F2023 |
タグリッソ錠80mg |
80mg1錠 |
24,375.80 |
20,719.40 |