添付一覧
○医療用医薬品の全例調査方式による使用成績調査に関するQ&Aについて
(令和元年8月8日)
(事務連絡)
(日本製薬団体連合会あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課通知)
医療用医薬品の全例調査方式による使用成績調査(以下「全例調査」という。)の実施方法等については、「医療用医薬品の製造販売後調査等の実施方法に関するガイドラインについて」(平成17年10月27日付け薬食審査発第1027001号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)及び「医療用医薬品の全例調査方式による使用成績調査及び市販直後調査に関するQ&Aについて」(平成21年9月7日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課及び安全対策課事務連絡。以下「21年QA」という。)により示してきたところです。
今般、21年QAの内容を一部見直し、別添のとおり「医療用医薬品の全例調査方式による使用成績調査に関するQ&A」を取りまとめたので、貴会下関係業者に対し周知方よろしくお願いします。
なお、本日をもって21年QAは廃止します。
(別添)
医療用医薬品の全例調査方式による使用成績調査に関するQ&A
令和元年8月8日策定
令和5年8月10日一部改正
令和6年7月18日一部改正
Q1 どのような医薬品に全例調査の承認条件を付与するのか。 |
A1
承認条件による全例調査は、一定症例数にかかるデータが集積されるまで製造販売後にすべての使用患者を対象とした使用成績調査により使用患者の背景情報並びに安全性や有効性に関する情報を可能な限り偏りなく収集し、承認内容の再確認や適正使用に必要な情報収集を行うことが必要と判断された品目などが該当する。
例えば、国内治験症例が少なく/なく、製造販売後に明らかにすべき懸念事項としての重篤な副作用等の発現が懸念される医薬品の場合、承認条件で個々に全例調査の実施を求めることがある。
ただし、原則として、単に日本人の治験の症例数が少ない/ないことのみを理由としては行わない。例えば、次のような場合には、一律には全例調査を実施しないことを考慮してよい。
・ 日本人の治験の症例数は限られているものの、海外での治験を含め相応の安全性情報があり、安全性にかかる国内外の民族差の懸念がないもの。
・ 作用機序が同様の類薬での使用実績から一定の安全性情報があり、一定の安全性が示されているもの。
・ 効能・効果、用法・用量の追加等に係る申請に基づく調査であり、製剤としての使用実績から一定の安全性に係る情報があり、既存の適応症との安全性プロファイルの差異について懸念がないもの。
また、全例調査は、リスク最小化を目的として行うものではないことから、リスク最小化には、従前どおり市販直後調査や医療機関や医師の要件の設定等を活用する。
実施の必要性については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「機構」という)で検討の上、薬事審議会の審議を経て、厚生労働省において決定される。
Q1―1 承認条件として既に全例調査を実施しているが、Q1及び「医薬品の製造販売後調査等の実施計画の策定に関する検討の進め方について」に基づいて、調査目的に応じた目標症例数や調査期間の見直しを行い、調査計画改訂について機構に相談することは可能か。 |
A1―1
可能である。
Q2 承認条件としての全例調査はプロスペクティブな調査を実施しているが、投与全症例を把握できている場合には、レトロスペクティブな調査も可能か。 |
A2
全例調査は原則としてプロスペクティブな調査で行うべきであるが、やむを得ない場合は、レトロスペクティブな調査とすることが可能である。
Q3 全例調査の品目において、医療機関の理解・協力がより得やすくなるために、当局から協力要請の通知等を発出してもらうことは可能か。 |
A3
全例調査等の対象である旨を添付文書、医薬品リスク管理計画書その他公的な文書で明確にする等により、関係者が理解しやすいものとしているところであるが、事例に応じて可能な対応を検討する。申請者として相談が必要な場合は、可能な限り早い段階で機構に相談すること。
Q4 安全性定期報告以上の頻度で定期的に副作用発現状況、使用症例状況(全例調査の登録状況等)等の集計結果を当局に報告することが求められる場合はあるのか。 |
A4
ある。
なお、求める場合は、機構と合意した報告頻度、期限を医薬品リスク管理計画書に記載することとなる。
Q5 全例調査は、計画書に記載の目標症例数に到達した時点で、調査としての症例登録、医療機関への調査票の新規記入依頼等は終了してよいか。その場合、機構への事前相談については企業が不要と判断した場合は行わないでよいか。 |
A5
いずれも差し支えない。
ただし、全例調査の報告書に基づく機構の評価又は薬事・食品衛生審議会における議論を踏まえ、安全対策等の観点から追加的な調査等が必要と判断され、機構又は厚生労働省から指示があった場合には、速やかに対応できるよう、必要に応じて、あらかじめ医療機関との取り決めや社内体制等を整備しておくこと。
また、全例調査が完了した場合は、速やかにその結果について機構の評価を受けるため、速やかに承認条件の解除を希望することが望ましい。
Q6 全例調査の実施を求める承認条件を解除するための条件、手続き及びタイムラインを教えてほしい。 |
A6
再審査申請を待たずに、一定の解析・評価が可能であるものについて、承認条件を解除したい場合は、厚生労働省に承認条件の解除に関する希望書を調査結果とともに提出することで、厚生労働省において解除に係る検討がなされる。具体的には、調査結果に関する機構での評価、薬事・食品衛生審議会における議論を踏まえ、厚生労働省において決定される。なお、希望書の提出前に、提出内容について機構に相談することが望ましい。
タイムラインは、個々の品目により異なるので、希望書提出後の早い段階で機構が企業に対してタイムラインを示すように努める。
なお、全例調査以外の承認条件の解除について希望がある場合は、同様の手続により検討可能な場合があるので、厚生労働省に相談すること。
Q7 全例調査を付されている調査では企業のWeb上で調査の進行や副作用の収集情報の公開を指導されている場合があるが、その内容・公開頻度・公開期間について基準等があれば教えてほしい。また、それらの公開方法の変更に際しては、どこに相談すべきか。 |
A7
審査の段階で、薬剤の特徴や副作用発現状況等から個別に判断している。情報公開の方法も含めて使用成績調査実施計画を決定する。調査の特徴に合わせた情報公開が重要である。
なお、公開方法の変更に際しては、機構に相談すること。