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○民法等の一部を改正する法律の公布について(通知)

(令和元年6月14日)

(子発0614第1号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各児童相談所設置市市長あて厚生労働省子ども家庭局長通知)

(公印省略)

民法等の一部を改正する法律(令和元年法律第34号。以下「改正法」という。)については、本日公布され、順次施行することとされたところである。

改正の趣旨及び主な内容は、下記のとおりであるので、十分御了知の上、管内市町村(特別区を含む。)をはじめ、民間あっせん機関等の関係者に対し、その周知をお願いする。また、政令で定める具体的な施行期日や制度改正に伴う運用方法等については、おってお示しする予定である。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言である。

第1 改正の趣旨

特別養子制度の利用を促進するため、養子となる者の年齢の上限を引き上げる措置を講ずるとともに、特別養子適格の確認の審判の新設、特別養子縁組の成立の審判に係る規定の整備、児童相談所長が特別養子適格の確認の審判の手続に参加することができる制度の新設等の措置を講ずることとする。

第2 改正法の主な内容

1 民法(明治29年法律第89号)の一部改正(改正法第1条関係)

① 民法第817条の2に規定する請求の時に15歳に達している者は、特別養子縁組における養子となることができないものとすること。特別養子縁組が成立するまでに18歳に達した者についても、同様とするものとすること。(民法第817条の5第1項関係)

② ①の前段の規定は、養子となる者が15歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合において、15歳に達するまでに民法第817条の2に規定する請求がされなかったことについてやむを得ない事由があるときは、適用しないものとすること。(民法第817条の5第2項関係)

③ 養子となる者が15歳に達している場合においては、特別養子縁組の成立には、その者の同意がなければならないものとすること。(民法第817条の5第3項関係)

2 家事事件手続法(平成23年法律第52号)の一部改正(改正法第2条関係)

(1) 特別養子縁組の成立の審判事件

① 特別養子縁組の成立の審判事件(家事事件手続法別表第1の64の項の事項についての審判事件をいう。以下この(1)において同じ。)における養子となるべき者は、特別養子適格の確認(養子となるべき者について民法第817条の6に定める要件があること及び同法第817条の7に規定する父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合に該当することについての確認をいう。以下2及び3において同じ。)の審判(申立人の(2)①の規定による申立てによりされたものに限る。)を受けた者又は児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判(特別養子縁組の成立の申立ての日の6箇月前の日以後に確定したものに限る。)を受けた者でなければならないものとすること。(家事事件手続法第164条第2項関係)

② 養子となるべき者の親権者(申立人の配偶者である民法第817条の3第2項ただし書に規定する他の一方を除く。以下この②において同じ。)及びその親権者に対し親権を行う者は、特別養子縁組の成立の審判事件において養子となるべき者を代理して手続行為をすることができないものとすること。(家事事件手続法第164条第3項関係)

③ 養子となるべき者の父母(申立人の配偶者である民法第817条の3第2項ただし書に規定する他の一方を除く。⑨において同じ。)は、家事事件手続法第42条第1項及び第3項の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判事件の手続に参加することができないものとすること。(家事事件手続法第164条第4項関係)

④ 家事事件手続法第118条の規定は、特別養子縁組の成立の審判事件(当該審判事件を本案とする保全処分についての審判事件を含む。)における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び申立人の配偶者である民法第817条の3第2項ただし書に規定する他の一方について準用するものとすること。(家事事件手続法第164条第5項関係)

⑤ 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の審判をする場合には、次のi)及びii)に掲げる者の陳述を聴かなければならないものとすること。(家事事件手続法第164条第6項関係)

i) 養子となるべき者(15歳以上のものに限る。)

ii) 養子となるべき者に対し親権を行う者(養子となるべき者の父母及び養子となるべき者の親権者に対し親権を行う者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人

⑥ 特別養子適格の確認の審判(児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判を含む。以下⑥において同じ。)は、特別養子縁組の成立の審判事件の係属する裁判所を拘束するものとすること。この場合において、特別養子適格の確認の審判は、特別養子縁組の成立の審判事件との関係においては、特別養子縁組の成立の審判をする時においてしたものとみなすものとすること。(家事事件手続法第164条第7項関係)

⑦ 特別養子縁組の成立の審判は、家事事件手続法第74条第1項に規定する者のほか、⑤ii)に掲げる者に告知しなければならないものとすること。(家事事件手続法第164条第8項関係)

⑧ 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しないものとすること。ただし、養子となるべき者が15歳に達している場合は、この限りでないものとすること。(家事事件手続法第164条第9項関係)

⑨ 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者の父母に告知することを要しないものとすること。ただし、住所又は居所が知れている父母に対しては、審判をした日及び審判の主文を通知しなければならないものとすること。(家事事件手続法第164条第10項関係)

⑩ 家庭裁判所は、①の規定にかかわらず、特別養子縁組の成立の審判を、特別養子適格の確認の審判と同時にすることができるものとすること。この場合においては、特別養子縁組の成立の審判は、特別養子適格の確認の審判が確定するまでは、確定しないものとすること。(家事事件手続法第164条第11項関係)

⑪ 家庭裁判所は、⑩の前段の場合において、特別養子適格の確認の審判を取り消す裁判が確定したときは、職権で、特別養子縁組の成立の審判を取り消さなければならないものとすること。(家事事件手続法第164条第12項関係)

⑫ 特別養子縁組の成立の審判は、養子となるべき者が18歳に達した日以後は、確定しないものとすること。この場合においては、家庭裁判所は、職権で、その審判を取り消さなければならないものとすること。(家事事件手続法第164条第13項関係)

⑬ 次のi)又はii)に掲げる審判に対しては、i)又はii)に定める者は、即時抗告をすることができるものとすること。(家事事件手続法第164条第14項関係)

i) 特別養子縁組の成立の審判 養子となるべき者及び⑤ii)に掲げる者

ii) 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判 申立人

⑭ 養子となるべき者(15歳未満のものに限る。)による特別養子縁組の成立の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行するものとすること。(家事事件手続法第164条第15項関係)

(2) 特別養子適格の確認の審判事件

① 家庭裁判所は、養親となるべき者の申立てにより、その者と養子となるべき者との間における特別養子縁組について、特別養子適格の確認の審判をすることができるものとすること。ただし、養子となるべき者の出生の日から2箇月を経過する日まで及び養子となるべき者が18歳に達した日以後は、この限りでないものとすること。(家事事件手続法第164条の2第1項関係)

② 特別養子適格の確認の審判事件(特別養子適格の確認についての審判事件をいう。以下④及び3(2)①において同じ。)は、養親となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属するものとすること。(家事事件手続法第164条の2第2項関係)

③ 特別養子適格の確認の申立ては、特別養子縁組の成立の申立てと同時にしなければならないものとすること。(家事事件手続法第164条の2第3項関係)

④ 家事事件手続法第118条の規定は、特別養子適格の確認の審判事件における養親となるべき者並びに養子となるべき者及び養子となるべき者の父母について準用するものとすること。(家事事件手続法第164条の2第4項関係)

⑤ 民法第817条の6本文の同意は、次のi)及びii)のいずれにも該当する場合には、撤回することができないものとすること。ただし、その同意をした日から2週間を経過する日までは、この限りでないものとすること。(家事事件手続法第164条の2第5項関係)

i) 養子となるべき者の出生の日から2箇月を経過した後にされたものであること。

ii) 次のいずれかに該当するものであること。

・ 家庭裁判所調査官による事実の調査を経た上で家庭裁判所に書面を提出してされたものであること。

・ 審問の期日においてされたものであること。

⑥ 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合には、次のi)からiv)までに掲げる者の陳述を聴かなければならないものとすること。この場合において、ii)に掲げる者の同意がないにもかかわらずその審判をするときは、その者の陳述の聴取は、審問の期日においてしなければならないものとすること。(家事事件手続法第164条の2第6項関係)

i) 養子となるべき者(15歳以上のものに限る。)

ii) 養子となるべき者の父母

iii) 養子となるべき者に対し親権を行う者(ii)に掲げる者を除く。)及び養子となるべき者の未成年後見人

iv) 養子となるべき者の父母に対し親権を行う者及び養子となるべき者の父母の後見人

⑦ 家庭裁判所は、特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てに係る特別養子適格の確認の申立てを却下しなければならないものとすること。(家事事件手続法第164条の2第7項関係)

⑧ 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の申立てを却下する審判をする場合には、⑥ii)及びiii)に掲げる者の陳述を聴かなければならないものとすること。(家事事件手続法第164条の2第8項関係)

⑨ 特別養子適格の確認の審判は、家事事件手続法第74条第1項に規定する者のほか、⑥iii)及びiv)に掲げる者に告知しなければならないものとすること。(家事事件手続法第164条の2第9項関係)

⑩ 特別養子適格の確認の審判は、養子となるべき者の年齢及び発達の程度その他一切の事情を考慮してその者の利益を害すると認める場合には、その者に告知することを要しないものとすること。(家事事件手続法第164条の2第10項関係)

⑪ 家庭裁判所は、特別養子適格の確認の審判をする場合において、⑥ii)に掲げる者を特定することができないときは、⑥ii)及びiv)に掲げる者の陳述を聴くこと並びにこれらの者にその審判を告知することを要しないものとすること。(家事事件手続法第164条の2第11項関係)

⑫ 次のi)又はii)に掲げる審判に対しては、i)又はii)に定める者は、即時抗告をすることができるものとすること。(家事事件手続法第164条の2第12項関係)

i) 特別養子適格の確認の審判 養子となるべき者及び⑥ii)からiv)までに掲げる者

ii) 特別養子適格の確認の申立てを却下する審判 申立人

⑬ 養子となるべき者による特別養子適格の確認の審判に対する即時抗告の期間は、養子となるべき者以外の者が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行するものとすること。(家事事件手続法第164条の2第13項関係)

⑭ 特別養子縁組の成立の申立てを却下する審判が確定したとき、又は特別養子縁組の成立の申立てが取り下げられたときは、当該申立てをした者の申立てによる特別養子適格の確認の審判は、その効力を失うものとすること。(家事事件手続法第164条の2第14項関係)

(3) 児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件

① 児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件(児童相談所長の3(1)の規定による請求による特別養子適格の確認についての審判事件をいう。以下この(3)において同じ。)は、児童の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属するものとすること。(家事事件手続法第234条関係)

② 家事事件手続法第118条の規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件における児童及びその父母について準用するものとすること。(家事事件手続法第235条関係)

③ 家庭裁判所は、児童の出生の日から2箇月を経過する日まで及び児童が18歳に達した日以後は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判をすることができないものとすること。(家事事件手続法第239条第1項関係)

④ 特別養子適格の確認の審判に係る規定のうち(2)⑤、⑥及び⑧から⑬までの規定は、児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判事件について準用するものとすること。(家事事件手続法第236条第3項、第237条第2項、第238条第2項及び第239条第2項関係)

(4) その他

その他所要の規定の整備をするものとすること。

3 児童福祉法(昭和22年法律第164号)の一部改正

(1) 児童相談所長の申立てによる特別養子適格の確認の審判

① 児童相談所長は、児童について、家庭裁判所に対し、養親としての適格性を有する者との間における特別養子縁組について、特別養子適格の確認を請求することができるものとすること。(児童福祉法第33条の6の2第1項関係)

② 児童相談所長は、①の規定による請求に係る児童について、特別養子縁組によって養親となることを希望する者が現に存しないときは、養子縁組里親その他の適当な者に対し、当該児童に係る民法第817条の2第1項に規定する請求を行うことを勧奨するよう努めるものとするものとすること。(児童福祉法第33条の6の2第2項関係)

(2) 児童相談所長の特別養子適格の確認の審判事件の手続への参加

① 児童相談所長は、児童に係る特別養子適格の確認の審判事件の手続に参加することができるものとすること。(児童福祉法第33条の6の3第1項関係)

② ①の規定により手続に参加する児童相談所長は、家事事件手続法第42条第7項に規定する利害関係参加人とみなすものとすること。(児童福祉法第33条の6の3第2項関係)

(3) その他

その他所要の規定の整備をするものとすること。

4 附則

(1) この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。(附則第1項関係)

(2) この法律の施行に伴う所要の経過措置を定めるものとすること。(附則第2項関係)