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○社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する政令の一部を改正する政令等の施行及び社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定の発効に伴う実施事務の取扱いについて

(令和元年6月5日)

(年発0605第1号)

(日本年金機構理事長あて厚生労働省年金局長通知)

(公印省略)

社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律(平成19年法律第104号。以下「特例法」という。)等の内容については、「社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律等の施行について」(平成20年1月10日付庁保発第0110002号)において、社会保障協定の発効に伴う実施事務の取扱いについては、「社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律等の施行に伴う実施事務の取扱いについて」(平成20年1月10日付庁保険発第0110001号、社業発第30号)において、それぞれ通知しているところである。

その後、社会保障に関する日本国とスロバキア共和国との間の協定(以下「スロバキア協定」という。)及び社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定(以下「中国協定」という。)が国会で承認されたことに伴い、社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する政令の一部を改正する政令(平成31年政令第25号。以下「改正特例政令」という。)が平成31年2月15日に公布され、また、スロバキア協定及び中国協定に係る実施事務が相手国との間で確定したことを受けて社会保障協定の実施に伴う国民年金法施行規則及び厚生年金保険法施行規則の特例等に関する省令の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第14号。以下「改正特例省令」という。)が同日に公布されたところである。

今般、中国協定は、令和元年9月1日から効力を生ずることとなるところ、中国協定の概要、改正特例政令(中国協定に係る部分に限る。以下同じ。)及び改正特例省令(中国協定に係る部分に限る。以下同じ。)の施行並びに中国協定の発効に伴う実施事務の取扱いに関する主な内容は下記のとおりであるので、その内容について御承知いただき、その実施に当たってよろしくお取り計らい願いたい。

この通知において、改正特例政令による改正後の社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する政令(平成19年政令第347号)を「改正後特例政令」と、改正特例省令による改正後の社会保障協定の実施に伴う国民年金法施行規則及び厚生年金保険法施行規則の特例等に関する省令(平成20年厚生労働省令第2号)を「改正後特例省令」と、それぞれ略称する。

なお、この通知における用語の意義は、中国協定並びに特例法、改正後特例政令及び改正後特例省令における用語の意義によるものとする。

また、本通知の内容について、貴機構において年金事務所長等宛て周知のための文書を発出する場合には、当該文書を厚生労働省年金局長宛て併せて送付されたい。

Ⅰ 中国協定の概要

第1 中国協定の概要

中国協定は、日本国と中華人民共和国(以下「中国」という。)との間で年金制度の適用についての調整を行い、もって両国間の人的交流・経済交流の促進を図ることを目的とするものであり、その内容の大要は、次のとおりであること。

1 総則

(1) 「国民」、「法令」、「権限のある当局」、「実施機関」の用語はそれぞれ定義された意味を有すること(中国協定第1条1)。

(2) 中国協定において定義されていない用語は、それぞれの締約国の適用される法令において与えられている意味を有するものとすること(中国協定第1条2)。

(3) 日本国については、国民年金及び厚生年金保険についてそれぞれ適用すること。中国については、被用者基本老齢保険に関する法令について適用すること(中国協定第2条1)。

(4) 中国協定第2条1に規定する法令には、一方の締約国と第三国との間で締結される社会保障に関する協定その他の国際約束及び当該協定その他の国際約束の個別の実施のためにのみ制定される法令を含めないこと(中国協定第2条2)。

(5) 中国協定は、一方の締約国の法令の適用を受けており、又は受けたことがある全ての者並びにこれらの者に由来する権利を有する家族及び遺族について適用すること(中国協定第3条)。

(6) 中国協定に別段の定めがある場合を除くほか、中国協定第3条に規定する者であって一方の締約国の領域内に通常居住するものは、当該一方の締約国の法令の適用に際し、当該一方の締約国の国民と同等の待遇を受けること。ただし、この規定は、日本国の領域外に通常居住することに基づいて日本国民に対して認められる合算対象期間に関する日本国の法令の規定の適用を妨げるものではないこと(中国協定第4条)。

2 適用法令に関する規定

(1) 中国協定に別段の定めがある場合を除くほか、一方の締約国の領域内で被用者として就労する者については、その就労に関し、当該一方の締約国の法令のみを適用すること(中国協定第5条)。

(2) 一方の締約国の法令に基づく制度に加入し、かつ、当該一方の締約国の領域内に事業所を有する雇用者に当該領域内で雇用されている者が、当該雇用者のために役務を提供するため、その被用者としての就労の一環として当該雇用者により他方の締約国の領域に派遣される場合には、その就労に関し、当該被用者がなお当該一方の締約国の領域内で就労しているものとみなして、その派遣の最初の五年間は当該一方の締約国の法令のみを適用すること(中国協定第6条1)。

(3) 中国協定第6条1に規定する派遣が五年を超えて継続される場合には、両締約国の権限のある当局又は実施機関は、当該派遣に係る被用者に対し、同条1に規定する一方の締約国の法令のみを引き続き適用することについて合意することができること(中国協定第6条2)。

(4) 一方の締約国の旗を掲げる海上航行船舶において被用者として就労し、かつ、中国協定がないとしたならば両締約国の法令が適用されることとなる者については、当該一方の締約国の法令のみを適用すること。この規定にかかわらず、当該者が他方の締約国の領域内に通常居住する場合には、当該者については、当該他方の締約国の法令のみを適用すること(中国協定第7条1)。

(5) 国際運輸に従事する航空機において被用者として就労し、かつ、中国協定がないとしたならば両締約国の法令が適用されることとなる者については、その就労に関し、当該者の雇用者の所在する締約国の法令のみを適用すること(中国協定第7条2)。

(6) 中国協定のいかなる規定も、千九百六十一年四月十八日の外交関係に関するウィーン条約又は千九百六十三年四月二十四日の領事関係に関するウィーン条約の規定に影響を及ぼすものではないこと(中国協定第8条1)。

(7) 一方の締約国の公務員又は当該一方の締約国の法令において公務員として取り扱われる者が他方の締約国の領域内で就労するために派遣される場合には、その者については、当該一方の締約国の領域内で就労しているものとみなして当該一方の締約国の法令のみを適用すること(中国協定第8条2)。

(8) 両締約国の権限のある当局又は実施機関は、特定の者又は特定の範囲の者の利益のため、これらの特定の者又は特定の範囲の者にいずれか一方の締約国の法令が適用されることを条件として、中国協定第5条から第8条までの規定の例外を認めることについて合意することができること(中国協定第9条)。

(9) 日本国の領域内で就労する者であって、中国協定第6条、第8条2又は第9条の規定により中国の法令のみの適用を受けるものに同行する配偶者又は子については、社会保障に関する協定の実施に関する日本国の法令に定める要件を満たすことを条件として、中国協定第2条1(b)(i)に規定する日本国の年金制度に関する日本国の法令の適用を免除すること。ただし、当該配偶者又は子が別段の申出を行う場合には、この規定は、適用しないこと(中国協定第10条)。

(10) 中国協定第5条から第7条まで、第8条2及び第10条の規定は、各締約国の法令における強制加入についてのみ適用すること(中国協定第11条)。

3 雑則

(1) 両締約国の権限のある当局は、中国協定の実施のために必要な措置を規定する行政上の取決めを共同して作成し、連絡機関を指定すること。また、自国の法令の変更(中国協定の実施に影響を及ぼすものに限る。)に関する全ての情報をできる限り速やかに相互に通報すること(中国協定第12条1)。

(2) 両締約国の権限のある当局及び実施機関は、書面による要請に基づき、それぞれの権限の範囲内で、中国協定の実施のために無償で情報及び援助を提供すること(中国協定第12条2)。

(3) 一方の締約国の実施機関又は中国協定第12条1(b)の規定に従い当該一方の締約国の権限のある当局によって指定された連絡機関は、申請に基づき、被用者が当該一方の締約国の法令の適用を受けていることを記載した証明書を発給すること(中国協定第13条)。

(4) 中国協定の実施に際し、両締約国の権限のある当局及び実施機関は、相互に、又は関係者に対して、日本語、中国語又は英語により、直接に連絡することができること(中国協定第14条1)。

(5) 中国協定の実施に際し、一方の締約国の権限のある当局及び実施機関は、日本語、中国語又は英語で作成されていることを理由として申請書その他の文書の受理を拒否してはならないこと(中国協定第14条2)。

(6) 中国協定の実施に当たって提出すべき文書(特に証明書)については、認証その他これに類する手続を要しないこと(中国協定第14条3)。

(7) 一方の締約国の権限のある当局又は実施機関は、当該一方の締約国の法令の下で収集された個人に関する情報(中国協定の実施のために必要なものに限る。)を当該一方の締約国の法律及び規則に従って他方の締約国の権限のある当局又は実施機関に伝達すること(中国協定第15条1)。

(8) 中国協定第15条1の規定に従って一方の締約国により他方の締約国に伝達される個人に関する情報は、当該他方の締約国の法律及び規則により必要とされない限り、中国協定を実施する目的のためにのみ使用すること。当該他方の締約国が受領するこれらの情報は、個人に関する情報の秘密の保護のための当該他方の締約国の法律及び規則により規律されること(中国協定第15条2)。

(9) 中国協定の解釈又は適用に関する紛争は、両締約国の権限のある当局間又は関係当局間の協議により解決すること(中国協定第16条)。

(10) 中国協定中の部及び条の見出しは、引用上の便宜のためにのみ付されたものであって、中国協定の解釈に影響を及ぼすものではないこと(中国協定第17条)。

4 経過規定及び最終規定

(1) 中国協定第6条1の規定の適用に当たっては、中国協定の効力発生前から一方の締約国の領域内で就労していた者については、同条1に規定する派遣の期間は、中国協定の効力発生の日に開始したものとみなすこと(中国協定第18条)。

(2) 両締約国は、中国協定の効力発生のために必要な国内法上の手続の完了を通知する外交上の公文を交換すること。中国協定は、当該公文を交換した月の後四箇月目の月の初日に効力を生ずること(中国協定第19条)。

(3) 中国協定は、無期限に効力を有すること。いずれの締約国も、外交上の経路を通じて他方の締約国に対し書面により中国協定の終了の通告を行うことができること。この場合には、中国協定は、終了の通告が行われた月の後十二箇月目の月の末日まで効力を有すること(中国協定第20条)。

第2 中国協定における主な留意点

1 二重加入の防止の対象となる制度

二重加入の防止の対象となる制度は、日本国及び中国について年金制度のみであること。また、二重加入の防止の対象となる者は、日本国及び中国について被用者のみであること。

2 二重加入の防止の規定

(1) 被用者の派遣に関し、当該被用者が一方の締約国の法令に基づく制度に加入し、当該被用者が雇用主により当該一方の締約国の領域から他方の締約国の領域内において就労するために派遣される場合、当該被用者が派遣された日から最初の5年間は当該一方の締約国の法令のみが適用されること。

(2) 派遣期間の延長については、両締約国の権限のある当局又は実施機関において、原則として5年を超えない期間、引き続き一方の締約国の制度にのみ加入することについて合意することができること。

(3) 10年を超える派遣期間の延長に関しては、両締約国の権限のある当局又は実施機関の協議において中国協定第9条の規定に基づく最後の延長を認めることができること。

Ⅱ 改正後特例政令及び改正後特例省令における厚生年金保険法等の特例関係

第1 改正後特例政令における厚生年金保険法等の特例関係

1 厚生年金保険の加入の特例

厚生年金保険の加入の特例制度の対象となる社会保障協定について、中国協定を追加すること(特例法第25条及び改正後特例政令第50条)。

2 審査請求等に関する事項

特例法においては、国民年金法(昭和34年法律第141号)及び厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)の規定による審査請求又は再審査請求について、相手国法令の規定により同種の請求を受理することとされている相手国実施機関等を経由して行うことができるとしているが、この相手国法令から除かれるものに係る社会保障協定に中国協定を追加すること(特例法第58条及び改正後特例政令第89条)。

第2 改正後特例省令における国民年金法施行規則及び厚生年金保険法施行規則の特例関係

1 適用証明書の交付申請に関する経過措置

中国の法令の適用の免除を受けるため、適用証明書の交付を受けようとする者は、中国協定の効力発生の日の属する月の前月の初日(令和元年8月1日)から当該適用証明書の交付の申請をすることができること(改正後特例省令附則第3条)。

Ⅲ 中国協定の実施事務における主な留意点

第1 適用証明書の交付申請に関する留意点

適用証明書の交付を受けようとする者からの交付申請は、中国協定の効力発生の日の属する月の前月の初日(令和元年8月1日)から受理することができること。

第2 適用証明書の交付に関する留意点

適用証明書を交付する者は、被用者のみであること。

第3 その他

中国協定を実施するための様式については、別添のとおりであること。

Ⅳ 施行期日

改正特例政令は、中国協定の効力の発生の日(令和元年9月1日)から施行すること。

改正特例省令は、中国協定の効力の発生の日の属する月の前月の初日(令和元年8月1日)から施行すること。

この通知は、中国協定の効力の発生の日(令和元年9月1日)から適用するものであること。ただし、Ⅱ第2及びⅢ第1については、中国協定の効力の発生の日の属する月の前月の初日(令和元年8月1日)から適用するものであること。

○社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する政令の一部を改正する政令等の施行及び社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定の発効に伴う実施事務の取扱いについて

(令和元年6月5日)

(年発0605第2号)

(地方厚生(支)局長あて厚生労働省年金局長通知)

(公印省略)

社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律(平成19年法律第104号。以下「特例法」という。)等の内容については、「社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律等の施行について」(平成20年1月10日付庁保発第0110002号)において、社会保障協定の発効に伴う実施事務の取扱いについては、「社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律等の施行に伴う実施事務の取扱いについて」(平成20年1月10日付庁保険発第0110001号、社業発第30号)において、それぞれ通知しているところである。

その後、社会保障に関する日本国とスロバキア共和国との間の協定(以下「スロバキア協定」という。)及び社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定(以下「中国協定」という。)が国会で承認されたことに伴い、社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する政令の一部を改正する政令(平成31年政令第25号。以下「改正特例政令」という。)が平成31年2月15日に公布され、また、スロバキア協定及び中国協定に係る実施事務が相手国との間で確定したことを受けて社会保障協定の実施に伴う国民年金法施行規則及び厚生年金保険法施行規則の特例等に関する省令の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第14号。以下「改正特例省令」という。)が同日に公布されたところである。

今般、中国協定は、令和元年9月1日から効力を生ずることとなるところ、中国協定の概要、改正特例政令(中国協定に係る部分に限る。以下同じ。)及び改正特例省令(中国協定に係る部分に限る。以下同じ。)の施行並びに中国協定の発効に伴う実施事務の取扱いに関する主な内容は下記のとおりであるので、その内容について御承知いただき、その実施に当たってよろしくお取り計らい願いたい。あわせて、貴管内各市区町村へ周知方よろしく取り計らわれたい。

この通知において、改正特例政令による改正後の社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する政令(平成19年政令第347号)を「改正後特例政令」と、改正特例省令による改正後の社会保障協定の実施に伴う国民年金法施行規則及び厚生年金保険法施行規則の特例等に関する省令(平成20年厚生労働省令第2号)を「改正後特例省令」と、それぞれ略称する。

なお、この通知における用語の意義は、中国協定並びに特例法、改正後特例政令及び改正後特例省令における用語の意義によるものとする。

Ⅰ 中国協定の概要

第1 中国協定の概要

中国協定は、日本国と中華人民共和国(以下「中国」という。)との間で年金制度の適用についての調整を行い、もって両国間の人的交流・経済交流の促進を図ることを目的とするものであり、その内容の大要は、次のとおりであること。

1 総則

(1) 「国民」、「法令」、「権限のある当局」、「実施機関」の用語はそれぞれ定義された意味を有すること(中国協定第1条1)。

(2) 中国協定において定義されていない用語は、それぞれの締約国の適用される法令において与えられている意味を有するものとすること(中国協定第1条2)。

(3) 日本国については、国民年金及び厚生年金保険についてそれぞれ適用すること。中国については、被用者基本老齢保険に関する法令について適用すること(中国協定第2条1)。

(4) 中国協定第2条1に規定する法令には、一方の締約国と第三国との間で締結される社会保障に関する協定その他の国際約束及び当該協定その他の国際約束の個別の実施のためにのみ制定される法令を含めないこと(中国協定第2条2)。

(5) 中国協定は、一方の締約国の法令の適用を受けており、又は受けたことがある全ての者並びにこれらの者に由来する権利を有する家族及び遺族について適用すること(中国協定第3条)。

(6) 中国協定に別段の定めがある場合を除くほか、中国協定第3条に規定する者であって一方の締約国の領域内に通常居住するものは、当該一方の締約国の法令の適用に際し、当該一方の締約国の国民と同等の待遇を受けること。ただし、この規定は、日本国の領域外に通常居住することに基づいて日本国民に対して認められる合算対象期間に関する日本国の法令の規定の適用を妨げるものではないこと(中国協定第4条)。

2 適用法令に関する規定

(1) 中国協定に別段の定めがある場合を除くほか、一方の締約国の領域内で被用者として就労する者については、その就労に関し、当該一方の締約国の法令のみを適用すること(中国協定第5条)。

(2) 一方の締約国の法令に基づく制度に加入し、かつ、当該一方の締約国の領域内に事業所を有する雇用者に当該領域内で雇用されている者が、当該雇用者のために役務を提供するため、その被用者としての就労の一環として当該雇用者により他方の締約国の領域に派遣される場合には、その就労に関し、当該被用者がなお当該一方の締約国の領域内で就労しているものとみなして、その派遣の最初の五年間は当該一方の締約国の法令のみを適用すること(中国協定第6条1)。

(3) 中国協定第6条1に規定する派遣が五年を超えて継続される場合には、両締約国の権限のある当局又は実施機関は、当該派遣に係る被用者に対し、同条1に規定する一方の締約国の法令のみを引き続き適用することについて合意することができること(中国協定第6条2)。

(4) 一方の締約国の旗を掲げる海上航行船舶において被用者として就労し、かつ、中国協定がないとしたならば両締約国の法令が適用されることとなる者については、当該一方の締約国の法令のみを適用すること。この規定にかかわらず、当該者が他方の締約国の領域内に通常居住する場合には、当該者については、当該他方の締約国の法令のみを適用すること(中国協定第7条1)。

(5) 国際運輸に従事する航空機において被用者として就労し、かつ、中国協定がないとしたならば両締約国の法令が適用されることとなる者については、その就労に関し、当該者の雇用者の所在する締約国の法令のみを適用すること(中国協定第7条2)。

(6) 中国協定のいかなる規定も、千九百六十一年四月十八日の外交関係に関するウィーン条約又は千九百六十三年四月二十四日の領事関係に関するウィーン条約の規定に影響を及ぼすものではないこと(中国協定第8条1)。

(7) 一方の締約国の公務員又は当該一方の締約国の法令において公務員として取り扱われる者が他方の締約国の領域内で就労するために派遣される場合には、その者については、当該一方の締約国の領域内で就労しているものとみなして当該一方の締約国の法令のみを適用すること(中国協定第8条2)。

(8) 両締約国の権限のある当局又は実施機関は、特定の者又は特定の範囲の者の利益のため、これらの特定の者又は特定の範囲の者にいずれか一方の締約国の法令が適用されることを条件として、中国協定第5条から第8条までの規定の例外を認めることについて合意することができること(中国協定第9条)。

(9) 日本国の領域内で就労する者であって、中国協定第6条、第8条2又は第9条の規定により中国の法令のみの適用を受けるものに同行する配偶者又は子については、社会保障に関する協定の実施に関する日本国の法令に定める要件を満たすことを条件として、中国協定第2条1(b)(i)に規定する日本国の年金制度に関する日本国の法令の適用を免除すること。ただし、当該配偶者又は子が別段の申出を行う場合には、この規定は、適用しないこと(中国協定第10条)。

(10) 中国協定第5条から第7条まで、第8条2及び第10条の規定は、各締約国の法令における強制加入についてのみ適用すること(中国協定第11条)。

3 雑則

(1) 両締約国の権限のある当局は、中国協定の実施のために必要な措置を規定する行政上の取決めを共同して作成し、連絡機関を指定すること。また、自国の法令の変更(中国協定の実施に影響を及ぼすものに限る。)に関する全ての情報をできる限り速やかに相互に通報すること(中国協定第12条1)。

(2) 両締約国の権限のある当局及び実施機関は、書面による要請に基づき、それぞれの権限の範囲内で、中国協定の実施のために無償で情報及び援助を提供すること(中国協定第12条2)。

(3) 一方の締約国の実施機関又は中国協定第12条1(b)の規定に従い当該一方の締約国の権限のある当局によって指定された連絡機関は、申請に基づき、被用者が当該一方の締約国の法令の適用を受けていることを記載した証明書を発給すること(中国協定第13条)。

(4) 中国協定の実施に際し、両締約国の権限のある当局及び実施機関は、相互に、又は関係者に対して、日本語、中国語又は英語により、直接に連絡することができること(中国協定第14条1)。

(5) 中国協定の実施に際し、一方の締約国の権限のある当局及び実施機関は、日本語、中国語又は英語で作成されていることを理由として申請書その他の文書の受理を拒否してはならないこと(中国協定第14条2)。

(6) 中国協定の実施に当たって提出すべき文書(特に証明書)については、認証その他これに類する手続を要しないこと(中国協定第14条3)。

(7) 一方の締約国の権限のある当局又は実施機関は、当該一方の締約国の法令の下で収集された個人に関する情報(中国協定の実施のために必要なものに限る。)を当該一方の締約国の法律及び規則に従って他方の締約国の権限のある当局又は実施機関に伝達すること(中国協定第15条1)。

(8) 中国協定第15条1の規定に従って一方の締約国により他方の締約国に伝達される個人に関する情報は、当該他方の締約国の法律及び規則により必要とされない限り、中国協定を実施する目的のためにのみ使用すること。当該他方の締約国が受領するこれらの情報は、個人に関する情報の秘密の保護のための当該他方の締約国の法律及び規則により規律されること(中国協定第15条2)。

(9) 中国協定の解釈又は適用に関する紛争は、両締約国の権限のある当局間又は関係当局間の協議により解決すること(中国協定第16条)。

(10) 中国協定中の部及び条の見出しは、引用上の便宜のためにのみ付されたものであって、中国協定の解釈に影響を及ぼすものではないこと(中国協定第17条)。

4 経過規定及び最終規定

(1) 中国協定第6条1の規定の適用に当たっては、中国協定の効力発生前から一方の締約国の領域内で就労していた者については、同条1に規定する派遣の期間は、中国協定の効力発生の日に開始したものとみなすこと(中国協定第18条)。

(2) 両締約国は、中国協定の効力発生のために必要な国内法上の手続の完了を通知する外交上の公文を交換すること。中国協定は、当該公文を交換した月の後四箇月目の月の初日に効力を生ずること(中国協定第19条)。

(3) 中国協定は、無期限に効力を有すること。いずれの締約国も、外交上の経路を通じて他方の締約国に対し書面により中国協定の終了の通告を行うことができること。この場合には、中国協定は、終了の通告が行われた月の後十二箇月目の月の末日まで効力を有すること(中国協定第20条)。

第2 中国協定における主な留意点

1 二重加入の防止の対象となる制度

二重加入の防止の対象となる制度は、日本国及び中国について年金制度のみであること。また、二重加入の防止の対象となる者は、日本国及び中国について被用者のみであること。

2 二重加入の防止の規定

(1) 被用者の派遣に関し、当該被用者が一方の締約国の法令に基づく制度に加入し、当該被用者が雇用主により当該一方の締約国の領域から他方の締約国の領域内において就労するために派遣される場合、当該被用者が派遣された日から最初の5年間は当該一方の締約国の法令のみが適用されること。

(2) 派遣期間の延長については、両締約国の権限のある当局又は実施機関において、原則として5年を超えない期間、引き続き一方の締約国の制度にのみ加入することについて合意することができること。

(3) 10年を超える派遣期間の延長に関しては、両締約国の権限のある当局又は実施機関の協議において中国協定第9条の規定に基づく最後の延長を認めることができること。

Ⅱ 改正後特例政令及び改正後特例省令における厚生年金保険法等の特例関係

第1 改正後特例政令における厚生年金保険法等の特例関係

1 厚生年金保険の加入の特例

厚生年金保険の加入の特例制度の対象となる社会保障協定について、中国協定を追加すること(特例法第25条及び改正後特例政令第50条)。

2 審査請求等に関する事項

特例法においては、国民年金法(昭和34年法律第141号)及び厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)の規定による審査請求又は再審査請求について、相手国法令の規定により同種の請求を受理することとされている相手国実施機関等を経由して行うことができるとしているが、この相手国法令から除かれるものに係る社会保障協定に中国協定を追加すること(特例法第58条及び改正後特例政令第89条)。

第2 改正後特例省令における国民年金法施行規則及び厚生年金保険法施行規則の特例関係

1 適用証明書の交付申請に関する経過措置

中国の法令の適用の免除を受けるため、適用証明書の交付を受けようとする者は、中国協定の効力発生の日の属する月の前月の初日(令和元年8月1日)から当該適用証明書の交付の申請をすることができること(改正後特例省令附則第3条)。

Ⅲ 中国協定の実施事務における主な留意点

第1 適用証明書の交付申請に関する留意点

適用証明書の交付を受けようとする者からの交付申請は、中国協定の効力発生の日の属する月の前月の初日(令和元年8月1日)から受理することができること。

第2 適用証明書の交付に関する留意点

適用証明書を交付する者は、被用者のみであること。

第3 その他

中国協定を実施するための様式については、別添のとおりであること。

Ⅳ 施行期日

改正特例政令は、中国協定の効力の発生の日(令和元年9月1日)から施行すること。

改正特例省令は、中国協定の効力の発生の日の属する月の前月の初日(令和元年8月1日)から施行すること。

この通知は、中国協定の効力の発生の日(令和元年9月1日)から適用するものであること。ただし、Ⅱ第2及びⅢ第1については、中国協定の効力の発生の日の属する月の前月の初日(令和元年8月1日)から適用するものであること。