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○医薬品に係る先駆け審査指定制度対象品目の指定について

(平成31年4月8日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課通知)

本日付けで5品目の医薬品を先駆け審査指定制度対象品目として指定し、別添のとおりプレスリリースしましたのでお知らせいたします。また、厚生労働省のホームページにおいても対象品目の一覧を公表していますので、併せてお知らせいたします。

【掲載先(厚生労働省のホームページ)】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04339.html

[様式ダウンロード]

[別紙]

<医薬品>

申請のあった40品目のうち、以下の5品目を指定する。


品目名

(申請者)

予定効能

指定理由

1

Valemetostat

(第一三共(株))

再発又は難治性の末梢性T細胞性リンパ腫

① 本剤は、がんの悪性形質の維持等に重要な役割を果たすと考えられているヒストンメチル化酵素であるenhancer of zeste homolog(以下、「EZH」)1とEZH2の両者を同時に阻害することにより腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。新規の作用機序を有する。

② 対象疾患である末梢性T細胞性リンパ腫は生命に重大な影響がある重篤な疾患である。

③ これまでの臨床試験成績に基づき再発又は難治性の末梢性T細胞性リンパ腫患者に対して高い有効性が期待できる。

④ 第Ⅱ相試験計画中。世界で初めて承認申請を行う対象として日本が含まれる予定。

2

イキサゾミブクエン酸エステル

(武田薬品工業(株))

ALアミロイドーシス

① 本剤はプロテアソーム阻害薬である。免疫グロブリン性アミロイドーシス(以下、「ALアミロイドーシス」)の効能・効果で承認されているプロテアソーム阻害薬はなく、開発対象とする疾患に適応するものは初めてであるものに該当する。

② 対象疾患であるALアミロイドーシスは、異常形質細胞から産生される単クローン性免疫グロブリンに由来するアミロイドが臓器に蓄積する疾患。臓器の機能障害から臓器不全が引き起こされる重篤な疾患である。

③ 国内外において、現時点で、ALアミロイドーシスの効能・効果で承認されている薬剤はない。本剤は海外臨床試験において、血液学的奏効例が認められている。

④ 世界で初めて承認申請を行う対象として日本が含まれる予定。

3

TAK―925

(武田薬品工業(株))

ナルコレプシー

① 本剤は、ナルコレプシーの病態形成において重要な役割を果たしていると考えられるオレキシン2受容体(OX2R)の作動薬であり、新規の作用機序を有する。

② 対象疾患であるナルコレプシーは、日中に反復して起こる過度の眠気や、覚醒していても強い感情の動きをきっかけに誘発される情動脱力発作(カタプレキシー)が主症状であり、それらの症状により社会生活が困難な状態が継続する疾患である。

③ 非臨床試験及び臨床試験成績に基づき、既存の治療薬と比較して高い有効性が期待できる。

④ 国内にて第Ⅰ相試験実施中。世界で初めて承認申請を行う対象として日本が含まれる予定。

4

ASP―1929

(楽天メディカルジャパン(株))

頭頸部癌

① 本剤は、上皮成長因子受容体(EGFR)を標的とした抗体医薬品であるセツキシマブ(遺伝子組換え)と、レーザー装置(PIT690)による非熱性赤色光(690nm)により活性化されて物理的に細胞膜を破壊する作用を有する色素であるIR700を結合させた抗体薬物複合体。本剤を用いた光免疫療法は、新規原理に基づく治療法。

② 対象疾患である頭頸部癌は生命に重大な影響がある重篤な疾患である。

③ 再発頭頸部扁平上皮癌患者を対象とした海外臨床試験において完全奏効例も認められ、高い有効性が期待できる。

④ 第Ⅲ相試験実施中。世界に先駆けて日本で承認申請される予定。

5

E7090

(エーザイ(株))

FGFR2融合遺伝子を有する切除不能な胆道癌

① 線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1、2及び3に対する阻害作用を有する薬剤。新規の作用機序を有する。

② 対象疾患であるFGFR2融合遺伝子を有する胆道癌は生命に重大な影響がある重篤な疾患である。

③ これまでの臨床試験成績に基づきFGFR2融合遺伝子を有する切除不能な胆道癌患者に対して高い有効性が期待できる。

④ 第Ⅱ相試験計画中。世界で初めて承認申請を行う対象として日本が含まれる予定。

<医療機器>

申請のあった13品目のうち、以下の3品目を指定する。


品目名

(申請者)

予定効能

指定理由

1

マイクロ波マンモグラフィ(仮称)(株式会社Integral Geometry Science)

マイクロ波により乳がんと疑われる組織を同定し、医師にその情報を提供する。

① 本品は、乳房内に微弱なマイクロ波を送信し、脂肪とがん組織間の比誘電率差を観測することで乳がんを検出する医療機器であり、新規原理により乳がんを検出するものであることから画期性が高い。

② 乳がんは、進行した場合には生命予後に重篤な影響を及ぼす疾患であるため、対象疾患の重篤性は高い。

③ 乳がんの診断に用いられているX線マンモグラフィは、高濃度乳房において乳がん検出が困難であることが指摘されている。本品は、臨床研究により高濃度乳房での乳がん検出能が示唆されていることから、検出率の向上が期待できる。

④ 国内での臨床試験を経て、世界に先駆けて日本で承認申請する予定である。

2

下肢動脈バイパス用人工血管作製用鋳型(仮称)(バイオチューブ株式会社)

重症下肢虚血患者に対する、外科的な再建による膝下血行不全病態の改善及び自己血管再生による長期開存。

① 本品は、患者の腹部皮下に「鋳型」として1,2ヶ月間植え込むことで、バイパス術に利用できる患者自身の組織からなる管状移植体が得られる器具であり、画期性が高い。

② 重症下肢虚血は、虚血性安静時疼痛、壊疽等を呈し、有効な血行再建ができなければ下肢の切断に至る病態である。

③ 管状移植体は自己組織のため、免疫拒絶や毒性の懸念がない。また、世界最小径(0.6mm)の管状移植体作製にも成功しており、透析患者への使用実績や非臨床試験結果から、対象患者に対して有効な治療法となり得ることが期待される。

④ 多施設共同臨床試験を計画しており、世界に先駆けて日本で承認申請予定。

3

リン酸化プルランバイオアドヒーシブ(仮称)(BioARC株式会社)

自家骨、同種骨(他家骨)、異種骨、人工骨あるいはこれらの混合物と混和して賦形性と接着性を向上させることにより、操作性と骨欠損部への留置性を高める。また、増量効果を有することから、自家骨採取量を減らすことができる。

① ゲル性状で適度の粘性を持ち自家骨等と混合しやすく、既存の顆粒状人工骨には無い機能(賦形性、接着性、短期吸収置換性など)を有していることから、唇顎口蓋裂治療において手術時の操作性及び患部への留置性を向上させる医療機器であり、新規性を有する。

② 唇顎口蓋裂は、胎生期の組織欠損または癒合不全によって、口唇裂、口蓋裂および顎裂が生じる先天性疾患である。当該疾患は、摂食や発語における機能障害に加え、顔面の目立つ部位の疾患であるため、精神的苦痛にもつながる等、社会生活に影響を及ぼす疾患である。

③ 非臨床試験において、人工骨に本品を混合することによって、非混合の人工骨を超える高い骨造成効果が確認されている。また、自家骨採取量を減らし、小児への低侵襲性や術後管理の短期化にも寄与する。

④ 国内での臨床試験を経て、世界に先駆けて日本で承認申請を行う予定である。

<体外診断用医薬品>

申請のあった2品目のうち、以下の1品目を指定する。


品目名

(申請者)

予定効能

指定理由

1

DNAチップによる膵臓・胆道癌検査キットMI―004(仮称)(東レ株式会社)

血清から抽出したRNA中のマイクロRNAの発現パターン解析(膵臓癌・胆道癌の診断の補助)

① 血清中のマイクロRNAの発現量の組み合わせを数値化し、膵臓癌・胆道癌の診断フローに用いる検査システムは、世界的にも実用化された事例がなく、画期性が高い。

② 膵臓癌は最新がん統計(2017年)において年間死亡数3.4万人、3年生存率15%と極めて予後が悪い癌であり、胆道癌もまた年間死亡数1.8万人に及ぶ難治性の癌である。

③ 開発の過程において健康成人と膵臓癌・胆道癌患者を感度80%、特異度80%で鑑別するアルゴリズム及び閾値が得られている。また、初期の膵臓癌患者において、既存の腫瘍マーカーであるCA19―9と比較して感度が高いことが示唆されている。これらに加え、従前の腫瘍マーカー検査とは異なるプロファイルに基づくことも勘案すると、膵臓癌・胆道癌が疑われ精密検査が必要とされる患者の選択に寄与し、治療成績の向上に資することが期待できる。

④ 国内で臨床性能試験を実施し、世界に先駆けて本邦において承認申請予定。

<再生医療等製品>

申請のあった13品目のうち、以下の2品目を指定する。


品目名

(申請者)

予定効能

指定理由

1

OBP―301(テロメライシン)

(オンコリスバイオファーマ(株))

切除不能、化学療法不耐容又は抵抗性の局所進行食道癌

① 本品は、腫瘍溶解性アデノウイルスであり、正常細胞では増殖せず、癌細胞中で特異的に増殖し、直接細胞を破壊することで抗腫瘍効果を示す。新規作用機序を有し、画期性が高い。

② 食道がんは、5年後生存率が低い癌種に分類される。標準治療(外科的切除・化学療法)が実施できず、放射線単独療法に限られる食道癌患者が対象であるが、放射線単独療法の治療効果は十分でない。

③ 国内での2つの臨床研究・臨床試験(計17例)が実施されており、高い有効性を示唆する結果(本品の使用による食道局所完全奏効率70.6%)が得られた。

④ 国内外で臨床試験を実施中であり、世界に先駆けて日本で承認申請予定。

2

SB623

(サンバイオ(株))

外傷性脳損傷(中等度~重症)における運動障害の改善

① 本品は、ヒト(同種)骨髄由来間葉系幹細胞にヒトNotch―1の細胞内領域をコードする遺伝子を挿入したプラスミドベクターを導入した細胞である。神経前駆細胞の増殖・分化、細胞外マトリックスの産生、神経細胞の成熟・樹状分枝の促進、血管新生の促進等の作用を有すると考えられており、新規作用機序を有し、画期性が高い。

② 外傷性脳損傷患者の運動機能は発症後1年以上経過すると改善が見込めなくなることが報告されており、リハビリテーションによる対症療法は存在するが、根治療法は存在しない。

③ 国際共同臨床試験(計61例)が実施されており、移植6ヶ月後の時点において、プラセボ群と比較して有意に運動性能の改善が認められた。

④ 2019年中に世界に先駆けて日本で承認申請予定。

○医薬品の先駆け審査指定制度の試行的実施(第四回)について

(平成30年9月7日)

(薬生薬審発0907第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)

(公印省略)

世界に先駆けて、革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品を日本で早期に実用化すべく、その開発を促進するため、「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月24日閣議決定)及び「先駆けパッケージ戦略」(平成26年6月17日厚生労働省取りまとめ)を受け、「先駆け審査指定制度の試行的実施について」(平成27年4月1日付け薬食審査発0401第6号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)、「医薬品の先駆け審査指定制度の試行的実施(第二回)について」(平成28年10月3日付け薬生薬審発1003第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)及び「医薬品の先駆け審査指定制度の試行的実施(第三回)について」(平成29年10月5日付け薬生薬審初1005第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)のとおり、平成27年度より、先駆け審査指定制度を試行的に実施しました。

本年度も、医薬品について、下記のとおり試行的に先駆け審査指定制度を実施することとしますので、貴管下関係業者に対して周知願います。

1.制度の趣旨等

これまで、海外では承認されていても国内では承認されていない未承認薬・適応外薬を解消するため、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の審査員の増員を通じて審査期間の短縮を図るとともに、学会等からの要望に基づき、医療上の必要性を評価した上で未承認薬・適応外薬の開発要請を通じてこれらの解消に努めてきた。

今般、この考えを更に推し進め、患者に世界で最先端の治療薬を最も早く提供することを目指し、先駆け審査指定制度(以下「本制度」という。)として、開発早期の段階から一定の要件を満たす画期的な新薬等(以下「対象品目」という。)を指定し、薬事承認に係る相談・審査における優先的な取扱いの対象とするとともに、申請者が承認審査のスケジュールに沿って法令上求められる製造体制を整備することや承認後円滑に医療現場に提供するための対応が十分になされることで、更なる迅速な実用化を促すものである。

この制度では、生命に重大な影響がある重篤な疾患等に対して、原則として既承認薬と異なる作用機序により、極めて高い有効性が期待される医薬品を指定することとする。また、本制度では、PMDAが審査パートナー(以下「コンシェルジュ」という。)を選任して、厚生労働省及びPMDA関係各部との連携を強化するとともに定期的な進捗管理を通じて開発の迅速化を可能とし、先駆け総合評価相談により事前評価を充実し、かつ優先審査の対象にすること等で、審査期間を6ヶ月まで短縮することを目指す。

2.指定の要件

指定を受ける医薬品は、以下の4つのすべての要件を満たすこと。

(1) 指定要件1:治療薬の画期性

原則として、既承認薬と異なる新作用機序であること、既承認薬と同じ作用機序であっても開発対象とする疾患への適応は初めてであること、又は、革新的な薬物送達システムを用いていること

(2) 指定要件2:対象疾患の重篤性

以下のいずれかの疾患に該当するものであること

・ 生命に重大な影響がある重篤な疾患

・ 根治療法がなく症状(社会生活が困難な状態)が継続している疾患

(3) 指定要件3:対象疾患に係る極めて高い有効性

既承認薬が存在しない、若しくは既存の治療薬/治療法に比べて有効性の大幅な改善が見込まれる、又は著しい安全性の向上が見込まれること

(4) 指定要件4:世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思・体制

日本における早期開発を重視し、世界に先駆けて日本で承認申請される(同時申請も含む)予定のものであり、承認申請できる体制を有していること。なお、国内での開発が着実に進んでいることが確認できる以下の両方に該当する治療薬であることが望ましい。

・ First In Human(FIH)試験が日本で行われたもの

・ Proof Of Concept(POC)試験が日本で行われたもの

また、使用に当たってコンパニオン診断薬等が必要となる医薬品を申請する場合は、当該診断薬等も並行して承認申請できる体制(他社との連携体制を含む。)を有していること。なお、指定申請の際に、様式1の特記事項の欄にその旨記載すること。

3.指定の手続

(1) 対象品目への指定申請

対象品目への指定を希望する場合は、当該候補品目について、平成30年10月1日~11月30日の公募期間を設定するので、所定期間内に様式1(先駆け審査指定制度対象品目指定申請書)(別紙及び根拠資料を含む。)により厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課(以下「医薬品審査管理課」という。)に指定申請をすること。様式1は、紙媒体(正本1部、副本9部)及び電子媒体で郵送又は持参により提出すること。(平成30年11月30日必着)

郵送の場合

〒100―8916 東京都千代田区霞が関1―2―2

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

先駆け審査指定制度担当宛て

(2) ヒアリング

(1)により申請された各品目について、平成30年11月5日~平成31年1月18日までを目途に医薬品審査管理課においてヒアリングを実施する。ヒアリングは様式1及びその根拠資料に基づき実施する。ヒアリングで申請資料の修正等の指示があった場合には、その指示に応じること。

(3) 予備的審査

今回の試行では指定申請が多く行われる可能性があることから、先駆け審査指定に係る評価を適当な期間内に完了するために、PMDAの担当審査分野(新薬審査部を基本単位分野とする:以下「分野」という。)あたり過度に候補品目が多くなりすぎないようにするため、医薬品審査管理課で予備的審査を実施することがある。

(4) 評価と指定

予備的審査を実施した場合には通過した候補品目、予備的審査を実施しなかった場合には全候補品目に対して、申請資料をPMDAと共有し、PMDAの評価も踏まえた上で、特に優れていると判断されたものについて医薬品審査管理課で最終的な指定の可否の判断を行い、公表する。なお、これまでの指定品目も含め、特定の分野ごとの総指定数も考慮する。また、薬事・食品衛生審議会薬事分科会に選定結果を報告する。

4.指定された医薬品の優先的な取扱い及び留意事項

(1) 優先相談

PMDAで実施されている対面助言等で、他の医薬品に優先した取扱いを受けることができる。

(2) 事前評価の充実

PMDAで実施されている先駆け総合評価相談(以下「先駆け相談」という。)を受けることができる。ただし、申請から承認までの期間を6ヶ月以内に納めるためには、申請前からこれらの枠組みを積極的に活用する必要があることから、コンシェルジュに相談し、指定を受けた後から承認申請までに、原則、すべての相談区分で先駆け総合評価相談を利用すること。

・ 特に、品質については、承認申請後速やかにGMP調査が実施可能となるように、積極的に先駆け相談や医薬品品質相談等の枠組みを活用する。また、実生産バリデーションデータの提出可能時期及びGMP調査の対応可能日の情報を承認申請時に準備すること。

・ また、信頼性調査に関しても、積極的に、先駆け相談や医薬品GCP/GLP/GPSP相談等の枠組みを活用するとともに、承認申請後速やかに日程調整・実地調査が可能となるよう、早期の段階から信頼性調査に必要な情報等を準備すること。

(3) 優先審査

指定品目はその内容に鑑み、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器法」という。)第14条第7項の規定「医療上特にその必要性が高いと認められるもの」に該当すると考えられるため、対象品目への指定をもって優先審査の取扱いを行うこととする。

(4) コンシェルジュ

厚生労働省及びPMDAの連絡調整を行うことができる適当な者として、PMDAにおいて指名される者が、当該対象品目の開発の進捗管理の相談、申請者及び承認審査関係部署との調整を行う。指定後1週間を目安に当該対象品目にかかるコンシェルジュを対象品目の先駆け審査指定を受けた者に連絡する。

(5) 再審査期間

医薬品医療機器法施行規則(昭和36年2月1日厚生省令第1号)第57条第1項に規定する「製造販売の承認のあつた日後6年を超える期間当該医薬品の副作用によるものと疑われる疾病、障害若しくは死亡又はその使用によるものと疑われる感染症その他の使用の成績等に関する調査が必要であると認められる希少疾病用医薬品以外の医薬品」への該当性を判断し、個別に審査の過程で判断することとする。(最長10年)

なお、当該医薬品が希少疾病用医薬品に該当する場合には、既に再審査期間上限の10年が適用されているため、これを超えることはないことを予め申し添える。

5.指定の取消し

指定の取り消しは2.の指定の要件のいずれかに該当しないことが明確になった時点で、先駆け審査指定を受けた者が指定の要件を充足しない旨コンシェルジュを通じて医薬品審査管理課に報告する。医薬品審査管理課はその後速やかに薬事・食品衛生審議会薬事分科会に報告する。

なお、医薬品審査管理課に指定要件を充足しない旨の報告がされた日をもって、4.に掲げる優先的な取扱いは停止することとし、薬事・食品衛生審議会薬事分科会への報告日をもって指定を取消すものとする。

6.その他

(1) 指定を受けた対象品目の開発に付随して、体外診断薬等の開発を合わせて検討する必要が生じた場合には、対象品目の開発・承認に遅延が生じないように、当該体外診断薬等についても必要な措置を講じることとするので、速やかにコンシェルジュに相談すること。

(2) 今後の運用等は、試行的実施の状況等を踏まえ、別途示すこととする。

様式1

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○医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品の先駆け審査指定制度の試行的実施(第四回)について

(平成30年9月7日)

(薬生機審発0907第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)

(公印省略)

世界に先駆けて、革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品を日本で早期に実用化すべく、その開発を促進するため、「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月24日閣議決定)及び「先駆けパッケージ戦略」(平成26年6月17日厚生労働省取りまとめ)を受け、「医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品の先駆け審査指定制度の試行的実施について」(平成27年7月1日付け薬食機参発0701第1号厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)通知)、「医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品の先駆け審査指定制度の試行的実施(第二回)について」(平成28年10月3日付け薬生機審発1003第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)及び「医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品の先駆け審査指定制度の試行的実施(第三回)について」(平成29年10月5日付け薬生機審発1005第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)のとおり、平成27年度より、先駆け審査指定制度を試行的に実施しました。

本年度も、医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品について、下記のとおり試行的に先駆け審査指定制度を実施することとしますので、貴管下関係業者に対して周知願います。

1.制度の趣旨等

これまで、国内で未承認又は適応外の医療機器及び体外診断用医薬品を解消するため、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の審査員の増員を通じて審査期間の短縮を図るとともに、学会等からの要望に基づき、医療上の必要性を評価した上で未承認医療機器等の開発要請を通じてこれらの解消に努めてきた。

今般、この考えを更に推し進め、患者に世界で最先端の医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品を最も早く提供することを目指し、先駆け審査指定制度(以下「本制度」という。)として、開発早期の段階から一定の要件を満たす画期的な医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品(以下「対象品目」という。)を指定し、承認に係る相談・審査における優先的な取扱いの対象とするとともに、申請者が承認審査のスケジュールに沿って法令上求められる製造体制を整備することや承認後円滑に医療現場に提供するための対応が十分になされることで、更なる迅速な実用化を促すものである。

この制度では、原則として新規原理、新規作用機序等により、生命に重大な影響がある重篤な疾患等に対して、極めて高い有効性が期待される医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品を指定することとする。

また、本制度ではPMDAにおいて指名される審査パートナー(以下「コンシェルジュ」という。)が、厚生労働省及びPMDA関係各部との連携を強化するとともに定期的な進捗管理を通じて開発の迅速化を可能とし、先駆け総合評価相談により事前評価を充実し、かつ優先審査の対象にすること等で、審査期間の短縮を目指す。

2.指定の要件

指定を受ける医療機器、体外診断用医薬品又は再生医療等製品は、以下の4つのすべての要件を満たすこと。

(1) 指定要件1:治療法/診断法の画期性

原則として、医療機器にあっては新規原理(新医療機器等)、体外診断用医薬品にあっては新規原理/新規測定項目、再生医療等製品にあっては新規作用機序を有すること。

(2) 指定要件2:対象疾患の重篤性

以下のいずれかの疾患に該当するものであること。

・ 生命に重大な影響がある重篤な疾患

・ 根治療法がなく症状(社会生活が困難な状態)が継続している疾患

(3) 指定要件3:対象疾患に係る極めて高い有効性

既存の治療法/診断法がない、若しくは、既存の治療法/診断法に比べて有効性の大幅な改善が見込まれる、又は、著しい安全性の向上が見込まれること。

(4) 指定要件4:世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思・体制

日本における早期開発を重視し、世界に先駆けて日本で承認申請される(同時申請も含む)予定のものであり、承認申請できる体制を有していること。

なお、非臨床試験の結果等により、有効性等が一定程度期待できる医療機器、体外診断用医薬品又は再生医療等製品であって、日本を含めた形で治験を実施するものが望ましい。

3.指定の手続

(1) 対象品目への指定申請

対象品目への指定を希望する場合は、平成30年10月1日~11月30日の公募期間を設定するので、所定期間内に様式1(先駆け審査指定制度対象品目指定申請書)(別紙及び根拠資料を含む。)により厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課(以下「医療機器審査課」という。)に当該候補品目の指定申請をすること。様式1は紙媒体(正本1部、副本9部)及び電子媒体で郵送又は持参により提出すること。(平成30年11月30日必着)

なお、1社で複数申請する場合は、まとめて提出すること。

郵送の場合

〒100―8916 東京都千代田区霞が関1―2―2

厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課

先駆け審査指定制度担当宛て

(2) ヒアリング

(1)により申請された各品目について、平成30年11月5日~平成31年1月18日までを目処に医療機器審査課においてヒアリングを実施する。ヒアリングは様式1及びその根拠資料に基づき実施する。ヒアリングで申請資料の修正等の指示があった場合には、その指示に応じること。

(3) 予備的審査

今回の試行では指定申請が多く行われる可能性があることから、先駆け審査指定に係る評価を適当な期間内に完了するため、また、特定の分野で候補品目が過度に多くならないようにするため、医療機器審査課で予備的審査を行うことがある。

(4) 候補品目の評価及び指定

予備的審査を実施した場合には通過した候補品目、予備的審査を実施しなかった場合には全候補品目に対して、申請資料をPMDAと共有し、PMDAの評価も踏まえた上で、特に優れていると判断されたものについて医療機器審査課で最終的な指定の可否の判断を行い、公表する。なお、これまでの指定品目も含め、特定の分野ごとの総指定数も考慮する。また、薬事・食品衛生審議会薬事分科会に選定結果を報告する。

4.指定された医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品の優先的な取扱い及び留意事項

(1) 優先相談

PMDAで実施されている対面助言等で、他の医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品に優先した取扱いを受けることができる。

(2) 事前評価の充実

PMDAで実施されている先駆け総合評価相談を受けることができる。ただし、申請から承認までの期間を短縮させるために(例えば、医療機器では6か月以内)申請前からこれらの枠組みを積極的に活用する必要があることから、コンシェルジュに相談し、指定を受けた後から承認申請までに、原則、全ての相談区分で先駆け総合評価相談を利用すること。

例えば、品質管理や信頼性調査については、承認申請後速やかに日程調整・調査が実施可能となるように、早期の段階から当該調査に必要な情報等を準備することを含め、積極的に相談等の枠組みを活用することに意義があると考えられる。

(3) 優先審査

指定品目はその内容に鑑み、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器法」という。)第23条の2の5第9項及び第23条の25第7項に規定する「医療上特にその必要性が高いと認められるもの」に該当するため、対象品目への指定をもって優先審査の取扱いを行うこととする。

(4) コンシェルジュ

厚生労働省及びPMDAの連絡調整を行うことができる適当な者として、PMDAにおいて指名される者が、当該対象品目の開発の進捗管理の相談、申請者及び承認審査関係部署との調整を行う。指定後1週間を目安に当該対象品目に係るコンシェルジュを対象品目の先駆け審査指定を受けた者に連絡する。

5.指定の取消し

指定の取り消しは、2.の指定の要件のいずれかに該当しないことが明確になった時点で、先駆け審査指定を受けた者が指定の要件を充足しない旨コンシェルジュを通じて医療機器審査課に報告する。医療機器審査課はその後速やかに薬事・食品衛生審議会薬事分科会に報告する。

なお、医療機器審査課に指定要件を充足しない旨の報告がされた日をもって、4.に掲げる優先的な取扱いは停止することとし、薬事・食品衛生審議会薬事分科会への報告日をもって指定を取消すものとする。

6.その他

(1) 「医薬品の先駆け審査指定制度の試行的実施(第四回)について」(平成30年9月7日付け薬生薬審発0907第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)に基づき先駆け審査指定を受けた医薬品の有効性又は安全性の向上等の目的で使用するコンパニオン診断薬等(体外診断用医薬品又は医療機器)については、当該指定を受けた医薬品の開発・承認に遅延が生じないように、2.の指定の要件及び3.指定の手続に関わらず、先駆け審査指定制度の指定を受けることがある。その場合、5.指定の取消しについては、指定を受けた医薬品の取扱いに準ずることとする。

(2) 今後の運用等は、試行的実施の状況等を踏まえ、別途示すこととする。

様式1―1

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様式1―2

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様式1―3

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