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○住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)の改正について

(平成31年3月15日)

(/生食発0315第2号/国土動第125号/国住指第4036号/国住街第397号/観観産第663号/)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官、国土交通省土地・建設産業局長、国土交通省住宅局長、国土交通省観光庁次長通知)

民泊サービスの適正な運営を確保しつつ、健全な民泊の普及を図ることを目的とした住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)が平成30年6月15日に施行され、運用がなされているところである。

今般、住宅宿泊事業法施行規則(平成29年厚生労働省・国土交通省令第2号)が改正されたこと等に伴い、住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)を改正したので、別添のとおり通知する。改正内容も踏まえ、引き続き、その運用に遺漏なきよう取り計らわれたい。

また、都道府県においては、貴管内市町村(保健所設置市及び特別区を除く。)に対し、周知徹底されたい。

別添

平成29年12月26日策定

最終改正 平成31年3月15日(平成31年4月1日適用)

住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)

厚生労働省医薬・生活衛生局

国土交通省土地・建設産業局

国土交通省住宅局

国土交通省観光庁

住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)

目次

1―1.定義関係

(1) 住宅の定義(法第2条第1項関係)

① 設備要件に関する考え方について

② 居住要件に関する考え方について

③ その他留意事項について

(2) 住宅宿泊事業の定義(法第2条第3項関係)

① 日数の算定に関する考え方について

② その他留意事項について

(3) 住宅宿泊管理業務の定義(法第2条第5項関係)

① 住宅宿泊事業の適切な実施のために必要な届出住宅の維持保全について

② 宿泊者の退室後の状況確認等について

(4) 住宅宿泊管理業の定義(法第2条第6項関係)

① 「住宅宿泊管理業」について

② 住宅宿泊管理業に該当しない場合について

(5) 住宅宿泊仲介業等の定義(法第2条第8項~第10項関係)

① 「住宅宿泊仲介業」について

2―1.住宅宿泊事業の届出

(1) 住宅宿泊事業の届出(法第3条第1項関係)

① 届出の方法について

② 届出の単位等に関する考え方について

③ 届出の効力等に関する考え方について

④ 届出に関連して実施することが望ましい措置について

⑤ その他留意事項について

(2) 住宅宿泊事業の届出事項(法第3条第2項関係)

① 各届出事項に関する考え方について

② 届出の様式の記載についての留意事項について

(a) 住宅宿泊事業届出書(国・厚規則第1号様式)

(b) 届出事項変更届出書(国・厚規則第2号様式)

(c) 廃業等届出書(国・厚規則第3号様式)

③ その他留意事項について

(3) 住宅宿泊事業の届出の添付書類(法第3条第3項関係)

① 各添付書類等に関する考え方について

② その他留意事項について

2―2.住宅宿泊事業の実施

(1) 宿泊者の衛生の確保(法第5条関係)

① 必要な措置について

② その他留意すべき事項について

(2) 宿泊者の安全の確保(法第6条関係)

① 安全措置について

② 避難経路の表示にあたっての留意事項について

③ 消防法令との関係について

(3) 外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保について(法第7条関係)

① 必要な措置の実施方法等について

(4) 宿泊者名簿の備付け(法第8条関係)

① 本人確認の方法等について

② 宿泊者名簿等について

③ その他留意事項について

(5) 周辺地域の生活環境への悪影響への防止に関し必要な事項の説明(法第9条関係)

① 必要な事項の説明方法について

② 騒音の防止のために配慮すべき事項について

③ ごみの処理に関し配慮すべき事項について

④ 火災の防止のために配慮すべき事項について

⑤ 外国語を用いた説明について

⑥ その他配慮すべき事項について

(6) 周辺地域の住民からの苦情等への対応(法第10条関係)

① 苦情等への対応について

(7) 住宅宿泊管理業務の委託(法第11条第1項関係)

① 委託について

② 住宅宿泊管理業者への通知について

③ 一時的な不在に関する考え方について

④ その他の留意事項について

(8) 標識の掲示(法第13条関係)

① 標識の掲示に関する考え方について

② 標識の発行に関する考え方について

(9) 都道府県知事等への定期報告(法第14条関係)

① 定期報告の方法について

② 届出事項の内容について

③ 住宅宿泊管理業者から住宅宿泊事業者への報告について

④ その他の留意事項について

2―3.住宅宿泊事業の監督

(1) 監督(法第15条~法第17条関係)

① 旅館業法との関係に関する考え方について

② 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律との関係等に関する考え方について

③ その他の留意事項について

2―4.その他

(1) 条例による住宅宿泊事業の実施の制限(法第18条関係)

① 政令に定める基準の考え方について

② ゼロ日規制等に対する考え方について

③ 条例の検討にあたっての留意事項について

④ その他条例制定に係る事項について

(2) 保健所設置市等及びその長による住宅宿泊事業等関係行政事務の処理(法第68条関係)

3―1.住宅宿泊管理業の登録の申請等

(1) 住宅宿泊管理業の登録の申請(法第23条1項関係)

① 登録の申請の方法について

② 登録の申請等の様式の記載についての留意事項について

(a) 住宅宿泊管理業者登録申請書(国規則第1号様式)

(b) 誓約書(国規則第4号様式)

(c) 誓約書(国規則第6号様式)

(d) 登録事項変更届出書(国規則第7号様式)

(e) 廃業等届出書(国規則第8号様式)

(f) 標識(国規則第10号様式)

③ 申請に対する処分に係る標準処理期間について

(2) 営業所又は事務所について(法第23条第1項第4号関係)

① 営業所又は事務所の範囲について

② 実態のない営業所又は事務所について

(3) 住宅宿泊管理業の登録申請の添付書類(法第23条第2項関係)

① 各添付書類について

② 登録申請の添付書類の一部省略について(国規則第6条第3項関係)

(4) 登録番号の取り扱い(法第24条第1項関係)

(5) 登録における申請者及び都道府県知事等への通知(法第24条第2項関係)

(6) 財産的基礎要件(法第25条第1項第10号関係)

(7) 「住宅宿泊管理業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない者」(法第25条第1項第11号関係)

① 「管理受託契約の締結に係る業務の執行が法令に適合することを確保するための必要な体制が整備されていると認められない者」について(国規則第9条第1号関係)

② 「住宅宿泊管理業務を適切に実施するための必要な体制が整備されていると認められない者」について(国規則第9条第2号関係)

(8) 変更の届出等(法第26条関係)

① 変更の届出方法について

② 変更の届出の処理について

(9) 登録事項変更届出書への添付書類(法第26条第4項関係)

① 法人の役員における変更事項について(国規則第10条第2項)

② 変更に係る事項が法人の場合に必要な添付書類について

③ 変更に係る事項が個人の場合に必要な添付書類について

④ 相続人等による変更における取り扱いについて

(10) 廃業等の届出(法第28条関係)

3―2.住宅宿泊管理業の業務

(1) 公正誠実義務(法第29条関係)

(2) 誇大広告等の禁止(法第31条関係)

① 「誇大広告等」について

② 「誇大広告をしてはならない事項」について

③ 「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」について

(3) 「委託者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」(法第32条第1号関係)

(4) 委託者の保護に欠ける禁止行為(法第32条第2号関係)

① 「委託者に迷惑を覚えさせるような時間」について(国規則第13条第1号関係)

② 「住宅宿泊管理業務の適切な実施を確保できないことが明らかであるにもかかわらず、当該住宅宿泊管理業務に係る管理受託契約を締結する行為」について(国規則第13条第3号関係)

(5) 管理受託契約締結前の説明事項(法第33条第1項関係)

① 「住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅」について(国規則第14条第2号関係)

② 「住宅宿泊管理業務の内容及び実施方法」について(国規則第14条第3号関係)

③ 「住宅宿泊事業者が通常必要とするもの」について(国規則第14条第5号関係)

④ 「住宅宿泊管理業務の一部の再委託に関する事項」について(国規則第14条第6号関係)

⑤ 「責任及び免責に関する事項」について(国規則第14条第7号関係)

⑥ 「契約期間に関する事項」について(国規則第14条第8号関係)

⑦ 「契約の更新及び解除に関する事項」について(国規則第14条第9号関係)

(6) 「住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅」(法第34条第1項第1号関係)

(7) 「住宅宿泊管理業務の実施方法」(法第34条第1項第2号関係)

(8) 「契約期間に関する事項」(法第34条第1項第3号関係)

(9) 「報酬に関する事項」(法第34条第1項第4号関係)

(10) 「契約の更新又は解除に関する定め」(法第34条第1項第5号関係)

(11) 「その他国土交通省令で定める事項」(法第34条第1項第6号関係)

① 「住宅宿泊管理業務の内容」について(国規則第17条第2号関係)

② 「一部の再委託に関する定め」について(国規則第17条第3号関係)

③ 「責任及び免責に関する定め」について(国規則第17条第4号関係)

(12) 住宅宿泊管理業務の再委託の禁止(法第35条関係)

① 本条の趣旨について

② 再委託における責任について

③ 再委託の対象範囲について

(13) 住宅宿泊管理業務の実施(法第36条関係)

① 住宅宿泊事業の適切な実施のための届出住宅の維持保全について

② 宿泊者の衛生確保について

③ 宿泊者の安全の確保について

④ 宿泊者名簿の作成・備付けについて

⑤ 周辺地域の生活環境への悪影響の防止に必要な事項の説明について

⑥ 苦情等への対応について

(14) 従業者証明書の携帯(法第37条第1項関係)

(15) 帳簿の記載事項(法第38条関係)

① 「契約の対象となる届出住宅」について(国規則第19条第1項第3号関係)

② 「受託した住宅宿泊管理業務の内容」について(国規則第19条第1項第4号関係)

③ 「報酬の額」について(国規則第19条第1項第5号関係)

④ 「管理受託契約における特約その他参考となる事項」について(国規則第19条第1項第6号関係)

⑤ 「電子計算機その他の機器」について(国規則第19条第2項関係)

(16) 住宅宿泊事業者への定期報告(法第40条関係)

① 「住宅宿泊管理業務の実施状況」について(国規則第21条第1項第2号関係)

② 「住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅の維持保全の状況」について(国規則第21条第1項第3号関係)

③ 「住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅の周辺地域の住民からの苦情の発生状況」について(国規則第21条第1項第4号関係)

3―3.住宅宿泊管理業の監督

(1) 業務改善命令(法第41条第1項及び第2項関係)

① 国土交通大臣と都道府県知事等との関係について

(2) 立入検査(法第45条関係)

4―1.住宅宿泊仲介業の登録関係

(1) 住宅宿泊仲介業の登録(法第46条関係)

① 登録の申請の方法について

(2) 住宅宿泊仲介業の登録申請事項(法第47条第1項関係)

① 登録についての考え方について

② 届出の様式の記載についての留意事項について

(a) 住宅宿泊仲介業者登録申請書(国規則第12号様式)

(b) 誓約書(国規則第13号様式)

(c) 誓約書(国規則第14号様式)

(d) 登録事項変更届出書(国規則第15号様式)

(e) 廃業等届出書(国規則第16号様式)

(f) 標識(国規則第17号様式)

③ 申請に対する処分に係る標準処理期間について

(3) 住宅宿泊仲介業の登録申請の添付書類(法第47条第2項関係)

(4) 住宅宿泊仲介業の登録の拒否(法第49条関係)

① 不誠実な行為等をするおそれがあると認められる者について(第49条第1項第6号関係)

② 財産的基礎要件(法第49条第1項第10号関係)

③ 住宅宿泊仲介業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない者について(法第49条第1項第11号関係)

(5) 変更の届出等(法第50条関係)

(6) 廃業等の届出(法第52条関係)

4―2.住宅宿泊仲介業約款(法第55条関係)

① 住宅宿泊仲介業約款の策定について

② 住宅宿泊仲介業約款の公示について

4―3.住宅宿泊仲介業務に関する料金の公示等(法第56条関係)

4―4.不当な勧誘等の禁止(法第57条関係)

4―5.違法行為のあっせん等の禁止(法第58条関係)

① 法令に違反する行為のあっせん等について(法第58条第1号関係)

② 法令に違反するサービスの提供を受けることのあっせん等について(法第58条第2号関係)

③ あっせん等の広告の禁止について(法第58条第3号関係)

④ 届出をした者であるかどうかの確認を怠る行為について(法第58条第4号関係)

4―6.住宅宿泊仲介契約の締結前の書面の交付(法第59条関係)

① 宿泊者が宿泊する届出住宅について(国規則第40第3号関係)

② 対価について(国規則第40条第5号関係)

③ サービスの内容について(国規則第40条第6号関係)

④ 対価に含まれていない宿泊に関する費用について(国規則第40条第7号関係)

⑤ 宿泊者の資格について(国規則第40条第11号関係)

⑥ 安全性等の情報について(国規則第40条第12号関係)

4―7.物件の適法性に関する情報の表示

4―8.住宅宿泊仲介業者から観光庁への報告

5―1.その他

(1) 権限委任について(法第69条関係)

① 地方整備局長等による住宅宿泊管理業者の監督権限の行使について

② 委任された監督権限の具体的運用方針について

(2) 登録免許税について(法附則第6条関係)

① 登録免許税の納税地について(登録免許税法第8条第1項関係)

(a) 住宅宿泊管理業の登録に係る登録免許税の納税地について

(b) 住宅宿泊仲介業の登録に係る登録免許税の納税地について

② 非課税の場合について(登録免許税法第5条第13号関係)

③ 過誤納金等について(登録免許税法第31条関係)

(a) 住宅宿泊管理業の登録に係る登録免許税の過誤納金等について

(b) 住宅宿泊仲介業の登録に係る登録免許税の過誤納金等について

1―1.定義関係

(1) 住宅の定義(法第2条第1項関係)

① 設備要件に関する考え方について

・ 「台所」、「浴室」、「便所」、「洗面設備」は必ずしも1棟の建物内に設けられている必要はない。同一の敷地内の建物について一体的に使用する権限があり、各建物に設けられた設備がそれぞれ使用可能な状態である場合には、これら複数棟の建物を一の「住宅」として届け出ることは差し支えない。例えば、浴室のない「離れ」について、浴室のある同一敷地内の「母屋」と併せて一つの「住宅」として届け出る場合が該当する。

・ これらの設備は、届出住宅に設けられている必要があり、届出の対象に含まれていない近隣の公衆浴場等を浴室等として代替することはできないこととする。

・ これらの設備は必ずしも独立しているものである必要はなく、例えば、いわゆる3点ユニットバスのように、一つの設備が複数の機能(浴室、便所、洗面設備)を有している場合であっても、それぞれの設備があるとみなすこととする。

・ これらの設備は、一般的に求められる機能を有していれば足りる。例えば浴室については、浴槽がない場合においてもシャワーがあれば足り、便所については和式・洋式等の別は問わない。

② 居住要件に関する考え方について

・ 住宅宿泊事業法施行規則(平成29年厚生労働省・国土交通省令第2号。以下「国・厚規則」という。)第2条第1号に規定する「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」とは、現に特定の者の生活が継続して営まれている家屋である。「生活が継続して営まれている」とは、短期的に当該家屋を使用する場合は該当しない。当該家屋の所在地を住民票上の住所としている者が届出をする場合には、当該家屋が「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」に該当しているものとして差し支えない。

・ 国・厚規則第2条第2号に規定する「入居者の募集が行われている家屋」とは、住宅宿泊事業を行っている間、分譲(売却)又は賃貸の形態で、人の居住の用に供するための入居者の募集が行われている家屋である。なお、社員寮として入居希望社員の募集が行われている家屋等、入居対象者を限定した募集がされている家屋もこれに該当する。

・ また、「入居者の募集」について、広告において故意に不利な取引条件を事実に反して記載している等入居者の募集の意図がないことが明らかである場合は、「入居者の募集が行われている家屋」には該当しない。

・ 国・厚規則第2条第3号に規定する「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」とは、純然たる生活の本拠としては使用していないものの、これに準ずるものとして、その所有者等により随時居住の用に供されている家屋である。また、当該家屋は、既存の家屋において、その所有者等が使用の権限を有しており、少なくとも年1回以上は使用しているものの、生活の本拠としては使用していない家屋である。なお、居住といえる使用履歴が一切ない民泊専用の新築投資用マンションは、これに該当しない。

(随時居住の用に供されている家屋の具体例)

・ 別荘等季節に応じて年数回程度利用している家屋

・ 休日のみ生活しているセカンドハウス

・ 転勤により一時的に生活の本拠を移しているものの、将来的に再度居住の用に供するために所有している空き家

・ 相続により所有しているが、現在は常時居住しておらず、将来的に居住の用に供することを予定している空き家

・ 生活の本拠ではないが、別宅として使用している古民家

③ その他留意事項について

・ 一般的に、社宅、寮、保養所と称される家屋についても、その使用実態に応じて「住宅」の定義に該当するかを判断する。

・ 住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号。以下「法」という。)において、住宅宿泊事業に係る住宅については、人の居住の用に供されていると認められるものとしており、住宅宿泊事業として人を宿泊させている期間以外の期間において他の事業の用に供されているものは、こうした法律の趣旨と整合しないため、国・厚規則第2条柱書において本法における住宅の対象から除外している。なお、このような住宅の定義を踏まえ、法第21条において、届出住宅については、建築基準法(昭和25年法律第201号)上も「住宅」、「長屋」、「共同住宅」又は「寄宿舎」としている。

・ また、高齢者や子供、障害者等の宿泊者のため、届出住宅のバリアフリー対応がなされることが望ましい。

(2) 住宅宿泊事業の定義(法第2条第3項関係)

① 日数の算定に関する考え方について

・ 法第2条第3項において、住宅宿泊事業については、宿泊料を受けて届出住宅に人を宿泊させた日数が1年間で180日を超えないものであるとされているところ、「人を宿泊させた日数」とは、住宅宿泊事業者ごとではなく、届出住宅ごとに算定するものであり、住宅宿泊事業者の変更等があったとしても、国・厚規則第3条に規定する期間内において人を宿泊させた日数は通算する。このため、住宅宿泊事業を新たに営もうとする者は、当該期間における当該住宅の宿泊実績について、届出先の都道府県又は保健所設置市等(以下「都道府県等」という。)に確認する等の対応を自ら講じることにより、意図せずに法令に違反することのないよう努めるものとする。

・ 日数の算定については、宿泊料を受けて届出住宅に人を宿泊させた日数について算定するのであり、宿泊者を募集した日数ではなく、実際に人を宿泊させた日数で算定する。

・ 人を宿泊させた日数については、上記のとおり、届出住宅ごとに算定することから複数の宿泊グループが同一日に宿泊していたとしても、同一の届出住宅における宿泊であれば、複数日ではなく、1日と算定する。

・ また、同様の考え方から、複数の住戸や複数棟の建物を一つの届出住宅として届け出ている場合は、これらのうちいずれかの建物に人を宿泊させた場合は、1日と算出する。

・ 宿泊料を受けて届出住宅に人を宿泊させた実績があるのであれば、短期間であるかどうか、日付を超えているかどうかは問わず、1日と算定される。

② その他留意事項について

・ 法第2条第3項に規定する「旅館業法第3条の2第1項に規定する営業者」とは、旅館業法(昭和23年法律第138号)に基づく営業の許可を受けた施設において旅館業を営んでいる者のことである。ある施設で旅館業法の許可を受け、旅館業を営んでいる者であったとしても、旅館業法に基づく許可を受けていない住宅において人を宿泊させようとする者については含まない。

・ 「人を宿泊させる事業」とは、旅館業法における「人を宿泊させる営業」の考え方と同様とし、一般的な施設の使用貸借に留まるか宿泊営業としての性質を有するかの考え方としては、

(i) 施設の管理・経営形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められること。

(ii) 施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないことを原則として、営業しているものであること。

の2点に該当するものについては、宿泊営業となる。

・ 住宅宿泊事業は旅館業と異なり宿泊拒否の制限を課しておらず、宿泊の条件として、合理的な範囲で宿泊者に対し一定の要件を課しても本法に反しない。ただし、宿泊拒否の理由が差別的なものである場合や偏見に基づくものである場合は社会通念上、不適切となることもあるため留意することが必要である。

(3) 住宅宿泊管理業務の定義(法第2条第5項関係)

① 住宅宿泊事業の適切な実施のために必要な届出住宅の維持保全について

・ 住宅宿泊事業は、人が居住し日常生活を営む空間に人を宿泊させるものであり、その適切な実施のために必要な届出住宅の維持保全として、人が居住し日常生活を営むために必要な機能を維持する必要がある。具体的には、届出住宅に設ける必要がある台所、浴室、便所、洗面設備が正常に機能するものであるほか、人が日常生活を営む上で最低限必要な水道や電気などのライフライン、ドアやサッシ等の届出住宅の設備が正常に機能するよう保全することが必要である。また、空室時における施錠の確保や、住宅又は居室の鍵の管理も届出住宅の維持保全に含まれる。

② 宿泊者の退室後の状況確認等について

・ 宿泊者の退室後の届出住宅については、住宅及び設備の破損の有無や、宿泊者の遺失物の有無等について確認し、宿泊前の状態と大きな乖離がないよう維持することが必要である。

(4) 住宅宿泊管理業の定義(法第2条第6項関係)

① 「住宅宿泊管理業」について

・ 住宅宿泊管理業を社会通念上事業の遂行とみることができる程度に行う状態を指すものであり、その判断は、次の事業性の有無を参考に諸要因を勘案して総合的に行われるものとする。

<事業性の有無>

反復継続性の如何を問わず、一回限りとして住宅宿泊事業者から委託を受ける場合でも事業性が認められるため住宅宿泊管理業に該当する。なお、報酬を得ずに住宅宿泊管理業務を行う場合は、住宅宿泊管理業には該当しないが、金銭以外の形で実質的に対価を得る場合には該当し得る。

② 住宅宿泊管理業に該当しない場合について

・ 住宅宿泊事業者から法第11条第1項に基づく委託を受けた住宅宿泊管理業者から再委託を受けて住宅宿泊管理業務の一部の事実行為を行う場合には、住宅宿泊管理業には該当しない。また、住宅宿泊事業者が届出住宅に不在とならない場合等法第11条第1項に基づく住宅宿泊管理業務の委託が必要とならない場合であって、届出住宅の清掃等の住宅宿泊管理業務の一部を住宅宿泊事業者の責任の下において他者に委託する場合には、その委託された者は、法第2条第7項に規定する住宅宿泊管理業者には該当しない。ただし、これらの行為を法第22条第1項の登録を受けた住宅宿泊管理業者が行う場合であって、それらの行為によって住宅宿泊管理業の適正な運営の確保に支障を生ずるような場合には、法第41条の住宅宿泊管理業者に対する業務改善命令の対象となり得る。

(5) 住宅宿泊仲介業等の定義(法第2条第8項~第10項関係)

① 「住宅宿泊仲介業」について

・ 住宅宿泊仲介業を社会通念上事業の遂行とみることができる程度に行う状態を指すものであり、その判断は、次の営利性の有無及び事業性の有無を参考に諸要因を勘案して総合的に行われるものとする。

<営利性の有無>

事業者が法第2条第8項第1号及び第2号に掲げる行為を行うことによって経済的収入を得ていれば報酬となる。金銭以外の形であっても、実質的に対価を得る場合には報酬に該当し得る。なお、国、地方公共団体、公的団体又は非営利団体が実施する事業であったとしても、報酬を得て法第2条第8項第1号及び第2号に掲げる行為を行う場合は、住宅宿泊仲介業の登録が必要である。

<事業性の有無>

宿泊の手配を行う旨の宣伝をしている等行為の反復継続の意思が認められる場合には、事業性があるといえる。

2―1.住宅宿泊事業の届出

(1) 住宅宿泊事業の届出(法第3条第1項関係)

① 届出の方法について

・ 「住宅宿泊事業を営む旨の届出」については、住宅の所在地を管轄する都道府県知事又は保健所設置市等の長(以下「都道府県知事等」という。)に対して行うものとする。

・ 届出は、民泊制度運営システムを利用して行うことを原則とする。

② 届出の単位等に関する考え方について

・ 「住宅」とは、1棟の建物である必要はなく、建物の一部分のみを住宅宿泊事業の用に供する場合には、当該部分が法第2条第1項に規定する「住宅」の要件を満たしている限りにおいて、当該部分を「住宅」として届け出ることができる。例えば、1棟の建物内で店舗と住宅といったように複数の用途が併存する建物においては、店舗部分を除いた住宅部分のみ「住宅」として使用することが可能とされているのであれば、その部分のみを「住宅」として届け出ることができる。このため、届出の際に添付する住宅の図面についても、国・厚規則第4条第4項第1号チ(同項第2号ホに規定するものを含む。)に規定する事項が明示されていれば、住宅宿泊事業の用に供する部分のみを対象とすることで足りる。

③ 届出の効力等に関する考え方について

・ 本法及び国・厚規則で規定している届出書の記載事項及び添付書類は、届出者が、届出住宅について使用権限を有していること、事業実施のために必要となる事項を満たしていること及び欠格事由に該当しないことについて確認するために求めることとしているため、記載事項又は添付書類に不備があり、形式的要件を満たしていない届出は受け付けられないこととなる。また、届出を受け付けた都道府県知事等は、すみやかに届出番号の通知を行う必要がある。なお、届出番号が通知されない場合には標識の掲示ができないこととなる。届出番号が通知される前に事業を開始した場合には法第13条に規定する標識に届出番号を記載できないことから、同条に違反しているものとして罰則等の対象となる。

・ 住宅宿泊事業は一の「住宅」について、一の事業者による届出のみ可能であり、既に届出がされている「住宅」について、重複して届け出ることはできない(※)。

なお、既存の住宅宿泊事業者が届出住宅の使用権限を失っている等により事業を行うことができないことが明らかであることが確認できた場合は、当該事業者に対して事業の廃止の届出を求めることとし、30日以上を経過して事業者より廃止の届出がなされない場合は、当該届出住宅における住宅宿泊事業については事業が廃止されたものとみなして差し支えない。

※ 重複して届け出ることはできないが、届出住宅の共同所有者、届出住宅の住民票に記載されている者、賃貸人と賃借人等が、事業を共同で実施している場合等、連名者間の関係性が明確であれば連名で届出することも可能。また、住宅宿泊事業者が行うこととされている業務については、連名者全員が責任を負うこととなる。一方、欠格事由及び罰則については、連名者ごとに適用される。

④ 届出に関連して実施することが望ましい措置について

・ 住宅宿泊事業を営む旨の届出を行うにあたっては、届出者から周辺住民に対し住宅宿泊事業を営む旨を事前に説明することが望ましい。

・ 宿泊者、近隣住民等が住宅宿泊事業の届出の有無について確認することを可能とするため、都道府県知事等は、その届出番号及び住所を公表することが望ましい。

なお、情報の公表にあたっては、都道府県等の個人情報保護条例等との整合や、プライバシーへの配慮等も踏まえて具体的な公表方法を検討することが望ましい。

⑤ その他留意事項について

・ 住宅宿泊事業を営む旨の届出を行うにあたっては、事業を取り巻くリスクを勘案し、適切な保険(火災保険、第三者に対する賠償責任保険等)に加入することが望ましい。

・ 他者に委任されて届出がなされた場合は、都道府県知事等は委任状を確認する等その真正性を確認する必要がある。

(2) 住宅宿泊事業の届出事項(法第3条第2項関係)

① 各届出事項に関する考え方について

・ 行政の都合上何らかの理由で届出書の記載等ができない場合は、当該記載事項について記載を省略することが可能である。例えば、国・厚規則第4条第3項第6号に規定する「住宅の不動産番号」について、住宅を登記しているにもかかわらず、当該住宅に不動産番号が付与されていない場合は、地番と家屋番号により不動産が特定できる場合においては、当該不動産番号の記載は省略できると考えられる。

・ 「役員」とは、次に掲げる者をいう。

(i) 株式会社においては、取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)及び監査役

(ii) 合名会社、合資会社及び合同会社においては、定款をもって業務を執行する社員を定めた場合は、当該社員。その他の場合は、総社員

(iii) 財団法人及び社団法人においては、理事及び監事

(iv) 特殊法人等においては、総裁、理事長、副総裁、副理事長、専務理事、理事、監事等法令により役員として定められている者

・ 国・厚規則第4条第2項第3号に規定する「法第32条第1号に規定する管理受託契約の内容」については、法第34条第1項に基づき管理受託契約の締結に際して住宅宿泊管理業者から住宅宿泊事業者に交付される書面に記載されている事項を届け出る必要がある。当該事項が管理受託契約の契約書面に記載されている場合には、当該契約書面の写しを提出することによって届出を行ったものとみなして差し支えない。

・ 国・厚規則第4条第3項第8号に規定する「一戸建ての住宅、長屋、共同住宅又は寄宿舎の別」については、以下を参考に、届出住宅の実態に応じて記載することとする。

A.一戸建ての住宅:いわゆる一戸建ての住宅。屋内で行き来できる2世帯住宅も含む。

B.長屋:一の建物を複数世帯向けの複数の住戸として利用し、共用部分(共用廊下や共用階段)を有しないもの(住戸ごとに台所、浴室、便所等の設備を有する。)

C.共同住宅:一の建物を複数世帯向けの複数の住戸として利用し、共用部分(共用廊下や共用階段)を有するもの(住戸ごとに台所、浴室、便所等の設備を有する。)

D.寄宿舎:一の建物を複数世帯向けの複数の住戸として利用し、複数住戸で台所、浴室、便所等の設備を共用するもの

・ 国・厚規則第1号様式に記載する「居室の面積」とは、宿泊者が占有する面積のことを表す(宿泊者の占有ではない台所、浴室、便所、洗面所、廊下のほか、押入れや床の間は含まない)。具体的には、簡易宿所の取扱いと同様に算定することとする。なお、内寸面積(壁の内側、実際の壁から壁までの距離を対象とした面積)で算定することとする。

・ 国・厚規則第1号様式に記載する「宿泊室の面積」とは、宿泊者が就寝するために使用する室の面積を表す(宿泊室内にある押入れや床の間は含まない)。なお、面積の算定方法は壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(建物を真上から見た面積)とする。

・ 国・厚規則第1号様式に記載する「宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く。)の面積」とは、宿泊者の占有か住宅宿泊事業者との共有かを問わず、宿泊者が使用する部分の面積であり、宿泊室の面積を除いた面積を表す(台所、浴室、便所、洗面所のほか、押入れや床の間、廊下を含む。)。なお、面積の算定方法は「宿泊室の面積」の場合と同様とする。

・ 国・厚規則第4条第3項第10号に規定する「住宅に人を宿泊させる間、届出者が不在(法第11条第1項第2号の国土交通省令・厚生労働省令で定める不在を除く。)とならない場合」とは、法第6条に規定する安全の措置の設置義務の有無を確認するために求めるものであり、届出住宅に人を宿泊させる間、住宅宿泊事業者が居住(別荘等の届出住宅において住宅宿泊事業者が滞在する場合も含む。)しており、法第11条第1項第2号に規定する一時的な不在を除く不在とならない場合のことである。ここでは、届出住宅内に居住していることが必要であり、国・厚規則第9条第4項に規定するような、例えば、届出住宅に隣接して居住する場合は対象とならないことに留意する必要がある。なお、共同住宅や長屋における複数の住戸や同一敷地内の「母屋」と「離れ」などの複数棟の建物を一つの届出住宅として届け出る場合、住戸、棟ごとに届け出るべき内容は異なるため、共同住宅や長屋の場合は住戸ごとに、同一敷地内の複数棟の場合は棟ごとに届出事項を記載する必要がある。

・ 国・厚規則第4条第3項第11号に規定する「賃借人」には賃借人の親族が賃貸人である場合の賃借人も含まれ、同項第12号に規定する「転借人」には転借人の親族が転貸人である場合の転借人も含まれる。同条第4項第1号リ及びヌ並びに同項第2号ホに規定するものについても同様である。

なお、共同所有者からの承諾は、届出事項とはしていないが、事業開始後にトラブルが発生しないよう、権利関係の調整を行う等、十分に注意を行うことが必要である。

・ 国・厚規則第4条第3項第13号に規定する「規約で住宅宿泊事業を営むことを禁止する旨の定め」については、住宅宿泊事業を禁止する場合のほか、「宿泊料を受けて人を宿泊させる事業」のように、住宅宿泊事業を包含する事業を禁止する場合も含む。また、一定の態様の住宅宿泊事業のみ可能とする規約の場合は、それ以外の態様は禁止されていると解される。(規約における禁止規定の規定例についてはマンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメントを参照。)なお、規約が定められていない場合は、専有部分の用途は限定されてないものと解されることから、住宅宿泊事業を禁止する旨の定めはないものと考えられる。

「規約に住宅宿泊事業を営むことについての定めがない」場合において、「管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がない」とは、管理組合の総会や理事会における住宅宿泊事業を営むことを禁止する方針の決議がないことである。

② 届出の様式の記載についての留意事項について

・ 日本語で作成する必要があるが、名称、住所等の固有名詞については、外国語で記載することができる。

(a) 住宅宿泊事業届出書(国・厚規則第1号様式)

・ 届出者が法人である場合は、届出者の「商号又は名称」には、当該事項を記入し、「氏名」には、当該法人の代表者の氏名を記入した上で、押印又は署名をすることとする。届出者が個人である場合は、「商号又は名称」がある場合は、当該事項を記入し、「氏名」には、届出者の氏名を記入した上で、押印又は署名をすることとする。

・ 届出者又は法定代理人が法人である場合は、「商号、名称又は氏名及び住所」、「法定代理人に関する事項」、「法定代理人の代表者に関する事項(法人である場合)」、「法定代理人の役員に関する事項(法人である場合)」、「役員に関する事項(法人である場合)」については、登記事項証明書に記載されたものを記入することとする。

・ 届出者(個人の場合)、代表者、法定代理人(個人の場合)、法定代理人の代表者、法定代理人の役員並びに役員の氏名及び住所については、住民票に記載された氏名及び住所を記入することとする。外国籍の者の場合は、日本国政府の承認した外国政府の発行した書類やこれに準じる書類に記載された住所及び氏名を記載することとする。

・ 「法定代理人の役員に関する事項(法人である場合)」については、法定代理人の役員全員について記載することとする。

・ 「役員に関する事項(法人である場合)」については、法人の役員全員について記載することとする。

・ 「住宅に関する事項」の「所在地」の記載にあたっては、当該住宅を明確にするため、建物・アパート名及び部屋番号を記載することとする。

・ 「営業所又は事務所に関する事項(営業所又は事務所を設ける場合)」については、届出住宅以外の営業所又は事務所であって当該届出住宅に係る住宅宿泊事業に関連する全ての営業所又は事務所について記載することとする。

(b) 届出事項変更届出書(国・厚規則第2号様式)

・ (a)住宅宿泊事業届出書(国・厚規則第1号様式)と同様。なお、住宅宿泊事業者に変更があった場合には、変更の届出ではなく、廃業の届出をし、新規で別の事業者が届出を行う必要がある。

(c) 廃業等届出書(国・厚規則第3号様式)

・ 「氏名」については、届出者の氏名を記入した上で、押印又は署名をすることとする。

・ 「商号、名称又は氏名」については、住宅宿泊事業届出書(国・厚規則第1号様式)に記入したとおり記入することとする。

③ その他留意事項について

・ 例えば、届出住宅において食事を提供する場合は、食品衛生法に従うことが必要であり、届出者は関係する他の法令にも抵触しないよう自ら確認する必要がある。

・ 法第3条第2項柱書に規定する「住宅宿泊事業を営もうとする住宅ごと」とは、国・厚規則第1条に規定する「台所、浴室、便所、洗面設備」が設けられている単位を最小単位とする。

・ 都道府県知事等においては、提出された届出書に基づき住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)を利用して届出者の実在を確認する必要がある。

(3) 住宅宿泊事業の届出の添付書類(法第3条第3項関係)

① 各添付書類等に関する考え方について

・ 国・厚規則第4条第4項に規定されている添付書類については、届出書の記載事項が正確であること、届出者が、届出住宅について使用権限を有していること、事業実施のために必要となる事項を満たしていること及び欠格事由に該当しないことについて確認するために必要なものであって、届出を受け付ける行政側で確認できない書類に限って求めることとしている。そのため、例えば、住民票の提出については、住基ネットの活用により届出者の実在が確認できない場合に限り求めるものであり、一律に住民票の提出を求めることは適切ではない。

・ 届出書の添付書類は、日本語又は英語で記載されたものに限る。英語の場合は、日本語による翻訳文を添付する必要がある。特別の事情で届出書に添付する書類が日本語又は英語で提出できない場合は、その他の言語で記載された書類に、日本語による翻訳文を添付することにより、提出することができる。

・ 官公署(日本国政府の承認した外国政府又は権限のある国際機関を含む。)が証明する書類は、届出日前3月以内に発行されたものとし、官公署から発行された書類を提出することとする(都道府県等において書類の正確性が確認できる場合等において、必ずしも原本を求めることは必要ではない。)。

・ 国・厚規則第4条第4項第1号イに規定する「定款又は寄附行為」は、商号、事業目的、役員数、任期及び主たる営業所又は事務所の所在地が登記事項証明書の内容と一致しているものであって、現在効力を有するものとする。外国法人においては、日本国政府の承認した外国政府又は権限のある国際機関の発行した書類その他これに準じるもので、商号、事業目的、役員数、任期及び主たる営業所又は事務所の所在地の記載のあるものを提出することとする。

・ 国・厚規則第4条第4項第1号ロに規定する「登記事項証明書」は、外国法人においては、日本国政府の承認した外国政府又は権限のある国際機関の発行した書類その他これに準じるもので、法人名、事業目的、代表者名、役員数、任期及び主たる営業所又は事務所の所在地の記載のあるものとする。

なお、登記事項証明書に記載されている所有権の登記名義人については、原則として届出者又は届出住宅の賃貸人となるが、登記名義人がこれら以外の者である場合においても、届出者が届出住宅を相続等により所有していることが明らかである場合や、届出者の親が所有する物件を届出者が無償で使っており、親が、当該物件において住宅宿泊事業を実施することについて承諾をしていることが確認できる場合においては、届出を行うことができる。

・ 国・厚規則第4条第4項第1号ハに規定する「役員が、成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の後見等登記事項証明書」は、外国籍の役員においては、国・厚規則第4条第4項第1号ニの書類と重複するため、ハの書類については提出する必要はない。

・ 国・厚規則第4条第4項第1号ニに規定する「役員が、民法の一部を改正する法律附則第三条第一項及び第二項の規定により成年被後見人及び被保佐人とみなされる者並びに破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村の長の証明書」は、外国籍の役員においては、日本国政府の承認した外国政府又は権限のある国際機関の発行した書類その他これに準じるもので、成年被後見人及び被保佐人並びに破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者と同様に取り扱われている者に該当しない旨を証明する書類とする。当該書類が存在しない場合は、成年被後見人及び被保佐人並びに破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に相当するものに該当しない者であることを公証人又は公的機関等が証明した書類を提出することとする。

・ 国・厚規則第4条第4項第1号ヘ(同項第2号ホに規定するものを含む。)に規定する「入居者の募集が行われていることを証する書類」とは、当該募集の広告紙面の写し、賃貸不動産情報サイトの掲載情報の写し、募集広告の写し、募集の写真その他の入居者の募集が行われていることを証明する書類をいう。なお、賃貸(入居者)の募集をしていることについては、都道府県知事等が必要に応じて報告徴収により確認することが望ましい。

・ 国・厚規則第4条第4項第1号ト(同項第2号ホに規定するものを含む。)に規定する「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されていることを証する書類」とは、届出住宅周辺における商店で日用品を購入した際のレシートや届出住宅と自宅の間の公共交通機関の往復の領収書の写し、高速道路の領収書の写しその他の随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されていることを証明する書類をいう。

・ 国・厚規則第4条第4項第1号チ(同項第2号ホに規定するものを含む。)に規定する「住宅の図面」は、必要事項が明確に記載されていれば、手書きの図面であっても差し支えない。

・ 国・厚規則第4条第4項第1号リ及びヌ(同項第2号ホに規定するものを含む。)に規定する「転貸を承諾したことを証する書面」は、住宅宿泊事業を行うことが可能かどうかについて明記されている必要がある。賃貸借契約書にその旨が明記されていない場合は、別途、賃貸人等が住宅宿泊事業を行うことを承諾したことを証する書類が必要となる。

・ 国・厚規則第4条第4項第1号カ及び同項第2号ニの誓約書については、それぞれ様式A、様式Bを用いるほか、法に規定する欠格事由に該当しない旨を記載した書面であって署名又は押印があるものが該当する。

・ 国・厚規則第4条第4項第1号ヲ(同項第2号ホに規定するものを含む。)に規定する「管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確認したことを証する書類」とは、届出者が管理組合に事前に住宅宿泊事業の実施を報告し、届出時点で住宅宿泊事業を禁止する方針が総会や理事会で決議されていない旨を確認した誓約書(様式C)、又は本法成立以降の総会及び理事会の議事録その他の管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確認したことを証明する書類をいう。

・ 国・厚規則第4条第4項第2号イに規定する「届出者が、成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の後見等登記事項証明書」は、外国籍の届出者においては、第4条第4項第2号ロの書類と重複するため、イの書類については提出する必要はない。

・ 国・厚規則第4条第4項第2号ロに規定する「届出者が、民法の一部を改正する法律附則第三条第一項及び第二項の規定により成年被後見人及び被保佐人とみなされる者並びに破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村の長の証明書」は、外国籍の届出者においては、日本国政府の承認した外国政府又は権限のある国際機関の発行した書類その他これに準じるもので、成年被後見人及び被保佐人並びに破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者と同様に取り扱われている者に該当しない旨を証明する書類とする。当該書類が存在しない場合は、成年被後見人及び被保佐人並びに破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に相当するものに該当しない者であることを公証人又は公的機関等が証明した書類を提出することができる。

・ 国・厚規則第4条第4項第2号ハに規定する「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であって、その法定代理人が法人である場合においては、その法定代理人の登記事項証明書」は、外国法人においては、日本国政府の承認した外国政府又は権限のある国際機関の発行した書類その他これに準じるもので、法人名、事業目的、代表者名、役員数、任期及び主たる営業所又は事務所の所在地の記載のあるものとする。

・ 国・厚規則第4条第5項に規定する「住民票の抄本又はこれに代わる書面」は、外国籍の届出者においては、住民票の抄本が提出できないときは、住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第30条の45に規定する国籍等の記載のあるものに限る。

・ 国・厚規則第4条第6項において、想定している場合とは、以下の例のように、書類の添付がなくても届出事項の正確性が確認できるため、重複して書類の添付を求めることが不要である場合である。

<国・厚規則第4条第6項において、想定している例>

・ 同一の建築物内にある複数の住宅を同時に届け出る場合等において、登記事項証明書等は、一の住宅について原本が添付されていれば、他の住宅については写しの添付で足りるとすること。

・ 一の事業者が、複数の届出を行う場合等において、当該届出を受ける都道府県等が当該事業者及びその役員等に関する添付書類について、既存の届出の際に提出された添付書類等により確認できる場合は、当該添付書類等の提出は省略できるとすること。

② その他留意事項について

・ 都道府県知事等は、「その他国土交通省令・厚生労働省令で定める書類」のほか、届出住宅が消防法令に適合していることを担保し、住宅宿泊事業の適正な運営を確保する目的から、消防法令適合通知書を届出時にあわせて提出することを求めるものとする。なお、「住宅宿泊事業の届出に伴う消防法令適合通知書の交付について」(平成29年12月26日付消防予第389号)を参考にすることとする。

・ 法第6条の安全措置について、その実施内容を把握するため、届出の際の添付書類である住宅の図面には、国土交通省関係住宅宿泊事業法施行規則(平成29年国土交通省令第65号。以下「国規則」という。)第1条第1号及び第3号に規定する措置の実施内容(2―2.(2)①安全措置についてに記載している非常用照明器具の位置、その他安全のための措置の内容等)について明示することとする。なお、これらの実施内容が記載されていない場合は、本事業の適正な運営の確保のため、必要に応じて実際の措置の実施内容について報告徴収を行うことも想定される。

2―2.住宅宿泊事業の実施

(1) 宿泊者の衛生の確保(法第5条関係)

① 必要な措置について

・ 感染症等衛生上のリスクは、不特定多数の宿泊者が一カ所に集中することにより高まるものであることから、居室の宿泊者1人当たりの床面積を、3.3m2以上確保することとする。

・ 居室の床面積は、宿泊者が占有する部分の面積を指す(宿泊者の占有ではない台所、浴室、便所、洗面所、廊下のほか、押入れ、床の間は含まない。)。具体的には、旅館業法に基づく簡易宿所の取扱いと同様に算定することとする。なお、内寸面積で算定することとする。

・ 届出住宅の設備や備品等については清潔に保ち、ダニやカビ等が発生しないよう除湿を心がけ、定期的に清掃、換気等を行うこととする。

・ 寝具のシーツ、カバー等直接人に接触するものについては、宿泊者が入れ替わるごとに洗濯したものと取り替えることとする。

・ 宿泊者が人から人に感染し、重篤な症状を引き起こすおそれのある感染症に罹患し又はその疑いがあるときは、保健所に通報するとともに、その指示を受け、その使用した居室、寝具、及び器具等を消毒・廃棄する等の必要な措置を講じることとする。その他公衆衛生上の問題を引き起こす事態が発生し又はそのおそれがあるときは、保健所に通報することとする。衛生管理のための講習会を受講する等最低限の衛生管理に関する知識の習得に努めることとする。

・ 届出住宅に循環式浴槽(追い炊き機能付き風呂・24時間風呂など)や加湿器を備え付けている場合は、レジオネラ症を予防するため、宿泊者が入れ替わるごとに浴槽の湯は抜き、加湿器の水は交換し、汚れやぬめりが生じないよう定期的に洗浄等を行うなど、取扱説明書に従って維持管理することとする。(「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」(平成15年厚生労働省告示第264号)等を参考)。

② その他留意すべき事項について

・ 住宅宿泊事業の規模や実態に応じて、「旅館業における衛生等管理要領」(平成12年生衛発1811号厚生省生活衛生局長通知)を参考に、適切な衛生措置が講じられることが望ましい。

(2) 宿泊者の安全の確保(法第6条関係)

① 安全措置について

・ 具体的な非常用照明器具の設置方法及びその他宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置については、国規則第1条第1号及び第3号並びに平成29年国土交通省告示第1109号に規定しており、届出住宅の建て方や規模等に応じた安全措置の適用については表1のとおりとする。

(表1)届出住宅の建て方と規模等に応じた安全措置の適用要否

安全措置の内容

(告示の条項)

届出住宅の建て方と規模等

一戸建ての住宅、長屋

共同住宅、寄宿舎

家主同居※1で宿泊室の床面積が50m2以下

左記以外

家主同居※1で宿泊室の床面積が50m2以下

左記以外

非常用照明器具

(第一)

×

×

防火の区画等

(第二第一号)

×

※複数のグループが複数の宿泊室に宿泊する場合のみ

×

※複数のグループが複数の宿泊室に宿泊する場合のみ

その他の安全措置

(第二第二号イ~ホ)

○※2

×

○:適用あり(原則措置が必要) ×:適用なし(特段の措置不要)

※1 届出住宅に住宅宿泊事業者が居住しており、不在(法第11条第1項第2号の一時的なものは除く。)とならない場合を指す。(不在については、2―2.(7)③一時的な不在に関する考え方についてを参照。)

※2 宿泊者の使用に供する部分等の床面積や階数が一定以下である届出住宅の場合は不要となる。

② 避難経路の表示にあたっての留意事項について

・ 国規則第1条第2号に規定する「避難経路」の表示にあたっては、市町村の火災予防条例により規制される地域もあることから、当該条例の規制内容を確認し、規定された事項を表示に盛り込む必要がある。

・ 住宅周辺の状況に応じ、災害時における宿泊者の円滑かつ迅速な避難を確保するため、住宅宿泊事業者等が宿泊者に対して避難場所等に関する情報提供を行うことが望ましい。

③ 消防法令との関係について

・ 法第6条に基づく安全措置のほか、消防法令に基づき設備や防火管理体制等に関する規制を受ける場合や、市町村の火災予防条例に基づき防火対象物使用開始届出書の提出が必要となる場合があるため、当該規制の適用の有無等について、届出の前に建物の所在地を管轄する消防署等に確認する必要がある(「住宅宿泊事業法に基づく届出住宅等に係る消防法令上の取扱いについて(通知)」(平成29年10月27日付消防予第330号)を参照)。

(3) 外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保について(法第7条関係)

① 必要な措置の実施方法等について

・ 法第7条に規定する措置の実施にあたっては、必要な事項が記載された書面を居室に備え付けることによるほか、タブレット端末への表示等により、宿泊者が届出住宅に宿泊している間必要に応じて閲覧できる方法によることが望ましい。特に、災害時等の通報連絡先においては、緊急時にすみやかに確認することが可能なものを備え付けておくものとする。

・ 法第7条の「外国語」とは、宿泊予約の時点で日本語以外の言語として提示したものとする。なお、当該時点において、外国人宿泊者が日本語を指定した場合は、外国語で案内等を行う必要はない。

・ 国規則第2条第2号に規定する「移動のための交通手段に関する情報」とは、最寄りの駅等の利便施設への経路と利用可能な交通機関に関する情報をいう。

・ 国規則第2条第3号に規定する「火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内」とは、消防署、警察署、医療機関、住宅宿泊管理業者への連絡方法の情報を提供することをいう。

(4) 宿泊者名簿の備付け(法第8条関係)

① 本人確認の方法等について

・ 国・厚規則第7条第1項柱書に規定する「宿泊者名簿の正確な記載を確保するための措置」として、宿泊行為の開始までに、宿泊者それぞれについて本人確認を行う必要がある。

・ 上記の措置は、対面又は対面と同等の手段として以下のいずれも満たすICT(情報通信技術)を活用した方法等により行われる必要がある。

A 宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること。

B 当該画像が住宅宿泊事業者や住宅宿泊管理業者の営業所等、届出住宅内又は届出住宅の近傍から発信されていることが確認できること。

なお、当該方法の例としては、届出住宅等に備え付けたテレビ電話やタブレット端末等による方法が考えられる。

・ 本人確認の際の警察への協力等については、「住宅宿泊事業法の施行に伴う宿泊者名簿への記載等の徹底に関する依頼について」(平成29年警察庁丁備企発第246号・警察庁丁国テ発第489号)を受け、下記1から4の内容について、「住宅宿泊事業法に基づく宿泊者名簿への記載等の徹底について」(平成29年薬生衛発1222第1号生活衛生課長通知・平成29年観観産第602号観光産業課長通知)により各都道府県等の住宅宿泊事業主管部局長に対し、住宅宿泊事業者及び住宅宿泊管理業者へ周知、指導の徹底を要請し、また、「住宅宿泊事業法に基づく宿泊者名簿への記載等の徹底について」(平成29年国土動第112号不動産業課長通知)により地方整備局長、北海道開発局長又は沖縄総合事務局長(以下「地方整備局長等」という。)に対し、住宅宿泊管理業者へ周知、指導の徹底を要請しているところであり、住宅宿泊事業者等はこれに従って本人確認を行う必要がある。

1 宿泊者に対し、宿泊者名簿への正確な記載を働きかけること。

2 日本国内に住所を有しない外国人宿泊者に関しては、宿泊者名簿の国籍及び旅券番号欄への記載を徹底し、旅券の呈示を求めるとともに、旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存すること。なお、旅券の写しの保存により、当該宿泊者に関する宿泊者名簿の氏名、国籍及び旅券番号の欄への記載を代替しても差し支えない。

3 営業者の求めにも関わらず、当該宿泊者が旅券の呈示を拒否する場合は、当該措置が国の指導によるものであることを説明して呈示を求め、さらに拒否する場合には、当該宿泊者は旅券不携帯の可能性があるものとして、最寄りの警察署に連絡する等適切な対応を行うこと。

4 警察官からその職務上宿泊者名簿の閲覧請求があった場合には、捜査関係事項照会書の交付の有無に関わらず、当該職務の目的に必要な範囲で協力すること。

なお、当該閲覧請求に応じた個人情報の提供は、捜査関係事項照会書の交付を受けない場合であっても、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第23条第1項第4号に基づく適正な措置であり、本人の同意を得る必要はないものと解される。

② 宿泊者名簿等について

・ 宿泊者名簿には、宿泊者全員を記載する必要があり、代表者のみの記載は認められない。また、宿泊契約(宿泊グループ)ごとに宿泊者が分かるように記載することとする。

・ 宿泊者名簿の推奨様式は別途定める。

③ その他留意事項について

・ 国・厚規則第7条第2項第2号に規定する「住宅宿泊事業者の営業所又は事務所」とは、住宅宿泊事業者の住宅宿泊管理業務の拠点等である。

・ 長期滞在者には、定期的な清掃等の際に、チェックイン時に本人確認を行っていない者が届出住宅に宿泊するようなことがないよう、不審な者が滞在していないか、滞在者が所在不明になっていないか等について確認することが望ましい。特に宿泊契約が7日以上の場合には、定期的な面会等により上記の確認を行う必要がある。

(5) 周辺地域の生活環境への悪影響への防止に関し必要な事項の説明(法第9条関係)

① 必要な事項の説明方法について

・ 国・厚規則第8条第1項に規定する「書面の備付けその他の適切な方法」とは、必要な事項が記載された書面を居室に備え付けることによるほか、タブレット端末での表示等により、宿泊者が届出住宅に宿泊している間に必要に応じて説明事項を確認できるようにするためのものである。このため、必ずしも対面による説明が求められるものではない。

・ また、書面等の備付けにあたっては、宿泊者の目につきやすい場所に掲示する等により、宿泊者の注意喚起を図る上で効果的な方法で行う必要がある。

・ 当該説明が確実になされるよう、居室内に電話を備え付けること等により、事前説明に応じない宿泊者に対し注意喚起できるようにする必要がある。

② 騒音の防止のために配慮すべき事項について

・ 国・厚規則第8条第2項第1号に規定する「騒音の防止のために配慮すべき事項」とは、大声での会話を控えること、深夜に窓を閉めること、バルコニー等屋外での宴会を開かないこと、届出住宅内は楽器を使用しないこと等が想定されるが、住宅宿泊事業者は、届出住宅及びその周辺地域の生活環境に応じ適切な内容を説明することが必要である。

③ ごみの処理に関し配慮すべき事項について

・ 住宅宿泊事業に起因して発生したごみの取扱いは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)に従い、当該ごみは事業活動に伴って生じた廃棄物として住宅宿泊事業者が責任をもって処理しなければならない。

・ 国・厚規則第8条第2項第2号に定める「ごみの処理に関し配慮すべき事項」とは、宿泊者のごみによる届出住宅の周辺地域における生活環境への悪影響を防止するため、住宅宿泊事業者は、宿泊者に対し、宿泊者が届出住宅内で排出したごみについて、当該市町村における廃棄物の分別方法等に沿って、住宅宿泊事業者の指定した方法(届出住宅内の適切な場所にごみを捨てること等を含む。)により捨てるべきであること等を説明する必要がある。

④ 火災の防止のために配慮すべき事項について

・ 国・厚規則第8条第2項第3号に規定する「火災の防止のために配慮すべき事項」とは、ガスコンロの使用のための元栓の開閉方法及びその際の注意事項、初期消火のための消火器の使用方法、避難経路、通報措置等が想定されるが、住宅宿泊事業者は、届出住宅及びその周辺地域の生活環境に応じ適切な内容を説明する必要がある。

⑤ 外国語を用いた説明について

・ 外国語の扱いについては2―2.(3)外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保についての整理のとおりとする。

⑥ その他配慮すべき事項について

・ 国・厚規則第8条第2項第4号に規定する「届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項」とは、性風俗サービスを届出住宅内で利用しないことなど、過去の苦情内容を踏まえ、届出住宅の利用にあたって特に注意すべき事項のことである。なお、苦情が多発しているにもかかわらず法第9条の説明において何ら対応を講じない場合には業務改善命令等の対象となる。

(6) 周辺地域の住民からの苦情等への対応(法第10条関係)

① 苦情等への対応について

・ 深夜早朝を問わず、常時、応対又は電話により対応する必要がある。

・ 宿泊者が滞在していない間も、苦情及び問合せについては対応する必要がある。

・ 誠実に対応することが必要であり、例えば、回答を一時的に保留する場合であっても、相手方に回答期日を明示した上で後日回答する等の配慮が必要である。

・ 滞在中の宿泊者の行為により苦情が発生している場合において、当該宿泊者に対して注意等を行っても改善がなされないような場合には、現場に急行して退室を求める等、必要な対応を講じることとする。また、住宅宿泊管理業務の委託を受けた住宅宿泊管理業者が退室を求める場合には、宿泊契約の解除の権限を予め委託者から得ておくことが望ましい。

・ 苦情及び問合せが、緊急の対応を要する場合には、必要に応じて、警察署、消防署、医療機関等の然るべき機関に連絡したのち、自らも現場に急行して対応することが必要である。

(7) 住宅宿泊管理業務の委託(法第11条第1項関係)

① 委託について

・ 法第11条第1項に基づき、届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する場合は、一の住宅宿泊管理業者に委託しなくてはならず、複数の者に分割して委託することや、住宅宿泊管理業務の一部を住宅宿泊事業者が自ら行うことは認めないこととする。ただし、住宅宿泊管理業務の委託を受けた住宅宿泊管理業者が、他の者に住宅宿泊管理業務を一部に限り再委託することは差し支えない。

・ 委託義務の対象となる住宅宿泊管理業務の範囲は、法第2条第5項に規定するとおりであるが、届出住宅の維持保全に係る業務については、1―1.(3)住宅宿泊管理業務の定義の解釈を踏まえた上で、管理受託契約において対象範囲を明確に定める必要がある。

・ 法第11条第1項の委託は、管理受託契約で定める住宅宿泊管理業務の実施期間の始期においてなされたものと解される。したがって、委託の実施により国・厚規則第4条第4項第1号ワに規定する事項が変更となる場合には、当該始期までの間に、住宅宿泊事業者は、都道府県知事等に対して、当該変更内容を届け出る必要がある。

・ 国・厚規則第9条第4項第1号に規定する「敷地」は一つの建築物、又は用途上不可分の関係にある二つ以上の建築物のある一団の土地をいい、「隣接」については、地形等の状況にもよるが、同一敷地外の場合で、建築物間に視界や騒音の認識を妨げる遮蔽物がなく、両建築物間の移動を円滑に行うことができ、概ね道路一本分程度の距離の範囲内に双方の建築物が立地している場合をいう。「住宅宿泊事業者が当該届出住宅から発生する騒音その他の事業による生活環境の悪化を認識することができないことが明らかであるとき」とは、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が同一の共同住宅内にある場合や同一の敷地内にある場合等であっても、敷地が広範であるためそれぞれの住戸の距離が著しく離れている場合その他の自己の生活の本拠にいながら届出住宅で発生する騒音等を認識できないことが明らかである場合が該当する。生活環境の要素が多様であるため、一律の基準を設けることは困難であるが、例えば、騒音に関しては、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅が遮音される構造となっており、客観的に騒音が認識困難なものである場合などが想定される。なお、客観的に明白であると判断できない場合には、「明らかである」ことに該当しないものと考えられる。

・ 国・厚規則第9条第4項第2号に規定する「届出住宅の居室であって、それに係る住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者が自ら行うものの数の合計が五」を超える場合は、少なくとも超過分は住宅宿泊管理業者への委託の必要がある。なお、居室とは、届出住宅のうち、宿泊者が占有する部分のことをいい、そのうち、宿泊グループがそれぞれ独立して使い得る部屋の数が、居室の数になる。

② 住宅宿泊管理業者への通知について

・ 法第11条第1項に基づき委託する場合においては、国・厚規則第9条第1項第2号に規定するとおり、住宅宿泊事業者は委託しようとする住宅宿泊管理業者に対し、予め、法第3条第2項の届出書及び同条第3項の添付書類の内容を通知する必要がある。この際に通知する内容は、当該委託による届出事項の変更を反映する必要はなく、当該委託以前の内容を通知することで足りる。通知の方法は、電磁的な手段によることも差し支えない。

③ 一時的な不在に関する考え方について

・ 国・厚規則第9条第3項に規定する「日常生活を営む上で通常行われる行為」とは、生活必需品の購入等を想定したものであり、業務等により継続的に長時間不在とするものは該当しない。

・ 国・厚規則第9条第3項に規定する「日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間」とは、届出住宅が所在する地域の事情等を勘案する必要があるため、一概に定めることは適当ではないが、原則1時間とする。ただし、生活必需品を購入するための最寄り店舗の位置や交通手段の状況等により当該行為が長時間にわたることが想定される場合には、2時間程度までの範囲とする。

・ なお、住宅宿泊事業者は届出住宅を一時的に不在にする場合においても、宿泊者の安全の確保に努めることとする。

・ 国・厚規則第9条第3項に規定する「不在」とは、住宅宿泊事業者が届出住宅を不在にすることをいい、住宅宿泊事業者ではない他者が届出住宅に居たとしても、住宅宿泊事業者自身が不在としている場合は「不在」として取り扱われることとなる。例えば、住宅宿泊事業者の家族のみが届出住宅にいる場合や、住宅宿泊事業者が法人である場合は、従業員が届出住宅にいるかどうかに関わらず、原則として、委託義務の対象となる。

・ なお、宿泊者が全員外出しており、届出住宅にいない場合は、住宅宿泊事業者がその間不在となっても、国・厚規則第9条第3項に規定する「不在」とはならない。

・ 住宅宿泊事業法第11条第1項第2号後段及び住宅宿泊事業法施行規則第9条第4項の規定から、住宅宿泊事業者の生活の本拠として使用する住宅と同一建物内等にある届出住宅については、住宅宿泊管理業への委託が不要とされているが、この場合であっても、住宅宿泊事業者が生活の本拠として使用する住宅を不在(一時的な不在を除く)にする場合は、委託が必要となる。

④ その他の留意事項について

・ 本条に基づく住宅宿泊管理業者への委託をしている間に必ず不在にしなくてはならないということはない。住宅宿泊事業者が届出住宅にいる間においても、法第11条第2項の規定は適用される。本条に基づかない委託によって常時届出住宅内にいる住宅宿泊事業者(住宅宿泊管理業者に委託をせずに住宅宿泊管理業務を行う届出住宅の居室の数の合計が5以下の者に限る。)が、清掃等の一部の事実行為を住宅宿泊管理業者ではない専門業者に行わせることは可能である。この場合において、法第5条から第10条までの規定は住宅宿泊事業者に適用される。

(8) 標識の掲示(法第13条関係)

① 標識の掲示に関する考え方について

・ 標識は、住宅宿泊事業を実施している間は継続して掲示する必要がある。例えば、入居者募集を行っている賃貸物件において住宅宿泊事業を行う場合は、入居者が決まり、届出住宅を賃貸使用している間も、標識を掲示することが求められる。

・ 標識は、届出住宅の門扉、玄関(建物の正面の入り口)等の、概ね地上1.2メートル以上1.8メートル以下(表札等を掲げる門扉の高さから玄関ドアの標準寸法2メートルの高さ以内)で、公衆が認識しやすい位置に掲示することが望ましい。

・ 標識の掲示に当たっては、ラミネート加工等の風雨に耐性のあるもので作成又は加工を施すことが望ましい。

・ 共同住宅の場合にあっては、個別の住戸に加え、共用エントランス、集合ポストその他の公衆が認識しやすい箇所へ簡素な標識(※)を掲示することが望ましい。なお、分譲マンション(住宅がある建物が二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるものである場合)の場合は、標識の掲示場所等の取扱いについて、予め管理組合と相談することが望ましい。

・ 戸建て住宅の場合にあっても、届出住宅の門の扉(二世帯住宅等で玄関が複数ある場合や、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が同一の敷地内にある場合等)、玄関(門扉から玄関まで離れている場合等)等への掲示によるだけでは、公衆にとって見やすいものとならない場合には、簡素な標識(※)を掲示することが望ましい。

※ 簡素な標識とは、例えば、標識の一部分を、集合ポスト等の掲示が可能なスペースに合わせて掲示するといった方法が考えられる。

② 標識の発行に関する考え方について

・ 届出番号、住宅宿泊事業者等の連絡先等の正確な記載を確保し、また、記載事項の把握を容易にする観点等から、都道府県等が標識を発行する場合には、省令の様式に基づき届出を受け付けた都道府県等がその長の名称を記載した上で、発行するものとする。

・ この際、都道府県等において、様式を変更しない限りにおいて、偽造防止の観点からロゴマークを空いているスペースに記載すること、特殊なシールを貼付すること等様式に上乗せしても差し支えない。

(9) 都道府県知事等への定期報告(法第14条関係)

① 定期報告の方法について

・ 定期報告は、民泊制度運営システムを利用して行うことを原則とする。

② 届出事項の内容について

・ 国・厚規則第12条第1項第1号に規定する「届出住宅に人を宿泊させた日数」とは、法第2条第3項及び国・厚規則第3条の規定に基づき算定された日数のことをいう。

・ 国・厚規則第12条第1項第2号に規定する「宿泊者数」とは、実際に届出住宅に宿泊した宿泊者の総数をいう。

・ 国・厚規則第12条第1項第3号に規定する「延べ宿泊者数」とは、実際に届出住宅に宿泊した宿泊者について、1日宿泊するごとに1人と算定した数値の合計をいう。例えば、宿泊者1人が3日宿泊した場合は3人となる。

・ 国・厚規則第12条第1項第4号に規定する「国籍別の宿泊者数の内訳」とは、「宿泊者数」の国籍別の内訳をいう。

③ 住宅宿泊管理業者から住宅宿泊事業者への報告について

・ 法第11条第1項に基づき住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する場合には、宿泊者名簿の記載等を住宅宿泊管理業者が行うことから、当該報告に必要な宿泊者に関する情報を住宅宿泊管理業者が補完的に把握することが想定される。このため、住宅宿泊事業者が確実かつ正確な報告を行うため、必要に応じ、住宅宿泊事業者と住宅宿泊管理業者が締結する管理受託契約において定期的な情報提供について取り決めることが望ましい。

④ その他の留意事項について

・ 報告が行われない際には、都道府県知事等は、住宅宿泊事業者に対し連絡を行い、その督促を行うことが必要となる。仮に、連絡が取れない場合等には、必要に応じて現場の確認等を行い、事業の実態がないことが確認された場合には、事業廃止の届出期限が30日間であることから、確認後30日を経過した時点で、当該事業については事業が廃止されたものとみなして差し支えない。

2―3.住宅宿泊事業の監督

(1) 監督(法第15条~法第17条関係)

① 旅館業法との関係に関する考え方について

・ 住宅宿泊事業者として届出をした者が、1年間に180日を超えて人を宿泊させ、旅館業法の許可も取得していない場合は、超過した宿泊分については旅館業法第3条第1項に違反することとなる。

・ また、法第2条第1項に規定する住宅の定義に該当しなくなった施設において、人を宿泊させた場合にも、旅館業法第3条第1項に違反することとなる。

② 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律との関係等に関する考え方について

・ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。以下「風営法」という。)に関しては、都道府県公安委員会は、店舗型性風俗特殊営業(風営法第2条第6項第1号、第3号又は第4号の営業に限る。以下同じ。)の停止又は廃止の命令(以下「風営法による処分」という。)が行われた場合に、旅館業等を営んでいると称して、引き続き、店舗型性風俗特殊営業が営まれる事態を防止し、風営法による処分の実効性を担保すべく、当該施設を用いて営む旅館業等についても営業の停止を命ずることができることとされている。

・ 今般、法附則第5条において風営法第30条第3項を改正し、届出住宅において店舗型性風俗特殊営業を営む者が風営法違反等をした場合であって、都道府県公安委員会が店舗型性風俗特殊営業を営む者に対し風営法による処分をするときにおいても、当該届出住宅を用いて営む住宅宿泊事業について営業の停止を命ずることができることとした。

・ 届出住宅において、時間貸しなどによって実質的にいわゆるラブホテルの用途として住宅宿泊事業が行われる場合には都道府県警察による風営法に基づく対応のほか、本法に基づく本人確認等が適切に行われないおそれが高いので、業務改善命令、業務停止命令等によって厳格に取締りを行うこととなる。

③ その他の留意事項について

・ 法第15条及び第17条に規定する「住宅宿泊事業の適正な運営を確保するため必要があると認めるとき」とは、本法に基づき住宅宿泊事業者に課された義務が適切に履行されない場合のほか、本法の規定に明確に違反するとはいえない場合であっても、本法の目的等を踏まえ、適正な運営がなされていない場合も該当する。

・ 事業開始後に届出の要件を満たさなくなった場合、住宅宿泊事業を事実上営むことができなくなるため、住宅宿泊事業の廃止の届出をする必要があるが、当該事業者が住宅宿泊事業を廃止しない場合は、業務改善命令により適正に住宅宿泊事業を営める状態に事業の方法を変更すること等を命ずることが必要となる。この業務改善命令に従わない場合は、業務停止等を命ずることが必要となる。

・ 住宅宿泊事業に関する取締り等を民間に委託することについて、本法において、住宅宿泊事業に係る事務の他者への委託に関する規定は設けていないため、民間の事業者への委託は認められず、都道府県等の職員が行う必要がある。ただし、業務効率化の観点から公権力の行使以外の事実行為を民間の事業者に委託することは差し支えない。

2―4.その他

(1) 条例による住宅宿泊事業の実施の制限(法第18条関係)