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○食品衛生法等に基づく処分の理由の提示について

(平成30年3月29日)

(薬生食監発0329第1号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局食品監視安全課長通知)

(公印省略)

食品衛生法(昭和22年法律第233号)等に基づく処分の理由の提示については、行政手続法(平成5年法律第88号)第8条第1項(申請に対する拒否処分)及び第14条第1項(不利益処分)の規定により、申請者等に対し、当該処分の理由を示さなければならないこととされています。

特に食品衛生法に基づく営業の禁停止処分等の不利益処分の理由の提示については、処分の取消訴訟において、例えば、「法第6条に違反した」と記載されているのみで、処分の原因となる基本的事実関係や、違反した条項が具体的に示されておらず、行政手続法が求める理由の提示がなされていないとして処分の違法性が判決において指摘された例がみられることから、下記を踏まえ、必要な手続が適切になされるよう特段の御配慮をお願いします。

なお、営業の禁停止処分等を事業者に通知する際には、処分の理由も含めた通知内容を丁寧に説明するとともに、営業の禁停止期間中に取り組むべき内容(施設の清掃、衛生教育等)を十分に理解させることが必要であることを念のため申し添えます。

1 一般に、処分に理由の提示が求められるのは、処分庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨であり、その提示を欠く場合には、処分自体の取消しを免れないこと。

2 1の趣旨から理由の提示が求められている場合における理由の提示の程度は、特段の理由のない限り、いかなる事実関係に基づき、いかなる法規を適用して当該処分がされたのかを、処分の相手方において、その提示内容自体から了知し得るものでなければならず、単に抽象的に処分の根拠規定を示すだけでは、それによって当該規定の適用の原因となった具体的事実関係をも当然に知り得るような例外的な場合を除いては、理由の提示として十分でないこと。

3 以上を踏まえれば、食中毒を発生させ、食品衛生法第6条各号に違反したとして営業者に対して営業の禁停止処分を行う場合には、当該処分を通知する書面に、当該営業者、食品が食中毒の原因であると判断し、推定し、又は疑わしいとした根拠である食中毒調査を踏まえ、同条各号に違反したとする食品、それが同条各号のいずれに該当するか、当該営業者の行為が同条が禁止する行為(製造、販売等)のいずれに該当するかを記載するなど、具体的事実関係と適用する法条の適用関係が明らかになるよう記載することが必要であること。

※ 例えば、原因施設のみ特定し、原因食品が特定できない場合には、「当該施設において加工、販売された食品」と記載することが考えられる。

4 上記のことは、原因食品及び原因施設が一応推定しかできない又は疑わしい場合においても、危害の拡大防止のため、営業の禁停止処分等の必要な措置をできるだけ速やかに実施しなければならないこと等、従来からの食中毒事件に対する取扱いを変更するものではないこと。