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○食品への意図的な毒物等の混入の未然防止等に関する検討会報告書について(情報提供)

(平成26年7月2日)

(食安監発0702第1号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長通知)

(公印省略)

今般、別添のとおり農林水産省消費・安全局より「食品への意図的な毒物等の混入の未然防止等に関する検討会」報告書の送付がありましたので、業務の参考までに情報提供します。

なお、本報告書の参考資料については、農林水産省ホームページ(以下URL参照)より入手をお願いします。

また、食品関係団体に対しては、農林水産省の各担当課より別途情報提供されていることを申し添えます。

農林水産省ホームページ

http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/seisaku/140627.html

別添

○食品への意図的な毒物等の混入の未然防止等に関する検討会報告書について

(平成26年6月27日)

(26消安第1864号)

(厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課長・監視安全課長あて農林水産省消費・安全局消費・安全政策課長通知)

農林水産省消費・安全局では、昨年末に発生した冷凍食品への農薬混入事案を受けて本年3月にとりまとめられた再発防止に向けた政府全体の取組に沿い、事業者の食品防御等の取組を促進するため、4月より、「食品への意図的な毒物等の混入の未然防止等に関する検討会」を開催してきました。

このたび、同検討会の報告書を別添のとおりまとめましたので、お知らせします。

食品への意図的な毒物等の混入の未然防止等に関する検討会報告書

平成26年6月27日

目次

はじめに

1 本検討会において検討した事項

2 今般の食品への意図的なマラチオンの混入事案から得られる教訓

(1) 危機管理に関する問題

(2) 食品事業者のガバナンス

(3) 従業員によると思われる農薬混入を未然に防げなかった点(食品防御)

3 食品事業者が食品防御に取り組むに当たり参考となる事項

(1) 食品防御に対する意識を向上させる

(2) 意図的な混入をしたいと思わせない職場の風土をつくる

(3) 意図的な混入が実行し難い環境をつくる

(4) 食品防御の取組に参考となる資料

(5) その他

4 検討内容の食品事業者への普及等

(1) 個々の食品事業者の取組

(2) 関係業界等の取組

(3) 農林水産省の取組

(4) 消費者の皆様へ

おわりに

はじめに

平成25年12月29日、株式会社マルハニチロホールディングス(以下「(株)マルハニチロH」という。)(注)のグループ企業である株式会社アクリフーズ(以下「(株)アクリフーズ」という。)は、同社群馬工場が製造した数種類の冷凍食品から極めて高濃度(最大15,000ppm)のマラチオンが検出されたことから、群馬工場が製造する全製品を自主回収すると記者会見で公表した。

その後、同工場の準社員が群馬工場内で冷凍食品の製造中にマラチオンを故意に混入した容疑で平成26年1月25日に逮捕されたことを受けて、(株)マルハニチロHは、食品安全管理、危機管理対応に関するグループの抜本的対応策について検討するため第三者検証委員会を設置し、同委員会が5月29日にとりまとめた最終報告(提言)に基づき、対策を進めることとしている。

(株)アクリフーズで起こった食品への意図的なマラチオンの混入事案(以下「今般の事案」という。)は、食に対する消費者の信頼を揺るがすものであり、同様の事案の発生防止及び被害の拡大防止に当たり、事業者自らが消費者からの信頼を維持・確保するための措置を講じることができるよう、関係府省庁は3月14日に消費者安全情報総括官会議を開催し、政府としての今後の対応方針をとりまとめた。この中で、農林水産省は、「事業者による食品防御等の取組について検討する」こととした。

これを受け、農林水産省は、外部有識者からなる「食品への意図的な毒物等の混入の未然防止等に関する検討会」(以下「本検討会」という。)を平成26年4月に設置し、今般の事案から得られる食品事業者に対する教訓について検討するとともに、この中で指摘された食品事業者による食品防御の取組の促進について検討し、これらの検討結果について広く関係者への共有を図ることとした。

本検討会では、食品防御の考え方を確認するとともに、(株)アクリフーズの一連の事案から食品事業者が教訓とすべき事柄や課題について議論を行った。その結果、(株)アクリフーズの事案はかなりの特殊性を持った事案ではあるが、他の食品事業者は、本事案を他山の石として自社の取組を再点検し、類似の事象が発生しないよう取り組むことが重要であるとした。意図的な混入は、食品衛生対策だけで防止することは困難であり、また、どのような対策をしたとしても完全に防ぐことはできない。本検討会では、「食品中に意図的に異物が混入されるようなことがあり得る」という意識を持って、食品事業者が日々のリスク管理を行うことや、日ごろからの従業員との信頼関係を構築することの重要性とともに、併せて危機管理への対応が重要であることを改めて認識した。

以上のような観点から、本報告書のとりまとめを行った。本報告書が食品事業者にとって有益なものとなることを期待する。

――――――――――

(注) (株)マルハニチロHは、本年4月より、傘下の企業5社((株)アクリフーズを含む)と合併し、マルハニチロ株式会社(以下「マルハニチロ(株)」という。)となった。

1 本検討会において検討した事項

今般の事案は、(株)アクリフーズの特殊事情が大きく影響した、一企業において発生した問題であるが、他の食品事業者や関係業界も、これを他人事とせず、今般発生した事案の背景と当該企業の対応から、自身の今後の対応について学べるところは学んでいただくことが重要である。

本検討会では、

① マルハニチロ(株)の第三者検証委員会による本事案の検証結果等を参考として、食品業界全体で共有すべき発生防止に向けた教訓

② 既存の食品防御のガイドライン等を踏まえ、食品事業者が食品防御に取り組むに当たり参考となる事項等、

について検討するとともに、

③ これらの検討結果の食品事業者等への普及方策について検討した。

これらの検討を進めるに当たり、検討対象とする業態については、今般の事案が発生した食品製造業を中心とした。また、フードチェーン全体で食品の安全を考える際に、その各段階における食品安全の取組が、次の段階における食品の安全の基礎となると考えられ、検討結果は、セントラルキッチン方式をとっている外食、店舗内製造を行っている中食等の他の業態に応用できるほか、フードチェーン全体にわたる全ての関係者が共有できるものとすることを念頭に検討を進めた。

2 今般の食品への意図的なマラチオンの混入事案から得られる教訓

マルハニチロ(株)の第三者検証委員会は、本事案の検証と同社に対する再発防止のための提言を目的として、平成26年2月から同社への調査や関係者へのヒアリング等を行い、4月30日に検証結果に関する中間報告を、5月29日に最終報告を、それぞれ公表した。同第三者検証委員会は、本事件に対するマルハニチログループの対応について、4月30日に公表した中間報告の中で、(1)事案発生時の被害拡大防止のための初動体制の確保、(2)同社のガバナンスの強化、及び(3)食品防御の考え方の導入の3点が重要であると評価した。また、消費者重視の視点が何より重要であり、食品提供者として消費者への責任を果たすべきであると総括した。

5月29日に公表した最終報告の中では、今回の事件の背景にはマルハニチログループが抱える本質的な課題として(1)企業としてのミッションの欠如、(2)ガバナンスの弱さ、(3)コンプライアンス能力の不足が指摘され、マルハニチロ(株)への提言がとりまとめられている。

さらに、第三者検証委員会の最終報告では、「社会への提案」として(1)プライベートブランド商品に付随する問題、(2)食品防御についての社会の備え、(3)危機管理時の食品分析について、(4)第三者検証委員会からの消費者へのお願い、の4点がまとめられている。

中間報告・最終報告はマルハニチログループ独自の課題が多く含まれていることから、本検討会では、これらの報告を参考としつつ、他の食品事業者にとって参考となる事項を抽出するとの観点から検討を行った。

以下、その取りまとめについて、(1)危機管理に関する問題、(2)事業者のガバナンスの問題、(3)従業員によると思われる農薬混入を未然に防げなかった問題の3点について、整理して示すこととする。

(1) 危機管理に関する問題

第三者検証委員会は、今般の事案に対する当該企業の対応について、3つの点を指摘している。すなわち、①消費者から最初の苦情を11月に受け取ってから、事件として認識し、公表や製品の回収を行うまでに1か月半の遅れを生じたこと、②事態の重要性を誤認したこと、及び③食品提供者として消費者への責任感の不足により商品回収の対応が不十分であったことである。

① 多くの苦情を事件として認識するまでの遅れ等

(第三者検証委員会中間報告p.7~19,32頁)

第三者検証委員会は、(株)マルハニチロH及び(株)アクリフーズが消費者から11月に最初の異臭苦情を受け取り、また、同様の苦情がその後も続いたが、これを有害な事象と認識し、さらに公表・回収に着手するまで1か月半を要したことについて、「最初の苦情が来てから、これが有害な事象であることを認識するまでに1か月半かかった。特に組織間の危機意識の共有の失敗などにより原因究明のための外部検査の実施決定が遅れたことは問題である。」、「有機溶媒や高濃度農薬の混入が判明してから事件の公表や回収開始、行政への報告までに時間がかかった。特に最初の農薬混入の報告から発表まで、2日以上かかったことは問題である。」と評価している。

このことを踏まえ、食品事業者には以下の点が参考になるものと考える。

○ 苦情への対応や、商品回収等を含む危機対応については、予め対応手順を定めておくことにより、事故や事件が起きたときに慌てず、的確かつ迅速に対応することが重要である。これらの苦情対応や商品回収等に関する手順は文書化しておくことが望ましい。その際、特に、以下に留意すれば、いざというときに判断に迷うことなく、適切かつ迅速な対応に役立つ。

ア) 苦情を受けた際の調査や問題製品の回収等を判断する責任者とその権限を予め明確にする。その際、食品事業者(経営者)は、安全な食品を供給するという自らの社会的責任を踏まえて、当該責任者には、高位の者をもってあて、十分な権限を付与するとともに、日頃より十分な意思疎通を図ることが重要である。

イ) 苦情への対応や回収等の判断について、予め社内基準を明確化しておく。例えば、具体的にどのような苦情を受けたら分析結果が出る前でも回収を決断するか等を明記する。

ウ) 責任者への報告手順を明確にし、判断をする者に必要な情報を集中させる体制を作っておく。

エ) 経営陣や品質管理部門の責任者・担当者等は、危機管理マニュアルに即して対応できるよう日頃から訓練しておく。

② 事態の重要性に対する誤認

(第三者検証委員会中間報告p.17~22,32頁)

第三者検証委員会は、(株)マルハニチロが本事態の重要性を誤認したこと、特に当該製品の摂取者への健康影響について、急性参照量(ARfD)ではなく半数致死量(LD50)を用いて、当初「1度に60個のコーンクリームコロッケを食べないと発症しない量」等と誤って過小に評価したことについて、「原因が故意、事故に関わらず、健康に関する危害には迅速な対応が必要であるがそのスピードが非常に遅かった。特にその背景として、健康への影響を過小評価したことは致命的な問題である。この点が自ら是正されなかったことも極めて根が深い問題と考える。マルハニチログループの危機管理対応には大きな不備があった。」と評価している。

このことを踏まえ、食品事業者には以下の点が参考になるものと考える。

○ 品質管理の責任者及び担当者は、急性参照量(ARfD)等の食品安全や、関係法令に関する知識をはじめ、食品安全に係るリスク管理について平時から習得する努力をすることが必要である。

○ 特に、危機管理に関する組織体制では、食品安全や関係法令に関する知識や経験、判断力を考慮した適材適所の人材配置や、経営トップが早期から関与する体制を構築しておけば、問題の発生・拡大を最小限にとどめることが期待できる。

○ 危機管理マニュアル等において、消費者の視点から、健康への被害を想定し、迅速に判断し、対応する手順を予め定めるとともに、危機管理マニュアルに即して対応できるよう日頃から訓練しておけば、いざというときに慌てず、的確に対応することができる。その際、マニュアルで規定していないことには対応できないため、定期的に、新たな情報に基づき見直していく必要がある。

○ 消費者重視(自社製品による健康被害発生の可能性)の視点の不足や、商品の回収範囲や食品事業者への影響がなるべく少なければよいという安易な期待が判断を誤らせ、事案をかえって大きくしてしまう結果につながる場合があることも再認識する必要がある。

③ 食品提供者としての消費者への責任感の不足による商品回収の対応の失敗

(第三者検証委員会中間報告p.22~24,32頁)

第三者検証委員会は、(株)マルハニチロによる消費者への商品回収に係る情報提供について、「当初、消費者に回収対象商品名を正確に伝えなかった。年末最終営業日に回収の必要性が判明しているにも関わらず休みに入ってから対応したために、広報や必要な問い合わせ電話の設置等対応に時間がかかった。また不正確な数字を根拠に回収率を情報提供したのは適切ではなかった。」と評価している。

第三者検証委員会の中間報告では、商品回収への対応に関し、以下のように指摘している。

ア) 消費者への回収働きかけについては、最も重要な回収対象の「商品名」を、当初は正確に消費者に伝えなかったほか、消費者が多数の回収対象商品を認知するために必要な商品写真などの告知手段も公表前に準備していなかった。また、ウェブサイトや新聞社告は企業が消費者に直接情報を届けることができる極めて重要な手段であるという認識に欠け、情報提供が不十分であった。更に、回収対象物量の想定に関する根拠が不足しており、あやふやな推定により数字を出すべきではなかった。

イ) 消費者からの問い合わせ対応については、コールセンター設置の初動が遅れ、また、10万件を超える入電数を想定していなかったため、受電体制(回線数と要員)を早期に整えられなかった。ある程度安定するまでには10日以上を要した。

ウ) 消費者との重要な接点である流通企業に対して、情報提供やコミュニケーションが不足し、店頭告知や商品回収に向けた組織的な連携ができなかった。また、プライベートブランドオーナーへの情報提供を早期に均一に行うべきであった。

エ) 年末年始9連休や深夜におけるマスメディアへの緊急連絡体制が十分に構築できていなかった。また、報道資料に対する事前チェック機能が不十分であり、内容に不備があるまま公表された。

オ) 消費者、メディア、流通企業等に対する情報提供を統轄している組織がなく、それぞれへの提供のタイミングや内容にばらつきがあった。

行政への商品回収に対する報告が遅れ、また、回収をスムーズに行うためのシミュレーションなどの実践的な準備ができていなかった。

以上のとおり、工場の全商品を回収することへの準備、また、商品回収を年末年始休暇中に発表及び実施することへの準備の不足により、消費者が家庭等に保有する商品の回収に当たって混乱を生じることとなった。

以上を踏まえ、食品事業者には以下の点が参考になるものと考える。

○ 食品事業者が定める回収に係る危機管理マニュアルに、回収範囲の決定や回収の方法、公表や消費者等への対応方法など、必要な事項を具体的に網羅することにより実際の対応に役立つ。

○ 回収等に際しては、プライベートブランド商品の製造委託元である流通事業者や商品の販売事業者・製造事業者等及び行政との連携が重要となり、平時から情報を交換・共有するとともに、休日・夜間等も含めた連絡先を準備すること等、食品の安全の確保に責任を有する製造事業者と流通事業者が、連携して対応できるように検討しておくことが、緊急時の円滑な対応に不可欠である。

○ 当該事業者が回収する可能性のある範囲を想定した回収のシミュレーションを行い、マニュアルに即して対応できるよう訓練しておくことにより、回収商品の保管や消費者からの問い合わせへの対応、流通事業者への対応等、予め具体的な課題を洗い出すことができ、いざというときにも的確に対応することに役立つ。

○ 管理者は、従業員に対し、日頃の業務にあたって、商品の向こう側には消費者がいることを意識付けし、消費者への責任感を醸成していくことにより、いざというとき消費者の安全を考えた対応をとることに役立ち、食品事業者にとっても消費者からの信頼獲得につながる。

○ 自社製品の事故情報は食品事業者にとってネガティブな情報だが、消費者の安全を考え、積極的に発信するなど、事故後の対応が食品事業者に対する消費者の信頼を左右すると考える。

(2) 食品事業者のガバナンス

第三者検証委員会は、マルハニチログループの組織構造についての問題として、「マルハニチログループの組織が巨大で複雑であるため、責任の所在が明らかでなく、情報の共有化も不十分であった。そのため意思決定と実行に大きな支障が出たことは問題である。」と評価している。

(第三者検証委員会中間報告p.5~7,24~25,32頁)

(株)マルハニチロHの子会社に(株)マルハニチロ食品、その子会社に(株)アクリフーズが連なるという三層構造の経営体制になっている中、(株)アクリフーズは独自の経営理念を掲げて独立的な経営路線を堅持していた。一方、親会社である(株)マルハニチロHと(株)マルハニチロ食品も、(株)アクリフーズの経営に対して積極的に関与しておらず、(株)アクリフーズの独立的な経営を容認し、ホールディングスとしてのコントロールは行わなかった。また、直近の顧客対応は三社共同分担とはいうものの、その実態は(株)アクリフーズの本社と群馬工場の品質保証室を含めた4部署で顧客苦情処理を分担する結果、迂遠で時間のかかるシステムとなっていた。

また、新人事制度の導入を、準社員たちは賃金引き下げ策と理解した。人事評価について準社員に十分な説明がされず、また、評価者たる係長・班長が製造現場にいないことから評価に疑問を抱き、不満が強まった。準社員と上司や経営層との間で納得感のあるコミュニケーションはとられなかった。

本件は、以上の要因が重畳して発生したものであり、食品防御体制の脆弱性や商品回収に当たっての失敗もこうしたガバナンス不全のもたらしたものと言えよう。

以上を踏まえ、食品事業者には以下の点が参考になるものと考える。

○ 経営体制や品質保証(顧客対応)の体制は、食品安全問題等を的確に把握し、回収等の判断を行う上で責任体制が明確となっているか、今般のような事案が自社で発生した等の想定の下で見直してみることが役立つ。

○ 企業統合等によりグループ経営を行っている食品事業者は、グループ内の特定部門や子会社を聖域化することなく、食品の安全についてグループ全体に食品事業者の使命を徹底することが必要である。また、グループ全体の品質管理を統括する品質管理責任者や、消費者の「監視の眼」を活かす社外・独立役員の設置等を行っている事業者の例も参考となる。

○ また、苦情対応や商品回収、従業員への各種説明などの手続きについて、自社の体制を見直すことも同様である。

(3) 従業員によると思われる農薬混入を未然に防げなかった点(食品防御)

第三者検証委員会は、「給料の減少や新人事評価システムへの従業員の不満の把握や、それを和らげるための施策も打たなかった。食品防御体制も不備が多く、容易に農薬の混入が可能だったことも問題である。」と評価している。

(第三者検証委員会中間報告p.24~32頁)

中間報告は、食品防御に関し、具体的に以下の4点を指摘している。

ア) 新人事制度の導入と社員への説明

新人事制度の導入に対して準社員の不満が強まったが、準社員と上司や経営層との間で納得感のあるコミュニケーションはとられなかった。

イ) 特異な異物苦情の多発や問題行動の発生

2013年4月~12月に、ボールペンのシール、つまようじ、結束バンド等の食品への混入苦情が多発。外部から異物を持ち込み、意図的に混入させた可能性は否定できないにもかかわらず、従業員を含めた具体的な調査と対策を実施していなかった。また、同年7~8月、従業員の自転車、車のタイヤの空気が抜かれたり、便器にものを捨てる悪戯が発生し、更衣室への掲示や、朝礼等で注意喚起した。

これらについて、事件との関連性は不明であるが、従業員による悪戯や不満の表れと見る意識がなかった。明らかな悪戯に対して、警察への相談や夜間警備の強化などの対応を行わなかった。

ウ) (株)アクリフーズ群馬工場の食品防御体制

① (株)アクリフーズ本社役員および工場長以下の社員は、従業員による意図的な混入の可能性について意識していなかった。

② カメラや定期巡回はあったが、外部からの不審者侵入のみを意識したものであり、悪意を持った従業員の発見や、その行為を抑制するような監視体制をとっていなかった。

③ 正規の出入り口・非常口以外に複数の外部との出入り口があり、鍵があるものの工場の内側から鍵をあけて出入りすることは事実上制限されておらず、侵入防止・異物持ち込み防止体制は脆弱であった。原材料搬入口のシートシャッターは夜間も施錠しておらず、内部の状況を把握している人であれば、容易に侵入可能であった。

④ 容易に危険物を誰にも気づかれずに工場製造エリアに持ち込める環境だった。

また、製造棟内への正規の出入り口からの入場時の私物持ち込みチェック体制は機能しておらず、単独での入場が可能であり、危険物の持ち込みは正規の出入り口からでも十分に可能な状況であった。

⑤ 薬剤の管理、鍵の管理、入室者管理を徹底していなかった。工場内の防虫作業はルーチン化しており、作業者が農薬を使用しているとの意識は低かった。

⑥ 原料や製品に容易に触れることができ、異物を混入させることが可能であったり、工場製造エリア内に危険物と成り得るものがあり、容易に使用できる環境であった。工場製造エリアは異物持ち込み対策が不十分な状況であり、死角になる場所が複数あり、日常的に製品への接触が容易な環境であったにもかかわらず、カバーやカメラ、相互監視等の食品防御対策を取っていなかった。

エ) 品質保証関連の規程の遵守

「グループ重大事故対応マニュアル」の周知を徹底しておらず、(株)アクリフーズはこれを認識していなかった。また、(株)アクリフーズ独自の「重大事故処理基準」も遵守しなかった。

以上を踏まえ、食品事業者には以下の点が参考になるものと考える。

それぞれの項目については、改めて、次の「3 食品事業者が食品防御に取り組むに当たり参考となる事項」で詳述する。

○ 従業員など内部の者による意図的な混入についても現実に発生しうる問題であると考え、食品防御の概念を理解し、取組の必要性を意識する。

○ 食品事業者は、普段からのコミュニケーションなどを通して、従業員との信頼関係を築き協力し合い、適切なリスク管理を行う事で、従業員等の不満や、事件の予兆と考えられる事象の把握、及びそれらに適切に対応することにより、意図的な混入をしたいと思わせない職場の風土をつくることが重要である。

○ 加えて、仮に何者かが意図的に混入しようと思った場合であっても、混入が実行し難い環境をつくることが重要である。それぞれの食品事業者が、規模や製造工程など各事業所が置かれている条件等を踏まえ、自らの弱いところや、対策の効果が高いところなど、できるところから対策に取り組むことが望まれる。

○ 食品防御は意図的な混入のリスクを下げる効果が期待できるが、事案の発生を完全に防ぐことはできないので、併せて危機発生時における被害拡大防止のための初動体制の確保と訓練等の危機管理体制を整備しておくことが重要である。

3 食品事業者が食品防御に取り組むに当たり参考となる事項

ここでは、「2 今般の食品への意図的なマラチオンの混入事案から得られる教訓」を踏まえ、第三者検証委員会の報告では事業者のガバナンスなどの他の項目で整理された事項も含め、意図的な異物の混入に対して食品事業者が取組を進める際に参考となる事項について整理した。

食品防御は、「公衆衛生への危害及び経済的な混乱を引き起こす意図的な異物混入から、食品を守る努力」と定義できる。

この場合、食品への意図的な異物混入は、様々な場所、手法、目的で行われることに留意が必要である。

(場所:食品製造工場のほか、生産現場から、流通、小売、消費者の手に届くまでのフードチェーンの全工程

手法:殺虫剤、医薬品等の化学物質のほか、微生物、針・ガラス片等

目的:

・従業員や元従業員等による職場への不満のはけ口

・脅迫による金銭等の利益

・食品事業者の経済的・社会的損害、嫌がらせ

・世間の騒乱、愉快犯、いたずら(店頭での異物混入等)

・思想・政治的背景等による大量破壊活動(テロ) 等)

これら全ての攻撃を想定して各事業者が一様に対応することは現実的でも効果的でもなく、食品事業者や食品事業所ごとに健康被害に対する脅威や脆弱と考えられる工程を分析し、食品防御に計画的に取り組むことが重要である。

(1) 食品防御に対する意識を向上させる

我が国では、従来、食中毒等の防止といった食品衛生の観点から食品安全対策が進められてきた。一方、今般の事案のように意図的な混入が疑われる事案に対しては食品衛生対策のみでは対応できず、食品防御の考え方が必要となることを食品業界全体で改めて認識する必要がある。

本検討会では、食品事業者が食品防御に自主的に取り組むための第1歩として、食品防御の概念を理解し、取組の必要性に気づくことが重要と考えた。

食品事業者の食品防御に対する意識は向上しているが、悪意を持つ内部又は外部の者による食品への意図的な混入は、我が国においても発生し得る問題となっている。食品事業者には、安全な食品を消費者に提供するため、従来から取り組んできた食品衛生の取組に加え、意図的な混入は起こり得るものであるということを想定し、食品防御の必要性を改めて意識すること、そして、第三者検証委員会の最終報告においても指摘されているように、ガバナンス(組織のマネジメント等)が最も重要な課題であることを認識することが期待される。

食品事業者が食品防御を意識することにより、内部又は外部の者が当該事業所で意図的な混入をしたいと思わせないようにすることが期待される。

また、万一、意図的な混入が発生した場合においても、危機管理のための体制の構築や訓練がなされていれば、当該食品による消費者の健康被害や、食品事業者の経済的・社会的な損失を最小限に抑えることが期待できる。

(2) 意図的な混入をしたいと思わせない職場の風土をつくる

マルハニチロ(株)の第三者検証委員会の中間報告では、従業員によると思われる農薬の混入を未然に防げなかったことに対し、「給料の減少や新人事評価システムへの従業員の不満の把握や、それを和らげるための施策も打たなかった」ことを第一に挙げている。

(株)アクリフーズは、2012年4月に準社員(一般に契約社員のこと。以下同じ。)を対象とした新人事制度を導入した。これは、準社員の能力・役割を重視し、労働意欲を高めることを目的とすることを標榜したものであったが、新人事制度の一部として家族手当等を廃止したことにより、準社員の3分の2は賃金がダウンし、準社員たちは新人事制度を賃金引き下げ策と理解したとされている。また、準社員を評価すべき係長・班長が製造現場にいないことが多く、人事評価結果の説明等も十分でなかったほか、準社員の不満の声を管理職が把握し切れていなかった。また、準社員の不満を経営層が吸い上げる仕組みもなかった。したがって、準社員と上司や経営層との間で納得感のあるコミュニケーションはとられなかったとされている。

さらに、2013年の4月から12月にかけて、群馬工場のピザラインで、ボールペンのシール、つまようじなどの特異な異物苦情が多発した。同工場は不要物の工場内への持ち込みを禁止しており、通常の製造工程でこれらが混入する可能性は低い。しかし、外部から異物を持ち込み、意図的に混入させた可能性が否定できないにもかかわらず、従業員を含めた具体的な原因の調査と対策は実施されなかったとされている。また、7月から8月には従業員の自転車や車のタイヤの空気が抜かれるなどの悪戯が発生し、対応策として、更衣室への掲示や朝礼などを通じて工場従業員に注意が喚起された。これらの事象と事件との関連性は不明であるが、従業員による悪戯や不満の表れとみる意識がなかったとされている。

悪意の者による食品への意図的な混入を完全に防ぐことはできない。したがって、

○ 「消費者に安全で高品質な食品を届ける」といった食品事業者の使命を従業員に浸透させることが重要である。

○ 日常のリスク管理の一環として、異物混入等が発生した場合は全従業員に対する注意喚起は行われているが、それらの取組を通じて、意図的な異物混入に対する従業員の意識向上を図ることも重要である。

○ 従業員からの提案を業務改善に活かす取組によるモチベーションの向上や、定期的な面談等で従業員の不満を吸い上げる仕組による従業員との良好な人間関係や信頼関係の構築が重要である。経営幹部や工場のライン管理職が日頃から従業員に目配りとコミュニケーションをとって、職場環境の改善に協力し合うことが望ましい。

○ 意図的な混入や犯罪を防止する意識と環境を醸成するために、例えば企業等で用いられているような各種の問題に対する内部通報システムや責任者へのホットライン等の活用も検討することが望ましい。

これらの取組を通じて、自分の職場、自社製品への愛情を深め、意図的な混入の原因をつくらないようにするとともに、事件への予兆と考えられる事象を把握し、調査等によって適切に対応することにより、次の事件の発生を未然に抑制することが期待できる。この様な取組により、意図的な混入をしたいと思わせない職場の風土をつくることが大切である。

(3) 意図的な混入が実行し難い環境をつくる

マルハニチロ(株)の第三者検証委員会の中間報告では、食品防御に関し、外部からの不審者侵入に対しての防御意識は持っていたが、従業員による意図的な混入の可能性は意識していなかったとしている。さらに、危険物を誰にも気づかれずに容易に工場製造エリアに持ち込める環境だった、薬剤等の管理を徹底していなかった、原料や製品に対して容易に触れることができ異物を混入可能な環境であった、製品のカバーや監視カメラ、相互監視対策等がとられていなかったなど、実際の食品防御体制も不備が多く、容易に農薬の混入が可能だったことも問題であると指摘されている。

内部又は外部の者が、万一悪意を持ったとしても、ソフト又はハードの対策により異物の混入が実行し難い環境をつくることが大切である。これにより、意図的な混入のリスクを低減することができると考えられる。その際、上述の個々の対策は(株)マルハニチロの群馬工場に対する分析の結果であり、全ての事業所で同じ対策が有効とは限らない。

それぞれの食品事業者や事業所は、規模や立地、人的資源等の他、扱う食品や製造工程等が異なり、意図的な混入を受けやすい場所や混入物、時間等も異なる。また、個別の対策を講じるに当たっては、食品事業者と従業員が常に協力し合って意図的な混入、犯罪を防止する意識を醸成し、意図的な混入が実行し難い環境を整備していくことが肝要である。例えば、工場への立入者を記録することなどは、不自然な立入や、意図的な混入に対する牽制にもなり、また、万が一意図的な混入が発生した場合には不審者の特定にも役立つことが期待される。

各事業所において諸条件を勘案しながら、意図的な攻撃に対する脆弱性や対策の効果等を分析し、自身が弱いところや効果的な対策ができるところを優先して、計画的に対策を講じることが重要となる。なお、食品防御は食品事業者の規模や施設の状況、扱う製品によって適切な対策が異なることから、カメラの設置数などによって一概に達成状況が判断できるものではないということに留意が必要である。また、第三者検証委員会の最終報告においても記されたように従業員との信頼関係を構築することが基本であり、その上にそれぞれの食品事業者に最適な技術的対策を講じること、また、教育などを進めることが大切である。こうした取組を進めるに当たり食品防御の対策には一定のコストの問題があることや食品事業者ごとの状況によって適切な対応が異なることについて、消費者や流通をはじめ、全てのステークホルダーの理解を得ることが重要である。

(4) 食品防御の取組に参考となる資料

各食品事業者が食品防御に自主的に取り組むに当たり、食品防御に対する理解を深め、実際の対策を検討する際の参考として、厚生労働科学研究班(主任研究者;今村知明・奈良県立医科大学健康政策医学講座教授)が作成した食品防御対策のガイドライン等が公表されている(一連の資料を巻末に参考資料として添付)。同ガイドライン等は、新たな情報等を踏まえ、引き続き改訂が進められている。

また、意図的な混入への対策である食品防御は、非意図的な混入等を対象にHACCP等の取組により実現される食品衛生とは異なるものである。一方、既に総合衛生管理製造過程承認制度実施要領に基づき食品衛生の取組を行っている食品事業者が、新たに食品防御に取り組む際の参考として、同研究班では「総合衛生管理製造過程承認制度実施要領における留意事項」を公表している。食品衛生への取組を進めている食品事業者が、どこを工夫すれば食品防御にも取り組めるかを検討する際に、参考となるものと考える。

(5) その他

① 食品防御の前に、まず、食品安全、品質向上にしっかり取り組むことが重要である。そのことが、安全な食品を提供することで社会に貢献するという従業員の意識の向上にもつながり、食品防御の基礎になると考える。

② 意図的な混入による事件の発生を完全に防ぐことはできないので、平時における危機への備え(関係事業者との協議、行政関係者との関係の構築、回収、消費者への周知等に関する備え)として、さまざまなテーマの下に食品の事故・事件を想定した訓練を定期的に実施することも重要である。

4 検討内容の食品事業者への普及等

以上、第三者検証委員会の中間報告及び最終報告等を参考に、今般の事案から得られる教訓を整理するとともに、この中で指摘のあった食品防御に食品事業者が取り組むに当たり参考となる事項を整理した。これらの情報については広く食品事業者が共有し、各食品事業者の実情に応じて、以下のように取組まれることが望まれる。

また、関係業界団体及び農林水産省には、以下のとおり、本報告書の普及等を進めることを期待する。

(1) 個々の食品事業者の取組

食品事業者は、提供する食品の安全を確保するため、自らの責任で各種の対策を講じてきているところであるが、一方、今般の冷凍食品への農薬混入事案のような従業員による混入が疑われる事案を含め、意図的な混入については、従来からの食品衛生対策だけでは防止することは難しい。

意図的な混入等の事案の発生防止及び被害の拡大防止のため、食品事業者は、本報告書で整理された教訓や、食品防御に取り組むに当たり参考となる事項等を踏まえて、自らに課された安全な食品を提供する社会的な責務と、食品防御の必要性について、今一度検討いただきたい。

万一混入が起こってしまった際の危機管理体制について、平時から訓練を行っておく等の危機管理対策の構築と実行に加え、食品防御を理解し、意識することが取組の第一歩となる。意図的な混入をしたいと思わせない職場の風土づくりや、意図的な混入が実行し難い環境づくりの具体的な方法は、それぞれの事業所の条件等により異なる。したがって、本報告書で示した事項等を参考に、自らでチェックするところから始めていただきたい。

実際の対策は、自らが扱う食品の特性や、事業所の規模、施設等の実情に応じ、自らの弱いところや、現実的に対応可能なところから対策を進めることが重要である。これらの実行により、消費者の健康被害や事業者の経済的・社会的被害を最小限に食い止めることにつながると考えられる。

(2) 関係業界等の取組

関係業界等は、危機管理(今般の事案から得られる具体的な教訓としては、特にプライベートブランド商品に関して、製造事業者と製造委託元である流通事業者等が緊急時に円滑な商品回収ができるよう平時から情報を交換・共有等することの重要性など)、ガバナンス、食品防御への取組等本報告書の内容について関係食品事業者へ周知いただきたい。

また、各業界が扱う商品の特性や製造工程等の実情に応じ、それぞれの業界における具体的な危機管理や食品防御対策の必要性、個々の食品事業者がどのように取組を進めていくのかについて検討することが重要である。

その際、例えば食品安全に関する科学的な知識についての参考資料、危機管理や食品防御に関する事例集やヒヤリハット集など、各食品事業者が具体的な取組を進める際に参考となる情報の収集・普及等を行うことが有益と考えられる。

(3) 農林水産省の取組

農林水産省は、本報告書で整理した今般の事案から得られる教訓や、食品事業者が食品防御に取り組むに当たり参考となる事項について、関係業界や地方自治体等を通じて、食品事業者への周知を図るべきである。

加えて、関係業界等が行う研修会への専門家の派遣等を通して、本報告書の内容を含め危機管理の重要性や食品防御等の考え方に関する食品事業者の理解の促進を図り、自主的な取組を支援していくべきである。また、食品防御については、今般の事案を教訓・参考として、改めてその概念や内容について浸透に努め、意識の向上を図るところから取り組むことが適当である。

また、農林水産省は関係府省庁と連携し、情報提供等の取組により消費者の意識の一層の向上を図っていくべきである。

(4) 消費者の皆様へ

消費者の皆様におかれては、食品防御の取組により意図的な混入を完全には防ぐことができないことを理解し、また、自らがフードチェーンの最終段階に位置していることを自覚して、食品の安全について関心を持ち、食品事業者や行政が提供する食品安全に関する情報(リコール情報を含む)をはじめとする各種の情報に注意していただくことを期待する。

また、消費者の皆様自身が健康被害を防ぐために、異臭や異味を感じたり、外見や包装に普段と異なる点があることに気づいた場合には、当該製品を食べないことが大変重要である。消費者の皆様自身にもそうした自己防衛能力を身につけていただくことを期待する。

おわりに

従来、食品安全対策は主として食品衛生の観点から進められてきたが、今般のような意図的な混入が強く疑われる事案に対しても意識していくことが必要となっている。

今般の事案は一事業所で発生した犯罪行為を原因とするものであると考えられるが、将来に向けて、広く食品事業者への教訓とし、風化させないことが望まれる。

食品事業者に対しては、まず消費者視点を重視し、安全で高品質な食品を提供するという食品事業者としての社会的使命を再認識していただくことを期待する。その上で、食品防御や危機管理に適切に対応できるように、食品事業者のガバナンス(組織のマネジメント等)の強化の重要性や、コンプライアンスについての意識と能力を高めることの必要性について考えていただきたい。

食品防御対策により意図的な混入のリスクを下げることは重要だが、これを完全に防ぐことはできない。意図的な混入は、カメラ等の設備投資だけで防止できる問題ではなく、日常の業務を通じた従業員との信頼関係や、企業風土が大きく関係すること、また、緊急事態発生時の危機管理体制の整備と訓練が重要であることも忘れてはならない。

加えて、消費者に対しては、自らがフードチェーンの最終段階に位置していることを自覚し、食品の安全について関心を持ち、注意することの重要性を再認識いただくことを期待する。

本報告書が広く食品事業者及び関係業界に共有され、食品事業者の意識の向上や取組を通し、国民への安全な食品の供給体制が一層強化されることを強く期待する。

以上

食品への意図的な毒物等の混入の未然防止等に関する検討会

委員名簿

今村 知明 奈良県立医科大学健康政策医学講座教授(座長)

大隅 和昭 一般社団法人日本惣菜協会教育事業部長

鬼武 一夫 日本生活協同組合連合会品質保証本部安全政策推進部部長

折井 雅子 サントリービジネスエキスパート株式会社常務取締役

お客様リレーション本部長

神奈川芳行 東日本旅客鉄道株式会社JR東日本健康推進センター

労働衛生科医長

川崎 一平 一般財団法人食品産業センター技術環境部長

関川 和孝 一般社団法人日本フードサービス協会専務理事

髙谷 幸 公益社団法人日本食品衛生協会専務理事

中島 正 日本チェーンストア協会総務委員会取引委員会委員

中村 啓一 公益財団法人食の安全・安心財団理事・事務局長

長谷川俊明 長谷川俊明法律事務所代表弁護士

松永 和紀 科学ライター

(五十音順、敬称略)

開催実績

平成26年4月21日 第1回検討会

・厚生労働科学研究班の食品防御についての検討状況等

平成26年5月26日 第2回検討会

・第三者検証委員会の中間報告について等

平成26年6月16日 第3回検討会

・第三者検証委員会の最終報告について

・報告書のとりまとめについて