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○臓器移植に係る療養費及び移送費の取扱いに係るQ&Aの送付について

(平成29年12月22日)

(事務連絡)

(都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)・後期高齢者医療主管課(部)・都道府県後期高齢者医療広域連合事務局・全国健康保険協会・健康保険組合あて厚生労働省保険局保険課・厚生労働省保険局国民健康保険課・厚生労働省保険局高齢者医療課通知)

医療保険制度の円滑な運営につきましては、平素より格段の御協力、御尽力を賜り厚く御礼申し上げます。

健康保険法(大正11年法律第70号)第87条、船員保険法(昭和14年法律第73号)第64条、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)第54条及び高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)第77条に基づく療養費の支給並びに健康保険法第97条、船員保険法第68条、国民健康保険法第54条の4及び高齢者の医療の確保に関する法律第83条に基づく移送費の支給について、各保険者においては適切な審査・支払の実施に努めていただいているところです。

この度、本日付けで「臓器移植に係る海外療養費の取扱いについて」(保保発1222第2号、保国発1222第1号、保高発1222第1号)(以下「平成29年12月22日付け通知」という。)が発出されたところですが、国内における療養費や移送費の取扱いについても疑義が生じていたことから、今般、別紙のとおり「臓器移植に係る療養費及び移送費の取扱いに係るQ&A」を作成しましたので、その内容を御了知の上、今後の業務のご参考としていただきますようお願いいたします(既に決定した支給額を、このQ&Aに沿って遡って訂正することを求めるものではありません。)。なお、本事務連絡の取扱いについては、健康局難病対策課移植医療対策推進室と調整済みであることを申し伝えます。

[別紙]

(国内における臓器等移植について)

Q1 一般の移送費の支給と同様に、国内での臓器移植を受ける患者が、療養の給付を受けるため、病院又は診療所に移送されたときは、移送費の支給を行うこととなるのか。

(A)

平成6年9月9日付け通知の「健康保険の移送費の支給の取扱いについて」(保険発第119号、庁保険発第9号)(以下「平成6年通知」という。)において、移送費が支給される場合について例示されている。これによると、国内で臓器移植を受ける患者においても、例えば、「移動困難な患者であって、患者の症状から見て、当該医療機関の設備等では十分な診療ができず、医師の指示により緊急に転院した場合」には、移送費を支給することが必要となる。

Q2 一般的に、移送費として算定する金額について、移送される患者においては往路だけでなく復路も支給対象となり得るのか。医師、看護師等付添人についても同様か。また、臓器等の採取を行う医師の派遣に要した費用や臓器等を搬送した場合における搬送に要した費用についても同様か。

(A)

平成6年通知に記載される移送費の支給額において、「経路については、必要な医療を行える最寄りの医療機関まで、その傷病の状態に応じ最も経済的な経路で算定すること。」とされているため、移送される患者については往路のみが支給対象である。

一方、①移送される際、医学的管理が必要であると医師が判断した患者に対する医師、看護師等の付添、②臓器等採取のための医師の派遣及び③臓器等の搬送については、医師、看護師等が関係施設間で行き来を行うことが必要となることから、往復の交通費が対象となる。ただし、上記3点における復路については、最も経済的な経路で算定すること。

Q3 移送費における医師、看護師等付添人については、医学的管理が必要であったと医師が判断する場合に限り、原則として一人までの交通費を算定することになっているが、療養費として支給する臓器採取を行う医師の派遣に要した費用についても同様の理解で良いか。

一般的に、臓器の採取のための医師派遣は複数名のチームで行われるため、臓器の採取を行う医師の派遣に要した費用は2名までの交通費の算定を標準とすること。(ただし、臓器の摘出の際、医師の他、看護師や技師等がチームとして臓器の摘出のために医師と共に派遣される場合は、3名以上の移送費を支給することも可能である。この際、被保険者に対して、派遣される医師等が必要である理由が記載された医師の意見書等を求めて差し支えない。)

Q4 療養費として支給する臓器の搬送に要した費用についても、臓器採取を行う医師の派遣に要した費用(Q3)と同様の理解で良いか。

臓器採取を行う医師の派遣に要した費用同様、臓器の搬送に要した費用についても、2名までの交通費の算定を標準とすること。(ただし、3名以上で、臓器の搬送が行われることもあるので、その場合には、3名以上の交通費の算定を行うことも可能である。この際、被保険者に対し、臓器の搬送について理由が記載された医師の意見書等を求めて差し支えない。)。

Q5 療養費として支給する臓器等採取を行う医師の派遣や臓器等の搬送にかかる費用について、宿泊費や食費、運送会社を利用した場合の配送料は療養費の支給対象か。

(A)

医師、看護師等については、交通費を支給するものであるから、宿泊費や食費等は療養費の支給対象とならない。また、運送会社を利用した場合の配送料については、最も経済的な通常の経路及び方法によるものである限り、支給対象となる。

Q6 臓器等採取を行う医師の派遣に要した費用や臓器等を搬送した場合における搬送に要した費用については、「療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する」こととされているため、あくまで療養費として支給するものと解して差し支えないか。

(A)

差し支えない。医師の派遣や臓器の搬送に要した費用については、あくまで療養費として、その費用を移送費の算定方法により算定し、その額に健康保険法(大正11年法律第70号)第74条第1項各号、船員保険法第55条第1項各号、国民健康保険法第42条第1項各号及び高齢者の医療の確保に関する法律第67条第1項各号に掲げる場合の区分に応じ、自己負担割合を乗じて得た額を控除した額を基準として、保険者が定めること。

(海外での臓器移植について)

Q7 海外において、臓器採取を行う医師の派遣や臓器の搬送は療養費として支給すべきか。支給される場合、どのように考えればよいか。

(A)

海外においても、臓器等採取を行う医師の派遣や臓器等の搬送に要した費用の額の算定については、国内における臓器移植の場合と同様とする(Q4参照)。

Q8 海外における臓器移植において、国内の保険医療機関で行われた臓器移植においては保険給付の対象とならない費用について、海外において臓器移植を受けた被保険者から請求があった場合、支給の対象とならないと考えて良いか。

(A)

海外における療養に関する費用の算定については、診療報酬の算定方法(平成20年3月5日厚生労働省告示第59号)の算定の例によるものであるが、これによることが困難である場合には、国内における同様の傷病に係る療養に要する費用の実績額によって算定することもやむを得ないとされている。

従って、請求された費用について診療報酬の算定方法によることができず、国内における実績額によっても算定できないときは、支給対象外となる。

Q9 患者が、海外へ渡航するために利用した航空機等の費用については、移送費の対象となるのか。

(A)

移送費は、被保険者が療養の給付(保険外併用療養費に係る療養を含む。)を受けるため、病院又は診療所に移送されたときに支給されるものである。海外での治療は、「療養の給付を受ける」ことに該当しないため、移送費は支給されない。

Q10 患者が、海外において、ある病院から別の病院へ移送された費用については、海外療養費の対象となるのか。

(A)

海外療養費は、療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費又は保険外併用療養費に代えて支給されるものであるが、移送費はこれらに該当しないため、海外で病院間等を移送された場合の費用については、海外療養費の支給対象にならない。

Q11 平成29年12月22日付け通知について、海外における臓器移植の海外療養費の申請に係る提出書類については、他の海外療養費と同様に、その書類が外国語で作成されたものであるときは、その書類に日本語の翻訳文の添付を求めることができるか。

(A)

可能である。

Q12 平成29年12月22日付け通知にもとづき提出を求める書類について、「海外の施設に入院していた間の経過記録の写し」は「旅券、航空券その他の海外に渡航した事実が確認できる書類の写し」としても扱うことはできるか。また、昭和56年2月25日付け通知の「健康保険法等の一部を改正する法律等の施行に係る事務取扱について」(保険発第10号、庁保険発第2号)における診療内容明細書として扱うことはできるか。

(A)

可能である。

Q13 平成29年12月22日付け通知について、「主治医(学会認定の移植認定医)が作成した海外の施設への紹介状の写しに、部門長又は施設長がサインしたもの」の提出を求めることとあるが、移植認定医からの紹介状であることをどのように判断すれば良いか。

(A)

一般社団法人 日本移植学会や日本臓器移植ネットワークのホームページにおいて、日本移植学会認定の移植専門医や各都道府県における移植実施施設について掲載されており、確認の際は以下URLをご参照されたい。

移植認定医:http://www.asas.or.jp/jst/about/about0.html

移植実施施設:https://www.jotnw.or.jp/jotnw/facilities/04.html

Q14 平成29年12月22日付け通知について、「海外の施設に入院していた間の経過記録の写し」の提出を求めることとあるが、具体的にはどのようなものが考えられるか。

(A)

患者が渡航先で臓器移植を受けた後、日本の医療機関へ転院する場合、通常、渡航先の移植主治医から日本の主治医に対して、治療の経過記録を記載した紹介状が送付される。

平成29年12月22日付け通知における「海外の施設に入院していた間の経過記録の写し」については、当該紹介状を求めることを想定している。

Q15 平成29年12月22日付け通知について、本通知が発出される前に被保険者等が海外で臓器移植を受けた場合、その療養費の請求があった場合は支給してよいか。

(A)

療養費の請求権の消滅時効は、療養に要した費用を支払った翌日から起算して2年であり、この範囲で平成29年12月22日付け通知に基づき支給されたい。