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○「保険医療機関等の不正請求等に係る返還金に関するQ&A」の送付について

(平成30年4月27日)

(事務連絡)

(都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)・後期高齢者医療主管課(部)・都道府県後期高齢者医療広域連合事務局・全国健康保険協会・健康保険組合あて厚生労働省保険局保険課・厚生労働省保険局国民健康保険課・厚生労働省保険局高齢者医療課通知)

医療保険制度の円滑な運営につきましては、平素より格段の御協力、御尽力を賜り厚く御礼申し上げます。

さて、保険医療機関等の不正請求等に係る返還金の把握及び回収状況につきましては、その適切な管理を実施する観点から、今般、別添のとおり「保険医療機関等の不正請求等に係る返還金に関するQ&A」を作成いたしましたので、ご活用いただくとともに、管内市町村(特別区を含む。)への周知をお願いいたします。

[別添]

保険医療機関等の不正請求等に係る返還金に関するQ&A

目次

1.債権の性質及び時効について

問1.1 保険医療機関等における不正請求等に係る返還金については、公債権なのか、私債権なのか。また、各医療保険制度全てにおいて同じ取扱いとなるのか。

問1.2 保険医療機関等における不正請求に係る返還金については、各法律に規定される不正利得の徴収等(健康保険法第58条第3項、国民健康保険法第65条第3項及び高齢者の医療の確保に関する法律第59条第3項)により徴収すべきものであり、かつ、その時効期間については、各法律の時効(健康保険法第193条、国民健康保険法第110条及び高齢者の医療の確保に関する法律第160条)の規定に基づき、2年間となるのではないか。

問1.3 保険医療機関等における不当請求に係る返還金について、地方自治体においては、地方自治体による金銭の給付に係る債権であり、公債権であり、地方自治法第236条第1項(金銭債権の消滅時効)の5年となるのではないか。(国民健康保険・後期高齢者医療制度関係)

問1.4 不正請求に伴う加算金(健康保険法第58条第3項、国民健康保険法第65条第3項及び高齢者の医療の確保に関する法律第59条第3項)については、公債権なのか、私債権なのか。また、時効期間は何年なのか。

問1.5 保険医療機関等における不正請求等に係る返還金については、民法上の債権として同法の時効の規定を踏まえ適切に管理するとのことだが、時効の完成には時効の援用が必要となるのか。また、法人の精算の終了や自己破産による免責の決定など、時効期間を経過しなくても、債権としては消滅するケースも適用されるのか。

問1.6 地方自治体において、債権放棄の手続きとして、債権管理条例が制定されていない場合、地方自治法第96条第1項第10号に基づく権利放棄の議決が必要ではないか。(国民健康保険・後期高齢者医療制度関係)

問1.7 保険医療機関等にかかる不正請求等に係る返還請求権について、実際の運用として、地方自治体が行う督促の時効中断の取扱い、過去の債権に関する時効期間の取扱い及び既に不納欠損している債権の取扱いについてどのように考えるべきか。

2.返還金の把握及び回収状況の管理について

問2.1 直接請求(徴収の告知(診療報酬からの過誤調整を除く))を行った場合、独自システムで債権管理を行っているが、今回示された債権管理簿の項目すべてを満たした管理を行わなければならないのか。

問2.2 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうに係る療養費について、療養費支給申請書等を各保険者において点検し、施術師に返還を求めている事例があるが、このような場合は本件の対象外か。

問2.3 管理状況報告について、現年度分は「診療報酬にかかる債権」に特定されているが、加算金や療養費を除外する必要があるのか。また、過年度分は年度毎に発生した未済額を個別に記載する必要があるのか。

問2.4 債権管理の対象となる債権には、第三者行為による損害賠償請求も含まれるのか。

1.債権の性質及び時効について

問1.1 保険医療機関等における不正請求等に係る返還金については、公債権なのか、私債権なのか。また、全ての医療保険制度において同じ取扱いとなるのか。

(答)

健康保険、国民健康保険及び後期高齢者医療制度において、保険医療機関等による診療報酬請求権(診療報酬支払債務)は私債権(債務)であり、民法第170条第1号が適用され、消滅時効は3年となることから、その債権(債務)に従って支払った診療報酬に係る返還請求権についても、同様に私債権となる。

問1.2 保険医療機関等における不正請求に係る返還金については、各法律に規定される不正利得の徴収等(健康保険法第58条第3項、国民健康保険法第65条第3項及び高齢者の医療の確保に関する法律第59条第3項)により徴収すべきものであり、かつ、その時効期間については、各法律の時効(健康保険法第193条、国民健康保険法第110条及び高齢者の医療の確保に関する法律第160条)の規定に基づき、2年間となるのではないか。

(答)

保険医療機関等による診療報酬請求権は私債権であり、民法第170条第1号が適用され、消滅時効は3年となることから、その債権に従って支払った診療報酬に係る返還請求権についても、同様に私債権となる。(保険医療機関等の不正請求に係る返還金に関する各法律の規定は、民法上の不正利得(民法第709条)の特則として定められているものであり、当該返還金は各法律に規定する「この法律の規定による徴収金」には当たらない。)したがって、各法律の時効(2年間)ではなく、民法上の時効(3年間、同法第724条)が適用されることとなる。

(国民健康保険・後期高齢者医療制度関係)

問1.3 保険医療機関等における不当請求に係る返還金について、地方自治体においては、地方自治体による金銭の給付に係る債権であり、公債権として、地方自治法第236条第1項に基づき、時効期間は5年となるのではないか。

(答)

保険医療機関等による診療報酬請求権は私債権であり、民法第170条第1号が適用され、消滅時効は3年となることから、その債権に従って支払った診療報酬に係る返還請求権についても、同様に私債権となる。(保険医療機関等の不当請求に係る返還金は、各法律に規定する「この法律の規定による徴収金」には当たらない。)したがって、各法律の時効(2年間)ではなく、民法上の時効(10年間、同法第167条)が適用されることとなる。

問1.4 保険医療機関等における不正請求に伴う加算金(健康保険法第58条第3項、国民健康保険法第65条第3項及び高齢者の医療の確保に関する法律第59条第3項)については、公債権なのか、私債権なのか。また、時効期間は何年なのか。

(答)

医療保険各法に規定される不正請求に伴う加算金については、民法上の不法行為(民法第709条)の特則として定められているものであり、各法律の規定がなければ民法が適用になる私債権である。したがって、医療保険各法に規定する「この法律の規定による徴収金」には当たらないため、医療保険各法の時効(2年間)ではなく、民法上の時効(3年間、同法第724条)が適用される。

問1.5 保険医療機関等における不正請求等に係る返還金については、私債権となるとのことだが、時効の完成には時効の援用が必要となるのか。また、法人の精算の終了や自己破産による免責の決定など、時効期間を経過しなくても、債権としては消滅するケースも適用されるのか。

(答)

私債権に係る時効の完成には、民法第145条により時効の援用を要することとされている。なお、地方自治体においても、地方自治法第236条第2項に規定する「法律に特別の定めがある場合」に該当することから、時効の完成には時効の援用が必要となる。

(国民健康保険・後期高齢者医療制度関係)

問1.6 地方自治体において、債権放棄の手続きとして、債権管理条例が制定されていない場合、地方自治法第96条第1項第10号に基づく権利放棄の議決が必要ではないか。

(答)

保険医療機関等における不正請求等に係る返還金については、私法上の債権であり、時効期間が到来したからといって当然に債権が消滅するものではなく、その処理については、保険者における条例、規則等に基づき、判断されたい。

問1.7 保険医療機関等にかかる不正請求等に係る返還請求権について、実際の運用として、地方自治体が行う督促の時効中断の取扱い、過去の債権に関する時効期間の取扱い及び既に不納欠損している債権の取扱いについてどのように考えるべきか。

(答)

保険医療機関等による診療報酬請求権は私債権であり、その処理については、保険者における条例や規則等に基づき、判断されたい。

2.返還金の把握及び回収状況の管理について

問2.1 直接請求(徴収の告知(診療報酬からの過誤調整を除く))を行った場合、独自システムで債権管理を行っているが、今回示された債権管理簿の項目すべてを満たした管理を行わなければならないのか。

(答)

今回示した債権管理簿で必ずしも管理する必要はないが、債権管理簿に記載されている項目については、必ず把握し、適切な管理に努めていただきたい。ただし、返還金の回収実績等については、年に1回程度、今回示した様式での報告を求めることに留意すること。

問2.2 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうに係る療養費について、療養費支給申請書等を各保険者において点検し、施術師に返還を求めている事例があるが、このような場合は本件の対象外か。

(答)

独自の点検等により判明した保険医療機関等における不正請求等についても同様に管理していただきたい。

問2.3 管理状況報告について、現年度分は「診療報酬にかかる債権」に特定されているが、加算金や療養費を除外する必要があるのか。また、過年度分は年度毎に発生した未済額を個別に記載する必要があるのか。

(答)

現年度分については、加算金や療養費に係る返還金も含めた額を報告していただきたい。また、過年度分については、年度ごとに発生した未済分ごとに報告していただきたい。

問2.4 債権管理の対象となる債権には、第三者行為による損害賠償請求も含まれるのか。

(答)

第三者による損害賠償請求については、保険医療機関等に対する債権ではなく、また、診療報酬に係る債権にも当たらないことから、管理の対象に含まれない。