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○健康保険における外来療養に係る年間の高額療養費の支給等の事務の取扱いについて

(平成29年12月4日)

(保保発1204第2号)

(全国健康保険協会理事長あて厚生労働省保険局保険課長通知)

(公印省略)

平成29年8月1日より、健康保険法施行令等の一部を改正する政令(平成29年政令第213号)及び健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成29年厚生労働省令第86号)が施行され、外来療養に係る年間の高額療養費(健康保険法施行令(大正15年勅令第243号。以下「健保令」という。)第41条の2)(以下「外来年間合算」という。)に関する制度が新設された。平成29年8月1日から平成30年7月31日までの期間に係る高額療養費の支給より、外来年間合算の支給が開始されることとなることから、健康保険の保険者における具体的な事務の取扱いを下記のとおりお示しするので、遺漏のないよう取り扱われたい。

第1 定義

この通知において、次に掲げる定義は、次のとおりとする。

(1) 月間の高額療養費 健保令第41条に規定する月間の高額療養費をいう。

(2) 外来特例 月間の高額療養費のうち、健保令第41条第5項に規定する高額療養費をいう。

(3) 月額世帯合算 月間の高額療養費のうち、健保令第41条第3項及び第4項に規定する高額療養費をいう。

(4) 外来療養に係る額 70歳以上の者が受けた外来療養(継続給付に係る外来療養を含む。)に係る額(特定給付対象療養の場合には、当該者がなお負担すべき額)を合算した額(月間の高額療養費が支給される場合にあっては、当該者に係る支給額を控除した額とし、付加給付として負担を軽減するための金品が支給される場合にあっては、当該者に係る当該金品に相当する額を控除した額とする。)をいう。

(5) 計算期間 毎年8月1日から翌年7月31日(精算対象者においては、死亡等により医療保険の被保険者資格を喪失した日の前日)までの期間をいう。

(6) 基準日 計算期間の末日をいう。

(7) 基準日被保険者 基準日における保険者の被保険者(日雇特例被保険者、国家公務員共済組合法及び地方公務員等共済組合法に基づく共済組合の組合員並びに私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者を除く。)である者をいう。

(8) 基準日保険者 基準日被保険者が基準日において被保険者として属している保険者をいう。

(9) 基準日被扶養者 基準日被保険者の被扶養者(基準日において当該保険者の被保険者の被扶養者である者に限る。)をいう。

(10) 組合等 日雇特例被保険者の保険の保険者としての全国健康保険協会、船員保険の保険者としての全国健康保険協会、市町村(特別区を含む。)、国民健康保険組合、国家公務員共済組合法若しくは地方公務員等共済組合法に基づく共済組合、日本私立学校振興・共済事業団又は後期高齢者医療広域連合をいう。

(11) 組合員等 日雇特例被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。)、船員保険の被保険者、国家公務員共済組合法若しくは地方公務員等共済組合法に基づく共済組合の組合員、私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者、国民健康保険の被保険者の属する世帯の世帯主若しくは国民健康保険組合の組合員又は後期高齢者医療の被保険者をいう。

(12) 精算対象者 計算期間の中途で死亡した者その他これに準ずる者(同一の計算期間において再び医療保険の加入者となった者を除く。)をいう。

(13) 申請書 外来年間合算支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書をいう(別添様式例1参照)。

(14) 自己負担額証明書 当該者が計算期間において当該保険者の被保険者であった期間に当該保険者の被保険者として受けた外来療養に係る額等を記載した証明書をいう(別添様式例2参照)。

第2 外来年間合算の事務取扱

1 創設の趣旨

外来年間合算は、70歳以上の高額療養費の上限額を見直すことに伴い、年間を通して外来特例に該当するような長期療養を受けている方の負担が増えないよう配慮する観点から、新たに創設する。

2 制度の概要

基準日時点で一般区分又は低所得区分である被保険者について、計算期間のうち一般区分又は低所得区分であった月の外来療養に係る額が14万4,000円を超える場合に、その超える分を支給する。

3 制度の支給要件等

(1) 支給要件

外来年間合算は、次の①~⑥に掲げる額を合算した額(以下「基準日被保険者合算額」という。)、⑦~⑫に掲げる額を合算した額(以下「基準日被扶養者合算額」という。)又は⑬~⑱に掲げる額を合算した額(以下「元被扶養者合算額」という。)のいずれかが14万4,000円を超える場合に支給する。

<①~⑥:基準日被保険者合算額(下記イメージ図参照)>

① 計算期間のうち、基準日被保険者が当該保険者の被保険者であった間において、当該基準日被保険者が当該保険者の被保険者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

② 計算期間のうち、基準日被保険者が他の健康保険の保険者の被保険者であった間において、当該基準日被保険者が当該他の健康保険の保険者の被保険者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

③ 計算期間のうち、基準日被扶養者が当該保険者の被保険者であり、かつ、当該基準日被保険者が当該基準日被扶養者の被扶養者であった間において、当該基準日被保険者が当該保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

④ 計算期間のうち、基準日被扶養者が他の健康保険の保険者の被保険者であり、かつ、基準日被保険者が当該基準日被扶養者の被扶養者であった間において、当該基準日被保険者が当該他の健康保険の保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑤ 計算期間のうち、基準日被保険者が組合等の組合員等であった間において、当該基準日被保険者が当該組合等の組合員等(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑥ 計算期間のうち、基準日被扶養者が組合等(後期高齢者医療広域連合を除く。)の組合員等(後期高齢者医療の被保険者を除く。)であり、かつ、基準日被保険者が当該基準日被扶養者の被扶養者等であった間において、当該基準日被保険者が当該組合等の組合員等の被扶養者等(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

【イメージ図】 ※網掛けは上記①~⑥に該当する箇所。

<⑦~⑫:基準日被扶養者合算額(下記イメージ図参照)>

⑦ 計算期間のうち、基準日被保険者が当該保険者の被保険者であり、かつ、基準日被扶養者が当該基準日被保険者の被扶養者であった間において、当該基準日被扶養者が当該保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑧ 計算期間のうち、基準日被保険者が他の健康保険の保険者の被保険者であり、かつ、基準日被扶養者が当該基準日被保険者の被扶養者であった間において、当該基準日被扶養者が当該他の健康保険の保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑨ 計算期間のうち、基準日被扶養者が当該保険者の被保険者であった間において、当該基準日被扶養者が当該保険者の被保険者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑩ 計算期間のうち、基準日被扶養者が他の健康保険の保険者の被保険者であった間において、当該基準日被扶養者が当該他の健康保険の保険者の被保険者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑪ 計算期間のうち、基準日被保険者が組合等(後期高齢者医療広域連合を除く。)の組合員等(後期高齢者医療の被保険者を除く。)であり、かつ、基準日被扶養者が当該基準日被保険者の被扶養者等であった間において、当該基準日被扶養者が当該組合等の組合員等の被扶養者等(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑫ 計算期間のうち、基準日被扶養者が組合等の組合員等であった間において、当該基準日被扶養者が当該組合等の組合員等(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

【イメージ図】 ※網掛けは上記①~⑥に該当する箇所。

<⑬~⑱:元被扶養者合算額(下記イメージ図参照)>

⑬ 計算期間のうち、基準日被保険者が当該保険者の被保険者であり、かつ、当該基準日被保険者の被扶養者であった者(基準日被扶養者を除く。)が当該基準日被保険者の被扶養者であった間において、当該基準日被保険者の被扶養者であった者(基準日被扶養者を除く。)が当該保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑭ 計算期間のうち、基準日被保険者が他の健康保険の保険者の被保険者であり、かつ、当該基準日被保険者の被扶養者であった者(基準日被扶養者を除く。)が当該基準日被保険者の被扶養者であった間において、当該基準日被保険者の被扶養者であった者(基準日被扶養者を除く。)が当該他の健康保険の保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑮ 計算期間のうち、基準日被扶養者が当該保険者の被保険者であり、かつ、当該基準日被扶養者の被扶養者であった者(基準日被保険者を除く。)が当該基準日被扶養者の被扶養者であった間において、当該基準日被扶養者の被扶養者であった者(基準日被保険者を除く。)が当該保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑯ 計算期間のうち、基準日被扶養者が他の健康保険の保険者の被保険者であり、かつ、当該基準日被扶養者の被扶養者であった者(基準日被保険者を除く。)が当該基準日被扶養者の被扶養者であった間において、当該基準日被扶養者の被扶養者であった者(基準日被保険者を除く。)が当該他の健康保険の保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑰ 計算期間のうち、基準日被保険者が組合等(後期高齢者医療広域連合を除く。)の組合員等(後期高齢者医療の被保険者を除く。)であり、かつ、当該基準日被保険者の被扶養者等であった者(基準日被扶養者を除く。)が当該基準日被保険者の被扶養者等であった間において、当該基準日被保険者の被扶養者等であった者(基準日被扶養者を除く。)が当該組合等の組合員等の被扶養者等(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑱ 計算期間のうち、基準日被扶養者が組合等(後期高齢者医療広域連合を除く。)の組合員等(後期高齢者医療の被保険者を除く。)であり、かつ、当該基準日被扶養者の被扶養者等であった者(基準日被保険者を除く。)が当該基準日被扶養者の被扶養者等であった間において、当該基準日被扶養者の被扶養者等であった者(基準日被保険者を除く。)が当該組合等の組合員等の被扶養者等(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

【イメージ図】 ※網掛けは上記⑬~⑱に該当する箇所。

(2) 支給対象者及び支給額

外来年間合算の支給については、次の表の左欄の支給対象者に対して、右欄の支給額を支給する。

支給対象者

支給額

基準日被保険者

(基準日被保険者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(①/基準日被保険者合算額)+(基準日被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑦/基準日被扶養者合算額)+(元被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑬/元被扶養者合算額)

計算期間において当該保険者の被保険者であった者(基準日被扶養者に限る。)

(基準日被保険者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(③/基準日被保険者合算額)+(基準日被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑨/基準日被扶養者合算額)+(元被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑮/元被扶養者合算額)

計算期間において当該保険者の被保険者であった者(基準日において他の健康保険の保険者の被保険者である者に限る。)

(基準日被保険者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(②/基準日被保険者合算額)+(基準日被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑧/基準日被扶養者合算額)+(元被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑭/元被扶養者合算額)

計算期間において当該保険者の被保険者であった者(基準日において他の健康保険の保険者の被保険者の被扶養者である者に限る。)

(基準日被保険者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(④/基準日被保険者合算額)+(基準日被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑩/基準日被扶養者合算額)+(元被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑯/元被扶養者合算額)

計算期間において当該保険者の被保険者であった者(基準日において組合等(後期高齢者医療広域連合を除く。)の組合員等(国民健康保険の被保険者の属する世帯の世帯主又は国民健康保険組合の組合員であって被保険者又はその被扶養者である者及び後期高齢者医療の被保険者を除く。)である者に限る。)

(基準日被保険者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(①/基準日被保険者合算額)+(基準日被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑦/基準日被扶養者合算額)+(元被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑬/元被扶養者合算額)

計算期間において当該保険者の被保険者であった者(基準日において組合等(高齢者の医療の確保に関する法律に基づく後期高齢者医療広域連合を除く。)の組合員等(後期高齢者医療の被保険者を除く。)の被扶養者等である者に限る。)

(基準日被保険者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(③/基準日被保険者合算額)+(基準日被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑨/基準日被扶養者合算額)+(元被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑮/元被扶養者合算額)

計算期間において当該保険者の被保険者であった者(基準日において後期高齢者医療の被保険者である者に限る。)

(基準日被保険者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(①/基準日被保険者合算額)+(基準日被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑦/基準日被扶養者合算額)+(元被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑬/元被扶養者合算額)

※0を下回る場合には0とする。

(3) 計算における按分及び端数調整

各保険者が、当該保険者の被保険者から外来年間合算の支給の申請を受け、支給額の算定の基礎となる外来療養に係る額を算定するに当たっては、各月ごとに、

① 月額世帯合算の支給額(付加給付として負担を軽減するための金品を支給した場合又は現物給付として支給した場合を含む。)を70歳以上の被保険者及び被扶養者がその月に受けた療養に要した費用の額(外来特例が支給される場合にあっては、その支給額を控除した額とする。)に応じて当該被保険者及び被扶養者に按分する。当該按分に当たり1円未満の端数が生じる場合は、按分後の額がもっとも低い額となるもの以外の支給額については当該端数を切り捨て、もっとも低い額となるものの支給額に、当該切り捨てた額の合算額を加える。

② ①で按分した個人ごとの月額世帯合算の支給額を当該者がその月に受けた外来療養に要した費用の額(外来特例が支給される場合にあっては、その支給額を控除した額とする。)及び入院療養に要した費用の額に応じて外来療養に係る支給額と入院療養に係る支給額に按分する。当該按分に当たり1円未満の端数が生じる場合は、外来療養に係る支給額については当該端数を切り捨てるとともに、入院療養に係る支給額に、当該切り捨てた額を加える。

③ 月間の高額療養費(外来特例又は月額世帯合算が支給される場合にあっては、その支給額を控除した額とする。以下③及び④において同じ。)の支給額(付加給付として負担を軽減するための金品を支給した場合又は現物給付として支給した場合を含む。)を70歳以上の被保険者及び被扶養者並びに70歳未満の被保険者及び被扶養者がその月に受けた療養に要した費用の額(外来特例又は①が支給される場合にあっては、その支給額を控除した額とする。)に応じて当該被保険者及び被扶養者に按分する。当該按分に当たり1円未満の端数が生じる場合は、按分後の額がもっとも低い額となるもの以外の支給額については当該端数を切り捨て、もっとも低い額となるものの支給額に、当該切り捨てた額の合算額を加える。

④ ③で按分した個人ごとの支給額のうち、70歳以上の者に係る支給額について、当該者がその月に受けた外来療養に要した費用の額(外来特例又は②が支給される場合にあっては、その支給額を控除した額とする。)及び入院療養に要した費用の額(②が支給される場合にあっては、その支給額をそれぞれ控除した額とする。)に応じて、月間の高額療養費のうち外来療養に係る支給額と入院療養に係る支給額に按分する。当該按分に当たり1円未満の端数が生じる場合は、月間の高額療養費のうち外来療養に係る支給額については当該端数を切り捨てるとともに、月間の高額療養費のうち入院療養に係る支給額に、当該切り捨てた額を加える。

また、外来年間合算の支給に当たり、各保険者から支給する額について、1円未満の端数が生じる場合については、按分後の額がもっとも低い額となるもの以外の支給額については当該端数を切り捨て、もっとも低い額となるものの支給額に、当該切り捨てた額の合算額を加える。

なお、以上の端数処理と異なる方法で端数処理を行っている保険者であって、システム改修等の観点から平成29年8月1日から平成30年7月31日までに係る外来年間合算の事務を当該端数処理で行うことが困難である場合は、経過的に異なる計算方法で端数処置を行うことはやむを得ないが、可及的速やかにシステムを改修されたい。

(4) その他の留意点

高額介護合算療養費の支給額を算出するために用いる自己負担額は、計算期間において、被保険者等が受けた療養に係る自己負担額から月間の高額療養費及び外来年間合算の支給額を控除した額であることから、被保険者が高額介護合算療養費の支給の申請を行うに当たっては、事前に外来年間合算の支給額の有無を確認し、支給額がある場合には、外来年間合算の申請を行っていることが必要となる。なお、高額介護合算の支給を申請した者が、外来年間合算の支給を受けることができるにも関わらず当該支給の申請を行っていない場合には、当該支給の申請を受けた保険者は、当該者に外来年間合算の申請を行うよう勧奨するとともに、外来年間合算の支給がなされたものとみなして高額介護合算療養費の支給額を算出する。

4 計算期間の中途で医療保険の加入者でなくなった者に係る取扱い

(1) 基準日の取扱い

精算対象者について、計算期間において負担した外来療養の自己負担額がある場合にあっては、死亡等により医療保険の資格を喪失した日の前日(保険給付の対象となる最後の日)を基準日とみなして当該精算対象者に係る外来年間合算の支給額の計算を行う。

なお、医療保険の加入者でなくなる事由としては、死亡、海外への移住(移住時点の加入制度が国民健康保険又は後期高齢者医療の場合に限る。)、生活保護受給(受給開始時点の加入制度が国民健康保険又は後期高齢者医療の場合に限る。)等が考えられる。

死亡の場合は基準日とみなされる日が確定するため、当該基準日とみなされる日以後は外来年間合算の支給が可能であるが、一時的に生活保護の受給などにより医療保険の加入期間に空白が生じても、同一の計算期間において再び医療保険に加入した場合は当該計算期間中に生じた自己負担額を通算して外来年間合算を支給することとなることから、死亡以外の事由により医療保険の加入者でなくなった場合については、当該計算期間の末日(7月31日)まで基準日又は基準日とみなされる日が確定せず、当該計算期間の末日の翌日(8月1日)になってはじめて外来年間合算の支給が可能となる。

(2) 支給額の算定について

精算対象者に係る外来年間合算の支給額の算定に当たっては、当該精算対象者に係る基準日とみなされる日において当該精算対象者が属する医療保険上の世帯に属する者(当該精算対象者を含む。)が当該計算期間における当該基準日とみなされる日までの期間において受けた外来療養に係る額から、基準日被保険者合算額、基準日被扶養者合算額及び元被扶養者合算額を算定し、所得区分についても当該基準日とみなされる日において判定したものを適用する。

5 外来年間合算の申請手続

(1) 基準日保険者における手続

① 外来年間合算の支給を受けようとする基準日被保険者は、次のア~オを記載した申請書を保険者に提出しなければならない。

ア 被保険者証の記号及び番号又は個人番号

イ 計算期間の始期及び終期

ウ 当該基準日被保険者及び基準日被扶養者の氏名及び生年月日

エ 当該基準日被保険者が計算期間における当該保険者の被保険者であった間に、外来療養を受けた者の氏名及びその年月

オ 当該基準日被保険者及び基準日被扶養者が、計算期間において、それぞれ加入していた医療保険者の名称及びその加入期間

② ①の申請書には、次のア及びイの書類を添付しなければならない。ただし、アは、記載すべき額が0である場合は、申請書にその旨を記載して、添付を省略することができることとするとともに、保険者が当該保険者において自己負担額を把握できる場合は添付不要である。

ア 自己負担額証明書

イ 基準日における当該基準日被保険者の所得区分を証する書類

③ ①の申請書の提出を受けた基準日保険者は、次のア及びイを、自己負担額証明書を交付した者に対し、遅滞なく通知しなければならない。

ア 当該申請者に適用される基準日被保険者合算額、基準日被扶養者合算額及び元被扶養者合算額

イ その他高額療養費の支給に必要な事項

④ 精算対象者が死亡した日その他これに準ずる日において、当該精算対象者を扶養する被保険者は、当該精算対象者に係る高額療養費の額の算定の申請を行うことができる。

(2) 基準日保険者以外の保険者への申請等

① 計算期間において当該保険者の被保険者であった者は、次のア~オを記載した申請書を保険者に提出しなければならない。ただし、当該保険者における外来療養に係る額が0である場合にあっては、この限りでない。

ア 被保険者証の記号及び番号又は個人番号

イ 計算期間の始期及び終期

ウ 基準日保険者の名称

エ 当該被保険者であった者及び計算期間においてその被扶養者であった者の氏名及び生年月日

オ 当該被保険者であった者が計算期間における当該保険者の被保険者であった間に、高額療養費に係る外来療養を受けた者の氏名及びその年月

② ①の申請書には、基準日における当該被保険者であった者の所得区分を証する書類を添付しなければならない。

③ 保険者は、①の規定による申請書の提出を受けたときは、次のア~カに掲げる事項を記載した自己負担額証明書を申請者に交付しなければならない。ただし、基準日保険者が当該申請者の自己負担額を把握できる場合は交付は不要である。

ア 被保険者証の記号及び番号

イ 当該被保険者であった者が計算期間において当該保険者の被保険者であった期間

ウ 申請者の氏名及び生年月日

エ 次に掲げる額

・ 計算期間のうち、基準日被扶養者が当該保険者の被保険者であり、かつ、当該基準日被保険者が当該基準日被扶養者の被扶養者であった間において、当該基準日被保険者が当該保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

・ 計算期間のうち、基準日被扶養者が当該保険者の被保険者であった間において、当該基準日被扶養者が当該保険者の被保険者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

・ 計算期間のうち、基準日被扶養者が当該保険者の被保険者であり、かつ、当該基準日被扶養者の被扶養者であった者(基準日被保険者を除く。)が当該基準日被扶養者の被扶養者であった間において、当該基準日被扶養者の被扶養者であった者(基準日被保険者を除く。)が当該保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

・ 計算期間のうち、当該被保険者であった者が当該保険者の被保険者であった間において、当該被保険者であった者が当該保険者の被保険者(現役並み区分である場合を除く。)として受けた外来療養に係る額

・ 計算期間のうち、当該被保険者であった者が当該保険者の被保険者であり、かつ、当該被保険者であった者の被扶養者であった者が当該被保険者であった者の被扶養者であった間において、当該被保険者であった者の被扶養者であった者が当該保険者の被扶養者(現役並み区分である場合を除く。)として受けた外来療養に係る額

オ 証明書を交付する者の名称及び所在地

カ その他必要な事項

④ ③の自己負担額証明書を交付した保険者は、当該証明書に係る基準日の翌日から2年以内に当該保険者の被保険者であった者から高額療養費の支給に必要な事項の通知が行われない場合において、当該保険者の被保険者であった者に対して当該申請に関する確認を行ったときは、当該証明書に係る同項の申請書は提出されなかったものとみなすことができる。

⑤ 保険者は、精算対象者に係る外来年間合算の額の算定に必要な自己負担額証明書の交付申請を、当該保険者の被保険者であった者(当該精算対象者を除く。)から受けたときは、当該証明書を交付しなければならない。

○健康保険における外来療養に係る年間の高額療養費の支給等の事務の取扱いについて

(平成29年12月4日)

(保保発1204第3号)

(健康保険組合理事長あて厚生労働省保険局保険課長通知)

(公印省略)

平成29年8月1日より、健康保険法施行令等の一部を改正する政令(平成29年政令第213号)及び健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成29年厚生労働省令第86号)が施行され、外来療養に係る年間の高額療養費(健康保険法施行令(大正15年勅令第243号。以下「健保令」という。)第41条の2)(以下「外来年間合算」という。)に関する制度が新設された。平成29年8月1日から平成30年7月31日までの期間に係る高額療養費の支給より、外来年間合算の支給が開始されることとなることから、健康保険の保険者における具体的な事務の取扱いを下記のとおりお示しするので、遺漏のないよう取り扱われたい。

第1 定義

この通知において、次に掲げる定義は、次のとおりとする。

(1) 月間の高額療養費 健保令第41条に規定する月間の高額療養費をいう。

(2) 外来特例 月間の高額療養費のうち、健保令第41条第5項に規定する高額療養費をいう。

(3) 月額世帯合算 月間の高額療養費のうち、健保令第41条第3項及び第4項に規定する高額療養費をいう。

(4) 外来療養に係る額 70歳以上の者が受けた外来療養(継続給付に係る外来療養を含む。)に係る額(特定給付対象療養の場合には、当該者がなお負担すべき額)を合算した額(月間の高額療養費が支給される場合にあっては、当該者に係る支給額を控除した額とし、付加給付として負担を軽減するための金品が支給される場合にあっては、当該者に係る当該金品に相当する額を控除した額とする。)をいう。

(5) 計算期間 毎年8月1日から翌年7月31日(精算対象者においては、死亡等により医療保険の被保険者資格を喪失した日の前日)までの期間をいう。

(6) 基準日 計算期間の末日をいう。

(7) 基準日被保険者 基準日における保険者の被保険者(日雇特例被保険者、国家公務員共済組合法及び地方公務員等共済組合法に基づく共済組合の組合員並びに私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者を除く。)である者をいう。

(8) 基準日保険者 基準日被保険者が基準日において被保険者として属している保険者をいう。

(9) 基準日被扶養者 基準日被保険者の被扶養者(基準日において当該保険者の被保険者の被扶養者である者に限る。)をいう。

(10) 組合等 日雇特例被保険者の保険の保険者としての全国健康保険協会、船員保険の保険者としての全国健康保険協会、市町村(特別区を含む。)、国民健康保険組合、国家公務員共済組合法若しくは地方公務員等共済組合法に基づく共済組合、日本私立学校振興・共済事業団又は後期高齢者医療広域連合をいう。

(11) 組合員等 日雇特例被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。)、船員保険の被保険者、国家公務員共済組合法若しくは地方公務員等共済組合法に基づく共済組合の組合員、私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者、国民健康保険の被保険者の属する世帯の世帯主若しくは国民健康保険組合の組合員又は後期高齢者医療の被保険者をいう。

(12) 精算対象者 計算期間の中途で死亡した者その他これに準ずる者(同一の計算期間において再び医療保険の加入者となった者を除く。)をいう。

(13) 申請書 外来年間合算支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書をいう(別添様式例1参照)。

(14) 自己負担額証明書 当該者が計算期間において当該保険者の被保険者であった期間に当該保険者の被保険者として受けた外来療養に係る額等を記載した証明書をいう(別添様式例2参照)。

第2 外来年間合算の事務取扱

1 創設の趣旨

外来年間合算は、70歳以上の高額療養費の上限額を見直すことに伴い、年間を通して外来特例に該当するような長期療養を受けている方の負担が増えないよう配慮する観点から、新たに創設する。

2 制度の概要

基準日時点で一般区分又は低所得区分である被保険者について、計算期間のうち一般区分又は低所得区分であった月の外来療養に係る額が14万4,000円を超える場合に、その超える分を支給する。

3 制度の支給要件等

(1) 支給要件

外来年間合算は、次の①~⑥に掲げる額を合算した額(以下「基準日被保険者合算額」という。)、⑦~⑫に掲げる額を合算した額(以下「基準日被扶養者合算額」という。)又は⑬~⑱に掲げる額を合算した額(以下「元被扶養者合算額」という。)のいずれかが14万4,000円を超える場合に支給する。

<①~⑥:基準日被保険者合算額(下記イメージ図参照)>

① 計算期間のうち、基準日被保険者が当該保険者の被保険者であった間において、当該基準日被保険者が当該保険者の被保険者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

② 計算期間のうち、基準日被保険者が他の健康保険の保険者の被保険者であった間において、当該基準日被保険者が当該他の健康保険の保険者の被保険者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

③ 計算期間のうち、基準日被扶養者が当該保険者の被保険者であり、かつ、当該基準日被保険者が当該基準日被扶養者の被扶養者であった間において、当該基準日被保険者が当該保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

④ 計算期間のうち、基準日被扶養者が他の健康保険の保険者の被保険者であり、かつ、基準日被保険者が当該基準日被扶養者の被扶養者であった間において、当該基準日被保険者が当該他の健康保険の保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑤ 計算期間のうち、基準日被保険者が組合等の組合員等であった間において、当該基準日被保険者が当該組合等の組合員等(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑥ 計算期間のうち、基準日被扶養者が組合等(後期高齢者医療広域連合を除く。)の組合員等(後期高齢者医療の被保険者を除く。)であり、かつ、基準日被保険者が当該基準日被扶養者の被扶養者等であった間において、当該基準日被保険者が当該組合等の組合員等の被扶養者等(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

【イメージ図】 ※網掛けは上記①~⑥に該当する箇所。

<⑦~⑫:基準日被扶養者合算額(下記イメージ図参照)>

⑦ 計算期間のうち、基準日被保険者が当該保険者の被保険者であり、かつ、基準日被扶養者が当該基準日被保険者の被扶養者であった間において、当該基準日被扶養者が当該保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑧ 計算期間のうち、基準日被保険者が他の健康保険の保険者の被保険者であり、かつ、基準日被扶養者が当該基準日被保険者の被扶養者であった間において、当該基準日被扶養者が当該他の健康保険の保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑨ 計算期間のうち、基準日被扶養者が当該保険者の被保険者であった間において、当該基準日被扶養者が当該保険者の被保険者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑩ 計算期間のうち、基準日被扶養者が他の健康保険の保険者の被保険者であった間において、当該基準日被扶養者が当該他の健康保険の保険者の被保険者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑪ 計算期間のうち、基準日被保険者が組合等(後期高齢者医療広域連合を除く。)の組合員等(後期高齢者医療の被保険者を除く。)であり、かつ、基準日被扶養者が当該基準日被保険者の被扶養者等であった間において、当該基準日被扶養者が当該組合等の組合員等の被扶養者等(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑫ 計算期間のうち、基準日被扶養者が組合等の組合員等であった間において、当該基準日被扶養者が当該組合等の組合員等(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

【イメージ図】 ※網掛けは上記①~⑥に該当する箇所。

<⑬~⑱:元被扶養者合算額(下記イメージ図参照)>

⑬ 計算期間のうち、基準日被保険者が当該保険者の被保険者であり、かつ、当該基準日被保険者の被扶養者であった者(基準日被扶養者を除く。)が当該基準日被保険者の被扶養者であった間において、当該基準日被保険者の被扶養者であった者(基準日被扶養者を除く。)が当該保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑭ 計算期間のうち、基準日被保険者が他の健康保険の保険者の被保険者であり、かつ、当該基準日被保険者の被扶養者であった者(基準日被扶養者を除く。)が当該基準日被保険者の被扶養者であった間において、当該基準日被保険者の被扶養者であった者(基準日被扶養者を除く。)が当該他の健康保険の保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑮ 計算期間のうち、基準日被扶養者が当該保険者の被保険者であり、かつ、当該基準日被扶養者の被扶養者であった者(基準日被保険者を除く。)が当該基準日被扶養者の被扶養者であった間において、当該基準日被扶養者の被扶養者であった者(基準日被保険者を除く。)が当該保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑯ 計算期間のうち、基準日被扶養者が他の健康保険の保険者の被保険者であり、かつ、当該基準日被扶養者の被扶養者であった者(基準日被保険者を除く。)が当該基準日被扶養者の被扶養者であった間において、当該基準日被扶養者の被扶養者であった者(基準日被保険者を除く。)が当該他の健康保険の保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑰ 計算期間のうち、基準日被保険者が組合等(後期高齢者医療広域連合を除く。)の組合員等(後期高齢者医療の被保険者を除く。)であり、かつ、当該基準日被保険者の被扶養者等であった者(基準日被扶養者を除く。)が当該基準日被保険者の被扶養者等であった間において、当該基準日被保険者の被扶養者等であった者(基準日被扶養者を除く。)が当該組合等の組合員等の被扶養者等(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

⑱ 計算期間のうち、基準日被扶養者が組合等(後期高齢者医療広域連合を除く。)の組合員等(後期高齢者医療の被保険者を除く。)であり、かつ、当該基準日被扶養者の被扶養者等であった者(基準日被保険者を除く。)が当該基準日被扶養者の被扶養者等であった間において、当該基準日被扶養者の被扶養者等であった者(基準日被保険者を除く。)が当該組合等の組合員等の被扶養者等(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

【イメージ図】 ※網掛けは上記⑬~⑱に該当する箇所。

(2) 支給対象者及び支給額

外来年間合算の支給については、次の表の左欄の支給対象者に対して、右欄の支給額を支給する。

支給対象者

支給額

基準日被保険者

(基準日被保険者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(①/基準日被保険者合算額)+(基準日被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑦/基準日被扶養者合算額)+(元被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑬/元被扶養者合算額)

計算期間において当該保険者の被保険者であった者(基準日被扶養者に限る。)

(基準日被保険者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(③/基準日被保険者合算額)+(基準日被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑨/基準日被扶養者合算額)+(元被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑮/元被扶養者合算額)

計算期間において当該保険者の被保険者であった者(基準日において他の健康保険の保険者の被保険者である者に限る。)

(基準日被保険者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(②/基準日被保険者合算額)+(基準日被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑧/基準日被扶養者合算額)+(元被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑭/元被扶養者合算額)

計算期間において当該保険者の被保険者であった者(基準日において他の健康保険の保険者の被保険者の被扶養者である者に限る。)

(基準日被保険者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(④/基準日被保険者合算額)+(基準日被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑩/基準日被扶養者合算額)+(元被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑯/元被扶養者合算額)

計算期間において当該保険者の被保険者であった者(基準日において組合等(後期高齢者医療広域連合を除く。)の組合員等(国民健康保険の被保険者の属する世帯の世帯主又は国民健康保険組合の組合員であって被保険者又はその被扶養者である者及び後期高齢者医療の被保険者を除く。)である者に限る。)

(基準日被保険者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(①/基準日被保険者合算額)+(基準日被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑦/基準日被扶養者合算額)+(元被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑬/元被扶養者合算額)

計算期間において当該保険者の被保険者であった者(基準日において組合等(高齢者の医療の確保に関する法律に基づく後期高齢者医療広域連合を除く。)の組合員等(後期高齢者医療の被保険者を除く。)の被扶養者等である者に限る。)

(基準日被保険者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(③/基準日被保険者合算額)+(基準日被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑨/基準日被扶養者合算額)+(元被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑮/元被扶養者合算額)

計算期間において当該保険者の被保険者であった者(基準日において後期高齢者医療の被保険者である者に限る。)

(基準日被保険者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(①/基準日被保険者合算額)+(基準日被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑦/基準日被扶養者合算額)+(元被扶養者合算額-14万4,000円(※))×高額療養費按分率(⑬/元被扶養者合算額)

※0を下回る場合には0とする。

(3) 計算における按分及び端数調整

各保険者が、当該保険者の被保険者から外来年間合算の支給の申請を受け、支給額の算定の基礎となる外来療養に係る額を算定するに当たっては、各月ごとに、

① 月額世帯合算の支給額(付加給付として負担を軽減するための金品を支給した場合又は現物給付として支給した場合を含む。)を70歳以上の被保険者及び被扶養者がその月に受けた療養に要した費用の額(外来特例が支給される場合にあっては、その支給額を控除した額とする。)に応じて当該被保険者及び被扶養者に按分する。当該按分に当たり1円未満の端数が生じる場合は、按分後の額がもっとも低い額となるもの以外の支給額については当該端数を切り捨て、もっとも低い額となるものの支給額に、当該切り捨てた額の合算額を加える。

② ①で按分した個人ごとの月額世帯合算の支給額を当該者がその月に受けた外来療養に要した費用の額(外来特例が支給される場合にあっては、その支給額を控除した額とする。)及び入院療養に要した費用の額に応じて外来療養に係る支給額と入院療養に係る支給額に按分する。当該按分に当たり1円未満の端数が生じる場合は、外来療養に係る支給額については当該端数を切り捨てるとともに、入院療養に係る支給額に、当該切り捨てた額を加える。

③ 月間の高額療養費(外来特例又は月額世帯合算が支給される場合にあっては、その支給額を控除した額とする。以下③及び④において同じ。)の支給額(付加給付として負担を軽減するための金品を支給した場合又は現物給付として支給した場合を含む。)を70歳以上の被保険者及び被扶養者並びに70歳未満の被保険者及び被扶養者がその月に受けた療養に要した費用の額(外来特例又は①が支給される場合にあっては、その支給額を控除した額とする。)に応じて当該被保険者及び被扶養者に按分する。当該按分に当たり1円未満の端数が生じる場合は、按分後の額がもっとも低い額となるもの以外の支給額については当該端数を切り捨て、もっとも低い額となるものの支給額に、当該切り捨てた額の合算額を加える。

④ ③で按分した個人ごとの支給額のうち、70歳以上の者に係る支給額について、当該者がその月に受けた外来療養に要した費用の額(外来特例又は②が支給される場合にあっては、その支給額を控除した額とする。)及び入院療養に要した費用の額(②が支給される場合にあっては、その支給額をそれぞれ控除した額とする。)に応じて、月間の高額療養費のうち外来療養に係る支給額と入院療養に係る支給額に按分する。当該按分に当たり1円未満の端数が生じる場合は、月間の高額療養費のうち外来療養に係る支給額については当該端数を切り捨てるとともに、月間の高額療養費のうち入院療養に係る支給額に、当該切り捨てた額を加える。

また、外来年間合算の支給に当たり、各保険者から支給する額について、1円未満の端数が生じる場合については、按分後の額がもっとも低い額となるもの以外の支給額については当該端数を切り捨て、もっとも低い額となるものの支給額に、当該切り捨てた額の合算額を加える。

なお、以上の端数処理と異なる方法で端数処理を行っている保険者であって、システム改修等の観点から平成29年8月1日から平成30年7月31日までに係る外来年間合算の事務を当該端数処理で行うことが困難である場合は、経過的に異なる計算方法で端数処置を行うことはやむを得ないが、可及的速やかにシステムを改修されたい。

(4) その他の留意点

高額介護合算療養費の支給額を算出するために用いる自己負担額は、計算期間において、被保険者等が受けた療養に係る自己負担額から月間の高額療養費及び外来年間合算の支給額を控除した額であることから、被保険者が高額介護合算療養費の支給の申請を行うに当たっては、事前に外来年間合算の支給額の有無を確認し、支給額がある場合には、外来年間合算の申請を行っていることが必要となる。なお、高額介護合算の支給を申請した者が、外来年間合算の支給を受けることができるにも関わらず当該支給の申請を行っていない場合には、当該支給の申請を受けた保険者は、当該者に外来年間合算の申請を行うよう勧奨するとともに、外来年間合算の支給がなされたものとみなして高額介護合算療養費の支給額を算出する。

4 計算期間の中途で医療保険の加入者でなくなった者に係る取扱い

(1) 基準日の取扱い

精算対象者について、計算期間において負担した外来療養の自己負担額がある場合にあっては、死亡等により医療保険の資格を喪失した日の前日(保険給付の対象となる最後の日)を基準日とみなして当該精算対象者に係る外来年間合算の支給額の計算を行う。

なお、医療保険の加入者でなくなる事由としては、死亡、海外への移住(移住時点の加入制度が国民健康保険又は後期高齢者医療の場合に限る。)、生活保護受給(受給開始時点の加入制度が国民健康保険又は後期高齢者医療の場合に限る。)等が考えられる。

死亡の場合は基準日とみなされる日が確定するため、当該基準日とみなされる日以後は外来年間合算の支給が可能であるが、一時的に生活保護の受給などにより医療保険の加入期間に空白が生じても、同一の計算期間において再び医療保険に加入した場合は当該計算期間中に生じた自己負担額を通算して外来年間合算を支給することとなることから、死亡以外の事由により医療保険の加入者でなくなった場合については、当該計算期間の末日(7月31日)まで基準日又は基準日とみなされる日が確定せず、当該計算期間の末日の翌日(8月1日)になってはじめて外来年間合算の支給が可能となる。

(2) 支給額の算定について

精算対象者に係る外来年間合算の支給額の算定に当たっては、当該精算対象者に係る基準日とみなされる日において当該精算対象者が属する医療保険上の世帯に属する者(当該精算対象者を含む。)が当該計算期間における当該基準日とみなされる日までの期間において受けた外来療養に係る額から、基準日被保険者合算額、基準日被扶養者合算額及び元被扶養者合算額を算定し、所得区分についても当該基準日とみなされる日において判定したものを適用する。

5 外来年間合算の申請手続

(1) 基準日保険者における手続

① 外来年間合算の支給を受けようとする基準日被保険者は、次のア~オを記載した申請書を保険者に提出しなければならない。

ア 被保険者証の記号及び番号又は個人番号

イ 計算期間の始期及び終期

ウ 当該基準日被保険者及び基準日被扶養者の氏名及び生年月日

エ 当該基準日被保険者が計算期間における当該保険者の被保険者であった間に、外来療養を受けた者の氏名及びその年月

オ 当該基準日被保険者及び基準日被扶養者が、計算期間において、それぞれ加入していた医療保険者の名称及びその加入期間

② ①の申請書には、次のア及びイの書類を添付しなければならない。ただし、アは、記載すべき額が0である場合は、申請書にその旨を記載して、添付を省略することができることとするとともに、保険者が当該保険者において自己負担額を把握できる場合は添付不要である。

ア 自己負担額証明書

イ 基準日における当該基準日被保険者の所得区分を証する書類

③ ①の申請書の提出を受けた基準日保険者は、次のア及びイを、自己負担額証明書を交付した者に対し、遅滞なく通知しなければならない。

ア 当該申請者に適用される基準日被保険者合算額、基準日被扶養者合算額及び元被扶養者合算額

イ その他高額療養費の支給に必要な事項

④ 精算対象者が死亡した日その他これに準ずる日において、当該精算対象者を扶養する被保険者は、当該精算対象者に係る高額療養費の額の算定の申請を行うことができる。

(2) 基準日保険者以外の保険者への申請等

① 計算期間において当該保険者の被保険者であった者は、次のア~オを記載した申請書を保険者に提出しなければならない。ただし、当該保険者における外来療養に係る額が0である場合にあっては、この限りでない。

ア 被保険者証の記号及び番号又は個人番号

イ 計算期間の始期及び終期

ウ 基準日保険者の名称

エ 当該被保険者であった者及び計算期間においてその被扶養者であった者の氏名及び生年月日

オ 当該被保険者であった者が計算期間における当該保険者の被保険者であった間に、高額療養費に係る外来療養を受けた者の氏名及びその年月

② ①の申請書には、基準日における当該被保険者であった者の所得区分を証する書類を添付しなければならない。

③ 保険者は、①の規定による申請書の提出を受けたときは、次のア~カに掲げる事項を記載した自己負担額証明書を申請者に交付しなければならない。ただし、基準日保険者が当該申請者の自己負担額を把握できる場合は交付は不要である。

ア 被保険者証の記号及び番号

イ 当該被保険者であった者が計算期間において当該保険者の被保険者であった期間

ウ 申請者の氏名及び生年月日

エ 次に掲げる額

・ 計算期間のうち、基準日被扶養者が当該保険者の被保険者であり、かつ、当該基準日被保険者が当該基準日被扶養者の被扶養者であった間において、当該基準日被保険者が当該保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

・ 計算期間のうち、基準日被扶養者が当該保険者の被保険者であった間において、当該基準日被扶養者が当該保険者の被保険者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

・ 計算期間のうち、基準日被扶養者が当該保険者の被保険者であり、かつ、当該基準日被扶養者の被扶養者であった者(基準日被保険者を除く。)が当該基準日被扶養者の被扶養者であった間において、当該基準日被扶養者の被扶養者であった者(基準日被保険者を除く。)が当該保険者の被保険者の被扶養者(現役並み区分であった間を除く。)として受けた外来療養に係る額

・ 計算期間のうち、当該被保険者であった者が当該保険者の被保険者であった間において、当該被保険者であった者が当該保険者の被保険者(現役並み区分である場合を除く。)として受けた外来療養に係る額

・ 計算期間のうち、当該被保険者であった者が当該保険者の被保険者であり、かつ、当該被保険者であった者の被扶養者であった者が当該被保険者であった者の被扶養者であった間において、当該被保険者であった者の被扶養者であった者が当該保険者の被扶養者(現役並み区分である場合を除く。)として受けた外来療養に係る額

オ 証明書を交付する者の名称及び所在地

カ その他必要な事項

④ ③の自己負担額証明書を交付した保険者は、当該証明書に係る基準日の翌日から2年以内に当該保険者の被保険者であった者から高額療養費の支給に必要な事項の通知が行われない場合において、当該保険者の被保険者であった者に対して当該申請に関する確認を行ったときは、当該証明書に係る同項の申請書は提出されなかったものとみなすことができる。

⑤ 保険者は、精算対象者に係る外来年間合算の額の算定に必要な自己負担額証明書の交付申請を、当該保険者の被保険者であった者(当該精算対象者を除く。)から受けたときは、当該証明書を交付しなければならない。

(別添様式例1)

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(別添様式例2)

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